JPWO2005110298A1 - 酸化還元電位に基づく温熱治療システム - Google Patents

酸化還元電位に基づく温熱治療システム Download PDF

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    • A61F7/00Heating or cooling appliances for medical or therapeutic treatment of the human body

Abstract

身体を自然の状態に戻すことによって疾患を処置する方法を見出すこと。患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための温熱療法のパラメータを調節する方法であって、A)該患者の酸化還元電位(またはpH)を測定する工程と、B)該酸化還元電位に基づいて、該患者に適した温熱療法のパラメータを決定する工程とを包含する、方法。本発明では、生体内電位を恒常性電位と呼ばれる範囲に戻すことを念頭に、治療電位(細胞内の電位が−75mV)であるので、それより絶対値が高い−75mV〜−90mVなどを与えることによって、治癒されることが明らかになった。

Description

本発明は、患者の頭部以外のほぼ全身を温水に浸漬させて温熱治療を行うための温熱治療装置に関し、特に、たとえばがんもしくはHIV等の難治性感染症の治療に用いる温熱治療装置に関する。
従来、がんの治療には外科的治療、放射線療法、化学療法等が用いられていたが、これらはいずれも人体の正常組織に対して損傷を与える侵襲的治療方法であるため、患者に対してダメージを与える。また、HIV等の難治性感染症では、適切な治療法が無いのが現状である。これに対し、近年、正常細胞とがん細胞やウイルスの温度感受性の差を利用して、患部を41℃〜43℃に加温して、正常細胞を守りながらがん細胞およびウイルスを死滅させる温熱療法(ハイパーサーミア)が非侵襲的治療方法として注目されている。また、放射線療法や化学療法に温熱療法を併用することで、その治療効果が高まることが確認されている。
このような温熱療法には、特定の患部のみを加温する部分温熱療法と、全身を均一に加温する全身温熱療法とがある。部分温熱療法には患部に高周波、超音波を照射する方法および患部に電極針を差し入れて加温する方法が、全身温熱療法には体外循環によって血液を加温する方法、遠赤外線を照射する方法が現在までに試みられている。
しかし、従来の温熱療法では、以下のような問題があった。患部に高周波や超音波を照射する方法や患部に電極針を差し入れて加温する方法等の部分温熱療法では、局所的ながんに対しては効果があるが、全身に転移するがんや血液内を循環するウイルスに対しては必要な治療効果が得られない。
体外循環によって血液を加温する方法では、全身を加温することになるので全身に転移するがんや血液内を循環するウイルスに対して治療効果が期待できるが、全身の深部体温を上げるためには血液を45℃〜46℃に加温する必要があり、通常血液の凝固を防止する等のために例えばヘパリン等を投与するため、治療時間は1時間程度が限度であり、治療後数日間は立ち上がれないほどの肉体的負担が生ずる。
遠赤外線を照射する方法でも全身を加温することは可能であり、全身に転移するがんや血液内を循環するウイルスに対して治療効果が期待できるが、深部体温を41℃〜42℃に上げるには皮膚の温度が65℃以上となり、長時間照射すると低温やけどを生ずる。このため、治療時間はやはり1時間程度が限度であり、深部体温を治療温度に長時間保持する治療が困難である。
これに対し、患者の頭部以外のほぼ全身を温水に浸漬させて体温を上昇させる全身浸漬温熱療法は、患者を直接温水に浸漬させることから熱伝導性が飛躍的に高まり、患者を必要以上の高温に曝すことなく全身の体温を短時間に必要な治療温度に上昇できるので、患者の肉体的負担が抑えられ、長時間の治療が可能であるという特長を有する。
本発明者らは、特開2003−126135号公報(特許文献1)、特開2003−126138号公報(特許文献2)、特開2001−299798号公報(特許文献3)において、全身に転移するがんやHIV等の難治性感染症に適応でき、患者を必要以上の高温に曝すことなく深部体温を治療温度に短時間に昇温して精度良く長時間保持し、正常細胞に対して非侵襲的に治療できる温熱治療装置を提供した。
しかしながら、患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を含む温熱療法のパラメータは、患者個々によって異なっており、さらに同一患者においても、日々変化する可能性があるが、従来では、一般的に好ましいとされる温度範囲およびその他のパラメータに設定した治療温度およびその他のパラメータで実施していた。
そのため、患者にとって温熱治療効果が上がらないばかりか、患者の体力を消耗するという欠点があった。例えば、患者の治療温度が最適な治療温度より低い場合には、効果が上がらずまた患者への負担時間が長くなり、最適な治療温度よりも高い場合には、逆に顆粒球などが増えるなど好ましくない欠点があった。また、ある場合には、一般に望ましいとされる温度範囲で処置しても、顆粒球が変性、壊死、または崩壊するなどの有害な効果すら観察されることも報告されている。
治療温度その他のパラメータを調節する方法は、これまでの技術では、解明されておらず、行き当たりばったりで治療することが多かった。例えば、特開平07-112005号公報(特許文献4)では、生体内情報を考慮した43℃等価時間という考え方が提唱されているが、これは、局部治療を考慮しているのみであり、全身の状態については、実質的に考慮されていない。
実開平6?64792号公報(特許文献5)は、温熱療法用の浴槽の改善方法を提供する。しかし、これは、浴槽自体の改善を提供するのみで、人体に関するパラメータは考慮されていない。
Circulation. 2004 Apr 13;109(14):1763-8. Epub 2004 Mar 29(Thermal treatment attenuates neointimal thickening with enhanced expression of heat-shock protein 72 and suppression of oxidative stress.;非特許文献1)では、温熱治療がHSP72の発現を増大させ、酸化ストレスを解消して、がん治療が可能になる可能性が提唱されているが、温熱治療法のコントロールが可能でないという難点がある。
特開2003−126135号公報 特開2003−126138号公報 特開2001−299798号公報 特開平07-112005号公報 実開平6−64792号公報 Circulation.2004 Apr 13;109(14):1763-8. Epub 2004 Mar 29.
本発明は、上記欠点を解消するために成されたものであり、種々の疾患の治療のためにどのように温熱治療器をコントロールするかを可能にすべきかを課題とする。
本発明はまた、上記の欠点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、全身に転移するがんやHIV等の難治性感染症に適応でき、患者を必要以上の高温に曝すことなく深部体温を必要な治療温度に短時間に昇温して精度良く長時間保持し、正常細胞に対して非侵襲的に治療でき、しかも患者にとって確実に最適な条件で(例えば、温度および時間)で温熱治療を受けさせることができる温熱治療装置を提供することを課題とする。
上記課題は、生体の酸化還元電位をモニターすることによって温熱治療をコントロールすることで、予想外の治療効果を達成したことによって解決された。従って、本発明は、A)該患者の酸化還元電位を測定する工程と、B)該酸化還元電位に基づいて、該患者に適した温熱療法のパラメータを決定する工程とを包含する、患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための温熱療法のパラメータを調節する方法を提供する。
本発明はまた、この方法によって得られたパラメータを用いて、温熱療法を該患者に与える工程を包含する、患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための方法を提供する。
本発明はまた、A)該患者の酸化還元電位を測定する手段と、B)該酸化還元電位に基づいて、該患者に適した温熱療法のパラメータを決定する手段とを備える、患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための温熱療法のパラメータを調節するシステムを提供する。
本発明はまた、A)該患者の酸化還元電位を測定する手段と、B)該酸化還元電位に基づいて、該患者に適した温熱療法のパラメータを決定する手段とC)該パラメータに基づいて、温熱療法を該患者に与える手段を備える、患者の疾患、障害または状態を処置または予防するためのシステムを提供する。
1つの実施形態において、本発明の方法またはシステムは、患者を温浴に浸すことまたは手段を包含し得る。
別の実施形態において、本発明の方法またはシステムにおいて使用される酸化還元電位は、酸化還元電位またはpH(特に血液、具体的には末梢血の酸化還元電位またはpH、pHが好ましい。)を測定することによって得ることができる。
好ましい実施形態において、本発明の対象となる患者の体温は、直腸温により観察される。
別の実施形態において、温熱療法のパラメータは、ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量からなる群より選択される少なくとも1つの因子をさらに考慮して決定される。
別の実施形態において、温熱療法のパラメータは、加温温度および加温時間を包含する。加温温度は、通常39℃〜45℃であり、直腸温より4〜5℃高い温度が使用され得る。
別の実施形態において、本発明の方法またはシステムは、体温の調節の間に前記患者の酸化還元電位を得、それに基づいて該体温の調節をさらに調節することまたは手段をさらに包含する。
さらに別の実施形態において、本発明の方法またはシステムは、さらなる調節工程または手段は、前記患者の体温が1.0℃上昇したとき、39.0℃に到達したときおよび最高値に到達したときからなる群より選択される少なくとも1つの時点で調節することまたは手段を包含することが好ましい。より好ましくは、これら3点すべてでの調節またはその手段を包含することが有利である。
1つの実施形態において、このさらなる調節においてもまた、患者のガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量からなる群より選択される少なくとも1つの因子をさらに考慮して行われる。
別の実施形態において、本発明では、体温の調節すなわち温熱治療の後、さらに患者の酸化還元電位を測定する工程または手段が包含され得る。なお、これらのさらなる測定手段は、上記手段と同じでも異なっていてもよい。このさらなる調節は、前記患者のガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量からなる群より選択される少なくとも1つの因子をさらに考慮して行われてもよい。
1つの実施形態において、上記パラメータの決定は、直腸温より3〜5℃高い温度(例えば、42℃)の温浴での患者の処置に基づいて行われる。
別の実施形態において、上記パラメータの決定において、疾患についてのパラメータが存在する場合、その疾患パラメータが参酌される。
1つの実施形態において、利用される酸化還元電位は、患者からの血液の酸化還元電位の測定により決定され得る。
1つの実施形態において、本発明が対象とする疾患は、免疫状態に関連する疾患を包含する。
好ましい実施形態において、本発明が対象とする疾患は、がん、ウイルス性疾患、代謝性疾患、循環器系疾患、消化器系疾患、炎症性疾患、中枢疾患、免疫学的疾患、感染症および生活習慣病からなる群より選択される。
より好ましい実施形態において、本発明が対象とするウイルス性疾患は、B型肝炎、C型肝炎および後天性免疫不全症候群(AIDS)からなる群より選択される。
別の好ましい実施形態において、本発明が対象とする代謝性疾患は、糖尿病、糖尿病合併症、前立腺肥大、痛風および肝炎からなる群より選択される。
別の好ましい実施形態において、本発明が対象とする免疫学的性疾患は、自己免疫性疾患、後天性免疫不全症候群(AIDS)を含む。
別の好ましい実施形態において、本発明が対象とするがんは、悪性リンパ腫、膵臓がん、子宮頸がん、口腔底がん、腎臓がんからなる群より選択される。
別の好ましい実施形態において、本発明が対象とする循環器系疾患は、高血圧を含む。
別の好ましい実施形態において、本発明が対象とする消化器系疾患は、潰瘍性大腸炎を含む。
別の好ましい実施形態において、本発明が対象とする免疫学的疾患は、免疫不全疾患(例えば、AIDS)、悪性リンパ腫、慢性関節リウマチ、慢性肉芽腫症、炎症性腸疾患、好中球減少症および好中球増加症からなる群より選択される。
別の好ましい実施形態において、本発明が対象とする疾患は、リンパ球数が減少する状態を伴うものである。
本発明の患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための方法またはシステムの1つの実施形態では、温熱療法において、前記患者の酸化還元電位を測定し、該測定された酸化還元電位に基づいてパラメータを修正する工程または手段がさらに包含される。
本発明の患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための方法またはシステムの1つの実施形態では、温熱療法は、前記患者の酸化還元電位が回復するまで反復される。反復間隔は、毎日、隔日、1週間に1〜7回、1ヶ月に1〜31回など任意の回数に対する間隔であり得る。
本発明の患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための方法またはシステムの1つの実施形態では、温熱療法は、前記患者のpHが処置前のpHより少なくとも0.05高い値になるまで継続される。pHを上げることにより正常な生体pHに戻すことによって、生体が健常状態を取り戻すからである。絶対値の目安は、患者のpHが7.35〜7.45であることが好ましいが、治療状況に応じてこのpHは変動し得る。より好ましくは、このpHは、7.40〜7.45の範囲内であり得るがそれに限定されない。
本発明の患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための方法またはシステムの1つの実施形態では、温熱療法は、前記患者のpHが処置前のpHより少なくとも0.1高い値になるまで継続される。従来の治療法では、pを0.1変動させることは不可能であり、通常例えば、上下0.05の範囲内(例えば、恒常性pHが7.4の場合7.35〜7.45の範囲内を変動する)の変動しかあり得なかったからであり、本発明では、これを超えた治療法が可能であることが示されたことになる。また、このような0.1を超える変動によって、HIV患者などの従来治療できなかった疾患をも処置することが可能となった。
これまでの治療では、生体の酸化還元電位を考慮することは皆無であった。そのため、効率よい、確実な治療を提供することができなかった。本発明では、治療効果と生体の酸化還元電位とが直接関連することが示されたことから、確実な治療を患者に提供することが可能になった。特に、従来の温熱治療では、治ったり治らなかったりした例があったり、AIDS患者のように治らなかった例が存在した。本発明では、生体の酸化還元電位に基づいて治療を行うことによって確実に生体の免疫状態を回復させること(リンパ球の増加など)ができるようになったことから、従来不確定または不能であった疾患の治癒を高度の確率で行うことが可能となった。
本発明の患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための方法またはシステムの1つの実施形態では、温熱療法は、前記患者の酸化還元電位が処置前の酸化還元電位より約5mV絶対値が高くなるまで継続される。
本発明の患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための方法またはシステムの1つの実施形態では、温熱療法は、前記患者の酸化還元電位が−65mV〜−85mVの間になるまで継続される。
本発明の患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための方法またはシステムの1つの実施形態では、温熱療法またはその装置は、患者の直腸温を低くとも39.0℃に上昇させることまたは手段を包含する。
本発明の患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための方法またはシステムの1つの実施形態では、温熱療法またはその装置は、患者の直腸温を39.0℃に少なくとも10分維持することまたは手段を包含する。
本発明の患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための方法またはシステムの1つの実施形態では、温熱療法において、前記療法適用前の直腸温と温浴との間の温度差が5℃未満であることを特徴とする。
別の局面において、本発明はまた、温熱治療装置を提供し、この装置は、患者の疾患または障害の処置または予防するための温熱治療システムであって、A)該患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する手段;B)温熱治療手段;C)該患者の体温を測定する温度検出手段;およびD)該温度検出手段から該患者の体温に関する体温情報に基づき、該体温情報から該患者の体温を該治療温度に調節するように指示する該温熱治療手段に対する命令を算出する制御装置、を備え、該制御装置は、該温度検出手段および該特定する手段とに、それぞれ、該体温に関する情報および該治療温度に関する情報を受け取るように接続され、該温熱治療手段に該命令を指示するように接続されていることを特徴とする。
一つの実施形態では、前記患者の治療温度を特定する手段(A)が、生体内の酸化還元電位に加えて、以下:a)患者の血中のhsp72の発現量と機能、b)患者の血圧の変化、c)患者の心拍数、d)患者の血流量、e)患者の血液のpH、f)患者の血中のHLAの発現量、およびg)患者の血中のリンパ球数、からなる群より選択される生体変化を基にして求められる。
一つの実施形態では、前記患者の治療温度を特定する手段(A)が、患者から採取した末梢血白血球をインビトロで温度を可変にすることにより変動される(例えば、産生される。以下同じ)hsp72またはHLAを指標として行われる。
一つの実施形態では、前記温熱治療手段は、加熱槽を備える。
一つの実施形態では、前記温熱治療手段は、液体により加温する。
一つの実施形態では、前記温熱治療手段は、一定温度以上にならないような安全装置を備える。
一つの実施形態では、前記温熱治療手段は、入浴装置である。
一つの実施形態では、前記温熱治療手段は、保温器を備える。
一つの実施形態では、前記温熱治療手段は、給湯装置または加温装置と、温度制御手段と、冷却装置とを備える。
一つの実施形態では、前記温度検出手段は、腋下、舌下、直腸、皮下深部、動脈内、鼓膜および食道からなる群より選択される体温を測るための体温計である。
一つの実施形態では、前記温度検出手段は、舌下または直腸の体温を測るための体温計である。
一つの実施形態では、前記患者の平熱に関する情報を格納するための手段をさらに備える。
一つの実施形態では、前記患者の処置前の体温を記録するための手段をさらに備える。
一つの実施形態では、さらに、第一温度調節手段、および比熱または変温能力が第一の温度調節手段より小さな第二の温度調節手段を含む2種類の温度調節手段を含み、前記制御装置は、温度調節される被検体が治療温度から一定温度範囲外の温度にあるときには第一温度調節手段を作動させ、該被検体が該治療温度から該一定温度範囲内の温度になったときに、該第一温度調節手段の作動を停止し該第二温度調節手段が作動するよう指示するか、あるいは温度調節される被検体が治療温度から一定温度範囲外の温度にあるときには第一温度調節手段を作動させ該第二の温度調節手段は該被検体から熱的に絶縁されるように配置し、該被検体が該治療温度から該一定温度範囲内の温度になったときに、該第一温度調節手段の作動を停止し該被検体から熱的に絶縁されるように配置し該第二温度調節手段が作動するよう指示する。
一つの実施形態では、前記制御装置は、前記患者の体温より5℃高い温度よりも低い温度へと前記温熱治療手段を温める命令を算出する。
一つの実施形態では、前記制御装置は、前記患者の体温より5℃高い温度よりも低い温度に該温度を維持する命令を算出する。
一つの実施形態では、前記制御装置は、測定された体温が治療温度になるまで温熱治療手段を加温する命令を算出する。
一つの実施形態では、前記疾患または障害は、がん、感染症、慢性疾患、生活習慣病、寄生病、免疫亢進、免疫不全および薬物中毒からなる群より選択される。
一つの実施形態では、前記疾患または障害は、免疫系により治癒可能な疾患または障害を含む。
一つの実施形態では、前記疾患または障害は、がんを含む。
本発明の患者の体温を調節するためのシステムは、A)該患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する手段;B)温熱治療手段;C)該患者の体温を測定する温度検出手段;およびD)該温度検出手段から該患者の体温に関する体温情報に基づき、該体温情報から該患者の体温を該治療温度に調節するように指示する該温熱治療手段に対する命令を計算する制御装置、を備え、該制御装置は、該温度検出手段該特定する手段とに、それぞれ、該体温に関する情報および該治療温度に関する情報を受け取るように接続され、該温熱治療手段に該命令を指示するように接続されていることを特徴とする。
本発明の患者においてhsp72の発現と機能を調節するためのシステムは、A)該患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者のhsp72の発現と機能を調節するための該患者の治療温度を特定する手段;B)温熱治療手段;C)該患者の体温を測定する温度検出手段;およびD)該温度検出手段から該患者の体温に関する体温情報に基づき、該体温情報から該患者の体温を治療温度に調節するように指示する該温熱治療手段に対する命令を計算する制御装置、を備え、該制御装置は、該温度検出手段および該特定する手段とに、それぞれ、該体温に関する情報および該治療温度に関する情報を受け取るように接続され、該温熱治療手段に該命令を指示するように接続されていることを特徴とする。
一つの実施形態では、前記hsp72の発現及び機能の調節により、免疫系を活性化する。
本発明の患者においてHLAを発現させるためのシステムは、A)該患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者のHLAを最大に発現させるための該患者の治療温度を特定する手段;B)温熱治療手段;C)該患者の体温を測定する温度検出手段;およびD)該温度検出手段から該患者の体温に関する体温情報に基づき、該体温情報から該患者の体温を治療温度に調節するように指示する該温熱治療手段に対する命令を計算する制御装置、を備え、該制御装置は、該温度検出手段と該特定する手段とに、それぞれ、該体温に関する情報および該治療温度に関する情報を受け取るように接続され、該温熱治療手段に該命令を指示するように接続されていることを特徴とする。
一つの実施形態では、前記HLAの発現により、免疫系を活性化することを特徴とする。
本発明の患者の疾患または障害を処置または予防するために使用するシステムは、A)温熱治療手段;B)該患者からサンプルを入手する手段;C)該サンプル中の熱ショックタンパク質(hsp)を測定するための手段;D)該hspの発現パターンに基づき該温熱治療手段を調節するための手段、を備える。
一つの実施形態では、前記hspの発現パターンは、hsp72の発現パターンを含む。
一つの実施形態では、前記調節は、hsp72の発現の調節を含む。
本発明の患者の疾患または障害を処置または予防するために使用するシステムは、A)温熱治療手段;B)該患者からサンプルを入手する手段;C)該サンプル中のHLAを測定するための手段;D)該HLAの発現パターンに基づき該温熱治療手段を調節するための手段、を備える。
一つの実施形態では、前記HLAの発現パターンは、HLA−DRの発現パターンを含む。
一つの実施形態では、前記調節は、HLAの発現が亢進されるような調節を含む。
本発明の患者の疾患または障害の処置または予防するための方法は、A)該患者の平熱情報を得る工程;B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程、を包含する。
一つの実施形態では、前記平熱情報は、温度検出手段により検出される。
一つの実施形態では、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する。
一つの実施形態では、前記患者の体温は、前記工程D)で特定された治療温度±1.0℃以内にされる。
一つの実施形態では、前記患者の体温は、前記工程D)で特定された治療温度±0.3℃以内にされる。
