JPWO2005095603A1 - オオムギ染色体にマップされるポリヌクレオチドを利用した検出器具 - Google Patents

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Abstract

ムギ類の育種に利用可能な、遺伝子発現検出器具、遺伝子多型検出器具、発現タンパク質検出器具、発現タンパク質との相互作用物質検出器具を提供する。 オオムギ染色体にマップされる遺伝マーカー配列やEST配列からなるポリヌクレオチド、EST配列がコードするタンパク質および当該タンパク質に対する抗体を支持体上に固定化する。さらに、支持体上に固定化されるポリヌクレオチド等をオオムギ染色体上の順序に配置する。

Description

本発明は、オオムギ染色体にマップされるポリヌクレオチドを利用した検出器具に関するものであり、特に、ムギ類における遺伝子の発現、遺伝子の多型、タンパク質(ポリペプチド)およびタンパク質(ポリペプチド)相互作用物質を検出するための検出器具に関するものである。
近年、ヒトをはじめ多数のモデル生物のゲノム配列の解読が進行しており、既に全ゲノム配列が解読された生物も多い。さらに、解読されたゲノム配列情報に基づく転写産物やタンパク質の解析も急速に進展している。転写産物の解析としては、生物や細胞における全ての転写産物の発現を体系的・網羅的に解析するトランスクリプトーム解析が注目されており、タンパク質の解析としては、生物や細胞における全ての場所・時系列で発現している全てのタンパク質について、その性質や発現を体系的・網羅的に解析するプロテオーム解析が注目されている。
上記体系的・網羅的な解析には、各種アレイ技術が用いられることが多い。このアレイ技術は、解析しようとする任意の生物から取得したDNAや各種タンパク質等の生体物質、あるいは、このような生体物質と相互作用する合成物質(例えば、疎水性基やイオン交換基を有する化合物等)を、支持体上に規則的に配列させて固定化してなるアレイを用いる技術を指す。
このようなアレイ技術を用いれば、体系的・網羅的な解析を効率的に進めることができる。例えば、遺伝子の転写制御機構を解析するためには、細胞の状態に応じて変化する遺伝子の転写量を測定する必要がある。そこで、アレイ技術の一つであるDNAマイクロアレイを用いることにより、数千個から数万個の遺伝子の転写量をシステマティックに測定することが可能となる。上記DNAマイクロアレイに関する技術のうち、広く実用化されているものとしては、米国アフィメトリクス社のDNAマイクロアレイ技術が知られている。この技術では、半導体製造で用いられる微細加工技術を用いてシリカ基板上に直接オリゴヌクレオチドを化学合成するようになっている(例えば、特許文献1参照)。また、一塩基多型(SNP)を検出することを目的としたアレイの改良も進んでいる(例えば、非特許文献1、2参照)。
一方、近年、ムギ類等の作物の育種においては育種期間の短縮、労働力および圃場面積の縮減を図るため、遺伝マーカーを指標とした選抜による育種法が用いられるようになってきた。遺伝マーカーは、1980年代後半にDNAマーカーが登場し、DNAマーカー利用による詳細な連鎖地図作成が大きく進んだ。その結果、そのような高密度連鎖地図に基づいて多くの生物で連鎖解析が行われるようになった。目標形質に強く連鎖する遺伝マーカーが開発され、これを利用することにより、効率的な育種が実現可能となる。本発明者らは、ムギ類の遺伝マーカーを精力的に開発しており、例えば1)オオムギにアルミニウム耐性を付与する遺伝子に連鎖する遺伝マーカーとその利用に関する技術(特許文献2参照)や、2)オオムギ染色体由来の核酸マーカーをコムギの背景で検出するための新規なプライマーセット(特許文献3参照)とその利用に関する技術等を提案している。
特開2000−228999号公報(2000(平成12)年8月22日公開) 特開2002−291474号公報(2002(平成14)年10月8日公開) 特開2003−111593号公報(2003(平成15)年4月15日公開) Jobs M,Howell WM,Stromqvist L,Mayr T,Brookes AJ.Related Articles,Links.DASH−2:flexible,low−cost,and high−throughput SNP genotyping by dynamic allele−specific hybridization on membrane arrays.Genome Res.2003 May;13(5):916−24. Matsuzaki H,Loi H,Dong S,Tsai YY,Fang J,Law J,Di X,Liu WM,Yang G,Liu G,Huang J,Kennedy GC,Ryder TB,Marcus GA,Walsh PS,Shriver MD,Puck JM,Jones KW,Mei R.Links.Parallel Genotyping of Over 10,000 SNPs Using a One−Primer Assay on a High−Density Oligonucleotide Array.Genome Res.2004 Mar;14(3):414−25.
