JP2003126135A - 温熱治療装置 - Google Patents

温熱治療装置

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JP2003126135A
JP2003126135A JP2001323479A JP2001323479A JP2003126135A JP 2003126135 A JP2003126135 A JP 2003126135A JP 2001323479 A JP2001323479 A JP 2001323479A JP 2001323479 A JP2001323479 A JP 2001323479A JP 2003126135 A JP2003126135 A JP 2003126135A
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JP
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temperature
liquid
treatment
body temperature
patient
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JP2001323479A
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English (en)
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Takahiko Oishi
貴彦 大石
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NIPPON KOSEI KAGAKU KENKYUSHO
NIPPON KOSEI KAGAKU KENKYUSHO KK
Original Assignee
NIPPON KOSEI KAGAKU KENKYUSHO
NIPPON KOSEI KAGAKU KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全身に転移する癌やHIV等の難治性感染症
に適応でき、患者を必要以上の高温に曝すことなく深部
体温を治療温度に短時間に昇温して精度良く長時間保持
し、正常細胞に対して非侵襲的に治療できる温熱治療装
置を提供する。 【解決手段】 患者の頭部以外のほぼ全身を液体に浸漬
させる治療槽10と、ヒータ14と冷却ファン16によ
って液体を加熱する加熱槽12と、治療槽と加熱槽の間
で液体を強制循環させるポンプ22、26と、液体を槽
内に拡散させる攪拌ノズル24、28と、冷却液を供給
する給水ライン40と、液体温度を計測する温度センサ
60、64と、患者の直腸温度を計測する直腸温度セン
サ62と、コントローラ80とを備え、治療温度、治療
時間、昇温条件、脱出体温等を設定することで治療を行
う。また、患者の直腸温度の変化から所定時間後の深部
体温を予測する機能を有し、オーバーシュートを生ずる
ことなく深部体温を治療温度に昇温し、治療時間にわた
って精度良く保持した後、脱出体温に降温する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、患者の頭部以外
のほぼ全身を温水に浸漬させて温熱治療を行うための温
熱治療装置に関し、特に、たとえば癌もしくはHIV等
の難治性感染症の治療に用いる温熱治療装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、癌の治療には外科的治療、放射線
療法、化学療法等が用いられていたが、これらはいずれ
も人体の正常組織に対して損傷を与える侵襲的治療方法
であるため、患者に対してダメージを与える。また、H
IV等の難治性感染症では、適切な治療法が無いのが現
状である。これに対し、近年、正常細胞と癌細胞やウィ
ルスの温度感受性の差を利用して、患部を41℃〜43
℃に加温して、正常細胞を守りながら癌細胞やウィルス
を死滅させる温熱療法(ハイパーサーミア)が非侵襲的
治療方法として注目されている。また、放射線療法や化
学療法に温熱療法を併用することで、その治療効果が高
まることが確認されている。
【0003】このような温熱療法には、特定の患部のみ
を加温する部分温熱療法と、全身を均一に加温する全身
温熱療法とがある。部分温熱療法には患部に高周波や超
音波を照射する方法や患部に電極針を差し入れて加温す
る方法が、全身温熱療法には体外循環によって血液を加
温する方法、遠赤外線を照射する方法が現在までに試み
られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の温熱療法では、以下のような問題があった。患部
に高周波や超音波を照射する方法や患部に電極針を差し
入れて加温する方法等の部分温熱療法では、局所的な癌
に対しては効果があるが、全身に転移する癌や血液内を
循環するウィルスに対しては必要な治療効果が得られな
い。
【0005】体外循環によって血液を加温する方法で
は、全身を加温することになるので全身に転移する癌や
血液内を循環するウィルスに対して治療効果が期待でき
るが、全身の深部体温を上げるためには血液を45℃〜
46℃に加温する必要があり、通常血液の凝固を防止す
る等のために例えばへパリン等を投与するため、治療時
間は1時間程度が限度であり、治療後数日間は立ち上が
れないほどの肉体的負担が生ずる。
【0006】遠赤外線を照射する方法でも全身を加温す
ることは可能であり、全身に転移する癌や血液内を循環
するウィルスに対して治療効果が期待できるが、深部体
温を41℃〜42℃に上げるには皮膚の温度が65℃以
上となり、長時間照射すると低温やけどを生ずる。この
ため、治療時間はやはり1時間程度が限度であり、深部
体温を治療温度に長時間保持する治療が困難である。
【0007】これに対し、患者の頭部以外のほぼ全身を
温水に浸漬させて体温を上昇させる全身浸漬温熱療法
は、患者を直接温水に浸漬させることから熱伝導性が飛
躍的に高まり、患者を必要以上の高温に曝すことなく全
身の体温を短時間に必要な治療温度に上昇できるので、
患者の肉体的負担が抑えられ、長時間の治療が可能であ
るという特長を有する。しかしながら、非侵襲的治療の
ためには、患者の体温を正常細胞の生理的範囲である4
3℃以下に抑え、かつ癌細胞やウィルスを死滅させるこ
とのできる41℃〜42.5℃以上のできるだけ高い温
度に精度良く長時間保持する必要があるが、このような
高精度の温度制御はこれまで困難とされ、実用化されて
いなかった。
【0008】それゆえに、本願発明の主たる目的は、全
身に転移する癌やHIV等の難治性感染症に適応でき、
患者を必要以上の高温に曝すことなく深部体温を必要な
治療温度に短時間に昇温して精度良く長時間保持し、正
常細胞に対して非侵襲的に治療できる温熱治療装置を提
供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の温熱治
療装置は、患者の頭部以外のほぼ全身を液体に浸漬させ
る治療槽と、液体を加熱する加熱手段と、液体を冷却す
る冷却手段と、液体を強制循環させる強制循環手段と、
液体の温度を計測する液体温度センサと、患者の深部体
温を計測する深部体温センサと、加熱手段と冷却手段を
制御する制御手段とを備え、患者の深部体温を設定され
た治療温度に加温して、設定された治療時間保持するこ
とにより治療するものである。これにより、患者の頭部
以外のほぼ全身を熱容量の大きい液体に直接浸漬させて
加温し、かつその液体を強制循環させた上で温度制御す
るので、全身に転移する癌や難治性感染症に適応でき、
患者を必要以上の恒温に曝すことなく深部体温を必要な
治療温度に昇温して精度良く保持できる。また、加熱手
段とともに冷却手段を備えるので、深部体温を昇温する
ときは液体温度を高く設定し、深部体温が治療温度に近
づいたときに液体を冷却することで、深部体温をより短
時間に昇温し、治療温度に精度良く保持できる。更に、
患者に対して設定された治療カロリーを与えた後、液体
を冷却して体温を脱出可能温度まで下げることができる
ので、患者に余分な負担を与えることなく安全に治療を
終了できる。
【0010】請求項2に記載の温熱治療装置は、請求項
1に記載の温熱治療装置であって、強制循環手段が治療
槽内に多数の噴出穴を有する複数の攪拌ノズルを分散配
備したものである。これにより、治療槽に強制循環され
