JPWO2006103758A1 - 移動端末、無線通信装置及び無線通信方法 - Google Patents
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Abstract
Description
無線伝搬路は、刻一刻と変化するため、伝搬路状態に合わせた信号送信が必要となってくる。一例として、送信電力を制御する方法がある。伝搬路状態が悪い場合、送信電力を増加させることで、受信局における受信品質をあるレベルに保証する。しかし、この方式では送信電力が変化するため、他の受信局や隣接するセルに対する干渉特性が変わってしまうことが考えられる。
そこで、別の考え方として、送信電力は一定として、変調パラメータ(データ変調方式、符号化率など)を伝搬路状態に合わせて変える方法がある。この方式は適応変調方式(AMC:Adaptive Modulation Control)と呼ばれる。データは、一般的に、各種の多値変調方式により変調され、誤り訂正が施される。データ変調方式の多値数が大きいほど、また誤り訂正における符号化率Rが1に近いほど、一時に送られるデータ量が多くなり、そのため伝送誤りに対する耐性が弱くなる。伝搬路状態が良い場合、多値数を増やし、符号化率を1に近づけることで、送信データ量を増加させ、伝送スループットを高くする。逆に、伝搬路状態が悪い場合、多値数を減らし、符号化率を小さくすることで、送信データ量を減らし、伝送誤り率の上昇を防止することができる。符号分割多重アクセス方式(CDMA)など、データを周波数拡散するシステムでは、信号の拡散率(プロセスゲインとも呼ばれる)を変調パラメータとすることができる。このように、伝搬路の状態に合わせて変調パラメータを変えることで、伝搬路状態に合致した信号送信ができ、その結果、伝送誤り率の上昇が抑えられ、効率的な伝送が可能となる。
移動通信システムでは、セル内の複数ユーザに対して信号伝送を行うにあたり、各ユーザに効率的に無線リソースを割当てることが重要となる。即ち、どのユーザのパケットを、どの時間に、どのチャネルで、どのような電力で、どの位のパケット長で送信するかを決定しなければならない。この作業を行う部分がスケジューラと呼ばれる。スケジューラでは、様々な情報をもとに、各ユーザに無線リソースの割当てを行っていく。情報には、各ユーザに対する伝搬路状態、ユーザ間の優先度、データの発生頻度やデータ量などがあるが、どの情報を用いるかはシステムにより異なる。また、無線リソースのどの部分を、何を基準に割当てるかもシステムにより異なる。従来の割り当て基準として、W-CDMA等に採用されているHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)のPF(PropoRTional Fairness)がある。PFは送信機会の均等性を保ちつつ、フェージングによる伝搬路変動に着目して伝搬路損失が少ない瞬間を選択して送信する技術である。接続ユーザ数が増えるにつれあるユーザに割り当てられる送信時間が減少してしまうが、さらに伝搬路損失が少ない瞬間
のみを選択して送信できるようになり、送信局のスループットを改善することができる。このフェージングの良い状態の時のみを選択する利得は、スケジューラのMUD(Multi-User Diversity)と呼ばれている。送信機会を単純に割り当てるRR(Round Robin)に対して、PFはMUD利得を得てスループットが大きく改善できる。
図29はスケジューラの割り当て説明図であり、(A)はユーザ数が2のときの割り当てを、(B)は ユーザ数が3のときの割り当てをそれぞれ示し、縦軸のSINR at UEは端末で測定した受信SINR (Signal to Interference Noise Ratio)であり、横軸のTx Userはその測定値を基に送信局で選択する送信ユーザである。(A),(B)を比較すると、3人になると送信割当期間は減少するが、SINRはより良好な伝搬状態を利用できる事が理解される。
受信が失敗したパケットを再度送る再送方式ARQ (Automatic Repeat reQuest)がある。受信局では、受信したパケットの情報が正確に復号されているかの判定を行い、受信成功/失敗(ACK/NACK)を送信側に通知する。送信局では、送信したパケットのデータ情報をバッファに蓄えており、受信失敗の通知があった場合、そのパケットを再送する。受信成功の通知があった場合には、そのパケットデータをバッファ内から破棄する。インターネット、データなどの通信を行う場合、ある程度の遅延は許容されるが、正確性が求められる。このようなトラヒックの場合には、再送における最大再送回数を多くとることで、パケット破棄の少ない通信を行うことができる。一方、電話などリアルタイム通信(RT通信)でのトラヒックを想定している場合には、ある程度のパケット破棄は許容できるとして、最大再送回数を0にする。更に、再送信号の受信品質を改善させるために、受信側でデータを合成する再送合成方式HARQ (Hybrid Automatic Repeat reQuest)がある。受信側では、受信に失敗し、再送要求(NACK情報)を出した誤りを含むパケットのデータをバッファに蓄積する。再送されたパケットを受信した際に、バッファ内のデータと再送データを合成する。データ合成により、受信品質が改善され、再送回数が増えるほど、改善の度合いが高くなり、パケット受信の成功率が高まる。
移動通信のパケット伝送システムにおいて、上記のような技術を用いることで、無線リソースを効率的に使用し、各ユーザまたはトラヒックの性質に合致し、かつシステム提供側の目的に合ったパケット伝送を行うことができる。
・送信側信号変調部および受信側信号復調部
図30は従来のパケット伝送システムにおける送信側信号変調部の一例を示す構成図、図31は受信側信号復調部の一例を示す構成図である。
図30の送信側信号変調部では、変調パラメータとして変調方式、符号化率、拡散率を与えるとする。送信データはたとえばターボ符号化部3aでターボ符号により、誤り訂正符号化が施される。ターボ符号化部では、符号化率は常に一定とする(例えばR=1/3)。パンクチャード符号化部3bでは、幾つかのパンクチャード符号パターンを用いて、要求符号化率(例えばR=3/4)を達成する。データ変調部3cでは、変調方式(多値変調方式)に応じたデータ変調を行う。一般的には、QPSK、 16QAM、 64QAMなどがある。拡散部3dでは、拡散率に応じて信号を拡散する。拡散では、時間方向に拡散する方法や周波数方向に拡散する方法がある。
受信側信号復調部は、図31に示すように、再送合成をパンクチャード復号前に行う構成(図31(A))、再送合成をパンクチャード復号後に行う構成(図31(B))がある。図31において、逆拡散部4aは受信信号を、拡散率に応じて逆拡散する。続いて、データ復調部4bは変調方式に応じたデータ復調を行う。再送合成部4cは、再送パケットであれば、以前受信した同一パケットデータと合成処理を行う。これにより、より高い受信品質を得ることができる。再送合成は、前述のように(a) パンクチャード復号前に合成する構成、(b) パンクチャード復号後に合成する構成があり、バッファの構成等が異なる。パンクチャード復号部4dは、符号化率に応じたパンクチャード復号を行い、ターボ復号部4eはターボ復号を行う
。
