JPWO2006030846A1 - 成長段階でコムギの二次加工性状を推定する方法 - Google Patents

成長段階でコムギの二次加工性状を推定する方法 Download PDF

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Abstract

収穫したコムギから得られるコムギ粉の二次加工性状を、コムギ種子が成熟する以前の早期段階で推定する手段を提供する。本発明は、未成熟コムギにおいて、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子から選ばれる少なくとも1種の遺伝子の発現量を測定することを含む、コムギの完熟種子における二次加工性状を推定する方法に関する。

Description

本発明は、成長段階にあるコムギにおいて遺伝子マーカーを検出し、早期にコムギの二次加工性状を推定する方法に関する。
コムギ、特に日本国内で生産されるコムギは、生産年度による品質のぶれが問題となる。この原因は、特に日本国内では、比較的栽培面積が小さいところに多品種を生産していること、年度ごとの気象条件が種子の品質に影響していることなどが挙げられる。ところが、種子が完熟するまで二次加工性状を推定することが困難であることから、低品質のコムギを購買してしまうというリスクがあり、種子が成熟する以前の早期段階で将来の完熟種子の二次加工性状を推定する技術の開発が望まれていた。
このような状況下、コムギの二次加工性状を支配する遺伝子が、いくつか報告されている。その中でも、高分子量グルテニンサブユニット、プロインドリン及びワキシータンパク質について研究が行われている。
コムギの高分子量グルテニンは、製パン適性を決定付けるタンパク質として古くから研究がなされている。Payneらは、高分子量グルテニンをコードする遺伝子が第一染色体の長腕に存在することを明らかにした(非特許文献1)。これらは異なる分子量のサブユニットをコードしており、D1染色体には、優れた製パン適性と関連の深いサブユニットペア(1Dx51Dy10)が存在する(非特許文献2)。これを、劣った製パン適性と関連するサブユニット(1Dx21Dy12)と、アミノ酸配列について比較したところ、グルテンの構造や物理的特徴と関連することが示された(非特許文献3)。実際に、1Dx5を元来持っていないコムギにこれを遺伝子導入した場合、導入された遺伝子のコピー数に応じて製パン適性が向上したという報告がある(非特許文献4)。さらに、フロリダ大学は、製パン適性を改良する目的で、高分子量グルテニンサブユニットを形質転換によって導入する方法を開示している(特許文献1)。
プロインドリンは、薄力粉に特徴的な澱粉結合性タンパク質「Grain Softness Protein」として同定された(非特許文献5及び6)。このタンパク質は当初フライアビリンと名づけられた。該タンパク質は、2つの主要なコンポーネントを有し、これらはプロインドリンa及びbとして知られる脂質結合性タンパク質と相同であることが明らかになった。このタンパク質が含まれていない強力小麦粉にこのタンパク質を加えていくとその添加量とパンの硬さが逆相関を示した。このことからプロインドリンは、パンの品質に影響を与える因子であることが示された(非特許文献7)。
ワキシータンパク質も澱粉結合性タンパク質として研究されてきた。穀物の澱粉には、直鎖状のアミロースと分岐構造を持つアミロペクチンの2種類がある。イネ及び大麦などの多くの穀物には、アミロースとアミロペクチンの両方の分子を含む「ウルチ性品種」と、アミロースを含まない「モチ性品種」のものがある。コムギについては、「モチ性」のものが天然には知られていなかったが、最近、東北農業研究センターが世界で初のモチ性コムギを開発することに成功した。ウルチ性コムギにはWxタンパク質が存在しているのに対して、モチ性コムギではWxタンパク質の存在が見られない。普通系コムギ(Triticum aestivum L.)は3種のWx遺伝子を有する6倍体であり、Wx−A1Wx−B1Wx−D1を染色体腕7AS、4AL、及び7DS上にもつ。特許文献2には、コムギにおける3種のWx遺伝子(Wx−A1Wx−B1Wx−D1)の発現の有無を二次元電気泳動法を用いて確認する方法が記載されている。また、同特許公報には、Wx遺伝子2種の発現を欠いたコムギ変異体を交配に用いてモチ性コムギを作出する方法が記載されている。さらに特許文献3には、モチ性コムギから製造した小麦粉を0.5〜30重量%含有する穀粉を用いて製造したパン類であって、冷蔵保存後又は冷凍保存後解凍して喫食しても食感が劣化しないパン類が記載されている。ワキシータンパク質をコードしている遺伝子はワキシー座遺伝子として知られている。この3種類の変異型のワキシー座遺伝子を検出する方法が特許文献4に記載されている。
このように、コムギにおけるタンパク質の性状及び澱粉の性状を支配する遺伝子がいくつか知られており、従来の育種法や遺伝子組み換えにより作出されたコムギの粉を用い、製パン試験を含む二次加工試験や生地物性を調査することにより、その機能が実証されている。
しかし、上記の知見は特定の遺伝子とコムギの二次加工性状との関係を示したに過ぎず、また、コムギの二次加工性状には、上記以外にも多くの因子が関係するものと考えられる。従って、成長段階の未成熟コムギの段階で、将来結実した種子のもつ二次加工性状を推定することは困難であった。
Payne, P.I., Holt, L.M., Law, C.N. (1981) Theor Appl Genet 60:229-236 Payne, P.I., Corfield, K. G., Holt, L. M., Blackman, J. A. (1981) J Sci Food Agric 32:51-60 Flavell, R. B., Goldsbrough, A.P., Robert, L.S., Schnick, D., Thompson, R.D. (1989) Barro, F., Rooke, B., Bekes, F., Gras, P., Tatham, A.S., Fido, R., Lazzeri, P.S., Shewry, P.R. and Barcelo, P. (1997) Nature Biotec 15:1295-1299 Greenwell, P. and Schofield, J. (1986) Cereal Chem. 63:379-380 Jolly, C.J., Rahman, S., Kortt, A.A. and Higgins, T.J.V. (1993) Theor Appl Genet 86:589-597 Dubreil, L., Meliande, S., Chiron, H., Compoint, J.P., Quillien, L. Branlard, G. and Marion, D. (1998) Cereal Chem. 75:222-229 特表2000−516097号公報 特許第3170595号公報 特開平9−191819号公報 特開2003−284598号公報
