JPWO2006003955A1 - 音響光学素子及びそれを用いた光描画装置 - Google Patents

音響光学素子及びそれを用いた光描画装置 Download PDF

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Abstract

紫外領域の光でも利用可能で、レーザダメージや光損傷がなく、音響光学性能に優れる音響光学素子及びそれを用いた光描画装置を提供する。 本発明の音響光学素子は、高周波信号入力部(65)、トランスデューサ部(64)および音響光学媒体(6)を含み、前記高周波信号入力部(65)から入力した高周波信号を、前記トランスデューサ部(64)により機械振動に変換し、前記機械振動により前記音響光学媒体(6)の光学的な特性が変化する音響光学素子であって、前記音響光学媒体が、III族窒化物結晶であることを特徴とする。また、本発明の光描画装置は、光源、音響光学素子、駆動回路および描画面を有し、前記光源からの光が、前記駆動回路からの信号に応じて前記音響光学素子において回折され、その回折光が、前記描画面に描画される光描画装置であって、前記音響光学素子の音響光学媒体が、III族窒化物結晶であることを特徴とする。

Description

本発明は、音響光学素子及びそれを用いた光描画装置に関する。
従来、アルゴンレーザやヘリウムネオンレーザの可視光用音響媒体として、TeO結晶やPbMoO結晶が用いられてきた。一方、青色から紫外領域の光を利用した、例えば、YAGレーザの3倍波〜4倍波や各種短波長の半導体レーザ光源と、音響光学素子との組み合わせが検討されている。なお、前記音響光学素子としては、例えば、音響光学変調器、音響光学偏向器、音響光学フィルタおよび音響光学周波数シフタ等をさす。
従来の紫外領域の光を利用した音響光学変調素子の音響光学媒体としては、石英ガラス、水晶およびKDP結晶等が用いられている(例えば、非特許文献1および2参照)。さらに近年、紫外光用音響光学素子として各種ボレート系結晶が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、PbMoO結晶を用いた音響光学素子では、PbMoO結晶の吸収端波長が410nm程度であり、紫外領域の波長380nm以下の光を透過しないという問題がある(ここでは380nm〜220nmの波長の光を紫外光と定義する)。TeO結晶を用いた音響光学素子では、TeO結晶の吸収端波長は約330nmであるが、特許文献1に示すようにパルスのピークパワーの大きな用途には適さないという問題がある。
また、石英ガラス、水晶およびKDP結晶を用いた音響光学素子では、音響光学性能が小さいため、音響光学素子を駆動するための高周波信号電源が大きくなり、音響光学素子の発熱を抑制するために音響光学素子を水冷する必要がある。ボレート系結晶を用いた音響光学素子では、紫外領域の光において利用可能であり、かつレーザダメージに強い音響光学素子を実現できるが、用途によっては音響光学性能がまだ充分でないという問題がある。
また、短波長用の音響光学素子として利用するためには、光入射面や光出射面にゴミが付着すること、さらに短波長の光の場合は、空気中の浮遊物を分解し、その分解物が光入射面や光出射面に吸着するという問題がある。
また、湿度の低い環境で音響光学素子を製造する場合、大気中のわずかの埃などを吸着する場合があり、そこにレーザ光を照射すると、ゴミを吸着した部分で光の透過率が低下したり、音響光学素子の光入射面や光出射面でゴミが焼き付くなどの問題がある。
一方、青色から紫外領域の光を用いた光描画装置を、例えば、電子回路基板の直接描画装置、各種プリンターなどの光源として利用することが検討されている。
従来の音響光学素子を用いた光描画装置では、音響光学媒体の耐湿処理や、水冷による放熱が必要であり、その結果、駆動回路等が大きくなるという問題がある。また音響光学素子の光入射面や光出射面にゴミが付着し、光描画装置を連続で長時間利用できないという問題がある。
特開2004−170940号公報 Proceeding IEEE Ultrasonic Sympo Vol.1998 pp1289−1292(1998) Proceeding of the IEEE Vol.61 No8 pp.1073−1092(1973)
そこで、本発明は、紫外領域の光でも利用可能で、レーザダメージや光損傷のなく、かつ光入射面や光出射面にゴミ付着の影響のない、音響光学性能に優れる音響光学素子及びそれを用いた光描画装置の提供を、その目的とする。
本発明の音響光学素子は、高周波信号入力部、トランスデューサ部および音響光学媒体を含み、前記高周波信号入力部から入力した高周波信号を、前記トランスデューサ部により機械振動に変換し、前記機械振動により前記音響光学媒体の光学的な特性が変化する音響光学素子であって、前記音響光学媒体が、III族窒化物結晶であることを特徴とする。
なお、ここで、前記機械振動により前記音響光学媒体の光学的な特性が変化する音響光学素子とは、以下のことを指す。すなわち、高周波信号に応じた超音波が、音響光学媒体を伝播する。このとき、音響光学媒体中に超音波の波長に対応した密度の粗密ができ、この結果、超音波の波長に対応した屈折率変化が音響光学媒体中にできる。この屈折率変化の周期が、光の波長と同程度となるため、音響光学媒体内部に光に対する回折格子が形成される。音響光学媒体の光入射面に入射した入射光が、音響光学媒体内部の回折格子により回折され、音響光学素子が実現される。
本発明の光描画装置は、光源、音響光学素子、駆動回路および描画面を有し、前記光源からの光が、前記駆動回路からの信号に応じて前記音響光学素子において回折され、その回折光が、前記描画面に描画される光描画装置であって、前記音響光学素子の音響光学媒体が、III族窒化物結晶であることを特徴とする。
本発明によれば、音響光学媒体としてIII族窒化物結晶を使用することにより、レーザダメージや光損傷がなく、音響光学性能に優れる音響光学素子を実現できる。さらに、短波長の音響光学素子として問題となる光入射面や光出射面でのゴミの影響などをなくす事が可能となる。また、本発明の光描画装置は、音響光学媒体としてIII族窒化物結晶を使用することにより、例えば、駆動回路の小型化、耐湿性の向上、紫外領域の光を入射光として用いた場合におけるダメージ耐性の向上が可能になり、安価で構成の簡単な光描画装置を実現できる。
図1は、本発明の音響光学素子の構成の一例を示す構成図である。 図2は、本発明の実施例1による反射防止膜の材料と音響光学媒体の屈折率の違いによる反射率を説明するグラフである。 図3は、本発明の描画装置の構成の一例を示す構成図である。 図4は、本発明描画装置の構成のその他の例を示す構成図である。
符号の説明
6 音響光学媒体
20 音響光学素子
22 駆動回路
24 描画面
26 可動ミラー
28、29 光源
30 ビームストッパー
61 光入射面
62 光出射面
63 吸音材
64 トランスデューサ部
65 高周波信号入力部
66 収納容器
68 インピーダンスマッチング部
201、601 入射光
202、602 回折光
203、603 透過光
本発明において、前記III族窒化物結晶は、特に制限されず、例えば、組成式AlGaIn(1−u−v)N(ただし、0≦u≦1,0≦v≦1,u+v≦1)で表される結晶であることが好ましい。具体例としては、GaN結晶、AlN結晶、GaNおよびAlNの固溶体(AlGaN結晶)、AlGaInN結晶等のInを含む結晶等があげられる。前記結晶は、ドーパント元素を含まない結晶でもよいし、後述するように、ドーパント元素を含む結晶であってもよいが、ゴミ付着の影響をなくすためには、ドーパント元素を含む事が望ましい。これらの中でも、GaN結晶、AlN結晶、AlGaN結晶、AlGaInN結晶を使用することが好ましい。Inを全く含まない結晶、例えば、AlN結晶およびAlGaN結晶を音響光学媒体として用いた場合、入射光の波長範囲を約220nmの紫外領域付近の波長まで利用可能な音響光学素子を実現できる。なお、本発明でいう固溶体とは、均一相の固溶体のことであり、半導体分野で言われる混晶と同意である。
前記音響光学媒体の性能定数M2は、下記式より得られる。
M2=n/ρv
前記式中において、nは媒体の屈折率を示し、pは光弾性定数を示し、ρは媒体の密度を示し、vは媒体中の音速を示す。
前記式に示すように、媒体の屈折率が大きければ大きいほど、音響光学媒体の性能定数が高くなるため、屈折率の大きな媒体は音響光学媒体として有効である。一方、III族窒化物結晶は、電子分極が大きく、光弾性定数も大きいことが期待され、優れた音響光学媒体であるといえる。また、GaN結晶やAlN結晶は従来から検討されている気相成長の他に、近年アルカリ金属などを用いた液相法でも良質の大型結晶が成長できる可能性が見え始めており、III族窒化物バルク結晶を用いた音響光学素子を比較的安価に実現する事も可能になると考えられる。