上述のように、ゲノム配列が解読された生物の増加に伴い、多数のアレイが商品化されている。しかしながら、ムギ類の育種に利用可能なアレイは開発されていない。一方、遺伝マーカーによる育種は従来の圃場における選抜育種と比較して大幅な効率化を実現できるが、個々の遺伝マーカーについて別々にその遺伝子型を確認する必要がある。育種においては農業生産上望ましい多数の形質を選抜すると同時に、不利な形質を排除する必要がある。そこで、多数の遺伝マーカーについて、その遺伝子型を網羅的に確認できることができれば、より一層効率的な育種を実現することが可能となる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、遺伝マーカーによる育種をより一層効率化することに利用可能な、ムギ類における遺伝子の発現、遺伝子の多型、タンパク質(ポリペプチド)およびタンパク質(ポリペプチド)相互作用物質を検出するための検出器具を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、独自に開発したオオムギEST配列に基づくプライマーを設計し、ゲノムDNAを鋳型として増幅した増幅断片に品種間の多型を見出し、遺伝マーカーを開発した。これらの遺伝マーカーをオオムギ染色体上にマップすることにより、詳細な遺伝地図を完成させた。発明者らはさらに鋭意検討した結果、上記オオムギEST配列や上記遺伝マーカー配列からなるポリヌクレオチドを支持体上に固定化することにより、ムギ類の育種に利用可能な遺伝子発現検出器具や遺伝子多型検出器具が実現できることを見出した。また、上記EST配列がコードするタンパク質や当該タンパク質に対する抗体を支持体上に固定化することにより、タンパク質(ポリペプチド)相互作用物質検出器具やタンパク質(ポリペプチド)検出器具が実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る遺伝子検出器具は、ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子の発現または多型を検出するための器具であって、以下の(a)または(b)に記載のポリヌクレオチドの少なくともいずれか1つが支持体上に固定化されていることを特徴としている。(a)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。(b)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドは、以下の(1)ないし(4)に記載のポリヌクレオチドの少なくともいずれか1つであることが好ましい。(1)配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、または配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。(2)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つの一部からなるポリヌクレオチド。(3)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つの全部または一部を部分配列として含むポリヌクレオチド。(4)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部と配列番号n+1に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部とを部分配列として含むポリヌクレオチド。これらのポリヌクレオチドにはオオムギcDNAの塩基配列が含まれているため、これらのポリヌクレオチドが支持体上に固定化された遺伝子検出器具により、ムギ類の遺伝子発現や遺伝子多型を検出することが可能となる。
上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドは少なくとも2種類以上であり、それぞれのポリヌクレオチドが固定化される領域の配置の順序は、支持体に固定化されているすべてのポリヌクレオチドについての染色体上における順序と同一となっていることが好ましい。または、上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドは少なくとも2種類以上であり、それぞれのポリヌクレオチドが固定化されている領域には、支持体に固定化されているすべてのポリヌクレオチドについての染色体上における順序の情報が付与されているものであってもよい。固定化領域が染色体上の順序どおり、または染色体の順序の情報を付与して配置されていれば、ムギ類の交雑育種において組換えが生じた部位を容易に見出すことができ、育種の効率化を実現できる。
上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドはcDNAであることが好ましい。cDNAであれば、被検試料中のポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションにより遺伝子の発現を効率よく評価できる。
本発明に係る遺伝子多型検出器具は、ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子の多型を検出するための器具であって、オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチドの少なくともいずれか1つが支持体上に固定化されていることを特徴としている。
上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドは、配列番号1ないし5780に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列に基づいて設計される複数のプライマーおよび配列番号n+1に示される塩基配列に基づいて設計される複数のプライマーから任意に選択した2つのプライマーの組み合わせによるプライマーセットを用いてムギ類のゲノムDNAを鋳型として増幅されるDNA断片の少なくともいずれか1つの塩基配列の一部からなるポリヌクレオチドであることが好ましい。上記増幅DNA断片中の多型を含む塩基配列からなるポリヌクレオチドが支持体上に固定化された遺伝子多型検出器具により、ムギ類の遺伝子多型を検出することが可能となる。