る液体が拡散して噴出されるので、患者に対して不快感
を与えることなく、治療槽内の液体温度の温度偏在を小
さくでき、患者の深部体温を治療温度により精度良く保
持できる。
【0011】請求項3に記載の温熱治療装置は、請求項
1または請求項2に記載の温熱治療装置であって、液体
を加熱する加熱槽を備え、加熱手段を加熱槽に設けたも
のである。液体を加熱する加熱槽を治療槽と別に設ける
ことにより、加熱・冷却時における治療槽内の液体温度
の温度偏在をより小さくでき、患者の深部体温を治療温
度により精度良く保持できる。
【0012】請求項4に記載の温熱治療装置は、請求項
3に記載の温熱治療装置であって、強制循環手段が加熱
槽内に多数の噴出穴を有する複数の攪拌ノズルを分散配
備したものである。これにより、加熱槽に強制循環され
る液体が拡散して噴出されるので、治療槽内の液体温度
の温度偏在をより迅速に小さくでき、患者の深部体温を
治療温度により精度良く保持できる。
【0013】請求項5に記載の温熱治療装置は、請求項
3または請求項4に記載の温熱治療装置であって、前記
治療槽と前記加熱槽との間に連通管を備えたものであ
る。これにより、治療槽と加熱槽との間の強制循環によ
る流量にアンバランスがあっても、治療槽と加熱槽の液
面を一定に保持することができる。
【0014】請求項6に記載の温熱治療装置は、請求項
1ないし請求項5のいずれかに記載の温熱治療装置であ
って、制御手段が液体の現在の温度と目標温度の差に応
じて加熱手段の容量を変更する機能を有するものであ
る。これにより、液体の温度を迅速かつ精度良く目標温
度に昇温できる。
【0015】請求項7に記載の温熱治療装置は、請求項
1ないし請求項6のいずれかに記載の温熱治療装置であ
って、加熱手段が冷却ファンを含み、制御手段が冷却フ
ァンを制御する機能を含むものである。これにより、液
体の温度をより精度良く目標温度にコントロールでき
る。
【0016】請求項8に記載の温熱治療装置は、請求項
1ないし請求項7のいずれかに記載の温熱治療装置であ
って、冷却手段が液体に冷却液を供給する手段を含み、
制御手段が液体を所定温度の冷却液と所定量置換するこ
とによって液体を設定された温度に冷却する機能を有す
るものである。これにより、液体温度を迅速に設定温度
に冷却できる。
【0017】請求項9に記載の温熱治療装置は、請求項
1ないし請求項8のいずれかに記載の温熱治療装置であ
って、治療槽が手技を行うための窓を有する開閉可能な
外蓋を備えたものである。これにより、治療槽内の液体
の保温性が高まり、液体の温度を精度良くコントロール
できる。また、外蓋の内部の空気温度を保持し、液体か
ら露出している患者の体表面からの放熱を少なくするこ
とにより、深部体温をより短時間に昇温できる。更に、
外蓋には窓が設けられており、手技を行う際の放熱を最
小限に抑えることができる。
【0018】請求項10に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項9のいずれかに記載の温熱治療装置で
あって、治療槽が液体表面に密着させて使用する内蓋を
備えたものである。これにより、治療槽内の液体の保温
性が更に高まり、液体の温度をより精度良くコントロー
ルできる。
【0019】請求項11に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項10のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、強制循環手段による液体の1分当たりの循環
流量を治療槽の容積の20%ないし25%としたもので
ある。1分当たりの循環流量を治療槽の容積の20%以
上とすることで治療槽内の液体の温度偏在を0.1℃以
下とすることができ、25%以下とすることで患者に不
快な違和感を与えることなく強制循環できる。
【0020】請求項12に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項11のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、治療槽が患者の体位を調節する体位調節手段
を有するものである。これにより、長時間治療する場合
でも患者にとって苦痛の少ない体位を選択することがで
きる。
【0021】請求項13に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項12のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、治療槽が患者を昇降させる昇降手段を有する
ものである。これにより、患者を液体に浸漬することお
よび液体から排出することが容易に行える。
【0022】請求項14に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項13のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、治療槽が治療槽上で患者を移送する移送手段
を有するものである。これにより、搬送台車等と治療槽
と間の患者の移送が容易に行える。
【0023】請求項15に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項14のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、液体を殺菌する殺菌手段を備えたものであ
る。これにより、液体内の細菌の繁殖を防止できる。
【0024】請求項16に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項15のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、液体を0.85%ないし0.95%の濃度を
有する塩類溶液としたものである。患者を浸漬させる液
体に患者の体液に近い浸透圧を有する塩類溶液を使用す
ることで、長時間の浸漬に対して皮膚のふやけ等の弊害
を抑制できる。液体には0.85%ないし0.95%の
塩分濃度を有する塩水を用いてもよく、生理的食塩水や
生理的塩類溶液を使用してもよい。
【0025】請求項17に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項16のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、制御手段が設定された治療時間内において、
深部体温センサにより計測された深部体温の温度変化か
ら所定時間後の深部体温を予測し、予測された深部体温
と設定された治療温度とを比較して加熱手段と冷却手段
とを制御する機能を有するものである。これにより、患
者の深部体温を設定された治療温度に設定された治療時
間にわたって精度良く保持できる。
【0026】請求項18に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項17のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、制御手段が液体を設定された液体昇温レート
で昇温する機能と、深部体温センサにより計測された深
部体温の温度変化から所定時間後の深部体温を予測し、
予測された深部体温が設定された治療温度に対して所定
の温度範囲に入ったときに液体を設定された治療温度に
対して所定の温度に冷却する機能とを有するものであ
る。これにより、設定された液体昇温レートに従って液
体を昇温するので、患者に合わせた安全な深部体温の昇
温ができる。また、患者の深部体温の温度変化から所定
時間後の深部体温を予測して液体を冷却するので、昇温
時の深部体温のオーバーシュートを防止できる。
【0027】請求項19に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項17のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、制御手段が液体を深部体温センサにより計測
された深部体温との温度差を保持しながら昇温する機能
と、深部体温センサにより計測された深部体温の温度変
化から所定時間後の深部体温を予測し、予測された深部
体温が設定された治療温度に対して所定の温度範囲に入
ったときに液体を設定された治療温度に対して所定の温
度に冷却する機能とを有するものである。これにより、
液体温度と患者の深部体温の温度差を保持しながら液体
