JPWO2005106005A1 - ヒドロキシカルボン酸類の生産方法 - Google Patents

ヒドロキシカルボン酸類の生産方法 Download PDF

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Abstract

グリコール酸をはじめとするヒドロキシカルボン酸は、ポリマー原料や医薬中間体として有望な化合物である。しかし現在までに知られているヒドロキシカルボン酸の生産方法では、安価で高純度なヒドロキシカルボン酸を供給することができないという問題があった。本発明の目的は夾雑物の少ないヒドロキシカルボン酸を短時間で高生産する微生物を創出し、該微生物を用いたグリコール酸をはじめとするヒドロキシカルボン酸の製造方法を提供することにある。エチレングリコールからグリコールアルデヒドへの反応を触媒する酵素の活性を付与又は強化した微生物を創出し、該微生物を用いて夾雑物の少ないグルコール酸をはじめとするヒドロキシカルボン酸を短時間で高生産する。該生産方法によって高純度なヒドロキシカルボン酸を安価に供給することが可能となる。

Description

本発明は、グリコール酸を始めとするヒドロキシカルボン酸を生産する微生物と、それを用いたグリコール酸を始めとするヒドロキシカルボン酸生産方法に関するものである。
ヒドロキシカルボン酸類の中にはポリマー原料や医薬中間体として有用で、その効率的な生産方法が求められているものがある。
その一例としてグリコール酸(α―ヒドロキシ酢酸)が挙げられる。グリコール酸は、洗浄剤や化粧品原料として利用されてきたが、近年、ガスバリア性ポリマーや医療用ポリマーとして有用なポリグリコール酸の原料として注目されている。ガスバリア性材料として注目されている理由はポリグリコール酸層は、高い酸素ガスバリア性を有しており、酸素の存在下で変質しやすい食品や炭酸飲料を包装するための材料としての性能を備えているからである。
将来的にポリグリコール酸が工業的規模で実生産されるためには、その原料であるグリコール酸が高純度かつ安価に供給されねばならない。しかしながら現行市販されている化学合成品のグリコール酸は少なからず夾雑物を含んでおり、ポリマー原料としては純度的に問題がある。なぜならこれらの夾雑物はグリコール酸の脱水縮合反応を阻害するのみならず、夾雑物の一つであるメトキシ酢酸が発癌性の疑いのある化合物であり、食品や飲料の包材中に含まれることが望ましくないからである。無論、精製によって夾雑物を除くことは技術的には可能であるが、実際にそのような精製品は価格が高くなり、安価な包材原料としては現実的でない。
化学合成品のグリコール酸に見られる上記の問題点を回避するため、エチレングリコール(以下、EGと呼ぶことがある)を原料としたバイオ法によるグリコール酸製造の試みが行われている。特開平10−174593号公報及び特開平10−174594号公報において、エチレングリコール含有培地に、ピシア(Pichia)属、ロードトルラ(Rhodotorula)属、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)属、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属、トルロプシス(Torulopsis)属に属する酵母、ノカルディア(Nocardia)属に属する菌株、ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する菌株、またはエシェリヒア・コリB(Escherichia
coli B)株を培養し、培養液中からグリコール酸を分離・採取することを特徴とする微生物によるグリコール酸の生産方法が開示されている。なおエシェリヒア・コリK12(Escherichia
coli K12)株についてはグリコール酸の収率が低いことが開示されている。特開平10−174593号公報及び特開平10−174594号公報の実施例に記載されているグリコール酸生産方法の中でグリコール酸蓄積濃度が最も高いものは、ピシア・ナガニシイ(Pichia
naganishii)を用いた方法であり、30時間の反応で35.3g/Lのグリコール酸が得られている。ピシア・ナガニシイを用いたグリコール酸生産については更に、反応条件の改善がなされ、120時間の反応で105g/Lのグリコール酸が得られることが文献(Kataoka,M.,et.al.,Biosci.Biotechnol.
Biochem.,Vol.65(10),pp.2265-2270(2001))で報告されている。要するにピシア・ナガニシイを用いた生産方法では、エチレングリコールからグリコール酸への反応時間が120時間と長く、このことはグリコール酸の製造コストの上昇を招来するため工業規模的実生産を想定した場合には更なる反応時間の短縮が必要であった。そしてさらにこの生産方法においては使用する微生物が生産する副生有機酸が混入し、その後の精製工程や脱水縮合反応に支障をきたすという問題点も存在した。
微生物によるエチレングリコールからグリコール酸に至る代謝反応については、ボロナットらがエシェリヒア・コリを用いた研究結果を開示している(Boronat,A.,et.al.,
J. Bacteriol., Vol. 153 (1), pp.134-139, (1983))。すなわちエチレングリコールからグリコールアルデヒドへの反応と、グリコールアルデヒドからグリコール酸への反応の二段階の代謝経路である。ボロナットらは、1,2−プロパンジオール(以下PDOと呼ぶことがある)からラクトアルデヒドへの反応触媒酵素プロパンジオールオキシドレダクターゼ(以下、PDO酸化還元酵素と呼ぶことがある)が、エチレングリコールをも基質とすることに着目した(Boronat,A.,et.
