JPWO2006001186A1 - 植物精油成分を有効成分とする抗不安薬用組成物、その組成物を含有する経皮吸収型抗不安薬、及びこれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
安全性の高い、植物精油を有効成分とする経皮吸収型の抗不安薬、その組成物及びこれらの製造方法を提供することを目的とする。有効成分であるローズ・アブソリュートと、精油吸着剤と、遊離水分除去剤と、精油脱着調節剤と、発熱剤と、熱伝導防止剤と、吸収促進剤と、シート形成用基材と、圧着用シートとを含む、経皮吸収型抗不安薬を提供する。また、上記の抗不安薬の製造方法、並びに上記抗不安薬に使用する組成物及びその製造方法を提供する。
Description
本発明は、植物から得られる精油成分を有効成分とする抗不安作用を有する組成物、その組成物を含有する抗不安薬、及びこれらの製造方法に関する。より詳細には、経皮吸収型の上記抗不安作用を有する組成物、この組成物を含有する経皮吸収型抗不安薬、及びこれらの製造方法に関する。
植物精油は一般に芳香性を有するが、それらの中には多くのテルペン類、アルコール類等の化合物が含まれている。こうした化合物が複合した植物精油の香り成分には、緊張をやわらげ、気分を落ち着かせるといった効果を有するものも知られており、古来より、種々の儀式や治療等に使用されてきた。
植物精油の原料となる植物は多数に上るが、それらの中でもバラはその香りのよさから古くから香料の原料として使用されてきた。また、ヨーロッパでは、古くから植物精油が治療に使用されてきたが、1930年代以降、内服・皮膚への塗布等によるアロマテラピーが1つの療法として確立された。バラの精油(以下、「ローズ油」という。)は、こういったアロマテラピーにおいても最もよく使われる精油の1つである。
一方、現代においては、ストレスから不安神経症やうつ病等に罹患する患者数が増加しつつあり、そうした疾患の治療のために、抗不安薬、抗うつ薬等、多くの薬物が開発されている。
こうした治療薬としては、ベンソジアゼピン類がよく使用される。ベンソジアゼピン類は、中枢神経系のγ―アミノ酪酸(GABA)受容体へのGABAの親和性を高め、受容体結合率を上昇させることによって、神経細胞の興奮性を低下させるからである。
これまでに、抗不安作用、抗うつ作用等の有無を検討するために、様々な動物実験系が開発されており、かなりの確かさでヒトに対する治療効果を予測できるようになってきている。
こうした実験系の1つを用いて、本発明の発明者らは、ローズ油を100〜800mg/kgという高い濃度で、腹腔内投与すると抗コンフリクト作用があることを確認している(非特許文献1参照)。
月刊バイオインダストリー2004年1月号, p.58-63, シーエムシー出版
ベンソジアゼピン類では、治療域の間隔は100以上であり、バルビツール酸類や他の鎮静薬の10倍以上大きく、中毒によって呼吸抑制がかかる危険性は低い。しかし、ベンソジアゼピン類の作用下では、外界からの刺激に対する反応が鈍り、迅速かつ適切な反応ができなくなるという副作用がある。
また、適合性のよいベンソジアゼピン類を急速に投与すると無関心化等の人格変化を起こすこともあり、また、長期間の服用では、依存症となることもある。
また、副作用が出た場合には速やかな投薬の中断が望ましい。しかし、経口投与された場合には、血中有効濃度を維持するために、他の投与経路による場合よりも投与量が多くなり、この結果投与された薬物の体外への排出が終了するまで、薬物の影響が残るという問題がある。
比較的安全性が高いといわれているベンソジアゼピン類でもこうした副作用の問題がある。したがって、より安全性が高く、低用量で治療効果の高い薬剤の開発に対する強い要請がある。
本発明は、低用量かつ安全性の高い、植物精油を有効成分とする経皮吸収型の抗不安薬、その組成物及びこれらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、以上のような状況の下で、ローズ油を経皮吸収製剤とすると、極めて低い濃度であっても抗不安効果及び抗ストレス効果が発揮されることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、ローズ・アブソリュート(以下、「ローズ油」ということがある。)を有効成分とする経皮吸収型抗不安薬である。この経皮吸収型抗不安薬は、植物由来の精油を有効成分として含有するものであるため、上述した従来の抗不安薬で問題とされている副作用が発現することもなく、また、依存性の問題もない。
後述するバラからは、芳香性の高い花精油が得られ、代表的な花精油としては、ローズ・オットーとローズ・アブソリュートとを挙げることができる。
これらの花精油のうち、ローズ・アブソリュートを使用することが好ましい。これは、水蒸気蒸留によって得られるローズ・オットーでは大部分のフェネチルアルコールが水に溶けて失われてしまうが、一方、ローズ・アブソリュートは溶剤抽出によって得られるため、フェネチルアルコールが失われないためである。
本発明の経皮吸収型抗不安薬用組成物は、ローズ・アブソリュートと、精油吸着剤と、遊離水分除去剤と、精油脱着調節剤と、発熱剤と、熱伝導防止剤と、吸収促進剤と、シート形成用基材と、圧着用シートとを含むことが好ましい。このような構成の経皮吸収製剤とすることによって、薬効成分を含有するローズ油の脱着が調節され、ローズ油が徐放されることから、長時間にわたって薬理効果を発揮することが可能となる。
ここで、前記精油吸着剤は、疎水性の主鎖に親水性の置換基が一定量以上ついている樹脂をいう。具体的には、ケン化価が98.0〜98.5のポリビニルアルコール系吸水性樹脂であることが好ましい。
また、前記遊離水分除去剤は、アクリル系吸水性樹脂であることが好ましい。前記アクリル系吸水樹脂は、吸水容量が乾燥樹脂体積の400〜800倍の範囲にあるものであることが好ましく、前記精油脱着調節剤は、表面積が200〜800m2/gの多孔性炭素物質であることが好ましい。
前記発熱剤は、孔径が0.1〜0.8nmのゼオライトであることが好ましく、前記熱伝導防止剤は、多糖類化合物であることが好ましい。
前記吸収促進剤は、モノテルペン化合物であることが好ましく、前記モノテルペン化合物は、l−メントール又はリモネンから選ばれるものであることが好ましい。
また、前記シート形成用基材は、ケン化価が約88.0である熱可塑性樹脂であることが好ましい。
