JPWO2005100467A1 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

無機物等の改質剤の分散性を向上し得るとともに、改質剤を配合した場合でも耐酸性の低下を招かない樹脂組成物を提供する。シアノ基含有有機層を有する基材と、有機樹脂とを含んで構成される樹脂組成物。当該組成物は、シアノ基を有しない有機層を有する基材を使用した有機樹脂と比べ、極めて耐酸性に優れている。

Description

本発明は、樹脂組成物に関し、さらに詳述すると、シアノ基含有有機層をその表面に有する基材を配合してなる樹脂組成物に関する。
従来、有機樹脂は、フィルムやその他の成形品に加工され、各種用途に用いられている。
この場合、成形加工品の物性を高めたり、成形加工品に特殊な機能を発現させたりするため、有機樹脂中に改質剤である無機物等を添加することがしばしば行われる。このように有機樹脂中に改質剤を添加してなる組成物からなる成形加工品は、改質剤と有機物とが有する特徴的な性質が複合されているという利点を有するため、広範囲な分野で用いられている。
ところで、ベースとなる樹脂等に無機物等の改質剤を配合する場合、その分散性が不充分であると、ベース樹脂中へ改質剤を高充填することが困難になる結果、目的とする物性の向上が不充分となる。このため、樹脂と改質剤との親和性、改質剤のベース樹脂中における分散性等を高めることが極めて重要となる。
特に無機物は、一般的に樹脂中における分散性等に乏しいため、これを樹脂等に配合して用いる必要がある場合には、ボールミル等を用いて機械的に分散させたり、界面活性剤やコロイダルシリカ等の分散剤を併用して分散性を高めたりすることが多い。
しかしながら、機械的に分散させる方法では分散の程度に限界があり、一方、分散剤を添加してベース樹脂中における無機物の分散性を向上させる方法は、簡便ではあるものの、分散剤の添加により、成形品における誘電率の増加、耐熱性の低下等を招来するという問題がある。
これらの問題点に鑑み、無機物の表面を改質処理して、樹脂に対する分散性を向上させる試みがなされている。この無機物の表面改質処理の中で汎用されているものの1つに、無機物の表面を有機化合物でコーティングする方法がある。
この方法では、無機物の表面に対する有機化合物の接着性が重要となってくることから、その接着性を高めるべく、無機物の表面に存在する、または表面修飾により導入した官能基と反応し得る官能基を有する化合物、例えば、シランカップリング剤等を使用し、化学結合により強固なコーティングを施す方法が用いられている(特許文献1:特開昭61−275359号公報、特許文献2:特開昭63−258958号公報参照)。
しかし、これらの従来法では、無機物の表面上に強固なコーティングを容易に形成し得るものの、得られた無機物の溶媒や有機樹脂に対する分散性が充分であるとは言い難かった。
そこで、近年、無機物表面をポリマー層でコーティングし、無機物の溶媒や樹脂に対する分散性を向上させる試みがなされている(特許文献3:特開昭57−102959号公報、特許文献4:特開平5−295294号公報、特許文献5:特開平5−295052号公報参照)。
しかしながら、これらの方法で得られた表面処理無機物では、グラフト重合の効率が低いなどの理由から、得られた無機物表面のポリマー層の厚みが充分であるとは言えなかった。このため、表面にポリマー層を形成することによる、高誘電率、低耐酸性等の無機物が本来有する性質に対する抑制効果が不充分であった。つまり、分散性の向上により高充填が可能となる一方で、得られた成形品等において耐酸性の低下や、誘電率の向上等の新たな問題が生じていた。ちなみに電子材料分野では高誘電率は電気の導電を起こすことから低誘電率が求められている。またエッチング処理を行うため、高い耐酸性を有していることは必須の条件である。
特開昭61−275359号公報 特開昭63−258958号公報 特開昭57−102959号公報 特開平5−295294号公報 特開平5−295052号公報
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、無機物等の改質剤の分散性を向上し得るとともに、改質剤を配合した場合でも耐酸性の低下を招かない樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、シアノ基含有有機層を有する基材が、有機樹脂に対して良好な分散性を有し、界面活性剤等の分散剤を添加しなくても無機物等を有機樹脂中に高充填し得ること、およびシアノ基含有有機層を有する基材を配合すると、シアノ基を含まない有機層を有する基材を配合した場合に比べて組成物の耐酸性を著しく向上し得ること、を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1.シアノ基含有有機層を有する基材と、有機樹脂とを含んで構成されることを特徴とする樹脂組成物、
2. 前記シアノ基含有有機層を構成する有機物1分子中のシアノ基当量が、50〜5,000であることを特徴とする1の樹脂組成物、
3.前記基材が、当該基材に対して少なくとも0.3質量%のシアノ基含有有機層を有することを特徴とする1または2の樹脂組成物、
4.前記樹脂組成物を塩化水素20質量%水溶液中に5分間浸漬して酸処理した際の重量減少率と、前記樹脂組成物中の前記基材に代えて、シアノ基含有有機層を有しない基材を基材基準で同量添加した組成物(未処理基材添加組成物)を前記酸処理した際の重量減少率とが、樹脂組成物の重量減少率(質量%)/未処理基材添加組成物の重量減少率(質量%)<0.10を満たすことを特徴とする1〜3のいずれかの樹脂組成物、
5.前記シアノ基含有有機層が、基材と化学結合していることを特徴とする1〜4のいずれかの樹脂組成物、
6.前記基材が、無機物であることを特徴とする1〜5のいずれかの樹脂組成物、
7.前記無機物が、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属珪酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属珪酸塩および金属炭酸塩からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする6の樹脂組成物、
8.前記無機物が、金属水酸化物であることを特徴とする7の樹脂組成物、
9.前記金属水酸化物が、水酸化マグネシウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウムからなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする8の樹脂組成物、
10.前記基材が、平均粒径1nm〜100μmの粒子であることを特徴とする1〜9のいずれかの樹脂組成物、
11.前記シアノ基含有有機層の少なくとも一部が、(メタ)アクリロニトリル由来の層であることを特徴とする1〜10のいずれかの樹脂組成物、
12.前記シアノ基含有有機層が、イオン性液体を含む溶媒中で形成されたことを特徴とする1〜11のいずれかの樹脂組成物、
13.前記シアノ基含有有機層が、ポリマー層であることを特徴とする1〜12のいずれかの樹脂組成物、
14.前記ポリマー層が、グラフト重合により形成された層であることを特徴とする13の樹脂組成物、
