JP2004521612A - 39残基のヒト結節漏斗状ペプチド - Google Patents

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Abstract

新規に同定されたポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドでコードされるポリペプチド、該ポリヌクレオチド及びポリペプチドの使用、同様に、該ポリヌクレオチド及びポリペプチドの生成が本明細書で開示される。より詳しくは、ポリペプチドは、本明細書でPTH受容体として呼称される副甲状腺ホルモン受容体相同体のリガンドとして推定的に同定されるヒトタンパク質である。特に、本発明は、新規の39残基のヒト結節漏斗状ポリペプチドをコードするDNA及びRNAのような単離された核酸分子に関する。

Description

【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、新規に同定されたポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド、該ポリヌクレオチド及びポリペプチドの使用、同様に、該ポリヌクレオチド及びポリペプチドの生成に関する。さらに詳しくは、本発明のポリペプチドは、本明細書において「PTH受容体」として言及される副甲状腺ホルモン受容体相同体のリガンドとして推定的に同定されるヒトタンパク質である。特に、本発明は、新規の39残基のヒト結節漏斗状ペプチドをコードするDNA及びRNAのような単離された核酸分子に関する。
【0002】
多くの医学的に重要な生物学的作用が、例えばcAMPのような、G−タンパク質及び/又はセカンドメッセンジャーを含む情報伝達経路に関与するタンパク質によって媒介されることが十分に立証されている(Lefkowitz,ネイチャー 351:353−354(1991))。これらのタンパク質のいくつかの例は、例えばアドレナリン作用薬及びドーパミンのためのG−タンパク質結合受容体(GPCR)(Kobilka,B.K.等、PNAS 84:46−50(1987);Kobilka,B.K.等、サイエンス 238:650−656(1987);Bunzow,J.R.等、ネイチャー 336:783−787(1988))、G−タンパク質それ自身、例えばホスホリパーゼC、アデニルシクラーゼ、及びホスホジエステラーゼといったエフェクタータンパク質、及び、例えばプロテインキナーゼA及びプロテインキナーゼCといったアクチュエータータンパク質(Simon,M.I.等、サイエンス 252:802−8(1991))を含む。
【0003】
G−タンパク質膜貫通型情報伝達系は、受容体、Gタンパク質、及びエフェクターの3つのタンパク質から構成される。Gタンパク質結合受容体は、Gタンパク質との結合によって情報伝達を媒介する多様なクラスの受容体である。これらの受容体は糖タンパク質であり、構造的に関連した分子のスーパーファミリーを含む。7つの膜貫通型受容体間の考えられる関係は、Probst等、DNA and Cell Biology 11(1):1−20(1992)において再考されている。
【0004】
G−タンパク質結合受容体は、いくつかの構造的類似性及び相同性を共有することが知られている(例えば、Gilman,A.G.,Ann.Rev.Biochem.56:615−649(1987)、Strader,C.D.等、The FASEB Journal 3:1825−1832(1989)、Kobilka,B.K.等、Nature 329:75−79(1985)及びYoung等、Cell 45:711−719(1986)を参照)。G−タンパク質結合受容体は、検出可能なアミノ酸配列類似性を示し、細胞外アミノ末端、少なくとも8つの異なる親水性ループと結合し、細胞膜をまたがると考えられ、膜貫通型ドメイン1−7として言及される7つの(約20−30のアミノ酸の)疎水性優位のα−らせん状ドメイン、約20の良好に保存されたアミノ酸、及び細胞質カルボキシ末端を含む、多くの構造的特性を全てが共有するように見える。異なるG−タンパク質受容体の間のアミノ酸類似性は、約10%から80%より高い範囲であり、類似のもしくは同一のリガンドを認識する受容体は、一般的に高いレベルの相同性を示す。膜貫通型ドメイン5と6の間の第三の細胞質ゾルのループは、G−タンパク質との相互作用を起こす細胞内ドメインである。G−タンパク質結合受容体は、哺乳類の宿主中の多数の領域に見られる。
【0005】
G−タンパク質結合受容体は、それらの相同性レベル、及び/又はそれらが認識するリガンドに基づいて分類され得る。G−タンパク質結合受容体は、精神及び神経疾患の治療に使用される神経弛緩薬に結合するドーパミン受容体を含む。このファミリーの他のメンバー例は、カルシトニン、アドレナリン作動薬、エンドセリン、cAMP、アデノシン、ムスカリン、アセチルコリン、セロトニン、ヒスタミン、トロンビン、キニン、卵胞刺激ホルモン、オプシン、内皮分化遺伝子−1受容体、及び、ロドプシン、臭気物質、サイトメガロウイルス受容体等を含む。
【0006】
G−タンパク質結合受容体は、例えば神経伝達物質、ペプチドホルモン、及び低分子のような多くの多様なリガンドを認識し、それらのシグナルをヘテロ三量体グアニンヌクレオチド−結合タンパク質(G−タンパク質)通して変換し、その結果、多様な細胞内酵素、イオンチャンネル、及び輸送体を通して、幅広い一連の生物学的活性をもたらす。
【0007】
GPCR活性化の機能は、Gタンパク質でのGTP/GDP交換を活性化することである。細胞において、グアニンヌクレオチド交換サイクルは、細胞膜内でのアゴニスト−占有(又は活性化)GPCRのヘテロ三量体G−タンパク質への結合によって開始される。これは、GDPがG−タンパク質のα−サブユニットからの解離を活性化し、その結果、内因性GTPがその場所に結合することを可能にする。これは次に、G−タンパク質の受容体及びGα−GTP及びGβrサブユニットの解離を生じさせる。Gα−GTP及びGβr−サブユニットは、それぞれ、アデニルシクラーゼ、ホスホリパーゼC、及びイオンチャンネルのようなエフェクターを活性化し得る。Gα−GTPは、GTPをGDPに加水分解する内在性のGTPaseによって不活性化され、次に、Gα−GDPがGβrと結合することによってGβrを不活性化し、それにより、不活性GDP−含有へテロ三量体G−タンパク質が次の活性化サイクルのために準備される結果となる。
【0008】
従って、それぞれのG−タンパク質結合受容体は、複雑な細胞外環境からその特異的リガンドを識別し、その後G−タンパク質を活性化させて特異的細胞内シグナルを生成する。要約すれば、細胞表面タンパク質は、特異的細胞内経路を経て細胞外環境に関与する細胞内伝達情報によって、個々の刺激剤に対して適当な応答を誘導する。実際は、一連の多様な膜表面タンパク質によって、真核細胞は、それらの環境に対して極めて高感度である。
【0009】
副甲状腺ホルモン/副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTH/PTHrP)受容体は、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド−1、血管作動性腸タンパク質、CRF、セクレチン、カルシトニン(CT)、及びその他数多くのものに対する受容体を含むGタンパク質結合受容体スーパーファミリーのサブグループのメンバーである。PTH/PTHrP受容体に対する2つのリガンド、PTH、及びPTHrPは、別個の、しかしながら進化的に関連する遺伝子の産物である(Behar,V.等、Endocrinology 137:2748−2757(1996))。
【0010】
PTHは、甲状腺の裏側に局在する4つの小腺から分泌される。PTHの最も重要な生理学的機能は、カルシウム及びリン酸の骨からの流出による骨破壊の比率を増加させること、カルシウムの尿細管再吸収を増加させること、カルシウムの腸管吸収の増加させること、及びリン酸の尿細管再吸収を減少させることによって、細胞外液カルシウム濃度を維持することである。これらの作用は、PTH過剰又は欠乏の極めて重要な臨床症状を明らかにする(Behar、上記)。
【0011】
カルシウム濃度の調節は、消化管、骨格、神経、神経筋、及び心臓血管系の正常な機能のために必要とされる。PTHは、PTHrPとも結合するG−タンパク質結合受容体の活性化を通して、カルシウム及びリン酸の代謝を調節する。この二元的なホルモン認識は、両ホルモンのN−末端領域1−34を特異的に認識する、特異の7つの膜貫通性ドメイン受容体(PTH/PTHrP受容体)を経由すると推測される(Behar、上記)。
【0012】
PTHの合成及び放出は、主に血清カルシウムレベルによって制御され、ホルモンの合成及び放出の両方を、低レベルで刺激し、高レベルで抑制する。PTHは、主に受容体を介したアデニラーゼシクラーゼの活性化を通してその効果を発揮するが、PTHによる、受容体を介したホスホリパーゼCの活性化もまた報告されている(Hruska等。J.Clin.Invest.79:230(1987))。
【0013】
最近、新規G−タンパク質結合受容体(PTH受容体)は、セクレチン受容体ファミリーのメンバーの分子スクリーニング中で同定された。多くのこれまでの研究は、PTH/PTHrP受容体の特性と異なる特性を持つPTH受容体が存在することを示唆してきた。ヒトPTH受容体は、ヒトPTH受容体(PTH/PTHrP受容体とも言われる)と51%の同一性(70%を越える配列類似性)と、このクラスの他の受容体と顕著な相同性を共有している(Usdin,T.B.,Endocrinology 138:831−834(1997))。
【0014】
PTH受容体は、PTH(1)によって選択的に活性化されるG−タンパク質結合受容体である。それは、セクレチン、血管作動性腸ポリペプチド、下垂体アデニレートシクラーゼ活性化ポリペプチド、カルシトニン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチドI、胃抑制ポリペプチド、及びCRF、同様にPTH及びPTHrP(本来は悪性因子高カルシウム血症と言われる)に対する受容体を含むセクレチン受容体ファミリーのメンバーである(Usdin,T.B.,等、Endocrinology 137:4285−4297(1996))。
【0015】
PTH及びPTH受容体の両PTH受容体は、カルシトニン、グルカゴン、セクレチン、及び血管作動性腸ポリペプチドを含むペプチド調節剤に応答する、G−タンパク質結合受容体のタイプIIファミリーに属する。PTH受容体について同定される類似性は、そのリガンドにまで及ぶ(Usdin,T.B等、Endocrinology 140:3363−3371(1999))。
【0016】
PTH及びPTH受容体は、おそらくそれらのリガンドと共に、異なる生理学的機能を選択的に媒介するように進化してきた。この点において、PTH受容体は、PTHの主な作用(血中カルシウムレベルの上昇)及びPTHrPの主な作用(局所的に自己分泌/傍分泌因子及び発達調節因子として作用する)を媒介する、一方で、PTH受容体は、TIP39及びおそらくPTHに応答するが、PTHrPには応答しない(Hoare,S.R.,J.Bio.Chem.275:27274−27283(2000))。
【0017】
PTH受容体を発現する多くの細胞はホルモン分泌性であり、及び、ソマトスタチンとの共局在化は特筆すべき点である。PTH受容体が、それを発現する細胞それぞれの特定の調節機能に関与し得ることが示唆されている(Usdin,T.B.等、Endocrinology 140:3363−3371(1999))。
【0018】
新規に見出されたPTH受容体は、神経系、特に脳において最も豊富である。その発現は、正中隆起内の神経末端及び脳室周囲核内の細胞体が特に高い受容体レベルを持つ視床下部において比較的高く、このことは下垂体機能の調節における役割を示唆している。それは、胎盤及び精巣内では低いレベルで存在する。PTH受容体mRNAが存在する多くの領域において、それが神経細胞内に存在することは、標識された細胞の大きさ及び形態から明らかである。このこと及びそれが異なる脳の核に存在するという事実は、それが神経伝達物質受容体として機能し得ることを示唆する(Ted.B.Usdin、Endocrinology 138:831−834(1997))。
【0019】
脊髄後角の表面薄膜内のPTH受容体濃度は、痛みの知覚の調節における役割を示唆する。周辺において、受容体は、膵島のソマトスタチン細胞、心臓及び血管筋細胞、及び肺の細気管支及び脈管構造内の細胞を含む多くの組織で別個の細胞によって発現される(Usdin,T.B.等、Nature Neuroscience 2:941−943(1999);Hoare、上記)。
【0020】
PTH受容体がいくつかの前脳の系統学的に古い部分及びいくつかの視床下部及び脳幹の核に存在することを示唆し、このことは、それが原始的機能の調節に関与することを示唆するという、いくつかの報告がある。PTH受容体mRNAが最も豊富であるいくつかの領域は、大部分の又は主要なコリン作動性の神経細胞群を含み、このことは、この受容体の活性化がコリン作動性神経伝達物質を調節する可能性をもたらしている。同様に、PTH受容体mRNAを発現する領域の多くが、海馬の入出力の経路の一部であることは特筆すべき点である(Usdin,T.B.等、Endocrinology 137:4285−4297(1996))。
【0021】
メッセンジャーRNAをコードするPTHはまた、動脈及び心臓内皮で豊富に発現され、血管平滑筋でより低いレベルで発現される。また、肺の気管支及び実質内の両方で豊富であり、膵外分泌腺内にも存在する。それは精巣上体頭内の精子によって発現される。腎糸球体の血管極に関連する細胞の少数もまた受容体を発現する。これらのデータは、この受容体が多くの生理学的系においてPTH効果を引き起こす可能性があることを示唆する。
【0022】