また、本発明は、ローズ・アブソリュートを所定量秤量し、精油吸着剤と混合し、前記精油吸着剤の表面にローズ・アブソリュートによって表面膜を形成させた後に、多孔性炭素物質を加えて精油膜の表面を覆い、炭素被覆粒子を形成する炭素被覆粒子形成工程と、所定量の炭素被覆粒子、発熱剤、熱伝導防止剤と均一に混合し、シート形成用基材上に均一な厚みの層を形成させ、加熱して抗不安薬用組成物を形成する抗不安薬用組成物形成工程と、を備える経皮吸収型抗不安薬用組成物の製造方法である。
このような構成とすることによって、薬効成分が均一に分布したシート状の経皮吸収型抗不安薬用組成物を得ることができ、これを所望の大きさに切断することによって、患者の身体的条件に応じた量の薬効成分を含有する組成物とすることができる。
本発明はまた、ローズ・アブソリュートを所定量秤量し、精油吸着剤と混合し、前記精油吸着剤の表面にローズ・アブソリュートによって表面膜を形成させた後に、多孔性炭素物質を加えて精油膜の表面を覆い、炭素被覆粒子を形成する炭素被覆粒子形成工程と、所定量の炭素被覆粒子、発熱剤、熱伝導防止剤と均一に混合し、シート形成用基材上に均一な厚みの層を形成させ、加熱して抗不安薬用組成物を形成する抗不安薬用組成物形成工程と、前記経皮吸収型抗不安薬用組成物を所定の大きさに切断し、2枚のシート状素材で挟み、前記シート状素材の四辺を熱圧着する熱圧着工程と、を備えることを特徴とする、経皮吸収型抗不安薬の製造方法である。
この方法を使用することによって、精油吸着剤の表面に吸着されて表面膜を形成したローズ・アブソリュートは精油脱着調節剤である炭素微粒子によって被覆され、炭素被覆粒子を形成する。そして、これらの炭素被覆粒子は、さらに、発熱剤、熱伝導防止剤等とともにシート形成基材上でシート状の組成物を形成する。この組成物は、シート状素材で覆われる。このような構成とすることによって、薬効成分を含有するローズ・アブソリュートが皮膚と直接接触することがなく、また、長時間にわたってローズ・アブソリュートの放散が継続される、経皮吸収製剤を製造することができる。この経皮吸収型抗不安薬には、従来の抗不安薬のような副作用がなく、また、適用部位からはずすことによって容易に投与を中止することができるという利点もある。
以上説明したように、本発明の経皮吸収型抗不安剤は、低用量で安全性が高く、特別な副作用を発現することなく使用することが可能である。また、適用部位も広いという利点がある。
また、本発明の経皮吸収型抗不安薬の製造方法によれば、簡便に、経皮吸収型の抗不安薬を製造することができる。特に、炭素被覆粒子として、精油の脱着剤を用いることにより、徐放化効果が高い。
本発明の経皮吸収型抗不安薬用組成物によれば、適切な大きさに切断することにより、投与される個々の患者に適切な用量の製剤を製造することができる。
本発明の経皮吸収型抗不安薬用組成物の製造方法によれば、炭素被覆粒子の含有量を変化させることによって、所望量の薬効成分を含有する経皮吸収型抗不安薬用組成物を製造することができる。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において使用するローズ・アブソリュートとは、原料となる新鮮なバラの花から得たコンクリートを高純度のエタノールに加温溶解して再抽出し、溶液を−20℃〜−25℃に冷却してワックス等の不溶解物を除去した後に、エタノールを留去したものをいい、花精油とも呼ばれる。
本発明において使用するローズ・アブソリュートとは、原料となる新鮮なバラの花から得たコンクリートを高純度のエタノールに加温溶解して再抽出し、溶液を−20℃〜−25℃に冷却してワックス等の不溶解物を除去した後に、エタノールを留去したものをいい、花精油とも呼ばれる。
ここで、コンクリートとは、新鮮な花に、精製した抽出溶剤、一般的にはn−ヘキサンを加えて常温で攪拌抽出し、抽出溶剤を減圧下で除いた残留物をいう。コンクリートには、香気成分の他にワックス分が多く含まれているが、樹脂成分は殆ど含まれておらず、組成内容もオレオレジンやレジノイドとはかなり異なっている。このコンクリートから、上述のようなアブソリュートが製造される。
ローズ・アブソリュート製造の原料となるバラはバラ科バラ属に属するが、北半球の温帯、亜寒帯に100〜200種存在している。園芸種の親となったものは50〜60種に及ぶとされているが、重要なものは十数種といわれる。古くは、ヨーロッパ古代バラである、Rosa centifolia L.、Rosa damacscena Mill.、Rosa gallicia L.、及びRosa alba L.が香料の原料として使用されていたが、現在では、Rosa centifolia L.とRosa damacscena Mill.とが主な原料となっている。
これらのうち、Rosa centifolia L.は、英名でキャベジローズと呼ばれる。centifoliaの名がつけられたものは数種あるが、香料の原料となる品種は、古くからフランスで栽培されているものである。
また、Rosa damacscena Millは、一般にダマスク・ローズと呼ばれる。芳香がきわめて強く香油成分に富み、現在もブルガリアを中心に香料原料として栽培されている。
フランス又はモロッコ産のRosa centifolia L.を石油エーテルで処理することにより、0.24〜0.26%の収率でコンクリートが得られる。このコンクリートから、55〜65%の収率でアブソリュートが得られる。フランスの他、モロッコやエジプトでもアブソリュートは生産されており、トルコで栽培されるダマスク・ローズからもアブソリュートが生産されている。これらの中でも、高品質のものは、南フランスのグラース産で、「ローズ・ド・メイ(Rose de Mai)」として知られている。
本発明で使用するローズ油は、上述のようなローズ・アブソリュートであり、リナロール、β−フェネチルアルコール、シトロネロール、ネロール、ゲラニオール、メチルオイゲノール等の他、微量成分としてローズオキサイド、ローズフラン、ダマスコン、ダマセノン等も含有されている。
こうしたローズ・アブソリュートは、小川香料(株)等の香料メーカーから市販されているものを使用することができる。
l−メントール(5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキサノール)は、通常、メントール(ハッカ脳)といわれるものである。化学的には12種類の異性体があるが、ハッカ特有の冷涼な香味を有しているものは、天然及び合成のl−メントールである。l−メントールは、無色柱状又は針状の結晶で、エタノールには可溶であるが、水には難溶である。室温で徐々に昇華する。
