JPWO2005100566A1 - 新規サルgpr103及びサルqrfp並びにgpr103を用いた化合物の評価方法 - Google Patents

新規サルgpr103及びサルqrfp並びにgpr103を用いた化合物の評価方法 Download PDF

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秀樹 佐野
岩浅 央
央 岩浅
聡 増子
聡 増子
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Abstract

【課題】ヒト以外の霊長類又はラットのGPR103遺伝子及びタンパク質及び当該遺伝子又はタンパク質を用いた化合物の評価方法を提供すること。また、GPR103遺伝子及びタンパク質の機能解析や、前記化合物の評価において利用価値の高い新規リガンドを提供すること。【解決手段】配列番号1〜4に記載の配列を有する核酸又はタンパク質により、ヒト以外の霊長類又はラットのGPR103遺伝子及びタンパク質や、これらの遺伝子及びタンパク質に基づく情報が提供される。また、これらの遺伝子及びタンパク質を用いて化合物の評価が可能となる。さらに、配列番号5及び6に記載の配列を有する核酸又はタンパク質により、GPR103リガンドが提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、新規サル及びラットGPR103遺伝子、タンパク質に関し、当該遺伝子又はタンパク質を用いた化合物の評価方法に関する。また、本発明は、GPR103のリガンドタンパク質に関する。
生体内の機能を調節するホルモン、神経伝達物質又は生理活性物質の多くは、細胞膜上に存在するグアノシン三リン酸結合タンパク質(以下、「Gタンパク質」という)共役型レセプターを介して標的細胞にシグナルを伝達し、固有の機能を発揮する。かかるレセプターは、細胞膜を7回貫通するという共通の構造を有し、Gタンパク質共役型レセプタースーパーファミリーを形成している。
Gタンパク質共役型レセプターは、これまでにすでに数百種が単離されているが、依然、単離されていないものもある。また、そのリガンドが不明である、いわゆるオーファンレセプターも多く存在する。
このようなレセプターやリガンドが単離され、機能が解明されることにより、生体内で生じる生理機能を解明することが可能となるとともに、当該機能をコントロールすることができるアゴニスト又はアンタゴニストのスクリーニングが可能となり、医薬品の開発に貢献することが期待されている。
GPR103(SP9155又はAQ27とも称される)はGタンパク質共役型レセプターの一種であり、ヒトGPR103遺伝子及びタンパク質については、種々のGタンパク質共役型レセプターのアミノ酸配列を元にEST及びゲノムDNAのデータベース検索を行い、得られた配列情報に基づいてPCR(Polymerase chain reaction)により単離された(非特許文献1)。また、ヒトGPR103タンパク質のアミノ酸配列は、特許文献1にも開示されている。
また、マウスGPR103は、特許文献2及び特許文献3に開示されている。さらに、ラットGPR103は、特許文献3に開示されている。
GPR103は、オレキシン、神経ペプチドFF、コレシストキニン(Cholecystokinin)レセプターと高い相同性を有し、これらの分子と類似の機能を有することは予想されたが、その機能については未知であった。しかし、その後、Ying Jiangらによって、リガンドとして機能するペプチドが見出され(非特許文献2、特許文献4)、また、ラット副腎の球状帯上において、アルドステロン(Aldosterone)の分泌の誘導に関与することが示唆されている(非特許文献3)。
一方、治療薬や診断薬の開発において、開発候補化合物は、げっ歯類及び霊長類においてその生理学的作用が評価される。これは、候補化合物が動物種によって異なる薬効を示すことがあるためであり、よりヒトに近い霊長類において評価することが毒性の低い治療薬や診断薬の効率的な開発に寄与することとなる。
WO0011015号公報 WO2002042458号公報 特開2004−000113号公報 特開2001−136981号公報 Gene、275巻、83頁(2001年) Journal of biological chemistry、278巻、27652頁(2003) Journal of biological chemistry、278巻、46387頁(2003)
しかしながら、ヒト以外の霊長類GPR103遺伝子は未だ単離されておらず、かかる遺伝子を用いた治療薬や診断薬の評価は不可能な状況であった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ヒト以外の霊長類のGPR103遺伝子及びタンパク質を提供することを目的とする。また、当該遺伝子又はタンパク質を用いた化合物の評価方法を提供することを目的とする。併せて、GPR103遺伝子及びタンパク質の機能解析や、前記化合物の評価において利用価値の高い新規リガンドを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、新規サル及びラットGPR103遺伝子(配列番号1及び3)を単離すること、及び、サル由来のGPR103リガンドであるpreproP518/QRFP(配列番号5)を単離することに成功し、さらにサルQRFPに基づきGPR103リガンド活性を有するタンパク質であるQRFP43(配列番号49)及びQRFP26(配列番号50)を設計し合成することに成功するとともに、これらの分子を用いた結合実験によりリガンドの評価を行うことに成功し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の核酸は、配列番号1又は3に記載の塩基配列を含むことを特徴とする。ここで、「配列番号1又は3に記載の塩基配列を含む」とは、前記塩基配列に、ベクターとのリンカー配列や遺伝子組換えに使用可能な制限酵素切断部位等の遺伝子の改変に必要な配列等の、付加的な塩基配列が付加されていることをいう。
また、本発明の核酸は、配列番号1又は3に記載の塩基配列からなることを特徴とする。
さらに、本発明の核酸は、配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードすることを特徴とする。
以上述べたような本発明の核酸により、ヒト以外の霊長類及びラットのGPR103遺伝子及びタンパク質とこれらの配列に関する情報を得ることが可能となり、主としてヒトの医薬の標的であるGPR103のモデルシステムの構築が可能となる。
また、本発明の遺伝子は、配列番号1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸からなることを特徴とする。かかる遺伝子を用いることにより、サルGPR103遺伝子と相同性の高い遺伝子の検出が可能となる。
さらに、本発明の遺伝子は、配列番号3に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸からなることを特徴とする。かかる遺伝子を用いることにより、ラットGPR103遺伝子と相同性の高い遺伝子の検出や単離が可能となる。
また、本発明は、上記の核酸又は遺伝子を含む発現ベクターをも包含する。かかるベクターを用いることにより、GPR103の遺伝子レベルでの操作や、組換えタンパク質の発現等が可能となる。
さらに、本発明は、前記発現ベクターを含む宿主細胞をも包含する。かかる宿主細胞を用いることにより、化合物やペプチド等のリガンドの評価等の細胞レベルでの研究が可能となる。
また、本発明のタンパク質は、配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列を含むことを特徴とする。ここで、「配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列を含む」とは、前記アミノ酸配列に、レポータータンパク、その他当該タンパク質の検出及び評価のため等に使用可能な必要なアミノ酸配列等の、付加的なアミノ酸配列が結合されていることをいう。
さらに、本発明のタンパク質は、配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列からなることを特徴とする。
さらに、本発明のタンパク質は、配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列において1又は2以上のアミノ酸の置換、欠失、付加又は挿入があるアミノ酸配列を含有し、GPR103タンパク質の活性を有することを特徴とする。
以上述べたような本発明のタンパク質により、ヒト以外の霊長類及びラットのGPR103遺伝子及びタンパク質とこれらの配列に関する情報を得ることが可能となり、主としてヒトの医薬の標的であるGPR103のモデルシステムの構築が可能となる。
さらに、本発明は、前記のタンパク質に対する抗体をも包含する。かかる抗体を用いることにより、GPR103タンパク質の抗原抗体反応を生じさせることが可能となり、当該タンパク質の検出や、GPR103タンパク質を標的とした診断等が可能となる。
また、本発明の化合物の評価方法は、GPR103遺伝子を導入し、GPR103タンパク質を発現する細胞を調製する工程と、当該細胞に被検化合物を接触させる工程と、当該GPR103に対する該被検化合物の特異的結合を検出する工程と、を含むことを特徴とする。
さらに、本発明の化合物の評価方法は、GPR103遺伝子を導入し、GPR103タンパク質を発現する細胞を調製する工程と、当該細胞に被検化合物を接触させる工程と、当該接触により生じた細胞内情報伝達物質の活性を測定する工程と、当該活性と被検化合物を接触させない場合の該細胞内情報伝達物質の活性とを比較する工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の化合物の評価方法は、被検化合物を、GPR103タンパク質に接触させる工程と、当該接触による該タンパク質の活性の変化を検出する工程と、を含むことを特徴とする。