本発明において、前記III族窒化物結晶は、いかなる製造方法により得られた結晶でもよいが、高品質で大きな単結晶が得られるという理由から、液相法により形成された結晶であることが好ましい。前記液相法は、窒素含有ガス雰囲気下、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方と、III族元素と、窒素とを含む融液中で、III族元素と前記窒素とを反応させてIII族窒化物結晶を成長させる工程を有する方法であることが好ましい。前記III族元素としては、例えば、Al、GaおよびInがあげられ、これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記アルカリ金属としては、Li、Na、K、RbおよびCsがあげられ、前記アルカリ土類金属としては、例えば、Ca、Mg、Be、SrおよびBaなどがあげられ、これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記アルカリ金属としては、Na、LiおよびKが好ましく、前記アルカリ土類金属としては、Caが好ましく、特に好ましくは、NaとCaとを併用することである。また、前記液相法は、加圧加熱下で実施することが好ましく、この条件は、例えば、圧力2atm〜100atm(2×1.01325×10Pa〜100×1.01325×10Pa)、温度600℃〜1800℃の範囲である。最適圧力および最適温度は、成長させる結晶組成に依存する。例えば、Alを多く含む組成の結晶を成長させる場合、高温・低圧下で成長させることが好ましく、GaやInを多く含む組成の結晶を成長させる場合、低温・高圧下で成長させることが好ましい。前記窒素含有ガスは、例えば、窒素ガス、アンモニアガス若しくは前記両ガスの混合ガス等であることが好ましい。前記窒素含有ガスは、例えば、不活性ガス(例えば、Ar、HeおよびNe)および水素ガス等を含んでいてもよい。前記融液中に含まれる窒素の窒素源は特に限定されず、例えば、窒素含有ガス、融液中に混入させた窒素化合物等であってもよい。前記窒素化合物としては、例えば、ヒドラジン(HNNH)およびアジ化ナトリウム等があげられる。
本発明において、前記音響光学素子に入射される入射光の波長は特に制限されないが、例えば、488nm〜220nmの短波長範囲であることが好ましく、より好ましくは380nm〜220nmであり、特に好ましくは380nm〜266nmである。本発明の音響光学素子は、音響光学媒体として、III族窒化物結晶を使用しているため、入射光の波長が短波長である場合に特に有用である。なお、本発明において、短波長は488nm〜220nmの範囲の波長であると定義する。
本発明において、前記III族窒化物結晶が、導電性を有することが好ましい。音響光学素子を導電性とすることで、光入射面や光出射面でのゴミなどの吸着をより抑制し、長期信頼性により一層優れた音響光学素子を実現できる。
前記導電性は、例えば、ドーパント元素をドーピングすること等により制御することができる。前記ドーパント元素としては、例えば、Si、Li、Mg、ZnおよびO等があげられ、これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、SiやLiを使用する事により、透明性を維持したまま、比較的低抵抗の結晶を得る事が出来るので、これらの元素を使用することが好ましい。
なお、結晶の表面に導電性を付与する方法としては、例えば、ITO(インジウム・スズ・酸化物)などの透明膜を結晶表面にコーティングする事も考えられる。しかし、ITO膜は、波長400nm以下の光を入射光として用いた場合、透過率が低下する事やレーザダメージに弱いので、レーザ光を透過する音響光学素子への利用は適さない。
本発明において、前記III族窒化物結晶が、前記融液を用いた液相法により得られた結晶である場合、前記融液が、前記ドーパント元素を含むことが好ましく、その成長工程において、融液中のドーパント元素の濃度を変化させることにより得られた結晶であることが好ましい。前記濃度の変化としては、結晶の成長に応じてドーパント元素の濃度を上昇させることが好ましく、前記濃度の変化は、連続的に変化させてもよいし、1段階および2段階以上に段階的に変化させてもよい。また、段階的に濃度を上昇させる方法としては、例えば、一定時間濃度を一定に保った後、濃度を上昇させ、これらを繰り返し行う方法等があげられる。例えば、融液中のドーパント濃度を1段階変化させる場合、変化前の濃度を0.001mol%〜0.005mol%とし、変化後の濃度を0.01mol%〜0.1mol%とし、変化前と変化後との間で、ドーパント元素の濃度を、例えば、2倍〜10倍変化させてもよい。
本発明において、前記III族窒化物結晶の抵抗率は、例えば、1×10−3Ω・cm〜1×10Ω・cmであり、好ましくは1×10−2Ω・cm〜1×10Ω・cmであり、より好ましくは1×10−1Ω・cm〜1×10Ω・cmである。前記抵抗率は、例えば、4端子法により容易に測定する事が出来る。
本発明において、前記III族窒化物結晶の内部の抵抗率が、前記III族窒化物結晶の外周部の抵抗率よりも大きいことが好ましい。このように、音響光学媒体の外周部の抵抗値を小さくすることにより、音響光学媒体表面へのゴミ付着をより一層抑制できる。前記III族窒化物結晶の内部の抵抗率(R)が、例えば、1×10Ω・cm〜1×10Ω・cmであり、好ましくは1×10Ω・cm〜1×10Ω・cmであり、前記III族窒化物結晶の外周部の抵抗率(R)が、例えば、1×10−3Ω・cm〜1×10Ω・cmであり、好ましくは1×10−2Ω・cm〜1×10Ω・cmである。なお、本発明において、前記III族窒化物結晶の外周部とは、結晶ブロックの外側から厚み100μmまでと定義し、前記III族窒化物結晶の内部とは、それ以外の部分を意味する。
本発明において、前記音響光学媒体が、光入射面および光出射面の少なくとも一方を含むことが好ましい。
本発明において、前記音響光学素子が、さらに、反射防止手段を含み、前記反射防止手段が、前記光入射面および光出射面の少なくとも一方に形成されていることが好ましい。前記反射防止手段としては、誘電体薄膜が好ましく、前記誘電体薄膜としては、例えば、SiO膜およびAl膜等があげられる。前記反射防止手段は、単層膜であっても、2層以上の複数層膜であってもよく、好ましくはSiO単層膜およびAl単層膜である。屈折率の大きなIII族窒化物結晶と、SiO単層膜およびAl単層膜等の単層膜とを組み合わせることにより、反射防止手段を有した信頼性の高い音響光学素子を実現できる。
本発明において、前記誘電体薄膜の屈折率n、前記誘電体薄膜の厚みをt、入射光の真空中での波長をλとするとき、n=λ/4であることが好ましい。
本発明において、前記音響光学素子が、さらに、高熱伝導シートを含むことが好ましく、前記高熱伝導シートが、前記音響光学媒体の少なくとも一部に形成されていることが好ましい。前記高熱伝導シートは、導電性を有することが好ましい。
本発明において、前記音響光学素子が、さらに、接地手段を含むことが好ましく、前記接地手段により、前記音響光学媒体が、電気的に接地されていることが好ましい。前記接地手段は、特に制限されないが、熱伝導シートであることが好ましい。この接地手段により、音響光学媒体表面へのゴミ付着をより一層抑制できる。
本発明の光描画装置において、前記音響光学媒体として、III族元素窒化物結晶を使用するものであれば、使用する音響光学素子は特に制限されず、例えば、前記音響光学素子として、前記本発明の音響光学素子を使用することができる。
本発明の光描画装置において、前記III族窒化物結晶は、特に制限されず、例えば、組成式AlGaIn(1−u−v)N(ただし、0≦u≦1,0≦v≦1,u+v≦1)で表される結晶であることが好ましい。具体例としては、GaN結晶、AlN結晶、GaNおよびAlNの固溶体(AlGaN結晶)、AlGaInN結晶等のInを含む結晶等があげられる。中でも、NN結晶、GaN結晶およびAlGaN結晶が好ましい。前記音響光学媒体として、GaN結晶、AlN結晶およびAlGaN結晶を音響光学素子に用いた場合、入射光として青色から紫外領域の短波長光を用いた場合における駆動回路がより一層簡単な光描画装置を実現できる。
本発明の光描画装置において、さらに、反射防止手段を有し、前記反射防止手段が、前記音響光学媒体の光入射面および光出射面の少なくとも一方に形成されていることが好ましい。
本発明の光描画装置において、前記音響光学媒体が、導電性を有することが好ましく、より好ましくは、前記音響光学媒体が、電気的に接地されていることである。
本発明の光描画装置において、さらに、可動ミラーを有することが好ましい。
本発明の光描画装置において、さらに、ビームストッパーを有することが好ましく、前記ビームストッパーが、前記音響光学素子からの透過光を遮光することが好ましい。
本発明の光描画装置において、前記描画面が、感光体であることが好ましく、前記感光体が、蛍光体であることが好ましい。
以下、実施例を用いてさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例では、III族窒化物結晶として、GaN結晶及びAlN結晶を用いた場合の例であるが、AlGaN結晶、AlGaInN結晶等のその他のIII族窒化物結晶であっても、同様に実施可能である。
GaN結晶をプリズム形状に加工し、そのGaN結晶を音響光学媒体として使用し、図1に示す音響光学素子を作製した。同図に示す音響光学素子は、本発明の音響光学素子の構成の一例であって、本発明の音響光学素子の構成は、これに限定されるものではない。
同図に示すように、音響光学素子は、高周波信号入力部65、トランスデューサ部64および音響光学媒体6を主要構成要素とする。前記音響光学媒体6は、収納容器66内に配置され、前記収納容器66の外部には、前記高周波信号入力部65が配置されている。前記高周波信号入力部65は、インピーダンスマッチング部68を介して前記トランスデューサ部64と接続し、前記トランスデューサ部64は、前記音響光学媒体6の1つの面に配置されている。前記音響光学媒体6において、前記トランスデューサ部64配置面と向かい合う面に吸音材63が配置されている。前記トランスデューサ部64は、例えば、LiNbO等の圧電体結晶で作製することができる。前記インピーダンスマッチング部68は、前記高周波信号入力部65とトランスデューサ部64との間における電気的なインピーダンスの整合性を取り、前記吸音材63は、前記音響光学媒体6の端で超音波が再度反射してトランスデューサ部64側に戻らないように超音波を吸収する。
