本発明はペン型の携帯用ルーペにボールペン等の筆記具を結合してなる筆記具付きルーペに関するものである。
仕事や買い物など外出先で細かい文字等を視力によって識別する場合には、中・高齢者の大部分の人たちは老眼鏡又は拡大鏡(以下「ルーペ」という)を使用する必要に迫られることが多い。しかしながら通常用いられている老眼鏡やルーペは、形状や大きさの面から携帯に不便であることから結局裸眼で識別しなければならないことが多い。これに対しては図11に示すような万年筆に似たいわゆるペン型ルーペが市販されている。このペン型ルーペ71は軸部にルーペ73を内蔵しており、軸部の一端部にはキャップクリップ75が取り付けてある。外出時には万年筆等の筆記具と同様にキャップクリップ75を用いて胸ポケット等に差し込んで携帯すればよい。このペン型ルーペを使用する際にはキャップクリップ75と外ケース77とを相対回転させることにより窓部79を開閉操作してルーペを使用可能状態にして両目で目標物を正確に識別可能となっている。一方万年筆を初めとする各種の筆記具は、胸ポケット等に差し込んで携帯に便利なものとしたものが古くから広く採用されていることは周知の通りである。最近では特にボールペンやシャープペンシルの普及は著しくこれに各種の機能を付加したものが多数提案されている。例えばボールペンの軸部の約半分を物入れとしての機能を有するようにしたもの(特許文献1)や、ボールペンのキャップにカッターを設け、さらにそのカッターを第2のキャップで覆うようにしたもの(特許文献2)等多数が提案されている。
実開平05−01886号公報
実開平05−041884号公報
上記のペン型ルーペは、普通の万年筆等の筆記具と同様に胸ポケット等に差し込んで携帯することを予定しているものである。しかしながら、筆記具を必要とする場合が多いことからルーペと筆記具を同時に胸ポケットに差し込んで携帯する必要が生じることもある。胸ポケットに同時に2本のペン等を指すことに対しては外見上気にする人もいる上に胸ポケットの負担を重くしているという難点もある。このような問題に対してはペン型ルーペと筆記具とを1本にまとめてしまえば問題は解決するのであるが、全体の長さが長くなってしまうことから胸ポケットに差し込むのに適さない欠点がある。また、ルーペとペンとを一体化した場合に、構成上大きな比率を占めるルーペの部分を使ってペン芯の進退動作を行わせようとしても、円滑に動作しない問題があるため、このような機構を採用したルーペとペンとの結合体としたものは実現していなかった。また、上記の各特許文献はいずれも筆記具と物入れやカッター等を一体にまとめたものでそれなりに便利なものであるが、両者を結合することによる利点が明確になっていない嫌いがある。このような構成ヲ採用すると、どうしても全長が大きくなってしまい、胸ポケットなどに差し込んで携帯することには不適当になってしまうことは否めない。
上記の課題を解決するために本発明に係る筆記具付き携帯ルーペは、以下の手段を採用することにより以下の作用を生じるようにした。請求項1に記載した発明の筆記具付き携帯ルーペは、筒状体にルーペを内蔵しているルーペ部と、このルーペ部の一端部にルーペ部を延長するように連結してあるペン部とからなる。この発明は上記のルーペ部と上記のペン部とは着脱自在にしてあるとともに、両者の相対回転によりペン部内に収納してあるペン芯を進退可能としてあるところに特徴がある。すなわち本発明はルーペとボールペン等の筆記具とを一体化し、ルーペ部とペン部との相対回転によりペン芯を進退可能としたものである。上記のように、このルーペはペン芯を進退可能な構成としてあるのにも拘わらず、その割り合いには全長を通常の携帯用の筆記具と変わらないものとなっている。この筆記具付き携帯ルーペは、外出先などで細かい文字等を読みとる際にはルーペ部を用いて容易に読み取り可能となるとともに、筆記部によりメモなどの筆記行為が可能となる。また、これをルーペとして使用する際には、ペン部を掴んで対象物を見るようにすると、目標物を見やすくなる利点もある。この筆記具付き携帯ルーペは携帯に便利であり、いつでもどこででも読み書きの2役を演じる便利なものとなる。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明を実現するための具体的手段を採用したものである。すなわち、上記のルーペ部の外周には接眼側からルーペを介して対物側に位置する物体を透視可能な窓部が設けてあり、本体軸の他端部にはペン部との連結を可能にする連結筒部が設けてあり、ルーペ部をなす本体軸の一端部に胸ポケット等へ保持可能とするキャップクリップが取り付けてある。また、ペン部には上記のペン芯を保持可能かつ進退可能とする芯ホルダを内蔵している。上記のペン部は上記の芯ホルダを介して連結筒部に着脱自在に連結してあり、この芯ホルダに具備する進退機構はルーペ部とペン部との相対回転によってペン芯を連動可能としてある。この発明は上記のように、ルーペ部とペン部との相対回転によりペン芯を進退可能とする構成を採用してあるところに特徴がある。
