JPWO2006038392A1 - マイクロレンズの製造方法、及びマイクロレンズ用型の製造方法 - Google Patents
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Abstract
まず、2点鎖線4で示される高さまで、基板1の上にレジストを塗布する。5枚のマスクマスク5a〜5fを用いてレジスト4を露光する。すると、Aの部分では、全く露光が行われず、Bの部分ではマスク5aのみ、Cの部分ではマスク5bのみ、Dの部分ではマスク5cのみ、Eの部分ではマスク5dのみ、Fの部分ではマスク5fのみによる露光が行われる。各マスクを用いた露光に際しては、各照射領域のSAG量(感光量)に応じた露光量で露光を行う。この結果、A、B、C、D、E、Fの各部分による露光量が異なることになり、この違いにより、レジスト4を現像したときに、レジストの表面形状が3で示されるような表面形状となり、階段状の形状を有するフォトレジストマイクロレンズが形成できる。
Description
本発明は、フォトリソグラフィを使用したマイクロレンズ(本明細書及び特許請求の範囲でいうマイクロレンズには、マイクロレンズアレイを含むものとする。又、マイクロレンズとしては、非球面レンズ、シリンドリカルレンズ等、通常レンズとして認められているものは勿論、フレネルレンズや回折格子等レリーフパターン等により光学的パワーを持つもの、その他、表面の形状に起因して光を透過する際に光学的パワーを有するもの一切を含むものである。)の製造方法、及びマイクロレンズ用型の製造方法に関するものである。
マイクロレンズは、ディジタルカメラ、光通信、MEMS分野を中心に実用化され、益々使用範囲が拡大している。
このようなマイクロレンズの製造方法として、例えば特開平7−191209号公報(特許文献1)、特開平8−187781号公報(特許文献2)に記載されるような方法が公知となっている。
これらの方法は、曲面からなるレンズ形状を、階段状の面からなる形状に近似し、基板の上にレジストを塗布し、複数枚のマスクを用いて、各階段状の面に対応した露光量でレジストを露光させ、レジストを現像することにより階段状の面からなるフォトレジストマイクロレンズを製造する方法、及びこのようにして形成されたレジストの形状を、レジストと基板とを同時にエッチングすることにより、基板に転写して、基板からなるマイクロレンズを製造する方法である。
このような、マイクロレンズの製造方法の例を図7に示す。図7は、1点鎖線を中心とする回転対称円形状の断面を示した図である。(b)において、21は、ガラス等の基板、22は、基板21の上に形成しようとするフォトレジストマイクロレンズの曲面を示す。曲面22を23のような階段状の面形状で近似する。この場合、曲面22は球面、面形状23は、半径の異なる円板を積み重ねた場合の面形状となる。
すなわち、表面が曲面22のような形状のフォトレジストマイクロレンズを作る代わりに、表面が面形状23のような段差形状を有するフォトレジストマイクロレンズを形成する。そのために、まず、2点鎖線24で示される高さまで、基板21の上にレジストを塗布する。
一方、これに対応して、(a)の25a〜25fに示すようなマスクを用意する。これらのマスク25a〜25fはガラス等からできており、黒く塗りつぶした部分には、クロム等のめっきが施されて光線を遮光するようになっている。斜めのハッチングを施した部分は透明になっていて光を透過させるようになっている。各マスク25a〜25fには、円環状の開口(光を透過する部分)が形成されている。
これら5枚のマスク25a〜25fを用いてレジスト24を露光する。すると、Aの部分では、全く露光が行われず、Bの部分ではマスク25aによる露光のみが行われ、Cの部分ではマスク25a、25bによる露光が行われ、Dの部分ではマスク25a、25b、25cによる露光が行われ、Eの部分ではマスク25a、25b、25c、25dによる露光が行われ、Fの部分では全マスクによる露光が行われる。
この結果、A、B、C、D、E、Fの各部分による露光量が異なることになり、この違いにより、レジスト24を現像したときに、レジストの表面形状が23で示されるような表面形状となって、階段状の形状を有するフォトレジストマイクロレンズが形成できる。
また、この状態から、レジストと基板21をドライエッチングしてレジストを除去すると、23で示されるような表面形状が基板21に転写され、基板21からなる階段状の形状を有するマイクロレンズが形成される。
このようなマスクと全く異なるグレースケールマスクを使用したマイクロレンズの製造方法が、特表平8−504515号公報(特許文献3)に開示されている。これは、グレースケールマスク(アナログ的とみなせる光透過率の変化を有するマスク)を使用して基板の表面に形成されたレジストを感光させ、レジストを現像することによって、グレースケールに応じた形状の、立体的なレジストパターンを形成し、それをマイクロレンズとするか、あるいは前述のように、さらにレンズ形状となったレジストを基板と共にエッチングすることにより、レンズ形状のレジストのパターンを基板に転写し、基板からなるマイクロレンズを形成するものである。
しかしながら、前記特許文献1、特許文献2に記載されたようなマイクロレンズの製造方法においては、以下のような問題点がある。図7においては、簡単化のために5枚のマスクを使用して露光するようにしているが、形状を精密に近似しようとするとマスクの枚数が多くなり、通常10枚以上のマスクが必要となる。
一方、レジストが現像されたときに失われる量(「感光量」と称することとする)と露光量との間には、正確な加法性が成り立たない。すなわち、(a+b)の露光量を一度に与えたときと、aの露光量とbの露光量を別々に与えた場合では、感光量は同一にならない。
さらに、aの露光量とbの露光量を別々に与えた場合に、どの程度の感光量になるかは、レジストのプリベーク条件、プリベークしてから露光するまでの時間、露光してから現像するまでの時間によって変化する。また、所定の階段状部分の感光量を調整するために、あるマスクを用いたときの露光量を変化させると、その露光量の変化が別の階段状部分の感光量に影響を与えることになる。従って、前記特許文献1、特許文献2に記載されたようなマイクロレンズの製造方法で、精密階段状のレジスト形状を形成することは、現実には困難である。
また、階段状の形状を目的とする曲面形状とするために、熱フロー処理を行っている。熱フロー処理は、レジストを熱することにより変形を起こさせ、表面を滑らかにするものである。しかしながら、この方法では、レジストが内部まで加熱されるため、レジストの変形が大きくなり、階段状の形状の表面が滑らかになるだけにとどまらず、形状(例えば曲率)そのものが変化してしまう可能性があるという問題点もある。
一方、グレースケールマスクを使用した方法では、開口面積と遮光面積を正確に制御してマスクを製造する必要があり、マスクを製造するために特別の設備と技術を必要とするという問題点がある。さらに、レジストの露光量と感光量との関係が変化した場合は、形成されるマイクロレンズの形状が変化することが避けられないが、この変化を調整することが困難であるという問題点がある。
このようなマイクロレンズの製造方法として、例えば特開平7−191209号公報(特許文献1)、特開平8−187781号公報(特許文献2)に記載されるような方法が公知となっている。
これらの方法は、曲面からなるレンズ形状を、階段状の面からなる形状に近似し、基板の上にレジストを塗布し、複数枚のマスクを用いて、各階段状の面に対応した露光量でレジストを露光させ、レジストを現像することにより階段状の面からなるフォトレジストマイクロレンズを製造する方法、及びこのようにして形成されたレジストの形状を、レジストと基板とを同時にエッチングすることにより、基板に転写して、基板からなるマイクロレンズを製造する方法である。
このような、マイクロレンズの製造方法の例を図7に示す。図7は、1点鎖線を中心とする回転対称円形状の断面を示した図である。(b)において、21は、ガラス等の基板、22は、基板21の上に形成しようとするフォトレジストマイクロレンズの曲面を示す。曲面22を23のような階段状の面形状で近似する。この場合、曲面22は球面、面形状23は、半径の異なる円板を積み重ねた場合の面形状となる。
すなわち、表面が曲面22のような形状のフォトレジストマイクロレンズを作る代わりに、表面が面形状23のような段差形状を有するフォトレジストマイクロレンズを形成する。そのために、まず、2点鎖線24で示される高さまで、基板21の上にレジストを塗布する。
一方、これに対応して、(a)の25a〜25fに示すようなマスクを用意する。これらのマスク25a〜25fはガラス等からできており、黒く塗りつぶした部分には、クロム等のめっきが施されて光線を遮光するようになっている。斜めのハッチングを施した部分は透明になっていて光を透過させるようになっている。各マスク25a〜25fには、円環状の開口(光を透過する部分)が形成されている。
これら5枚のマスク25a〜25fを用いてレジスト24を露光する。すると、Aの部分では、全く露光が行われず、Bの部分ではマスク25aによる露光のみが行われ、Cの部分ではマスク25a、25bによる露光が行われ、Dの部分ではマスク25a、25b、25cによる露光が行われ、Eの部分ではマスク25a、25b、25c、25dによる露光が行われ、Fの部分では全マスクによる露光が行われる。
この結果、A、B、C、D、E、Fの各部分による露光量が異なることになり、この違いにより、レジスト24を現像したときに、レジストの表面形状が23で示されるような表面形状となって、階段状の形状を有するフォトレジストマイクロレンズが形成できる。
また、この状態から、レジストと基板21をドライエッチングしてレジストを除去すると、23で示されるような表面形状が基板21に転写され、基板21からなる階段状の形状を有するマイクロレンズが形成される。
このようなマスクと全く異なるグレースケールマスクを使用したマイクロレンズの製造方法が、特表平8−504515号公報(特許文献3)に開示されている。これは、グレースケールマスク(アナログ的とみなせる光透過率の変化を有するマスク)を使用して基板の表面に形成されたレジストを感光させ、レジストを現像することによって、グレースケールに応じた形状の、立体的なレジストパターンを形成し、それをマイクロレンズとするか、あるいは前述のように、さらにレンズ形状となったレジストを基板と共にエッチングすることにより、レンズ形状のレジストのパターンを基板に転写し、基板からなるマイクロレンズを形成するものである。
