JP5181179B2 - ビオチン標識磁気微粒子の製造方法 - Google Patents

ビオチン標識磁気微粒子の製造方法 Download PDF

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本発明は、ビオチン標識された磁気微粒子の製造方法に関し、さらに詳細には、磁性細菌内にて磁気粒子膜タンパク質と、ビオチン標識配列との融合タンパク質を発現させることにより、磁性細菌が生産する粒径約50〜150nmの磁気微粒子上に簡便にビオチン標識する方法及び当該方法により製造された磁気微粒子等に関する。
近年、バイオセンサやイムノセンサ用のタンパク質固定化担体として磁気微粒子が利用されている。磁気微粒子は磁気による回収が容易であるため、イムノアッセイのみならず、ドラッグキャリア、細胞分離技術等の幅広い分野への応用も期待されている。イムノアッセイ等における物質の標識方法の1つとして、アビジン又はストレプトアビジンと、ビオチンとの間の結合がある。これらの結合は極めて安定である(解離定数10−15M)ことから、検出感度の向上や迅速なアッセイを行なうために有用である。例えば、検体中の抗原を測定するイムノアッセイの場合、抗原に結合したビオチン化抗体を、標識したアビジンまたはストレプトアビジンと反応させて、洗浄後、残存した標識強度を測定することが行われている。
抗体等のビオチン化のために、被ビオチン化物質のアミノ基、カルボキシル基、チオール基(スルフヒドリル基またはメルカプト基)などを利用してビオチンを固定化できるビオチン化試薬が種々市販されている。しかし、これらの化学試薬はタンパク質の活性化部位にも無差別に結合してしまうため、タンパク質のもつ機能を阻害してしまうという問題点があった。そのため、タンパク質の機能を阻害しない、部位特異的な標識技術の開発が望まれていた。
細胞内でビオチンリガーゼによって認識されるタンパク質ドメインは、生物種を越えて広く保存されており、このタンパク質ドメインと融合させた種々のタンパク質が生体内でビオチン化されることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、このビオチン化されうるドメインは、最小でも75アミノ酸残基を必要とする大きなポリペプチドである。小さな部位特異的ビオチン化タグを開発するために、種々のビオチン酵素のビオチン周辺配列を模倣して15〜27残基のランダムなアミノ酸配列をもつペプチドライブラリーを構築し、大腸菌内でビオチン化するペプチド配列が探索された。ビオチン受容ペプチドと名づけられた比較的短いペプチドは、大腸菌のビオチンリガーゼにより効率的にビオチン化されることが見出された(例えば、非特許文献2参照)。
一方、磁性細菌の菌体内において産生される磁気微粒子が知られている。この磁気微粒子又はその菌体自体は、磁石を用いることにより溶液から容易に分離することが可能であるため、タンパク質の製造及び単離、並びに種々の物質の回収、探索、検出及び定量に有用である。この磁気微粒子は、磁気微粒子膜と称されるリン脂質を主成分とする有機膜で被膜されており、この膜には種々の膜タンパク質が存在する(例えば、特許文献1〜3参照)。また、この膜タンパク質をアンカータンパク質として目的ポリペプチドとの融合タンパク質を磁気微粒子の表面で発現させる方法も報告されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平8−228782号公報 国際公開97/35964号パンフレット 特開2002−176989号公報 特開2006−314314号公報 Cronan, JE, The Journal of Biological Chemistry, (1990) Vol.265, pp.10327-10333 Schatz, PJ, Bio/Technology, (1993) Vol.11, pp.1138-1143
ナノメートルスケールの磁性微粒子を効率的にビオチン標識するためには、磁気微粒子表面を被覆するポリマーにアミノ基等の官能基を導入しなければならず、作成工程が煩雑な上高価な試薬を用いることから、市販されているビオチン標識磁気微粒子は極めて高価である。また、磁性細菌の産生する磁気微粒子膜上に、上述のビオチン受容ペプチドを発現させた場合に磁性細菌内でビオチン化が起こるかどうかは未だ明らかではない。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであって、磁性微粒子膜タンパク質に種々のビオチン化されうるポリペプチド配列を融合させて磁性細菌内で発現させ、そして磁気微粒子を回収してビオチン化標識の有無を確認した。その結果、特定のアミノ酸配列を有する場合にのみ菌体内で効率的にビオチン化されることを発見した。さらに菌体内でビオチン化されないペプチド配列が、磁気微粒子を回収した後、インビトロにおいてビオチン標識しうることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、第一の視点において本発明のビオチン標識磁気微粒子の製造方法は、磁性細菌由来の磁気粒子膜タンパク質又はその断片と、ビオチン標識配列との融合タンパク質を、磁性細菌内で発現させる工程と、前記磁性細菌から磁気微粒子を単離する工程と、を含むことを特徴とする。