al., Biochim. Biophys. Acta, Vol. 672, pp.98-107, (1981))。PDO酸化還元酵素活性が突然変異により向上した菌株の中から、グリコールアルデヒドからグリコール酸への反応触媒酵素グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼ(以下GAL脱水素酵素と呼ぶことがある)活性が向上した菌株を単離したのである。なお以下の表(表1)は、ボロナットらの論文から引用したものである。
Figure 2005106005
対象株エシェリヒア・コリG1株は1,2−プロパンジオールとエチレングリコールのどちらも資化できない。それに対してPDO酸化還元酵素活性が顕著に向上した突然変異株であるG3株はPDO資化能を獲得したが、依然EGを資化できなかった。この結果に基づいてボロナットらは、G3株がEGを資化できない理由は、GAL脱水素酵素活性が不十分なためにグリコールアルデヒドからグリコール酸の反応が進まないためではないかと推論した。そしてGAL脱水素酵素活性が顕著に向上した突然変異株EG3株を単離し、この株がEGを資化することから、彼等の推論が正しいと結論した。換言すれば、ボロナットらはEGからグリコール酸を生成するためには、GAL脱水素酵素活性が十分に存在していなくてはならないと主張しているのである。
それに対して本明細書で開示している新たな知見は、EGからグリコール酸を生成するためには、GAL脱水素酵素の活性向上は必ずしも必要ではなく、PDO酸化還元酵素の活性向上のみで良いというものである。このような差異が生じた原因としては、ボロナットらがEG3株においてGAL脱水素酵素活性の向上のみに着目し、PDO酸化還元酵素活性も同時に向上していることに注意を払わなかったことが挙げられる。我々の知見に基づいてボロナットらの実験結果を考察し直せば、EG3株がEG資化能を獲得できたのは、GAL脱水素酵素の活性が向上したからではなく、PDO酸化還元酵素の活性が向上したからであるということになる。
さらにボロナットらの報告の中では、EG3株においては基質であるEGと共にグリコール酸が存在する条件下では中間体であるグリコールアルデヒドが蓄積することが示されている。このことはつまりエシェリヒア・コリを用いたバイオ法によってEGを原料としてグリコール酸を製造した際には、中間体のグリコールアルデヒドが夾雑物として蓄積するという不具合が生じることを示している。
以上のことから過去の知見においては、エシェリヒア・コリを用いてEGからグリコール酸を製造する際には、GAL脱水素酵素の活性向上が必要不可欠であること、および製造したグリコール酸には中間体のグリコールアルデヒドが蓄積することが示されている。そのような理由から、GAL脱水素酵素活性の向上なしに、グリコール酸を選択的に製造可能であること、さらには中間体グリコールアルデヒドを含まない効率のよいグリコール酸製造が可能であるということは当業者といえども容易には推測できないことであった。
グリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸の例として、グリセリン酸についても種々製法検討がなされてきた。なかでも、安価なグリセロールを原料としてグリセリン酸を製造する方法については、特開平5―331100号公報においてPt触媒を用いた化学合成法、特開平1―168292号公報においてグルコノバクター(Gluconobacter)属微生物によるバイオ法が開示されている。前者のPt触媒を用いる方法では反応の選択率が80%程度と決して十分ではなく、相当量の副生物が生じること、さらに反応温度を厳密に制御する必要性が示されている。後者のバイオ法においてはグリセリンを原料としたD−グリセリン酸の製法が記載されていが、この製法では菌体の調製ならびに反応に4日間という長時間を要することが問題点として挙げられ、また製造したグリセリン酸中には使用した微生物由来の副生有機酸が相当量混入することが容易に想像できる。ちなみにL−グリセリン酸の製造方法に関しては知られていない。
さらにヒドロキシカルボン酸の一例としてヒドロキシエトキシ酢酸のバイオ法による製造については特開昭59−85296号公報においてジエチレングリコール含有培地に、キャンディダ属(Candida)、トルロプシス(Torulopsis)属、ロードトルラ(Rhodotorula)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、デバリオミセス(Debaryomyces)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、ピシア(Pichia)属に属する酵母を培養し、培養中からヒドロキシエトキシ酢酸を分離・採取する方法が開示されている。この生産方法においては培養に長時間を要することと、さらには相当量のジグリコール酸が副生することが示されており、ヒドロキシエトキシ酢酸の分離・精製に多大な労力を要することが容易に想像される。
特開平10−174593号公報 特開平10−174594号公報 特開平5−331100号公報 特開平1−168292号公報 特開昭59−85296号公報 Kataoka, M., et. al., Biosci. Biotechnol. Biochem., Vol. 65(10),pp.2265-2270, (2001) Boronat, A., et.al., J. Bacteriol., Vol. 153 (1), pp.134-139, (1983) Boronat, A., et.al., Biochim. Biophys. Acta, Vol. 672,pp.98-107,(1981)
以上のとおり、従来のグリコール酸をはじめとする各種ヒドロキシカルボン酸の生産法の欠点は、総じて化学合成法では得られるヒドロキシカルボン酸が多くの夾雑物を含み純度が低いことであり、バイオ法では反応時間が長く生産設備の単位時間当たりの生産性が低くなり生産コストが高くなり、また副生有機酸が混入することである。
以上の点に鑑み、本発明の解決するべき課題は、グリコール酸をはじめとするヒドロキシカルボン酸類を短時間で安価に且つ大量に供給し、かつ副生物を低減させ純度を向上させることにある。
本発明者らは上記課題を解決するための改善策として、従来のバイオ法でのグリコール酸の生産に使用されていた自然界から選別された微生物の代替として、エチレングリコールからグリコールアルデヒドへの反応を触媒する酵素をコードする遺伝子をプラスミドの形態で導入する手法などにより改変された、該酵素の活性のみを十分に強化した微生物を利用して、エチレングリコールからグリコール酸を生産する方法が本発明の目的に適うことを見出した。そして更にエチレングリコールからグリコールアルデヒドの反応を触媒する酵素と、グリコールアルデヒドからグリコール酸の反応を触媒する酵素の両活性を、2種の該酵素をコードする遺伝子をプラスミドの形態で導入することで強化した微生物を利用することで、エチレングリコールからグリコールアルデヒドへの反応を触媒する酵素のみを強化した微生物に比べ菌体の培養に要するグルコース量を削減することができるという予想し得なかった好ましい効果を見出した。さらに、上記の微生物に関してグリコール酸からグリオキシル酸の反応を触媒する酵素、かつ/またはピルビン酸からギ酸の反応を触媒する酵素の活性を低減させることで、シュウ酸や酢酸といった副生有機酸の低減が可能となり、より純度の高い(副生有機酸の少ない)グリコール酸を生産可能であること、さらに詳細は不明であるがこれら2種の酵素活性低減により、細胞内の状況がよりグリコール酸生産に好適となりグリコール酸生産性が有意に向上することを見出した。またこれらの微生物はグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸を生産する方法へも利用可能であることを見出した。
即ち、本発明は以下の〔1〕から〔9〕に記載のとおりである。
〔1〕 エチレングリコールからグリコールアルデヒドへの反応を触媒する酵素の活性を付与又は強化した微生物を利用することを特徴とする、末端に水酸基を有する脂肪族多価アルコール類を基質としたヒドロキシカルボン酸類の生産方法。
〔2〕 〔1〕記載の酵素をコードする遺伝子をプラスミドの形態で導入することで微生物の該酵素活性を付与又は強化することを特徴とする〔1〕に記載の生産方法。
〔3〕 エチレングリコールからグリコールアルデヒドへの反応を触媒する酵素とグリコールアルデヒドからグリコール酸への反応を触媒する酵素の両活性を、2種の該酵素をコードする遺伝子をプラスミドの形態で導入することで付与又は強化した微生物を利用することを特徴とする、末端に水酸基を有する脂肪族多価アルコール類を基質としたヒドロキシカルボン酸類の生産方法。