心臓血管系及び腎臓におけるPTH受容体mRNAの位置は、それが血圧の調節において役割を果たし得ることを示唆する。実際は、特に慢性腎不全により上昇したPTHは、心臓及び肺において有害な影響を生じることが報告されている。精子での発生段階依存的な発現は、それが男性不妊に関与するかどうかという疑問を生じる。データは、増加したPTHが、いくつかの慢性疾患において役割を果たし得ること、そしてその可能性のために、PTH受容体が関与することを示唆する(Usdin,T.B.等、Endocrinology、 137:4285−4297(1996))。現在までに、PTHは、PTH受容体を活性化することが知られている唯一の内因性物質であると考えられ、このことから天然のリガンドであると推測された。最近の研究で、PTHに対する推定上の内因性リガンドが単離されて特徴づけられた。結節漏斗状ペプチド又はTIP39と名づけられた39−アミノ酸ペプチドは、ウシ視床下部から単離され、PTH受容体の分布に基づいて、痛み及び下垂体の機能の調節に関与すると考えられている。PTH受容体及びウシTIP39は、関連する受容体及びリガンド(1)の拡張されたファミリーを形成すると考えられている。Usdin,T.B.等、Nature Neuroscience、 2:941−943(1999)。
【0023】
TIP39は、PTH及びPTHrPと遠縁の関係にあると思われる。PTH受容体及びTIP39の生物学的機能についての手がかりは、受容体の細胞分布によって提供される。PTH受容体を認識する抗体を用いた強力な染色は、視床下部神経細胞が、下垂体ホルモン分泌を調節する因子を門脈循環中に放出する、正中隆起の外部領域において観察された(T.B.Usdin、TiPS 21:128−130(2000))。
【0024】
ウシTIP39は、PTH受容体の内因性リガンドの有力な候補として関与する。実際それは、ヒト、ラット、及びゼブラフィッシュのPTH受容体の強力な活性化剤であることが示されている。研究者によると、さまざまな研究に用いられるTIP39は、ウシ脳から精製され、及びPTH受容体の発現が脳において最も高いことから、少なくともCNSにおいて、ウシTIP39の相同体がヒトPTH受容体上で作用することが適切であると思われる(Usdin,T.B.Endocrinology 140:3363−3371(1999);Hoare、上記)。
【0025】
T.B.Usdinによる研究は、39残基のウシ結節漏斗状ペプチド(bTIP39)が、ヒト及びラットのPTH受容体を活性化する(それぞれ、EC50=0.5及び0.8nM)が、PTH受容体では効果がわずかであるかもしくは無いことを示している。bTIP39によるラットPTH受容体の活性化は、PTHによって誘導されるよりも2倍多くのcAMP中での蓄積を生じる結果となり、bTIP39は、PTHと比較して100倍以上強力である。それに比べて、bTIP39及びPTHは、ヒトPTH受容体で同じような能力及び有効性を持つ(T.B.Usdin、TiPS 2:128−130(2000))。
【0026】
記載のように、PTH受容体は、視床下部神経細胞のいくつかの群の中に存在することが観察されており、成長ホルモン分泌の主要な調節物質である室周囲核のソマトスタチン含有細胞におけるその発現は、特に特筆すべき点である。PTH受容体はまた、主要な知覚神経細胞に発現されることが示されている(Usdin,T.B.Endocrinology 140:3363−3371(1999))。
【0027】
従来のデータによって、ウシTIP39は、後根神経節(DRG)様F−11細胞内のcAMPを増加させ、DRG神経細胞内のcAMPを増加させる他の薬剤が痛覚を増強することから、PTH受容体アンタゴニストがいくつかの型の痛みを改善するために有用であるかもしれないことが示唆される。
【0028】
同様に、膵島及び視床下部の両方のどちらにおいても及びPTH受容体がソマトスタチン放出を刺激しているかも知れず、このことからPTH受容体に選択的な治療薬/化合物は、インシュリン、グルカゴン、又は成長ホルモンの分泌を間接的に調節しているかもしれない(T.B.Usdin、TiPS 21:128−130(2000))。
【0029】
いくつかの末梢器官内の別個の細胞群は、比較的高いPTH受容体発現を有する。これらは、膵島のソマトスタチン合成D細胞、甲状腺のカルシトニン合成傍濾胞C細胞、いくつかの消化管ペプチド合成細胞の群、及び軟骨組織及び心臓の筋肉細胞を含む。このように、データはPTH受容体及びウシTIP39が、下垂体ホルモン放出、知覚及び特に痛覚の感受性、膵島の機能、Ca2+ホメオスタシス、心臓血管機能の、調節に関与し得ることを示唆する(Usdin,T.B等、Nature Neuroscience 2:941−943(1999))。
【0030】
このように、PTH受容体のような細胞表面タンパク質の活性と相互作用する又はこれを調節する化合物の、多くの潜在的な薬理学的用途がある。例えば、カルシウムチャンネルは、細胞の生死及び機能に影響する細胞内Caレベルの調節において中心的役割を果たす。Ca濃度の細胞内レベルは、神経伝達物質の放出、痛み、筋肉収縮、ペースメーカー活性、ホルモン及び他の物質の分泌のような、動物における多くの生活過程に関与する。
【0031】
ヒトTIP39の機能を研究するためや、及び病気に特異的な薬理学的活性剤を得るために、単離された(好ましくは精製された)ヒトTIP39、及び単離された(好ましくは精製された)ヒトTIP39を得る必要がある。さらに、このような薬理学的活性剤を同定するためのアッセイを開発することもまた必要とされる。
【0032】
従って、開示されている単離されたヒトTIP39をコードする核酸分子の有用性は、前記に参照される従来技術における隙間を満たし、非ヒトTIB39データより引き出された予測を基礎とした、ヒトTIP39データの詳細な情報をもたらす。これはまた、痛みの知覚を調節し、代謝障害、高血圧、心臓血管系の病気、及び、欠陥のあるヒトTIP39又はその受容体を伴う神経学的障害等を治療する、治療候補の開発を可能にする。
【0033】
その上、ヒトTIP39の同定は、さらに詳細な治療適用の研究に適当であるそれらの候補を同定するための、多くの化合物の高速のスクリーニングを可能にする。
【0034】
(発明の概要)
本発明は、mRNA、DNA、cDNA、ゲノムDNA、及びそれらのアンチセンス類縁体、及び生物学的に活性で、診断上もしくは治療上有用であるそれらの断片を含む、新規ヒトタンパク質をコードする単離された核酸分子を提供する。
【0035】
本発明の他の形態は、ヒト副甲状腺ホルモン−2受容体のリガンドである、単離され精製された39残基のヒト結節漏斗状ペプチド(本発明のポリペプチド/ペプチド)を提供する。
【0036】
本発明のペプチドをコードするDNAを含有するプラスミドもまた提供される。前記のDNA、mRNA又はプラスミドを含む組換え細胞もまた本明細書で提供される。
【0037】
本発明のさらなる形態は、本発明のペプチドをコードする核酸配列を含む形質転換された原核及び/又は真核宿主細胞を、本発明のペプチドの発現を促進する条件下で培養し、その後順次にポリペプチドを回収することを含む組換え手法によって、本発明のペプチドを生成する方法を提供する。
【0038】
本発明の他のさらなる形態は、本発明のペプチドに対する抗体を提供するものである。
【0039】
本発明のまたさらなる形態は、ヒト副甲状腺ホルモン−2受容体に結合し活性化する宿主に、本発明のペプチドを含む化合物を投与する方法を提供する。
【0040】
本発明のまた他の形態は、本発明のポリヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズするのに十分な長さの核酸分子を含む核酸プローブを提供する。
【0041】
本発明の他の形態は、本発明のペプチドを検出するためのアッセイを特徴とする。本発明のまた他の形態は、本発明のペプチドをコードする核酸配列内の突然変異に関連する病気を検出するための、及び、コードされたポリペプチドの変化したレベルを検出するための診断上のアッセイを提供する。
【0042】
本発明のまたさらなる形態は、DNAの合成及びDNAベクターの製造のようなインビトロの目的のために、該ポリペプチドをコードする本発明のペプチド又は核酸分子を利用する方法を提供する。
【0043】
本発明のさらなる形態において、特にPTH受容体といった細胞表面タンパク質の活性と特異的に相互作用し調節する、可能性のある薬学的に有効な化合物をスクリーニング及び同定するためのアッセイを提供するものである。
【0044】
関連する形態において、本発明は、本発明のペプチドの断片を特徴とするものである。好ましくは、断片は、ヒトPTH受容体に結合する能力を持つものである。好ましい実施態様において、この断片は、PTH受容体に結合する能力を持つ少なくとも6個のアミノ酸長又はその類縁体であり、ここで「類縁体」は、それがそのペプチドの類縁体であるペプチドと少なくとも50%(及び好ましくは少なくとも70%)同一性を持つ配列を持つペプチドを意味する。
【0045】
薬学的に許容できる担体中に、(a)本発明のペプチド、(b)免疫学的に活性な又は生物学的に活性なそれらの断片、又は、(c)前記(a)又は(b)に親和性を持つ抗体を含む治療組成物もまた本発明の範囲内である。これらの治療組成物は、本発明のペプチドの異常な(低い又は偏在する)レベルの又は機能不全のPTH受容体に特徴付けられるさまざまな病気の治療のための方法を提供する。
【0046】
それらの断片を含む、本発明の核酸、本発明のペプチド、抗体及びそれらの断片は、機能不全の内因性ヒトTIP39又はPTH受容体によって生じる病気の段階と、そうでないものを識別するための診断用として有用である。
【0047】
本発明の核酸プローブは、遺伝子工学における当業者が、任意の種からの類似のポリペプチドを同定しクローニングすることを可能にし、それにより本発明の配列の実用性を広げる。その上、本発明の配列は、当業者が、ヒト及び他の哺乳類のPTH受容体の他のリガンドをスクリーニングし同定することを可能にするであろう。
【0048】
本発明はまた、本発明のペプチドを発現する細胞を同定するための方法を提供するものである。本発明のペプチドの活性を調節する化合物を同定する方法もまた提供される。
【0049】
本明細書で提供されるDNA、mRNA、ベクター、及び細胞は、39残基のヒト結節漏斗状ペプチド及びペプチドの抗体の生成を可能にする。これは、その存在が単一の39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの分析を妨害し得る多くの他のタンパク質の汚染が実質的にない、合成の又は組換えの本発明のペプチドを調製する方法を提供する。所望の受容体、すなわちPTHRの有用性は、受容体上で薬物の効果を得ること、及びそれにより、本発明のペプチド及びその相応する受容体に特異的な試験系において、最初の薬物のインビトロのスクリーニングを行うことを可能にする。
【0050】
ヒトTIP−39特異的抗体の有用性は、(例えば、正常の組織と疾患を有する脳組織を対比して)本発明のペプチド及びその相応する受容体の分布及び発現密度をモニターするための免疫組織化学の手法の適用を可能にする。該抗体はまた、診断上及び治療上の用途に使用され得る。この抗体は、好ましくは、PTH受容体の生物学的活性(すなわちアデニレートシクラーゼ活性)を中和する能力を持つ。
【0051】
従って、精製された抗体の標本を含む(モノクローナル又はポリクローナル)抗体は、本発明のペプチドと免疫複合体を形成する能力を持ち、該抗体は、(1)本発明のペプチドの断片を含むポリペプチドか(2)本発明のペプチドのいずれかを抗原として使用することによって生成される。
【0052】
インビトロで薬物をスクリーニングし、天然の39残基のヒト結節漏斗状ペプチド上の薬物の効果又はその本来の受容体への結合を決定する能力は、TIP39特異的又は疾患特異的な薬物の開発及びスクリーニングを可能にする。また、さまざまな可能性のあるアゴニスト又はアンタゴニストを用いた本発明のペプチドの試験は、本発明のペプチドの機能及び活性に関するさらなる情報を提供し、天然の39残基のヒト結節漏斗状ペプチドと非常に特異的な相互作用する能力をもつ、又はその特異的受容体と相互作用する能力を持つ化合物の同定及び設計につながる。結果として得られる薬物は、非ヒトTIP39を発現する細胞でのスクリーニングにより同定された薬物と比較して、不要な副作用がより少ない。
【0053】
さらに、薬物の開発及びさまざまな病気の段階の治療に関して、本発明のペプチドをコードするDNAの有用性は、いくつかの病気の段階の発生と関連があり得る遺伝子における任意の変性(例えば突然変異)の同定を可能にする。加えて、このような病気の段階の動物モデルの創造は、特にこのような突然変異を、その後実験動物又はインビトロアッセイ系に導入することができる合成DNA配列に導入し、それらの効果を決定することによって可能となる。
【0054】
従って、本発明の目的は、ヒトTIP39をコードする核酸分子を単離し、特徴付けることである。本発明の目的は、また、本発明のペプチドの組換え体の生成する方法を提供すること、及び、ヒトTIP39の活性を調節する化合物を同定するために化合物をスクリーニングする方法を提供することである。
【0055】
本発明の他の特徴及び利点は、明細書及び特許請求の範囲のさらなる研究によって当業者に明らかとなるであろう。
(図面の簡単な説明)
図1は、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドのヌクレオチド及び推定されるアミノ酸配列を示す。推定されるアミノ酸配列は、前ポリペプチド、すなわち未成熟/前駆体、又は翻訳後修飾前のものである。ATG(GCACGGTatgG)の周囲の明確な配列は、部分的にコザックルールに従った(GCACACCatgG)。ポリアデニレーションシグナルAATAAに下線を引く。推定されるアミノ酸配列は、翻訳後修飾の前のポリペプチド配列を指し、従って、それは標識された「前駆体」である。
【0056】
図2は、39残基のヒト結節漏斗状ペプチド前駆体(翻訳後修飾の前のもの)及びその相応するマウスの等価物のポリペプチド配列のアラインメントを示す。重要なことには、ヒト配列(配列番号2)において予測されるシグナルペプチド配列に一重線を引き、一方、予測される成熟した配列に二重線を引く。
【0057】
図3は、39残基のヒト結節漏斗状ペプチド及びその相応するラット、マウス及びウシの等価物に相応する、成熟したポリペプチドアミノ酸配列のアラインメント構造を示す。重要なことには、この図に表されるヒトTIP39のアミノ酸配列は、成熟したタンパク質、すなわち翻訳後修飾の後のタンパク質等に相応する。