本発明の課題は、収穫したコムギから得られるコムギ粉の二次加工性状を、コムギ種子が成熟する以前の早期段階で推定する手段を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、成熟前の早期段階において発現量が変化し、その発現量の変化が将来の完熟種子の二次加工性状と関連する遺伝子マーカーを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)未成熟コムギにおいて、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子から選ばれる少なくとも1種の遺伝子の発現量を測定することを含む、コムギの完熟種子における二次加工性状を推定する方法。
(2)少なくとも、配列番号1、8、34、48及び45のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子から選ばれる少なくとも1種の遺伝子の発現量を測定することを含む、(1)記載の方法。
(3)逆転写定量PCR法により遺伝子の発現量を測定する、(1)又は(2)記載の方法。
(4)未成熟コムギを用いてコムギの完熟種子における二次加工性状を推定するためのキットであって、
配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子を特異的に増幅するための、10〜40塩基長の連続したプライマーから選ばれる少なくとも1のプライマー、及び/又は配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子に特異的にハイブリダイズする、10〜40塩基長の連続したプローブから選ばれる少なくとも1のプローブを含む、該キット。
(5)配列番号1、8、34、48及び45のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子を特異的に増幅するための、10〜40塩基長の連続したプライマーから選ばれる少なくとも1のプライマー、及び/又は配列番号1、8、34、48及び45のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子に特異的にハイブリダイズする、10〜40塩基長の連続したプローブから選ばれる少なくとも1のプローブを含む、(4)記載のキット。
(6)配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子から選ばれる遺伝子の少なくとも1種に特異的にハイブリダイズする、少なくとも10塩基の連続したプローブを含む、未成熟コムギを用いてコムギの完熟種子における二次加工性状を推定するためのアレイ。
(7)配列番号1、8、34、48及び45のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子から選ばれる遺伝子の少なくとも1種に特異的にハイブリダイズする、少なくとも10塩基の連続したプローブを含む、未成熟コムギを用いてコムギの完熟種子における二次加工性状を推定するためのアレイ。
本発明により、コムギ種子が成熟する以前の早期段階で、将来のコムギ完熟種子の二次加工性状を推定することが可能になる。それにより、低品質のコムギを購買するリスクを低減することができる。
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願第2004−271391号の明細書、請求の範囲および/または図面に記載された内容を包含する。
本発明者らは、登熟期に高温又は低温にさらされたときに、その発現量が変化する遺伝子を見いだし、未成熟コムギにおいて該遺伝子をマーカーとしてその発現量を測定することにより、将来の完熟種子の二次加工性状を推定できることを見いだした。
本発明において、コムギとは、イネ科コムギ属に属する植物を意味し、例えば、パンコムギ、タルホコムギ、マカロニコムギ等を挙げることができるが、コムギに分類されるものであれば、これらに限定されるものではない。本発明は、パンコムギ、特にTriticum aestivumにおいて好適に用いられる。
本発明の方法においてマーカーとして用いられる遺伝子は、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子であり、これらから選ばれる少なくとも1種の遺伝子の発現量を測定する。本発明においては、好ましくは配列番号1、8、34、48及び45のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子から選ばれる少なくとも1種の遺伝子、好ましくは5種の遺伝子の発現量を測定する。
本発明において、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子には、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列からなる遺伝子、及び該遺伝子と機能的に同等な遺伝子が包含される。ここで「機能的に同等」とは、対象となる遺伝子によってコードされるポリペプチドが、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列からなる遺伝子によってコードされるポリペプチドと同等の生物学的機能、生化学的機能を有することを指す。
あるポリペプチドと機能的に同等なポリペプチドをコードするDNAを調製する当業者によく知られた方法としては、ハイブリダイゼーション技術(Sambrook, J et al., Molecular Cloning 2nd ed., 9.47-9.58, Cold Spring Harbor Lab. press, 1989)を利用する方法が挙げられる。
機能的に同等な遺伝子は、通常、アミノ酸配列レベルにおいて高い相同性を有する。高い相同性とは、アミノ酸レベルにおいて、通常、少なくとも50%以上の同一性、好ましくは75%以上の同一性、さらに好ましくは85%以上の同一性、さらに好ましくは95%以上の同一性を指す。アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、Karlin及びAltschulによるアルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877, 1993)によって決定することができる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である。なお、本明細書中において、「遺伝子」という用語には、DNAのみならずそのmRNAやcDNAも含むものとする。また、全長遺伝子のみならずESTも含むものとする。
従って、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子には、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列からなる遺伝子が包含される。配列番号1〜121のいずれかの塩基配列の全部又は一部を含む塩基配列からなる遺伝子の塩基長は、機能的に同等の遺伝子をコードする限り特に制限されない。塩基配列の一部とは、各塩基配列の一部分の塩基配列であって、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズさせるのに十分な塩基配列の長さを有するものであり、例えば、少なくとも50塩基、好ましくは少なくとも100塩基、より好ましくは少なくとも200塩基の配列である。好ましくは各塩基配列において連続する少なくとも50塩基、好ましくは少なくとも100塩基、より好ましくは少なくとも200塩基の配列である。ここで「連続する」とは、基準とする塩基配列のうち連続した塩基配列を含むことを意味する。