図32は、パンクチャード復号部4dの構成図であり、図31(B)のパンクチャード復号部に対応している。パンクチャード復号部4dは、符号化率に応じたパンクチャード符号パターンPCPを発生するパンクチャード符号パターン発生部5aとデータバッファ5bを有している。データ復調後の信号RDは、パンクチャード符号パターンPCPにおける符号"1"の個数分、データバッファ5bに蓄積される。パンクチャード符号パターンPCPは、符号化率により異なり、このためバッファ長も異なる。図33は、バッファ長4(パンクチャード符号パターンPCPにおける"1"の数が4個)の例を示している。蓄積された信号RDをパンクチャード符号パターンPCPの符号"1"の位置に書き出してパンクチャード復号後信号RD′を出力する。
図34は受信側の再送合成部以降の構成図である。バッファ部6aは受信失敗したパケットをパケット番号と共に保存している。バッファ内データ抽出部6bはパケット番号を参照して再送されたパケットに合成するパケットデータをバッファ6aから取り出す。再送合成部4cは、受信パケット(実際にはパンクチャード復号後信号)が再送パケットでなければ、すなわち、新規パケットであればそのまま通過してターボ復号部4eに入力し、再送パケットであればバッファ6aから読み出したパケットデータと合成してターボ復号部4eに入力する。ターボ復号部4eは入力データに対してターボ復号を施し、CRCチェック部4fは復号データを用いてCRCチェック演算を実行して該データに誤りが含まれているかチェックし、誤りが含まれていなければ受信データとして出力すると共にACK信号を発生し、誤り含まれていればNACK信号を発生する。データ/情報格納部6cは、再送パケット受信時に、ACK信号が発生すれば該当パケットをバッファ6aから削除し、NACK信号を受信すれば、再送合成データをパケット番号と共にバッファ6aに格納する。
図35は、送信側での信号変調の例を示したものである。ここでは、変調方式を16QAM(多値数4)、符号化率Rを3/4とする。送信データをAとして、6 bitデータA1〜A6を考える。ターボ符号化での符号化率を1/3とすると、符号化後データは、B1〜B18となる。符号化率3/4に対するパンクチャ−ド符号パターンPCPでは、18 bitのうち、8 bitで符号“1”となる。パターンPCPの符号“1”に対応するデータB1〜B7とB16がパンクチャ−ド符号化後のデータとなり、C1〜C8として、出力される(レートマッチング)。元の6 bitデータが8
bitデータとなるため、符号化率が3/4が達成される。データ変調では、16QAMにより、4値の多値変調が行われ、E1、E2のデータとなる。データ変調後のデータは、拡散率に応じて拡散される。
図36は、受信側での信号復調の例である。図35と反対の流れとなる。パンクチャ−ド復号では、パンクチャ−ド符号パターンPCPでの符号“1”に相当する位置にデータが書き込まれて符号化率が1/3のターボ符号が得られる(デレートマッチング)。パンクチャード復号後データにターボ復号処理を施すことにより元の6ビットデータA1〜A6が復号される。
再送合成として、Chase合成とIR合成が一般的に使用される。ここでは、この2つの方式を説明する。図37はChase合成説明図であり、(a)はパンクチャ−ド復号前のChase合成説明図、(b)はパンクチャ−ド復号後のChase合成説明図である。各記号は上述の例による。
パンクチャ−ド復号前での合成では、図37(a)に示すようにデータ復調されたデータC1〜C8がバッファ6a内のデータC1(b)〜C8(b)と合成、例えば最大比合成される。C1(b)〜C8(b)は、現在受信されているパケットと同一のパケットのこれ以前に送信されたデータの合
成値である。再送合成された8ビットのデータは、パンクチャ−ド符号パターンPCP(図36参照)で符号“1”となる位置(B1〜B7、B16)に代入されてパンクチャード復号され、ターボ復号部4eに入力される。
パンクチャ−ド復号後での合成では、図37(b)に示すようにデータ復調されたデータC1〜C8をパンクチャ−ド符号パターンPCP(図36参照)で符号“1”となる位置(B1〜B7、B16)に代入した後、バッファ6a内のデータB1(b)〜B18(b)と合成が行われる。図37(a)と図37(b)とでは、バッファ構成が異なるが、効果は同じである。
IR合成では、再送の度に異なるパンクチャ−ド符号パターンで符号化を行う。ここでは、パターン数を2とする。パターン数2では、初回伝送と再送1回目伝送では、パターンが異なる。再送2回目では、初回伝送と同一のパターンを用いる。同じパターンを用いた場合のみデータ合成を行う。
図38(a)のパンクチャ−ド復号前での合成において、初回伝送、再送2,4,6…回目伝送のデータは、同一パターンPCP(図39(a)参照)を用いて、パンクチャ−ド符号化されているため、第1のバッファ6a-1に格納されているデータと合成され、再度バッファ6a-1に格納される。再送1、3、5…回目伝送のデータは、パターンPCPと異なるパンクチャ−ド符号パターンPCP′(図39(b)参照)を用いているため、異なるバッファ6a-2に格納されているデータと合成され、再度バッファ6a-2に格納される。パンクチャ−ド復号により、各々のパンクチャ−ド符号パターンPCP,PCP′に対応した位置にデータが書き込まれてパンクチャード復号される。ここでは、Ciが第1パターン、Diが第2パターンでのデータを表す。パンクチャード復号されたデータは以後ターボ復号部に入力されてターボ復号される。
B13(b)−B14(b),B17(b)−B18(b))と合成を行う。以上によりパンクチャード復号されたデータは以後ターボ復号部に入力されてターボ復号される。
1対1通信のスループットを大幅に改善する手段としてMIMO(Multi Input Multi Output)多重送信がある。
図40はMIMO多重送信システムの構成図であり、TRXは送信局、RECは受信局である。送信アンテナの数Mと同じ数のデータストリームD0〜DM-1が、それぞれの送信装置TRX0〜TRXM-1でデータ変調・D/A変換・直交変調・周波数アップコンバートなどの処理を経て、各送信アンテナATT0〜ATTM-1から送信される。お互いに無相関となるように配置されたアンテナATT0〜ATTM-1から送信された信号は、独立のフェージングチャネルhnm(m=0〜M-1,n=0〜N-1)を通り、空間で多重された後、N本の受信アンテナATR0〜ATRN-1で受信される。各受信アンテナで受信された信号は、受信装置REC0〜RECN-1で周波数ダウンコンバート・直交検波・A/D変換処理等を経て、y0〜yN-1の受信データストリームが生成される。各受信データストリームは、M個の送信データストリームが多重された形になっているため、データ処理部DPUで全ての受信データストリームに対して信号処理を行うことにより、送信データストリームD0〜DM-1を分離・再生できる。
、チャネル相関行列の逆行列を用いるZF(Zero-Forcing) やMMSEといった線形アルゴリズム(非特許文献1参照)とBLAST(Bell Laboratories Layered Space-Time)に代表される非線形アルゴリズム(非特許文献2参照)がある。また、MLD(Maximum Likelihood Decoding)などの相関行列の逆行列演算を使用しない方法(非特許文献3参照)も知られている。MLDアルゴリズムについて説明する。
今、送信データストリームをM次元の複素行列で、受信データストリームをN次元の複素行列で表すと、次式の関係がある。
