JPWO2006001184A1 - 確率密度関数で重み付けした積分処理を用いた線形性評価方法と、それを用いた回路シミュレータ、評価装置、通信回路、およびプログラム - Google Patents

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Abstract

多数のサンプリング点での誤差ベクトルの演算を行なうことなく、かつ所望の変調方式に対応した復調器を用いることなく、線形性の評価を行う評価方法を提供する。測定器(164、165)は、所定の評価信号を入力された評価対象(1)の入力信号および出力信号を測定する。評価部(166)は、評価対象1の入力信号および出力信号を用いて、出力信号の振幅歪または位相歪の少なくとも一方の歪量を求める。積分部(169)は、歪量を用い、所定の変調信号の電力/平均電力比の確率密度関数で重み付けした積分処理を行う。線形性指標計算部(170)は、積分部(169)による処理の結果から線形性指標を算出する。

Description

本発明は、回路の線形性指標の評価に関し、特に、線形性指標であるエラーベクトルマグニチュードの評価に関する。
無線通信では、高速化・大容量化などに伴い、送信用の電力増幅器に高い線形性が求められるようになっている。線形性に対する要求条件は、各通信方式の規格により定められている。そのような規格で用いられている線形性指標の重要なものとしてエラーベクトルマグニチュード(Error Vector Magnitude,EVM)と呼ばれるものがある。
図1は、一般的な復調信号の一例を示す図である。図1を参照すると、復調信号の理想シンボル11、測定シンボル12、および誤差シンボル13が示されている。誤差シンボル13は、測定シンボル12と理想シンボル11の差分である。
EVMは、複数のサンプリングデータにおける誤差ベクトル13の二乗平均を理想シンボル11の平均電力Pで規格化し、平方根を取った量として定義される。測定シンボル12をベクトル量c′、理想シンボル11をベクトル量cで表すと、EVM値は式(1)によって示される。ここで、kはサンプリングの番号を表す変数であり、Nはサンプリング数を表す。
Figure 2006001184