以上述べたような化合物の評価方法により、GPR103タンパク質に結合する化合物(例えば、アゴニスト又はアンタゴニスト)の評価が可能となる。
さらに、本発明は、本発明の化合物の評価方法によって選択された化合物をも包含する。かかる化合物により、GPR103に関与する疾病の診断薬や治療薬が提供される。
また、本発明の化合物の評価方法においては、GPR103がサルGPR103であることが好ましい。サルGPR103を用いることにより、よりヒトの生体内に近い条件下で化合物の評価を行うことが可能となる。
また、本発明の核酸は、配列番号5に記載の塩基配列を含むことを特徴とする。ここで、「配列番号5に記載の塩基配列を含む」とは、前記塩基配列に、ベクターとのリンカー配列や遺伝子組換えに使用可能な制限酵素切断部位等の遺伝子の改変に必要な配列等の、付加的な塩基配列が付加されていることをいう。
また、本発明の核酸は、配列番号5に記載の塩基配列からなることを特徴とする。
さらに、本発明の核酸は、配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードすることを特徴とする。
これらの核酸により、GPR103のリガンドタンパク質(QRFP)をコードする核酸及び当該核酸に係る情報が提供され、併せて、GPR103遺伝子及びタンパク質の機能解析や、本発明の化合物の評価方法において利用価値の高いリガンドが提供される。
さらに、本発明の遺伝子は、配列番号5に記載の塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸からなることを特徴とする。かかる遺伝子を用いることにより、QRFPと相同性の高い遺伝子の検出や単離が可能となる。
また、本発明のタンパク質は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を含むことを特徴とする。ここで、「配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む」とは、前記アミノ酸配列に、レポータータンパク、その他当該タンパク質の検出及び評価のため等に使用可能な必要なアミノ酸配列等の、付加的なアミノ酸配列が結合されていることをいう。
また、本発明のタンパク質は、配列番号6に記載のアミノ酸配列からなることを特徴とする。
また、本発明のタンパク質は、配列番号6に記載のアミノ酸配列において1又は2以上のアミノ酸の置換、欠失、付加又は挿入があるアミノ酸配列を含有し、GPR103のリガンドタンパク質(QRFP)活性を有することを特徴とする。
また、本発明のタンパク質は、配列番号49又は50に記載のアミノ酸配列からなることを特徴とする。
さらに、本発明は、前記のタンパク質に対する抗体をも包含する。かかる抗体を用いることにより、QRFPタンパク質の抗原抗体反応を生じさせることが可能となり、当該タンパク質の検出や、当該タンパク質を標的とした診断等が可能となる。
これらの核酸、タンパク質及び抗体により、GPR103のリガンドタンパク質(QRFP)及び当該タンパク質に係る情報が提供され、併せて、GPR103遺伝子及びタンパク質の機能解析や、本発明の化合物の評価方法において利用価値の高いリガンドが提供される。
本発明の核酸、遺伝子、タンパク質及び抗体によれば、ヒト以外の霊長類及びラットのGPR103遺伝子及びタンパク質とこれらの配列に関する情報、並びにGPR103のリガンドタンパク質(QRFP)及び当該タンパク質に係る情報が提供される。また、本発明の化合物の評価方法によれば、GPR103の生理機能に関与する疾病に対して、治療薬や診断薬となる化合物の評価、開発が可能となる。
種々の動物種におけるGPR103タンパク質のアミノ酸配列を比較した図である。 種々の動物種におけるQRFPのアミノ酸配列を比較した図である。 ヒト及びサルGPR103発現293T発現細胞に対する種々の濃度のQRFPが示す細胞内カルシウムイオン上昇活性を示す図である。 マウス及びラットGPR103b発現293T発現細胞に対する種々の濃度のQRFPが示す細胞内カルシウムイオン上昇活性を示す図である。 サルQRFP43刺激によるサルGPR103又はヒトGPR103遺伝子発現CHO細胞における細胞内カルシウムイオン濃度上昇活性を示す図である。 サルQRFP26刺激によるサルGPR103又はヒトGPR103遺伝子発現CHO細胞における細胞内カルシウムイオン濃度上昇活性を示す図である。 QRFPをラットに第3脳室内投与した後、2時間の摂食量を示す図である。 QRFPをマウスに側脳室内投与した後、2時間の摂食量を示す図である。 ob/obマウスにおけるGPR103の発現を示す図である。 ob/obマウスにおけるQRFPの発現を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明における「核酸」とは、例えば、DNA、RNA若しくは修飾されたDNA又はRNAをいい、好ましくはDNAをいう。また、前記DNAとしては、ゲノムDNAであるかcDNAであるかを問わず、一本鎖であってもよく、二本鎖であってもよい。
また、本発明における「単離された」とは、組換えDNA技術により作成された場合は細胞物質、培養培地を実質的に含有せず、化学合成された場合には前駆体物質又はその他の物質を実質的に含まない、核酸又はタンパク質をいう。
また、本発明における「ストリンジェントな条件でハイブリダイズする」とは、二つの核酸断片が、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、コールドスプリングハーバー(1989)、9.47−9.62及び11.45−11.61に記載されたハイブリダイゼーション条件下で、相互にハイブリダイズすることを意味する。より具体的には、例えば、約45℃にて6.0×SSCでハイブリダイゼーションを行った後に、50℃にて2.0×SSCで洗浄する条件が挙げられる。ストリンジェンシー選択のため、洗浄工程における塩濃度を、例えば50℃にて、低ストリンジェンシーとしての約2.0×SSCから、高ストリンジェンシーとしての約0.2×SSCまで選択することができる。さらに、洗浄工程の温度を低ストリンジェンシー条件の室温、約22℃から、高ストリンジェンシー条件の約65℃まで上昇させることができる。
以下、本発明に係るサル(アカゲザル)GPR103について説明する。
本発明のサルGPR103遺伝子(配列番号1)は、1293塩基のオープンリーディングフレーム(配列番号1に記載の核酸における105〜1397番目)を有し、431アミノ酸のタンパク質(配列番号2)をコードする。
サルGPR103遺伝子のクローニング方法としては特に制限はないが、具体的には、例えば、サルGPR103遺伝子又は当該遺伝子に相同性の高い遺伝子由来の核酸配列情報をもとに5’−RACE又は3’−RACEで全長cDNAを増幅する方法、適切なベクター(プラスミドベクター、バクテリオファージ等)を用いて構築されたcDNAライブラリーをサルGPR103遺伝子の核酸断片を用いてスクリーニングする方法が挙げられる。
また、サルGPR103遺伝子とヒトGPR103遺伝子との間の相同性は、コーディング領域において約97%であり、35塩基が相違する。本発明の核酸には、配列番号1に記載の塩基配列のうち、1又は2以上の塩基において置換、欠失、挿入、付加があるものも含まれる。かかる置換、欠失、挿入、付加の塩基数としては、1〜34塩基であることが好ましく、1〜30塩基であることがより好ましく、1〜20塩基であることがさらに好ましく、1〜15塩基であることが特に好ましく、1〜10塩基であることがさらに好ましい。また、このような核酸は、その相同性に基づけば、配列番号1に記載の塩基配列との相同性が97%より大きいことが好ましく、98%以上であることがより好ましく、99%以上であることが特に好ましい。また、このような核酸は、生物学的に活性を有するタンパク質をコードすることが好ましく、GPR103としての活性(例えば、Gタンパク質共役型レセプターとしての情報伝達活性)を有するタンパク質をコードすることがより好ましい。
ここで、このような核酸は、本発明に係る配列番号1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸を単離することにより得ることができる。また、その核酸の由来となる動物種としては特に限定されないが、具体的には、例えば、ヒト以外の霊長類由来のGPR103遺伝子であることが好ましく、より具体的には、例えば、アカゲザル、カニクイザル、ニホンザル、リスザル、ミドリザル、アヌビスヒヒ又はコモンマーモセットのGPR103遺伝子が挙げられる。
また、サルGPR103(配列番号2)とヒトGPR103(配列番号7)との間のアミノ酸レベルでの相同性は98.1%であり、8アミノ酸が相違する。本発明のタンパク質には、配列番号2の1又は2以上のアミノ酸において、置換、欠失、挿入、付加があるものも含まれる。かかる置換、欠失、挿入、付加の塩基数としては、1〜7アミノ酸であることが好ましく、1〜5アミノ酸であることがより好ましく、1〜3アミノ酸であることが特に好ましい。また、このようなタンパク質は、その相同性に基づけば、配列番号2に記載のアミノ酸配列との相同性が98.2%以上であることが好ましく、98.5%以上であることがより好ましく、99%以上であることが特に好ましい。
サルGPR103の調製方法としては特に制限はないが、具体的には、例えば、単離したサルGPR103遺伝子を発現ベクターに導入し、動物細胞、昆虫細胞又は大腸菌等の宿主細胞に導入して組換えタンパク質を発現させた後、精製する方法が挙げられる。