〔4〕 エチレングリコールからグリコールアルデヒドへの反応を触媒する酵素をコードする遺伝子及び/又はグリコールアルデヒドからグリコール酸への反応を触媒する酵素をコードする遺伝子が、解糖系、核酸生合成系又はアミノ酸生合成系に関わるタンパク質の発現を司る遺伝子のプロモーターと機能的に連結することで該酵素を発現する微生物を利用することを特徴とする〔2〕又は〔3〕記載の生産方法。
〔5〕 エチレングリコールからグリコールアルデヒドへの反応を触媒する酵素がラクトアルデヒドレダクターゼであり、グリコールアルデヒドからグリコール酸への反応を触媒する酵素がラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼである〔1〕〜〔4〕の何れか一項に記載の生産方法。
〔6〕 該微生物が本来有しているグリコール酸オキシダーゼ活性が不活化或いは低減されている、且つ/またはピルベートホルメートリアーゼ活性が不活化または低減されていることを特徴とする微生物を利用することを特徴とする〔1〕〜〔5〕の何れか一項に記載の生産方法。
〔7〕 ヒドロキシカルボン酸が光学活性を有するヒドロキシカルボン酸であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕の何れか一項に記載の生産方法。
〔8〕 〔1〕〜〔7〕の何れか一項に記載の生産方法に利用される微生物。
〔9〕 〔6〕においてエチレングリコールを基質として収率95%以上、生産速度2g/L/時間以上で得られたグリコール酸水溶液。
本発明により夾雑物の少ないグリコール酸をこれまでに知られているよりもはるかに短時間で高生産する微生物が創出され、ポリマー原料用途として使用可能な高純度なグリコール酸を安価に工業生産することが可能となる。また上記生産方法を応用することでグリコール酸以外のヒドロキシカルボン酸の生産も可能である。
またグリコール酸生産に関しては、公知情報と相反して活性を強化するべき標的酵素が1種類のみでグリコール酸の高生産が可能となることから、酵素活性の強化に必要となる労力を低減させるとともに、人為的な複数種の酵素活性の強化のために生じるストレスによる導入遺伝子の脱落をはじめとする宿主微生物への好まざる悪影響を回避することが可能となる。
またヒドロキシカルボン酸類の生産に供する微生物の培養に必要なグルコースを低減させることでより製造コストの低減させる手法が提供される。
実施例3における反応液中のグリコール酸蓄積量の経時変化を示したグラフである。図中、三角はエシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO株の結果を示し、丸はエシェリヒア・コリMG1655野生株の結果を示す。 実施例4における反応液中のグリコール酸蓄積量の経時変化を示したグラフである。図中、四角はエシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO−aldA株の結果を示し、丸はエシェリヒア・コリMG1655野生株株の結果を示す。
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明においてエチレングリコールからグリコールアルデヒドへの反応を触媒する酵素とは、エチレングリコールを反応基質としてグリコールアルデヒドを生成し得る酵素であれば特に制限はなく、そのような酵素全てを指す。そのようなものとして、ラクトアルデヒドレダクターゼが例示される。
本発明においてある標的酵素の活性を付与した微生物とは、該酵素活性を全く有していない該微生物に何らかの方法によって該酵素活性が与えられた微生物を指し、本発明においてある標的酵素の活性を強化した微生物とは、野生型の該微生物と比較して有意に該酵素の活性が向上している微生物を指す。これらの微生物は、例えば該酵素をコードする遺伝子を遺伝子組換え技術を用いて野生型の微生物(又は組換え前の微生物)に導入する等の方法を用いて作出することができる。野生型の微生物(又は組換え前の微生物)に該遺伝子を導入する方法としては、該遺伝子をプラスミドの形態で微生物に導入することが例示できる。微生物への遺伝子の導入に用いられるゲノムDNAの調製、プラスミドの調製、DNAの切断および連結、形質転換、PCR(Polymerase Chain Reaction)、プライマーとして用いるオリゴヌクレオチドの設計、合成等の方法は、当業者によく知られている通常の方法で行うことができる。これらの方法は、Sambrook,J.,et.al.,"Molecular
Cloning A Laboratory Manual, Second Edition",ColdSpring Harbor Laboratory
Press, (1989)等に記載されている。
本発明において微生物とは、末端に水酸基を有する脂肪族多価アルコールからヒドロキシカルボン酸を生産する能力を本来有するか否かに関わらず、何らかの手段を用いることにより末端に水酸基を有する脂肪族多価アルコールからヒドロキシカルボン酸を生産する能力を有し得る微生物の総称を意味する。このようなものとしてエシェリヒア・コリが例示される。
本発明において、末端に水酸基を有する脂肪族多価アルコール類とは、炭素鎖の末端に水酸基を有し、かつ分子内に2つ以上の水酸基を有する脂肪族化合物であればその構造に特に制限はないが、そのような化合物としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセロール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2,4−ブタントリオールなどが例示できる。
本発明においてある標的酵素をコードする遺伝子を微生物に導入するにあたっての「プラスミドの形態で」とは該遺伝子をベクターに連結し組換えプラスミドを作成し、これを形質転換等の方法で該微生物に導入する事を意味する。また本発明の実施例記載のように恒常的に微生物内で機能する強力なプロモーターと目的遺伝子を機能的に連結した際には、プラスミドが有するレプリコンの性質により微生物細胞当たりのコピー数が一般的に少ないといわれるプラスミドを利用することでも本発明の目的を達し得る。そのようなレプリコンを有するプラスミドとしてpACYC184(GenBank accession number X06403)などが例示できる。
本発明においてグリコールアルデヒドからグリコール酸への反応を触媒する酵素とは、グリコールアルデヒドを反応基質としてグリコール酸を生成し得る酵素であれば特に制限はなく、そのような酵素全てを指す。そのようなものとして、ラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼが例示される。
本発明における解糖系、核酸生合成系、またはアミノ酸生合成系に関わる蛋白質の発現を司る遺伝子のプロモーターとは、恒常的に微生物内で機能する強力なプロモーターで、かつグルコース存在下でも発現の抑制を受けにくいプロモーターで、具体的にはグリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(以下GAPDHと呼ぶことがある)のプロモーターやセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼのプロモーターが例示できる。
本発明におけるプロモーターとはσ因子を有するRNAポリメラーゼが結合し、転写を開始する部位を意味する。例えばエシェリヒア・コリ由来のGAPDHプロモーターはGenBank accession number X02662の塩基配列情報において、397−440に記されている。
本発明において、遺伝子が機能的にプロモーターと連結しているとは、当該遺伝子がプロモーターの制御下にあり、遺伝子の発現がプロモーターの制御によりなされるように該遺伝子とプロモーターが結合していることを意味する。
本発明におけるラクトアルデヒドレダクターゼとは、国際生化学連合(I.U.B.)酵素委員会報告に準拠した酵素番号1.1.1.77に分類され、1.2−プロパンジオールから、補酵素である酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの存在下でラクトアルデヒドを生成する反応を可逆的に触媒する酵素の総称を指す。