そして、各通信規格においてEVMの制限値が直接的あるいは間接的に定められている。例えば、通信規格の文献“1999年、アイ・イー・イー・イー・スタンダード・パート11:ワイヤレス・ラン・ミディアム・アクセス・コントロール・アンド・フィジカル・レイヤー・スペシフィケーション:ハイ・スピード・フィジカル・レイヤー・イン・ザ・5ギガヘルツ・バンド、29頁(IEEE Std.802.11a,Part11:wireless LAN Medium Access Control(MAC) and Physical Layer(PHY) specifications:High−speed physical layer in the 5GHz band,pp.29,1999)”によれば、無線LAN規格IEEE802.11aでは、54Mbpsの通信モードにおいてリラティブ・コンスタレーション・エラー(relative constellation error)が−25dB以下であることが定められている。これは、EVM値が5.6%(=100×10(−25/20)%)以下であることと等価である。
また、文献“2000年9月、ジーエスエム・05.05・バージョン8.2.0−デジタル・セルラ・テレコミュニケーション・システム・フェイズ2+;レイディオ・トランスミッション・アンド・レセプション、27頁(GSM 05.05 V8.2.0−Digital cellular telecommunications system (phase 2+);radio transmission and reception, pp.27, SEPTEMBER, 2000)”によれば、携帯電話規格の1つであるEDGEにおけるEVM値について、端末装置は9%以下、基地局は7%以下を満たすべきことが定められている。
図2は、従来の一般的なEVM評価方法による手順を示すフローチャートである。図2を参照すると、従来のEVM評価法では、まず、変調信号を測定対象に入力し(ステップA1)、測定対象から出力される変調信号を測定する(ステップA2)。次に、その変調信号を復調し(ステップA3)、得られた復調信号から誤差ベクトルを抽出する(ステップA4)。この復調信号および誤差ベクトルは、複数のサンプリング点において取得される。
次に、各サンプリング点において得られた誤差ベクトル電力の平均値を求める(ステップA5)。次に、式(1)に従って、誤差ベクトル電力の平均値を理想復調信号の平均電力で除算し、さらに平方根を取ってEVM値を計算する(ステップA6)。
以上でEVM値の評価が完了するが、必要に応じてEVM値の評価を繰り返しても良い(ステップA7)。例えば、入力変調信号の平均電力または測定対象のバイアス条件などのパラメータを変更し、EVM値を同様の手法で評価しても良い。また、パラメータを変更せずに測定を繰り返しても良い。
以下に示す従来技術による回路シミュレータ、評価装置、および通信回路におけるEVM評価方法は、基本的に、図2に示した方法に基づいている。
図3は、EVM値を計算する機能を備えた従来の回路シミュレータの構成を示すブロック図である。図3を参照すると、従来の回路シミュレータは、入力装置31、記憶装置33、データ処理装置34、および出力装置35を有している。
入力装置31は、操作により各種データ等の情報を入力する装置、例えばキーボードである。記憶装置33は、変調方法記憶部27、測定対象記憶部28、復調方法記憶部29、および抽出誤差ベクトル記憶部30を備えている。変調方式記憶部27は、入力装置31から入力された変調方式の情報を記憶する。測定対象記憶部28は、入力装置31から入力された測定対象の情報を記憶する。復調方式記憶部29は、入力装置31から入力された復調方式の情報を記憶する。誤差ベクトル記憶部30は、データ処理装置34で抽出された誤差ベクトルの情報を記憶する。
データ処理装置34は、プログラムを実行することにより所定のシミュレーション処理を行う。プログラムを実行することにより、デ−タ処理装置34は、変調信号発生部21、測定対象モデル1a、変調信号評価部22、復調部23、誤差ベクトル抽出部24、誤差ベクトル平均化部25、およびEVM値計算部26を有する構成を実現する。
出力装置35は、データ処理装置34からの情報を出力する装置、例えばディスプレイ装置または印刷装置である。出力装置35はEVM値表示分32を備える。
図3に示した回路シミュレータにおいて、まず、変調方式を選択し、その変調方式の変調信号を発生する発生器の動作を再現するモデルの情報を入力装置31を用いて入力する。ここで入力した変調方式に関する情報は変調方式記憶部27に記憶される。また、測定対象の動作を再現するモデルの情報を入力装置31を用いて入力する。入力された測定対象のモデルの情報は測定対象記憶部28に記憶される。選択した変調方式に対応する復調方式の復調器のモデルの情報を入力装置31を用いて入力する。入力した情報は復調方式記憶部29に記憶される。
そして、変調信号発生部21は、変調方式記憶部27に記憶された情報に基づき数値的な変調信号を発生させる。発生した変調信号は、モデル化された測定対象1aに入力される。
また、測定対象記憶部28に記憶された測定対象のモデルの情報に基づいてモデル化された測定対象1aは、変調信号発生部21からの出力変調信号に対して所定の数値的な計算を行う。
出力変調信号評価部22は、測定対象1aにて行われた変調信号に対する計算を評価する。そして、復調部23は、復調方式記憶部29に記憶されている復調器のモデルに基づき、出力変調信号評価部22で評価された変調信号を復調する。この変調信号および復調信号は共に複数のサンプリング点で取得される。
誤差ベクトル抽出部24は、復調部23で得られた復調信号から誤差ベクトルを抽出する。複数のサンプリング点で得られた誤差ベクトルは、必要に応じて、誤差ベクトル記憶部30に記録される。
誤差ベクトル平均化部25は、誤差ベクトル抽出部24で抽出された複数の誤差ベクトルの電力の平均値を求める。
EVM値計算部26は、式(1)に従って、誤差ベクトル平均化部25で得られた誤差ベクトルの平均電力を理想復調信号の平均電力で除算し、さらに平方根を取ることでEVM値を計算する。
EVM値表示部32は、EVM値計算部26で得られたEVM値を表示する。
図4は、EVM値を評価する機能を備えた従来の測定装置の構成を示すブロック図である。図4を参照すると、従来の測定装置は、変調信号発生装置50およびEVM値評価装置51を有している。EVM値評価装置51は、復調器42、誤差ベクトル抽出回路43、誤差ベクトル平均化回路44、EVM値計算回路45、EVM値表示回路46を備えている。
変調信号発生器41は、変調信号を発生させ、その変調信号を測定対象1に入力する。測定対象1の入力および出力の変調信号の平均電力は、カプラ47aとカプラ47bを通じて入力電力測定器48と出力電力測定器49を用いてそれぞれ評価される。
復調器42は、測定対象1から出力された変調信号を復調する。誤差ベクトル抽出回路43は、復調信号から誤差ベクトルを抽出する。
誤差ベクトル平均化回路44は、誤差ベクトルの平均電力を求める。EVM値計算回路45は、式(1)に従って、誤差ベクトル平均化回路44で得られた誤差ベクトルの平均電力を理想復調信号の平均電力で除算し、さらに平方根を取ってEVM値を計算する。EVM値表示回路46は、得られたEVM値を表示する。
以上のように、復調からEVM値表示までの一連の過程はEVM値評価装置51によって行われる。
図5は、EVM値を評価した結果に基づき受信モードを選択する機能を備えた従来の受信回路のブロック図である。例えば、特開2004−56499号公報には、図5に示したモード選択機能を備えた受信回路が示されている。図5を参照すると受信回路87は、異なる受信モードに対応した2つのアンテナ81a、81bおよび2つの復調器82a、82bを備えている。受信回路87は、アンテナ81a、81bで変調信号を受信し、復調器82a、82bで変調信号を復調する。そして、復調器82a、83bの各復調信号は受信ベースバンド信号処理回路83に伝送される。
受信ベースバンド信号処理回路83は、各復調信号に対して所定の信号処理を行い、信号処理を行った復調信号を誤差ベクトル抽出回路84に送る。誤差ベクトル抽出回路84は、各復調信号から各誤差ベクトルを抽出する。誤差ベクトル平均化回路85は、誤差ベクトル抽出回路84で抽出された各誤差ベクトルから各誤差ベクトルの平均電力を求める。
制御回路86は、これらの平均電力から式(1)に基づき各アンテナ81a、81bで受信した異なる受信モードのEVM値を計算し、それら比較することにより、EVM値が低く信号品質の良い受信モードが選択される。
図6は、誤差ベクトルを評価した結果に基づき測定対象の歪を補正する変調信号を発生する機能を備えた従来の送受信回路の構成を示すブロック図である。例えば、特開2002−9642号公報には、図6に示した歪による誤差を補正する機能を備えた送受信回路が示されている。図6を参照すると、送受信回路69は、測定対象1、変調信号発生器61、制御回路62、カプラ63、復調器64、誤差ベクトル抽出回路65、受信ベースバンド信号処理回路66、および切替器67を備えている。
誤差制御を行なう期間において、制御回路62は、測定対象1からカプラ63への経路を接続するように切替器67を制御する。これにより測定対象1からの出力変調信号が復調器64に伝送される。
復調器64は出力変調信号を復調する。誤差ベクトル抽出回路65は、復調器64で得られた復調信号から誤差ベクトルを抽出し、抽出された誤差ベクトルの情報に基づき、誤差ベクトルを最小化するように変調信号発生器61のパラメータを補正する。
以上の動作により、従来の送受信回路69は、測定対象1の歪に起因する誤差ベクトルを補正し、線形性を改善している。
また、誤差制御を行わない期間においては、制御回路63は、測定対象1からカプラ63への経路を切断するように切替器67を制御する。これにより、従来の送受信回路69は、変調信号発生器61、測定対象1、およびアンテナ68を用いた送信動作と、アンテナ68、復調器64、受信ベースバンド信号処理回路66を用いた受信動作とを行なう状態となる。
図6の回路は誤差ベクトルに基づいて歪を補正するものであったが、測定対象の振幅歪と位相歪を測定できれば、復調信号の誤差ベクトルを用いることなく歪を補正することができる。図7は、測定対象の歪を補正する機能を備えた従来の回路の構成を示すブロック図である。
例えば、特開2003−258560号公報には、図7のような歪補正機能を備えた回路が示されている。図7を参照すると、回路は、カプラ101a、101b、遅延回路102、2乗検波回路103、A/D変換器104、テーブル105、D/A変換器106、115、ローパスフィルタ107a、107b、位相回路108、振幅回路109、増幅器110、歪検知回路112、テーブル更新回路113、VCO制御回路114、およびVCO116を有している。その中でA/D変換器104、テーブル105、D/A変換器106、115、テーブル更新回路113、VCO制御回路114、およびVCO116はデジタル処理部111として構成されている。
カプラ101aで分岐され、2乗検波回路103で検波された入力信号と、カプラ101bで分岐され、歪検知回路112で検知された出力信号とがデジタル処理部111に入力されている。デジタル処理部111は、この入力信号および出力信号と、歪補償用のテーブル105に格納されているデータとに基づいて、増幅器110の歪を補正するように位相回路108および振幅回路109を制御する。また、テーブル更新回路113は、歪検知回路112からの出力信号に基づいてテーブル105のデータを更新する。
図2に示したような従来のEVM評価方法では、誤差ベクトルの平均電力を求めるために、非常に多数のサンプリング点における誤差ベクトルを取得する必要があった。例えば、無線LAN規格IEEE802.11aにおけるEVM値を求める場合に必要なサンプリング点数は、(サブキャリア数)×(パケット長)×(フレーム数)となる。そして、非特許文献1のpp.30によれば、IEEE802.11aにおけるサブキャリア数は52、パケット長は16以上、フレーム数は20以上と定めてられている。したがって、必要最小限のサンプリング数は52×16×20=16640である。
このように多数のサンプリング点での演算を必要とすることはEVM評価法における深刻な問題であり、以下のような具体的な問題点の原因になる。
例えば、図3に示した回路シミュレータによりEVM値を評価する場合、多数のサンプリング点で演算を行うために計算時間が長くなってしまう。また、図5に示した通信回路の場合、多数のサンプリング点での演算が可能な処理能力の高い計算回路および大規模メモリが必要となる。そのため、回路の大規模化やそれに伴う消費電力の増大などの問題が発生する。
また、従来のEVM評価方法を用いるには、回路構成が複雑で高コストな復調器が必要である。このことは、以下の具体的な問題点の原因になる。
例えば、測定対象を増幅器とし、その特性を実験的に評価する場合、利得や飽和出力などの基本特性は、正弦波入力時の測定結果から得られる。しかしながら、従来の方法でEVM評価を行なう場合、正弦波入力時の測定装置とは別個に、図4に示したような復調器42を含むEVM評価装置51が必要となる。そのため、このような装置の導入がコストの上昇につながる。
また、図6に示した送受信回路69では、送信回路に含まれる測定対象1の歪による誤差ベクトルを求めるために復調器64が用いられている。復調器64は、本来、送信回路には不要なものであり、誤差ベクトルを求めるために復調器64を設ければ回路規模の増大を招く。そのため、図6の例では、受信回路の復調器64を送信回路の誤差ベクトルを求めるために用いている。しかし、それにより図6の送受信回路69では、誤差補正中には、通常の受信動作を行うことができないという問題があった。
復調器を用いることで生ずる問題を回避するため、図7の回路は、所望の変調信号に対応する復調器を用いず測定対象の歪を補正している。しかし、この回路には復調器がないためEVM値を評価する手段がなく、所望の変調信号平均電力において歪補正後の特性がEVM規格を満たしているか否かを確認できず、信頼性に欠けるという問題があった。
また、図7の回路は、振幅歪と位相歪のどちらがEVM値に大きく影響しているかを判断する手段を備えておらず、このことも歪補正の信頼性を欠く要因となっていた。
本発明の目的は、多数のサンプリング点での誤差ベクトルの演算を行なうことなく、かつ所望の変調方式に対応した復調器を用いることなく、線形性の評価を行うことができる線形性評価方法と、それを用いた回路シミュレータ、評価装置、通信回路、およびプログラムを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の評価装置は、電気回路の評価対象における線形性指標を評価するための評価装置であって、測定器、評価部、積分部、および線形性指標計算部を有している。
測定器は、所定の評価信号を入力された評価対象の入力信号および出力信号を測定する。
評価部は、入力信号および出力信号を用いて、出力信号の振幅歪または位相歪の少なくとも一方の歪量を求める。積分部は、歪量を用い、所定の変調信号の電力/平均電力比の確率密度関数で重み付けした積分処理を行う。線形性指標計算部は、積分部による処理の結果から線形性指標を算出する。
一般的な復調信号の一例を示す図である。 従来の一般的なEVM評価方法による手順を示すフローチャートである。 EVM値を計算する機能を備えた従来の回路シミュレータの構成を示すブロック図である。 EVM値を評価する機能を備えた従来の測定装置の構成を示すブロック図である。 EVM値を評価した結果に基づき受信モードを選択する機能を備えた従来の受信回路のブロック図である。 誤差ベクトルを評価した結果に基づき測定対象の歪を補正する変調信号を発生する機能を備えた従来の送受信回路の構成を示すブロック図である。 測定対象の歪を補正する機能を備えた従来の回路の構成を示すブロック図である。 第1の実施形態によるEVM評価方法の手順を示すフローチャートである。 第1の実施形態における信号の定義を説明するための仮想的な測定系の概略構成図である。 第2の実施形態によるEVM評価方法の手順を示すフローチャートである。 第3の実施形態によるEVM評価方法の手順を示すフローチャートである。 第4の実施形態によるEVM評価方法の手順を示すフローチャートである。 第5の実施形態による回路シミュレータの構成を示すブロック図である。 第6の実施形態による回路シミュレータの構成を示すブロック図である。 測定対象の一例となる増幅器の振幅歪および位相歪の電力依存性を示すグラフである。 従来技術と第6の実施形態で計算したEVM値の比較を示すグラフである。 第7の実施形態による測定装置の構成を示すブロック図である。 第8の実施形態による測定装置の構成を示すブロック図である。 第9の実施形態による通信回路の構成を示すブロック図である。 第9の実施形態の通信回路における振幅・位相評価回路の構成例を示すブロック図である。 第9の実施形態の通信回路における振幅・位相評価回路の他の構成例を示すブロック図である。 第10の実施形態による通信回路の構成を示すブロック図である。 測定対象の一例として増幅器の構成を示す概略回路図である。 図22に示された増幅器の静的電流を変えて、無線LAN規格IEEE802.11aの54MbpsモードにおけるEVM値の電力依存性をシミュレーションした結果を示すグラフである。 第11の実施形態による通信回路の構成を示すブロック図である。 測定対象の一例として増幅器の構成を示す概略回路図である。 図25に示した増幅器の可変容量素子の容量値を変えて、無線LAN規格IEEE802.11aの54MbpsモードにおけるEVM値の電力依存性をシミュレーションした結果を示すグラフである。 第12の実施形態による通信回路の構成を示すブロック図である。
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図8は、第1の実施形態によるEVM評価方法の手順を示すフローチャートである。このEVM評価方法は、測定対象のEVM評価を行うための方法であり、様々な装置や回路に適用可能な基本的なものである。したがって、本方法は特定の構成に依存するものではなく、様々な構成に広く適用可能である。図8には、第1の実施形態として、測定対象の振幅歪と位相歪の電力依存性の評価結果から直接にEVM値を計算する方法が示されている。
図8を参照すると、まず、評価信号を測定対象に入力する(ステップA21)。次に、測定対象の振幅歪および位相歪を測定する(ステップA22)。また、ステップA21、A22とは独立した処理により、所望の変調信号の電力/平均電力比の確率密度関数を読み出す(ステップA23)。
そして、ステップA22で得られた振幅歪および位相歪を、ステップA23で得られた確率密度関数で重み付けして積分処理する(ステップA24)。
次に、ステップA24で得られた積分値を用いてEVM値を計算する(ステップA25)。次に、ここで歪評価を終了するか否か判定する(ステップA26)。ここで歪評価を終了しない場合、ステップA21およびステップA23の処理に戻る。
歪評価を終了する場合、次に、残留EVM値を評価するか否か判定する(ステップA27)。残留EVM値を評価すると判定した場合、次に、残留EVM値の評価を行い(ステップA28)、測定対象の歪によるEVM値と残留EVM値とを合成したEVM値を計算する(ステップA29)。
ステップA26にて残留EVM値を評価しないと判定された場合、またはステップA29の処理の後、次に、一例の評価処理を終了するか否か判定する(ステップA30)。評価処理を終了しない場合には、ステップA21およびステップA23の処理に戻る。
以下、このEVM評価方法の原理について詳細に説明する。
図9は、第1の実施形態における信号の定義を説明するための仮想的な測定系の概略構成図である。図9に示すように、ここでは測定対象1に変調信号列{Sin(n)}を入力すると、変調信号列{S′out(n)}が出力されるものとする。変調信号のサンプリングの番号を表す変数nの物理次元は任意に取ってよく、例えばnは時間変数でも良く、周波数を表す変数としても良い。一般に測定対象1の特性には歪があるので、{S′out(n)}は、歪がない場合の理想的な変調信号列{Sout(n)}からずれたものとなる。
また、Sin(n)、Sout(n)、およびS′out(n)は複素信号であり、これら複素信号の絶対値二乗により各信号の電力が得られるものとする。すなわち、入力変調信号の電力Pin(n)と、理想的な出力変調信号の電力Pout(n)は、式(2)と式(3)でそれぞれ与えられる。
Figure 2006001184
Figure 2006001184

復調器121による復調処理により、理想出力変調信号列{Sout(n)}からは復調信号列{c(k)}が得られるものとし、歪の影響を含む出力変調信号列{S′out(n)}からは復調信号列{c′(k)}が得られるものとする。
復調信号のサンプリングの番号を表す変数kの物理次元は任意に取ってよく、例えばkは時間変数でも良く、周波数を表す変数としても良い。
上述した式(1)によれば、EVM値は、復調信号における誤差ベクトル平均電力と理想信号平均電力の比、すなわち復調信号の信号対歪電力比を用いて与えられる。
ところで、一般的に誤差ベクトルは、測定対象1と復調器121の双方の歪によって発生するが、測定においては測定対象の効果のみに着目すべきであり、測定器の一部である復調器121の影響は除去することが望ましい。
そこで測定器において復調器の影響を除去するという方針に基づき、ここでは復調器によって信号対歪電力比は変化しないと仮定する。すなわち、復調前の変調信号の信号対歪電力比と、復調信号の信号対歪電力比は等しいこととなり、その結果、式(4)が得られる。式(4)ではxの期待値をE[x]とし、理想変調出力の平均電力をPout(ave)としている。
Figure 2006001184

測定対象1の効果のみに着目するために、復調器121の影響を除去するという方針は、変復調方式の種類と関連なく適用すべきものである。したがって、この方針から得られる式(4)は変復調方式の種類によらず適用され得る。
歪による誤差を含む出力変調信号S′out(n)と入力変調信号Sin(n)との関係は式(5)のように表現される。
Figure 2006001184