また、本発明は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質又はその変異体を含む。前記変異体としては、配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1又は2以上であり且つ7箇所以下のアミノ酸が置換、欠失しているタンパク質や、1又は2以上のアミノ酸の付加、挿入があるタンパク質が挙げられる。このような変異タンパク質は、生物学的に活性を有することが好ましく、GPR103としての活性(例えば、Gタンパク質共役型レセプターとしての情報伝達活性)を有することがより好ましい。
また、本発明は以下の核酸・遺伝子を含む発現ベクターをも含む。
1.配列番号1に記載の塩基配列を含む単離された核酸。
2.配列番号1に記載の塩基配列からなる単離された核酸。
3.配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする単離された核酸。
4.配列番号1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸からなるサルGPR103遺伝子。
ここで、前記発現ベクターとしては、当業者に周知のベクターであれば特に制限はなく、例えば、pcDNA3.1、pBlueBacHis2、pCI−neo、pcDNAI、pMC1neo、pXT1、pSG5、pEF1/V5−HisB、pCR2.1、pET11、λgt11又はpCR3.1が挙げられる。
また、前記1.における「配列番号1に記載の塩基配列を含む」とは、前記塩基配列に、ベクターとのリンカー配列や遺伝子組換えに使用可能な制限酵素切断部位等の遺伝子の改変に必要な配列が付加されていることを意味する。
さらに、本発明は、前記発現ベクターを含む宿主細胞をも含む。当該宿主細胞としては、当業者に周知の細胞であれば特に制限はなく、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、微生物のいずれでもよい。かかる細胞としては、具体的には、例えば、COS1、COS7、CHO、NIH/3T3、293、Raji、CV11、C1271、MRC−5、CPAE、L−M(TK−)、HeLa、293T又はSf9が挙げられる。
また、本発明は、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質又はその変異体に対する抗体を含む。当該抗体は、前記タンパク質又はその一部のペプチドを抗原として調製することができ、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれであってもよい。当該抗体はエピトープとなるアミノ酸配列によってサルGPR103のみならず、異なった動物種のGPR103にも反応する場合があるが、サルGPR103にのみ選択性を有する抗体を調製する場合には、サルと異動物種のGPR103において相同性の低い領域をペプチド抗原として使用してモノクローナル抗体を調製することにより、所望の特異性を有する抗体を調製することができる。
次に、本発明のラットGPR103bについて説明する。
本発明のラットGPR103b遺伝子(配列番号3)は、1245塩基のオープンリーディングフレーム(配列番号3に記載の核酸における1〜1245番目)を有し、415アミノ酸のタンパク質(配列番号4)をコードする。上述したように、ラットGPR103遺伝子は既に単離されているが、本発明のラットGPR103b遺伝子と塩基配列が相違する。便宜上、既知のラットGPR103をラットGPR103又はラットGPR103aと、本発明のラットGPR103をラットGPR103bと称する。
ラットGPR103b遺伝子のクローニング方法としては特に制限はないが、具体的には、例えば、ラットGPR103b遺伝子又は当該遺伝子に相同性の高い遺伝子由来の核酸配列情報をもとに5’−RACE又は3’−RACEで全長cDNAを増幅する方法、適切なベクター(プラスミドベクター、バクテリオファージ等)を用いて構築されたcDNAライブラリーをラットGPR103b遺伝子の核酸断片を用いてスクリーニングする方法が挙げられる。
また、ラットGPR103b遺伝子とラットGPR103遺伝子との間の相同性は、コーディング領域において81%であり、240塩基が相違する。
さらに、ラットGPR103b遺伝子とヒトGPR103遺伝子との間の相同性は、コーディング領域において約84%であり、191塩基が相違する。本発明の核酸には、配列番号1に記載の塩基配列において、1又は2以上の塩基において置換、欠失、挿入、付加があるものも含まれる。かかる置換、欠失、挿入、付加の塩基数としては、1〜190塩基であることが好ましく、1〜150塩基であることがより好ましく、1〜100塩基であることがさらに好ましく、1〜50塩基であることが特に好ましく、1〜30塩基であることがさらに好ましい。また、このような核酸は、その相同性に基づけば、配列番号1の塩基配列との相同性が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、98%以上であることが特に好ましい。また、このような核酸は、生物学的に活性を有するタンパク質をコードすることが好ましく、GPR103としての活性(例えば、Gタンパク質共役型レセプターとしての情報伝達活性)を有するタンパク質をコードすることがより好ましい。
ここで、このような核酸は、本発明に係る配列番号3に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸を単離することにより得ることができる。
また、ラットGPR103bは、上述したように、415アミノ酸からなり、ラットGPR103との間のアミノ酸レベルでの相同性は79%であり、88アミノ酸が相違する。
さらに、ラットGPR103bとヒトGPR103(配列番号7)との間の相同性は83%であり、71アミノ酸が相違する。
本発明のタンパク質には、配列番号4の1又は2以上のアミノ酸において、置換、欠失、挿入、付加があるものも含まれる。かかる置換、欠失、挿入、付加の塩基数としては、1〜70アミノ酸であることが好ましく、1〜50アミノ酸であることがより好ましく、1〜30アミノ酸であることがさらに好ましく、1〜10アミノ酸であることが特に好ましい。また、このようなタンパク質は、その相同性に基づけば、配列番号4に記載のアミノ酸配列との相同性が84%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、98%以上であることが特に好ましい。また、このような変異タンパク質は、生物学的に活性であることが好ましく、GPR103としての活性(例えば、Gタンパク質共役型レセプターとしての情報伝達活性)を有することがより好ましい。
ラットGPR103bの調製方法としては特に制限はないが、具体的には、例えば、単離したラットGPR103b遺伝子を発現ベクターに導入し、動物細胞、昆虫細胞又は大腸菌等の宿主細胞に導入して組換えタンパク質を発現させた後、精製する方法が挙げられる。
また、本発明は以下の核酸・遺伝子を含む発現ベクターをも含む。
1.配列番号3に記載の塩基配列を含む単離された核酸。
2.配列番号3に記載の塩基配列からなる単離された核酸。
3.配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする単離された核酸。
4.配列番号3に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸からなるラットGPR103遺伝子。
ここで、前記発現ベクターとしては、当業者に周知のベクターであれば特に制限はなく、例えば、pcDNA3.1、pBlueBacHis2、pCI−neo、pcDNAI、pMC1neo、pXT1、pSG5、pEF1/V5−HisB、pCR2.1、pET11、λgt11又はpCR3.1が挙げられる。
また、前記1.における「配列番号3に記載の塩基配列を含む」とは、前記塩基配列に、ベクターとのリンカー配列や遺伝子組換えに使用可能な制限酵素切断部位等の遺伝子の改変に必要な配列が付加されていることを意味する。
さらに、本発明は、前記発現ベクターを含む宿主細胞をも含む。当該宿主細胞としては、当業者に周知の細胞であれば特に制限はなく、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、微生物のいずれでもよい。かかる細胞としては、具体的には、例えば、COS1、COS7、CHO、NIH/3T3、293、Raji、CV11、C1271、MRC−5、CPAE、L−M(TK−)、HeLa、293T又はSf9が挙げられる。
また、本発明は、配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質又はその変異体に対する抗体を含む。当該抗体は、前記タンパク質又はその一部のペプチドを抗原として調製することができ、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれであってもよい。当該抗体はエピトープとなるアミノ酸配列によってラットGPR103bのみならず、異なった動物種のGPR103にも反応する場合があるが、ラットGPR103bにのみ選択性を有する抗体を調製する場合には、ラットと異動物種のGPR103において相同性の低い領域をペプチド抗原として使用してモノクローナル抗体を調製することにより、所望の特異性を有する抗体を調製することができる。
次に、本発明にかかる、配列番号1又は3に記載の塩基配列を有する核酸若しくは配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質の用途について列挙し、それぞれ説明する。
(1)化合物の評価