本発明におけるラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼとは、国際生化学連合(I.U.B.)酵素委員会報告に準拠した酵素番号1.2.1.22に分類され、ラクトアルデヒドから、補酵素である酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの存在下で乳酸を生成する反応を触媒する酵素の総称を指し、且つ国際生化学連合(I.U.B.)酵素委員会報告に準拠した酵素番号1.2.1.21に分類され、グリコールアルデヒドから、補酵素である酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの存在下でグリコール酸を生成する反応を触媒する酵素グリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼの総称も併せて指すものである。なぜならば大腸菌を用いた先行文献で、ラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼとグリコールアルデヒドデヒドロゲナーゼは同一の酵素であることが報告されているからである(Caballero,E.,et.al.,J.Biol.Chem.,258(12),7788-7792(1983))。
本発明におけるグリコール酸オキシダーゼ(以下glcDEFと呼ぶことがある)とは、国際生化学連合(I.U.B.)酵素委員会報告に準拠した酵素番号1.1.3.15に分類され、グリコール酸からグリオキシル酸を生成する反応を可逆的に触媒する酵素の総称を指す。
本発明におけるピルベートホルメートリアーゼ(以下pflBと呼ぶことがある)とは、国際生化学連合(I.U.B.)酵素委員会報告に準拠した酵素番号2.3.1.54に分類され、ピルビン酸からギ酸を生成する反応を可逆的に触媒する酵素の総称を指す。
本発明におけるglcDEFやpflBの酵素機能の不活化とは、その酵素活性が完全に消失することを意味する。本発明におけるglcDEFやpflBの酵素機能の低減とは、その酵素活性の一部が消失することを意味する。酵素機能を不活化、或いは低減するには、そのタンパク質をコードする遺伝子に変異を導入するか、欠失させる、あるいはそのタンパク質を特異的に不活化する薬剤を添加する、紫外線を照射する、などの方法がある。具体的にはエシェリヒア・コリMT−11023株がglcDEF遺伝子とpflB遺伝子の破壊によりこれらの酵素機能が不活化した微生物として例示できる。
エシェリヒア・コリMT−11023株は遺伝子破壊によりglcDEF、pflBが不活化しているため、これを用いて容易に本発明を実施することが可能である。本菌株は、FERM BP―10293の寄託番号で、茨城県つくば市東1丁目1番1号中央第6の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに、特許手続き上の微生物の寄託等の国際承認に関するブタペスト条約に基づいて、平成17年3月10日より寄託されている。
本発明の生産方法を実施するに際しては、通常エチレングリコールからグリコールアルデヒドへの反応を触媒する酵素の活性を付与又は強化した微生物を培地を用いて培養して増殖させて必要量の微生物菌体を得る。
本発明に係る培養に使用される培地は、炭素源、窒素源、無機イオンおよび必要に応じてその他の有機微量成分を含有する培地であれば特に制限は無い。炭素源としては、グルコース、フルクトース、糖蜜などの糖類、フマル酸、クエン酸、コハク酸などの有機酸、メタノール、エタノール、グリセロールなどのアルコール類、その他が適宜使用される。窒素源としては、有機アンモニウム塩、無機アンモニウム塩、アンモニアガス、アンモニア水等の無機体窒素源、及び蛋白質加水分解物等の有機体窒素源、その他が適宜使用される。無機イオンとしては、マグネシウムイオン、リン酸イオン、カリウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、その他が必要に応じて適宜使用される。有機微量成分としては、ビタミン、アミノ酸等及びこれらを含有する酵母エキス、ペプトン、コーンスティープリカー、カゼイン分解物、その他が適宜使用される。
なお、本発明に係る培養に使用される培地としては、工業的生産に供する点を考慮すれば液体培地が好ましい。
本発明に係る微生物の培養に際して、培養条件は特別の制限はなく、例えば、好気条件下でpH6〜8、温度25℃〜40℃の範囲内でpHと温度を適切に制御しながら培養した場合、培養に必要な時間は50時間以内である。
本発明に係るヒドロキシカルボン酸生産反応に使用される反応液は基質となる末端に水酸基を有する脂肪族多価アルコールを添加し得る(或いは含有する)液体であれば特に制限はなく、リン酸カリウム緩衝液などの緩衝液や、前述の微生物の培養に用いた培地、及び純水を例示することができる。本発明においてはこのような液体に先に培養により得られた微生物菌体を接触させて反応を行う。微生物菌体は、培養が終わった培養液そのものを使用する外、培養液から菌体のみを回収して使用する方法が例示できる。
本発明のヒドロキシカルボン酸類の生産方法における反応に際して、反応条件は特別の制限はないが、例えば、pH6〜9、温度20℃〜40℃の範囲内でpHと温度を適切に制御しながら反応することが好ましい。
以上のようにして得られた反応液液中に蓄積したヒドロキシカルボン酸を回収する方法としては、特に制限はないが、例えば反応液から菌体を遠心分離などで除去した後、合成吸着樹脂を用いる方法や沈殿剤を用いる方法、その他通常の採取分離方法でヒドロキシカルボン酸を分離する方法が採用できる。
エシェリヒア・コリ由来ラクトアルデヒドレダクターゼ発現ベクターおよび該発現ベクター形質転換体の構築
エシェリヒア・コリのラクトアルデヒドレダクターゼのアミノ酸配列と遺伝子(以下、fucOと略することがある)の塩基配列はすでに報告されている(GenBank accession number M31059)。fucOを取得するために、エシェリヒア・コリMG1655株のゲノムDNAをテンプレートに用いてCGAATTCCGGAGAAAGTCTTATGATGGCTAACAGAATGATTCTG(配列番号1)、及びGTGAAGCTTGCATTTACCAGGCGGTATGG(配列番号2)によりPCR法で増幅し、得られたDNAフラグメントを制限酵素EcoRI及びHindIIIで消化することで約1.2kbpのfucOフラグメントを得た。さらに、グリセルアルデヒド 3−リン酸脱水素酵素(glyceraldehyde 3−phosphate dehydrogenase)(GAPDH)プロモーターを取得するためエシェリヒア・コリMG1655株のゲノムDNAをテンプレートに用いてAACGAATTCTCGCAATGATTGACACGATTC(配列番号3)、及びACAGAATTCGCTATTTGTTAGTGAATAAAAGG(配列番号4)によりPCR法で増幅し、得られたDNAフラグメントを制限酵素EcoRIで消化することで約100bpのGAPDHプロモーターをコードするDNAフラグメントを得た。上記の2つのDNAフラグメントとプラスミドpUC18を制限酵素EcoRI及びHindIIIで消化することで得られるフラグメントを混合し、リガーゼを用いて結合した後、エシェリヒア・コリDH5株に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーをアンピシリン50μg/mLを含むLB液体培地で37℃で一晩培養し、得られた菌体からプラスミドpGAPfucOを回収した。このプラスミドpGAPfucOをエシェリヒア・コリMG1655株に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートで37℃で一晩培養することによりMG1655/pGAPfucO株を得た。
なおエシェリヒア・コリMG1655株、エシェリヒア・コリDH5株はアメリカンタイプカルチャーコレクションより入手することができる。
ラクトアルデヒドレダクターゼ、ラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼ同時発現ベクターおよび該発現ベクター形質転換体の構築