請求項3に記載した発明は、ペン芯進退機構(M)について具体化したものである。ペン芯進退機構はペン部の要素であるペン芯を進退させるための駆動伝達機構をなすものである。このペン芯進退機構は、芯ホルダをなす固定部材がペン部をなす先筒に固定され、これも芯ホルダをなす可動部材の外周部が連結筒部の内周部と係合することにより、ルーペ部とペン部との相対回転を可能としてある。このような構成の採用によりルーペ部とペン部との相対回転によりペン芯進退機構が駆動され、これによってペン芯を連動可能としてある。このように、ペン芯進退機構の採用により、ルーペ部とペン部とを連結してなる複合体でありながら、ルーペ部の操作によってペン先を出没可能とし、かつ全長を短縮可能とすることにより携帯に支障のないものとすることが可能となる。
本発明によれば、ルーペ部とペン部とが互いに補完し合う状態で連結してあるので、1本で細かい文字等の読み取りと筆記の二役を果たすとともに、携帯に便利な筆記具付き携帯ルーペを提供可能となる。また、ルーペ部とペン部との連結によりペン芯の進退機構を駆動可能としてあるので、ルーペ部とペン部とを相対回転させることによるペン心の進退操作が可能となる。
次に本発明の最良の形態例について図面を参照して説明する。図1は本発明に係る筆記具付きルーペの全体の構成を示す正面図であり、図2〜図10は筆記具付きルーペの各構成要素を示したものである。本発明に係る筆記具付きルーペは図1に示すように、後述のルーペ5を内蔵しているルーペ部1と後述のペン芯11を備えたペン部3とを着脱自在に結合した複合体からなる。ペン部3はルーペ部1の一端部に連結されているが、これには先筒13、先端コーン15及びペン芯11(11b)を含んでいる。ルーペ部1の他端部には、胸ポケット等への差し込み保持を可能にするためのキャップクリップ7が取り付けてある。ルーペ部1は図2に示す後述の本体軸17が要部をなし、これには上記したように、ルーペ5を内蔵している。本体軸17の外周部にはこれを覆うようにカバー筒9が設けてあり、本体軸17とカバー筒9とは相対回転可能となっている。この両者の相対回転により窓部10,10を開閉可能としてある。
図2は上記の本体軸17を示している。本体軸17は、ルーペ部1の中枢をなすものであり、ルーペ5を収納する範囲となる大径筒部17aと、この大径筒部の先端部(図2左端部)に延伸するように設けてある連結筒部17bとからなる。大径筒部17aの胴部の対向位置には2か所に、人間の両目で覗くのに適する大きさと形状に形成してなる内窓部17c,17cが設けてある。これにより上記のカバー筒9が存在しない状態においては、ルーペ5を介して一方の側(接眼側)から他方の側(対物側)に位置する物体や文字等を透視可能としてある。本体軸17の上端部(図2右端部)近傍には、キャップクリップ取付穴17dが大径筒部17aの対向位置の2か所にそれぞれ設けてある。キャップクリップ7は、図示していない2本の脚部(係合片)が上記のキャップクリップ取付穴17d、17dに係合して、図1に示す状態に本体軸17に離脱不能に取り付け可能としてある。また、図1(b)に示すように、大径筒部17aの内周部の対向位置にはルーペ装着用のガイド溝17e,17eが設けてある。上記の連結筒部17bは大径筒部17aよりも小径の筒状体からなり、長さは直径のほぼ2倍となっており、端部は後述の芯ホルダ19と係合可能とするために開口している。連結筒部17bの大径筒部寄りの所定長範囲にはおねじ部17fが刻設してある。このおねじ部17fは、同図(c)に示すように、大径筒部17aにカバー筒9を挿着した状態において後述のサポート部材19を連結筒部17bに挿着し、ねじ対遇を利用してカバー筒9を支持することにより、連結筒部17bからカバー筒9の脱落防止を図るようにしたものである。
図3は上記のカバー筒9を示したものである。カバー筒9はアルミニユーム薄管からなる胴部9aの一端部(図3右端部)を開口とし、他端部を絞って先端部を欠落させた円錐状に形成したものからなる。カバー筒4の胴部の対向位置には、それぞれ上記の内窓部17c、17cと対応する外窓部9c,9cが設けてある。カバー筒9はアルマイト処理等により黄色や青色などの選択された着色を施すことにより、色彩上の変化を持たせるようにしてある。なお、カバー筒9の材質はアルミニュームに限定する趣旨ではなく、例えばABS樹脂など各種のプラスチック成形品であってもよい。
図4は成形した透明アクリル材からなるルーペ5を示している。図示してあるように、ルーペ5は長さ方向の中央部5aを薄くし、各端部に近づくほど厚みを増すことにより凸レンズの働きをするようにしてある。ルーペ5の両側部には全長にわたって本体軸17へ装着するためのガイドレール5b,5bが形成してある。ルーペ5の一端部はキャップクリップ7の胴部を本体軸17内に挿着可能にする余裕を与えるための小幅部となっており、他端部には装着時における位置決めとなる安定部5dが形成してある。