一つの実施形態では、前記工程D)が、以下:a)患者の血中のhsp72の発現量と機能、b)患者の血圧の変化、c)患者の心拍数、d)患者の血流量、e)患者の血液のpH、f)患者の血中のHLAの発現量、およびg)患者の血中のリンパ球数、からなる群より選択される生体変化を基にする。
一つの実施形態では、前記工程D)が、患者から採取した末梢血白血球をインビトロで温度を可変にすることにより変動するhsp72またはHLAを指標として行われる。
一つの実施形態では、前記疾患または障害は、がん、感染症、慢性疾患、生活習慣病、寄生病、免疫亢進、免疫不全および薬物中毒からなる群より選択される。
一つの実施形態では、前記疾患または障害は、免疫系により治癒可能な疾患または障害を含む。
一つの実施形態では、前記疾患または障害は、がんを含む。
本発明の、患者の疾患または障害の処置または予防するために該患者に温熱療法を実行する方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムは、以下A)該患者の平熱を得る工程;B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程、を包含する。
一つの実施形態では、前記方法が、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する。
一つの実施形態では、前記患者の体温より5℃高い温度よりも低い温度へと前記温熱治療手段を温める命令を算出する。
一つの実施形態では、前記患者の体温より5℃高い温度よりも低い温度に該温度を維持する命令を算出する。
一つの実施形態では、測定された体温が治療温度になるまで温熱治療手段を加温する命令を算出する。
本発明の、患者におけるhsp72の発現を増加させるための方法は、A)該患者の平熱情報を得る工程;B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程、を包含する。
一つの実施形態では、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者のhsp72を最大に発現させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する。
一つの実施形態では、前記平熱情報は、温度検出手段により検出される。
一つの実施形態では、前記患者の体温は、前記工程D)で特定された治療温度±1.0℃以内にされる。
一つの実施形態では、前記患者の体温は、前記工程D)で特定された治療温度±0.3℃以内にされる。
一つの実施形態では、前記工程D)が、以下:a)患者の血中のhsp72の発現量と機能、b)患者の血圧の変化、c)患者の心拍数、d)患者の血流量、e)患者の血液のpH、f)患者の血中のHLAの発現量、およびg)患者の血中のリンパ球数、からなる群より選択される生体変化を基にする。
一つの実施形態では、前記工程D)が、患者から採取した末梢血白血球をインビトロで温度を可変にすることにより産生されるhsp72またはHLAを指標として行われる。
一つの実施形態では、顆粒球を変性、壊死または崩壊させないでhsp72の発現を増加させることをさらに特徴とする。
本発明の、患者におけるhsp72の発現と機能を調節する(例えば、hsp72の発現を増加させる)ために該患者に温熱療法を実行する方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムは、A)該患者の平熱を得る工程;B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程、を包含する。
一つの実施形態では、前記方法が、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者のhsp72を最大に発現させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する。
本発明の、患者の疾患または障害を処置または予防するために使用する方法は、A)該患者の平熱情報を得る工程;B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程であって、該一定時間は、hsp72の発現が増加することが確認されるまでの時間である、工程を包含する。
一つの実施形態では、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する。
一つの実施形態では、前記一定時間は、顆粒球の変性、壊死または崩壊が認められない程度の時間である。
本発明の、患者の疾患または障害を処置または予防するために該患者に温熱療法を実行する方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムは、A)該患者の平熱を得る工程;B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程であって、該一定時間は、hsp72の発現が変動(例えば、増加)することが確認されるまでの時間である、工程、を包含する。
一つの実施形態では、前記方法が、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する。
本発明の、患者におけるHLAの発現を増加させるための方法は、A)該患者の平熱情報を得る工程;B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程、を包含する。
一つの実施形態では、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者のHLAを最大に発現させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する。
一つの実施形態では、前記平熱情報は、温度検出手段により検出される。
一つの実施形態では、前記患者の体温は、前記工程D)で特定された治療温度±1.0℃以内にされる。
一つの実施形態では、前記患者の体温は、前記工程D)で特定された治療温度±0・3℃以内にされる。
一つの実施形態では、顆粒球を変性、壊死または崩壊させないでHLAの発現を増加させることをさらに特徴とする。
本発明の、患者におけるHLAの発現を増加させるために該患者に温熱療法を実行する方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムは、A)該患者の平熱を得る工程;B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程、を包含する。
一つの実施形態では、前記方法が、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者のHLAを最大に発現させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する。
本発明の、患者の疾患または障害を処置または予防するために使用する方法は、A)該患者の平熱情報を得る工程;B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程であって、該一定時間は、HLAの発現が増加することが確認されるまでの時間である、工程、を包含する。
一つの実施形態では、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する。
一つの実施形態では、前記一定時間は、顆粒球の変性、壊死または崩壊が認められない程度の時間であることを特徴とする。
本発明の、患者の疾患または障害を処置または予防するために該患者に温熱療法を実行する方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、該方法は、A)該患者の平熱を得る工程;B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程であって、該一定時間は、HLAの発現が増加することが確認されるまでの時間である、工程、を包含する。
一つの実施形態では、前記方法が、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する。
本発明の、少なくとも2種類の温度調節手段を備える温度調節システムは、該温度調節手段は、比熱または変温能力が相違する、温度調節システム。
一つの実施形態では、前記少なくとも2種類の温度調節手段は、第一温度調節手段および比熱または変温能力が第一の温度調節手段より小さな第二の温度調節手段を含み、温度調節される被検体が治療温度から一定温度範囲外の温度にあるときには第一温度調節手段を作動させ、該被検体が該治療温度から該一定温度範囲内の温度になったときに、該第一温度調節手段の作動を停止し該第二温度調節手段が作動するよう指示する手段をさらに備える。
一つの実施形態では、前記少なくとも2種類の温度調節手段は、第一温度調節手段および比熱または変温能力が第一の温度調節手段より小さな第二の温度調節手段を含み、温度調節される被検体が治療温度から一定温度範囲外の温度にあるときには第一温度調節手段を作動させ該第二の温度調節手段は該被検体から熱的に絶縁されるように配置し、該被検体が該治療温度から該一定温度範囲内の温度になったときに、該第一温度調節手段の作動を停止し該被検体から熱的に絶縁されるように配置し該第二温度調節手段が作動するよう指示する手段をさらに備える。
ここで、第二の温度調節手段(比熱の小さい方)の比熱が小さいほど、目的温度を超える危険性は小さくなる。昇温速度が遅い方が、目的温度に正確に到達することができる。つまり、最低限の性能を必要とするので、チャンバーから放熱以上の熱量があるヒーターであれば使用できる。
本発明の被検体の温度を治療温度へと調節するための方法は、A)該患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該被検体の温度が治療温度から一定温度範囲外の温度にあるときには第一温度調節手段を作動させる工程;B)該被検体が該治療温度から該一定温度範囲内の温度になったときには該第一温度調節手段を停止し、比熱または変温能力が第一の温度調節手段より小さな第二温度調節手段を作動させる工程、を包含する。
一つの実施形態では、C)前記第二の温度調節手段を、前記被検体の温度が前記治療温度に達したときに停止する工程を包含する。
本発明の患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定するシステムは、該治療温度を決定するためのアッセイシステム、を含む。
一つの実施形態では、前記患者の治療温度が、以下:a)患者の血中のhsp72の発現量と機能、b)患者の血圧の変化、c)患者の心拍数、d)患者の血流量、e)患者の血液のpH、f)患者の血中のHLAの発現量、およびg)患者の血中のリンパ球数、からなる群より選択される生体変化を基にして決定される。
一つの実施形態では、前記患者から生物サンプルを抽出する手段をさらに含む。
本発明は、患者にとって確実に最適な条件で(例えば、温度および時間)で温熱治療を受けさせることができるので、患者の体力の消耗を極力抑えながら最大の温熱効果を発揮することができ、予期せぬ副作用も回避可能である。
本発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなる。
本発明の一実施形態にかかる温熱治療装置のシステム構成図である。 本発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の本体機構の正面図解図である。 本発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の本体機構の側面図解図である。 本発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の治療槽の外蓋の図解図である。 本発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の温度制御アルゴリズムの例である。 本発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の生体管理装置の概観図である。 本発明の他の実施形態にかかる温熱治療装置のシステム構成図である。 本発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の治療制御フロー図である。 本発明の昇温処理の第1実施例にかかる処理フロー図である。 本発明の昇温処理の第2実施例にかかる処理フロー図である。 本発明の昇温処理の第3実施例にかかる処理フロー図である。 本発明の保温処理の実施例にかかる処理フロー図である。 本発明の降温処理の第1実施例にかかる処理フロー図である。 本発明の降温処理の第2実施例にかかる処理フロー図である。 本発明の治療処理を行った場合の液体温度と深部体温の時間変化を示す概念図である。 本発明において、患者の治療温度を特定するための説明図である。
符号の説明
10 治療槽
12 加熱槽
14 ヒータ
16 冷却ファン
20 循環ライン
22、26 循環ポンプ
24、28 攪拌ノズル
32 連通管
34 UV燈
40 給水ライン
50 排水ライン
60 治療槽内液体温度センサ
62 直腸温度センサ
64 加熱槽内温度センサ
80 コントローラ
82 コンピュータ
90 治療槽外蓋
92 外蓋の手技用窓
94 外蓋の手技用窓の保温カバー
96 治療槽内蓋
100 体位調節機構付きベッド
102〜108 ベッド昇降機構
110〜114 ベッド移送機構
120 搬送台車
130 頭部冷却装置
200 生体モニタ
210 麻酔装置
220 人工呼吸器
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当上記分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義および基本技術を列挙し説明する。
本明細書において「温熱療法」または「ハイパーサーミア」とは、対象となる患者または被験体の体温をその生体の通常温度より高い状態を一定期間維持することにより、患者または被験体の治療を行う方法またはシステムをいう。このような温熱療法には、「伝導熱(ホットパックなど)、幅射熱(赤外線など)、高周波(超短波など)、温水(温浴など)を利用してからだを温める治療などが含まれる。温浴が好ましい。温浴が、生体のpHを容易に約0.1以上(電位では約6mV以上)変動させることができるからである。
本明細書において「酸化還元電位」とは、ある系における電子のやり取りの際に発生する電位のことである。本明細書では、特に生体の体液(例えば、末梢血などの血液)の電位をモニター対象とすることができる。生体内の酸化還元電位は、本明細書において「生体内電位」ともいい、本明細書において交換可能に使用され得る。物質の電子の放出しやすさ、あるいは受け取りやすさを定量的に評価する尺度でもある。単位はボルト(V)を用いる。本発明では、生体(細胞、特に細胞表面上、細胞膜上)の酸化還元電位が重要であり、これは、末梢血の酸化還元電位またはpHを測定することによって決定することができる。
このような測定には、iSTAT(扶桑化学薬品工業)などの市販の装置を用いることによって実現され得る。
本明細書において酸化還元電位は、pHと一対一対応することから、交換可能に使用される。酸化還元電位約−70mVがpH7.35に対応し、pH0.1の相違は、酸化還元電位では約5.94mV(約6mV)の相違に相当することから、いずれの値を用いても、本発明を実施することができる(例えば、pH7.35は、約64mVに該当し、pH7.45は、約−76mVに該当する。)。
本発明では、一旦対象となる生体の酸化還元電位が判明すると、pHに換算して約7.40未満の状態は、病的状態であることから、標準的な温熱療法を与え(例えば、直腸温約+4℃の温浴治療を例えば60分与える)、その結果、酸化還元電位が、処置前に対して、pHに換算して0.1上昇する場合は、その治療を続け、上昇が鈍い場合は、温度を上昇させるか、時間を長くするかのいずれかをさせることを検討する。さらに標準治療を続け、pHに換算して約0.1以上の上昇をもたらす場合には、その条件を次回から採用してもよい。あるいは、直腸温を約0.5℃刻みで測定し、その際のpHまたは酸化還元電位を測定し、最大の治療効果が得られる温度を採用しても良い。従来は、pHが±0.05の範囲の変化しか可能でなかったことから、その効果は壮大である。
電位が治療において重要であることは、本発明において初めて見出された理論である。以下に簡単に説明する。
生物のゲノムおよび細胞は、電位を作り出すシステムといえ、ゲノム(DNA)は、電位差をエネルギーに変換し、タンパク質を作り出す。ここでは、エネルギーは、高電位から低電位へと移動する。
ヒトの生体は、約60兆個の細胞から構成されている。1つの細胞に1つのゲノムが存在し、約60兆個の細胞には約60兆個の全く同じタイプのゲノムが存在することになる。細胞が約60兆個あっても、ゲノムは1種類しかない。
ヒトが病気(疾患)になれば、「病気(疾患)を治すタンパク質(遺伝子産物)」が必要となる。タンパク質は、遺伝子にしか作れない。ヒトが疾患に罹ると、ヒト自体の遺伝子が作り出すタンパク質(病気を治すタンパク質)にしか病気(疾患)は治せないことになる。
どのようにして病気を治すために必要なタンパク質を遺伝子が産生するのかという点については、遺伝子がタンパク質を産生する仕組みが分かれば、病気を治すことができることにつながるということである。
病気(疾患)とは、何らかのストレスによって遺伝子が産生するタンパク質の異常が引き起こされ、その異常によって引き起こされた身体の状態であると定義付けることができる。換言すれば、病気(疾患)とは、遺伝子が作り出すタンパク質の産生の異常によって、発症するということができる。
遺伝子は、なぜ病気を引き起こすタンパク質を産生するのかという点について、以下のように考察することができる。遺伝子がタンパク質を産生するにはエネルギーが必要である。これを本明細書において「タンパク質産生エネルギー」という。遺伝子のエネルギー量が低いと、低電位遺伝子産生タンパク質が産生される。このタンパク質は、いわゆる病気(疾患)タンパク質であるといえる。
本発明では、鋭意研究した結果、恒常性維持電位遺伝子の産生タンパク質(ホメオスタシス電位=約−75mV)と、高電位遺伝子産生タンパク質(病気を治すために必要なタンパク質、約−80mV)とが存在することを明らかにした。ここで、生体の酸化還元電位は、約−70mVが標準的な細胞膜電位であり、約−75mVが標準的な細胞質電位である。ここで、電位の高低は、その絶対値の大きさに関していう。
「病気の細胞」は、低いpH(または電位)であり酸性になり、電位低下による低エネルギー状態にあるといえる。
他方、「元気な細胞」は、高いpH(または電位)となり、電位の上昇による高エネルギー状態にあるといえる。
電位を状態に分けると以下のようになる:
恒常性維持電位 細胞膜電位:約−70mV;細胞質電位:約−75mV
治療電位 細胞膜電位:約−75mV〜約−90mV(電位は絶対値が高いほど治療効果が高いようである。);細胞質電位:約−75mV
老化すると、この電位は、低くなる。
本発明では、罹病者の細胞膜電位とタンパク質との関係に着目し、効率よい治療を行うことに成功した。すべての病気は、罹病者自身の遺伝子が産生するタンパク質によってしか、治すことができないことを本発明者は見出した。
病気(疾患)は、遺伝子が産生するタンパク質の異常により発症する。そのような発症メカニズムは、電位の高低によって説明できる。タンパク質を産生するには、産生エネルギーが必要であり、低い電位の場合には、細胞膜電位が約−70mVとなり、細胞質電位が約−75mVとなる。
ここで、本発明によって実際に治癒した例であるAIDS(HIV罹患患者)について説明する。ここでは、HIV転写酵素応答電位理論と称する。
HIV転写応答電位について、ウイルス増殖速度は感染細胞(CD4;マクロファージ)内の電位が約−70mV〜約−74mVの条件により、HIVの転写が抑制されることが明らかになった。
直腸温が37℃のとき、末梢血は約7.35であり、細胞膜電位は約−70mVであり、細胞質電位は約−75mVである。ここで電位差は約−5mVである。温熱療法により、直腸温を約39℃に上昇させ、末梢血pHが約7.6になった場合、そのときの細胞膜電位は、約pH0.25の変動が約−14.75mVに相当することから、約−84.75mVであるといえる。このとき、細胞内電位は、約−75mVのままである。すると、電位差は、約9.75mV(外の方がマイナスの絶対値が高い)となる。直腸温が約39.4℃になり、末梢血pHが約7.55となったとき、同様に計算すると、細胞膜電位は約−81.8mVであり、細胞内電位は約−75mVである。すると、その差異は約6.8mVである。このようにエネルギーを与えることにより、恒常性維持タンパク質の産生が誘導され、免疫状態が元に戻る。その結果、CD4の値が400(病的状態)から800に回復した例が見られた。
本発明において、これらのデータを参酌して、温熱療法を与えることができる。本発明では、生体内電位を恒常性電位と呼ばれる範囲に戻すことを念頭に、治療電位(細胞内の電位が−75mV)であるので、それより絶対値が高い−75mV〜−90mVなどを与えることによって、治癒されることが明らかになった。
上記の設定の場合、直腸温が39℃の場合エネルギーを与えることができる酸化還元電位の差が約9.75mVとなったのに対して、39.4℃のときは、約6.8mVにとどまった。従って、39℃の方がこの患者にとっては良いことが分かる。なお、この場合、与えた温熱療法の仕方(全身浴、半身浴)、長さ(1時間)は、同じ条件であったが、同様にして最適な電位を決定することができる。
細胞膜電位と細胞内電位との差異が重要なのは、細胞内に電位を発生させる源であるミトコンドリアが存在することにある。
ゲノム中の遺伝子によって産生されるタンパク質の量は、核と細胞内の電位差によって産生されたエネルギーの量に比例してタンパク質の量と機能とが決定される。このとき、例えば、先天性免疫不全遺伝子を持つ細胞では、その遺伝子が発現する発現電位の状態にあるといえる。
このように、体温と電位(pH)との関係についてまとめると、ゲノム産生タンパク質の量とは、温度に比例しているのではなく、電位(pH)に比例して変化し、従って治療に直結するのは電位(pH)であることが明らかになった。pHを変化させるためには、pO/pCOもまた役割を担っており、リンパ球とpCOとが関係しており、pOと顆粒球とが関係して変化することが明らかになった。このように、遺伝子が産生するタンパク質は、電位差によって生じるエネルギーによって産生されることが分かる。
実際の治療では、治療前のpHより約0.1以上(通常約0.1〜約0.3程度、約0.5位上がることは希であるが、その方が好ましい)上昇するような条件を探索し(特に、pHがより上昇していることが好ましい)、その条件により以後治療を行うことが好ましい。電位で測定する場合は、約pH7.35が約−70mVに等価であること、pHの0.1の変化は約5.94mVの変化に等しいことを考慮して、算出することができる。
本発明の温熱療法のパラメータ調節方法では、ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量などを参酌することができる。
本明細書において、「ガス分析」とは、血液などの対象体液中のガス(例えば、酸素、二酸化炭素など)の存在量(例えば、分圧による)を測定することをいう。
本明細書において、血球分画生化学では、リンパ球(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球など)、血小板、赤血球などを測定することができる。
本明細書において使用される疾病マーカーは、当該分野において公知の任意の疾病マーカー(例えば、ガンマーカーなど)を使用することができる。
本明細書において「SpO2」または「動脈血酸素飽和度」とは、動脈血液中の酸素分圧をいう。傷病者の状態を観察するために用いられる。
本発明が対象とする「疾患」は、いずれの疾患でもよいが、通常、免疫状態または身体の恒常性に直接または間接的に関連する障害に関連する疾患または障害であり得る。そのような疾患としては、がん、ウイルスまたは細菌による感染症、アレルギー、高血圧、高脂血症、糖尿病、心臓病、脳梗塞、痴呆症、肥満、動脈硬化性疾患、不妊症、精神神経疾患、白内障、早老症、紫外線放射線過敏症などが挙げられるがそれらに限定されない。
本発明が対象とする「障害」は、身体の異常が関連する任意の障害であり得る。
1つの実施形態において、上記疾患または障害は循環器系(血液細胞など)であり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:貧血(例えば、再生不良性貧血(特に重症再生不良性貧血)、腎性貧血、がん性貧血、二次性貧血、不応性貧血など)、がんまたは腫瘍(例えば、白血病)およびその化学療法処置後の造血不全、血小板減少症、急性骨髄性白血病(特に、第1寛解期(High−risk群)、第2寛解期以降の寛解期)、急性リンパ性白血病(特に、第1寛解期、第2寛解期以降の寛解期)、慢性骨髄性白血病(特に、慢性期、移行期)、悪性リンパ腫(特に、第1寛解期(High−risk群)、第2寛解期以降の寛解期)、多発性骨髄腫(特に、発症後早期)など。