エシェリヒア・コリのラクトアルデヒドレダクターゼのアミノ酸配列と遺伝子(以下、fucOと略することがある)の塩基配列はすでに報告されている(GenBank accession number M31059)。またエシェリヒア・コリのラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列と遺伝子(以下、aldAと略することがある)の塩基配列もすでに報告されている(GenBank accession number M64541)。fucOを取得するためにエシェリヒア・コリMG1655株のゲノムDNAをテンプレートに用いてGCTCTAGACGGAGAAAGTCTTATGATGGCTAACAGAATGATTCTG(配列番号5)、及びGTGAAGCTTGCATTTACCAGGCGGTATGG(配列番号2)によりPCR法で増幅し、得られたDNAフラグメントを制限酵素XbaI及びHindIIIで消化することで約1.2kbpのfucOフラグメントを得た。さらに、aldAを取得するためにエシェリヒア・コリMG1655株のゲノムDNAをテンプレートに用いてCGAATTCCGGAGAAAGTCTTATGTCAGTACCCGTTCAACATCC(配列番号6)、及びGCTCTAGACTCTTTCACTCATTAAGACTG(配列番号7)によりPCR法で増幅し、得られたDNAフラグメントを制限酵素EcoRI及びXbaIで消化することで約1.5kbpのaldAフラグメントを得た。さらに実施例1と同様にしてグリセルアルデヒド 3−リン酸脱水素酵素(glyceraldehyde 3−phosphate dehydrogenase)(GAPDH)プロモーターをコードするフラグメントを得た。上記の3つのDNAフラグメントとプラスミドpUC18を制限酵素EcoRI及びHindIIIで消化することで得られるフラグメントを混合し、リガーゼを用いて結合した後、エシェリヒア・コリDH5株に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーをアンピシリン50μg/mLを含むLB液体培地で37℃で一晩培養し、得られた菌体からプラスミドpGAPfucO−aldAを回収した。このプラスミドpGAPfucO−aldAをエシェリヒア・コリMG1655株に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートで37℃で一晩培養することによりMG1655/pGAPfucO−aldA株を得た。
エシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO株、エシェリヒア・コリMG1655野生株によるグリコール酸生産
前培養として三角フラスコに入れたLB Broth, Miller培養液(Difco244620)25mLに実施例1において得られたエシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO株、エシェリヒア・コリMG1655野生株を植菌し、一晩、培養温度35℃、120rpmで攪拌培養を行った。各々の前培養液全量を、表2(表2)に示す組成の培地475gの入った1L容の培養槽(ABLE社製培養装置BMJ−01)に移し、培養を行った。培養は大気圧下、通気量1vvm、撹拌速度800rpm、培養温度35℃、pH7.2(NH水溶液で調整)で行った。培養開始後24時間の菌体を遠心分離(8000rpm、20分間)により集菌し、1mMリン酸カリウム緩衝液pH7.2で洗浄後、同緩衝液で懸濁し最終液量を500mlとした。懸濁液をABLE社製培養装置BMJ−01の培養槽に移し、エチレングリコールを5g/時間の速度で添加し、22時間反応を行った。反応は大気圧下、通気量1vvm、撹拌速度800rpm、反応温度35℃、pH7.2(NH水溶液で調整)で行った。得られた反応液中のグリコール酸蓄積量をHPLCで定法に従って測定した。結果を図1(図1)に示す。
エシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO株において22時間で106g/Lのグリコール酸の蓄積が確認され、エチレングリコールからグリコール酸に至るまでの中間体であるグリコールアルデヒドは検出されなかった。一方野生株では反応22時間後においてもグリコール酸は検出されなかった。
Figure 2005106005
エシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO−aldA株、エシェリヒア・コリMG1655野生株によるグリコール酸生産
実施例2で得られたエシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO−aldA株、エシェリヒア・コリMG1655野生株を実施例3と同様に培養した。培養開始後24時間以降、培養中の培養槽に直接エチレングリコールを5g/時間の速度で22時間添加することで反応を行った。得られた培養液中のグリコール酸蓄積量をHPLCで定法に従って測定した。結果を図2(図2)に示す。
エシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO−aldA株において、エチレングリコール添加開始後22時間で110g/Lのグリコール酸の蓄積が確認され、エチレングリコールからグリコール酸に至るまでの中間体であるグリコールアルデヒドは検出されなかった。一方野生株ではエチレングリコール添加開始後22時間においてもグリコール酸は検出されなかった。
エシェリヒア・コリMG1655aldA欠失株の作製
エシェリヒア・コリのゲノムDNAの全塩基配列は公知であり(GenBanak accession number U00096)、エシェリヒア・コリのラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼのアミノ酸配列と遺伝子(以下、aldAと略することがある)の塩基配列もすでに報告されている(GenBank accession number M64541)。エシェリヒア・コリMG1655株のゲノムDNAのaldA近傍領域の遺伝子情報に基づいて作成された、TACTGCAGTGATCCTTGCAGGCAATGC(配列番号8)とGGTCTAGAATCATCAGAGAGACGGAATCG(配列番号9)、GGTCTAGAATGAGTGAAAGAGGCGGAG(配列番号10)とAAGGTACCGATGCTGGTGCGAAGAAGG(配列番号11)を用いてPCRを行った。得られたDNAフラグメントをそれぞれ、制限酵素PstIとXbaI、XbaIとKpnIで消化することにより、それぞれ約800bp、700bpのフラグメントを得た。このDNAフラグメントを温度感受性クローニングベクターpTH18cs1(GenBank accession number AB019610)〔Hashimoto-Gotoh,T.,Gene,
241, 185-191 (2000)〕をPstI、KpnIで消化して得られるフラグメントと混合し、リガーゼを用いて結合した後、DH5株に30℃で形質転換し、クロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーをクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB液体培地で30℃で一晩培養し、得られた菌体からプラスミドを回収した。
このプラスミドをエシェリヒア・コリMG1655株に30℃で形質転換し、クロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに30℃で一晩培養し、形質転換体を得た。得られた形質転換体をクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB液体培地に接種し、30℃で一晩培養した。次にこれらの培養菌体が得られるようにクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに塗布し、42℃で生育するコロニーを得た。得られたコロニーを薬剤を含まないLB液体培地で30℃で一晩培養し、さらに薬剤を含まないLB寒天プレートに塗布して42℃で生育するコロニーを得た。
出現したコロニーの中から無作為に100コロニーをピックアップしてそれぞれを薬剤を含まないLB寒天プレートとクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに生育させ、薬剤を含まないLB寒天プレートにのみ生育するクロラムフェニコール感受性のクローンを選んだ。さらにこれらの目的クローンの染色体DNAからPCRによりaldAを含む約3.2kb断片を増幅させ、aldAが欠失している株を選抜し、得られた株をMG1655aldA欠失株(以下△aldAと略することがある)と命名した。
△aldA/pGAPfucO株の構築
実施例1において得られたプラスミドpGAPfucOを実施例--において得られた△aldA株、に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートで37℃で一晩培養することで△aldA/pGAPfucO株を得た。
△aldA/pGAPfucO株によるグリコール酸生産
実施例3と同様に△aldA/pGAPfucO株、MG1655/pGAPfucO株をそれぞれ培養し、集菌、洗浄の後、得られた菌体に対し、実施例3と同様にエチレングリコールを添加し、10時間反応を行った。反応により△aldA/pGAPfucO株において64.8g、MG1655/pGAPfucO株において64.2gのグリコール酸蓄積が確認された。グリコール酸の生産にラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼが必ずしも必要ないことが示された。
エシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO−aldA株、エシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO株の菌体増殖比較
実施例2で得られたエシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO−aldA株、実施例1で得られたエシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO株を実施例3と同様に培養した。ただし表1(表1)に示す培地組成のうちグルコース量を70g/Lとして実施した。24時間培養した後、全培養液を遠心分離することで集菌し得られた湿菌体重量を測定した。また、培地中の残存グルコース量を定法に従って測定し、菌体の増殖に要したグルコース量を算出した。結果を表3(表3)に示す。
2種類の菌株間で得られた菌体重量はほぼ同様であるにもかかわらず、その際に必要とするグルコース量がMG1655/pGAPfucO−aldA株において二割以上少なくてすむことが示された。実施例7においてグリコール酸生産においてラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼは必ずしも必要無い事を示したが、該酵素活性の強化によってグリコール酸生産において必要となるグルコース量の低減に効果があることが確認された。
Figure 2005106005
エシェリヒア・コリMG1655株ゲノム上fucOプロモーターのGAPDHプロモーターへの置換
エシェリヒア・コリのゲノムDNAの全塩基配列は公知であり(GenBank accession number U00096)、エシェリヒア・コリのfucOの塩基配列も報告されている(GenBank accession number M31059)。エシェリヒア・コリMG1655株のfucOの5’近傍領域の遺伝子情報に基づいて作成された、GCTCTAGACCTTCTCCTTGTTGCTTTACG(配列番号12)とAACTGCAGAGAGAGGTAGCTAATGGAACG(配列番号13)を用いて、エシェリヒア・コリゲノムDNAを鋳型としてPCRを行うことにより約650bpのDNA断片を増幅した。
また、エシェリヒア・コリMG1655株のグリセルデヒド 3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーターの配列情報に基づいて作製されたGGTCTAGAGCAATGATTGACACGATTCG(配列番号14)とエシェリヒア・コリMG1655株のfucOの配列情報に基づいて作製されたCAGGTACCATCCTTATCACCAGCAACC(配列番号15)を用いて、実施例1で作製した発現ベクターpGAPfucOを鋳型としてPCRを行い、GAPDHプロモーターとfucOの開始コドン近傍領域からなる約730bpのDNAフラグメントを得た。
上記により得られたフラグメントをそれぞれ、制限酵素PstIとXbaI、XbaIとKpnIで消化し、このフラグメントを温度感受性プラスミドpTH18cs1(GenBank accession number AB019610)〔Hashimoto-Gotoh,T.,Gene,
241, 185-191 (2000)〕をPstIとKpnIで消化して得られるフラグメントと混合し、リガーゼを用いて結合した後、DH5株に30℃で形質転換し、クロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーをクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB液体培地で30℃で一晩培養し、得られた菌体からプラスミドを回収した。このプラスミドをMG1655株に30℃で形質転換し、クロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに30℃で一晩培養し、形質転換体を得た。得られた形質転換体をクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB液体培地に接種し、30℃で一晩培養した。次にこれらの培養菌体が得られるようにクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに塗布し、42℃で生育するコロニーを得た。得られたコロニーを薬剤を含まないLB液体培地で30℃で一晩培養し、さらに薬剤を含まないLB寒天プレートに塗布して42℃で生育するコロニーを得た。
出現したコロニーの中から無作為に100コロニーをピックアップしてそれぞれを薬剤を含まないLB寒天プレートとクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに生育させ、クロラムフェニコール感受性のクローンを選んだ。さらにはこれらの目的クローンの染色体DNAからPCRによりGAPDHプロモーターとfucO部分配列を含む約730bp断片を増幅させ、fucOプロモーター領域がGAPDHプロモーターに置換されている株を選抜し、以上を満足するクローンをMG1655fucO欠失GAPpfucOゲノム挿入株と命名した。
MG1655fucO欠失GAPpfucOゲノム挿入株によるグリコール酸生産
実施例3と同様にエシェリヒア・MG1655fucO欠失GAPpfucOゲノム挿入株を培養し、集菌、洗浄の後、得られた菌体に対し、実施例3と同様にエチレングリコールを添加し、24時間反応を行った。グリコール酸の蓄積は確認されなかった。
低コピーベクターを用いたfucO発現ベクターの構築
エシェリヒア・コリMG1655株のグリセルデヒド 3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーターの配列情報に基づいて作製されたAACGAATTCTCGCAATGATTGACACGATTC(配列番号3)とエシェリヒア・コリMG1655株のfucOの配列情報に基づいて作製されたGTGAAGCTTGCATTTACCAGGCGGTATGG(配列番号2)を用いて、実施例1で作製した発現ベクターpGAPfucOを鋳型としてPCRを行い、GAPDHプロモーターとfucOからなる約1300bpのDNAフラグメントを得た。
このDNAフラグメントとプラスミドpACYC184(GenBank accession number X06403)を制限酵素HincIIで消化することで得られるフラグメントを混合し、リガーゼを用いて結合した後、エシェリヒア・コリDH5株に形質転換し、クロラムフェニコール20μg/mLを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーをクロラムフェニコール20μg/mLを含むLB液体培地で37℃で一晩培養し、得られた菌体からプラスミドpACYCfucOを回収した。このプラスミドpACYCfucOをエシェリヒア・コリMG1655株に形質転換し、クロラムフェニコール20μg/mLを含むLB寒天プレートで37℃で一晩培養することによりMG1655/pACYCfucO株を得た。
MG1655/pACYCfucO株によるグリコール酸生産
実施例3と同様にエシェリヒア・MG1655/pACYCfucO株を培養し、集菌、洗浄の後、得られた菌体に対し、実施例3と同様にエチレングリコールを添加し、9時間反応を行った。反応により28gのグリコール酸が蓄積した。
MG1655野生株、MG1655fucO欠失GAPpfucOゲノム挿入株、MG1655/pACYCfucO株、MG1655/pGAPfucO株のラクトアルデヒドレダクターゼ活性測定
それぞれの菌株を実施例3と同様に培養した。培養後の菌体を集菌、洗浄の後、50mMリン酸カリウム緩衝液pH7.4に懸濁し、超音波破砕した。破砕後の菌体抽出液を遠心分離し、その上清をラクトアルデヒドレダクターゼ活性測定に用いた。活性測定は基質にエチレングリコールを用い、反応により生成する還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの増加を分光光度計で測定することで実施した。反応に用いた可溶性タンパク質重量当たりの1分間の還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの生成量を算出し、MG1655野生株の値を1とした際の結果を表4(表4)に示す。
MG1655fucO欠失GAPpfucOゲノム挿入株においてもラクトアルデヒドレダクターゼ活性がMG1655野生株の18倍と有意に上昇しているものの、グリコール酸生産にはその活性上昇は十分ではなく、少なくとも低コピーベクターの導入により活性を強化した場合の1700倍程度の活性上昇が、ラクトアルデヒドレダクターゼ単独強化によるグリコール酸生産に必要であることが示された。
