JPWO2006085354A1 - スパッタリング装置 - Google Patents

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Abstract

複数個のマグネットをマグネット支持手段を用いて自転可能な状態で支持しておき、前記マグネット支持手段を回転させて前記各マグネットを公転させるとともに自転させる。また、前記マグネットの単位時間あたりの公転角度と自転速度の比を1:Rとしたときに、Rが1以上5以下であり、かつ、360の公約数とならない値とすることで、各マグネットが生成する磁界(磁力線)と電界が直交する領域の時間変化が単調にならないようにする。また、各マグネットの自転の中心と公転の中心の距離が異なるように配置することで、各マグネットが生成する磁界(磁力線)と電界が直交する領域をターゲットの半径方向に分散させる。

Description

本発明は、スパッタリング装置に関し、特に、マグネットを用いて電界に交差する磁界を印加することでターゲット上に高密度のプラズマを作るマグネトロン・スパッタリング装置に適用して有効な技術に関するものである。
従来、シリコン基板、樹脂基板、セラミック基板等の表面に薄膜を形成する方法として、スパッタリングと呼ばれる方法がある。
前記スパッタリングは、たとえば、真空容器内に、前記基板と、あらかじめ定められた材料でなるターゲットを対向させておき、前記真空容器内に放電用ガスを導入し、前記基板とターゲットの間に電界を印加してプラズマを発生させる。そして、前記プラズマの正のイオンを前記ターゲットに衝突させ、前記ターゲットから原子または分子をはじき出す。そして、はじき出した原子を前記基板の表面に導き、堆積させることで前記薄膜を形成する。
前記スパッタリングで薄膜を形成する装置(以下、スパッタリング装置という)では、従来、各種方式の電極構造が提案されている。その中で、近年、工業的に最も多く使用されているのはマグネトロン方式の電極構造である。前記マグネトロン方式を適用したスパッタリング装置は、電界と交差する磁界を印加することで陰極から出た電子にトコロイド運動を行わせ、ターゲット上に高密度のプラズマを作ることができる。そのため、比較的低電圧でスパッタ速度を高めることができ、薄膜の形成速度を大きくすることができる。
前記マグネトロン方式の電極構造には、従来、様々なタイプがあるが、工業的に最も有用であり、一般的なのは、たとえば、図22及び図23に示すように、平面形状を有するターゲットを備えた平板マグネトロン(Planar Magnetron)カソード電極と呼ばれる電極構造である。前記平板マグネトロンカソード電極は、たとえば、図23に示したように、前記ターゲット8の裏面側、すなわち前記基板6と対向する面の裏面側の中心付近にマグネットのS極102、外周部にマグネットのN極101が設けられている。このとき、前記ターゲット8上には、図22に示したような磁界が生じており、電子がトコロイド運動を行う。
このとき、前記電子のトコロイド運動は、図24に示すように、磁界(磁力線)が電界Eと直交する付近で起こる。そのため、図25に示すように、磁界(磁力線)が電界と直交する領域MCでは、より多くの原子または分子がはじき出され、ターゲット8の消耗速度が他の部分に比べて速くなる。またこのとき、磁界(磁力線)が電界Eと直交する領域MCでは、より多くの原子または分子がはじき出されるので、図25に示したように、前記基板6の表面に形成された膜8’では、磁界(磁力線)が電界Eと直交する領域MCと対向する部分の膜厚とその他の部分の膜厚にばらつきが生じる。
また、近年では、たとえば、前記マグネットを回転させて磁界(磁力線)が電界と直交する領域を時間変化させることで膜厚のばらつきを低減する方法(たとえば、特許文献1を参照)や、磁界(磁力線)が電界と直交する領域が均一になるようにマグネットの形状を複雑にする方法(たとえば、特許文献2を参照)が提案されている。
特開平7−292468号公報 特許第2505724号明細書
本発明が解決しようとする問題点は、前記背景技術で説明したように、前記平板マグネトロンカソード電極を用いたスパッタリング装置では、ターゲット面での不均一なイオン衝突とプラズマ空間密度分布の不均一性、すなわち磁界(磁力線)が電界と直交する付近とその他の領域ではじき出されるターゲットの原子または分子の量が異なることに起因する基板上に形成された薄膜の不均質性および膜厚の不均一性を低減することが難しいという点である。
また、このような問題を解決する方法として、たとえば、特許文献1や特許文献2に記載されたような方法が提案されているが、これらの方法においても、たとえば、ターゲットの中心部と外周部のイオン衝突の均一化、プラズマ空間密度分布の均一化が難しいと本願発明の発明者らは考える。前記特許文献1に記載されたような方法の場合、たとえば、磁石系(マグネット)を回転させることで磁界(磁力線)が電界と直交する領域を時間変化させることができるが、前記磁石系が1つであり、ある瞬間の磁界(磁力線)が電界と直交する領域はターゲット上に1カ所しかない。そのため、今後予想される基板の大面積化、形成する薄膜の薄型化が進んだときに、前記特許文献1に記載されたような方法では、基板上に形成された薄膜の不均質性および膜厚の不均一性を低減することが難しいと本願発明の発明者らは考える。
また、前記特許文献2に記載されたような方法の場合、半径のことなる環状のN極とS極を交互に配置することで、磁界(磁力線)が電界と直交する領域を増やすことができるが、N極上およびS極上では磁界(磁力線)が電界と直交せず、ターゲット面のN極上およびS極上と、N極とS極の間の領域でのイオン衝突の不均一化、プラズマ空間密度分布の不均一化が起こる。そのため、今後予想される基板の大面積化、形成する薄膜の薄型化が進んだときに、前記特許文献1に記載されたような方法では、基板上に形成された薄膜の不均質性および膜厚の不均一性を低減することが難しいと本願発明の発明者らは考える。
すなわち、本発明は、マグネトロン・スパッタリング装置において、磁界(磁力線)が電界と直交する領域を均一化し、基板に形成する薄膜の均質化、膜厚の均一化を容易にすることを目的としている。
本発明のその他の目的および新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
本発明のスパッタリング装置は、内部を真空状態にすることが可能な真空容器内に、薄膜を形成する基板を保持する基板ホルダと、前記基板ホルダで保持する基板の薄膜形成面と対向する位置に設けられたターゲットと、前記基板ホルダで保持する基板と前記ターゲットの間に電界を印加する電界印加手段と、前記ターゲット上に前記電界と交差する磁界を印加する磁界印加手段とを備え、真空状態にした前記真空容器内に放電用ガスを導入して前記ターゲット上にプラズマを発生させて前記ターゲットから原子または分子を発生させ、前記発生させた原子または分子を前記基板ホルダで保持する基板上に堆積させて成膜するスパッタリング装置であって、前記磁界印加手段は、複数個のマグネットと、前記各マグネットをそれぞれ自転可能な状態で支持するマグネット支持手段と、前記マグネット支持手段をあらかじめ定められた回転軸まわりに回転させて前記各マグネットを前記回転軸周りに公転させるマグネット公転手段と、前記マグネット支持手段の回転に合わせて、前記各マグネットを自転させるマグネット自転手段とを備えることを最も主要な特徴とする。
本発明のスパッタリング装置は、複数個のマグネットを公転させることにより、各マグネットが生成する磁界が前記マグネット支持手段の回転軸周りに回転する。このとき、各マグネットが生成する磁界に電界と直交する領域があれば、ある瞬間の磁界(磁力線)が電界と直交する領域はターゲット上に複数箇所存在し、効率よくスパッタリングを行うことができる。またこのとき、前記各マグネットが公転するとともに自転することで、前記各マグネットが生成する磁界の電界と直交する領域が複雑に変化するため、多くの原子または分子がはじき出される領域(エロージョン領域)の偏りが低下する。また、複数のマグネットが公転しながら自転することにより、各マグネットが生成する磁界の他に、隣接するマグネット間での磁界の生成および消滅が不規則に行われる。つまり、本発明のスパッタリング装置によれば、ターゲット面でのイオン衝突の均一化、プラズマ空間密度分布の均一化が容易になり、基板に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化が容易になる。