別の実施形態において、上記疾患または障害は、神経系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:痴呆症、脳卒中およびその後遺症、脳腫瘍、脊髄損傷。
別の実施形態において、上記疾患または障害は、免疫系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:T細胞欠損症、白血病。
別の実施形態において、上記疾患または障害は、運動器・骨格系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:骨折、骨粗鬆症、関節の脱臼、亜脱臼、捻挫、靱帯損傷、変形性関節症、骨肉腫、ユーイング肉腫、骨形成不全症、骨軟骨異形成症。
別の実施形態において、上記疾患または障害は、皮膚系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:無毛症、黒色腫、皮膚悪性リンパ腫、血管肉腫、組織球症、水疱症、膿疱症、皮膚炎、湿疹。
別の実施形態において、上記疾患または障害は、内分泌系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:視床下部・下垂体疾患、甲状腺疾患、副甲状腺(上皮小体)疾患、副腎皮質・髄質疾患、糖代謝異常、脂質代謝異常、タンパク質代謝異常、核酸代謝異常、先天性代謝異常(フェニールケトン尿症、ガラクトース血症、ホモシスチン尿症、メープルシロップ尿症)、無アルブミン血症、アスコルビン酸合成能欠如、高ビリルビン血症、高ビリルビン尿症、カリクレイン欠損、肥満細胞欠損、尿崩症、バソプレッシン分泌異常、侏儒症、ウオルマン病(酸リパーゼ(Acid lipase)欠損症)、ムコ多糖症VI型。
別の実施形態において、上記疾患または障害は、呼吸器系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:肺疾患(例えば、肺炎、肺がんなど)、気管支疾患。
別の実施形態において、上記疾患または障害は、消化器系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:食道疾患(たとえば、食道がん)、胃・十二指腸疾患(たとえば、胃がん、十二指腸がん)、小腸疾患・大腸疾患(たとえば、大腸ポリープ、結腸がん、直腸がんなど)、胆道疾患、肝臓疾患(たとえば、肝硬変、肝炎(A型、B型、C型、D型、E型など)、劇症肝炎、慢性肝炎、原発性肝がん、アルコール性肝障害、薬物性肝障害)、膵臓疾患(急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がん、嚢胞性膵疾患)、腹膜・腹壁・横隔膜疾患(ヘルニアなど)、ヒルシュスプラング病。
別の実施形態において、上記疾患または障害は、泌尿器系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:腎疾患(腎不全、原発性糸球体疾患、腎血管障害、尿細管機能異常、間質性腎疾患、全身性疾患による腎障害、腎がんなど)、膀胱疾患(膀胱炎、膀胱がんなど)。
別の実施形態において、上記疾患または障害は、生殖器系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:男性生殖器疾患(男性不妊、前立腺肥大症、前立腺がん、精巣がんなど)、女性生殖器疾患(女性不妊、卵巣機能障害、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮がん、子宮内膜症、卵巣がん、絨毛性疾患など)。
別の実施形態において、上記疾患または障害は、循環器系のものであり得る。そのような疾患または障害としては、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:心不全、狭心症、心筋梗塞、不整脈、弁膜症、心筋・心膜疾患、先天性心疾患(たとえば、心房中隔欠損、心室中隔欠損、動脈管開存、ファロー四徴)、動脈疾患(たとえば、動脈硬化、動脈瘤)、静脈疾患(たとえば、静脈瘤)、リンパ管疾患(たとえば、リンパ浮腫)。
本発明により処置または改善され得る免疫系により治癒可能な疾患または障害としては、アトピー性皮膚炎、慢性関節リウマチが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明により処置または改善され得るがんとは、脳腫瘍、白血病、胃がん、肺がん、肝細胞がん、転移性がん、原発乳がん、再発乳がん、原発性肝がん、胆道がん、膵がん、腎がん、前立腺がん、睾丸がん、子宮体がん、卵巣がん、肺小細胞がん、白血病、胆道がん、消化器がん、大腸がん、肝がん、転移性肝がん、子宮頚がん、結腸がん、直腸がん、甲状腺がん、乳がん、泌尿器がん、子宮がん、食道がん、胞状奇胎、絨毛がん、胃所性HCG産生腫瘍、胆嚢がん、胆管がん、神経芽腫、上顎がん、口腔がん、口腔底がん、尿路性がん、甲状腺がん、悪性リンパ(ホジキン性および非ホジキン性)、膀胱がん、造血器腫瘍、骨転移を伴う前立腺がん、末期がん、神経芽細胞腫、肺小細胞がん、肺非小細胞がん、褐色細胞腫、ガストリノーマ、インスリノーマ、カルチノイド、高カルシウム血症を伴う悪性腫瘍、成人T細胞白血病、外陰がん、皮膚がん、上気道がん、頭頚部がん、奇形腫、膀胱がん、β細胞白血病、睾丸腫瘍、消化器がん、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性腫瘍、原発性肝がん、肉腫、悪性黒色腫、リンパ腫、肺扁平上皮がんが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明により処置または改善され得る感染症とは、HBV感染症、HCV感染症、種々の細菌感染症、真菌感染症、ウイルス感染症、HIV−1感染、HIV−2感染、ヘルペスウイルス(HSV−1、HSV−2、CMV、VZV、HHV−6、HHV−7、EBVを含むが、これらに限定さない)感染、アデノウイルス感染、ポックスウイルス感染、ヒトパピローマウイルス感染、肝炎ウイルス(例えば、HAV、HBV、HCVなどを含むが、これらに限定されない)感染、Helicobacter pylori感染、寄生生物感染、HTLV−1感染が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明により処置または改善され得る生活習慣病とは、糖尿病、動脈硬化症(脳梗塞、狭心症、心筋梗塞を含むが、これらに限定されない)、高血圧、悪性腫瘍、肺気腫、骨の退行性変化、が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明により処置または改善され得る寄生病とは、アメーバー症、バベシア症、コクシジウム症、クリプトスポリジウム症、二核アメーバ症、交疫、外部寄生生物感染症、ジアルジア鞭毛虫症、蠕虫病、リーシュマニア症、住血吸虫属感染、タイレリア症、トキソプラスマ症、トリパノソーマ症、ならびにトリコモナス属感染および胞子虫(例えば、Plasmodium virax、Plasmodium falciparium、Plasmodium malariaeおよびPlasmodium ovale)の感染、疥癬、ツツガムシ病、眼感染、腸疾患(例えば、赤痢、ジアルジア鞭毛虫症)、肝疾患、肺疾患、日和見感染症(例えば、AIDS関連)、マラリアが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明により処置または改善され得る免疫亢進とは、アレルギー性皮膚炎、乾癬、が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明により処置または改善され得る免疫不全とは、膿皮症、口腔内ガンジダ症、ウイルス感染症、が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明により処置または改善され得る薬物中毒とは、アルコール中毒、ニコチン中毒、ヘロイン中毒、が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において「生活習慣病」とは、日常生活のあり方やよくない習慣を繰り返すなかで病気の根がだんだん広がっていき、ある年齢に達すると症状が出てくる任意の疾患をいう。糖尿病、高血圧病、高脂血症、痛風(高尿酸血症)、肥満、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、膵炎、呼吸器疾患、胃・十二指腸潰瘍、肝機能障害、骨粗鬆症、がん、歯周病などを挙げることができ、生活習慣病は、上記発症部位などに比して、原因に重きを置いた疾患分類法である。本発明の方法は、生活習慣病では、いずれも、生体の酸化還元電位が下がっていること着目し、これを上昇させることによって、これらすべての生活習慣病を治癒させることができることを立証した。従って、この酸化還元電位への注目は、生活習慣病とまさに連関しているといえる。
本発明によって、上述のような疾患を処置するにおいて、従来の薬物療法によるあらゆる弊害が回避された。また、温熱治療が最適化されるので、従来確実には治癒しなかった免疫不全症候群などの治癒が可能になったことは従来技術では不可能であったかまたは困難であった格別の効果といえる。
1つの実施形態において、本発明は、中枢疾患(例えば、脳卒中、脳卒中後遺症、遅発性神経細胞死、アルツハイマー病、痴呆、摂食障害、パーキンソン病、多発性硬化症、クロイツフェルド・ヤコブ病など)、炎症性疾患(例えば、アレルギー、喘息、リウマチなど)、循環器疾患(例えば、虚血障害、再灌流障害、高血圧症、心肥大、狭心症、動脈硬化症等)、がん(例えば、非小細胞肺がん、卵巣がん、前立腺がん、胃がん、膀胱がん、乳がん、子宮頸部がん、結腸がん、直腸がん等)、代謝性疾患(例えば、糖尿病、糖尿病合併症、肥満、動脈硬化、痛風、白内障、肝炎、アミロイドーシス、ウィルソン病等)、免疫系疾患(例えば、自己免疫性疾患等)、消化器系疾患(例えば、ストレス潰瘍、急性膵炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、逆流性食道炎等)、自己免疫疾患(慢性関節リウマチ、多発性硬化症、全身性エリテマトーデスなど)、変性疾患(アミロイドーシス、ヘモジデローシス、ウィルソン病など)、虚血性神経細胞傷害(脳卒中、脳卒中後遺症、遅発性神経細胞死 など)、虚血・再灌流傷害、嚢胞性繊維症、悪性腫瘍、感染症(敗血症による多臓器不全、急性呼吸窮迫症候群など)、肝不全、腎不全、薬物中毒、重金属中毒、放射線傷害、紫外線傷害(紫外線による皮膚、眼のレンズ或いは網膜の傷害など)、その他の生体侵襲(熱または酸などによる皮膚もしくは組織の傷害など)、ウイルス性疾患(B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、後天性免疫不全症候群、成人白血病)または老化の予防・改善・治療剤などを処置するのに有効であり得る。
本明細書では、少なくとも実際に、B型肝炎、C型肝炎、後天性免疫不全症候群(AIDS)、糖尿病、糖尿病合併症、前立腺肥大、痛風、肝炎、自己免疫性疾患、悪性リンパ腫、膵臓がん、子宮頸がん、口腔底がん、腎臓がん、高血圧、潰瘍性大腸炎、慢性関節リウマチ、慢性肉芽腫症、炎症性腸疾患、好中球減少症および好中球増加症などが実際の治癒したことが確認され、他の疾患についても、確認中であり、実質的に任意のがん、ウイルス性疾患、代謝性疾患、循環器系疾患、消化器系疾患、炎症性疾患、中枢疾患、免疫学的疾患、感染症および生活習慣病が治癒している。
本明細書において「生体内」または「インビボ」(in vivo)とは、生体の内部をいう。特定の文脈において、「生体内」は、目的とする組織または器官が配置されるべき位置をいう。
本明細書において「被験体」とは、本発明の処置が適用される生物をいい、「患者」ともいわれる。患者または被験体は好ましくは、ヒトであり得る。
別の実施形態では、本発明では、薬剤(例えば、抗がん剤)も併用することも企図される。そのような薬剤は、当該分野において公知の任意の医薬であり得、例えば、そのような薬剤は、薬学において公知の任意の薬剤(例えば、抗がん剤、抗生物質など)であり得る。当然、そのような薬剤は、2種類以上の他の薬剤であり得る。好ましくは、温熱療法と同時にまたは異時に投与される。そのような薬剤としては、例えば、日本薬局方最新版、米国薬局方最新版、他の国の薬局方の最新版において掲載されているものなどが挙げられ、例えば、以下が挙げられるがそれらに限定されない:
中枢神経系用薬(例えば、全身麻酔剤、催眠鎮静剤、抗不安剤、抗てんかん剤、解熱鎮痛消炎剤、興奮剤、覚せい剤、抗パーキンソン剤、精神神経用剤、総合感冒剤、その他の中枢神経系用薬など);
末梢神経用剤(例えば、局所麻酔剤、骨格筋弛緩剤、自律神経剤、鎮けい剤など);
感覚器官用薬(例えば、眼科用剤、耳鼻科用剤、鎮暈剤など);
循環器官用薬(例えば、、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、血管拡張剤、高脂血症用剤、その他の循環器官用薬など);
呼吸器官用薬(例えば、呼吸促進剤、鎮咳剤、去痰剤、鎮咳去痰剤、気管支拡張剤、含嗽剤など);
消化器官用薬(例えば、止瀉剤、整腸剤、消化性潰瘍用剤、健胃消化剤、制酸剤、下剤、浣腸剤、利胆剤、その他の消化器官用薬など);
ホルモン剤(例えば、脳下垂体ホルモン剤、唾液腺ホルモン剤、甲状腺、副甲状腺ホルモン剤、蛋白同化ステロイド剤、副腎ホルモン剤、男性ホルモン剤、卵胞、.黄体ホルモン剤、混合ホルモン剤、その他のホルモン剤など);
泌尿生殖器官および肛門用薬(例えば、泌尿器官用剤、生殖器官用剤、子宮収縮剤、痔疾用剤、他の泌尿生殖器管、肛門用薬など);
外皮用薬(例えば、外皮用殺菌消毒剤、創傷保護剤、化膿性疾患用剤、鎮痛.鎮痒.収斂.消炎剤、寄生性皮膚疾患用剤、皮膚軟化剤、毛髪用剤、その他の外皮用剤など);
歯科口腔用剤;
その他の個々の器官系用薬;
ビタミン剤(例えば、ビタミンA剤、ビタミンD剤、ビタミンB剤、ビタミンC剤、ビタミンE剤、ビタミンK剤、混合ビタミン剤、その他のビタミン剤など);
滋養強壮薬(例えば、カルシウム剤、無機質製剤、糖類剤、蛋白アミノ酸製剤、臓器製剤、乳幼児用剤、その他の滋養強壮剤など);
血液および体液用薬(例えば、血液代用剤、止血剤、血液凝固阻止剤、その他の血液.体液用剤など);
人工透析用薬(例えば、人工腎臓透析用剤、腹膜透析用剤など);
その他の代謝性医薬品(例えば、臓疾患用剤、解毒剤、習慣性中毒用剤、痛風治療剤、酵素製剤、糖尿病用剤、他に分類されない代謝性薬など);
細胞賦活用剤(例えば、クロロフィル製剤、色素製剤、その他の細胞賦活用剤など);
腫瘍用薬(例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍性抗生物質製剤、抗腫瘍性植物成分製剤、その他の腫瘍用剤など);
放射性医薬品;
アレルギー用薬(例えば、抗ヒスタミン剤、刺激療法剤、非特異性免疫原製剤、その他のアレルギー用薬、生薬および漢方処方に基づく医薬品、生薬、漢方製剤、その他の生薬漢方処方に基づく製剤など);
抗生物質製剤(例えば、グラム陽性菌に作用する、グラム陰性菌に作用する、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に作用、グラム陽性菌マイコプラズマ作用、グラム陽性陰性.リケッチアに作用、抗酸菌に作用するもの、カビに作用するもの、その他の抗生物質製剤など);
化学療法剤(例えば、サルファ剤、抗結核剤、合成抗菌剤、抗ウイルス剤、その他の化学療法剤など);
生物学的製剤(例えば、ワクチン類、毒素.トキソイド類、抗毒素.抗レプトスピラ血清、血液製剤類、生物学的試験用製剤類、その他の生物学的製剤、抗原虫剤、駆虫剤など);
調剤用薬(例えば、賦形剤、軟膏基剤、溶解剤、矯味.矯臭.着色剤、その他の調剤用剤など);
診断用薬(例えば、X腺造影剤、機能検査用試薬、その他の診断用薬);
公衆衛生用薬(例えば、防腐剤);
体外診断用医薬品(例えば、細菌学的検査用薬など);
分類されない治療を主目的としない薬剤;ならびに
麻薬(例えば、あへんアルカロイド系麻薬、コカアルカロイド系製剤、合成麻薬など)。
(治療装置の実施形態)
図1に本発明の一実施形態にかかる温熱治療システムの構成を示す。本実施形態は、温熱治療手段(B)として、患者の頭部以外の全身を液体Wに浸漬させるための治療槽10と、液体Wを加熱するための加熱槽12を別に備える2槽式を採用している。治療槽10は、液体Wの温度を計測する温度センサ60と、温度検出手段(C)として、患者の体温(例えば、直腸温度)を計測する直腸温度センサ62とを備える。加熱槽12は、液体Wを加熱するヒータ14と、液体Wを微小冷却する冷却ファン16と、温度センサ64と、水位センサ68とを備える。必要に応じて、酸化還元電位またはpHの測定手段(例えば、iSTAT)が装着され得る。さらに、必要な場合、他のパラメータ(例えば、ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量など)を測定する手段が装着され得る。ここで、SpOは95以上に維持することが好ましい。95未満になった場合は、酸素マスクなどを与えて酸欠にならないようにすることが好ましい。心拍数は通常120−130程度に範囲に収まるが、150を超えた場合は、同様に酸素マスクなどによる処置を行うか中止することが好ましい。
治療槽10と加熱槽12の間は循環ライン20で接続され、加熱槽12から治療槽10に液体Wを強制循環させるポンプ22と、治療槽10から加熱槽12に液体Wを強制循環させるポンプ26と、循環ラインの循環流量を計測する流量センサ70、72を備える。治療槽10には、多数の噴出穴を有する複数の攪拌ノズル24が分散配備され、ポンプ22によって循環された液体が槽内に拡散噴出される。同様に、加熱槽12には多数の噴出穴を有する複数の攪拌ノズル28が分散配備され、ポンプ26によって循環された液体が槽内に拡散噴出される。
このように、循環ライン20によって治療槽10と加熱槽12の間で液体Wを強制循環させ、攪拌ノズル24、28によって各槽内に分散注入することで、治療槽10内の液体温度偏差を小さくし、患者の深部体温を設定された治療温度に精度良く加温できるようにしている。また、循環ライン20には液体Wの不純物を除去するためフィルタ30が備えられ、加熱槽12には治療によって液体W内に生ずる雑菌の繁殖を防止するため殺菌用のUV燈34が備えられている。
治療槽10と加熱槽12の間は、連通管32によって接続され、治療槽10から加熱槽12への流量と加熱槽12から治療槽10への流量にアンバランスが生じても治療槽の10の水位を安定に保つことができるようにしている。
循環ライン20には液体Wを供給する給水ライン40が接続されており、最初の温液体の治療槽10および加熱槽12への給水と、治療時の冷液体の給水による液体Wの冷却に使用する。供給される温液体の温度は40℃程度、冷液体の温度は5〜20℃程度を想定しており、最初の給水は電動バルブ(4)と(8)を介して温液体を直接供給し、治療時の液体Wの冷却は電動バルブ(6)、(7)を介して温液体と冷液体を温調弁42で混合し、適当な温度とした冷却液を電動バルブ(8)を介して供給する。
給水温度は温度センサ66で計測され、給水流量は流量センサ74で計測される。
また、治療槽10、加熱槽12、給水ライン20から液体Wを排水する排水ライン50を備え、それぞれ治療槽10からは電動バルブ(1)を介して、加熱槽2からは電動バルブ(2)を介して、給水ラインからは電動バルブ(5)を介して、液体Wが排水される。
治療槽10からの排水量は流量センサ76で、加熱槽12からの排水量は流量センサ78でそれぞれ計測される。
液体Wは、長時間の浸漬によって患者の皮膚がふやける等の弊害を抑制するため、人間の体液に近い0.85%〜0.95%の塩分濃度を有する塩水を使用する。このため、温液体や冷液体の供給ラインには専用タンクを設け、ここで濃度調整や温度調整を行って給水ライン40に供給するようにしてもよい。また、生理的食塩水や生理的塩類溶液を使用してもよい。
上記制御装置(D)としては、各センサ信号を取込み、ヒータ14と冷却ファン16および各電動バルブを作動させるコントローラ80と、コントローラ80に対して制御指令を与えるコンピュータ82とを備える。コントローラ80は、温度センサ60および64の信号をもとにヒータ14と冷却ファン16を作動させて、液体Wをコンピュータ82から指定された設定温度に制御する機能を有する。また、コントローラ80は水位センサ68、流量センサ74、76、78の信号をもとに電動バルブ(1)、(2)、(4)、(6)、(7)、(8)を作動させて、温液体を治療槽10および加熱槽12に所定水位まで給水する機能と、液体Wを所定温度の冷却液と所定量置換してコンピュータ82から指定された設定温度まで冷却する機能とを備える。
コンピュータ82は、表示装置83と入力装置84を備え、コントローラ80から受信した各センサ情報を表示装置83に表示して医師等に対してガイダンスを与えるとともに、入力装置84から入力された治療条件に基づき、コントローラ80に対して制御指令を与え、一連の治療処理を行う。酸化還元電位またはpH、および/あるいは他のパラメータは、適宜治療前、中および/または後に測定することによって、治療パラメータ(例えば、加温条件、状態、長さ)などを変更、修正することができる。
図2に本発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の本体機構の正面図解図を、図3に同本体機構の側面図解図を示す。
治療槽10には、患者を乗せるベッド100と、ベッド100を治療槽内で昇降させて患者を液体に浸漬させたり、脱出させたりするための昇降ベース102・昇降アーム104・ローラ106・昇降用モータ108からなる昇降機構と、ベッド100を搬送台車120と治療槽10の間で水平移動するためのスライドレール110・下車輪112・上車輪114からなる移送機構とを備える。ベッド100は、患者を長時間液体に浸漬させるため、最も楽な体位を取れるように、腰の角度・足の角度・首の角度を調節できる体位調節機構を有する。
また、腕に点滴を行う等のため、腕を乗せる台を備える。
治療槽10は、治療槽全体を覆う外蓋90と、液体Wの液面を覆う内蓋96とを備える。外蓋90は、図4のように開閉可能なスライド式としており、患者が液体Wに浸漬している間は治療槽全体を覆い、患者の液体Wから露出した部分からの熱の拡散を抑え、深部体温の昇温時間を短縮するとともに、治療中の深部体温の安定化を図る。外蓋90は、治療中に患者を観察できるように透明樹脂で形成され、医師等が手技を行えるように窓92を備える。窓92は、可撓性を有する保温カバー94で覆われており、保温カバー94で覆いながら手技をすることで熱の拡散をできる限り抑えるようにしている。
また、内蓋96は、フロート式の断熱材で、患者を液体Wに浸漬させた後、液体表面を覆うようにセットする。これにより、液体Wの保温性が高まり、更に短時間の体温上昇と、治療中の体温の安定化が図れる。
図中、88は制御装置を収容した制御盤であり、コントローラ80、コンピュータ82、表示装置83、入力装置84を収容する。その他、制御盤88にはヒータやポンプ等を駆動する動力盤、各種センサの信号処理等を行う電子回路盤、各種コントローラの指示計器、異常確認燈等を備える。
患者を液体Wに浸漬した後、患者の頭部には頭部冷却装置130がセットされる。これは、治療中に頭部の温度が高くなりすぎた場合に、患者を保護するために頭部を冷却するものである。ここでは頭部の温度が39℃以上であって0.1℃きざみで任意の目的温度を超えたときに頭部冷却装置を作動させるようにした。
頭部冷却装置130は、例えば患者の頭部をヘルメット状のもので覆い、その中に35℃程度の冷却水を流すことで必要な冷却効果を得ることができる。また、患者の頭部の体温は、直接頭部に深部体温センサを取付けて計測するようにしてもよいが、患者の頚動脈部と頚静脈部に深部体温センサを取付けて、頭部に流入する血液の温度と頭部から流出する血液の温度を計測し、両者の平均値を用いるようにしてもよい。尚、頭部冷却装置130は、前述の方法によって計測される頭部の体温を一定温度となるように、冷却水の温度または流量をコントロールするようにしてもよい。このようにすれば、頭部に転移するがん細胞やウイルスに対しての治療効果を損なうことなく、全身の温熱治療が行える。
また、患者を液体Wに浸漬させる際に、患者の特定の患部を更に高い温度に加温する部分加温装置(図示省略)を取付けてもよい。これにより、例えば全身の体温を治療温度に保持しながら、特定の患部の深部体温を治療効果温度プラス侵襲のない範囲で0.1℃きざみで加温することで、非侵襲的に全身に転移するがんや難治性感染症を治療しつつ、特定の患部のがん細胞や細菌を効果的に死滅させることができる。更に、特定の患部の深部体温を全身の体温より高い温度に加温することで、全体の治療時間を短縮したり、全身の体温をより低い温度で治療したりすることが可能となり、患者にとってより負担の少ない全身温熱治療を実現できる。
部分加温装置は、例えば断熱部材からなるパッドを患部に固定し、中央部の体表面側に温液体を流すことにより実現できる。これは、断熱材で熱流を遮断することで深部体温が近似的に体表面温度と等しくなることを応用したもので、パッドの中心に温度センサを設け、これが温水の温度を制御することで、特定患部の深部体温を必要な治療温度に加温できる。