15.前記ポリマー層が、数平均分子量1,000〜5,000,000の高分子からなる層であることを特徴とする13または14の樹脂組成物、
16.前記ポリマー層が、平均1nm以上の厚みを有することを特徴とする13〜15のいずれかの樹脂組成物
を提供する。
本発明によれば、シアノ基含有有機層を有する基材を有機樹脂中に配合してなる組成物であるから、基材の有機樹脂中における分散性が良好となる。このため、界面活性剤等の分散剤を添加しなくても無機物を有機樹脂中に高充填することができるから、分散剤の添加による組成物の耐熱性低下や誘電率増加等の物理的性質の低下を回避することができる。
また、シアノ基含有有機層を有する基材を有機樹脂中に配合しているため、シアノ基を有しない有機層を有する基材を使用した場合と比べ、当該組成物の耐酸性を著しく向上させることができる。
さらに、このシアノ基含有有機層をグラフト重合により形成すれば、層の厚みが増大し、従来、無機物等の改質剤を有機樹脂等に多量に添加することに伴って生じていた、耐酸性の低下をも効率的に抑制することができる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る樹脂組成物は、シアノ基含有有機層を有する基材と、有機樹脂とを含んで構成されるものである。
本発明における基材としては、特に限定されるものではなく、有機物、無機物のどちらでもよい。
無機物としては、特に限定されるものではないが、酸と反応して水素を発生し溶ける性質を持つ金属類または金属化合物類等であることが好ましい。例えば、炭酸カルシウム,炭酸バリウム,炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩、珪酸カルシウム,珪酸バリウム,珪酸マグネシウム等のアルカリ土類金属珪酸塩、リン酸カルシウム,リン酸バリウム,リン酸マグネシウム等のアルカリ土類金属リン酸塩、硫酸カルシウム,硫酸バリウム,硫酸マグネシウム等のアルカリ土類金属硫酸塩、シリカ,酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化亜鉛,酸化鉄,酸化チタン,酸化コバルト,酸化ニッケル,酸化マンガン,酸化アンチモン,酸化スズ、酸化カルシウム、酸化カリウム等の金属酸化物、水酸化鉄,水酸化ニッケル,水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム,水酸化クロム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛等の金属水酸化物、珪酸亜鉛,珪酸アルミニウム,珪酸銅等の金属珪酸塩、炭酸亜鉛,炭酸アルミニウム,炭酸コバルト,炭酸ニッケル,塩基性炭酸銅等の金属炭酸塩等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
中でも、本発明の組成物(からなる成形体)に、電子材料、塗料材料、繊維処理剤等の用途で用いる場合に好適な機能性を付与することを考慮すると、シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化カルシウム、酸化カリウム等の無機(水)酸化物を用いることが好ましく、より好ましくは、加熱により脱水作用を発揮することから上記分野で難燃剤として用いられている水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム等の無機水酸化物が好適である。
無機物の形状としては、組成物の用途によっても異なるため一概には規定できないが、組成物中における無機物の分散性、成形性および比表面積に比例するという難燃性向上効果(「高分子の難燃化技術」(シーエムシー出版)」)等を考慮すると、平均粒径1nm〜100μm、好ましくは10nm〜50μm、より好ましくは30nm〜30μmの粒子であることが好適である。
有機物としては、特に限定されるものではなく、後に詳述する有機樹脂で例示する各種樹脂と同様の樹脂からなる有機ポリマー粒子等が挙げられ、この場合、平均粒径1nm〜100μm、好ましくは10nm〜50μm、より好ましくは30nm〜30μmの球状または略球状粒子であることが好適である。
なお、以上において、平均粒径は、粒度分析計(9340−UPA150、日機装(株)製)による測定値である。
基材表面に有機層を形成するにあたっては、基材自体が有する官能基を基にして有機層を形成することもできるが、予め反応性官能基を持つ化合物で基材表面を修飾しておくことが好ましい。
この反応性官能基としては、有機層の形成方法により適宜選択すればよく、例えば、α,β−不飽和カルボニル基、α,β−不飽和シアノ基、ハロゲン化ビニル基、ハロゲン化ビニリデン基、芳香族ビニル基、複素環式ビニル基、共役ジエン、カルボン酸ビニルエステルのような重合性不飽和結合を有する基、カルボキシル基、カルボニル基、エポキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、アミド基、シアノ基、アミノ基、エポキシ基、クロロメチル基、グリシジルエーテル基、リチオ基、エステル基、ホルミル基、ニトロ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基等が挙げられる。
これらの反応性官能基を持つ化合物で基材を修飾する方法としては、公知の種々の方法を採用できるが、導入する官能基に応じた表面処理剤で基材処理する方法が簡便であることから好適に用いられる。
表面処理剤としては、例えば、オレイン酸等の不飽和脂肪酸、オレイン酸ナトリウム,オレイン酸カルシウム,オレイン酸カリウム等の不飽和脂肪酸金属塩、不飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エ−テル、界面活性剤、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン,メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,n−オクタデシルメチルジエトキシシラン,ドデシルトリメトキシシラン,2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン,2−(4−クロロスルフォニル)エチルトリメトキシシラン、トリエトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン,フェネチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において、基材表面に存在するシアノ基含有有機層を構成する有機物1分子中のシアノ基当量は、特に限定されるものではないが、当該基材を含む組成物の耐酸性の向上効果を考慮すると、50〜5,000程度が好ましく、用途に応じて好ましくは55〜1,500、より好ましくは60〜600、最適は100〜300である。このシアノ基は開始剤に由来するものでも構わない。なお、当量とは化学反応における物質の量的関係に基づいて化合物ごとに割り当てた一定量を示すものであり、例えば本発明においては、1分子あたり(高分子の場合は平均)のCN基1molあたりの化学式量を表す。