しかしながら、前記特許文献1、特許文献2に記載されたようなマイクロレンズの製造方法においては、以下のような問題点がある。図7においては、簡単化のために5枚のマスクを使用して露光するようにしているが、形状を精密に近似しようとするとマスクの枚数が多くなり、通常10枚以上のマスクが必要となる。
一方、レジストが現像されたときに失われる量(「感光量」と称することとする)と露光量との間には、正確な加法性が成り立たない。すなわち、(a+b)の露光量を一度に与えたときと、aの露光量とbの露光量を別々に与えた場合では、感光量は同一にならない。
さらに、aの露光量とbの露光量を別々に与えた場合に、どの程度の感光量になるかは、レジストのプリベーク条件、プリベークしてから露光するまでの時間、露光してから現像するまでの時間によって変化する。また、所定の階段状部分の感光量を調整するために、あるマスクを用いたときの露光量を変化させると、その露光量の変化が別の階段状部分の感光量に影響を与えることになる。従って、前記特許文献1、特許文献2に記載されたようなマイクロレンズの製造方法で、精密階段状のレジスト形状を形成することは、現実には困難である。
また、階段状の形状を目的とする曲面形状とするために、熱フロー処理を行っている。熱フロー処理は、レジストを熱することにより変形を起こさせ、表面を滑らかにするものである。しかしながら、この方法では、レジストが内部まで加熱されるため、レジストの変形が大きくなり、階段状の形状の表面が滑らかになるだけにとどまらず、形状(例えば曲率)そのものが変化してしまう可能性があるという問題点もある。
一方、グレースケールマスクを使用した方法では、開口面積と遮光面積を正確に制御してマスクを製造する必要があり、マスクを製造するために特別の設備と技術を必要とするという問題点がある。さらに、レジストの露光量と感光量との関係が変化した場合は、形成されるマイクロレンズの形状が変化することが避けられないが、この変化を調整することが困難であるという問題点がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡単な方法で製造が可能であり、レジストの条件が変化した場合でも容易に調整が可能なマイクロレンズの製造方法、及びマイクロレンズ用型の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための第1の手段は、凹形状、凸形状、又は凹凸形状を近似した階段状のパターンから形成されるマイクロレンズの製作方法であって、基板上にレジストを塗布し、前記階段状部分で同じ高さとなる領域を、それぞれ1枚ずつのマスクを使用して露光し、その後レジストを現像する工程を有することを特徴とするマイクロレンズの製造方法である。
本手段においては、曲面を階段状のパターンにより近似したレジスト形状を有するマイクロレンズを形成するに際し、階段状部分で同じ高さとなる領域を、それぞれ1枚ずつのマスクを使用して露光し、その後レジストを現像する工程を有する。よって、レジストの露光量と感光量との関係が変化する場合でも、各々のマスクを使用して露光を行うときの露光量を調整する(例えば露光時間を調整したり、光源の強度を調整する)ことによって、容易に目的とするレジストの感光量を得ることができ、1つの階段状部分での調整結果が、他の階段状部分に影響を与えることがない。よって、簡単な方法でマイクロレンズの製造が可能であり、レジストの条件が変化した場合でも容易に調整が可能である。
本手段においては、各マスクを使用して露光する領域の位置合わせを正確に行わなければならないという問題点があるが、これは現状のステッパーを使用すれば十分に対応が可能である。
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記レジストを現像した後、前記レジストと前記基板を同時にエッチングすることにより前記レジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を前記基板に転写する工程を有することを特徴とするものである。
本手段においては、レジストと基板を同時にエッチングすることによりレジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を基板に転写するという公知の工程を組み合わせることにより、基板のみからなる高精度のマイクロレンズを製造することができる。
前記課題を解決するための第3の手段は、レンズの形状を凹形状、凸形状、又は凹凸形状を近似した階段状のパターンに近似し、前記第1の方法により、前記階段状の形状のレジストを有するマイクロレンズを製造し、その後、前記レジストを溶解する溶剤の蒸気の雰囲気中に曝露することにより、前記階段状の部分を滑らかにする工程を有することを特徴とするマイクロレンズの製造方法である。
本手段においては、前記第1の方法により階段状の形状のレジストを有するマイクロレンズを製造した後に、レジストを溶解する溶剤の蒸気の雰囲気中に曝露することにより(ソルベントベーパ法と呼ばれる)、階段状の部分を滑らかにする工程を有している。
ソルベントベーパ法とは、特開2004−198735号公報に記載される技術であり、レジストを溶解する溶剤の上記にレジスト層を曝露することにより、レジストの表面のみを溶解し、レジスト表面をなだらかにする技術である。
本手段によれば、階段状の表面をなだらかにし、目標とする面形状に近づけることができる。さらに、熱フローを用いる場合と異なり、レジストの溶解が表面近傍のみに留まるので、レジストが大きく変形して、例えば曲率の変化をもたらすようなことがない。
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第3の手段であって、前記レジストの階段状の部分を滑らかにした後、前記レジストと前記基板を同時にエッチングすることにより前記レジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を前記基板に転写する工程を有することを特徴とするものである。
本手段においては、レジストと基板を同時にエッチングすることによりレジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を基板に転写するという公知の工程を用いることにより、基板のみからなるマイクロレンズを製造することができる。
前記課題を解決するための第5の手段は、前記際1の手段から第4の手段のいずれかにおけるマイクロレンズを、マイクロレンズ製造用型に代えたマイクロレンズ用型の製造方法である。
前記第1の手段から第5の手段においては、マイクロレンズを製造していたが、製造されたものを、マイクロレンズとしてではなくマイクロレンズ製造用の型として用いることもできる。この場合には、レジストは必ずしも透明なものでなくてもよい。さらに、レジストや基板の表面にニッケルメッキ等を施して、型としての耐用性を高めるようにしてもよい。
前記課題を解決するための第1の手段は、凹形状、凸形状、又は凹凸形状を近似した階段状のパターンから形成されるマイクロレンズの製作方法であって、基板上にレジストを塗布し、前記階段状部分で同じ高さとなる領域を、それぞれ1枚ずつのマスクを使用して露光し、その後レジストを現像する工程を有することを特徴とするマイクロレンズの製造方法である。
本手段においては、曲面を階段状のパターンにより近似したレジスト形状を有するマイクロレンズを形成するに際し、階段状部分で同じ高さとなる領域を、それぞれ1枚ずつのマスクを使用して露光し、その後レジストを現像する工程を有する。よって、レジストの露光量と感光量との関係が変化する場合でも、各々のマスクを使用して露光を行うときの露光量を調整する(例えば露光時間を調整したり、光源の強度を調整する)ことによって、容易に目的とするレジストの感光量を得ることができ、1つの階段状部分での調整結果が、他の階段状部分に影響を与えることがない。よって、簡単な方法でマイクロレンズの製造が可能であり、レジストの条件が変化した場合でも容易に調整が可能である。
本手段においては、各マスクを使用して露光する領域の位置合わせを正確に行わなければならないという問題点があるが、これは現状のステッパーを使用すれば十分に対応が可能である。
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記レジストを現像した後、前記レジストと前記基板を同時にエッチングすることにより前記レジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を前記基板に転写する工程を有することを特徴とするものである。
本手段においては、レジストと基板を同時にエッチングすることによりレジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を基板に転写するという公知の工程を組み合わせることにより、基板のみからなる高精度のマイクロレンズを製造することができる。
前記課題を解決するための第3の手段は、レンズの形状を凹形状、凸形状、又は凹凸形状を近似した階段状のパターンに近似し、前記第1の方法により、前記階段状の形状のレジストを有するマイクロレンズを製造し、その後、前記レジストを溶解する溶剤の蒸気の雰囲気中に曝露することにより、前記階段状の部分を滑らかにする工程を有することを特徴とするマイクロレンズの製造方法である。
本手段においては、前記第1の方法により階段状の形状のレジストを有するマイクロレンズを製造した後に、レジストを溶解する溶剤の蒸気の雰囲気中に曝露することにより(ソルベントベーパ法と呼ばれる)、階段状の部分を滑らかにする工程を有している。
ソルベントベーパ法とは、特開2004−198735号公報に記載される技術であり、レジストを溶解する溶剤の上記にレジスト層を曝露することにより、レジストの表面のみを溶解し、レジスト表面をなだらかにする技術である。
本手段によれば、階段状の表面をなだらかにし、目標とする面形状に近づけることができる。さらに、熱フローを用いる場合と異なり、レジストの溶解が表面近傍のみに留まるので、レジストが大きく変形して、例えば曲率の変化をもたらすようなことがない。
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第3の手段であって、前記レジストの階段状の部分を滑らかにした後、前記レジストと前記基板を同時にエッチングすることにより前記レジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を前記基板に転写する工程を有することを特徴とするものである。