(患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための患者の治療温度を特定する手段)
本明細書中で使用される場合、治療温度は、上述のように生体の酸化還元電位またはpHによって決定される他、a)患者の血中のhsp72の発現量と機能、b)患者の血圧の変化、c)患者の心拍数、d)患者の血流量、e)患者の血液のpH、f)患者の血中のHLAの発現量、g)患者の血中のリンパ球数などの変化を参酌して決定することができる。「治療温度」は、直腸温より4〜5℃高く、好ましくは4.5℃高い設定が使用され、一般的には、39℃±1.0℃の範囲にあり、それぞれの個体および個体の健康状態に依存して異なる。この患者の体温は、例えば、腋下、舌下、直腸、皮下深部、動脈内、鼓膜および食道などにおいて測定され得る。患者の体温は、好ましくは、舌下および直腸において測定され得、最も好ましくは、直腸において測定され得る。
患者を徐々に加温していくと、治療温度前後において、以下のような変化が生じる。
hsp72の発現量は、体温が治療温度に到るまで次第に増加し、体温が治療温度を超えると減少する。血圧は、体温が治療温度に到るまで次第に増加し、体温が治療温度を超えると減少する。心拍数は、体温が治療温度に到るまで次第に増加し、体温が治療温度を超えると減少する。
血流量は、体温が治療温度に到るまで次第に増加し、体温が治療温度を超えると減少する。
血液pHは、体温が治療温度に到るまで減少する場合は、体温が治療温度を超えると増加し、体温が治療温度に到るまで増加する場合は、体温が治療温度を超えると減少する。pHは、酸化還元電位と一対一対応しており、治療パラメータを決定する重要な因子であることが明らかになった。
HLAの発現量は、体温が治療温度に到るまで次第に増加し、その後プラトーに達する。
インビトロで上記パラメータが変化する温度と、インビボで上記パラメータが変化する温度とがほぼ一致していることが、予想外にもわかった。従って、インビボでの上記パラメータ変化をわざわざ観察する必要がない。患者の治療温度を特定することは、患者から採取した末梢血白血球をインビトロで温度を可変にすることにより産生される、hsp72またはHLA、細胞の大きさ、細胞の密度を指標として行われる。
本明細書中で使用される場合、「hsp」とは、熱ショックタンパク質を指す。hspは、細胞や個体が平常温度より高い温度変化を受けた時に合成が誘導されるタンパク質群の総称である。代表的なhspとしては、hsp72以外に、例えば、hsp70、hsp90、hsp10、hsp27、hsp40、hsp47、hsp60、hsp73、hsp110、ユビキチンおよびhsp26などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される場合、「HLA」とは、ヒト白血球抗原を指す。HLA抗原は、クラスI抗原とクラスII抗原の2群に大別される。クラスI抗原としては、例えば、HLA−A、HLA−B、HLA−C、HLA−E、HLA−F、HLA−Gなどが挙げられる。クラスI抗原は、ほとんどすべての有核細胞上に発現している。クラスI抗原は、細胞内で産生されるペプチドと複合体を形成し、その複合体を、CD8陽性細胞傷害性T細胞の抗原特異的T細胞受容体に提示する。クラスII抗原としては、例えば、HLA−DR、HLA−DQ、HLA−DPなどが挙げられる。クラスII抗原は、マクロファージ、B細胞、活性化T細胞、樹状細胞、胸腺上皮細胞などの細胞上でのみ発現し、外来抗原由来ペプチドをCD4陽性ヘルパーT細胞に提示する。クラスII抗原は、抗原提示のほかにも胸腺でのT細胞の正の選択および負の選択にも関与していることが公知である。
(末梢血白血球におけるhsp72およびHLAの発現を検出および定量するアッセイ)
末梢血白血球におけるhsp72発現は、従来のウェスタンブロット法、ELISA、リアルタイムRT−PCR法、ノーザンブロット法などを使用することによって、検出および定量することが可能である。このために必要な末梢血細胞数は、当業者によって容易に決定されるが、好ましくは、8×10〜10×10細胞である。末梢血白血球細胞膜上でのHLA発現は、従来のFACS分析、蛍光顕微鏡などを使用することによって、検出および定量することが可能である。このために必要な末梢血細胞数は、当業者によって容易に決定されるが、好ましくは、5×10〜10×10細胞である。
上記患者の治療温度を特定する手段(A)は、制御装置(D)に直接接続して、リアルタイムで患者の治療温度の信号を制御装置へ入力するようにしてもよく、あるいは制御装置と分離し、または間接的に治療温度の信号を制御装置へ入力するようにしてもよい。
患者の治療温度を特定するための昇温プログラムは、例えば、以下の点を留意して作成される。
チャンバー(湯温)と体温の差が大きい場合は、昇温速度は速く、チャンバー(湯温)と体温の差が小さい場合は、昇温速度は遅くなるように設定する。
直腸温度の上昇が急に速くなるポイント(体表からの浸潤温度と血液循環による温度上昇が一致する点)から、比熱の小さい温度制御に切り替える。
目的温度より少し低い温度(例えば、目的直腸温度が42.0℃の場合、湯温度は41.8℃)を維持する。この理由は、熱たまり(予熱)効果の利用である。湯温は41.8℃であるが、直腸温度は42.0℃になる。
保持時間は、体表面温度から湯温への温度差による放熱の速度(1)と、直腸温度の上昇加速(2)とのバランスを考慮する。湯温を低く設定する場合は、速度(2)が速度(1)より高いときである。時間の経過についれて速度(1)と速度(2)のバランスが、均衡から逆転することになる。この場合は、速度(1)を抑えるために湯温を加温してもよいし、予め逆転しないよう速度(2)を強めておいてもよい。
このように、チャンバー(湯温)と体温の差を基に、速度(1)と速度(2)のバランスを計算により調節して、温度調節をする。
上記本体機構の治療開始から、治療終了までの一連の動作を説明すると、例えば、次のようになる。
はじめに、該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する。患者の治療温度を特定する手段(A)が、患者から採取した末梢血白血球をインビトロで温度を可変にすることにより産生されるhsp72、hsp70、90、10、27、40、47,60,73,110,26及びHLAを指標として行われることが好ましい。この場合、具体的には、患者の血液(2−3ml)を採取し、図16に示すように、温度を変えることにより、hsp72の産生量が大きく変化する点を、患者の治療温度(セットポイントともいう)とする。このようにして、患者個々の至適加温条件を決定し(つまりインビボの加療プログラムの作成ができる)、この加温効果のシミュレーションに基づいて、上記制御装置を制御する。
(温熱治療効果の判定)
本発明の温熱治療による各種疾患の治療効果は、肉眼または内視鏡による視認、視認、CT−MRI、X線等の画像、免疫組織化学的解析によって判定される。場合によっては、各種の公知腫瘍マーカー発現量のモニタリングなどを複合的に用いる場合もある。
(患者の温熱治療)
治療開始時は、まず搬送台車100上で患者に場合により麻酔を施し、体温の昇温が可能な状態になったら、外蓋90を開け、患者を乗せたベッド100をスライドレール110によって昇降ベース102に移送する。次に、直腸体温センサ62等の生体モニタ用のセンサを患者にセットし、必要に応じて人工呼吸器、点滴等、部分加温装置を患者に取付けた後、昇降モータ106によって昇降アーム104を折り畳んでベッド100を下降させ、患者を液体Wに浸漬させる。最後に、頭部冷却装置130を患者にセットし、内蓋96をセットし、外蓋90を閉じる。
治療終了時は、まず外蓋90を開け、内蓋96を除去する。
次に、昇降モータ106によって昇降アーム104を伸張してベッド100を上昇させ、患者を液体Wから脱出させる。最後に、患者を乗せたベッド100をスライドレール110によって搬送台車120に移送する。
次に、コントローラ80による液体の温度制御について説明する。
本実施形態では、加熱槽12にはヒータ14として容量の異なるラインヒータを複数本備え、これと冷却ファン16とによって、液体Wの精密な温度コントロールを行うようにしている。
図5に本発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の温度制御アルゴリズムの例を示す。これは、小動物の臨床試験用として製作した温熱治療装置に使用したものである。この場合、治療槽容量は200リットル、加熱槽容量は216リットルであり、3.0KW、1.0KW、0.5KWの3種類のヒータと冷却ファンを用いた。
図のように、一定のサイクルタイムの経過を待って液体温度を計測し、液体温度が設定温度より0.3℃以上低いときはすべてのヒータをONとし、冷却ファンをOFFとする。
液体温度が設定温度より0.2℃以上低いときは3.0KWのヒータをOFF、1.0KWと0.5KWのヒータをON、冷却ファンをOFFとする。液体温度が設定温度より0.05℃以上低いときは3.0KWと0.5KWのヒータをOFF、1.0KWのヒータをON、冷却ファンをOFFとする。液体温度が設定温度より0.01℃以上低いときは3.0KWと1.0KWのヒータをOFF、0.5KWのヒータをON、冷却ファンをOFFとする。その他の場合は、すべてのヒータをOFF,冷却ファンをONとする。
このように、現在の温度と設定温度(目標温度)の差に応じて通電するヒータの容量を変更することで、液体温度を約30分で5℃昇温でき、かつ設定温度に対して0.05℃以内の精度で保持できることが確かめられた。
人間用の温熱治療装置では、治療槽容量は約800リットル、加熱槽容量は約300リットルとなるが、ヒータ容量を上記の約3倍にすることで、同等の温度制御が実現できると考えられる。
尚、上記実施形態では、ヒータ14には容量の異なる複数のヒータを用い、温度差に応じて通電するヒータを切替えるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、単一のヒータを用いて、例えばパルス通電し、そのデューティを変えることで実質的に容量を切替えるようにしてもよく、同様の効果を奏する。
循環流を治療槽10内に拡散するための攪拌ノズルは、図2、図3に示すように治療槽10内の液面ほぼ中央の両側に6個ずつ計12個を備え、循環流を下向きに噴射して、底面で反射して対流するようにしている。これにより、治療槽内の温度偏差は極めて微小に抑えられ、浸漬中の患者にも直接循環流が当たらないため不快感を生じない。温度制御の場合と同様に、小動物の臨床試験用に製作した治療装置で治療槽内の温度偏差を測定した。その結果、循環流量を40リットル/分以上にすると、42℃〜44℃において最大温度偏差は0.05℃未満であることが確認された。
また、循環水量を50リットル/分以上とすると液面にさざなみを生じ始めるので、人体に違和感を生じないためには、これ以下とするのが望ましいと考えられる。この場合の治療槽の容量は200リットルであることから、1分当たりの循環流量の最適範囲は治療層の容量の20%〜25%が最適と考えられる。
このように、1分当たりの循環流量を治療槽の容量の20〜25%にすることで、人間に違和感を与えることなく液体の温度偏差を0.05℃に抑えることができる。従って、前述の温度制御精度とあわせて治療槽内の液体の温度を0.1℃の精度で均一に保持できるので、患者の深部体温を0.1℃の精度で均一に加温する温熱治療が実現できる。
図6に本発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の生体管理装置の概観を示す。
全身温熱治療においては、体温を昇温するため、必要に応じて、患者に対して麻酔を施し、及び呼吸を確保するための人工呼吸器を装着する。このため、生体管理装置には患者の心拍数、呼吸数、血圧等をモニタする生体モニタ200と、患者に対して麻酔を施すための麻酔装置210と、麻酔中の呼吸確保のための人工呼吸器220とを備える。
この生体モニタの情報は、コンピュータ82に取込み、表示装置83に表示するとともに、これらの情報に基づいて治療条件を変更するようにしてもよい。例えば、心拍数が所定数を超えたときは、状況に応じて後述の昇温レートを下げたり、昇温を中止したりするようにしてもよく、緊急時には自動的に一定の体温まで降温させるようにしてもよい。
上記実施形態では、液体を加熱する加熱手段としてラインヒータを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ラバーヒータ等を使用してもよく、ガスボイラを使用してもよい。その他、加熱槽12または循環ライン20上に熱交換器を設けて温液体によって熱交換する方法や、液体を温液体と直接置換する方法等、あらゆる加熱手段が適用でき、同様の効果を奏する。
上記実施形態では、液体を冷却する冷却手段として冷却液を循環ラインに注入する方法を使用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、液体Wを充分に循環させながら加熱槽12または治療槽10に直接冷却液を注入するようにしてもよい。その他、加熱槽12または循環ライン20上に熱交換器を設けて冷液体と熱交換する方法、圧縮冷媒ガスを用いた冷凍機を使用する方法、ペルチェ素子を用いた電子冷却装置を使用する方法等、あらゆる冷却手段が適用でき、同様の効果を奏する。
上記実施形態では、患者の深部体温は直腸温度センサ62によって計測するとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、鼓膜温度センサを用いたり、排尿器を取付けて膀胱温度を測定するようにしてもよく、これらを併用するようにしても、同様の効果を奏する。
上記実施形態では、治療槽10とは別に液体を加熱する加熱槽12を設ける2槽式について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、加熱槽12を設けず1槽式とし、循環ライン上に加熱用のヒータを設けるようにしてもよい。
図7に本発明の他の実施形態にかかる1槽式の温熱治療装置のシステム構成を示す。各構成要素のうち、前記実施形態と同じ番号のものは同等のものである。このような1槽式の温熱治療装置でも、治療槽10に複数の攪拌ノズル24を設けて、循環ライン20によって所定の流量を治療槽10に循環させ、前述のヒータ制御を行うことによって、治療槽10内の液体温度を0.1℃の精度で均一に保持できることが確かめられている。
また、上記実施形態で示した体位調節機構、昇降機構、移送機構は、一実施形態として示したものであり、それぞれ患者の体位を調節でき、患者を治療槽内で昇降でき、患者を治療槽と搬送台車間で移送できるものであればどのような機構であってもよく、同様の効果を奏することは言うまでもない。
次に、本発明の温熱治療装置の治療制御機能について述べる。図8に本発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の制御装置による治療制御フローを示す。
最初に、治療槽10と加熱槽12に所定量の液体Wを注入する(S100)。注入が完了すると、液体Wを浸漬温度(例えば、40℃)まで加熱する(S200)。液体温度が浸漬温度になったら、患者を浸漬させる(S300)。患者の浸漬が完了したら、患者の深部体温を上げる昇温処理を行う(S400)。患者の深部体温が設定された治療温度になったら、所定の治療カロリーとなるまで患者の深部体温を保持する保温処理を行う(S500)。設定された治療時間が経過したら、治療を終了して患者の深部体温を下げる降温処理を行う(S600)。患者の深部体温が脱出体温以下になったら、患者を脱出させる(S700)。最後に、液体Wの排水(S800)、治療槽10等の洗浄(S900)を行って、一連の治療制御を終了する。
図9に昇温処理(S400)の第1実施例にかかる処理フローを示す。本昇温処理は、液体温度をあらかじめ設定した昇温レートΔTwaで昇温するものである。最初に、所定のサイクルタイムの経過を待つ(S402)。サイクルタイムは、深部体温センサの応答時間等により決定される。本処理では、このサイクルタイムが単位時間となるため、昇温レートΔTwaはこのサイクルタイムあたりの液体上昇温度を設定する。
サイクルタイムが経過したら、深部体温を計測し(S404)、計測された深部体温から所定時間後の深部体温を予測する(S406)。深部体温の予測は、前回の測定値との差から直線近似によって求めるようにしてもよく、3つ以上の深部体温計測値から高次近似するようにしてもよい。
予測する時間は、液体温度による患者の体温の応答時間等に基づいて決定する。以下の深部体温の予測は、すべて同様の処理によって行う。次に、求められた予測体温を治療温度と比較し(S408)、まだ治療温度に達していない場合は液体温度を計測し(S410)、計測された液体温度が最大液体温度Tmaxを超えない範囲で設定温度にΔTwaを加算する(S414)。ここで、Tmaxは液体温度を上げ過ぎないようにするものであって、通常は45℃以下に選ばれるが、患者の深部体温と液体温度の温度差を一定の温度で制限するようにしてもよい。このようにすれば、患者が体温と液体温度の差によって生ずる温度痛を減少させることができ、より安全に昇温できる。
以上の処理をS402から繰返し、S408で予測温度が治療温度に達したら治療温度に所定のオフセットToを加えた温度を設定温度とし(S416)、液体Wを所定量の冷却液と置換して液体温度を当該設定温度に冷却する液体冷却を行い(S418)、昇温処理を終了する。ここで、オフセットToは深部体温を治療温度に保持するために必要な液体温度と深部体温の温度差であり、本温熱治療装置および患者の代謝によって失われる熱量を考慮して定める。
液体Wと冷却液の置換による液体冷却は、治療槽10と加熱槽12と循環ライン20の合計液体量と現在の液体温度と冷却液温度から必要な液体置換量を計算し、流量センサ76、78を監視しながら排水バルブ(1)、(2)を開けて所定量液体Wを排水し、流量センサ74を監視しながら給水バルブ(8)を開けて同量の冷却液を給水することで行う。ここで、温液体と冷液体を温調弁42で混合した冷却液温度は、給水開始当初は誤差があるため、一定時間排水バルブ(5)を開けて排水した後に温度センサ66で計測するようにしている。以下の液体冷却はすべて同様の処理によって行う。
図10に昇温処理(S400)の第2実施例にかかる処理フローを示す。本昇温処理は、患者の深部体温と液体温度の温度差を一定に保ちながら昇温するものである。最初に、深部体温の温度上昇レートを求めるための初期値として、深部体温を計測し、これを前回体温とする(S420)。
第1実施例と同様に、サイクルタイムの経過を待ち(S422)、深部体温の計測(S424)、深部体温の予測(S426)を行う。予測体温を治療温度と比較して(S428)、まだ治療温度に達していない場合は、設定温度に計測された深部体温と前回体温の差を加え(S430)、計測された深部体温を前回体温にセットして(S432)、S422から繰返す。S428で、予測体温が治療温度に達したら、第1実施例と同様に、治療温度に所定のオフセットToを加えた温度を設定温度とし(S434)、当該設定温度に液体冷却し(S436)、
昇温処理を終了する。
図11に昇温処理(S400)の第3実施例にかかる処理フローを示す。本昇温処理は、患者の深部体温をあらかじめ設定した昇温レートΔTbaで昇温するものであり、深部体温の上昇がΔTbaよりΔTbal以上小さい場合は液体温度をΔTwaaだけ上げ、深部体温の上昇がΔTbaよりΔTbau以上大きい場合は液体温度をΔTwadだけ下げる。ΔTbaは、第1実施例と同様にサイクルタイムあたりの深部体温上昇温度を設定する。最初に、深部体温の温度上昇を求めるための初期値として、深部体温を計測し、これを前回体温とする(S440)。第1実施例と同様にサイクルタイムの経過を待ち(S442)、深部体温の計測(S444)、深部体温の予測(S446)を行う。予測体温を治療温度と比較して(S448)、まだ治療温度に達していない場合は、深部体温と前回体温の差をΔTba―ΔTbalと比較し(S450)、前者深部体温の差の方が小さい場合は液体温度を計測し(S452)、液体温度がTmaxを超えない範囲で設定温度をΔTwaaだけ上げる(S456)。深部体温の差の方が大きいか等しい場合は、更に深部体温と前回体温の差をΔTba+ΔTbauと比較し(S458)、深部体温の差の方が大きい場合は設定温度をΔTwadだけ下げ、当該設定温度に液体冷却する(S462)。その他の場合は何も行わない。以上の処理をS442から繰返し、S448で予測体温が治療温度に達したら、第1実施例と同様に、治療温度に所定のオフセットToを加えた温度を設定温度とし(S464)、当該設定温度に液体冷却し(S466)、昇温処理を終了する。
図12に保温処理(S500)の実施例にかかる処理フローを示す。最初に、サイクルタイムの経過を待ち(S502)、深部体温の計測(S504)、深部体温の予測(S506)を行う。予測体温を治療温度+ΔTbcu(治療温度偏差上限)と比較し(S508)、予測体温が大きい場合は設定温度をΔTwcd(治療時液体微小冷却温度)だけ下げ(S510)、当該設定温度に液体冷却する(S512)。予測体温が小さいか等しい場合は、更に予測温度を治療温度―ΔTbcl(治療温度偏差下限)と比較し(S514)、予測体温がこれより小さい場合は設定温度をΔTwcaだけ上げる(S516)。最後に、治療時間が経過したか否かを判断し(S518)、治療時間が経過していないときはS502から繰返し、治療時間が経過したときは保温処理を終了する。なお、上記実施例ではS508で予測体温が大きい場合は、設定温度をΔTwcd下げるとともに、S512で液体冷却するとしたが、微小な温度範囲で制御する場合は液体冷却を行わず、設定温度を下げるだけでよい。この場合でも、自然放熱と冷却ファンによる冷却によって液体温度は下がるので、同様の効果を奏する。
図13に降温処理(S600)の第1実施例にかかる処理フローを示す。本降温処理は、液体温度をあらかじめ設定した昇温レートΔTwdで降温するものである。ΔTwdは、同様にサイクルタイムあたりの液体下降温度を設定する。最初に、サイクルタイムの経過を待ち(S602)、深部体温を計測し(S604)、計測された深部体温を設定された脱出温度と比較する(S606)。計測された深部体温が脱出体温より大きい場合は、液体温度を計測し(S608),液体温度がTminを下回らない範囲で設定温度をΔTwdだけ下げ(S612)、当該設定温度に液体冷却する(S614)。ここで、Tminは液体温度を下げ過ぎないようにするものであるが、患者の深部体温と液体温度の温度差を一定の温度で制限するようにしてもよい。このようにすれば、患者が体温と液体温度の差によって生ずる温度痛を減少させることができ、より安全に降温できる。以上の処理をS602から繰返し、S606で深部体温が脱出体温以下となったら終了する。
図14に、降温処理(S600)の第2実施例にかかる処理フローを示す。本降温処理は、患者の深部体温をあらかじめ設定した降温レートΔTbdで降温するものであり、深部体温の下降が所定の降温レートよりΔTbdl以上小さい場合は液体温度をΔTwddだけ下げ、深部体温の下降が所定の降温レートよりΔTbdu以上大きい場合は液体温度をΔTwdaだけ下げる。ΔTbdは、同様にサイクルタイムあたりの深部体温下降温度を設定する。
最初に、深部体温の温度上昇を求めるための初期値として、深部体温を計測し、これを前回体温とする(S620)。サイクルタイムの経過を待ち(S622)、深部体温を計測し(S624)、計測された深部体温を設定された脱出温度と比較する(S626)。計測された深部体温が脱出体温より大きい場合は、前回体温と計測された深部体温の差をΔTbd−ΔTbdlと比較し(S628)、深部体温の差の方が小さい場合は液体温度を計測し(S630)、液体温度がTminを下回らない範囲で、設定温度ΔTwddだけ下げ、当該設定温度に液体冷却する(S636)。深部体温の差の方が大きいか等しい場合は、更に前回体温と計測された深部体温の差をΔTbd+ΔTbduと比較し(S638)、深部体温の差の方が大きい場合は設定温度をΔTwdaだけ上げる。その他の場合は、何も行わない。以上の処理をS622から繰返し、S626で深部体温が脱出体温以下となったら終了する。
以上のような、昇温処理(S400)、保温処理(S500)、降温処理(S600)を行うことにより、深部体温と液体温度の関係は図15のように制御される。以上のような治療制御処理によれば、昇温時は所定時間後の深部体温を予測して冷却処理をするので、オーバーシュートを生ずることなく深部体温を設定された治療温度に昇温できる。また、液体温度を設定された昇温レートで昇温したり、深部体温と液体温度の温度差を一定として昇温したり、深部体温を設定された昇温レートで昇温したりできるので、患者に合わせた負担の少ない昇温方法が選択できる。治療時においても、深部体温の変化から所定時間後の深部体温を予測して液体温度を制御するので、高い精度で深部体温を一定に保持できる。また、降温時も、液体温度を設定された降温レートで降温したり、深部体温を設定された降温レートで降温したりできるので、患者に合わせた負担の少ない降温方法が選択でき、深部体温を無理なく脱出体温に冷却できる。