【0058】
図4A及び図4Bは、ラットPTHR(A)及びヒトPTHR(B)を発現しているHEK293細胞上の、39残基のヒト及びマウス結節漏斗状ペプチド、ヒトPTH、及びラットPTHの効果の用量−応答曲線分析を示す。用量−応答効果は、効果を期待されるリガンドで刺激した後の増加したcAMPレベルによって測定される。
【0059】
図5A及び図5Bは、ラットPTHR(A)及びヒトPTHR(B)をそれぞれ発現している安定に形質導入されたHEK293細胞上の、アゴニストの用量−応答曲線を示す。有望なアゴニストの用量−応答効果の代表例は、細胞内カルシウム濃度の増加するものである。
【0060】
(発明の詳細な説明)
本明細書及び特許請求の範囲で使用される、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈に他に明確な特定がない限り、複数形の言及を含む。従って、例えば、「宿主細胞(a host cell)」との言及は、該宿主細胞の複数形を含み、「抗体(the antibody)」との言及は、1又は2以上の抗体及び当業者に既知のそれらの等価物を指す、等である。
【0061】
他に定義がない限り、本明細書で使用される専門用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を持つ。本明細書に記載されたものと類似又は同等の任意の方法及び材料を、本発明の実験又は試験において使用することができるが、好ましい方法、装置、及び材料は、本明細書に記載されるものである。
【0062】
本明細書に記載される全ての刊行物は、本発明と関連して用いられて得る、刊行物中に報告される方法論、ベクター等を記載する及び開示する目的で、参照として本明細書に取り込まれる。本明細書は、本発明が先の発明によって開示の日付を早める権利を与えられないという認識として解釈されるものではない。
【0063】
以下の記載の中で、組換えDNA技術の分野で使用される多くの用語は、広く用いられる。このような用語が考慮される範囲を含む明細書及び特許請求の範囲の明確な及び一致した理解を提供するために、以下の定義が与えられる。
【0064】
本発明は、新規ヒトペプチドである、39残基のヒト結節漏斗状ペプチド(hTIP39)をコードする単離された核酸分子を提供するものである。具体的には、本発明のペプチドをコードする単離されたDNAは、組換えメッセンジャーRNA(mRNA)として記載される。単離されたDNAのスプライス変異体もまた記載される。典型的には、hTIP39がスプライス変異体として生じない限り、hTIP39をコードするDNAは、本明細書で記載されるhTIP39をコードするDNAと、実質的な(すなわち約90%より高い)配列相同性を共有する。スプライス変異体をコードするDNA又はRNAは、本明細書で与えられるDNA又はRNAと、90%より低い全配列相同性を共有し得るが、該スプライス変異体は、開示されるDNAと100%近い相同性の領域を含む。
【0065】
「本発明の核酸」及び「核酸分子」は、同じ意味で使用され、本発明のペプチドをコードする本発明の核酸分子を指して言う。
【0066】
本明細書で使用される「ヒトTIP39」又は「hTIP39」は、ストリンジェントな条件下で本明細書に開示されるヌクレオチド配列にハイブリダイズする核酸分子によってコードされるヒトTIP39を指して言う。該核酸分子は、例えば、DNAが配列番号2もしくは14で示されるアミノ酸配列をコードし得る、又は、DNAが配列番号1で示されるヌクレオチド配列を含み得るといった、多くの方法により特徴付けられる。
【0067】
本明細書に記載される核酸分子は、本発明のペプチドを生成するために有用であり、該核酸は、当業者に既知の多様なタンパク質発現系の中に取り込まれる。さらに、該核酸分子又はそれらのフラグメントは、容易に検出可能な置換基で標識され、与えられた試料中の、hTIP39をコードする遺伝子もしくはmRNA転写物の存在及び/又はその量のアッセイのためのハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。本明細書に記載される核酸分子及びそれらの断片は、また、本明細書に記載される本発明のタンパク質をコードする遺伝子を増幅させるためのPCR反応における、プライマー及び/又は鋳型として有用である。
【0068】
「遺伝子」は、そのヌクレオチド配列がポリペプチド分子をコードする核酸分子を指して言う。遺伝子は、ヌクレオチドの連続した配列であってよく、又は、イントロン、プロモーター領域、スプライシング部位、及び反復性配列のような、介入性セグメントを含んでも良い。遺伝子は、RNA又はDNAのいずれかであってもよい。好ましい遺伝子は、本発明のペプチドをコードするものである。
【0069】
「核酸」又は「核酸分子」という用語は、リボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)、プローブ、オリゴヌクレオチド、それらの断片又は部分、又はプライマーを対象としている。DNAは、相補DNA(cDNA)又はゲノムDNAのいずれかであってもよく、すなわち本発明のペプチドをコードする遺伝子である。
【0070】
他に指示がない限り、ヌクレオチドは、糖部分(ペントース)、リン酸基、及び窒素を含む複素環塩基からなる、DNA又はRNAの単量体単位を意味する。塩基は、グリコシドの炭素(ペントースの1’炭素)で糖部分に結合し、この塩基と糖の結合したものはヌクレオシドである。ヌクレオシドがペントースの3’又は5’位と結合したリン酸基を含む場合、それはヌクレオチドと言われる。動作可能に結合したヌクレオチドの配列は、典型的には、本明細書において「塩基配列」又は「ヌクレオチド配列」、及びそれらの文法的に同等なものを指して言われ、本明細書において、その左から右への方向性が5’−末端から3’末端への一般的な方向である構造式によって表される。
【0071】
本明細書で示されるそれぞれの「ヌクレオチド配列」は、デオキシヌクレオチド(A、G、C、及びTと省略される)配列として表される。しかしながら、特定のデオキシリボヌクレオチド配列中のそれぞれのチミジンデオキシリボヌクレオチド(T)が、リボヌクレオチドであるウリジン(U)で置換される場合、核酸分子の「ヌクレオチド配列」によって、デオキシリボヌクレオチドの配列は、DNA分子又はポリヌクレオチドを対象とし、リボヌクレオチド(A、G、C及びU)の相応する配列は、RNA分子又はポリヌクレオチドを対象とする。例えば、デオキシリボヌクレオチドの省略形を用いて示す配列番号1の配列を持つRNA分子への言及は、配列番号1のそれぞれのデオキシリボヌクレオチドA、G又はCが相応するリボヌクレオチドA、G又はCで置換され、及びそれぞれのデオキシリボヌクレオチドTがリボヌクレオチドUで置換される配列を持つ、RNA分子を指示するためのものである。
【0072】
核酸分子又はヌクレオチドの配列の「断片」は、全長より短く、少なくとも特にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1のヌクレオチド配列と特異的にハイブリダイズできる最小の長さを含む、核酸の部分である。このような断片の長さは、好ましくは15−17のヌクレオチド又はそれより長いものである。
【0073】
「変異体」核酸分子又はDNA分子は、好ましくは天然の核酸分子の生物学的活性が実質的に維持されながら、本発明のポリペプチドをコードする天然のヌクレオチド配列における軽微な変異、すなわち天然の配列の1又は2以上のヌクレオチドが除去、付加、及び/又は置換される変異を含むDNA分子を指して言う。変異体DNA分子は、例えば、標準的なDNA突然変異誘発方法によって、変異体DNA分子もしくはそれらの部分の化学的合成によって生成される。一般的に、参照のヌクレオチド配列及び変異体が、全体的に密接に類似する及び多くの領域において同一であるように、相違は限られる。
【0074】
変異体ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列における変異は、サイレントであってもよい。すなわち、それらはポリヌクレオチドによりコードされたアミノ酸を変異させなくてもよい。変異がこの型のサイレント変異に限られる場合、変異体は、参照と同一のアミノ酸配列でポリペプチドをコードするであろう。
【0075】
あるいは、変異は、「保存的」であってもよい。保存的変異体は、参照のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変異させ得るヌクレオチド配列における変異である。このようなヌクレオチド変異は、結果として、参照の配列によってコードされるポリペプチドにおける、アミノ酸の置換、付加、除去、融合、及び切断を生じる。従って、保存的変異体は、遺伝子のタンパク質コード領域内で変異するものであり、結果として、核酸配列によってコードされるポリペプチドの1又は2以上のアミノ酸残基における保存的な変異、すなわちアミノ酸の置換が生じる。
【0076】
本明細書で使用される「挿入」または「付加」は、それぞれ天然に発生する分子と比較して、1又は2以上のアミノ酸又はヌクレオチド残基の付加を生じる結果となる、アミノ酸又はヌクレオチド配列における変異を指して言う。
【0077】
本明細書で使用される「置換」は、異なるアミノ酸又はヌクレオチドそれぞれが、1又は2以上のアミノ酸又はヌクレオチドに置換されることを指して言う。
【0078】
好ましくは、好ましい核酸分子の変異体形は、本発明のペプチドをコードする天然の遺伝子と、少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、及び最も好ましくは少なくとも90%のヌクレオチド配列の類似性を持つ。
【0079】
本明細書で開示される及び図3に示されるヒトTIP39に関連した「成熟した」タンパク質は、翻訳後修飾の後の成熟したタンパク質を指して言う。同じ趣旨で、「前駆体(precursors)」又は「前駆体(precursor)」、又は「前ポリペプチド」は、任意の翻訳後修飾に先んじてヒトTIP39をコードする核酸分子の遺伝子産物の推定されるアミノ酸配列を指して言う。
【0080】
「プライマー」又は「核酸ポリメラーゼプライマー」は、核酸らせん構造と相補するプライマー伸長物の合成が開始される条件下、すなわち、4つの異なるヌクレオチド三リン酸及びポリメリゼーションのための薬剤(すなわち、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)の存在下、好ましい緩衝剤中及び適当な温度で、DNA合成の開始点として作用する能力を持つ天然か合成のオリゴヌクレオチドを指して言う。プライマーの正確な長さは、多くの因子に依存するが、典型的には15から25のヌクレオチドの範囲である。短いプライマー分子は、一般的に、十分に安定な鋳型とのハイブリッド複合体を形成するために、より低い温度を必要とする。プライマーは、鋳型の正確な配列を反映する必要はないが、鋳型とのハイブリダイズと十分に相同でなければならない。プライマーは、所望であれば、標識されてもよい。
【0081】
「ポリペプチド」又は「ペプチド」又は「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマー、及び、同一であるか本明細書で同じ意味で用いられる変異体及び合成の類縁体を指して言う。従って、これらの用語は、相応する天然に発生するアミノ酸の化学類縁体のような、1又は2以上のアミノ酸残基が合成の非天然に発生するアミノ酸であるアミノ酸ポリマー、同様に、天然に発生するアミノ酸ポリマーに適用する。本発明のペプチドは、好ましいポリペプチドである。
【0082】
本明細書で使用される「アミノ酸配列」という用語は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質の配列、及びそれらの断片もしくは部分、及び自然発生の又は合成の分子を指して言う。
【0083】
本発明のペプチドに関連する「同一性」又は「相同性」は、最大のパーセントの相同性を達成するために必要であれば配列を配置してギャップを導入した後に、いかなる保存的な置換も配列同一性の一部として考慮せずに、ヒトに相応する配列番号2又は14、好ましくは配列番号14の残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージとして、本明細書で定義される。N−末端もしくはC−末端の伸長、欠失、挿入のいずれも、同一性又は相同性を減少させるものとして解釈されない。
【0084】
本明細書で使用される、本発明のペプチドの「変異体」は、本発明のペプチドの配列と比較して、1又は2以上のアミノ酸の置換、挿入、及び/又は除去を伴うアミノ酸配列を持つポリペプチドを指して言う。一般的に、参照(本発明のペプチド)の配列及び変異体が、全体的に密接に類似し、多くの領域で同一であるように、相違は限られる。該変異体は、一般的に生物学的に活性であり、必然的に100%より少ない該ポリペプチドとの同一性を持つ。
【0085】
好ましい実施態様において、生物学的に活性な変異体は、配列番号14の本発明のペプチドと、少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約80%、さらにより好ましくは少なくとも約85%、またさらにより好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を共有するアミノ酸配列を持つ。アミノ酸置換は、好ましくは単一のアミノ酸残基の置換である。
【0086】
本発明のペプチド(参照タンパク質)の「断片」は、野生型又は参照タンパク質の完全なアミノ酸配列の一部を含むタンパク質分子に言及することを意味する。
【0087】
本発明のペプチドをコードする相補DNAクローンは、与えられたDNAから調製されてもよい。本明細書で与えられる核酸クローンは、異なる神経系組織から調製されるライブラリーをスクリーニングすることによって本発明のペプチドをコードするゲノムクローンを単離し、任意のスプライス変異体を単離するために使用されてもよい。
【0088】
