JP2002517222A - Gpr35a受容体 - Google Patents

Gpr35a受容体

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JP2002517222A
JP2002517222A JP2000553460A JP2000553460A JP2002517222A JP 2002517222 A JP2002517222 A JP 2002517222A JP 2000553460 A JP2000553460 A JP 2000553460A JP 2000553460 A JP2000553460 A JP 2000553460A JP 2002517222 A JP2002517222 A JP 2002517222A
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JP2000553460A
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エルスアワーバジー,ナビル,エイ.
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スミスクライン ビーチャム コーポレーション
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Abstract

(57)【要約】 GPR35AポリペプチドおよびGPR35Aポリヌクレオチド、ならびにかかるポリペプチドを組換え技術により生産する方法が開示されている。さらに、GPR35AポリペプチドおよびGPR35Aポリヌクレオチドを治療に用いる方法、およびそのための診断アッセイも開示されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は、新たに同定されたポリペプチド、該ポリペプチドをコードするポリ
ヌクレオチド、該ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの治療の際のまたは治療
に有効でありうるアゴニスト、アンタゴニストおよび/またはインヒビターであ
る化合物を同定する際の使用、ならびに該ポリペプチドおよびポリヌクレオチド
の生産方法に関する。
【0002】発明の背景 薬物探索プロセスには目下根本的な大変化が生じている。というのは、それが
「機能性ゲノミクス」(functional genomics)、すなわちハイスループット(高
効率)のゲノムまたは遺伝子に基づく生物学に及んでいるからである。このアプ
ローチは「ポジショナルクローニング」に基づいた比較的初期のアプローチに急
速に取って代わりつつある。表現型、つまり生物学的機能または遺伝病、が同定
され、続いてその遺伝子地図の位置を手がかりとして病因遺伝子が突き止められ
るだろう。
【0003】 機能性ゲノミクスは、現在入手できる多くの分子生物学データベースから目的
となりそうな遺伝子配列を同定するためのバイオインフォマティクスの様々なツ
ールに大きく依存している。依然として、まだ未解明の遺伝子およびその関連ポ
リペプチド/タンパク質を薬物探索の標的として同定し特性づける必要性がある
【0004】 多くの医学的に重要な生物学的プロセスが、Gタンパク質を含むシグナル伝達
経路に関与するタンパク質および/または例えばcAMPなどの第二メッセンジャー
によって媒介されるということは十分に証明されている(Lefkowitz、Nature、1
991、351:353-354)。本明細書では、これらのタンパク質はGタンパク質を含む
経路に関与するタンパク質つまりPPGタンパク質と称される。これらのタンパク
質のいくつかの例として、アドレナリン作動性物質およびドーパミン(Kobilka,
B.K.ら,Proc.Natl Acad.Sci.,USA,1987,84:46-50;Kobilka,B.K.ら,Science,198
7,238:650-656;Bunzow,J.R.ら,Nature,1988,336:783-787)、Gタンパク質自身
、エフェクタータンパク質(ホスホリパーゼC、アデニルシクラーゼおよびホス
ホジエステラーゼなど)あるいはアクチュエータータンパク質(プロテインキナ
ーゼAおよびプロテインキナーゼCなど)(Simon,M.I.ら,Science,1991,252:802-
8)の受容体などのGPC受容体が挙げられる。
【0005】 例えばシグナル伝達の1形態として、ホルモンの結合は、酵素アデニル酸シク
ラーゼの細胞内での活性化に作用する。ホルモンによる酵素の活性化はヌクレオ
チドGTPの存在に依存する。GTPはまたホルモンの結合にも影響を与える。Gタン
パク質はホルモン受容体をアデニル酸シクラーゼに連結させる。Gタンパク質は
、ホルモン受容体によって活性化されると、結合したGDPをGTPと交換することが
示された。続いてこのGTP担持形態は活性化アデニル酸シクラーゼに結合する。G
TPからGDPへの加水分解はGタンパク質自身によって触媒され、Gタンパク質はそ
の不活性な基底形態に戻る。従って、Gタンパク質は、受容体からエフェクター
へのシグナルを中継する中間体として、およびシグナルの継続期間を制御する時
計として機能し、2つの役割を果たしている。
【0006】 Gタンパク質共役型受容体の膜タンパク質遺伝子スーパーファミリーは、推定
上7回膜貫通ドメインを有すると特性付けられてきた。該ドメインは、細胞外ま
たは細胞質ループにより連結された膜貫通αヘリックスに相当すると考えられて
いる。Gタンパク質共役型受容体には、ホルモン、ウイルス性、増殖因子および
神経性受容体などの多くの生物学的に活性な受容体が含まれる。
【0007】 Gタンパク質共役型受容体(他に7回膜貫通受容体の受容体として知られている
)は、少なくとも8つの異なる親水性ループを連結している7つの保存された疎水
性ストレッチ(約20〜30アミノ酸からなる)を含むと特性付けられてきた。Gタ
ンパク質共役型受容体のファミリーには、精神病および神経系疾患の治療に用い
られる神経弛緩薬と結合するドーパミン受容体が含まれる。このファミリーの他
のメンバーの例として、限定するものではないが、カルシトニン、アドレナリン
作動性、エンドセリン、cAMP、アデノシン、ムスカリン様、アセチルコリン、セ
ロトニン、ヒスタミン、トロンビン、キニン、卵胞刺激ホルモン、オプシン、内
皮細胞分化遺伝子−1、ロドプシン、臭気物質、およびサイトメガロウイルス受
容体が含まれる。
【0008】 大部分のGタンパク質共役型受容体は、機能性タンパク質の構造を安定化させ
ていると考えられるジスルフィド結合を形成する保存されたシステイン残基を最
初の二つの細胞外ループそれぞれに1つ有する。7つの膜貫通領域は、TM1、TM2、
TM3、TM4、TM5、TM6およびTM7と呼ばれている。TM3はシグナル伝達に関係してい
る。
【0009】 システイン残基のリン酸化およびリピド化(パルミチル化またはファルネシル
化)は、いくつかのGタンパク質共役型受容体のシグナル伝達に影響を与える。
大部分のGタンパク質共役型受容体は、第3の細胞質ループおよび/またはカルボ
キシ末端に潜在的なリン酸化部位を含んでいる。βアドレナリン受容体などの数
種のGタンパク質共役型受容体では、プロテインキナーゼAおよび/または特異的
な受容体キナーゼによるリン酸化が受容体の脱感受性を媒介する。
【0010】 いくつかの受容体では、Gタンパク質共役型受容体のリガンド結合部位は、複
数のGタンパク質共役型受容体膜貫通ドメインによって形成される親水性ソケッ
ト(socket)を含み、該ソケットはGタンパク質共役型受容体の疎水性残基に囲ま
れていると考えられている。各Gタンパク質共役型受容体膜貫通ヘリックスの親
水性側は内側に面し、極性を持つリガンド結合部位を形成すると仮定されている
。TM3は、TM3アスパラギン酸残基などのリガンド結合部位を有し、いくつかのG
タンパク質共役型受容体におけるリガンドの結合に関与している。TM5のセリン
、TM6のアスパラギンおよびTM6またはTM7のフェニルアラニンまたはチロシンも
またリガンド結合に関与している。
【0011】 Gタンパク質共役型受容体は、細胞内でヘテロ三量体のGタンパク質によって種
々の細胞内酵素、イオンチャネルおよびトランスポーターに結合しうる(Johnso
nら、Endoc.Rev.,1989,10:317-331を参照のこと)。種々のGタンパク質αサブユ
ニットは、選択的に特定のエフェクターを刺激し、細胞内の多様な生物学的機能
をモジュレートする。Gタンパク質共役型受容体の細胞質側の残基のリン酸化は
、いくつかのGタンパク質共役型受容体のGタンパク質の結合を調節するために重
要な機構であると同定されている。Gタンパク質共役型受容体は哺乳動物宿主内
の数多くの部位で見られる。過去15年にわたって、350種近くの7回膜貫通(7TM
)受容体を標的とする治療薬が市場に送り出され成功してきた。
【0012】発明の概要 本発明は、GPR35A、特にGPR35AポリペプチドおよびGPR35Aポリヌクレオチド、
組換え物質、ならびにその生産方法に関する。もう一つの態様において、本発明
は、細菌、真菌、原生動物およびウイルス感染症、特にHIV-1またはHIV-2により
引き起こされる感染症;疼痛;癌;糖尿病、肥満;食欲不振;過食症;喘息;パ
ーキンソン病;急性心不全;低血圧;高血圧;尿停留;骨粗鬆症;狭心症;心筋
梗塞;卒中;潰瘍;喘息;アレルギー;良性前立腺肥大;片頭痛;嘔吐;不安、
精神分裂病、躁うつ、うつ病、せん妄、痴呆および重度の精神遅滞を含む精神病
性および神経系疾患;あるいはハンチントン病またはジル・ド・ラ・ツレット症
候群などの運動障害(以後まとめて「前記疾患」という)の治療をはじめとする
、前記ポリペプチドおよびポリヌクレオチドの使用方法に関する。他の態様では
、本発明は、本発明により提供される物質を用いてアゴニストおよびアンタゴニ
スト/インヒビターを同定する方法、ならびに同定された化合物を用いてGPR35A
平衡異常と関連した症状を治療することに関する。さらに他の態様において、本
発明は不適当なGPR35A活性またはGPR35Aレベルと関連した疾病を検出するための
診断アッセイに関する。
【0013】発明の説明 第一の態様において、本発明はGPR35Aポリペプチドに関する。この種のペプチ
ドには、配列番号2の全長にわたって配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも70
%の同一性、好ましくは少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも90
%の同一性、さらに好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なく
とも97〜99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドが含
まれる。こうしたポリペプチドとしては配列番号2のアミノ酸配列を含むものが
ある。
【0014】 本発明の他のペプチドには、そのアミノ酸配列が配列番号2の全長にわたって