また、基材が、当該基材に対して少なくとも0.3質量%のシアノ基含有有機層を有することが好ましく、分散性および耐酸性を考慮すると、より好ましくは0.5質量%以上、最適は1.0質量%以上である。なお、シアノ基含有有機層の質量%は、密度計(アキュビック1330、(株)島津製作所製:ヘリウム雰囲気下)による密度の測定値から、有機層を有する基材1cm3中の有機層の体積と基材1cm3の体積を求め、それらの値から求めた計算値である。
本発明におけるシアノ基含有有機層としては、CN基を含有する有機化合物に由来する層であれば特に限定されるものではない。例えば、(メタ)アクリロニトリル、へキセンニトリル、4−ペンテンニトリル、p−シアノスチレン、アジポニトリル、4−シアノ−N−アセチルフェニルアラニンシアノアセトアルデヒドジメチルアセタール、4−シアノアニリン、2−シアノエタノール−1−(シアノエチルアミノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾリウムトリメリテート、シアノグアニジン、シアノコバラミン、シアノ酢酸、シアノ酢酸エチル、シアノ酢酸メチル、α−シアノトルエン、2−シアノ−4−ニトロアニリン、4−シアノ−4′−ヒドロキシビフェニル、4′−シアノビフェニル−4−オール、2−シアノピラジン、シアノピリジン、p−シアノフェニルアラニン、シアノプロピオンアルデヒドジメチルアセタール等に由来する層が挙げられるが、安価であることや反応性等を考慮すると、シアノ基含有有機層の少なくとも一部が、(メタ)アクリロニトリルに由来する層であることが好ましい。
なお、「由来する層」とは、上記各低分子化合物からなる低分子有機化合物層および上記各低分子化合物を単独重合またはシアノ基含有有機化合物同士でもしくはその他の重合性モノマーと共重合させてなるポリマー層の双方を含む概念である。また、本発明においては基材表面で架橋構造を形成するポリマー層を用いることもできる。
このように、シアノ基含有有機層としては、低分子化合物からなる層でも、高分子化合物からなる層でもよいが、有機樹脂中における基材の分散性や、当該組成物の耐酸性をより一層高めることを考慮すると、高分子化合物からなるポリマー層であることが好ましい。
このポリマー層を構成する高分子化合物の数平均分子量(Mn)は、ポリマー層の厚みやグラフト密度よって変動するものであるため一概には規定できないが、通常、1,000〜5,000,000、好ましくは2,500〜4,500,000、より好ましくは5,000〜3,000,000、より一層好ましくは10,000〜1,000,000である。なお、数平均分子量はゲル濾過クロマトグラフィーによる測定値である。
有機層としてポリマー層を使用する場合、その厚みとしては、特に限定されるものではないが、組成物等に充分な耐酸性を付与することを考慮すると、好ましくは平均1nm以上、より好ましくは2nm以上、より一層好ましくは3nm以上である。なお、ポリマー層の厚みは、密度計(アキュビック1330、(株)島津製作所製:ヘリウム雰囲気下)による密度の測定値から、ポリマー層を有する基材1cm3中のポリマー層の体積、基材1cm3の体積および全表面積を求め、それらの値から求めた計算値である。
本発明において、上記シアノ基含有有機化合物は、基材自体に存在する官能基、または上述した基材に導入した反応性官能基と、共有結合、水素結合、配位結合等の化学結合または物理的な結合により結合させることで、有機層とすることができる。基材と有機化合物との反応は、結合の種類に応じて公知の手法から適宜選択すればよい。
特に、基材表面をポリマー層で覆う手法としては、例えば、スプレードライヤー法、シード重合法、ポリマーの基材への吸着法、ポリマーと粒子とを化学的に結合させるグラフト重合法等が挙げられる。中でも(A)比較的厚く、かつ、長時間溶媒中で分散させた場合でも溶け出しにくい有機層を形成することができる、(B)モノマーの種類を代えることにより、多様な表面特性を付与することができる、(C)基材表面に導入した重合開始基を基に重合を行えば、高い密度でのグラフト化が可能であることなどから、グラフト重合を用いることが好適である。
この場合、グラフト鎖によるポリマー層の形成方法としては、重合により予めグラフト鎖を調製した後、これを基材表面へ化学結合させる方法、基材の表面でグラフト重合を行う方法が挙げられ、どちらを用いてもよい。特に、基材表面におけるグラフト鎖の密度を増加させることを考慮すると、立体障害等の影響を受けにくい後者の方法を用いることが好適である。
なお、基材とグラフト鎖との化学結合としても、共有結合、水素結合、配位結合等が挙げられる。
グラフト重合反応としては、ラジカル重合,イオン重合,酸化アニオン重合,開環重合などの付加重合、脱離重合,脱水素重合,脱窒素重合などのポリ縮合、ポリ付加,重付加,異性化重合,転移重合などの水素移動重合、付加縮合等が挙げられるが、簡便であるとともに経済性に優れ、種々の高分子の工業的な合成に多く用いられているという点から、特に、ラジカル重合が好ましい。また、グラフト鎖の分子量および分子量分布またはグラフト密度の制御を行う場合は、リビングラジカル重合を用いることもできる。
なお、リビングラジカル重合は、(i)ドーマント種P−Xの共有結合が熱や光などにより可逆的に切断され、PラジカルとXラジカルとに解離して活性化されて重合が進む解離−結合機構、(ii)P−Xが遷移金属錯体の作用によって活性化されて重合が進む原子移動機構(ATRP)、(iii)P−Xが他のラジカルと交換反応を起こして重合が進む交換連鎖移動機構、の3種類に大別されるが、本発明においてはいずれを用いることもできる。
グラフト重合を行う場合、シアノ基含有有機化合物と、その他のグラフト重合可能なモノマーとを共重合させることもでき、このグラフト重合可能なモノマーとしては、グラフト重合において反応可能な官能基を有する化合物であれば特に限定されるものではない。
例えば、ラジカル重合反応を用いる場合、反応性不飽和(二重)結合を有するモノマーであり、具体的には、スチレン,o−メチルスチレン,m−メチルスチレン,p−メチルスチレン,α−メチルスチレン,p−エチルスチレン,2,4−ジメチルスチレン,p−n−ブチルスチレン,p−t−ブチルスチレン,p−n−ヘキシルスチレン,p−n−オクチルスチレン,p−n−ノニルスチレン,p−n−デシルスチレン,p−n−ドデシルスチレン,p−メトキシスチレン,p−フェニルスチレン,p−クロルスチレン,3,4−ジクロルスチレンなどのスチレン類、アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸n−ブチル,アクリル酸イソブチル,アクリル酸プロピル、アクリル酸ヘキシル,アクリル酸2−エチルヘキシル,アクリル酸n−オクチル,アクリル酸ドデシル,アクリル酸ラウリル,アクリル酸ステアリル,アクリル酸2−クロルエチル,アクリル酸フェニル,α−クロルアクリル酸メチル,メタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸n−ブチル,メタクリル酸イソブチル,メタクリル酸プロピル,メタクリル酸ヘキシル,メタクリル酸2−エチルヘキシル,メタクリル酸n−オクチル,メタクリル酸ドデシル,メタクリル酸ラウリル,メタクリル酸ステアリルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,安息香酸ビニル,酪酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類、ビニルメチルエーテル,ビニルエチルエーテル,ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン,ビニルヘキシルケトン,メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、N−ビニルピロール,N−ビニルカルバゾール,N−ビニルインドール,N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物、フッ化ビニル,フッ化ビニリデン,テトラフルオロエチレン,ヘキサフルオロプロピレン、アクリル酸トリフルオロエチル,アクリル酸テトラフルオロプロピレンなどのフッ素アルキル基を有する化合物等が挙げられ、これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、モノマーの反応性を考慮すると、ビニル基系および/または(メタ)アクリル基系のモノマーやコポリマーまたはポリマーを用いることが好ましい。