あるいは、ライブラリーは、適当なプローブでスクリーニングされてもよい。従って、本発明のペプチドをコードする核酸を単離する一つの手法は、当該技術分野でよく知られた方法を用いて、天然の又は人工的に設計された核酸プローブで、哺乳類のゲノムライブラリーを探査するというものである。遺伝子をコードする本発明のペプチドから誘導された核酸プローブは、この目的に対して特に有用である。核酸の例は、RNA、cDNA、又は、本発明のペプチドをコードする単離されたゲノムDNAである。該核酸は、配列番号1に示されるものと実質的に同一のヌクレオチド配列を持つ核酸、又は配列番号2もしくは14、好ましくは配列番号14に示されるアミノ酸配列をコードするものを含むがこれらに限定されない。
【0089】
当該技術分野でよく知られた核酸増幅技術は、本発明のペプチドのスプライス変異体を位置づけるために使用され得る。これは、相違する配列を取り囲むDNA配列に基づくオリゴヌクレオチドを、ヒトRNA又はゲノムDNAを増幅するためのプライマーとして用いることにより達成される。増幅物の大きさ及び配列決定は、スプライス変異体の存在を示し得る。さらに、ハイブリダイゼーションによるヒトゲノムDNA配列の単離は、本発明のペプチドをコードする転写物の異なるスプライス変異体に相応するイントロンによって分離された複数のエクソンを含むDNAをもたらし得る。核酸操作のための技術は、一般的に、例えばSambrook等(1989)及びAusubel等(1987、定期的に更新)の中に記載されている。核酸の化学合成の方法は、例えばBeaucage及びCarruthers,Tetra.Letts.22:1859−1862,1981、及び、Matteucci等、J.Am.Chem.Soc.103:3185(1981)の中で検討されている。核酸の化学合成は、例えば、商業的に入手できる自動化オリゴヌクレオチド合成装置上で行うことができる。
【0090】
核酸分子をコードするhTIP39の全てが、全ての神経組織又は脳の全ての部分において発現されるわけではないことが見出されている。従って、本発明のペプチド又はそのスプライス変異体をコードするcDNAを単離するために、異なる神経細胞組織もしくは神経系組織から調製されたライブラリーをスクリーニングことが好ましい。
【0091】
本発明で使用される「スプライス変異体」は、1つより多くの型のmRNAを生成する結果となる、ゲノムDNAの最初の転写物から異なる方法によって生成される核酸をコードする、変種の本発明のペプチドを指して言う。異なって処理される最初の転写から誘導されるcDNAは、完全なアミノ酸同一性の領域及び異なるアミノ酸配列を持つ領域を持ち、本発明のペプチドをコードするであろう。従って、同一のゲノム配列は、複数の関連するmRNA及びタンパク質を生じる。結果として得られるmRNA及びタンパク質の両方は、本明細書で「スプライス変異体」と言われる。
【0092】
本明細書で使用される核酸「プローブ」は、一本鎖DNA又はRNA、又はそれらの類縁体であり、これらは、少なくとも14、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも50の、配列番号1に記載の任意の14もしくはそれより多い連続した塩基と同じであるかまたは相補する、連続した塩基を含むヌクレオチドの配列を持つ。さらに、本発明のポリペプチドの領域をコードする完全なcDNA、又は配列番号1に相応する完全な配列は、プローブとして使用されてもよい。
【0093】
実際好ましいプローブに基づくスクリーニング条件は、約37℃の温度、約20%のホルムアミド濃度、約5×標準クエン酸含有生理食塩水の塩濃度(SSC;3M塩化ナトリウム、0.3Mクエン酸ナトリウム含有の20×SSC、pH7.0)を含む。該条件は、完全な相同性を必要とせずに、プローブ配列との十分な類似度を持つ配列の同定を可能にする。
【0094】
好ましくは、プローブとのより低い程度の相同性を持つ配列を区別して、少なくとも70%のプローブとの相同性を持つ配列の同定を可能にするハイブリダイゼーション条件が選択されるであろう。結果として、配列番号1に示されるヌクレオチドの配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を持つ核酸が得られる。
【0095】
ライブラリーのスクリーニング後、ポジティブクローンは、ハイブリダイゼーションシグナルの検出によって同定され、同定されたクローンは、制限酵素マッピング及び/又はDNA配列分析によって特徴付けられ、その後、本明細書で示される配列と比較して試験され、それらが完全な本発明のペプチドをコードするDNAを含むかどうかを確定する。選択されたクローンが不完全である場合、それらは、同一又は異なるライブラリーを再スクリーニングして重複クローンを得るために用いられ得る。所望であれば、ライブラリーは、完全な本発明のペプチドをコードする重複クローンが得られるまで、ポジティブクローンで再スクリーニングされてもよい。ライブラリーがcDNAライブラリーである場合、その後、重複クローンは、オープンリーディングフレームを含むであろう。ライブラリーがゲノムである場合、その後、重複クローンはエクソン及びイントロンを含んでいても良い。どちらの場合においても、完全なクローンは、本明細書で与えられるDNA及びコードされるタンパク質との比較によって同定される。
【0096】
従って、核酸プローブは、さまざまな用途に有用である。一方では、それらは、本発明の核酸分子の増幅のためのPCRプライマーとして使用されてもよい。他方では、それらは、例えばインシチューハイブリダイゼーション又はノーザンブロットハイブリダイゼーションによる、標的組織における本発明の分子の発現の検出のための有用な道具となり得る。
【0097】
本発明のプローブは、当該技術分野で良く知られた方法で、以下に記載されるように、及び多様な診断用キットを用いて、標識されてもよい。
【0098】
「標識」は、特異的に関連し、標識された化合物又は組成物が他の分子に特異的に結合できるようにするという特性を与えることを含み得る、化合物又は組成物の検出を容易にする化合物又は組成物を指して言う。「標識された」は、特異的に関連し、典型的には共有結合によるが非共有結合的な相互作用もまた用いられてもよく、化合物又は組成物を標識で標識する化合物又は組成物を指して言う。従って、ラベルは直接的に検出可能であってもよく、すなわち、ラベルは放射性同位体(例えば、H、14C、32P、35S、125I、131I)又は、蛍光性もしくは燐光性分子(例えば、FITC、ローダミン、リン光性ランタニド)であってよく、又は間接的に、すなわち酵素活性(例えばホースラデッシュペルオキシダーゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ)によって、又はその他の分子(例えばストレプトアビジン、ビオチン、抗原、エピトープ、又は抗体)への結合能力によって、検出可能であってもよい。ラベルの結合は、多様な方法、すなわち、ポリメラーゼを介したプライマー伸長反応における放射性同位体もしくはビオチン化ヌクレオチドの使用、組換え発現もしくは合成法によるエピトープ標識、又は抗体への結合によって達成され得る。
【0099】
標識は、直接的に、又は多様な長さのスペーサーアームによって、すなわち立体障害を低減して、取り付けることができる。本発明の目的のために、いかなる幅広い多様な標識された試薬も用いることができる。例えば、あるものは、1又は2以上の標識されたヌクレオシド三リン酸、プライマー、リンカー、又はプローブを使用することができる。免疫蛍光分析手法についての記載は、DeLuca、Immunolofluoscent Analysis、Antibody As a Tool、Marchalonis等、John Wiley&Sons、Ltd編、pp.189−231(1982)(これは参照により本明細書に取り込まれる)に見られる。
【0100】
用語「標識(ラベル)」は、また、標識された分子に特異的に結合し得る「標識(タグ)」を指して言う。例えば、あるものは、ビオチンをタグとして使用し、その後、アビジン化されたもしくはストレプトアミジン化されたホースラデッシュペルオキシダーゼ(HRP)をタグと結合するために使用し、その後、発光性の担体(例えばテトラメチルベンズアミン)をHRPの存在の検出のために使用することができる。類似の方法で、タグはエピトープ又は抗原(例えばジゴキシゲニン)であってもよく、及び、酵素的、蛍光的又は放射活性的に標識された抗体が、タグに結合するために使用されてもよい。
【0101】
本明細書及び特許請求の範囲における、DNA、RNA、ポリペプチド、又はタンパク質の修飾としての「単離された」及び/又は「精製された」という用語は、そのように示されるDNA、RNA、ポリペプチド、又はタンパク質が、人の手によってそのような形態で生成され、それらの天然のインビボの細胞の環境から分離されることを意味する。この人の介入の結果として、本発明の組換えDNA、RNA、ポリペプチド、及びタンパク質は本明細書に記載する方法に有用であり、天然に発生するDNA、RNA、ポリペプチド、又はタンパク質は有用ではない。
【0102】
同様に、本明細書で使用される、DNA、RNA、ポリペプチド、又はタンパク質の修飾としての「組換え」という用語は、そのように示されるDNA、RNA、ポリペプチド又はタンパク質が、人の力によって、例えばクローニング、組換え発現等によって調製されることを意味する。従って、本明細書で使用される組換えタンパク質は、例えば、組換え宿主、人の力で宿主に付加された発現DNAによって生成されるタンパク質を指して言う。
【0103】
本明細書で使用される「哺乳類」という用語は、本発明のTIP39タンパク質が誘導される多様な種、例えばヒト、ラット、マウス、ウサギ、サル、ヒヒ、ニワトリ、ウシ、ブタ、ヒツジ、イヌ、ネコ等を指して言う。本明細書で好ましいTIP39タンパク質は、ヒトTIP39である。
【0104】
本発明の一つの実施態様において、本明細書に開示される本発明のペプチドをコードするcDNAは、配列番号1に示されるものと実質的に同一のヌクレオチド配列を含む。本発明のタンパク質をコードする好ましいcDNA分子は、配列番号1に示されるものと同一のヌクレオチド配列を含む。
【0105】
本発明の他の実施態様は、配列番号2もしくは14、好ましくは配列番号14に示されるものと実質的に同一のアミノ酸配列をコードする参照ヌクレオチド配列と実質的に同一のヌクレオチド配列を持つ核酸を、ヒトのそれに相応するポリペプチドと関連するものとして意図する。
【0106】
核酸配列の定義において、実質的に類似のアミノ酸配列をコードする能力を持つ、全ての対象となる核酸配列は、実質的に類似すると考えられ、参照核酸配列、すなわちTIP39をコードする配列と実質的に同一のヌクレオチドの配列を含むと考えられる。
【0107】
実際には、「実質的に同一の配列」は、2つのタンパク質をコードするDNA又はRNAが、適度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、同一のアミノ酸配列を持つか、それらの構造及び機能を変化させない、配列における変異を持つタンパク質をコードすることを意味する。
【0108】
ヌクレオチド配列の「類似性」は、2つのポリヌクレオチド配列が、好ましくは(適当なヌクレオチドを挿入又は削除して)配置した配列内の相応する位置に、同一のヌクレオチド塩基を持つ程度の値である。配列類似性又は類似性のパーセントは、例えば、ウィスコンシン大学ジェネティックコンピューターグループ(UWGCG)から入手可能なGAPコンピュータープログラム、バージョン6.0のような配列分析ソフトウェアーを用いて配列情報を比較することによって決定され得る。GAPプログラムは、Smith及びWaterman(Adv.Appl.Math.2:482、1981)によって修正された、Needleman及びWunschのアラインメント方法(J.Mol.Biol.48:443、1970)を利用する。
【0109】
本明細書で使用される「実質的に同一のヌクレオチドの配列」は、少なくとも90%の同一性を共有し、実質的に同一のアミノ酸配列は、95%のアミノ酸同一性を共有する。しかしながら、スプライス変異体として生じる上記レベルより低い相同性を含む、又は保存的なアミノ酸置換によって修飾されるタンパク質(及び、該タンパク質をコードするDNAもしくはmRNA)は、本発明の範囲内であると考慮される。
【0110】
本発明は、また、配列番号1に示される核酸と異なるが同一の表現型を持つ核酸を含む。表現型的に類似の核酸は、また、「機能的に同等な核酸」と言われる。
【0111】
本明細書で使用される「機能的に同等な核酸」という語句は、本明細書に開示された核酸と同一のタンパク質生成物を生成する、実質的に同一の方法の中で機能する、わずかな及び重要でない配列の変異によって特徴付けられる核酸を含む。
【0112】
機能的に同等な配列は、本明細書で開示され、特許請求の範囲に記載された核酸及びアミノ酸組成物と実質的に同一の組成物を生成する、実質的に同一の方法の中で機能するであろう。特に、機能的に同等なDNAは、本明細書に開示されるものと同一であるか、又は、例えば非極性残基の他の非極性残基への置換、もしくは、電荷を持った残基の類似の電荷を持った残基への置換のような、保存的なアミノ酸変異体を持つタンパク質をコードする。これらの変異は、実質的にタンパク質の三次元構造を変えないものとして当業者に理解されるものを含む。
【0113】
特に、機能的に同等な核酸は、本明細書に開示されるものと同一であるか、又は保存的なアミノ酸変異体を持つか、配列番号2もしくは14、好ましくは配列番号14に示されるアミノ酸配列をもつものと実質的に類似する、ポリペプチドをコードする。
【0114】
例えば、保存的な変異体は、非極性残基の他の非極性残基での置換、もしくは、電荷を持った残基の類似の電荷を持った残基での置換を含む。これらの変異体は、実質的にタンパク質の三次元構造を変えないものとして当業者に理解されるものを含む。
【0115】
さらに、本発明のポリペプチドをコードする核酸は、遺伝子コードの縮重の効果によってもたらされ、特定のハイブリダイゼーション条件下で本発明の核酸にハイブリダイズする必要がない。本発明のポリペプチドをコードする好ましい核酸は、配列番号2もしくは14,好ましくは配列番号14に示されるものと実質的に同一のアミノ酸配列をコードするヌクレオチドを含む。
【0116】
従って、本発明のポリペプチドをコードする典型的な核酸は、以下から選ばれてもよい:
(a)配列番号2もしくは14、好ましくは後者に示されるアミノ酸配列をコードするDNA。
【0117】
(b)適度にストリンジェントな条件下で(a)のDNAとハイブリダイズするDNAであって、生物学的に活性なヒトTIP39をコードするDNA、又は
(c)上記(a)もしくは(b)のいずれかで縮重するDNAであって、生物学的に活性なヒトTIP39をコードするDNA。
【0118】
本明細書で使用される「縮重」という用語は、配列番号1の少なくとも一つのヌクレオチドで異なるが、配列番号2もしくは14、好ましくは14に示されるものと同一のアミノ酸をコードするコドンを指して言う。例えば、トリプレット「UCU」、「UCC」、「UCA」及び「UCG」により特定されるコドンは、これらの4つ全てのコドンがアミノ酸セリンをコードすることから、互いに縮重する。
【0119】
本明細書で使用される、配列番号1又は2の「アミノ酸配列」という用語は、ヒトに相応する、配列番号1に示される推定されるアミノ酸配列、又は配列番号2に示されるアミノ酸配列を指して言う。それぞれのアミノ酸配列は、未成熟のタンパク質のもの、すなわち翻訳後修飾の前のものである。同様に、配列番号14は、成熟したポリペプチドを指して言う。
【0120】
ハイブリダイゼーションは、核酸の相補鎖(すなわち、センス・アンチセンス鎖、又はプローブ・標的DNA)の、染色体DNA内に天然に発生するものと類似の結合による、互いの水素結合を指して言う。与えられたプローブを標的DNAでハイブリダイズするのに使用されるストリンジェントのレベルは、当業者によって容易に変えることができる。
【0121】
本明細書で使用される「ストリンジェントなハイブリダイゼーション」という語句は、ポリ核酸のハイブリッドが安定である条件を指して言う。当業者に知られるように、ハイブリッドの安定性は、ハイブリッドの融解温度(Tm)に反映される。Tmは、下記式:
81.5℃.−16.6(log10[Na])+0.41(%G+C)−600/l、
(式中、lは、ヌクレオチド内のハイブリッドの長さである。)
によって概算され得る。Tmは、配列相同性の1%の減少につき、約1°から1.5℃減少する。一般的に、ハイブリッドの安定性は、ナトリウムイオン濃度及び温度と相関関係にある。典型的には、ハイブリダイゼーション反応は、低いストリンジェンシーの条件下で、その後変更される高いストリンジェンシーの条件下で洗浄される。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーへの言及は、このような洗浄条件に関係する。
【0122】
本明細書で使用される「適度にストリンジェントなハイブリダイゼーション」という語句は、標的DNAが、標的DNAと約60%の同一性、好ましくは約75%の同一性、より好ましくは約85%の同一性、特に好ましくは約90%より高い同一性を持つ、相補する核酸に結合することを可能にする条件を指して言う。好ましくは、適度にストリンジェントな条件は、50%ホルムアミド、5×デンハート溶液、5×SSPE、0.2%SDS、42℃でハイブリダイゼーションを行い、その後0.2×SSPE、0.2%SDS、65℃で洗浄するものと同等の条件である。
【0123】
「高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション」という語句は、0.018M NaCl中、65℃で安定なハイブリッドを形成する核酸配列のみのハイブリダイゼーションを可能にする条件を指して言う(すなわち、0.018M NaCl中、65℃でハイブリッドが安定でない場合、それは、本明細書で意図される高いストリンジェンシー条件下で安定しないであろう)。高いストリンジェンシー条件は、例えば50%ホルムアミド、5×デンハート溶液、5×SSPE、0.2%SDS、42℃でハイブリダイゼーションを行い、続けて0.1×SSPE及び0.1%SDS、65℃で洗浄することによって与えられ得る。
【0124】
「低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション」という語句は、10%ホルムアミド、5×デンハート溶液、6×SSPE、0.2%SDS、42℃でハイブリダイゼーションを行い、続けて1×SSPE、0.2%SDS、50℃で洗浄することと同等な条件を指して言う。
【0125】
デンハート溶液及びSSPE(例としてSambrook、Fritsch、及びManiatis、「Molecular Cloning,A Laboratory Manual」Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989を参照)は、他の適当なハイブリダイゼーションの緩衝液として当業者に良く知られている。例えば、SSPEは、pH7.4リン酸緩衝0.18M NaCl溶液である。SSPEは、例えば、175.3gのNaCl、27.6gのNaHPO、及び7.4gのEDTAを800mlの水に溶解し、pHを7.4に調整して、及びその後1リットルの水を添加して得られる20×原液として調製され得る。デンハート溶液(Denhardt(1966)Biochem.Biophys.Res.Commum.23:641を参照)は、例えば、5gのFicoll(400型、Pharmacia LKB Biotechnology,INC.,Piscataway N.J.)、5gのポリビニルピロリドン、及び5gのウシ血清アルブミン(Fraction V;Sigma,St.Louis Mo.)を混合し、その後500mlの水を添加し、ろ過して粒状物質を除去することにより得られる50×原液として調製され得る。
【0126】
本発明のポリペプチドをコードする好ましい核酸は、適度にストリンジェントな、好ましくは高いストリンジェントな条件下で、配列番号1に示される核酸配列と実質的に完全な配列もしくは実質的な部分(すなわち典型的には少なくとも15−30のヌクレオチド)とハイブリダイズする。
【0127】
本発明の核酸は、当該技術分野で良く知られた多様な方法、例えば、配列番号1等の多様な領域からのオリゴヌクレオチドプライマーを用いたPCR増幅を使用する、本明細書に記載された方法によって生成され得る。
【0128】
本明細書で使用される「発現」という用語は、ポリ核酸がmRNAに転写され、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質に翻訳される過程を指して言う。ポリ核酸がゲノムDNAから誘導される場合、発現は、適当な真核宿主細胞もしくは器官が選択されるならば、mRNAのスプライシングを含む。
【0129】
本発明のポリペプチドの調製方法の例は、細菌の細胞、イースト菌の細胞、両生類の細胞(すなわち卵母細胞)、又は哺乳類の細胞のような適当な宿主細胞における本発明のポリペプチドをコードする核酸を、当該技術分野でよく知られた方法で発現し、及び再度良く知られた方法を用いて発現されたポリペプチドを回収することである。本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチド又はそれらの断片/部分をコードする核酸を含む発現ベクターで形質転換された細胞から直接的に単離され得る。
【0130】
クローンされたDNAの発現ベクターへの取り込み、それぞれ1又は2以上異なる遺伝子もしくは線形DNAをコードする真核細胞のプラスミドベクターもしくはプラスミドベクターの組み合わせでの形質導入、及び、形質導入細胞の選択は、当該技術分野で良く知られたものである(例として、Sambrook等、(1989)Molecular Cloning、A Laboratory Manual,第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照)。本発明の核酸構成を含む発現ベクターを宿主細胞に導入(形質導入)し、形質導入された組換え細胞(すなわち、組換え異種核酸を含む細胞)を生成するための適当な方法は、当該技術分野で良く知られている(再考として、Friedmann、1989、Science、244:1275−1281;Mulligan、1993、Science、260:926−932を参照、これらはそれぞれ参照により本発明に全体が取り込まれる)。
【0131】
典型的な形質導入の方法は、例えばウイルスのベクターを用いた感染(例として、米国特許第4,405,712号及び第4,650,764号を参照)、リン酸カルシウム形質導入(米国特許第4,399,216号及び第4,634,665号を参照)、硫酸デキストラン形質導入、電気穿孔法、リポフェクション(例として、米国特許第4,394,448号及び第4,619,794号を参照)、サイトフェクション、パーティクルビーズ照射等を含む。異種の核酸は、場合によって、染色体外(すなわちエピソーマル)維持を可能にする配列を含んでもよく、異種の核酸は、宿主のゲノムに組み入れるドナー核酸であってもよい。組換え細胞は、その後、DNAによってコードされる本発明のペプチドが発現する条件下で培養される。好ましい細胞は、哺乳類の細胞(例えばHEK293、CHO、及びLtk細胞)、イースト菌の細胞(例えばPichia pastorisのようなメチルトローフイースト菌細胞)、細菌細胞(例えばEscherichia coli)等を含む。
【0132】
適当な発現ベクターは、当該技術分野で良く知られており、DNAの発現を調節する能力を持つプロモーター領域のような調節配列に、発現DNAが動作可能に結合する能力を持つベクターを含む。従って、発現ベクターは、プラスミド、ファージ、組換えウイルス、又は適当な宿主細胞に導入され、挿入されたDNAを発現する結果となる他のベクターのような、組換えDNAもしくはRNA構成を結果として生じる。適当な発現ベクターは、当業者によく知られたものであり、真核細胞及び/又は原核細胞で複製可能なもの、及びエピソーマルを維持するもの、又は宿主ゲノム中に結合するものを含む。
【0133】
E.coli原核細胞の形質転換のための典型的な発現ベクターは、例えば、T7プロモーター、T7ターミネーター、誘発性E.coli lacオペレーター及びlac抑制遺伝子を含むpETlla;及び、T7プロモーター、T7ターミネーター、及びE.coli ompT分泌シグナルを含むpET l2a−cのような、pET発現ベクター(Novagen,Madison,Wis.米国特許第4,952,496号を参照)。他のベクターは、lppプロモーター、lacUV5プロモーターオペレーター、ompA分泌シグナル、及びlacレプレッサー遺伝子を含む、pIN−IIIompA2である(Duffaud等、Meth.in Enzymology,153:492−507,1987)。
【0134】
典型的な原核細胞発現ベクターは、pSV−2gpt系(Mulligan等.,1979,Nature,277:108−114);Okayama−Berg系(Mol.Cell Biol.,2:161−170)、及び、Genetics Institute(1985,Science,228:810−815)により開示されている発現クローニングベクターのような原核細胞カセットを含む。これらのプラスミドベクターのそれぞれが、本発明のキメラタンパク質の発現を促進することを可能にする。
【0135】
本明細書で使用される「異種の又は外来のDNA及び/又はRNA」は、同じ意味で、それが存在する細胞のゲノムの一部として自然に発生しないDNA又はRNA、又は、天然に発生するものと異なるゲノムの局所に見られるDNA又はRNAを指して言う。典型的には、異種の又は外来のDNA及びRNAは、宿主細胞に内在しない及び人工的に細胞内に誘導されるDNA又はRNAを指して言う。異種のDNAの例は、本発明のペプチドをコードするDNAを含む。
【0136】
好ましい実施態様において、DNAはベクター内に結合され、及び適当な宿主細胞に導入されて、本発明のペプチド又はそれらの断片を発現する形質転換細胞系を生成する。結果として得られる細胞系は、その後、受容体機能上の薬物の効果の再現可能な定量分析のための量で生成され得る。
【0137】
他の実施態様において、mRNAは、本発明のペプチドをコードするDNAのインビトロの転写によって生成されてもよい。このmRNAは、その後、RNAが本発明のペプチドの合成を導くアフリカツメガエル卵母細胞中に注入され得る。あるいは、本発明のコードするDNAは、機能的な本発明のペプチドの発現のために、oocyteに直接的に注入され得る。形質導入された哺乳類細胞又は注入された卵母細胞は、本明細書で与えられる薬物のスクリーニングの方法に使用されてもよい。
【0138】
DNA又はRNAが導入される原核細胞は、そのようなDNA又はRNAによって形質導入できる、又はそのようなDNA又はRNAがその中に注入されてもよい、任意の細胞を含み得る。好ましい細胞は、一時的に又は安定に形質導入され、またDNA及びRNAを発現するものである。現在最も好ましい細胞は、異種のDNAによってコードされる組換えもしくは異種のヒトTIP39を発現するものである。そのような細胞は、実験的に同定されてもよく、容易に形質導入もしくは注入されるものとして既知のものから選択されてもよい。
【0139】
DNAを導入するための典型的な細胞は、哺乳類由来の細胞(例えば、COS細胞、マウスL細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児腎臓細胞、アフリカングリーンモンキー細胞、及び、当業者に知られた他の細胞)、両生類細胞(たとえば、Xenopus laevis卵母細胞)、イースト菌細胞(例えば、Saccharomyces cerevisiae,Pichia pastoris)等を含む。注入されたRNA転写の発現のための典型的な細胞は、アフリカツメガエル卵母細胞を含む。DNAの形質導入のために好ましい細胞は、当業者に知られたものであり、又は実験的に同定され、及びHEK293;Ltk細胞;COS−7細胞;及びDG44細胞(dhrfCHO細胞;例としてUrlaub等、(1986)「Cell.Molec.Genet.」12:555を参照)を含む。本明細書で与えられる本発明のペプチドをコードするDNAを発現するための、商業的に入手可能な系及び他の当業者に知られた系を含む他の哺乳類発現系が現在は好ましい。
【0140】