一般に、信号利得G(Pin(n))は、入力変調信号の電力Pin(n)に対して変動する非線形特性を持ち、この利得の非線形特性すなわち振幅歪によりEVM値が劣化する。なお、信号利得G(Pin(n))の二乗により電力利得が与えられる。なお、この利得の定義で用いられる電力単位は[dB]ではなく、絶対値単位、例えば[W]であるとする。
一般に、位相θ(Pin(n))は、入力変調信号の電力Pin(n)に対して変動する非線形特性を持ち、この非線形特性すなわち位相歪によりEVM値が劣化する。ここでの位相θ(Pin(n))は[rad]単位であるとする。
通信システムにおいて、利得と位相の基準は平均電力における特性から決定される。そのため、歪のない理想的な場合には、出力変調信号の利得と位相は入力変調信号平均電力Pin(ave)における値を取り、入力変調信号電力Pin(n)に対して変動しない。すなわち、理想出力変調信号Sout(n)と入力変調信号Sin(n)との関係は式(6)のように表現される。
Figure 2006001184

また、歪のない理想的な変調信号における電力と平均電力の比をrと定義すると、サンプリング点での値r(n)は式(7)により示すことができる。
Figure 2006001184

歪のない理想的な場合、式(7)に示されているように、入力と出力とで、変調信号の電力と平均電力の比が一致する。
変調信号において、r(n)はサンプリング点nに応じて変動するが、このr(n)の変動は確率密度関数p(r)に従ったものとなる。すなわち、rは、確率密度関数p(r)によって分布が記述される確率変数である。
式(7)を用いると、式(5)中の利得G(Pin(n))と位相θ(Pin(n))の中に現れる変数Pin(n)は、Pin(ave)r(n)と置き換えることができる。
式(4)に現れる、歪による変調信号の誤差ベクトルの電力と、利得と位相の電力依存性との間の関係式は、式(8)のように示すことができる。なお、式(8)は、|S′out(n)−Sout(n)|に、式(5)のS′out(n)と、式(6)のSout(n)とを代入し、式(3)および式(7)を用いて式変形することで容易に得られる。
Figure 2006001184

式(8)から、|S′out(n)−Sout(n)|は確率変数rを含む確率変数であることが分かる。したがって、その期待値E[|S′out(n)−Sout(n)|]は、確率変数rの確率密度関数p(r)を用いて、式(9)のように表される。ここで積分範囲に表れるPAR(peak−to−average power ratio)は変調信号のピーク電力と平均電力の比であり、すなわちrの最大値である。
Figure 2006001184
ここで式(9)を式(4)に代入すれば、入力変調信号平均電力Pin(ave)におけるEVM値と、利得と位相の電力依存性との間の関係式が式(10)のように得られる。
Figure 2006001184

以上より、式(10)を用いれば、利得Gと位相θの電力依存性のデータからEVM値を直接計算することができる。この方法によってEVM値を評価するには利得Gと位相θの電力依存性のデータが必要である。
そのため、図8のフローチャートにおいて、評価信号を測定対象に入力するステップA21と、測定対象の振幅歪および位相歪を評価するステップA22によって、利得Gと位相θの電力依存性のデータを評価する。
評価信号としては、所望の変調信号の搬送波周波数を含むか、またはそれに近い周波数の信号を用いることが望ましい。
例えば、測定対象がメモリ効果を示さないか、あるいはその効果が弱い場合、すなわち歪特性が変調信号の帯域幅に依存しないかあるいは依存性が弱い場合には、所望の変調信号の搬送波周波数における正弦波を評価信号として測定対象に入力して得られた利得Gと位相θの電力依存性によってEVM値を精度良く評価することができるので、簡易な装置や評価手法で利得Gと位相θの電力依存性を得ることができる。そのため測定対象がメモリ効果を示さないか効果が弱い場合においては、評価信号として所望変調信号の搬送波周波数における正弦波を用いることが望ましい。
一方、通信システムのチャネル帯域幅が広く、周波数による歪特性の変化がチャネル帯域内でも無視できない場合、チャネル帯域内の何点かの周波数で利得Gと位相θの電力依存性を評価し、その結果から各周波数点でのEVM値を評価してもよい。また、それらの各周波数点でのEVM値の平均値をチャネルにおけるEVM値の代表値としてもよい。
他の例として、測定対象がメモリ効果を示す場合、すなわち歪特性が変調信号の帯域幅に強く依存する場合には、パワースイープの速度によって利得Gと位相θの電力依存性が変化するので、利得Gと位相θの電力依存性を評価する際のパワースイープ速度を所望変調信号の振幅の変化速度に近づけることが望ましい。これにより、実際の動作に近い利得Gと位相θの電力依存性からEVM値を精度良く評価することができる。
以上で述べた評価信号は好適な一例であるがこれに限定されるものでない。所望の変調信号の搬送波周波数、またはそれに近い周波数における利得Gと位相θの電力依存性が測定できれば、評価信号にどのような信号を用いてもよい。
式(10)では、利得の電力依存性G(Pin)と位相の電力依存性θ(Pin)があるが、このG(Pin)をG(Pin)/G′とし、θ(Pin)をθ(Pin)−θ′としても式(10)は変化しない。ここでG′とθ′は任意の定数である。そのため、利得G(Pin)の代わりにG(Pin)/G′を用いても良く、また位相θ(Pin)の代わりにθ(Pin)−θ′を用いても良いことが分かる。
例えば、G′をG(Pin)の入力電力0における極限値、すなわち線形利得G(0)としてもよい。その場合、式(10)において、利得G(Pin)の代わりに、線形利得からの利得偏差すなわち振幅歪を表すG(Pin)/G(0)を用いればよい。同様に、θ′をθ(Pin)の入力電力0における極限値θ(0)としてもよい。その場合、式(10)において、位相θ(Pin)の代わりに位相歪θ(Pin)−θ(0)を用いればよい。
つまり、振幅歪の歪量であるG(Pin)/G(0)と、位相歪の歪量であるθ(Pin)−θ(0)を用いることができる。
また、式(10)においては、ここまで利得G(Pin)の定義で用いられる電力単位は絶対値単位、例えば[W]単位の電力として説明したが、必要に応じて別の単位、例えば[dB]単位を用いることとし、それに合わせて式を変形してもよい。
また、ここまで位相θ(Pin)の単位は[rad]単位として説明したが、必要に応じて別の単位、例えば[度]や[秒]などの単位を用いることとし、それに合わせて式を変形してもよい。
次に、図8に示したフローチャートのステップA23において、所望の変調信号の電力/平均電力比の確率密度関数p(r)を読み出している。確率密度関数p(r)は変調信号の種類によって固有の関数形を持つ。例えば、サブキャリア数が十分に多い直交周波数分割多重変調方式(OFDM)においては、確率密度関数p(r)は式(11)で与えられる。このことは文献「2002年9月、アイ・イー・イー・イー・ヴィヒキュラー・テクノロジー・カンファレンス・プロシーディングス、第2巻、899〜903頁(IEEE Vehicular Technology Conference, proceedings,vol.2,pp.899−903,September,2002)」に示されている。
Figure 2006001184

したがって、所望の変調信号に合わせて予め定まる確率密度関数p(r)の関数形をデータとしてデータ処理装置または記憶装置などに予め記録しておき、ステップA23において、変調信号の電力/平均電力比の確率密度関数p(r)のデータをデータ処理装置または記憶装置から読み出せばよい。なお、確率密度関数p(r)のデータは関数形を表す数式の情報でも良く、または数式から得られる数値列データでも良い。
また他の方法として、予め測定によって確率密度関数p(r)を取得し、得られた数値列データをデータ処理装置や記憶装置などに記録しておき、ステップA23において、確率密度関数p(r)のデータとしてそれを読み出しても良い。この手法は確率密度関数p(r)の関数形が理論的に既知でない場合にも有効に適用可能である。さらに他の方法として、予め確率密度関数p(r)を測定し、その結果から確率密度関数p(r)を表す経験式を導き、この式をデータ処理装置や記憶装置などに記録しておくこととしてもよい。
記憶する情報量を削減する観点からは、確率密度関数p(r)は数値列データよりも関数形を表す数式の情報としてデータ処理装置や記憶装置などに記憶する方が望ましい。
また、所望の変調方式が複数ある場合、それぞれの変調方式に対応する確率密度関数p(r)を用意しておけば、それぞれの変調方式に対応するEVM値の評価に適用できる。
図8に示したフローチャートのステップA24において、ステップA21、A22で得られた利得G(Pin)および位相θ(Pin)の電力依存性と、ステップA23で得られた確率密度関数p(r)とを用いて式(10)に含まれる積分計算を行なう。
rが十分小さいまたは十分大きい範囲では、被積分関数に含まれるrp(r)が0に近づくので、そのようなrの範囲は積分値への寄与が無視できる。そのため、式(10)では、積分範囲が0からPARとなっているが、実際の計算においてはEVM値に大きな誤差が生じない程度に積分範囲の下限値と上限値を適当に打ち切ってもよい。積分範囲を適切な範囲で打ち切ることにより、EVM値の精度を劣化させることなくデータ処理量および処理時間を削減できる。
また、積分計算においては、複数のr値で被積分関数のデータを取り、例えば台形公式などを用いて積分値を計算する。その場合、必要に応じてデータ点の取り方を任意に選択でき、例えば、精度を重視する場合はデータ点を多く取ればよく、データ処理量および処理時間の削減を重視する場合はデータ点を少なくすればよい。
式(10)において、積分変数として変調信号の電力/平均電力比rを用いているが、必要があれば積分変数を適当な別の変数に変換しても良く、例えばrをrPin(ave)に等しい変調信号入力電力Pinに変数変換して積分計算しても良い。
図8に示したフローチャートのステップA25において、式(10)に従い、ステップA24で得られた積分値の平方根を取ることでEVM値を求める。
ここで得られた値は絶対値単位であるが、必要に応じて他の単位に変えてもよい。例えば、パーセント単位にする場合、式(10)で得られた値に100を掛ければ良い。
図8のフローチャートのステップA26において、歪の評価を終了するか否か判定する。
歪の評価を終了しない場合、これまでと同じ評価条件で歪の評価を繰り返しても良く、また平均電力、搬送波周波数、または利得と位相の電力依存性を評価する際のパワースイープの速度などの評価条件を変えて再度評価を行ってもよい。
実際のEVM値は、測定対象の振幅歪および位相歪の他に、測定対象の周辺回路または測定系の持つ残留EVMの影響を受けることがある。図8のフローチャートのステップA27において、この残留EVMを評価するか否か判定する。
ステップA27において残留EVMを評価すると判断した場合、ステップA28において、残留EVMを評価する。また、評価しないと判断した場合、ステップA30の処理にに進む。
ステップA28にて残留EVM値を評価した場合、ステップA29において、残留EVM値と測定対象の歪によるEVM値を合成したEVM値を求める。以下、その計算方法を示す。
復調信号において、測定対象の歪による発生する誤差ベクトルeDUTと、測定対象の周辺回路や測定系から発生する誤差ベクトルをeresとの双方を考えた場合の全体の誤差ベクトルをEVMtotalとすると、式(12)によって表すことができる。
Figure 2006001184

そして、測定対象の歪による発生する誤差ベクトルeDUTのみを考えた場合のEVM値(EVMDUT)は式(13)、測定対象の周辺回路や測定系から発生する誤差ベクトルeresのみを考えた場合の残留EVM値(EVMres)は式(14)でそれぞれ与えられる。
Figure 2006001184
Figure 2006001184