また、ラジカル重合を使用する場合、反応性不飽和(二重結合)を2個以上有するモノマーを用いれば、架橋構造を有する重合体も製造することができる。このようなモノマーとしては特に限定されるものではなく、例えば、ジビニルベンゼン,ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート,トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセロールアクリロキシジメタクリレート、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルフォン等の化合物が挙げられ、これらは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、ビニル基系および/または(メタ)アクリル基系のモノマーやコポリマーを用いることが好ましい。
なお、ラジカル重合を行う際に用いる重合開始剤としては、公知の種々のものを用いることができ、例えば、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸ナトリウム,過硫酸カリウム,過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル,アゾビスメチルブチロニトリル,アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物などが挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
また、ラジカル重合以外のその他の重合法を用いる場合、例えば、ギ酸,酢酸,プロピオン酸,酪酸,吉草酸,シュウ酸,マロン酸,コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,マレイン酸,フマル酸,フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,塩化アセチル,塩化ベンゾイル等のカルボン酸またはカルボン酸誘導体、硫酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機酸または無機塩基、メタノール,エタノール,フェノール,メチルフェノール,ニトロフェノール,ピクリン酸,エチレングリコール,グリセロール等のアルコール類、臭化エチル,(S)−3−ブロモー3−メチルヘキサン,クロロメタン等のハロゲン化有機化合物、エチルアミン,アミノエタン,2−アミノペンタン,3−アミノブタン酸,アニリン,p−ブロモアニリン,シクロヘキシルアミン,アンモニア,アセトアミド,p−トルイジン,p−ニトロトルエン等のアミン系化合物、ホルムアルデヒド等をシアノ基含有有機化合物とともに用いることができるが、これらに限定されるものではない。なお、これらの化合物の1種または2種以上からなるコポリマーまたはポリマーを用いることもできる。
グラフト重合条件は特に限定されるものではなく、使用するモノマー等に応じて公知の種々の条件を用いればよい。
例えば、基材表面でラジカル重合を行ってグラフト化する場合を例に挙げると、基材上に導入された反応性官能基0.1molに対し、シアノ基含有有機化合物を含む重合性モノマーの量は1〜300molであり、重合開始剤の使用量は、通常、0.005〜30molである。また、重合温度は、通常、−20〜1000℃であり、重合時間は、通常、0.2〜72時間である。
なお、グラフト重合を行うに際しては、分散剤、安定剤、乳化剤(界面活性剤)などの各種添加剤を、必要に応じて重合反応系内に加えることもできる。
グラフト重合により形成されるポリマー層は、上記のように基材表面でグラフト化して形成するだけでなく、先にも述べたように、予め形成したポリマーを基材表面上の反応性官能基と反応させてこれを導入して形成することもできる。
この場合、基材とポリマーとの反応方法は、例えば、脱水反応、求核置換反応、求電子置換反応、求電子付加反応、吸着反応等が挙げられる。
重合反応に用いられる溶媒としては、特に限定されるものではなく、一般的な高分子合成で使用されている各種溶媒から適宜選択して用いればよい。具体的には、例えば、水、メタノール,エタノール,1−プロパノール,2−プロパノール,1−ブタノール、2−ブタノール,i−ブチルアルコール,t−ブチルアルコール,1−ペンタノール,2−ペンタノール,3−ペンタノール,2−メチル−1−ブタノール,i−ペンチルアルコール,t−ペンチルアルコール,1−ヘキサノール,2−メチル−1−ペンタノール,4−メチル−2−ペンタノール,2−エチルブタノール,1−ヘプタノール,2−ヘプタノール,3−ヘプタノール,2−オクタノール,2−エチル−1−ヘキサノール,ベンジルアルコール,シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルセロソルブ,エチルセロソルブ,イソプロピルセロソルブ,ブチルセロソルブ,ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテルアルコール類、アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル,酢酸ブチル,プロピオン酸エチル,セロソルブアセテート等のエステル類、ペンタン,2−メチルブタン,ヘプタン,n−ヘキサン,2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン,2,3−ジメチルブタン,ヘプタン,n−オクタン,イソオクタン,2,2,3−トリメチルペンタン,ノナン,デカン,シクロペンタン,メチルシクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサン,エチルシクロヘキサン,p−メンタン,ジシクロヘキシル,ベンゼン,トルエン,キシレン,エチルベンゼン,アニソール(メトキシベンゼン)等の脂肪族または芳香族炭化水素類、四塩化炭素,トリクロロエチレン,クロロベンゼン,テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル,ジメチルエーテル,トリオキサン,テトラヒドロフラン等のエーテル類、メチラール,ジエチルアセタール等のアセタール類、ギ酸,酢酸,プロピオン酸等の脂肪酸類、ニトロプロパン,ニトロベンゼン,ジメチルアミン,モノエタノールアミン,ピリジン,ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド,アセトニトリル等の硫黄または窒素含有有機化合物類等が挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