また、本発明のスパッタリング装置のように前記各マグネットを公転させながら自転させる場合、前記マグネット自転手段を、たとえば、前記マグネット支持手段の外周部の近傍に沿って固定させて設けられたインターナルギアと、前記各マグネットに固定させて設けられたマグネット回転ギアと、前記インターナルギアおよび前記マグネット回転ギア、または2つの前記マグネット回転ギアと噛合するアイドルギアとを備えるものとし、前記マグネット支持手段が回転することにより、前記インターナルギアと噛合するアイドルギアが回転し、前記各マグネット回転ギアおよびマグネットが自転するようにすればよい。
また、本発明のスパッタリング装置では、前記インターナルギアと、前記インターナルギアと噛合し前記マグネット回転ギアを自転させるアイドルギアのギア比を1:Rとしたときに、Rを1以上5以下であり、かつ、360の公約数ではない値にすることが好ましい。このようにすると、前記各マグネットは1回(360度)公転した時に、公転する前と公転した後で相対的な位置関係(角度)が異なる。そのため、各マグネットが生成する磁界の時間変化がさらに複雑になり、ターゲット面でのイオン衝突、プラズマ空間密度分布がさらに均一化され、基板に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化が容易になる。
またさらに、本発明のスパッタリング装置では、前記マグネット支持手段の回転軸から前記各マグネットの自転軸までの距離が、それぞれ異なるようにすることが好ましい。このようにすることで、各マグネットを公転させながら自転させた時に、各マグネットが生成する磁界と電界の直交する領域が重なりにくくすることができ、ターゲット面でのイオン衝突、プラズマ空間密度分布をより一層均一化でき、基板に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化が容易になる。
図1は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第1の原理を説明するための模式図であり、マグネットの構成例を示す平面図である。 図2は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第1の原理を説明するための模式図であり、自転角度と公転角度の比が1:1の場合のマグネットの動作例を示す図である。 図3は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第1の原理を説明するための模式図であり、作用効果の一例を示す図である。 図4は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第1の原理を説明するための模式図であり、磁界の中心の変化の求め方の原理を示す図である。 図5は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第1の原理を説明するための模式図であり、自転角度と公転角度の比が2:1の場合の磁界の中心の変化の例を示す図である。 図6は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第2の原理を説明するための模式図であり、自転角度と公転角度の比が1.7:1の場合のマグネットの動作例を示す図である。 図7は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第2の原理を説明するための模式図であり、自転角度と公転角度の比が1.7:1の場合の磁界の中心の変化の例を示す図である。 図8は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第2の原理を説明するための模式図であり、自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合のマグネットの動作例を示す図である。 図9は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第2の原理を説明するための模式図であり、自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合の磁界の中心の変化の例を示す図である。 図10は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第2の原理を説明するための模式図であり、自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合の3つのマグネットの磁界の中心の変化を合成した場合を示す図である。 図11は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第3の原理を説明するための模式図であり、マグネットの配置の一例を示す図である。 図12は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第3の原理を説明するための模式図であり、自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合のマグネットの動作例を示す図である。 図13は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第3の原理を説明するための模式図であり、自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合の磁界の中心の変化の例を示す図である。 図14は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第3の原理を説明するための模式図であり、マグネットの配置の変形例を示す図である。 図15は、本発明のスパッタリング装置において磁界を印加するマグネットの構成例を説明するための模式図であり、開ループの磁界を印加するマグネットの構成例を示す平面図である。 図16は、本発明のスパッタリング装置において磁界を印加するマグネットの構成例を説明するための模式図であり、図15のA−A’線断面図である。 図17は、本発明のスパッタリング装置において磁界を印加するマグネットの構成例を説明するための模式図であり、閉ループの磁界を印加するマグネットの構成例を示す平面図である。 図18は、本発明のスパッタリング装置において磁界を印加するマグネットの構成例を説明するための模式図であり、図17のB−B’線断面図である。 図19は、本発明による一実施例のスパッタリング装置の概略構成を示す模式図であり、装置の全体的な構成例を示す断面図である。 図20は、本発明による一実施例のスパッタリング装置の概略構成を示す模式図であり、図19における磁界印加手段の周辺の拡大図である。 図21は、本発明による一実施例のスパッタリング装置の概略構成を示す模式図であり、磁界印加手段におけるマグネット自転手段の構成例を示す図である。 図22は、従来の平板マグネトロンカソード電極を用いたスパッタリング装置の動作原理を示す模式図である。 図23は、従来の平板マグネトロンカソード電極を用いたスパッタリング装置の動作原理を示す模式図である。 図24は、従来の平板マグネトロンカソード電極を用いたスパッタリング装置による薄膜形成方法を説明するための模式図である。 図25は、従来の平板マグネトロンカソード電極を用いたスパッタリング装置における問題点を説明するための模式図である。
符号の説明
1,2,3 マグネット
4 マグネット支持手段
5 真空容器
6 基板
7 基板ホルダ
8 ターゲット
9 マグネット公転手段
11A インターナルギア