配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも80
%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性、さらに好ましくは少なく
とも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97〜99%の同一性を有する単離さ
れたポリペプチドが含まれる。こうしたポリペプチドとしては配列番号2のアミ
ノ酸配列からなるポリペプチドがある。
【0015】 本発明の更なるペプチドには、配列番号1に含まれるヌクレオチド配列を含む
ポリヌクレオチドによりコードされる単離されたポリペプチドが含まれる。 本発明のポリペプチドはプリン作動性ファミリーのメンバーであると考えられ
る。従って、本発明のポリペプチドは重要である。なぜなら、本発明により、い
くつかの生物学的発現および疾病の発現に関与する遺伝子のプリン作動性7回膜
貫通受容体ファミリーに更に1つのメンバーが追加されるからである。更に、Gタ
ンパク質共役型受容体は、他のどんな遺伝子ファミリーよりも薬学的な介入の標
的とされているからである。これらの特性を以後「GPR35A活性」または「GPR35A
ポリペプチド活性」あるいは「GPR35Aの生物学的活性」という。これらの活性の
中には、前記GPR35Aポリペプチドの抗原性および免疫原性活性、特に配列番号2
のポリペプチドの抗原性および免疫原性活性も含まれる。本発明のポリペプチド
はGPR35Aの少なくとも1つの生物学的活性を示すことが好ましい。
【0016】 本発明のポリペプチドは「成熟」タンパク質の形であっても、融合タンパク質
のような、より大きいタンパク質の一部であってもよい。しばしば、追加のアミ
ノ酸配列を含むことが有利であり、このようなアミノ酸配列としては、分泌すな
わちリーダー配列、プロ配列、多重ヒスチジン残基のような精製に役立つ配列、
または組換え体生産の間の安定性を確保する付加的配列などがある。
【0017】 また、前記ポリペプチドの変異体、すなわち保存的アミノ酸置換(ある残基が
性質の似ている他の残基により置換される)により基準ポリペプチドと相違して
いるポリペプチドも本発明に含まれる。典型的なこうした置換は、Ala, Val, Le
u および Ileの間;Ser とThr の間;酸性残基 AspとGlu の間;Asn とGln の間
;塩基性残基 LysとArg の間;または芳香族残基 PheとTyr の間で起こる。特に
、数個、5〜10個、1〜5個、1〜3個、1〜2個または1個のアミノ酸が任意の組合せ
で置換、欠失または付加されている変異体が好適である。
【0018】 本発明のポリペプチドは任意の適当な方法で製造することができる。このよう
なポリペプチドには、単離された天然のポリペプチド、組換えにより生産された
ポリペプチド、合成的に製造されたポリペプチド、またはこれらの方法の組合せ
により製造されたポリペプチドが含まれる。こうしたポリペプチドを製造するた
めの手段は当業界でよく理解されている。
【0019】 本発明の更なる態様において、本発明は、GPR35Aポリヌクレオチドに関する。
このようなポリヌクレオチドには、配列番号2の全長にわたって配列番号2のア
ミノ酸配列と少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも80%の同一性、よ
り好ましくは少なくとも90%の同一性、さらに好ましくは少なくとも95%の同一
性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌ
クレオチドが含まれる。これに関して、少なくとも97%の同一性を有するポリペ
プチドが一層好ましいが、少なくとも98〜99%の同一性を有するものがより一層
好ましく、少なくとも99%の同一性を有するポリペプチドが最も好ましいもので
ある。かかるポリヌクレオチドとして、配列番号2のポリペプチドをコードする
配列番号1に含まれるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが挙げられる。
【0020】 本発明の更なるポリヌクレオチドには、配列番号2のポリペプチドをコードす
るヌクレオチド配列と、その全コード領域にわたって、少なくとも70%の同一性
、好ましくは少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性
、さらに好ましくは少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む単
離されたポリヌクレオチドが含まれる。これに関して、少なくとも97%の同一性
を有するポリヌクレオチドが一層好ましいが、少なくとも98〜99%の同一性を有
するものがより一層好ましく、少なくとも99%の同一性を有するポリヌクレオチ
ドが最も好ましいものである。
【0021】 本発明の更なるポリヌクレオチドには、配列番号1の全長にわたって配列番号
1のポリヌクレオチドと少なくとも70%の同一性、好ましくは少なくとも80%の
同一性、より好ましくは少なくとも90%の同一性、さらに好ましくは少なくとも
95%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドが含
まれる。これに関して、少なくとも97%の同一性を有するポリヌクレオチドが一
層好ましいが、少なくとも98〜99%の同一性を有するものがより一層好ましく、
少なくとも99%の同一性を有するポリヌクレオチドが最も好ましいものである。
かかるポリヌクレオチドとして、配列番号1のポリヌクレオチドを含むポリヌク
レオチドおよび配列番号1のポリヌクレオチドが挙げられる。 本発明はまた、上記の全てのポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを
提供する。
【0022】 配列番号1のヌクレオチド配列は、GPR35(O'Dowd B.ら、1998 Genomics 47,
310-313)との相同性を示す。配列番号1のヌクレオチド配列はcDNA配列であり
、配列番号2のポリペプチドである309個のアミノ酸のポリペプチドをコードす
るポリペプチドコード化配列(ヌクレオチド25〜954)を含む。配列番号2のポリ
ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、配列番号1に含まれるポリペプチド
コード化配列と同一であっても、遺伝暗号の重複性(縮重)のため、やはり配列
番号2のポリペプチドをコードする、配列番号1に含まれる配列以外の配列であ
ってもよい。配列番号2のポリペプチドはプリン作動性ファミリーの他のタンパ
ク質と構造的に関連しており、GPR35(O'Dowd B.ら、1998 Genomics 47, 310-31
3)との相同性および/または構造類似性を有する。
【0023】 本発明の好適なポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、とりわけ、それと相
同なポリペプチドおよびポリヌクレオチドと同様の生物学的機能/性質をもつこ
とが期待される。さらに、本発明の好ましいポリペプチドおよびポリヌクレオチ
ドは少なくとも1つのGPR35A活性を有する。
【0024】 本発明のポリヌクレオチドは、エクスプレスド・シーケンス・タグ(EST)解
析法(Adams,M.D.ら、Science(1991) 252:1651-1656;Adams,M.D.ら、Nature(19
92) 355:632-634;Adams,M.D.ら、Nature(1995) 377 Supp:3-174)を用いて、ヒ
トゲノムDNAライブラリーから、標準的なクローニングおよびスクリーニング技
術により得ることができる。また、本発明のポリヌクレオチドはゲノムDNAライ
ブラリーのような天然源から得ることができ、商業的に入手可能な公知の技法を
用いて合成することもできる。
【0025】 本発明のポリヌクレオチドを本発明のポリペプチドの組換え体生産のために用
いる場合、そのポリヌクレオチドには、成熟ポリペプチドのコード配列単独、ま
たは他のコード配列(例えば、リーダーもしくは分泌配列、プレ−、プロ−もし
くはプレプロ−タンパク質配列、または他の融合ペプチド部分をコードするもの
)と同じリーディングフレーム内にある成熟ポリペプチドのコード配列が含まれ
る。例えば、融合ポリペプチドの精製を容易にするマーカー配列がコードされ得
る。本発明のこの態様の特定の好ましい具体例においては、マーカー配列は、pQ
Eベクター(Qiagen, Inc.)により提供されかつ Gentzら, Proc. Natl. Acad. Sci
. USA (1989) 86:821-824に記載されるような、ヘキサ−ヒスチジンペプチド、
またはHAタグである。また、このポリヌクレオチドは5'および3'非コード配列
、例えば、転写されるが翻訳されない配列、スプライシングおよびポリアデニル
化シグナル、リボソーム結合部位、およびmRNA安定化配列を含んでいてもよい。
【0026】 本発明の更なる実施形態としては、数個、例えば5〜10個、1〜5個、1〜3個、1
〜2個、または1個のアミノ酸残基が任意の組合せで置換、欠失または付加されて
いる、配列番号2のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチド変異体をコードする
ポリヌクレオチドがある。
【0027】 配列番号1に含まれるヌクレオチド配列と同一であるか十分に同一であるポリ
ヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードする完全長cDNAおよびゲノムク
ローンを単離するために、また、配列番号1に対して高い配列類似性を有する他
の遺伝子(ヒト以外の種に由来する相同体(homolog)およびオーソログ(ortholog
)をコードする遺伝子を含む)のcDNAおよびゲノムクローンを単離するために、c
DNAおよびゲノムDNA用のハイブリダイゼーションプローブとして、または核酸増
幅(PCR)反応用のプライマーとして用いることができる。一般的に、これらの
ヌクレオチド配列は基準のヌクレオチド配列と70%、好ましくは80%、より好ま
しくは90%、最も好ましくは95%同一である。プローブまたはプライマーはたい
てい15個以上のヌクレオチドを含み、好ましくは30個以上を含み、50個以上のヌ
クレオチドを有していてもよい。特に好ましいプローブは30〜50個の範囲のヌク
レオチドを有するものである。
【0028】 本発明のポリペプチド(ヒト以外の種に由来する相同体およびオーソログを含
む)をコードするポリヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド配列またはそ
の断片を有する標識プローブを用いて、ストリンジェントなハイブリダイゼーシ
ョン条件下で適当なライブラリーをスクリーニングし、該ポリヌクレオチド配列
を含む完全長cDNAおよびゲノムクローンを単離する各工程を含む方法により得ら