これらの溶媒の中でも、処理前の基材の分散性が良いこと、重合されたグラフトポリマーの溶解性が高く、高分子量のグラフトポリマーの重合が可能であることから、油溶性かつ水溶性であるジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、n−メチル−2−ピロリドンを用いることが好適である。
また、シアノ基含有有機層を基材表面に形成する際に、反応溶媒としてイオン性液体を用いることもでき、この場合、基材とシアノ基含有有機層とを構成する低分子または高分子有機化合物とをイオン性液体中で反応させる方法、基材表面における重合反応をイオン性液体中で行う方法のどちらを採用してもよい。
このように、イオン性液体を反応溶媒として用いることで、製造時間の短縮化を図ることができるとともに、有機溶媒の使用量をゼロまたは極少量に抑えることができ、しかもイオン性液体を再利用できるため、環境適応性、安全性を高めることもできる。さらに、上述した重合反応をイオン性液体中で行えば、シアノ基含有有機層の厚みをより一層向上でき、より耐酸性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
なお、イオン性液体とは、液状の塩、特に、常温付近で液体となる塩の総称であり、イオンのみからなる溶媒である。
本発明におけるイオン性液体としては、特に限定されるものではないが、イオン性液体を構成するカチオンが、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンおよびピリジニウムカチオンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、中でも、アンモニウムカチオンであることがより好ましい。
イミダゾリウムカチオンとしては、特に限定はなく、例えば、ジアルキルイミダゾリウムカチオン、トリアルキルイミダゾリウムカチオン等が挙げられ、具体的には、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオンなどが挙げられる。
上記ピリジニウムカチオンとしては、特に限定されるものではなく、例えば、N−プロピルピリジニウムイオン、N−ブチルピリジニウムイオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムイオン、1−ブチル−2,4−ジメチルピリジニウムイオンなどが挙げられる。
アンモニウムカチオンとしては、特に限定されるものではないが、脂肪族または脂環式4級アンモニウムイオンをカチオン成分とするものであることが好ましい。
これらの脂肪族および脂環式4級アンモニウムイオンとしても、特に限定されるものではなく、トリメチルプロピルアンモニウムイオン、トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、テトラペンチルアンモニウムイオン等の種々の4級アルキルアンモニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオンなどが挙げられるが、特に、下記一般式(1)で示されるものを好適に用いることができる。
Figure 2005100467
〔式中、R1〜R4は互いに同一もしくは異種の炭素数1〜5のアルキル基、またはR′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基(R′はメチル基またはエチル基を示し、nは1〜4の整数である。)を示し、これらR1、R2、R3およびR4のいずれか2個の基が環を形成していても構わない。ただし、R1〜R4の内少なくとも1つは上記アルコキシアルキル基である。〕
式(1)において、炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、ペンチル基等が挙げられるが、分子量が大きいほどイオン性液体の粘性が増す傾向があり、粘度が高い程溶媒として使用し難くなることから、R1〜R4の少なくとも1つはメチル基、エチル基またはプロピル基、特に、メチル基またはエチル基であることが好ましい。
また、R′−O−(CH2n−で表されるアルコキシアルキル基としては、メトキシまたはエトキシメチル基、メトキシまたはエトキシエチル基、メトキシまたはエトキシプロピル基、メトキシまたはエトキシブチル基が挙げられる。上記nは1〜4の整数であるが、イオン性液体形成能が高いことから、1〜2が好ましく、特に、n=2が好ましい。
1〜R4のいずれか2個の基が環を形成しているカチオンとしては、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環等を有する4級アンモニウムイオンが挙げられる。
上記式(1)で示される4級アンモニウムイオンの中でも、イオン性液体形成能が高く、原料が安価で比較的簡便な方法で合成可能という点から、下記式(2)で示されるアルコキシエチル基を有する4級アンモニウムイオンが好ましく、特に、下記式(3)で示される4級アンモニウムイオンがより一層好ましい。
Figure 2005100467
〔式中、R1〜R3およびR′は、上記と同じ。〕
Figure 2005100467
〔式中、Meはメチル基を、Etはエチル基を示す。〕
上記式(3)で示される4級アンモニウムイオンのように、2−アルコキシエチル基を含有するアンモニウムカチオンは、イオン性液体の性状を示し易く、例えば、下記式(4)〜(6)で示されるものもイオン性液体の性状を示し、これらも好適に用いることができる。
Figure 2005100467
また、上記イオン性液体を構成するアニオンとしては、特に限定されるものではなく、例えば、BF4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、AlCl4 -、HSO4 -、ClO4 -、CH3SO3 -、CF3SO3 -、CF3CO2 -、(CF3SO22-、Cl-、Br-、I-等のアニオンを用いることができる。
なお、本発明において、イオン性液体は、それ単独で使用してもよく、重合反応溶媒で例示したような従来用いられている各種溶媒と混合して用いることもできる。
イオン性液体と、従来の溶媒とを混合して用いる場合、混合溶媒中のイオン性液体の含有量は、例えば、5質量%程度であれば、基材上の反応性官能基と、これと反応する化合物の官能基との反応性が高まり、また、重合反応の場合には、得られる重合体において、グラフト鎖またはブロック鎖の分子量および分子量分布を制御することが容易となる。しかし、後処理の簡便性や、環境適応性および安全性などを考慮すると、イオン性液体の混合溶媒中の濃度は、10質量%以上、特に、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80〜100質量%であることが好適である。