本手段においては、レジストと基板を同時にエッチングすることによりレジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を基板に転写するという公知の工程を用いることにより、基板のみからなるマイクロレンズを製造することができる。
前記課題を解決するための第5の手段は、前記際1の手段から第4の手段のいずれかにおけるマイクロレンズを、マイクロレンズ製造用型に代えたマイクロレンズ用型の製造方法である。
前記第1の手段から第5の手段においては、マイクロレンズを製造していたが、製造されたものを、マイクロレンズとしてではなくマイクロレンズ製造用の型として用いることもできる。この場合には、レジストは必ずしも透明なものでなくてもよい。さらに、レジストや基板の表面にニッケルメッキ等を施して、型としての耐用性を高めるようにしてもよい。
図1は、フォトレジスト球面マイクロレンズを製造する、本発明の実施の形態を説明するための図である。
図2は、ソルベントベーパ法による処理方法を説明するための図である。
図3は、本発明の方法により製造された型から、マイクロレンズアレイを製造する工程の例を示す図である。
図4は、本発明の方法により製造された型から、マイクロレンズアレイを製造する工程の例を示す図である。
図5は、本発明の第1の実施例により得られたマイクロレンズの形状誤差を示す図である。
図6は、本発明の第2の実施例により得られたマイクロレンズの形状誤差を示す図である。
図7は、従来の多重マスクを使用したマイクロレンズの製造方法を説明するための図である。
図2は、ソルベントベーパ法による処理方法を説明するための図である。
図3は、本発明の方法により製造された型から、マイクロレンズアレイを製造する工程の例を示す図である。
図4は、本発明の方法により製造された型から、マイクロレンズアレイを製造する工程の例を示す図である。
図5は、本発明の第1の実施例により得られたマイクロレンズの形状誤差を示す図である。
図6は、本発明の第2の実施例により得られたマイクロレンズの形状誤差を示す図である。
図7は、従来の多重マスクを使用したマイクロレンズの製造方法を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態の例を図を用いて説明する。図1は、フォトレジスト球面マイクロレンズを製造する場合の例を示す図である。図1は、1点鎖線を中心とする回転対称円形状の、中心から外周までの断面を示した図である。(b)において、1は、ガラス等の基板、2は、基板1の上に形成しようとするフォトレジストマイクロレンズの曲面を示す。曲面2を3のような階段状の面形状で近似する。この場合、曲面2は球面、面形状3は、半径の異なる円板を積み重ねた場合の階段状の面形状となる。
すなわち、表面が曲面2のような形状のフォトレジストマイクロレンズを作る代わりに、表面が面形状3のような段差形状を有するフォトレジストマイクロレンズを形成する。そのために、まず、2点鎖線4で示される高さまで、基板1の上にレジストを塗布する。
一方、これに対応して、(a)の5a〜5fに示すようなマスクを用意する。これらのマスク5a〜5fはガラス等からできており、黒く塗りつぶした部分には、クロム等のめっきが施されて光線を遮光するようになっている。斜めのハッチングを施した円環状の部分は透明になっていて光を透過させるようになっている。各マスクは、およそ同じ高さとなる領域のみに開口(光が透過する部分)が形成されている。本実施の形態の場合は、回転対称形状であるので、円環状の開口を各窓が有している。
これら5枚のマスク5a〜5fを用いてレジスト4を露光する。すると、Aの部分では、全く露光が行われず、Bの部分ではマスク5aのみによる露光のみが行われ、Cの部分ではマスク5bのみによる露光が行われ、Dの部分ではマスク5cのみによる露光が行われ、Eの部分ではマスク5dのみによる露光が行われ、Fの部分ではマスク5fのみによる露光が行われる。各マスクを用いた露光に際しては、各照射領域のSAG量(感光量)に応じた露光量で露光を行う。
この結果、A、B、C、D、E、Fの各部分による露光量が異なることになり、この違いにより、レジスト4を現像したときに、レジストの表面形状が3で示されるような表面形状となり、階段状の形状を有するフォトレジストマイクロレンズが形成できる。
また、この状態から、レジストと基板1をドライエッチングしてレジストを除去すると、3で示されるような表面形状が基板1に転写され、基板1からなる階段状の形状を有するマイクロレンズが形成される。
この実施の形態においては、A、B、C、D、E、Fの各部分とも、それぞれ1枚のマスクにより露光が行われる。各部分での露光量は、目的とする各部分の感光量(SAG量に対応する)に応じて決定され、この実施の形態においては、露光時間を変えることにより容易に調整できる。光源の強さを代えることにより調整してもよい。
そして、各マスクを使用したときの露光量を変えたとしても、そのマスクにより露光される領域が影響を受けるだけであり、他の領域は影響を受けない。従って、レジストのプリベークの条件や、プリベークしてから露光までの時間等により露光量と感光量の関係が変わったとしても、変わった関係を把握して、各マスクを使用して露光を行う領域に必要とされる感光量に応じて、新しい露光量を各マスクごとに決定してやればよいので、従来の多重露光用マスクを使用する場合に比べて、調整が著しく簡単になる。
図1は、球面レンズの場合について説明したが、非球面レンズ、シリンドリカルレンズ、フレネルレンズや回折格子等レリーフパターン等により光学的パワーを持つもの、その他、表面の形状に起因して光を透過する際に光学的パワーを有するものを製造する場合にも同じような手法により製造できる。
すなわち、このような光学素子を高さ方向に所定数に切断するような仮想的な複数の面(必ずしも高さ方向に等間隔でなくてもよい)を考え、このような面で仮想的に切断を行うと、平面図で見て等高線により切断された図形が描かれる。この等高線と、隣り合う等高線との間が透光部となるようなマスクを製造し、各マスクを用いて、レジストの露光を行う。そのとき、必要な感光量に応じて、各マスクを使用したときの露光量を決定することはいうまでもない。
いずれの場合も、以上のような製造工程で製造されたレンズは、レジストが光学基材となり光学パワーを生じるものとなっている。そして、レジストには段差構造が形成されているので、厳密には目標となる表面形状とはなっていない。このようなレンズを、目標形状により近づける方法の例を、図2を用いて説明する。これは、いわゆるソルベントベーパ法により、レジストの表面をなだらかにする方法である。
シャーレ8の中に、基板6上に形成されたレンズ形状を有するレジスト7(図ではマイクロレンズアレイを示している)を溶解する溶剤9を入れ、蓋(図示せず)をする。
例えば、フォトレジストとしてノボラック樹脂系のポジ型フォトレジストを使用した場合、溶剤としてPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を使用する。そして、一定温度(例えば23℃)に保つことにより、シャーレ8内の溶剤蒸気10の圧力は飽和蒸気圧に達する。この溶剤蒸気10は、PGMEAの蒸気である。
この状態を乱さないように、前記蓋を素早くマイクロレンズアレイ形状が形成されたレジスト7を有する基板6と交換し、レジスト7を下に向けた状態で密閉する。このとき、基板6がシャーレ8の蓋の役割をし、溶剤蒸気10の飽和蒸気圧は維持される。
このようにして、溶剤蒸気10にレジスト7の表面を曝露する。すると、マイクロレンズを形成するレジストの表面が溶解されることにより、各マイクロレンズに形成された段差が解消され、表面がなめらかになる。
ソルベントベーパ法において、フォトレジスト層に用いるフォトレジストは、好ましくはノボラック樹脂である。ソルベントベーパ法に用いるフォトレジストを溶解する溶剤(以下単に溶剤と呼ぶ)としては、処理の対象の光学面が形成されたフォトレジスト層を溶解するものであれば、特に、フォトレジストの希釈や、洗浄等に一般的に用いるものに限定されるものではなく、ケトン類、アルコール類の他、ジオキサンやエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系のものが好ましく、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテル)がより好ましい。又、ある種のシンナー(例えば、東京応化社製 PMシンナー)も好ましく使うことが出来る。
ソルベントベーパ法に用いる溶剤の蒸気は、例えば、フォトレジストを溶解する溶剤を適当な温度に保つことにより、この溶剤の液面から溶剤蒸気を蒸発させて得られる。
ソルベントベーパ法の処理を安定的に行なう為には、ソルベントベーパ法の処理中におけるこの溶剤の蒸気圧を空間的に一様で、時間的に一定とすることが好ましい。その為に、この溶剤の蒸気圧が、温度一定の下で、溶剤から蒸発(気化)した蒸気の量とこの溶剤の液面に戻る(液化)蒸気の量とが平衡する飽和蒸気圧で、この飽和蒸気に被処理光学素子を曝露する処理を行なうことが好ましい。その一方法として、密閉容器中で溶剤を所定温度Tに保ち、溶剤を蒸発させ、同時に密閉容器の内面を温度Tに保つ方法がある。
又、ソルベントベーパ法の処理を行なうために、被処理光学素子を密閉容器にセットする際に、被処理光学素子も予め温度Tに保っておくことが好ましい。
ソルベントベーパ法においては、溶剤蒸気が処理対象のフォトレジスト層の光学面の段差に化学的に作用し、この段差の表面だけを溶解させることによって処理が進行する。その処理条件は、溶剤の種類、処理温度、処理時間を調整することで適正化される。この適正化された条件で処理を行なうことにより、被処理光学素子の光学面の段差はなめらかになり、光学面の形状精度は変化しない。
ソルベントベーパ法の処理中に、処理温度Tが上昇すると、溶剤の蒸気圧は上昇するので、被処理の凹凸部に到達する溶剤蒸気の量が増えて、処理速度が高まる。凹凸度が処理される程度、即ち処理量は、処理速度と処理時間との積に比例して増える。処理量は少なすぎると、凹凸度の改善効果が不充分であり、多すぎると光学面の形状精度を変化させてしまうので、最適な処理量がある。また、処理温度が高すぎると処理時間は短くて済むが、処理品質が安定しない、又低すぎると処理に時間が掛かりすぎるので好ましくなく、最適処理温度が存在する。最適処理温度は、被処理光学面の形状、フォトレジストの種類、溶剤の種類に依存し、繰り返しテストすることによって決定される。
このようにして製造されるレンズのレンズ面の最高高さと最低高さの差は、5μm以下であることが好ましい。すなわち、この差が大きくなると、段差を大きくするか使用するマスクの数を大きくしなければならないが、段差を大きくするとレンズの光学特性が悪化する原因になり、マスクの数を多くするとそれだけ露光回数が増えることになる。レンズ面の最高高さと最低高さの差が5μm以下であれば、工程をそれほど複雑にすることなく、実用上十分な精度を有するマイクロレンズが得られる。