れる。このようなハイブリダイゼーション技法は当業者に公知である。好ましい
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、50% ホルムアミド、5×SSC
(150mM NaCl, 15mM クエン酸三ナトリウム) 、50mMリン酸ナトリウム (pH7.6)
、5×Denhardt溶液、10% デキストラン硫酸および20μg/mlの変性し剪断したサ
ケ精子DNAを含有する溶液中42℃で一夜インキュベートし、次いでフィルターを
0.1×SSC 中約65℃で洗浄することを含む。かくして、本発明は、配列番号1の
ヌクレオチド配列またはその断片を有する標識プローブを用いて、ストリンジェ
ントなハイブリダイゼーション条件下で適当なライブラリーをスクリーニングす
ることにより得られるポリヌクレオチドをも包含する。
【0029】 当業者には理解されるように、多くの場合、ポリペプチドをコードする領域が
そのcDNAの5'末端で短く切断されることから、単離されたcDNA配列は不完全であ
るだろう。それは逆転写酵素のためであり、この酵素はもともと「プロセシビテ
ィ」(processivity:重合反応中に鋳型に結合した状態でいる該酵素の能力の尺
度)が低く、第一鎖cDNA合成の間にmRNA鋳型のDNAコピーを完成させることがで
きない。
【0030】 完全長cDNAを得るための、または短鎖cDNAを伸長させるための、当業者に公知
で利用可能な方法がいくつかあり、例えば、cDNA末端高速増幅法(RACE)に基づ
いた方法がある(例えば、Frohmanら, PNAS USA 85, 8998-9002, 1988を参照の
こと)。例えばMarathonTM技術(Clontech Laboratories Inc.)により示されるよ
うな、上記技法の最近の改良により、より長いcDNAの検索が大いに簡便化された
。MarathonTM技術では、所定の組織より抽出されたmRNAからcDNAを作製し、各末
端に「アダプター」配列を連結する。続いて、遺伝子特異的およびアダプター特
異的なオリゴヌクレオチドプライマーの組合せを用いて核酸増幅(PCR)を行い
、cDNAの「欠失」5'末端を増幅する。次に、「ネステッド(nested)」プライマ
ー、すなわち増幅産物の内部にアニーリングするように設計されたプライマー(
典型的には、アダプター配列のさらに3'側にアニーリングするアダプター特異的
プライマーおよび既知遺伝子配列のさらに5'側にアニーリングする遺伝子特異的
プライマー)を用いてPCR反応を繰り返す。その後、この反応の産物をDNA塩基配
列決定により解析し、この産物を既存のcDNAに直接結合するか、または5'プライ
マー設計用の新たな配列情報を用いて別の完全長PCRを行うことにより、完全長c
DNAを構築することができる。
【0031】 本発明の組換え体ポリペプチドは、当業界で公知の方法を用いて、発現系を含
有する遺伝子操作宿主細胞から生産することができる。したがって、更なる態様
において、本発明は、本発明の1以上のポリヌクレオチドを含有する発現系、該
発現系により遺伝子操作された宿主細胞、および組換え法による本発明ポリペプ
チドの生産に関する。本発明のDNA構築物から誘導されたRNAを用いてこの種のタ
ンパク質を生産するために、無細胞翻訳系を使用することもできる。
【0032】 組換え体生産に関しては、本発明のポリヌクレオチドの発現系またはその一部
を組み込むために宿主細胞を遺伝子操作することができる。宿主細胞へのポリヌ
クレオチドの導入は、Davisら, Basic Methods in Molecular Biology (1986)
および Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold
Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))などの多
くの標準的な実験室マニュアルに記載された方法により行うことができる。好適
なこうした方法として、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE
−デキストラン媒介トランスフェクション、トランスベクション(transvection)
、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレ
クトロポレーション、形質導入、スクレープローディング(scrape loading)、弾
丸導入(ballistic introduction)または感染などがある。
【0033】 適当な宿主の代表的な例として、細菌細胞(例:ストレプトコッカス(Strepto
cocci)、スタフィロコッカス(Staphylococci)、大腸菌(E.coli)、ストレプトミ
セス(Streptomyces)、枯草菌(Bacillus subtilis))、真菌細胞(例:酵母、ア
スペルギルス(Aspergillus))、昆虫細胞(例:ドロソフィラ(Drosophila)S2、
スポドプテラ(Spodoptera)Sf9細胞)、動物細胞(例:CHO、COS、HeLa、C127、3
T3、BHK、HEK293、Bowes メラノーマ細胞)および植物細胞が挙げられる。
【0034】 多種多様な発現系を使用することができる。こうした発現系として、特に、染
色体、エピソームおよびウイルス由来の系、例えば、細菌プラスミド由来、バク
テリオファージ由来、トランスポゾン由来、酵母エピソーム由来、挿入因子由来
、酵母染色体エレメント由来、ウイルス(例:バキュロウイルス、SV40のような
パポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂
犬病ウイルス、レトロウイルス)由来のベクター、およびこれらの組合せに由来
するベクター、例えば、コスミドやファージミドのようなプラスミドとバクテリ
オファージの遺伝的要素に由来するものがある。これらの発現系は発現を起こさ
せるだけでなく発現を調節する制御配列を含んでいてもよい。一般的に、宿主内
でのポリペプチドの産生のためにポリヌクレオチドを維持し、増やし、発現する
ことができる系またはベクターはどれも使用しうる。Sambrookら, Molecular Cl
oning: A Laboratory Manual (前掲) に記載されるような、日常的に用いられる
公知の技法のいずれかにより、適当なヌクレオチド配列を発現系に挿入すること
ができる。翻訳されたタンパク質を小胞体の内腔に、細胞周辺腔に、または細胞
外の環境に分泌させるために、適当な分泌シグナルを目的のポリペプチドに組み
込むことができる。これらのシグナルは目的のポリペプチドに対して内因性であ
っても、異種シグナルであってもよい。
【0035】 スクリーニングアッセイで使用するために本発明のポリペプチドを発現させよ
うとする場合、一般にそのポリペプチドを細胞の表面に産生させることが好適で
ある。その場合は、スクリーニングアッセイでの使用に先立って細胞を回収する
。該ポリペプチドが培地に分泌される場合は、そのポリペプチドを回収し精製す
るために培地を回収する。細胞内に産生される場合は、その細胞をまず溶解し、
その後にポリペプチドを回収する必要がある。
【0036】 組換え細胞培養物から本発明のポリペプチドを回収し精製するには、硫酸アン
モニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマト
グラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグ
ラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマ
トグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含めた公知の方法を用いるこ
とができる。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィーが精製に用いられる
。ポリペプチドが単離および/または精製中に変性されるときは、タンパク質を
再生させるための公知の技法を用いて、活性のあるコンフォメーションを復元す
ることが可能である。
【0037】 本発明はまた、診断薬としての本発明のポリヌクレオチドの使用に関する。機
能障害と関連した、配列番号1のポリヌクレオチドにより特徴づけられる遺伝子
の変異型の検出は、該遺伝子の過少発現、過剰発現または変化した発現により生
ずる疾病またはその疾病への罹りやすさの診断に追加しうる、またはその診断を
下しうる診断用ツールを提供するだろう。該遺伝子に突然変異がある個体を、さ
まざまな技法によりDNAレベルで見つけ出すことができる。
【0038】 診断用の核酸は、被験体の細胞、例えば血液、尿、唾液、組織の生検または剖
検材料由来の細胞から得ることができる。検出のためにゲノムDNAを直接使用し
てもよいし、分析前にPCRまたは他の増幅法を使ってゲノムDNAを酵素的に増幅し
てもよい。同様の方法でRNAまたはcDNAを使用することもできる。欠失および挿
入突然変異は、正常な遺伝子型と比較したときの増幅産物のサイズの変化により
検出できる。点突然変異は増幅DNAを標識化GPR35Aヌクレオチド配列とハイブリ
ダイズさせることで同定できる。完全にマッチした配列とミスマッチの二重鎖と
はRNase消化により、または融解温度の差異により区別できる。また、DNA配列の
差異は、変性剤を含むもしくは含まないゲルでのDNA断片の電気泳動の移動度の
変化により、または直接DNA塩基配列決定によっても検出できる(例えば、Myers
ら, Science (1985) 230:1242 を参照のこと)。特定位置での配列変化はヌクレ
アーゼプロテクションアッセイ(例えば、RNaseおよびS1プロテクション)また
は化学的開裂法によっても確認できる(Cottonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA
(1985) 85:4397-4401を参照のこと)。別の実施態様では、例えば、遺伝子変異
の効率のよいスクリーニングを行うため、GPR35Aヌクレオチド配列またはその断
片を含むオリゴヌクレオチドプローブのアレイを構築することができる。アレイ
技術は公知で、一般的な適用可能性を有し、遺伝子発現、遺伝的連鎖および遺伝
的変異性を含めた分子遺伝学のさまざまな問題を解きあかすために用いられてい
る(例えば、M. Cheeら, Science, Vol.274, pp.610-613 (1996) を参照のこと
)。
【0039】 診断アッセイは、前記の方法によりGPR35A遺伝子の変異を検出することで、前
記疾患への罹りやすさを診断または判定する方法を提供する。さらに、被験体か
ら得られたサンプルからポリペプチドまたはmRNAのレベルの異常な低下または上
昇を測定する方法により、前記疾患の診断を下すことができる。発現の低下また
は増加は、当業界で公知のポリヌクレオチドの定量法、例えば核酸増幅(例:PC
R、RT−PCR)、RNaseプロテクション、ノーザンブロッティング、その他のハイ