本発明の核酸又はタンパク質を用いて、GPR103に作用する化合物の評価をすることができる。GPR103に対する作用を検出する方法として、被検化合物の当該受容体に対する特異的結合を検出する方法、被検化合物の接触によって変化した遺伝子又はタンパク質の発現量を検出する方法、及び、当該接触によって生じたGPR103を介した細胞内情報伝達の活性を検出する方法が挙げられる。以下、順に説明する。
すなわち、本発明の化合物の評価方法は、GPR103遺伝子を導入し、当該受容体を発現する細胞を調製する工程と、当該細胞に被検化合物を接触させる工程と、当該受容体に対する当該被検化合物の特異的結合を検出する工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の第2の化合物の評価方法は、GPR103遺伝子を導入し、当該受容体を発現する細胞を調製する工程と、当該細胞に被検化合物を接触させる工程と、当該接触により生じた細胞内情報伝達物質の活性を測定する工程と、当該活性と被検化合物を接触させない場合の該細胞内情報伝達物質の活性とを比較する工程と、を含むことを特徴とする。
被検化合物としては、特に制限はなく、例えば、タンパク質、ペプチド、非ペプチド性化合物、人工的に合成された化合物が挙げられる。
また、GPR103遺伝子を発現する細胞は、当業者が公知の方法で調製すればよく、具体的な方法としては特に制限はないが、例えば以下の方法によることができる。すなわち、本発明の配列番号1に記載の塩基配列を有する核酸又はその一部からなる核酸を好適なプロモーター及び転写調節エレメントを含む発現ベクターにクローニングし、クローニングされた核酸を有するベクターを宿主細胞に導入することにより調製する。ここで、前記ベクターとしては、発現ベクターとして利用可能なものであれば特に限定されないが、例えば、pcDNA3.1、pBlueBacHis2、pCI−neo、pcDNAI、pMC1neo、pXT1、pSG5、pEF1/V5−HisB、pCR2.1、pET11、λgt11又はpCR3.1が挙げられる。
次に、本発明の核酸が導入された発現ベクターを宿主細胞に導入する。かかる宿主細胞としては、遺伝子の発現に通常使用されるものであれば特に限定されず、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、微生物のいずれであってもよく、具体的には、例えば、COS1、COS7、CHO、NIH/3T3、293、Raji、CV11、C1271、MRC−5、CPAE、HeLa、293T又はSf9が挙げられる。また、発現ベクターを宿主細胞に導入する方法としては、公知の方法であれば特に限定されないが、具体的には、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法、リポフェクション法又は遺伝子銃が挙げられる。
次に、このようにして調製したGPR103を発現する細胞に被検化合物を接触させる。接触させる方法としては特に制限はなく、例えば、水溶液や緩衝液のような溶液中で接触させる方法が挙げられる。
細胞表面に発現した受容体と被検化合物との結合は、例えば、結合した化合物に付された標識による検出(例えば、結合量を放射活性や蛍光強度により検出する)のほか、被検化合物の細胞表面上の前記受容体への結合による細胞内へのシグナル伝達、例えば、Gタンパク質の活性化、カルシウムイオン(Ca2+)又はcAMPの濃度変化、ホスホリパーゼCの活性化、pHの変化、受容体のインターナリゼーションなどを指標に検出することができる。
また、前記シグナル伝達によって生じたシグナル伝達上の分子の発現レベルや活性を指標にすることもできる。ここで、当該発現レベルを指標とする場合、発現レベルの測定法は特に制限されないが、例えば、ノーザンブロッティング、ウェスタンブロッティング又はDNAチップが挙げられる。ここで、本発明における「発現レベル」とは、発現の検出対象が核酸の場合、GPR103タンパク質を介した情報伝達経路上に存在するタンパク質をコードする遺伝子及びその転写産物の絶対量又は相対量をいう。また、発現の検出対象がタンパク質の場合、その「発現レベル」とは、GPR103タンパク質を介した情報伝達経路上に存在するタンパク質をコードする遺伝子の翻訳産物の絶対量又は相対量をいう。また、シグナル伝達上の分子の活性を指標にする場合、活性測定方法は特に制限されず、測定の対象となる分子の種類によって好適な方法を選択すればよい。
一方、単離されたGPR103タンパク質を化合物の評価に直接使用することもできる。すなわち、被検化合物をGPR103タンパク質に接触させ、次に、接触によって生じたGPR103タンパク質の活性の変化を検出する方法である。
かかる接触の方法としては特に制限はなく、具体的には、例えば、緩衝液(リン酸緩衝液等)等の溶液中で混合することにより接触させる方法や、GPR103タンパク質をメンブレン上に固定し、メンブレン上で被検化合物と接触させる方法が挙げられる。
次に、接触によって生じたGPR103タンパク質の活性の変化を検出する。タンパク質の活性測定方法としては、使用するタンパク質の性質により適宜設定すればよく、具体的には、例えば、GPR103タンパク質に対するリガンド(例えば、QRFP)の結合活性を指標にする方法が挙げられる。
前記のリガンドの結合活性を指標にする方法としては特に制限はないが、具体的には、例えば、GPR103タンパク質が固定されたメンブレンに対する被検化合物の親和性を測定することによって結合活性を測定する方法が挙げられる。ここで用いられる化合物は、検出が容易なように放射性同位体等で標識されていてもよい。また、前記結合活性の検出方法として、被検化合物と競合してGPR103タンパク質へ結合する放射性同位体で標識したリガンドを検出する方法も挙げられ、係る方法を用いた場合には、被検化合物の標識は不要である。
以上のように、本発明の化合物の評価方法により化合物を検出した結果、被検化合物の存在下におけるリガンドの結合活性が、被検化合物の非存在下における結合活性(対照)より低い値を示した場合には、当該被検化合物は、本発明に係るGPR103タンパク質とリガンドとの結合を阻害する活性を有すると判定される。このような化合物は、前記受容体に結合して細胞内へのシグナル伝達を誘導する活性を有する化合物(アゴニスト)及び当該活性を有しない化合物(アンタゴニスト)等が含まれる。アゴニストは、前記受容体に対するリガンド及びそのアナログと同様の生理活性を有しており、一方、アンタゴニストは、前記受容体に対するリガンド及びそのアナログが有する生理活性を抑制する。このため、これらアゴニストやアンタゴニストは、本発明に係るGPR103タンパク質を介したシグナル伝達系の異常などに起因する疾患の治療などのための医薬組成物として有用である。
また、本発明の化合物の評価方法により、GPR103タンパク質への被検化合物結合後の細胞内シグナル伝達を促進又は阻害する物質のスクリーニングを行うことができる。すなわち、上述した方法によって複数の被検化合物を評価することにより、アゴニスト又はアンタゴニストとして機能する化合物を選択することができる。かかる選択の結果、被検化合物非存在下においてリガンド及びそのアナログを作用させた場合の細胞内シグナル伝達の変化と比較して、その変化が抑制されれば、当該被検化合物は、本発明に係るGPR103への被検化合物結合後の細胞内シグナル伝達を阻害する化合物であると判定される。逆に、被検化合物が細胞内シグナル伝達を増強させれば、当該化合物は、本発明に係るGPR103への被検化合物結合後の細胞内シグナル伝達を促進する化合物であると判定される。このようなスクリーニング方法によって選択された化合物を医薬品として使用する場合には、GPR103及びそのリガンドが関与する各種疾患、例えば狭心症、急性・うっ血性心不全、心筋梗塞、高血圧、腎臓病、電解質異常、血管れん縮等の循環器系疾患、例えば過食症、拒食症、うつ病、不安、痙攣、てんかん、痴呆、痛み、アルコール依存症、薬物の断薬に伴う禁断症状、概日リズムの変調、統合失調症、記憶障害、睡眠障害、認知障害等の神経系疾患、例えば肥満症、糖尿病、ホルモン分泌異常、痛風、脂肪肝等の代謝性疾患、不妊、早産、性機能障害等の生殖系疾患、消化管系疾患、呼吸器系疾患、炎症性疾患、高コレステロール血症、高脂血症、動脈硬化症又は緑内障等の予防又は治療に有用であると考えられる。
また、上述した本発明の化合物の評価方法により、PET(positron emission tomography)に用いるリガンドの評価を行うことができる。PETは、水、酸素、ブドウ糖、アミノ酸といった生体内に存在する物質あるいは目的とする受容体に対するリガンドを放射線標識して体内に投与することにより、非侵襲的に生体機能を観察する方法であり、研究や臨床において利用されている。PETの特徴は、トレーサーとして用いるリガンドに依存した機能特異的なイメージングを可能にする点にあり、新たなトレーサーの開発は未知の生体機能の解明や疾患の診断に不可欠である。本発明の化合物の評価方法によれば、被検化合物としてPETリガンド候補物質を適用することにより、当該物質のインビトロでの評価を行うことが可能となる。
(2)ハイブリダイゼーションに用いるプローブ
本発明の核酸の一部、又は全部からなる核酸をハイブリダイゼーション用のプローブとして使用することにより、GPR103遺伝子を検出することが可能である。かかる検出としては、生体由来の組織や細胞を被検体としたGPR103遺伝子の検出のみならず、GPR103遺伝子又は当該遺伝子と相同性の高い遺伝子のクローニング等にも応用可能である。また、前記核酸をプローブとして使用し、種々の組織における遺伝子発現を調べることにより、遺伝子発現の分布を同定することも可能である。
前記核酸をプローブとして使用する場合、ハイブリダイゼーションの方法としては特に制限はなく、例えば、サザンハイブリダイゼーション、ノザンハイブリダイゼーション、コロニーハイブリダイゼーション、ドットハイブリダイゼーション、Fluorescence in situ hybridization(FISH)、in situ hybridization(ISH)、DNAチップ法が挙げられる。