図5はペン芯11を示している。ペン芯11は図示してあるように、公知のボールペンと同様に金属製のインク貯留部11aの先端部(図面左端部)に先端チップ11bが設けてある。ペン芯11の基端部側はつまみ部11cの中心軸に設けられた孔部に圧入してある。つまみ部11cのインク貯留部11a側には段差が設けてあり、この段差により直径が小さくなっている部分におねじ部11dが設けてある。このおねじ部11dは後述の芯ホルダ19のめねじ部19eにねじ込み可能としてある。同図(b)に示すように、つまみ部11cの外端部には、ねじ回し用の十字孔11eが設けてあり、上記の芯ホルダ19への着脱の際におけるねじ込み操作を可能としてある。
図6は芯ホルダ19を示している。芯ホルダ19はペン部3内において、後述のペン芯進退機構を介して上記のペン芯11を保持しかつ進退可能とする働きをする。図6に示すように、芯ホルダ19の外観は円柱状に見える形状となっているが、円柱体の約80%は金属薄管の円筒部材19aで覆われており、残りの約20%の部分は樹脂材製の固定部材19bが露出した部分となっている。固定部材19bの露出した部分は円筒部材19aよりもわずかに大きな直径にしてある。固定部材19bは円筒部材19aで囲まれている範囲は、外周部が円筒部材の内周部に密着しており、図示していないストッパ手段によって相互に進退不能となっているが、互いに相対回転可能となっている。固定部材19bの外端部から所定長の範囲は、比較的厚肉となっており、中心の空洞部はペン芯のインク貯留部11aを保持可能な内径の挿通孔となっている。そして全長の約半分の範囲は、肉厚が上記の厚肉となっている範囲の約半分となっており、後述の可動部材19dを内周部に嵌合して両者を相対移動可能としてある。
上記の可動部材19dは円筒部材19aの他端部(図6右端部)から円筒部材の約半径に相当する長さだけ奥に入りこんだ位置に一端部が位置し、そこからさらに奥に向かって延び、固定部材19bの内周面に嵌合している。可動部材19dも固定部材19bと同じく円筒状になっており、円筒部材19aの内周部に摺動可能に挿着してある。可動部材19dの外端部から内部に向かう所定長の範囲には、めねじ部19eが刻設してある。このめねじ部19eは、上記のペン芯11のおねじ部11dをねじ込み可能とするもので、これによりペン芯11を支持可能としてある。固定部材19bと可動部材19dとは互いに摺動可能であるとともに、可動部材19dは円筒部材19aに対しても摺動可能となっている上に、めねじ部及び後述の突起19gは筆圧を支える構成となっている。このような負担に耐え得るための構成材としては、例えばフッ素樹脂材などの摩擦係数が小さくかつ強度の大きい材質を選択することが望まれる。円筒部材19aの外周部には一端部から所定長の範囲に長溝状の凹部19i,…が形成してある。各凹部19iは内側の可動部材19dの外周部にもその範囲で凹凸の変形状態を及ぼし、円筒部材19aと可動部材19dとは互いに進退可能である反面において相対回転不能としてある。
図7は芯ホルダ19を展開してペン芯進退機構Mの構成を分かりやすく示したものである。ペン芯進退機構Mは上述の通り、連結筒部17bにより芯ホルダ19の円筒部材19aを回転させることによりペン心を進退させるための機構である。このペン芯進退機構Mは、上述の固定部材19bの薄肉になっている範囲に形成してあるらせん溝19fと、可動部材19dの外周部に設けてある突起19gと、円筒部材19aと固定部材19b及び可動部材19dを含んだものからなる。らせん溝19fと突起19gとはカムとカムフォロワーとの関係にあるカム機構を構成している。固定部材19bを固定した状態で円筒部材19aを回転させると、可動部材19dもこれと一体となって回転する。この時、突起19gはカム機構によりらせん溝19fに沿った往復運動をするため、これと一体の可動部材19dも上記のカム機構により往復運動をする。しかし、円筒部材19aは、固定部材19bに対して図示していないストッパ手段によって往復移動不能としてあるので、可動部材19dは円筒部材19aに対しても相対往復運動をすることになる。らせん溝19fの両端部には、ペン芯11を安定状態に保持可能とするための凹部19h、19hが設けてある。また、可動部材19dの往復移動の範囲は相対移動範囲に設けてある空間19c,19cによって保障されている。図7(a)における長方形の横幅は芯ホルダ19の内周の長さを示しており、らせん溝19fは横幅のほぼ4分の3にわたってらせん状に設けてあることから、ペン芯は先端チップ11b(図5参照)がペン部の先端から突出して筆記可能状態にあるときに、円筒部材19aを左回転させると、突起19gが図7の上方に位置する凹部19hに係合し、先端チップ11bが完全に先端コーン15内に没した状態で停止する。また、この状態から逆方向に4分の3回転させると、突起19が下方に位置する凹部19hに係合することによって停止して再び筆記可能状態となる。