天然物を得るには、ハッカ油を冷却し、析出する結晶を遠心分離してハッカ脳を得る。合成品は、シトロネラ油を分留して得られるd−シトロネラールをl−イソプレゴールとし、水素添加して得ることができる。また、ピネンから得られるミルセンを原料とし、特殊な触媒によって光学活性はシトロネラールを製造し、光学分割を行うことなくメントールを不斉合成する方法や、チモールに水素添加して得られるメントール混合物から、光学分割によっても得ることができる。
本発明の経皮吸収型抗不安薬において使用する精油吸着剤とは、上述したローズ・アブソリュートの吸着担体となる、上述した疎水性の主鎖に一定量以上の親水性の置換基がついた樹脂をいい、例えば、ケン化価が98.0〜98.5のポリビニルアルコール(PVA)系吸水性樹脂であることが好ましい。ケン化価が98.0未満では担体表面がゲル化し、吸着担体としての機能を失うが、ケン化価が98.0〜98.5であればゲル化せずに安定した吸着担体としての機能を維持できることによる。
具体的には、信越ポバールC−17GPやポバール(A)(信越化学工業(株)製)などを挙げることができ、信越ポバールC−17GPまたはポバール(A)を使用することが好ましい。
本発明の経皮吸収型抗不安薬において使用する遊離水分除去剤とは、適用した部位の皮膚表面に存在する水分を除去するものをいい、アクリル系吸水性樹脂であることが好ましい。こうしたアクリル系吸水性樹脂は吸水能の高いものが多く、また、後述する組成物製造の際に熱をかけたときに接着性がよいことによる。
こうしたアクリル系吸水樹脂は、適用部位に製剤を適用している間に、適用部位の皮膚表面で生じる水分を十分に吸収できるものであればよく、その吸水容量は、乾燥樹脂体積の400〜800倍にあるものが好ましい。400倍未満では、吸水しきれない場合があり、800倍を越える吸水能は必要でないことによる。具体的には、サンフレッシュ(三洋化成工業(株))やアクアキープ(登録商標、住友精化(株)製)などを挙げることができる。球状粒子であるアクアキープよりも、破砕状のサンフレッシュの方が接着性が良いことからサンフレッシュを使用することが好ましい。
本発明の経皮吸収型抗不安薬において使用する精油脱着調節剤とは、上述したローズ・アブソリュートを吸着して表面に膜が形成された精油吸着剤の表面を覆い、吸着された精油組成物の脱着を調節する多孔性炭素物質をいう。具体的には、種々の分子を吸着する各種の活性炭を挙げることができる。表面積が200〜1,000m2/gの活性炭を使用すると、活性炭に吸着される精油量が少なくなり脱着がされやすいことから好ましく、400〜800m2/gのものを使用することがさらに好ましい。
この範囲の表面積を有する活性炭であれば、各種の市販品を使用することができ、具体的には、白鷺P(武田薬品工業(株))などを挙げることができる。吸着面積が小さいこと、およびコストの面から、白鷺Pを使用することが好ましい。
本発明の経皮吸収型抗不安薬において使用する発熱剤は、空気中の水分を吸着して吸着熱を出す物質をいう。このときに発生する熱エネルギーを利用して、吸着担体に吸着された精油組成物の脱着が行われる。具体的には、ゼオライトを挙げることができる。
本発明の経皮吸収型抗不安薬において使用する発熱剤であるゼオライトは、孔径が0.1〜0.8nmのものを用いることが精油の脱着能のためのエネルギーを供給する上で好ましく、0.3〜0.4nmのものを用いることがさらに好ましい。このような孔径のゼオライトであれば市販品を使用することができ、具体的には、ゼオラム(東ソー)等を挙げることができる。
本発明の経皮吸収型抗不安薬において使用する前記熱伝導防止剤とは、上記の遊離水分吸着剤に吸着された遊離水分によって急激に発生する熱の伝導を防止することができる化合物をいう。具体的には、キトサン、セルロースその他の多糖類化合物を挙げることができる。
キトサンを使用すると、製剤中に色素を含有する場合には、キトサンをこうした色素の担体とすることができるという利点がある。キトサンに代えて、上述のような熱の伝導を防止するために、セルロース等を使用することもできる。
本発明の経皮吸収型抗不安薬において使用する吸収促進剤とは、この製剤中の精油の吸収を促進するように作用するモノテルペン化合物をいう。具体的には、l−メントール等を挙げることができ、市販品を使用してもよい。これらのうち、l−メントールを使用すると、皮膚表面に存在する残存遊離水分を気化させて除き、皮膚を乾燥させて精油が吸収されやすい環境がつくられるという利点がある。
本発明の経皮吸収型抗不安薬において使用するシート形成用基材とは、上記の抗不安薬用組成物をシート状にする基材となるものをいい、ケン化価が約88.0である熱可塑性樹脂であることが好ましい。本発明の経皮吸収型抗不安薬は、熱をかけてシート状に形成する必要がある。このとき、上述した炭素被覆粒子からローズ油を必要以上に放散させることなく、約180℃程度の低温で樹脂間の隙間を塞ぐことなく接着するシートを形成できるものを使用することが好ましい。
具体的には、ゴーセランL−0301(登録商標、日本合成化学(株))などを使用することが、約180℃前後という低温における接着性が良いことから好ましい。
本発明の経皮吸収型抗不安薬は、上記の精油と、上記の精油吸着剤と、遊離水分除去剤と、精油脱着調節剤と、発熱剤と、熱伝導防止剤と、吸収促進剤と、シート形成用基材とを以下のように混合して製造することができる。以下に、製造方法について説明する。
まず、精油を所定量秤量する。ついで秤量した精油をPVAと混合し、PVAの表面に精油によって表面膜を形成させる。ここに、所定量の上述した活性炭を加えて精油膜の表面を覆い、炭素被覆粒子Aを形成する。
ついで、メントールを秤量し、炭素被覆粒子Bとする。
これら2種類の炭素被覆粒子AとBとを混合し、さらに上記の熱伝導防止剤、シート形成用基材等と混合、攪拌して、均一な混合物とする。ついで、この混合物を圧着用シートの上にのせ、さらに別の圧着用シートをその上に載せ、熱をかけてシート状の本発明の経皮吸収型抗不安薬用組成物を製造する。
圧着用シートで上記の混合物を挟み、熱をかけるに際しては、約160〜200℃、好ましくは約180℃で行う。この範囲の温度で熱圧着を行うと、シート形成用基材である樹脂間の隙間が残った状態となるので、炭素被覆粒子から放散されるローズ油の分子はこうした隙間を通って適用部位から経皮吸収される。一方、約230℃以上という高温で接着すると、樹脂が溶融して樹脂間の隙間が塞がれてしまうため、上述のローズ油の分子は組成物外へ放散されなくなるためである。