核酸分子は細胞に安定に取り込まれてもよく、又は、当該技術分野で知られた方法を用いて一時的に導入されてもよい。安定に形質導入された哺乳類細胞は、細胞を、選択マーカー遺伝子(例えば、チミジンキナーゼ、ジヒドロフォレートレダクターゼ、ネオマイシン耐性の遺伝子等)を持つ発現ベクターで形質導入し、形質導入された細胞を、マーカー遺伝子を発現する細胞に選択的な条件下で増殖させることによって調製されてもよい。そのような細胞を生成するために、細胞は、十分な濃度の本発明のペプチドをコードする核酸で形質導入され、異種DNAによってコードされる本発明のペプチドを形成する必要がある。本発明のペプチドをコードするDNAの正確な量及び比率は、個々の細胞及びアッセイ条件ごとに、実験的に決定され、最適化される。
【0141】
異種のDNAは、エピソーマル要素として細胞内に保持されてもよく、又は細胞の染色体DNAに組み込まれてもよい。結果として得られる組換え細胞は、その後、培養物又はそれらの継代培養から培養されるか又は継代培養される(又は哺乳類の細胞である場合は継代(Passage)される)。形質導入、注入、及び組換え細胞の培養のための方法は、当業者に既知である。同様に、本発明のペプチドは、当業者に既知のタンパク質精製方法を用いて精製されてもよい。例えば、抗体又はヒトTIP39に特異的に結合する他のリガンドは、本発明のペプチドのアフィニティー精製に使用されてもよい。
【0142】
上記に従って、宿主細胞は、本発明のペプチドをコードするDNAで形質導入される。ノーザンブロット又はスロットブロット分析のような方法を用いて、DNA又はRNAをコードする本発明のペプチドを含む形質導入された細胞が、選択され得る。形質導入された細胞は、また、本発明のペプチドを発現するものを同定するために分析されてもよい。分析は、例えば、本発明のペプチドへの応答において、細胞膜を通した電流を電気生理学的にモニタリングすることによって、非形質導入の宿主細胞又は他の適当な対照の細胞のPTH受容体の結合能力と比較した、細胞のPTH受容体又はPTH受容体アゴニストに結合する能力を測定すること等によって行われてもよい。
【0143】
特に好ましい形態において、異種のDNAを含む原核細胞は、そのようなDNAを発現し、及び本発明の組換えペプチドを形成する。より好ましい形態において、本発明の組換えペプチド活性は、非形質導入の宿主細胞に存在しない型であるために、容易に検出可能である。
【0144】
本明細書で使用される、本発明のペプチドの活性は、ヒトTIP39に特有の任意の活性を指して言う。そのような活性は、典型的には、1又は2以上のインビトロの方法によって測定することができ、しばしばヒトTIP39の活性に相応する。該活性は、例えば副甲状腺ホルモン−2受容体結合及びcAMPレベルを測定するアッセイのような、当業者に知られた任意の方法によって測定することができる。
【0145】
本発明のペプチド、生物学的に活性な断片、及びそれらの機能的等価物は、また、化学合成によって生成することができる。例えば、合成ポリペプチドは、製造業者によって供給される化学を利用したApplied Biosystems,Inc.Model 430A又は431Aオートマチックペプチドシンセサイザー(Foster City,Calif.)を用いて生成することができる。
【0146】
本発明は、また、許容できる担体及び、任意の単離、精製された本発明のポリペプチド、それらの活性断片、又は、精製された成熟したタンパク質及びそれらの活性断片を、単独で又はそれぞれを組み合わせて含む組成物を提供する。これらのポリペプチド又はタンパク質は、組換え的に派生し、化学的に合成され、又は天然の供給源から精製され得る。
【0147】
本明細書で使用される「許容できる担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水もしくは水/油乳剤のような乳剤、多様な型の湿潤剤のような任意の標準的な薬学的担体を含む。
【0148】
mRNAの翻訳を阻害するように、本発明のペプチドをコードするmRNAの任意の部分と特異的に結合することができるヌクレオチド配列を持つ、アンチセンスオリゴヌクレオチドもまた提供される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本発明のペプチドをコードするcDNAの配列の任意の部分と結合することができる配列を持っていてもよい。
【0149】
本発明のさらに他の実施態様に従って、本発明のペプチドに特異的親和性を持つ抗ヒトTIP39抗体が提供される。抗体の活性断片は、「抗体」の定義の範囲内に含まれる。
【0150】
本発明の抗体は、当業者に既知の方法によって、本発明のポリペプチド、タンパク質、又はそれらの部分を抗原として用いて生成することができる。例えば、ポリクローナル及びモノクローナル抗体は、例えば、Harlow及びLane、Antibody、A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory(1988))(これは参照により本明細書に取り込まれる)に記載されたような当業者に良く知られた方法により生成することができる。本発明のポリペプチドは、該抗体の生成において免疫原として使用することができる。あるいは、合成ペプチドは(商業的に入手可能なシンセサイザーを用いて)調製されて、免疫原として使用され得る。アミノ酸配列は、それらが相応するポリペプチドの疎水性又は親水性ドメインをコードするかどうかを決定するために、当業者によく知られた方法で分析され得る。キメラ化、ヒト化、CDR−移植、又は二機能性の抗体のような変性した抗体もまた、当業者によく知られた方法により生成され得る。そのような抗体は、また、例えばSambrook等、上記、及びHarlowとLane、上記に記載されている、ハイブリドーマ、化学合成、又は組換え手法によって生成され得る。抗ペプチド及び抗融合タンパク質抗体のどちらも使用することができる。(例えばBahouth等、Trends Pharmacol.Sci.12:338(1991)、Ausubel等.,Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons,N.Y.(1989))これらは参照により本明細書に取り込まれる)。
【0151】
このように生成された抗体は、中でも、診断方法と哺乳類、好ましくはヒトの組織などの体の標本に存在する、本発明のペプチドのレベルを検出するための系に使用され得る。
【0152】
そのような抗体は、また、本発明のポリペプチドのイムノアフィニティーまたはアフィニティークロマトグラフィー精製に使用され得る。さらに、方法は、抗体がポリペプチドに結合することができる条件下で、細胞が、本発明のポリペプチドと特異的に結合する抗体と接触して細胞の表面上に存在する本発明のポリペプチドを検出し、細胞と結合した抗体の存在を検出する、そしてそれにより細胞の表面上に存在する本発明のポリペプチドを検出するためのものとして本明細書で考慮される。該ポリペプチドの検出に関連して、抗体は、インビトロの診断方法又はインビボの画像化方法のために使用され得る。
【0153】
試料中の本発明のポリペプチドのインビトロ検出に有用な免疫学的手順は、検出可能な抗体を用いる免疫学的測定を含む。そのような免疫学的測定は、例えば、ELISA、Pandexマイクロ蛍光分析アッセイ、凝集アッセイ、フローサイトメトリー、血清診断アッセイ及び免疫組織化学染色法といった当該技術分野でよく知られたものを含む。抗体は、当該技術分野でよく知られた方法により検出可能にされ得る。例えば、検出可能マーカーは、直接的に又は間接的に抗体に結合し得る。有用なマーカーは、例えば、放射性ヌクレオチド、酵素、蛍光体、色素原、及び化学発光ラベルを含む。
【0154】
上に参照される抗ヒトTIP39抗体はまた、生きている動物、ヒト、又はそれらから単離された組織における、本発明のペプチドの活性を調節するために使用され得る。従って、担体、及び、天然に存在するTIP39又は他のリガンドのPTH受容体への結合を阻害するのに有効である量の、本発明のペプチドに特異性を持つ抗体を含む組成物は、本明細書において意図される。例えば、本発明のペプチド分子のエピトープに指示される、及び、配列番号で示されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を持つモノクローナル抗体は、本発明のポリペプチドのヒトPTH受容体への結合を妨害するために有用であり得る。
【0155】
本発明のペプチドの「免疫学的に活性な断片」もまた、本発明に含まれる。該断片は、そのタンパク質が(例えばマウス又はウサギの)標的免疫系においてヒトTIP39特異的抗体をもたらし、hTIP39特異的抗体との結合においてヒトTIP39と競合することができるものであり、従って生物学的試料中のヒトTIP39ペプチドの存在のイムノアッセイに有用である。該免疫学的に活性な断片は、典型的には、8から11の天然のヒトTIP39ペプチドの連続したアミノ酸の最小サイズを持つ。
【0156】
本発明は、さらに、本発明のペプチドをコードする外因性の核酸を発現することができる遺伝子組換えされた非ヒト哺乳類を含む。本明細書で使用される「外因性核酸」という語句は、宿主に由来しない、又は、(例えば、遺伝子で設計されたDNA構成の一部として)宿主でのその本来の環境以外で存在する核酸配列を指して言う。本発明のペプチドをコードする外因性の本発明の外因性核酸を発現する遺伝子組換えマウスは、特に好ましい。
【0157】
本発明のペプチドの生理的及び行動の役割を明らかにする動物モデル系もまた意図され、その中で本発明のペプチドの発現を多様な手法を用いて変えられる遺伝子組換え動物の作成によって生成することができる。該手法の例は、本発明のポリペプチドをコードする核酸の正常形又は突然変異形を、マイクロ注入、レトロウイルス注入、又は当業者に知られた他の方法によって、適当な受精胚に挿入して、遺伝子組換え動物を生成することを含む(Hogan等、Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory(1986)))。
【0158】
本発明の核酸、(アンチセンスを含む)オリゴヌクレオチド、同じものを含むベクター、形質転換された宿主細胞、ポリペプチド及びそれらの組み合わせ、また、本発明の抗体は、化合物が本発明のペプチドに対して活性なアゴニストもしくはアンタゴニストとして機能するかどうかを決定するための、インビトロでの化合物のスクリーニングに使用され得る。
【0159】
これらのインビトロのスクリーニングアッセイは、天然のヒトTIP39又はヒトPTH受容体と特異的に相互作用することが可能である化合物の同定及び設計に導く、本発明のペプチドの機能及び活性に関する情報をもたらす。
【0160】
従って、本発明のペプチドと結合する化合物の同定のための方法もまた、本発明として考慮される。本発明のペプチドは、競合的結合アッセイに使用されてもよい。該アッセイは、化合物が本発明のペプチドと結合する能力があるとすれば、それを決定するための数多くの化合物の高速のスクリーニングに対応し得る。その後、結合することが見出された化合物についてより詳細なアッセイを行い、該化合物が、本発明のペプチドの調節剤、アゴニスト又はアンタゴニストとして作用するかどうかをさらに決定する。
【0161】
本発明の他の実施態様に従って、組換え的にPTH受容体を発現する形質転換された宿主細胞は、試験化合物と接触させることができ、及びその調節作用は、その後、試験化合物の存在及び非存在下で、(例えばセカンドメッセンジャー活性/cAMP活性の測定によって)本発明のペプチドを介した応答と比較することによって、又は、試験化合物又は対照、すなわち化合物の存在に対して本発明のペプチドを発現しない細胞の応答を比較することによって評価される。
【0162】
本明細書で使用される化合物、又は、本発明のペプチドの「活性を調節する」シグナルは、本発明のペプチドの活性が、化合物もしくはシグナルの存在下と、化合物もしくはシグナルの非存在下で異なるように、本発明のペプチドの活性を変える化合物又はシグナルを指して言う。特に、該化合物又はシグナルは、アゴニスト及びアンタゴニストを含む。該活性は、一般的にcAMPレベルの測定によって検出される。
【0163】
「アゴニスト」という用語は、本発明のペプチドのような受容体機能を活性化する物質又はシグナルを指し、「アンタゴニスト」という用語は、受容体の機能を妨げる物質を指して言う。典型的には、アンタゴニストの作用は、アゴニストによる活性の阻害として観察される。アンタゴニストは、競合的及び非競合的アンタゴニストを含む。競合的アンタゴニスト(又は競合的阻害剤)は、同じか接近して位置される部位に対するアゴニスト(例えばリガンド又は神経伝達物質)に特異的な部位又はその近くの領域と相互作用する。非競合的アンタゴニスト又は阻害剤は、アゴニストで相互作用する部位以外の部位での相互作用によって、受容体の機能を不活化する。
【0164】
当業者に理解されるように、本発明のペプチド活性を調節する化合物を同定するためのアッセイ法は、一般的に、対照との比較を必要とする。「対照」の一つの型は、化合物に暴露される試験細胞又は試験培養物と実質的に同じように、ただし「対照」細胞又は培養物は化合物に暴露されないという区別をして処理される細胞又は培養物である。例えば、電圧固定電気生理学的手順を用いた方法において、細胞を浸している外部の溶液を単に変えることによって、化合物の存在又は非存在下で、同一の細胞が試験され得る。「対照」細胞又は培養物の他の型は、「対照」細胞又は培養物が本発明のペプチドを発現しないことを除いては、しかし形質導入された細胞が機能的ヒトPTH受容体を発現するように、形質導入された細胞と同一である細胞又は培養物であってもよい。従って、形質導入された細胞の化合物への応答は、同じ反応条件下での「対照」細胞又は培養物の同化合物への応答(またはその欠如)と比較される。
【0165】
本発明のさらに他の実施態様において、本発明のペプチドの活性化は、上記のバイオアッセイによって、ポリペプチドを有効量の少なくとも一つの化合物を接触させることによって調節される。
【0166】
代わりの方法は、本発明のペプチドの存在下で、PTH受容体を発現する細胞を試験化合物と接触させ、PTH受容体活性における試験化合物の調節効果の基準としてcAMPのレベルを測定することによって試験化合物の効果を決定することを意図し、AMPレベルの増加は、PTH受容体(アゴニスト)における試験化合物の調節効果を示す、すなわちPTH受容体の開口であり、一方、減少は対照的に(アンタゴニストを)反映する。