図8はペン部3の要部をなす先筒13を示している。図示してあるように、先筒13はテーパ状のホルダ収納部13aの先端部に後述の先端コーン15の取付部13bが延設してある。この取付部13bの中心部にはペン芯11の挿通孔13cが設けてある。挿通孔13cの奥に形成してある逆円錐部のさらにその奥には、内周面をストレートに形成してなる圧入部13dが設けてある。圧入部13dは芯ホルダ19の固定部材19bを圧入して保持することにより、芯ホルダ19を本体軸17によって操作可能としてある。すなわち、上述した本体軸17の連結筒部17bの内周部が芯ホルダ19の円筒部材19aに嵌合し、摩擦力によって両者が一体になって回転可能となる。この状態において、本体軸17に対して先筒13を相対回転させると、ペン芯進退機構Mによりペン芯11が進退可能となっている。
図9はペン部3の先端部をなす先端コーン15を示している。先端コーン15は金属を頂部切欠の円錐形に加工し、表面にクロームメッキ等を施したものからなる。図示してあるように、先端コーン15をなす円錐体15aの内部には、先筒13の取付部13bを圧入するための平行孔部15bが形成してある。平行孔部15bから先の部分は円錐体15aの径の変化に対応して段階的に細くしてあり、最先端部及びその近傍はペン芯11が振れ無しに出没可能とするのに適した径の先端孔部15cとしてある。
図10は上述のサポート部材21を示している。サポート部材21は薄肉円筒体からなり、外周部21aは先端部(図面左端部)を僅かに細くするテーパにしてある。内周部には基端部から長さの約半分の位置までめねじ21bが刻設してある。このめねじ21bは図2に示すように、本体軸17の連結筒部17bに刻設してあるおねじ部17fと螺合可能なものである。このサポート部材21は図2(c)に示すように、連結筒部17bに嵌入することによりカバー筒9を本体軸17から脱落不能とする役割を果たす。
次に組立要領について説明する。まずルーペ部1は、第1工程として本体軸17のガイド溝17e,17eに沿ってルーペ5を挿着する(図2参照)。次に第2工程として本体軸17の開口端部にキャップクリップ7を被せ、1対の係合片を取付孔17d,17dに係合させることにより連結筒部17bから脱落不能とする。次に第3工程としてカバー筒9を本体軸17に挿着し、サポート部材21で押さえ付けて脱落不能とする。次にルーペ部1の組立作業と平行してペン部3の組立作業を行う。ペン部3はまず、第4工程として先筒13の先端部に先端コーン15を圧入する(図9参照)。この工程と前後する第5工程として芯ホルダ19の固定部材19bを先筒13の圧入部13dに圧入する(図8参照)。次に第6工程としてペン芯11を芯ホルダ19の端部から挿入してねじ部(11d,19e)を用いて固定する。最後に第7工程としてペン部3をルーペ部1に連結することにより図1に示す筆記具付き携帯ルーペができあがる。この時、本体軸17の連結筒部17bと芯ホルダ19の円筒部材19aとが係合しているため、ペン芯進退機構Mが作動可能状態となる。なお、ペン芯11は複数のスペアを用意しておき、インクがなくなったときには容易に交換可能となっているので損耗の少ないルーペ部を半永久的に使用することが可能となる。
次に使用方法について説明する。このペン付きルーペはかばん等に入れて持ち歩いてもよいが、通常は胸ポケット等に差し込んで携帯することが向いている。ルーペの不使用時にはカバー筒9で窓部10を覆い、ルーペを保護するように心懸ける。ルーペの使用時にはカバー筒9とキャップクリップ7とを90度だけ相対回転させることにより窓部10を開け、両窓部から両目を使って対象物を透視すればよい。ペンを使用して筆記する場合には、片方の手で先筒13を押さえ、他方の手でルーペ部1をキャップクリップ7ごとつまむように握って停止するまで回転させると、ペン芯11の先端チップ11bが先端コーン15の先端部から出没して所定位置で停止する。ペンの不使用時にはインクの付着を防止するために、先端チップは先端コーン15内に退避させておく。
以上の説明においては、ルーペ部の窓部は2つとしてあるが、これらの窓部を合併して1つにしてもよく、ルーペも強さを弱・中・強など幾通りかのものを選択可能としてもよい。また、カバー筒は上記のものに限定されるものではなく、一端部をヒンジ固定により開脚自在とし、あるいは本体軸とカバー筒とを長さ方向に相対移動可能とするスライド式にしてもよい。
本発明は物の発明であり、これを製造し、販売することは産業上利用することであるので、産業上の利用可能性を十分に有する。
一形態例の全体の構成を示す正面図である。
本体軸を示しており、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
カバー筒の正面の一部切欠断面図である。
ルーペを示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
ペン芯を拡大して示しており、(a)は正面図、(b)は側面図である。
芯ホルダの構成を拡大して示しており、(a)は正面の半断面図、(b)は側面図である。
芯ホルダ(ペン芯進退機構)を拡大して示しており、(a)は展開図、(b)は同図(a)のA−A線断面図である。
先筒を拡大して示しており、(a)は正面の断面図、(b)は側面図である。
先端コーンの正面の拡大断面図である。
サポート部材を拡大して示しており、(a)は正面の断面図、(b)は側面図である。
従来技術のペン型ルーペを示す正面図である。
符号の説明
1 ルーペ部