本明細書において、ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいい、すなわち、各遺伝子に対し高い相同性(相同性が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上)を有するオリゴヌクレオチドがハイブリダイズする条件をいう。より具体的には、このような条件は、0.5〜1MのNaCl存在下42〜68℃で、又は50%ホルムアミド存在下42℃で、又は水溶液中65〜68℃で、ハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC溶液を用いて室温〜68℃でフィルターを洗浄することにより達成できる。
上記遺伝子の発現量の測定は、当技術分野で通常用いられる方法で実施することができ、好ましくは、未成熟コムギに由来する試料において、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子から選ばれる少なくとも1種の遺伝子をコードするRNAを検出する方法が挙げられる。ここで、RNAの検出には、mRNAの検出だけでなく、RNAから変換されたcDNAやcRNAの検出も包含される。
試料中の配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子をコードするRNAを検出する方法としては、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子を特異的に増幅するための、10〜40塩基長の連続したプライマー、及び/又は配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子を特異的にハイブリダイズする、10〜40塩基長の連続したプローブから選ばれる少なくとも1のプローブを用いる方法が挙げられる。
配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子を特異的に増幅するためのプライマーは、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列において、その一部を増幅するものであってもよい。例えば、配列番号1の27〜176位の塩基配列、配列番号8の150〜250位の塩基配列、配列番号34の12〜80位の塩基配列、配列番号48の40〜149位の塩基配列、配列番号45の69〜216位の塩基配列を増幅するものでもよい。
特定の遺伝子を特異的に増幅するためのプライマー及び特定の遺伝子に特異的にハイブリダイズするプローブの設計は、当技術分野において通常用いられる方法によって実施できる。プライマーの長さは、通常10塩基以上、好ましくは10〜40塩基、より好ましくは15〜30塩基である。プローブの長さは、通常10塩基以上、好ましくは10〜40塩基であり、さらに好ましくは15〜30塩基である。
また設計の際には、プライマー又はプローブの融解温度(Tm)を確認することが好ましい。Tmとは、任意の核酸鎖の50%がその相補鎖とハイブリッドを形成する温度を意味し、テンプレートDNA又はRNAとプライマー又はプローブとが二本鎖を形成してアニーリング又はハイブリダイズするためには、アニーリング又はハイブリダイゼーションの温度を最適化する必要がある。一方、この温度を下げすぎると非特異的な反応が起こるため、温度は可能な限り高いことが望ましい。従って、設計しようとするプライマー又はプローブのTmは、増幅反応又はハイブリダイゼーションを行う上で重要な因子である。Tmの確認には、公知のプライマー又はプローブ設計用ソフトウエアを利用することができ、本発明で利用可能なソフトウエアとしては、例えばAmplifyなどが挙げられる。またTmの確認は、ソフトウエアを使わず、自ら計算することによっても行うことができる。その場合には、最近接塩基対法(Nearest Neighbor Method)、Wallance法、GC%法等に基づく計算式を利用することができる。本発明では、平均Tmが約50〜70℃のプライマー及び55〜75℃のプローブを用いることが好ましい。プライマー又はプローブとして特異的なアニーリング又はハイブリダイズが可能な条件としては、その他にもGC含量などがあり、そのような条件は当業者に周知である。
プライマーは、設計時にテンプレートとして使用する配列に対し相同的な場合と相補的な場合があり、一般にフォワードプライマーの場合はテンプレート配列に対し相同配列となり、リバースプライマーの場合はテンプレート配列に対し相補配列となることに留意してプライマーを設計する必要がある。このようなプライマーの設計は当業者には周知である。
プライマーの具体例としては、例えば、以下のプライマーセットが挙げられる:
(a)配列番号1の塩基配列で特定される遺伝子を特異的に増幅するプライマーセットとして、配列番号130で表される塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号131で表される塩基配列からなるリバースプライマーとのセットが挙げられ、
(b)配列番号8の塩基配列で特定される遺伝子を特異的に増幅するプライマーセットとして、配列番号133で表される塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号134で表される塩基配列からなるリバースプライマーとのセットが挙げられ、
(c)配列番号34の塩基配列で特定される遺伝子を特異的に増幅するプライマーセットとして、配列番号136で表される塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号137で表される塩基配列からなるリバースプライマーとのセットが挙げられ、
(d)配列番号48の塩基配列で特定される遺伝子を特異的に増幅するプライマーセットとして、配列番号139で表される塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号140で表される塩基配列からなるリバースプライマーとのセットが挙げられ、
(e)配列番号45の塩基配列で特定される遺伝子を特異的に増幅するプライマーセットとして、配列番号142で表される塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号143で表される塩基配列からなるリバースプライマーとのセットが挙げられる。
配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子に特異的にハイブリダイズするプローブは、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列において、その一部に特異的にハイブリダイズするものであってもよい。例えば、配列番号1の113〜128位の塩基配列、配列番号8の213〜228位の塩基配列、配列番号34の33〜47位の塩基配列、配列番号48の91〜106位の塩基配列、配列番号45の178〜194位の塩基配列にハイブリダイズするものでもよい。
さらに、当業者には周知のように、上記のようなプライマー又はプローブには、アニーリング又はハイブリダイズする部分以外の配列、例えばタグ配列などの付加配列が含まれていてもよく、そのような付加配列が付加されたものも本発明の範囲内に含まれるものとする。
