JP4637378B2 - スクリーニング方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒト精巣およびラット子宮由来の新規レセプター蛋白質であるTGR−1、TGR−1をコードするDNA、TGR−1とニューロメジンU(Minamino, N. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 130, 1078-1085, 1985など)もしくはその誘導体またはその塩を用いることを特徴とする高血圧症、ストレス性疾患などの予防・治療薬または食欲調節剤などのスクリーニング方法などに関する。
【0002】
【従来の技術】
多くのホルモンや神経伝達物質は細胞膜に存在する特異的なレセプターを通じて生体の機能を調節している。これらのレセプターの多くは共役しているguanine nucleotide-binding protein(以下、G蛋白質と略称する場合がある)の活性化を通じて細胞内のシグナル伝達を行い、また7個の膜貫通領域を有する共通した構造をもっていることから、G蛋白質共役型レセプターあるいは7回膜貫通型レセプターと総称される。
このようなホルモンや神経伝達物質とG蛋白質共役型レセプターとの相互作用を通じて生体のホメオスタシスの維持、生殖、個体の発達、代謝、成長、神経系、循環器系、免疫系、消化器系、代謝系の調節、感覚受容などの生体にとって重要な機能調節が行われている。このように生体機能の調節には様々なホルモンや神経伝達物質に対するレセプター蛋白質が存在し、その機能調節に重要な役割を果たしていることがわかっているが、未知の作用物質(ホルモンや神経伝達物質など)およびそれに対するレセプターが存在するかどうかについては未だ不明なことが多い。
近年、G蛋白質共役型レセプター蛋白質がその構造の一部にアミノ酸配列の類似性を示すことを利用して、ポリメラーゼ・チェーン・リアクション(Polymerase Chain Reaction:以下、PCRと略称する)法によって新規レセプター蛋白質をコードするDNAを探索する方法が行われるようになり、数多くの、リガンドが不明ないわゆるオーファンG蛋白質共役型レセプター蛋白質がクローニングされている(Libert, F., et al. Science, 244, 569-572, 1989, Welch, S.K., et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 209, 606-613, 1995, Marchese, A., et al., Genomics, 23, 609-618, 1994, Marchese, A., Genomics, 29, 335-344, 1995)。また、ゲノムDNAあるいはcDNAのランダムな配列決定によっても、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質が次々と見出されている(Nomura, N., et al., DNA Research 1巻、27-35頁、1994年)。これらのオーファンG蛋白質共役型レセプター蛋白質のリガンドを決定する一般的な手段としては、G蛋白質共役型レセプター蛋白質の一次構造上の類似性から推定するしかなかった。しかし、多くのオーファンG蛋白質共役型レセプター蛋白質は既知のレセプターとのホモロジーが低いものが多く、実際は既知リガンドのレセプターサブタイプである場合を除いては一次構造上の類似性だけでそのリガンドを推定することは困難であった。一方、遺伝子解析から多くのオーファンG蛋白質共役型レセプターがみつかっていることから対応する未知のリガンドがまだ数多く存在していることが推定されているが、これまで実際にオーファンG蛋白質共役型レセプターのリガンドを同定した例は数少ない。
一方、ニューロメジンUはラットの子宮平滑筋収縮活性を指標とし、ブタの脊髄より単離・精製されたペプチドで、8アミノ酸残基からなるニューロメジンU-8および25アミノ酸残基からなるニューロメジンU-25の2種が最初に報告されている(Minamino, N. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 130, 1078-1085, 1985)。ニューロメジンU-8の配列はニューロメジンU-25のC末端部分に一致し、その上流にはプロセッシングによって切断を受ける部位によく見られるような塩基性アミノ酸ペアが存在することから、両者は共通の前駆体に由来するものと考えられる。平滑筋収縮作用の他にもニューロメジンUの生理作用は広く知られており、例えば、血圧上昇(Minamino, N. et al.)、内蔵の血流量の低下(Sumi, S. et al., Life Sci. 41, 1585-1590, 1987)、腸管におけるイオン輸送の調節(Brown, D.R. and Quito, F.L., Eur. J. Pharmacol. 155, 159-162, 1988)、皮下投与後のACTHおよびそれに引き続くコルチコステロンの上昇(Malendowicz, L.K. et al., In Vivo, 7, 419-422, 1993)などが報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これまでニューロメジンUのレセプターとして、FM−3が報告されている(WO 00/02918)が、FM−3以外の受容体の存在を探索し、ニューロメジンUの生理的役割をさらに多面的に明らかにし、その機構を活性化、あるいは阻害する化合物をスクリーニングして新たな医薬を開発する必要があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、新規オーファンG蛋白質共役型レセプターであるTGR−1を見出し、該TGR−1発現CHO細胞に対してニューロメジンUが、予想外にも特異的な細胞刺激活性を有することを見出した。これらの知見に基づいてさらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)ニューロメジンUもしくはその誘導体またはその塩および配列番号:1または配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩を用いることを特徴とするニューロメジンUまたはその塩と配列番号:1または配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(2)ニューロメジンUもしくはその誘導体またはその塩および配列番号:1または配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩を含有することを特徴とするニューロメジンUまたはその塩と配列番号:1または配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(3)上記(1)記載のスクリーニング方法または上記(2)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、ニューロメジンUまたはその塩と配列番号:1または配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩、
(4)上記(3)記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(5)肥満症、高血圧症またはストレス性疾患の予防・治療薬である上記(4)記載の医薬、
(6)ニューロメジンUが配列番号:11で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドである上記(1)記載のスクリーニング方法または上記(2)記載のスクリーニング用キット、
(7)配列番号:1または配列番号:21で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とする蛋白質またはその塩、
(8)上記(7)記載の蛋白質をコードするDNAを含有するDNA、
(9)配列番号:2または配列番号:22で表される塩基配列を有する上記(8)記載のDNA、
(10)上記(8)記載のDNAを含有する組換えベクター、
(11)上記(10)記載の組換えベクターで形質転換させた形質転換体、
(12)上記(11)記載の形質転換体を培養し、上記(7)記載の蛋白質を生成せしめることを特徴とする上記(7)記載の蛋白質またはその塩の製造法、および
(13)上記(7)記載の蛋白質またはその塩に対する抗体などを提供するものである。
本発明におけるニューロメジンUに関して、具体的には、上述のニューロメジンUまたはその塩などがあげられるのみならず、
(14)配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14または配列番号:15で表わされるアミノ酸配列を含有する蛋白質(ポリペプチド)であるニューロメジンUもしくはその誘導体またはその塩などがあげられる。
【0006】
また、本発明のニューロメジンUはそのC末端アミノ酸残基のカルボキシル基がアミド体であることが好ましい。
本発明におけるTGR−1とは上述の配列番号:1または配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩のことを意味するが、
(15)配列番号:17で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩、または
(16)配列番号:1、配列番号:17または配列番号:21で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:1、配列番号:17または配列番号:21で表わされるアミノ酸配列に1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が付加した(または挿入された)アミノ酸配列、あるいは配列番号:1、配列番号:17または配列番号:21で表わされるアミノ酸配列で表わされるアミノ酸配列中の1個以上30個以下、好ましくは1個以上10個以下のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩などもTGR−1の具体例としてあげられる。また、より具体的には、配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から4番目(Met)〜415番目(Thr)のアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:17で表されるアミノ酸配列のN末端から4番目(Met)〜415番目(Thr)のアミノ酸配列を含有する蛋白質などもTGR−1の具体例としてあげられる。
【0007】
本発明で用いられるTGR−1またはその塩(以下、単にTGR−1と略称する場合がある)およびニューロメジンUもしくはその誘導体またはその塩(以下、単にニューロメジンUと略称する場合がある)の製造法を以下にさらに詳細に説明する。
本発明で用いられるTGR−1およびニューロメジンUとしては、ヒト、温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ブタ、ヒツジ、ウシ、サル、イヌ、ニワトリなど)、両生類(例えば、カエルなど)および魚類などのあらゆる組織(たとえば、下垂体、膵臓、脳、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管、血管、心臓など)または細胞などに由来する蛋白質((ポリ)ペプチド)であって、TGR−1としては、配列番号:1または配列番号:21、ニューロメジンUとしては配列番号:11で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質((ポリ)ペプチド)であれば如何なるものであってもよい。
例えば、TGR−1としては、配列番号:1または配列番号:21で表されるアミノ酸配列を含有する蛋白質などの他に、配列番号:1または配列番号:21で表される蛋白質と実質的に同質の活性を有する蛋白質などがあげられる。
該「実質的に同一」とは、例えば、リガンド(ニューロメジンU)と受容体(TGR−1)の結合活性、生理的な特性などが、実質的に同じことを意味する。アミノ酸の置換、欠失、付加あるいは挿入はしばしばポリペプチドの生理的な特性や化学的な特性に大きな変化をもたらさないが、こうした場合その置換、欠失、付加あるいは挿入を施された蛋白質((ポリ)ペプチド))(いわゆるニューロメジンU改変体、TGR−1改変体など)は、そうした置換、欠失、付加あるいは挿入のされていないものと実質的に同一であるとされる。該アミノ酸配列中のアミノ酸の実質的に同一な置換物としては、たとえばそのアミノ酸が属するところのクラスのうち他のアミノ酸類から選ぶことができる。非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニンなどがあげられる。極性(中性)アミノ酸としてはグリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンなどがあげられる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としてはアルギニン、リジン、ヒスチジンなどがあげられる。負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などがあげられる。
【0008】
したがって、受容体結合活性の強さなどの強弱、蛋白質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
より具体的には、配列番号:1または配列番号:21で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:1または配列番号:21で表わされるアミノ酸配列と約90%以上、より好ましくは約95%以上、さらに好ましくは約98%以上の相同性を有するアミノ酸配列などがあげられる。
特に、配列番号:1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、部分アミノ酸配列としてLeu-Phe-Val、Trp-Ser-Glu、Val-Phe-PheまたはSer-Met-Hisで表されるアミノ酸配列を含有し、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と約90%以上、より好ましくは約95%以上、さらに好ましくは約98%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが好ましい。
本発明の配列番号:1または配列番号:21で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質としては、例えば、配列番号:1または配列番号:21で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1または配列番号:21で表わされるアミノ酸配列と実質的に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。
特に、本発明の配列番号:1で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質としては、部分アミノ酸配列としてLeu-Phe-Val、Trp-Ser-Glu、Val-Phe-PheまたはSer-Met-Hisで表されるアミノ酸配列を含有し、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同質の活性を有するタンパク質が好ましい。
【0009】
実質的に同質の活性としては、例えば、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などが挙げられる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的に同質であることを示す。したがって、リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性が同等(例、約0.01〜100倍、好ましくは約0.5〜20倍、より好ましくは約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度やタンパク質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性の測定は、自体公知の方法に準じて行なうことができるが、例えば、後述するスクリーニング方法などに従って測定することができる。
また、配列番号:1または配列番号:21で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、▲1▼配列番号:1または配列番号:21で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼配列番号:1または配列番号:21で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、▲3▼配列番号:1または配列番号:21で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または▲4▼それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質なども用いられる。