圧着用シートとしては、化繊紙(坪量18〜20g)を使用することが好ましく、化繊紙を使用すると上述した炭素被覆粒子の圧着率がよいという利点がある。
このシートを、例えば、適当な大きさに裁断した不織布等の2枚のシート状素材ではさみ、これらシート状素材の4辺をヒートシールし、本発明の経皮吸収型抗不安薬1ピースを調製する。
また、上記のシート状素材は、紙、織布または不織布からなる群から選ばれるものであることが好ましく、上記の経皮吸収型抗不安薬用組成物に含まれるローズ油が気体分子として放散され、シート形成用基材粒子の隙間を通ってきたときに、これらが透過しやすいものである点で、不織布であることがさらに好ましい。
以上のようにして、本発明の抗不安薬用組成物及び抗不安薬を製造することができる。
以下に、本発明を実施例に従って具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(1)試薬
本発明の経皮吸収型抗不安薬用組成物及び経皮吸収型抗不安薬の製造には、以下の試薬を使用した。
(1−1)精油
ローズ油(ローズ・ド・メイ・アブソリュート)及びl−メントールは、小川香料(株)より購入した。
(1)試薬
本発明の経皮吸収型抗不安薬用組成物及び経皮吸収型抗不安薬の製造には、以下の試薬を使用した。
(1−1)精油
ローズ油(ローズ・ド・メイ・アブソリュート)及びl−メントールは、小川香料(株)より購入した。
(1−2)その他
PVAとしては、信越ポバールC−17GPを信越化学(株)より、また、ゴーセランL−3031を日本合成化学(株)よりそれぞれ購入した。アクリル系吸水樹脂としてサンフレッシュ(登録商標)を三洋化成工業(株)より購入した。活性炭として白鷺Pを武田薬品工業(株)より、また、ゼオライトとしてゼオラム(登録商標)を東ソー(株)から購入した。キトサンとしてはコーヨーキトサンを甲陽ケミカル(株)よりそれぞれ購入した。
PVAとしては、信越ポバールC−17GPを信越化学(株)より、また、ゴーセランL−3031を日本合成化学(株)よりそれぞれ購入した。アクリル系吸水樹脂としてサンフレッシュ(登録商標)を三洋化成工業(株)より購入した。活性炭として白鷺Pを武田薬品工業(株)より、また、ゼオライトとしてゼオラム(登録商標)を東ソー(株)から購入した。キトサンとしてはコーヨーキトサンを甲陽ケミカル(株)よりそれぞれ購入した。
(実施例2)経皮吸収型抗不安薬用組成物及び経皮吸収型抗不安薬の製造
(2−1)炭素被覆粒子の製造
炭素被覆粒子は、下記表1に示す処方に従って調製した。なお、表1に示した使用量は、それぞれの炭素被覆粒子を含む後述する各組成物を製剤(製剤名:ANX−A〜ANX−C)としたときの1ピース当たりに含まれる精油量(計1.1mg)の内訳を重量%で表示したものである。
(2−1)炭素被覆粒子の製造
炭素被覆粒子は、下記表1に示す処方に従って調製した。なお、表1に示した使用量は、それぞれの炭素被覆粒子を含む後述する各組成物を製剤(製剤名:ANX−A〜ANX−C)としたときの1ピース当たりに含まれる精油量(計1.1mg)の内訳を重量%で表示したものである。
後述するANX−Aの場合を例に挙げると、ローズ油を表1に示す量で秤量し、500mLの透明のガラス密閉容器中において、PVA(信越ポバールC−17GP)と室温で混合して、PVAの表面をローズ油で被覆し、精油被覆粒子を形成させた。次いで、この容器中に上記表1に示す量の活性炭を加えて混合し、炭素被覆粒子を形成させた。調製した炭素被覆粒子は、気密性の高い容器、例えば、蓋のついたすり付きガラス容器に入れて室温で保存した。
(2−2)経皮吸収型抗不安薬用組成物の製造
上記(2−1)2で調製した3種類の炭素被覆粒子を、表2に示す量の基剤と混合して経皮吸収型抗不安薬用組成物を製造した。
上記(2−1)2で調製した3種類の炭素被覆粒子を、表2に示す量の基剤と混合して経皮吸収型抗不安薬用組成物を製造した。
これらの基剤成分と、上記炭素被覆粒子とを以下のようにして混合した。
まず、サンフレッシュ(三洋化成工業(株)製)、ゼオラム(ゼオライト、東ソー(株)製)、l−メントール(小川香料(株)製)、甲陽キトサン(甲陽ケミカル(株)製)をこの順番で1種類ずつ混合して攪拌し、基剤を調製した。
まず、サンフレッシュ(三洋化成工業(株)製)、ゼオラム(ゼオライト、東ソー(株)製)、l−メントール(小川香料(株)製)、甲陽キトサン(甲陽ケミカル(株)製)をこの順番で1種類ずつ混合して攪拌し、基剤を調製した。
ついで、上記(2−1)で調製した炭素被覆粒子1〜3を、表2に示す量で秤量し、上記の基剤と混合し、さらに表2に示す甲陽キトサン、白鷺P及びゴーセランと混合した。なお、後述する熱圧着の際の精油のロス率は20%として計算している。
ここで、上記の基剤と主剤となる炭素被覆粒子との混合物を圧着用シートの上に均一の厚さになるように広げ、その上にさらに別の圧着用シートのせた。これを熱圧着し、シート状の抗不安薬用組成物を得た。このシート状の抗不安薬用組成物を、例えば、適当な大きさに裁断し、同様に適当な大きさに裁断した不織布等のシート状素材によってはさみ、このシート状素材の4辺をヒートシールし、本発明の経皮吸収型抗不安薬を調製した。各処方を、番号順に、ANX−A〜ANX−Cと命名した。
ANX−A〜ANX−Cのシートの大きさは、ANX−A及びANX−Bはそれぞれ2cm×4cmの大きさとした。1ピース当たりのローズ油の量は、ANX−Aでは1.4mg、ANX−Bでは1.05mg、ANX−Cでは0.87mgであった。
(実施例3)ローズ油の成分分析
ローズ油の揮発性成分をガスクロマトグラフィー(GLC)、及びガスクロマトグラフィー直結質量分析(GC−MS)によって分析した。
ローズ油の揮発性成分をガスクロマトグラフィー(GLC)、及びガスクロマトグラフィー直結質量分析(GC−MS)によって分析した。
(3−1)ガスクロマトグラフィー(GLC)
ガスクロマトグラフィー(GLC)は下記の条件で行った。
ガスクロマトグラフ(GLC):HITACHI G-3000(日立製作所製)
カラム:TC-WAX Bonded(60m×0.32mm i. d.)
カラム温度:40〜220℃(3℃/min昇温)
試料注入部温度:250℃
キャリアガス:ヘリウム 0.8kg/cm2
FID:水素 1.4kg/cm2
Air:1.1kg/cm2
ガスクロマトグラフィー(GLC)は下記の条件で行った。
ガスクロマトグラフ(GLC):HITACHI G-3000(日立製作所製)
カラム:TC-WAX Bonded(60m×0.32mm i. d.)