を昇温するので、患者が受けるストレスを抑制し、安全
な深部体温の昇温ができる。また、患者の深部体温の温
度変化から所定時間後の深部体温を予測して液体を冷却
するので、昇温時の深部体温のオーバーシュートを防止
できる。
【0028】請求項20に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項17のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、制御手段が深部体温センサにより計測された
深部体温の温度上昇レートと設定された深部体温昇温レ
ートとを比較し、前者が小さいときは液体を加熱し、後
者が小さいときは液体を冷却する機能と、深部体温セン
サにより計測された深部体温の温度変化から所定時間後
の深部体温を予測し、予測された深部体温が設定された
治療温度に対して所定の温度範囲に入ったときに液体を
設定された治療温度に対して所定の温度に冷却する機能
とを有するものである。これにより、患者の深部体温の
昇温レートを保持しながら液体を昇温するので、患者に
最適な深部体温の昇温レートが選択でき、安全な深部体
温の昇温ができる。また、患者の深部体温の温度変化か
ら所定時間後の深部体温を予測して液体を冷却するの
で、昇温時の深部体温のオーバーシュートを防止でき
る。
【0029】請求項21に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項20のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、制御手段が深部体温センサにより計測された
深部体温が設定された脱出体温以下となるまで液体を設
定された液体降温レートで降温する機能を有するもので
ある。これにより、患者の深部体温が設定された脱出体
温以下になるまで設定された液体降温レートに従って液
体を降温するので、患者に合わせた深部体温の降温がで
き、患者を液体から安全に脱出させることができる。
【0030】請求項22に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項20のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、制御手段が深部体温センサにより計測された
深部体温が設定された脱出体温以下となるまで、深部体
温センサにより計測された深部体温の温度下降レートと
前記設定された深部体温降温レートとを比較し、前者が
大きいときは液体を加熱し、後者が小さいときは液体を
冷却する機能を有するものである。これにより、患者の
深部体温が設定された脱出体温以下になるまで設定され
た深部体温降温レートに従って液体を昇温するので、患
者に最適な深部体温の降温レートが選択でき、患者を液
体から安全に脱出させることができる。
【0031】請求項23に記載の温熱治療装置は、請求
項18、請求項20、請求項21、請求項22のいずれ
かに記載の温熱治療装置であって、制御手段が液体温度
センサにより計測された液体温度と深部体温センサによ
り計測された深部体温の温度差が設定された温度差を超
えないように制御する機能を有するものである。これに
より、昇温時または降温時における液体温度と深部体温
の差により患者が受ける痛み等のストレスが緩和され、
より安全に昇温または降温ができる。
【0032】請求項24に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項23のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、患者に対して人工呼吸を施すための人工呼吸
器を備え、治療中の患者の呼吸を確保するようにしたも
のである。これにより、患者の深部体温を昇温するため
に麻酔を行う場合にも患者の呼吸が確保でき、より安全
に治療できる。
【0033】請求項25に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項24のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、患者の心拍数、呼吸数、血圧を含む生体活動
を監視する生体センサを備え、制御手段が生体センサの
信号に基づいて液体の温度を制御する機能を有するもの
である。これにより、患者の生体反応に応じて治療条件
を変更できる。また、患者の生体反応に応じて液体温度
を下げることにより、患者の体温を迅速に脱出可能温度
に下げることができ、より安全に治療できる。
【0034】請求項26に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項25のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、患者の頭部を冷却する頭部冷却手段を備え、
治療中の患者の頭部の体温を生理的範囲に保持するよう
にしたものである。これにより、頭部の体温を生理的範
囲に保持するので、より安全に治療できる。また、頭部
の体温を41.0℃以上、41.8℃以下に保持するこ
とで、全身温熱治療の効果を損なうことなく、頭部の体
温を生理的範囲に保持できるので、より安全で効果的な
治療を施すことが可能となる。
【0035】請求項27に記載の温熱治療装置は、請求
項1ないし請求項26のいずれかに記載の温熱治療装置
であって、患者の特定の部位を加熱する部分加熱手段を
備え、治療中の患者の全身の体温を治療効果を有する治
療温度に保持しながら、患者の特定の患部の体温を治療
温度より高い温度に保持するようにしたものである。こ
れにより、例えば全身の体温を42℃〜43℃に保持し
ながら、特定の患部の深部体温を43℃〜44℃に加温
することで、非侵襲的に全身に転移する癌や難治性感染
症を治療しつつ、特定の患部の癌細胞や細菌を効果的に
死滅させることができる。また、特定の患部の深部体温
を全身の体温より1℃〜2℃高い温度に加温すること
で、全体の治療時間を短縮したり、全身の体温をより低
い温度で治療することが可能となり、患者にとってより
負担の少ない全身温熱治療を実現できる。
【0036】本願発明の上述の目的,その他の目的,特
徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施
の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0037】
【発明の実施の形態】図1に本願発明の一実施形態にか
かる温熱治療装置のシステム構成を示す。本実施形態
は、患者の頭部以外の全身を液体Wに浸漬させるための
治療槽10と、液体Wを加熱するための加熱槽12を別
に備える2槽式を採用している。治療槽10は、液体W
の温度を計測する温度センサ60と、患者の直腸温度を
計測する直腸温度センサ62とを備える。加熱槽12
は、液体Wを加熱するヒータ14と、液体Wを微小冷却
する冷却ファン16と、温度センサ64と、水位センサ
68とを備える。
【0038】治療槽10と加熱槽12の間は循環ライン
20で接続され、加熱槽12から治療槽10に液体Wを
強制循環させるポンプ22と、治療槽10から加熱槽1
2に液体Wを強制循環させるポンプ26と、循環ライン
の循環流量を計測する流量センサ70、72を備える。
治療槽10には、多数の噴出穴を有する複数の攪拌ノズ
ル24が分散配備され、ポンプ22によって循環された
液体が槽内に拡散噴出される。同様に、加熱槽12には
多数の噴出穴を有する複数の攪拌ノズル28が分散配備
され、ポンプ26によって循環された液体が槽内に拡散
噴出される。このように、循環ライン20によって治療
槽10と加熱槽12の間で液体Wを強制循環させ、攪拌
ノズル24、28によって各槽内に分散注入すること
で、治療槽10内の液体温度偏差を小さくし、患者の深
部体温を設定された治療温度に精度良く加温できるよう
にしている。また、循環ライン20には液体Wの不純物
を除去するためフィルタ30が備えられ、加熱槽12に
は治療によって液体W内に生ずる雑菌の繁殖を防止する
ため殺菌用のUV燈が備えられている。
【0039】治療槽10と加熱槽12の間は、連通管3
2によって接続され、治療槽10から加熱槽12への流
量と加熱槽12から治療槽10への流量にアンバランス
が生じても治療槽の10の水位を安定に保つことができ
るようにしている。
【0040】循環ライン20には液体Wを供給する給水
ライン40が接続されており、最初の温液体の治療槽1
0および加熱槽12への給水と、治療時の冷液体の給水