Figure 2005106005
エシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO株、エシェリヒア・コリMG1655野生株によるL−グリセリン酸生産
実施例3と同様にエシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO株、およびエシェリヒア・コリMG1655野生株を培養し、集菌、洗浄の後、得られた菌体に対し、実施例3においてエチレングリコールを添加する替わりにグリセロールを150g/Lの濃度となるよう一括添加し、最終液量を500mlとして24時間反応を行った。得られた培養液中のL−グリセリン酸蓄積量を光学異性体分割用カラムを用いHPLCで定法にしたがって測定した。エシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO株において24時間で67g/LのL−グリセリン酸の蓄積が確認された。エシェリヒア・コリMG1655野生株においてはL−グリセリン酸の蓄積は確認されなかった。
エシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO株、エシェリヒア・コリMG1655野生株によるヒドロキシエトキシ酢酸生産
実施例3と同様にエシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO株、エシェリヒア・コリMG1655野生株を培養した。培養開始後24時間の菌体を遠心分離(8000rpm、20分間)により集菌し、1mMリン酸カリウム緩衝液pH7.2で洗浄した。洗浄後の菌体約300mgを同緩衝液で懸濁し終濃度100mMのジエチレングリコール存在下、最終液量4mlで18時間反応を行った。反応は大気圧下、反応温度37℃でマグネティックスターラーにより攪拌しつつ行った。得られた反応液中のヒドロキシエトキシ酢酸をHPLCで定法に従って測定した。エシェリヒア・コリMG1655/pGAPfucO株において1g/Lのヒドロキシエトキシ酢酸の蓄積が確認された。ジグリコール酸をはじめとするジエチレングリコール由来の副生物は検出されなかった。またエシェリヒア・コリMG1655野生株においてはヒドロキシエトキシ酢酸の蓄積は確認されなかった。
エシェリヒア・コリMG1655glcDEF遺伝子欠失株の作製
エシェリヒア・コリのゲノムDNAの全塩基配列は公知であり(GenBanak accession number U00096)、エシェリヒア・コリのglcDEF遺伝子の塩基配列もすでに報告されている(GenBank accession number L43490)。エシェリヒア・コリMG1655株のゲノムDNAのglcDEF遺伝子近傍領域の遺伝子情報に基づいて作成された、TTGGTACCGTTCTGCCAGCAACTGACG(配列番号16)とTGTCTAGAGTACCTCTGTGCGTCACTGG(配列番号17)、GCTCTAGACGCTTTGTTGTGTTGTGTGG(配列番号18)とAACTGCAGGATCGGTCAATGATTGCAGC(配列番号19)を用いてPCRを行った。得られたDNAフラグメントをそれぞれ、制限酵素KpnIとXbaI、XbaIとPstIで消化することにより、それぞれ約670bp、790bpのフラグメントを得た。このDNAフラグメントを温度感受性クローニングベクターpTH18cs1(GenBank accession number AB019610)〔Hashimoto-Gotoh,T.,Gene,
241, 185-191 (2000)〕をKpnI、PstIで消化して得られるフラグメントと混合し、リガーゼを用いて結合した後、DH5株に30℃で形質転換し、クロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーをクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB液体培地で30℃で一晩培養し、得られた菌体からプラスミドを回収した。このプラスミドをpTH△glcDEFと命名した。
プラスミドpTH△glcDEFをエシェリヒア・コリMG1655株に30℃で形質転換し、クロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに30℃で一晩培養し、形質転換体を得た。得られた形質転換体をクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB液体培地に接種し、30℃で一晩培養した。次にこれらの培養菌体が得られるようにクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに塗布し、42℃で生育するコロニーを得た。得られたコロニーを薬剤を含まないLB液体培地で30℃で一晩培養し、さらに薬剤を含まないLB寒天プレートに塗布して42℃で生育するコロニーを得た。
出現したコロニーの中から無作為に100コロニーをピックアップしてそれぞれを薬剤を含まないLB寒天プレートとクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに生育させ、薬剤を含まないLB寒天プレートにのみ生育するクロラムフェニコール感受性のクローンを選んだ。さらにこれらの目的クローンの染色体DNAからPCRによりglcDEF遺伝子を含む約3.8kb断片を増幅させ、glcDEF遺伝子領域が欠失している株を選抜し、得られた株をMG1655glcDEF遺伝子欠失株(以下△glcDEF株と略することがある)と命名した。
エシェリヒア・コリMG1655pflB遺伝子欠失株の作製
エシェリヒア・コリのpflB遺伝子の塩基配列はすでに報告されている(GenBank accession number X08035)。MG1655株の染色体DNAのpflB遺伝子近傍領域の遺伝子情報に基づいて作成された、GCACGAAAGCTTTGATTACG(配列番号20)とTTATTGCATGCTTAGATTTGACTGAAATCG(配列番号21)、TTATTGCATGCTTATTTACTGCGTACTTCG(配列番号22)とAAGGCCTACGAAAAGCTGCAG(配列番号23)を用いてPCRを行った。得られたDNAフラグメントをそれぞれ、制限酵素HindIIIとSphI、SphIとPstIで消化することにより、それぞれ約1770bp、約1340bpのフラグメントを得た。このDNAフラグメントを温度感受性クローニングベクターpTH18cs1(GenBank accession number AB019610)〔Hashimoto-Gotoh,T.,Gene,
241, 185-191 (2000)〕をHindIII、PstIで消化して得られるフラグメントと混合し、リガーゼを用いて結合した後、DH5株に30℃で形質転換し、クロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに生育する形質転換体を得た。得られたコロニーをクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB液体培地で30℃で一晩培養し、得られた菌体からプラスミドを回収した。このプラスミドをエシェリヒア・コリMG1655株に30℃で形質転換し、クロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに30℃で一晩培養し、形質転換体を得た。得られた形質転換体をクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB液体培地に接種し、30℃で一晩培養した。次にこれらの培養菌体が得られるようにクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに塗布し、42℃で生育するコロニーを得た。得られたコロニーを薬剤を含まないLB液体培地で30℃で一晩培養し、さらに薬剤を含まないLB寒天プレートに塗布して42℃で生育するコロニーを得た。
出現したコロニーの中から無作為に100コロニーをピックアップしてそれぞれを薬剤を含まないLB寒天プレートとクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに生育させ、薬剤を含まないLB寒天プレートにのみ生育するクロラムフェニコール感受性のクローンを選んだ。さらにこれらの目的クローンの染色体DNAからPCRによりpflB遺伝子を含む約2.0kb断片を増幅させ、pflB遺伝子領域が欠失している株を選抜し、得られた株をMG1655plfB遺伝子欠失株(以下△pflB株と略することがある)と命名した。