また、昇温時・降温時において液体温度や、液体温度と深部体温の差を一定の範囲を超えないようにする機能を有するので、患者が体温と液体温度の温度差により受ける温度痛等のストレスを抑制できる。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
以下の実施例では、各種疾患の実際の治療例を記載する。測定値の→は、治療前→治療後の数値を示す。
(実施例1A:後天性免疫不全症候群(AIDS)患者の処置)
本実施例では、AIDS患者N.S.氏の処置を行った。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりであった。
診断は、AIDSに罹患していることが明らかになり、その2年後この治療を受けるために、診察を受けた。
検査結果は以下の通りである。
白血球数:4400/μl
リンパ球(%):28.6%
リンパ球数:1258(/μl)
CD4(/μl):388(WHO基準では、200以下が発症、350以下が治療開始を考慮する閾値である。500以下は、治療開始危険帯にあるとされる。)
CD8(/μl):614。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(41.6℃、23分(全身浴)、57分(半身浴))を与えた。ここでは、以下の情報を収集した。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血球分画生化学、疾病マーカー、SpOおよび心拍数。
処置前のデータは以下のとおりである。
直腸温:37.7℃
白血球数:4400/μl
リンパ球数:1258μl
CD4(/μl):388(WHO基準では、200以下が発症、350以下が治療開始を考慮する閾値である。500以下は、治療開始危険帯にあるとされる。)
CD8(/μl):614
SpO:96%
心拍数:92。
(最高温度到達時)
直腸温:39.8℃
SpO:97%
心拍数:133。
(処置後)
白血球数:5700/μl
リンパ球数:1373(/μl)
CD4(/μl):490(WHO基準では、200以下が発症、350以下が治療開始を考慮する閾値である。500以下は、治療開始危険帯にあるとされる。)
CD8(/μl):642
SpO:97%
心拍数:110。
ここで、pHを測定したところ、処置前(pH7.40)と処置中(pH7.60)では、処置中のほうが絶対値が0.2高かった。
(与える温熱療法)
上記から、以下のとおりである。
42℃の全身浴21分。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、この通りの治療を主治医の許可を得て与えた。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、AIDSであり、厚生労働省の基準に従いCD4+の値、200以下が発症、350以下が治療開始を考慮する閾値である。500以下は、治療開始危険帯にあるとされる。)を収集した。
35日目の処置後
白血球数:4200/μl
リンパ球数:2276(/μl)
CD4(/μl):632(WHO基準では、200以下が発症、350以下が治療開始を考慮する閾値である。500以下は、治療開始危険帯にあるとされる。)
CD8(/μl):1038
SpO:97
心拍数:133。
1年3ヶ月の処置後
白血球数:3970/μl
リンパ球数:2199(/μl)
CD4(/μl):594(WHO基準では、200以下が発症、350以下が治療開始を考慮する閾値である。500以下は、治療開始危険帯にあるとされる。)
CD8(/μl):1160。
(結果)
AIDSは、約1ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻った。そのときの免疫学的状態のパラメータについてはほぼ正常値に戻っていた。ウイルス自体は減少していないものの、CD4に関してWHO基準で要治療とされる状態から、健常状態へと戻っていたことが明らかになった。
従って、温熱療法を酸化還元状態またはpHを指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになった。
(実施例1B:後天性免疫不全症候群(AIDS)患者の処置)
本実施例では、AIDS患者T.N.氏(女性、妊婦)の処置を行った。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりであった。
診断は、妊娠の際の検査においてHIV感染していることが明らかになり、AIDS発症に対し、治療開始を考慮する「閾値である」CD陽性リンパ球数350以下に著しく近づいており危険な状態であることが告げられた。
(治療前)
直腸温:37.5℃
pH7.373
pCO:39mmHg
pO:28mmHg
白血球数:8400/μl
赤血球数:356×10/μl
血小板:29.9×10/μl
リンパ級数:1798/μl
顆粒球数:6250/μl
HIV−1 RNA量:1.2×10コピー
CD4:363/μl
CD8:430/μl。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(41.6℃、23分(全身浴)、47分(半身浴))を与えた。ここでは、以下の情報を収集した。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
処置前のデータは以下のとおりである。
pH:7.373
pCO:39mmHg
pO:28mmHg
白血球数:8400/μl
赤血球数:356(×10/μl)
血小板数:29.9(×10/μl)
リンパ球数:1798(/μl)
顆粒球数:6250(/μl)
HIV−1RNA量:1.2×10コピー
CD4(/μl):363(WHO基準では、200以下が発症、350以下が治療開始を考慮する閾値である。500以下は、治療開始危険帯にあるとされる。)
CD8(/μl):430
SpO:98
心拍数:70。
(入浴時+1℃)
直腸温:38.47℃
SpO:99%
心拍数:99
直腸温39.0℃の時点
直腸温:39.00℃
SpO:100%
心拍数:99
最高温度到達時
直腸温:39.28℃
SpO:98%
心拍数:106。
(処置後)
直腸温:39.24℃
pH:7.446
pCO:28.9mmHg
pO:56mmHg
白血球数:7400/μl
赤血球数:395×10/μl
血小板数:33.5×10/μl
リンパ球数:2183/μl
顆粒球数(/μl):4988/μl
HIV−1RNA量:1.2×10/μl
CD4(/μl):435(WHO基準では、200以下が発症、350以下が治療開始を考慮する閾値である。500以下は、治療開始危険帯にあるとされる。)
CD8(/μl):454
SpO:100%
心拍数:110。
治療前と治療中のpHを比較すると、治療中は、治療前より絶対値が0.1以上上がっていた。
(与える温熱療法)
上記から、以下のとおりである。
全身浴22分、半身浴38分、入浴時温度42℃。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、この通りの治療を複数回主治医の許可を得て与えた。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、AIDSであり、厚生労働省の基準に従いCD4+の値、WHO基準では、200以下が発症、350以下が治療開始を考慮する閾値である。500以下は、治療開始危険帯にあるとされる。)を収集した。
(2回目(1週間後)の処置後)
pH:7.409
白血球数7200/μl
リンパ球数:1771/μl
HIV−1RNA量:1.5×10コピー
CD4(/μl):483
CD8(/μl):574。
(3回目(2週間後)の処置後)
pH:7.374
白血球数11100/μl
リンパ球数:2564/μl
HIV−1RNA量:1.6×10コピー
CD4(/μl):800
CD8(/μl):690。
(結果)
AIDSは、2週間の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻った。第1回目の治療においても、指針となる「CD4」の値が大きく好転していることが明らかになった。経過状況において、CD4値は、サイクルアップで確実に好転し、第1回治療後17日後で、363/μlから800/μlへと大幅な改善効果が得られた。
そのときの酸化還元電位、免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っていた。ウイルス自体は減少していないものの、CD4に関してWHO基準で発症状態とされる状態から、健常状態へと戻っていたことが明らかになった。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになった。
(実施例2:B型肝炎(HBV)患者の処置)
本実施例では、B型肝炎患者N.M.氏(男性、53歳)の処置を行った。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりであった。
神経痛の自覚有、DNAプローブにて、HBVの感染が発覚した。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、24分、全身浴、36分半身浴)を与えた。ここでは、以下の情報を収集した。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
データは以下のとおりである。
リンパ球数:2778→3686
舌下温度:36.7℃→38.3℃。
治療前と治療中では、治療中のpHは、治療前に比べて、約0.1以上絶対値が高くなっていた。
(標準的な温熱療法)
以下のとおりである:42℃、24分、全身浴、36分半身浴。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、以下のような治療を主治医の許可を得て与えた。42℃、24分、全身浴、36分半身浴。これを、2週間〜4週間おきに、6ヶ月間与えた。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、HBV)を収集した。
HBV−DNAプローブ:処置後すぐ:9.4(標準値0.7未満)
2ヶ月後:0.7未満
5ヶ月後:0.7未満。
(結果)
HBVは、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻った。そのときの免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っていた。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになった。
(実施例3:C型肝炎(HCV)患者の処置)
本実施例では、HCV患者K.T氏(女性、56歳)の処置を行った。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりであった。
抗体検査の後、DNAプローブにて、HCVの感染が発覚した。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、24分、全身浴、36分半身浴)を与えた。ここでは、以下の情報を収集した。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
治療前と治療中では、治療中のpHは、治療前に比べて、約0.1以上絶対値が高くなっていた。
(標準的な温熱療法)
以下のとおりである:42℃、24分、全身浴、36分半身浴。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、以下のような治療を主治医の許可を得て与えた。42℃、24分、全身浴、36分半身浴。これを、2週間〜4週間おきに、6ヶ月間与えた。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、HCV)を収集した。
HCV−DNAプローブにより調べたところ、2ヵ月後には、ほぼHCVが消失していた。
(結果)
HCVは、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻った。そのときの免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っていた。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになった。
(実施例4:糖尿病患者の処置)
本実施例では、糖尿病患者K.T.氏(男性、52歳)の処置を行った。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりであった。血糖値が181mg/dLと、標準(70−109mg/dL)のおおよそ倍となっていた。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、41℃、46分)を与えた。ここでは、以下の情報を収集した。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
処置前のデータは以下のとおりである。
直腸温:36.91℃
舌下温:36.60℃
pH:7.339
pCO:30.0mmHg
pO:52.3mmHg
白血球数:8500/μl
赤血球数:487(×10/μl)
血小板数:15.6(×10/μl)
リンパ球数(/μl):3340.5
顆粒球数(/μl):5040.5
血糖値:157
SpO:99%
心拍数:86。
(39℃到達時)
直腸温:39.00℃
SpO:99%
心拍数:138。
(処置後)
直腸温:38.15℃
舌下温:36.50℃
pH:7.507
pCO:76.0mmHg
pO:31.0mmHg
白血球数:10900/μl
赤血球数:531(×10/μl)
血小板数:20.0(×10/μl)
リンパ球数(/μl):4599.8
顆粒球数(/μl):6114.9
血糖値:177
SpO:99%
心拍数:144。
(温熱療法)
以下のとおりである。42℃、24分全身浴、36分半身浴。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、以下のような治療を主治医の許可を得て与えた。42℃、全身浴23分、半身浴10〜40分。これを、1週間〜2ヶ月ごとに複数回行った。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、糖尿病)を収集した。
(2ヵ月後)
直腸温:36.74℃
舌下温:36.50℃
pH:7.361
pCO:52.4mmHg
pO:25mmHg
白血球数:7400/μl
赤血球数:461(×10/μl)
血小板数:17.1(×10/μl)
リンパ球数(/μl):2967
顆粒球数(/μl):4196
血糖値:109
SpO:98%
心拍数:69。
(6ヵ月後)
直腸温:37.04℃
舌下温:36.8℃
pH:7.382
pCO:41.25mmHg
pO:42mmHg
白血球数:7500/μl
赤血球数:499(×10/μl)
血小板数:15.8(×10/μl)
リンパ球数(/μl):3233
顆粒球数(/μl):4080
血糖値:125
SpO:98%
心拍数:76。
(結果)
糖尿病は、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻った。そのときの免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っていた。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって糖尿病の治療効果が最大限に引き出されることが明らかになった。
(実施例5:前立腺肥大患者の処置)
本実施例では、前立腺肥大患者N.M.氏(男性)の処置を行った。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりであった。
痛風をわずらい、高血圧であり、前立腺肥大の症状が見られる。痛風治療のためにアロプリノールを投与し、AVAPRO(高血圧)および前立腺がんのためにFLOMAXが投与されていた。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、60分(全身浴40分))を与えた。ここでは、以下の情報を収集した。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
処置前のデータは以下のとおりである。
直腸温:36.6℃
舌下温:37.03℃
pH:7.344
pCO:52.5mmHg
pO:30mmHg
白血球数:5000/μl
赤血球数:438(×10/μl)
血小板数:18.3(×10/μl)
リンパ球数:1250/μl
顆粒球数:3600(/μl)
尿酸値:9.8(mg/dl;標準値7.0未満)
血圧:158/76(境界値:140/85)
前立腺肥大:見られる
SpO:94%
心拍数:84
電位:−67mV。
(39℃到達時)
直腸温:39.00℃
SpO:98%
心拍数:110
電位:−70mV。
(最高温度到達時(39.42℃))
直腸温:39.42℃
SpO:97%
心拍数:88
電位:−72mV
出浴後
直腸温:39.35℃
SpO:94%
心拍数:92
電位:−71mV。
(処置後)
舌下温:36.7℃
pH:7.551
pCO:27.2
pO:32
白血球数(/μl):5100
赤血球数(×10/μl):498
血小板数:13
リンパ球数(/μl):2743
顆粒球数(/μl):2859
血圧:135/66
SpO:94%
心拍数:73。
(標準的な温熱療法)
42℃で、全身浴20分、半身浴40分を行った。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、以下のような治療を主治医の許可を得て与えた。42℃で、全身浴20分、半身浴40分を行った。これを5から7日に一度行った。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、痛風)を収集した。なお、痛風の指標となる数値は、尿酸値である。
(1週間後)
舌下温:37.2℃
pH:7.384
pCO:44.6mmHg
pO:39mmHg
白血球数:5000/μl
赤血球数:399(×10/μl)
血小板数:11.4(×10/μl)
リンパ球数(/μl):1845
顆粒球数(/μl):3744
血圧 172/89
SpO:98%
心拍数:82。
(2週間後)
舌下温:36.13℃
pH:7.389
pCO:42mmHg
pO:60mmHg
白血球数:5900/μl
赤血球数:436(×10/μl)
血小板数:12.2(×10/μl)
リンパ球数(/μl):2331
顆粒球数(/μl):3398
血圧 157/89
SpO:97%
心拍数:70。
(結果)
前立腺肥大は、2週間の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻った。そのときの免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っていた。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになった。
(実施例6:痛風患者の処置)
本実施例では、痛風患者N.M.氏(男性)の処置を行った。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりであった。
痛風をわずらい、高血圧であり、前立腺肥大の症状が見られる。痛風治療のためにアロプリノールを投与し、AVAPRO(高血圧)および前立腺がんのためにFLOMAXが投与されていた。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、60分(全身浴40分))を与えた。ここでは、以下の情報を収集した。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
処置前のデータは以下のとおりである。
直腸温:37.03℃
舌下温:36.6℃
pH:7.344
pCO:52.5mmHg
pO:30mmHg
白血球数:5100(/μl)
赤血球数:447(×10/μl)
血小板数:4.2(×10/μl)
リンパ球数:2509(/μl)
顆粒球数:2387(/μl)
尿酸値:9.8(mg/dl;標準値7.0未満)
血圧:158/76(境界値:140/85)
前立腺肥大:見られる
SpO:94%
心拍数:54。
(39℃到達時)
直腸温:39.00℃
SpO:98%
心拍数:110
最高温度到達時(39.42℃)
直腸温:39.42℃
SpO:97%
心拍数:88。
(出浴後)
直腸温:39.35℃
SpO:96%
心拍数:92。
(処置後)
舌下温:36.7℃
pH:7.551
pCO:27.2
pO:32
白血球数(/μl):5100
赤血球数(×10μl/μl):498
血小板数(×10μl/μl):13
リンパ球数(/μl):2743
顆粒球数(/μl):2859
血圧:135/66
SpO:94%
心拍数:73。
(標準的な温熱療法)
42℃で、全身浴20分、半身浴40分を行った。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、以下のような治療を主治医の許可を得て与えた。42℃で、全身浴20分、半身浴40分を行った。これを5から7日に一度行った。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、痛風)を収集した。なお、痛風の指標となる数値は、尿酸値である。
(最終処置後)
直腸温:39.09℃
pH:7.535
pCO:25.6
pO:51
白血球数(/μl):5800
赤血球数(×10/μl):447
血小板数:12.2
リンパ球(%):51.7
顆粒球(%):45.6
尿酸値:9.8
血圧:160/68
前立腺肥大:見られなくなった。
SpO:94%
心拍数:68。
(結果)
痛風は、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻った。そのときの免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っていた。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになった。
(実施例7:自己免疫性疾患患者の処置)
本実施例では、自己免疫性疾患患者の処置を行う。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は自己免疫疾患と診断されている。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、60分間)を与えた。ここでは、以下の情報を収集する。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
(標準的な温熱療法)
以下のとおりである:42℃、60分間。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、上記治療を主治医の許可を得て与える。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、自己免疫性疾患)を収集する。
(結果)
自己免疫性疾患は、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻る。そのときの免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っている。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになる。
(実施例8:悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)患者の処置)
本実施例では、悪性リンパ腫患者T.N.氏(女性)の処置を行った。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりであった。
病院にて左腎臓がん摘出後、卵巣頚がん、悪性リンパ腫転移、これらを同時に切除し、GSSも見られた。このとき、右卵巣は全摘出、左卵巣は一部切除した。抗がん剤を4回1クールを2回投与している。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(41℃、32分間(全身浴)、41.5℃(半身浴)27分)を与えた。ここでは、以下の情報を収集した。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
処置前のデータは以下のとおりである。
直腸温:37.51℃
舌下温:37.1℃
pH:7.353
白血球数:4300/μl
赤血球数:303(×10/μl)
血小板数:11.1(×10/μl)
リンパ球数:1023(/μl)
顆粒球数:3066(/μl)
SpO:99%
心拍数:87。
(処置後)
直腸温:39.66℃
舌下温:39.2℃
pH:7.439
白血球数:5400/μl
赤血球数:310(×10/μl)
血小板数:13.3(×10/μl)
リンパ球数:1517(/μl)
顆粒球数:3586(/μl)
SpO:99%
心拍数:108。