上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドは少なくとも2種類以上であり、それぞれのポリヌクレオチドが固定化される領域の配置の順序は、支持体に固定化されているすべてのポリヌクレオチドについての染色体上における順序と同一になっていることが好ましい。または、上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドは少なくとも2種類以上であり、それぞれのポリヌクレオチドが固定化されている領域には、支持体に固定化されているすべてのポリヌクレオチドについての染色体上における順序の情報が付与されているものであってもよい。固定化領域が染色体上の順序どおり、または染色体の順序の情報を付与して配置されていれば、ムギ類の交雑育種において組換えが生じた部位を容易に見出すことができ、育種の効率化を実現できる。
上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドは合成オリゴヌクレオチドであることが好ましい。多型検出に適した配列からなるオリゴヌクレオチドを合成すれば、検出効率を向上させることができる。
本発明に係るポリペプチド相互作用物質検出器具は、ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子がコードするタンパク質または当該タンパク質の一部を構成するポリペプチドと相互作用する物質を検出するための器具であって、以下の(a)または(b)に記載のポリヌクレオチドがコードするポリペプチドの少なくともいずれか1つが支持体上に固定化されていることを特徴としている。(a)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。(b)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
上記支持体上に固定化されているポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、以下の(1)ないし(4)に記載のポリヌクレオチドのいずれかであることが好ましい。(1)配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、または配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。(2)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つの一部からなるポリヌクレオチド。(3)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つの全部または一部を部分配列として含むポリヌクレオチド。(4)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部と配列番号n+1に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部とを部分配列として含むポリヌクレオチド。上記ポリペプチドが支持体上に固定化されたポリペプチド相互作用物質検出器具により、ムギ類のタンパク質と相互作用する物質を検出することが可能となる。
上記支持体上に固定化されているポリペプチドは少なくとも2種類以上であり、それぞれのポリペプチドが固定化される領域の配置の順序は、支持体に固定化されているすべてのポリペプチドをそれぞれコードするポリヌクレオチドについての染色体上における順序と同一となっていることが好ましい。または、上記支持体上に固定化されているポリペプチドは少なくとも2種類以上であり、それぞれのポリペプチドが固定化されている領域には、支持体に固定化されているすべてのポリペプチドをそれぞれコードするポリヌクレオチドについての染色体上における順序の情報が付与されているものであってもよい。固定化領域が染色体上の順序どおり、または染色体の順序の情報を付与して配置されていれば、ムギ類の交雑育種において組換えが生じた部位を容易に見出すことができ、育種の効率化を実現できる。
本発明に係るポリペプチド検出器具は、ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子がコードするタンパク質または当該タンパク質の一部を構成するポリペプチドを検出するための器具であって、以下の(a)または(b)に記載のポリヌクレオチドがコードするポリペプチドに対する抗体の少なくともいずれか1つが支持体上に固定化されていることを特徴としている。(a)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。(b)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
上記支持体上に固定化されている抗体の作製に用いられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、以下の(1)ないし(4)に記載のポリヌクレオチドのいずれかであることが好ましい。(1)配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、または配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。(2)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つの一部からなるポリヌクレオチド。(3)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つの全部または一部を部分配列として含むポリヌクレオチド。(4)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部と配列番号n+1に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部とを部分配列として含むポリヌクレオチド。上記抗体が支持体上に固定化されたポリペプチド相互作用物質検出器具により、ムギ類のタンパク質と相互作用する物質を検出することが可能となる。