カラム温度:40〜220℃(3℃/min昇温)
試料注入部温度:250℃
キャリアガス:ヘリウム 0.8kg/cm2
FID:水素 1.4kg/cm2
Air:1.1kg/cm2
成分の同定のために、フェネチルアルコール及びシトロネロールを標準物質として、同様にしてカラムに注入し、保持時間を測定した。これらの保持時間から、ローズ油中の含有成分の同定を行った。
GLCのクロマトグラムを図1に示す。図1より、41.943分のピークはシトロネロール、また、48.176分のピークはフェネチルアルコールであることが明らかになった。
GLCのクロマトグラムを図1に示す。図1より、41.943分のピークはシトロネロール、また、48.176分のピークはフェネチルアルコールであることが明らかになった。
(3−2)高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
高速液体クロマトグラフィーは下記の条件で行った。
カラム:Wakosil 5C18 φ4.0 x 250 mm (和光純薬(株)製)
YMC Pack ODS-A φ20.0 x 250 mm (山村化学(株)製)
ポンプ:PU 980 intelligent HPLC Pump (日本分光(株)製)
検出器:UV-970 Intelligent UV/VIS Detector (日本分光(株)製)
クロマトコーダー:SIC Chromatocorder 12 (昭和電工(株)製)
グラジエント・ユニット:
LG-980-02 Trenary Gradient Unit (日本分光(株)製)
高速液体クロマトグラフィーは下記の条件で行った。
カラム:Wakosil 5C18 φ4.0 x 250 mm (和光純薬(株)製)
YMC Pack ODS-A φ20.0 x 250 mm (山村化学(株)製)
ポンプ:PU 980 intelligent HPLC Pump (日本分光(株)製)
検出器:UV-970 Intelligent UV/VIS Detector (日本分光(株)製)
クロマトコーダー:SIC Chromatocorder 12 (昭和電工(株)製)
グラジエント・ユニット:
LG-980-02 Trenary Gradient Unit (日本分光(株)製)
HPLCの結果からも、図1の41.943分のピークはシトロネロール、また、48.176分のピークはフェネチルアルコールであることが明らかになった。
(実施例4)経皮吸収型抗不安薬の揮発性成分の徐放試験
経皮吸収型抗不安薬から揮発性成分がどのように放散されるかを、ニオイ粒子量を指標として試験した。
経皮吸収型抗不安薬から揮発性成分がどのように放散されるかを、ニオイ粒子量を指標として試験した。
経皮吸収型抗不安薬と、上記実施例2で製造したものを4枚使用した。また、ニオイ粒子の量は、ポータブル・ニオイ・モニター OD−85(理研計器(株)製)を用いて、0時間、3時間、6時間、12時間及び24時間の時点で、それぞれ2分間測定した。このときの室温は25℃、湿度は30±10%とした。結果を表3及び図2に示す。
表3及び図2に示すように、ニオイ粒子の量は、測定開始後3時間までは急速に低下し、6時間で最も低い値を示したが、その後は緩やかに上昇し、24時間後においても、放出され続けていることが示された。
測定開始後、最も強く香るのはl−メントールであり、3時間を経過するとl−メントールの香りは極めて弱くなる。このため、l−メントールは3時間までの間にかなりの量が放散されているものと思われた。6時間以降に放散が増加している揮発性成分は、ローズ油中の成分と思われる。
(実施例5)高架十字迷路試験における抗不安作用の検討
抗不安作用の評価系の1つである、高架十字迷路試験を行い、マウスに対する抗不安効果を検討した。高架式十字迷路試験は、ある一定の高さに壁なし走行路及び壁なし走行路を十字に設置した装置を用い、測定時間内の壁なし走行路への侵入回数及びそこでの探索行動時間を測定する方法である。正常なマウスはほとんど壁なし走行路に侵入することはなく、測定時間内の多くの時間を壁あり走行路の探索行動に費やす。
抗不安作用の評価系の1つである、高架十字迷路試験を行い、マウスに対する抗不安効果を検討した。高架式十字迷路試験は、ある一定の高さに壁なし走行路及び壁なし走行路を十字に設置した装置を用い、測定時間内の壁なし走行路への侵入回数及びそこでの探索行動時間を測定する方法である。正常なマウスはほとんど壁なし走行路に侵入することはなく、測定時間内の多くの時間を壁あり走行路の探索行動に費やす。
一方、抗不安薬の投与を受けたマウスは、壁なし走行路での探索行動が著明に増加することが知られている。このため、薬剤を投与したマウスの壁なし走行路滞在時間及び壁なし走行路侵入回数を指標として、ANX−Cの抗不安効果を評価した。
(5−1)実験方法
(1)実験動物:実験には、5〜6週齢のICR系雄性マウスを使用した。
(2)高架式十字迷路試験:自動高架式十字迷路試験装置を用いた。迷路中心部に壁なし走行路側に頭を向けて置き、ビデオモニターを介してマウスの行動を5分間測定した。マウスの四肢が壁なし走行路に入ったときを壁なし走行路侵入とみなし、その回数及び走行路滞在時間を測定した。また、壁あり走行路上への侵入回数及び滞在時間についても、同様に測定した。
(1)実験動物:実験には、5〜6週齢のICR系雄性マウスを使用した。
(2)高架式十字迷路試験:自動高架式十字迷路試験装置を用いた。迷路中心部に壁なし走行路側に頭を向けて置き、ビデオモニターを介してマウスの行動を5分間測定した。マウスの四肢が壁なし走行路に入ったときを壁なし走行路侵入とみなし、その回数及び走行路滞在時間を測定した。また、壁あり走行路上への侵入回数及び滞在時間についても、同様に測定した。
以上の測定結果を、下記の式(1)及び式(2)を用いて数値化し評価を行った。
%壁なし走行路侵入回数=壁なし走行路侵入回数/総侵入回数×100…(1)
%壁なし走行路滞在時間=壁なし走行路滞在時間/総滞在時間×100…(2)
%壁なし走行路侵入回数=壁なし走行路侵入回数/総侵入回数×100…(1)
%壁なし走行路滞在時間=壁なし走行路滞在時間/総滞在時間×100…(2)
(3)薬剤の投与:マウスを2群に分け、薬剤投与群(n=11)には、マウスの背部をバリカンで剃毛し、ここに実施例1で製造したローズ油を含有する経皮吸収型抗不安薬(ANX−C)の四隅を、外科用の接着剤で24時間貼付した。プラセボ投与群(n=9)には、ローズ油を含有しない点を除いてANX−Cと同じ経皮吸収製剤(PNX)を製造し、薬剤投与群と同様に、背部を剃毛した後に、その部分に24時間貼付した。いずれの群のマウスも、製剤貼付後は、製剤の脱落を防止するために、単離飼育した。
(4)統計処理:統計学的有意差検定は、一元配置分散分析をした後にt−検定を行った。プラセボ群との比較を行い、危険率5%以下の場合を有意差ありと判定した。結果を図3A及び図3Bに示す。
(5−2)結果
図3中、白抜きのカラムはプラセボ投与群を、他のカラムは薬剤投与群を示す。図3Aに示すように、%壁なし走行路侵入回数については、プラセボ投与群と薬剤投与群との間で有意差は認められなかった。
図3中、白抜きのカラムはプラセボ投与群を、他のカラムは薬剤投与群を示す。図3Aに示すように、%壁なし走行路侵入回数については、プラセボ投与群と薬剤投与群との間で有意差は認められなかった。
一方、図3Bに示すように、%壁なし走行路滞在時間については、プラセボ投与群に対して、薬剤投群で有意に長くなっており、ANX−Cが抗不安作用を有することが示唆された。