上記MIMO多重送信においても、複数ユーザ間で送信機会の均等性を保ちつつ、スループットを向上させる手段としてPF等のスケジューラが検討されている。これらの検討されている技術はスループット向上に着眼されたものであり、誤り発生したシンボルについては再送シンボル合成型のHARQのような再送技術で補償する。
今後の技術としてRT通信の音声電話通信を回線交換装置で行わないVoIP(Voice over IP)が現在考えられている。VoIPは圧縮符号化された音声をパケットで細切れにして送信し、インターネット網のルータを介して通信する方式で、コネクション型の回線交換方式に対してコネクションレスで、しかも故障時の回避自由度がありメンテナンスが比較的楽な事もあって、非常に有力な技術である。RT通信が求められる別の例としてオンラインゲーム等が上げられる。
RT通信では、一定期間内に通信を行う必要があり、しかも、パケットの誤りが生じた時にHARQなどの再送遅延を許容できない。しかし、既述のMIMO多重送信を含む1対1通信のPF
では、再送技術を前提にして送信機会の均等性とスループット向上のみを考慮した技術であるため、通信遅延や再送を許容しないRT通信に適応しない問題がある。
無線信号の伝播路環境の時間的変化が緩やかであるとき回線品質に基づいてデータ再送時のダイバシチゲインを増大させる従来技術がある (例えば特許文献1参照)。しかし、この従来技術は、通信遅延や再送を許容しないRT通信に際して、RT通信で許容できる品質まで誤り率を低下させ、かつ一定期間内に通信を行えるようにしたものではない。
以上から、本発明の目的は、一定期間内に通信を行え、しかも再送技術を使用しなくてもRT通信で許容できる品質まで誤り率を低下させることができる通信方法及び通信装置を提供することである。
A. van Zelst, "Space Division Multiplexing Algorithms", 10th Mediterranean Electrotechnical Conference 2000, MELECON 2000, Cyprus, May 2000, Vol. 3, pp. 1218-1221. P.W.Wolniansky, G.J.Foschini, G.D.Golden, R.A.Valenzuela "V-BLAST: An Architecture for Realizing Very High Data Rates Over the Rich-Scattering Wireless Channel", Proc. 1998 Int. Symp. On Advanced Radio Technologies, Boulder, Colorado, 9-11 September 1998 Geert Awater, Allert. van Zelst and Richard. van Nee, "Reduced Complexity Space Division Multiplexing Receivers," in proceedings IEEE VTC 2000, Tokyo, Japan, May 15-18, 2000, vol.2, pp.1070-1074.
また、上記課題は本発明によれば、マルチアンテナを用いて移動端末に向けてMIMO送信する無線通信システムにおける移動端末において、各アンテナから送信された信号の移動端末における受信品質を測定する受信品質測定部、受信品質に基づいて互いに低相関の複数のメインアンテナを決定するメインアンテナ決定部、各メインアンテナと他のアンテナ間の多次元相関を演算する多次元相関計算部、メインアンテナ毎に多次元相関が設定値より低い領域を選択する低相関領域選択部、前記低相関領域を構成するアンテナをダイバシチアンテナとし、該ダイバシチアンテナと前記複数のメインアンテナとで信号を移動端末に送信できるように、前記各メインアンテナ、前記メインアンテナ毎の低相関領域、前記受信品質を特定するデータを送信側にフィードバックするフィードバック部、 を備えた移動端末により達成される。
また、上記課題は本発明によれば、マルチアンテナを用いて複数の移動端末に向けて信号を送信する無線通信装置において、メインアンテナと他のアンテナ間の多次元相関が設定値より低い領域を特定するデータを移動端末より受信する受信部、 メインアンテナの通信レートがリアルタイム通信時における通信要求レートより低い場合、前記低相関領域を構成するアンテナをダイバシチアンテナとするスケジューラ、前記メインアンテナとダイバシチアンテナを用いて移動端末へ同一データをダイバシチ送信するダイバシチ送信部、を備えたる無線通信装置により達成される。
また、上記課題は本発明によれば、 マルチアンテナを用いて複数の移動端末に向けて信号を送信するMIMO無線通信装置において、複数のメインアンテナと、各メインアンテナ
と他のアンテナ間の多次元相関が設定値より低い領域を特定するデータを移動端末より受信する受信部、前記メインアンテナの合計通信レートがリアルタイム通信時における通信要求レートより大きくなるようにメインアンテナを選択して、該メインアンテナに応じた前記低相関領域を構成するアンテナをダイバシチアンテナとして決定するスケジューラ、前記メインアンテナ及び前記ダイバシチアンテナで同一データをMIMO多重ダイバシチ送信する送信部、を備えた無線通信装置により達成される。
・マルチアンテナ通信
本発明はRT通信に際して、再送制御ARQを行わないで一定期間内に必ずRT通信を完了する。このようにすると、MUD利得が減少し、誤り率が大きくなる。そこで、送信ダイバシチを行うスケジューラを用いて、減少したMUD利得以上の利得を稼ぎ、RT通信が許容できる品質まで誤り率を低下させる移動端末、無線通信装置、無線通信方法を提案する。すな
わち、本発明はマルチアンテナにより通信を行う無線通信システムにおいて、メインアンテナよりRT通信を行うと共に、該メインアンテナと相関がないアンテナを用いてダイバシチ送信することでRT通信の利得を稼いで、RT通信における誤り率を低下するものである。
図1はマルチアンテナの適応変調の概念図であり、1は送信局(基地局)、2は受信局(移動端末)である。図1の(1)に示すように送信局1は伝搬路5の情報(伝搬路推定値)を知るために各アンテナ1a〜1dからパイロット信号を直交化して受信局に送信する。直交化はパイロットシンボルへ干渉が混じらないように行っており、アンテナ毎に異なる直交符号を用いる符号多重、アンテナ毎に異なるタイミングを用いる時間多重、アンテナ毎に異なるサブキャリアを用いる周波数多重が考えられる。
図2はパイロットの直交符号多重の説明図であり、1スロット毎にパイロットPLとデータDTが時分割多重されている。アンテナ1a〜1dから送信されるパイロット信号PLはアダマール行列から求まる直交系列で乗算されて、受信側で分離できるようになっている。拡散方向は周波数・時間のうち直交性を保つ為に相関の高い方向に行う。受信時に完全に直交するならば、シンボル間を合成平均することによりパイロットのS/Nを最も高くできる。