特に、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、▲1▼部分アミノ酸配列としてLeu-Phe-Val、Trp-Ser-Glu、Val-Phe-PheまたはSer-Met-Hisで表されるアミノ酸配列を含有し、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、▲2▼部分アミノ酸配列としてLeu-Phe-Val、Trp-Ser-Glu、Val-Phe-PheまたはSer-Met-Hisで表されるアミノ酸配列を含有し、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、▲3▼部分アミノ酸配列としてLeu-Phe-Val、Trp-Ser-Glu、Val-Phe-PheまたはSer-Met-Hisで表されるアミノ酸配列を含有し、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または▲4▼それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質などが好ましく用いられる。
また、配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から4番目(Met)〜415番目(Thr)のアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:17で表されるアミノ酸配列のN末端から4番目(Met)〜415番目(Thr)のアミノ酸配列を含有する蛋白質などもTGR−1の具体例としてあげられる。
【0010】
一方、本発明のニューロメジンUとしては、配列番号:11で表わされるアミノ酸配列を含有する(ポリ)ペプチドなどの他に、配列番号:11で表わされるアミノ酸配列を含有する(ポリ)ペプチドと実質的に同質の活性を有する(ポリ)ペプチドなどがあげられる。実質的に同質の活性としては、例えばレセプター結合活性などがあげられる。実質的に同質とは、レセプター結合活性などが性質的に同質であることを示す。したがって、レセプター結合活性の強さなどの強弱、(ポリ)ペプチドの分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
本明細書におけるTGR−1およびニューロメジンUはペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。例えば、配列番号:1もしくは配列番号:21または配列番号:11で表されるアミノ酸配列などを含有する蛋白質または(ポリ)ペプチドはC末端が通常カルボキシル基(-COOH)またはカルボキシレート(-COO-)であるが、C末端がアミド(-CONH2)またはエステル(-COOR)であってもよい。エステルのRとしては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1-6アルキル基、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基、フェニル、α−ナフチルなどのC6-12アリール基、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリルなどのフェニル−C1-2アルキル、もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1-2アルキルなどのC7-14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などがあげられる。
本発明で用いられるニューロメジンUとしてはC末端のカルボキシル基(-COOH)がアミド(-CONH2)であるものが好ましい。
【0011】
本発明で用いられるTGR−1およびニューロメジンUの塩としては、生理学的に許容される塩基(例えばアルカリ金属など)や酸(有機酸、無機酸)との塩が用いられるが、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。このような塩としては例えば無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
本発明で用いられるTGR−1およびニューロメジンUは、公知の方法(例、FEBS Letters 398 (1996) 253-258、WO 96/18651号公報記載の方法)に準じた方法、即ち、ヒトや温血動物の組織または細胞からポリペプチドを精製する方法によって製造することもできるし、後述の蛋白質(ペプチド)合成法に準じて製造することもできる。また、後述する蛋白質(ペプチド)をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによっても製造することができる。
【0012】
ヒト、温血動物、両生類、魚類などの組織または細胞から製造する場合、ヒト、温血動物、両生類、魚類などの組織または細胞をホモジナイズした後、酸、有機溶媒などで抽出を行い、該抽出液を、塩析、透析、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
上記したように本発明で用いられるTGR−1およびニューロメジンUは、自体公知の蛋白質((ポリ)ペプチド)の合成法に従って、あるいはTGR−1および/またはニューロメジンUを含有する蛋白質((ポリ)ペプチド)を適当なペプチダーゼで切断することによって製造することができる。蛋白質((ポリ)ペプチド)の合成法としては、例えば固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、TGR−1および/またはニューロメジンUを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的の蛋白質((ポリ)ペプチド)を製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離としては例えば、以下の▲1▼〜▲5▼に記載された方法があげられる。
▲1▼ M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York (1966年);
▲2▼ SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide), Academic Press, New York (1965年);
▲3▼ 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株) (1975年);
▲4▼ 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タンパク質の化学IV、 205、(1977年);
▲5▼ 矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成 広川書店。
【0013】
また、反応後は通常の精製法、たとえば、溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー・再結晶などを組み合わせて蛋白質((ポリ)ペプチド)を精製単離することができる。上記方法で得られる蛋白質((ポリ)ペプチド)が遊離体である場合は、公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法によって遊離体に変換することができる。
TGR−1およびニューロメジンUのアミド体は、アミド形成に適した市販のペプチド合成用樹脂を用いることができる。そのような樹脂としては例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などをあげることができる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とするペプチドの配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂から蛋白質((ポリ)ペプチド)を切り出すと同時に各種保護基を除去し、必要に応じて高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的の蛋白質((ポリ)ペプチド)を取得する。
上記した保護されたアミノ酸の縮合に関しては、蛋白質((ポリ)ペプチド)合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミド類としてはDCC、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどがあげられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBT、HOOBTなど)とともに保護されたアミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBTエステルあるいはHOOBTエステルとしてあらかじめ保護されたアミノ酸の活性化を行ったのちに樹脂に添加することができる。保護されたアミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、蛋白質((ポリ)ペプチド)縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。たとえばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの酸アミド類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジンなどの三級アミン類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はペプチド結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5ないし4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行うことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化して、後の反応に影響を及ぼさないようにすることができる。
原料アミノ酸のアミノ基の保護基としては、たとえば、Z、Boc、ターシャリーペンチルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどがあげられる。カルボキシル基の保護基としては、たとえばRとして上記したC1-6アルキル基、C3-8シクロアルキル基、C7-14アラルキル基の他、2−アダマンチル、4−ニトロベンジル、4−メトキシベンジル、4−クロロベンジル、フェナシル基およびベンジルオキシカルボニルヒドラジド、ターシャリーブトキシカルボニルヒドラジド、トリチルヒドラジドなどがあげられる。
【0014】
セリンおよびスレオニンの水酸基は、たとえばエステル化またはエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては例えばアセチル基などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭素から誘導される基などがあげられる。また、エーテル化に適する基としては、たとえばベンジル基、テトラヒドロピラニル基、ターシャリーブチル基などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、たとえばBzl、Cl2-Bzl、2−ニトロベンジル、Br-Z、ターシャリーブチルなどがあげられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、Tos、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどがあげられる。
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、たとえば対応する酸無水物、アジド、活性エステル[アルコール(たとえば、ペンタクロロフェノール、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタルイミド、HOBT)とのエステル]などがあげられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、たとえば対応するリン酸アミドなどがあげられる。
保護基の除去(脱離)方法としては、たとえばPd黒あるいはPd炭素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元などもあげられる。上記酸処理による脱離反応は一般に−20℃〜40℃の温度で行われるが、酸処理においてはアニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオールのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護および保護基、ならびにその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の基あるいは公知の手段から適宜選択しうる。
【0015】
TGR−1およびニューロメジンUのアミド体を得る別の方法としては、まず、カルボキシル末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化した後、アミノ基側にペプチド鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いたペプチドとC末端のカルボキシル基の保護基のみを除いたペプチド(またはアミノ酸)とを製造し、この両ペプチドを上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上記と同様である。縮合により得られた保護ペプチドを精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗蛋白質((ポリ)ペプチド)を得ることができる。この粗蛋白質((ポリ)ペプチド)は既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望の蛋白質((ポリ)ペプチド)のアミド体を得ることができる。
TGR−1およびニューロメジンUのエステル体を得るにはカルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、蛋白質((ポリ)ペプチド)のアミド体と同様にして所望の蛋白質((ポリ)ペプチド)のエステル体を得ることができる。
本発明で用いられるニューロメジンUの誘導体としては、▲1▼ニューロメジンUの部分ペプチド、▲2▼ニューロメジンUの構成アミノ酸が欠失したペプチド、構成アミノ酸に他のアミノ酸が付加したペプチド、構成アミノ酸が他のアミノ酸に置換されたペプチド、または▲3▼ニューロメジンU、上記▲1▼記載の部分ペプチドまたは上記▲2▼記載のペプチドが標識化されたものなど、TGR−1との結合能を有するものであれば何れのものであってもよい。
ニューロメジンUの部分ペプチドとして具体的には、配列番号:16で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドもしくはそのアミドもしくはそのエステルまたはその塩などがあげられる。なかでも、配列番号:16で表わされるアミノ酸配列を有するペプチドのC末端のカルボキシル基がアミド化されたものまたはその塩が好ましい。
【0016】
該ニューロメジンUの部分ペプチドは、上述のニューロメジンUを適当なペプチダーゼで切断することによって製造することができるし、上記の蛋白質((ポリ)ペプチド)の合成法に従って製造することができる。ニューロメジンUの部分ペプチドのアミドまたはエステルも上述のアミド体またはエステル体の製造方法に準じて製造することができる。さらにニューロメジンUの部分ペプチドの塩としては、上記のTGR−1およびニューロメジンUの塩と同様のものなどがあげられる。
また、ニューロメジンUの構成アミノ酸が欠失したペプチド、構成アミノ酸に他のアミノ酸が付加したペプチド、構成アミノ酸が他のアミノ酸に置換されたペプチドとしては、配列番号:11で表されるアミノ酸配列中の1個以上3個以下、好ましくは1個または2個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、または、配列番号:11で表されるアミノ酸配列に1個以上3個以下、好ましくは1個または2個のアミノ酸が付加した(または挿入された)アミノ酸配列、あるいは配列番号:11で表されるアミノ酸配列中の1個以上3個以下、好ましくは1個または2個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有するペプチドなどがあげられる。
さらに、構成アミノ酸が欠失したペプチド、構成アミノ酸に他のアミノ酸が付加したペプチド、構成アミノ酸が他のアミノ酸に置換されたペプチドとしては、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14または配列番号:15で表わされるアミノ酸配列中の1個以上3個以下、好ましくは1個または2個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14または配列番号:15で表わされるアミノ酸配列に1個以上3個以下、好ましくは1個または2個のアミノ酸が付加した(または挿入された)アミノ酸配列、あるいは配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:13、配列番号:14または配列番号:15で表わされるアミノ酸配列中の1個以上3個以下、好ましくは1個または2個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を含有するペプチドなどもあげられる。
【0017】
該アミノ酸配列中のアミノ酸の実質的に同一な置換物としては、たとえばそのアミノ酸が属するところのクラスのうち他のアミノ酸類から選ぶことができる。非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニンなどがあげられる。極性(中性)アミノ酸としてはグリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミンなどがあげられる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としてはアルギニン、リジン、ヒスチジンなどがあげられる。負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などがあげられる。