(実施例6)ホールボールド試験を用いた抗不安作用及び抗ストレス作用の検討
マウスの情動性を評価する試験方法の1つとして、ホールボールド(hole-board)試験がある。本試験装置は、灰色アクリル製の箱(50×50×50cm)の床面に、箱の中央から等距離にある4箇所の穴(ホール)が設けられている。
マウスの情動性を評価する試験方法の1つとして、ホールボールド(hole-board)試験がある。本試験装置は、灰色アクリル製の箱(50×50×50cm)の床面に、箱の中央から等距離にある4箇所の穴(ホール)が設けられている。
この装置内にマウスを放置すると、マウスは、自発運動、立ち上がり行動、穴覗き行動等の様々な探索行動を示す。
抗不安薬を投与すると、こうした行動のうちでも、マウスの自発運動(移動距離)には変化はないが、穴覗き行動のみが増進され、不安惹起物質を投与すると、穴覗き行動が抑制され、情動性に変化が生じることが知られている。
マウスに拘束ストレス刺激を負荷した場合にも、不安惹起物質を投与した場合と同様の穴覗き行動の抑制が認められるが、この情動性の変化はジアゼパムを予め投与することによって改善される。
以上より、この試験系を用いると、マウスの穴覗き行動を指標とすることによって、薬剤の抗不安作用や抗ストレス作用の有無を評価することができる。このため、ホールボールド試験系によって、ANX−Cの抗不安効果及び抗ストレス効果の検討を行った。
(6−1)実験方法
(1)使用動物:5〜6週齢のICR系雄性マウスを使用した。
(2)情動性の変化の評価:自動ホールボールド試験装置を使用し、装置内でマウスが示す種々の行動を、ビデオモニターを介して5分間測定した。情動性の変化の指標となる探索行動の項目は、総行動距離(locomotor activity)、立ち上がり(rearing)行動の回数、総地に設けられた穴を覗く(head-dip)行動の回数及びその発現潜時とし、これらの項目による情動性の変化を評価した。
(1)使用動物:5〜6週齢のICR系雄性マウスを使用した。
(2)情動性の変化の評価:自動ホールボールド試験装置を使用し、装置内でマウスが示す種々の行動を、ビデオモニターを介して5分間測定した。情動性の変化の指標となる探索行動の項目は、総行動距離(locomotor activity)、立ち上がり(rearing)行動の回数、総地に設けられた穴を覗く(head-dip)行動の回数及びその発現潜時とし、これらの項目による情動性の変化を評価した。
ストレス刺激の負荷による情動性の変化を調べるために、ストレス刺激非負荷の場合と、ストレス刺激負荷の場合とについて、上記の項目を指標とした。ストレス刺激負荷は、円筒形のプラスチックチューブ(容積:約50mL)に、マウスを30分間拘束することによって行った。
(3)薬剤の投与:ストレス刺激非負荷の場合には、マウスを2群に分け、薬剤投与群(n=12)には、マウスの背部をバリカンで剃毛し、ここに実施例1で製造したローズ油を含有する経皮吸収型抗不安薬(ANX−C)を、試験開始24時間前に貼付した。
プラセボ投与群(n=12)には、ローズ油を含有しない点を除いてANX−Cと同じ経皮吸収製剤(PNX)を製造し、薬剤投与群と同様に、背部を剃毛した後に、その部分に試験開始24時間前に貼付した。また、全く薬剤を投与しないマウスを対照群とした。いずれの群のマウスも、製剤貼付後は、製剤の脱落を防止するために、単離飼育した。
ストレス負荷の場合には、マウスを3群に分け、薬剤投与群(n=10)、プラセボ投与群(n=8)には、ストレス非負荷の場合と同様の処置を行った。なお、全く薬剤を投与しないマウスを対照群としているが、対照群にはストレスは負荷していない。いずれの群のマウスも、製剤貼付後は、製剤の脱落を防止するために、単離飼育した。
(4)統計処理:統計学的有意差検定は、一元配置分散分析をした後にt−検定を行った。ストレス非負荷の場合にはプラセボ投与群との比較を行い、危険率5%以下の場合を有意差ありと判定した。ストレス負荷の場合には、プラセボ投与群及び対照群との比較を行い、危険率5%以下の場合を有意差ありと判定した。
(6−2)結果
ストレス非負荷の場合の結果を図4A〜図4Dに、また、ストレス負荷の場合の結果を図5A〜図5Dに示す。
ストレス非負荷の場合の結果を図4A〜図4Dに、また、ストレス負荷の場合の結果を図5A〜図5Dに示す。
図4A〜図4D中、白抜きのカラムはプラセボ投与群を、他のカラムは薬剤投与群を示す。図4Bに示すように、ANX−C投与群では、穴覗き行動の回数が有意に増加していた。また、図4Dに示すように、有意差は認められなかったものの、穴覗き行動の発現潜時の短縮傾向が認められた。他の項目である総行動距離及び立ち上がり回数は、いずれの群においても、何ら影響が認められなかった(図4A及び図4C参照)。
以上より、マウスの自発運動や立ち上がり行動に影響を与えることなく、穴覗き行動の活発化を示したことから、ANX−Cは、抗不安作用を有することが示唆された。
また、図5Bに示すように、ストレス刺激を30分負荷した場合には、プラセボ投与群、ANX−C投与群の穴覗き行動の回数は、対照群と比較したときに大幅に減少した。このときに、ANX−A投与群では、プラセボ投与群と比較して、有意に穴覗き回数が多くなっていた。また、図5Dに示す発現潜時は、対照群に比べて、プラセボ投与群及びANX−C投与群で有意に延長されていたが、ANX−C投与群における延長は、プラセボ投与群よりも有意に延長の度合いが短くなっていた。
総行動距離については、対照群及びプラセボ投与群を比較しても差は見られず、立ち上がり行動では、プラセボ投与群及びANX−C投与群で減少傾向が見られたが、有意差は認められなかった(図5A及び図5C参照)。
以上より、ストレスを負荷していない対照群に対し、プラセボ投与群で大きく抑制された穴覗き行動の回数がANX−Cの投与によって有意に回復し、また、発現潜時の延長も短くなっているため、ANX−Cは、抗不安作用のみならず、抗ストレス作用をも有することが示された。
(実施例7)ANX−Aのウサギにおける皮膚一次刺激性試験
GLP省令としては「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9年3月26日厚生労働省令第21号)を準用した。また、ガイドラインとしては、「化粧品・医薬部外品製造申請ガイドブック第4版」及び「化粧品の安全性に関する指針2001」に準拠して行った。
GLP省令としては「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9年3月26日厚生労働省令第21号)を準用した。また、ガイドラインとしては、「化粧品・医薬部外品製造申請ガイドブック第4版」及び「化粧品の安全性に関する指針2001」に準拠して行った。
(7−1)試験動物等
(1)試験動物
日本白色種ウサギ、コンベンショナルの雌3匹(2.16〜2.36kg、11週齢)を、(株)埼玉実験動物供給所から購入した。これらのウサギは、入荷後7日間の馴化飼育を行った後に、試験に供した。また、投与開始時の体重は、対照群を除いて、2.27〜2.42gであった。
(1)試験動物
日本白色種ウサギ、コンベンショナルの雌3匹(2.16〜2.36kg、11週齢)を、(株)埼玉実験動物供給所から購入した。これらのウサギは、入荷後7日間の馴化飼育を行った後に、試験に供した。また、投与開始時の体重は、対照群を除いて、2.27〜2.42gであった。