前記ビオチン標識配列は、配列番号2に示したアミノ酸配列(ビオチンカルボキシル運搬タンパク質:BCCP)又は当該アミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が欠失、置換、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ磁性細菌内でビオチン化されうることが好ましい。1つの実施形態において、前記ビオチン標識配列は、配列番号2に示したアミノ酸配列の72位〜149位のアミノ酸残基からなることを特徴とする。
他の実施形態において、前記ビオチン標識配列がビオチン受容ペプチド配列(BAP)からなり、かつ単離された磁気微粒子と大腸菌又は酵母のビオチンリガーゼとを接触させる工程をさらに含むことを特徴とする。前記ビオチン受容ペプチド配列は、配列番号3〜5に示したアミノ酸配列から選択される何れかであることが好ましい。
さらに異なる実施形態において、前記融合タンパク質は、前記BCCPとBAPの両方を含み、夫々が磁気微粒子膜表面において前記融合タンパク質の所定の位置に発現することが好ましい。
本発明の他の視点において、磁性細菌由来の磁気粒子膜タンパク質Mms13又はその断片と、配列番号2に示したアミノ酸配列の少なくとも72位〜149位のアミノ酸残基を含むビオチン標識配列との融合タンパク質をコードする発現ベクターで形質転換されてなる磁性細菌、並びに当該融合タンパク質が磁気微粒子膜上に発現されてなる磁気微粒子が提供される。前記磁気粒子膜タンパク質Mms13の断片は、配列番号6に示したアミノ酸配列のうち、N末端から少なくとも1〜87個のアミノ酸残基を含むことが好ましい。1つの実施形態において、前記融合タンパク質が、配列番号3〜5に示したアミノ酸配列から選択される1又は複数のビオチン受容ペプチド配列をさらに含み、前記ビオチン標識配列及びビオチン受容ペプチド配列の夫々は、磁気微粒子膜表面において前記融合タンパク質の所定の位置に発現することを特徴とする。
本発明の方法によれば、磁性細菌の生産能を利用して、菌体内及び菌体から抽出後の所望の時期にビオチン化されうるビオチン標識配列を磁気微粒子に導入することができる。菌体内でビオチン標識する方法は菌体外における方法に比べて効率的であり、磁性細菌から磁気分離により回収するだけの簡便な方法でビオチン標識磁気微粒子を製造することができる。
[定義]
本明細書において、用語「磁性細菌」とは、体内に磁気微粒子を蓄積する能力を有する細菌である。例えば、Magnetospirillum magneticum AMB-1, MS-1, 及びSR-1等のマグネトスピリラム種の微生物、並びにDesulfovibrio sp. RS-1等のデサルフォビブリオ種の微生物が挙げられるがこれらに限定されない。これらの磁性細菌は、マグネトソームとよばれる50〜100nm程度の粒径をもつチェーン状の磁性粒子を菌体内に生成,保持している。これらの磁性粒子は高い分散性,安定な有機薄膜の存在,単磁区微粒子といった特性を有する。
本明細書において、用語「磁気微粒子膜タンパク質」とは、上記磁性細菌の磁気微粒子を被覆する有機膜に存在するタンパク質をいう。磁性細菌において、これまでに細胞膜上又は磁気微粒子膜上に存在する種々のタンパク質が同定されている。例えば、マグネトスピリラム種の磁性細菌に由来する磁気微粒子膜タンパク質として、Mms5、Mms6、Mms7及びMms13等があり、これらをコードするDNAの塩基配列はアクセス番号AB096081及びAB096082としてDDBJやGenBank等のデータベースに登録されている。
用語「ビオチン標識配列」ないし「ビオチン化配列」とは、アセチル−CoAカルボキシラーゼやトランスカルボキシラーゼのようなビオチン酵素(特定のリジン残基に結合したビオチンを補酵素として利用する酵素)に存在するような、ビオチンリガーゼの働きによってビオチン化されうるアミノ酸配列をいう。ビオチン酵素は同じ生物由来のビオチンリガーゼだけでなく、他種生物由来のビオチンリガーゼによってもビオチン化されることが知られている。これはビオチン化部位の立体構造が種を越えて保存されているためであると考えられる。この立体構造の相同性は、異なる生物に由来するビオチン酵素のアミノ酸配列の比較から推測することができるが、ビオチン化を受けるリジン残基周辺の配列が特に相同性が高いこと、及び多くのビオチン酵素においてN末端側に比べてC末端側の配列保存性が高いことが大きな特徴である。ビオチンリガーゼがこれらの配列を認識する詳細な機構は未だ解明されていない。なお、多くのビオチン酵素は、ビオチン標識配列からなるドメイン又はサブユニットを有し、これらを「ビオチンカルボキシル運搬タンパク質:BCCP(Biotin Carboxyl Carrier Protein)」と称する。