11B,11C,11D マグネット回転ギア
11E,11F,11G アイドルギア
MC1,MC2,MC3 各マグネットの磁界の中心
MC 隣接するマグネットの相互作用で生じる磁界の中心
本発明のスパッタリング装置では、複数個のマグネットを公転させながら自転させることで、ターゲット面上の磁界と電界が直交する領域を複雑に時間変化させ、多くの原子または分子がはじき出される領域(エロージョン領域)を均一化し、基板上に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化を実現する。
本発明をより詳細に説明するために、添付の図面にしたがってこれを説明する。
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1乃至図4は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第1の原理を説明するための模式図であり、図1はマグネットの構成例を示す平面図、図2は自転速度と交点速度の比が1:1の場合のマグネットの動作例を示す図、図3は作用効果の一例を示す図、図4は磁界の中心の変化の求め方の原理を示す図、図5は自転角度と公転角度の比が2:1の場合の磁界の中心の変化の例を示す図である。
本発明のスパッタリング装置では、ターゲットと基板の間に印加した電界と交差する磁界を印加する磁界印加手段として、たとえば、図1に示すように、3個のマグネット1,2,3をマグネット支持手段4で支持したものを用いる。このとき、前記マグネット支持手段4は回転軸REAX周りに回転し、前記各マグネット1,2,3が前記回転軸REAX周りに公転できるようになっているとする。また、前記各マグネット1,2,3は、それぞれ自転可能な状態で前記マグネット支持手段4に支持されており、前記マグネット支持手段4の回転、すなわち各マグネット1,2,3の公転に合わせてそれぞれ回転軸ROAX1,ROAX2,ROAX3周りに自転するようになっているとする。
このとき、たとえば、前記各マグネット1,2,3の単位時間あたりの自転角度と公転角度の比が1対1、すなわち各マグネット1,2,3が1回(360度)公転する間に1回(360度)自転するようになっているとすれば、前記各マグネット1,2,3は、1回公転する間に、図2に示すような変化をする。このとき、前記各マグネット1,2,3が、図1および図2に示したように、棒状のものであれば、N極とS極の間に磁界の中心、すなわち磁力線が電界と直交する領域MC1,MC2,MC3がある。そのため、図2に示したように、各マグネット1,2,3の磁界と電界が直交する領域MC1,MC2,MC3が、それぞれ公転しながら自転することで、前記ターゲット面上の原子または分子がはじき出されやすい領域(エロージョン領域)を均一化し、基板上に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化が容易になる。
またこのとき、たとえば、図3の左側に示したように、ある瞬間の各マグネット1,2,3の状態が、各マグネット1,2,3のS極102,202,302が向かい合っているような状態であった場合、そこから120度公転させると、各マグネット1,2,3は図3の右側に示したような状態になる。このとき、各マグネット1,2,3のN極とS極の間に磁界の中心、すなわち磁力線が電界と直交する領域MC1,MC2,MC3があるのは当然であるが、その他に、隣接するマグネットのN極とS極の間、たとえばマグネット1のN極101とマグネット2のS極202の間の相互作用による磁界が生成し、磁力線が電界と直交する領域MCができる。つまり、前記複数個のマグネットを公転させながら自転させることで、各マグネットが単独で生成する磁界とは別に、隣接するマグネット間での磁界MCの生成、消滅が繰り返され、前記ターゲット面上の原子または分子がはじき出されやすい領域(エロージョン領域)の変化がより複雑になる。その結果、大局的に見たエロージョン領域の均一化が可能であり、基板上に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化が容易になる。
また、図2では、前記各マグネット1,2,3の単位時間あたりの自転角度と公転角度の比が1対1、すなわち各マグネット1,2,3が1回公転する間に1回自転するような場合を例に挙げてマグネットの時間変化を示しているが、前記単位時間あたりの自転角度と公転角度の比を大きくすることで、前記エロージョン領域の時間変化がより複雑になり、大局的に見た場合のエロージョン領域のさらなる均一化が可能である。
図1に示したマグネットの1つについて、磁界と電界が直交する領域(エロージョン領域)の時間変化は、たとえば、図4に示したような関係式から導き出される。つまり、マグネットが公転前の位置にあるときの自転の回転中心ac,磁界の一端a1および他端a2の座標をそれぞれ(xc,yc),(x1,y1),(x2,y2)とし、単位時間あたりの自転角度と公転角度の比をNとすると、前記マグネットが公転角度θ1だけ回転した時に、前記マグネットの自転の回転中心acの座標は(rccosθ1,rcsinθ1)となる。またこのとき、前記マグネットは、自転角度θ2=(1+N)θ1だけ自転しているので、前記マグネットが公転角度θ1だけ回転したあとの前記磁界の一端a1および前記他端a2の座標をそれぞれ(x1’,y1’),(x2’,y2’)とすると、x1’,y1’,x2’,y2’は下記数式1から求まる。
(数式1)
1’=r2cos{(1+N)θ1+θa}+r1cosθ1
1’=r2sin{(1+N)θ1+θa}+r1sinθ1
2’=r2cos{(1+N)θ1−θa}+r1cosθ1
2’=r2sin{(1+N)θ1−θa}+r1sinθ1
なお、前記数式1においてθaは初期角度である。
図4および前記数式1に示したような関係から、たとえば、単位時間あたりの自転角度と公転角度の比が2:1(N=2)の場合の1つのマグネットの磁界の中心(エロージョン領域)の軌跡を求めると、図5のようになる。
図6乃至図10は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第2の原理を説明するための模式図であり、図6は自転角度と公転角度の比が1.7:1の場合のマグネットの動作例を示す図、図7は自転角度と公転角度の比が1.7:1の場合の磁界の中心の変化の例を示す図、図8は自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合のマグネットの動作例を示す図、図9は自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合の磁界の中心の変化の例を示す図、図10は自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合の3つのマグネットの磁界の中心の変化を合成した場合を示す図である。
本発明のスパッタリング装置では、たとえば、図2に示したように、3つのマグネット1,2,3を公転させながら自転させる時に、単位時間あたりの自転角度と公転角度の比がn:1(nは正の整数)であると、1回(360度)公転させた時に、公転させる前と公転させた後で前記ターゲット面上の原子または分子がはじき出されやすい領域(エロージョン領域)の分布が同じになる。つまり、各マグネット1,2,3の磁界の中心(エロージョン領域)MC1,MC2,MC3の変化が周期的であり、前記ターゲット面上の原子または分子がはじき出されやすい領域(エロージョン領域)の分布の変化が比較的単調である。このとき、前記マグネット1,2,3を複数回公転させた時のターゲット面上の各領域の磁界の中心(エロージョン領域)MC1,MC2,MC3の変化は各マグネット1,2,3の初期配置により一義的に決まり、大局的に見たエロージョン領域の変化が必ずしも均一化されているとは言い難い。そこで、本発明のスパッタリング装置では、前記マグネット1,2,3を複数回公転させた時のターゲット面上の各領域の磁界の中心(エロージョン領域)MC1,MC2,MC3の変化をより複雑にするために、各マグネット1,2,3の単位時間あたりの自転角度と公転角度の比をR:1とした時に、Rが1〜5であり、かつ、360の公約数とならないようにすることが好ましい。