以上のようにして製造した、レジストにレンズ形状を持たせたものを中間材料として、レジストと基板をドライエッチングしてレジストを除去することにより、レジストの形状を基板に転写し(レジストと基板とのエッチングレートを考慮して、目的とする形状が基板上に得られるように、あらかじめレジストの形状を調整しておくことは言うまでもない)、基板のみからなるマイクロレンズを形成することもできる。この方法は、例えば特開平9−8266号公報(特許文献5)に記載されて周知のものとなっているので、その説明を省略する。この場合には、レジストとして透光性のあるものを使用する必要はない。
以上説明した方法はフォトリソグラフィ工程により、直接マイクロレンズを製造する方法であったが、これらのものを型として使用し、この型を用いて樹脂製のマイクロレンズアレイを製造してもよい。
このような方法を図3に示す。図3においては、基板11の上にマイクロレンズアレイの形状が形成されたレジスト12を有するものを型として用いる(a)。
この型と、紫外線に対して透明な定盤13の間に、ディスペンサ等を使用して紫外線硬化型樹脂14を注入して押圧した後、定盤13を通して紫外線を照射することにより紫外線硬化型樹脂14を硬化させる(b)。そして、その後、紫外線硬化型樹脂14を型と定盤13から剥がすことにより、樹脂製のマイクロレンズアレイを製造することができる(c)。この場合には、基板11やレジスト12は透明なものでなくても良いことはいうまでもない。
更に、このようにして形成された樹脂製のマイクロレンズアレイを、マイクロレンズアレイとして使用せず、型として使用し、この型と、紫外線に対して透明な定盤13’の間に、ディスペンサ等を使用して紫外線硬化型樹脂14’を注入して押圧した後、定盤13’を通して紫外線を照射することにより紫外線硬化型樹脂14’を硬化させる(d)。そして、その後、紫外線硬化型樹脂14’を型と定盤13’から剥がすことにより、樹脂製のマイクロレンズアレイを製造することができる(e)。
さらに、紫外線硬化型樹脂14’をマイクロレンズアレイとして使用せず、型として使用し、図3(c)〜(d)の工程を繰り返すことにより、多数の型を製造し、これらから多数のマイクロレンズアレイを製造することができる。なお、レジストや樹脂の表面を型として使用する場合には、これらの表面に金属薄膜や誘電体薄膜を形成して、表面を硬化させ、型の耐久性を増すこともできる。使用する金属としては、Cu、Al、Ni、Au等が適当であり、使用する誘電体としては、SiNx、SiO2、Al2O3、Ta2O5、TiO2等が適当である。
又、図1に示したようにして形成されたマイクロレンズ、又はこれにソルベントベーパ処理を施して形成されたマイクロレンズに電鋳を行ってレプリカを製造し、これを型として使用して樹脂を成形し、複数の、樹脂からなるマイクロレンズアレイを製造することもできる。
この例を図4に示す。図4においては、基板11の上にマイクロレンズアレイの形状が形成されたレジスト12を有するものを型として用いる(a)。このレジスト12の上に無電解メッキにより、Ni層15をめっきし、それを電極としてNi電鋳を行って、Ni製のレプリカ16を製造する。そして、このレプリカ16を型として、図3(c)〜(e)に示したように、この型と透明な定盤との間に、ディスペンサ等を使用して紫外線硬化型樹脂を注入して押圧した後、定盤を介して紫外線を照射することにより紫外線硬化樹脂を硬化させ、その後、型と定盤から、硬化した紫外線硬化樹脂を剥離することにより、樹脂製のマイクロレンズアレイを製造することができる。
なお、上述の型は、マイクロレンズアレイの形状が形成されたレジスト12を型の原盤としているが、この他に、レジスト12の形状を基板11に転写し、マイクロレンズアレイの形状が形成された基板11を、型の原盤としてもよい。この基板11を型の原盤とすることで、長寿命の原盤が得られる。
すなわち、表面が曲面2のような形状のフォトレジストマイクロレンズを作る代わりに、表面が面形状3のような段差形状を有するフォトレジストマイクロレンズを形成する。そのために、まず、2点鎖線4で示される高さまで、基板1の上にレジストを塗布する。
一方、これに対応して、(a)の5a〜5fに示すようなマスクを用意する。これらのマスク5a〜5fはガラス等からできており、黒く塗りつぶした部分には、クロム等のめっきが施されて光線を遮光するようになっている。斜めのハッチングを施した円環状の部分は透明になっていて光を透過させるようになっている。各マスクは、およそ同じ高さとなる領域のみに開口(光が透過する部分)が形成されている。本実施の形態の場合は、回転対称形状であるので、円環状の開口を各窓が有している。
これら5枚のマスク5a〜5fを用いてレジスト4を露光する。すると、Aの部分では、全く露光が行われず、Bの部分ではマスク5aのみによる露光のみが行われ、Cの部分ではマスク5bのみによる露光が行われ、Dの部分ではマスク5cのみによる露光が行われ、Eの部分ではマスク5dのみによる露光が行われ、Fの部分ではマスク5fのみによる露光が行われる。各マスクを用いた露光に際しては、各照射領域のSAG量(感光量)に応じた露光量で露光を行う。
この結果、A、B、C、D、E、Fの各部分による露光量が異なることになり、この違いにより、レジスト4を現像したときに、レジストの表面形状が3で示されるような表面形状となり、階段状の形状を有するフォトレジストマイクロレンズが形成できる。
また、この状態から、レジストと基板1をドライエッチングしてレジストを除去すると、3で示されるような表面形状が基板1に転写され、基板1からなる階段状の形状を有するマイクロレンズが形成される。
この実施の形態においては、A、B、C、D、E、Fの各部分とも、それぞれ1枚のマスクにより露光が行われる。各部分での露光量は、目的とする各部分の感光量(SAG量に対応する)に応じて決定され、この実施の形態においては、露光時間を変えることにより容易に調整できる。光源の強さを代えることにより調整してもよい。
そして、各マスクを使用したときの露光量を変えたとしても、そのマスクにより露光される領域が影響を受けるだけであり、他の領域は影響を受けない。従って、レジストのプリベークの条件や、プリベークしてから露光までの時間等により露光量と感光量の関係が変わったとしても、変わった関係を把握して、各マスクを使用して露光を行う領域に必要とされる感光量に応じて、新しい露光量を各マスクごとに決定してやればよいので、従来の多重露光用マスクを使用する場合に比べて、調整が著しく簡単になる。
図1は、球面レンズの場合について説明したが、非球面レンズ、シリンドリカルレンズ、フレネルレンズや回折格子等レリーフパターン等により光学的パワーを持つもの、その他、表面の形状に起因して光を透過する際に光学的パワーを有するものを製造する場合にも同じような手法により製造できる。
すなわち、このような光学素子を高さ方向に所定数に切断するような仮想的な複数の面(必ずしも高さ方向に等間隔でなくてもよい)を考え、このような面で仮想的に切断を行うと、平面図で見て等高線により切断された図形が描かれる。この等高線と、隣り合う等高線との間が透光部となるようなマスクを製造し、各マスクを用いて、レジストの露光を行う。そのとき、必要な感光量に応じて、各マスクを使用したときの露光量を決定することはいうまでもない。
いずれの場合も、以上のような製造工程で製造されたレンズは、レジストが光学基材となり光学パワーを生じるものとなっている。そして、レジストには段差構造が形成されているので、厳密には目標となる表面形状とはなっていない。このようなレンズを、目標形状により近づける方法の例を、図2を用いて説明する。これは、いわゆるソルベントベーパ法により、レジストの表面をなだらかにする方法である。
シャーレ8の中に、基板6上に形成されたレンズ形状を有するレジスト7(図ではマイクロレンズアレイを示している)を溶解する溶剤9を入れ、蓋(図示せず)をする。
例えば、フォトレジストとしてノボラック樹脂系のポジ型フォトレジストを使用した場合、溶剤としてPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を使用する。そして、一定温度(例えば23℃)に保つことにより、シャーレ8内の溶剤蒸気10の圧力は飽和蒸気圧に達する。この溶剤蒸気10は、PGMEAの蒸気である。
この状態を乱さないように、前記蓋を素早くマイクロレンズアレイ形状が形成されたレジスト7を有する基板6と交換し、レジスト7を下に向けた状態で密閉する。このとき、基板6がシャーレ8の蓋の役割をし、溶剤蒸気10の飽和蒸気圧は維持される。
このようにして、溶剤蒸気10にレジスト7の表面を曝露する。すると、マイクロレンズを形成するレジストの表面が溶解されることにより、各マイクロレンズに形成された段差が解消され、表面がなめらかになる。
ソルベントベーパ法において、フォトレジスト層に用いるフォトレジストは、好ましくはノボラック樹脂である。ソルベントベーパ法に用いるフォトレジストを溶解する溶剤(以下単に溶剤と呼ぶ)としては、処理の対象の光学面が形成されたフォトレジスト層を溶解するものであれば、特に、フォトレジストの希釈や、洗浄等に一般的に用いるものに限定されるものではなく、ケトン類、アルコール類の他、ジオキサンやエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系のものが好ましく、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテル)がより好ましい。又、ある種のシンナー(例えば、東京応化社製 PMシンナー)も好ましく使うことが出来る。
ソルベントベーパ法に用いる溶剤の蒸気は、例えば、フォトレジストを溶解する溶剤を適当な温度に保つことにより、この溶剤の液面から溶剤蒸気を蒸発させて得られる。
ソルベントベーパ法の処理を安定的に行なう為には、ソルベントベーパ法の処理中におけるこの溶剤の蒸気圧を空間的に一様で、時間的に一定とすることが好ましい。その為に、この溶剤の蒸気圧が、温度一定の下で、溶剤から蒸発(気化)した蒸気の量とこの溶剤の液面に戻る(液化)蒸気の量とが平衡する飽和蒸気圧で、この飽和蒸気に被処理光学素子を曝露する処理を行なうことが好ましい。その一方法として、密閉容器中で溶剤を所定温度Tに保ち、溶剤を蒸発させ、同時に密閉容器の内面を温度Tに保つ方法がある。
又、ソルベントベーパ法の処理を行なうために、被処理光学素子を密閉容器にセットする際に、被処理光学素子も予め温度Tに保っておくことが好ましい。