ニューロメジンU、上記▲1▼記載の部分ペプチドまたは上記▲2▼記載のペプチドが標識化されたものとしては、自体公知の方法で、アイソトープラベル化されたもの、蛍光標識されたもの(例えば、フルオレセインなどによる蛍光標識)、ビオチン化されたもの、酵素標識されたものなどがあげられる。
具体的には、例えば公知の方法によって、〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識されたニューロメジンUなどを利用することができる。
ニューロメジンUの誘導体の塩としては、上記のTGR−1およびニューロメジンUの塩と同様のものなどがあげられる。
本発明で用いられるTGR−1をコードするDNAとしては、配列番号:1または配列番号:21で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするDNAを含有するDNA、本発明で用いられるニューロメジンUをコードするDNAとしては、配列番号:11で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドをコードするDNAを含有するDNAであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した組織・細胞由来のcDNA、前記した組織・細胞由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターはバクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した組織・細胞よりRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction (以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
配列番号:1で表されるアミノ酸配列を含有するTGR−1をコードするDNAを含有するDNAとしては、例えば配列番号:2で表される塩基配列を含有するDNAなどがあげられ、配列番号:21で表されるアミノ酸配列を含有するTGR−1をコードするDNAを含有するDNAとしては、例えば配列番号:22で表される塩基配列を含有するDNAなどがあげられ、配列番号:17で表されるアミノ酸配列を含有するTGR−1をコードするDNAを含有するDNAとしては、例えば配列番号:18で表される塩基配列を含有するDNAなどがあげられる。
【0018】
さらに、配列番号:1で表されるアミノ酸配列のN末端から4番目(Met)〜415番目(Thr)のアミノ酸配列を含有するTGR−1をコードするDNAを含有するDNAとしては、例えば配列番号:2で表される塩基配列の5’末端から10番目(A)〜1245番目(C)の塩基配列を含有するDNAをなどがあげられ、配列番号:17で表されるアミノ酸配列のN末端から4番目(Met)〜415番目(Thr)のアミノ酸配列を含有するTGR−1をコードするDNAを含有するDNAとしては、例えば配列番号:18で表される塩基配列の5’末端から10番目(A)〜1245番目(C)の塩基配列を含有するDNAなどがあげられる。
特に、配列番号:1で表されるアミノ酸配列を含有するTGR−1をコードするDNAを含有するDNAとしては、例えば、部分塩基配列として-CTGTTTGTC-(配列番号:2中の第808番目(C)〜第816番目(C)で表される部分塩基配列)、-TGGAGTGAA-(配列番号:2中の第888番目(T)〜第896番目(A)で表される部分塩基配列)、-GTCTTCTTC-(配列番号:2中の第940番目(G)〜第948番目(C)で表される部分塩基配列)または-TCCATGCAC-(配列番号:2中の第1159番目(T)〜第1167番目(C)で表される部分塩基配列)で表される塩基配列を含有し、配列番号:2で表される塩基配列を含有するDNAなどが好ましく用いられる。
より具体的には、(1)ストリンジェントな条件下で、配列番号:1、配列番号:21または配列番号:11で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質または(ポリ)ペプチドをコードするDNAを含有するDNAとハイブリダイズするDNA、(2)遺伝コードの縮重のため、配列番号:1、配列番号:21または配列番号:11で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質または(ポリ)ペプチドをコードするDNAを含有するDNAおよび(1)に定められている配列とハイブリッド形成しないが、同一アミノ酸配列をもつ蛋白質または(ポリ)ペプチドをコードするDNAなどが用いられる。ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるいはそれに準じた方法に従って行うことができる。上記ストリンジェントな条件としては、例えば42℃、50%ホルムアミド、4×SSPE(1×SSPE=150mM NaCl, 10mM NaH2PO4・H2O, 1mM EDTA pH7.4)、5×デンハート溶液、0.1%SDSである。
【0019】
本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUをコードするDNAは以下の遺伝子工学的手法によっても製造することができる。
本発明のTGR−1またはニューロメジンUを完全にコードするDNAのクローニングの手段としては、本発明のポリペプチドの部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いて自体公知のPCR法によって前記DNAライブラリー等から目的とするDNAを増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを例えばTGR−1またはニューロメジンUをコードする塩基配列の一部あるいは全領域を有するDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば Molecular Cloning(2nd ed.;J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行われる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行う。
DNAの塩基配列の変換は、公知のキット、例えば、MutanTM-super Express Km(宝酒造(株))、MutanTM-K(宝酒造(株))等を用いて、ODA-LA PCR法やGapped duplex法やKunkel法等の自体公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って行なうことができる。
クローン化された本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUをコードするDNAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUの発現ベクターは、例えば、(イ)本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUをコードするDNAから目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどが用いられる。用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。
【0020】
形質転換する際の宿主が動物細胞である場合には、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどが利用できる。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、Trpプロモーター、T7プロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADH1プロモーター、GALプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
発現ベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(MTX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amprと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)等があげられる。特に、CHO(dhfr-)細胞を用いてDHFR遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、チミジンを含まない培地によっても選択できる。
また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、ポリペプチドまたはその部分ペプチドのN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、phoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、メイテイングファクターα(MFα)・シグナル配列、インベルターゼ・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場合には、例えばインシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
【0021】
このようにして構築されたTGR−1またはニューロメジンUをコードするDNAを含有するベクターを用いて、形質転換体を製造することができる。
宿主としては、たとえばエシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫または昆虫細胞、動物細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology)〕,120巻,517(1978)〕,HB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティックス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用いられる。
バチルス属菌としては、たとえばバチルス・サチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、たとえばサッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R-,NA87−11A,DKD−5D,20B−12などが用いられる。
昆虫としては、例えばカイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(1985)〕。
昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞またはEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞〔以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィトロ(in Vitro),13巻,213−217頁(1977年)〕などが用いられる。
動物細胞としては、たとえばサルCOS−7細胞,Vero細胞,チャイニーズハムスター細胞CHO,DHFR遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(dhfr-CHO細胞),マウスL細胞,マウス3T3細胞、マウスミエローマ細胞,ヒトHEK293細胞、ヒトFL細胞、293細胞、C127細胞、BALB3T3細胞、Sp−2/O細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌を形質転換するには、たとえばプロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,107(1982)などに記載の方法に従って行なわれる。
バチルス属菌を形質転換するには、たとえばモレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & General Genetics),168巻,111(1979)などに記載の方法に従って行われる。
【0022】
酵母を形質転換するには、たとえばプロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978)に記載の方法に従って行なわれる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、たとえばバイオ/テクノロジー(Bio/Technology),6巻, 47−55頁(1988年)などに記載の方法に従って行なわれる。
動物細胞を形質転換するには、たとえばヴィロロジー(Virology),52巻,456(1973)に記載の方法に従って行なわれる。
発現ベクターの細胞への導入方法としては、例えば、リポフェクション法〔Felgner, P.L. et al. プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proceedings of The National Academy of Sciences of The United States of America),84巻,7413頁(1987年)〕、リン酸カルシウム法〔Graham, F. L. and van der Eb, A. J.ヴィロロジー(Virology),52巻,456−467頁(1973年)〕、電気穿孔法〔Nuemann, E. et al. エンボ・ジャーナル(EMBO J.),1巻,841−845頁(1982年)〕等があげられる。
このようにして、本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUをコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体が得られる。
なお、動物細胞を用いて、本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUを安定に発現させる方法としては、上記の動物細胞に導入された発現ベクターが染色体に組み込まれた細胞をクローン選択によって選択する方法がある。具体的には、上記の選択マーカーを指標にして形質転換体を選択する。さらに、このように選択マーカーを用いて得られた動物細胞に対して、繰り返しクローン選択を行なうことにより本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUの高発現能を有する安定な動物細胞株を得ることができる。また、dhfr遺伝子を選択マーカーとして用いた場合、MTX濃度を徐々に上げて培養し、耐性株を選択することにより、dhfr遺伝子とともに、本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUをコードするDNAを細胞内で増幅させて、さらに高発現の動物細胞株を得ることもできる。
上記の形質転換体を本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUをコードするDNAが発現可能な条件下で培養し、本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUを生成、蓄積せしめることによって、本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUを製造することができる。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、たとえばグルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、たとえばアンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としてはたとえば塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどがあげられる。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0023】
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えばグルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Experiments in Molecular Genetics),431−433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、たとえば3β−インドリルアクリル酸のような薬剤を加えることができる。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行い、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、たとえばバークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505(1980)」や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A. ら、「プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,5330(1984)〕があげられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、Grace's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