(2)被験物質
製剤としては、上述したANX−Aを使用した。対照には、本発明の組成物を含有しない点以外は、ANX−Aと同様にして製造したContを使用した。
製剤としては、上述したANX−Aを使用した。対照には、本発明の組成物を含有しない点以外は、ANX−Aと同様にして製造したContを使用した。
(7−2)試験方法及び効果
(1)被験部位の形成
ウサギの左右背部を、投与前日にバリカン(THRIVE ANIMAL CLIPPER Model 6000AD,大東電気工業(株)製)にて除毛した。一方をそのまま健常皮膚とし、他方を18Gの注射針で真皮までは傷つけないように角層を井型状に擦傷して、3箇所を損傷皮膚として形成した。
(1)被験部位の形成
ウサギの左右背部を、投与前日にバリカン(THRIVE ANIMAL CLIPPER Model 6000AD,大東電気工業(株)製)にて除毛した。一方をそのまま健常皮膚とし、他方を18Gの注射針で真皮までは傷つけないように角層を井型状に擦傷して、3箇所を損傷皮膚として形成した。
(2)被験物質の投与方法
上述したように製造したANX−AとContとは、被験部位にそれぞれ直接貼付し、無浸透性絆創膏(ブレンダーム(登録商標)、スリーエム社製)を用いて、24時間、閉塞貼付とした。
上述したように製造したANX−AとContとは、被験部位にそれぞれ直接貼付し、無浸透性絆創膏(ブレンダーム(登録商標)、スリーエム社製)を用いて、24時間、閉塞貼付とした。
また、密着性を向上させるため、ブレンダームの外側を、粘着性スポンジ絆創膏(商品名:マイクロフォーム、スリーエム社製)と伸縮性絆創膏(商品名:シルキーテックス、アルケア(株)製)で固定した。
(3)刺激の強さの判定方法及び基準
貼付後、1時間、24時間、48時間の3時点において、紅斑、痂皮及び浮腫の形成を判断した。この判断は、下記表4に示すドレーズ(Draize)の判定に基準に従って行った。
貼付後、1時間、24時間、48時間の3時点において、紅斑、痂皮及び浮腫の形成を判断した。この判断は、下記表4に示すドレーズ(Draize)の判定に基準に従って行った。
以上の判断基準に基づき、貼付1時間後、及び48時間後の両時点における、健常皮膚及び損傷皮膚での紅斑及び痂皮の形成、並びに浮腫の形成を判定した。反応強度を点数化し、その平均を一次刺激インデックス(P.I.I.)とした。
一次刺激性は、P.I.I.が下記表5のどの評点となるかによって判断した。
一次刺激性は、P.I.I.が下記表5のどの評点となるかによって判断した。
(4)判定結果
以上のようにして判定した一次刺激インデックスを表6に、個体別の刺激性の評点を表7に示す。また、貼付した被験物質を除去した1時間後の皮膚反応を撮影した写真を図6A及び図6Bに示す。
以上のようにして判定した一次刺激インデックスを表6に、個体別の刺激性の評点を表7に示す。また、貼付した被験物質を除去した1時間後の皮膚反応を撮影した写真を図6A及び図6Bに示す。
表6に示すように、被験製剤では健常皮膚、損傷皮膚のいずれに貼付した場合であっても、貼付後48時間までの間に、紅斑・痂皮は全く見られず、浮腫も見られなかった。
また、表7に示すように、各個体別にも貼付後の経時変化を観察したが、1時間、24時間、48時間のいずれの時点でも、変化は認められず、紅斑・痂皮、浮腫ともに見られなかった。
(実施例8)ANX−Aのラットにおける21日間反復投与経皮毒性試験
医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年3月26日厚生労働省令第21号)、医薬品の製造(輸入)承認申請に必要な毒性試験のガイドラインについて(平成元年9月11日薬審1第24号)、化粧品・医薬部外品製造申請ガイドブック第4版及び化粧品の安全性に関する指針2001、及びOECD化学品テスト(TG410、1981年5月12日採択)を準用して行った。
医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年3月26日厚生労働省令第21号)、医薬品の製造(輸入)承認申請に必要な毒性試験のガイドラインについて(平成元年9月11日薬審1第24号)、化粧品・医薬部外品製造申請ガイドブック第4版及び化粧品の安全性に関する指針2001、及びOECD化学品テスト(TG410、1981年5月12日採択)を準用して行った。
(8−1)試験動物等
(1)試験動物
日本エスエルシー(株)より、Slc:Wister系のSPFラット(8週齢)、雄雌各16匹を購入し、入荷後6日間の馴化飼育を行った後、試験に供した。入手時の体重は、雄が170〜188g、雌が120〜139gであった。また、投与開始時の体重は、対照群を除いて、雄が213〜231g、雌が146〜164gであった。
雌雄別に1ケージ当り2〜3匹を収容し、水(水道水)と飼料(固形飼料MF、オリエンタル酵母工業(株)製)は、自由に摂取させた。
(1)試験動物
日本エスエルシー(株)より、Slc:Wister系のSPFラット(8週齢)、雄雌各16匹を購入し、入荷後6日間の馴化飼育を行った後、試験に供した。入手時の体重は、雄が170〜188g、雌が120〜139gであった。また、投与開始時の体重は、対照群を除いて、雄が213〜231g、雌が146〜164gであった。
雌雄別に1ケージ当り2〜3匹を収容し、水(水道水)と飼料(固形飼料MF、オリエンタル酵母工業(株)製)は、自由に摂取させた。
(2)被験物質
製剤としては、上述したANX−Aを使用した。対照には、シート状の本発明の組成物を含有しない点以外は、ANX−Aと同様にして製造したContを使用した。
製剤としては、上述したANX−Aを使用した。対照には、シート状の本発明の組成物を含有しない点以外は、ANX−Aと同様にして製造したContを使用した。
上記のラットを、雌雄別に対照群(n=5)と被験物質投与群(n=5)とに分け、下記のようにして経皮投与を21日間行った。
(3)試験方法
(1)被験部位の形成及び被験物質の投与
ラットの背部を、投与前日にバリカン(THRIVE ANIMAL CLIPPER Model 6000AD,大東電気工業(株)製)にて除毛し、その後2〜3日おきに除毛した。
(1)被験部位の形成及び被験物質の投与
ラットの背部を、投与前日にバリカン(THRIVE ANIMAL CLIPPER Model 6000AD,大東電気工業(株)製)にて除毛し、その後2〜3日おきに除毛した。
被験物質は投与部位に直接貼付し、粘着性包帯(デルマボア:アルケア(株)製)を用いて、24時間閉塞貼付を行った。Contについても、同様に投与部位に直接貼付し、デルマボアで24時間閉塞貼付を行った。
(2)検査項目
上記のように21日間被験物質を投与した投与群と対照群について、(A)体重測定、(B)摂食量測定、(C)病理学的検査、(D)血液学的検査、凝固時間検査、及び生化学的検査を行った。
上記のように21日間被験物質を投与した投与群と対照群について、(A)体重測定、(B)摂食量測定、(C)病理学的検査、(D)血液学的検査、凝固時間検査、及び生化学的検査を行った。
(A)体重測定
体重は、全例について、投与開始日と、その後週2回、電子天秤(PB3001、メトラー・トレド(株)製)を用いて午前中(9:19〜10:03)に測定した。
体重は、全例について、投与開始日と、その後週2回、電子天秤(PB3001、メトラー・トレド(株)製)を用いて午前中(9:19〜10:03)に測定した。