用語「ビオチン受容ペプチド」とは、上記ビオチン標識配列の一種であるが、BCCPがビオチン酵素の比較的大きなポリペプチドであるのに対し、15〜27残基程度の比較的小さなペプチドをいう。このペプチドは、タンパク質の機能を阻害しない部位特異的ビオチン化タグとして利用するために開発された(非特許文献2参照)。
[ビオチン標識磁気微粒子の製造方法]
本発明のビオチン標識磁気微粒子の製造方法は、(a)磁性細菌由来の磁気粒子膜タンパク質又はその断片とビオチン標識配列との融合タンパク質を磁性細菌内で発現させる工程と、(b)前記磁性細菌から磁気微粒子を単離する工程と、を含む。
上記工程(a)は、磁気粒子膜タンパク質又はその断片をコードするDNAと、ビオチン標識配列をコードするDNAとを用いた発現ベクターを構築し、これを磁性細菌に導入して磁性細菌内で融合タンパク質を発現させる。この場合、上記発現ベクターは、磁性細菌内で転写制御可能なDNA断片をプロモーターとして含み、かつこのプロモーター配列の下流に融合タンパク質をコードするDNAを挿入する。
このプロモーター配列は、磁性細菌内で転写可能であれば特に限定されないが、磁性細菌内で多量に存在するタンパク質を同定し、その発現を推進するプロモーター配列を使用することにより、転写活性の高いプロモーターを取得することができる。例えば、磁性細菌マグネトスピリラム・マグネティカムAMB−1株の磁気微粒子膜上で発現されているタンパク質Msp1(mm10)、Msp2(mm24)、Msp3(mm1)及びMms16(mms16)をコードするDNAのプロモーター領域の配列を挙げることができる。これらのプロモーター配列は、本発明者らによりすでに報告されており(例えば、特開2006−75103号公報参照)、これらに開示された内容は引用により本願明細書に組み込まれる。
本発明において、磁気粒子膜タンパク質又はその断片は、磁気微粒子膜上にタンパク質を提示するためのアンカータンパク質として使用される。アンカータンパク質としては、磁性細菌マグネトスピリラム・マグネティカムAMB−1株に由来する磁気微粒子膜タンパク質(例えば、Mms5、Mms6、Mms7、及びMms13等)が好適に用いられる。特に、Mms13タンパク質は、磁気微粒子に強固に結合しているため好適である。Mms13は、124アミノ酸残基からなる膜2回貫通型タンパク質であり、N末端及びC末端が磁性微粒子膜表面に局在していると考えられている。従って、Mms13の全領域を用いて生成した融合タンパク質は、細胞膜上又は磁性微粒子膜上へのアンカリングが可能である。また、Mms13は、そのC末端領域に膜貫通部位でない領域(配列番号6で示されるアミノ酸配のうち、88〜124位のアミノ酸残基)を有し、この領域は存在していなくてもよい。すなわち、配列番号6に示したアミノ酸配列のうち、N末端から少なくとも1〜87個のアミノ酸残基を含んでいればよい。
本発明の方法におけるビオチン標識配列は、ビオチンリガーゼによってビオチン化されうる配列であれば特に限定されない。自然界においてビオチン化されうるタンパク質は稀であり、大腸菌ではアセチル−CoAカルボキシラーゼのBCCPのみが知られている。真核細胞においてビオチン化されうるタンパク質の数はもう少し多く、酵母では増殖条件に依存して4個又は5個のビオチンタンパク質を有する。従って、自然界に存在する何れかのビオチンリガーゼによってビオチン化されればよいが、好ましくは磁性細菌内においてビオチン化されうる配列である。磁性細菌のビオチンリガーゼは、未だ単離されていないが、ゲノムDNA配列から公知のビオチンリガーゼの相同体の存在が示唆されている。
本発明の好ましい実施形態において、上記ビオチン標識配列は、配列番号2に示したアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が欠失、置換、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ磁性細菌内でビオチンリガーゼによりビオチン化されうる配列である。「1又は複数のアミノ酸」とは、全長アミノ酸残基数の多くとも10〜20%程度をいい、例えば、1〜30個程度、好ましくは1〜15個程度、より好ましくは1〜10個程度、最も好ましくは1〜5個程度である。ビオチンリガーゼ活性は、当業者に周知の種々の方法により測定することができ、例えば、トリチウム標識されたビオチンのタンパク質への取り込みを、放射活性の測定により行なうことができる。
本発明の方法において、前記融合タンパク質は、磁性細菌が保持しているビオチンリガーゼによって効率的にビオチン化される。磁性細菌の磁気粒子膜タンパク質は、細菌内で合成された後、細胞内膜に集まり、この内膜が陥没して脂質膜で構成された小胞が形成され、その後小胞内に鉄イオンが集積されることでマグネタイトが形成されると考えられる。この磁気粒子膜タンパク質と融合した上記ビオチン標識配列は、例えば細胞質内で、又は内膜に集積した段階で内在性のビオチンリガーゼと接触できるため、磁気粒子膜上に局在した後にビオチン化されるよりも高い効率でビオチン化されるのであろう。