(温熱療法)
以下のとおりである。
42℃で60分(全身浴45分)。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、以下のような治療を主治医の許可を得て与えた。
5〜7日おきに、42℃で60分(全身浴45分)を与えた。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、悪性リンパ腫)を収集した。
(3回目後(治療開始後9日後))
直腸温:37.43℃→不明
舌下温:36.9℃→38.8℃
pH:7.325→7.429
pCO:53.5→37.0
pO:30→77
白血球数:4100/μl→5400/μl
赤血球数:305→319(×10μl)
血小板数:12.9→13.7(×10/μl)
リンパ球数:1611→2300(/μl)
顆粒球数:2210→2765(/μl)
CA19−9(悪性リンパ腫のマーカー):179.3→194.6
SpO:99%
心拍数:153。
(6回目後(治療開始後1ヶ月))
直腸温:37.35℃→39.30℃
舌下温:37.0℃→37.2℃
pH:7.350→7.436
pCO:51.8→38.5
pO:35→69
白血球数:4100/μl→5300/μl
赤血球数:303→328(×10/μl)
血小板数:13.6→16.8(×10/μl)
リンパ球数:1181→1802(/μl)
顆粒球数:2781→3291(/μl)
CA19−9(悪性リンパ腫のマーカー):31.8→34.1(標準値37.0以下)
SpO:97%→95%
心拍数:85→143
血流量:4.2→18.2。
(16回目後(2ヶ月後))
舌下温:36.7℃→37.9℃
pH:7.212→7.468
pCO:68.8→40.7
pO:50→82
白血球数:4300/μl→5300/μl
赤血球数:334→368(×10/μl)
血小板数:14.9→16.3(×10/μl)
リンパ球数:1346→1754(/μl)
顆粒球数:2804→3355(/μl)
CA19−9(悪性リンパ腫のマーカー):25.4(標準値37.0以下)
SpO:99%→99%
心拍数:70→158。
(結果)
悪性リンパ腫は、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻った。そのときの酸化還元電位、免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っていた。
従って、温熱療法を、酸化還元状態またはpHを指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになった。
(実施例9:膵臓がん患者の処置)
本実施例では、膵臓がん患者O.H.氏の処置を行った。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりであった。膵臓がん、およびその肝臓への転移が見られた。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、60分(うち全身浴24分))を与えた。ここでは、以下の情報を収集した。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
処置前のデータは以下のとおりである。
直腸温:36.94℃
pH:7.382
pCO:44.0mmHg
pO:67mmHg
白血球数(/μl):8300
赤血球数:464(×10(/μl))
血小板数:20.1(×10/μl)
リンパ球数(/μl):4000.6
顆粒球数(/μl):4058.7
所見:膵臓がんおよび肝臓がんの転移が見られる
SpO:100.0%
心拍数:52
血流量:4.2。
(39.0℃到達時)
直腸温:39.00℃
SpO:98.0%
心拍数:82
血流量:14.5。
(最大温度到達時)
直腸温:39.68℃
SpO:99.0%
心拍数:86
血流量:16.7。
(処置後)
舌下温:38.1℃
pH:7.501
pCO:30.2mmHg
pO:65mmHg
白血球数(/μl):9700
赤血球数:476(×10/μl)
血小板数:21.9(×10/μl)
リンパ球数(/μl):2124.3
顆粒球数(/μl):7410.8
SpO:99.0%。
(標準的な温熱療法)
以下のとおりである。42℃で24分全身浴、36分半身浴。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、以下のような治療を主治医の許可を得て与えた。42℃で24分全身浴、36分半身浴。これを5〜7日ごとに複数回治療を行った。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、肝臓がん)を収集した。
治療後の経過
(1ヵ月後)
舌下温:37.0℃
pH:7.427
pCO:36.8mmHg
pO:68.0mmHg
白血球数(/μl):5700
赤血球数:421(×10/μl)
血小板数:21.5(×10/μl)
リンパ球数(/μl):2171.7
顆粒球数(/μl):3290.0
所見:膵臓がんおよび肝臓がんが縮小し、インスリン投与が不要になる。
(3ヵ月後)
直腸温:37.18℃
pH:7.434
pCO:38.7mmHg
pO:68.0mmHg
白血球数(/μl):7100
赤血球数:447(×10/μl)
血小板数:21.2(×10/μl)
リンパ球数(/μl):2591.5
顆粒球数(/μl):2877.6
所見:膵臓がんおよび肝臓がんが縮小し、インスリン投与が不要になる。
治療前には、インスリンの使用をしていたが、3ヶ月後には、インスリンの使用をやめ、自己産生するようになった。
(4ヵ月後)
直腸温:36.97℃
pH:7.468
pCO:33.4mmHg
pO:108.0mmHg
白血球数(/μl):5300
赤血球数:432(×10/μl)
血小板数:17.7(×10/μl)
リンパ球数(/μl):2067.0
顆粒球数(/μl):3068.7
所見:膵臓がんおよび肝臓がんが縮小し、インスリン投与が不要になる。
4ヶ月後でも、インスリンの使用は必要ではなく、自己産生が継続されていた。
(5ヵ月後)
直腸温:36.74℃
pH:7.411
pCO:43.3mmHg
pO:53.0mmHg
白血球数(/μl):7100
赤血球数:468(×10/μl)
血小板数:17.4(×10/μl)
リンパ球数(/μl):2520.5
顆粒球数(/μl):4416.2
所見:膵臓がんおよび肝臓がんが縮小し、インスリン投与が不要になる。
5ヶ月後でも、インスリンの使用は必要ではなく、自己産生が継続されていた。
(結果)
膵臓がんは、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻った。患者本人もまた、体がすっきりして元気になったとの所見を示した。そのときの免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っていた。治療時に必要であったインスリンの必要は、3ヶ月目から必要でなくなり、自己産生が始まり、その状態は、現在も続いている。また、肝臓がんについても治癒していた。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになった。
(実施例10:子宮頸がんの処置)
本実施例では、子宮頸願患者O.A.氏(女性、56歳)の処置を行った。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりであった。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、24分間全身浴、36分半身浴)を与えた。ここでは、以下の情報を収集した。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
(標準的な温熱療法)
以下のとおりである。42℃、24分間全身浴、36分半身浴。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、以下のような治療を主治医の許可を得て与えた。42℃、24分間全身浴、36分半身浴、1週間おきに5週間。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、子宮頸願)を収集した。
リンパ球数2140→2156
1週間後:CA125(子宮頚がん、基準値35以下):45.5
2週間後:CA125(子宮頚がん、基準値35以下):32.7→26.2
3週間後:CA125(子宮頚がん、基準値35以下):20.9→20.1
4週間後:CA125(子宮頚がん、基準値35以下):16.9→13.6。
(結果)
子宮頸願は、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻った。そのときの酸化還元電位、免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っていた。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになった。
(実施例11:口腔底がん患者の処置)
本実施例では、口腔底がん患者K.S.氏(女性、46歳)の処置を行った。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりであった。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、24分全身浴、36分半身浴)を与えた。ここでは、以下の情報を収集した。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
(標準的な温熱療法)
以下のとおりである:42℃、24分全身浴、36分半身浴。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、以下のような治療を主治医の許可を得て与えた。42℃、24分全身浴、36分半身浴、1ヶ月おきに6ヶ月。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、口腔底がん)を収集した。
リンパ球数:1734→1928
2ヶ月後:CA125(口腔底がん、基準値35以下):63→62
4ヶ月後:CA125(口腔底がん、基準値35以下):40.0→58.6
5ヶ月後:CA125(口腔底がん、基準値35以下):39.5
6ヶ月後:CA125(口腔底がん、基準値35以下):16.1。
(結果)
口腔底がんは、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻った。そのときの酸化還元電位、免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っていた。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになった。
(実施例12:膀胱がん患者の処置)
本実施例では、膀胱がん患者T.T.氏(70歳、男性)の処置を行った。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりであった。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、24分間全身浴、36分半身浴)を与えた。ここでは、以下の情報を収集した。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
(標準的な温熱療法)
以下のとおりである:42℃、24分間全身浴、36分半身浴。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、以下のような治療を主治医の許可を得て与えた。42℃、24分間全身浴、36分半身浴、1週間おきに8週間。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、腎臓がん)を収集した。
結果:リンパ球数:1267→1526
1週間後:IAP:282→253
2週間後:IAP:280→284
4週間後:IAP:267→269
8週間後:IAP:217→210。この時点で、膀胱がん(腫瘍2個)の消失を確認。
(結果)
腎臓がんは、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻った。そのときの酸化還元電位、免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っていた。この患者は、悪性リンパ腫をわずらっており、これも改善していた。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになった。
(実施例13:高血圧患者の処置)
本実施例では、高血圧患者N.M.氏(男性)の処置を行った。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりであった。
痛風をわずらい、高血圧であり、前立腺肥大の症状が見られる。痛風治療のためにアロプリノールを投与し、AVAPRO(高血圧)および前立腺がんのためにFLOMAXが投与されていた。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、60分(全身浴40分))を与えた。ここでは、以下の情報を収集した。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
処置前のデータは以下のとおりである。
直腸温:36.6℃
舌下温:37.03℃
pH:7.344
pCO:52.5mmHg
pO:30mmHg
白血球数:5100/μl
赤血球数:447(×10/μl)
血小板数:4.2(×10/μl)
リンパ球数:2509/μl
顆粒球数:2387(/μl)
尿酸値:9.8(mg/dl;標準値7.0未満)
血圧:158/76(境界値:140/85)
前立腺肥大:見られる
SpO:96%
心拍数:54。
(39℃到達時)
直腸温:39.00℃
SpO:98%
心拍数:110。
(最高温度到達時(39.42℃))
直腸温:39.42℃
SpO:97%
心拍数:88
(出浴後)
直腸温:39.35℃
SpO:96%
心拍数:92。
(処置後)
舌下温:36.7℃
pH:7.551
pCO:27.2
pO:32
白血球数(/μl):5100
赤血球数(×10/μl):498
血小板数(×10/μl):13
リンパ球数(/μl):2743
顆粒球数(/μl):2859
血圧:135/66
SpO:94%
心拍数:73。
(標準的な温熱療法)
42℃で、全身浴20分、半身浴40分を行った。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、以下のような治療を主治医の許可を得て与えた。42℃で、全身浴20分、半身浴40分を行った。これを5から7日に一度行った。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、痛風)を収集した。なお、痛風の指標となる数値は、尿酸値である。
最終処置後
直腸温:39.09℃
pH:7.535
pCO:25.6
pO:51
白血球数(/μl):5800
赤血球数(×10/μl):447
血小板数(×10/μl):12.2
リンパ球(%):51.7
顆粒球(%):45.6
尿酸値:9.8mg/dl
血圧:160/68
前立腺肥大:見られなくなった。
SpO:94%
心拍数:68。
(結果)
高血圧は、2ヶ月の治療後には、薬の投与をやめたにもかかわらず、治療前の値を示さず、変化しなかった。従って、被験体は、ほぼ正常状態に戻った。そのときの免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っていた。
従って、酸化還元状態と高血圧の状態との相関関係が定性的にも指摘された。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになった。
(実施例14:潰瘍性大腸炎患者の処置)
本実施例では、潰瘍性大腸炎患者N.T.氏(男性)の処置を行った。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりであった。潰瘍性大腸炎、骨粗しょう症を罹患しており、ボナロン、カルシウム剤、ビタミン剤を投与されていた。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、27分全身浴、33分半身浴)を与えた。ここでは、以下の情報を収集した。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
処置前のデータは以下のとおりである。
直腸温:36.75℃
舌下温:36.56℃
pH:7.336
pCO:52.9mmHg
pO:34.0mmHg
白血球数:6400/μl
赤血球数:494(×10/μl)
血小板数:15.1(×10/μl)
リンパ球数(/μl):1472
顆粒球数(/μl):4806.4
潰瘍性大腸炎の所見がみられた。
SpO:100%
心拍数:64。
(入浴時+1℃)
直腸温:37.75℃
pH:7.424
pCO:40.0mmHg
pO:74.0mmHg
白血球数:6000/μl
赤血球数:483(×10/μl)
血小板数:16.0(×10/μl)
リンパ球数(/μl):1248
顆粒球数(/μl):4644
SpO:98%
心拍数:103。
(直腸温39℃)
直腸温:39.00℃
pH:7.429
pCO:40.6mmHg
pO:108.0mmHg
白血球数:6600/μl
赤血球数:509(×10/μl)
血小板数:17.0(×10/μl)
リンパ球数(/μl):1392.6
顆粒球数(/μl):5088.6
SpO:100%
心拍数:113。
(最高値到達時)
直腸温:39.16℃
SpO:100%
心拍数:126。
(出浴時)
直腸温:39.12℃
SpO:99%
心拍数:107
(処置後)
直腸温:38.35℃
舌下温:37.48℃
pH:7.383
pCO:44.5mmHg
pO:51.0mmHg
白血球数:6000/μl
赤血球数:499(×10/μl)
血小板数:17.1(×10/μl)
リンパ球(%):20.1%
リンパ球数(/μl):1206
顆粒球:78.4%
顆粒球数(/μl):4704
心拍数:85。
(標準的な温熱療法)
以下のとおりである。42℃、27分全身浴、33分半身浴。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、以下のような治療を主治医の許可を得て与えた。42℃、27分全身浴、33分半身浴。5〜7日ごとに5週間。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、潰瘍性大腸炎)を収集した。
治療後の経過
1週間後
直腸温:39.40℃
舌下温:38.39℃
pH:7.376
pCO:40.4mmHg
pO:95.0mmHg
白血球数:6100/μl
赤血球数:497(×10/μl)
血小板数:21.0(×10/μl)
リンパ球数(/μl):1549.4
顆粒球数(/μl):4367.6
SpO:97%
心拍数:109。
(2週間後)
直腸温:36.81℃
舌下温:36.56℃
pH:7.336
pCO:52.9mmHg
pO:34.9mmHg
白血球数:6400/μl
赤血球数:494(×10/μl)
血小板数:15.1(×10/μl)
リンパ球数(/μl):1472
顆粒球数(/μl):4806
SpO:100%
心拍数:78。
(6週間後)
直腸温:37.04℃
舌下温:36.24℃
pH:7.344
pCO:48.3mmHg
pO:34mmHg
白血球数:5900/μl
赤血球数:482(×10/μl)
血小板数:17.2(×10/μl)
リンパ球数(/μl):1558
顆粒球数(/μl):4195
SpO:100%
心拍数:87。
(結果)
潰瘍性大腸炎は、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻った。そのときの免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っていた。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになった。
(実施例15:慢性関節リウマチ患者の処置)
本実施例では、慢性関節リウマチ患者の処置を行う。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は慢性リウマチであると診断される。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、60分間)を与えた。ここでは、以下の情報を収集する。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
(標準的な温熱療法)
以下のとおりである:42℃、60分間。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、上記治療を主治医の許可を得て与える。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、慢性関節リウマチ)を収集する。
(結果)
慢性関節リウマチは、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻る。そのときの免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っている。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになる。
(実施例16:慢性肉芽腫症患者の処置)
本実施例では、慢性肉芽腫症患者の処置を行う。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は慢性肉芽腫症である。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、60分間)を与える。ここでは、以下の情報を収集する。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
(標準的な温熱療法)
以下のとおりである:42℃、60分間。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、上記治療を主治医の許可を得て与える。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、慢性肉芽腫症)を収集する。
(結果)
慢性肉芽腫症は、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻る。そのときの免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っている。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになる。
(実施例17:炎症性腸疾患患者の処置)
本実施例では、炎症性腸疾患患者の処置を行う。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は炎症性腸疾患であった。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、60分間)を与える。ここでは、以下の情報を収集する。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
(標準的な温熱療法)
以下のとおりである:42℃、60分間。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、上記治療を主治医の許可を得て与える。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、炎症性腸疾患)を収集する。
(結果)
炎症性腸疾患は、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻る。そのときの免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っている。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになる。
(実施例18:好中球減少症患者の処置)
本実施例では、好中球減少症患者の処置を行う。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は好中球減少症である。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、60分間)を与える。ここでは、以下の情報を収集する。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
(標準的な温熱療法)
以下のとおりである:42℃、60分間。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、上記治療を主治医の許可を得て与える。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、好中球減少症)を収集する。