による液体Wの冷却に使用する。供給される温液体の温
度は40℃程度、冷液体の温度は5〜20℃程度を想定
しており、最初の給水は電動バルブとを介して温液
体を直接供給し、治療時の液体Wの冷却は電動バルブ
、を介して温液体と冷液体を温調弁42で混合し、
適当な温度とした冷却液を電動バルブを介して供給す
る。給水温度は温度センサ66で計測され、給水流量は
流量センサ74で計測される。
【0041】また、治療槽10、加熱槽12、給水ライ
ン20から液体Wを排水する排水ライン50を備え、そ
れぞれ治療槽10からは電動バルブを介して、加熱槽
2からは電動バルブを介して、給水ラインからは電動
バルブを介して、液体Wが排水される。治療槽10か
らの排水量は流量センサ76で、加熱槽12からの排水
量は流量センサ78でそれぞれ計測される。
【0042】液体Wは、長時間の浸漬によって患者の皮
膚がふやける等の弊害を抑制するため、人間の体液に近
い0.85%〜0.95%の塩分濃度を有する塩水を使
用する。このため、温液体や冷液体の供給ラインには専
用タンクを設け、ここで濃度調整や温度調整を行って給
水ライン40に供給するようにしてもよい。また、生理
的食塩水や生理的塩類溶液を使用してもよい。
【0043】制御装置としては、各センサ信号を取込
み、ヒータ14と冷却ファン16および各電動バルブを
作動させるコントローラ80と、コントローラ80に対
して制御指令を与えるコンピュータ82とを備える。コ
ントローラ80は、温度センサ60および64の信号を
もとにヒータ14と冷却ファン16を作動させて、液体
Wをコンピュータ82から指定された設定温度に制御す
る機能を有する。また、コントローラ80は水位センサ
68、流量センサ74、76、78の信号をもとに電動
バルブ、、、、、を作動させて、温液体を
治療槽10および加熱槽12に所定水位まで給水する機
能と、液体Wを所定温度の冷却液と所定量置換してコン
ピュータ82から指定された設定温度まで冷却する機能
とを備える。コンピュータ82は、表示装置82と入力
装置84を備え、コントローラ80から受信した各セン
サ情報を表示装置82に表示して医師等に対してガイダ
ンスを与えるとともに、入力装置84から入力された治
療条件に基づき、コントローラ80に対して制御指令を
与え、一連の治療処理を行う。
【0044】図2に本願発明の一実施形態にかかる温熱
治療装置の本体機構の正面図解図を、図3に同本体機構
の側面図解図を示す。治療槽10には、患者を乗せるベ
ッド100と、ベッド100を治療槽内で昇降させて患
者を液体に浸漬させたり、脱出させたりするための昇降
ベース102・昇降アーム104・ローラ106・昇降
用モータ108からなる昇降機構と、ベッド100を搬
送台車120と治療槽10の間で水平移動するためのス
ライドレール110・下車輪112・上車輪114から
なる移送機構とを備える。ベッド100は、患者を長時
間液体に浸漬させるため、最も楽な体位を取れるよう
に、腰の角度・足の角度・首の角度を調節できる体位調
節機構を有する。また、腕に点滴を行う等のため、腕を
乗せる台を備える。
【0045】治療槽10は、治療槽全体を覆う外蓋90
と、液体Wの液面を覆う内蓋96とを備える。外蓋90
は、図4のように開閉可能なスライド式としており、患
者が液体Wに浸漬している間は治療槽全体を覆い、患者
の液体Wから露出した部分からの熱の拡散を抑え、深部
体温の昇温時間を短縮するとともに、治療中の深部体温
の安定化を図る。外蓋90は、治療中に患者を観察でき
るように透明樹脂で形成され、医師等が手技を行えるよ
うに窓92を備える。窓92は、可撓性を有する保温カ
バー94で覆われており、保温カバー94で覆いながら
手技をすることで熱の拡散をできる限り抑えるようにし
ている。また、内蓋96は、フロート式の断熱材で、患
者を液体Wに浸漬させた後、液体表面を覆うようにセッ
トする。これにより、液体Wの保温性が高まり、更に短
時間の体温上昇と、治療中の体温の安定化が図れる。
【0046】88は制御装置を収容した制御盤であり、
コントローラ80、コンピュータ82、表示装置84、
入力装置86を収容する。その他、制御盤88にはヒー
タやポンプ等を駆動する動力盤、各種センサの信号処理
等を行う電子回路盤、各種コントローラの指示計器、異
常確認燈等を備える。
【0047】患者を液体Wに浸漬した後、患者の頭部に
は頭部冷却装置130がセットされる。これは、治療中
に頭部の体温が高くなりすぎた場合に、患者を保護する
ために頭部を冷却するものである。通常、頭部体温の生
理的範囲は41.8℃以下とされており、ここでは頭部
の体温が41.5℃を超えたときに頭部冷却装置を作動
させるようにした。頭部冷却装置130は、例えば患者
の頭部をヘルメット状のもので覆い、その中に35℃程
度の冷却水を流すことで必要な冷却効果を得ることがで
きる。また、患者の頭部の体温は、直接頭部に深部体温
センサを取付けて計測するようにしてもよいが、患者の
頚動脈部と頚静脈部に深部体温センサを取付けて、頭部
に流入する血液の温度と頭部から流出する血液の温度を
計測し、両者の平均値を用いるようにしてもよい。尚、
頭部冷却装置130は、前述の方法によって計測される
頭部の体温を41.0℃以上であって、41.8℃以下
となるように、冷却水の温度または流量をコントロール
するようにしてもよい。このようにすれば、頭部に転移
する癌細胞やウィルスに対しての治療効果を損なうこと
なく、全身の温熱治療が行える。
【0048】また、患者を液体Wに浸漬させる際に、患
者の特定の患部を更に高い温度に加温する部分加温装置
(図示省略)を取付けてもよい。これにより、例えば全
身の体温を42℃〜43℃に保持しながら、特定の患部
の深部体温を43℃〜44℃に加温することで、非侵襲
的に全身に転移する癌や難治性感染症を治療しつつ、特
定の患部の癌細胞や細菌を効果的に死滅させることがで
きる。更に、特定の患部の深部体温を全身の体温より1
℃〜2℃高い温度に加温することで、全体の治療時間を
短縮したり、全身の体温をより低い温度で治療すること
が可能となり、患者にとってより負担の少ない全身温熱
治療を実現できる。部分加温装置は、例えば断熱部材か
らなるパッドを患部に固定し、中央部の体表面側に温液
体を流すことにより実現できる。これは、断熱材で熱流
を遮断することで深部体温が近似的に体表面温度と等し
くなることを応用したもので、パッドの中心に温度セン
サを設け、これが43℃〜44℃とするように温水の温
度を制御することで、特定患部の深部体温を必要な治療
温度に加温できる。
【0049】上記本体機構の治療開始から、治療終了ま
での一連の動作を説明すると次のようになる。治療開始
時は、まず搬送台車100上で患者に麻酔を施し、体温
の昇温が可能な状態になったら、外蓋90を開け、患者
を乗せたベッド100をスライドレール110によって
昇降ベース102に移送する。次に、直腸体温センサ6
2等の生体モニタ用のセンサ、人工呼吸器、点滴等を患
者にセットし、必要に応じて部分加温装置を患者に取付
けた後、昇降モータ106によって昇降アーム104を
折り畳んでベッド100を下降させ、患者を液体Wに浸
漬させる。最後に、頭部冷却装置130を患者にセット
し、内蓋96をセットし、外蓋90を閉じる。治療終了
時は、まず外蓋90を開け、内蓋96を除去する。次
に、昇降モータ106によって昇降アーム104を伸張
してベッド100を上昇させ、患者を液体Wから脱出さ
せる。最後に、患者を乗せたベッド100をスライドレ
ール110によって搬送台車120に移送する。
【0050】次に、コントローラ80による液体の温度
制御について説明する。本実施形態では、加熱槽12に
はヒータ14として容量の異なるラインヒータを複数本
備え、これと冷却ファン16とによって、液体Wの精密
な温度コントロールを行うようにしている。図5に本願
発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の温度制御アル
ゴリズムの例を示す。これは、小動物の臨床試験用とし
て製作した温熱治療装置に使用したものである。この場
合、治療槽容量は200リットル、加熱槽容量は216
リットルであり、3.0KW、1.0KW、0.5KW
の3種類のヒータと冷却ファンを用いた。
【0051】図のように、一定のサイクルタイムの経過
を待って液体温度を計測し、液体温度が設定温度より
0.3℃以上低いときはすべてのヒータをONとし、冷
却ファンをOFFとする。液体温度が設定温度より0.