次に、未成熟コムギにおいて、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子の発現量を測定する手段の一実施形態として、未成熟コムギに由来する試料中の各遺伝子をコードするRNA量に基づき、該遺伝子の発現量を測定する方法について以下に述べる。
まず未成熟コムギに由来する試料から全RNAを抽出する。本発明において未成熟コムギとは、受粉して花が咲いてから収穫されるまでのコムギであれば特に制限されないが、開花後、通常1〜40日、好ましくは5〜35日のコムギである。本発明において未成熟コムギに由来する試料としては、種子を使用する。
RNAを抽出する方法としては、例えば、チオシアン酸グアニジン・塩化セシウム超遠心法、チオシアン酸グアニジン・ホットフェノール法、グアニジン塩酸法、酸性チオシアン酸グアニジン・フェノール・クロロホルム法(Chomczynski, P. and Sacchi, N., (1987) Anal. Biochem., 162, 156-159)などを利用することができる。
抽出されたRNAはさらに精製してmRNAとして使用することが好ましい。精製方法は特に限定されないが、真核細胞の細胞質に存在するmRNAの多くは、その3’末端にポリ(A)配列を持つため、この特徴を利用して、例えば、以下のように実施することができる。まず抽出した全RNAにビオチン化オリゴ(dT)プローブを加えてポリ(A)+RNAを吸着させる。次に、ストレプトアビジンを固定化した常磁性粒子担体を加え、ビオチン/ストレプトアビジン間の結合を利用して、ポリ(A)+RNAを捕捉させる。洗浄操作の後、最後にオリゴ(dT)プローブからポリ(A)+RNAを溶出する。また、オリゴ(dT)セルロースカラムを用いてポリ(A)+RNAを吸着させ、これを溶出して精製する方法も採用してもよい。溶出されたポリ(A)+RNAは、さらに、ショ糖密度勾配遠心法等により分画してもよい。このようにして得られたRNA、該RNAから得られるcDNAやcRNA、及びその増幅産物を以下において被検核酸と称し、本発明における遺伝子発現量の測定方法は、これら被検核酸のいずれを測定する場合も包含する。
遺伝子の発現量を測定する方法は、特に制限されず、当技術分野で通常用いられる方法によって実施できる。例えば、ノーザンハイブリダイゼーションなどのハイブリダイゼーション法及び逆転写PCR法などが挙げられ、本発明においては逆転写PCR法を用いるのが好ましい。さらに、本発明においては、好ましくはリアルタイムPCR法及び競合PCR法などの定量PCR法を組み合わせることにより、各遺伝子の発現量を定量的に測定する。
本発明は、特に、組織や成長段階によって発現量の変化のない遺伝子(ハウスキーピング遺伝子)の発現量に対する特定の遺伝子の発現量の比を測定することにより、未成熟コムギにおける特定の遺伝子の発現量の増減を測定する。組織や成長段階によって発現量の変化のない遺伝子としては、ユビキチン遺伝子、アクチン遺伝子、チューブリン遺伝子、及びリボソーマルRNA遺伝子等が挙げられ、本発明においてはユビキチン遺伝子を標準遺伝子として使用するのが好ましい。
逆転写PCR法は、まず、試料から得られたRNAをテンプレートとして、逆転写酵素反応によりcDNAを作製し、その後、作製したcDNAをテンプレートとして一対のプライマーを用いてPCR法を行うものである。
競合PCR法では、同じプライマーを用いて、定量の内部標準となる競合的テンプレートから得られる増幅産物と被検核酸から得られる増幅産物との量を比較することにより、被検核酸に含まれる検出対象を定量することができる。
リアルタイムPCR法では、例えば、5’端は蛍光色素(レポーター)で、3’端は消光色素(クエンチャー)で標識した、目的遺伝子の特定領域にハイブリダイズするプローブが使用される。プローブは、通常の状態ではクエンチャーによってレポーターの蛍光が抑制されている。この蛍光プローブを目的遺伝子に完全にハイブリダイズさせた状態で、その外側からTaqDNAポリメラーゼを用いてPCRを行う。Taq DNAポリメラーゼによる伸長反応が進むと、そのエキソヌクレアーゼ活性により蛍光プローブが5’端から加水分解され、レポーター色素が遊離し、蛍光を発する。リアルタイムPCR法は、この蛍光強度をリアルタイムでモニタリングすることにより、テンプレートDNAの初期量を定量する。
リアルタイムPCR法には、例えばSYBRTMGreen法やTaqManTM法を使用することができる。リアルタイムPCR法の反応サイクルとしては、例えば、50℃2分、95℃10分、(95℃15秒、60℃分)40サイクルを使用できる。得られた結果は、例えば、18sリボソームRNAを用いて標準化することができる。
上記増幅反応後に特異的な増幅反応が起こったか否かを検出するには、増幅反応により得られる増幅産物を特異的に認識することができる公知の手段を用いることができる。例えば、増幅反応の過程で取り込まれるdNTPに、放射性同位体、蛍光物質、発光物質などの標識体を作用させ、この標識体を検出することにより実施できる。放射性同位体としては、32P、125I、35Sなどを用いることができる。また蛍光物質としては、例えば、フルオレセン(FITC)、スルホローダミン(TR)、テトラメチルローダミン(TRITC)などを用いることができる。また発光物質としてはルシフェリンなどを用いることができる。
これら標識体の種類や標識体の導入方法等に関しては、特に制限されることはなく、従来公知の各種手段を用いることができる。例えば標識体の導入方法としては、放射性同位体を用いるランダムプライム法が挙げられる。
標識したdNTPを取り込んだ増幅産物を観察する方法としては、上述した標識体を検出するための当技術分野で公知の方法であればいずれの方法でもよい。例えば、標識体として放射性同位体を用いた場合には、放射活性を、例えば液体シンチレーションカウンター、γ−カウンターなどにより計測することができる。また標識体として蛍光を用いた場合には、その蛍光を蛍光顕微鏡、蛍光プレートリーダーなどを用いて検出することができる。
本発明の方法においては、上記プローブを用いてハイブリダイゼーション反応を行い、その特異的結合を検出することにより、各遺伝子の発現量を測定することもできる。ハイブリダイゼーション反応は、プローブが特定の遺伝子に由来する塩基配列のみと特異的に結合するような条件、すなわちストリンジェントな条件下で行う必要がある。そのようなストリンジェントな条件は当技術分野で周知であり、特に限定されない。ハイブリダイゼーションを行う場合には、プローブに蛍光標識(FAMなど)、放射性標識、酵素標識、ビオチン標識等の適当な標識を付加することができる。
本発明において遺伝子発現量の測定は、標識化プローブと未成熟コムギから得られた被検核酸とをハイブリダイズ可能なように接触させることによっても実施できる。「ハイブリダイズ可能なように」とは、上述したストリンジェントな条件下にて特異的な結合が起こる環境(温度、塩濃度)において、ということである。具体的には、試料又は被検核酸をスライドグラス、メンブラン、マイクロタイタープレート等の適当な担体に担持し、標識を付加したプローブを添加することにより、プローブと被検核酸とを接触させてハイブリダイゼーション反応を行い、ハイブリダイズしなかったプローブを除去した後、被検核酸とハイブリダイズしているプローブの標識を検出する。標識の濃度を指標とすることにより、定量的な検出が可能となる。標識化プローブを用いた検出方法の例としては、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法、FISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)法等を挙げることができる。