前記核酸をハイブリダイゼーション用のプローブとして使用する場合、少なくとも連続する20塩基の長さの核酸が必要であり、好ましくは40塩基、さらに好ましくは60塩基、特に好ましくは80塩基以上のものが使用される。また、当該プローブは、必要に応じて検出可能なように標識して用いてもよい。具体的には、例えば、32P、14C、125I、H、35S等の放射性同位体で標識されていてもよく、ビオチン、蛍光色素、酵素、金コロイド等で標識されていてもよい。
また、前記核酸をハイブリダイゼーション用のプローブとして使用する場合のハイブリダイゼーションの条件としては、プローブの長さやハイブリダイゼーションの対象となる遺伝子の種類に応じて当業者が適宜選択すればよいが、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、コールドスプリングハーバー(1989)、9.47−9.62及び11.45−11.61を参照して行うことができる。より具体的には、約45℃にて6.0×SSCでハイブリダイゼーションを行った後に、50℃にて2.0×SSCで洗浄する条件が挙げられる。ストリンジェンシー選択のため、洗浄工程における塩濃度を、例えば低ストリンジェンシーとしての約2.0×SSC、50℃から、高ストリンジェンシーとしての約0.2×SSC、50℃まで選択することができる。さらに、洗浄工程の温度を低ストリンジェンシー条件の室温、約22℃から、高ストリンジェンシー条件の約65℃まで増大させることができる。
(3)PCRに使用するプライマー
GPR103遺伝子を検出する方法として、本発明の配列番号1に記載の塩基配列の一部をプライマーとして使用したPolymerase Chain Reaction(PCR)法を挙げることができる。
このようなプライマーの長さは、その塩基配列や単離する遺伝子の塩基配列等によって適宜設定することができるが、一般に、連続した10〜60塩基であることが好ましく、15〜30塩基であることがより好ましい。
最後に、本発明のGPR103リガンド(QRFP:pyroglutamylated arginine−phenylalanine−amide peptide)について説明する。
本発明のGPR103リガンド遺伝子(preproP518/QRFP)(配列番号5)は、408塩基のオープンリーディングフレーム(配列番号5に記載の核酸における37〜444番目)を有し、136アミノ酸からなるタンパク質(配列番号6)をコードする。
サルGPR103リガンド遺伝子のクローニング方法としては特に制限はないが、具体的には、例えば、サルGPR103リガンド遺伝子又は当該遺伝子に相同性の高い遺伝子由来の核酸配列情報をもとに5’−RACE又は3’−RACEで全長cDNAを増幅する方法、適切なベクター(プラスミドベクター、バクテリオファージ等)を用いて構築されたcDNAライブラリーをサルGPR103リガンド遺伝子の核酸断片を用いてスクリーニングする方法が挙げられる。
また、サルGPR103リガンド遺伝子とヒトGPR103リガンド遺伝子との間の相同性は、コーディング領域において約92%であり、32塩基が相違する。本発明の核酸には、配列番号5に記載の塩基配列のうち、1又は2以上の塩基において置換、欠失、挿入、付加があるものも含まれる。かかる置換、欠失、挿入、付加の塩基数としては、1〜31塩基であることが好ましく、1〜20塩基であることがより好ましく、1〜10塩基であることがさらに好ましく、1〜5塩基であることが特に好ましく、1〜3塩基であることがさらに好ましい。また、このような核酸は、その相同性に基づけば、配列番号5に記載の塩基配列との相同性が93%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。また、このような核酸は、生物学的に活性を有するタンパク質をコードすることが好ましく、GPR103リガンドとしての活性を有するタンパク質をコードすることがより好ましい。
ここで、このような核酸は、本発明に係る配列番号5に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸を単離することにより得ることができる。また、その核酸の由来となる動物種としては特に限定されないが、具体的には、例えば、ヒト以外の霊長類由来のGPR103リガンド遺伝子であることが好ましく、より具体的には、例えば、アカゲザル、カニクイザル、ニホンザル、リスザル、ミドリザル、アヌビスヒヒ又はコモンマーモセットのGPR103リガンド遺伝子が挙げられる。
また、サルGPR103リガンドとヒトGPR103リガンド(配列番号11)との間のアミノ酸レベルでの相同性は87.5%であり、17アミノ酸が相違する。本発明のタンパク質には、配列番号6の1又は2以上のアミノ酸において、置換、欠失、挿入、付加があるものも含まれる。かかる置換、欠失、挿入、付加の塩基数としては、1〜16アミノ酸であることが好ましく、1〜10アミノ酸であることがより好ましく、1〜5アミノ酸であることがさらに好ましく、1〜3アミノ酸であることが特に好ましい。また、このようなタンパク質は、その相同性に基づけば、配列番号6に記載のアミノ酸配列との相同性が88%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、98%以上であることが特に好ましい。また、このようなタンパク質は、生物学的に活性であることが好ましく、GPR103リガンドとしての活性を有することがより好ましい。
サルGPR103の調製方法としては特に制限はないが、具体的には、例えば、単離したサルGPR103遺伝子を発現ベクターに導入し、動物細胞、昆虫細胞又は大腸菌等の宿主細胞に導入して組換えタンパク質を発現させた後、精製する方法が挙げられる。
また、本発明は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質又はその変異体を含む。前記変異体としては、配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1又は2以上であり且つ16以下のアミノ酸が置換、欠失しているタンパク質や、1又は2以上のアミノ酸の付加、挿入があるタンパク質が挙げられる。このような変異タンパク質は、生物学的に活性であることが好ましく、GPR103リガンドとしての活性(例えば、Gタンパク質共役型レセプターに対する結合能)を有することがより好ましい。
又、本発明は、配列番号49又は50に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質を含む。当該タンパク質は、前記の方法でタンパク質をコードする核酸を単離し、宿主細胞において発現させることによって精製してもよく、また、市販のペプチド合成機を用いて合成してもよい。
また、本発明は、配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質又はその変異体、及び配列番号49又は50に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質に対する抗体を含む。当該抗体は、本発明のGPR103リガンドタンパク質又はその一部のペプチドを抗原として調製することができ、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれであってもよい。当該抗体はエピトープとなるアミノ酸配列によってサルGPR103リガンドのみならず、異なった動物種のGPR103リガンドにも反応する場合があるが、サルGPR103リガンドにのみ選択性を有する抗体を調製する場合には、サルと異動物種のGPR103において相同性の低い領域をペプチド抗原として使用してモノクローナル抗体を調製することにより、所望の特異性を有する抗体を調製することができる。
本発明のサルGPR103リガンドにより、例えば、生体内においてGPR103の発現が減少しているような疾患において、当該リガンドを投与してGPR103タンパク質の正常な機能を回復させることが可能となる。
本発明のサルGPR103リガンドを医薬として使用する場合には、GPR103が関与する各種疾患、例えば狭心症、急性・うっ血性心不全、心筋梗塞、高血圧、腎臓病、電解質異常、血管れん縮等の循環器系疾患、例えば過食症、拒食症、うつ病、不安、痙攣、てんかん、痴呆、痛み、アルコール依存症、薬物の断薬に伴う禁断症状、概日リズムの変調、統合失調症、記憶障害、睡眠障害、認知障害等の神経系疾患、例えば肥満症、糖尿病、ホルモン分泌異常、痛風、脂肪肝等の代謝性疾患、不妊、早産、性機能障害等の生殖系疾患、消化管系疾患、呼吸器系疾患、炎症性疾患、高コレステロール血症、高脂血症、動脈硬化症又は緑内障等の予防又は治療に有用であると考えられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
(アカゲザルGPR103遺伝子の単離)
ヒトGPR103遺伝子(GenBank accession No.BD270051)の5’及び3’非翻訳領域の塩基配列に基づいてhBG29F2(配列番号15)及びhBG29R1(配列番号16)の2本のオリゴDNAプライマーを設計した。
アカゲザルの脳組織からファストトラック2.0mRNA分離キット(インビトロジェン社)を用いてmRNAを精製し、スーパースクリプトIIIファーストストランド合成システム(インビトロジェン社)を用いてcDNAの合成を行い、そのcDNAを鋳型にして、これらのプライマーを用い、94℃10秒間(変性反応)/60℃ 30秒間(アニーリング)/68℃1分30秒間(伸長反応)のサイクルを40回繰り返し、PCR反応を行った。得られたPCR増幅産物を制限酵素BamHI及びNotIで消化し、pEF1/V5−HisBプラスミドベクター(インビトロジェン社)にクローニングした。