3 ペン部
5 ルーペ
7 キャップクリップ
9 カバー筒
10(9c、17c) 窓部
11 ペン芯
13 先筒
15 先端コーン
17 本体軸
17b 連結筒部
19 芯ホルダ
19a 円筒部材
19b 固定部材
19d 可動部材
19f らせん溝
19g 突起
19h 凹部
21 サポート部材
M ペン芯進退機構
本発明はペン型の携帯用ルーペにボールペン等の筆記具を結合してなる筆記具付きルーペに関するものである。
仕事や買い物など外出先で細かい文字等を視力によって識別する場合には、中・高齢者の大部分の人たちは老眼鏡又は拡大鏡(以下「ルーペ」という)を使用する必要に迫られることが多い。しかしながら通常用いられている老眼鏡やルーペは、形状や大きさの面から携帯に不便であることから結局裸眼で識別しなければならないことが多い。これに対しては図11に示すような万年筆に似たいわゆるペン型ルーペが市販されている。このペン型ルーペ71は軸部にルーペ73を内蔵しており、軸部の一端部にはキャップクリップ75が取り付けてある。外出時には万年筆等の筆記具と同様にキャップクリップ75を用いて胸ポケット等に差し込んで携帯すればよい。このペン型ルーペを使用する際にはキャップクリップ75と外ケース77とを相対回転させることにより窓部79を開閉操作してルーペを使用可能状態にして両目で目標物を正確に識別可能となっている。一方万年筆を初めとする各種の筆記具は、胸ポケット等に差し込んで携帯に便利なものとしたものが古くから広く採用されていることは周知の通りである。最近では特にボールペンやシャープペンシルの普及は著しくこれに各種の機能を付加したものが多数提案されている。例えばボールペンの軸部の約半分を物入れとしての機能を有するようにしたもの(特許文献1)や、ボールペンのキャップにカッターを設け、さらにそのカッターを第2のキャップで覆うようにしたもの(特許文献2)等多数が提案されている。
実開平05−01886号公報
実開平05−041884号公報
上記のペン型ルーペは、普通の万年筆等の筆記具と同様に胸ポケット等に差し込んで携帯することを予定しているものである。しかしながら、筆記具を必要とする場合が多いことからルーペと筆記具を同時に胸ポケットに差し込んで携帯する必要が生じることもある。胸ポケットに同時に2本のペン等を差すことに対しては、外見上気にする人もいる上に胸ポケットの負担を重くしているという難点もある。このような問題に対してはペン型ルーペと筆記具とを1本にまとめてしまえば問題は解決するのであるが、全体の長さが長くなってしまうことから胸ポケットに差し込むのに適さない欠点がある。また、ルーペとペンとを一体化した場合に、構成上大きな比率を占めるルーペの部分を使ってペン芯の進退動作を行わせようとしても、円滑に動作しない問題があるため、このような機構を採用したルーペとペンとの結合体としたものは実現していなかった。また、上記の各特許文献はいずれも筆記具と物入れやカッター等を一体にまとめたものでそれなりに便利なものであるが、両者を結合することによる利点が明確になっていない嫌いがある。このような構成を採用すると、どうしても全長が大きくなってしまい、胸ポケットなどに差し込んで携帯することには不適当になってしまうことは否めない。
上記の課題を解決するために本発明に係る筆記具付き携帯ルーペは、長手方向に沿ってルーペを設けてある本体軸の内窓部を開閉自在とするカバー筒を設け、このカバー筒の一端部にキャップクリップを設けてあるルーペ部と、上記本体軸の他端部に連結してあるとともに、ペン芯を進退可能に設けてあるペン部とを備えた筆記具付き携帯ルーペにおいて、以下の手段を採用することにより以下の作用効果を生じるようにした。上記のペン芯の進退動作は、ペン芯を着脱可能に挿着してある芯ホルダに内蔵しているペン芯進退機構によって行われるようにしてある。このペン芯進退機構は、上記のペン部をなす先筒の内部に圧入してある芯ホルダに内蔵されており、芯ホルダは円柱体の外周部を覆うように形成してなる円筒部材と、この円筒部材の内周部に位置し、一部が該円筒部材の他端部から露出するように形成してなる固定部材と、この固定部材の一端部側と円筒部材の一端部側にまたがる範囲に摺動可能に嵌合してある円筒状の可動部材とを含むものからなる。上記の固定部材には長手方向に沿ったらせん溝が設けてあり、上記の可動部材には上記らせん溝に係合する突起が設けてあることにより、固定部材と円筒部材とを相対回転させることにより、ペン芯を挿着してある可動部材の進退運動を可能としてある。
上記構成において、ペン部を保持した状態で、ルーペ部を回転させると、ペン芯進退機構を内蔵する芯ホルダの固定部材がペン部の先筒の内部で固定された状態で、芯ホルダの円筒部材を回転させるため、円筒部材と固定部材が相対回転し、ペン芯を保持した可動部材がカム機構により進退動作する。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明を筆記具付き携帯ルーペとしてさらに具体化したものである。すなわち、上記の芯ホルダをなす固定部材を上記のペン部をなす先筒の先端部近傍の内部に形成してある圧入部に圧入し、上記の円筒部材に上記の本体軸(17)の他端部側に位置する連結筒部を圧入することにより、本体軸と円筒部材とが一体回転可能としてあるところに特徴がある。この発明は、ルーペ部とペン部との連結構造を具体的にしたものであり、ペン部を保持した状態でルーペ部を回すとペン芯が進退動作する機構を採用したものである。