本発明において、被検核酸の少なくとも1つを検出する方法としてマイクロアレイ、マクロアレイ等のアレイ法を挙げることができる。この場合は、次のような方法によって検出を行うことができる。すなわち、被検核酸に特異的にハイブリダイズするプローブをスライドグラス、メンブラン、マイクロタイタープレート等の適当な担体に担持し、被検核酸を標識化した後でプローブとのハイブリダイゼーション反応を行い、ハイブリダイズしなかった被検核酸を除去した後、プローブとハイブリダイズしている被検核酸の標識を検出する。標識の濃度を指標とすることにより、定量的な検出も可能となる。
プローブ及び被検核酸のいずれも標識化せず、プローブと試料又は被検核酸とのハイブリダイゼーションによって形成された二本鎖核酸(ハイブリッド)を検出することもできる。二本鎖核酸の検出は、例えば、核酸の二本鎖部分に特異的に結合する蛍光色素等を用いて行うことができる。そのような色素としては、例えば、特開2002−181816号公報に記載された蛍光インターカレータ等を挙げることができる。
遺伝子発現量の測定においてハイブリダイゼーションを行う場合、被検核酸はDNA及びRNAのいずれでもよいが、高感度の検出を必要とする場合には、RNAを被検核酸とする方が望ましい。
高感度の測定を行うためには、増幅反応とハイブリダイゼーション反応とを組合せ、プライマーを用いた増幅反応を行って得られる増幅産物に対し、別のプローブを用いてハイブリダイゼーションを行うことが好ましい。そのような組合せを利用する場合のプライマー及びプローブは、当業者であれば設計することができ、その具体例は上述のとおりである。
本発明のアレイは、公知の技術、例えば、村松正明、那波宏之(監修)、「DNAマイクロアレイと最新PCR法」、秀潤社(2003年3月発行)に記載される方法に従って調製することができ、これを用いたアレイ法も当該文献を参照して実施することができる。
本発明の方法では、未成熟コムギにおいて、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される少なくとも1種の遺伝子の発現量を測定することにより、コムギ完熟種子の二次加工性状を推定する。
松木らは、コムギが登熟期に高温にさらされるとアミロペクチンの側鎖長が長くなることを報告している(Matsuki, J., Yasui, T., Kohyama, K., and Sasaki, T. (2003) Cereal Chem. 80(4):476-480)。Shi及びSeibは、低温で育成されたコムギ中のアミロペクチンは、側鎖長が短いものが多いことを報告しているが、その一方で、澱粉糊化温度はアミロペクチン側鎖長と相関関係にあることを報告している(Shi, Y.C., and Seib, P.A. (1995) Carbohydr.Polym. 26:141-147))。また、Shibanumaらは、澱粉のアミロペクチン側鎖長は、うどん適性に影響を与えることを報告している(Shibanuma, K., Takeda, Y., Hizukuri, S., and Shibata, S. (1994) Carbphydr. Polym. 25:111-116)。また、登熟期に高温にさらされるとアミロース含量が増加することが報告されている(Tester, R.F., Debon, S. J.J., Davies, H.V., and Gidley, M.J. (1995) J. Sci. Food Agric)。また、StoneとNicholasは、グリアジンに対するグルテニンの割合は高温ストレスでも変化がない品種も有れば、劇的に減るものもあるとしている(Stone, P.E., and Nicholas, M.E. (1994) Aust. J. Plant Physiol. 21:887-900)。これに対してBlumenthalらは、登熟期に35℃以上の高温にさらされることにより、遺伝的改変により生地特性が低下することを示している(Blumenthal, C.S., Barlow, E.W.R., and Wrigley. C.W. (1993) J. Cereal Sci. 18:3-21)。さらにBlumenthalらは、登熟期に高温ストレスにさらされることによるドウのもろさは、グリアジンに対するグルテニン比の減少とラージグルテニンポリマー割合の減少が原因であるとしている(Blumenthal, C., Bekes, F., Gras, P.W., Barlow, W.R., and Wrigley, C.W. (1995) Cereal Chem. 72(6):539-544)。DuPontらは、開花後肥料を追加しないという条件下では、高温によりタンパク質含量とω−グリアジン量が増加することを報告している(DuPont, F.M., Altenbach, S., Chan, R., Cronin, K., and Lieu, D. (2000) In: Shewry, P.R., and Tatham, A.S. (Eds.), Gluten Royal Society of Chemstry, Cambridge, pp. 488-491)。以上の知見を表1にまとめた。
Figure 2006030846
本発明者らは、未成熟コムギにおいて、上記配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子の発現量を上記方法によって測定し、得られた各遺伝子の発現量を、ユビキチン遺伝子などのハウスキーピング遺伝子の発現量に対する比として算出し、得られた結果を、登熟期において高温にさらされた場合又は低温にさらされたコムギにおいて得られる結果と比較することによって、将来得られる完熟種子の二次加工性状を推測できることを見いだした。
各遺伝子の発現量に基づき、コムギ完熟種子の二次加工性状を推測する方法について以下に述べる。
まず、未成熟コムギにおける配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子の発現量を、ハウスキーピング遺伝子の発現量に対する比として算出する。続いて、得られた発現量比を、登熟期に高温又は低温にさらされた場合の各遺伝子の発現量比と比較する。その結果、未成熟コムギにおける各遺伝子の発現量比が、登熟期に高温にさらされた場合の各遺伝子の発現量比に類似する場合は、該未成熟コムギから将来得られる完熟種子の二次加工性状は、登熟期において高温にさらされたコムギから得られる完熟種子の二次加工性状と類似する、すなわち、うどん適性が低下し、生地特性が低下し、ドウがもろくなると推定できる。逆に、未成熟コムギにおける各遺伝子の発現量比が、登熟期に低温にさらされた場合の各遺伝子の発現量比に類似する場合は、該未成熟コムギから将来得られる完熟種子の二次加工性状は、登熟期において低温にさらされたコムギから得られる完熟種子の二次加工性状と類似する、すなわち、製パン適性及びうどん適性が低下すると推定できる。