ソルベントベーパ法においては、溶剤蒸気が処理対象のフォトレジスト層の光学面の段差に化学的に作用し、この段差の表面だけを溶解させることによって処理が進行する。その処理条件は、溶剤の種類、処理温度、処理時間を調整することで適正化される。この適正化された条件で処理を行なうことにより、被処理光学素子の光学面の段差はなめらかになり、光学面の形状精度は変化しない。
ソルベントベーパ法の処理中に、処理温度Tが上昇すると、溶剤の蒸気圧は上昇するので、被処理の凹凸部に到達する溶剤蒸気の量が増えて、処理速度が高まる。凹凸度が処理される程度、即ち処理量は、処理速度と処理時間との積に比例して増える。処理量は少なすぎると、凹凸度の改善効果が不充分であり、多すぎると光学面の形状精度を変化させてしまうので、最適な処理量がある。また、処理温度が高すぎると処理時間は短くて済むが、処理品質が安定しない、又低すぎると処理に時間が掛かりすぎるので好ましくなく、最適処理温度が存在する。最適処理温度は、被処理光学面の形状、フォトレジストの種類、溶剤の種類に依存し、繰り返しテストすることによって決定される。
このようにして製造されるレンズのレンズ面の最高高さと最低高さの差は、5μm以下であることが好ましい。すなわち、この差が大きくなると、段差を大きくするか使用するマスクの数を大きくしなければならないが、段差を大きくするとレンズの光学特性が悪化する原因になり、マスクの数を多くするとそれだけ露光回数が増えることになる。レンズ面の最高高さと最低高さの差が5μm以下であれば、工程をそれほど複雑にすることなく、実用上十分な精度を有するマイクロレンズが得られる。
以上のようにして製造した、レジストにレンズ形状を持たせたものを中間材料として、レジストと基板をドライエッチングしてレジストを除去することにより、レジストの形状を基板に転写し(レジストと基板とのエッチングレートを考慮して、目的とする形状が基板上に得られるように、あらかじめレジストの形状を調整しておくことは言うまでもない)、基板のみからなるマイクロレンズを形成することもできる。この方法は、例えば特開平9−8266号公報(特許文献5)に記載されて周知のものとなっているので、その説明を省略する。この場合には、レジストとして透光性のあるものを使用する必要はない。
以上説明した方法はフォトリソグラフィ工程により、直接マイクロレンズを製造する方法であったが、これらのものを型として使用し、この型を用いて樹脂製のマイクロレンズアレイを製造してもよい。
このような方法を図3に示す。図3においては、基板11の上にマイクロレンズアレイの形状が形成されたレジスト12を有するものを型として用いる(a)。
この型と、紫外線に対して透明な定盤13の間に、ディスペンサ等を使用して紫外線硬化型樹脂14を注入して押圧した後、定盤13を通して紫外線を照射することにより紫外線硬化型樹脂14を硬化させる(b)。そして、その後、紫外線硬化型樹脂14を型と定盤13から剥がすことにより、樹脂製のマイクロレンズアレイを製造することができる(c)。この場合には、基板11やレジスト12は透明なものでなくても良いことはいうまでもない。
更に、このようにして形成された樹脂製のマイクロレンズアレイを、マイクロレンズアレイとして使用せず、型として使用し、この型と、紫外線に対して透明な定盤13’の間に、ディスペンサ等を使用して紫外線硬化型樹脂14’を注入して押圧した後、定盤13’を通して紫外線を照射することにより紫外線硬化型樹脂14’を硬化させる(d)。そして、その後、紫外線硬化型樹脂14’を型と定盤13’から剥がすことにより、樹脂製のマイクロレンズアレイを製造することができる(e)。
さらに、紫外線硬化型樹脂14’をマイクロレンズアレイとして使用せず、型として使用し、図3(c)〜(d)の工程を繰り返すことにより、多数の型を製造し、これらから多数のマイクロレンズアレイを製造することができる。なお、レジストや樹脂の表面を型として使用する場合には、これらの表面に金属薄膜や誘電体薄膜を形成して、表面を硬化させ、型の耐久性を増すこともできる。使用する金属としては、Cu、Al、Ni、Au等が適当であり、使用する誘電体としては、SiNx、SiO2、Al2O3、Ta2O5、TiO2等が適当である。
又、図1に示したようにして形成されたマイクロレンズ、又はこれにソルベントベーパ処理を施して形成されたマイクロレンズに電鋳を行ってレプリカを製造し、これを型として使用して樹脂を成形し、複数の、樹脂からなるマイクロレンズアレイを製造することもできる。
この例を図4に示す。図4においては、基板11の上にマイクロレンズアレイの形状が形成されたレジスト12を有するものを型として用いる(a)。このレジスト12の上に無電解メッキにより、Ni層15をめっきし、それを電極としてNi電鋳を行って、Ni製のレプリカ16を製造する。そして、このレプリカ16を型として、図3(c)〜(e)に示したように、この型と透明な定盤との間に、ディスペンサ等を使用して紫外線硬化型樹脂を注入して押圧した後、定盤を介して紫外線を照射することにより紫外線硬化樹脂を硬化させ、その後、型と定盤から、硬化した紫外線硬化樹脂を剥離することにより、樹脂製のマイクロレンズアレイを製造することができる。
なお、上述の型は、マイクロレンズアレイの形状が形成されたレジスト12を型の原盤としているが、この他に、レジスト12の形状を基板11に転写し、マイクロレンズアレイの形状が形成された基板11を、型の原盤としてもよい。この基板11を型の原盤とすることで、長寿命の原盤が得られる。
(実施例1)
厚さ2.3mmの6インチ石英基板に膜厚2.5μmのポジ型レジストを塗布した。塗布は回転数1500rpmでおこなった。プリベーク(条件:温度90℃、時間30分)後異なる単純円パターンレチクル8枚を用いて8段の階段状マイクロレンズを製作した。露光に際しては、i線ステッパー(株式会社ニコン社製NSR2205I12D)を用いた。
製作するレジスト製マイクロレンズ形状は、レンズ径240μm(有効径200μm)、SAG量約1.6μmの形状である。各段の高さが0.2μmと等しくなるよう各マスクの円環パターンの輪郭を決定した。
まず、1段目の形状創成のためのマスクn1を用いて、露光時間60msecで露光した。続いて2段目の形状創成をマスクn2を用いて、露光時間120msecで露光した。同様にしてK段目の形状創成はマスクnKを用いて露光時間(60*K)msecで露光を行った。このようにして8枚のマスクを用いて8回の露光後、有機系現像液を用いて現像を行った。
現像後の階段形状のレジスト製マイクロレンズの階段を滑らかにするために、エチルアルコール蒸気に約15分間さらした(ソルベントベーパ処理)。
得られた形状を触針式形状測定装置で測定し、測定データから、測定データに対応する曲率を有する曲面フィッティング計算により求め、求められた曲面からの各点の形状誤差(SAG量の誤差)を求めた。形状誤差を図5に示す。図5から分かるように、形状誤差が100nm程度の高精度なマイクロレンズを製作することができた。
(実施例2)
厚さ2.3mmの6インチ石英基板に膜厚2.5μmのポジ型レジストを塗布した。塗布は回転数1500rpmでおこなった。プリベーク(条件:温度90℃、時間30分)後異なる単純円パターンレチクル8枚を用いて8段の階段状マイクロレンズを製作した。露光に際しては、i線ステッパー(株式会社ニコン社製NSR2205I12D)を用いた。
製作するレジスト製マイクロレンズ形状は、レンズ径240μm(有効径200μm)SAG量約1.6μmの形状である。各段の高さが0.25μmと等しくなるよう各マスクの円環パターンの輪郭を決定した。
まず、1段目の形状創成のためのマスクn1を用いて、露光時間60msecで露光した。続いて2段目の形状創成をマスクn2を用いて、露光時間120msecで露光した。同様にしてK段目の形状創成はマスクnKを用いて露光時間(60*K)msecで行った。このようにして8枚のマスクを用いて8回の露光後、有機系現像液を用いて現像を行った。
現像後の階段形状のレジスト製マイクロレンズの階段を滑らかにするために、エチルアルコール蒸気に約15分間さらした(ソルベントベーパ処理)。このレジスト製マイクロレンズを、ICPドライエッティングにより、石英基板に形状転写した。ドライエッティングの選択比は概ね1である。
得られた形状を触針式形状測定装置で測定し、測定データから、測定データに対応する曲率を有する曲面フィッティング計算により求め、求められた曲面からの各点の形状誤差(SAG量の誤差)を求めた。形状誤差を図6に示す。図6から分かるように、形状誤差が50nm程度の高精度なマイクロレンズを製作することができた。
厚さ2.3mmの6インチ石英基板に膜厚2.5μmのポジ型レジストを塗布した。塗布は回転数1500rpmでおこなった。プリベーク(条件:温度90℃、時間30分)後異なる単純円パターンレチクル8枚を用いて8段の階段状マイクロレンズを製作した。露光に際しては、i線ステッパー(株式会社ニコン社製NSR2205I12D)を用いた。
製作するレジスト製マイクロレンズ形状は、レンズ径240μm(有効径200μm)、SAG量約1.6μmの形状である。各段の高さが0.2μmと等しくなるよう各マスクの円環パターンの輪郭を決定した。
まず、1段目の形状創成のためのマスクn1を用いて、露光時間60msecで露光した。続いて2段目の形状創成をマスクn2を用いて、露光時間120msecで露光した。同様にしてK段目の形状創成はマスクnKを用いて露光時間(60*K)msecで露光を行った。このようにして8枚のマスクを用いて8回の露光後、有機系現像液を用いて現像を行った。
現像後の階段形状のレジスト製マイクロレンズの階段を滑らかにするために、エチルアルコール蒸気に約15分間さらした(ソルベントベーパ処理)。
得られた形状を触針式形状測定装置で測定し、測定データから、測定データに対応する曲率を有する曲面フィッティング計算により求め、求められた曲面からの各点の形状誤差(SAG量の誤差)を求めた。形状誤差を図5に示す。図5から分かるように、形状誤差が100nm程度の高精度なマイクロレンズを製作することができた。
(実施例2)
厚さ2.3mmの6インチ石英基板に膜厚2.5μmのポジ型レジストを塗布した。塗布は回転数1500rpmでおこなった。プリベーク(条件:温度90℃、時間30分)後異なる単純円パターンレチクル8枚を用いて8段の階段状マイクロレンズを製作した。露光に際しては、i線ステッパー(株式会社ニコン社製NSR2205I12D)を用いた。
製作するレジスト製マイクロレンズ形状は、レンズ径240μm(有効径200μm)SAG量約1.6μmの形状である。各段の高さが0.25μmと等しくなるよう各マスクの円環パターンの輪郭を決定した。