高周波信号入力部65から入力した高周波信号に応じた超音波(通常10MHz〜2000MHz程度)が、音響光学媒体6内を伝播する。このとき、音響光学媒体6中に超音波の波長に対応した密度の粗密ができ、この結果、波長に対応した屈折率変化ができる。この屈折率変化の周期が光の波長と同程度となるため、音響光学媒体6内部に光に対する回折格子が形成される。音響光学媒体6の光入射面61に入射した入射光601が、前記音響光学媒体6内部の回折格子により回折されたのが回折光602であり、回折されずそのまま透過したのが透過光603である。回折光602の回折角は、高周波信号入力部65に印加する高周波信号の周波数により変化し、回折光602の回折効率は、高周波信号入力部に印加する高周波信号の大きさにより変化する。回折角は、例えば、0.2から数°程度であり、この回折角の大きさは入射する超音波の周波数が大きいほど、大きな回折角となる。
本実施例で作製した音響光学素子は、例えば、入力RFパワーが2Wの時、波長488nmのCWのレーザ光に対して、回折効率を10%〜60%とすることが可能であった。音響光学素子の駆動電力として、通常0.5W〜5W程度のRFパワーがインピーダンスマッチング部68を通してトランスデューサ部64に入力されることになり、その電力は最終的には熱になる。そのため、熱伝導の大きな材料を音響光学媒体として使用することは、放熱の観点から有利である。また、本実施例の音響光学素子に、光の入射パワー1Wの連続光を入射した場合であっても、ビームのドリフトやぼけのない良好なビーム品質の回折光が得られた。本実施例の音響光学素子は、音響光学媒体6としてGaN単結晶を用いたため、熱伝導率が高く、光パワーを大きくしてもビームパターンの乱れが小さいという特徴がある。
なお、本実施例では、488nmのレーザ光を入射光として使用した場合を示したが、GaN結晶を音響光学媒体として用いた場合、例えば、波長380nm程度まで透過可能であり、AlN結晶を音響光学媒体として用いた場合、例えば、波長220nm程度まで透過可能である。したがって、音響光学媒体としてIII族窒化物結晶を使用することは、青色光及び紫外光の短波長用音響光学素子として極めて有用である。
前記音響光学媒体6の光入射面61や光出射面62に誘電体薄膜からなる反射防止手段(以下、反射防止膜ともいう)を形成することにより、光の透過率のさらなる向上と、音響光学媒体6内部の光の多重反射による消光比の劣化防止とが可能となる。単層の反射防止膜について図2のグラフを用いて説明する。図2は、音響光学媒体として、ボレート系結晶およびIII族窒化物結晶を使用し、それぞれの結晶に、反射防止膜としてMgF膜、SiO膜およびAl膜の単層膜を形成した場合における、基材屈折率(音響光学結晶の屈折率)と反射率(%)との関係を示したグラフである。同図のグラフからわかるように、III族窒化物結晶を音響光学媒体として用いた場合、III族窒化物結晶の屈折率がボレート系結晶に比べて大きく、単一波長用反射防止膜として耐湿性や機械的強度に優れるSiOおよびAlが使用可能となる。例えば、膜の屈折率をn、膜厚をt、使用する光の真空中での波長をλとすると、n=λ/4とすることで反射防止膜を形成することができる。このとき単層膜でも所望の波長で片面の反射率約1%以下の反射防止膜を実現できる。さらにこれらの膜は、耐湿性が高くかつ機械的強度が高いので、特に実用上有利である。一方、ボレート系結晶の反射防止膜(単一波長用)の場合、屈折率の関係でMgFの単層膜が適しているが、MgFは、単層膜では耐湿性や機械的強度が弱いという欠点がある。なお、光ファイバやレーザを用いた光学系では、利用する波長が単一である場合が多いため、反射防止膜も単層膜でよい場合が多い。
AlN結晶、GaN結晶、Li結晶、MgO:LiNbO結晶(MgOをドープしたLiNbO結晶)、LiNbO結晶およびTeO結晶を音響光学媒体として用い音響光学素子を作製し、その音響光学素子を用いて、Ti:Alレーザの第2高調波を用いた波長400nmのパルスレーザ光に対するレーザダメージおよび光損傷を測定した。光損傷は、光源としては波長488nmのアルゴンレーザの連続光を使用し、サンプル位置でのレーザ強度が1.8kW/mmという条件で行った。これらの結果を以下の表1に示す。
Figure 2006003955
表1に示すように、TeO結晶およびMgO:LiNbO結晶を用いた音響光学素子は、従来例(特開2004−170940)でも知られているように、パルスレーザ光に対するレーザダメージが比較的低パワーで観測された。一方、Li結晶、GaN結晶およびAlN結晶を用いた音響光学素子は、レーザダメージ閾値絶対値が140KW/mm以上であり、TeOに対するレーザダメージ閾値相対値が4倍以上と極めて大きな値を示した。なお、このレーザダメージ閾値絶対値は、測定系の限界である。光損傷(ビームパターンの乱れ)に関しては、LiNbO結晶を用いた音響光学素子にのみ観測されたが、その他のTeO結晶、MgO:LiNbO結晶、Li結晶、GaN結晶およびAlN結晶を用いた音響光学素子では観測されなかった。
このように、GaN結晶およびAlN結晶を用いた音響光学素子において、レーザダメージ閾値絶対値が高く、光損傷が観測されなかったため、本発明の音響光学素子は優れているといえる。本発明の音響光学素子は、ピークパワーの比較的大きな場合にも、連続光の場合にも適応可能であると考えられる。
次に、結晶表面のゴミ付着および結晶の透過率低下について、音響光学媒体として、AlN結晶(低抵抗)、GaN結晶(高抵抗および低抵抗)、Li結晶、MgO:LiNbO結晶およびLiNbO結晶を用いて作製した音響光学素子について、波長440nmの半導体レーザの光を結晶表面で直径約10μmφ〜100μmφに集光させることにより、比較的波長の短い連続光とし、約500時間〜1000時間照射した後、各種結晶表面の状態を観測した。その結果を以下の表2に示す。なお、このゴミ付着および結晶の透過率低下は、比較的短い波長の光を連続使用した場合に問題となる。
Figure 2006003955
前記表2において、特に結晶の透過率の低下や、ゴミ付着が観測された程度の大きいものから順に×、△で示し、最初の状態から変化しなかったもの(ゴミ付着が観測されなかったもの)を○で示した。また、前記高抵抗とは、抵抗率が1×10Ω・cm以上であることを示し、前記低抵抗とは、抵抗率が1×10−3Ω・cm〜1×10Ω・cmの範囲であることを示す。
この結果より、LiNbO結晶およびMgO:LiNbO結晶を用いた音響光学素子において、結晶表面でのゴミ付着と透過率の低下顕著に観測され、Li結晶を用いた音響光学素子においても観測された。これに対し、高抵抗のGaN結晶においてわずかにゴミ付着が観測されたものの、低抵抗のGaN結晶およびAlN結晶ではゴミ付着はほとんど観測されなかった。同じGaN結晶でもSiなどでドーピングを行い低抵抗の結晶を用いた音響光学素子では、ゴミ付着および透過率の低下はほとんど観測されなかった。
また、III族窒化物結晶をアルカリ金属等の融液から成長させる場合、例えば、結晶成長の初期には、ドーパント元素をほとんど添加しない融液を用いてある程度の大きさの結晶まで結晶成長させ、その後、第2の融液としてドーパント濃度の高い融液を用いて結晶成長させることにより、結晶の内部と比較して外周部の抵抗率が小さい結晶を得ることができる。このようなIII族窒化物結晶を用いることにより、静電気の帯電を防止し、かつ自由電子による光の吸収が最小限に抑制され、ゴミの吸着のない音響光学媒体を得ることができた。
ゴミ付着は、光によりわずかにイオン化あるいは活性化された大気中の不純物やゴミが、静電気などで結晶表面に吸着されて起こり、強誘電体でかつ絶縁体であるLiNbO結晶は、大気中のゴミや微少粒子を静電気により特に吸着しやすいと考えられる。また、この吸着したゴミや微粒子に光があたると、表面で化学反応などを起こし、光透過率の低下をまねくと考えられる。これに対し、本発明の音響光学素子は、音響光学媒体としてIII族窒化物結晶を使用するため、ゴミ付着および光の透過率低下を抑制できる。さらに、例えば、ドーピング等によりIII族窒化物結晶の抵抗率を制御することにより、ゴミ付着およびゴミ付着に伴う音響光学媒体表面での化学反応を抑制し、ゴミ付着および光の透過率低下をより一層抑制できる。
まず、音響光学媒体として、AlN結晶、GaN結晶、Li結晶およびMgO:LiNbO結晶を用いて、波長440nmの半導体レーザの連続光の音響光学変調器を作製し、その音響光学性能を評価した。その結果を以下の表3に示す。なお、GaN及びAlN結晶を用いた音響光学素子は、帯電防止のため、音響光学媒体を電気的に接地して使用した。
Figure 2006003955
得られた結果は、トランスデューサ部64と音響光学媒体6との機械的なインピーダンスが、完全に最適化されていなかったため、必ずしも音響光学性能がそのまま反映したものではないが、前記表3に示すように、GaN結晶およびAlN結晶を音響光学媒体として用いた音響光学素子の回折効率は、Li結晶を用いた音響光学素子の回折効率の2倍〜3倍の回折効率を実現できた。MgO:LiNbO結晶を用いた音響光学素子と比較した場合、やや回折効率は劣るものの、ゴミ付着の問題等を含め総合的に判断すると、GaN結晶およびAlN結晶を用いた音響光学素子は優れているといえる。また、GaN結晶およびAlN結晶を用いた音響光学素子では、RF信号の入力が1W〜2Wの時においても、熱によるビームパターンの乱れおよび光損傷およびレーザダメージによるビームパターンの乱れが観測されなかった。
実施例3と同様の結晶を用いて、波長400nmの半導体レーザの連続光の音響光学変調器を作製し、その音響光学性能を評価した。その結果を以下の表4に示す。なお、GaN及びAlN結晶を用いた音響光学素子は、帯電防止のため、結晶の外周部を電気的に接地して使用した。