ここで、測定対象の歪による誤差ベクトルeDUTと測定対象の周辺回路や測定系から発生する誤差ベクトルeresが無相関であれば、EVMtotalとEVMDUTとEVMresとの間には式(15)の関係式が成り立つ。
Figure 2006001184
また、eDUTとeresに相関があれば、一般に、式(16)の不等式が成立する。なお、EVMtotalが最大値(EVMDUT+EVMres)を取るのは、任意のサンプリング点においてeDUTとeresが平行かつ同方向の場合である。EVMtotalが最小値(|EVMDUT−EVMres|)を取るのは、任意のサンプリング点においてeDUTとeresが平行かつ逆方向の場合である。
Figure 2006001184
したがって、残留EVMの特性(EVMres)が既知であれば、例えば、式(10)を用いて得た測定対象のEVM値(EVMDUT)と合わせて、式(15)を用いることにより、測定対象の歪と測定対象以外に起因する残留EVMの両者の影響がある場合のEVM値(EVMtotal)を得ることができる。式(15)を用いて得られるEVM値は、測定対象の歪と測定対象以外に起因する誤差(残留EVM)が無相関であるか無相関に近い場合に精度が良くなる。
または、式(15)の代わりに、式(16)を用いて測定対象の歪と測定対象以外に起因する残留EVMの両者の影響がある場合のEVM値(EVMtotal)の下限値と上限値を見積もっておき、これらの下限値と上限値の間に含まれる値をEVM値として用いても良い。
図8に示したフローチャートでは、測定対象の歪によるEVM値を評価した後に残留EVM値を評価したが、逆に残留EVM値を評価した後に測定対象の歪によるEVM値を評価しても良く、これらの評価の順序に制限はない。
次に、図8に示したフローチャートのステップA30において、一例の評価処理を終了するか否か判定する。評価を終了しない場合、ステップA21から再度評価を行なうこととなる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、一例として、利得G(Pin)と位相θ(Pin)の電力依存性を評価し、振幅歪と位相歪の両者を考慮した場合のEVM値を式(10)により求めた。しかし、本発明においては、利得G(Pin)の電力依存性のみを評価し、振幅歪のみを考慮した場合のEVM値(EVMAM/AM)を計算することとしてもよい。その場合のEVM値は式(10)においてθ(rPin(ave))−θ(Pin(ave))を0として位相歪の影響を除いた式(17)で与えられる。
Figure 2006001184
また、式(17)で与えられるEVMAM/AM値は、利得G(Pin)を[dB]単位で表した利得G(dB)(Pin)を用いることにより式(18)のように表現することもできる。
Figure 2006001184

さらに、式(18)は、振幅歪が十分小さい場合({G(dB)(rPin(ave))−G(dB)(Pin(ave))}<<20dB)において、式(19)のように近似することで簡略化することもできる。
Figure 2006001184

また、振幅歪のみを考慮した場合と同様に、位相θ(Pin)の電力依存性のみを評価し、位相歪のみを考慮した場合のEVM値(EVMAM/PM)を計算しても良い。その場合のEVM値は式(10)においてG(rPin(ave))/G(Pin(ave))を1として振幅歪の影響を除いた式(20)で与えられる。
Figure 2006001184

さらに、式(20)は、位相歪が十分小さい場合(θ(rPin(ave))−θ(Pin(ave))<<2rad=115°)において、[度]単位で表した位相θ(deg)(Pin)を用いて式(21)のように近似することで簡略化することができる。
Figure 2006001184

振幅歪と位相歪の両者を考慮した場合のEVM計算式(10)から得られるEVM値と、振幅歪のみを考慮した場合のEVM計算式(17)から得られるEVMAM/AM値と、位相歪のみを考慮した場合のEVM計算式(20)から得られるEVMAM/PM値との間には、振幅歪が十分小さい場合(G(rPin(ave))/G(Pin(ave))〜1)においては、式(22)の近似的な関係式が成立する。
Figure 2006001184