まず、1段目の形状創成のためのマスクn1を用いて、露光時間60msecで露光した。続いて2段目の形状創成をマスクn2を用いて、露光時間120msecで露光した。同様にしてK段目の形状創成はマスクnKを用いて露光時間(60*K)msecで行った。このようにして8枚のマスクを用いて8回の露光後、有機系現像液を用いて現像を行った。
現像後の階段形状のレジスト製マイクロレンズの階段を滑らかにするために、エチルアルコール蒸気に約15分間さらした(ソルベントベーパ処理)。このレジスト製マイクロレンズを、ICPドライエッティングにより、石英基板に形状転写した。ドライエッティングの選択比は概ね1である。
得られた形状を触針式形状測定装置で測定し、測定データから、測定データに対応する曲率を有する曲面フィッティング計算により求め、求められた曲面からの各点の形状誤差(SAG量の誤差)を求めた。形状誤差を図6に示す。図6から分かるように、形状誤差が50nm程度の高精度なマイクロレンズを製作することができた。
本発明は、フォトリソグラフィを使用したマイクロレンズ(本明細書及び特許請求の範囲でいうマイクロレンズには、マイクロレンズアレイを含むものとする。又、マイクロレンズとしては、非球面レンズ、シリンドリカルレンズ等、通常レンズとして認められているものは勿論、フレネルレンズや回折格子等レリーフパターン等により光学的パワーを持つもの、その他、表面の形状に起因して光を透過する際に光学的パワーを有するもの一切を含むものである。)の製造方法、及びマイクロレンズ用型の製造方法に関するものである。
マイクロレンズは、ディジタルカメラ、光通信、MEMS分野を中心に実用化され、益々使用範囲が拡大している。
このようなマイクロレンズの製造方法として、例えば特開平7−191209号公報(特許文献1)、特開平8−187781号公報(特許文献2)に記載されるような方法が公知となっている。
これらの方法は、曲面からなるレンズ形状を、階段状の面からなる形状に近似し、基板の上にレジストを塗布し、複数枚のマスクを用いて、各階段状の面に対応した露光量でレジストを露光させ、レジストを現像することにより階段状の面からなるフォトレジストマイクロレンズを製造する方法、及びこのようにして形成されたレジストの形状を、レジストと基板とを同時にエッチングすることにより、基板に転写して、基板からなるマイクロレンズを製造する方法である。
このような、マイクロレンズの製造方法の例を図7に示す。図7は、1点鎖線を中心とする回転対称円形状の断面を示した図である。(b)において、21は、ガラス等の基板、22は、基板21の上に形成しようとするフォトレジストマイクロレンズの曲面を示す。曲面22を23のような階段状の面形状で近似する。この場合、曲面22は球面、面形状23は、半径の異なる円板を積み重ねた場合の面形状となる。
すなわち、表面が曲面22のような形状のフォトレジストマイクロレンズを作る代わりに、表面が面形状23のような段差形状を有するフォトレジストマイクロレンズを形成する。そのために、まず、2点鎖線24で示される高さまで、基板21の上にレジストを塗布する。
一方、これに対応して、(a)の25a〜25fに示すようなマスクを用意する。これらのマスク25a〜25fはガラス等からできており、黒く塗りつぶした部分には、クロム等のめっきが施されて光線を遮光するようになっている。斜めのハッチングを施した部分は透明になっていて光を透過させるようになっている。各マスク25a〜25fには、円環状の開口(光を透過する部分)が形成されている。
これら5枚のマスク25a〜25fを用いてレジスト24を露光する。すると、Aの部分では、全く露光が行われず、Bの部分ではマスク25aによる露光のみが行われ、Cの部分ではマスク25a、25bによる露光が行われ、Dの部分ではマスク25a、25b、25cによる露光が行われ、Eの部分ではマスク25a、25b、25c、25dによる露光が行われ、Fの部分では全マスクによる露光が行われる。
この結果、A、B、C、D、E、Fの各部分による露光量が異なることになり、この違いにより、レジスト24を現像したときに、レジストの表面形状が23で示されるような表面形状となって、階段状の形状を有するフォトレジストマイクロレンズが形成できる。
また、この状態から、レジストと基板21をドライエッチングしてレジストを除去すると、23で示されるような表面形状が基板21に転写され、基板21からなる階段状の形状を有するマイクロレンズが形成される。
このようなマスクと全く異なるグレースケールマスクを使用したマイクロレンズの製造方法が、特表平8−504515号公報(特許文献3)に開示されている。これは、グレースケールマスク(アナログ的とみなせる光透過率の変化を有するマスク)を使用して基板の表面に形成されたレジストを感光させ、レジストを現像することによって、グレースケールに応じた形状の、立体的なレジストパターンを形成し、それをマイクロレンズとするか、あるいは前述のように、さらにレンズ形状となったレジストを基板と共にエッチングすることにより、レンズ形状のレジストのパターンを基板に転写し、基板からなるマイクロレンズを形成するものである。
特開平7−191209号公報
特開平8−187781号公報
しかしながら、前記特許文献1、特許文献2に記載されたようなマイクロレンズの製造方法においては、以下のような問題点がある。図7においては、簡単化のために5枚のマスクを使用して露光するようにしているが、形状を精密に近似しようとするとマスクの枚数が多くなり、通常10枚以上のマスクが必要となる。
一方、レジストが現像されたときに失われる量(「感光量」と称することとする)と露光量との間には、正確な加法性が成り立たない。すなわち、(a+b)の露光量を一度に与えたときと、aの露光量とbの露光量を別々に与えた場合では、感光量は同一にならない。
さらに、aの露光量とbの露光量を別々に与えた場合に、どの程度の感光量になるかは、レジストのプリベーク条件、プリベークしてから露光するまでの時間、露光してから現像するまでの時間によって変化する。また、所定の階段状部分の感光量を調整するために、あるマスクを用いたときの露光量を変化させると、その露光量の変化が別の階段状部分の感光量に影響を与えることになる。従って、前記特許文献1、特許文献2に記載されたようなマイクロレンズの製造方法で、精密階段状のレジスト形状を形成することは、現実には困難である。
また、階段状の形状を目的とする曲面形状とするために、熱フロー処理を行っている。熱フロー処理は、レジストを熱することにより変形を起こさせ、表面を滑らかにするものである。しかしながら、この方法では、レジストが内部まで加熱されるため、レジストの変形が大きくなり、階段状の形状の表面が滑らかになるだけにとどまらず、形状(例えば曲率)そのものが変化してしまう可能性があるという問題点もある。
一方、グレースケールマスクを使用した方法では、開口面積と遮光面積を正確に制御してマスクを製造する必要があり、マスクを製造するために特別の設備と技術を必要とするという問題点がある。さらに、レジストの露光量と感光量との関係が変化した場合は、形成されるマイクロレンズの形状が変化することが避けられないが、この変化を調整することが困難であるという問題点がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、簡単な方法で製造が可能であり、レジストの条件が変化した場合でも容易に調整が可能なマイクロレンズの製造方法、及びマイクロレンズ用型の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための第1の手段は、凹形状、凸形状、又は凹凸形状を近似した階段状のパターンから形成されるマイクロレンズの製作方法であって、基板上にレジストを塗布し、前記階段状部分で同じ高さとなる領域を、それぞれ1枚ずつのマスクを使用して露光し、その後レジストを現像する工程を有することを特徴とするマイクロレンズの製造方法である。
本手段においては、曲面を階段状のパターンにより近似したレジスト形状を有するマイクロレンズを形成するに際し、階段状部分で同じ高さとなる領域を、それぞれ1枚ずつのマスクを使用して露光し、その後レジストを現像する工程を有する。よって、レジストの露光量と感光量との関係が変化する場合でも、各々のマスクを使用して露光を行うときの露光量を調整する(例えば露光時間を調整したり、光源の強度を調整する)ことによって、容易に目的とするレジストの感光量を得ることができ、1つの階段状部分での調整結果が、他の階段状部分に影響を与えることがない。よって、簡単な方法でマイクロレンズの製造が可能であり、レジストの条件が変化した場合でも容易に調整が可能である。
本手段においては、各マスクを使用して露光する領域の位置合わせを正確に行わなければならないという問題点があるが、これは現状のステッパーを使用すれば十分に対応が可能である。
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記レジストを現像した後、前記レジストと前記基板を同時にエッチングすることにより前記レジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を前記基板に転写する工程を有することを特徴とするものである。
本手段においては、レジストと基板を同時にエッチングすることによりレジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を基板に転写するという公知の工程を組み合わせることにより、基板のみからなる高精度のマイクロレンズを製造することができる。
前記課題を解決するための第3の手段は、レンズの形状を凹形状、凸形状、又は凹凸形状を近似した階段状のパターンに近似し、前記第1の方法により、前記階段状の形状のレジストを有するマイクロレンズを製造し、その後、前記レジストを溶解する溶剤の蒸気の雰囲気中に曝露することにより、前記階段状の部分を滑らかにする工程を有することを特徴とするマイクロレンズの製造方法である。
本手段においては、前記第1の方法により階段状の形状のレジストを有するマイクロレンズを製造した後に、レジストを溶解する溶剤の蒸気の雰囲気中に曝露することにより(ソルベントベーパ法と呼ばれる)、階段状の部分を滑らかにする工程を有している。
ソルベントベーパ法とは、特開2004−198735号公報に記載される技術であり、レジストを溶解する溶剤の上記にレジスト層を曝露することにより、レジストの表面のみを溶解し、レジスト表面をなだらかにする技術である。