【0167】
本発明の他の実施態様において、異常な情報伝達によって特徴づけられる病気の段階の診断のための方法が提供される。例えば、試料は、機能不全情報伝達によって特徴づけられる病理学的障害を患っていると思われる患者から得られ、配列番号1に示されるヌクレオチド配列と実質的に相同であるヌクレオチドの配列を持つ核酸プローブと接触され得る。プローブの試料中に存在する任意の相補mRNAへの結合は、決定されて、患者の病理学的障害の後退、進行、又は始まりを示し得る。
【0168】
あるいは、患者の試料は、プローブ/遺伝子産物複合体の形成に好ましい条件下で、本発明の核酸分子の遺伝子産物に特異的な検出可能なプローブと接触され得る。複合体の存在は、患者における該病的障害の後退、進行、又は始まりを示し得る。
【0169】
本発明の他の実施態様に従って、好ましくは、少なくとも一つの本発明の核酸を適当な包装材料中に含むキットの形態の診断系が提供される。診断用核酸は、本明細書に記載される本発明のペプチドをコードする核酸から誘導される。一つの実施態様において、例えば診断用核酸は、配列番号1から誘導される。本発明の診断系は、本発明のペプチドをコードする、ゲノムDNA又は(例えばmRNAもしくはcDNAのような)転写された核酸のいずれかにおける、本発明のペプチドをコードする核酸の存在又は非存在を調べるアッセイに有用である。
【0170】
適当な診断系は、少なくとも一つの本発明の核酸、好ましくは2もしくは3以上の本発明の核酸を、別個に包装された化学試薬として、少なくとも1つのアッセイに十分な量を含む。包装された試薬の使用説明書もまた、典型的に含まれる。当業者は、本発明の核酸及び/又はプライマーを、本明細書に記載される本発明の方法の実行に適当な緩衝剤及び溶液と組み合わせて、キット形態に容易に取り込むことができる。
【0171】
「処置」は、治療学的な処置と、予防的もしくは抑制的手段の両方を指して言う。治療を必要とする人々は、既に障害を持つ人々、同様に、障害を持つ傾向がる人々、又は障害が抑制されるべき人々を含む。
【0172】
「障害」は、本発明のペプチドを用いた治療から利益を受けるあらゆる状態である。これは、哺乳類をこのような障害にかかりやすくする病理学的状態を含む慢性又は急性の障害又は病気を含む。障害は、心臓血管系、神経系、及び痛覚に関するものを含むがこれらに限定されない。
【0173】
本明細書で使用される、組換え又は異種のヒトTIP39に関する「機能的」と言う用語は、ペプチドが、本明細書で開示される又は当業者に知られた任意のインビトロ又はインビボのアッセイによって評価されるような、天然のヒトTIP39を伴う活性を示すことを意味する。当業者に知られた又は本明細書で与えられる任意の方法によって評価され得る任意の該活性を持つことは、ペプチドを機能的なものとして指定するのに十分である。該活性は前に記載されるように検出されてもよい。
【0174】
添付の図面に関連する本発明の好ましい実施態様の記載によって、本発明は厳格な実施態様に限定されず、多様な変形及び修飾が、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、当業者によって達成される。
【0175】
実施例1
DNAをコードする39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの単離
I.DNAをコードする39残基のヒト結節漏斗状ペプチド
A.ヒトTIP39cDNAのクローニング
ヒトTIP39に特異的なcDNA断片を、ヒト視床下部cDNAのPCR増幅によって生成した。その後のオリゴヌクレオチドプリマーの縮重は、プラスミドの二次クローニングのためのフラグメントの生成に使用された。
【0176】
【化1】
Figure 2004521612
【0177】
結果として得られた98bp断片を、製造業者によって記載されPCRIIベクター中でサブクローンし、配列決定を行った。配列分析は、断片がウシTIPペプチドの5−36位で配置されるペプチドをコードすることを示した。このクローンから得られた配列情報は、約70bpのPCR断片を得る必要があり、以下のオリゴヌクレオチドプライマー対の設計に使用された:
【0178】
【化2】
Figure 2004521612
【0179】
Hw60及びKB01プライマーを、ヒト胎児の脳幹cDNAライブラリー(インサイト/ジェノミックシステム)をスクリーニングするのに使用した。2つの同一のクローンを、同定して配列した。TIP39の前駆体のDNA配列及び推定されるアミノ酸配列を図1に示す。
【0180】
B.マウスTIP39cDNAのクローニング
マウスTIP39をクローンするために、ヒトTIP39に相同なゲノムクローンを得て、及びTIP39を含む領域を配列した。マウスゲノム配列から誘導されたプライマーを、マウス脳幹cDNAライブラリー(インサイト/ジェノミックシステム)をスクリーニングするのに使用した。
【0181】
【化3】
Figure 2004521612
【0182】
2つの同一のクローンを得て、配列した。マウスTIP39の前駆体のアミノ酸配列は、ヒトTIP39に相同である。ポリペプチド及び成熟したペプチド(二重線)の予測される配列を図2に示す。
【0183】
C.ラットTIP30のPCR増幅
ラットTIP39遺伝子を、マウスcDNAから誘導されたプライマーを用いて、ラット脳cDNAからPCR増幅を行った。
【0184】
【化4】
Figure 2004521612
【0185】
成熟したヒト、ウシ、ラット及びマウスのTIP39ペプチド配列のアラインメントを図3に示す。
【0186】
ヒトTIP39をコードするDNAでの形質導入により生成された組換え細胞系は、1又は2以上の以下の方法を用いてさらに特徴づけられる。
【0187】
(a)伝達物質をコードする39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの発現のためのノーザン又はスロットブロット分析。
【0188】
(b)TIP39特異的抗体での免疫染色又はcAMP生成の測定。
【0189】
実施例2
TIP39をその受容体の活性化に関与させる機能的分析
1.ラット及びヒトのPTHRを安定に発現する細胞系の確立
HEK293細胞をヒトPTHRで形質導入し、及び、受容体を安定に発現する細胞系を確立して評価した。ラット及びヒトのPTHRそれぞれにつき一つの細胞系を選択して、全ての機能的アッセイに使用した。具体的には、HEK293細胞を、FuGENE6形質導入試薬(Roche Molecular Biochemicals)を用いて、pCDNA3.1/V5−His−RatPTHRプラスミドDNA及びpCDNA3.1−E/Uni−lacZ−ヒトPTHRプラスミドDNAで形質導入した。形質導入の3日後、細胞を、800μg/mlゲネチシン(G418、GibcoBRL)での選択下に置いた。3週間の選択の後、単一のコロニーを、クローニングシリンダーを用いてクローンした。クローンされたコロニーを、T25フラスコでスケールアップした。各プラスミドごとに10より多い細胞系を、cAMP SPAアッセイにおける機能について試験した。プラスミドごとに一つの細胞を、シクラーゼアッセイの結果に基づいてさらに特徴付けるために選択した。
【0190】
2.PTHR活性化のためのcAMP SPAアッセイ
HEK293PTHR細胞を、96穴のポリ−D−リジンで被覆したプレートに、穴ごとに100,000細胞で接種して、一晩培養した。200μlのPBSで洗浄した後、100μlの300nMIBMXで、アッセイ溶媒(フェノールレッド及びFBSを含まないMEM)中、37℃で10分間処理した。アッセイ溶媒をその後吸引して、細胞をPBSで洗浄した。cAMPの細胞を、cAMP SPAダイレクトスクリーニング(Amersham/PharmaciaRPA559)を用いて測定した。リガンドの濃度ごとに3回繰り返した。ラット及びヒトPTHRで安定に形質導入されたHEK293細胞上のリガンドの用量−応答曲線を図4A及び図4Bにそれぞれ示す。
【0191】
結果:ラット及びヒトPTHRで安定に形質導入されるHEK293細胞上のcAMP応答を試験するために、ラットPTH細胞を発現しているHEK293細胞内でのアゴニストペプチドでの活性化上でのcAMPのレベルを測定した。ラットPTH細胞を発現している細胞が、ヒトTIP39、マウスTIIP39、ヒトPTH(1−34)、及びラットPTH(1−34)で活性化したとき、すなわちcAMPのレベルが最大のレベル(最大29pmol/100,000細胞)に増加したとき、正の応答が得られた。cAMPの増加は用量依存性であった。これを図4に示す。ヒトTIP39、マウスTIP39,ヒトPTH(1−34)、及びラットPTH(1−34)のlogEC50は、それぞれ、−9.7±0.2、−9.9±0.1、−9.3±0.2、及び−10.3±0.5である(平均値±標準偏差、n=3−7)。ヒトPTH(1−34)での応答は、図4Aに示すように、わずかに少ない活性であるように見える。
【0192】
ヒトPTHRを発現するHEK293細胞内のこれらのペプチドでの活性化における、cAMPレベルの類似した増加もまた得られた。最大の応答25pmol/100,000細胞に達した。これらのペプチドの有効性は、ラットPTHRを発現している細胞内で検出されるものと類似するように見られた。ヒトPTHRを発現したHEK293細胞内の、ヒトTIP39、マウスTIP39、ヒトPTH(1−34)、及びラットPTH(1−34)のlogEC50は、以下のように記録された:それぞれ、−9.7±0.2、−9.7±0.3、−9.1±0.2、及び−9.8±0.4(平均値±標準偏差、n=4−7)。再び、ヒトPTH(1−34)は、他のペプチドよりもわずかに少ない活性が見られた(図4B)。
【0193】
3.FLIPRを用いた[Ca2+]iの測定
HEK293細胞を、ポリ−D−リジンで被覆されたブラックウォルナットの透明基板96穴プレート(BD Biocoat)中に、MEM中、ウェル毎に100,000細胞の密度で播種して、一晩培養した。細胞を、その後1×HBSS緩衝液(1×Hankの平衡塩類溶液(Life Technologies))、20mMHEPES、2mM塩化カルシウム、0.12mMプロベネシド(Sigma、(710mg/5ml 1N NaOH))で2回洗浄し、その後、37℃で60分間、添加液にロードした(HBSS+10%FBS+4nM Fluo−3AM細胞浸透分子プローブ)。細胞を1×HBSS緩衝液で2回洗浄した。プレートをFLIPR(Molecular Devices)内に置き、細胞の蛍光(ex=488nM、EM=540nM)を、さまざまなアゴニストを添加する前と後で、3分間モニターした。応答は、基底FIを引いたピークの蛍光強度(FI)として測定され、適当には、最大のヒトTIP39誘導性応答のパーセンテージとして示された。
【0194】
曲線の当てはめ及びパラメーターの評価を、Graph Pad Prism、3.00(GraphPad Software Inc.,カリフォルニア,米国)を用いて行った。ラット及びヒトPTHR細胞系上の多様なリガンドについての用量−応答曲線を図5A及び図5Bにそれぞれ示す。
【0195】
結果:全体的にヒトTIP39は、細胞内カルシウム濃度の増加を引き起こした。重要なことには、ヒトTIP39は、始めに急速に開始し(ピーク〜20秒)、続けて急速に第二相が衰退し、80秒以内で基礎レベルに戻ることに代表される、ラットPTHRwp発現するHEK293における[Ca2+]iの増加を引き起こした(データは示さない)。マウスTIP39はまた、類似の動態で、[Ca2+]iを増加させた。
【0196】
ピーク蛍光の測定がヒトTIP39、マウスTIP39、ヒトPTH(1−34)、及びラットPTH(1−34)での刺激で変化するとき、ヒト及びマウスTIP39は、ラットPTH及びヒトPTHと比較してアゴニストであることが観察された。ラットPTHからの最大の応答は、細胞を発現しているラットPTHR上のヒトTIP39のそれと比較して約30%であった。ヒトPTH(1−34)は、もしあるならば、少ない応答を導くことが見出された。
【0197】
全てのアゴニスト誘導性応答は、濃度依存性(図5A)であった。ラットPTHRを発現するHEK293細胞上のヒトTIP39、マウスTIP39、及びラットPTH(1−34)のlogEC50は、それぞれ、−7.2±0.1、−7.3±0.1、及び−704±0.1(平均値±標準偏差、n=4−5)であることが観察された。ヒトPTHRを発現するHEK293細胞における細胞内カルシウムの類似の急速な上昇もまた観察された。データは、ヒトTIP39及びマウスTIP39が、ラット及びヒトPTHと比較して、完全なアゴニストであることを示唆する。ヒトPTH(1−34)は、少ない応答を導くことがわかった。ラットPTH(1−34)によって導かれる最大の応答は、ヒトTIP39によって導かれるものと比較して42±2%であった。ヒトTIP39,マウスTIP39,及びラットPTH(1−34)のlogEC50は、それぞれ、−7.6±0.1、−7.8±0.2、及び−7.3±0.1(平均値±標準偏差、n=4−5)であった(図5B)。
【0198】
本発明は、いくつかの好ましい実施態様への参照を用いて詳細に説明されている中で、修飾及び変化は、詳細な説明及び特許請求の範囲に記載された精神及び範囲内である。
【0199】
配列の要約
配列番号1は、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドをコードするヌクレオチド配列、39残基のヒト結節漏斗状ペプチド(TIP39)(前ポリペプチド)の推定されるアミノ酸配列である。
【0200】
配列番号2は、39残基前ポリペプチドの前ポリペプチドヒト結節漏斗状ペプチド(TIP39)のアミノ酸配列である。成熟したポリペプチドを二重線の下線で示す。
【0201】
配列番号3は、39残基のマウス結節漏斗状ペプチド(TIP39)のアミノ酸配列である。
【0202】
配列番号11は、39残基の成熟したラット結節漏斗状ペプチド(TIP39)のアミノ酸配列である。
【0203】