本発明の他の実施形態において、上記ビオチン標識配列は、配列番号2に示したアミノ酸配列からなるタンパク質又は当該アミノ酸配列と少なくとも50%、好ましくは70%、80%、85%、90%、97%、98%以上の相同性を有するタンパク質からなり、かつ磁性細菌のビオチンリガーゼによりビオチン化されうる配列である。タンパク質の相同性(ホモロジー)の程度は、2つのタンパク質のアミノ酸配列同士を適切に整列(アライメント)したときの同一性のパーセント値で表わすことができ、当該配列間の正確な一致の出現率を意味する。同一性比較のための配列間での適切な整列は種々のアルゴリズム、例えば、BLASTアルゴリズムを用いて決定することができる(Altschul SF J Mol Biol 1990 Oct 5; 215(3):403-10)。
このようなビオチン標識配列の変異体を作製する方法としては、当業者に公知の種々の方法を用いることができ、例えば、目的のアミノ酸の位置をコードする塩基配列を改変すべきアミノ酸をコードする塩基配列に置換したプライマーを用いて、改変すべきアミノ酸をコードする塩基配列に置換したDNAをPCRにより増幅させてビオチン標識配列変異体をコードするDNAを取得し、これを磁性細菌に導入して発現させることができる。あるいは、Kunkel法又はギャップ二重鎖(Gapped duplex)法等の公知の部位特異的突然変異導入方法によって行うことができ、これらの手法を利用した変異導入用キット(例えばMutan−KやMutan−G(TAKARA)等)を利用することができる。
本発明の1つの実施形態において、前記ビオチン標識配列は、配列番号2に示したアミノ酸配列の72位〜149位のアミノ酸残基からなることが好ましい。ビオチン修飾されるタンパク質のリジン残基は、カルボキシル末端の近くのアミノ酸配列中に存在することが知られている。ビオチン化を受けるリジン残基の周辺配列の相同性から、本実施形態におけるビオチン化部位はカルボキシル末端から35番目のリジン残基であると考えられる。
他の実施形態において、上述したビオチン標識配列はビオチン受容ペプチド配列であってもよい。大腸菌や酵母のビオチンリガーゼによってビオチン化されうる種々のペプチド配列が報告されている。例えば、配列番号3及び4に示したアミノ酸配列からなるペプチドは、lacリプレッサーに連結して合成されたペプチドライブラリーから大腸菌のビオチンリガーゼによりビオチン化されうるペプチドとしてスクリーニングされたものである(非特許文献2参照)。また、配列番号5に示したアミノ酸配列からなるペプチドは、ファージディスプレイペプチドライブラリーを用いて、酵母のビオチンリガーゼによってビオチン化されるが、大腸菌のビオチンリガーゼではビオチン化されないペプチド配列として見出された(Chen, I. et al., Journal of the American Chemical Society, (2007) Vol.129, pp.6619-6625)。本実施形態においては、これらのペプチドを上述したアンカータンパク質のN末端又はC末端に融合させて発現することができる。そして、磁性細菌から磁性微粒子を単離した後に、インビトロで当該微粒子と大腸菌又は酵母のビオチンリガーゼとを接触させればよい。インビトロにおけるビオチン化反応の条件は公知であり、例えば、大腸菌のビオチンリガーゼは、エネルギー源としてのATPを必要とする。
本発明の発現ベクターに融合タンパク質をコードする遺伝子を組み込んで磁性細菌を形質転換し、得られた形質転換体を適切な条件下で培養すると、菌体内に磁気微粒子が産生され、磁気微粒子を被覆している磁性微粒子膜にアンカリングした形で融合タンパク質が発現する。従って、本発明の方法における工程(b)は、磁性細菌の菌体を破壊又は溶解した後、磁気を利用して磁気微粒子を回収することにより、ビオチン標識磁気微粒子を容易に得ることができる。磁性細菌から磁気微粒子を単利する方法は、当該技術分野においてよく知られており、また、後述の実施例において1つの具体例が示される。
[ビオチン標識磁気微粒子]
本発明のビオチン標識磁気微粒子は、上述した製造方法により得ることができる磁気微粒子である。すなわち、本発明の好ましい磁気微粒子は、磁性細菌由来の磁気粒子膜タンパク質Mms13又はその断片と、配列番号2に示したアミノ酸配列の少なくとも72位〜149位のアミノ酸残基を含むビオチン標識配列との融合タンパク質が磁気微粒子膜上に発現されてなる磁気微粒子である。Mms13タンパク質及びビオチン標識配列については、上述したとおりである。
本発明の好ましい実施形態において、磁気微粒子膜上に発現される融合タンパク質は、上述した配列番号2に示した磁性細菌由来のビオチン標識配列(BCCP)と、配列番号3〜5に示したアミノ酸配列から選択される1又は複数のビオチン受容ペプチド配列(BAP)とを同時に含み、前記ビオチン標識配列及びビオチン受容ペプチド配列の夫々は、磁気微粒子膜表面において前記融合タンパク質の所定の位置に発現するものである。融合タンパク質の構築方法、具体的にはMms13タンパク質において磁気微粒子表面に露出する所望の位置に、ビオチン標識配列とビオチン受容ペプチド配列とを夫々連結することができ、これによって両者のビオチン標識間の距離を制御することが可能となる。例えば、磁気微粒子膜表面の近接した位置に時間をおいてビオチン標識することができれば、磁気微粒子膜上で相互作用しうる2種類の異なる分子で標識することができ、本発明の方法により製造された磁気微粒子に様々な化学的又は生物学的な機能を付加することができるようになる。