ブリダイゼーション法のいずれかによりRNAレベルで測定することができる。宿
主から得られたサンプル中の本発明ポリペプチドのようなタンパク質のレベルを
測定するアッセイ法は当業者によく知られている。こうしたアッセイ法として、
ラジオイムノアッセイ、競合結合アッセイ、ウエスタンブロット分析、ELISAア
ッセイなどがある。
【0040】 かくして、もう一つの態様において、本発明は、 (a) 本発明のポリヌクレオチド(好ましくは、配列番号1のヌクレオチド配列
)もしくはその断片、 (b) (a) のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、 (c) 本発明のポリペプチド(好ましくは、配列番号2のポリペプチド)もしく
はその断片、または (d) 本発明のポリペプチド(好ましくは、配列番号2のポリペプチド)に対す
る抗体、 を含む診断用キットに関する。
【0041】 このようなキットにおいて、(a) 、(b) 、(c) または (d)が実質的な構成成分
であることが理解されよう。かかるキットは疾患または疾患への罹りやすさ、特
に細菌、真菌、原生動物およびウイルス感染症、特にHIV-1またはHIV-2により引
き起こされる感染症;疼痛;癌;糖尿病、肥満;食欲不振;過食症;喘息;パー
キンソン病;急性心不全;低血圧;高血圧;尿停留;骨粗鬆症;狭心症;心筋梗
塞;卒中;潰瘍;喘息;アレルギー;良性前立腺肥大;片頭痛;嘔吐;不安、精
神分裂病、躁うつ、うつ病、せん妄、痴呆および重度の精神遅滞を含む精神病性
および神経系疾患;あるいはハンチントン病またはジル・ド・ラ・ツレット症候
群などの運動障害などを診断するうえで有用である。
【0042】 また、本発明のヌクレオチド配列は染色体の同定にも有用である。この配列は
個々のヒト染色体上の特定の位置をターゲッティングし、その特定位置とハイブ
リダイズすることができる。本発明に従って関連配列の染色体地図を作成するこ
とは、これらの配列と遺伝子関連疾患とを相関させるうえで重要な第一段階であ
る。ひとたび配列が正確な染色体位置にマッピングされたら、その染色体上のそ
の配列の物理的位置を遺伝地図データと相関させることができる。この種のデー
タは、例えば、V. McKusick, Mendelian Inheritance in Man (Johns Hopkins U
niversity Welch Medical Library からオンラインで入手可能) 中に見いだせる
。その後、同一の染色体領域にマッピングされた遺伝子と疾患との関係を連鎖解
析(物理的に隣接した遺伝子の共遺伝)により確認する。
【0043】 罹患個体と非罹患個体とのcDNAまたはゲノム配列の差異も調べることができる
。罹患個体の一部または全部に突然変異が観察されるが、どの正常個体にも観察
されない場合は、その突然変異が疾患の原因である可能性がある。
【0044】 本発明のポリペプチド、その断片もしくは類似体、またはそれらを発現する細
胞は、本発明のポリペプチドに免疫特異的な抗体を生産するための免疫原として
も使用することができる。「免疫特異的」とは、その抗体が従来技術における他
の関連ポリペプチドに対するその親和性よりも本発明のポリペプチドに対して実
質的に高い親和性を示すことを意味する。
【0045】 本発明のポリペプチドに対する抗体は、慣用のプロトコルを用いて、動物(好
ましくはヒト以外の動物)に該ポリペプチドまたはエピトープを含む断片、類似
体もしくは細胞を投与することにより得られる。モノクローナル抗体の調製には
、連続細胞系の培養物から抗体を産生させる任意の技法を用いることができる。
例を挙げると、ハイブリドーマ法 (Kohler, G.およびMilstein, C., Nature (19
75) 256:495-497)、トリオーマ法、ヒトB細胞ハイブリドーマ法 (Kozborら, Im
munology Today (1983) 4:72) およびEBV−ハイブリドーマ法 (Coleら, Monoclo
nal Antibodies and Cancer Therapy, pp.77-96, Alan R. Liss, Inc., 1985)
などがある。
【0046】 本発明のポリペプチドに対する一本鎖抗体をつくるために、米国特許第4,946,
778号に記載されるような一本鎖抗体の調製法を適応させることができる。また
、ヒト化抗体を発現させるために、トランスジェニックマウスまたは他の哺乳動
物を含む他の生物を利用することができる。
【0047】 前記の抗体を用いて、そのポリペプチドを発現するクローンを単離・同定した
り、アフィニティークロマトグラフィーでそのポリペプチドを精製することもで
きる。 本発明のポリペプチドに対する抗体は、とりわけ、前記疾患の治療に使用でき
る可能性がある。
【0048】 本発明の更なる態様において、本発明は、本発明のポリペプチドまたはその断
片と、各種サブクラス(IgG、IgM、IgA、IgE)の免疫グロブリンのH鎖またはL鎖
の定常領域の様々な部分と、を含んでなる遺伝子工学的に作製された可溶性融合
タンパク質に関する。免疫グロブリンとしてはヒトIgG、特にIgG1のH鎖の定常部
が好ましく、その場合は融合がヒンジ領域で起こる。特定例では、血液凝固Xa因
子で開裂され得る開裂配列を組み込むことで、Fc部分を簡単に除去できる。さら
に、本発明は、これら融合タンパク質の遺伝子工学的作製方法、ならびに薬物ス
クリーニング、診断および治療におけるそれらの使用に関する。また、本発明の
更なる態様はこのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドに関する
。融合タンパク質技術の例は国際特許出願 WO94/29458 およびWO94/22914に見い
だせる。
【0049】 本発明の更なる態様は哺乳動物において免疫学的応答を引き出す方法に関し、
この方法は、特に前記疾患から該動物を防御するための抗体および/またはT細
胞免疫応答を生ずるのに十分な本発明のポリペプチドを哺乳動物に接種すること
を含んでなる。本発明のさらに別の態様は、哺乳動物を前記疾患から防御する抗
体を産生させるような免疫学的応答を引き出すために、in vivo で本発明のポリ
ペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現を指令するベクターを介して該ポ
リペプチドを供給することを含んでなる、哺乳動物において免疫学的応答を引き
出す方法に関する。
【0050】 本発明の更なる態様は、哺乳動物宿主に導入したとき、その哺乳動物において
本発明のポリペプチドに対する免疫学的応答を引き出す免疫学的/ワクチン製剤
(組成物)に関し、この組成物は本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチド
を含有する。ワクチン製剤は適当な担体をさらに含んでいてもよい。ポリペプチ
ドは胃の中で分解される可能性があるので、非経口的に(例えば、皮下、筋肉内
、静脈内または皮内注射により)投与することが好ましい。非経口投与に適した
製剤としては、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤およびこの製剤を受容者の血液と等
張にする溶質を含みうる水性および非水性の無菌注射液、ならびに懸濁剤または
増大剤を含みうる水性および非水性の無菌懸濁液がある。こうした製剤は1回量
容器または数回量容器(例えば、密閉アンプルおよびバイアル)で提供すること
ができ、また、使用直前に無菌の液状担体を添加するだけでよい凍結乾燥状態で
保管することもできる。ワクチン製剤はこの製剤の免疫原性を増強するためのア
ジュバント系、例えば水中油型のアジュバント系や当業界で公知の他のアジュバ
ント系を含んでいてもよい。投与量はワクチンの比活性により変化するが、ルー
チンな実験操作により簡単に決定できる。
【0051】 本発明のポリペプチドは、多くの病状、特に前記疾患を含めて、さまざまな生
物学的機能に関与している。それゆえ、このポリペプチドの機能を刺激または抑
制する化合物を同定するスクリーニング法を開発することが望ましい。したがっ
て、更なる態様において、本発明は、このポリペプチドの機能を刺激または抑制
する化合物を同定するための化合物のスクリーニング法を提供する。一般的には
、前記疾患の治療および予防目的のためにアゴニストまたはアンタゴニストが使
用される。種々の供給源、例えば、細胞、無細胞調製物、化学物質ライブラリー
および天然産物の混合物から化合物を同定することができる。このように同定さ
れたアゴニスト、アンタゴニストまたはインヒビターは、場合により、該ポリペ
プチドの天然のまたは修飾された基質、リガンド、受容体、酵素などであってよ
く、また、その構造的または機能的なミメティックであってもよい(Coliganら,
Current Protocols in Immunology 1(2): Chapter 5 (1991)を参照のこと)。
【0052】 スクリーニング法では、本発明のポリペプチド、または該ポリペプチドを担持
する細胞もしくは膜、またはその融合タンパク質への候補化合物の結合を、候補
化合物に直接または間接的に結合された標識を用いて簡単に測定できる。あるい
はまた、スクリーニング法では標識した競合物質との競合を用いることもある。
さらに、こうしたスクリーニング法では、候補化合物がポリペプチドの活性化ま
たは抑制により生ずるシグナルを結果的にもたらすか否かを、該ポリペプチドを
担持する細胞に適した検出系を用いて試験することができる。一般的には、既知
のアゴニストの存在下で活性化のインヒビターをアッセイして、アゴニストによ
る活性化に候補化合物の存在が与える影響を調べる。アゴニストまたはインヒビ
ターの非存在下で、候補化合物がポリペプチドの活性化を抑制するか否かを調べ
ることによる逆アゴニストまたはインヒビターのスクリーニング法では、構成的
に活性のあるポリペプチドが用いられる。さらに、これらのスクリーニング法は
、候補化合物と本発明のポリペプチドを含む溶液とを混ぜ合わせて混合物をつく
り、この混合物中のGPR35A活性を測定し、そしてこの混合物のGPR35A活性をスタ
ンダードと比較する各ステップを単に含むだけでよい。本発明のポリペプチドの
アンタゴニストを同定する高効率スクリーニングアッセイでは、上記のようなFc
部分とGPR35Aポリペプチドから作製されるような融合タンパク質も使用すること
ができる(D. Bennettら, J. Mol. Recognition, 852-58 (1995) およびK. Johan
sonら, J. Biol. Chem., 270(16):94599471 (1995)を参照のこと)。
【0053】 あるスクリーニング技術は、受容体の活性化により引き起こされる細胞外のpH
変化または細胞内のカルシウム変化を測定する系における、本発明の受容体を発
現する細胞(例えば、トランスフェクトしたCHO細胞)の使用を含む。この技術
では、化合物を本発明の受容体ポリペプチドを発現する細胞と接触させ得る。次
に第2メッセンジャーの応答、例えばシグナル伝達、pH変化またはカルシウムレ