(結果)
好中球減少症は、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻る。そのときの免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っている。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになる。
(実施例19:好中球増加症患者の処置)
本実施例では、好中球増加症患者の処置を行う。
(処置前状態)
処置前の医師の診察によれば、この患者の状態は以下のとおりである。
(温熱療法のための基礎データ収集)
医師の観察のもと、標準的な温熱療法(42℃、60分間)を与える。ここでは、以下の情報を収集する。
血液の酸化還元電位(またはpH)
血液ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量。
(標準的な温熱療法)
以下のとおりである:42℃、60分間。
(治療方法)
上記標準的温熱療法によって得られたデータから、上記治療を主治医の許可を得て与える。
(経過情報)
各治療回ごとに、基本的なデータと、疾病に関するデータ(ここでは、好中球増加症)を収集する。
(結果)
好中球増加症は、2ヶ月の治療後にほぼ消失し、被験体は、ほぼ正常状態に戻る。そのときの免疫学的状態のパラメータについてもほぼ正常値に戻っている。
従って、温熱療法を酸化還元状態を指標にして行うことによって治療効果が最大限に引き出されることが明らかになる。
(実施例20:酸化還元電位状態との相関まとめ)
このようにして、得られた結果を総合し、pH7.35は、末梢血によって測定された生体内電位(酸化還元電位)では、−75mVであることが明らかになった。実際の治療では、通常のpH変動範囲内である、±0.05を超える変動(上昇)を引き起こす条件を見出し、これで治療することによって、治療効果が得られることが明らかになった。pHの変動範囲は、0.1以上であり、0.1〜0.3にはいることが多かったが、0.5変動する場合も見受けられ、その場合には、免疫状態が急激に改善していた。
(実施例21)
(hsp72の発現量を指標とする治療温度の決定)
被験体から末梢血を4ml採血した。Lymphoprep(Nycomed Pharma As, Oslo, Norway)によって、末梢血から末梢血単核球を分離した。約1×10個の末梢血単核球を溶解緩衝液((株)フナコシ、hsp70 ELISA kitに含まれる)中に溶解した。この溶液を37℃から始めてゆっくり加温した。0.5℃ごとに、この溶液からアリコートを取り出した。取り出した溶液アリコートから、(株)フナコシ、hsp70 ELISA kitによってタンパク質を抽出し、hsp72 ELISA Kit(Stressgen Biotechnologies社、シドニー、カナダ)を用いるELISAによってhsp72の発現量を定量した。hsp72の発現量が増加から減少に転じた温度を、この被験体を温熱治療する際の治療温度とした。すなわち、この治療温度において、hsp72の発現量は最大であった。
このときのhsp72の発現量は、生体の酸化還元電位またはpHと並行していた。
(実施例22)
(HLA−DRの発現量を指標とする治療温度の決定)
被験体から末梢血を4ml採血した。Lymphoprep(Nycomed Pharma As, Oslo, Norway)によって、末梢血から末梢血単核球を分離した。約1×10個の末梢血単核球をCD4、CD8、CD16、CD56あるいはCD57に対する抗体と、抗HLA抗体で二重染色し、FACS分析によって、それぞれの細胞集団について、HLA−DRの発現量を定量した。この被験体の末梢血をインビトロで加温した場合のHLA−DRの発現量が増加から減少に転じた温度を、この被験体を温熱治療する際の治療温度とした。すなわち、この治療温度において、HLA−DRの発現量は最大であった。
このときのHLA−DRの発現量は、生体の酸化還元電位またはpHと並行していた。
(実施例23)
(本発明の温熱治療システムを使用する非ホジキン悪性リンパ腫の温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、非ホジキン悪性リンパ腫に罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を一定時間維持した。この患者は、温熱治療の結果、悪性リンパ腫の腫瘍マーカーであるIAPの値が、242μg/mlにまで低下し(正常値は500μg/ml以下)、CA19−9の値が、179.3U/mlから23U/mlにまで低下し(正常値は37.0U/ml以下)、そしてCA125の値が、25.9U/mlから9.1U/mlにまで低下した(正常値は35.0U/ml以下)。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合していた。
(実施例24)
(本発明の温熱治療システムを使用する膀胱がんの温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、膀胱がんに罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持した。この患者は、温熱治療の結果、膀胱がんの腫瘍が全て消失したことが、内視鏡を用いて確認された。この患者は、温熱治療の結果、IAPの値が、397μg/mlから217μg/mlにまで低下した(正常値は500μg/ml以下)。この患者はまた、固形がんおよびリンパ腫において上昇が報告されているSIL2−Rについて高い値(850U/ml)を示していたが、加療によってその値が617U/mlにまで減少し正常化したことが観察された(正常値190U/ml〜650U/ml)。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合していた。
(実施例25)
(本発明の温熱治療システムを使用するアトピー性皮膚炎の温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、アトピー性皮膚炎に罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持した。この患者は、温熱治療の結果、アトピー性皮膚炎の症状が改善した。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合していた。
(実施例26)
(本発明の温熱治療システムを使用する口腔底がんの温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、口腔底がんに罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持した。この患者は、T細胞を活性化させるIL2産生能(正常値92pg/ml〜1574pg/ml)の亢進が見られた。詳細には、治療開始時のIL2産生能691pg/mlから、4日後に2678pg/mlに亢進し、6日後に2126pg/ml、8日後に2185pg/mlと、亢進が維持された。これにより、細胞性免疫が賦活される。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合していた。
(実施例27)
(本発明の温熱治療システムを使用する卵巣がんの温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、卵巣がんに罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持した。この患者は、温熱治療の結果、卵巣がんの腫瘍マーカーであるCA125の値が400U/ml以上から186U/mlにまで減少した(基準値は、35U/ml)。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合している。
(実施例28)
(本発明の温熱治療システムを使用するB型肝炎ウイルス(HBV)感染症の温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、HBV感染症に罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持した。この患者は、温熱治療の結果、HBV感染症の指標であるHBV DNAプローブを用いて検出されるHBV DNAの量が減少した。この変化は、HBVの存在が減少したことを示す。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合している。
(実施例29)
(本発明の温熱治療システムを使用する子宮頚がんの温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、子宮頚がんに罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持した。この患者は、温熱治療の結果、子宮頚がんの腫瘍マーカーの値が減少した。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合している。
(実施例30)
(本発明の温熱治療システムを使用する感染症)
実施例21または22に記載したようにして、感染症に罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持する。この患者は、温熱治療の結果、感染症が改善または治癒する。このことから、免疫能力が賦活されていることが、分かる。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合している。
(実施例31)
(本発明の温熱治療システムを使用する慢性疾患の温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、慢性疾患(糖尿病)に罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持していた。この患者は、温熱治療の結果、慢性疾患が改善または治癒した。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合している。
(実施例32)
(本発明の温熱治療システムを使用する生活習慣病の温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、生活習慣病(痛風および高血圧)に罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持した。この患者は、温熱治療の結果、生活習慣病が改善または治癒した。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合している。
(実施例33)
(本発明の温熱治療システムを使用する寄生病の温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、寄生病に罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持する。この患者は、温熱治療の結果、寄生病が改善または治癒する。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合している。
(実施例34)
(本発明の温熱治療システムを使用する免疫亢進の温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、免疫亢進に罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持する。この患者は、温熱治療の結果、免疫亢進が改善または治癒する。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合している。
(実施例35)
(本発明の温熱治療システムを使用する免疫不全の温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、免疫不全(HIV)に罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持した。この患者は、温熱治療の結果、免疫不全が改善または治癒していた。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合している。
(実施例36)
(本発明の温熱治療システムを使用する薬物中毒の温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、薬物中毒に罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持する。この患者は、温熱治療の結果、薬物中毒が改善または治癒する。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合している。
(実施例37)
(本発明の温熱治療システムを使用する免疫系により治癒可能な疾患または障害の温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、免疫系により治癒可能な疾患または障害に罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持する。この患者は、温熱治療の結果、免疫系により治癒可能な疾患または障害が改善または治癒する。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合している。
(実施例38)
(本発明の温熱治療システムを使用するC型肝炎ウイルス(HCV)感染症の温熱治療)
実施例21または22に記載したようにして、HCV感染症に罹患した患者について決定した治療温度まで、その患者を加温し、そしてその治療温度にて患者を維持する。この患者は、温熱治療の結果、HCV感染症の指標であるHCV DNAプローブを用いて検出されるHCV DNAの量が減少する。この変化は、HCVの存在が減少したことを示す。
このときの治療は、生体の酸化還元電位またはpHに基づく治療に適合している。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明により、どのような疾患も処置することが可能となり、その治療を達成するための方法、装置、システムを製造、利用する分野において産業上の利用可能性を有する。

Claims (152)

  1. 患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための温熱療法のパラメータを調節する方法であって、
    A)該患者の酸化還元電位を測定する工程と、
    B)該酸化還元電位に基づいて、該患者に適した温熱療法のパラメータを決定する工程と
    を包含する、方法。
  2. 前記温熱療法は、前記患者を温浴に浸すことを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記酸化還元電位は、末梢血の酸化還元電位またはpHを測定することによって実施される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記体温は、直腸温により観察される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記温熱療法のパラメータは、ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量からなる群より選択される少なくとも1つの因子をさらに考慮して決定される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記温熱療法のパラメータは、加温温度および加温時間を包含する、請求項1に記載の方法。
  7. 前記体温の調節の間に前記患者の酸化還元電位を得、それに基づいて該体温の調節をさらに調節する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  8. 前記さらなる調節工程は、前記患者の体温が1.0℃上昇したとき、39.0℃に到達したときおよび最高値に到達したときからなる群より選択される少なくとも1つの時点において行われる、請求項7に記載の方法。
  9. 前記さらなる調節工程は、前記患者の体温が1.0℃上昇したとき、39.0℃に到達したときおよび最高値に到達したときのすべてにおいて行われる、請求項7に記載の方法。
  10. 前記さらなる調節は、前記患者のガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量からなる群より選択される少なくとも1つの因子をさらに考慮して行われる、請求項7に記載の方法。
  11. 前記体温の調節の後、さらに前記患者の酸化還元電位を測定する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
  12. 前記さらなる調節は、前記患者のガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量からなる群より選択される少なくとも1つの因子をさらに考慮して行われる、請求項11に記載の方法。
  13. 前記パラメータの決定は、直腸温より3〜5℃高い温度の温浴での患者の処置に基づいて行われる、請求項1に記載の方法。
  14. 前記パラメータの決定において、前記疾患についてのパラメータが存在する場合、該パラメータが参酌される、請求項1に記載の方法。
  15. 前記酸化還元電位は、前記患者からの血液の酸化還元電位の測定により決定される、請求項1に記載の方法。
  16. 前記疾患は、免疫状態に関連する疾患を包含する、請求項1に記載の方法。
  17. 前記疾患は、がん、ウイルス性疾患、代謝性疾患、循環器系疾患、消化器系疾患、炎症性疾患、中枢疾患、免疫学的疾患、感染症および生活習慣病からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  18. 前記ウイルス性疾患は、B型肝炎、C型肝炎および後天性免疫不全症候群(AIDS)からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記代謝性疾患は、糖尿病、糖尿病合併症、前立腺肥大、痛風および肝炎からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
  20. 前記免疫学的性疾患は、自己免疫性疾患および後天性免疫不全症候群からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
  21. 前記がんは、悪性リンパ腫、膵臓がん、子宮頸がん、口腔底がん、腎臓がんからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
  22. 前記循環器系疾患は、高血圧を含む、請求項17に記載の方法。
  23. 前記消化器系疾患は、潰瘍性大腸炎を含む、請求項17に記載の方法。
  24. 前記免疫学的疾患は、免疫不全疾患(例えば、AIDS)、悪性リンパ腫、慢性関節リウマチ、慢性肉芽腫症、炎症性腸疾患、好中球減少症および好中球増加症からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
  25. 前記疾患は、リンパ球数が減少する状態を伴うものである、請求項17に記載の方法。
  26. 患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための方法であって、
    請求項1に記載の方法によって決定されたパラメータに基づいて、温熱療法を該患者に与える工程を包含する、方法。
  27. 前記温熱療法において、前記患者の酸化還元電位を測定し、該測定された酸化還元電位に基づいて前記パラメータを修正する工程をさらに包含する、請求項26に記載の方法。
  28. 前記温熱療法は、前記患者の酸化還元電位が回復するまで継続される、請求項26に記載の方法。
  29. 前記温熱療法は、前記患者のpHが処置前のpHよりも少なくとも0.05高くなるまで継続される、請求項26に記載の方法。
  30. 前記温熱療法は、前記患者のpHが処置前のpHよりも少なくとも0.1高くなるまで継続される、請求項26に記載の方法。
  31. 前記温熱療法は、前記患者の酸化還元電位が処置前のpHよりも少なくとも約5mV絶対値が高くなるまで継続される、請求項26に記載の方法。
  32. 前記温熱療法は、前記患者の酸化還元電位が−75mV〜−80mVの間になるまで継続される、請求項26に記載の方法。
  33. 前記温熱療法は、前記患者の直腸温を低くとも39.0℃に上昇させることを包含する、請求項26に記載の方法。
  34. 前記温熱療法は、前記患者の直腸温を39.0℃に少なくとも10分維持することを包含する、請求項26に記載の方法。
  35. 前記温熱療法は、前記療法適用前の直腸温と温浴との間の温度差が5℃未満であることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
  36. 患者の疾患、障害または状態を処置または予防するための温熱療法のパラメータを調節するシステムであって、
    A)該患者の酸化還元電位を測定する手段と、
    B)該酸化還元電位に基づいて、該患者に適した温熱療法のパラメータを決定する手段と
    を備える、システム。
  37. 前記温熱療法は、前記患者を温浴に浸すことを含む、請求項36に記載のシステム。
  38. 前記酸化還元電位は、末梢血の酸化還元電位またはpHを測定することによって実施される、請求項36に記載のシステム。
  39. 前記体温は、直腸温により観察される、請求項36に記載のシステム。
  40. 前記温熱療法のパラメータは、ガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量からなる群より選択される少なくとも1つの因子をさらに考慮して決定される、請求項36に記載のシステム。
  41. 前記温熱療法のパラメータは、加温温度および加温時間を包含する、請求項36に記載のシステム。
  42. 前記体温の調節の間に前記患者の酸化還元電位を得、それに基づいて該体温の調節をさらに調節する手段をさらに包含する、請求項36に記載のシステム。
  43. 前記さらなる調節手段は、前記患者の体温が1.0℃上昇したとき、39.0℃に到達したときおよび最高値に到達したときからなる群より選択される少なくとも1つの時点において行われる、請求項42に記載のシステム。
  44. 前記さらなる調節手段は、前記患者の体温が1.0℃上昇したとき、39.0℃に到達したときおよび最高値に到達したときのすべてにおいて行われる、請求項42に記載のシステム。
  45. 前記さらなる調節は、前記患者のガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量からなる群より選択される少なくとも1つの因子をさらに考慮して行われる、請求項42に記載の方法。
  46. 前記体温の調節の後、さらに前記患者の酸化還元電位を測定する工程を包含する、請求項36に記載のシステム。
  47. 前記さらなる調節は、前記患者のガス分析、血球分画生化学、疾病マーカー、SpO、心拍数および血流量からなる群より選択される少なくとも1つの因子をさらに考慮して行われる、請求項46に記載のシステム。
  48. 前記パラメータの決定は、直腸温より3〜5℃高い温度の温浴での患者の処置に基づいて行われる、請求項36に記載のシステム。
  49. 前記パラメータの決定において、前記疾患についてのパラメータが存在する場合、該パラメータが参酌される、請求項36に記載のシステム。
  50. 前記酸化還元電位は、前記患者からの血液の酸化還元電位の測定により決定される、請求項36に記載のシステム。
  51. 前記疾患は、免疫状態に関連する疾患を包含する、請求項36に記載のシステム。
  52. 前記疾患は、がん、ウイルス性疾患、代謝性疾患、循環器系疾患、消化器系疾患、炎症性疾患、中枢疾患、免疫学的疾患、感染症および生活習慣病からなる群より選択される、請求項36に記載のシステム。
  53. 前記ウイルス性疾患は、B型肝炎、C型肝炎および後天性免疫不全症候群(AIDS)からなる群より選択される、請求項52に記載のシステム。
  54. 前記代謝性疾患は、糖尿病、糖尿病合併症、前立腺肥大、痛風および肝炎からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
  55. 前記免疫学的性疾患は、自己免疫性疾患、
    からなる群より選択される、請求項52に記載の方法。
  56. 前記がんは、悪性リンパ腫、膵臓がん、子宮頸がん、口腔底がん、腎臓がんからなる群より選択される、請求項52に記載の方法。
  57. 前記循環器系疾患は、高血圧を含む、請求項52に記載の方法。
  58. 前記消化器系疾患は、潰瘍性大腸炎を含む、請求項52に記載の方法。