【0024】
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、たとえば約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイエンス(Science),122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Journal of The American Medical Association)199巻,519(1967)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of The Society for The Biological Medicine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
特にCHO(dhfr-)細胞およびdhfr遺伝子を選択マーカーとして用いる場合には、チミジンをほとんど含まない透析ウシ胎児血清を含むDMEM培地を用いるのが好ましい。
上記培養物から本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUを分離精製するには、例えば下記の方法により行なうことができる。
本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUを培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUの粗抽出液を得る方法などが適宜用い得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのタンパク変性剤や、トリトンX−100(登録商標。以下、TMと省略することがある。)などの界面活性剤が含まれていてもよい。
培養液中に本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUが分泌される場合には、培養終了後、自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。
このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUの精製は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法やクロマトフォーカシングなどの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
かくして得られる本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUが遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、組換え体が産生する本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUを、精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、蛋白質((ポリ)ペプチド)を部分的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。またN末端アミノ酸を欠失させるためには、エドマン(Edman)試薬(フェニルイソチオシアネート)を用いた公知のエドマン法を用いることが可能である。
かくして生成する本発明で用いられるTGR−1またはニューロメジンUの存在は特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
【0025】
ニューロメジンUおよびTGR−1を用いることを特徴とするニューロメジンとTGR−1との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法またはニューロメジンUおよびTGR−1を含有することを特徴とするニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット(以下、本発明のスクリーニング方法、本発明のスクリーニング用キットと略記する場合がある)について以下に詳述する。
TGR−1を用いるか、または組換え型TGR−1の発現系を構築し、該発現系を用いたニューロメジンUとの結合アッセイ系(リガンド・レセプターアッセイ系)を用いることによって、ニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる化合物(例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物など)またはその塩をスクリーニングすることができる。
このような化合物には、TGR−1を介して細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの変化などを促進する活性など)を有する化合物(即ちTGR−1アゴニスト)と該細胞刺激活性を有しない化合物(即ちTGR−1アンタゴニスト)などが含まれる。
また、「ニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる」とは、ニューロメジンUとTGR−1との結合を阻害する場合と結合を促進する(結合時間を長くする)場合の両方を包含するものである。
すなわち、本発明は、(i)TGR−1に、ニューロメジンUを接触させた場合と(ii)上記したTGR−1に、ニューロメジンUおよび試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴とするニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法などに関する。
本発明のスクリーニング方法においては、(i)上記したTGR−1に、ニューロメジンUを接触させた場合と(ii)上記したTGR−1に、ニューロメジンUおよび試験化合物を接触させた場合における、例えば該TGR−1に対するリガンドの結合量、細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの変化などを促進する活性など)などを測定して、比較する。
【0026】
本発明のスクリーニング方法は具体的には、
▲1▼上記のニューロメジンの誘導体として表される標識したニューロメジンU(以下、単に「標識したニューロメジンU」とする)を、上記したTGR−1に接触させた場合と、標識したニューロメジンUおよび試験化合物をTGR−1に接触させた場合における、標識したニューロメジンUの該TGR−1に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
▲2▼標識したニューロメジンUを、TGR−1を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、標識したニューロメジンUおよび試験化合物をTGR−1を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、標識したニューロメジンUの該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
▲3▼標識したニューロメジンUを、TGR−1をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したTGR−1に接触させた場合と、標識したニューロメジンUおよび試験化合物をTGR−1をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したTGR−1に接触させた場合における、標識したニューロメジンUのTGR−1に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
▲4▼TGR−1を活性化する化合物(例えば、ニューロメジンU)をTGR−1を含有する細胞に接触させた場合と、TGR−1を活性化する化合物および試験化合物をTGR−1を含有する細胞に接触させた場合における、TGR−1を介した細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの変化などを促進する活性など)を測定し、比較することを特徴とするニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、および
▲5▼TGR−1を活性化する化合物(例えば、ニューロメジンUなど)をTGR−1をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したTGR−1に接触させた場合と、TGR−1を活性化する化合物および試験化合物を、TGR−1をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したTGR−1に接触させた場合における、TGR−1を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの変化などを促進する活性など)を測定し、比較することを特徴とするニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法などである。
【0027】
本発明に用いられるニューロメジンUは、オーファンレセプター蛋白質であるFM−3(Tan, C.P. et al., Genomics 52, 223-229, 1998)に対してもリガンド活性を有することが知られている(WO 00/02919)ため、上記▲1▼〜▲5▼における活性をTGR−1の代わりにFM−3を用いることによって測定し、ニューロメジンUとFM−3との結合性を変化させる化合物またはその塩(FM−3アンタゴニスト、FM−3アゴニスト)をスクリーニングすることが可能である。
従って、本発明に記載のスクリーニング方法によって得られるTGR−1アンタゴニスト、TGR−1アゴニストの活性と、TGR−1の代わりにFM−3を用いることにより、本発明の記載のスクリーニング方法またはそれに準じた方法によって得られるFM−3アンタゴニスト、FM−3アゴニストの活性とを比較することによって、FM−3により選択的な活性を有するアンタゴニストもしくはアゴニスト、またはTGR−1により選択的な活性を有するアンタゴニストもしくはアゴニストを得ることができる。
ここで、「FM−3により選択的な作用を有するアンタゴニスト」とはFM−3に対する活性(受容体(TGR−1、FM−3)を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの変化などを促進する活性など)など)がTGR−1に対する活性に対して2倍以上、好ましくは10倍以上弱い化合物またはその塩のことをいう。
「FM−3により選択的な作用を有するアゴニスト」とはFM−3に対する活性(受容体(TGR−1、FM−3)を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの変化などを促進する活性など)など)がTGR−1に対する活性に対して2倍以上、好ましくは10倍以上強い化合物またはその塩のことをいう。
「TGR−1により選択的な作用を有するアンタゴニスト」とはTGR−1に対する活性(受容体(TGR−1、FM−3)を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの変化などを促進する活性など)など)がFM−3に対する活性に対して2倍以上、好ましくは10倍以上弱い化合物またはその塩のことをいう。
「TGR−1により選択的な作用を有するアゴニスト」とはTGR−1に対する活性(受容体(TGR−1、FM−3)を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの変化などを促進する活性など)など)がFM−3に対する活性に対して2倍以上、好ましくは10倍以上強い化合物またはその塩のことをいう。
【0028】
本発明のスクリーニング方法の具体的な説明を以下にする。
まず、本発明のスクリーニング方法に用いるTGR−1としては、上記のTGR−1を含有するものであれば何れのものであってもよいが、ヒト、温血動物、両生類、魚類などの臓器の膜画分などが好適である。しかし、特にヒト由来の臓器は入手が極めて困難なことから、スクリーニングに用いられるものとしては、組換え体を用いて大量発現させたTGR−1などが適している。
TGR−1を製造するには、前述の方法などが用いられる。
本発明のスクリーニング方法において、TGR−1を含有する細胞あるいは該細胞膜画分などを用いる場合、後述の調製法に従えばよい。
TGR−1を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法はそれ自体公知の方法に従って行うことができる。
TGR−1を含有する細胞としては、TGR−1を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、前述の大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などがあげられる。
膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などがあげられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したTGR−1と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
該TGR−1を含有する細胞や膜画分中のTGR−1の量は、1細胞当たり103〜108分子であるのが好ましく、105〜107分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
ニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる化合物またはその塩をスクリーニングする前記の▲1▼〜▲3▼を実施するためには、適当なTGR−1画分と、標識したリガンドまたはリガンド活性を有する化合物(ニューロメジンU、その誘導体など)が用いられる。TGR−1画分としては、天然型のTGR−1画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型TGR−1画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性などを示す。標識したリガンドまたはリガンド活性を有する化合物としては、標識したリガンドまたはリガンド活性を有する化合物(ニューロメジンU、その誘導体など)などが用いられる。例えば〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識されたリガンド(ニューロメジンU誘導体として表されるニューロメジンUの標識体)などを利用することができる。
具体的には、ニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる化合物のスクリーニングを行うには、まずTGR−1を含有する細胞または細胞の膜画分を、スクリーニングに適したバッファーに懸濁することによりレセプター標品を調製する。バッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガンドとレセプターとの結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるTGR−1やニューロメジンUの分解を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。0.01ml〜10mlの該レセプター溶液に、一定量(5000cpm〜500000cpm)の標識したニューロメジンU(ニューロメジンU誘導体として表されるニューロメジンUの標識体)を添加し、同時に10-4〜10-1μMの試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識のニューロメジンUを加えた反応チューブも用意する。反応は0℃から50℃、望ましくは4℃から37℃で20分から24時間、望ましくは30分から3時間行う。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで計測する。拮抗する物質がない場合のカウント(B0)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B0−NSB)を100%とした時、特異的結合量(B−NSB)が例えば80%以下になる試験化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。
【0029】
また、TGR−1とニューロメジンUとの結合を測定する方法として、BIAcore(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用いることもできる。この方法では、ニューロメジンUを装置に添付のプロトコルに従ったアミノカップリング法によってセンサーチップに固定し、TGR−1を含有する細胞またはTGR−1をコードするDNAを含有する形質変換体から精製したTGR−1またはTGR−1を含む膜画分、あるいは精製したTGR−1またはTGR−1を含む膜画分および試験化合物を含むリン酸バッファーまたはトリスバッファーなどの緩衝液をセンサーチップ上を毎分2−20μlの流量で通過させる。センサーチップ上のニューロメジンUとTGR−1とが結合することによって生じる表面プラズモン共鳴の変化を共存する試験化合物が変化させることを観察することによってTGR−1とニューロメジンUとの結合を変化させる化合物のスクリーニングを行なうことができる。この方法は、TGR−1をセンサーチップに固定し、ニューロメジンUおよび試験化合物を含むリン酸バッファーまたはトリスバッファーなどの緩衝液をセンサーチップ上を通過させる方法を用いても同様に測定することができる。試験化合物としては、上記と同様のものなどがあげられる。
ニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする前記の▲4▼〜▲5▼の方法を実施するためには、TGR−1を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。具体的には、まず、TGR−1を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。スクリーニングを行うにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
細胞刺激活性を測定してスクリーニングを行なうには、適当なTGR−1を発現した細胞が用いられる。本発明のTGR−1を発現した細胞としては、前述の組換え型TGR−1発現細胞株などが望ましい。形質変換体であるTGR−1発現細胞は安定発現株でも一過性発現株でも構わない。また、動物細胞の種類は上記と同様のものが用いられる。
【0030】
試験化合物としては、例えばペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などがあげられる。
上記のリガンド・レセプターアッセイ系について、さらに具体的に記載すると以下のようなアッセイ系が用いられる。
(1)受容体発現細胞が受容体アゴニストによって刺激されると細胞内のGタンパクが活性化されてGTPが結合する。この現象は受容体発現細胞の膜画分においても観察される。通常、GTPは加水分解されてGDPへと変化するが、このとき反応液中にGTPγSを添加しておくとGTPγSはGTPと同様にGタンパクに結合するが、加水分解されずにGタンパクを含む細胞膜に結合した状態が維持される。標識したGTPγSを用いると細胞膜に残存した放射活性を測定することによって受容体アゴニストの受容体発現細胞刺激活性を測定することができる。この反応を利用してニューロメジンUのTGR−1発現細胞に対する刺激活性を測定することができる。この方法は、前記▲4▼〜▲5▼のようにTGR−1を含む細胞を用いるものではなく、▲1▼〜▲3▼のようにTGR−1を含む膜画分を用いるアッセイ法であるが、▲4▼〜▲5▼のように細胞刺激活性を測定するものであり、本測定法においてTGR−1膜画分へのGTPγS結合促進活性を示す物質はアゴニストである。ここにおいて、ニューロメジンUあるいはニューロメジンUおよび試験化合物を添加し、ニューロメジンUの単独投与に比べてTGR−1細胞膜画分へのGTPγS結合促進活性に変化が生じることを観察することによってニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる化合物をスクリーニングすることができる。このとき、ニューロメジンUによるTGR−1細胞膜画分へのGTPγS結合促進活性を抑制する活性を示す化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。一方、試験化合物のみを投与し、TGR−1細胞膜画分へのGTPγS結合促進活性を観察することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
スクリーニング法の一例についてより具体的に以下に述べる。上述の方法によって調製したTGR−1を含む細胞膜画分を、膜希釈緩衝液(50 mM Tris, 5 mM MgCl2, 150 mM NaCl, 1 μM GDP, 0.1% BSA pH 7.4)で希釈する。希釈率は、受容体の発現量により異なる。これをFalconb 2053に0.2mlずつ分注し、ニューロメジンUあるいはニューロメジンUおよび試験化合物を加え、さらに終濃度200 pMとなるように[35S]GTPγSを加える。25℃で1時間保温した後、氷冷した洗浄用緩衝液(50 mM Tris, 5 mM MgCl2, 150 mM NaCl, 0.1% BSA , 0.05% CHAPS pH 7.4 1.5ml)を加えて、ガラス繊維ろ紙GF/Fでろ過する。65℃、30分保温して乾燥後、液体シンチレーションカウンターでろ紙上に残った膜画分に結合した[35S]GTPγSの放射活性を測定する。ニューロメジンUのみを加えた実験区の放射活性を100%、ニューロメジンUを加えなかった実験区の放射活性を0%とし、ニューロメジンUによるGTPγS結合促進活性に対する試験化合物の影響を算出する。GTPγS結合促進活性が例えば80%以下になる試験化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。
【0031】
(2)TGR−1発現細胞はニューロメジンU刺激によって細胞内cAMP量が減少する場合、この反応を利用してニューロメジンUのTGR−1発現細胞に対する刺激活性を測定することができる。
TGR−1を発現させた種々の動物細胞のcAMP産生量はマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウシなどを免疫して得られた抗cAMP抗体と125I標識cAMP(ともに市販品)を使用することによってRIAあるいは抗cAMP抗体と標識cAMPとを組み合わせた他のEIA系でも測定することができる。また抗cAMP抗体をprotein Aあるいは抗cAMP抗体産生に用いた動物のIgGなどに対する抗体などを使用して固定したシンチラントを含むビーズと125I標識cAMPとを使用するSPA法による定量も可能である(アマシャムファルマシアバイオテク製のキットなどを使用する)。
本方法において、フォルスコリンまたはカルシトニンなど細胞内cAMP量を増加させるようなリガンドなどによって細胞内cAMP量を上昇させ、ニューロメジンUまたはニューロメジンUおよび試験化合物を添加することによってニューロメジンUの単独投与による細胞内cAMP量の抑制が変化することを観察し、ニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物のスクリーニングを行なうことができる。このとき、ニューロメジンUによるTGR−1発現細胞のcAMP産生抑制活性を阻害する活性を示す化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。一方、試験化合物のみを添加してcAMP産生抑制活性を調べることによりアゴニスト活性を示す化合物のスクリーニングを行なうことができる。
スクリーニング法をより具体的に以下に記載する。TGR−1受容体を発現させたCHO細胞を24穴プレートに5 x 104 cell/wellで播種し、48時間培養する。細胞を0.2mM 3−イソブチル−メチルキサンチンと0.05% BSAと20mM HEPESを含むハンクスバッファー(pH7.4)で洗浄する(以下、0.2mM 3−イソブチル−メチルキサンチンと0.05% BSAと20mM HEPESを含むハンクスバッファー(pH7.4)を、反応用バッファーと呼ぶ)。その後0.5mlの反応用バッファーを加えて30分間培養器で保温する。反応用バッファーを除き、新たに0.25mlの反応用バッファーを細胞に加えた後、2μMフォルスコリンを含む0.25mlの反応用バッファーに1 nMのニューロメジンUあるいは1 nMのニューロメジンUおよび試験化合物を添加したものを細胞に加え、37℃で24分間反応させる。100μlの20%過塩素酸を加えて反応を停止させ、次に氷上で1時間置くことにより細胞内cAMPを抽出する。抽出液中のcAMP量は、cAMP EIAキット(アマシャムファルマシアバイオテク)を用いて測定する。フォルスコリン刺激によって産生されたcAMP量を100%とし、1 nMのニューロメジンUの添加によって抑制されたcAMP量を0%として、ニューロメジンUによるcAMP産生抑制活性に対する試験化合物の影響を算出する。ニューロメジンUの活性を阻害してcAMP産生活性が例えば80%以下になる試験化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。
cAMP産生促進活性を測定するには、フォルスコリンを添加せずにTGR−1受容体を発現させたCHO細胞に試験化合物を添加して産生されたcAMPを上記の方法で定量する。この場合は、cAMPの産生活性が例えば10%以上の試験化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。
【0032】
(3)CRE(cAMP response element)を含むDNAを、ピッカジーン ベイシックベクターまたはピッカジーン エンハンサーベクター(東洋インキ製造(株))のルシフェラーゼ遺伝子上流のマルチクローニングサイトに挿入し、これをCRE−レポーター遺伝子ベクターとする。CRE−レポーター遺伝子ベクターをトランスフェクションした細胞において、cAMP上昇を伴う刺激は、 CREを介したルシフェラーゼ遺伝子発現とそれに引き続くルシフェラーゼタンパク質の産生を誘導する。つまり、ルシフェラーゼ活性を測定することにより、 CRE−レポーター遺伝子ベクター導入細胞内のcAMP量の変動を検出することができる。CRE−レポーター遺伝子ベクターをTGR−1発現細胞にトランスフェクションした細胞を利用してニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物のスクリーニングを行なうことができる。具体的なスクリーニング法を以下に記す。
CRE−レポーター遺伝子導入TGR−1発現細胞を24穴プレートに5 x 103 cell/wellで播種し、48時間培養する。細胞を0.2mM 3−イソブチル−メチルキサンチンと0.05% BSAと20mM HEPESを含むハンクスバッファー(pH7.4)で洗浄する(以下、0.2mM 3−イソブチル−メチルキサンチンと0.05% BSAと20mM HEPESを含むハンクスバッファー(pH7.4)を、反応用バッファーと呼ぶ)。その後0.5mlの反応用バッファーを加えて30分間培養器で保温する。反応用バッファーを除き、新たに0.25mlの反応用バッファーを細胞に加えた後、1 nMのニューロメジンUあるいは1 nMのニューロメジンUおよび試験化合物と2μMフォルスコリンを含む0.25mlの反応用バッファーを細胞に加え、37℃で24分間反応させる。細胞をピッカジーン用細胞溶解剤(東洋インキ製造(株))で溶かし、溶解液に発光基質(東洋インキ製造(株))を添加する。ルシフェラーゼによる発光は、ルミノメーター、液体シンチレーションカウンターまたはトップカウンターにより測定する。 ニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物の影響はルシフェラーゼによる発光量をニューロメジンUを単独で投与した場合と比較することによって測定することができる。このとき、ニューロメジンUの投与によりフォルスコリン刺激による発光量の増加が抑制されるが、この抑制を回復させる化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。一方、試験化合物のみを投与し、フォルスコリン刺激によって上昇した発光量のニューロメジンUと同様な抑制を観察することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
レポーター遺伝子として、ルシフェラーゼ以外に例えばアルカリフォスファターゼ、クロラムフェニコール アセチルトランスフェラーゼあるいはβ−ガラクトシダーゼを用いることもできる。これらのレポーター遺伝子の遺伝子産物の酵素活性は以下のように市販の測定キットを用いて容易に測定することができる。アルカリフォスファターゼ活性は、例えば和光純薬製Lumi-Phos 530によって、クロラムフェニコール アセチルトランスフェラーゼ(chloramphenicol acetyltransferase)活性は、例えば和光純薬製FAST CAT chrolamphenicol acetyltransferase assay kitによって、β−ガラクトシダーゼ活性は、例えば和光純薬製Aurora Gal-XEによって測定することができる。
【0033】
(4)TGR−1発現細胞がニューロメジンU刺激によってアラキドン酸代謝物を細胞外に放出する場合、あらかじめ、放射活性を有するアラキドン酸を細胞に取り込ませておくことによって、この活性を細胞外に放出された放射活性を測定することによって測定することができる。このとき、ニューロメジンUあるいはニューロメジンUおよび試験化合物を添加して、ニューロメジンUのアラキドン酸代謝物放出活性に対する影響を調べることにより、ニューロメジンUとTGR−1の結合に影響を与える化合物のスクリーニングを行なうことができる。このとき、ニューロメジンUによるアラキドン酸代謝物放出活性を阻害する化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。また、試験化合物のみを添加し、TGR−1発現細胞のアラキドン酸代謝物放出活性を調べることによりアゴニスト活性を示す化合物のスクリーニングを行なうこともできる。
ニューロメジンUとTGR−1の結合に影響を与える化合物のスクリーニング法より具体的に以下に述べる。
TGR−1受容体を発現させたCHO細胞を24穴プレートに5 x 104 cell/wellで播種し、24時間培養後、[3H]アラキドン酸を0.25 μCi/wellとなるよう添加する。[3H]アラキドン酸添加16時間後、細胞を0.05% BSAと20mM HEPESを含むハンクスバッファー(pH7.4)で洗浄し、各wellに0.05% BSAと20mM HEPESを含むハンクスバッファー(pH7.4)に溶解した終濃度10 nMのニューロメジンUあるいは10 nMのニューロメジンUおよび試験化合物を含むバッファー500 μlを添加する。以降、0.05% BSAと20mM HEPESを含むハンクスバッファー(pH7.4)を反応用バッファーと呼ぶ。37℃で60分間インキュベートした後に、反応液400 μlをシンチレーターに加え、反応液中に遊離した[3H]アラキドン酸代謝物の量をシンチレーションカウンターにより測定する。ニューロメジンUの非添加反応バッファーによる培地中の[3H]アラキドン酸代謝物の量を0%とし、10 nMのニューロメジンUを添加したときのたときの培地中の[3H]アラキドン酸代謝物の量を100%として試験化合物のニューロメジンUとTGR−1の結合に対する影響を算出する。アラキドン酸代謝物産生活性が例えば50%以下になる試験化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。
【0034】
(5)TGR−1発現細胞をニューロメジンUによって刺激することによって細胞内のCa2+濃度が上昇する場合、これを利用することによってニューロメジンUとTGR−1の結合に対する試験化合物の影響を調べることができる。
TGR−1発現細胞を、滅菌した顕微鏡用カバーグラス上に播き、2日後、培養液を4 mM Fura-2 AM(同仁化学研究所)を縣濁したHBSSに置換し、室温で2時間30分おく。HBSSで洗浄した後、キュベットにカバーグラスをセットし、蛍光測定器で、ニューロメジンUあるいはニューロメジンUおよび試験化合物を加えたときの励起波長340nm及び380nmでの505nmの蛍光強度の比の上昇を測定する。このとき、ニューロメジンUを単独で投与したときに比べて試験化合物の添加によって生じる蛍光強度の変化を測定することによりニューロメジンUとTGR−1の結合に対して影響を与える化合物のスクリーニングを行なうことができる。また、以下のようにFLIPR(モレキュラーデバイス社製)を使うこともできる。すなわち、細胞縣濁液にFluo-3 AM(同仁化学研究所製)を添加し、細胞に取り込ませた後、上清を遠心により数度洗浄後、96穴プレートに細胞を播く。FLIPR装置にセットし、Fura-2 AMの場合と同様にニューロメジンUあるいはニューロメジンUおよび試験化合物を加え、ニューロメジンUを単独で投与したときに比べて試験化合物の添加によって観測される蛍光強度が変化することを測定することにより、ニューロメジンUとTGR−1の結合に対して影響を与える化合物のスクリーニングを行なうことができる。これらにおいて、ニューロメジンUによる蛍光強度の上昇を抑制する化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。一方、試験化合物のみの添加による蛍光強度の上昇を観察することによってアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
TGR−1発現細胞にaequorinなどのように細胞内Caイオンの上昇によって発光するようなタンパク質の遺伝子を共発現させておき、細胞内Caイオン濃度の上昇によってaequorinがCa結合型となり発光することを利用して、ニューロメジンUあるいはニューロメジンUおよび試験化合物を加え、ニューロメジンUを単独で投与したときに比べて試験化合物の添加によって観測される発光強度が変化することを測定することにより、ニューロメジンUとTGR−1の結合に対して影響を与える化合物のスクリーニングを行なうことができる。方法は、蛍光物質を取り込ませないこと以外は上記と同様である。
【0035】
(6)受容体を発現する細胞に受容体アゴニストを添加すると、細胞内イノシトール三リン酸濃度が上昇することが知られている。ニューロメジンUによって生じるTGR−1細胞におけるこの反応を観察することによりニューロメジンUとTGR−1の結合に影響を与える化合物のスクリーニングを行なうことができる。24穴プレートに播いて1日目の細胞にmyo-[2-3H]inositol (2.5マイクロCi/well)を添加した培地中で1日培養した細胞を、よく洗浄後、ニューロメジンUあるいはニューロメジンUおよび試験化合物を添加した後、10%過塩素酸を加え反応を止める。1.5 M KOH, 60mM HEPES溶液で中和し、0.5mlのAG1x8樹脂 (Bio-Rad)を詰めたカラムに通し、5mM Na2BO3 60mM HCOONH4で洗浄した後、1M HCOONH4 0.1M HCOOHで溶出した放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定する。ニューロメジンUの非添加反応バッファーによる培地中の放射活性を0%とし、ニューロメジンUを添加したときの培地中の放射活性を100%として試験化合物のニューロメジンUとTGR−1の結合に対する影響を算出する。イノシトール三リン酸産生活性が例えば50%以下になる試験化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。一方、試験化合物のみの添加によるイノシトール三リン酸産生上昇を観察することによってアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