Figure 2006003955
前記表4に示すように、GaN及びAlN結晶を用いた音響光学変調器の回折効率は、Li結晶を用いた音響光学変調器の回折効率の2倍〜3倍の回折効率を実現できた。また、GaN結晶およびAlN結晶を用いた音響光学変調器では、光損傷やレーザダメージによるビームパターンの乱れは観測されなかった。MgO:LiNbO結晶を用いた音響光学変調器より、回折効率は劣るものの、波長400nmのレーザ光を500時間〜1000時間程度の長時間入射した場合におけるゴミ付着の問題等を含め総合的に判断すると、GaN結晶およびAlN結晶を用いた音響光学変調器は優れているといえる。
本実施例では、音響光学素子として、音響光学変調器の場合の例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、音響光学偏向器、音響光学フィルタ、音響光学周波数シフタ等のその他の音響光学素子にも使用できる。
音響光学媒体として、AlN結晶およびLi結晶を用いて、図1と同様の音響光学素子を作製し、パルスYAGレーザの第3高調波(波長355nm)の音響光学性能を評価した。その結果を以下の表5に示す。なお、AlN結晶を用いた音響光学媒体の光入射面および光出射面に、波長355nm用のAlの単層膜からなる反射防止膜を形成した。
Figure 2006003955
前記表5に示すように、AlN結晶を用いた音響光学素子の回折効率は、Li結晶を用いた音響光学素子の回折効率と比較して約2倍の回折効率を実現できた。また、AlN結晶を用いた音響光学素子に100時間連続で波長355mのUV光を照射しても、透過率の低下およびビームパターンの劣化は確認されず、光入射面および光出射面におけるゴミの吸着および吸着したゴミのやけなどによる透過率の低下も観測されなかった。
音響光学媒体として、AlN結晶およびLi結晶を用いて、図1と同様の音響光学素子を作製し、パルスYAGレーザの第4高調波(波長266nm)の音響光学性能を評価した。その結果を以下の表6に示す。なお、AlN結晶を用いた音響光学媒体の光入射面および光出射面に、波長266nm用のSiOの単層膜からなる反射防止膜を形成した。
Figure 2006003955
AlN結晶を用いた音響光学素子は、Li結晶を用いた音響光学素子の回折効率と比較して約2倍の回折効率を実現できた。また、AlN結晶を用いた音響光学素子に100時間連続で波長266mのUV光を照射しても、透過率の低下およびビームパターンの劣化は確認されず、光入射面および光出射面におけるゴミの吸着および吸着したゴミのやけなども観測されなかった。
本発明の光描画装置の一例を、図3を用いて説明する。同図に示す光描画装置は、本発明の光描画装置の構成の一例であって、本発明の光描画装置の構成は、これに限定されるものではない。同図に示す光描画装置は、光源28、音響光学素子20、描画画面24および駆動回路22を主要構成要素とする。
光源28から出射された入射光201は、音響光学素子20に入射される。音響光学素子の基本構成は図1と同様である。駆動回路22からの信号に応じて変調された回折光203および透過光202が、前記音響光学素子20から出射される。消光比(光のONとOFFの差)が大きくとれる回折光を使用してもよいし、用途によっては透過光のみ、又は透過光および回折光の両方を利用してもよい。回折光203は描画面に到達し、駆動回路からの信号に応じて画像や線となる。
光源28としてはGaN結晶の半導体レーザ(波長410nm、出力50mW)を用いた。さらに音響光学媒体としては1×10Ω・cm程度の抵抗率を有する導電性を有するGaN結晶を用い、前記GaN結晶を電気的に接地して音響光学素子として用いた。
GaN系半導体レーザは光パワーが小さいので、例えば、レーザ顕微鏡の光源やレーザプリンターの光源として使用することができる。本発明の光描画装置をレーザ顕微鏡の光源として用いた場合は、通常の赤色半導体レーザを用いた場合と比較して、集光スポットを小さくすることが可能となり、分解能の向上することが可能となる。また、描画面(この場合は試料面)の蛍光を見る事により、材料の種類を同定することもできる。また、本発明の光描画装置をレーザプリンターに用いた場合は、より分解能の高いレーザプリンターを実現することが可能となる。
音響光学媒体として導電性を有するGaN結晶を使用し、さらに前記音響光学媒体を電気的に接地して用いた結果、波長410nmのレーザ光を500時間〜1000時間程度照射してもゴミの付着や透過率の低下は確認されなった。その結果、連続使用性能に優れる光描画装置を実現可能であった。
本発明の光描画装置のその他の例を、図4を用いて説明する。同図に示す光描画装置は、光源29、音響光学素子20、ビームストッパー30、可動ミラー26、描画画面24および駆動回路22を主要構成要素とする。
光源29から出射された入射光201は、音響光学素子20に入射される。駆動回路22からの信号に応じて変調された回折光202および透過光203が、前記音響光学素子20から出射される。回折光202を利用する場合、装置内で迷光となる透過光203はビームストッパー30で遮光する。回折光202を可動ミラー26で反射させ、描画面24に光を描画する。
光源29としてはYAGレーザ(第3高調波(波長355nm)、平均出力0.1W)を使用し、音響光学素子20に用いる音響光学媒体としてはAlNを使用し、可動ミラー26は、ポリゴンミラーを用いた。
このような構成の場合、光源29の平均出力が大きく、さらに、可能ミラー26により光の角度を大きく変化させることができるので、例えば、プリント基板の直接描画やレーザディスプレーの光源として使用することが可能である。プリント基板の直接描画装置として用いた場合、分解能の向上及び感光剤のコストが、安価になるという特徴がある。
また、レーザディスプレーの光源として用いた場合、画面24に、赤、緑および青に対応した蛍光体を塗布しておけば、紫外光で励起するレーザディスプレーを実現することが可能となる。レーザ光を直接ディスプレーに投影するのでなく、描画面24上の蛍光体を励起し、その励起された赤、緑、青の光を見るので、レーザディスプレーの欠点であるスペックルノイズを発生しないという特徴がある。
以上、本発明によれば、青色から紫外領域の光であってもレーザダメージおよび光損傷のなく、音響光学性能に優れる音響光学素子を実現できる。なお、GaNおよびAlN等のIII族窒化物は、熱伝導にも優れるため、比較的大きなRF信号を入力しても、水冷等が不要である。放熱をさらに向上させる場合には、例えば、光入射面及び光出射面を除く部分の音響光学媒体をグラファイトシート等で覆うことが好ましい。これにより、より多くの熱を筐体およびケース等に逃がすことができる。この場合において、グラファイトシートから、音響光学媒体を電気的に接地してもよい。
前記実施例では、波長410nmおよび355nmのレーザ光を用いた光描画装置の例を示したが、例えば、YAGレーザの第4高調波(波長266nm)を用いた光描画装置等のその他の光描画装置を作製することももちろん可能である。また、本発明の光描画装置は、描画面に特定の画像や線を描くものに限定されず、例えば、レーザ顕微鏡のように、描画面全体を照射する装置等として利用できる。
本発明によれば、レーザダメージや光損傷がなく、比較的効率の高い音響光学素子及びそれを用いた光描画装置を安価に実現できる。したがって、音響光学変調器、音響光学偏向器、音響光学フィルタあるいは音響光学周波数シフタ等の音響光学素子、中でも、波長488nm〜220nmの青色から紫外領域の短波長光用の音響光学素子及びそれを用いた光描画装置に有用である。
本発明は、音響光学素子及びそれを用いた光描画装置に関する。
従来、アルゴンレーザやヘリウムネオンレーザの可視光用音響媒体として、TeO2結晶やPbMoO4結晶が用いられてきた。一方、青色から紫外領域の光を利用した、例えば、YAGレーザの3倍波〜4倍波や各種短波長の半導体レーザ光源と、音響光学素子との組み合わせが検討されている。なお、前記音響光学素子としては、例えば、音響光学変調器、音響光学偏向器、音響光学フィルタおよび音響光学周波数シフタ等をさす。
従来の紫外領域の光を利用した音響光学変調素子の音響光学媒体としては、石英ガラス、水晶およびKDP結晶等が用いられている(例えば、非特許文献1および2参照)。さらに近年、紫外光用音響光学素子として各種ボレート系結晶が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、PbMoO4結晶を用いた音響光学素子では、PbMoO4結晶の吸収端波長が410nm程度であり、紫外領域の波長380nm以下の光を透過しないという問題がある(ここでは380nm〜220nmの波長の光を紫外光と定義する)。TeO2結晶を用いた音響光学素子では、TeO2結晶の吸収端波長は約330nmであるが、特許文献1に示すようにパルスのピークパワーの大きな用途には適さないという問題がある。
また、石英ガラス、水晶およびKDP結晶を用いた音響光学素子では、音響光学性能が小さいため、音響光学素子を駆動するための高周波信号電源が大きくなり、音響光学素子の発熱を抑制するために音響光学素子を水冷する必要がある。ボレート系結晶を用いた音響光学素子では、紫外領域の光において利用可能であり、かつレーザダメージに強い音響光学素子を実現できるが、用途によっては音響光学性能がまだ充分でないという問題がある。
また、短波長用の音響光学素子として利用するためには、光入射面や光出射面にゴミが付着すること、さらに短波長の光の場合は、空気中の浮遊物を分解し、その分解物が光入射面や光出射面に吸着するという問題がある。