時分割多重多重、周波数多重方式は、直交性を最優先にする場合に使用される。また、パイロットが存在しない時間・周波数領域についての伝搬路は、受信側で線形補間などの技術で補って推定することができる。図5は伝搬路の線形補間による推定説明図であり、パイロットPLの多重例として、図2の直交符号多重を用いる場合である。また、直交符号化は時間領域の相関が非常に高いとして行っている。そこで、図5において各スロットの先頭にあるパイロットで各々伝搬路推定を行った後、時間隣接する複数シンボル間で平均化してS/Nを高める。このようにしてスロットの先頭にあるパイロットによる伝搬路推定値をと示す。すると、隣接スロットはで表せる。ここで、はサブキャリア番号である。スロット内のデータが占める時間を正規化して1.0とした時に、復調すべきデータが現スロットのパイロットから0.4の位置(次のスロットから0.6の位置)にあるとする。すると、このデータを復調するための伝搬路推定値は、線形補間により次のようになる。
また、送信側においてパイロットシンボルのコンスタレーションは図6(A)に示すようにI-Q複素平面の所定位置に存在する。しかし、受信側では雑音の影響を受けてパイロットのコンスタレーションは図6(B)に示すように散らばる。受信パイロットの平均値が信号成分S、平均からのバラツキの大きさが干渉成分及びノイズ成分(I+N)となり、信号成分Sと干渉成分(I+N)のある比がアンテナのあるタイミングのある周波数帯域のパイロットのSINRとなる。受信アンテナが複数あれば、多次元相関を受信アンテナ間で重み付け平均し、得られた値を平均化多次元相関とし、また、SINRについて受信アンテナ間で最大比合成(Maximum Ratio Combine)やMMSE(Minimum Mean Square Error)合成した後にSINRを求めれば良い。
以上により、受信局2(図1)はパイロット信号よりSINRを計算すれば、図1の(2)においてフィードバック信号を作成して送信局1に報告する。フィードバック信号に伝搬路推定値もしくはそれより計算した多次元相関、及び受信品質を表すSINRもしくはそれに準じた伝搬情報(CQI)を含めて送信局に送信する。送信局1は送られてきたフィードバック信号を基にして、そのユーザ向け情報データ量の貯蓄具合、多ユーザとのリソース配分を考慮してスケジューリングし、送信するアンテナ、送信タイミング、周波数帯域、変調・符号化方式を決定し、これにより通信レートが決まる。ついで、送信局1はスケジューリングで決定した通信方法でデータを受信局に送信する。なお、受信局では送信アンテナ、タイミング、周波数帯域、変調・符号化方式、ダイバシチブランチが分からないので、送信局はあらかじめ共通の報知チャネルで受信局にこれらを報知する必要がある。
次に、RT通信向けパケットスケジューラについて図7を用いて説明する。RT通信では、実行するアプリケーションのサービス毎にデータを要求する頻度とその情報量が決められている。要求するサービスレートは送信側主導でも受信側主導でも良い。例えば、送信側である品質のVoIP(64kbps)を要求して送信すると、受信側ではそれを受ける必要がある。また、受信側で高画質のオンラインゲーム(20Mbps)を要求することもできる。
図7ではRT通信として5Mbitを0.2sec毎に受信局2より送信局1に要求している例を示している。なお、受信局2において測定した送信パイロットの領域(アンテナの空間領域、時間領域、周波数領域)毎のSINRを判断材料にして、最もSINRの高かったアンテナ・周波数帯域・時間をセットにしてメインアンテナと呼ぶ事にする。
信局は、パイロットが受信されたタイミングのSINRを基にして、データのAMCを行う。そのデータは、もう一度伝搬路遅延を受けて受信局に受信される。図8より、パイロットを受信してからそのSINRが反映されたデータが受信されるまでの遅延により、伝搬路変動が変わってしまう可能性があることが伺える。
図10は多次元相関の計算法の説明図であり、相関係数を高さ方向に取り(評価軸)、アンテナ位置を一つの平面軸上に取り、同一平面で直交する軸上に周波数または時間を取った2次元相関マップを示している。例えば、図7に示すように周波数帯域が唯一であれば、アンテナ位置を示す軸Xと同一平面で直交する軸Yは時間になる。このような条件の中,メインアンテナと相関係数がほぼ0になるアンテナ・時間の領域を求める(詳細な計算方法については後述する)。
ところで、マルチアンテナ送信におけるフィードバック信号で既述の伝搬路推定値もしくはそれより計算した多次元相関及び送信パイロットのSINRを送ろうとすると非常大きな情報量になってしまい、フィードバックを行うリンクの通信スループットが劣化する。そこで、フィードバック信号を極力減らした送信ダイバシチのスケジューリング方法を表1に従って説明する。
がある。最後に、ダイバシチ送信を行うには相関の無い領域だけ知らせれば良いので、多次元相関マップで相関係数がほぼ0になった領域群のみをフィードバックする。但し、RT通信は時間遅延をあまり許容しないので、十分短い遅延のみを選択するようにする。表1ではメインアンテナの送信タイミングに対し、アンテナ2の時刻A,A′遅延、アンテナ3のB遅延、アンテナ4のC遅延と通知すれば良く、大幅にフィードバック量を削減できる。
なお、MIMO多重とはデータに着目して複数ストリーム送信-複数ストリーム受 信と定義し、チャネル伝搬路の状態で定義されるMIMO通信とは異なるものとす る。
最後に、MIMO多重のダイバシチ送信への拡張について説明する。例えば、図7のメインアンテナ指定の時に、RT通信として7Mbitを0.2sec毎に求められていたとすると要求を満たす事ができない。その時の解決法として図11に示すMIMO多重におけるダイバシチ送信が考えられる。MIMO多重におけるダイバシチ送信は、要求するRT通信レートが高い時に実行される。
受信局2は、送信パイロットSINRが最も高いアンテナ・周波数帯域をメインアンテナ1とし、次にSINRの高いアンテナ・周波数帯域をメインアンテナ2とし、最大MIMO多重数nまでのメインアンテナnを決定する。ここで、もしメインアンテナ1のSINR値から求まる最大送信レートが要求品質7Mbitを満たしていればアンテナ1からのみ送信する。もし満たせない場合は、メインアンテナ1,2でMIMO多重伝送を行うとし、最大送信レートが要求品質7Mbitを満たすまで順次MIMO多重数を増やしていく。図11の例では、あるタイミングではメインアンテナ2までで要求品質を満たしているので、MIMO 多重数2で通信を行う。図12はさらにMIMO多重ダイバシチを行った例である。MIMO多重数2で最大9Mbitの送信が可能なので、要求レートの7Mbitに下げてアンテナからの送信電力が最小になる組み合わせを選んで送信を行う。送信電力を最小にするのは他ユーザ干渉を低減させるためである。
なお、MIMO多重のダイバシチ送信では、伝送フィードバックされる情報は表2に示すように増える。
(a) 伝搬路の推定
送信アンテナv、受信アンテナuとしたときのパイロット受信信号は、周波数fj,時刻tにおいて(1)式のように記載される。但し、符号直交が崩れた時の劣化分はnu(fj,t)に含まれている。
(5)式等を用いる事で雑音の影響を抑圧した伝搬路推定を行っているので、次の(6)式のようにして雑音成分を切り分けられる。
また、複数の受信アンテナがあればアンテナ間でMRC合成し((9)式)、あるいは(10)式のMMSE規範に従って合成((11)式)することにより品質を向上することができる。また、同じく実用的にはAMCやセル選択の制御区間で時間平均したSINRを計算して(12)式を利用する。平均化のTについてはAMCならばスロット単位で、セル選択ならばフレーム単位等が選ばれる。なお、受信アンテナはU本である。