2℃以上低いときは3.0KWのヒータをOFF、1.
0KWと0.5KWのヒータをON、冷却ファンをOF
Fとする。液体温度が設定温度より0.05℃以上低い
ときは3.0KWと0.5KWのヒータをOFF、1.
0KWのヒータをON、冷却ファンをOFFとする。液
体温度が設定温度より0.01℃以上低いときは3.0
KWと1.0KWのヒータをOFF、0.5KWのヒー
タをON、冷却ファンをOFFとする。その他の場合
は、すべてのヒータをOFF,冷却ファンをONとす
る。このように、現在の温度と設定温度(目標温度)の
差に応じて通電するヒータの容量を変更することで、液
体温度を約30分で5℃昇温でき、かつ設定温度に対し
て0.05℃以内の精度で保持できることが確かめられ
た。人間用の温熱治療装置では、治療槽容量は約800
リットル、加熱槽容量は約300リットルとなるが、ヒ
ータ容量を上記の約3倍にすることで、同等の温度制御
が実現できると考えられる。
【0052】尚、上記実施形態では、ヒータ14には容
量の異なる複数のヒータを用い、温度差に応じて通電す
るヒータを切替えるようにしたが、本願発明はこれに限
定されるものではなく、単一のヒータを用いて、例えば
パルス通電し、そのデューティを変えることで実質的に
容量を切替えるようにしてもよく、同様の効果を奏す
る。
【0053】循環流を治療槽10内に拡散するための攪
拌ノズルは、図2、図3に示すように治療槽10内の液
面ほぼ中央の両側に6個ずつ計12個を備え、循環流を
下向きに噴射して、底面で反射して対流するようにして
いる。これにより、治療槽内の温度偏差は極めて微小に
抑えられ、浸漬中の患者にも直接循環流が当たらないた
め不快感を生じない。温度制御の場合と同様に、小動物
の臨床試験用に製作した治療装置で治療槽内の温度偏差
を測定した。その結果、循環流量を40リットル/分以
上にすると、42℃〜44℃において最大温度偏差は
0.05℃未満であることが確認された。また、循環水
量を50リットル/分以上とすると液面にさざなみを生
じ始めるので、人体に違和感を生じないためには、これ
以下とするのが望ましいと考えられる。この場合の治療
槽の容量は200リットルであることから、1分当たり
の循環流量の最適範囲は治療層の容量の20%〜25%
が最適と考えられる。
【0054】このように、1分当たりの循環流量を治療
槽の容量の20〜25%にすることで、人間に違和感を
与えることなく液体の温度偏差を0.05℃に抑えるこ
とができる。従って、前述の温度制御精度とあわせて治
療槽内の液体の温度を0.1℃の精度で均一に保持でき
るので、患者の深部体温を0.1℃の精度で均一に加温
する温熱治療が実現できる。
【0055】図6に本願発明の一実施形態にかかる温熱
治療装置の生体管理装置の概観を示す。全身温熱治療に
おいては、体温を41℃以上に強制的に昇温するため、
通常は患者に対して麻酔を施し、呼吸を確保するための
人工呼吸器を装着する。このため、生体管理装置には患
者の心拍数、呼吸数、血圧等をモニタする生体モニタ2
00と、患者に対して麻酔を施すための麻酔装置210
と、麻酔中の呼吸確保のための人工呼吸器220とを備
える。
【0056】この生体モニタの情報は、コンピュータ8
2に取込み、表示装置84に表示するとともに、これら
の情報に基づいて治療条件を変更するようにしてもよ
い。例えば、心拍数が所定数を超えたときは、状況に応
じて後述の昇温レートを下げたり、昇温を中止したりす
るようにしてもよく、緊急時には自動的に一定の体温ま
で降温させるようにしてもよい。
【0057】上記実施形態では、液体を加熱する加熱手
段としてラインヒータを用いたが、本願発明はこれに限
定されるものではなく、ラバーヒータ等を使用してもよ
く、ガスボイラを使用してもよい。その他、加熱槽12
または循環ライン20上に熱交換器を設けて温液体によ
って熱交換する方法や、液体を温液体と直接置換する方
法等、あらゆる加熱手段が適用でき、同様の効果を奏す
る。
【0058】上記実施形態では、液体を冷却する冷却手
段として冷却液を循環ラインに注入する方法を使用した
が、本願発明はこれに限定されるものではなく、液体W
を充分に循環させながら加熱槽12または治療槽10に
直接冷却液を注入するようにしてもよい。その他、加熱
槽12または循環ライン20上に熱交換器を設けて冷液
体と熱交換する方法、圧縮冷媒ガスを用いた冷凍機を使
用する方法、ペルチェ素子を用いた電子冷却装置を使用
する方法等、あらゆる冷却手段が適用でき、同様の効果
を奏する。
【0059】上記実施形態では、患者の深部体温は直腸
温度センサ62によって計測するとして説明したが、本
願発明はこれに限定されるものではなく、鼓膜温度セン
サを用いたり、排尿器を取付けて膀胱温度を測定するよ
うにしてもよく、これらを併用するようにしても、同様
の効果を奏する。
【0060】上記実施形態では、治療槽10とは別に液
体を加熱する加熱槽12を設ける2槽式について説明し
たが、本願発明はこれに限定されるものではなく、加熱
槽12を設けず1槽式とし、循環ライン上に加熱用のヒ
ータを設けるようにしてもよい。図7に本願発明の他の
実施形態にかかる1槽式の温熱治療装置のシステム構成
を示す。各構成要素のうち、前記実施形態と同じ番号の
ものは同等のものである。このような1槽式の温熱治療
装置でも、治療槽10に複数の攪拌ノズル24を設け
て、循環ライン20によって所定の流量を治療槽10に
循環させ、前述のヒータ制御を行うことによって、治療
槽10内の液体温度を0.1℃の精度で均一に保持でき
ることが確かめられている。
【0061】また、上記実施形態で示した体位調節機
構、昇降機構、移送機構は、一実施形態として示したも
のであり、それぞれ患者の体位を調節でき、患者を治療
槽内で昇降でき、患者を治療槽と搬送台車間で移送でき
るものであればどのような機構であってもよく、同様の
効果を奏することは言うまでもない。
【0062】次に、本願発明の温熱治療装置の治療制御
機能について述べる。図8に本願発明の一実施形態にか
かる温熱治療装置の制御装置による治療制御フローを示
す。最初に、治療槽10と加熱槽12に所定量の液体W
を注入する(S100)。注入が完了すると、液体Wを
浸漬温度(例えば、40℃)まで加熱する(S20
0)。液体温度が浸漬温度になったら、患者を浸漬させ
る(S300)。患者の浸漬が完了したら、患者の深部
体温を上げる昇温処理を行う(S400)。患者の深部
体温が設定された治療温度になったら、所定の治療カロ
リーとなるまで患者の深部体温を保持する保温処理を行
う(S500)。設定された治療時間が経過したら、治
療を終了して患者の深部体温を下げる降温処理を行う
(S600)。患者の深部体温が脱出体温以下になった
ら、患者を脱出させる(S700)。最後に、液体Wの
排水(S800)、治療槽10等の洗浄(S900)を
行って、一連の治療制御を終了する。
【0063】図9に昇温処理(S400)の第1実施例
にかかる処理フローを示す。本昇温処理は、液体温度を
あらかじめ設定した昇温レートΔTwaで昇温するもの
である。最初に、所定のサイクルタイムの経過を待つ
(S402)。サイクルタイムは、深部体温センサの応
答時間等により決定される。本処理では、このサイクル
タイムが単位時間となるため、昇温レートΔTwaはこ
のサイクルタイムあたりの液体上昇温度を設定する。サ