(B)摂食量測定
摂食量は、全ケージについて、週1回、電子天秤(PB3001、メトラー・トレド(株)製)を用いて午前中(8:30〜9:27)に測定した。
摂食量は、全ケージについて、週1回、電子天秤(PB3001、メトラー・トレド(株)製)を用いて午前中(8:30〜9:27)に測定した。
(C)病理学的検査
ラットは、最終投与日の翌日(16時間絶食後)に、ペントバルビタールナトリウム(ダイナボット(株)製、30mg/kg、i.p.)による、麻酔下で放血死させた。
ラットは、最終投与日の翌日(16時間絶食後)に、ペントバルビタールナトリウム(ダイナボット(株)製、30mg/kg、i.p.)による、麻酔下で放血死させた。
この後、全例について、体表、開孔部、頭蓋腔、胸腔、腹腔とその内容の観察を肉眼で行った。また、肝、腎、副腎、卵巣又は精巣を摘出し、上記の電子天秤にて秤量した。これらのうち、副腎、卵巣、精巣については左右を一括して秤量した。
病理組織学的検査は、全例について、摘出した肝、腎、副腎、卵巣又は精巣を、常法に従ってパラフィン包埋して切片を作製し、ヘマトキシリン・エオシン(H・E)染色を行って鏡検した。
(D)血液学的検査、凝固時間検査、及び生化学的検査
上記(C)の放血の際に、血液学的検査用及び生化学的検査用に採血を行った。上記のペントバルビタール麻酔下に開腹し、シリコンチューブ付採血針を腹大動脈へ挿入し、自然流出により採血し、表8〜9に示す項目について検査を行った。
上記(C)の放血の際に、血液学的検査用及び生化学的検査用に採血を行った。上記のペントバルビタール麻酔下に開腹し、シリコンチューブ付採血針を腹大動脈へ挿入し、自然流出により採血し、表8〜9に示す項目について検査を行った。
(4)結果
(A)体重測定
被験物質投与群及び対照群の体重の変化を、雌雄別に図7A及び図7Bに示す。性別に関係なく、投与群において、投与3日後までは減少傾向が見られたが、全体的には増加の傾向が見られた。また、表10に示すように、21日間の試験期間中、いずれの群においても、一般状態の変化も認められなかった。
(A)体重測定
被験物質投与群及び対照群の体重の変化を、雌雄別に図7A及び図7Bに示す。性別に関係なく、投与群において、投与3日後までは減少傾向が見られたが、全体的には増加の傾向が見られた。また、表10に示すように、21日間の試験期間中、いずれの群においても、一般状態の変化も認められなかった。
(B)摂食量測定
結果を雌雄に分けて、図8A及び図8Bに示す。図8A及び図8Bに示すように、被験物質投与群の摂食量は、対照群に比べても低下は認められなかった。
結果を雌雄に分けて、図8A及び図8Bに示す。図8A及び図8Bに示すように、被験物質投与群の摂食量は、対照群に比べても低下は認められなかった。
(C)病理学的検査
対照群及び被験物質投与群の体表、開孔部、頭蓋腔、胸腔、腹腔とその内容の観察結果を、表11に示す。
対照群及び被験物質投与群の体表、開孔部、頭蓋腔、胸腔、腹腔とその内容の観察結果を、表11に示す。
表11に示すように、体表、開孔部、頭蓋腔、胸腔、腹腔及びリンパ節を肉眼で観察した結果、異常は認められなかった。
次に、対照群と被験物質投与群の各動物から、肝、腎、副腎、卵巣又は精巣を摘出して肉眼で変化を観察するとともに、上記の電子天秤にて秤量し、重量の変化を調べた。結果を表12及び表13に示す。
表12に示すように、被験物質投与群に対照群と比較して病的な変化を示したものは、雌雄いずれにおいても認められなかった。また、表13に示すように、摘出した肝、腎、副腎、卵巣又は精巣の重量に、有意な変化は認められなかった。
対照群及び被験物質投与群の血液学的検査及び生化学的検査の結果を、雌雄別に表14〜17に示す。
表14及び表15に示すように、血液学的検査の結果、対照群と被験物質投与群の間には、有意な差異は認められなかった。
表16及び表17に示すように、生化学的検査の結果、被験物質投与群において、対照群と有意な差異は認められなかった。
したがって、本発明の経皮吸収型抗不安薬は、皮膚に対する刺激性が極めて低く、また、経皮毒性も認められなかったことから、安全性の高いものであることが実証された。
以上、説明したように、本発明の経皮吸収型抗不安薬は、医薬の分野において、安全かつ有用に使用することができる。特に、標的とする器官又は組織に効率よく薬物を送達することができるので、依存症等の副作用の低減という面での有用性が高い。
Claims (14)
- ローズ・アブソリュートを有効成分とする経皮吸収型抗不安薬用組成物。
- ローズ・アブソリュートと、精油吸着剤と、遊離水分除去剤と、精油脱着調節剤と、発熱剤と、熱伝導防止剤と、吸収促進剤と、シート形成用基材と、圧着用シートとを含む請求項1に記載の経皮吸収型抗不安薬用組成物。
- 前記精油吸着剤は、ケン化価が98.0〜98.5のポリビニルアルコール系吸水性樹脂であることを特徴とする、請求項2に記載の経皮吸収型抗不安薬用組成物。
- 前記遊離水分除去剤は、アクリル系吸水性樹脂であることを特徴とする、請求項2に記載の経皮吸収型抗不安薬用組成物。
- 前記アクリル系吸水樹脂は、吸水容量が乾燥樹脂体積の400〜800倍の範囲にあるものであることを特徴とする、請求項4に記載の経皮吸収型抗不安薬用組成物。
- 前記精油脱着調節剤は、表面積が200〜800m2/gの多孔性炭素物質であることを特徴とする、請求項2に記載の経皮吸収型抗不安薬用組成物。
- 前記発熱剤は、孔径が0.1〜0.8nmのゼオライトであることを特徴とする、請求項2に記載の経皮吸収型抗不安薬用組成物。
- 前記熱伝導防止剤は、多糖類化合物であることを特徴とする、請求項2に記載の経皮吸収型抗不安薬用組成物。
- 前記吸収促進剤は、モノテルペン化合物であることを特徴とする、請求項2に記載の経皮吸収型抗不安薬用組成物。
- 前記モノテルペン化合物は、l−メントール又はリモネンであることを特徴とする、請求項9に記載の経皮吸収型抗不安薬用組成物。
- 前記シート形成用基材は、ケン化価が約88.0である熱可塑性樹脂であることを特徴とする、請求項2に記載の経皮吸収型抗不安薬用組成物。
- 請求項1〜11のいずれかに記載の経皮吸収型抗不安薬用組成物を含有する、経皮吸収型抗不安薬。
- ローズ・アブソリュートを所定量秤量し、精油吸着剤と混合し、前記精油吸着剤の表面にローズ・アブソリュートによって表面膜を形成させた後に、多孔性炭素物質を加えて精油膜の表面を覆い、炭素被覆粒子を形成する炭素被覆粒子形成工程と、所定量の炭素被覆粒子、発熱剤、熱伝導防止剤と均一に混合し、シート形成用基材上に均一な厚みの層を形成させ、加熱して抗不安薬用組成物を形成する抗不安薬用組成物形成工程と、を備える経皮吸収型抗不安薬用組成物の製造方法。
- ローズ・アブソリュートを所定量秤量し、精油吸着剤と混合し、前記精油吸着剤の表面にローズ・アブソリュートによって表面膜を形成させた後に、多孔性炭素物質を加えて精油膜の表面を覆い、炭素被覆粒子を形成する炭素被覆粒子形成工程と、所定量の炭素被覆粒子、発熱剤、熱伝導防止剤と均一に混合し、シート形成用基材上に均一な厚みの層を形成させ、加熱して抗不安薬用組成物を形成する抗不安薬用組成物形成工程と、前記経皮吸収型抗不安薬用組成物を所定の大きさに切断し、2枚のシート状素材で挟み、前記シート状素材の四辺を熱圧着する熱圧着工程と、を備えることを特徴とする、経皮吸収型抗不安薬の製造方法。
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