時間相関、周波数相関、空間相関と、その組み合わせの多次元相関を説明する。また、実際には周波数帯域毎の通信を前提にしているので、それを反映した説明を行う。
時間相関は、(5)式で表せる伝搬路推定値
U本の受信アンテナで受信している時には、振幅重み付けを行って受信アンテナ毎の相関値を重み付け平均することができる。但し、相関値は複素表現の値であるので、合成時に絶対値を取りスカラ量に変換している。
τ:遅延時間 Δf:周波数オフセット T:相関計算を行う平均区間
以上は、ある周波数帯域内の周波数fjに対してΔfだけ離れた周波数相関の結果である。周波数帯域間の相関を求める時には周波数帯域の端から周波数(j−i)B離れた周波数相関を計算し、これをΔf毎に周波数帯域内全てを計算し、その周波数相関値を平均化する事で求められる。式(19),(20)を変形し(21),(22)に示す。図14に示すように、iは基準としたパイロットの周波数帯域であり、jは相関を取るパイロットの周波数帯域、Bは周波数帯域である。
・スロットフォーマット
図15は本発明の送信スロットフォーマットの説明図であり、パイロットチャネルと、制
御チャネル(スケジューラ管理チャネル)と、データチャネルが時分割多重される構成される。送信パイロットが直交するスロットフォーマットならば本発明に適用できるが、以下では図15に示すスロットフォーマットを有するものとして説明する。
共通スケジューラ管理チャネルは、送信アンテナ、スロット、周波数帯域、変調・符号化方式、受信局ID(端末ID)、アンテナ識別(メインアンテナかダイバシチブランチ)かを通知するためのチャネルである。パイロットチャネルとスケジューラ管理チャネルはアンテナ、周波数帯域毎にあらかじめ決められた変調・符号化方式で送信され、かつ復号される。なお、送信アンテナには偏波の異なるアンテナも含まれる。
図16は本発明の送信局の構成図であり、複数の送信用アンテナATT1〜ATTn及び複数の受信用アンテナATR1〜ATRnが設けられているがこれらは共用することができる。全ユーザのデータはn系統の送信部の所定の誤り検出訂正符号化部111〜11nで誤り検出符号を付加されると共に所定の符号化方法、例えばターボ符号化方法により符号化されてバッファ121〜12nに保存される。しかる後、領域割当/AMC設定部13から指示されたユーザデータがバッファ121〜12nから読み出されてレートマッチング部141〜14nに入力する。レートマッチング部141〜14nは領域割当/AMC設定部13から指示された符号化率となるようにレートマッチング処理を行い、変調部151〜15nは領域割当/AMC設定部13から指示された多値変調方式により変調し、周波数シフト部161〜16nは領域割当/AMC設定部13から指示された周波数帯域に入力データの周波数をシフトし、アンテナセレクタ171〜17nは領域割当/AMC設定部13からの指示に従って、ユーザデータを1以上の所定の送信アンテナに入力すべく選択して次段のP/S変換部181〜18nに入力する。なお、領域割当/AMC設定部13はスケジューラ19のスケジューリング処理結果により決定されるユーザデータの割当、符号化率、変調方式、周波数、ダイバシチアンテナに基づいて各部を制御する。
パイロット生成部21は各アンテナより出力するパイロットを生成し、直交符号化部22は各パイロットが互いに直交するように直交コードを乗算し、変調部23は予め決められているパイロット固有の変調方式で変調してP/S変換部181〜18nに入力する。
領域割当/AMC設定部13は、送信局より送信した信号を受信局が正しく復調、復号できるように、スケジューラ管理データ(送信アンテナ、スロット、周波数帯域、変調・符号化方式、受信局ID、アンテナ識別などを)をスケジューラ管理ビット変換部24に入力する。スケジューラ管理ビット変換部24は入力されたスケジューラ管理データをスケジューラ管理チャネルにマッピングし、変調部25は予め決められているスケジューラ管理データ固有の変調方式で変調してP/S変換部181〜18nに入力する。
P/S変換部181〜18nは、図15のスロットフォーマットにしたがって、パイロットチャネル、スケジューラ管理チャネル、データチャネルの順に入力データを選択して送信RF部261〜26nに入力する。送信RF部261〜26nはベースバンド信号である入力信号の周波数をRF信号に周波数アップコンバートすると共に、増幅して送信アンテナATT1〜ATTnから受信局に向けて送信する。
一方、受信局より送信された信号は受信アンテナATR1〜ATRnにより受信されて受信RF部311〜32nに入力する。受信RF部311〜32n は無線信号をベースバンド信号に変換してユーザ固有復調部32に入力する。ユーザ固有復調部32は所定の受信局(ユーザ)からの信号を復調し、誤り訂正検出復号部34は復調信号より受信データを復号すると共に誤り検出を訂正処理して出力する。フィードバックビット判定部34は復号データより受信局からフィードバックされたフィードバックデータ(SINRまたはCQIや表1に示すデータ等)を抽出してスケジューラ19に入力する。なお、スケジューラ19には他のユーザからフィードバックされたデータも同様に復調、復号されて入力される。
RT通信送信指令部35は、ネットワークあるいは端末(受信局)からRT通信要求を受信するとスケジューラ19にRT通信要求があったことを通知する(RT通信オン)。スケジューラ19は、RT通信がオフの場合には、フィードバックデータに含まれるSINRまたはCQIに基づいて周知のスケジューリング処理を行い、RT通信オンの場合には、後述するフローに従
ったスケジューリング処理を行い、ダイバシチブランチ及びその送信方法を決定し、処理結果を領域割当/AMC設定部13通知する。
なお、送信RF部261〜26nの前にGI(Guard Interval)を挿入して、シンボル間干渉を抑圧するように構成することができる。また、スケジューラ管理bit変換部24の後に誤り検出符号化部を設けることができる。さらに、AMC(適応変調)でダイバシチブランチの送り方(CC、IR)を指定することもできる。また、図16ではSC(Single Carrier)型で書いているが、MC(Multi Carrier)型での送信構成を可能である。
図17は本発明の受信局の構成図である。RT通信受信指令部50は図示しない上位の制御部からRT通信オン、RT通信オフを受信し、RT通信オンであればスイッチSW1〜SW3をオン、スイッチSW4をオフし、RT通信オフであればスイッチSW1〜SW3をオフ、スイッチSW4をオンする。
アンテナATTにより受信された送信局からの無線信号は受信RF部51において周波数ダウンコンバートされてベースバンド信号となってタイミング同期部52に入力する。タイミング同期部52はパス検出部やAFC回路等を内蔵し、スロット同期を取ってビットシリアルにスロットを構成する各チャネル信号をS/P変換部53に入力する。S/P変換部53はパイロットチャネル、スケジューラ管理チャネル、データチャネルを分離し、それぞれを直交符号復号部54、スケジューラ管理チャネル用の復調部55、データチャネル用の復調部56に入力する。直交復調部54はパイロットチャネルよりパイロットを復調し、伝搬路推定部57は復調されたパイロット信号より伝搬路(チャネル)を推定し、伝搬路推定値を出力する。スケジューラ管理チャネル用の復調部55は伝搬路推定値を用いてスケジューラ管理チャネルを復調してスケジューラ管理情報をデータ割当判定部58に入力する。