イクルタイムが経過したら、深部体温を計測し(S40
4)、計測された深部体温から所定時間後の深部体温を
予測する(S406)。深部体温の予測は、前回の測定
値との差から直線近似によって求めるようにしてもよ
く、3つ以上の深部体温計測値から高次近似するように
してもよい。予測する時間は、液体温度による患者の体
温の応答時間等に基づいて決定する。以下の深部体温の
予測は、すべて同様の処理によって行う。次に、求めら
れた予測体温を治療温度と比較し(S408)、まだ治
療温度に達していない場合は液体温度を計測し(S41
0)、計測された液体温度が最大液体温度Tmaxを超
えない範囲で設定温度にΔTwaを加算する(S41
4)。ここで、Tmaxは液体温度を上げ過ぎないよう
にするものであって、通常は45℃程度に選ばれるが、
患者の深部体温と液体温度の温度差を一定の温度で制限
するようにしてもよい。このようにすれば、患者が体温
と液体温度の差によって生ずる温度痛を減少させること
ができ、より安全に昇温できる。以上の処理をS402
から繰返し、S408で予測温度が治療温度に達したら
治療温度に所定のオフセットToを加えた温度を設定温
度とし(S416)、液体Wを所定量の冷却液と置換し
て液体温度を当該設定温度に冷却する液体冷却を行い
(S418)、昇温処理を終了する。ここで、オフセッ
トToは深部体温を治療温度に保持するために必要な液
体温度と深部体温の温度差であり、本温熱治療装置およ
び患者の代謝によって失われる熱量を考慮して定める。
【0064】液体Wと冷却液の置換による液体冷却は、
治療槽10と加熱槽12と循環ライン20の合計液体量
と現在の液体温度と冷却液温度から必要な液体置換量を
計算し、流量センサ76、78を監視しながら排水バル
ブ、を開けて所定量液体Wを排水し、流量センサ7
4を監視しながら給水バルブを開けて同量の冷却液を
給水することで行う。ここで、温液体と冷液体を温調弁
42で混合した冷却液温度は、給水開始当初は誤差があ
るため、一定時間排水バルブを開けて排水した後に温
度センサ66で計測するようにしている。以下の液体冷
却はすべて同様の処理によって行う。
【0065】図10に昇温処理(S400)の第2実施
例にかかる処理フローを示す。本昇温処理は、患者の深
部体温と液体温度の温度差を一定に保ちながら昇温する
ものである。最初に、深部体温の温度上昇レートを求め
るための初期値として、深部体温を計測し、これを前回
体温とする(S420)。第1実施例と同様に、サイク
ルタイムの経過を待ち(S422)、深部体温の計測
(S424)、深部体温の予測(S426)を行う。予
測体温を治療温度と比較して(S428)、まだ治療温
度に達していない場合は、設定温度に計測された深部体
温と前回体温の差を加え(S430)、計測された深部
体温を前回体温にセットして(S432)、S422か
ら繰返す。S428で、予測体温が治療温度に達した
ら、第1実施例と同様に、治療温度に所定のオフセット
Toを加えた温度を設定温度とし(S434)、当該設
定温度に液体冷却し(S436)、昇温処理を終了す
る。
【0066】図11に昇温処理(S400)の第3実施
例にかかる処理フローを示す。本昇温処理は、患者の深
部体温をあらかじめ設定した昇温レートΔTbaで昇温
するものであり、深部体温の上昇がΔTbaよりΔTb
al以上小さい場合は液体温度をΔTwaaだけ上げ、
深部体温の上昇がΔTbaよりΔTbau以上大きい場
合は液体温度をΔTwadだけ下げる。ΔTbaは、第
1実施例と同様にサイクルタイムあたりの深部体温上昇
温度を設定する。最初に、深部体温の温度上昇を求める
ための初期値として、深部体温を計測し、これを前回体
温とする(S440)。第1実施例と同様にサイクルタ
イムの経過を待ち(S442)、深部体温の計測(S4
44)、深部体温の予測(S446)を行う。予測体温
を治療温度と比較して(S448)、まだ治療温度に達
していない場合は、深部体温と前回体温の差をΔTba
―ΔTbalと比較し(S450)、前者深部体温の差
の方が小さい場合は液体温度を計測し(S452)、液
体温度がTmaxを超えない範囲で設定温度をΔTwa
aだけ上げる(S456)。深部体温の差の方が大きい
か等しい場合は、更に深部体温と前回体温の差をΔTb
a+ΔTbauと比較し(S458)、深部体温の差の
方が大きい場合は設定温度をΔTwadだけ下げ、当該
設定温度に液体冷却する(S462)。その他の場合は
何も行わない。以上の処理をS442から繰返し、S4
48で予測体温が治療温度に達したら、第1実施例と同
様に、治療温度に所定のオフセットToを加えた温度を
設定温度とし(S464)、当該設定温度に液体冷却し
(S466)、昇温処理を終了する。
【0067】図12に保温処理(S500)の実施例に
かかる処理フローを示す。最初に、サイクルタイムの経
過を待ち(S502)、深部体温の計測(S504)、
深部体温の予測(S506)を行う。予測体温を治療温
度+ΔTbcu(治療温度偏差上限)と比較し(S50
8)、予測体温が大きい場合は設定温度をΔTwcd
(治療時液体微小冷却温度)だけ下げ(S510)、当
該設定温度に液体冷却する(S512)。予測体温が小
さいか等しい場合は、更に予測温度を治療温度―ΔTb
cl(治療温度偏差下限)と比較し(S514)、予測
体温がこれより小さい場合は設定温度をΔTwcaだけ
上げる(S516)。最後に、治療時間が経過したか否
かを判断し(S518)、治療時間が経過していないと
きはS502から繰返し、治療時間が経過したときは保
温処理を終了する。なお、上記実施例ではS508で予
測体温が大きい場合は、設定温度をΔTwcd下げると
ともに、S512で液体冷却するとしたが、微小な温度
範囲で制御する場合は液体冷却を行わず、設定温度を下
げるだけでよい。この場合でも、自然放熱と冷却ファン
による冷却によって液体温度は下がるので、同様の効果
を奏する。
【0068】図13に降温処理(S600)の第1実施
例にかかる処理フローを示す。本降温処理は、液体温度
をあらかじめ設定した昇温レートΔTwdで降温するも
のである。ΔTwdは、同様にサイクルタイムあたりの
液体下降温度を設定する。最初に、サイクルタイムの経
過を待ち(S602)、深部体温を計測し(S60
4)、計測された深部体温を設定された脱出温度と比較
する(S606)。計測された深部体温が脱出体温より
大きい場合は、液体温度を計測し(S608),液体温
度がTminを下回らない範囲で設定温度をΔTwdだ
け下げ(S612)、当該設定温度に液体冷却する(S
614)。ここで、Tminは液体温度を下げ過ぎない
ようにするものであるが、患者の深部体温と液体温度の
温度差を一定の温度で制限するようにしてもよい。この
ようにすれば、患者が体温と液体温度の差によって生ず
る温度痛を減少させることができ、より安全に降温でき
る。以上の処理をS602から繰返し、S606で深部
体温が脱出体温以下となったら終了する。
【0069】図14に、降温処理(S600)の第2実
施例にかかる処理フローを示す。本降温処理は、患者の
深部体温をあらかじめ設定した降温レートΔTbdで降
温するものであり、深部体温の下降が所定の降温レート
よりΔTbdl以上小さい場合は液体温度をΔTwdd
だけ下げ、深部体温の下降が所定の降温レートよりΔT