本発明の樹脂組成物を構成する有機樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル誘導体樹脂、ポリ酢酸ビニル等のポリ酢酸ビニル誘導体樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルメチルエーテル,ポリビニルエチルエーテル,ポリビニルイソブチルエーテル等のポリビニルエーテル類、ポリビニルメチルケトン,ポリビニルヘキシルケトン,ポリメチルイソプロペニルケトン等のポリビニルケトン類、ポリN−ビニルピロール,ポリN−ビニルカルバゾール,ポリN−ビニルインドール,ポリN−ビニルピロリドン等のポリN−ビニル化合物、フッ素系樹脂、ナイロン−6等のポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート、シリコ−ン、ポリアセタール、アセチルセルロース等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂などが挙げられる。
中でも、環境適応性や、組成物の用途の多様性等を考慮すると、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル系樹脂、エポキシ系樹脂を用いることが好ましい。
シアノ基含有有機層を有する基材と有機樹脂との配合割合は、特に限定されるものではないが、基材を配合することによる各種機能性向上効果と物性低下とのバランスを考えると、有機層を有する基材(未処理基材基準):有機樹脂=1:99(質量比)〜90:10(質量比)であることが好ましく、より好ましくは10:90(質量比)〜80:20(質量比)、より一層好ましくは30:70(質量比)〜70:30(質量比)である。
さらに、本発明の樹脂組成物は、以下に示す特性(1)を有するものであることが好ましい。また、本発明における組成物とは、基材と有機樹脂とを単に混合してなる混合未定形状態の組成物に加え、この組成物を成形してなる成形物をも包含する概念である。
(1)樹脂組成物を塩化水素20質量%水溶液中に5分間浸漬して酸処理した際の重量減少率と、樹脂組成物中の基材に代えて、シアノ基含有有機層を有しない基材を基材基準で同量添加した組成物(未処理基材添加組成物)を酸処理した際の重量減少率とが、樹脂組成物の重量減少率(質量%)/未処理基材添加組成物の重量減少率(質量%)<0.10を満たす、好ましくは0.05、より好ましくは0.03を満たす。
この重量減少率の比が0.10以上であると、当該組成物を酸処理した場合に変色が生じる虞がある。
なお、上記試験方法は、試験片の大きさ、塩酸濃度、試験時間以外は、JIS K7114の試験方法に準拠したものであり、重量減少率は、酸処理後、水で良く洗浄し、さらに乾燥後の重量を基に測定した値を意味する。
以上のような本発明の樹脂組成物は、シアノ基含有有機層を有する基材が配合されているため優れた耐酸性を有している。
また、シアノ基含有有機層を有する基材と有機樹脂との親和性が良好であるため、界面活性剤等の分散剤の添加なしで、または少量添加で基材を有機樹脂へ均一充填することができる。その結果、基材の高充填が可能となり、基材と有機物とのそれぞれの特徴的な性質を複合させた新しい機能を効果的に発現させることができる。
この樹脂組成物は、基材、有機層、有機樹脂の種類によって用途は様々であるが、例えば、電子材料分野、建築材料分野、自動車材料分野、繊維改質剤材料分野などにおいて、各種機能性が必要とされる材料に好適に用いることができる。
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
<イオン性液体の合成>
[合成例1]ジエチルメチル(2−メトキシエチル)アンモニウムのビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)塩(以下、DEME・TFSIと略す)の合成
ジエチルアミン(関東化学(株)製)100mlと2−メトキシエチルクロライド(関東化学(株)製)85mlとを混合し、得られた混合溶液をオートクレーブ中に入れ、100℃で24時間反応させた。この時、内圧は、0.127MPa(1.3kgf/cm2)であった。24時間後、析出した結晶と反応液との混合物に水酸化カリウム(片山化学工業(株)製)56gを溶解した水溶液200mlを加え、2層に分かれた有機層を分液ロートで分液した。さらに、塩化メチレン(和光純薬工業(株)製)100mlを加え抽出する操作を2回行った。
分液した有機層をまとめ、飽和食塩水で洗浄した後、炭酸カリウム(和光純薬工業(株)製)を加えて乾燥し、減圧濾過した。得られた有機層の溶媒をロータリーエバポレーターを用いて留去し、残留分について常圧蒸留を行い、沸点135℃付近の留分を18.9g得た。この化合物が2−メトキシエチルジエチルアミンであることを1H−核磁気共鳴スペクトルにより確認した。
得られた2−メトキシエチルジエチルアミン8.24gをテトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)10mlに溶解し、氷冷下、ヨウ化メチル(和光純薬工業(株)製)4.0mlを加えた。30分後、アイスバスを外し、室温にて一晩撹拌した。この反応溶液の溶媒を減圧留去し、得られた固形分をエタノール(和光純薬工業(株)製)−テトラヒドロフラン系で再結晶し、2−メトキシエチルジエチルメチルアンモニウムヨウ素塩を16g得た。
続いて、2−メトキシエチルジエチルメチルアンモニウムヨウ素塩10.0gをアセトニトリル(関東化学(株)製)50mLに溶解した。これにトリフルオロメタンスルホン酸イミドリチウム(キシダ化学(株)製)9.5gを加え、これが完全に溶解した後、さらに15分間撹拌した。
アセトニトリルを減圧留去し、残留分に水を加え、2層に分離した有機層を分液し、水で5回洗浄し、有機層中の不純物を取り除いた。
洗浄後の有機層を真空ポンプにて減圧にし、水を十分に留去し、室温で液体状のDEME・TFSIを6.8g得た。この方法を複数回行い、必要量を合成した。
[合成例2]ジエチルメチル(2−メトキシエチル)アンモニウム塩 (テトラフルオロボレート)塩(以下、DEME・BF4と略す)の合成
合成例1と同様に合成した2−メトキシエチルジエチルメチルアンモニウムヨウ素塩15.0gを蒸留水100mlに溶解し、この溶液に、酸化銀(関東化学(株)製)6.37gを加えて3時間撹拌した。減圧濾過により沈殿物を取り除いた後、撹拌下、42%テトラフルオロホウ酸(関東化学(株)製)を反応液のpHが5〜6付近になるまで少量ずつ加えた。この反応溶液を凍結乾燥し、更に真空ポンプで水を充分留去し、室温(25℃)で液体状のDEME・BF4を12.39g得た。この方法を複数回行い、必要量を合成した。
[合成例3]N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウム ビストリフルオロメタンスルホニルイミド塩の(以下、ProMe・TFSIと略す)の合成
ジエチルアミンの代わりにピロリジンを用い、オートクレーブでの反応温度を90℃とした以外は、合成例1と同様にして、ProMe・TFSIを合成した。この方法を複数回行い、必要量を合成した。
<シアノ基含有有機層を有する無機物粒子の合成>
[合成例4]