シンボル合成指令部60は、スケジューラ管理情報より受信データがメインアンテナから受信したものか、ダイバシチブランチから受信したものかを判断し、メインアンテナから受信したスケジューラ管理情報に含まれるCC型合成あるいはIR型合成に従って、シンボル合成法をバッファ59に指示する。バッファ59は記憶済みのシンボルと復調部56の復調結果であるシンボルとをダイバシチアンテナの本数分合成(bit合成)して合成結果を出力する。
デレートマッチング部61はデレートマッチングして誤り訂正検出復号部62に入力する。誤り訂正検出復号部62はデータを復号(例えばターボ復号)すると共に、誤り検出訂正処理を行い、RT通信オンであれば誤り検出訂正処理された受信データを、スイッチSW3を介してそのままデータストリームとして出力する。RT通信オフであれば、再送選択部63は誤りがなければデータストリームとして送出すると共にACKをフィードバックビット変換部64に入力し、誤りが存在すればデータストリームとして出力せず、NACKをフィードバックビット変換部64に入力する。
。
RT通信オフのときには、フィードバック多重部68はフィードバックビット変換部64,67から出力するビットデータを多重し、ユーザ固有符号化部69はユーザ固有のコードでフィードバック情報を符号化し、変調部70で拡散変調、直交変調などを行い、送信RF部71でRF信号にして送信アンテナATRより送信する。ユーザ固有符号化は、ユーザを識別する為であり、ユーザに応じた周波数帯域、時間、符号化等の方法を用いて符号化する。再送選択部63からの点線はRT通信オフ時に再送が必要無ければフィードバックにACKの信号を送りバッファには蓄積データの開放を行い、再送が必要ならばフィードバックにNACKの信号を送りバッファにデータの保持を行うことを意味する。
なお、各フィードバックビットはフィードバックビット多重後に誤り検出訂正符号化処理を施すようにすることができる。
図18はネットワークからのRT通信オン通知の処理フローである。ネットワークからRT通信を行う必要が発生すると(ステップ101)、基地局のRT通信送信指令部35はRT通信オン及びRT通信要求レートをスケジューラ19に入力し(ステップ102)、スケジューラ19はRT通信オンに基づいたスケジューリング制御を開始する(ステップ103)。また、基地局はRT通信オン及びRT通信要求レートを移動端末に通知し(ステップ104)、移動端末のRT通信受信指令部50は該通知によりRT通信オンを出力してスイッチSW1〜SW3をオン、SW4をオフする。これにより、メインアンテナ指定81及び多次元相関演算部82が起動し、多次元相関処理を開始し(ステップ106)、基地局へ通信許可及びMIMO多重可能か通知する(ステップ107)。なお、第1実施例では例えばMIMO多重不可能が通知される。以上により、移動端末と基地局間でRT通信が可能になる。
図18はネットワークからRT通信要求が出された場合であるが、移動端末から出すこともできる。図19は移動端末からのRT通信オン通知処理フローである。
オンラインゲームなどで移動端末からRT通信要求が発行すると(ステップ201)、 RT通
信受信指令部50は該通知によりRT通信オンを出力してスイッチSW1〜SW3をオン、SW4をオフする(ステップ202)。これにより、メインアンテナ指定81及び多次元相関演算部82が起動し、多次元相関処理を開始し(ステップ203)、基地局側へ通信許可及びMIMO多重可能か通知する(ステップ204)。第1実施例では例えばMIMO多重不可能が通知される。また、移動端末は基地局にRT通信要求を送り、これにより、移動端末のRT通信送信指令部35はRT通信オンをスケジューラ19に入力し、スケジューラ19はRT通信オンに基づいたスケジューリング制御を開始する(ステップ205)。以上により、移動端末と基地局間でRT通信が可能になる。
図20はRT通信時における基地局と移動端末の動作フローである。
基地局から直交パイロットを移動端末に送信し(ステップ301)、移動端末は該直交パイロット信号を受信し(ステップ302)、該パイロットに基づいて伝搬路推定値を算出し(ステップ303)、伝搬路推定値を用いてCQI値、低相関領域を算出し(ステップ304)、これら情報を基地局にフィードバックする(ステップ305)。基地局のスケジューラ19は各移動端末からのフィードバック情報を収集し(ステップ306)、収集情報(CQI値、領域情報)及びRT通信送信指令部35から入力するRT通信レートに基づいてスケジューリング処理を行い、送信方法、すなわち、どのユーザのデータを、どのアンテナで、どの送信レートで送るか決定して領域割当/AMC設定部13に通知する(ステップ307)。
領域割当/AMC設定部13はスケジューラ19から指示されたとおりにユーザデータを指定速度で通信するようにデータチャネルを作成する(ステップ308)。また、送信データを移動端末で復調できるように、送信方法(領域割当、AMC情報等)を特定するスケジューラ管理チャネルを作成し(ステップ309)、これらデータチャネル、スケジューラ管理チャネルをパイロットチャネルと多重して送信する(ステップ310)。移動端末はスケジューラ管理チャネルの情報に基づいて復調処理を行うと共に、メインアンテナとダイバシチアンテナが受信したシンボルの合成処理を行う(ステップ311)。以後、RT通信が完了するまで上記制御が継続して行われる。
図21及び図22はRT通信時におけるスケジューラのダイバシチアンテナ(ダイバシチブランチ)決定処理フローである。
スケジューラ19はRT通信送信指令部35よりRT通信オン及びRT通信レートを受信している状態において(ステップ400)、移動端末からのフィードバック情報を取得する(ステップ401)。フィードバック情報においてメインアンテナが指定されていれば(ステップ402)、該メインアンテナの送信周波数及びスロットをメインアンテナの送信領域として確保する(ステップ403、404)。
ついで、他ユーザと送信領域が競合するか調べる(ステップ405)。図23はユーザの送信領域が他ユーザの送信領域と衝突する様子を示す説明図であり、着目しているユーザ1の送信領域がスロットSiのタイミングTiでユーザ2と競合し、スロットSjのタイミングTjでユーザ3の送信領域と競合している。競合時、フィードバックされたCQI値が高いユーザの送信を優先し、他のユーザは次のスロットのタイミングへシフトする。
したがって、ステップ405において、競合すればそれぞれのユーザのCQIを比較し(ステップ406)、他ユーザのCQIの方が大きければ該送信領域を他ユーザに譲り(ステップ407)、メインアンテナの送信周波数及び次のスロットを新たな送信領域として確保し(ステップ408,404)、ステップ405以降の処理を繰り返す。
ステップ405において、競合する他ユーザが存在せず、あるいはステップ406において着目している移動端末のCQIの方が大きければ、ステップ4040あるいはステップ408において確保した送信領域をメインアンテナの送信領域として設定完了する(ステップ409)。
ついで、メインアンテナのみでRT通信の要求レートを満足するか調べ(ステップ410)、満足すればダイバシチブランチは1本とする(ステップ411)。しかし、メインアンテナ
のみでRT通信の要求レートを満足できなければ、図24の処理フローにしたがってダイバシチブランチ数を計算し(ステップ412)、ダイバシチブランチ数としてi本を得る(ステップ413)。スケジューラ19はステップ411あるいは413に基づいてダイバシチブランチ数を決定して保存すると共に(ステップ414)、メインアンテナは要求されたレートで送信をするものと決定し(ステップ415)、始めに戻る。