本発明は、以下の実施例によりさらに詳細に説明されるが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.実験方法
1−1.試薬及び器具
大腸菌由来ビオチンリガーゼはAVIDITY,LLC.(Colorado,USA)から購入した。金ナノ粒子標識ストレプトアビジンはNanocs inc.から購入した。TRITC標識ストレプトアビジンはBECKMA COULTERから購入した。アルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジンはCHEMICON International Inc.から購入した。その他の試薬類は全て研究用の市販特級品またはそれに準じたものを用い、試薬等の調製は蒸留水及び蒸留水を日本ミリポア株式会社のMilliQ Labで処理した超純水を用いた。発光強度測定にはアロカ株式会社のルミノメーターLucy-2を利用した。蛍光強度測定にはホリバ株式会社ホリバアイテックの蛍光分光光度計 FluroMax-4を利用した。
1−2.プラスミドの構築
ビオチン受容ペプチド(Biotin Acceptor Petide:BAP、アミノ酸配列:MAQRLFHILDAQKIEWHGPKGGS:配列番号3)、磁性細菌由来Biotin-Carboxyl Carrier Protein (mBCCP;149アミノ酸残基、配列番号2)、及びmBCCPのC末端側78アミノ酸残基部分(mBCCP78)をそれぞれ磁性細菌粒子膜局在タンパク質Mms13と融合したタンパク質発現ベクターを構築した(図1及び2)。
pUMGP16M13は、SspI消化したpUMGにPmms16、及びその下流にmms13遺伝子を含むPCR産物をライゲーションしたプラスミドである(Applied and Environmentl Microbiology (2006) vol.72 p465, Methodのconstruction of expression vectors、参照)。
pUM13GFPBAPは、SspI消化したpUMGP16M13にGFP遺伝子、及びその下流にBAP遺伝子を導入したプラスミドである。ビオチンアクセプターペプチド(Biotin Acceptor petide:BAP)を融合したGFPをコードする遺伝子(789bp)を増幅するため、プライマーFw:ATGGTGAGCAAGGGCGC(配列番号7)、及びBAP遺伝子を含むプラーマーRv:TTAAGAACCACCTTTCGGACCGTGCCATTCAATTTTCTGAGCGTCCAGAATGTGGAACAGACGCTGAGCCATCTTGTACAGCTCATCCATGC(配列番号8)を設計し、pAcGFP1(タカラバイオ)を鋳型として用いてPCRを行った。増幅断片とSspI消化したpUMGP16M13とのライゲーションを行い、得られたライゲーションサンプルを用いてpUM13GFPBAPを取得した(図1)。
pUM13GFPは、SspI消化したpUMGP16M13にGFP遺伝子を導入したプラスミドである。GFPをコードする遺伝を増幅するため、プライマーFw:5’-GTGAGCAAGGGCGCCGAG-3’(配列番号9)及びプライマーRv:5’-TTACTTGTACAGCTCATC(配列番号10)を設計し、pAcGFP1(タカラバイオ)を鋳型として用いてPCRを行った。増幅断片とSspI消化したpUMGP16M13とのライゲーションを行い、得られたライゲーションサンプルを用いてpUM13GFPを取得した。
Mms13のN末端にBAP、C末端に緑色蛍光タンパク質GFPを融合したタンパク質を発現するpUMBAPM13GFPを構築するため、NsiIサイト(下線を表示した配列)を付加したプライマーNsiI−BAP−F:5’-ATGCATATGGCTCAGCGTCTGTTCCA-3’(配列番号11)、及びNsiI−BAP−R:5’-ATGCATAGAACCACCTTTCGGACCGT-3’(配列番号12)を設計し、pUM13GFPBAPをテンプレートとしてPCRを行った。PCR産物をpCR4−Blunt−TOPOにサブクローニングし、インサート配列のシークエンス解析を行った。次いで、NsiIを用いてインサート配列を切り出し、NsiI消化したプラスミドpUM13GFPとのライゲーションを行った。得られたライゲーションサンプルを用いて大腸菌DH5αを形質転換した。得られたコロニーからプラスミドを抽出し、インサート配列の挿入方向をシークエンス解析により確認した(図2)。