このような方法の一例として、R=1.7、すなわち自転角度と公転角度の比が1.7:1の場合を考えてみる。このとき、前記各マグネット1,2,3は、θ度公転する間に1.7×θ度自転するので、各マグネット1,2,3は、1回(360度)公転する間に、たとえば、図6に示すような変化する。つまり、前記各マグネット1,2,3は1回(360度)公転する間に360×1.7=612度自転するので、図6の上段左端の状態から1回公転すると図6の上段右端のような状態となり、公転させる前と公転した後で、各マグネット1,2,3の磁界の中心(エロージョン領域)MC1,MC2,MC3の向きが異なる。そのため、前記マグネット1,2,3を複数回公転させた時のターゲット面上の各領域の磁界の中心(エロージョン領域)の変化がより複雑になり、自転速度と公転速度の比がn:1(nは正の整数)の場合に比べて、大局的に見たエロージョン領域の変化が均一化されていると言える。また、自転角度と公転角度の比が1.7:1の場合に、図4および前記数式1に示したような関係から、たとえば、1つのマグネットの磁界の中心(エロージョン領域)の軌跡を求めると、図7のようになる。
同様に、今度はR=3.1、すなわち単位時間あたりの自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合を考えてみる。このとき、前記各マグネット1,2,3は、θ度公転する間に3.1×θ度自転するので、各マグネット1,2,3は、90度公転する間に、たとえば、図8に示すような変化する。また、自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合に、図4および前記数式1に示したような関係から、たとえば、1つのマグネットの磁界の中心(エロージョン領域)の軌跡を求めると、図9のようになる。そして、図9に示した軌跡は、1つのマグネットに対する軌跡であるため、図1に示したような3つのマグネットの軌跡を見るために、図9に示した軌跡を合成すると、図10に示したような軌跡(分布)になる。
図11乃至図14は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第3の原理を説明するための模式図であり、図11はマグネットの配置の一例を示す図、図12は自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合のマグネットの動作例を示す図、図13は自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合の磁界の中心の変化の例を示す図、図14はマグネットの配置の変形例を示す図である。
本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の好ましい例として、前記第2の原理では、単位時間あたりの自転角度と公転角度の比をR:1とした時に、Rが1〜5であり、かつ、360の公約数とならないようにすることを挙げた。しかしながら、図1に示したようなマグネット1,2,3の配置において前記第2の原理を適用した場合、公転の中心から各マグネット1,2,3の自転の中心までの距離がそれぞれ等しい。そのため、各マグネット1,2,3が単独で生成する磁界の中心MC1,MC2,MC3の軌跡を合成した場合、図10に示したように、各マグネット1,2,3の自転中心の軌道上での軌跡の密度が高くなり、各マグネットの自転中心の軌道付近でのターゲットの消耗が大きくなると考えられる。そこで、本発明のスパッタリング装置では、前記第1の原理、第2の原理を適用した上で、さらに、図11に示すように、公転の中心REAXから前記各マグネット1,2,3の自転の中心ROAX1,ROAX2,ROAX3までの距離が異なるように前記各マグネットを配置することが好ましい。
図11に示したような配置のマグネット1,2,3を、たとえば、単位時間あたりの自転角度と公転角度の比を3.1:1として公転させた場合を考えてみる。このとき、前記各マグネット1,2,3は、θ度公転する間に3.1×θ度自転するので、各マグネットは、90度公転する間に、たとえば、図12に示すような変化する。また、自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合に、図4および前記数式1に示したような関係から、各マグネット1,2,3について、公転の中心から自転の中心までの距離を考慮して磁界の中心(エロージョン領域)MC1,MC2,MC3の軌跡を求め、合成すると、図13のようになる。このとき、図11に示した配置のマグネットにおいて、最も大きいマグネット1の自転の中心ROAX1と公転の中心REAXの距離が、図1に示した配置のマグネットにおける各マグネットの自転の中心と公転の中心の距離と等しいとし、図11に示した配置のマグネットにおける2番目に大きいマグネット2の自転の中心ROAX2と公転の中心REAXの距離が最も大きいマグネット1の自転の中心ROAX1と公転の中心REAXの距離よりもΔrだけ大きく、図11に示した配置のマグネットにおける最も小さいマグネット3の自転の中心ROAX3と公転の中心REAXの距離が最も大きいマグネット1の自転の中心ROAX1と公転の中心REAXの距離よりもΔrだけ小さいとして、図13の軌跡の分布と図10の軌跡の分布を比較すると、図13では、図10に比べて、密度の高い(軌跡が密集している)領域の幅が広くなっていることがわかる。そのため、各マグネットの自転の中心と公転の中心の距離を変えることにより、大局的に見たエロージョン領域の変化がさらに均一化され、基板上に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化が可能になると考えられる。
また、図11では、最も大きいマグネットの自転の中心と公転の中心の距離を基準とした場合に、2番目に大きいマグネットの自転の中心と公転の中心の距離が最も大きいマグネットの自転の中心と公転の中心の距離よりもΔrだけ大きく、最も小さいマグネットの自転の中心と公転の中心の距離が最も大きいマグネットの自転の中心と公転の中心の距離よりもΔrだけ小さい配置を例に挙げているが、これに限らず、たとえば、図14に示すように、最も大きいマグネット1の自転の中心ROAX1と公転の中心REAXの距離を基準とした場合に、2番目に大きいマグネット2の自転の中心ROAX2と公転の中心REAXの距離が最も大きいマグネット1の自転の中心ROAX1と公転の中心REAXの距離よりもΔrだけ大きく、最も小さいマグネット3の自転の中心ROAX3と公転の中心REAXの距離が2番目に大きいマグネット2の自転の中心ROAX2と公転の中心REAXの距離よりもさらにΔrだけ大きい配置であってもよい。また、各マグネット1,2,3の自転の中心と公転の中心の距離が異なり、かつ、各マグネットが他のマグネットと接触することなく自転することが可能であれば、図11および図14に示したような配置に限らず、どのような配置であってもよい。
図15乃至図18は、本発明のスパッタリング装置において磁界を印加するマグネットの構成例を説明するための模式図であり、図15は開ループの磁界を印加するマグネットの構成例を示す平面図、図16は図15のA−A’線断面図、図17は閉ループの磁界を印加するマグネットの構成例を示す平面図、図18は図17のB−B’線断面図である。
本発明のスパッタリング装置において磁界を印加するマグネット1は、たとえば、図15および図16に示すように、棒状または板状の左右相対するN極101およびS極102を設けた開ループの磁界を印加するマグネットであってもよいし、図17および図18に示すように、環状のN極101の内側にS極102を設けた閉ループの磁界を印加するマグネットであってもよい。また、図17および図18に示したような閉ループの磁界を印加するマグネットの場合、環状のN極の内側にS極を設けたマグネットと、環状のS極の内側にN極を設けたマグネットを交互に複数個配置することで、各マグネットが単独で生成する閉ループの磁界に加え、隣接するマグネット間に開ループの磁界を生成することができる。また、図17および図18に示したような閉ループの磁界を印加するマグネットの場合、環状のマグネットおよび内側のマグネットの形状は円形であってもよいし、非円形であってもよい。