ベルの変化を測定し、その候補化合物が受容体を活性化するか阻害するかを判定
する。
【0054】 他の方法では、受容体介在型cAMPおよび/またはアデニル酸シクラーゼ蓄積の
抑制または刺激を測定することにより受容体インヒビターについてスクリーニン
グする。このような方法には、真核細胞を本発明の受容体でトランスフェクトし
、細胞表面上で該受容体を発現させることが含まれる。続いて該細胞を本発明の
受容体の存在下で潜在的なアンタゴニストに曝露する。次にcAMP蓄積量を測定す
る。潜在的なアンタゴニストが該受容体に結合し、それゆえ受容体結合を抑制し
ている場合、受容体介在型cAMP活性レベルまたはアデニル酸シクラーゼ活性レベ
ルは減少するかまたは上昇する。本発明の受容体のアゴニストまたはアンタゴニ
ストを検出する別の方法は、米国特許第5,482,835号に記載のような酵母に基づ
く技法である。
【0055】 また、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは該ポリペプチドに対す
る抗体を用いて、細胞内でのmRNAまたはポリペプチドの産生に及ぼす添加化合物
の作用を検出するためのスクリーニング法を組み立てることができる。例えば、
当業界で公知の標準方法によりモノクローナルまたはポリクローナル抗体を用い
て、ポリペプチドの分泌レベルまたは細胞結合レベルを測定するためのELISAア
ッセイを構築することができ、これは適切に操作された細胞または組織からのポ
リペプチドの産生を抑制または増強する物質(それぞれアンタゴニストまたはア
ゴニストともいう)の探索に用いることができる。
【0056】 膜に結合した受容体または可溶性の受容体が存在するのであれば、当業界で公
知の標準的な受容体結合法によりこの種の受容体を同定するために本発明のポリ
ペプチドを用いることができる。こうした受容体結合法には、限定するものでは
ないが、リガンド結合アッセイおよび架橋アッセイがあり、これらのアッセイで
は、ポリペプチドを放射性アイソトープ(例:125I)で標識するか、化学的に修
飾(例:ビオチニル化)するか、または検出や精製に適したペプチド配列に融合
させ、そして推定上の受容体源(細胞、細胞膜、細胞上清、組織抽出物、体液な
ど)とインキュベートする。その他の方法としては、表面プラズモン共鳴および
分光学のような生物物理的方法がある。これらのスクリーニング法は、該ポリペ
プチドの(存在するのであれば)その受容体への結合と競合する該ポリペプチド
のアゴニストまたはアンタゴニストを同定するために用いることもできる。スク
リーニングアッセイを行うための標準的な方法は当業界でよく理解されている。
【0057】 本発明のポリペプチドの潜在的なアンタゴニストの例としては、抗体、ある場
合には、該ポリペプチドのリガンド、基質、受容体、酵素などと密接な関係があ
るオリゴヌクレオチドもしくはタンパク質(例えば、リガンド、基質、受容体、
酵素などの断片)、または本発明のポリペプチドと結合するが応答を誘導しない
(それゆえ該ポリペプチドの活性を妨げる)小分子などがある。
【0058】 かくして、他の態様において、本発明は、本発明のポリペプチドのアゴニスト
、アンタゴニスト、リガンド、受容体、基質、酵素など、またはこの種のポリペ
プチドの産生を低下または増加させる化合物を同定するためのスクリーニングキ
ットに関し、このキットは、 (a) 本発明のポリペプチド、 (b) 本発明のポリペプチドを発現している組換え細胞、 (c) 本発明のポリペプチドを発現している細胞膜、または (d) 本発明のポリペプチドに対する抗体、 を含み、前記ポリペプチドは好ましくは配列番号2のポリペプチドである。
このようなキットにおいて、(a) 、(b) 、(c) または (d)が実質的な構成成分で
あることが理解されよう。
【0059】 当業者であれば、本発明のポリペプチドは、その構造に基づいて該ポリペプチ
ドのアゴニスト、アンタゴニストまたはインヒビターを設計する方法にも使用で
きることが容易に理解されよう。この方法は、 (a) 最初に該ポリペプチドの三次元構造を解析し、 (b) アゴニスト、アンタゴニストまたはインヒビターの有望と思われる反応部
位または結合部位の三次元構造を想定し、 (c) 想定された結合部位または反応部位と結合または反応すると予想される候
補化合物を合成し、そして (d) その候補化合物が実際にアゴニスト、アンタゴニストまたはインヒビター
であるか否かを調べる、 ことを含んでなる。これは通常反復プロセスであることがさらに理解されよう。
【0060】 更なる態様において、本発明は、GPR35Aポリペプチド活性の過剰発現と過少発
現のいずれかに関係した、例えば細菌、真菌、原生動物およびウイルス感染症、
特にHIV-1またはHIV-2により引き起こされる感染症;疼痛;癌;糖尿病、肥満;
食欲不振;過食症;喘息;パーキンソン病;急性心不全;低血圧;高血圧;尿停
留;骨粗鬆症;狭心症;心筋梗塞;卒中;潰瘍;喘息;アレルギー;良性前立腺
肥大;片頭痛;嘔吐;不安、精神分裂病、躁うつ、うつ病、せん妄、痴呆および
重度の精神遅滞を含む精神病性および神経系疾患;あるいはハンチントン病また
はジル・ド・ラ・ツレット症候群などの運動障害などの異常な状態の治療法を提
供する。
【0061】 該ポリペプチドの活性が過剰である場合は、いくつかのアプローチが利用可能
である。一つのアプローチは、例えば、リガンド、基質、受容体、酵素などの結
合をブロックすることにより、または第2のシグナルを抑制することで異常な状
態を軽減することにより、該ポリペプチドの機能を抑制するのに有効な量で、上
記のインヒビター化合物(アンタゴニスト)を場合により製剤学上許容される担
体とともに被験体に投与することを含んでなる。もう一つのアプローチでは、内
因性のポリペプチドとの競合状態でリガンド、基質、酵素、受容体などと結合す
る能力がまだある可溶性形態のポリペプチドを投与することができる。このよう
な競合物質の典型的な例はGPR35Aポリペプチドの断片である。
【0062】 さらに別のアプローチでは、発現阻止法を使って内因性GPR35Aポリペプチドを
コードする遺伝子の発現を抑制することができる。こうした公知技術は、体内で
産生されるかまたは別に投与されるアンチセンス配列の使用を必要とする(例え
ば、Oligodeoxynucleotides as Antisense Inhibitors of Gene Expression (遺
伝子発現のアンチセンスインヒビターとしてのオリゴデオキシヌクレオチド), C
RC Press, Boca Raton, FL (1988) 中のO'Connor, J. Neurochem (1991) 56:560
を参照のこと)。あるいはまた、この遺伝子と共に三重らせんを形成するオリゴ
ヌクレオチドを供給することもできる(例えば、Leeら, Nucleic Acids Res (19
79) 6:3073; Cooneyら, Science (1988) 241:456; Dervanら, Science (1991) 2
51:1360 を参照のこと)。これらのオリゴマーはそれ自体を投与することもでき
るし、関連オリゴマーをin vivo で発現させることもできる。
【0063】 GPR35Aおよびその活性の過少発現に関係した異常な状態を治療する場合も、い
くつかのアプローチを取ることができる。一つのアプローチは、治療に有効な量
の本発明ポリペプチドを活性化する化合物(すなわち、前記アゴニスト)を製剤
学上許容される担体とともに被験体に投与して、異常な状態を緩和することを含
んでなる。別法として、被験体の関連細胞においてGPR35Aを内因的に産生させる
ために遺伝子治療を用いることができる。例えば、上で述べたような複製欠損レ
トロウイルスベクターによる発現のために本発明のポリヌクレオチドを遺伝子操
作する。次にレトロウイルス発現構築物を単離し、本発明のポリペプチドをコー
ドするRNAを含有するレトロウイルスプラスミドベクターで形質導入されたパッ
ケージング細胞に導入する。その結果、パッケージング細胞は対象の遺伝子を含
有する感染性のウイルス粒子を産生するようになる。in vivo 細胞操作およびin
vivo ポリペプチド発現のために、これらのプロデューサー細胞を被験体に投与
する。遺伝子治療の概論に関しては、Human Molecular Genetics, T Strachanお
よび A P Read, BIOS Scientific Publishers Ltd (1996)中のChapter 20, Gene
Therapy and other Molecular Genetic-based Therapeutic Approaches(および
その中の引用文献) を参照のこと。もう一つのアプローチは治療量の本発明のポ
リペプチドを適当な製剤学上の担体とともに投与することである。
【0064】 更なる態様において、本発明は、治療に有効な量のポリペプチド(例えば、可
溶性形態の本発明ポリペプチド)、アゴニストもしくはアンタゴニストペプチド
、または小分子化合物を製剤学上許容される担体または賦形剤と共に含有する医
薬組成物を提供する。この種の担体としては、食塩水、生理食塩水、デキストロ
ース、水、グリセロール、エタノール、およびこれらの組合せがあるが、これら
に限らない。本発明はさらに、上記の本発明の組成物の1以上の成分を充填した
1以上の容器を含んでなる医薬パックおよびキットに関する。本発明のポリペプ
チドおよび他の化合物は単独で使用しても、他の化合物、例えば治療用化合物と
一緒に使用してもよい。
【0065】 医薬組成物は投与経路、例えば全身または経口による投与経路に適合させるこ
とができる。全身投与に適した形態は、注入、典型的には静脈内注射である。皮
下、筋肉内または腹腔内のような他の注入経路も使用できる。全身投与の別の手
段には、胆汁酸塩、フシジン酸、その他の界面活性剤などの浸透剤を用いた経粘
膜および経皮投与がある。さらに、本発明のポリペプチドまたは他の化合物を腸
溶剤またはカプセル剤として製剤化し得るのであれば、経口投与も可能である。
これらの化合物を軟膏、ペースト、ゲルなどの剤形で局所に投与しても、かつ/
または局在化させてもよい。
【0066】 必要な投与量範囲は、本発明のペプチドまたは他の化合物の選択、投与経路、
製剤の性質、被験体の状態、そして医師の判断に左右される。しかし、適当な投
与量は被験体の体重1kgあたり0.1〜100μgの範囲である。入手可能な化合物が
多様であること、投与経路の効率が異なることを考慮すれば、必要とされる投与
量は広範に変動することが予測される。例えば、経口投与は静注による投与より
も高い投与量を必要とすると予想されよう。こうした投与量レベルの変動は、当
業界でよく理解されているような、標準の経験的な最適化手順を用いて調整する
ことができる。
【0067】 治療に用いるポリペプチドは、上述したような「遺伝子治療」と称する治療法
において、被験体の体内で産生させることもできる。例えば、被験体由来の細胞
を、ポリペプチドをコードするDNAまたはRNAのようなポリヌクレオチドにより、