本発明によれば、ルーペ部とペン部とが互いに補完し合う状態で連結してあるので、これ1本で細かい文字等の読み取りと筆記の二役を果たすとともに、携帯に便利な筆記具付き携帯ルーペを提供可能となる。また、ルーペ部とペン部との連結によりペン芯進退機構を駆動可能としてあるので、ルーペ部とペン部とを相対回転させることによるペン芯の進退操作が可能となる。
次に本発明の最良の形態例について図面を参照して説明する。図1は本発明に係る筆記具付きルーペの全体の構成を示す正面図であり、図2〜図10は筆記具付きルーペの各構成要素を示したものである。本発明に係る筆記具付きルーペは、図1に示すように、後述のルーペ5を内蔵しているルーペ部1と後述のペン芯11を備えたペン部3とを着脱自在に結合した複合体からなる。ペン部3はルーペ部1の一端部に連結されているが、これには先筒13、先端コーン15及びペン芯11(11b)を含んでいる。ルーペ部1の他端部には、胸ポケット等への差し込み保持を可能にするためのキャップクリップ7が取り付けてある。ルーペ部1は図2に示す後述の本体軸17が要部をなし、これには上記したように、ルーペ5を内蔵している。本体軸17の外周部にはこれを覆うようにカバー筒9が設けてあり、本体軸17とカバー筒9とは相対回転可能となっている。この両者の相対回転により窓部10,10を開閉可能としてある。
図2は上記の本体軸17を示している。本体軸17は、ルーペ部1の中枢をなすものであり、ルーペ5を収納する範囲となる大径筒部17aと、この大径筒部の先端部(図2左端部)に延伸するように設けてある連結筒部17bとからなる。大径筒部17aの胴部の対向位置には2か所に、人間の両目で覗くのに適する大きさと形状に形成してなる内窓部17c,17cが設けてある。これにより上記のカバー筒9が存在しない状態においては、ルーペ5を介して一方の側(接眼側)から他方の側(対物側)に位置する物体や文字等を透視可能としてある。本体軸17の上端部(図2右端部)近傍には、キャップクリップ取付穴17dが大径筒部17aの対向位置の2か所にそれぞれ設けてある。キャップクリップ7は、図示していない2本の脚部(係合片)が上記のキャップクリップ取付け穴17d、17dに係合して、図1に示す状態に、本体軸17に離脱不能に取り付け可能としてある。また、図2(b)に示すように、大径筒部17aの内周部の対向位置にはルーペ装着用のガイド溝17e,17eが設けてある。上記の連結筒部17bは大径筒部17aよりも小径の筒状体からなり、長さは直径のほぼ2倍となっており、端部は後述の芯ホルダ19と係合可能とするために開口している。連結筒部17bの大径筒部寄りの所定長範囲にはおねじ部17fが刻設してある。このおねじ部17fは、同図(c)に示すように、大径筒部17aにカバー筒9を挿着した状態において後述のサポート部材21を連結筒部17bに挿着し、ねじ対遇を利用してカバー筒9を支持することにより、連結筒部17bからカバー筒9の脱落防止を図るようにしたものである。
図3は上記のカバー筒9を示したものである。カバー筒9はアルミニユーム薄管からなる胴部9aの一端部(図3(a)右端部)を開口とし、他端部を絞って先端部を欠落させた円錐状に形成したものからなる。カバー筒9の胴部の対向位置には、それぞれ上記の内窓部17c、17cと対応する外窓部9c,9cが設けてある。カバー筒9はアルマイト処理等により黄色や青色などの選択された着色を施すことにより、色彩上の変化を持たせるようにしてある。なお、カバー筒9の材質はアルミニュームに限定する趣旨ではなく、例えばABS樹脂など各種のプラスチック成形品であってもよい。
図4は成形した透明アクリル材からなるルーペ5を示している。図示してあるように、ルーペ5は長さ方向の中央部5aを薄くし、各端部に近づくほど厚みを増すことにより凸レンズの働きをするようにしてある。ルーペ5の両側部には全長にわたって本体軸17へ装着するためのガイドレール5b,5bが形成してある。ルーペ5の一端部はキャップクリップ7の胴部を本体軸17内に挿着可能にする余裕を与えるための小幅部となっており、他端部には装着時における位置決めとなる安定部5dが形成してある。
図5はペン芯11を示している。ペン芯11は図示してあるように、公知のボールペンと同様に金属製のインク貯留部11aの先端部(図面左端部)に先端チップ11bが設けてある。ペン芯11の基端部側はつまみ部11cの中心軸に設けられた孔部に圧入してある。つまみ部11cのインク貯留部11a側には段差が設けてあり、この段差により直径が小さくなっている部分におねじ部11dが設けてある。このおねじ部11dは後述の芯ホルダ19のめねじ部19eにねじ込み可能としてある。同図(b)に示すように、つまみ部11cの外端部には、ねじ回し用の十字孔11eが設けてあり、上記の芯ホルダ19への着脱の際におけるねじ込み操作を可能としてある。