また、前記第1の原理から第3の原理までを説明するにあたっては、図1または図11に示すように、3つのマグネット1,2,3を公転させながら自転させる場合を例に挙げているが、これに限らず、2つのマグネットを公転させながら自転させてもよいし、4つ以上のマグネットを公転させながら自転させてもよい。
また、前記第1の原理から第3の原理までを説明するにあたっては、図1または図11に示すように、3つのマグネット1,2,3が同一方向に自転する場合を例に挙げたが、これに限らず、時計回りに自転するマグネットと反時計回りに自転するマグネットが混在していてもよい。
以下、前記第1の原理から第3の原理までを適用したスパッタリング装置の構成例について説明する。
図19乃至図21は、本発明による一実施例のスパッタリング装置の概略構成を示す模式図であり、図19は装置の全体的な構成例を示す断面図、図20は図19における磁界印加手段の周辺の拡大図、図21は磁界印加手段におけるマグネット自転手段の構成例を示す図である。
本実施例のスパッタリング装置は、図19および図20に示すように、内部を真空状態にすることが可能な真空容器5内に、薄膜を形成する基板6を保持する基板ホルダ7と、前記基板ホルダ7で保持する基板6の薄膜形成面と対向する位置に設けられたターゲット8と、前記基板ホルダ7で保持する基板6と前記ターゲット8の間に電界を印加する電界印加手段(図示しない)と、前記ターゲット8上に前記電界と交差する磁界を印加する磁界印加手段とを備える装置である。なお、図19および図20では図示を省略しているが、前記スパッタリング装置は、前記真空容器5内を真空状態にする排気手段や、前記真空容器5内に放電用ガスを導入するガス導入手段、前記ターゲット8を冷却するターゲット冷却手段等も備えているとする。また、前記基板ホルダ7は、前記基板6を加熱するヒータとしての機能を兼ねていてもよい。
また、前記磁界印加手段は、図19および図20に示すように、複数個のマグネットと、前記各マグネットをそれぞれ自転可能な状態で支持するマグネット支持手段4と、前記マグネット支持手段4をあらかじめ定められた回転軸まわりに回転させて前記各マグネットを前記回転軸周りに公転させるマグネット公転手段9と、前記マグネット支持手段4の回転に合わせて、前記各マグネットを自転させるマグネット自転手段とを備えている。このとき、前記マグネット支持手段4には、たとえば、図11に示したように、大きさの異なり、かつ、それぞれ公転の中心から自転の中心までの距離が異なる3つのマグネット1,2,3が支持されているとする。また、前記マグネット公転手段9は、駆動モータ10に接続されている。
またこのとき、前記マグネット自転手段は、たとえば、図20および図21に示すように、前記マグネット支持手段4の外周部の近傍に沿って固定させて設けられたインターナルギア11Aと、前記各マグネット1,2,3に固定させて設けられたマグネット回転ギア11B,11C,11Dと、前記インターナルギア11Aおよび前記マグネット回転ギア11B,11C、または2つの前記マグネット回転ギア11B,11Dと噛合するアイドルギア11E,11F,11Gとを備える。このとき、前記インターナルギア11Aと噛合するアイドルギア11Eと、前記アイドルギア11Eと重なっており前記マグネット回転ギア11B,11Cと噛合しているアイドルギア11Fは連結させておく。
またこのとき、前記インターナルギア11Aと前記インターナルギア11Aと噛合するアイドルギア11E、前記アイドルギア11Eと連結され前記マグネット回転ギア11B,11Cを自転させるアイドルギア11Fのギア比を1:Rとしたときに、Rは任意の値にすることができるが、前記第2の原理で説明したように、1以上5以下であり、かつ、360の公約数ではない値とすることが好ましい。
このような構成のスパッタリング装置において、たとえば、前記駆動モータ10を回転させ、前記マグネット公転手段9を回転させると、前記マグネット支持手段4が回転し、前記マグネット支持手段4で支持されている各マグネット1,2,3が公転する。
またこのとき、前記マグネット支持手段4が回転すると、前記インターナルギア11Aと噛合するアイドルギア11Eおよび前記アイドルギア11Eと連結されたアイドルギア11Fが回転し、前記アイドルギア11Fと噛合する最も大きいマグネット1に固定されたギア11Bおよび2番目に大きいマグネット2に固定されたギア11Cが回転する。また、図21に示したように、前記最も大きいマグネット1に固定されたギア11Bには、別のアイドルギア11Gが噛合しており、前記別のアイドルギア11Gは最も小さいマグネット3に固定されたギア11Dと噛合している。そのため、前記最も大きいマグネット1に固定されたギア11Bが回転すると、前記最も小さいマグネット3に固定されたギア11Gも回転する。その結果、前記マグネット支持手段4が回転することにより、前記各マグネット1,2,3は公転しながら自転をすることになり、前記第1の原理から第3の原理に沿って説明したように、前記ターゲット面上の磁界の中心(エロージョン領域)E1,E2,E3が複雑に変化する。そのため、大局的に見たエロージョン領域の変化が均一化され、基板上に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化が可能になる。
なお、本実施例のスパッタリング装置を用いて薄膜を形成する場合の装置の動作に関して、従来のスパッタリング装置と異なる点は、前記磁界印加手段の動作のみであり、その他の動作については、従来のスパッタリング装置と同じ動作でよいので、詳細な説明は省略する。
以上説明したように、本実施例のスパッタリング装置によれば、前記マグネット自転手段により、前記各マグネットを公転させながら自転させることにより、磁界の中心(エロージョン領域)を複雑に変化させることができ、ターゲット面上で大局的に見たエロージョン領域の変化が均一化され、基板上に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化が可能になる。
また、前記マグネット自転手段におけるインターナルギア11Aとアイドルギア11E、アイドルギア11Fとマグネット回転ギア11B,11Cのギア比を変えることで、前記各マグネットの単位時間あたりの自転角度と公転角度の比を容易に変えることができるので、磁界の中心(エロージョン領域)が複雑に変化し、基板上に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化が容易なスパッタリング装置を容易に製造することができる。
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
たとえば、前記実施例では、3つのマグネットを公転させながら自転させるスパッタリング装置を例に挙げたが、これに限らず、2つのマグネットを公転させながら自転させる装置でも、4つ以上のマグネットを公転させながら自転させる装置でもよい。また、前記実施例では、各マグネットが同じ方向に自転する場合を例に挙げたが、これに限らず、各マグネットが時計回りまたは反時計回りの任意の方向に自転するような装置であってもよい。
また、前記実施例では、前記マグネット自転手段として、インターナルギア11A、マグネット回転ギア11B,11C,11D、アイドルギア11E,11F,11Gを用いて前記各マグネット1,2,3を自転させているが、これに限らず、他の方法で前記各マグネット1,2,3を自転させてもよい。
【0003】
合、たとえば、磁石系(マグネット)を回転させることで磁界(磁力線)が電界と直交する領域を時間変化させることができるが、前記磁石系が1つであり、ある瞬間の磁界(磁力線)が電界と直交する領域はターゲット上に1カ所しかない。そのため、今後予想される基板の大面積化、形成する薄膜の薄型化が進んだときに、前記特許文献1に記載されたような方法では、基板上に形成された薄膜の不均質性および膜厚の不均一性を低減することが難しいと本願発明の発明者らは考える。