例えばレトロウイルスプラスミドベクターを用いて、ex vivo で遺伝子工学的に
操作する。その後、これらの細胞を被験体に導入する。
【0068】 ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの配列は、類似の相同性を有する別の配
列を同定する際の価値ある情報源を提供する。これは、こうした配列をコンピュ
ータ読み取り可能媒体中に保存し、次に保存したデータを用いてGCGなどの公知
の検索ツールにより配列データベースを検索することで最大限促進される。した
がって、更なる態様において、本発明は、配列番号1の配列を含むポリヌクレオ
チドおよび/またはそれによりコードされるポリペプチドを保存したコンピュー
タ読み取り可能媒体を提供する。 以下の定義は上記の説明中でしばしば用いられた用語を理解しやすくするため
のものである。
【0069】 本明細書中で用いる「抗体」には、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体
、キメラ抗体、一本鎖抗体、ヒト化抗体、さらにFabまたは他の免疫グロブリン
発現ライブラリーの産物を含むFabフラグメントが含まれる。
【0070】 「単離された」とは、天然の状態から「人間の手によって」改変されたことを
意味する。「単離された」組成物または物質が天然に存在するのであれば、それ
はそのもとの環境から変化しているか分離されており、またはその両方である。
例えば、生存している動物の体内に自然界で存在するポリヌクレオチドまたはポ
リペプチドは「単離された」ものではないが、その天然状態の共存物質から分離
されたポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、本明細書中で用いられるように
、「単離された」ものである。
【0071】 「ポリヌクレオチド」とは、一般に任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデ
オキシリボヌクレオチドをさし、これは修飾されていないRNAもしくはDNA、また
は修飾されたRNAもしくはDNAであり得る。「ポリヌクレオチド」には、制限する
ものではないが、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖領域と二本鎖領域が混じり合
ったDNA、一本鎖および二本鎖RNA、一本鎖領域と二本鎖領域が混じり合ったRNA
、DNAとRNAを含むハイブリッド分子(一本鎖でも、またはより典型的には二本鎖
でもよく、一本鎖領域と二本鎖領域が混じり合ったものでもよい)が含まれる。
加えて、「ポリヌクレオチド」はRNAまたはDNAまたはRNAとDNAの両方からなる三
重鎖領域を意味する。「ポリヌクレオチド」という用語はまた、1個以上の修飾
塩基を含有するDNAまたはRNA、および安定性または他の理由のために修飾された
骨格を有するDNAまたはRNAも含む。「修飾」塩基としては、例えば、トリチル化
された塩基およびイノシンのような特殊な塩基がある。DNAおよびRNAに対してさ
まざまな修飾を行うことができる。こうして、「ポリヌクレオチド」は、自然界
に一般的に存在するポリヌクレオチドの化学的、酵素的または代謝的に修飾され
た形態、ならびにウイルスおよび細胞に特徴的なDNAおよびRNAの化学的形態を包
含する。また、「ポリヌクレオチド」は、しばしばオリゴヌクレオチドと称され
る比較的短いポリヌクレオチドも包含する。
【0072】 「ポリペプチド」とは、ペプチド結合または修飾されたペプチド結合(すなわ
ち、ペプチドアイソスター)により互いに連結された2個以上のアミノ酸を含む
ペプチドまたはタンパク質を意味する。「ポリペプチド」は短鎖(通常はペプチ
ド、オリゴペプチドまたはオリゴマーという)と長鎖(一般的にはタンパク質と
いう)の両方をさす。ポリペプチドは20種類の遺伝子コード化アミノ酸以外の
アミノ酸を含んでもよい。「ポリペプチド」は、翻訳後プロセシングのような天
然のプロセスで、または当業界で公知の化学的修飾法のいずれかで修飾されたア
ミノ酸配列を含む。このような修飾は基本的な教科書、より詳細な学術論文およ
び研究文献に詳述されている。修飾はペプチド骨格、アミノ酸側鎖、アミノまた
はカルボキシル末端を含めてポリペプチドのどこでも行うことができる。同じタ
イプの修飾が所定のポリペプチドのいくつかの部位に同程度でまたはさまざまに
異なる程度で存在してもよい。また、所定のポリペプチドが多くのタイプの修飾
を含んでいてもよい。ポリペプチドはユビキチン化のために分枝していても、分
枝のある又はない環状であってもよい。環状の、分枝した、または分枝した環状
のポリペプチドは翻訳後の天然プロセスから生じることがあり、また、合成法に
よって製造することもできる。修飾としては、アセチル化、アシル化、ADP−リ
ボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチド
またはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホス
ファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合の形成、脱
メチル化、共有結合架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホ
ルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシ
ル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシン
グ、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化の
ようなタンパク質へのアミノ酸の転移RNA媒介付加、ユビキチン化などがある(
例えば、Proteins - Structure and Molecular Properties, 2nd Ed., T.E. Cre
ighton, W.H. Freeman and Company, New York, 1993; Posttranslational Cova
lent Modification of Proteins, B.C. Johnson編, Academic Press, New York,
1983中のWold, F., Post-translational Protein Modifications: Perspective
s and Prospects, pgs. 1-12; Seifterら, “Analysis for protein modificati
ons and nonprotein cofactors", Meth Enzymol (1990) 182:626-646; および R
attanら, “Protein Synthesis: Post-translational Modifications and Aging
", Ann NY Acad Sci (1992) 663:48-62 を参照のこと)。
【0073】 「変異体」とは、基準のポリヌクレオチドまたはポリペプチドと異なるが、不
可欠な性質を保持しているポリヌクレオチドまたはポリペプチドのことである。
典型的なポリヌクレオチドの変異体は基準ポリヌクレオチドとヌクレオチド配列
の点で相違する。この変異体のヌクレオチド配列の変化は、基準ポリヌクレオチ
ドによってコードされるポリペプチドのアミノ酸配列を変更しても、しなくても
よい。ヌクレオチドの変化は、以下で述べるように、基準配列によりコードされ
るポリペプチドのアミノ酸の置換、欠失、付加、融合および末端切断(トランケ
ーション)をもたらしうる。典型的なポリペプチドの変異体は基準ポリペプチド
とアミノ酸配列の点で相違する。一般的には、基準ポリペプチドの配列と変異体
の配列が全般的によく類似しており、多くの領域で同一となるような相違に限ら
れる。変異体と基準ポリペプチドは任意に組み合わせた1以上の置換、欠失、付
加によりアミノ酸配列が相違していてよい。置換または挿入されるアミノ酸残基
は遺伝子コードによりコードされるものであっても、なくてもよい。ポリヌクレ
オチドまたはポリペプチドの変異体はアレル変異体のように天然に存在するもの
でも、天然に存在することが知られていない変異体であってもよい。ポリヌクレ
オチドおよびポリペプチドの天然に存在しない変異体は、突然変異誘発法または
直接合成により作製することができる。
【0074】 当技術分野で知られた「同一性」とは、場合によりポリペプチド配列またはポ
リヌクレオチド配列の比較により決定される、2以上のかかる配列間の関連性の
ことである。当技術分野ではまた、「同一性」は、場合によりポリペプチド配列
またはポリヌクレオチド配列の鎖間のマッチ(match)により決定される、このよ
うな配列間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」は公知の方法により難な
く算出することができ、こうした方法として、例えば Computational Molecular
Biology, Lesk, A.M.編, Oxford University Press, New York, 1988; Biocomp
uting: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W. 編, Academic Press,
New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M
. and Griffin, H.G. 編, Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysi
s in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987; Sequence A
nalysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J. 編, M Stockton Press, New
York, 1991; および Carillo, H. and Lipman, D., SIAM J. Applied Math., 48
: 1073 (1988) に記載された方法があるが、これらに限らない。同一性を決定す
るための方法は、検討する配列間で最大級のマッチが得られるように設計される
。さらに、同一性を決定する方法は一般に入手可能なコンピュータプログラムに
編集されている。2配列間の同一性を決定するコンピュータプログラム法として
は、GCGプログラムパッケージ (Devereux, J.ら, Nucleic Acids Research 12(1
):387 (1984))、BLASTP、BLASTINおよびFASTA (Atschul, S.F.ら, J. Molec. Bi
ol. 215:403-410 (1990)) があるが、これらに限らない。BLAST XプログラムはN
CBIおよび他のソースから一般に入手可能である (BLAST Manual, Altschul, S.