100mlのナスフラスコ中でジメチルホルムアミド(アルドリッチジャパン(株)製、以下DMFと略す)30.0gに平均粒径700nmのMg(OH)2(キスマ5Q:表面未処理Mg(OH)2、共和化学(株)製)20.0gをよく分散させた。続いて、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤、チッソ(株)製)0.1gを添加し、70℃で30分攪拌した。その後、アゾビスイソブチロニトリル(関東化学(株)製、以下、AIBNと略す)0.08g、スチレン14.0gおよびアクリロニトリル(関東化学(株)製)6.0gを添加し、70℃で約30時間加熱して反応させた。(理論上の1分子あたり(高分子の場合なので平均)のCN基当量(1mol当たりの化学式量)は約177である。)
反応終了後、未反応モノマー、グラフト化していないポリマーを除くため、Mg(OH)2粒子をテトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製、以下、THFと略す)で洗浄、吸引濾過を4回繰り返した。洗浄後、この粒子のIRスペクトルをFT−IR8900で測定したところ、700cm-1付近にベンゼン環由来の吸収が、2200cm-1付近にアクリロニトリル由来の吸収が現れたことから、Stとアクリロニトリルがグラフト化されたことが確認された。
なお、上記平均粒径は、粒度分析計(9340−UPA150、日機装(株)製)により測定した値である。
[合成例5]
重合溶媒を合成例1で合成したDEME・TFSIに、重合時間を1.5時間にした以外は、合成例2と同様の方法でグラフト化したMg(OH)2を合成した。(理論上の1分子あたり(高分子の場合なので平均)のCN基当量(1mol当たりの化学式量)は合成例2と同様約177である。)
[合成例6]
重合溶媒を合成例1で合成したDEME・BF4に、重合時間を1.5時間にした以外は、合成例2と同様の方法でグラフト化したMg(OH)2を合成した。(理論上の1分子あたり(高分子の場合なので平均)のCN基当量(1mol当たりの化学式量)は合成例2と同様約177である。)
[合成例7]
重合溶媒を合成例2で合成したProMe・TFSIに、重合時間を1.5時間にした以外は、合成例2と同様の方法でグラフト化したMg(OH)2を合成した。(理論上の1分子あたり(高分子の場合なので平均)のCN基当量(1mol当たりの化学式量)は合成例2と同様約177である。)
[合成例8]
重合溶媒を1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(イオン性液体、以下EMI・BF4と略す。東京化成工業(株)製)に変え、重合時間を1.5時間にした以外は、合成例2と同様の方法でグラフト化したMg(OH)2を合成した。(理論上の1分子あたり(高分子の場合なので平均)のCN基当量(1mol当たりの化学式量)は合成例2と同様約177である。)
[合成例9]
シアノ基含有モノマーをアクリロニトリルからシアノスチレンに変え、理論上のCN基当量(1mol当たりの化学式量)が合成例2と同様約177になる量14.6gに変えた以外は合成例2と同様の方法でグラフト化したMg(OH)2を合成した。
[合成例10]
無機物をMg(OH)2をZnO(シーアイ化成(株)製 ナノテック 平均粒子径0.03μ)に変えた以外は、合成例2と同様の方法でグラフト化したZnOを合成した。(理論上の1分子あたり(高分子の場合なので平均)のCN基当量(1mol当たりの化学式量)は合成例2と同様約177である。)
[合成例11]
100mlのナスフラスコ中でジメチルホルムアミド(アルドリッチジャパン(株)製、以下DMFと略す)30.0gに上記ZnO、20.0gをよく分散させた。続いて、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤、チッソ(株)製)0.1gを添加し、70℃で30分攪拌し、カップリング剤で表面処理したZnO粒子を合成した。
合成例4〜10でグラフト化したMg(OH)2粒子、およびZnO粒子について、グラフトポリマーとMg(OH)2を繋ぐエステル基とを、下記方法により切断してグラフトポリマーの分子量、分子量分布を測定した。
100mlのビーカー中で蒸留水2ml、THF12ml、エタノール(関東化学(株)製)5mlの混合溶液に、グラフト化したMg(OH)2粒子1.0gのそれぞれを分散した後、水酸化カリウム(シグマアルドリッチジャパン(株)製)0.22gを添加し、55℃で7時間反応させた。
なお、ZnO粒子についても、上記と同様にしてグラフトポリマーの分子量、分子量分布を求めた。
反応後、反応溶液を塩酸(和光純薬工業(株)製)により中性にし、Mg(OH)2粒子を取り出した。粒子を除去した残りの溶液を濃縮し、得られた固形物(グラフトポリマー)を水、へキサン(和光純薬工業(株)製)、メタノール(和光純薬工業(株)製)で洗浄した。
洗浄したグラフトポリマーについて、下記装置および条件にてゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)で分子量を測定した。
分子量測定条件
GPC測定装置:C−R7A、(株)島津製作所製
検出器:紫外分光光度計検出器(SPD−6A)、(株)島津製作所製
ポンプ:分子量分布測定装置ポンプ(LC−6AD)、(株)島津製作所製
使用カラム:Shodex KF804L(昭和電工(株)製) 2本、Shodex KF806(昭和電工(株)製) 1本の計3本を直列につないだもの
使用溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
合成例4〜10で得られた粒子について、粒子表面のポリマー層の厚みを下記手法により求めた。また、後述の実施例で使用する有機物により表面処理がなされているMg(OH)2粒子(キスマ5A、共和化学(株)製)の有機層の厚みも求めた。結果を併せて表1に示す。
<ポリマー層の厚み測定方法>
密度計(アキュビック1330、(株)島津製作所製:ヘリウム雰囲気下)により合成例4〜10の各粒子の密度を求め、グラフト前のMg(OH)2密度およびZnO密度の値から無機物1cm3中のポリマー層の体積と、無機物1cm3の体積および全表面積とを求めた。これらの値を用い、ポリマー層の厚みを計算により求めた。なお、このときMg(OH)2およびZnOは真球状であると仮定して体積および全表面積を求めた。
Figure 2005100467
(表1中「0*」とは、計算の結果、厚みがほぼ0nmであることを意味する。)
<樹脂組成物(成形体)の作製>
[実施例1〜7および比較例1〜4]
合成例4でグラフト化したMg(OH)2粒子(実施例1)4.56g、合成例5でグラフト化したMg(OH)2粒子(実施例2)4.73g、合成例6でグラフト化したMg(OH)2粒子(実施例3)4.74g、合成例7でグラフト化したMg(OH)2粒子(実施例4)4.69g、合成例8でグラフト化したMg(OH)2粒子(実施例5)4.68g、合成例9でグラフト化したMg(OH)2粒子(実施例6)4.56g、合成例10でグラフト化したZnO粒子(実施例7)5.00g、表面処理がされている市販Mg(OH)2(キスマ5A、共和化学(株)製)(比較例1)4.50g、未処理Mg(OH)2(キスマ5Q、共和化学(株)製)(比較例2)4.50gを、未処理ZnO(ナノテック、シーアイ化成(株)製)(比較例3)4.50g、合成例11で表面処理したZnO(比較例4)4.50g、それぞれTHF4gに分散させたものを、エポキシ樹脂(エピークロンN−740、大日本インキ化学工業(株)製)3.60gと、硬化剤(ノバキュアーHX3722、旭化成(株)製)0.90gとを混合した樹脂に添加して樹脂組成物を調製した。