一方、RT通信中であれば、準優先処理終了後にフィードバック情報で指定されているダイバシチブランチを選択すると共に、現在までに割り当てたダイバシチブランチ数jを確認する(ステップ424〜426)。ついで、j=iであるか、換言すればステップ414で決定された要求ダイバシチブランチ数を割当済みであるかチェックし(ステップ427)、割当済みであれば、ステップ425で選択したダイバシチブランチから送信しないものと決定する(ステップ428)。j<iであれば、ダイバシチアンテナについてフィードバックで情報により指定されている送信周波数、スロットを送信領域として指定する(ステップ429)。ついで、他のユーザと送信領域が競合するか調べる(ステップ430)。競合する場合には、他のユーザが同レベルの優先順位であるダイバシチブランチとしての要求かチェックし(ステップ431)、他のユーザがメインアンテナ指定、もしくはRT通信以外の通信でより優先順位が高い場合は、選択したダイバシチブランチから送信しないものと決定する(ステップ428)。しかし、他のユーザが同レベルの優先順位であるダイバシチブランチとしての要求ならば、それぞれのユーザのCQIを比較し(ステップ432)、他ユーザのCQIの方が大きければ該送信領域を他ユーザに譲り、選択したダイバシチブランチから送信しないものと決定する(ステップ428)。一方、着目している移動端末のCQIの方が大きければ、あるいはステップ430において競合するユーザが存在しなければ、ステップ425で選択したダイバシチブランチから送信するものと決定する(ステップ433)。
ステップ428あるいはステップ433の処理が終了すれば、全ダイバシチブランチについて上記処理が終了したかチェックし(ステップ434)、「YES」であればダイバシチアンテナ決定処理を終了し、「NO」であればステップ424に戻り以降の処理を繰り返す。
必要なダイバシチブランチ数の計算手法を図24のフローと表3のCQIテーブル(CQIと伝送レートの関係表)で具体例を挙げて説明する。
本発明では、RT通信で5Mbitを常に送り続けるためにメインアンテナは要求レートで送信し、エネルギーの不足分はダイバシチブランチを増やすことで解決を図ることとしている。ここでは5dBの利得が欲しいので、次式
以上第1実施例によれば、MISO構成の無線通信システムにおけるRT通信において、メインアンテナで足りない分をダイバシチブランチで補うようにしたから、RT通信レートを満足でき、かつ、再送制御をしなくても誤り率を低減することができる。また、他ユーザの送信タイミングを邪魔せず、他ユーザのMUDの低下を防止するようにスケジューリングができる。
図25はMIMO無線通信システムにおける受信局(移動端末)の構成図であり、図17の第1実施例と同一部分には同一符号を付している。異なる点は、
(1) アンテナATT11〜ATT1m、受信RF部511〜51m、タイミング同期部521〜52m、S/P変換部531〜53mで構成される受信系がm系統設けられている点、
(2)伝搬路推定部57において各送信アンテナから各受信アンテナまでの全伝搬路推定値を計算している点、
(3)RT通信時にRT通信要求レートを満足する複数のメインアンテナを指定し、該メイン
アンテナと他のアンテナ間の多次元相関を演算して、メインアンテナ毎に低相関領域データをフィードバックする点である。 すなわち、SINR計算部65は各アンテナから送信された信号の移動端末における受信品質を測定し、メインアンテナ決定部81はSINRに基づいて互いに低相関の複数のメインアンテナを決定し、多次元相関計算部82は各メインアンテナと他のアンテナ間の多次元相関を演算し、低相関領域選択部83はメインアンテナ毎に多次元相関が設定値より低い領域を選択し、フィードバックbit多重部68は前記メインアンテナ、メインアンテナごとの低相関領域、受信品質を特定するデータを送信側にフィードバックする。
なお、図26に示すように、送信アンテナをマルチアンテナATR11〜ATR1mとし、かつウエイトブロック91を設け、該ウエイトブロックでフィードバック信号に重み付けをし、送信RF部711〜71mを介して送信アンテナATR11〜ATR1mより送信するように構成することもできる。このようにすれば、適切なウェイトをつけることによりビームフォーミングすることができ、またMIMOと同様の多重送信を行うことができる。
図27及び図28はMIMO無線通信システムにおけるRT通信時におけるスケジューラのダイバシチアンテナ(ダイバシチブランチ)決定処理フローである。
スケジューラ19はRT通信送信指令部35よりRT通信オン及びRT通信レートを受信している状態において(ステップ500)、移動端末からのフィードバック情報を取得する(ステップ501)。フィードバック情報においてメインアンテナが指定されていれば(ステップ502)、各メインアンテナの送信周波数及びスロットをメインアンテナの送信領域として確保し(ステップ503)最もCQIが高いメインアンテナを選択し(ステップ504)、メインアンテナの送信領域を指定する(ステップ505)。
ついで、他ユーザと送信領域が競合するか調べる(ステップ506)。競合すれば他ユーザのCQIと比較し(ステップ507)、他ユーザのCQIの方が大きければ該送信領域を他ユーザに譲り(ステップ508)、メインアンテナの送信周波数及び次のスロットを新たな送信領域として確保し(ステップ509,505)、ステップ506以降の処理を繰り返す。
ステップ506において、競合する他ユーザが存在せず、あるいはステップ507において着目している移動端末のメインアンテナのCQIの方が大きければ、ステップ503あるいはステップ509において確保した送信領域をメインアンテナの送信領域として設定完了する(ステップ510)。
ついで、メインアンテナのみでRT通信の要求レートを満足するか調べ(ステップ511)、満足しなければ次にCQIの高いメインアンテナを選択し(ステップ512)、ステップ505以降の処理を繰り返す。
ステップ511においてメインアンテナで要求レートを満たすようになれば、ダイバシチブランチはメインアンテナ毎に1本とする(ステップ513)。ついで、メインアンテナの合計通信レートとRT通信レートとの差分だけメインアンテナの通信レートを下げるように調整する(ステップ514)。以上によりメインアンテナとメインアンテナ毎のダイバシチブランチ数(=1本)を決定して保存すると共に(ステップ515)、決定したメインアンテナで要求レートのRT通信を行うものとする(ステップ516)、始めに戻る。
一方、RT通信中であれば、図22のステップ424以降の処理と同様の処理が行われ、メインアンテナ毎に1本のダイバシチブランチが決定される。
以上第2実施例によれば、MIMO構成の無線通信システムにおいて、メインアンテナ指定でRT通信レートを満足するMIMO通信を行うので、優先的にRT通信の領域が確保できる。こ
の点で第1実施例のダイバシチブランチ通信に比較して安定した動作が期待される。
なお、以上の第2実施例では複数のメインアンテナでRT通信要求レートを満足する場合にも各メインアンテナに1本のダイバシチアンテナを割り当てた場合であるが必ずしも割り当てる必要はない。
Claims (17)