ら, NCBI NLM NIH Bethesda, MD 20894; Altschul, S.ら, J. Mol. Biol. 215:
403-410 (1990))。公知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性の決定に使用す
ることができる。
【0075】 ポリペプチド配列を比較するための好適なパラメータは次のものを含む: 1)アルゴリズム:Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443-453 (1970); 比較マトリックス:BLOSSUM62 、Hentikoff and Hentikoff, Proc. Natl. Aca
d. Sci. USA, 89: 10915-10919 (1992) ギャップペナルティ:12 ギャップ長ペナルティ:4 これらのパラメータと共に役に立つプログラムは Genetics Computer Group(M
adison WI)から「ギャップ」プログラムとして一般に入手可能である。前記のパ
ラメータはペプチド比較のためのデフォルトパラメータである(末端ギャップの
ペナルティは無し)。
【0076】 ポリヌクレオチド配列を比較するためのパラメータは次のものを含む: 1)アルゴリズム:Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443-453 (1970); 比較マトリックス:マッチ=+10、ミスマッチ=0 ギャップペナルティ:50 ギャップ長ペナルティ:3 これらのパラメータと共に役に立つプログラムは Genetics Computer Group(M
adison WI)から「ギャップ」プログラムとして入手可能である。これらのパラメ
ータは核酸比較のためのデフォルトパラメータである。 ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの「同一性」の場合によっては好ましい
意味を以下の(1)および(2)に示す。
【0077】 (1) 更なるポリヌクレオチドの実施形態には、配列番号1の基準配列と少な
くとも50、60、70、80、85、90、95、97または100%の同一性を有するポリヌク
レオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチドが含まれる。該ポリヌクレオチ
ドは、配列番号1の基準配列と同一であるか、該基準配列と比較してある整数個
までのヌクレオチド変異を含んでいてもよい。該変異は少なくとも1個のヌクレ
オチドの欠失、置換(トランジションおよびトランスバージョンを含む)または
挿入よりなる群から選択され、こうした変異は基準ヌクレオチド配列の5'もしく
は3'末端位置、またはこれらの末端位置の間のどこに存在してもよく、基準配列
中のヌクレオチドの間に個々に、または基準配列内に1以上の連続するグループ
として介在することができる。ヌクレオチド変異の数は、配列番号1のヌクレオ
チドの総数に、100で割った同一性%を意味する整数値を掛け、その積を配列番
号1のヌクレオチドの総数から差し引くことにより、すなわち、次式: nn ≦xn −(xn・y) により求めることができる。式中、nnはヌクレオチド変異の数であり、xnは配
列番号1のヌクレオチドの総数であり、yは50%については0.50、60%について
は0.60、70%については0.70、80%については0.80、85%については0.85、90%
については0.90、95%については0.95、97%については0.97、100%については1
00などであり、・は乗法演算子の記号である。xnとyの非整数の積は、その積
をxnから引く前に、最も近似する整数に切り下げる。配列番号2のポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチド配列の改変は、そのコード配列にナンセンス、
ミスセンスまたはフレームシフト突然変異を生じさせ、それにより、こうした変
異後に該ポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドを改変させることが
できる。
【0078】 例として、本発明のポリヌクレオチド配列は配列番号2の基準配列と同一、す
なわち100%同一であっても、該基準配列と比較して同一性が100%未満となるよ
うな、ある整数個までのアミノ酸変異を含んでいてもよい。前記変異は少なくと
も1個の核酸の欠失、置換(トランジションおよびトランスバージョンを含む)
または挿入よりなる群から選択され、こうした変異は基準ポリヌクレオチド配列
の5'もしくは3'末端位置、またはこれらの末端位置の間のどこに存在してもよく
、基準配列中の核酸の間に個々に、または基準配列内に1以上の連続するグルー
プとして介在することができる。所定の同一性%についての核酸変異の数は、配
列番号2のアミノ酸の総数に、100で割った同一性%を意味する整数値を掛け、
その積を配列番号2のアミノ酸の総数から差し引くことにより、すなわち、次式
: nn ≦xn −(xn・y) により求めることができる。式中、nnはアミノ酸変異の数であり、xnは配列番
号2のアミノ酸の総数であり、yは例えば70%については0.70、80%については
0.80、85%については0.85などであり、・は乗法演算子の記号である。xnとy
の非整数の積は、その積をxnから引く前に、最も近似する整数に切り下げる。
【0079】 (2) ポリペプチドの実施形態には更に、配列番号2のポリペプチド基準配列
と少なくとも50、60、70、80、85、90、95、97、または100%の同一性を有する
ポリペプチドを含む単離されたポリペプチドが含まれる。該ポリペプチド配列は
、配列番号2の基準配列と同一であるか、該基準配列と比較してある整数個まで
のアミノ酸変異を含んでいてもよい。該変異は少なくとも1個のアミノ酸の欠失
、置換(保存的および非保存的アミノ酸置換を含む)または挿入よりなる群から
選択され、こうした変異は基準ポリペプチド配列のアミノもしくはカルボキシ末
端位置、またはこれらの末端位置の間のいずれに存在してもよく、基準配列中の
アミノ酸の間に個々に、または基準配列内に1以上の連続するグループとして介
在することができる。アミノ酸変異の数は、配列番号2のアミノ酸の総数に、10
0で割った同一性%を意味する整数値を掛け、その積を配列番号2のアミノ酸の
総数から差し引くことにより、すなわち、次式: na ≦xa −(xa・y) により求めることができる。式中、naはアミノ酸変異の数であり、xaは配列番
号2中のアミノ酸の総数であり、yは50%については0.50、60%については0.60
、70%については0.70、80%については0.80、85%については0.85、90%につい
ては0.90、95%については0.95、97%については0.97、100%については100など
であり、・は乗法演算子の記号である。xaとyの非整数の積は、その積をxa
ら引く前に、最も近似する整数に切り下げる。
【0080】 例として、本発明のポリペプチド配列は配列番号2の基準配列と同一、すなわ
ち100%の同一性であっても、該基準配列に対して、ある整数個までのアミノ酸
変異を含んで同一性%が100%未満であってもよい。前記変異は少なくとも1個
のアミノ酸の欠失、置換(保存的および非保存的アミノ酸置換を含む)または挿
入よりなる群から選択され、こうした変異は基準ポリペプチド配列のアミノもし
くはカルボキシ末端位置、またはこれらの末端位置の間のいずれに存在してもよ
く、基準配列中のアミノ酸の間に個々に、または基準配列内に1以上の連続する
グループとして介在することができる。所定の同一性%についてのアミノ酸変異
の数は、配列番号2のアミノ酸の総数に、100で割った同一性%を意味する整数
値を掛け、その積を配列番号2のアミノ酸の総数から差し引くことにより、すな
わち、次式: na ≦xa −(xa・y) により求めることができる。式中、naはアミノ酸変異の数であり、xaは配列番
号2中のアミノ酸の総数であり、yは例えば70%については0.70、80%について
は0.80、85%については0.85などであり、・は乗法演算子の記号である。xa
yの非整数の積は、その積をxaから引く前に、最も近似する整数に切り下げる
【0081】 「融合タンパク質」とは、2つの、しばしば無関係の、融合された遺伝子また
はその断片によりコードされるタンパク質のことである。一例として、EP-A-0 4
64には、免疫グロブリン分子の定常領域の様々な部分と他のヒトタンパク質また
はその一部とを含んでなる融合タンパク質が記載されている。多くの場合、治療
および診断における使用には、融合タンパク質の一部として免疫グロブリンFc
領域を使用することが有利であり、これにより例えば薬物速度論的性質が向上す
る(例えば、EP-A- 0232 262を参照のこと)。一方、いくつかの使用にとっては
、その融合タンパク質を発現させ、検出し、精製した後でFc部分を除去するこ
とが望ましいだろう。
【0082】 本明細書中に引用された、特許および特許出願明細書を含めた全ての刊行物は
、あたかも各刊行物が明確にかつ個々に示されているかのように、その全体を参
考としてここに組み入れるものとする。
【0083】実施例 GPR35を、潜在的な7回膜貫通受容体として公のデータベースから同定した。オ
リゴヌクレオチドを該クローンの5'末端および3'末端で設計した。5'プライマー
および3'プライマーを、ヒトゲノムDNAを鋳型として使用して、1kbの断片をPCR
にかけるのに使用した。そのPCR断片をpCR2.1ベクター中にサブクローニングし
、配列決定した。GPA35Aと公開されているGPR35とのヌクレオチド配列比較によ
り、2アミノ酸の相違が明らかになった。このクローニング法を2回実施して、ア
ミノ酸配列の変化を確かめた。
【0084】実施例1:哺乳動物細胞における発現 本発明の受容体を、ヒト胚腎293(HEK293)細胞または付着性dhfr CHO細胞の
いずれかにおいて発現させる。受容体の発現を最大にするために、pCDNまたはpC
DNA3ベクターへ挿入する前に、一般的には全ての5'および3'非翻訳領域(UTR)
を受容体cDNAから取り除く。これらの細胞をリポフェクションにより個々の受容
体cDNAでトランスフェクトし、400mg/mlのG418の存在下で選択する。選択の3週
間後に、個々のクローンを回収し、さらなる分析のために増殖させる。ベクター
のみでトランスフェクトしたHEK293細胞またはCHO細胞を陰性対照として使用す
る。個々の受容体を安定して発現している細胞系を単離するために、一般的に約
24個のクローンを選択し、ノーザンブロット分析により分析する。受容体mRNAは
、通常、分析したG418耐性クローンの約50%において検出可能である。
【0085】実施例2:結合アッセイおよび機能アッセイ用のリガンドバンク(bank) 200種を越える推定上の受容体リガンドのバンクがスクリーニングのために構
築された。このバンクには以下のものが含まれる。すなわち、ヒトの7回膜貫通
(7回膜貫通受容体)受容体を介して作用することが知られている伝達物質、ホル
モンおよびケモカイン;ヒト7回膜貫通受容体である受容体の推定上のアゴニス
トでありうる、天然に存在する化合物;非哺乳動物の生物学的に活性なペプチド
(哺乳動物の対応物は未だ同定されていない);ならびに天然には見出せないが未
知の天然リガンドと共に7回膜貫通受容体である受容体を活性化する化合物であ
る。このバンクは結合アッセイと機能(すなわち、カルシウム、cAMP、ミクロフ
ィジオメーター(microphysiometer)、卵母細胞電気生理学など、以下を参照)ア
ッセイの両方を用いて、既知のリガンドに対する該受容体を最初にスクリーニン
グするために使用される。
【0086】実施例3:リガンド結合アッセイ リガンド結合アッセイは受容体薬理学をつきとめるための直接的な方法を提供
し、またハイスループット方式にも適用が可能である。受容体の精製リガンドを
結合実験のために高い比活性( 50−2000 Ci/mmol )で放射性標識する。次に、
放射性標識化のプロセスがその受容体に対するリガンドの活性を低下させないこ
とを確かめる。緩衝液、イオン、pHおよびヌクレオチドのような他のモジュレー
ターについてのアッセイ条件を最適化し、膜および全細胞の両受容体源について
の実施可能な生じうるシグナル対ノイズ比を確立する。これらのアッセイのため
に、特異的受容体結合を、全結合放射能から、過剰の未標識競合リガンドの存在
下で測定した放射能を差し引いた値として定義する。可能であれば、2以上の競