なお、ここで、実施例および比較例におけるMg(OH)2添加量は、以下の計算方法に基づいて、それぞれに含まれる未処理Mg(OH)2自体が等量になるようにした。ZnOも同様の計算により添加量を定めた。
計算方法
密度計(アキュビック1330、(株)島津製作所製:ヘリウム雰囲気下)を用い、合成例4でグラフト化したMg(OH)2、キスマ5A、キスマ5Qそれぞれ5gの密度を測定した。その結果、キスマ5A、キスマ5Qは2.39g/cm3、合成例4でグラフト化したMg(OH)2は2.35g/cm3であった。
ここで、スチレンの密度は1.07g/cm3で、アクリロニトリルの密度は0.81g/cm3であることから合成例4のスチレン−アクリロニトリル(7:3)共重合体の密度は0.99g/cm3である。一方、未処理Mg(OH)2(キスマ5Q)の密度は2.39g/cm3であるから、1cm3中のスチレン−アクリロニトリル共重合体グラフト体積をXcm3とすると下記式が成り立ち、Xは0.026cm3となる。
0.99X+2.39(1−X)=2.35
したがって、1cm3中のスチレン−アクリロニトリル共重合体のグラフト質量は、0.026cm3×0.99g/cm3=0.026(g)であり、キスマ5Qの質量は(1−0.026)cm3×2.39g/cm3=2.31(g)である。
よって、上記グラフト化したMg(OH)2のグラフトポリマー量は全体の100×0.026(g)/2.31(g)=1.2(質量%)となる。
以上よりキスマ5A、キスマ5Q 4.50gと合成例4のグラフト化したMg(OH)2 4.55gに含まれるMg(OH)2が等量となる。
合成例5〜10についても、同様にして計算した。グラフト化したMg(OH)2の、全体に対するグラフトポリマー量は、合成例5において4.9質量%、合成例6において5.3質量%、合成例7において4.4質量%、合成例8において4.2質量%、合成例9において1.4質量%であった。合成例10において、グラフト化したZnOの、全体に対するグラフトポリマー量は11.2質量%であった。
上記実施例および比較例で調製した樹脂組成物について、バーコート法によりフィルムを作製した。これを終夜乾燥させた後100℃で1時間、さらに150℃で0.5時間熱処理を行って硬化させた。得られた硬化物について、耐酸性を評価した。結果を表2に示す。なお、硬化物の厚みは、全て約150μmであった。
[1]耐酸性評価
縦10cm×横5cm、厚み約150μmの大きさの硬化物を、塩化水素(和光(株)製)20質量%水溶液に5分間浸し、蒸留水で洗浄後、これを乾燥し、各時間浸漬後の質量を測定した。
酸処理前と酸処理後との各質量から、重量減少率(%)を算出するとともに、酸処理後における硬化物の色の変化により、耐酸性を評価した。
◎:極めて高い耐酸性あり
×:耐酸性なし
Figure 2005100467
上記表2において、実施例1〜6、比較例1の各物性値の比は、比較例2(未処理Mg(OH)2:キスマ5Q)のデータを基準(分母)として算出した値である。
同様に、実施例7、比較例4の各物性値の比は、比較例3(未処理ZnO:ナノテック)のデータ−を基準(分母)として算出した値である。
表2に示されるように、上記合成例4〜10で得られたシアノ基を含むグラフトポリマー層を有するMg(OH)2粒子、ZnO粒子を配合してなる実施例1〜7の組成物(からなる硬化物)は、極めて耐酸性に優れていることがわかる。

Claims (16)

  1. シアノ基含有有機層を有する基材と、有機樹脂とを含んで構成されることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記シアノ基含有有機層を構成する有機物1分子中のシアノ基当量が、50〜5,000であることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記基材が、当該基材に対して少なくとも0.3質量%のシアノ基含有有機層を有することを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 前記樹脂組成物を塩化水素20質量%水溶液中に5分間浸漬して酸処理した際の重量減少率と、前記樹脂組成物中の前記基材に代えて、シアノ基含有有機層を有しない基材を基材基準で同量添加した組成物(未処理基材添加組成物)を前記酸処理した際の重量減少率とが、
    樹脂組成物の重量減少率(質量%)/未処理基材添加組成物の重量減少率(質量%)<0.10を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂組成物。
  5. 前記シアノ基含有有機層が、基材と化学結合していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の樹脂組成物。
  6. 前記基材が、無機物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の樹脂組成物。
  7. 前記無機物が、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属珪酸塩、アルカリ土類金属リン酸塩、アルカリ土類金属硫酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属珪酸塩および金属炭酸塩からなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項6記載の樹脂組成物。
  8. 前記無機物が、金属水酸化物であることを特徴とする請求項7記載の樹脂組成物。
  9. 前記金属水酸化物が、水酸化マグネシウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウムからなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項8記載の樹脂組成物。
  10. 前記基材が、平均粒径1nm〜100μmの粒子であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の樹脂組成物。
  11. 前記シアノ基含有有機層の少なくとも一部が、(メタ)アクリロニトリル由来の層であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の樹脂組成物。
  12. 前記シアノ基含有有機層が、イオン性液体を含む溶媒中で形成されたことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項記載の樹脂組成物。
  13. 前記シアノ基含有有機層が、ポリマー層であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項記載の樹脂組成物。
  14. 前記ポリマー層が、グラフト重合により形成された層であることを特徴とする請求項13記載の樹脂組成物。
  15. 前記ポリマー層が、数平均分子量1,000〜5,000,000の高分子からなる層であることを特徴とする請求項13または14記載の樹脂組成物。
  16. 前記ポリマー層が、平均1nm以上の厚みを有することを特徴とする請求項13〜15のいずれか1項記載の樹脂組成物。
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