[0010]
また、前記特許文献2に記載されたような方法の場合、半径のことなる環状のN極とS極を交互に配置することで、磁界(磁力線)が電界と直交する領域を増やすことができるが、N極上およびS極上では磁界(磁力線)が電界と直交せず、ターゲット面のN極上およびS極上と、N極とS極の間の領域でのイオン衝突の不均一化、プラズマ空間密度分布の不均一化が起こる。そのため、今後予想される基板の大面積化、形成する薄膜の薄型化が進んだときに、前記特許文献2に記載されたような方法では、基板上に形成された薄膜の不均質性および膜厚の不均一性を低減することが難しいと本願発明の発明者らは考える。
[0011]
すなわち、本発明は、マグネトロン・スパッタリング装置において、磁界(磁力線)が電界と直交する領域を均一化し、基板に形成する薄膜の均質化、膜厚の均一化を容易にすることを目的としている。
[0012]
本発明のその他の目的および新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
[課題を解決するための手段]
[0013]
本発明のスパッタリング装置は、内部を真空状態にすることが可能な真空容器内に、薄膜を形成する基板を保持する基板ホルダと、前記基板ホルダで保持する基板の薄膜形成面と対向する位置に設けられたターゲットと、前記基板ホルダで保持する基板と前記ターゲットの周に電界を印加する電界印加手段と、前記ターゲット上に前記電界と交差する磁界を印加する磁界印加手段とを備え、真空状態にした前記真空容器内に放電用ガスを導入して前記ターゲット上にプラズマを発生させて前記ターゲットから原子または分子を発生させ、前記発生させた原子または分子を前記基板ホルダで保持する基板上に堆積させて成膜するスパッタリング装置であって、前記磁界印
【0004】
加手段は、それぞれ単独で磁界を生成する複数個のマグネット対と、前記複数個のマグネット対を公転させるマグネット公転手段と、前記マグネット公転手段と連動して前記各マグネット対を自転させるマグネット自転手段とを備え、前記各マグネット対のN極とS極は、一方の極および別のマグネット対の他方の極との相互作用による磁界が生成し、かつ、公転および自転をする間に当該生成した磁界が変化するように配置されていることを最も主要な特徴とする。
[発明の効果]
[0014]
本発明のスパッタリング装置は、複数個のマグネット対(以下、単にマグネットという)を公転させることにより、各マグネットが生成する磁界が前記マグネット公転手段の回転軸(公転軸)周りに公転する。このとき、各マグネットが生成する磁界に電界と直交する領域があれば、ある瞬間の磁界(磁力線)が電界と直交する領域はターゲット上に複数箇所存在し、効率よくスパッタリングを行うことができる。またこのとき、前記各マグネットが公転するとともに自転することで、前記各マグネットが生成する磁界の電界と直交する領域が複雑に変化するため、多くの原子または分子がはじき出される領域(エロージョン領域)の偏りが低下する。また、本発明のスパッタリング装置では、各マグネットが単独で生成する磁界の他に、隣接するマグネット間の相互作用による磁界が生成し、複数のマグネットを公転と連動させて自転させることにより、この隣接するマグネット間の相互作用により生成する磁界が変化する。つまり、本発明のスパッタリング装置によれば、ターゲット面でのイオン衝突の均一化、プラズマ空間密度分布の均一化が容易になり、基板に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化が容易になる。
[0015]
また、本発明のスパッタリング装置のように前記各マグネットを公転と連動させて自転させる場合、前記マグネット自転手段は、たとえば、前記各マグネットを自転可能な状態で支持するマグネット支持手段と、前記マグネット支持手段の外周部の近傍に沿って固定させて設けられたインターナルギアと、前記各マグネットに固定させて設けられたマグネット回転ギアと、前記インターナルギアおよび前記マグネット回転ギア、または2つの前記マグネット回転ギアと噛合するアイドルギアとを備えるものとし、前記マグネット支持手段が回転することにより、前記インターナルギアと噛合するアイドルギアが回転し、前記各マグネット回転ギアおよびマグネットが公転と連動して自転するようにすればよい。
[0016]
また、本発明のスパッタリング装置では、前記インターナルギアと、前記インターナルギアと噛合し前記マグネット回転ギアを自転させるアイドルギアのギア比を1:Rとし
【0008】
11E,11F,11G アイドルギア
MC1,MC2,MC3 各マグネットの磁界の中心
MC 隣接するマグネットの相互作用で生じる磁界の中心
[発明を実施するための最良の形態]
[0020]
本発明のスパッタリング装置では、それぞれ単独で磁界を生成する複数個のマグネット対(以下、単にマグネットと呼ぶ)を公転と連動させて自転させることで、ターゲット面上の磁界と電界が直交する領域を複雑に時間変化させ、多くの原子または分子がはじき出される領域(エロージョン領域)を均一化し、基板上に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化を実現する。
[0021]
本発明をより詳細に説明するために、添付の図面にしたがってこれを説明する。
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは、同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
[0022]
図1乃至図4は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第1の原理を説明するための模式図であり、図1はマグネットの構成例を示す平面図、図2は自転速度と交点速度の比が1:1の場合のマグネットの動作例を示す図、図3は作用効果の一例を示す図、図4は磁界の中心の変化の求め方の原理を示す図、図5は自転角度と公転角度の比が2:1の場合の磁界の中心の変化の例を示す図である。
[0023]
本発明のスパッタリング装置では、ターゲットと基板の間に印加した電界と交差する磁界を印加する磁界印加手段として、たとえば、図1に示すように、3個のマグネット1,2,3をマグネット支持手段4で支持したものを用いる。このとき、前記マグネット支持手段4は回転軸REAX周りに回転し、前記各マグネット1,2,3が前記回転軸REAX周りに公転できるようになっているとする。また、前記各マグネット1,2,3は、それぞれ自転可能な状態で前記マグネット支持手段4に支持されており、前記マグネット支持手段4の回転、すなわち各マグネット1,2,3の公転と連動してそれぞれ回転軸ROAX1,ROAX2,ROAX3周りに自転するようになっているとする。
[0024]
このとき、たとえば、前記各マグネット1,2,3の単位時間あたりの自転角度と公転角度の比が1対1、すなわち各マグネット1,2,3が1回(360度)公転する間に1回(360度)自転するようになっているとすれば、前記各マグネット1,2,3は、1回公転する間
【0009】
に、図2に示すような変化をする。このとき、前記各マグネット1,2,3が、図1および図2に示したように、棒状のものであれば、N極とS極の間に磁界の中心、すなわち磁力線が電界と直交する領域MC1,MC2,MC3がある。そのため、図2に示したように、各マグネット1,2,3の磁界と電界が直交する領域MC1,MC2,MC3が、それぞれ公転しながら自転することで、前記ターゲット面上の原子または分子がはじき出されやすい領域(エロージョン領域)を均一化し、基板上に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化が容易になる。
[0025]