より具体的には、未成熟コムギにおいて、ユビキチン遺伝子発現量に対する、配列番号1の塩基配列で特定される遺伝子発現量の比が0.06〜0.24倍、配列番号8の塩基配列で特定される遺伝子発現量の比が0.8〜3.2倍、配列番号34の塩基配列で特定される遺伝子発現量の比が0.45〜1.8倍、配列番号48の塩基配列で特定される遺伝子発現量の比が0.24倍以上、配列番号45の塩基配列で特定される遺伝子発現量の比が0.0015〜0.006倍であれば、将来得られる完熟種子の性状は、登熟期に高温にさらされたコムギから得られる完熟種子の性状を有すると推測できる。すなわち、アミロース含量が高く、アミロペクチンの側鎖長が長く、澱粉糊化温度が高く、タンパク質含量が高く、グルテニン/グリアジン比が低く、ラージグルテニンポリマーが少ないという特徴を有することが推定できる。
一方、未成熟コムギにおいて、ユビキチン遺伝子発現量に対する、配列番号1の塩基配列で特定される遺伝子発現量の比が0.24倍以上、配列番号8の塩基配列で特定される遺伝子発現量の比が3.2倍以上、配列番号34の塩基配列で特定される遺伝子発現量の比が0.45倍以下、配列番号48の塩基配列で特定される遺伝子発現量の比が0.06倍以下、配列番号45の塩基配列で特定される遺伝子発現量の比が0.0015倍以下であれば、将来得られる完熟種子の性状は、登熟期に低温にさらされたコムギから得られる完熟種子の二次加工性状を有すると測定できる。すなわち、アミロース含量が低く、アミロペクチンの側鎖長が短く、澱粉糊化温度が低く、タンパク質含量が低く、アミロース及びアミロペクチンが低分子化しているという特徴を有することが推定できる。
そしてそのような性状と、表1にまとめたような従来の知見とを組み合わせることにより、完熟種子から得られる小麦粉の二次加工性状を推定することができる。
本発明はまた、未成熟コムギを用いて、コムギ完熟種子における二次加工性状を推定するためのキットに関する。該キットは、上記の配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子を特異的に増幅するための10〜40塩基長のプライマーから選ばれる少なくとも1のプライマー、及び/又は上記の配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子に特異的にハイブリダイズする10〜40塩基長のプローブから選ばれる少なくとも1のプローブを含む。
本発明のキットは、プライマーを含む場合には、さらに、反応液を構成するバッファー、dNTP混合物、酵素類(逆転写酵素、RNaseHなど)、校正用の標準試料などを含んでいてもよい。本発明のキットは、プローブを含む場合には、さらに、ハイブリダイゼーションバッファー、洗浄バッファー、マイクロプレート、ナイロンメンブレンなどを含んでいてもよい。さらに、ユビキチン遺伝子などのハウスキーピング遺伝子を特異的に増幅するためのプライマー及び/又はハウスキーピング遺伝子に特異的にハイブリダイズするプローブを含んでいてもよい。
(実施例1)
開花直前まで外で成育させたコムギを15℃の人工気象室で生育させた。開花後10日目に一部を20℃又は10℃の環境下に移し、開花後15日目まで同一環境下で生育させた。開花後15日目に一部の未成熟種子を回収し、発現遺伝子解析用の試料とした。残りの一部を15℃の環境に移動し開花後50日目を完熟とみなし、成分分析に供した。
一方、開花期に人工気象室に移動し15℃で生育させた後、開花後30日目に一部を20℃又は10℃の環境下に移し、開花後35日目まで同一環境下で生育させた。開花後35日目に一部の未成熟種子を回収し、発現遺伝子解析用の試料とした。残りの一部を15℃の環境に移動し、開花後50日目を完熟とみなし、成分分析に供した。
発現解析は、Hi−CEP(High Coverage Expression Profiling)法で行った。Hi−CEP法は、放射線医学総合研究所の安倍ら(Fukumura R, Takahashi H, Saito T, Tsutsumi Y, Fujimori A, Sato S, Tatsumi K, Araki R, Abe M., Nucleic Acids Res. 2003, 15;31(16): e94)が開発した方法であり、以下の要素で構成される。
(1)mRNA抽出
三温度帯にて育成したコムギ未成熟種子からSDS−フェノール法にて全RNAを抽出した。すなわち、種子を粉砕し抽出バッファー(100mM Tris−HCl(pH8.0)、10mM EDTA(pH8.0)、100mM LiCl、1% SDS)に懸濁後、フェノール/クロロホルム処理を行った。さらにフェノール/クロロホルム処理を行った後、LiCl沈殿を行った。沈殿物を400μlのDEPC処理水に溶解し、フェノール/クロロホルム処理、クロロホルム処理、EtOH沈殿処理を行った。乾燥後200μlの0.1M酢酸ナトリウム(pH6.0)に溶解し、20μlのEtOHを加え、多糖類を沈殿させて除いた。上清をEtOH沈殿し、乾燥後、DEPC処理水に溶解した。この溶液からMicro−FastTrackTM 2.0 mRNA Isolation Kit(Invitrogen社製)を用いてmRNAを精製した。精製法は、キットに付属のマニュアルに従った。
(2)選択的PCR用テンプレート作製
5’末端にビオチンを付加させたオリゴdT(5’−ビオチン−TTTTTTTTTTTTTTTTTT−3’)をプライマーとして、SuperscriptTM Double−strand cDNA Synthesis Kit(Invitrogen社製)を用いて2本鎖cDNAを合成した。この2本鎖cDNAを制限酵素MspIで消化した後、MspIアダプター(5’−AATGGCTACACGAACTCGGTTCATGACA−3’及び5’−CGTGTCATGAACCGAGTTCGTGTAGCCATT−3’)を付加し、アビジン磁性粒子(Dynabeads M−280 Streptavidin;Dynal社製)を用いてポリA側断片のみを集めた。続いて制限酵素MseIで消化してからMseIアダプター(5’−AAGTATCGTCACGAGGCGTCCTACTGCG−3’及び5’−TACGCAGTAGGACGCCTCGTGACGATACTT−3’)を付加し、アビジン磁性粒子を用いてポリA側断片を捨てた。残った断片を以下の選択的PCR用のテンプレートに用いた。
(3)256種類のプライマーを用いた選択的PCR
上記アダプターと結合するようにプライマーを設計し、PCRを行った。その際にプライマーの端をcDNA断片側に2塩基はみだすように設計し、16通り全てのパターンを行った。またMspI側のプライマーにFAMを用いた蛍光標識を行った。プライマーには蛍光プライマーとしてMspI−プライマー(5’−FAM−ACTCGGTTCATGACACGGNN−3’)とMseI−プライマー(5’−AGGCGTCCTACTGCGTAANN−3’)を用い、PCRサイクルは95℃−1分:1サイクル,(95℃−20秒,71.5℃−30秒,72℃−1分):28サイクル,60℃−30分:1サイクルで行った。
(4)サンプル間のプロファイルの比較及び発現量の変化している断片の選抜
PCR産物を適当な濃度に薄めて3μlとり、ホルムアミド10μl、ROXマーカー(Applied Biosystems社製)0.3μlを加えてABI Prism 3100(Applied Biosystems社製)にて泳動を行った。得られた結果をGeneScan3.7(Applied Biosystems社製)を用いて解析し、発現量の変化している断片を選抜した。