また、湿度の低い環境で音響光学素子を製造する場合、大気中のわずかの埃などを吸着する場合があり、そこにレーザ光を照射すると、ゴミを吸着した部分で光の透過率が低下したり、音響光学素子の光入射面や光出射面でゴミが焼き付くなどの問題がある。
一方、青色から紫外領域の光を用いた光描画装置を、例えば、電子回路基板の直接描画装置、各種プリンターなどの光源として利用することが検討されている。
従来の音響光学素子を用いた光描画装置では、音響光学媒体の耐湿処理や、水冷による放熱が必要であり、その結果、駆動回路等が大きくなるという問題がある。また音響光学素子の光入射面や光出射面にゴミが付着し、光描画装置を連続で長時間利用できないという問題がある。
特開2004−170940号公報 Proceeding IEEE Ultrasonic Sympo Vol.1998 pp1289−1292 (1998) Proceeding of the IEEE Vol.61 No8 pp.1073−1092 (1973)
そこで、本発明は、紫外領域の光でも利用可能で、レーザダメージや光損傷のなく、かつ光入射面や光出射面にゴミ付着の影響のない、音響光学性能に優れる音響光学素子及びそれを用いた光描画装置の提供を、その目的とする。
本発明の音響光学素子は、高周波信号入力部、トランスデューサ部および音響光学媒体を含み、前記高周波信号入力部から入力した高周波信号を、前記トランスデューサ部により機械振動に変換し、前記機械振動により前記音響光学媒体の光学的な特性が変化する音響光学素子であって、前記音響光学媒体が、III族窒化物結晶であることを特徴とする。
なお、ここで、前記機械振動により前記音響光学媒体の光学的な特性が変化する音響光学素子とは、以下のことを指す。すなわち、高周波信号に応じた超音波が、音響光学媒体を伝播する。このとき、音響光学媒体中に超音波の波長に対応した密度の粗密ができ、この結果、超音波の波長に対応した屈折率変化が音響光学媒体中にできる。この屈折率変化の周期が、光の波長と同程度となるため、音響光学媒体内部に光に対する回折格子が形成される。音響光学媒体の光入射面に入射した入射光が、音響光学媒体内部の回折格子により回折され、音響光学素子が実現される。
本発明の光描画装置は、光源、音響光学素子、駆動回路および描画面を有し、前記光源からの光が、前記駆動回路からの信号に応じて前記音響光学素子において回折され、その回折光が、前記描画面に描画される光描画装置であって、前記音響光学素子の音響光学媒体が、III族窒化物結晶であることを特徴とする。
本発明によれば、音響光学媒体としてIII族窒化物結晶を使用することにより、レーザダメージや光損傷がなく、音響光学性能に優れる音響光学素子を実現できる。さらに、短波長の音響光学素子として問題となる光入射面や光出射面でのゴミの影響などをなくす事が可能となる。また、本発明の光描画装置は、音響光学媒体としてIII族窒化物結晶を使用することにより、例えば、駆動回路の小型化、耐湿性の向上、紫外領域の光を入射光として用いた場合におけるダメージ耐性の向上が可能になり、安価で構成の簡単な光描画装置を実現できる。
本発明において、前記III族窒化物結晶は、特に制限されず、例えば、組成式AluGavIn(1-u-v)N(ただし、0≦u≦1,0≦v≦1,u+v≦1)で表される結晶であることが好ましい。具体例としては、GaN結晶、AlN結晶、GaNおよびAlNの固溶体(AlGaN結晶)、AlGaInN結晶等のInを含む結晶等があげられる。前記結晶は、ドーパント元素を含まない結晶でもよいし、後述するように、ドーパント元素を含む結晶であってもよいが、ゴミ付着の影響をなくすためには、ドーパント元素を含む事が望ましい。これらの中でも、GaN結晶、AlN結晶、AlGaN結晶、AlGaInN結晶を使用することが好ましい。Inを全く含まない結晶、例えば、AlN結晶およびAlGaN結晶を音響光学媒体として用いた場合、入射光の波長範囲を約220nmの紫外領域付近の波長まで利用可能な音響光学素子を実現できる。なお、本発明でいう固溶体とは、均一相の固溶体のことであり、半導体分野で言われる混晶と同意である。
前記音響光学媒体の性能定数M2は、下記式より得られる。
M2=n62/ρv3
前記式中において、nは媒体の屈折率を示し、pは光弾性定数を示し、ρは媒体の密度を示し、vは媒体中の音速を示す。
前記式に示すように、媒体の屈折率が大きければ大きいほど、音響光学媒体の性能定数が高くなるため、屈折率の大きな媒体は音響光学媒体として有効である。一方、III族窒化物結晶は、電子分極が大きく、光弾性定数も大きいことが期待され、優れた音響光学媒体であるといえる。また、GaN結晶やAlN結晶は従来から検討されている気相成長の他に、近年アルカリ金属などを用いた液相法でも良質の大型結晶が成長できる可能性が見え始めており、III族窒化物バルク結晶を用いた音響光学素子を比較的安価に実現する事も可能になると考えられる。
本発明において、前記III族窒化物結晶は、いかなる製造方法により得られた結晶でもよいが、高品質で大きな単結晶が得られるという理由から、液相法により形成された結晶であることが好ましい。前記液相法は、窒素含有ガス雰囲気下、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方と、III族元素と、窒素とを含む融液中で、III族元素と前記窒素とを反応させてIII族窒化物結晶を成長させる工程を有する方法であることが好ましい。前記III族元素としては、例えば、Al、GaおよびInがあげられ、これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記アルカリ金属としては、Li、Na、K、RbおよびCsがあげられ、前記アルカリ土類金属としては、例えば、Ca、Mg、Be、SrおよびBaなどがあげられ、これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記アルカリ金属としては、Na、LiおよびKが好ましく、前記アルカリ土類金属としては、Caが好ましく、特に好ましくは、NaとCaとを併用することである。また、前記液相法は、加圧加熱下で実施することが好ましく、この条件は、例えば、圧力2atm〜100atm(2×1.01325×105Pa〜100×1.01325×105Pa)、温度600℃〜1800℃の範囲である。最適圧力および最適温度は、成長させる結晶組成に依存する。例えば、Alを多く含む組成の結晶を成長させる場合、高温・低圧下で成長させることが好ましく、GaやInを多く含む組成の結晶を成長させる場合、低温・高圧下で成長させることが好ましい。前記窒素含有ガスは、例えば、窒素ガス、アンモニアガス若しくは前記両ガスの混合ガス等であることが好ましい。前記窒素含有ガスは、例えば、不活性ガス(例えば、Ar、HeおよびNe)および水素ガス等を含んでいてもよい。前記融液中に含まれる窒素の窒素源は特に限定されず、例えば、窒素含有ガス、融液中に混入させた窒素化合物等であってもよい。前記窒素化合物としては、例えば、ヒドラジン(H2NNH2)およびアジ化ナトリウム等があげられる。
本発明において、前記音響光学素子に入射される入射光の波長は特に制限されないが、例えば、488nm〜220nmの短波長範囲であることが好ましく、より好ましくは380nm〜220nmであり、特に好ましくは380nm〜266nmである。本発明の音響光学素子は、音響光学媒体として、III族窒化物結晶を使用しているため、入射光の波長が短波長である場合に特に有用である。なお、本発明において、短波長は488nm〜220nmの範囲の波長であると定義する。
本発明において、前記III族窒化物結晶が、導電性を有することが好ましい。音響光学素子を導電性とすることで、光入射面や光出射面でのゴミなどの吸着をより抑制し、長期信頼性により一層優れた音響光学素子を実現できる。
前記導電性は、例えば、ドーパント元素をドーピングすること等により制御することができる。前記ドーパント元素としては、例えば、Si、Li、Mg、ZnおよびO等があげられ、これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、SiやLiを使用する事により、透明性を維持したまま、比較的低抵抗の結晶を得る事が出来るので、これらの元素を使用することが好ましい。
なお、結晶の表面に導電性を付与する方法としては、例えば、ITO(インジウム・スズ・酸化物)などの透明膜を結晶表面にコーティングする事も考えられる。しかし、ITO膜は、波長400nm以下の光を入射光として用いた場合、透過率が低下する事やレーザダメージに弱いので、レーザ光を透過する音響光学素子への利用は適さない。
本発明において、前記III族窒化物結晶が、前記融液を用いた液相法により得られた結晶である場合、前記融液が、前記ドーパント元素を含むことが好ましく、その成長工程において、融液中のドーパント元素の濃度を変化させることにより得られた結晶であることが好ましい。前記濃度の変化としては、結晶の成長に応じてドーパント元素の濃度を上昇させることが好ましく、前記濃度の変化は、連続的に変化させてもよいし、1段階および2段階以上に段階的に変化させてもよい。また、段階的に濃度を上昇させる方法としては、例えば、一定時間濃度を一定に保った後、濃度を上昇させ、これらを繰り返し行う方法等があげられる。例えば、融液中のドーパント濃度を1段階変化させる場合、変化前の濃度を0.001mol%〜0.005mol%とし、変化後の濃度を0.01mol%〜0.1mol%とし、変化前と変化後との間で、ドーパント元素の濃度を、例えば、2倍〜100倍変化させてもよい。