bdu以上大きい場合は液体温度をΔTwdaだけ下げ
る。ΔTbdは、同様にサイクルタイムあたりの深部体
温下降温度を設定する。最初に、深部体温の温度上昇を
求めるための初期値として、深部体温を計測し、これを
前回体温とする(S620)。サイクルタイムの経過を
待ち(S622)、深部体温を計測し(S624)、計
測された深部体温を設定された脱出温度と比較する(S
626)。計測された深部体温が脱出体温より大きい場
合は、前回体温と計測された深部体温の差をΔTbd−
ΔTbdlと比較し(S628)、深部体温の差の方が
小さい場合は液体温度を計測し(S630)、液体温度
がTminを下回らない範囲で、設定温度ΔTwddだ
け下げ、当該設定温度に液体冷却する(S636)。深
部体温の差の方が大きいか等しい場合は、更に前回体温
と計測された深部体温の差をΔTbd+ΔTbduと比
較し(S638)、深部体温の差の方が大きい場合は設
定温度をΔTwdaだけ上げる。その他の場合は、何も
行わない。以上の処理をS622から繰返し、S626
で深部体温が脱出体温以下となったら終了する。
【0070】以上のような、昇温処理(S400)、保
温処理(S500)、降温処理(S600)を行うこと
により、深部体温と液体温度の関係は図15のように制
御される。以上のような治療制御処理によれば、昇温時
は所定時間後の深部体温を予測して冷却処理をするの
で、オーバーシュートを生ずることなく深部体温を設定
された治療温度に昇温できる。また、液体温度を設定さ
れた昇温レートで昇温したり、深部体温と液体温度の温
度差を一定として昇温したり、深部体温を設定された昇
温レートで昇温したりできるので、患者に合わせた負担
の少ない昇温方法が選択できる。治療時においても、深
部体温の変化から所定時間後の深部体温を予測して液体
温度を制御するので、高い精度で深部体温を一定に保持
できる。また、降温時も、液体温度を設定された降温レ
ートで降温したり、深部体温を設定された降温レートで
降温したりできるので、患者に合わせた負担の少ない降
温方法が選択でき、深部体温を無理なく脱出体温に冷却
できる。また、昇温時・降温時において液体温度や、液
体温度と深部体温の差を一定の範囲を超えないようにす
る機能を有するので、患者が体温と液体温度の温度差に
より受ける温度痛等のストレスを抑制できる。
【0071】
【発明の効果】本願発明によれば、患者の頭部以外のほ
ぼ全身を液体に浸漬させる治療槽と、液体を加熱する加
熱手段と、液体を冷却する冷却手段と、液体を強制循環
させる強制循環手段と、液体の温度を計測する温度セン
サと、患者の深部体温を計測する深部体温センサと、加
熱手段と冷却手段を制御する制御手段とを備えたので、
患者を必要以上の高温に曝すことなく深部体温を必要な
治療温度に短時間に昇温して精度良く長時間保持でき、
全身に転移する癌やHIV等の難治性感染症を正常細胞
に対して非侵襲的に治療できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の
システム構成図である。
【図2】本願発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の
本体機構の正面図解図である。
【図3】本願発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の
本体機構の側面図解図である。
【図4】本願発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の
治療槽の外蓋の図解図である。
【図5】本願発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の
温度制御アルゴリズムの例である。
【図6】本願発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の
生体管理装置の概観図である。
【図7】本願発明の他の実施形態にかかる温熱治療装置
のシステム構成図である。
【図8】本願発明の一実施形態にかかる温熱治療装置の
治療制御フロー図である。
【図9】本願発明の昇温処理の第1実施例にかかる処理
フロー図である。
【図10】本願発明の昇温処理の第2実施例にかかる処
理フロー図である。
【図11】本願発明の昇温処理の第3実施例にかかる処
理フロー図である。
【図12】本願発明の保温処理の実施例にかかる処理フ
ロー図である。
【図13】本願発明の降温処理の第1実施例にかかる処
理フロー図である。
【図14】本願発明の降温処理の第2実施例にかかる処
理フロー図である。
【図15】本願発明の治療処理を行った場合の液体温度
と深部体温の時間変化を示す概念図である。
【符号の説明】
10 治療槽 12 加熱槽 14 ヒータ 16 冷却ファン 20 循環ライン 22、26 循環ポンプ 24、28 攪拌ノズル 32 連通管 34 UV燈 40 給水ライン 50 排水ライン 60 治療槽内液体温度センサ 62 直腸温度センサ 64 加熱槽内温度センサ 80 コントローラ 82 コンピュータ 90 治療槽外蓋 92 外蓋の手技用窓 94 外蓋の手技用窓の保温カバー 96 治療槽内蓋 100 体位調節機構付きベッド 102〜108 ベッド昇降機構 110〜114 ベッド移送機構 120 搬送台車 130 頭部冷却装置 200 生体モニタ 210 麻酔装置 220 人工呼吸器

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 患者の頭部以外のほぼ全身を液体に浸漬
    させて温熱治療を施す温熱治療装置であって、 前記患者の頭部以外のほぼ全身を前記液体に浸漬させる
    治療槽と、前記液体を加熱する加熱手段と、前記液体を
    冷却する冷却手段と、前記液体を強制循環させる強制循
    環手段と、前記液体の温度を計測する液体温度センサ
    と、前記患者の深部体温を計測する深部体温センサと、
    前記加熱手段と前記冷却手段を制御する制御手段とを備
    え、 前記患者の深部体温を設定された治療温度に加温して、
    設定された治療時間保持することにより治療することを
    特徴とする、温熱治療装置。
  2. 【請求項2】 前記強制循環手段は、前記治療槽内に多
    数の噴出穴を有する複数の攪拌ノズルを分散配備したこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の温熱治療装置。
  3. 【請求項3】 前記液体を加熱する加熱槽を備え、 前記加熱手段は、前記加熱槽に設けたことを特徴とす
    る、請求項1または請求項2に記載の温熱治療装置。
  4. 【請求項4】 前記強制循環手段は、前記加熱槽内に多
    数の噴出穴を有する複数の攪拌ノズルを分散配備したこ
    とを特徴とする、請求項3に記載の温熱治療装置。
  5. 【請求項5】 前記治療槽と前記加熱槽との間に連通管
    を備えたことを特徴とする、請求項3または請求項4に
    記載の温熱治療装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は、前記液体の現在の温度
    と目標温度の差に応じて前記加熱手段の容量を変更する
    機能を有することを特徴とする、請求項1ないし請求項