(5)選抜断片の塩基配列決定
20x40cmのガラス板にアクリルアミドゲルを作製した。(4)にて選抜した断片が含まれるPCR混合物を泳動し、目的断片を切り出した。切り出した断片を1xTEバッファーに懸濁し、その懸濁液をテンプレートにPCRを行い、切り出した断片と目的断片が同じであるか否かを確認した。プライマーはMspI−universal T7 プライマー(5’−TAGGTAATACGACTCACTATAGGGCGAATTGGGTACTCGGTTCATGACACGG−3’)とMseI−universalプライマー(5’−AGGCGTCCTACTGCGTAA−3’)であった。同じ分子量のPCR産物が得られたら、ダイレクトシークエンスにてその配列を読んだ。その際にはT7プライマー(5’−TAATACGACTCACTATAGGG−3’)を用いた。
発現解析の結果得られたデータを表2に示した。表中の配列番号は、配列表における配列番号に対応している。特徴及び倍率と記載した列に、登熟期に温度変化を与えたときの挙動(対照区と比較した場合の発現量の増加又は減少)とその変化の倍率を示した。また、国立遺伝学研究所の主催するDDBJで相同性検索を行った結果、相同性が高かった遺伝子、ESTの例とそのアクセション番号を示した。
Figure 2006030846
Figure 2006030846
Figure 2006030846
Figure 2006030846
(実施例2)
表2に挙げた遺伝子のリストから、相同検索において既知の遺伝子と高い相同性が確認された遺伝子から、5種の遺伝子を選択した。すなわち、α−アミラーゼをコードする遺伝子(配列番号1)、カタラーゼをコードする遺伝子(配列番号8)、α−、β−グリアジンをコードする遺伝子(配列番号34)、熱ショックタンパク質70kDaをコードする遺伝子(配列番号48)、γ−グリアジンをコードする遺伝子(配列番号45)である。そして、これらのターゲット遺伝子について、開花後15日目のコムギ(T.aestivum L.)種子中における発現量の定量を試みた。遺伝子解析ソフトPrimer Express Ver.2を用い、それぞれターゲット遺伝子内に、定量リアルタイムPCR用のプライマー及びプローブを設計した。その配列を表3に示す。
Figure 2006030846
開花直前まで外で育てたコムギを人工気象室に移し、環境温度を15℃に保った。この内の一部を開花後10日目に10℃又は20℃の室温の部屋に移し、開花後15日目に未成熟種子を一部収穫した。残りの鉢は15℃に移し、開花後40日目に収穫した。この未成熟種子から全RNAを抽出した。方法は、以下の手順に拠った。
約500mgのコムギ種子を微粉砕し、12mlの抽出バッファー(100mM Tris−HCl(pH8.0)、10mM EDTA(pH8.0)、100mM LiCl、1% SDS)、8mlのTE(pH 8.0)飽和フェノール/クロロホルムで混合し、遠心分離(8,000Xg、30分)を行った。上層に等量のTE(pH 8.0)飽和フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)を加え、遠心分離(8,000Xg、30分)を行った。上層に1/3量の10M LiClを加え、遠心分離(8,000Xg、30分)を行った。−20℃で1時間静置後、遠心分離(8,000Xg、30分)を行い沈殿物を5mlの2M LiClに懸濁した。さらに遠心分離(8,000Xg、15分)を行い沈殿物を400μlのDEPC処理水に懸濁した。等量のTE(pH 8.0)飽和フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)を加え、遠心分離(8,000Xg、10分)を行った。上層に等量のTE(pH 8.0)飽和クロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)を加え、遠心分離(8,000Xg、10分)を行った。上層に1/10倍量の3M NaOAc(pH5.2)、2.5倍量のEtOHを加え、遠心分離(8,000Xg、10分)を行った。沈殿を200μlの0.1M 酢酸ナトリウム(pH6.0)に溶解させた。20μlのEtOHをゆっくり滴下し遠心分離(8,000Xg、10分)を行った。上清に2.5倍量のEtOHを加え遠心分離(8,000Xg、10分)を行った。沈殿を1mlの70% EtOH(30% DEPC処理水)で洗い、遠心分離(8,000Xg、10分)を行った。
沈殿をデシケーターで乾燥し、100μlのDEPC処理水に溶解した。抽出したRNAは、変性ゲルを用いて電気泳動し、リボソームRNAの存在により健全度を評価した。また、逆転写リアルタイムPCRに備えて分光光度計で濃度を測定した。
次に、Invitrogen社製SuperscriptTMDouble−strand cDNA Synthesis Kitにより全RNAをテンプレートとしてcDNAを合成した。合成は添付マニュアルに従ったが、プライマーとして、oligo−dTプライマーを用いた。
組織又は成長ステージによって発現量が変動しない内部標準遺伝子としてユビキチン遺伝子を使用した。いくつかの濃度幅で内部標準にて定量PCR法を行い、検量線を得て、適当な濃度幅を決めた。最も適当な濃度溶液をターゲット用定量PCR法のテンプレートとして使用した。定量PCR法は、96穴プレートで行い、各サンプルつき4ウェルずつ使用した。各ウェル中の反応液組成を表4に示す。
Figure 2006030846
定量PCR法はABI PRISM 7700 Sequense detectorにて行った。サイクルは50℃2分、95℃10分、(95℃15秒、60℃1分)x40サイクルで行った。得られた結果は18sリボソームRNAを用いて標準化した。
最終的に収穫したコムギ完熟種子の澱粉、タンパク質の特徴を解析した。解析項目は、アミロース含量、アミロペクチン側鎖長、タンパク質含量、グリアジンに対するグルテニンの量比である。それぞれの測定法を以下に示す。
アミロース含量
粉砕したコムギ完熟種子に少量の水を加え生地を作り、水中で揉み出しグルテンのみを取り出した。残りの澱粉懸濁液を遠心分離にかけ、沈殿物を乾燥し澱粉試料とした。アミロース含量測定は、Williamsらの方法(Williams, P.C., Kuzina, F.D., and Hlynak, I. (1970) Cereal Chem. 47:411-420)に従った。この試料の水分を測定後、約100mgを精秤し、1mlの95% EtOHと9mlの1N NaOHを加え熱湯中で10分間熱処理した。室温まで冷やした後、澱粉液を水で洗いながら別容器に回収した。100mlにフィルアップし、1mlの1M AcOHと2mlのヨード液を加えた。良く混ぜた後、20分間静置し、分光光度計で620nmの吸光度を測った。ポテトアミロース、アミロペクチンで検量線を引き、各試料のアミロース含量を決定した。
アミロペクチン側鎖長分布の解析