Mms13のC末端にBAP、mBCCP、及びmBCCP78を融合したタンパク質をそれぞれ発現するpUM13BAP、pUM13mBCCP、及びpUM13mBCCP78を構築するため、BAP増幅プライマーとしてBAP−F:5’-ATGGCTCAGCGTCTGTTCCA-3’(配列番号13)、BAP−R:5’-AGAACCACCTTTCGGACCGT-3’(配列番号14)を、mBCCP及びmBCCP78増幅プライマーとしてmBCCP−F:5’-ATGGGCAACAAGACTCCCATC-3’(配列番号15)、mBCCP78−F:5’-CATCCCGGCGCGGTG-3'(配列番号16)、mBCCP−R:5'-CTATTCGATGATCAGCAAGGGC-3'(配列番号17)を設計した。pUM13GFPBAPをテンプレートとしてBAPのPCR増幅をおこなった。また、磁性細菌Magnetospirillum magneticum AMB−1ゲノムをテンプレートとしてmBCCP及びmBCCP78のPCR増幅を行った。それぞれのPCR産物とSspI消化したプラスミドpUMGP16M13とのライゲーションを行い、得られたライゲーションサンプルを用いて大腸菌DH5αを形質転換した。得られたコロニーからプラスミドを抽出し、インサート配列の挿入方向をシークエンス解析により確認した(図2)。
1−3.磁性細菌の形質転換、培養及びBacMPsの調製
野生株の磁性細菌Magnetospillum magneticum AMB−1はMSGM(Blakemore et al. 1979)4.5lに植菌し、アルゴンガスを15分間バブリングすることにより微好気状態にした上で、室温にて約5日間、静置培養した。また、エレクトロポレーションによりプラスミドpUMBAPM13GFPを導入した形質転換体は5μg/ml、アンピシリン含有MSGMで培養し、pUM13mBCCP、及びpUM13mBCCP78を導入した形質転換体は5μg/mlアンピシリン、50μMビオチン含有MSGMで培養した。
培養した菌体は7200rpm、4℃で10分間、遠心分離することにより集菌し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)30mlに懸濁した後に、フレンチプレスを用いて2000kg/cmで破砕した。その後、菌体破砕液を入れた三角フラスコの底部にネオジウム−ボロン(Nd−B)磁石を取り付けて磁気微粒子(BacMPs)を磁気分離し、2−[4−Hydroxyethyl]−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid(HEPES)緩衝液(10mM、pH7.4)中で超音波洗浄機を用いて10回洗浄した。洗浄したBMPsはPBSに懸濁し、4℃で保存した。
1−4.大腸菌由来ビオチンリガーゼによるBAPのビオチン標識
50mMのMgCl、10μMビオチン、100mMのATP、及び10μg/ml大腸菌由来ビオチンリガーゼ含有PBS(pH7.4、100μl)中に50μgのBacMPsを懸濁し、室温で1時間撹拌した。その後、磁気分離したBacMPsを50μlのPBSで3回洗浄した。
1−5.ビオチン標識BacMPsへのストレプトアビジンの固定化
磁性細菌M. magneticum AMB-1形質転換体から抽出したBacMPs10μgに対し、20μg/mlのTRITC標識ストレプトアビジン(TRITC−SA)を100μl添加した、室温で1時間撹拌した。その後、100μlのPBSTで3回洗浄し、BacMPsを400μlのPBSTに懸濁し、蛍光顕微鏡で観察した。
磁性細菌M. magneticum AMB-1形質転換体から抽出したBacMPs(50μg)に対し、1/100希釈アルカリフォスファターゼ標識ストレプトアビジン(ALP−SA)溶液(タンパク質濃度5.4mg/ml、2mg/mlのBSA含有)を100μl添加し、室温で1時間撹拌した。100μlのPBSTで3回洗浄した後、BacMPsを50μlのPBSに懸濁し、ルミホス530(3.3×10−4mol/l、50μl)を加え、5分後の発光強度を測定した。
BacMPs上に固定化できるストレプトアビジン量を測定するため、TRITC標識ストレプトアビジンを固定化し、蛍光強度を測定した。200μlのTRITC標識ストレプトアビジン溶液を100μgのBacMPsに添加し、室温で1時間撹拌した。その後、200μlのPBSTで3回洗浄し、50μgのBacMPsを500μlのPBSに懸濁した。その後、粒子の蛍光強度(励起波長:545nm、蛍光波長:580nm)を、蛍光分光光度計を用いて測定した。検量線作成のため、50μgの野生株由来BaMPs(WT−BacMPs)に既知濃度のTRITC溶液(500μl)を添加し、同様に蛍光強度を測定した。
1−6.ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
磁性細菌Magnetospirillum magneticum AMB-1から抽出した2mgの磁性細菌粒子(BacMPs)を1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液に懸濁し、100℃で30分間煮沸することでBacMPs膜タンパク質を抽出した。抽出した膜タンパク質をSDSサンプルバッファー(終濃度:6.25 mM Tris-HCl [pH6.8], 5 % 2-mercaptoethanol, 2 % SDS, 5 % sucrose and 0.002 % bromophenol blue)に混合し、12.5 %(wt/vol)ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行った。その後、クマシンブリリアントブルーR−250を用いてゲルを染色した。