独立した5つのPCR反応より得られたクローンから5クローンを無作為に選び、T7、BGHreverse、monBG29−1、monBG29−2、monBG29−3、monBG29−4、monBG29−5、monBG29−6、monBG29−21、monBG29−31の10本のプライマー(配列番号17〜26)を用いてダイターミネーター法により塩基配列を決定した。これら5クローンの塩基配列の比較により、アカゲザルGPR103遺伝子の塩基配列が明らかとなった。
アカゲザルGPR103遺伝子は、1128塩基のオープンリーディングフレーム(配列番号1に記載の塩基配列において105番目から1397番目)を有する。各々のオープンリーディングフレームから予測されるアミノ酸配列(431残基)を配列番号2に示す。
アカゲザルGPR103とヒトGPR103のアミノ酸配列(GenPept accession No.BAC98938)と比較したところ、98%(431残基中423残基が同一)の非常に高い同一性を示し、クローニングした遺伝子の塩基配列はアカゲザルのGPR103受容体をコードしていることが確認できた。
また、ヒトGPR103遺伝子について発現部位を検討した結果、視床下部、橋(Pon)に強い発現が見られ、脳のその他の部位についても比較的強い発現が見られた。
ヒトGPR103(配列番号7)、サルGPR103(配列番号2)、マウスGPR103(配列番号8)、ラットGPR103(配列番号9)、マウスGPR103b(配列番号10)、ラットGPR103b(配列番号4)のアミノ酸配列を比較した図を図1に示す。
また、以下に、本実施例において使用したプライマーの塩基配列を示す。
hBG29F2: ATAGGATCCTCCCGCGCGGCTGACTCCAGAGTA(配列番号15)
hBG29R1: ACAGCGGCCGCTCTTTGGGTTACAATCTGAAGGGC(配列番号16)
T7:TAATACGACTCACTATAGGG(配列番号17)
BGHreverse: GGAGCTGACACGGAAGAT(配列番号18)
monBG29−1: GGGAGCAGTTCATCGCT(配列番号19)
monBG29−2: CTCGTGCTCACCGGCGTGCT(配列番号20)
monBG29−3: CAGTCATCGTAGGATCACC(配列番号21)
monBG29−4: TTCTCCTCTGTCTGTTCACA(配列番号22)
monBG29−5: AATGACAGCTCGTTTCTTCT(配列番号23)
monBG29−6: CAATGCAGGTCATAGTGAGG(配列番号24)
monBG29−21: AGCACGCCGGTGAGCACGAG(配列番号25)
monBG29−31: GGTGATCCTACGATGACTG(配列番号26)
実施例2
(アカゲザルpreproQRFP遺伝子の単離)
ヒトpreproQRFP遺伝子(GenBank accession No.NT_035014)の5’及び3’非翻訳領域の塩基配列に基づいてhQRFPF2(配列番号27)及びhQRFPR1(配列番号28)の2本のオリゴDNAプライマーを設計した。
アカゲザルの脳組織からファストトラック2.0mRNA分離キット(インビトロジェン社)を用いてmRNAを精製し、スーパースクリプトIIIファーストストランド合成システム(インビトロジェン社)を用いてcDNAの合成を行い、そのcDNAを鋳型にして、これらのプライマーを用い、94℃10秒間(変性反応)/60℃30秒間(アニーリング)/68℃1分30秒間(伸長反応)のサイクルを40回繰り返し、PCR反応を行った。得られたPCR増幅産物を制限酵素BamHI及びNotIで消化し、pEF1/V5−HisBプラスミドベクター(インビトロジェン社)にクローニングした。独立した8つのPCR反応より得られたクローンから8クローンを無作為に選び、T7、BGHreverse、hQRFP−1、hQRFP−2の4本のプライマー(配列番号29〜32)を用いてダイターミネーター法により塩基配列を決定した。これら5クローンの塩基配列の比較により、アカゲザルpreproQRFP遺伝子の塩基配列が明らかとなった。
アカゲザルpreproQRFP遺伝子は、408塩基のオープンリーディングフレーム(37番目から444番目)を有する。各々のオープンリーディングフレームから予測されるアミノ酸配列(136残基)を配列番号6に示す。
アカゲザルpreproQRFPとヒトpreproQRFPのアミノ酸配列(GenPept accession No.BAC98934)と比較したところ、87%(136残基中119残基が同一)の非常に高い同一性を示し、クローニングした遺伝子の塩基配列はアカゲザルのpreproQRFPをコードしていることが確認できた。
サルpreproQRFP(配列番号6)、ヒトpreproQRFP(配列番号11)、マウスpreproQRFP(配列番号12)、ラットpreproQRFP(配列番号13)、ウシpreproQRFP(配列番号14)のアミノ酸配列を比較した図を図2に示す。
また、以下に、本実施例において使用したプライマーの塩基配列を示す。
hQRFPF2: ATAGGATCCTTGGTGAGTTGCGCTTGGCCACGTGTG(配列番号27)
hQRFPR1: ACAGCGGCCGCGGCTGGGACGACCGAGGCTCCAAGACA(配列番号28)
T7:TAATACGACTCACTATAGGG(配列番号29)
BGHreverse: GGAGCTGACACGGAAGAT(配列番号30)
hQRFP−1: CATGCTGGCTGCAGATTCCG(配列番号31)
hQRFP−2: TCACTGCCTTCGTCCTGCCT(配列番号32)。
実施例3
(アカゲザルGPR103遺伝子発現293T細胞における細胞内カルシウムイオン濃度上昇活性の検出)
6cm培養シャーレに1×10個の293T細胞を播種し、24時間後に実施例1で得られたアカゲザルGPR103遺伝子を保持したpEF1/V5−HisBプラスミドベクター及びインサートを持たない同ベクター(mock)を、リポフェクトアミン2000(インビトロジェン社)を用いてトランスフェクションした。また、比較のために既知のヒトGPR103cDNAを持つ同ベクターをトランスフェクションした細胞も用意した。
それぞれの細胞を24時間培養後、96−wellのポリ−D−リジン塗布済み黒色培養プレート(べクトンデッキンソン社)に3×10cells/wellの細胞数で播種し、一晩培養した。細胞の培地を除去し、10%Fetal bovine serum (ハイクローン社)を含むDMEM(インビトロジェン社)に4μMのFluo4−AM(Morecular Probes社)及び0.04%Pluronic acid(Morecular Probes社)を添加したものを加え、37℃で1時間インキュベーションした。Hank’s Balanced Salt Solution(HBSS)に20mMのHEPES(pH7.4、インビトロジェン社)、0.5%ウシ血清アルブミン(シグマ社)を添加したものをアッセイバッファーとして用意した。細胞をアッセイバッファーで洗浄して過剰なFluo4を除去し、FLIPR(モレキュラーデバイス社)にセットした。アッセイバッファーに溶解した各種濃度のヒトQRFP43(配列番号51)も同じくFLIPRにセットした後、サンプルを細胞に添加し、励起光の照射によって発生する細胞内カルシウムイオン濃度に依存した蛍光量の変化を測定した。
ヒトQRFP43によってペプチド添加直前の蛍光量と添加後の最大値の差を蛍光変化量とし、Prism Version 4.00(グラフパッド社)を用いて各種濃度のペプチドによる蛍光変化量をグラフ化し、50%有効濃度を求めた(図3)。
その結果、ヒトQRFP43は濃度依存的にアカゲザルGPR103遺伝子発現293T細胞の細胞内カルシウムイオン濃度を上昇させることが示され、その50%有効濃度は39nMであった。また、同時に観測したヒトGPR103発現細胞におけるヒトQRFP43の細胞内カルシウム濃度上昇活性の50%有効濃度は97nMであった。一方、mockベクターをトランスフェクトした細胞ではヒトQRFP43による細胞内カルシウムイオン濃度の変化は見られなかった。
このように、アカゲザルGPR103は既知のヒトGPR103と同様にQRFP受容体としての特性を示すことが明らかとなった。
実施例4
(ラットGPR103遺伝子と相同性を持つ遺伝子の単離)
ラットGPR103遺伝子(GenBank accession No.NM_198199)の塩基配列をクエリーとしてBlastアルゴリズムを用いてセレーラ社提供のラットゲノムデータベースに対して相同性検索を行ったところ、ラットGPR103遺伝子と相同性を持つ遺伝子配列を見出し、GPR103bと命名した。
セレーラ社データベース由来の配列を基に、rBG29LF1(配列番号33)及びrBG29LR4(配列番号34)の2本のオリゴDNAプライマーを設計した。ラットの視床下部組織からファストトラック2.0mRNA分離キット(Invitrogen社)を用いてmRNAを精製し、スーパースクリプトIIIファーストストランド合成システム(Invitrogen社)を用いてcDNAの合成を行った。
次に、そのcDNAを鋳型にして、これらのプライマーを用い、94℃10秒間(変性反応)/68℃1分30秒間(アニーリング及び伸長反応)のサイクルを40回繰り返し、PCR反応を行った。得られたPCR増幅産物を制限酵素BamHI及びNotIで消化し、pEF1/V5−HisBプラスミドベクター(Invitrogen社)にクローニングした。
独立した4つのPCR反応より得られたクローンから4クローンを無作為に選び、T7、BGHreverse、rQRFP2R−1、rQRFP2R−2、rQRFP2R−3、rQRFP2R−4、rQRFP2R−5、rQRFP2R−6の8本のプライマー(配列番号35〜42)を用いてダイターミネーター法により塩基配列を決定した。