またこのとき、たとえば、図3の左側に示したように、ある瞬間の各マグネット1,2,3の状態が、各マグネット1,2,3のS極102,202,302が向かい合っているような状態であった場合、そこから120度公転させると、各マグネット1,2,3は図3の右側に示したような状態になる。このとき、各マグネット1,2,3のN極とS極の間に磁界の中心、すなわち磁力線が電界と直交する領城MC1,MC2,MC3があるのは当然であるが、その他に、隣接するマグネットのN極とS極の間、たとえばマグネット1のN極101とマグネット2のS極202の間の相互作用による磁界が生成し、磁力線が電界と直交する領域MCができる。つまり、前記複数個のマグネットを公転させながら自転させることで、各マグネットが単独で生成する磁界とは別に、隣接するマグネット間での磁界MCの生成、消滅が繰り返され、前記ターゲット面上の原子または分子がはじき出されやすい領域(エロージョン領域)の変化がより複雑になる。その結果、大局的に見たエロージョン領域の均一化が可能であり、基板上に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化が容易になる。
[0026]
また、図2では、前記各マグネット1,2,3の単位時間あたりの自転角度と公転角度の比が1対1、すなわち各マグネット1,2,3が1回公転する間に1回自転するような場合を例に挙げてマグネットの時間変化を示しているが、前記単位時間あたりの自転角度と公転角度の比を大きくすることで、前記エロージョン領域の時間変化がより複雑になり、大局的に見た場合のエロージョン領域のさらなる均一化が可能である。
[0027]
図1に示したマグネットの1つについて、磁界と電界が直交する領域(エロージョン領域)の時間変化は、たとえば、図4に示したような関係式から導き出される。つまり、マグネットが公転前の位置にあるときの自転の回転中心a,磁界の一端aおよび他端a
【0010】
の座標をそれぞれ(x,y),(x,y),(x,y)とし、単位時間あたりの自転角度と公転角度の比をNとすると、前記マグネットが公転角度θだけ回転した時に、前記マグネットの自転の回転中心aの座標は(rcosθ,rsinθ)となる。またこのとき、前記マグネットは、自転角度θ=(1+N)θだけ自転しているので、前記マグネットが公転角度θだけ回転したあとの前記磁界の一端aおよび前記他端aの座標をそれぞれ(x’,y’),(x’,y’)とすると、x’,y’,x’,y’はそれぞれ下記数式(式1−1から式1−4)により求まる。
’=rcos{(1+N)θ+θ}+rcosθ (式1−1)
’=rsin{(1+N)θ+θ}+rsinθ (式1−2)
’=rcos{(1+N)θ−θ}+rcosθ (式1−3)
’=rsin{(1+N)θ−θ}+rsinθ (式1−4)
なお、式1−1から式1−4の各数式においてθは初期角度である。
[0028]
図4および前記式1−1から式1−4の各数式に示したような関係から、たとえば、単位時間あたりの自転角度と公転角度の比が2:1(N=2)の場合の1つのマグネットの磁界の中心(エロージョン領域)の軌跡を求めると、図5のようになる。
[0029]
図6乃至図10は、本発明のスパッタリング装置における磁界の印加方法の第2の原理を説明するための模式図であり、図6は自転角度と公転角度の比が1.7:1の場合のマグネットの動作例を示す図、図7は自転角度と公転角度の比が1.7:1の場合の磁界の中心の変化の例を示す図、図8は自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合のマグネットの動作例を示す図、図9は自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合の磁界の中心の変化の例を示す図、図10は自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合の3つのマグネットの磁界の中心の変化を合成した場合を示す図である。
[0030]
本発明のスパッタリング装置では、たとえば、図2に示したように、3つのマグネット1,2,3を公転と連動させて自転させる時に、単位時間あたりの自転角度と公転角度の比がn:1(nは正の整数)であると、1回(360度)公転させた時に、公転させる曲と公転させた後で前記ターゲット面上の原子または分子がはじき出されやすい領域(エロージョン領域)の分布が同じになる。つまり、各マグネット1,2,3の磁界の中心(エロージョン領域)MC1,MC2,MC3の変化が周期的であり、前記ターゲット面上の
【0011】
原子または分子がはじき出されやすい領域(エロージョン領域)の分布の変化が比較的単調である。このとき、前記マグネット1,2,3を複数回公転させた時のターゲット面上の各領域の磁界の中心(エロージョン領域)MC1,MC2,MC3の変化は各マグネット1,2,3の初期配置により一義的に決まり、大局的に見たエロージョン領域の変化が必ずしも均一化されているとは言い難い。そこで、本発明のスパッタリング装置では、前記マグネット1,2,3を複数回公転させた時のターゲット面上の各領域の磁界の中心(エロージョン領域)MC1,MC2,MC3の変化をより複雑にするために、各マグネット1,2,3の単位時間あたりの自転角度と公転角度の比をR:1とした時に、Rが1〜5であり、かつ、360の公約数とならないようにすることが好ましい。
[0031]
このような方法の一例として、R=1.7、すなわち自転角度と公転角度の比が1.7:1の場合を考えてみる。このとき、前記各マグネット1,2,3は、θ度公転する間に1.7×θ度自転するので、各マグネット1,2,3は、1回(360度)公転する間に、たとえば、図6に示すような変化する。つまり、前記各マグネット1,2,3は1回(360度)公転する間に360×1.7=612度自転するので、図6の上段左端の状態から1回公転すると図6の上段右端のような状態となり、公転させる前と公転した後で、各マグネット1,2,3の磁界の中心(エロージョン領域)MC1,MC2,MC3の向きが異なる。そのため、前記マグネット1,2,3を複数回公転させた時のターゲット面上の各領域の磁界の中心(エロージョン領域)の変化がより複雑になり、自転速度と公転速度の比がn:1(nは正の整数)の場合に比べて、大局的に見たエロージョン領域の変化が均一化されていると言える。また、自転角度と公転角度の比が1.7:1の場合に、図4および前記数式1に示したような関係から、たとえば、1つのマグネットの磁界の中心(エロージョン領域)の軌跡を求めると、図7のようになる。
[0032]
同様に、今度はR=3.1、すなわち単位時間あたりの自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合を考えてみる。このとき、前記各マグネット1,2,3は、θ度公転する間に3.1×0度自転するので、各マグネット1,2,3は、90度公転する間に、たとえば、図8に示すような変化する。また、自転角度と公転角度の比が3.1:1の場合に、図4および前記数式1に示したような関係から、たとえば、1つのマグネットの磁界の中心(エロージョン領域)の軌跡を求めると、図9のようになる。そして、図9に示した軌跡は、1つのマグネットに対する軌跡であるため、図1に示したような3つのマグネットの軌跡を
【0014】
の磁界を印加するマグネットの構成例を示す平面図、図18は図17のB−B’線断面図である。
[0038]
本発明のスパッタリング装置において磁界を印加するマグネット1は、たとえば、図15および図16に示すように、棒状または板状の左右相対するN極101およびS極102を設けた開ループの磁界を印加するマグネットであってもよいし、図17および図18に示すように、環状のN極101の内側にS極102を設けた閉ループの磁界を印加するマグネットであってもよい。また、図17および図18に示したような閉ループの磁界を印加するマグネットの場合、環状のN極の内側にS極を設けたマグネットと、環状のS極の内側にN極を設けたマグネットを交互に複数個配置することで、各マグネットが単独で生成する閉ループの磁界に加え、隣接するマグネット間に開ループの磁界を生成することができる。また、図17および図18に示したような閉ループの磁界を印加するマグネットの場合、環状のマグネットおよび内側のマグネットの形状は円形であってもよいし、非円形であってもよい。