本発明において、前記III族窒化物結晶の抵抗率は、例えば、1×10-3Ω・cm〜1×104Ω・cmであり、好ましくは1×10-2Ω・cm〜1×103Ω・cmであり、より好ましくは1×10-1Ω・cm〜1×102Ω・cmである。前記抵抗率は、例えば、4端子法により容易に測定する事が出来る。
本発明において、前記III族窒化物結晶の内部の抵抗率が、前記III族窒化物結晶の外周部の抵抗率よりも大きいことが好ましい。このように、音響光学媒体の外周部の抵抗値を小さくすることにより、音響光学媒体表面へのゴミ付着をより一層抑制できる。前記III族窒化物結晶の内部の抵抗率(Ri)が、例えば、1×102Ω・cm〜1×106Ω・cmであり、好ましくは1×103Ω・cm〜1×104Ω・cmであり、前記III族窒化物結晶の外周部の抵抗率(Re)が、例えば、1×10-3Ω・cm〜1×102Ω・cmであり、好ましくは1×10-2Ω・cm〜1×101Ω・cmである。なお、本発明において、前記III族窒化物結晶の外周部とは、結晶ブロックの外側から厚み100μmまでと定義し、前記III族窒化物結晶の内部とは、それ以外の部分を意味する。
本発明において、前記音響光学媒体が、光入射面および光出射面の少なくとも一方を含むことが好ましい。
本発明において、前記音響光学素子が、さらに、反射防止手段を含み、前記反射防止手段が、前記光入射面および光出射面の少なくとも一方に形成されていることが好ましい。前記反射防止手段としては、誘電体薄膜が好ましく、前記誘電体薄膜としては、例えば、SiO2膜およびAl23膜等があげられる。前記反射防止手段は、単層膜であっても、2層以上の複数層膜であってもよく、好ましくはSiO2単層膜およびAl23単層膜である。屈折率の大きなIII族窒化物結晶と、SiO2単層膜およびAl23単層膜等の単層膜とを組み合わせることにより、反射防止手段を有した信頼性の高い音響光学素子を実現できる。
本発明において、前記誘電体薄膜の屈折率をn1、前記誘電体薄膜の厚みをt1、入射光の真空中での波長をλ1とするとき、n11=λ1/4であることが好ましい。
本発明において、前記音響光学素子が、さらに、高熱伝導シートを含むことが好ましく、前記高熱伝導シートが、前記音響光学媒体の少なくとも一部に形成されていることが好ましい。前記高熱伝導シートは、導電性を有することが好ましい。
本発明において、前記音響光学素子が、さらに、接地手段を含むことが好ましく、前記接地手段により、前記音響光学媒体が、電気的に接地されていることが好ましい。前記接地手段は、特に制限されないが、熱伝導シートであることが好ましい。この接地手段により、音響光学媒体表面へのゴミ付着をより一層抑制できる。
本発明の光描画装置において、前記音響光学媒体として、III族元素窒化物結晶を使用するものであれば、使用する音響光学素子は特に制限されず、例えば、前記音響光学素子として、前記本発明の音響光学素子を使用することができる。
本発明の光描画装置において、前記III族窒化物結晶は、特に制限されず、例えば、組成式AluGavIn(1-u-v)N(ただし、0≦u≦1,0≦v≦1,u+v≦1)で表される結晶であることが好ましい。具体例としては、GaN結晶、AlN結晶、GaNおよびAlNの固溶体(AlGaN結晶)、AlGaInN結晶等のInを含む結晶等があげられる。中でも、AlN結晶、GaN結晶およびAlGaN結晶が好ましい。前記音響光学媒体として、GaN結晶、AlN結晶およびAlGaN結晶を音響光学素子に用いた場合、入射光として青色から紫外領域の短波長光を用いた場合における駆動回路がより一層簡単な光描画装置を実現できる。
本発明の光描画装置において、さらに、反射防止手段を有し、前記反射防止手段が、前記音響光学媒体の光入射面および光出射面の少なくとも一方に形成されていることが好ましい。
本発明の光描画装置において、前記音響光学媒体が、導電性を有することが好ましく、より好ましくは、前記音響光学媒体が、電気的に接地されていることである。
本発明の光描画装置において、さらに、可動ミラーを有することが好ましい。
本発明の光描画装置において、さらに、ビームストッパーを有することが好ましく、前記ビームストッパーが、前記音響光学素子からの透過光を遮光することが好ましい。
本発明の光描画装置において、前記描画面が、感光体であることが好ましく、前記感光体が、蛍光体であることが好ましい。
以下、実施例を用いてさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例では、III族窒化物結晶として、GaN結晶及びAlN結晶を用いた場合の例であるが、AlGaN結晶、AlGaInN結晶等のその他のIII族窒化物結晶であっても、同様に実施可能である。
GaN結晶をプリズム形状に加工し、そのGaN結晶を音響光学媒体として使用し、図1に示す音響光学素子を作製した。同図に示す音響光学素子は、本発明の音響光学素子の構成の一例であって、本発明の音響光学素子の構成は、これに限定されるものではない。
同図に示すように、音響光学素子は、高周波信号入力部65、トランスデューサ部64および音響光学媒体6を主要構成要素とする。前記音響光学媒体6は、収納容器66内に配置され、前記収納容器66の外部には、前記高周波信号入力部65が配置されている。前記高周波信号入力部65は、インピーダンスマッチング部68を介して前記トランスデューサ部64と接続し、前記トランスデューサ部64は、前記音響光学媒体6の1つの面に配置されている。前記音響光学媒体6において、前記トランスデューサ部64配置面と向かい合う面に吸音材63が配置されている。前記トランスデューサ部64は、例えば、LiNbO3等の圧電体結晶で作製することができる。前記インピーダンスマッチング部68は、前記高周波信号入力部65とトランスデューサ部64との間における電気的なインピーダンスの整合性を取り、前記吸音材63は、前記音響光学媒体6の端で超音波が再度反射してトランスデューサ部64側に戻らないように超音波を吸収する。
高周波信号入力部65から入力した高周波信号に応じた超音波(通常10MHz〜2000MHz程度)が、音響光学媒体6内を伝播する。このとき、音響光学媒体6中に超音波の波長に対応した密度の粗密ができ、この結果、波長に対応した屈折率変化ができる。この屈折率変化の周期が光の波長と同程度となるため、音響光学媒体6内部に光に対する回折格子が形成される。音響光学媒体6の光入射面61に入射した入射光601が、前記音響光学媒体6内部の回折格子により回折されたのが回折光602であり、回折されずそのまま透過したのが透過光603である。回折光602の回折角は、高周波信号入力部65に印加する高周波信号の周波数により変化し、回折光602の回折効率は、高周波信号入力部に印加する高周波信号の大きさにより変化する。回折角は、例えば、0.2から数°程度であり、この回折角の大きさは入射する超音波の周波数が大きいほど、大きな回折角となる。
本実施例で作製した音響光学素子は、例えば、入力RFパワーが2Wの時、波長488nmのCWのレーザ光に対して、回折効率を10%〜60%とすることが可能であった。音響光学素子の駆動電力として、通常0.5W〜5W程度のRFパワーがインピーダンスマッチング部68を通してトランスデューサ部64に入力されることになり、その電力は最終的には熱になる。そのため、熱伝導の大きな材料を音響光学媒体として使用することは、放熱の観点から有利である。また、本実施例の音響光学素子に、光の入射パワー1Wの連続光を入射した場合であっても、ビームのドリフトやぼけのない良好なビーム品質の回折光が得られた。本実施例の音響光学素子は、音響光学媒体6としてGaN単結晶を用いたため、熱伝導率が高く、光パワーを大きくしてもビームパターンの乱れが小さいという特徴がある。
なお、本実施例では、488nmのレーザ光を入射光として使用した場合を示したが、GaN結晶を音響光学媒体として用いた場合、例えば、波長380nm程度まで透過可能であり、AlN結晶を音響光学媒体として用いた場合、例えば、波長220nm程度まで透過可能である。したがって、音響光学媒体としてIII族窒化物結晶を使用することは、青色光及び紫外光の短波長用音響光学素子として極めて有用である。
前記音響光学媒体6の光入射面61や光出射面62に誘電体薄膜からなる反射防止手段(以下、反射防止膜ともいう)を形成することにより、光の透過率のさらなる向上と、音響光学媒体6内部の光の多重反射による消光比の劣化防止とが可能となる。単層の反射防止膜について図2のグラフを用いて説明する。図2は、音響光学媒体として、ボレート系結晶およびIII族窒化物結晶を使用し、それぞれの結晶に、反射防止膜としてMgF2膜、SiO2膜およびAl23膜の単層膜を形成した場合における、基材屈折率(音響光学結晶の屈折率)と反射率(%)との関係を示したグラフである。同図のグラフからわかるように、III族窒化物結晶を音響光学媒体として用いた場合、III族窒化物結晶の屈折率がボレート系結晶に比べて大きく、単一波長用反射防止膜として耐湿性や機械的強度に優れるSiO2およびAl23が使用可能となる。例えば、膜の屈折率をn1、膜厚をt1、使用する光の真空中での波長をλ1とすると、n11=λ1/4とすることで反射防止膜を形成することができる。このとき単層膜でも所望の波長で片面の反射率約1%以下の反射防止膜を実現できる。さらにこれらの膜は、耐湿性が高くかつ機械的強度が高いので、特に実用上有利である。一方、ボレート系結晶の反射防止膜(単一波長用)の場合、屈折率の関係でMgF2の単層膜が適しているが、MgF2は、単層膜では耐湿性や機械的強度が弱いという欠点がある。なお、光ファイバやレーザを用いた光学系では、利用する波長が単一である場合が多いため、反射防止膜も単層膜でよい場合が多い。