【0036】
(7)TRE(TPA response element)を含むDNAを、ピッカジーン ベイシックベクターまたはピッカジーン エンハンサーベクター(東洋インキ製造(株))のルシフェラーゼ遺伝子上流のマルチクローニングサイトに挿入し、これをTRE−レポーター遺伝子ベクターとする。TRE−レポーター遺伝子ベクターをトランスフェクションした細胞において、細胞内Ca2+上昇を伴う刺激は、TREを介したルシフェラーゼ遺伝子発現とそれに引き続くルシフェラーゼタンパク質の産生を誘導する。つまり、ルシフェラーゼ活性を測定することにより、TRE−レポーター遺伝子ベクター導入細胞内のカルシウム量の変動を検出することができる。 TRE−レポーター遺伝子ベクターをTGR−1発現細胞にトランスフェクションした細胞を利用したニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物の具体的なスクリーニング法を以下に記す。
TRE−レポーター遺伝子導入TGR−1発現細胞を24穴プレートに5 x 103 cell/wellで播種し、48時間培養する。細胞を0.05% BSAと20mM HEPESを含むハンクスバッファー(pH7.4)で洗浄した後、10 nMのニューロメジンUあるいは10 nMのニューロメジンUおよび試験化合物を添加し、37℃で60分間反応させる。細胞をピッカジーン用細胞溶解剤(東洋インキ製造(株))で溶かし、溶解液に発光基質(東洋インキ製造(株))を添加する。ルシフェラーゼによる発光は、ルミノメーター、液体シンチレーションカウンターまたはトップカウンターにより測定する。ニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物の影響は、ルシフェラーゼによる発光量をニューロメジンUを単独で投与した場合と比較することによって測定することができる。このとき、ニューロメジンUの投与により細胞内Ca2+の上昇によって発光量が増加するが、この増加を抑制する化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。一方、試験化合物のみを投与し、ニューロメジンUと同様な発光量の増加を観察することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
レポーター遺伝子として、ルシフェラーゼ以外に例えばアルカリフォスファターゼ、クロランフェニコール アシルトランスフェラーゼあるいはβ−ガラクトシダーゼを用いることもできる。これらのレポーター遺伝子の遺伝子産物の酵素活性は以下のように市販の測定キットを用いて容易に測定することができる。アルカリフォスファターゼ活性は、例えば和光純薬製Lumi-Phos 530によって、クロラムフェニコール アセチルトランスフェラーゼ(chloramphenicol acetyltransferase)活性は、例えば和光純薬製FAST CAT Chrolamphenicol Acetyltransferase Assay Kitによって、β−ガラクトシダーゼ活性は、例えば和光純薬製Aurora Gal-XEによって測定することができる。
【0037】
(8)ニューロメジンUに応答したTGR−1発現細胞についてMAP kinase活性化によって増殖が観察される場合、この増殖をMAP kinase活性、チミジン取り込み、細胞数測定(MTTなど)によって測定することができる。これを利用してニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物のスクリーニングを行なうことができる。
MAP kinase活性は、ニューロメジンUあるいはニューロメジンUおよび試験化合物を細胞に添加した後、細胞溶解液から抗MAP kinase抗体を用いた免疫沈降によってMAP kinase分画を得た後、例えば和光純薬製MAP Kinase Assay Kitとγ-[32P]-ATPを使用して容易に測定できる。チミジン取り込み活性は、TGR−1発現細胞を播き、ニューロメジンUあるいはニューロメジンUおよび試験化合物を添加した後、[methyl-3H]-チミジンを加え、その後、細胞内に取り込まれた標識チミジンの放射活性を細胞を溶解して液体シンチレーションカウンターで計数することによって測定することができる。
TGR−1発現細胞の増殖は、発現細胞を播き、ニューロメジンUあるいはニューロメジンUおよび試験化合物を添加した後にMTT (3-(4,5-dimethyl-2-thiazolyl)-2,5-diphenyl-2H-tetrazolium bromide) を添加し、細胞内に取り込まれてMTTが変化したMTTホルマザンを塩酸酸性としたイソプロパノールで細胞を溶解した後、570 nmの吸収を測定することによっても測定できる。
ニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物の、標識チミジン取り込み活性を利用した具体的なスクリーニング法を以下に記す。
TGR−1発現細胞を24穴プレートにウェル当たり5000個まき一日間培養する。次に血清を含まない培地で2日間培養し、細胞を飢餓状態にする。ニューロメジンUあるいはニューロメジンUおよび試験化合物を細胞に添加して24時間培養した後、[methyl-3H]-チミジンをウェル当たり0.015MBq添加し6時間培養する。細胞をPBS(−)で洗った後、メタノールを添加して10分間放置する。次に5%トリクロロ酢酸を添加して15分間放置後、固定された細胞を蒸留水で4回洗う。0.3N水酸化ナトリウム溶液で細胞を溶解し、溶解液中の放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定する。ニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物の影響は、チミジン取り込みによる放射活性の上昇をニューロメジンUを単独で投与した場合と比較することによって測定することができる。このとき、ニューロメジンUの投与による放射活性の増加を抑制する化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。一方、試験化合物のみを投与し、ニューロメジンUと同様な放射活性の増加を観察することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
【0038】
(9)TGR−1発現細胞にニューロメジンUを添加すると、K channelが活性化し、細胞内にあるKイオンが、細胞外に流出する場合、Kイオンと同族元素であるRbイオンは、Kイオンと区別無くK channelを通って細胞外に流出するので、細胞に標識Rb ([86Rb])を添加して取り込ませておいた後、ニューロメジンUの刺激によって流出する[86Rb]の流れを測定することでニューロメジンUの作用を測定できる。ニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物の、[86Rb]流出活性を利用した具体的なスクリーニング法を以下に記す。
24穴にまいて2日後のTGR−1発現細胞を1mCi/ml の86RbClを含む培地中で2時間保温する。培地をよく洗浄し、外液中の86RbClを完全に除く。ニューロメジンUあるいはニューロメジンUおよび試験化合物を細胞に添加して30分後の外液を回収し、γカウンターで放射活性を測定する。ニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物の影響は、[86Rb]流出による放射活性の上昇をニューロメジンUを単独で投与した場合と比較することによって測定することができる。このとき、ニューロメジンUの投与による放射活性の上昇を抑制する化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。一方、試験化合物のみを投与し、ニューロメジンUと同様な放射活性の上昇を観察することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
【0039】
(10)TGR−1発現細胞がニューロメジンUに反応して変化する細胞外のpH(acidification rate)をサイトセンサー装置(モレキュラーデバイス社)を使用して測定することによって、ニューロメジンUの活性を測定することができる。サイトセンサー装置を利用した、細胞外pH変化の測定をすることによるニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物の具体的なスクリーニング法を以下に記す。
TGR−1発現細胞をサイトセンサー装置用のカプセル内で終夜培養し、装置のチャンバーにセットして細胞外pHが安定するまで約2時間0.1% BSAを含むRPMI1640培地(モレキュラーデバイス社製)を灌流させる。pHが安定した後、ニューロメジンUあるいはニューロメジンUおよび試験化合物を含む培地を細胞上に灌流させることによって生じる培地のpH変化を測定する。ニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物の影響は、TGR−1発現細胞の細胞外pH変化をニューロメジンUを単独で投与した場合と比較することによって測定することができる。このとき、ニューロメジンUの投与による細胞外pH変化を抑制する化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。一方、試験化合物のみを投与し、ニューロメジンUと同様な細胞外pH変化を観察することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
【0040】
(11)酵母(Saccharomyces cerevisiae)のhaploidα-mating Type (MATα) の性フェロモン受容体STe2はG蛋白Gpa1とカップルしており、性フェロモンα-mating factorに応答してMAP kinaseを活性化し、以下、Far1 (cell-cycle arrest) および転写活性化因子Ste12が活性化される。Ste12は接合に関与するFUS1を含む種々の蛋白の発現を誘導する。一方、制御因子Sst2は以上の過程に抑制的に機能する。この系において、受容体遺伝子を導入した酵母を作製し、受容体アゴニスト刺激によって酵母細胞内のシグナル伝達系を活性化し、その結果生じる増殖などの指標を用いた、受容体アゴニストと受容体との反応の測定系の試みが行なわれている(Pausch, M. H., Trends in Biotechnology, vol. 15, pp. 487-494 (1997))。このような受容体遺伝子導入酵母の系を利用してニューロメジンUおよびTGR−1の結合を変化させる化合物のスクリーニングを行なうことができる。
MATα酵母のSte2およびGpa1をコードする遺伝子を除去し、代わりにTGR−1遺伝子およびGpa1-Gai2融合蛋白をコードする遺伝子を導入する。Farをコードする遺伝子を除去してcell-cycle arrestが生じないようにし、また、Sstをコードする遺伝子を除去することによってニューロメジンUに対する応答の感度を向上させておく。さらに、FUS1にヒスチジン生合成遺伝子HIS3をつなげたFUS1-HIS3遺伝子を導入する。以上の遺伝子組換え操作は例えば、Priceら(Price, L. A. et al., Molecular and Cellular Biology, vol. 15, pp. 6188-6195 (1995))の報告に記載の方法において、ソマトスタチン受容体タイプ2(SSTR2)遺伝子をTGR−1遺伝子に置き換えて実施することによって容易に行なうことができる。こうして構築された形質転換酵母はTGR−1のリガンドであるニューロメジンUに高感度で反応し、その結果MAPキナーゼの活性化が起きてヒスチジン生合成酵素が合成されるようになって、ヒスチジン欠乏培地で生育可能になる。これを利用して、ヒスチジン欠乏培地での酵母の生育を指標としてニューロメジンUによるTGR−1発現酵母の応答を観察することができる。以下にニューロメジンUおよびTGR−1の結合を変化させる化合物のスクリーニング法を述べる。
上記のようにして作製された形質変換酵母を完全合成培地の液体培地で終夜培養し、2 x 104 cell/mlの濃度でヒスチジンを除去した溶解寒天培地に加え、9 x 9 cmの角形シャーレに播く。寒天が固化した後、ニューロメジンUあるいはニューロメジンUおよび試験化合物をしみこませた滅菌濾紙を寒天表面におき、30℃で3日間培養する。ニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物の影響は、濾紙の周囲の酵母の生育をニューロメジンUを単独で投与した場合と比較することによって測定することができる。このとき、ニューロメジンUの投与による酵母の生育を抑制する化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。一方、試験化合物のみを投与し、ニューロメジンUと同様な酵母の生育を観察することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。また、あらかじめ、寒天培地に ニューロメジンUを添加しておいて滅菌濾紙に試験化合物のみをしみこませて培養し、シャーレ全面での酵母の生育が濾紙の周囲で影響を受けることを観察することによってもニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物の影響を調べることができる。
【0041】
(12)TGR−1遺伝子RNAをアフリカツメガエル卵母細胞に注入し、ニューロメジンUによって刺激すると細胞内Ca2+イオン濃度が上昇して、calcium-activated chloride currentが生じる。これを膜電位の変化としてとらえることが出来る(Kイオン濃度勾配に変化がある場合も同様)。ニューロメジンUによって生じるTGR−1導入アフリカツメガエル卵母細胞におけるこの反応を観察することによりニューロメジンUとTGR−1の結合に影響を与える化合物のスクリーニングを行なうことができる。
氷冷して動けなくなった雌のアフリカツメガエルから取り出した、卵母細胞塊をMBS液(88mM NaCl, 1mM KCl, 0.41mM CaCl2, 0.33mM Ca(NO3)2, 0.82mM MgSO4, 2.4mM NaHCO3, 10mM HEPES, pH7.4)に溶かしたコラーゲナーゼ(0.5mg/ml)で卵塊がほぐれるまで19℃、1-6時間、150rpmで処理する。外液をMBS液に置換することで3度洗浄し、マイクロマニピュレーターでTGR−1mRNA (50ng/50nl)をマイクロインジェクションする。TGR−1mRNAは、組織や細胞から調製しても、plasmidからin vitroで転写してもよい。これをMBS液中で20℃で3日培養する。これをRinger液を流しているvoltage clamp装置のくぼみに置き、電位固定用ガラス微小電極、電位測定用ガラス微小電極を細胞内に刺入し、(-)極は、細胞外に置く。電位が安定したら、ニューロメジンUまたはニューロメジンUおよび試験化合物を含むRinger液を流して電位変化を記録する。ニューロメジンUとTGR−1の結合を変化させる化合物の影響は、TGR−1導入アフリカツメガエル卵母細胞の細胞膜電位変化をニューロメジンUを単独で投与した場合と比較することによって測定することができる。このとき、ニューロメジンUの投与による細胞膜電位変化を抑制する化合物をTGR−1とニューロメジンUとの結合性を変化させる能力のある候補物質として選択することができる。一方、試験化合物のみを投与し、ニューロメジンUと同様な細胞膜電位変化を観察することによりアゴニストのスクリーニングを行なうこともできる。
この系において、反応を変化量を増大して測定しやすいように各種のGタンパク質遺伝子のpoly(A)+ RNAを導入することもできる。またaequorinのようなCa2+存在下で発光を生じるようなタンパクの遺伝子のpoly(A)+RNAを共インジェクションすることにより膜電位変化ではなく発光を観察してこの反応を測定することもできる。
ニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キットは、TGR−1、TGR−1を含有する細胞、あるいはTGR−1を含有する細胞の膜画分、およびニューロメジンUを含有するものである。
【0042】
本発明のスクリーニング用キットの例としては、次のものがあげられる。
1.スクリーニング用試薬
▲1▼測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
▲2▼TGR−1標品
TGR−1を発現させたCHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養したもの。
▲3▼標識リガンド
3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識したニューロメジンU。
適当な溶媒または緩衝液に溶解したものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。
▲4▼リガンド標準液