したがって、振幅歪のみ考慮した場合のEVMAM/AM値を式(17)または式(18)または式(19)から求め、位相歪のみ考慮した場合の得られるEVMAM/PM値を式(20)または式(21)から求め、個別に得られたEVMAM/AM値とEVMAM/PM値から式(22)を用いて振幅歪と位相歪の両者を考慮した場合のEVM値を計算することとしてもよい。
図10は、第2の実施形態によるEVM評価方法の手順を示すフローチャートである。図10には、振幅歪のみを考慮した場合のEVM値と位相歪のみを考慮した場合のEVM値から全体のEVM評価を行う方法が示されている。EVM評価方法の手順を示すフローチャートである。
第2の実施形態では、図8に示した第1の実施形態のステップA24の代わりに、確率密度関数で重み付けした振幅歪を積分処理するステップA24aと、同様に位相歪を積分処理するステップA24bとがある。また、第2の実施形態では、第1の実施形態におけるステップA25の代わりに、ステップA24aで得られた積分値から振幅歪をEVM値を計算するステップA25aと、ステップA24bで得られた積分値から位相歪をEVM値を計算するステップA25bとがある。
また、第2の実施形態は、ステップA25aおよびA25bの後に、ステップA31にて、振幅歪と位相歪によるEVM値から両者の歪によるEVM値を計算している点でも第1の実施形態と異なる。
図10に示したフローチャートでは、ステップA24aおよびステップA25aにて例えば式(17)、(18)、(19)などを用いて利得G(Pin)の電力依存性のデータから振幅歪によるEVM値(EVMAM/AM)を計算すれば良い。また、ステップ24bおよびステップA25bにおいて、例えば式(20)、(21)などを用いて位相θ(Pin)の電力依存性のデータから位相歪によるEVM値(EVMAM/PM)を計算すれば良い。
また、ステップA31においては、例えば式(22)を用いて、振幅歪によるEVM値(EVMAM/AM)と位相歪によるEVM値(EVMAM/PM)とから振幅歪および位相歪の両者を含むEVM値を計算すれば良い。また、振幅歪によるEVM値(EVMAM/AM)と位相歪によるEVM値(EVMAM/PM)とを評価し、それとは別個に式(10)を用いて振幅歪と位相歪の両者を含むEVM値を計算しても良い。
(第3の実施形態)
EVM評価方法の他の実施形態として、振幅歪によるEVM値(EVMAM/AM)のみを評価することも考えられる。第3の実施形態は、そのような例である。
図11は、第3の実施形態によるEVM評価方法の手順を示すフローチャートである。第3の実施形態では、図10に示した第2の実施形態におけるステップ22が測定対象の振幅歪を測定するステップ22aに置き換えられている。また、位相歪によるEVM値を計算するステップ24b、25bと、振幅歪と位相歪によるEVM値から両者の歪によるEVM値を計算するステップ31とが省かれている。
(第4の実施形態)
EVM評価方法の他の実施形態として、位相歪によるEVM値(EVMAM/PM)のみを評価することも考えられる。第4の実施形態はそのような例である。
図12は、第4の実施形態によるEVM評価方法の手順を示すフローチャートである。第4の実施形態では、図10に示した第2の実施形態におけるステップ22が測定対象の位相歪を測定するステップ22bに置き換えられている。また、振幅歪によるEVM値を計算するステップ24a、25aと、振幅歪と位相歪によるEVM値から両者の歪によるEVM値を計算するステップ31とが省かれている。
以上、説明した第1〜第4の実施形態のEVM評価方法によれば、利得G(Pin)または位相θ(Pin)の少なくとも一方の電力依存性のデータと、各変調方式に対応した確率密度関数p(r)とからEVM値を計算することができるので、回路規模や消費電力の増大、演算量の増大につながる多数のサンプリングおよび平均演算を行う必要が無い。
従来は、式(1)に基づき、多数のサンプリング点における誤差ベクトルの電力の平均を求めることでEVM値を評価していた。これに対して、これら第1〜第4の実施形態に示したEVM評価方法では、サンプリング点の平均を計算する代わりに、例えば式(10)のような積分を計算することでEVM値を求めることができ、演算量およびデータ量が削減されている。
また、第1〜第4の実施形態のEVM評価方法によれば、変調信号を用いずに、例えば正弦波を用いてEVM値を評価することができるので、変調信号に対応した高コストの復調器をEVM評価用に設ける必要が無い。
なお、これらのEVM評価方法は、例えばデータ処理装置や記憶装置上に実装した回路シミュレータや、EVM値を実験的に評価する装置や、EVM値をパラメータとして使用する通信回路などの幅広い分野の対象に対して適用できるものである。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態として、上述したEVM評価方法を用いた回路シミュレータを示す。図13は、第5の実施形態による回路シミュレータの構成を示すブロック図である。図13を参照すると、回路シミュレータは、入力装置149、記憶装置155、データ処理装置156、および出力装置157を有している。
ここでは、第5の実施形態の回路シミュレータは、第1の実施形態に示したEVM評価方法を用いている。
入力装置149は、操作により各種データ等の情報を入力する装置、例えばキーボードである。
記憶装置155は、評価信号記憶部150、測定対象記憶部151、歪量記憶部152、変数・関数記憶部153、および残留EVM値記憶部154を備えている。
評価信号記憶部150は、入力装置149から入力された評価信号の情報を記憶する。測定対象記憶部151は、入力装置149から入力された測定対象の情報を記憶する。歪量記憶部152は、データ処理装置156で得られた振幅歪および位相歪を記憶する。変数・関数記憶部153は、入力装置149から入力された変調信号電力/平均電力比および確率密度関数を記憶する。残留EVM値記憶部154は、入力装置149から入力された残留EVM値を記憶する。
データ処理装置156は、プログラムを実行することにより所定のシミュレーション処理を行うコンピュータからなる。プログラムを実行することにより、デ−タ処理装置156は、評価信号発生部141、測定対象モデル1a、評価部142、積分処理部143、測定対象EVM値計算部144、およびトータルEVM値計算部146を有する構成を実現する。
出力装置157は、データ処理装置156からの情報を出力する装置、例えばディスプレイ装置または印刷装置である。出力装置157は測定対象EVM値表示部147およびトータルEVM値表示部148を備える。
以上の構成の回路シミュレータにおいて、まず、評価信号の情報が入力装置149から入力され評価信号記憶部150に格納される。ここで述べる評価信号の情報とは、評価信号の種類、例えば評価信号が正弦波か変調波かを指定する情報、搬送波の周波数、パワースイープの速度、評価信号を発生させるためのルーチンプログラムなどを指す。
また、測定対象の情報が入力装置149から入力され測定対象記憶部151に格納される。ここで述べる測定対象の情報とは、測定対象の特性を再現するためのモデルパラメータ、ルーチンプログラムなどを指す。
また、所望の変調信号の電力/平均電力比rの確率密度関数p(r)の情報が入力装置149から入力され変数・関数記憶部153に格納される。確率密度関数p(r)の情報は第1の実施形態にて詳細に説明したものである。
そして、評価信号発生部141は、評価信号記憶部150に格納された情報に基づき、数値的な評価信号を発生させる。発生した評価信号は測定対象モデル1aに入力される。
測定対象記憶部151に記憶された測定対象の情報に基づいて測定対象モデル1aは、評価信号発生部141からの出力評価信号に対して所定の数値的な計算を行う。
評価部142は、測定対象モデル1aの出力信号から、測定対象モデル1aの振幅歪と位相歪の電力依存性を測定する。評価信号は、第1の実施形態で詳細に述べたように、所望の変調信号の搬送波周波数か、またはそれに近い周波数における利得Gと位相θの電力依存性を測定できるものである限りにおいて、どのような信号であってもよい。
評価部142において得られた測定対象モデル1aの振幅歪と位相歪の電力依存性のデータは歪量記憶部152に格納される。
積分処理部143は、歪量記憶部152に格納された測定対象モデル1aの振幅歪と位相歪の電力依存性のデータと、変数・関数記憶部153に格納されている確率密度関数p(r)の情報を用いて、確率密度関数で重み付けされた歪量の所定の積分演算を行う。この積分演算は、例えば式(10)に含まれる積分演算である。
測定対象EVM値計算部144は、例えば式(10)に基づき、積分処理部143において得られた積分量の平方根を取ることで測定対象モデルの歪によるEVM値を計算する。測定対象EVM値計算部144で得られたEVM値は、測定対象EVM値表示部147にて表示される。
さらに、測定対象の周辺回路や測定系の残留EVM値を考慮する必要がある場合には、予め得られている残留EVM値のデータを入力装置149から入力し、残留EVM値記憶部154に格納しておく。
トータルEVM値計算部146は、測定対象EVM値計算部144で得られたEVM値と、残留EVM値記憶部154に格納されている残留EVM値とを用いて、歪によるEVMおよび残留EVMから両者の影響を含むトータルのEVM値を計算する。トータルのEVM値は、例えば、式(15)または式(16)によって計算される。トータルEVM値計算部146で得られたEVM値は、トータルEVM値表示部148にて表示される。
なお、振幅歪によるEVM値のみを評価したい場合は、図13に示した構成において、評価部142が振幅歪のみ評価し、積分処理部143および測定対象EVM値計算部144が、例えば式(17)、式(18)、または式(19)に基づいて振幅歪によるEVM値を計算すれば良い。
また、位相歪によるEVM値のみを評価したい場合は、図13に示した構成において、評価部142が位相歪のみ評価し、積分処理部143および測定対象EVM値計算部144が、例えば式(20)または式(21)に基づいて位相歪によるEVM値を計算すれば良い。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施形態として、第2の実施形態に示したEVM評価方法を用いた回路シミュレータを示す。図14は、第6の実施形態による回路シミュレータの構成を示すブロック図である。図14を参照すると、回路シミュレータは、入力装置149、記憶装置155、データ処理装置156、および出力装置157を有している。
入力装置149および記憶装置155は図13と同じものである。
データ処理装置156は、プログラムを実行することにより所定のシミュレーション処理を行う。プログラムを実行することにより、デ−タ処理装置156は、評価信号発生部141、測定対象モデル1a、振幅歪評価部142a、位相歪表株142b、振幅歪積分処理部143a、位相歪積分処理部143b、振幅歪EVM値計算部144a、位相歪EVM値計算部144b、測定対象EVM値計算部145、およびトータルEVM値計算部146を有する構成を実現する。
つまり、本実施形態では、図13に示した第5の実施形態における評価部142が振幅歪評価部142aと位相歪評価部142bに置き換えられ、積分処理部143が振幅歪量積分処理部143aと位相歪量積分処理部143bに置き換えられている。また、第5の実施形態における測定対象EVM値計算部144が振幅歪EVM値計算部144aと位相歪EVM値計算部144bに置き換えられ、新たに測定対象EVM値計算部145が設けられている。
出力装置157は、データ処理装置156からの情報を出力する装置、例えばディスプレイ装置または印刷装置である。出力装置157は測定対象EVM値表示部147およびトータルEVM値表示部148を備える。つまり、本実施形態では、図13に示した第5の実施形態の構成に対して新たに振幅歪EVM値表示部147aと位相歪EVM値表示部147bが設けられている。
以上の構成において、振幅歪評価分142aは振幅歪の電力依存性を求め、振幅歪量積分処理部143aに送る。振幅歪量積分処理部143aは、振幅歪評価部142aで得られた振幅歪の電力依存性と、変数・関数記憶部153から読み出された確率密度関数p(r)とを用いて、例えば式(17)、(18)、または(19)に含まれる積分演算を行う。
また、位相歪評価分142bは位相歪の電力依存性を求め、位相歪量積分処理部143bに送る。位相歪量積分処理部143bは、位相歪評価部142bで得られた位相歪の電力依存性と、変数・関数記憶部153から読み出された確率密度関数p(r)とを用いて、例えば式(20)または(21)に含まれる積分演算を行う。
振幅歪EVM値計算部144aは、例えば式(17)、(18)、または(19)に基づき、振幅歪量積分処理部143aで得られた積分値の平方根を取ることにより振幅歪によるEVM値を計算する。また、位相歪EVM値計算部144bは、例えば式(20)または(21)に基づき、位相歪量積分処理部143bで得られた積分値の平方根を取ることにより振幅歪によるEVM値を計算する。振幅歪EVM値計算部144aで得られた振幅歪によるEVM値は振幅歪EVM値表示部147aで表示される。また、位相歪EVM値計算部144bで得られた位相歪によるEVM値は位相歪EVM値表示部147bで表示される。
測定対象EVM値計算部145は、振幅歪EVM値計算部144aで得られた振幅歪によるEVM値と、位相歪EVM値計算部144bで得られた位相歪によるEVM値とを用いて、例えば式(22)に基づき、振幅歪と位相歪の両者の影響を含む測定対象のEVM値を計算する。
なお、第5、第6の実施形態において、残留EVM値の影響を考慮する必要がない場合は、残留EVM値記憶部154とトータルEVM値計算部146とトータルEVM値表示部148を省いても良い。
図15は、測定対象の一例となる増幅器の振幅歪および位相歪の電力依存性を示すグラフである。図16は、従来技術と第6の実施形態で計算したEVM値の比較を示すグラフである。図16には、測定対象を図15に示した特性の増幅器とし、IEEE802.11a規格のOFDM変調信号を測定対象に入力した場合のEVM値を、図3で示した従来技術と、図14で示した第6の実施形態とに基づいて計算した結果が示されている。
図16を参照すると、第6の実施形態での計算結果は従来技術での計算結果と非常に良く一致していることが分かる。このことは、多数のサンプリング点を取らず、所望の変調方式に対応した復調器を用いることなく行った第6の実施形態のEVM値評価方法によってEVM値を正しく評価でき、少なくとも図3に示した従来技術と同等の精度でEVM値を求めることができることを示している。
なお、図16に示したEVM値の計算において、従来技術では実際に測定対象にOFDM変調信号を入力し、得られた出力信号に復調処理を行なっている。そのため、従来技術ではOFDM変調および復調に対応したシミュレータを必要とするが、一般に、そのような高度な計算機能を有するシミュレータは高価であり、普及しているとは言い難い。
これに対して、第6の実施形態においては、測定対象に正弦波を入力して得られる振幅歪および位相歪の電力依存性からEVM値を計算している。すなわち、第6の実施形態によれば、OFDM変調および復調を行なわずにEVM値を評価することができる。すなわち、第6の実施形態においては、少なくとも正弦波応答が計算できる機能を持つシミュレータがあれば良く、そのような計算は比較的安価で普及しているハーモニックバランスシミュレータで実行できる。
なお、第6の実施形態においては、正弦波を評価信号に用いているが正弦波以外の信号を適宜用いてよい。
このように、従来では変調および復調処理が必要とされたため高機能なシミュレータが必要とされたが、本発明によれば変調および復調処理が不要なので、より安価で広く普及したシミュレータでEVM値を計算できる。
図16のようなEVM値を計算する際、図3に示した従来技術では、サブキャリア数52、パケット長100、フレーム数20のOFDM変調信号を用いてEVM値を計算していた。そのため1点の平均電力におけるEVM値を計算するために52×100×20=104000点で誤差ベクトルをサンプリングし、誤差ベクトル電力の平均化処理を行なう必要があった。
これに対して、第6の実施形態では、1点の平均電力におけるEVM値を計算するために、変調信号の電力/平均電力比rが−13.5dBから7dBの範囲で0.5dB刻みとなる点でデータを取り台形公式を用いて積分計算を行なっている。したがって、(7−(−13.5))/0.5+1=42点の電力における振幅歪および位相歪のデータがあれば良い。従来技術に比べて遥かに少ないデータ点数で従来技術と同等の精度でEVM値を計算できている。
つまり従来技術と比べてEVM値評価に必要なデータ数が大幅に削減されている。
このことは計算時間の短縮にも貢献しており、例えば、図16のEVM値の結果を得るために必要とされた計算時間は、従来技術では228秒であったのに対して、第6の実施形態では26秒であった。
なお、積分範囲をr値が−13.5dBから7dBとなる範囲に選んだ理由は、IEEE802.11a規格のOFDM変調信号において確率密度関数の値が1%以上になるようにrの範囲を定めたからである。ただし、適宜、積分範囲をここで述べた範囲と異なる値に取っても良く、本発明が特定の範囲に限定されることはない。また積分計算に用いるデータ点数も同様にここで述べた値に限定されない。
なお、ここでは変調方式として無線LAN規格IEEE802.11aを例として説明を行なったが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明におけるEVM値の評価手法は他の変調方式にも容易に適用することができる。
以上説明したように、第5、6の実施形態に示した回路シミュレータでは、従来技術のような多数のサンプリングおよびそれらの平均化処理が不要なので、シミュレーションの計算時間が大幅に短縮される。
また、第5、6の実施形態に示した回路シミュレータでは、従来技術のような変調および復調処理のための演算が不要となり、より安価で簡易的な回路シミュレータにより実現可能である。