図6は芯ホルダ19を示している。芯ホルダ19はペン部3内において、後述のペン芯進退機構を介して上記のペン芯11を保持しかつ進退可能とする働きをする。図6に示すように、芯ホルダ19の外観は円柱状に見える形状となっているが、円柱体の約80%は金属薄管の円筒部材19aで覆われており、残りの約20%の部分は樹脂材製の固定部材19bが露出した部分となっている。固定部材19bの露出した部分は円筒部材19aよりもわずかに大きな直径にしてある。固定部材19bは円筒部材19aで囲まれている範囲は、外周部が円筒部材の内周部に密着しており、図示していないストッパ手段によって相互に進退不能となっているが、互いに相対回転可能となっている。固定部材19bの外端部から所定長の範囲は、比較的厚肉となっており、中心の空洞部はペン芯のインク貯留部11aを保持可能な内径の挿通孔となっている。そして全長の約半分の範囲は、肉厚が上記の厚肉となっている範囲の約半分となっており、後述の可動部材19dを内周部に嵌合して両者を相対移動可能としてある。
上記の可動部材19dは、円筒部材19aの他端部(図6右端部)から円筒部材の約半径に相当する長さだけ奥に入りこんだ位置に一端部が位置し、そこからさらに奥に向かって延び、固定部材19bの内周面に嵌合している。可動部材19dも固定部材19bと同じく円筒状になっており、円筒部材19aの内周部に摺動可能に挿着してある。可動部材19dの外端部から内部に向かう所定長の範囲には、めねじ部19eが刻設してある。このめねじ部19eは、上記のペン芯11のおねじ部11dをねじ込み可能とするもので、これによりペン芯11を支持可能としてある。固定部材19bと可動部材19dとは互いに摺動可能であるとともに、可動部材19dは円筒部材19aに対しても摺動可能となっている上に、めねじ部19e及び後述の突起19gは筆圧を支える構成となっている。このような負担に耐え得るための構成材としては、例えばフッ素樹脂材などの摩擦係数が小さくかつ強度の大きい材質を選択することが望まれる。円筒部材19aの外周部には一端部から所定長の範囲に長溝状の凹部19i,…が形成してある(図6参照)。各凹部19iは内側の可動部材19dの外周部にもその範囲で凹凸の変形状態を及ぼし、円筒部材19aと可動部材19dとは互いに進退可能である反面において相対回転不能としてある。
図7は芯ホルダ19を展開してペン芯進退機構Mの構成を分かりやすく示したものである。ペン芯進退機構Mは上述の通り、連結筒部17bにより芯ホルダ19の円筒部材19aを回転させることによりペン芯を進退させるための機構である。このペン芯進退機構Mは、上述の固定部材19bの薄肉になっている範囲に形成してあるらせん溝19fと、可動部材19dの外周部に設けてある突起19gと、円筒部材19aと固定部材19b及び可動部材19dを含んだものからなる。らせん溝19fと突起19gとはカムとカムフォロワーとの関係にあるカム機構を構成している。固定部材19bを固定した状態で円筒部材19aを回転させると、可動部材19dもこれと一体となって回転する。この時、突起19gはカム機構によりらせん溝19fに沿った往復運動をするため、これと一体の可動部材19dも上記のカム機構により往復運動をする。しかし、円筒部材19aは、固定部材19bに対して図示していないストッパ手段によって往復移動不能としてあるので、可動部材19dは円筒部材19aに対しても相対往復運動をすることになる。らせん溝19fの両端部には、ペン芯11を安定状態に保持可能とするための凹部19h、19hが設けてある。また、可動部材19dの往復移動の範囲は相対移動範囲に設けてある空間19c,19cによって保障されている。図7(a)における長方形の横幅は芯ホルダ19の内周の長さを示しており、らせん溝19fは横幅のほぼ4分の3にわたってらせん状に設けてあることから、ペン芯は先端チップ11b(図5参照)がペン部の先端から突出して筆記可能状態にあるときに、円筒部材19aを左回転させると、突起19gが図7の上方に位置する凹部19hに係合し、先端チップ11bが完全に先端コーン15内に没した状態で停止する。また、この状態から逆方向に4分の3回転させると、突起19が下方に位置する凹部19hに係合することによって停止して再び筆記可能状態となる。
図8はペン部3の要部をなす先筒13を示している。図示してあるように、先筒13はテーパ状のホルダ収納部13aの先端部に後述の先端コーン15の取付け部13bが延設してある。この取付け部13bの中心部にはペン芯11の挿通孔13cが設けてある。挿通孔13cの奥に形成してある逆円錐部のさらにその奥には、内周面をストレートに形成してなる圧入部13dが設けてある。圧入部13dは芯ホルダ19の固定部材19bを圧入して保持することにより、芯ホルダ19を本体軸17によって操作可能としてある。すなわち、上述した本体軸17の連結筒部17bの内周部が芯ホルダ19の円筒部材19aに嵌合し、摩擦力によって両者が一体になって回転可能となる。この状態において、本体軸17に対して先筒13を相対回転させると、ペン芯進退機構Mによりペン芯11が進退可能となっている。