エシェリヒア・コリMG1655pflB&glcDEF遺伝子欠失株の作製
実施例16において得られたプラスミドpTH△glcDEFを△pflB株に形質転換し、最終的にMG1655pflB&glcDEF遺伝子欠失株(以下△pflB△glcDEF株と略することがある)を得た。詳細な方法は実施例16に記載された方法に準じた。
△glcDEF/pGAPfucO株、△plfB/pGAPfucO株、△pflB△glcDEF/pGAPfucO株の構築
実施例1において得られたプラスミドpGAPfucOを実施例16において得られた△glcDEF株、実施例17で得られた△plfB株、および実施例18で得られた△pflB△glcDEF株にそれぞれ形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートで37℃で一晩培養することで△glcDEF/pGAPfucO株、△plfB/pGAPfucO株、△pflB△glcDEF/pGAPfucO株を得た。
△glcDEF/pGAPfucO株、△plfB/pGAPfucO株、△pflB△glcDEF/pGAPfucO株によるグリコール酸生産
実施例3で得られたMG1655/pGAPfucO株、実施例19において得られた△glcDEF/pGAPfucO株、△plfB/pGAPfucO株、△pflB△glcDEF/pGAPfucO株について実施例3と同様に培養を行った。培養開始後24時間の菌体を遠心分離(8000rpm、20分間)により集菌し、蒸留水で洗浄した。洗浄後の集菌体を75g秤量し、エチレングリコール150gと共に蒸留水に懸濁し最終液量を1500mlとした。懸濁液をABLE社製培養装置DPC−2の培養槽に移し、22時間反応を行った。反応は大気圧下、通気量0.7vvm、攪拌速度800rpm、反応温度35℃、pH7.2(NH水溶液で調整)で行った。得られた反応液中のグリコール酸およびシュウ酸、酢酸の蓄積量、さらにエチレングリコールの残存量をHPLCで定法に従って測定した。結果を表5(表5)に示す。glcDEF遺伝子、且つ/またはpflB遺伝子の欠失によりシュウ酸、酢酸といった副生有機酸の低減が可能となり、さらにエチレングリコールの転化率が向上し、グリコール酸の生産性が飛躍的に向上した。
Figure 2005106005
さらにヒドロキシカルボン酸の一例としてヒドロキシエトキシ酢酸のバイオ法による製造については特開昭59−85296号公報においてジエチレングリコール含有培地に、キャンディダ属(Candida)、トルロプシス(Torulopsis)属、ロードトルラ(Rhodotorula)属、ハンセヌラ(Hansenula)属、デバリオミセス(Debaryomyces)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、ピシア(Pichia)属に属する酵母を培養し、培養液中からヒドロキシエトキシ酢酸を分離・採取する方法が開示されている。この生産方法においては培養に長時間を要することと、さらには相当量のジグリコール酸が副生することが示されており、ヒドロキシエトキシ酢酸の分離・精製に多大な労力を要することが容易に想像される。
△aldA/pGAPfucO株の構築
実施例1において得られたプラスミドpGAPfucOを実施例5において得られた△aldA株、に形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートで37℃で一晩培養することで△aldA/pGAPfucO株を得た。
【0075】
出現したコロニーの中から無作為に100コロニーをピックアップしてそれぞれを薬剤を含まないLB寒天プレートとクロラムフェニコール10μg/mlを含むLB寒天プレートに生育させ、薬剤を含まないLB寒天プレートにのみ生育するクロラムフェニコール感受性のクローンを選んだ。さらにこれらの目的クローンの染色体DNAからPCRによりpflB遺伝子を含む約2.0kb断片を増幅させ、pflB遺伝子領域が欠失している株を選抜し、得られた株をMG1655pflB遺伝子欠失株(以下△pflB株と略することがある)と命名した。
【実施例18】
【0077】
△glcDEF/pGAPfucO株、△pflB/pGAPfucO株、△pflB△glcDEF/pGAPfucO株の構築
実施例1において得られたプラスミドpGAPfucOを実施例16において得られた△glcDEF株、実施例17で得られた△pflB株、および実施例18で得られた△pflB△glcDEF株にそれぞれ形質転換し、アンピシリン50μg/mLを含むLB寒天プレートで37℃で一晩培養することで△glcDEF/pGAPfucO株、△pflB/pGAPfucO株、△pflB△glcDEF/pGAPfucO株を得た。
【実施例20】
△glcDEF/pGAPfucO株、△pflB/pGAPfucO株、△pflB△glcDEF/pGAPfucO株によるグリコール酸生産
実施例3で得られたMG1655/pGAPfucO株、実施例19において得られた△glcDEF/pGAPfucO株、△pflB/pGAPfucO株、△pflB△glcDEF/pGAPfucO株について実施例3と同様に培養を行った。培養開始後24時間の菌体を遠心分離(8000rpm、20分間)により集菌し、蒸留水で洗浄した。洗浄後の集菌体を75g秤量し、エチレングリコール150gと共に蒸留水に懸濁し最終液量を1500mlとした。懸濁液をABLE社製培養装置DPC−2の培養槽に移し、22時間反応を行った。反応は大気圧下、通気量0.7vvm、攪拌速度800rpm、反応温度35℃、pH7.2(NH水溶液で調整)で行った。得られた反応液中のグリコール酸およびシュウ酸、酢酸の蓄積量、さらにエチレングリコールの残存量をHPLCで定法に従って測定した。結果を表5(表5)に示す。glcDEF遺伝子、且つ/またはpflB遺伝子の欠失によりシュウ酸、酢酸といった副生有機酸の低減が可能となり、さらにエチレングリコールの転化率が向上し、グリコール酸の生産性が飛躍的に向上した。
Figure 2005106005

Claims (9)

  1. エチレングリコールからグリコールアルデヒドへの反応を触媒する酵素の活性を付与又は強化した微生物を利用することを特徴とする、末端に水酸基を有する脂肪族多価アルコール類を基質としたヒドロキシカルボン酸類の生産方法。
  2. 請求項1記載の酵素をコードする遺伝子をプラスミドの形態で導入することで微生物の該酵素活性を付与又は強化することを特徴とする請求項1に記載の生産方法。
  3. エチレングリコールからグリコールアルデヒドへの反応を触媒する酵素とグリコールアルデヒドからグリコール酸への反応を触媒する酵素の両活性を、2種の該酵素をコードする遺伝子をプラスミドの形態で導入することで付与又は強化した微生物を利用することを特徴とする、末端に水酸基を有する脂肪族多価アルコール類を基質としたヒドロキシカルボン酸類の生産方法。
  4. エチレングリコールからグリコールアルデヒドへの反応を触媒する酵素をコードする遺伝子及び/又はグリコールアルデヒドからグリコール酸への反応を触媒する酵素をコードする遺伝子が、解糖系、核酸生合成系又はアミノ酸生合成系に関わるタンパク質の発現を司る遺伝子のプロモーターと機能的に連結することで該酵素を発現する微生物を利用することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の生産方法。
  5. エチレングリコールからグリコールアルデヒドへの反応を触媒する酵素がラクトアルデヒドレダクターゼであり、グリコールアルデヒドからグリコール酸への反応を触媒する酵素がラクトアルデヒドデヒドロゲナーゼである請求項1〜4の何れか一項に記載の生産方法。
  6. 該微生物が本来有しているグリコール酸オキシダーゼ活性が不活化或いは低減されている、且つ/またはピルベートホルメートリアーゼ活性が不活化または低減されていることを特徴とする微生物を利用することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の生産方法。
  7. ヒドロキシカルボン酸が光学活性を有するヒドロキシカルボン酸であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の生産方法。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の生産方法に利用される微生物。
  9. 請求項6においてエチレングリコールを基質として収率95%以上、生産速度2g/L/時間以上で得られるグリコール酸水溶液。
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