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態として、上述したEVM評価方法を用いた測定装置を示す。図17は、第7の実施形態による測定装置の構成を示すブロック図である。図17を参照すると、測定装置は、信号発生装置177とEVM値評価装置176を有している。信号発生装置177は評価信号発生器161を有している。また、EVM値評価装置176は、測定部172、記憶部173、データ処理部174、出力部175、および信号発生装置177を有している。
また、測定部172は、入力信号測定器164、出力信号測定器165、および評価部166を有している。記憶部173は、歪量記憶部167および変数・関数記憶部168を有している。データ処理部174は、積分部169およびEVM値計算部170を有している。出力部175は、EVM値表示部171を有している。
評価信号発生器161で発生された評価信号は、カプラ162aにて測定対象1とEVM値評価装置176に分岐されている。また、測定対象1からの出力信号は、カプラ162bにて終端器163とEVM値評価装置176に分岐されている。
図17に示した構成においては、信号発生装置177の評価信号発生器161は所定の評価信号を発生し、カプラ162aに入力する。評価信号は、第1の実施形態にて詳細に述べたように、所望の変調信号の搬送波周波数か、またはそれに近い周波数における利得Gと位相θの電力依存性が測定できるならば、どのような信号であってもよい。
評価信号は、カプラ162aを通じて測定対象1および入力信号測定器164に入力される。入力信号測定器164はその評価信号の振幅と位相を測定する。
測定対象1に評価信号を入力することにより測定対象1から出力された出力信号は、カプラ162bを介して出力信号測定器165に送られる。なお、カプラ162bで分岐されたもう一方は、ここでは終端器163で終端されることとする。終端器163の代わりに他の測定装置、例えばスペクトルアナライザ等に接続してもよい。
出力信号が与えられた出力信号測定器165は、その出力信号の振幅と位相を測定する。
入力信号測定器164および出力信号測定器165での測定結果は評価部166に与えられる。
評価部166は、入力信号測定器164で得られた入力評価信号の振幅と位相と、出力信号測定器165で得られた出力評価信号の振幅と位相とから、測定対象1の振幅歪および位相歪の電力依存性を求める。評価部166で得られた測定対象1の振幅歪および位相歪の電力依存性のデータは歪量記憶部167に格納される。
なお、入力信号の位相量が電力に依存しなければ入力信号の位相を測定せず、出力信号の位相量をそのまま位相θ(Pin)として用いれば良い。
変数・関数記憶部168には、所望の変調信号の電力/平均電力比rの確率密度関数p(r)の情報が格納されている。確率密度関数p(r)の情報は第1の実施形態として詳細に説明したものと同じである。
積分部169は、歪量記憶部167から読み出した測定対象1の振幅歪および位相歪の電力依存性のデータと、変数・関数記憶部168から読み出した所望の変調信号の電力/平均電力比rの確率密度関数p(r)の情報とを用いて、例えば式(10)に含まれている積分演算を行う。EVM値計算部170は、例えば式(10)に基づき、積分部169で得られた積分値の平方根を取ることによりEVM値を求める。EVM値表示部171は、EVM値計算部170で得られたEVM値を表示する。
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施形態として、上述したEVM評価方法を用いた他の構成の測定装置を示す。第7の実施形態に示した、測定部172、記憶部173、データ処理部174、および出力部175を含むEVM値評価装置176は複数の装置に分離してもよい。
図18は、第8の実施形態による測定装置の構成を示すブロック図である。図18を参照すると、第8の実施形態は、一例として、第7の実施形態のEVM値評価装置176が、記憶部173およびデータ処理部174を含む演算装置178と、出力装置175aと、入力信号測定器164と、出力信号測定器165とに分離された構成を有している。また、第8の実施形態において、評価部166はデータ処理部174に含まれている。そして、第8の実施形態における測定装置の動作の詳細は、第7の実施形態のものと同じである。
第7および第8の実施形態において、振幅および位相歪を評価し、両者の影響を含むEVM値を評価する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、振幅歪または位相歪のいずれか一方のみを評価し、その評価結果に基づきEVM値を評価することとしてもよい。
振幅歪の電力依存性の評価結果に基づいて振幅歪のみの影響を考慮したEVM値を計算するに、データ処理部174は、例えば式(17)、式(18)、または式(19)に基づいて計算すればよい。また、位相歪の電力依存性の評価結果に基づいて位相歪のみの影響を考慮したEVM値を計算するには、データ処理部174は、例えば式(20)または式(21)に基づいて計算すればよい。
このように、本発明では振幅歪および位相歪がEVM値に与える影響を定量的に評価および比較することができる。
従来技術では、利得や飽和出力などの基本特性を得るため評価信号に正弦波を用いる測定装置とは別に、EVM評価をするためには図4に示したような復調器42を含むEVM評価装置51が必要であった。しかし、第7、8の実施形態の測定装置を用いれば、例えば復調器を備えておらず、また変調信号に対応していない測定装置であっても、EVM値を評価することができる。すなわち、利得や飽和出力などの基本特性の評価に用いる正弦波対応の測定装置によって、EVM値を評価する測定装置を構成することができる。
このように本発明によれば、基本特性を評価するのに用いられる測定装置によって、EVM値評価用の測定装置を構成できるため、評価のための装置導入のコストを低減できると共に、測定時間の短縮にもつながる。
以上、説明したように、第7、8の実施形態によれば、測定回路において、復調器を備えない構成でもEVM評価が可能なので、利得や飽和出力などの基本特性の評価に用いる正弦波対応の測定装置によりEVM評価を実現でき、評価、測定用の装置導入コストを削減すると共に、測定時間を短縮することができる。
(第9の実施形態)
本発明の第9の実施形態として、上述したEVM評価方法を用いた通信回路を示す。図19は、第9の実施形態による通信回路の構成を示すブロック図である。図1を参照すると、送信回路192aは、測定対象1b、1c、1d、信号発生器181、カプラ182a、182b、切替器183a、183b、191a、191b、振幅・位相評価回路184、記憶回路189、および演算回路190を備えている。記憶回路189は、変数・関数記憶部185および振幅・位相量記憶部186を備えている。演算回路190は、EVM値計算器187および制御回路188を備えている。
図19に示した第9の実施形態において、信号発生器181は複数の通信方式に対応しており、複数方式の変調信号を発生する機能を有するものとする。
送信回路192aの有する複数の測定対象1b、1c、1d・・・は、それぞれ異なる通信方式に対応した回路である。例えば、測定対象1bは無線LAN規格IEEE802.11a、測定対象1cは携帯電話規格GSM/EDGEというように異なる通信方式に対応している。あるいは、1つの測定対象が複数の通信方式に対応するものであってもよい。また、この測定対象は、通信装置においてどのような機能を構成する回路であっても良く、例えば送信用の増幅器であっても良い。
送信回路192aの動作には、所望の変調信号の方式に対応した測定対象とアンテナ193を介して変調信号を送信する期間と、測定対象1b、1c、1d・・・のEVM値を評価する期間とがある。測定対象1b、1c、1d・・・のEVM値を評価する期間においては、切替器183aおよび183bが導通状態になり、カプラ182aおよび182bが振幅・位相評価回路184と接続される。切替器183aおよび183bは、制御回路188によって制御される。
また、測定対象1b、1c、1d・・・の中から測定対象を少なくとも1つを選択し、切替器191aおよび191bにより、その測定対象は信号発生器181に至る配線と、送信回路192aの出力、例えばアンテナ193へと至る配線とに接続される。切替器191aおよび191bは、制御回路188によって制御される。
一方、EVM値を評価する期間においては、信号発生器181は、EVM評価用の信号を発生させる。評価信号は、所望の変調信号の搬送波周波数か、またはそれに近い周波数における利得Gと位相θの電力依存性が測定できるものであれば、どのような信号であってもよい。例えば、変調波の振幅変動速度に近い速度で正弦波の振幅をスイープするような信号であっても良い。
EVM値を評価する期間において、測定対象に入力される評価信号はカプラ182aを介して振幅・位相評価回路184へ送られ、また測定対象から出力される評価信号はカプラ182bを介して振幅・位相評価回路184へ送られる。
振幅・位相評価回路184は、測定対象の入力信号および出力信号から測定対象の利得および位相を評価する。
図20は、第9の実施形態の通信回路における振幅・位相評価回路の構成例を示すブロック図である。図20Aの例においては、振幅・位相評価回路184は、直交復調器201aおよび201b、ローパスフィルタ202a、202b、202c、202d、およびアナログ/デジタル変換器203を備えている。直交復調器201aは切替器183aを介してカプラ182aと接続されており、直交復調器201bは切替器183bを介してカプラ182bと接続されている。
直交復調器201aは、測定対象に入力される評価信号の包絡線の同相チャネル信号(Iin)と直交チャネル信号(Qin)を求める。得られたこれらの信号はアンチエリアス用のローパスフィルタ202aおよび202bを介してアナログ/デジタル変換器203へ送られる。
同様に、直交復調器201bは、測定対象の出力信号の包絡線の同相チャネル信号(Iout)と直交チャネル信号(Qout)を求める。得られたこれらの信号はアンチエリアス用のローパスフィルタ202cおよび202dを介してアナログ/デジタル変換器203へ送られる。
アナログ/デジタル変換器203は、これら評価信号の包絡線信号IinおよびQinと、出力信号の包絡線信号IoutおよびQoutとをデジタル信号に変換し、振幅・位相量記憶部186へ送る。振幅・位相量記憶部186は、振幅・位相評価回路184で得られた信号の情報を記憶する。
EVM値計算器187は、振幅・位相量記憶部186に格納されている包絡線信号Iin、Qin、Iout、およびQoutの情報を呼び出し、これらから測定対象の入力および出力における評価信号の振幅と位相を計算する。例えば、入力の評価信号の振幅と位相はIinおよびQinを用いて計算される。振幅は(Iin+Qin1/2により求まり、位相はArctan(Qin/Iin)で求まる。また、出力信号の振幅と位相は、IoutおよびQoutを用いて同様に計算される。また、入力および出力信号の振幅の比から利得G(Pin)が得られ、入力および出力信号の位相差から位相θ(Pin)が得られる。EVM値計算機187は、以上のようにして測定対象の利得および位相の電力依存性のデータを取得する。
なお、測定対象から振幅・位相評価回路184に至るまでの経路には電力に依存しない受動的な損失や位相回転がある場合がある。そして、評価信号の通る経路と出力信号の通る経路とで損失または位相回転が一致しない場合がある。このような場合、振幅・位相評価回路184で得られる包絡線信号Iin、Qin、Iout、およびQoutから計算された利得は、測定対象の利得をある定数倍した値になる。同様に、包絡線信号から得られた位相は測定対象の位相からある定数だけずれた値になる。
ところで、第1の実施形態において、EVM値評価式の式(10)の説明で既に述べたように、式(10)に含まれる利得G(Pin)の代わりにG(Pin)/G′を用い、位相θ(Pin)の代わりにθ(Pin)−θ′を用いてEVM値を評価することが可能である。ここでG′とθ′は任意の定数である。
このことから、測定対象から振幅・位相評価回路184に至るまでの経路における損失および位相回転が電力依存性を持たない限り、EVM値の評価は損失および位相回転の値に影響を受けないことが分かる。すなわち、EVM値評価には振幅・位相評価回路184で得られる包絡線信号から計算された利得と位相を用いて良いことが分かる。ただし、測定対象の評価信号および出力信号の電力とEVM値との対応付けを行う場合には、予め測定対象から振幅・位相評価回路184に至るまでの経路の損失量を求めておくことが望ましい。
また、入力信号の位相量の電力依存性が十分小さく影響を無視できるのであれば、入力信号の位相を測定する必要はなく、出力信号の位相量をそのまま位相θ(Pin)として用いて良い。その場合、振幅・位相評価回路184は図20Bに示す構成としてもよい。図20Bの振幅・位相評価回路184は、入力信号を扱う直交変調器201aを振幅検出器204に置き換えている点が図20Aのものと異なる。
なお、図20Aに示した直交変調器201a、201b、または図20Bに示した振幅検出器204に過大な電力の信号を入力すると、電力依存性を持った振幅歪または位相歪が発生する可能性がある。そのような過大な電力の信号が直交変調器201a、201b、または振幅検出器204に入力されないような方策を採ることが望ましい。一例として、カプラ182aおよび182bのカップリング量を適切に設計すればよく、他の例として、直交変調器201aおよび201bの前段に減衰器を設置しておくこととしてもよい。
変数・関数記憶部168には、所望の変調信号の電力/平均電力比rの確率密度関数p(r)の情報が格納されるが、確率密度関数p(r)の情報については第1の実施形態にて詳細に説明したものと同じものである。
EVM値計算器187は、振幅・位相量記憶部186から読み出した包絡線信号から計算した利得および位相の電力依存性のデータと、変数・関数記憶部168から読み出した所望の変調信号の電力/平均電力比rの確率密度関数p(r)とから、例えば式(10)に従い所望の変調方式に対応する測定対象のEVM値を計算する。
送信回路192aは、以上の動作によるEVM評価を、測定対象1b、1c、1d・・・に適用して各EVM値を評価することにより、各測定対象に対応する変調方式において、所望の出力電力でEVM値規格が達成されているか判定する。
したがって、変調方式を複数から選択可能な送信回路192aは、EVM値計算器187で得られた測定対象1b、1c、1d・・・のEVM評価結果に基づき、EVM値規格を満たし、かつ通信速度や出力電力などの特性が最も良好な変調方式およびそれに対応した測定対象を選択することができる。
変調信号を測定対象およびアンテナ193を介して送信する期間において、制御回路188は、上述したようにして選択された変調方式に対応した変調信号を発生させるように信号発生器181に指示する。また、制御回路188は、それと共に、その変調方式に対応した測定対象を、信号発生器181に至る配線と、送信回路192aの出力であるアンテナ193に至る配線とに接続するように切替器191a、191bを制御する。さらに、制御回路188は、カプラ182a、182bと振幅・位相評価回路184との接続が切断されるように切替器183aおよび切替器183bを制御する。
以上により、送信回路192aは、EVM値規格を満たし、かつ通信速度や出力電力などの特性が最も良好な変調方式およびそれに対応した測定対象を選択して送信を行なうことができる。
また、送信回路192aは、上述したEVM値評価方法で、平均電力を変えて演算を行うことにより、所望の変調信号におけるEVM値の平均電力に対する依存性も容易に評価することができる。したがって、制御回路188は、評価で得られた所望の変調信号の平均電力に対する依存性に基づいて、測定対象の出力がEVM値規格を満たすように、信号発生器181の出力の平均電力を制御することもできる。
ここで示した送信回路192aは、所望の機能を実現する回路の一例であり、本発明は図19の回路に限定されるものではない。ここでは各変調方式に対応して切り替える対象を測定対象としたが、各変調方式に対応して切り替える対象に測定対象1b、1c、1d・・・以外の部分が存在しても良い。例えば、各変調方式に対応した複数のアンテナを設け、これらを各変調方式に対応して切り替える構成にも本発明は適用可能である。
また、ここでは測定対象を複数としたが、本発明はその構成に限定されるものではない。例えば、送信回路192aは複数の変調方式に対応した1つの測定対象を有しており、各変調方式に対応した利得および位相の電力依存性のデータと確率密度関数p(r)のデータからEVM値を評価し、その評価結果に基づき最適な変調方式を選択する回路構成としてもよい。
また、例えば、図19に示した回路例では、デジタル方式の演算回路190を用いたEVM値の計算を想定しているが、本発明はそれに限定されるものではない。例えば、演算回路190またはその一部を同様な機能を持つアナログ回路に置き換えても良く、また、EVM値計算処理に含まれる積分計算はアナログ方式の積分器で行なっても良い。
図5に示したような従来の回路では、EVM値を評価するために、各変調方式に対応した専用の復調器が必要であった。各変調方式に対応した専用の復調器には、図20に示した振幅・位相量評価回路184に含まれる直交変調器、振幅検出器、ローパスフィルタ、アナログ/デジタル変換器に加えて、各変調方式に対応した専用の処理回路が必要とされる。例えば、OFDM変調に対応した復調回路では離散フーリエ変換処理やシリアル/パラレル変換処理のための回路が必要である。これは回路規模の増大のみならず設計および製造の工数上大きな負担となり、特に、対応する変調方式の種類が多い場合にはその負担は非常に大きなものとなる。
これに対して、図19に示した第9の実施形態おいては、いかなる変調方式についても図20に示した振幅・位相量評価回路184でEVM値の評価が可能であるため、回路構成を簡素化でき、回路の設計および製造における負担を軽減できる。