AlN結晶、GaN結晶、Li247結晶、MgO:LiNbO3結晶(MgOをドープしたLiNbO3結晶)、LiNbO3結晶およびTeO2結晶を音響光学媒体として用い音響光学素子を作製し、その音響光学素子を用いて、Ti:Al23レーザの第2高調波を用いた波長400nmのパルスレーザ光に対するレーザダメージおよび光損傷を測定した。光損傷は、光源としては波長488nmのアルゴンレーザの連続光を使用し、サンプル位置でのレーザ強度が1.8kW/mm2という条件で行った。これらの結果を以下の表1に示す。
Figure 2006003955
表1に示すように、TeO2結晶およびMgO:LiNbO3結晶を用いた音響光学素子は、従来例(特開2004−170940)でも知られているように、パルスレーザ光に対するレーザダメージが比較的低パワーで観測された。一方、Li247結晶、GaN結晶およびAlN結晶を用いた音響光学素子は、レーザダメージ閾値絶対値が140KW/mm2以上であり、TeO2に対するレーザダメージ閾値相対値が4倍以上と極めて大きな値を示した。なお、このレーザダメージ閾値絶対値は、測定系の限界である。光損傷(ビームパターンの乱れ)に関しては、LiNbO3結晶を用いた音響光学素子にのみ観測されたが、その他のTeO2結晶、MgO:LiNbO3結晶、Li247結晶、GaN結晶およびAlN結晶を用いた音響光学素子では観測されなかった。
このように、GaN結晶およびAlN結晶を用いた音響光学素子において、レーザダメージ閾値絶対値が高く、光損傷が観測されなかったため、本発明の音響光学素子は優れているといえる。本発明の音響光学素子は、ピークパワーの比較的大きな場合にも、連続光の場合にも適応可能であると考えられる。
次に、結晶表面のゴミ付着および結晶の透過率低下について、音響光学媒体として、AlN結晶(低抵抗)、GaN結晶(高抵抗および低抵抗)、Li247結晶、MgO:LiNbO3結晶およびLiNbO3結晶を用いて作製した音響光学素子について、波長440nmの半導体レーザの光を結晶表面で直径約10μmφ〜100μmφに集光させることにより、比較的波長の短い連続光とし、約500時間〜1000時間照射した後、各種結晶表面の状態を観測した。その結果を以下の表2に示す。なお、このゴミ付着および結晶の透過率低下は、比較的短い波長の光を連続使用した場合に問題となる。
Figure 2006003955
前記表2において、特に結晶の透過率の低下や、ゴミ付着が観測された程度の大きいものから順に×、△で示し、最初の状態から変化しなかったもの(ゴミ付着が観測されなかったもの)を○で示した。また、前記高抵抗とは、抵抗率が1×105Ω・cm以上であることを示し、前記低抵抗とは、抵抗率が1×10-3Ω・cm〜1×104Ω・cmの範囲であることを示す。
この結果より、LiNbO3結晶およびMgO:LiNbO3結晶を用いた音響光学素子において、結晶表面でのゴミ付着と透過率の低下顕著に観測され、Li247結晶を用いた音響光学素子においても観測された。これに対し、高抵抗のGaN結晶においてわずかにゴミ付着が観測されたものの、低抵抗のGaN結晶およびAlN結晶ではゴミ付着はほとんど観測されなかった。同じGaN結晶でもSiなどでドーピングを行い低抵抗の結晶を用いた音響光学素子では、ゴミ付着および透過率の低下はほとんど観測されなかった。
また、III族窒化物結晶をアルカリ金属等の融液から成長させる場合、例えば、結晶成長の初期には、ドーパント元素をほとんど添加しない融液を用いてある程度の大きさの結晶まで結晶成長させ、その後、第2の融液としてドーパント濃度の高い融液を用いて結晶成長させることにより、結晶の内部と比較して外周部の抵抗率が小さい結晶を得ることができる。このようなIII族窒化物結晶を用いることにより、静電気の帯電を防止し、かつ自由電子による光の吸収が最小限に抑制され、ゴミの吸着のない音響光学媒体を得ることができた。
ゴミ付着は、光によりわずかにイオン化あるいは活性化された大気中の不純物やゴミが、静電気などで結晶表面に吸着されて起こり、強誘電体でかつ絶縁体であるLiNbO3結晶は、大気中のゴミや微少粒子を静電気により特に吸着しやすいと考えられる。また、この吸着したゴミや微粒子に光があたると、表面で化学反応などを起こし、光透過率の低下をまねくと考えられる。これに対し、本発明の音響光学素子は、音響光学媒体としてIII族窒化物結晶を使用するため、ゴミ付着および光の透過率低下を抑制できる。さらに、例えば、ドーピング等によりIII族窒化物結晶の抵抗率を制御することにより、ゴミ付着およびゴミ付着に伴う音響光学媒体表面での化学反応を抑制し、ゴミ付着および光の透過率低下をより一層抑制できる。
まず、音響光学媒体として、AlN結晶、GaN結晶、Li247結晶およびMgO:LiNbO3結晶を用いて、波長440nmの半導体レーザの連続光の音響光学変調器を作製し、その音響光学性能を評価した。その結果を以下の表3に示す。なお、GaN及びAlN結晶を用いた音響光学素子は、帯電防止のため、音響光学媒体を電気的に接地して使用した。
Figure 2006003955
得られた結果は、トランスデューサ部64と音響光学媒体6との機械的なインピーダンスが、完全に最適化されていなかったため、必ずしも音響光学性能がそのまま反映したものではないが、前記表3に示すように、GaN結晶およびAlN結晶を音響光学媒体として用いた音響光学素子の回折効率は、Li247結晶を用いた音響光学素子の回折効率の2倍〜3倍の回折効率を実現できた。MgO:LiNbO3結晶を用いた音響光学素子と比較した場合、やや回折効率は劣るものの、ゴミ付着の問題等を含め総合的に判断すると、GaN結晶およびAlN結晶を用いた音響光学素子は優れているといえる。また、GaN結晶およびAlN結晶を用いた音響光学素子では、RF信号の入力が1W〜2Wの時においても、熱によるビームパターンの乱れおよび光損傷およびレーザダメージによるビームパターンの乱れが観測されなかった。
実施例3と同様の結晶を用いて、波長400nmの半導体レーザの連続光の音響光学変調器を作製し、その音響光学性能を評価した。その結果を以下の表4に示す。なお、GaN及びAlN結晶を用いた音響光学素子は、帯電防止のため、結晶の外周部を電気的に接地して使用した。
Figure 2006003955
前記表4に示すように、GaN及びAlN結晶を用いた音響光学変調器の回折効率は、Li247結晶を用いた音響光学変調器の回折効率の2倍〜3倍の回折効率を実現できた。また、GaN結晶およびAlN結晶を用いた音響光学変調器では、光損傷やレーザダメージによるビームパターンの乱れは観測されなかった。MgO:LiNbO3結晶を用いた音響光学変調器より、回折効率は劣るものの、波長400nmのレーザ光を500時間〜1000時間程度の長時間入射した場合におけるゴミ付着の問題等を含め総合的に判断すると、GaN結晶およびAlN結晶を用いた音響光学変調器は優れているといえる。
本実施例では、音響光学素子として、音響光学変調器の場合の例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、音響光学偏向器、音響光学フィルタ、音響光学周波数シフタ等のその他の音響光学素子にも使用できる。
音響光学媒体として、AlN結晶およびLi247結晶を用いて、図1と同様の音響光学素子を作製し、パルスYAGレーザの第3高調波(波長355nm)の音響光学性能を評価した。その結果を以下の表5に示す。なお、AlN結晶を用いた音響光学媒体の光入射面および光出射面に、波長355nm用のAl23の単層膜からなる反射防止膜を形成した。
Figure 2006003955
前記表5に示すように、AlN結晶を用いた音響光学素子の回折効率は、Li247結晶を用いた音響光学素子の回折効率と比較して約2倍の回折効率を実現できた。また、AlN結晶を用いた音響光学素子に100時間連続で波長355mのUV光を照射しても、透過率の低下およびビームパターンの劣化は確認されず、光入射面および光出射面におけるゴミの吸着および吸着したゴミのやけなどによる透過率の低下も観測されなかった。
音響光学媒体として、AlN結晶およびLi247結晶を用いて、図1と同様の音響光学素子を作製し、パルスYAGレーザの第4高調波(波長266nm)の音響光学性能を評価した。その結果を以下の表6に示す。なお、AlN結晶を用いた音響光学媒体の光入射面および光出射面に、波長266nm用のSiO2の単層膜からなる反射防止膜を形成した。
Figure 2006003955
AlN結晶を用いた音響光学素子は、Li247結晶を用いた音響光学素子の回折効率と比較して約2倍の回折効率を実現できた。また、AlN結晶を用いた音響光学素子に100時間連続で波長266mのUV光を照射しても、透過率の低下およびビームパターンの劣化は確認されず、光入射面および光出射面におけるゴミの吸着および吸着したゴミのやけなどによる透過率の低下も観測されなかった。
本発明の光描画装置の一例を、図3を用いて説明する。同図に示す光描画装置は、本発明の光描画装置の構成の一例であって、本発明の光描画装置の構成は、これに限定されるものではない。同図に示す光描画装置は、光源28、音響光学素子20、描画面24および駆動回路22を主要構成要素とする。
光源28から出射された入射光201は、音響光学素子20に入射される。音響光学素子の基本構成は図1と同様である。駆動回路22からの信号に応じて変調された回折光202および透過光203が、前記音響光学素子20から出射される。消光比(光のONとOFFの差)が大きくとれる回折光を使用してもよいし、用途によっては透過光のみ、又は透過光および回折光の両方を利用してもよい。回折光202は描画面24に到達し、駆動回路からの信号に応じて画像や線となる。
光源28としてはGaN結晶の半導体レーザ(波長410nm、出力50mW)を用いた。さらに音響光学媒体としては1×103Ω・cm程度の抵抗率を有する導電性を有するGaN結晶を用い、前記GaN結晶を電気的に接地して音響光学素子として用いた。