図9はペン部3の先端部をなす先端コーン15を示している。先端コーン15は金属を頂部切欠の円錐形に加工し、表面にクロームメッキ等を施したものからなる。図示してあるように、先端コーン15をなす円錐体15aの内部には、先筒13の取付け部13bを圧入するための平行孔部15bが形成してある。平行孔部15bから先の部分は円錐体15aの径の変化に対応して段階的に細くしてあり、最先端部及びその近傍はペン芯11が振れ無しに出没可能とするのに適した径の先端孔部15cとしてある。
図10は上述のサポート部材21を示している。サポート部材21は薄肉円筒体からなり、外周部21aは先端部(図面左端部)を僅かに細くするテーパにしてある。内周部には基端部から長さの約半分の位置までめねじ21bが刻設してある。このめねじ21bは図2に示すように、本体軸17の連結筒部17bに刻設してあるおねじ部17fと螺合可能なものである。このサポート部材21は図2(c)に示すように、連結筒部17bに嵌入することによりカバー筒9を本体軸17から脱落不能とする役割を果たす。
次に組立要領について説明する。まずルーペ部1は、第1工程として本体軸17のガイド溝17e,17eに沿ってルーペ5を挿着する(図2参照)。次に第2工程として本体軸17の開口端部にキャップクリップ7を被せ、1対の係合片を取付孔17d,17dに係合させることにより、本体軸17の連結筒部17bから脱落不能とする。次に第3工程としてカバー筒9を本体軸17に挿着し、サポート部材21で押さえ付けて脱落不能とする。次にルーペ部1の組立作業と平行してペン部3の組立作業を行う。ペン部3はまず、第4工程として先筒13の先端部に先端コーン15を圧入する(図9参照)。この工程と前後する第5工程として芯ホルダ19の固定部材19bを先筒13の圧入部13dに圧入する(図8参照)。次に第6工程としてペン芯11を芯ホルダ19の端部から挿入してねじ部(11d,19e)を用いて固定する。最後に第7工程としてペン部3をルーペ部1に連結することにより図1に示す筆記具付き携帯ルーペができあがる。この時、本体軸17の連結筒部17bと芯ホルダ19の円筒部材19aとが係合しているため、ペン芯進退機構Mが作動可能状態となる。なお、ペン芯11は複数のスペアを用意しておき、インクがなくなったときには容易に交換可能となっているので損耗の少ないルーペ部を半永久的に使用することが可能となる。
次に使用方法について説明する。このペン付きルーペはかばん等に入れて持ち歩いてもよいが、通常は胸ポケット等に差し込んで携帯することに向いている。ルーペの不使用時にはカバー筒9で窓部10を覆い、ルーペを保護するように心懸ける。ルーペの使用時にはカバー筒9とキャップクリップ7とを90度だけ相対回転させることにより窓部10を開け、両窓部から両目を使って対象物を透視すればよい。ペンを使用して筆記する場合には、片方の手で先筒13を押さえ、他方の手でルーペ部1をキャップクリップ7ごとつまむように握って停止するまで回転させると、ペン芯11の先端チップ11bが先端コーン15の先端部から出没して所定位置で停止する。ペンの不使用時にはインクの付着を防止するために、先端チップは先端コーン15内に退避させておく。
以上の説明においては、ルーペ部の窓部は2つとしてあるが、これらの窓部を合併して1つにしてもよく、ルーペも強さを弱・中・強など幾通りかのものを選択可能としてもよい。また、カバー筒は上記のものに限定されるものではなく、一端部をヒンジ固定により開脚自在とし、あるいは本体軸とカバー筒とを長さ方向に相対移動可能とするスライド式にしてもよい。
本発明は物の発明であり、これを製造し、販売することは産業上利用することであるので、産業上の利用可能性を十分に有する。
一形態例の全体の構成を示す正面図である。
本体軸を示しており、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
カバー筒の正面の一部切欠断面図である。
ルーペを示しており、(a)は平面図、(b)は正面図である。
ペン芯を拡大して示しており、(a)は正面図、(b)は側面図である。
芯ホルダの構成を拡大して示しており、(a)は正面の半断面図、(b)は側面図である。
芯ホルダ(ペン芯進退機構)を拡大して示しており、(a)は展開図、(b)は同図(a)のA−A線断面図である。
先筒を拡大して示しており、(a)は正面の断面図、(b)は側面図である。
先端コーンの正面の拡大断面図である。
サポート部材を拡大して示しており、(a)は正面の断面図、(b)は側面図である。
従来技術のペン型ルーペを示す正面図である。
符号の説明
1 ルーペ部
3 ペン部
5 ルーペ
7 キャップクリップ
9 カバー筒
9c,17c 窓部
11 ペン芯
13 先筒
15 先端コーン
17 本体軸
17b 連結筒部
19 芯ホルダ
19a 円筒部材
19b 固定部材
19d 可動部材
19f らせん溝
19g 突起
19h 凹部
21 サポート部材
M ペン芯進退機構