また、図5に示した従来技術による場合、非常に多数の誤差ベクトル電力の平均を取る必要がある。例えば、特開2004−56499号公報においては2000〜3000フレームにわたって誤差ベクトル電力の平均を取る旨が記載されている。しかし、このように多数の誤差ベクトル電力の平均を取ることは計算量を増大させ、またその計算のために大規模な記憶回路が必要となる。その結果、従来技術による場合、回路の大規模化と消費電力の増大を招くことになっていた。
これに対して、図19に示した通信回路では、第6の実施形態の説明において既に述べたように40点程度の電力における利得と位相のデータがあれば精度良くEVM値を計算することができる。このように、本発明によれば、わずかなデータ量でEVM値を計算することができ、その結果として大規模な記憶回路を不要とし、回路規模を縮小し消費電力を低減できる。
(第10の実施形態)
本発明の第10の実施形態として、上述したEVM評価方法を用いた他の通信回路を示す。図21は、第10の実施形態による通信回路の構成を示すブロック図である。図21を参照すると、送信回路192bは、測定対象1、信号発生器181、カプラ182a、182b、切替器183a、183b、振幅・位相評価回路184、記憶回路189、演算回路190、およびバイアス制御回路194を備えている。記憶回路189は、変数・関数記憶部185および振幅・位相量記憶部186を備えている。演算回路190は、EVM値計算器187および制御回路188を備えている。
図21に示した第10の実施形態の送信回路192bは、図19に示した第9の実施形態の送信回路192aに対してバイアス制御回路194が新たに追加されている。バイアス制御回路194は、制御回路188の指示に従って測定対象1へのバイアス条件を制御する。また、図21の送信回路192bでは、説明を簡略化するために、測定対象を1つにして切替器191a、191bを省いているが、図19の送信回路192aと同様に複数の測定対象および切替器191a、191bを有する構成でもよい。
このような構成を採る第10の実施形態の送信回路192bは、第9の実施形態と同様のEVM評価を行う。そして、本実施形態では、EVM値計算器187で得られた測定対象1の歪によるEVM値の計算結果に基づき、制御回路188は、バイアス制御回路194を介して測定対象1のバイアス条件を制御する。
一般に、測定対象1の歪はバイアス条件に依存する。したがって、測定対象1のバイアス条件を適切に制御することにより所望の歪特性と消費電力を両立することが可能になる。
図22は、測定対象の一例として増幅器の構成を示す概略回路図である。図22に示した増幅器227aは、バイポーラトランジスタ221、カップリング容量222a、222b、入力整合回路223a、出力整合回路224、ベースバイアス回路225、およびチョークコイル226を備えている。また、増幅器227aのRF入力端子228はカプラ182aへ、RF出力端子229はカプラ182bへ、ベースバイアス制御端子230はバイアス制御回路194へそれぞれ接続されている。
ベースバイアス回路225は、ベースバイアス制御端子230の電位に応じて、バイポーラトランジスタ221に流れる静的電流Iを制御される。ベースバイアス回路225は、一例として、文献「2001年、アイ・イー・イー・イー・ガリウム・アーセナイド・アイシー・シンポジウム・ダイジェスト、75〜78頁(IEEE GaAs IC Symposium Digest,pp.75−78,2001)」の図3に記載されている回路を用いても良い。
図23は、図22に示された増幅器の静的電流を変えて、無線LAN規格IEEE802.11aの54MbpsモードにおけるEVM値の電力依存性をシミュレーションした結果を示すグラフである。図23を参照すると、静的電流Iqを上げることによりEVM値が下がることが分かる。このことから、静的電流Iqを上げれば、無線LAN規格IEEE802.11aの54MbpsモードにおけるEVM値規格(EVM<5.6%)が、より高い出力電力において達成されるといえる。ただし、消費電力の低減の観点からは、静的電流Iは可能な限り低減することが望ましい。
そこで、増幅器227aを測定対象1とした送信回路192bでは、EVM値の評価結果を参照しつつバイアス制御回路194でベースバイアス制御端子230の電位を制御することにより、静的電流Iqを、所望の出力電力においてEVM値規格を満たす最小の値に制御すればよい。
なお、ここでは、変調方式として無線LAN規格IEEE802.11aを例示したが、ここで示した制御は他の変調方式にも容易に適用できる。また、送信回路192bおよび増幅器227aは所望の機能を実現する回路の一例であり、本発明は図21、22に示した回路の構成に限定されるものではない。
(第11の実施の形態)
本発明の第11の実施形態として、上述したEVM評価方法を用いたさらに他の通信回路を示す。図24は、第11の実施形態による通信回路の構成を示すブロック図である。図24を参照すると、送信回路192cは、測定対象1、信号発生器181、カプラ182a、182b、切替器183a、183b、振幅・位相評価回路184、記憶回路189、演算回路190、およびインピーダンス制御回路195を備えている。記憶回路189は、変数・関数記憶部185および振幅・位相量記憶部186を備えている。演算回路190は、EVM値計算器187および制御回路188を備えている。
図22に示した第11の実施形態の送信回路192cは、バイアス回路194の代わりにインピーダンス制御回路195を有する点で、図21に示した第10の実施形態の送信回路192bと異なる。インピーダンス制御回路195は、制御回路188の指示に従って測定対象1のインピーダンス条件を制御する。
第11の実施形態の送信回路192cは、他の構成においては第10の実施形態の送信回路192bと同じである。また、第11の実施形態の送信回路192cにおいても、説明を簡略化するために、測定対象を1つにしているが、図19と同様に、測定対象を複数にし、切替器191a、191bを設置しても良い。
このような構成を採る第11の実施形態の送信回路192cは、図19の送信回路192aおよび図21の送信回路192bと同様のEVM評価を行う。そして、本実施形態では、EVM値計算器187で得られた測定対象1の歪によるEVM値の計算結果に基づき、制御回路188は、インピーダンス制御回路195を介して測定対象1の負荷インピーダンス条件を制御する。
一般に、測定対象の歪は負荷インピーダンス条件に依存する。したがって、測定対象1の負荷インピーダンス条件を適切に制御することにより歪特性を改善することが可能になる。
図25は、測定対象の一例として増幅器の構成を示す概略回路図である。図25に示した増幅器227bは、バイポーラトランジスタ221、カップリング容量222a、222b、入力整合回路223b、出力整合回路224、ベースバイアス回路225、およびチョークコイル226を備えている。また、増幅器227aのRF入力端子228はカプラ182aへ、RF出力端子229はカプラ182bへ、ベースバイアス制御端子230はバイアス制御回路194へそれぞれ接続されている。
図25の増幅器227bは、入力整合回路223aの代わりに入力整合回路223bを有する点で図22の増幅器227aと異なる。
入力整合回路223bは、インダクタ素子233、235、容量素子234、236、および可変容量素子232で構成されている。可変容量素子232の容量値は、可変容量制御端子231から与えられる可変容量制御端子231の電位により制御される。可変容量素子232は、容量値を電位によって制御できる素子であればよく、例えばバラクタダイオードあるいはMEMS(micro electro mechanical systems)素子であってもよい。
本実施形態では、可変容量制御端子231の電位を制御することにより、バイポーラトランジスタ221の入力整合インピーダンスが制御される。
なお、ここでは説明を簡略化するために、入力整合回路223bのみのインピーダンスを可変にしているが、出力整合回路224のインピーダンスをも可変としても良い。
図2は、図25に示した増幅器の可変容量素子の容量値を変えて、無線LAN規格IEEE802.11aの54MbpsモードにおけるEVM値の電力依存性をシミュレーションした結果を示すグラフである。図25を参照すると、容量値が3pFの場合にEVM値が最も低減されていることが分かる。この結果は、可変容量素子212の値を変えることで、バイポーラトランジスタ221の入力整合インピーダンスがEVM特性に対して最適化されることを示している。
そこで、増幅器227bを測定対象1とした送信回路192cでは、EVM値の評価結果を参照しつつ、歪特性を改善するように、インピーダンス制御回路195で可変容量制御端子231の電位を制御すればよい。このような機能は、増幅器227b内の回路素子の製造時に生じる特性ばらつき、または温度変化ないしは経年変化などのために生じた特性劣化を、インピーダンス制御によって補償する場合に特に有効である。
なお、ここでは、変調方式として無線LAN規格IEEE802.11aを例示したが、ここで示した制御は他の変調方式にも容易に適用できる。また、送信回路192cおよび増幅器227bは所望の機能を実現する回路の一例であり、本発明は図24、25に示した回路の例に限定されるものではない。例えば、測定対象1の例として図25に示した増幅器227bと異なる回路を測定対象1として適用しても良い。また、増幅器227bでは、可変容量素子232を用いてインピーダンス制御機能を実現しているが、他の例として可変抵抗素子または可変インダクタ素子を用いも良い。
(第12の実施の形態)
本発明の第12の実施形態として、上述したEVM評価方法を用いたさらに他の通信回路を示す。図27は、第12の実施形態による通信回路の構成を示すブロック図である。図27を参照すると、送信回路192dは、測定対象1、信号発生器181、カプラ182a、182b、切替器183a、183b、振幅・位相評価回路184、記憶回路189、演算回路190、位相回路196、および振幅回路197を備えている。記憶回路189は、変数・関数記憶部185および振幅・位相量記憶部186を備えている。演算回路190は、EVM値計算器187および制御回路188を備えている。
図27に示した第12の実施形態の送信回路192dは、位相回路196と振幅回路197が新たに追加されている点で、図19に示した第9の実施形態の送信回路192aと異なる。図27の送信回路192dにおいても、説明を簡略化するために、測定対象を1つにしているが、図19と同様に、測定対象を複数にし、切替器191a、191bを設置しても良い。
このような構成を採る第12の実施形態の送信回路192dは、図19の送信回路192a等と同様のEVM評価を行う。そして、本実施形態では、振幅・位相評価回路184で得られた測定対象1の振幅歪および位相歪に基づき、制御回路188は、測定対象1の持つ位相歪および振幅歪と逆特性が得られるように位相回路196および振幅回路197を制御する。
測定対象1の持つ振幅歪および位相歪と逆特性を持つ回路を、測定対象1の前段に置き歪を補償する構成は、プレディストーション法として知られている。例えば、文献「2002年、アドバンスド・テクニークス・イン・アールエフ・パワー・アンプリファイアー・デザイン、スティーブ・シー・クリップス著、アーテックハウス発行、153−195頁(Steve C.Cripps,Advanced Techniques in RF Power Amplifier Design,Artech House,pp.153−195,2002)」に詳細が示されている。
なお、測定対象1の歪を補償することが可能であれば、位相回路196および振幅回路197はどのような特性のものでもよい。例えば、純粋な包絡線による振幅歪(AM−AM変換)および位相歪(AM−PM変換)の他に、ドレイン変動による振幅歪(AM−AM変換)および位相歪(AM−PM変換)をも補正するような特性を持った回路を用いてもよい(特開2003−258560号公報参照)。
図6に示した従来技術による歪補償では、歪補償を行なうために所望の変調信号に対応した復調器が必要なため、回路規模が増大し、コストおよび消費電力の増大を招いていた。これに対して、第12の実施形態の歪補償によれば、所望の変調信号に対応した復調器が必要ないので、コストと消費電力を低減した小規模な回路で歪補償を実現できる。
また、図7に示した従来技術による歪補償回路では、EVM値を確認する手段を持たないため、歪補正によって所望の出力でEVM値規格が達成されていることを確認できず、信頼性にかけるという問題点があった。これに対して、第12の実施形態によれば、第9の実施形態にて説明したような簡便な回路で容易にEVM値を評価でき、所望の出力でEVM値規格が達成されていることを確認できる。
また、そのときEVM値規格を達成していなければ、例えば、再び、位相回路196および振幅回路197を制御し直してもよい。また、位相および振幅の制御に加えて、第10または第11の実施形態に示したようなバイアス制御または負荷インピーダンス制御を組み合わせて用いることにより歪を改善してもよい。また、第9の実施形態で示したように通信方式の選択を組み合わせて適切な通信を可能にすることとしてもよい。
第2の実施形態で説明したように振幅歪と位相歪によるEVM値の影響は別個に評価することができ、また、そのような評価方法は通信回路上に容易に実現できる。第12の実施形態において、振幅歪と位相歪のうちEVM値への影響が大きい成分を判定し、重点的に補正するように位相回路196と振幅回路197を制御することとしてもよい。例えば、振幅歪と位相歪のうちEVM値への影響が小さいと判断された成分については、判定後から一定の期間において歪の測定とEVM値の計算を行なわないこととすれば、EVM計算に要求される計算量を低減し、演算回路の負荷を抑制することができる。
第12の実施形態においては、プレディストーション法による歪補償回路に、EVM値を評価する回路を付加した構成を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。他の歪補償回路、例えばフィードバック法、フィードフォワード法による歪補償回路にも、EVM値を評価する回路を付加してもよい。フィードバック法およびフィードフォワード法の詳細については、プレディストーション法と同様に、上述したスティーブ・シー・クリップス(Steve C.Cripps)の文献に記載されている。
以上説明したように、本発明の第9〜12の実施形態によれば、従来のような多数のサンプリングおよびそれらの平均化処理が不要となるので、記憶回路に必要とされる記憶容量が削減でき、回路規模の縮小、消費電力の削減が可能となる。
また、第9〜12の実施形態の通信回路は、所定の変調方式に対応した復調器を必要としない簡素な構成でEVM評価を行うことができるので、EVM値に応じた変調方式の選択または歪の補償を小型で安価な回路により行うことができる。
また、第9〜12の実施形態によれば、通信回路は、所望の出力においてEVM値規格が達成されているか否か確認し、達成されていなければ、その状況を改善することができるので、従来技術と比べて通信品質の信頼性を改善することができる。
なお、ここでは本発明のEVM値評価方法を用いた回路の適用対象として、第9の実施形態のようにEVM値の評価結果に基づき通信方式を変更する回路、第10、11および12の実施形態のようにEVM値の評価結果に基づき歪を補償する回路を例示したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明のEVM値評価方法およびその方法を用いた回路は他の様々な目的に適用可能である。例えば、通信回路上でEVM値を評価することのみを目的として、EVM値を評価する回路を用いてもよい。また、ここではEVM値評価回路の構成として、第9、10、11、および12の実施形態の回路を、それぞれ別個に示したが、各機能を任意に組み合わせて適用しても良い。送信回路192a、192b、192c、192dは、図19、図21、図24、および図27にそれぞれ示したような構成を備えているが、送信回路192a、192b、192c、192dに含まれる回路を、1つのダイに実装しても良く、また複数のダイに分けて実装しても良い。
また、ここでは第9、10、11、および12の実施形態としてEVM値評価方法を送信回路に適用する例を示したが、本発明はそれに限定されるものではなく、受信回路に適用しても良い。ただし、一般に、送信回路ではノイズよりも歪がEVM値劣化の主要因であるのに対して、受信回路では歪よりもむしろノイズがEVM値劣化の主要因であるため、EVM評価回路は送信回路に適用するのがより効果的な場合が多い。
また、ここでは線形性指標EVMの評価方法を示してきたが、単調増加または単調減少する関数f(x)のxに本発明の評価方法により得られたEVM値を代入して得られる値を評価しても良く、または制御の指標として用いても良い。例えば、EVM値は、信号−干渉波電力比(Carrier to Interference Ratio,CIR)およびビットエラーレート(Bit Error Rate,BER)と単調増加または単調減少の関係にある(特開2004−56499号公報参照)。そのため、予め、EVM値とCIRまたはBERとの関係を測定またはシミュレーション等により求めておき、EVM値評価で得たEVM値からCIRまたはBERを算出することとしても良い。
さらに、EVM値から計算される指標は、CIRまたはBERに限定されるものではなく、EVM値と何らかの関係が定まる指標であれば、その関係に基づいてその指標を評価することができる。このように本発明のEVM値評価方法で求めたEVM値から他の指標を評価する方法は、例えば、第5、第6の実施形態に示した回路シミュレータ、第7、第8の実施形態に示した評価装置に対して容易に適用できる。第9、10、11、および12の実施形態に示した通信回路にて、EVM値の代わりに他の指標を用いて通信方式の変更、歪補償などの制御を行なうこともできる。例えば、式(10)において、EVM値の2乗は式(10)内の積分値と一致するので、EVM値の代わりにEVM値の2乗を制御指標として用いれば、EVM値の計算に必要な平方根を取る演算処理を省き、計算量を削減することができる。
また、上述した全ての実施形態は本発明の例示であって制限的なものと解されるべきものではない。