  59. 前記免疫学的疾患は、免疫不全疾患(例えば、AIDS)、悪性リンパ腫、慢性関節リウマチ、慢性肉芽腫症、炎症性腸疾患、好中球減少症および好中球増加症からなる群より選択される、請求項52に記載のシステム。
  60. 前記疾患は、リンパ球数が減少する状態を伴うものである、請求項52に記載のシステム。
  61. 患者の疾患、障害または状態を処置または予防するためのシステムであって、
    A)該患者の酸化還元電位を測定する手段と、
    B)該酸化還元電位に基づいて、該患者に適した温熱療法のパラメータを決定する手段と
    C)該パラメータに基づいて、温熱療法を該患者に与える手段を
    備える、システム。
  62. 前記温熱療法において、前記患者の酸化還元電位を測定し、該測定された酸化還元電位に基づいて前記パラメータを修正する手段をさらに包含する、請求項61に記載のシステム。
  63. 前記温熱療法は、前記患者の酸化還元電位が回復するまで継続される、請求項61に記載のシステム。
  64. 前記温熱療法は、前記患者のpHが処置前のpHより少なくとも0.05高い値になるまで継続される、請求項61に記載のシステム。
  65. 前記温熱療法は、前記患者のpHが処置前のpHより少なくとも0.1高い値になるまで継続される、請求項61に記載のシステム。
  66. 前記温熱療法は、前記患者の酸化還元電位が処置前の酸化還元電位より約5mV絶対値が高くなるまで継続される、請求項61に記載のシステム。
  67. 前記温熱療法は、前記患者の酸化還元電位が−65mV〜−85mVの間になるまで継続される、請求項61に記載のシステム。
  68. 前記温熱療法は、前記患者の直腸温を低くとも39.0℃に上昇させることを包含する、請求項26に記載のシステム。
  69. 前記温熱療法は、前記患者の直腸温を39.0℃に少なくとも10分維持することを包含する、請求項61に記載のシステム。
  70. 前記温熱療法は、前記療法適用前の直腸温と温浴との間の温度差が5℃未満であることを特徴とする、請求項61に記載のシステム。
  71. 患者の疾患または障害の処置または予防するための温熱治療システムであって、
    A)該患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する手段;
    B)温熱治療手段;
    C)該患者の体温を測定する温度検出手段;および
    D)該温度検出手段から該患者の体温に関する体温情報に基づき、該体温情報から該患者の体温を該治療温度に調節するように指示する該温熱治療手段に対する命令を算出する制御装置、
    を備え、
    該制御装置は、該温度検出手段および該特定する手段に、それぞれ、該体温に関する情報および該治療温度に関する情報を受け取るように接続され、該温熱治療手段に該命令を指示するように接続されていることを特徴とする、
    システム。
  72. 前記患者の治療温度を特定する手段(A)が、以下:
    a)患者の血中のhsp72の発現量と機能、
    b)患者の血圧の変化、
    c)患者の心拍数、
    d)患者の血流量、
    e)患者の血液のpH、
    f)患者の血中のHLAの発現量、および
    g)患者の血中のリンパ球数、
    からなる群より選択される生体変化をさらに基にして求められる、請求項71に記載のシステム。
  73. 前記患者の治療温度を特定する手段(A)が、患者から採取した末梢血白血球をインビトロで温度を可変にすることにより変動されるhsp72またはHLAを指標として行われる、請求項71に記載のシステム。
  74. 前記温熱治療手段は、加熱槽を備える、請求項71に記載のシステム。
  75. 前記温熱治療手段は、液体により加温することを特徴とする、請求項71に記載のシステム。
  76. 前記温熱治療手段は、一定温度以上にならないような安全装置を備えることを特徴とする、請求項71に記載のシステム。
  77. 前記温熱治療手段は、入浴装置であることを特徴とする、請求項71に記載のシステム。
  78. 前記温熱治療手段は、保温器を備えることを特徴とする、請求項71に記載のシステム。
  79. 前記温熱治療手段は、給湯装置または加温装置と、温度制御手段と、冷却装置とを備える、請求項71に記載のシステム。
  80. 前記温度検出手段は、腋下、舌下、直腸、皮下深部、動脈内、鼓膜および食道からなる群より選択される体温を測るための体温計である、請求項71に記載のシステム。
  81. 前記温度検出手段は、舌下または直腸の体温を測るための体温計である、請求項80に記載のシステム。
  82. 前記患者の平熱に関する情報を格納するための手段をさらに備える、請求項71に記載のシステム。
  83. 前記患者の処置前の体温を記録するための手段をさらに備える、請求項71に記載のシステム。
  84. さらに、第一温度調節手段、および比熱または変温能力が第一の温度調節手段より小さな第二の温度調節手段を含む2種類の温度調節手段を含み、
    前記制御装置は、温度調節される被検体が治療温度から一定温度範囲外の温度にあるときには第一温度調節手段を作動させ、該被検体が該治療温度から該一定温度範囲内の温度になったときに、該第一温度調節手段の作動を停止し該第二温度調節手段が作動するよう指示するか、あるいは
    温度調節される被検体が治療温度から一定温度範囲外の温度にあるときには第一温度調節手段を作動させ該第二の温度調節手段は該被検体から熱的に絶縁されるように配置し、該被検体が該治療温度から該一定温度範囲内の温度になったときに、該第一温度調節手段の作動を停止し該被検体から熱的に絶縁されるように配置し該第二温度調節手段が作動するよう指示する、請求項71に記載のシステム。
  85. 前記制御装置は、前記患者の体温より5℃高い温度よりも低い温度へと前記温熱治療手段を温める命令を算出することを特徴とする、請求項71に記載のシステム。
  86. 前記制御装置は、前記患者の体温より5℃高い温度よりも低い温度に該温度を維持する命令を算出することを特徴とする、請求項71に記載のシステム。
  87. 前記制御装置は、測定された体温が治療温度になるまで温熱治療手段を加温する命令を算出することを特徴とする、請求項71に記載のシステム。
  88. 前記疾患または障害は、がん、感染症、慢性疾患、生活習慣病、寄生病、免疫亢進、免疫不全および薬物中毒からなる群より選択される、請求項71に記載のシステム。
  89. 前記疾患または障害は、免疫系により治癒可能な疾患または障害を含む、請求項71に記載のシステム。
  90. 前記疾患または障害は、がんを含む、請求項71に記載のシステム。
  91. 患者の体温を調節するためのシステムであって、
    A)該患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する手段;
    B)温熱治療手段;
    C)該患者の体温を測定する温度検出手段;および
    D)該温度検出手段から該患者の体温に関する体温情報に基づき、該体温情報から該患者の体温を該治療温度に調節するように指示する該温熱治療手段に対する命令を計算する制御装置、
    を備え、該制御装置は、該温度検出手段該特定する手段とに、それぞれ、該体温に関する情報および該治療温度に関する情報を受け取るように接続され、該温熱治療手段に該命令を指示するように接続されていることを特徴とする、
    システム。
  92. 患者においてhsp72の発現と機能を調節するためのシステムであって、
    A)該患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者のhsp72の発現と機能を調節するための該患者の治療温度を特定する手段;
    B)温熱治療手段;
    C)該患者の体温を測定する温度検出手段;および
    D)該温度検出手段から該患者の体温に関する体温情報に基づき、該体温情報から該患者の体温を治療温度に調節するように指示する該温熱治療手段に対する命令を計算する制御装置、
    を備え、該制御装置は、該温度検出手段および該特定する手段とに、それぞれ、該体温に関する情報および該治療温度に関する情報を受け取るように接続され、該温熱治療手段に該命令を指示するように接続されていることを特徴とする、
    システム。
  93. 前記hsp72の発現及び機能の調節により、免疫系を活性化することを特徴とする、請求項22に記載のシステム。
  94. 患者においてHLAを発現させるためのシステムであって、
    A)該患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者のHLAを最大に発現させるための該患者の治療温度を特定する手段;
    B)温熱治療手段;
    C)該患者の体温を測定する温度検出手段;および
    D)該温度検出手段から該患者の体温に関する体温情報に基づき、該体温情報から該患者の体温を治療温度に調節するように指示する該温熱治療手段に対する命令を計算する制御装置、
    を備え、該制御装置は、該温度検出手段および該特定する手段とに、それぞれ、該体温に関する情報および該治療温度に関する情報を受け取るように接続され、該温熱治療手段に該命令を指示するように接続されていることを特徴とする、
    システム。
  95. 前記HLAの発現により、免疫系を活性化することを特徴とする、請求項94に記載のシステム。
  96. 患者の疾患または障害を処置または予防するために使用するシステムであって、
    A)温熱治療手段;
    B)該患者からサンプルを入手する手段;
    C)該サンプル中の熱ショックタンパク質(hsp)を測定するための手段;
    D)該hspの発現パターンに基づき該温熱治療手段を調節するための手段、
    を備える、システム。
  97. 前記hspの発現パターンは、hsp72の発現パターンを含む、請求項96に記載のシステム。
  98. 前記調節は、hsp72の発現の調節を含む、請求項96に記載のシステム。
  99. 患者の疾患または障害を処置または予防するために使用するシステムであって、
    A)温熱治療手段;
    B)該患者からサンプルを入手する手段;
    C)該サンプル中のHLAを測定するための手段;
    D)該HLAの発現パターンに基づき該温熱治療手段を調節するための手段、
    を備える、システム。
  100. 前記HLAの発現パターンは、HLA−DRの発現パターンを含む、請求項99に記載のシステム。
  101. 前記調節は、HLAの発現が亢進されるような調節を含む、請求項99に記載のシステム。
  102. 患者の疾患または障害の処置または予防するための方法であって、
    A)該患者の平熱情報を得る工程;
    B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、
    C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程、
    を包含する、方法。
  103. 前記平熱情報は、温度検出手段により検出される、請求項102に記載の方法。
  104. D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する、請求項102に記載の方法。
  105. 前記患者の体温は、前記工程D)で特定された治療温度±1.0℃以内にされる、請求項104に記載の方法。
  106. 前記患者の体温は、前記工程D)で特定された治療温度±0.3℃以内にされる、請求項104に記載の方法。
  107. 前記工程D)が、以下:
    a)患者の血中のhsp72の発現量と機能、
    b)患者の血圧の変化、
    c)患者の心拍数、
    d)患者の血流量、
    e)患者の血液のpH、
    f)患者の血中のHLAの発現量、および
    g)患者の血中のリンパ球数、
    からなる群より選択される生体変化を基にする、請求項104に記載の方法。
  108. 前記工程D)が、患者から採取した末梢血白血球をインビトロで温度を可変にすることにより変動するhsp72またはHLAを指標として行われる、請求項104に記載の方法。
  109. 前記疾患または障害は、がん、感染症、慢性疾患、生活習慣病、寄生病、免疫亢進、免疫不全および薬物中毒からなる群より選択される、請求項102に記載の方法。
  110. 前記疾患または障害は、免疫系により治癒可能な疾患または障害を含む、請求項102に記載の方法。
  111. 前記疾患または障害は、がんを含む、請求項102に記載の方法。
  112. 患者の疾患または障害の処置または予防するために該患者に温熱療法を実行する方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、該方法は、
    A)該患者の平熱を得る工程;
    B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、
    C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程、
    を包含する、プログラム。
  113. 前記方法が、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する、請求項112に記載のプログラム。
  114. 前記患者の体温より5℃高い温度よりも低い温度へと前記温熱治療手段を温める命令を算出することを特徴とする、請求項112に記載のプログラム。
  115. 前記患者の体温より5℃高い温度よりも低い温度に該温度を維持する命令を算出することを特徴とする、請求項112に記載のプログラム。
  116. 測定された体温が治療温度になるまで温熱治療手段を加温する命令を算出することを特徴とする、請求項112に記載のプログラム。
  117. 患者におけるhsp72の発現と機能を調節するための方法であって、
    A)該患者の平熱情報を得る工程;
    B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、
    C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程、
    を包含する、方法。
  118. D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者のhsp72を最大に発現させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する、請求項117に記載の方法。
  119. 前記平熱情報は、温度検出手段により検出される、請求項117に記載の方法。
  120. 前記患者の体温は、前記工程D)で特定された治療温度±1.0℃以内にされる、請求項118に記載の方法。
  121. 前記患者の体温は、前記工程D)で特定された治療温度±0.3℃以内にされる、請求項118に記載の方法。
  122. 前記工程D)が、以下:
    a)患者の血中のhsp72の発現量と機能、
    b)患者の血圧の変化、
    c)患者の心拍数、
    d)患者の血流量、
    e)患者の血液のpH、
    f)患者の血中のHLAの発現量、および
    g)患者の血中のリンパ球数、
    からなる群より選択される生体変化をさらに基にする、請求項48に記載の方法。
  123. 前記工程D)が、患者から採取した末梢血白血球をインビトロで温度を可変にすることにより産生されるhsp72またはHLAを指標として行われる、請求項118に記載の方法。
  124. 顆粒球を変性、壊死または崩壊させないでhsp72の発現と機能を調節することをさらに特徴とする、請求項117に記載の方法。
  125. 患者におけるhsp72の発現と機能を調節するために該患者に温熱療法を実行する方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、該方法は、
    A)該患者の平熱を得る工程;
    B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、
    C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程、
    を包含する、
    プログラム。
  126. 前記方法が、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者のhsp72を最大に発現と機能を調節するための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する、請求項125に記載のシステム。
  127. 患者の疾患または障害を処置または予防するために使用する方法であって、
    A)該患者の平熱情報を得る工程;
    B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、
    C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程であって、該一定時間は、hsp72の発現が変動することが確認されるまでの時間である、工程、
    を包含する、方法。
  128. D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する、請求項127に記載の方法。
  129. 前記一定時間は、顆粒球の変性、壊死または崩壊が認められない程度の時間であることを特徴とする、請求項127に記載の方法。
  130. 患者の疾患または障害を処置または予防するために該患者に温熱療法を実行する方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、該方法は、
    A)該患者の平熱を得る工程;
    B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、
    C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程であって、該一定時間は、hsp72の発現が変動することが確認されるまでの時間である、工程、
    を包含する、
    プログラム。
  131. 前記方法が、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する、請求項130に記載のシステム。
  132. 患者におけるHLAの発現を増加させるための方法であって、
    A)該患者の平熱情報を得る工程;
    B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、
    C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程、
    を包含する、方法。
  133. D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者のHLAを最大に発現させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する、請求項132に記載の方法。
  134. 前記平熱情報は、温度検出手段により検出される、請求項132に記載の方法。
  135. 前記患者の体温は、前記工程D)で特定された治療温度±1.0℃以内にされる、請求項133に記載の方法。
  136. 前記患者の体温は、前記工程D)で特定された治療温度±0・3℃以内にされる、請求項133に記載の方法。
  137. 顆粒球を変性、壊死または崩壊させないでHLAの発現を増加させることをさらに特徴とする、請求項132に記載の方法。
  138. 患者におけるHLAの発現を増加させるために該患者に温熱療法を実行する方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、該方法は、
    A)該患者の平熱を得る工程;
    B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、
    C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程、
    を包含する、
    プログラム。
  139. 前記方法が、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者のHLAを最大に発現させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する、請求項138に記載のプログラム。
  140. 患者の疾患または障害を処置または予防するために使用する方法であって、
    A)該患者の平熱情報を得る工程;
    B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、
    C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程であって、該一定時間は、HLAの発現が増加することが確認されるまでの時間である、工程、
    を包含する、方法。
  141. D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する、請求項140に記載の方法。
  142. 前記一定時間は、顆粒球の変性、壊死または崩壊が認められない程度の時間であることを特徴とする、請求項140に記載の方法。
  143. 患者の疾患または障害を処置または予防するために該患者に温熱療法を実行する方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、該方法は、
    A)該患者の平熱を得る工程;
    B)該患者の体温を、温熱治療手段により、該患者の平熱より高い治療温度にする工程、
    C)該患者の体温を、該治療温度で一定時間保持する工程であって、該一定時間は、HLAの発現が増加することが確認されるまでの時間である、工程、
    を包含する、
    プログラム。
  144. 前記方法が、D)前記患者の酸化還元電位またはpHに基づいて該患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定する工程をさらに包含する、請求項143に記載の方法。
  145. 少なくとも2種類の温度調節手段を備える温度調節システムであって、
    該温度調節手段は、比熱または変温能力が相違する、
    温度調節システム。
  146. 前記少なくとも2種類の温度調節手段は、第一温度調節手段および比熱または変温能力が第一の温度調節手段より小さな第二の温度調節手段を含み、
    温度調節される被検体が治療温度から一定温度範囲外の温度にあるときには第一温度調節手段を作動させ、該被検体が該治療温度から該一定温度範囲内の温度になったときに、該第一温度調節手段の作動を停止し該第二温度調節手段が作動するよう指示する手段をさらに備える、請求項145に記載の温度調節システム。
  147. 前記少なくとも2種類の温度調節手段は、第一温度調節手段および比熱または変温能力が第一の温度調節手段より小さな第二の温度調節手段を含み、
    温度調節される被検体が治療温度から一定温度範囲外の温度にあるときには第一温度調節手段を作動させ該第二の温度調節手段は該被検体から熱的に絶縁されるように配置し、該被検体が該治療温度から該一定温度範囲内の温度になったときに、該第一温度調節手段の作動を停止し該被検体から熱的に絶縁されるように配置し該第二温度調節手段が作動するよう指示する手段をさらに備える、請求項146に記載の温度調節システム。
  148. 被検体の温度を治療温度へと調節するための方法であって、
    A)該被検体の温度が治療温度から一定温度範囲外の温度にあるときには第一温度調節手段を作動させる工程;
    B)該被検体が該治療温度から該一定温度範囲内の温度になったときには該第一温度調節手段を停止し、比熱または変温能力が第一の温度調節手段より小さな第二温度調節手段を作動させる工程、
    を包含する、方法。
  149. C)前記第二の温度調節手段を、前記被検体の温度が前記治療温度に達したときに停止する工程を包含する、請求項148に記載の方法。
  150. 患者の温熱治療効果を最大に発揮させるための該患者の治療温度を特定するシステムであって、
    該患者の酸化還元電位またはpHに基づいて治療温度を決定するためのアッセイシステム、
    を含む、システム。
  151. 前記患者の治療温度が、以下:
    a)患者の血中のhsp72の発現量と機能、
    b)患者の血圧の変化、
    c)患者の心拍数、
    d)患者の血流量、
    e)患者の血液のpH、
    f)患者の血中のHLAの発現量、および
    g)患者の血中のリンパ球数、
    からなる群より選択される生体変化をさらに基にして決定される請求項150に記載のシステム。
  152. 前記患者から生物サンプルを抽出する手段をさらに含む、請求項150に記載のシステム。
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