- マルチアンテナを用いて複数の移動端末に向けて信号を送信する無線通信システムにおける移動端末において、
各アンテナから送信された信号の移動端末における受信品質を測定する受信品質測定部、
リアルタイム通信時に該受信品質に基づいてメインアンテナを決定するメインアンテナ決定部、
該メインアンテナと他のアンテナ間の多次元相関を演算する多次元相関計算部、
多次元相関が設定値より低い領域を選択する低相関領域選択部、
前記低相関領域を構成するアンテナをダイバシチアンテナとし、該ダイバシチアンテナとメインアンテナとで信号を移動端末にダイバシチ送信できるように、前記メインアンテナ、低相関領域、受信品質を特定するデータを送信側にフィードバックするフィードバック部、
を備えたことを特徴とする移動端末。 - マルチアンテナを用いて移動端末に向けてMIMO送信する無線通信システムにおける移動端末において、
各アンテナから送信された信号の移動端末における受信品質を測定する受信品質測定部、
受信品質に基づいて互いに低相関の複数のメインアンテナを決定するメインアンテナ決定部、
各メインアンテナと他のアンテナ間の多次元相関を演算する多次元相関計算部、
メインアンテナ毎に多次元相関が設定値より低い領域を選択する低相関領域選択部、
前記各メインアンテナ、前記メインアンテナ毎の低相関領域、前記受信品質を特定するデータを送信側にフィードバックするフィードバック部、
を備えたことを特徴とする移動端末。 - リアルタイム通信時に各アンテナから受信するパイロット信号に基づいて各アンテナから移動端末までの伝搬路を推定する伝搬路推定部、
を備え、前記受信品質測定部は該伝搬路推定値を用いて受信品質を測定し、
前記多次元相関計算部は、前記伝搬路推定値を用いて前記多次元相関を演算することを特徴とする請求項1または2記載の移動端末。 - 多次元相関計算部は空間相関、時間相関、周波数相関、あるいはこれらの組み合わせのいずれかよりなる多次元相関を演算する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の移動端末。 - メインアンテナから送信されたシンボルとダイバシチアンテナから送信されたシンボルを復調してシンボル合成する合成部、
シンボル合成した合成結果に誤り検出訂正復号処理を施す手段を、
備えたことを特徴とする請求項1または2記載の移動端末。 - リアルタイム通信状態であるか否かを監視する監視部、
を備え、前記フィードバック部は、リアルタイム監視状態において前記メインアンテナ、低相関領域、受信品質を特定するデータを送信側に送り、リアルタイム通信状態でなけ
れば受信品質を送信側に送信する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の移動端末。 - マルチアンテナを用いて複数の移動端末に向けて信号を送信する無線通信装置において、
メインアンテナと他のアンテナ間の多次元相関が設定値より低い領域を特定するデータを移動端末より受信する受信部、
メインアンテナの通信レートがリアルタイム通信時における通信要求レートより低い場合、前記低相関領域を構成するアンテナをダイバシチアンテナとするスケジューラ、
前記メインアンテナとダイバシチアンテナを用いて移動端末へ同一データをダイバシチ送信するダイバシチ送信部、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。 - マルチアンテナを用いて複数の移動端末に向けて信号を送信するMIMO無線通信装置において、
複数のメインアンテナと、各メインアンテナと他のアンテナ間の多次元相関が設定値より低い領域を特定するデータを移動端末より受信する受信部、
前記メインアンテナの合計通信レートがリアルタイム通信時における通信要求レートより大きくなるようにメインアンテナを選択するスケジューラ、
前記メインアンテナで同一データを送信する送信部、
を備えたことを特徴とする無線通信装置。 - 前記スケジューラは、メインアンテナに応じた前記低相関領域を構成するアンテナをダイバシチアンテナとして決定し、前記送信装置はメインアンテナとダイバシチアンテナで同一データを送信する、
ことを特徴とする請求項8記載の無線通信装置。 - スケジューラは、メインアンテナの送信領域が他移動端末のアンテナの送信領域と競合する場合には、受信品質が良好な移動端末に優先して該送信領域を割り当て、メインアンテナの送信領域を変更する、
ことを特徴とする請求項7または8または9記載の無線通信装置。 - スケジューラは、ダイバシチアンテナの送信領域が他移動端末のアンテナの送信領域と競合する場合には、受信品質が良好な移動端末に優先して該送信領域を割り当てる、
ことを特徴とする請求項7または8または9記載の無線通信装置。 - 前記スケジューラは、前記メインアンテナの通信レートとリアルタイム通信時における通信要求レートの差分に応じた本数のダイバシチアンテナを用いてダイバシチ送信するよう制御する、
ことを特徴とする請求項7記載の無線通信装置。 - リアルタイム通信状態であるか否かを監視する監視部、
を備え、スケジューラはリアルタイム通信状態でなければ移動端末の受信品質に基づいてスケジューリングを行い、リアルタイム通信の場合には前記ダイバシチアンテナの決定制御を行う、
ことを特徴とする請求項7記載の無線通信装置。 - マルチアンテナを用いて複数の移動端末に向けて信号を送信する無線通信システムにおける無線通信方法において、
各アンテナから送信された信号の移動端末における受信品質を測定し、
リアルタイム通信時に該受信品質に基づいてメインアンテナを決定し、
該メインアンテナと他のアンテナ間の多次元相関を演算し、
多次元相関が設定値より低い領域を選択し、
前記メインアンテナ、低相関領域、受信品質を特定するデータを送信側にフィードバックし、
送信側より、前記低相関領域を構成するアンテナをダイバシチアンテナとし、該ダイバシチアンテナと前記メインアンテナとで信号を移動端末にダイバシチ送信する、
ことを特徴とする無線通信方法。 - メインアンテナの通信レートがリアルタイム通信時における通信要求レートより低い場合、前記低相関領域を構成するアンテナをダイバシチアンテナと決定し、前記メインアンテナとダイバシチアンテナを用いて移動端末へ同一データをダイバシチ送信する、
ことを特徴とする請求項14記載の無線通信方法。 - マルチアンテナを用いて移動端末に向けてMIMO送信する無線通信システムにおける無線通信方法において、
各アンテナから送信された信号の移動端末における受信品質を測定し、
受信品質に基づいて互いに低相関の複数のメインアンテナを決定し、
該メインアンテナと他のアンテナ間の多次元相関を演算し、
メインアンテナ毎に多次元相関が設定値より低い領域を選択し、
前記各メインアンテナ、メインアンテナ毎の低相関領域、受信品質を特定するデータを送信側にフィードバックし、
送信側において、少なくとも前記複数のメインアンテナで同一信号を移動端末に送信する、
ことを特徴とする無線通信方法。 - 前記メインアンテナの合計通信レートがリアルタイム通信時における通信要求レートより大きくなるようにメインアンテナを選択し、
該メインアンテナに応じた前記低相関領域を構成するアンテナをダイバシチアンテナとして決定し、
前記メインアンテナ及び前記ダイバシチアンテナで同一データを送信する、
ことを特徴とする請求項16記載の無線通信方法。
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