本手段によれば、階段状の表面をなだらかにし、目標とする面形状に近づけることができる。さらに、熱フローを用いる場合と異なり、レジストの溶解が表面近傍のみに留まるので、レジストが大きく変形して、例えば曲率の変化をもたらすようなことがない。
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第3の手段であって、前記レジストの階段状の部分を滑らかにした後、前記レジストと前記基板を同時にエッチングすることにより前記レジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を前記基板に転写する工程を有することを特徴とするものである。
本手段においては、レジストと基板を同時にエッチングすることによりレジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を基板に転写するという公知の工程を用いることにより、基板のみからなるマイクロレンズを製造することができる。
前記課題を解決するための第5の手段は、前記際1の手段から第4の手段のいずれかにおけるマイクロレンズを、マイクロレンズ製造用型に代えたマイクロレンズ用型の製造方法である。
前記第1の手段から第5の手段においては、マイクロレンズを製造していたが、製造されたものを、マイクロレンズとしてではなくマイクロレンズ製造用の型として用いることもできる。この場合には、レジストは必ずしも透明なものでなくてもよい。さらに、レジストや基板の表面にニッケルメッキ等を施して、型としての耐用性を高めるようにしてもよい。
本発明によれば、簡単な方法で製造が可能であり、レジストの条件が変化した場合でも容易に調整が可能なマイクロレンズの製造方法、及びマイクロレンズ用型の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態の例を図を用いて説明する。図1は、フォトレジスト球面マイクロレンズを製造する場合の例を示す図である。図1は、1点鎖線を中心とする回転対称円形状の、中心から外周までの断面を示した図である。(b)において、1は、ガラス等の基板、2は、基板1の上に形成しようとするフォトレジストマイクロレンズの曲面を示す。曲面2を3のような階段状の面形状で近似する。この場合、曲面2は球面、面形状3は、半径の異なる円板を積み重ねた場合の階段状の面形状となる。
すなわち、表面が曲面2のような形状のフォトレジストマイクロレンズを作る代わりに、表面が面形状3のような段差形状を有するフォトレジストマイクロレンズを形成する。そのために、まず、2点鎖線4で示される高さまで、基板1の上にレジストを塗布する。
一方、これに対応して、(a)の5a〜5fに示すようなマスクを用意する。これらのマスク5a〜5fはガラス等からできており、黒く塗りつぶした部分には、クロム等のめっきが施されて光線を遮光するようになっている。斜めのハッチングを施した円環状の部分は透明になっていて光を透過させるようになっている。各マスクは、およそ同じ高さとなる領域のみに開口(光が透過する部分)が形成されている。本実施の形態の場合は、回転対称形状であるので、円環状の開口を各窓が有している。
これら5枚のマスク5a〜5fを用いてレジスト4を露光する。すると、Aの部分では、全く露光が行われず、Bの部分ではマスク5aのみによる露光のみが行われ、Cの部分ではマスク5bのみによる露光が行われ、Dの部分ではマスク5cのみによる露光が行われ、Eの部分ではマスク5dのみによる露光が行われ、Fの部分ではマスク5fのみによる露光が行われる。各マスクを用いた露光に際しては、各照射領域のSAG量(感光量)に応じた露光量で露光を行う。
この結果、A、B、C、D、E、Fの各部分による露光量が異なることになり、この違いにより、レジスト4を現像したときに、レジストの表面形状が3で示されるような表面形状となり、階段状の形状を有するフォトレジストマイクロレンズが形成できる。
また、この状態から、レジストと基板1をドライエッチングしてレジストを除去すると、3で示されるような表面形状が基板1に転写され、基板1からなる階段状の形状を有するマイクロレンズが形成される。
この実施の形態においては、A、B、C、D、E、Fの各部分とも、それぞれ1枚のマスクにより露光が行われる。各部分での露光量は、目的とする各部分の感光量(SAG量に対応する)に応じて決定され、この実施の形態においては、露光時間を変えることにより容易に調整できる。光源の強さを代えることにより調整してもよい。
そして、各マスクを使用したときの露光量を変えたとしても、そのマスクにより露光される領域が影響を受けるだけであり、他の領域は影響を受けない。従って、レジストのプリベークの条件や、プリベークしてから露光までの時間等により露光量と感光量の関係が変わったとしても、変わった関係を把握して、各マスクを使用して露光を行う領域に必要とされる感光量に応じて、新しい露光量を各マスクごとに決定してやればよいので、従来の多重露光用マスクを使用する場合に比べて、調整が著しく簡単になる。
図1は、球面レンズの場合について説明したが、非球面レンズ、シリンドリカルレンズ、フレネルレンズや回折格子等レリーフパターン等により光学的パワーを持つもの、その他、表面の形状に起因して光を透過する際に光学的パワーを有するものを製造する場合にも同じような手法により製造できる。
すなわち、このような光学素子を高さ方向に所定数に切断するような仮想的な複数の面(必ずしも高さ方向に等間隔でなくてもよい)を考え、このような面で仮想的に切断を行うと、平面図で見て等高線により切断された図形が描かれる。この等高線と、隣り合う等高線との間が透光部となるようなマスクを製造し、各マスクを用いて、レジストの露光を行う。そのとき、必要な感光量に応じて、各マスクを使用したときの露光量を決定することはいうまでもない。
いずれの場合も、以上のような製造工程で製造されたレンズは、レジストが光学基材となり光学パワーを生じるものとなっている。そして、レジストには段差構造が形成されているので、厳密には目標となる表面形状とはなっていない。このようなレンズを、目標形状により近づける方法の例を、図2を用いて説明する。これは、いわゆるソルベントベーパ法により、レジストの表面をなだらかにする方法である。
シャーレ8の中に、基板6上に形成されたレンズ形状を有するレジスト7(図ではマイクロレンズアレイを示している)を溶解する溶剤9を入れ、蓋(図示せず)をする。
例えば、フォトレジストとしてノボラック樹脂系のポジ型フォトレジストを使用した場合、溶剤としてPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を使用する。そして、一定温度(例えば23℃)に保つことにより、シャーレ8内の溶剤蒸気10の圧力は飽和蒸気圧に達する。この溶剤蒸気10は、PGMEAの蒸気である。
この状態を乱さないように、前記蓋を素早くマイクロレンズアレイ形状が形成されたレジスト7を有する基板6と交換し、レジスト7を下に向けた状態で密閉する。このとき、基板6がシャーレ8の蓋の役割をし、溶剤蒸気10の飽和蒸気圧は維持される。
このようにして、溶剤蒸気10にレジスト7の表面を曝露する。すると、マイクロレンズを形成するレジストの表面が溶解されることにより、各マイクロレンズに形成された段差が解消され、表面がなめらかになる。
ソルベントベーパ法において、フォトレジスト層に用いるフォトレジストは、好ましくはノボラック樹脂である。ソルベントベーパ法に用いるフォトレジストを溶解する溶剤(以下単に溶剤と呼ぶ)としては、処理の対象の光学面が形成されたフォトレジスト層を溶解するものであれば、特に、フォトレジストの希釈や、洗浄等に一般的に用いるものに限定されるものではなく、ケトン類、アルコール類の他、ジオキサンやエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系のものが好ましく、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテル)がより好ましい。又、ある種のシンナー(例えば、東京応化社製 PMシンナー)も好ましく使うことが出来る。
ソルベントベーパ法に用いる溶剤の蒸気は、例えば、フォトレジストを溶解する溶剤を適当な温度に保つことにより、この溶剤の液面から溶剤蒸気を蒸発させて得られる。
ソルベントベーパ法の処理を安定的に行なう為には、ソルベントベーパ法の処理中におけるこの溶剤の蒸気圧を空間的に一様で、時間的に一定とすることが好ましい。その為に、この溶剤の蒸気圧が、温度一定の下で、溶剤から蒸発(気化)した蒸気の量とこの溶剤の液面に戻る(液化)蒸気の量とが平衡する飽和蒸気圧で、この飽和蒸気に被処理光学素子を曝露する処理を行なうことが好ましい。その一方法として、密閉容器中で溶剤を所定温度Tに保ち、溶剤を蒸発させ、同時に密閉容器の内面を温度Tに保つ方法がある。
又、ソルベントベーパ法の処理を行なうために、被処理光学素子を密閉容器にセットする際に、被処理光学素子も予め温度Tに保っておくことが好ましい。
ソルベントベーパ法においては、溶剤蒸気が処理対象のフォトレジスト層の光学面の段差に化学的に作用し、この段差の表面だけを溶解させることによって処理が進行する。その処理条件は、溶剤の種類、処理温度、処理時間を調整することで適正化される。この適正化された条件で処理を行なうことにより、被処理光学素子の光学面の段差はなめらかになり、光学面の形状精度は変化しない。
ソルベントベーパ法の処理中に、処理温度Tが上昇すると、溶剤の蒸気圧は上昇するので、被処理の凹凸部に到達する溶剤蒸気の量が増えて、処理速度が高まる。凹凸度が処理される程度、即ち処理量は、処理速度と処理時間との積に比例して増える。処理量は少なすぎると、凹凸度の改善効果が不充分であり、多すぎると光学面の形状精度を変化させてしまうので、最適な処理量がある。また、処理温度が高すぎると処理時間は短くて済むが、処理品質が安定しない、又低すぎると処理に時間が掛かりすぎるので好ましくなく、最適処理温度が存在する。最適処理温度は、被処理光学面の形状、フォトレジストの種類、溶剤の種類に依存し、繰り返しテストすることによって決定される。
このようにして製造されるレンズのレンズ面の最高高さと最低高さの差は、5μm以下であることが好ましい。すなわち、この差が大きくなると、段差を大きくするか使用するマスクの数を大きくしなければならないが、段差を大きくするとレンズの光学特性が悪化する原因になり、マスクの数を多くするとそれだけ露光回数が増えることになる。レンズ面の最高高さと最低高さの差が5μm以下であれば、工程をそれほど複雑にすることなく、実用上十分な精度を有するマイクロレンズが得られる。