合リガンドを用いて残留する非特異的な結合を確定する。
【0087】実施例4:アフリカツメガエル卵母細胞における機能アッセイ 本発明の受容体cDNAをコードする線状化プラスミドの鋳型からのキャッピング
されたRNA転写物を、標準的な手法に従い、in vitroでRNAポリメラーゼを使用し
て合成する。in vitroでの転写物を最終濃度0.2 mg/mlで水中に懸濁する。卵巣
葉(ovarian lobes)を成熟雌カエルから取り出し、ステージVの脱濾胞化卵母細胞
を得て、RNA転写物(10ng/卵母細胞)を微量注入装置を用いて50nlで単回注入す
る。2つの電極電位クランプを用いて、アゴニストへの暴露に応答した個々のア
フリカツメガエルの卵母細胞からの電流を測定する。室温でCa2+を含まないバー
ス(Barth's)培地中で記録を行う。このアフリカツメガエル系を使用して、活性
化するリガンドについての既知のリガンドおよび組織/細胞抽出物をスクリーニ
ングすることができる。
【0088】実施例5:ミクロフィジオメトリックアッセイ 多様な第二メッセンジャー系の活性化により、細胞から少量の酸が放出される
。この酸は主として細胞内のシグナル伝達プロセスを活気づけるために必要な代
謝活性が増強した結果として産出される。この細胞を取り巻く培地におけるpHの
変化は非常に小さいが、サイトセンサー(CYTOSENSOR)ミクロフィジオメーター(
Mole cular Devices Ltd., Menlo Park,CA)により検出できる。したがって、こ
のサイトセンサーは本発明のGタンパク質共役受容体のような、細胞内シグナル
伝達経路を利用するエネルギーに共役する受容体の活性化を検出することができ
る。
【0089】実施例6:抽出物/細胞上清スクリーニング 多くの哺乳動物受容体が存在するが、今のところ同一動物種(cognate)の活性
化リガンド(アゴニスト)は見つかっていない。したがって、これらの受容体に活
性なリガンドは、今日までに同定されたリガンドバンクには含まれていない可能
性がある。よって、本発明の7回膜貫通受容体である受容体もまた、天然のリガ
ンドを同定するために組織抽出物に対して機能的に(カルシウム、cAMP、ミクロ
フィジオメーター、卵母細胞電気生理学などの機能スクリーンを使用して)スク
リーニングされる。陽性の機能的な応答を示す抽出物を、活性化用リガンドが単
離され同定されるまで順次副分画化することができる。
【0090】実施例8:カルシウムおよびcAMP機能アッセイ HEK293細胞で発現された7回膜貫通受容体である受容体は、PLCおよびカルシウ
ムの動員活性化および/またはcAMPの刺激または阻害と機能的に共役することが
示された。受容体トランスフェクト細胞またはベクター対照細胞におけるHEK293
細胞中のベースのカルシウムレベルは、正常な100nM〜200nMの範囲で観察された
。組換え受容体を発現しているHEK293細胞を、フラ2を添加し、一日で150個よ
り多く選択したリガンドまたは組織/細胞抽出物をアゴニスト誘導カルシウム動
員について評価する。同様に、組換え受容体を発現しているHEK293細胞を標準的
なcAMP定量アッセイを用いて、cAMP産生の刺激または阻害について評価する。一
時的にカルシウムを動員する、またはcAMPの変動を示すアゴニストをベクター対
照細胞で試験し、このときの応答が受容体を発現しているトランスフェクト細胞
に特有なものであるかどうかを決定する。
【0091】配列フリーテキスト 配列情報 配列番号1
【0092】 配列番号2
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12P 21/02 C 4H045 5/10 C12Q 1/68 A C12P 21/02 G01N 33/15 Z C12Q 1/68 33/50 Z G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 5/00 A Fターム(参考) 2G045 AA25 AA35 AA40 BB20 CB01 DA12 DA13 DA14 DA36 DA77 FB02 FB03 FB07 4B024 AA01 BA63 CA04 DA02 DA03 EA04 GA11 HA01 4B063 QA01 QQ43 QQ53 QQ79 QR32 QR55 QS32 4B064 AG20 CA10 CA19 CC24 DA01 4B065 AA90X AA93X AA93Y AB01 BA02 CA24 CA25 CA44 CA46 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 CA40 DA50 EA20 FA74

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下のポリペプチド: (i) 配列番号2の全長にわたって配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも以
    下の同一性: (a) 70%同一性、 (b) 80%同一性、 (c) 90%同一性、または (d) 95%同一性、 を有する群より選択されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド、 (ii) 配列番号2のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド、あるいは (iii) 配列番号2のアミノ酸配列である単離されたポリペプチド、 からなる群より選択される単離されたポリペプチド。
  2. 【請求項2】 以下のポリヌクレオチド: (i) 配列番号2の全長にわたって配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも以
    下の同一性: (a) 70%同一性、 (b) 80%同一性、 (c) 90%同一性、または (d) 95%同一性、 を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌク
    レオチド、 (ii) 配列番号2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の全長にわた
    って少なくとも以下の同一性: (a) 70%同一性、 (b) 80%同一性、 (c) 90%同一性、または (d) 95%同一性、 を有するヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチド、 (iii) 配列番号1の全長にわたって配列番号1のヌクレオチド配列と少なく
    とも以下の同一性: (a) 70%同一性、 (b) 80%同一性、 (c) 90%同一性、または (d) 95%同一性、 を有するヌクレオチド配列を含む単離されたポリヌクレオチド、 (iv) 配列番号2のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離さ
    れたポリヌクレオチド、 (v) 配列番号1のポリヌクレオチドである単離されたポリヌクレオチド、 (vi) ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1の配
    列またはその断片を有する標識化プローブを用いて、適切なライブラリーをスク
    リーニングすることにより得ることのできる単離されたポリヌクレオチド、 あるいは前記単離されたポリヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列、 からなる群より選択される単離されたポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリペプチドに対して免疫特異的な抗体。
  4. 【請求項4】 被験体を治療する方法であって、 (i) 請求項1記載のポリペプチドの増強された活性または発現を必要とした
    場合に、 (a) 治療上有効な量の、前記ポリペプチドに対するアゴニストを該被験体
    に投与すること、および/または (b) 前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む単離されたポ
    リヌクレオチドを、in vivoで該ポリペプチド活性を生じさせるような形態で被
    験体に投与すること、あるいは (ii) 請求項1記載のポリペプチドの活性または発現を抑制する必要がある場
    合に、 (a) 治療上有効な量の、前記ポリペプチドに対するアンタゴニストを被験
    体に投与すること、および/または (b) 前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の発現を抑制する核
    酸分子を被験体に投与すること、および/または (c) 前記ポリペプチドと、そのリガンド、基質もしくは受容体について競
    合する治療上有効な量のポリペプチドを被験体に投与すること、 を含む、前記治療方法。
  5. 【請求項5】 被験体において請求項1に記載のポリペプチドの発現または
    活性に関連した該被験体の疾病または該疾病への罹りやすさを診断する方法であ
    って、 (a) 該被験体のゲノム中の該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に突
    然変異があるか否かを調べること、および/または (b) 該被験体から得られたサンプルにおいて該ポリペプチド発現の存在または
    その量を分析すること、 を含む、前記診断方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のポリペプチドの機能を刺激または抑制する
    化合物を同定するためのスクリーニング法であって、 (a) 候補化合物と、該ポリペプチド(または該ポリペプチドを担持している細
    胞もしくはその膜)あるいはその融合タンパク質との結合を、該候補化合物に直
    接または間接的に結合させた標識により測定すること、 (b) 候補化合物と、該ポリペプチド(または該ポリペプチドを担持している細
    胞もしくはその膜)あるいはその融合タンパク質との結合を、標識した競合物質
    の存在下で測定すること、 (c) 候補化合物が該ポリペプチドの活性化または抑制により産生されるシグナ
    ルをもたらすか否かを、該ポリペプチドを担持している細胞または細胞膜に適し
    た検出系を用いて調べること、 (d) 候補化合物と、請求項1に記載のポリペプチドを含有する溶液とを一緒に
    して混合物を調製し、該混合物中の該ポリペプチドの活性を測定し、該混合物の
    活性をスタンダードと比較すること、および (e) 候補化合物が細胞における該ポリペプチドをコードするmRNAおよび該ポリ
    ペプチドの産生に及ぼす効果を、ELISAアッセイなどを用いて検出すること、 からなる群より選択される方法を含む、前記スクリーニング法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニ
    スト。
  8. 【請求項8】 発現系が適合性の宿主細胞内に存在する場合、請求項1に記
    載のポリペプチドを産生する能力のあるポリヌクレオチドを含有する発現系。
  9. 【請求項9】 組換え宿主細胞の生産方法であって、請求項8記載の発現系
    を用いて細胞を形質転換またはトランスフェクトし、該宿主細胞が適切な培養条
    件下で、配列番号2の全長にわたって配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも70
    %の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを産生するようにさせるこ
    とを含む、前記生産方法。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の方法で生産された組換え宿主細胞。
  11. 【請求項11】 配列番号2の全長にわたって配列番号2のアミノ酸配列と
    少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する、
    請求項10記載の組換え宿主細胞の膜。
  12. 【請求項12】 ポリペプチドを産生させるのに十分な条件下で、請求項1
    0に記載の宿主細胞を培養し、この培地から該ポリペプチドを回収することを含
    む、ポリペプチドの生産方法。
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