ニューロメジンUを0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20℃で保存する。
2.測定法
▲1▼12穴組織培養用プレートにて培養したTGR−1を発現させた細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
▲2▼10-3〜10-10Mの試験化合物溶液を5μl加えた後、標識したニューロメジンUを5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知るためには試験化合物のかわりに10-3MのニューロメジンUを5μl加えておく。
▲3▼反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄する。細胞に結合した標識したニューロメジンUを0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
▲4▼液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding(PMB)を次の式で求める。

PMB=[(B−NSB)/(B0−NSB)]×100
PMB:Percent Maximum Binding
B :検体を加えた時の値
NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量)
0 :最大結合量
【0043】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、ニューロメジンUとTGR−1との結合を変化させる(結合を阻害あるいは促進する)化合物であり、具体的にはTGR−1を介して細胞刺激活性を有する化合物(いわゆるTGR−1アゴニスト)、あるいは該刺激活性を有しない化合物(いわゆるTGR−1アンタゴニスト)である。該化合物としては、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などがあげられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
上記TGR−1アゴニストであるかアンタゴニストであるかの具体的な評価方法は以下の(i)または(ii)に従えばよい。
(i)前記▲1▼〜▲3▼のスクリーニング方法で示されるバインディング・アッセイを行い、ニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる(特に、結合を阻害する)化合物を得た後、該化合物が上記したTGR−1を介する細胞刺激活性を有しているか否かを測定する。細胞刺激活性を有する化合物またはその塩はTGR−1アゴニストであり、該活性を有しない化合物またはその塩はTGR−1アンタゴニストである。
(ii)(a)試験化合物をTGR−1を含有する細胞に接触させ、上記TGR−1を介した細胞刺激活性を測定する。細胞刺激活性を有する化合物またはその塩はTGR−1アゴニストである。
(b) TGR−1を活性化する化合物(例えば、ニューロメジンUまたはTGR−1アゴニストなど)をTGR−1を含有する細胞に接触させた場合と、TGR−1を活性化する化合物および試験化合物をTGR−1を含有する細胞に接触させた場合における、TGR−1を介した細胞刺激活性を測定し、比較する。 TGR−1を活性化する化合物による細胞刺激活性を減少させ得る化合物またはその塩はTGR−1アンタゴニストである。
該TGR−1アゴニストは、TGR−1に対するニューロメジンUが有する生理活性と同様の作用を有しているので、 ニューロメジンUと同様に安全で低毒性な医薬として有用である。
逆に、TGR−1アンタゴニストは、TGR−1に対するニューロメジンUが有する生理活性を抑制することができるので、該レセプター活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用である。
【0044】
ニューロメジンUまたはその塩は平滑筋収縮作用、血圧上昇作用、腸管におけるイオン輸送の調節、皮下投与後のACTHおよびそれに引き続くコルチコステロンの上昇などに関与していることから、低血圧症予防・治療剤や局所血管収縮剤などとして利用できるため、上記のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物のうち、TGR−1アゴニストは低血圧症予防・治療剤や局所血管収縮剤などとして用いることができる他、子宮収縮促進剤として、微弱陣痛、弛緩出血、胎盤娩出前後、子宮復古不全、人工妊娠中絶、分娩誘発、分娩停止、子宮頚管無力症、子宮内反(症)、遺残胎盤および遺残卵膜、分娩後出血、女性性器脱、不妊症、多胎妊娠における母体のケア、胎位異常、月経困難症、流産、子宮内膜症、慢性子宮炎症性疾患、子宮筋腫、子宮奇形、子宮腺筋症、子宮頚部裂傷、外傷後ストレス症候群など、子宮収縮不全に関係する各種疾患の改善、予防および治療薬として用いることができる。また、TGR−1アンタゴニストは高血圧症、心筋梗塞、急性腎不全、ストレス性疾患(例えば、▲1▼心血管系の疾患(狭心症、心筋梗塞、不整脈など)▲2▼呼吸器系の疾患(気管支喘息、過呼吸症候群など)▲3▼筋骨格系の疾患(慢性関節リウマチ、腰痛症、片頭痛、緊張性頭痛など)、▲4▼その他(糖尿病、更年期障害、慢性疼痛、免疫力低下など)、消化器系疾患(胃潰瘍、潰瘍性大腸炎など)などの予防・治療薬などとして用いることができる他、子宮収縮抑制剤として、過強陣痛、偽陣痛、遷延妊娠、強直性子宮収縮、胎児仮死、子宮破裂、頚菅裂傷、早産、子宮筋腫、子宮奇形、子宮腺筋症、娩出力異常、慢性子宮炎症性疾患、多胎妊娠における母体のケア、胎位異常、Prader-Willi症候群、月経困難症など子宮収縮過多に関係する各種疾患の改善、予防および治療薬として有用である。
【0045】
また、ニューロメジンUまたはその塩は食欲調節作用を有していることから、その食欲調節作用に基づいて、上記のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物のうち、FM−3アゴニストは食欲抑制剤、抗肥満剤、過食症治療薬、多食症治療薬などとして、またFM3アンタゴニストは食欲促進剤などとして用いることができる。
上記のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られうる化合物の塩としては、例えば、薬学的に許容可能な塩などが用いられる。例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などがあげられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ならびにアルミニウム塩、アンモニウム塩などがあげられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩あげられる。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸などとの塩があげられる。
有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸などとの塩があげられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルチニンなどとの塩があげられ、酸性アミノ酸との好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩があげられる。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られうる化合物またはその塩を上述の医薬として使用する場合には、以下に記載するとおりに使用することができる。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られうる化合物またはその塩を上述の医薬として使用する場合、常套手段に従って実施することができる。例えば、必要に応じて糖衣や腸溶性被膜を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物またはその塩を生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
【0046】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えばゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施にしたがって処方することができる。
注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などがあげられ、適当な溶解補助剤、たとえばアルコール(たとえばエタノール)、ポリアルコール(たとえばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(たとえばポリソルベート80(TM)、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油などがあげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば温血動物(例えば、ヒト、モルモット、ラット、マウス、ブタ、ヒツジ、ウシ、サル、イヌ、ニワトリなど)、両生類(例えば、カエルなど)および魚類などに対して投与することができる。
【0047】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物(特にアンタゴニスト)またはその塩の投与量は、症状などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人の高血圧症患者(体重60kgとして)においては、一日につき約0.1から1000mg、好ましくは約1.0から300mg、より好ましくは約3.0から50mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、症状、投与方法などによっても異なるが、たとえば注射剤の形では成人の高血圧症患者(体重60kgとして)への投与においては、一日につき約0.01から30mg程度、好ましくは約0.1から20mg程度、より好ましくは約0.1から10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
本発明は、さらにTGR−1に対する抗体に関する。
TGR−1に対する抗体は、TGR−1を認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。
TGR−1に対する抗体は、TGR−1を抗原として用い、自体公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
【0048】
〔モノクローナル抗体の作製〕
(a)モノクロナール抗体産生細胞の作製
TGR−1は、哺乳動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用いられる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギがあげられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化TGR−1と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256巻、495頁(1975年)〕に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0などが挙げられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくは、PEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、約20〜40℃、好ましくは約30〜37℃で約1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、TGR−1の抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したTGR−1を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができるが、通常はHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地などで行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))またはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0049】
(b)モノクロナール抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じる方法にしたがって製造することができる。例えば、免疫抗原(TGR−1抗原)とキャリアー蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に哺乳動物に免疫を行ない、該免疫動物からTGR−1に対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造できる。
哺乳動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミン、ウシサイログロブリン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことができる。
ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された哺乳動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
上記の本発明の抗体は、TGR−1を特異的に認識することができるので、被検液中のTGR−1の定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用することができる。すなわち、本発明は、例えば、(i)本発明の抗体と、被検液および標識化TGR−1とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化TGR−1の割合を測定することを特徴とする被検液中のTGR−1の定量法、
(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中のTGR−1の定量法を提供する。
上記(ii)においては、一方の抗体がTGR−1のN端部を認識する抗体で、他方の抗体がTGR−1のC端部に反応する抗体であることが好ましい。
TGR−1に対するモノクローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体と称する場合がある)を用いてTGR−1の測定を行なえるほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab')2、Fab'、あるいはFab画分を用いてもよい。TGR−1に対する抗体を用いる測定法は、特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、TGR−1量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常、蛋白質あるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、例えば、アガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラス等が用いられる。
サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応させ(1次反応)、さらに標識化した本発明のモノクローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中のTGR−1量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行なっても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は上記のそれらに準じることができる。
また、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドイッチ法によるTGR−1の測定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗体はTGR−1の結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。即ち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、TGR−1のC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が用いられる。
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることができる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原と(F)と抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、上記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果、生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0050】