以上のようにして製造した、レジストにレンズ形状を持たせたものを中間材料として、レジストと基板をドライエッチングしてレジストを除去することにより、レジストの形状を基板に転写し(レジストと基板とのエッチングレートを考慮して、目的とする形状が基板上に得られるように、あらかじめレジストの形状を調整しておくことは言うまでもない)、基板のみからなるマイクロレンズを形成することもできる。この方法は、例えば特開平9−8266号公報(特許文献5)に記載されて周知のものとなっているので、その説明を省略する。この場合には、レジストとして透光性のあるものを使用する必要はない。
以上説明した方法はフォトリソグラフィ工程により、直接マイクロレンズを製造する方法であったが、これらのものを型として使用し、この型を用いて樹脂製のマイクロレンズアレイを製造してもよい。
このような方法を図3に示す。図3においては、基板11の上にマイクロレンズアレイの形状が形成されたレジスト12を有するものを型として用いる(a)。
この型と、紫外線に対して透明な定盤13の間に、ディスペンサ等を使用して紫外線硬化型樹脂14を注入して押圧した後、定盤13を通して紫外線を照射することにより紫外線硬化型樹脂14を硬化させる(b)。そして、その後、紫外線硬化型樹脂14を型と定盤13から剥がすことにより、樹脂製のマイクロレンズアレイを製造することができる(c)。この場合には、基板11やレジスト12は透明なものでなくても良いことはいうまでもない。
更に、このようにして形成された樹脂製のマイクロレンズアレイを、マイクロレンズアレイとして使用せず、型として使用し、この型と、紫外線に対して透明な定盤13’の間に、ディスペンサ等を使用して紫外線硬化型樹脂14’を注入して押圧した後、定盤13’を通して紫外線を照射することにより紫外線硬化型樹脂14’を硬化させる(d)。そして、その後、紫外線硬化型樹脂14’を型と定盤13’から剥がすことにより、樹脂製のマイクロレンズアレイを製造することができる(e)。
さらに、紫外線硬化型樹脂14’をマイクロレンズアレイとして使用せず、型として使用し、図3(c)〜(d)の工程を繰り返すことにより、多数の型を製造し、これらから多数のマイクロレンズアレイを製造することができる。なお、レジストや樹脂の表面を型として使用する場合には、これらの表面に金属薄膜や誘電体薄膜を形成して、表面を硬化させ、型の耐久性を増すこともできる。使用する金属としては、Cu、Al、Ni、Au等が適当であり、使用する誘電体としては、SiNx、SiO2、Al2O3、Ta2O5、TiO2等が適当である。
又、図1に示したようにして形成されたマイクロレンズ、又はこれにソルベントベーパ処理を施して形成されたマイクロレンズに電鋳を行ってレプリカを製造し、これを型として使用して樹脂を成形し、複数の、樹脂からなるマイクロレンズアレイを製造することもできる。
この例を図4に示す。図4においては、基板11の上にマイクロレンズアレイの形状が形成されたレジスト12を有するものを型として用いる(a)。このレジスト12の上に無電解メッキにより、Ni層15をめっきし、それを電極としてNi電鋳を行って、Ni製のレプリカ16を製造する。そして、このレプリカ16を型として、図3(c)〜(e)に示したように、この型と透明な定盤との間に、ディスペンサ等を使用して紫外線硬化型樹脂を注入して押圧した後、定盤を介して紫外線を照射することにより紫外線硬化樹脂を硬化させ、その後、型と定盤から、硬化した紫外線硬化樹脂を剥離することにより、樹脂製のマイクロレンズアレイを製造することができる。
なお、上述の型は、マイクロレンズアレイの形状が形成されたレジスト12を型の原盤としているが、この他に、レジスト12の形状を基板11に転写し、マイクロレンズアレイの形状が形成された基板11を、型の原盤としてもよい。この基板11を型の原盤とすることで、長寿命の原盤が得られる。
(実施例1)
厚さ2.3mmの6インチ石英基板に膜厚2.5μmのポジ型レジストを塗布した。塗布は回転数1500rpmでおこなった。プリベーク(条件:温度90℃、時間30分)後異なる単純円パターンレチクル8枚を用いて8段の階段状マイクロレンズを製作した。露光に際しては、i線ステッパー(株式会社ニコン社製NSR2205I12D)を用いた。
厚さ2.3mmの6インチ石英基板に膜厚2.5μmのポジ型レジストを塗布した。塗布は回転数1500rpmでおこなった。プリベーク(条件:温度90℃、時間30分)後異なる単純円パターンレチクル8枚を用いて8段の階段状マイクロレンズを製作した。露光に際しては、i線ステッパー(株式会社ニコン社製NSR2205I12D)を用いた。
製作するレジスト製マイクロレンズ形状は、レンズ径240μm(有効径200μm)、SAG量約1.6μmの形状である。各段の高さが0.2μmと等しくなるよう各マスクの円環パターンの輪郭を決定した。
まず、1段目の形状創成のためのマスクn1を用いて、露光時間60msecで露光した。続いて2段目の形状創成をマスクn2を用いて、露光時間120msecで露光した。同様にしてK段目の形状創成はマスクnKを用いて露光時間(60*K)msecで露光を行った。このようにして8枚のマスクを用いて8回の露光後、有機系現像液を用いて現像を行った。
現像後の階段形状のレジスト製マイクロレンズの階段を滑らかにするために、エチルアルコール蒸気に約15分間さらした(ソルベントベーパ処理)。
得られた形状を触針式形状測定装置で測定し、測定データから、測定データに対応する曲率を有する曲面フィッティング計算により求め、求められた曲面からの各点の形状誤差(SAG量の誤差)を求めた。形状誤差を図5に示す。図5から分かるように、形状誤差が100nm程度の高精度なマイクロレンズを製作することができた。
(実施例2)
厚さ2.3mmの6インチ石英基板に膜厚2.5μmのポジ型レジストを塗布した。塗布は回転数1500rpmでおこなった。プリベーク(条件:温度90℃、時間30分)後異なる単純円パターンレチクル8枚を用いて8段の階段状マイクロレンズを製作した。露光に際しては、i線ステッパー(株式会社ニコン社製NSR2205I12D)を用いた。
厚さ2.3mmの6インチ石英基板に膜厚2.5μmのポジ型レジストを塗布した。塗布は回転数1500rpmでおこなった。プリベーク(条件:温度90℃、時間30分)後異なる単純円パターンレチクル8枚を用いて8段の階段状マイクロレンズを製作した。露光に際しては、i線ステッパー(株式会社ニコン社製NSR2205I12D)を用いた。
製作するレジスト製マイクロレンズ形状は、レンズ径240μm(有効径200μm)SAG量約1.6μmの形状である。各段の高さが0.25μmと等しくなるよう各マスクの円環パターンの輪郭を決定した。
まず、1段目の形状創成のためのマスクn1を用いて、露光時間60msecで露光した。続いて2段目の形状創成をマスクn2を用いて、露光時間120msecで露光した。同様にしてK段目の形状創成はマスクnKを用いて露光時間(60*K)msecで行った。このようにして8枚のマスクを用いて8回の露光後、有機系現像液を用いて現像を行った。
現像後の階段形状のレジスト製マイクロレンズの階段を滑らかにするために、エチルアルコール蒸気に約15分間さらした(ソルベントベーパ処理)。このレジスト製マイクロレンズを、ICPドライエッティングにより、石英基板に形状転写した。ドライエッティングの選択比は概ね1である。
得られた形状を触針式形状測定装置で測定し、測定データから、測定データに対応する曲率を有する曲面フィッティング計算により求め、求められた曲面からの各点の形状誤差(SAG量の誤差)を求めた。形状誤差を図6に示す。図6から分かるように、形状誤差が50nm程度の高精度なマイクロレンズを製作することができた。
Claims (8)
- 凹形状、凸形状、又は凹凸形状を近似した階段状のパターンから形成されるマイクロレンズの製作方法であって、基板上にレジストを塗布し、前記階段状部分で同じ高さとなる領域を、それぞれ1枚ずつのマスクを使用して露光し、その後レジストを現像する工程を有することを特徴とするマイクロレンズの製造方法。
- 請求の範囲第1項に記載のマイクロレンズの製造方法であって、前記レジストを現像した後、前記レジストと前記基板を同時にエッチングすることにより前記レジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を前記基板に転写する工程を有することを特徴とするマイクロレンズの製造方法。
- レンズの形状を凹形状、凸形状、又は凹凸形状を近似した階段状のパターンに近似し、請求の範囲第1項に記載の方法により、前記階段状の形状のレジストを有するマイクロレンズを製造し、その後、前記レジストを溶解する溶剤の蒸気の雰囲気中に曝露することにより、前記階段状の部分を滑らかにする工程を有することを特徴とするマイクロレンズの製造方法。
- 請求の範囲第3項に記載のマイクロレンズの製造方法であって、前記レジストの階段状の部分を滑らかにした後、前記レジストと前記基板を同時にエッチングすることにより前記レジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を前記基板に転写する工程を有することを特徴とするマイクロレンズの製造方法。
- 凹形状、凸形状、又は凹凸形状を近似した階段状のパターンから形成されるマイクロレンズ用型の製作方法であって、基板上にレジストを塗布し、前記階段状部分で同じ高さとなる領域を、それぞれ1枚ずつのマスクを使用して露光し、その後レジストを現像する工程を有することを特徴とするマイクロレンズ用型の製造方法。
- 請求の範囲第5項に記載のマイクロレンズ用型の製造方法であって、前記レジストを現像した後、前記レジストと前記基板を同時にエッチングすることにより前記レジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を前記基板に転写する工程を有することを特徴とするマイクロレンズ用型の製造方法。
- レンズの形状を凹形状、凸形状、又は凹凸形状を近似した階段状のパターンに近似し、請求の範囲第5項に記載の方法により、前記階段状の形状のレジストを有するマイクロレンズ用型を製造し、その後、前記レジストを溶解する溶剤の蒸気の雰囲気中に曝露することにより、前記階段状の部分を滑らかにする工程を有することを特徴とするマイクロレンズ用型の製造方法。
- 請求の範囲第7項に記載のマイクロレンズ用型の製造方法であって、前記レジストの階段状の部分を滑らかにした後、前記レジストと前記基板を同時にエッチングすることにより前記レジストを除去し、前記レジストに形成されていた形状を前記基板に転写する工程を有することを特徴とするマイクロレンズ用型の製造方法。
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