    5のいずれかに記載の温熱治療装置。
  7. 【請求項7】 前記加熱手段は、冷却ファンを含み、 前記制御手段は、前記冷却ファンを制御する機能を含む
    ことを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれか
    に記載の温熱治療装置。
  8. 【請求項8】 前記冷却手段は、前記液体に冷却液を供
    給する手段を含み、 前記制御手段は、前記液体を所定温度の前記冷却液と所
    定量置換することによって、前記液体を設定された温度
    に冷却する機能を有することを特徴とする、請求項1な
    いし請求項7のいずれかに記載の温熱治療装置。
  9. 【請求項9】 前記治療槽は、手技を行うための窓を有
    する開閉可能な外蓋を備えたことを特徴とする、請求項
    1ないし請求項8のいずれかに記載の温熱治療装置。
  10. 【請求項10】 前記治療槽は、前記液体表面に密着さ
    せて使用する内蓋を備えたことを特徴とする、請求項1
    ないし請求項9のいずれかに記載の温熱治療装置。
  11. 【請求項11】 前記強制循環手段による前記液体の1
    分当たりの循環流量を、前記治療槽の容積の20%ない
    し25%としたことを特徴とする、請求項1ないし請求
    項10のいずれかに記載の温熱治療装置。
  12. 【請求項12】 前記治療槽は、前記患者の体位を調節
    する体位調節手段を有することを特徴とする、請求項1
    ないし請求項11のいずれかに記載の温熱治療装置。
  13. 【請求項13】 前記治療槽は、前記患者を昇降させる
    昇降手段を有することを特徴とする、請求項1ないし請
    求項12のいずれかに記載の温熱治療装置。
  14. 【請求項14】 前記治療槽は、前記治療槽上で前記患
    者を移送する移送手段を有することを特徴とする、請求
    項1ないし請求項13のいずれかに記載の温熱治療装
    置。
  15. 【請求項15】 前記液体を殺菌する殺菌手段を備えた
    ことを特徴とする、請求項1ないし請求項14のいずれ
    かに記載の温熱治療装置。
  16. 【請求項16】 前記液体を0.85%ないし0.95
    %の濃度を有する塩類溶液としたことを特徴とする、請
    求項1ないし請求項15のいずれかに記載の温熱治療装
    置。
  17. 【請求項17】 前記制御手段は、設定された治療時間
    内において、前記深部体温センサにより計測された深部
    体温の温度変化から所定時間後の深部体温を予測し、前
    記予測された深部体温と設定された治療温度とを比較し
    て前記加熱手段と前記冷却手段とを制御する機能を有す
    ることを特徴とする、請求項1ないし請求項16のいず
    れかに記載の温熱治療装置。
  18. 【請求項18】 前記制御手段は、前記液体を設定され
    た液体昇温レートで昇温する機能と前記深部体温センサ
    により計測された深部体温の温度変化から所定時間後の
    深部体温を予測し、前記予測された深部体温が設定され
    た治療温度に対して所定の温度範囲に入ったときに前記
    液体を前記設定された治療温度に対して所定の温度に冷
    却する機能とを有することを特徴とする、請求項1ない
    し請求項17のいずれかに記載の温熱治療装置。
  19. 【請求項19】 前記制御手段は、前記液体を前記深部
    体温センサにより計測された深部体温との温度差を保持
    しながら昇温する機能と、 前記深部体温センサにより計測された深部体温の温度変
    化から所定時間後の深部体温を予測し、前記予測された
    深部体温が設定された治療温度に対して所定の温度範囲
    に入ったときに前記液体を前記設定された治療温度に対
    して所定の温度に冷却する機能とを有することを特徴と
    する、請求項1ないし請求項17のいずれかに記載の温
    熱治療装置。
  20. 【請求項20】 前記制御手段は、前記深部体温センサ
    により計測された深部体温の温度上昇レートと設定され
    た深部体温昇温レートとを比較し、前者が小さいときは
    前記液体を加熱し、後者が小さいときは前記液体を冷却
    する機能と、 前記深部体温センサにより計測された深部体温の温度変
    化から所定時間後の深部体温を予測し、前記予測された
    深部体温が設定された治療温度に対して所定の温度範囲
    に入ったときに前記液体を前記設定された治療温度に対
    して所定の温度に冷却する機能とを有することを特徴と
    する、請求項1ないし請求項17のいずれかに記載の温
    熱治療装置。
  21. 【請求項21】 前記制御手段は、前記深部体温センサ
    により計測された深部体温が設定された脱出体温以下と
    なるまで、前記液体を設定された液体降温レートで降温
    する機能を有することを特徴とする、請求項1ないし請
    求項20のいずれかに記載の温熱治療装置。
  22. 【請求項22】 前記制御手段は、前記深部体温センサ
    により計測された深部体温が設定された脱出体温以下と
    なるまで、前記深部体温センサにより計測された深部体
    温の温度下降レートと設定された深部体温降温レートと
    を比較し、前者が大きいときは前記液体を加熱し、後者
    が小さいときは前記液体を冷却する機能を有することを
    特徴とする、請求項1ないし請求項20のいずれかに記
    載の温熱治療装置。
  23. 【請求項23】 前記制御手段は、前記液体温度センサ
    により計測された液体温度と前記深部体温センサにより
    計測された深部体温の温度差が設定された温度差を超え
    ないように制御する機能を有することを特徴とする、請
    求項18、請求項20、請求項21、請求項22のいず
    れかに記載の温熱治療装置。
  24. 【請求項24】 前記患者に対して人工呼吸を施すため
    の人工呼吸器を備え、治療中の前記患者の呼吸を確保す
    るようにしたことを特徴とする、請求項1ないし請求項
    23のいずれかに記載の温熱治療装置。
  25. 【請求項25】 前記患者の心拍数、呼吸数、血圧を含
    む生体活動を監視する生体センサを備え、 前記制御手段は、前記生体センサの信号に基づいて前記
    液体の温度を制御する機能を有することを特徴とする、
    請求項1ないし請求項24のいずれかに記載の温熱治療
    装置。
  26. 【請求項26】 前記患者の頭部を冷却する頭部冷却手
    段を備え、治療中の前記患者の頭部の体温を生理的範囲
    に保持するようにしたことを特徴とする、請求項1ない
    し請求項25のいずれかに記載の温熱治療装置。
  27. 【請求項27】 前記患者の特定の部位を加熱する部分
    加熱手段を備え、治療中の前記患者の全身の体温を治療
    効果を有する治療温度に保持しながら、前記患者の特定
    の患部の体温を前記治療温度より高い温度に保持するよ
    うにしたことを特徴とする、請求項1ないし請求項26
    のいずれかに記載の温熱治療装置。
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