[0039]
また、前記第1の原理から第3の原理までを説明するにあたっては、図1または図11に示すように、3つのマグネット1,2,3を公転と連動させて自転させる場合を例に挙げているが、これに限らず、2つのマグネットを公転と連動させて自転させてもよいし、4つ以上のマグネットを公転と連動させて自転させてもよい。
[0040]
また、前記第1の原理から第3の原理までを説明するにあたっては、図1または図11に示すように、3つのマグネット1,2,3が同一方向に自転する場合を例に挙げたが、これに限らず、時計回りに自転するマグネットと反時計回りに自転するマグネットが混在していてもよい。
[0041]
以下、前記第1の原理から第3の原理までを適用したスパッタリング装置の構成例について説明する。
[実施例]
[0042]
図19乃至図21は、本発明による一実施例のスパッタリング装置の概略構成を示す模式図であり、図19は装置の全体的な構成例を示す断面図、図20は図19における磁界印加手段の周辺の拡大図、図21は磁界印加手段におけるマグネット自転手段の構成例を示す図である。
【0016】
イドルギア11E、前記アイドルギア11Eと連結され前記マグネット回転ギア11B,11Cを自転させるアイドルギア11Fのギア比を1:Rとしたときに、Rは任意の値にすることができるが、前記第2の原理で説明したように、1以上5以下であり、かつ、360の公約数ではない値とすることが好ましい。
[0047]
このような構成のスパッタリング装置において、たとえば、前記駆動モータ10を回転させ、前記マグネット公転手段9を回転させると、前記マグネット支持手段4が回転し、前記マグネット支持手段4で支持されている各マグネット1,2,3が公転する。
[0048]
またこのとき、前記マグネット支持手段4が回転すると、前記インターナルギア11Aと噛合するアイドルギア11Eおよび前記アイドルギア11Eと連結されたアイドルギア11Fが回転し、前記アイドルギア11Fと噛合する最も大きいマグネット1に固定されたギア11Bおよび2番目に大きいマグネット2に固定されたギア11Cが回転する。また、図21に示したように、前記最も大きいマグネット1に固定されたギア11Bには、別のアイドルギア11Gが噛合しており、前記別のアイドルギア11Gは最も小さいマグネット3に固定されたギア11Dと噛合している。そのため、前記最も大きいマグネット1に固定されたギア11Bが回転すると、前記最も小さいマグネット3に固定されたギア11Gも回転する。その結果、前記マグネット支持手段4が回転することにより、前記各マグネット1,2,3は公転と連動した自転をすることになり、前記第1の原理から第3の原理に沿って説明したように、前記ターゲット面上の磁界の中心(エロージョン領域)E1,E2,E3が複雑に変化する。そのため、大局的に見たエロージョン領域の変化が均一化され、基板上に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化が可能になる。
[0049]
なお、本実施例のスパッタリング装置を用いて薄膜を形成する場合の装置の動作に関して、従来のスパッタリング装置と異なる点は、前記磁界印加手段の動作のみであり、その他の動作については、従来のスパッタリング装置と同じ動作でよいので、詳細な説明は省略する。
[0050]
以上説明したように、本実施例のスパッタリング装置によれば、前記マグネット自転手段により、前記各マグネットを公転と連動させて自転させることにより、磁界の中心(エロージョン領域)を複雑に変化させることができ、ターゲット面上で大局的に見たエロージョン領域の変化が均一化され、基板上に形成される薄膜の均質化、膜厚の均
【0017】
一化が可能になる。
[0051]
また、前記マグネット自転手段におけるインターナルギア11Aとアイドルギア11E、アイドルギア11Fとマグネット回転ギア11B,11Cのギア比を変えることで、前記各マグネットの単位時間あたりの自転角度と公転角度の比を容易に変えることができるので、磁界の中心(エロージョン領域)が複雑に変化し、基板上に形成される薄膜の均質化、膜厚の均一化が容易なスパッタリング装置を容易に製造することができる。
[0052]
以上、本発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
[0053]
たとえば、前記実施例では、3つのマグネットを公転させながら自転させるスパッタリング装置を例に挙げたが、これに限らず、2つのマグネットを公転させながら自転させる装置でも、4つ以上のマグネットを公転させながら自転させる装置でもよい。また、前記実施例では、各マグネットが同じ方向に自転する場合を例に挙げたが、これに限らず、各マグネットが時計回りまたは反時計回りの任意の方向に自転するような装置であってもよい。
[0054]
また、前記実施例では、前記マグネット自転手段として、インターナルギア11A、マグネット回転ギア11B,11C,11D、アイドルギア11E,11F,11Gを用いて前記各マグネット1,2,3を自転させているが、これに限らず、他の方法で前記各マグネット1,2,3を自転させてもよい。

Claims (5)

  1. 内部を真空状態にすることが可能な真空容器内に、薄膜を形成する基板を保持する基板ホルダと、前記基板ホルダで保持する基板の薄膜形成面と対向する位置に設けられたターゲットと、前記基板ホルダで保持する基板と前記ターゲットの間に電界を印加する電界印加手段と、前記ターゲット上に前記電界と交差する磁界を印加する磁界印加手段とを備え、真空状態にした前記真空容器内に放電用ガスを導入して前記ターゲット上にプラズマを発生させて前記ターゲットから原子または分子を発生させ、前記発生させた原子または分子を前記基板ホルダで保持する基板上に堆積させて成膜するスパッタリング装置であって、
    前記磁界印加手段は、複数個のマグネットと、
    前記各マグネットをそれぞれ自転可能な状態で支持するマグネット支持手段と、
    前記マグネット支持手段をあらかじめ定められた回転軸まわりに回転させて前記各マグネットを前記回転軸周りに公転させるマグネット公転手段と、
    前記マグネット支持手段の回転に合わせて、前記各マグネットを自転させるマグネット自転手段とを備えることを特徴とするスパッタリング装置。
  2. 前記マグネット自転手段は、前記各マグネットの単位時間あたりの自転角度が、公転角度の整数倍にならない速度で前記各マグネットを自転させることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
  3. 前記マグネット自転手段は、前記マグネット支持手段の外周部の近傍に沿って固定させて設けられたインターナルギアと、
    前記各マグネットに固定させて設けられたマグネット回転ギアと、
    前記インターナルギアおよび前記マグネット回転ギア、または2つの前記マグネット回転ギアと噛合するアイドルギアとを備え、
    前記マグネット支持手段が回転することにより、前記各マグネット回転ギアおよびマグネットが自転することを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング装置。
  4. 前記インターナルギアと、前記インターナルギアと噛合し前記マグネット回転ギアを自転させるアイドルギアのギア比を1:Rとしたときに、Rが1以上5以下であり、かつ、360の公約数ではない値であることを特徴とする請求項3に記載のスパッタリング装置。
  5. 前記マグネット支持手段の回転軸から前記各マグネットの自転軸までの距離が、それぞれ異なることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のスパッタリング装置。
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