配列番号12は、39残基の成熟したウシ結節漏斗状ペプチド(TIP39)のアミノ酸配列である。
【0204】
配列番号13は、39残基の成熟したマウス結節漏斗状ペプチドのアミノ酸配列である。
【0205】
配列番号14は、39残基の成熟したヒト結節漏斗状ペプチド(hTIP39)のアミノ酸配列である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
39残基のヒト結節漏斗状ペプチドのヌクレオチド及び推定されるアミノ酸配列を示す。
【図2】
39残基のヒト結節漏斗状ペプチド前駆体(翻訳後修飾の前のもの)及びその相応するマウスの等価物のポリペプチド配列のアラインメントを示す。
【図3】
39残基のヒト結節漏斗状ペプチド及びその相応するラット、マウス及びウシの等価物に相応する、成熟したポリペプチドアミノ酸配列のアラインメント構造を示す。
【図4A】
ラットPTHRを発現しているHEK293細胞上の、39残基のヒト及びマウス結節漏斗状ペプチド、ヒトPTH、及びラットPTHの効果の用量−応答曲線分析を示す。
【図4B】
ヒトPTHRを発現しているHEK293細胞上の、39残基のヒト及びマウス結節漏斗状ペプチド、ヒトPTH、及びラットPTHの効果の用量−応答曲線分析を示す。
【図5A】
ラットPTHRを発現している安定に形質導入されたHEK293細胞上の、アゴニストの用量−応答曲線を示す。
【図5B】
ヒトPTHRを発現している安定に形質導入されたHEK293細胞上の、アゴニストの用量−応答曲線を示す。

Claims (35)

  1. (a)39残基のヒト結節漏斗状ペプチドをコードし、配列番号1に示されるヌクレオチドの配列を含むヌクレオチドの配列
    (b)39残基のヒト結節漏斗状ペプチドをコードし、高いストリンジェンシーの条件下で、配列番号1に示されるヌクレオチドの配列相補体にハイブリダイズし、ヒト細胞由来のmRNAと、DNAである場合は完全に相補するか、RNAである場合は同一であるヌクレオチドの配列
    (c)(a)又は(b)の配列をコードする39残基のヒト結節漏斗状ペプチドで縮重するヌクレオチドの配列
    からなる群から選ばれる39残基のヒト結節漏斗状ペプチドをコードするヌクレオチドの配列を含む、単離された核酸分子。
  2. 39残基のヒト結節漏斗状ペプチドが配列番号1に示されるヌクレオチドの配列によってコードされる、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドのスプライス変異体をコードするコード領域を含む、単離された核酸分子。
  3. 単離された核酸分子がゲノムDNAである、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  4. 単離された核酸分子がmRNAである、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  5. 単離された核酸分子がcDNAである、請求項1に記載の単離された核酸分子。
  6. 配列番号14に示されるアミノ酸配列を持つ、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドをコードする単離された核酸分子。
  7. 細胞が細菌細胞、哺乳類細胞、又は両生類の卵母細胞であり、核酸分子が細胞と異種である、請求項1に記載の核酸分子を含む単離された細胞。
  8. 請求項1に記載の核酸分子によってコードされる単離された39残基のヒト結節漏斗状ペプチド。
  9. 39残基のヒト結節漏斗状ペプチドをコードする組換え発現ベクターを発現する細胞によって生成される、配列番号14に示されるアミノ酸の配列を持つ39残基のヒト結節漏斗状ペプチドを含む、細胞膜プレパラート。
  10. ヌクレオチド配列が配列番号1に示されるヌクレオチドの配列を含み、真核もしくは原核細胞の形質転換株で該ペプチドを発現することを特徴とする、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドをコードするヌクレオチド配列を持つ核酸を含む、組換え発現配列。
  11. 請求項1に記載の組換え発現コンストラクトで形質転換される細胞株。
  12. 宿主細胞における核酸分子の発現を制御する調節ヌクレオチド配列に関連して作動可能であり、請求項2に記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
  13. (a)請求項1に記載の核酸分子を、機能性副甲状腺ホルモン−2受容体(PTH)受容体を発現する適当な宿主細胞に導入し、
    (b)ステップ(a)の細胞における副甲状腺ホルモン−2受容体活性をアッセイすることを含む、39残基の機能性ヒト結節漏斗状ペプチドを同定するための方法。
  14. 配列番号1のヌクレオチド配列を含む標識プローブを用いてcDNAライブラリー又はゲノムライブラリーを探査し、プローブに関して十分な相同性の程度を持つ配列をライブラリーから回収することを含む、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドをコードするDNA配列を同定するための方法。
  15. (a)請求項1に記載の核酸分子を真核細胞に導入し、
    (b)導入された核酸分子によってコードされるポリペプチドによって活性が媒介される、ステップ(a)の細胞における副甲状腺ホルモン−2受容体活性を決定することを含む、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドを同定するための方法。
  16. (a)配列番号1に示される核酸配列の全て又は一部を、核酸配列とメッセンジャーRNAとの複合体を形成することができる条件下で、生物学的試料に接触させ、
    (b)該複合体を検出し、該メッセンジャーRNAのレベルを決定する
    ステップを含む、生物学的試料中の39残基のヒト結節漏斗状ペプチドメッセンジャーRNAを検出するための方法。
  17. (a)試験化合物の非存在下で、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドをコードするDNAで形質転換された真核細胞のセカンドメッセンジャー活性を測定し、それにより第一の測定を得、
    (b)試験化合物の存在下で、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドをコードするDNAで形質転換された真核細胞のセカンドメッセンジャー活性を測定し、それにより第二の測定を得、
    (c)第一及び第二の測定を比較し、第一の測定と第二の測定が異なる結果となる化合物を、真核細胞が機能性ヒト副甲状腺ホルモン−2受容体を発現する39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの活性を調節する試験化合物として同定する
    ことを含むバイオアッセイである、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの活性を調節する試験化合物を同定するためのバイオアッセイ。
  18. (a)第一の時点で、対象からの試料をアッセイし、(i)配列番号1のヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチド及び(ii)配列番号14に示されるアミノ酸配列を持つポリペプチドからなる群から選ばれるパラメーターのレベルを決定し、
    (b)第二の時点で、(a)の中から選ばれるパラメーターのレベルをアッセイし、
    (c)治療計画の効果の判定として、第二の時点での該レベルと(a)で決定されたレベルを比較することを含む、請求項1に記載の単離された核酸分子の遺伝子産物の異常発現により特徴付けられる症状を軽減するために設計された治療計画処置のための方法。
  19. 障害を持つ患者から得られる試料を、配列番号2の配列と実質的に相同であるヌクレオチドの配列を持つ相補核酸ハイブリダイゼーションプローブとインキュベートし、該プローブと該試料中に存在し得る任意の相補mRNAとの結合を、該患者の病的障害の後退、進行、又は始まりの決定因として決定することを含む、機能不全の情報伝達によって特徴付けられる病的障害の後退、進行、又は始まりを決定するための方法。
  20. 試料が組織である、請求項19に記載の方法。
  21. 障害を持つ患者からの試料を、請求項1に記載の単離された核酸分子の遺伝子産物に特異的な検出可能プローブと、その存在が該患者の病的傷害の後退、進行、又は始まりを示すプローブ/遺伝子産物複合体を形成するのに好ましい条件下で、接触させることを含む、機能不全の情報伝達により特徴付けられる病的障害の後退、進行、又は始まりを決定するための方法。
  22. プローブが抗体である、請求項21に記載の方法。
  23. 抗体が放射性標識又は酵素で標識される、請求項22に記載の方法。
  24. 請求項6に記載のポリペプチドを、薬学的に許容できる担体、希釈剤、又は賦形剤と共に含む、医薬組成物。
  25. 病状の始まりを予防又は遅延させるのに十分な有効量のポリペプチドを対象に投与することを含む、その病状の傾向がある対象における請求項6に記載のポリペプチドの減少した又は存在しないレベルを伴う病状の始まりを予防又は遅延させる方法。
  26. 有効量の薬剤を対象に投与し、その投与後に対象におけるポリペプチドのレベルを決定することを含み、ポリペプチドのレベルの正常レベルへの変化が薬剤の効果を示すことを含む、その傾向がある対象において請求項6に記載のポリペプチドの異常なレベルを修正して薬剤の効果をモニターするための方法。
  27. (i)試料とポリペプチドを、ポリペプチドと結合相手が結合するのに好ましい条件下で接触させ、
    (ii)該ポリペプチドと該結合相手の結合を検出することによって、該試料中の結合相手の存在を決定することを含む、結合相手を含むと推測される試料中において請求項6に記載のポリペプチドの結合相手を検出するための方法。
  28. 活性を調節するのに有効量の請求項6に記載のポリペプチドを哺乳類に投与することを含む、哺乳類における副甲状腺ホルモン−2受容体の内因性情報伝達活性を調節するための方法。
  29. (a)ヒト副甲状腺ホルモン−2受容体を発現する細胞系を、試験化合物と、ヒト結節漏斗状ペプチドの存在下及び非存在下で接触させ、
    (b)39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの存在下で、試験化合物が、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの細胞系中の細胞表面受容体への結合を阻害するかどうかを決定し、
    (c)39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの非存在下で、試験化合物が、細胞系上の39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの細胞性作用を模倣するかどうかを決定することを含む、結合を阻害するが細胞系上の39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの細胞の効果を模倣する試験化合物としてアゴニストが同定される、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドのアゴニストをスクリーニング及び同定するための方法。
  30. (a)ヒト副甲状腺ホルモン−2受容体を発現する細胞系を、試験化合物と、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの存在下で接触させ、
    (b)試験化合物が、細胞系上の39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの結合及び細胞性効果を阻害するかどうかを決定することを含む、細胞系上の39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの結合及び細胞の効果の両方を阻害する化合物としてアンタゴニストが同定される、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドのアンタゴニストをスクリーニング及び同定するための方法。
  31. 障害に苦しむと思われる対象からの試料を、配列番号1の発現産物に特異的な抗体と接触させて、抗体と発現産物の結合を、対象における障害の存在可能性の指標として決定することを含む、配列番号1に示される配列と実質的に相同であるヌクレオチド配列を含むcDNAによってコードされる機能不全の39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの発現によって特徴付けられる障害のスクリーニングのための方法。
  32. 対象からの試料を含むcDNA又はmRNAを、配列番号1に示されるヌクレオチド配列を含むcDNA分子とハイブリダイズする核酸ハイブリダイゼーションプローブと接触させて、ハイブリダイゼーションプローブとcDNAもしくはmRNAの結合を、対象における障害の存在可能性の指標として決定することを含む、配列番号1に示される配列と実質的に相同であるヌクレオチドの配列を含むcDNA分子によってコードされる機能不全の39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの発現によって特徴付けられる障害をスクリーニングするための方法。
  33. 請求項30に記載のアンタゴニストを、細胞を含む試料に、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの細胞への結合を阻害するのに十分な量で添加することを含む、39残基のヒト結節漏斗状ペプチドの副甲状腺ホルモン−2受容体を提示する細胞への結合を阻害するための方法。
  34. 請求項6に記載のポリペプチドに特異的である抗体。
  35. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項34に記載の抗体。
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