これら4クローンの塩基配列の比較によって得られたコンセンサス配列は100%セレーラ社提供のデータベース由来配列と同一であった。
ラットGPR103b遺伝子は、1245塩基のオープンリーディングフレーム(1番目から1245番目)を有する。そのオープンリーディングフレームから予測されるアミノ酸配列(415残基)を配列番号4に示す。
ラットGPR103b遺伝子のアミノ酸配列とヒトGPR103(GenPept accession No.BAC98938)と比較したところ、83%の高い同一性を示し、ラットGPR103bはP518/QRFPの受容体であることを確認した(図1)。また、既知の配列を持つマウスTGR346b(GenPept accession No.CAD82895)は、ラットGPR103bとアミノ酸配列が94%の高い相同性(416残基中392残基が同一)を有し、ラットGPR103b同様にQRFPの受容体であることが確認できた。
以下に、使用したプライマーの塩基配列を示す。
rBG29LF1: ATAGGATCCGGTCAAGGCGCCTACCGAACCCAGCATG(配列番号33)
rBG29LR4: ACAGCGGCCGCAACAGGTCCTCATTCTGAAGACAC(配列番号34)
T7:TAATACGACT CACTATAGGG(配列番号35)
BGHreverse: GGAGCTGACACGGAAGAT(配列番号36)
rQRFP2R−1: TCACCTTCTTCTGCATTCCC(配列番号37)
rQRFP2R−2: AAAATCTACACCACCTTCAT(配列番号38)
rQRFP2R−3: GCATGGAAGCTTGGGAGCCA(配列番号39)
rQRFP2R−4: CCCCCAAATGCTTCCCCTTT(配列番号40)
rQRFP2R−5: AGCTCATAACCGATTTTCCC(配列番号41)
rQRFP2R−6: ATGAGCAGGTCGCTGAGTGCCA(配列番号42)。
実施例5
(ラットGPR103b遺伝子発現293T細胞における細胞内カルシウムイオン濃度上昇活性の検出)
6cm培養シャーレに1×10個の293T細胞を播種し、24時間後に実施例4で得られたラットGPR103b遺伝子を保持したpEF1/V5−HisBプラスミドベクター及びインサートを持たない同ベクター(mock)をリポフェクトアミン2000(インビトロジェン社)を用いてトランスフェクションした。また、マウスGPR103b(図1に示すように、ラットGPR103bと高い相同性を有する)cDNAを持つ同ベクターをトランスフェクションした細胞も用意した。
24時間培養後、96−wellのポリ−D−リジン塗布済み黒色培養プレート(べクトンデッキンソン社)に3×10cells/wellの細胞数で播種し、一晩培養した。細胞の培地を除去し、10%Fetal bovine serum(ハイクローン社)を含むDMEM(インビトロジェン社)に4μMのFluo4−AM(Morecular Probes社)及び0.04%Pluronic acid(Morecular Probes社)を添加したものを加え、37℃で1時間インキュベーションした。Hank’s Balanced Salt Solution(HBSS)に20mMのHEPES(pH7.4、 インビトロジェン社)、0.5%ウシ血清アルブミン(シグマ社)を添加したものをアッセイバッファーとして用意した。細胞をアッセイバッファーで洗浄して過剰なFluo4を除去し、FLIPR(モレキュラーデバイス社)にセットした。アッセイバッファーに溶解した各種濃度のヒトQRFP43(配列番号51)も同じくFLIPRにセットした後、サンプルを細胞に添加し、励起光の照射によって発生する細胞内カルシウムイオン濃度に依存した蛍光量の変化を測定した。
ヒトQRFP43によってペプチド添加直前の蛍光量と添加後の最大値の差を蛍光変化量とし、Prism Version 4.00(グラフパッド社)を用いて各種濃度のペプチドによる蛍光変化量をグラフ化し、50%有効濃度を求めた(図4)。
その結果、ヒトQRFP43は濃度依存的にラットGPR103b遺伝子発現293T細胞の細胞内カルシウムイオン濃度を上昇させることが示され、その50%有効濃度は217nMであった。また、同時に観測したマウスGPR103b発現細胞におけるヒトQRFP43の細胞内カルシウム濃度上昇活性の50%有効濃度は76nMであった。一方、mockベクターをトランスフェクトした細胞ではヒトQRFP43による細胞内カルシウムイオン濃度の変化は見られなかった。このように、ラットGPR103b及びマウスGPR103bはQRFP受容体としての特性を示すことが明らかとなった。
実施例6
(サルQRFP43及びQRFP26の合成)
公知の事実よりpreproQRFPはプロセシング受け、そのC−末端がアミド化され、N−末端がピログルタミル化されることが知られている。サルpreproQRFPも他の種のQRFPに相当する位置でプロセシングを受けることが予想される。配列番号6で示されるサルpreproQRFPがプロセシングを受けて生成されるペプチドをサルQRFP43とする(配列番号49)。また、ヒトQRFPのC−末端から26アミノ酸に相当する部分のみでGPR103に対する十分なアゴニスト活性を有することが知られている。サルQRFPにおいてもC−末端から26アミノ酸に相当する部分で十分なアゴニスト活性を発揮できることが予想され、それに相当するペプチドをサルQRFP26とする(配列番号50)。
前記サルQRFP43及びQRFP26の合成は、それぞれNovabuochem社より販売されている、NovaSyn(登録商標)TGR resinを出発原料とし、PioneerTMペプチド合成機を用いてHATUを縮合試薬としたFmoc法によって縮合し、得たresinにTFA/thioanisole/ethandithiol/m−cresol(95/2.5/1.5/1)を加え室温で1時間30分振盪した後、樹脂をろ過除去した。このろ液に冷却したエーテルを加え、粗Pyr−Asp−Glu−Gly−Ser−Glu−Ala−Asp−Asp−Phe−Leu−Pro−Ala−Gly−Gly−Val−Lys−Ala−Ser−Gly−Pro−Leu−Gly−Asn−Leu−Ala−Glu−Glu−Leu−Asn−Gly−Tyr−Ser−Arg−Lys−Lys−Gly−Gly−Phe−Ser−Phe−Arg−Phe−NHを(QRFP43)、及び粗Ala−Ser−Gly−Pro−Leu−Gly−Asn−Leu−Ala−Glu−Glu−Leu−Asn−Gly−Tyr−Ser−Arg−Lys−Lys−Gly−Gly−Phe−Ser−Phe−Arg−Phe−NH(QRFP26)を沈殿として得た。さらに、粗ペプチドをYMC−Pack ODS−AQ、S−5、120Aカラム(20×250mm)を用いた逆相分取HPLC(A液:0.1%TFA水、B液:0.1%TFAアセトニトリル、A/B:95/5−2min、73/27〜58/42−15min直線型濃度勾配溶出、流速10ml/min)で精製し目的物を含む分画を回収、凍結乾燥することにより目的物を得た。
実施例7
(サルQRFP43又はQRFP26刺激によるサルGPR103又はヒトGPR103遺伝子発現CHO細胞における細胞内カルシウムイオン濃度上昇活性の検出)
実施例1で得られたサルGPR103遺伝子又はヒトGPR103遺伝子を保持したpEF1/V5−HisBプラスミドベクター及びインサートを持たない同ベクター(mock)を、CHO細胞にトランスフェクションし、その培地に最終濃度が2mg/mlなるようにGeneticin(インビトロジェン社)を添加し発現細胞を選択した。その後、サル又はヒトGPR103遺伝子発現細胞については限界希釈法にて単一クローン化し、以下の試験に供した。また実施例6で示された方法で合成されたサルQRFP43及びQRFP26を以下の試験に供した。
それぞれの細胞を24時間培養後、96−wellのポリ−D−リジン塗布済み黒色培養プレート(べクトンデッキンソン社)に2.5×10cells/wellの細胞数で播種し、二晩培養した。細胞の培地を除去し、10%Fetal bovine serum(シグマ社)を含むDMEM/F―12(インビトロジェン社)に4μMのFluo4−AM(Morecular Probes社)、0.04%Pluronic acid(Morecular Probes社)及び2.5mMのProbenecid(シグマ社)を添加したものを加え、37℃で1時間インキュベーションした。Hank’s Balanced Salt Solution(HBSS)に20mMのHEPES(シグマ社)、2.5mMのProbenecid(シグマ社)0.5%ウシ血清アルブミン(シグマ社)を添加したものをpH7.4に水酸化ナトリウム水溶液で調整しアッセイバッファーとして用意した。細胞をアッセイバッファーで洗浄して過剰なFluo4を除去し、FLIPR(モレキュラーデバイス社)にセットした。アッセイバッファーに溶解した各種濃度のサルQRFP43又はQRFP26も同じくFLIPRにセットした後、サンプルを細胞に添加し、励起光の照射によって発生する細胞内カルシウムイオン濃度に依存した蛍光量の変化を測定した。
サルQRFP43又はQRFP26添加直前の蛍光量と添加後の最大値の差を蛍光変化量とし、Prism Version 4.00(グラフパッド社)を用いて各種濃度のペプチド(タンパク質)による蛍光変化量をグラフ化し、50%有効濃度を求めた。
その結果、サルQRFP43は濃度依存的にサル又はヒトGPR103遺伝子発現CHO細胞の細胞内カルシウムイオン濃度を上昇させることが示され、その50%有効濃度はそれぞれ69nM、58nMであった(図5)。また、同時に測定したサルQRFP26の細胞内カルシウム濃度上昇活性の50%有効濃度はそれぞれサルGPR103遺伝子発現CHO細胞に対しては9.2nM、ヒトGPR103遺伝子発現CHO細胞に対しては1.7nMであった(図6)。一方、mockベクターをトランスフェクトした細胞では各々のサルQRFPによる細胞内カルシウムイオン濃度の変化は見られなかった(図5及び図6)。