1−7.ビオチン標識BacMPsへのストレプトアビジンの固定化
BacMPs上にストレプトアビジンを固定化できることを確認するため、金ナノ粒子標識ストレプトアビジンを固定化し、透過型電子顕微鏡による観察を行った。PBSTを用いて1/2希釈した200μlの金ナノ粒子標識ストレプトアビジン溶液を10μgのBacMPsに添加し、室温で1時間撹拌した。その後、100μlのPBSTで3回、100μlの超純水で1回洗浄した。洗浄後、BacMPsを超純水に懸濁し、グリッド上で30分間乾燥させた。その後、透過型電子顕微鏡(H700H、日立製作所)を用いて粒子を観察した。
2.結果
2−1.mBCCP(78)提示BacMPsのインビボ(in vivo)ビオチン標識
pUM13mBCCP形質転換体から磁気微粒子(mBCCP−BacMPs)を抽出し、TRITC−SAを用いてビオチン標識の有無を確認した。その結果、mBCCP−BacMPs上にTRITC−SAが固定化している様子が観察された。このことから、BacMPs上に提示されたmBCCPが磁性細菌体内においてビオチン標識されることが示された(図3)。
次いでBacMPs上にディスプレイしたビオチン標識タグ、mBCCPAの短縮化を試みた。一般的にBCCPの持つアミノ酸配列のうち、ビオチン化に関与する配列はC末端側に集中していることが知られている。そこで、磁性細菌M. magneticum AMB−1由来mBCCPのアミノ酸配列を、近縁種であるM. magnetotacticum MS−1、M. gryphiswaldense MSR−1、Rhodospirirum rubrum由来のBCCPと比較した(図4)。その結果、72〜149残基目のC末端側78残基(mBCCP78)に相当する部分に共通配列が集中していることがわかった。そこで、mBCCP78をMms13のC末端に融合したタンパク質を発現するプラスミドpUM13mBCCP78を用いてM. magneticum AMB−1を形質転換し、磁気微粒子(mBCCP78−BacMPs)を抽出した。
このmBCCP78−BacMPsが磁性細菌体内においてビオチン標識されているかをSA−ALPを用いて確認しところ、mBCCP−BacMPsと同程度の発光強度を示した(図5)。このことから、149アミノ酸残基からなるmBCCPのうち、C末端側78アミノ酸残基のみを持つmBCCP78も、磁性細菌体内においてビオチンリガーゼによって認識されてビオチン標識されることが示された。
2−2.BAP提示BacMPsのインビトロ(in vitro)ビオチン標識
大腸菌由来ビオチンリガーゼの働きによりBacMPs上に発現したBAPがビオチン標識されることを確認するため、ビオチンリガーゼ処理もしくは未処理のBAP−Mm13−GFP発現BacMPsとMm13−GFP発現BacMPsにSA−ALPを添加した。その結果、ビオチンリガ−ゼ処理したBAP−Mm13−GFP発現BacMPsにおいてのみ高い発光強度が得られた(図6)。このことから、ビオチンリガーゼを用いてBacMPs上のBAPを特異的にin vitroビオチン標識できることが示された。また、ビオチンリガーゼ未処理BAP−Mm13−GFP発現BacMPsにALP−SAが結合しなかったことから、BAPはAMB−1体内ではビオチン標識されないことが示された。
なお、図5及び図6に示したグラフの縦軸は、ストレプトアビジン標識したアルカリフォスファターゼの活性を蛍光強度により表したものである。用いた磁気微粒子(BacMPs)の量が同じにもかかわらず、蛍光強度が約10倍異なることからインビトロでのビオチン化反応に比べて、磁性細菌内におけるビオチン化反応の方が顕著に効率的であることが分かる。
2−3.BacMPs上におけるMms13−mBCCP融合タンパク質の発現確認
M. magneticum AMB-1野生株、およびBacMPs上の膜タンパク質Mms13とAMB−1由来ビオチン結合タンパク質mBCCPとの融合タンパク質を発現するプラスミドpUM13mBCCP形質転換体から得られたBacMPs上の膜タンパク質を抽出し、SDS−PAGEを行った。その結果を図7に示す。pUM13mBCCP形質転換体から得られたBacMPs(mBCCP−BacMPs)において、30から43kDa付近に顕著なバンドが得られた。Mms13−mBCCP融合タンパク質は約31kDaのタンパク質であることから、SDS−PAGEにより得られたバンドはMms13−mBCCPであると考えられた。以上の結果より、Mms13−mBCCP融合タンパク質がBacMPs上に高発現に導入されていることが確認された。
2−4.BacMPs上に固定化された金ナノ粒子の観察