これら個々の免疫学的測定法を本発明の測定方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えてTGR−1の測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる〔例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「メソッズ・イン・エンジモノジー(Methods in ENZYMOLOGY)」 Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D: Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I: Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)など参照〕。
以上のように、本発明の抗体を用いることによって、TGR−1を感度良く定量することができる。
【0051】
さらに、本発明の抗体を用いて、生体内でのTGR−1を定量することによって、TGR−1の機能不全に関連する各種疾患の診断をすることができる。
また、本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在するTGR−1を特異的に検出するために使用することができる。また、TGR−1を精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中のTGR−1の検出、被検細胞内におけるTGR−1の挙動の分析などのために使用することができる。
【0052】
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA :相補的デオキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グアニン
C :シトシン
Y :チミンまたはシトシン
N :チミン、シトシン、アデニンまたはグアニン
R :アデニンまたはグアニン
M :シトシンまたはアデニン
W :チミンまたはアデニン
S :シトシンまたはグアニン
RNA :リボ核酸
mRNA :メッセンジャーリボ核酸
dATP :デオキシアデノシン三リン酸
dTTP :デオキシチミジン三リン酸
dGTP :デオキシグアノシン三リン酸
dCTP :デオキシシチジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA :エチレンジアミン四酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
TFA :トリフルオロ酢酸
EIA :エンザイムイムノアッセイ
GlyまたはG :グリシン
AlaまたはA :アラニン
ValまたはV :バリン
LeuまたはL :ロイシン
IleまたはI :イソロイシン
SerまたはS :セリン
ThrまたはT :スレオニン
CysまたはC :システイン
MetまたはM :メチオニン
GluまたはE :グルタミン酸
AspまたはD :アスパラギン酸
LysまたはK :リジン
ArgまたはR :アルギニン
HisまたはH :ヒスチジン
PheまたはF :フェニルアラニン
TyrまたはY :チロシン
TrpまたはW :トリプトファン
ProまたはP :プロリン
AsnまたはN :アスパラギン
GlnまたはQ :グルタミン
pGlu :ピログルタミン酸
Me :メチル基
Et :エチル基
Bu :ブチル基
Ph :フェニル基
TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
Bom :ベンジルオキシメチル
NMP :N−メチルピロリドン
PAM :フェニルアセトアミドメチル
【0053】
また、本明細書中で繁用される置換基、保護基および試薬を下記の記号で表記する。
Tos :p−トルエンスルフォニル
HONB :N−ヒドロキシ−5−ノルボルネンー2,3−ジカルボキシイミド
Bzl :ベンジル
Z :ベンジルオキシカルボニル
Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル
Cl−Z :2−クロルベンジルオキシカルボニル
Boc :t−ブチルオキシカルボニル
HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール
DCC :N、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
TFA :トリフルオロ酢酸
Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル
DNP :ジニトロフェニル
Bum :ターシャリーブトキシメチル
Trt :トリチル
BSA :ウシ血清アルブミン
CHAPS :3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホナート
PMSF :フェニルメチルスルホニルフルオリド
E64 :(L−3−trans−カルボキオキシラン−2−カルボニル)L−ロイシル−アグマチン
GDP :グアノシン−5’−二リン酸
MEMα :ミニマムエッセンシャルメジウムアルファ
Fura−2AM :1-[6-アミノ-2-(5-カルボキシ-2-オキサゾリル)-5-ベンゾフラニロキシ]-2-(2-アミノ-5メチルフェノキシ)-エタン-N,N,N',N'-四酢酸ペンタアセトキシメチルエステル
HBSS :ハンクス平衡塩液
Fluo−3AM :1-[2-アミノ-5-(2,7-ジクロロ-6-ヒドロキシ-3-オキシ-9-キサンテニル)フェノキシ]-2-(2-アミノ-5-メチルフェノキシ)エタン-N,N,N',N'-四酢酸ペンタアセトキシメチルエステル
HEPES :2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸
MeBzl :4−メチルベンジル
NMP :N−メチルピロリドン
【0054】
本願明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕
実施例1で得られたTGR−1のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:2〕
配列番号:1で表されるアミノ酸配列を含有するTGR−1をコードするDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:3〕
実施例1に記載のプライマー1の塩基配列を示す。
〔配列番号:4〕
実施例1に記載のプライマー2の塩基配列を示す。
〔配列番号:5〕
ブタ型ニューロメジンU−8をコードするアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:6〕
イヌ型ニューロメジンU−8をコードするアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:7〕
ニワトリ型ニューロメジンU−9をコードするアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:8〕
モルモット型ニューロメジンU−9をコードするアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:9〕
ラット型ニューロメジンU−23をコードするアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:10〕
カエル型ニューロメジンU−23をコードするアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:11〕
ヒト型ニューロメジンU−25をコードするアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:12〕
ブタ型ニューロメジンU−25をコードするアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:13〕
イヌ型ニューロメジンU−25をコードするアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:14〕
ニワトリ型ニューロメジンU−25をコードするアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:15〕
カエル型ニューロメジンU−25をコードするアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:16〕
ニューロメジンU−25の部分ペプチドをコードするアミノ酸配列を示す。配列番号:5で表されるアミノ酸配列の第4番目〜第8番目のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:17〕
TGR−1と実質的に同一のアミノ酸配列を示す(WO99/55732号に記載のもの)。
〔配列番号:18〕
配列番号:23で表されるアミノ酸配列を含有するDNAの塩基配列を示す(WO99/55732号に記載のもの)。
〔配列番号:19〕
実施例3で用いられたプライマーRTGRF2の塩基配列を示す。
〔配列番号:20〕
実施例3で用いられたプライマーRTGRR1の塩基配列を示す。
〔配列番号:21〕
実施例3で得られたラット型TGR-1をコードするアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:22〕
ラット型TGR−1をコードするDNAの塩基配列を示す。
【0055】
後述の実施例1で得られた配列番号:1で表されるTGR−1をコードするcDNAを有する形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)TOP10/pCR2.1TOPO−TGR1は、1999年12月6日から茨城県つくば市東1−1−3、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−6964として、1999年11月12日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85、財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 16336として寄託されている。
後述の実施例3で得られた配列番号:21で表されるTGR−1をコードするcDNAを有する形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)JM109/prTGR−1は、2000年11月9日から茨城県つくば市東1−1−3、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−7355として、2000年10月24日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85、財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 16488として寄託されている。
【0056】
【発明の実施の形態】
以下の実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0057】
【実施例】
実施例1
TGR−1をコードするcDNAのクローニングと塩基配列の決定
ヒト精巣cDNA(Marathon-ReadyTMcDNA;Clontech社)を鋳型とし、2個のプライマー、プライマー1(配列番号:3)及びプライマー2(配列番号:4)を用いてPCRを行なった。PCR反応には Advantage 2 Polymerase Mixture(Clontech社)を用い、▲1▼95℃ 1分の後、▲2▼95℃ 30秒、68℃ 2 分を5回、▲3▼95℃ 30秒、64℃ 30秒、68℃ 2分を 5回、▲4▼95℃ 30秒、62℃ 30秒、68℃ 2分を30回の後、▲5▼68℃ 7分の伸長反応を行なった。反応後反応産物をTAクローニングキット(Invitrogen社)の処方に従いプラスミドベクター pCR2.1TOPO(Invitrogen 社)へクローニングした。これを大腸菌TOP10に導入し、プラスミドを持つクローンをampicilinを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの配列を解析した結果、TGR−1(配列番号:1)をコードするcDNAの塩基配列(配列番号:2)を得た。
【0058】
実施例2 TGR-1発現CHO細胞およびmock CHO細胞に対するニューロメジンU-8の反応性のサイトセンサーによる比較
実施例1によって得られたTGR-1をコードするcDNAを用いて、自体公知の方法に準じて作成したTGR-1発現CHO細胞およびmock CHO細胞をサイトセンサー用カプセルに2.7×105cells/wellの密度で播種し、一晩培養した。細胞の入ったカプセルをサイトセンサーにセットし、0.1%牛血清アルブミンを添加したlow buffered RPMI1640培地を還流しながら細胞を順化させた。サイトセンサーによってポンプのON(80秒間)・OFF(40秒間)を1サイクルとして繰り返して行ない、ポンプが停止している間の細胞外pHの変化率をacidification rateとして経時的に測定した。同培地にブタ型ニューロメジンU-8(BACHEM社、H-5505、配列番号:5)を溶解し、段階的に希釈したものをサイトセンサーの流路系の切り替えによって細胞に7分2秒間暴露した。反応のピークの値についてサンプルが細胞に暴露される直前の3サイクルの平均値を100%として換算し、比較したところ、TGR-1発現CHO細胞は特異的かつ濃度依存的にニューロメジンUに反応することを見出した(図1)。
【0059】
実施例3 ラット型のTGR-1をコードするcDNAの取得
ラット型のTGR-1をコードするcDNA全長をコードする断片取得のために以下の2種類のDNAを合成した。
RTGRF2:5’-CTGATGCTATCCTTTCACTCTCTCAGACC-3’ (配列番号:19)
RTGRR1:5’-TCCTTGCAGTTTTGGCACATAGATGGA-3’ (配列番号:20)
これらの合成DNA、RTGRF2および RTGRR1をプライマーとして用い、ラット子宮poly(A)+RNAより合成したcDNAを鋳型としてPCRを行い、全長をコードする断片を増幅した。PCRの反応液はcDNA溶液2μl(8ng poly(A)+RNA由来)、 1μl dNTPs(10mM)、0.5μl Advantage2 DNA polymerase(Clontech社)、2.5μl Advantage2 DNA polymeraseに添付されている10 xバッファー、18μl蒸留水、さらに合成DNARTGRFとRTGRR1(各10μM)を0.5μlずつ加え、合計25μlとした。この反応液は94℃2分の変性の後、98℃10秒、68℃90秒のサイクルを31回繰り返すPCR反応を行った。電気泳動で確認された約1.4kbのPCR産物をQIA quick Gel Extraction Kit(Quiagen社)を用いて精製し、TA cloning kit (Invitrogen社)のマニュアルに従い、クローニングベクターpCR2.1 TOPOへ挿入、大腸菌JM109に導入して形質転換体E.coli JM109/prTGR-1を得た。このプラスミドprTGR-に挿入されている塩基配列を決定し(配列番号:22)、それにコードされるラット型TGR-1の予測されるアミノ酸配列を配列番号:21で示す。
また実施例1に示したヒト型配列(配列番号:1)との比較を図2に示した。
【0060】
【発明の効果】
本発明のニューロメジンUおよびTGR−1を用いることを特徴とするニューロメジンUとTGR−1との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法は、肥満症、高血圧症、ストレス性疾患等の予防・治療薬などをスクリーニングするために用いることができる。TGR−1アゴニストは肥満症等の予防・治療薬として有用であり、TGR−1アンタゴニストは高血圧症、ストレス性疾患等の予防・治療薬として有用である。
【0061】
【配列表】
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【0062】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で行われたサイトセンサーによるTGR-1受容体特異的な細胞刺激活性の検出の結果を示す図を表す。サイトセンサーアッセイにおいて、TGR-1受容体発現CHO細胞(○)およびmock CHO細胞(●)に対して図に表示の濃度のブタ型ニューロメジンU-8を7分2秒間作用させ、その間のAcidification Rateの最大値をプロットしている。
【図2】参考例1で得られたヒト型TGR−1と実施例2で得られたラット型TGR−1とのアミノ酸配列の比較を示す図である。

Claims (3)

  1. ニューロメジンUもしくはその誘導体またはその塩および配列番号:1または配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩を用いることを特徴とするニューロメジンUまたはその塩と配列番号:1または配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  2. ニューロメジンUもしくはその誘導体またはその塩および配列番号:1または配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩を含有することを特徴とするニューロメジンUまたはその塩と配列番号:1または配列番号:21で表されるアミノ酸配列と同一または実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  3. ニューロメジンUが配列番号:11で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するペプチドである請求項1記載のスクリーニング方法または請求項2記載のスクリーニング用キット。
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