このように、サルQRFP43及びQRFP26はGPR103のアゴニストとしての特性を示すことが明らかとなった。
実施例8
(ラット及びマウスに対するヒトQRFP43の投与)
SDラット、C57BLマウスにQRFPを投与した後、摂食量の測定をした。
SDラット(9−12週齢)は麻酔下、第3脳室にガイドカニューレ(26ゲージ)を挿入し、歯科用レジンで固定した。ガイドカニューレの位置はブレグマ(bregma)より後方2.2mm、正中線上、頭蓋表面より深さ8mmとした。
C57BLマウス(9−12週齢)は麻酔下、側脳室にガイドカニューレ(27ゲージ)を挿入し、歯科用レジンで固定した。ガイドカニューレの位置は、ブレグマより後方0.4mm、右へ0.8mm、頭蓋表面より深さ1mmとした。
2週間程度の回復期間をおいた後、マイクロシリンジに接続した内針(33ゲージ)をガイドカニューレに挿入し、人工脳脊髄液に溶解したQRFP(ラットは100マイクログラム/head、マウスは10又は30マイクログラム/head、)を脳室内に投与し、2時間の摂食量を測定した。
図7はヒトQRFP43をラットに第3脳室内投与した後、2時間の摂食量を示し、図8はヒトQRFP43をマウスに側脳室内投与した後、2時間の摂食量を示している。図7及び図8に示すとおり、QRFPを投与しなかった動物と投与した動物を比較すると、投与後の摂食量が有意に増加した。従って、QRFPとその受容体であるGPR103が摂食量の調節に関与することが確認できた。なお、QRFPの代わりに人工脳脊髄液(aCSF)のみ投与した場合の摂食量をリファレンスとした。
ラットの試験にはt−検定を使用し、有意差があると認められた(p<0.001)。マウスの試験にはANOVA followed by Bonferroni/Dunを使用し、人工骨髄液投与群と比較しQRFP投与のいずれの群も有意差を認めた(p<0.01)。
実施例9
(ob/obマウスにおけるGPR103及びQRFPの発現)
ob/obマウス14匹及びC57BL/6Jマウス10匹から各々、視床下部を摘出し、ISOGEN(ニッポンジーン社)を用いトータルRNAを抽出し、Reverse Transcription Reagents(アプライドバイオシステムス社)を用いてcDNAの合成を行った。100マイクロリットルの逆転写反応液にはランダムヘキサマー及び2マイクロリットルのトータルRNAを含む。同時に逆転写酵素を除いた他は逆転写反応液と同組成のネガティブコントロールを用意した。
マウスGPR103及びマウスpreproQRFPのmRNAの検出、定量は、リアルタイム定量PCR法にて行った(ABI PRISM 7900HT Sequence Detection System(アプライドバイオシステムス社)を添付のマニュアルに従い使用)。プライマー及びプローブは以下のものを使用した。
mGPR103F:TCTTTGGCAACTCTCTGGTCATC(配列番号43)
mGPR103R:CAGAAGAAGGCAATGAGCAGATC(配列番号44)
mGPR103T:TGCGCACCGTCACCAACATCTTC(配列番号45)
mQRFPF:TCTCCCTCTGAGTGCCTGCT(配列番号46)
mQRFPR:GCCTGTGCTGTGGATTTTGA(配列番号47)
mQRFPT:CAGACATCGGTGACATCGGAGCCA(配列番号48)。
GPR103mRNAの定量にはmGPR103F、mGPR103Rの両プライマー及びFAMで標識したプローブmGPR103Tを使用した。また、preproQRFP mRNAの定量にはmQRFPF、mQRFPRの両プライマー及びFAMで標識したTaqManプローブmQRFPTを使用した。内部標準としてbeta−actinを採用した(FEBS Lett. 2001 Sep 7;505(1):136−40)。
TaqMan Universal PCR master mix(アプライドバイオシステムス社)を用いて各プライマーが900nM、各TaqManプローブが250nM、0.25マイクロリットルの上記で合成したcDNAを含む10マイクロリットルの反応溶液を調製した。上記にはbeta−actinを定量するためのTaqManプローブとプライマーを含み、さらにGPR103又はpreproQRFPを定量するためのTaqManプローブとプライマーが含まれる。アクチンに対する相対量は検量線を用いて算出した。
その結果、図9及び図10に示すとおり、正常なマウスであるC57BL/6Jと比較してob/obマウスの視床下部でGPR103及びpreproQRFPのmRNAの発現の増加が観察された。ob/obマウスはレプチン不全であり、肥満及び過食を呈することが広く知られている。つまり、GPR103及びpreproQRFPの発現にレプチンが抑制的に働くことが示唆された。また、GPR103及びpreproQRFPがレプチン不全による肥満、過食の病態惹起に強く関与すると結論された。
以上説明したように、本発明のGPR103及びこれを用いた化合物の評価方法によれば、ヒト以外の霊長類及びラットのGPR103遺伝子及びタンパク質とこれらの配列に関する情報を得ることが可能となり、ヒトの医薬を標的としたGPR103のモデルシステムの構築が可能となる。また、本発明の化合物の評価方法によれば、GPR103の生理機能に関与する疾病に対して、治療薬や診断薬となる化合物の評価、開発が可能とな
る。

Claims (25)

  1. 配列番号1又は3に記載の塩基配列を含む単離された核酸。
  2. 配列番号1又は3に記載の塩基配列からなる単離された核酸。
  3. 配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする単離された核酸。
  4. 配列番号1に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸からなるサルGPR103遺伝子。
  5. 配列番号3に記載の塩基配列を含む核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸からなるラットGPR103遺伝子。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の核酸又は請求項4〜5のいずれか一項に記載の遺伝子を含む発現ベクター。
  7. 請求項6に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  8. 配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質。
  9. 配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列からなる単離されたタンパク質。
  10. 配列番号2又は4に記載のアミノ酸配列において1又は2以上のアミノ酸の置換、欠失、付加又は挿入があるアミノ酸配列を含有し、GPR103タンパク質の活性を有する単離されたタンパク質。
  11. 請求項8〜10のいずれか一項に記載のタンパク質に対する抗体。
  12. GPR103遺伝子を導入し、GPR103タンパク質を発現する細胞を調製する工程と、
    該細胞に被検化合物を接触させる工程と、
    該GPR103タンパク質に対する該被検化合物の特異的結合を検出する工程と、を含むことを特徴とする化合物の評価方法。
  13. GPR103遺伝子を導入し、GPR103タンパク質を発現する細胞を調製する工程と、
    該細胞に被検化合物を接触させる工程と、
    該接触により生じた細胞内情報伝達物質の活性を測定する工程と、
    該活性と被検化合物を接触させない場合の該細胞内情報伝達物質の活性とを比較する工程と、を含むことを特徴とする化合物の評価方法。
  14. 被検化合物を、GPR103タンパク質に接触させる工程と、
    該接触による該タンパク質の活性の変化を検出する工程と、を含むことを特徴とする化合物の評価方法。
  15. 請求項12〜14のいずれか一項に記載の化合物の評価方法によって選択されたことを特徴とする化合物。
  16. 前記GPR103がサルGPR103であることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載の化合物の評価方法。
  17. 配列番号5に記載の塩基配列を含む単離された核酸。
  18. 配列番号5に記載の塩基配列からなる単離された核酸。
  19. 配列番号5に記載の塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸からなるサルQRFP遺伝子。
  20. 配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする単離された核酸。
  21. 配列番号6に記載のアミノ酸配列を含む単離されたタンパク質。
  22. 配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる単離されたタンパク質。
  23. 配列番号6に記載のアミノ酸配列において1又は2以上のアミノ酸の置換、欠失、付加又は挿入があるアミノ酸配列を含有し、GPR103のリガンドタンパク質活性を有する単離されたタンパク質。
  24. 配列番号49又は50に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
  25. 請求項21〜24のいずれか一項に記載のタンパク質に対する抗体。
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