Claims (16)

  1. 電気回路の評価対象における線形性指標を評価するための線形性評価方法であって、
    所定の評価信号を前記評価対象に入力するステップと、
    前記評価信号を入力された前記評価対象の出力の振幅歪または位相歪の少なくとも一方の歪量を求めるステップと、
    前記歪量を用い、所定の変調信号の電力/平均電力比の確率密度関数で重み付けした積分処理を行うステップと、
    前記積分処理の結果から前記線形性指標を算出するステップとを有する線形性評価方法。
  2. 前記位相歪を求めず前記振幅歪のみを求め、該振幅歪の歪量を用いて前記積分処理を行う、請求項1記載の線形性評価方法。
  3. 前記振幅歪を求めず前記位相歪のみを求め、該位相歪の歪量を用いて前記積分処理を行う、請求項1記載の線形性評価方法。
  4. 前記積分処理により得られた結果から、前記評価対象に前記変調信号を用いた場合のエラーベクトルマグニチュードを算出するステップをさらに有する、請求項1記載の線形性評価方法。
  5. 前記評価対象の周辺回路または測定系の残留エラーベクトルマグニチュードを求め、前記エラーベクトルマグニチュードと前記残留エラーベクトルマグニチュードとを合成したトータルのエラーベクトルマグニチュードを算出するステップをさらに有する、請求項4記載の線形性評価方法。
  6. 前記評価信号は、前記変調信号の搬送波周波数またはその近傍の周波数の成分を含む信号である、請求項1記載の線形性評価方法。
  7. 前記評価信号は、前記搬送波周波数の正弦波信号である、請求項6に記載の線形性評価方法。
  8. 電気回路の評価対象における線形性指標を評価するための回路シミュレータであって、
    所定の評価信号を前記評価対象のモデルに入力する評価信号発生部と、
    前記評価信号を入力された前記評価対象のモデルの出力の振幅歪または位相歪の少なくとも一方の歪量を求める評価部と、
    前記歪量を用い、所定の変調信号の電力/平均電力比の確率密度関数で重み付けした積分処理を行う積分処理部と、
    前記積分処理部による処理の結果から前記線形性指標を算出する線形性指標計算部とを有する回路シミュレータ。
  9. 電気回路の評価対象における線形性指標を評価するための評価装置であって、
    所定の評価信号を入力された前記評価対象の入力信号および出力信号を測定する測定器と、
    前記入力信号および前記出力信号を用いて、前記出力信号の振幅歪または位相歪の少なくとも一方の歪量を求める評価部と、
    前記歪量を用い、所定の変調信号の電力/平均電力比の確率密度関数で重み付けした積分処理を行う積分部と、
    前記積分部による処理の結果から前記線形性指標を算出する線形性指標計算部とを有する評価装置。
  10. 線形性指標の評価対象を含む通信回路であって、
    所定の評価信号を発生し、前記評価対象に入力する信号発生器と、
    前記評価信号を入力された前記評価対象の入力信号および出力信号を測定し、該入力信号および該出力信号を用いて、前記出力信号の振幅歪または位相歪の少なくとも一方の歪量を求める評価回路と、
    前記歪量を用い、所定の変調信号の電力/平均電力比の確率密度関数で重み付けした積分処理を行い、該積分処理の結果から前記線形性指標を算出する計算器とを有する通信回路。
  11. 前記信号発生器からの前記評価信号を、通信方式の異なる複数の前記評価対象に順次与え、各評価対象について得られた前記計算器によって算出された前記線形性指標に基づいて、複数の前記評価対象の中から通信動作に用いるものを選択する制御回路をさらに有する、請求項10記載の通信回路。
  12. 前記計算器によって算出された前記線形性指標に基づいて前記信号発生器からの前記評価信号の平均電力を制御する制御回路をさらに有する、請求項10記載の通信回路。
  13. 前記計算器によって算出された前記線形性指標に応じて前記評価対象のバイアス条件を制御する制御回路をさらに有する、請求項10記載の通信回路。
  14. 前記計算器によって算出された前記線形性指標に応じて前記評価対象のインピーダンス条件を制御する制御回路をさらに有する、請求項10記載の通信回路。
  15. 前記計算器によって算出された前記線形性指標に応じて、前記入力信号の前記評価対象への入力時の位相または振幅の少なくとも一方を制御する制御回路をさらに有する、請求項10記載の通信回路。
  16. 電気回路の評価対象における線形性指標を評価するためのプログラムであって、
    所定の評価信号を前記評価対象に入力するステップと、
    前記評価信号を入力された前記評価対象の出力の振幅歪または位相歪の少なくとも一方の歪量を求めるステップと、
    前記歪量を用い、所定の変調信号の電力/平均電力比の確率密度関数で重み付けした積分処理を行うステップと、
    前記積分処理の結果から前記線形性指標を算出するステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。


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