GaN系半導体レーザは光パワーが小さいので、例えば、レーザ顕微鏡の光源やレーザプリンターの光源として使用することができる。本発明の光描画装置をレーザ顕微鏡の光源として用いた場合は、通常の赤色半導体レーザを用いた場合と比較して、集光スポットを小さくすることが可能となり、分解能の向上することが可能となる。また、描画面(この場合は試料面)の蛍光を見る事により、材料の種類を同定することもできる。また、本発明の光描画装置をレーザプリンターに用いた場合は、より分解能の高いレーザプリンターを実現することが可能となる。
音響光学媒体として導電性を有するGaN結晶を使用し、さらに前記音響光学媒体を電気的に接地して用いた結果、波長410nmのレーザ光を500時間〜1000時間程度照射してもゴミの付着や透過率の低下は確認されなった。その結果、連続使用性能に優れる光描画装置を実現可能であった。
本発明の光描画装置のその他の例を、図4を用いて説明する。同図に示す光描画装置は、光源29、音響光学素子20、ビームストッパー30、可動ミラー26、描画面24および駆動回路22を主要構成要素とする。
光源29から出射された入射光201は、音響光学素子20に入射される。駆動回路22からの信号に応じて変調された回折光202および透過光203が、前記音響光学素子20から出射される。回折光202を利用する場合、装置内で迷光となる透過光203はビームストッパー30で遮光する。回折光202を可動ミラー26で反射させ、描画面24に光を描画する。
光源29としてはYAGレーザ(第3高調波(波長355nm)、平均出力0.1W)を使用し、音響光学素子20に用いる音響光学媒体としてはAlNを使用し、可動ミラー26は、ポリゴンミラーを用いた。
このような構成の場合、光源29の平均出力が大きく、さらに、可能ミラー26により光の角度を大きく変化させることができるので、例えば、プリント基板の直接描画やレーザディスプレーの光源として使用することが可能である。プリント基板の直接描画装置として用いた場合、分解能の向上及び感光剤のコストが、安価になるという特徴がある。
また、レーザディスプレーの光源として用いた場合、描画面24に、赤、緑および青に対応した蛍光体を塗布しておけば、紫外光で励起するレーザディスプレーを実現することが可能となる。レーザ光を直接ディスプレーに投影するのでなく、描画面24上の蛍光体を励起し、その励起された赤、緑、青の光を見るので、レーザディスプレーの欠点であるスペックルノイズを発生しないという特徴がある。
以上、本発明によれば、青色から紫外領域の光であってもレーザダメージおよび光損傷のなく、音響光学性能に優れる音響光学素子を実現できる。なお、GaNおよびAlN等のIII族窒化物は、熱伝導にも優れるため、比較的大きなRF信号を入力しても、水冷等が不要である。放熱をさらに向上させる場合には、例えば、光入射面及び光出射面を除く部分の音響光学媒体をグラファイトシート等で覆うことが好ましい。これにより、より多くの熱を筐体およびケース等に逃がすことができる。この場合において、グラファイトシートから、音響光学媒体を電気的に接地してもよい。
前記実施例では、波長410nmおよび355nmのレーザ光を用いた光描画装置の例を示したが、例えば、YAGレーザの第4高調波(波長266nm)を用いた光描画装置等のその他の光描画装置を作製することももちろん可能である。また、本発明の光描画装置は、描画面に特定の画像や線を描くものに限定されず、例えば、レーザ顕微鏡のように、描画面全体を照射する装置等として利用できる。
本発明によれば、レーザダメージや光損傷がなく、比較的効率の高い音響光学素子及びそれを用いた光描画装置を安価に実現できる。したがって、音響光学変調器、音響光学偏向器、音響光学フィルタあるいは音響光学周波数シフタ等の音響光学素子、中でも、波長488nm〜220nmの青色から紫外領域の短波長光用の音響光学素子及びそれを用いた光描画装置に有用である。
図1は、本発明の音響光学素子の構成の一例を示す構成図である。 図2は、本発明の実施例1による反射防止膜の材料と音響光学媒体の屈折率の違いによる反射率を説明するグラフである。 図3は、本発明の描画装置の構成の一例を示す構成図である。 図4は、本発明描画装置の構成のその他の例を示す構成図である。
符号の説明
6 音響光学媒体
20 音響光学素子
22 駆動回路
24 描画面
26 可動ミラー
28、29 光源
30 ビームストッパー
61 光入射面
62 光出射面
63 吸音材
64 トランスデューサ部
65 高周波信号入力部
66 収納容器
68 インピーダンスマッチング部
201、601 入射光
202、602 回折光
203、603 透過光

Claims (31)

  1. 高周波信号入力部、トランスデューサ部および音響光学媒体を含み、前記高周波信号入力部から入力した高周波信号を、前記トランスデューサ部により機械振動に変換し、前記機械振動により前記音響光学媒体の光学的な特性が変化する音響光学素子であって、前記音響光学媒体が、III族窒化物結晶であることを特徴とする音響光学素子。
  2. 前記III族窒化物結晶が、組成式AlGaIn(1−u−v)N(ただし、0≦u≦1,0≦v≦1,u+v≦1)で表される結晶である請求の範囲1記載の音響光学素子。
  3. 前記III族窒化物結晶が、GaN結晶、AlN結晶およびAlGaN結晶からなる群から選択される一つである請求の範囲1記載の音響光学素子。
  4. 前記音響光学素子に入射される入射光の波長が、488nm〜220nmの範囲である請求の範囲1記載の音響光学素子
  5. 前記III族窒化物結晶が、導電性を有する請求の範囲1記載の音響光学素子。
  6. 前記III族窒化物結晶の抵抗率が、1×10−3Ω・cm〜1×10Ω・cmである請求の範囲5記載の音響光学素子。
  7. 前記III族窒化物結晶の内部の抵抗率が、前記III族窒化物結晶の外周部の抵抗率よりも大きい請求の範囲5記載の音響光学素子。
  8. 前記音響光学媒体が、光入射面および光出射面の少なくとも一方を含む請求の範囲1記載の音響光学素子。
  9. 前記III族窒化物結晶が、ドーパント元素を含む請求の範囲5記載の音響光学素子。
  10. 前記ドーパント元素が、Si、Li、Mg、ZnおよびOからなる群から選択される少なくとも一つである請求の範囲9記載の音響光学素子。
  11. 前記III族窒化物結晶が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方を含む融液を用いて、液相法により得られた結晶である請求の範囲1記載の音響光学素子。
  12. 前記融液が、さらに、ドーパント元素を含み、前記ドーパント元素が、Si、Li、Mg、ZnおよびOからなる群から選択される少なくとも一つである請求の範囲11記載の音響光学素子。
  13. 前記III族窒化物結晶が、その成長工程において、前記融液中のドーパント元素の濃度を変化させて得られた結晶である請求の範囲12記載の音響光学素子。
  14. さらに、反射防止手段を含み、前記反射防止手段が、前記光入射面および光出射面の少なくとも一方に形成されている請求の範囲8記載の音響光学素子。
  15. 前記反射防止手段が、SiO膜およびAl膜の少なくとも一方の誘電体薄膜を含む請求の範囲14記載の音響光学素子。
  16. 前記反射防止手段が、SiO単層膜またはAl単層膜である請求の範囲15記載の音響光学素子。
  17. 前記誘電体薄膜の屈折率をn、前記誘電体薄膜の厚みt、入射光の真空中の波長をλとするとき、n=λ/4である請求の範囲15記載の音響光学素子。
  18. さらに、高熱伝導シートを含み、前記高熱伝導シートが、前記音響光学媒体の少なくとも一部に形成されている請求の範囲1記載の音響光学素子。
  19. 前記高熱伝導シートが、導電性を有する請求の範囲18記載の音響光学素子。
  20. さらに、接地手段を含み、前記接地手段により、前記音響光学媒体が、電気的に接地されている請求の範囲5記載の音響光学素子。
  21. 前記接地手段が、熱伝導シートである請求の範囲20記載の音響光学素子。
  22. 光源、音響光学素子、駆動回路および描画面を有し、前記光源からの光が、前記駆動回路からの信号に応じて前記音響光学素子において回折され、その回折光が、前記描画面に描画される光描画装置であって、前記音響光学素子の音響光学媒体が、III族窒化物結晶であることを特徴とする光描画装置。
  23. 前記III族窒化物結晶が、組成式AlGaIn(1−u−v)N(ただし、0≦u≦1,0≦v≦1,u+v≦1)で表される結晶である請求の範囲22記載の光描画装置。
  24. 前記III族窒化物結晶が、AlN結晶、GaN結晶およびAlGaN結晶からなる群から選択される一つである請求の範囲22記載の光描画装置。
  25. さらに、反射防止手段を有し、前記反射防止手段が、前記音響光学媒体の光入射面および光出射面の少なくとも一方に形成されている請求の範囲22記載の光描画装置。
  26. 前記音響光学媒体が、導電性を有する請求の範囲22記載の光描画装置。
  27. 前記音響光学媒体が、電気的に接地されている請求の範囲26記載の光描画装置。
  28. さらに、可動ミラーを有する請求の範囲22記載の光描画装置。
  29. さらに、ビームストッパーを有し、前記ビームストッパーが、前記音響光学素子からの透過光を遮光する請求の範囲22記載の光描画装置。
  30. 前記描画面が、感光体である請求の範囲22記載の光描画装置。
  31. 前記感光体が、蛍光体である請求の範囲30に記載の光描画装置。
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