BacMPs上にストレプトアビジンが導入されていることを確認するため、WT−BacMPsおよびmBCCP−BacMPsに金ナノ粒子標識ストレプトアビジンを添加し、透過型電子顕微鏡で観察した。その結果を図8に示す。mBCCP−BacMPs上にはWT−BacMPsに比べて多くの金ナノ粒子が固定化されていることが確認された。このことから、BacMPs上に提示されたmBCCPがビオチン化され、そこにストレプトアビジンを固定化できることが示された。
2−5.BacMPs上に固定化されたTRITC標識ストレプトアビジン量の測定
BacMPs上に固定化できるストレプトアビジン量を測定するため、WT−BacMPsおよびmBCCP−BacMPsにTRITC標識ストレプトアビジンを添加し、蛍光強度を測定した。その結果を図9に示す。1mgのmBCCP−BacMPs上に約1300ngのストレプトアビジンを固定化できることが示された。これは一粒子のBacMPs(粒径:75nm、密度:5.2g/cmと近似)上に約15分子のストレプトアビジン(60kDa)を固定化できることを示している。
磁性細菌内における発現ベクターの構築方法を示す模式図である。 本発明の方法に用いる融合タンパク質発現プラスミドの構築方法を示す模式図である。 TRITC標識ストレプトアビジンを本発明の方法で製造した磁気微粒子に加え、洗浄した後の顕微鏡観察像である。(スケールバー:10μm) Magnetospirillum magneticum AMB-1及びその近縁種由来のBCCP及びBAPのアミノ酸配列を比較したアライメントである。 磁性細菌内において発現させた融合タンパク質がインビボでビオチン化されるか否かを調べた結果である。 ストレプトアビジン標識したアルカリフォスファターゼを用いて、磁気微粒子のインビトロでのビオチン標識を確認した結果である。 WT−BacMPs及びmBCCP−BacMPsから抽出した膜タンパク質のSDS−PAGEの結果を示す。 金ナノ標識ストレプトアビジンをWT−BacMPs及びmBCCP−BacMPsに加え、洗浄した後の透過型電子顕微鏡観察像である。 WT−BacMPs及びmBCCP−BacMPsへのTRITS標識ストレプトアビジンの結合飽和曲線である。

Claims (11)

  1. 磁性細菌由来の磁気粒子膜タンパク質又はその断片と、ビオチン標識配列との融合タンパク質を、磁性細菌内で発現させる工程と、
    前記磁性細菌から磁気微粒子を単離する工程と、
    を含むことを特徴とするビオチン標識磁気微粒子の製造方法。
  2. 前記ビオチン標識配列が、配列番号2に示したアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1又は複数のアミノ酸が欠失、置換、付加及び/又は挿入されたアミノ酸配列からなり、かつ磁性細菌内でビオチン化されうることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記ビオチン標識配列が、配列番号2に示したアミノ酸配列の72位〜149位のアミノ酸残基からなる請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記ビオチン標識配列がビオチン受容ペプチド配列からなり、かつ単離された磁気微粒子と大腸菌又は酵母のビオチンリガーゼとを接触させる工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
  5. 前記ビオチン受容ペプチド配列が、配列番号3〜5に示したアミノ酸配列から選択される何れかである請求項4に記載の方法。
  6. 前記融合タンパク質が、配列番号3〜5に示したアミノ酸配列から選択される1又は複数のビオチン受容ペプチド配列をさらに含み、前記ビオチン標識配列及びビオチン受容ペプチド配列の夫々は、磁気微粒子膜表面において前記融合タンパク質の所定の位置に発現することを特徴とする請求項2又は3に記載の方法。
  7. 磁性細菌由来の磁気粒子膜タンパク質Mms13又はその断片と、配列番号2に示したアミノ酸配列の少なくとも72位〜149位のアミノ酸残基を含むビオチン標識配列との融合タンパク質をコードする発現ベクターで形質転換されてなる磁性細菌。
  8. 磁性細菌由来の磁気粒子膜タンパク質Mms13又はその断片と、配列番号2に示したアミノ酸配列の少なくとも72位〜149位のアミノ酸残基を含むビオチン標識配列との融合タンパク質が磁気微粒子膜上に発現されてなる磁気微粒子。
  9. 前記磁気粒子膜タンパク質Mms13の断片が、配列番号6に示したアミノ酸配列のうち、N末端から少なくとも1〜87個のアミノ酸残基を含む請求項8に記載の磁気微粒子。
  10. 前記融合タンパク質が、配列番号3〜5に示したアミノ酸配列から選択される1又は複数のビオチン受容ペプチド配列をさらに含み、前記ビオチン標識配列及びビオチン受容ペプチド配列の夫々は、磁気微粒子膜表面において前記融合タンパク質の所定の位置に発現することを特徴とする請求項8又は9に記載の磁気微粒子。
  11. 前記ビオチン標識配列及びビオチン受容ペプチド配列が、磁気粒子膜タンパク質Mms13又はその断片のC末端及びN末端に夫々融合して発現する請求項10に記載の磁気微粒子。
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