小泉らの方法(Koizumi, K., Fukuda, M., and Hizukuri, S. (1991) J. Chromatogr. 585:233-238)に従い、アミロペクチンの側鎖長分布を解析した。澱粉試料を熱メタノールで処理しアミラーゼを失活させた。水に懸濁し、100℃で1時間処理しゲル化した。酢酸緩衝液(pH4.5)中でイソアミラーゼ処理を行った(40℃、8時間)。さらに酵素を追加し16時間処理した。その後、沸騰水中で失活させ、側鎖分布をHPAECで決定した。イソアミラーゼ処理した澱粉試料を0.4M NaOHに溶解し、フィルターで夾雑物を除き、パルス電流滴定装置付きの陰イオン交換クロマトグラフ(HPAE−PAD)に供した。コントロールとしてグルコース、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオースなどを同様にHPAE−PADにかけ、各試料のアミロペクチン鎖長を比較した。
澱粉糊化温度の測定
早川らの手法(Hayakawa, K., Tanaka, K., Nakamura, T., Endo, S., and Hoshino, T. (1997) Cereal Chem. 74(5):576-580)に従った。すなわち、DSC(示差走査熱分析計)により澱粉の糊化ピーク温度を測定した。DSC専用の銀製パンに澱粉10mgを採り蒸留水40μlを加え蓋をシールした。25℃から150℃に一定速度(毎分5℃)で昇温し澱粉糊化に伴う吸熱を測定した。糊化のピーク温度(Tp)を糊化温度として測定した。
粗タンパク質含量
一般に良く知られているケルダール分解法により測定した。粉砕した完熟コムギ種子を加水分解後、遊離窒素を測定した。タンパク質換算係数5.7をかけ粗タンパク質含量とした。
グルテニン/グリアジン比の測定
Blumenthalらの方法(Blumenthal, C., Bekes, F., Gras, P.W., Barlow, W.R., and Wrigley, C.W. (1995) Cereal Chem. 72(6):539-544)に従った。すなわち、タンパク質を還元剤なしで完熟コムギ種子の粉砕物から抽出した。SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含むリン酸緩衝液中に懸濁し、超音波処理を施し十分に溶解した。フィルターろ過した後、サイズ排除型HPLCにかけた。最初に出現するピークを凝集したグルテニンとして2番目に出現するピークを単体のグリアジンとして定義し、面積比をグルテニン/グリアジン比として算出した。
上記試験の結果を表5及び表6に示す。
Figure 2006030846
Figure 2006030846
(実施例3)
開花後15日目〜20日目の麺用国内産コムギの未成熟種子を一部収穫した。一方、収穫後の完熟種子も収穫した。この未成熟種子から全RNAを抽出した。方法は、上記実施例2に示した手順に従った。分光光度計で濃度を測定後、同様の方法で、cDNAを合成し定量リアルタイムPCRに供した。
定量リアルタイムPCRを行い、5種の遺伝子について、ユビキチン遺伝子の発現量に対する相対発現量を測定した。結果を表7に示す。
Figure 2006030846
表7に示される遺伝子発現パターンは、登熟期に低温にさらされたコムギにおける発現パターンと類似していることから、このコムギから得られる成熟種子は、表1に示された特徴、すなわち、アミロペクチンの側鎖長が短く、澱粉糊化温度が低く、アミロース及びアミロペクチンが低分子化しているという特徴を有することが予想された。
そこで、実施例2に示した方法に従い、完熟後に収穫した種子の成分分析を実施したところ、収穫した完熟種子が予想される特徴を有することが証明された(表8)。以上から、上記の5遺伝子の発現量を登熟段階の種子において評価することにより、将来収穫する完熟種子から得られる小麦粉の二次加工性状を推定できることが明らかになった。
Figure 2006030846
(実施例4)
開花後20日目から30日目と思われる国内産コムギの未成熟種子を一部収穫した。一方、収穫後の完熟種子もサンプリングした。この未成熟種子から全RNAを抽出した。方法は、対照実験に示した手順に拠った。分光光度計で濃度を測定後、同様の方法で、cDNAを合成し定量リアルタイムPCRに供した。定量リアルタイムPCRの結果、ユビキチン遺伝子の発現量に対する相対発現量は、表9に示すとおりだった。
Figure 2006030846
表9に示される遺伝子発現パターンは、登熟期に高温にさらされたコムギにおける発現パターンと類似していることから、このコムギから得られる成熟種子は、表1に示された特徴、すなわち、アミロース含量が高く、アミロペクチンの側鎖長が長く、澱粉糊化温度が高く、タンパク質含量が高く、グルテニン/グリアジン比が低く、ラージグルテニンポリマーが少ない、という特徴を有することが予想された。
そこで、実施例2に示した方法に従い、完熟後に収穫した種子の成分分析を実施したところ、収穫した完熟種子が予想される特徴を有することが証明された(表10)。以上から、上記の5遺伝子の発現量を登熟段階の種子において評価することにより、将来収穫する完熟種子から得られる小麦粉の二次加工性状を推定できることが明らかになった。
Figure 2006030846
産業上の利用の可能性
本発明により、コムギ種子が成熟する以前の早期段階で、将来のコムギ完熟種子の二次加工性状を推定することが可能になる。それにより、低品質のコムギを購買するリスクを低減することができる。
本明細書で引用したすべての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書中に取り入れるものとする。

Claims (5)

  1. 未成熟コムギにおいて、配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子から選ばれる少なくとも1種の遺伝子の発現量を測定することを含む、コムギの完熟種子における二次加工性状を推定する方法。
  2. 少なくとも、配列番号1、8、34、48及び45のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子から選ばれる少なくとも1種の遺伝子の発現量を測定することを含む、請求項1記載の方法。
  3. 逆転写定量PCR法により遺伝子の発現量を測定する、請求項1又は2記載の方法。
  4. 未成熟コムギを用いてコムギの完熟種子における二次加工性状を推定するためのキットであって、
    配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子を特異的に増幅するための、10〜40塩基長の連続したプライマーから選ばれる少なくとも1のプライマー、及び/又は配列番号1〜121のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子に特異的にハイブリダイズする、10〜40塩基長の連続したプローブから選ばれる少なくとも1のプローブを含む、該キット。
  5. 配列番号1、8、34、48及び45のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子を特異的に増幅するための、10〜40塩基長の連続したプライマーから選ばれる少なくとも1のプライマー、及び/又は配列番号1、8、34、48及び45のいずれかの塩基配列で特定される遺伝子に特異的にハイブリダイズする、10〜40塩基長の連続したプローブから選ばれる少なくとも1のプローブを含む、請求項4記載のキット。
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