上記支持体上に固定化されている抗体は少なくとも2種類以上であり、それぞれの抗体が固定化される領域の配置の順序は、支持体に固定化されているすべての抗体の作製に用いられるポリペプチドをそれぞれコードするポリヌクレオチドについての染色体上における順序と同一となっていることが好ましい。または、上記支持体上に固定化されている抗体は少なくとも2種類以上であり、それぞれの抗体が固定化されている領域には、支持体に固定化されているすべての抗体の作製に用いられるポリペプチドをそれぞれコードするポリヌクレオチドについての染色体上における順序の情報が付与されているものであってもよい。固定化領域が染色体上の順序どおり、または染色体の順序の情報を付与して配置されていれば、ムギ類の交雑育種において組換えが生じた部位を容易に見出すことができ、育種の効率化を実現できる。
本発明に係るポリヌクレオチドは、ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子の発現または多型を検出するための器具に利用可能なポリヌクレオチドであって、配列番号1ないし5780に示される塩基配列、または配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された塩基配列からなることを特徴としている。また、本発明に係るポリヌクレオチドは、ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子の多型を検出するための器具に利用可能なポリヌクレオチドを部分配列として含むポリヌクレオチドであって、配列番号1ないし5780に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列に基づいて設計される複数のプライマーおよび配列番号n+1に示される塩基配列に基づいて設計される複数のプライマーから任意に選択した2つのプライマーの組み合わせによるプライマーセットを用いてムギ類のゲノムDNAを鋳型として増幅されるDNA断片からなることを特徴としている。これらのポリヌクレオチドは本発明に係る遺伝子検出器具および遺伝子多型検出器具の支持体上に固定化するポリヌクレオチドとして好適に利用することができる。
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるだろう。
図1(a)は、本発明に係る検出器具において、ある特性を示す遺伝子が発現していることを示す例を模式的に示すアレイの概略平面図である。
図1(b)は、本発明に係る検出器具において、図1(a)の特性と異なる特性を示す遺伝子が発現していることを示す例を模式的に示すアレイの概略平面図である。
図2は、図1(a)および図1(b)に示す遺伝子の発現が示される品種を交雑させたときに得られる分離集団と、そこから選抜される特定の品種とについて、ある特性を示す遺伝子が発現していることを示す模式図である。
図3は、本発明に係る遺伝子多型検出器具の支持体上に固定化されるポリヌクレオチドをプライマーとし、雑種オオムギのゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、雑種オオムギの遺伝子型(組換え部位)を解析した結果を示す図である。
本発明の実施の一形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本発明は、これに限定されるものではない。
(1)本発明に係る遺伝子検出器具
本発明に係る遺伝子検出器具は、ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子の発現または多型を検出するための器具である。対象生物はムギ類であればよく、オオムギ、コムギ、ライムギ等が好適である。後述するように、本遺伝子検出器具の支持体上にはオオムギ染色体(1H、2H、3H、4H、5H、6Hおよび7H)DNAの一部を構成するポリヌクレオチドが固定化されているが、オオムギ染色体DNAの一部を構成するポリヌクレオチドのみが支持体上に固定化されているものでもよく、オオムギ染色体DNAの一部を構成するポリヌクレオチドおよびそれ以外のポリヌクレオチドが支持体上に固定化されているものでもよい。オオムギ染色体DNAの一部を構成するポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドとしては、ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子の発現または多型を検出できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、オオムギ以外の生物由来の塩基配列を有するポリヌクレオチドであってもよく、人工的に合成された任意の塩基配列を有するポリヌクレオチドであってもよい。
また、支持体上の複数の領域にポリヌクレオチドが固定化される場合、個々の領域に固定化されるそれぞれのポリヌクレオチドはその塩基配列が全て重複しないものであってもよく、重複する部分を有するものであってもよく、同一の塩基配列からなるポリヌクレオチドが複数の異なる領域に固定化されているものでもよい。重複の形態についても限定されるものではなく、2つのポリヌクレオチドにおいてそれぞれの一部が重複するものでもよく、2つのポリヌクレオチドのうち一方が他方の部分配列となっているものでもよい。
さらに、1つの領域に固定化されるポリヌクレオチドは1種類に限定されるものではなく、1つの領域に2種類以上の複数のポリヌクレオチドが固定化されているものであってもよい。
支持体としては、ポリヌクレオチドを固定化できるものであれば特に限定されるものではなく、どのような形状や材質であってもよい。支持体の材料としては、一般的には、例えば、ガラス、シリコンウエハ等の無機系材料、紙等の天然高分子、ニトロセルロースやナイロン等の合成高分子、合成高分子や天然高分子を用いたゲル体等を挙げることができる。また、支持体の形状も、ポリヌクレオチドを固定化できる十分な面積を有するものであれば特に限定されるものではないが、一般的には、可撓性が小さいかほとんど無い基板、可撓性を有する膜(メンブレン)、その中間となる可撓性基板等のように、二次元的な広がりを有するものを好ましく用いることができる。なお、上記基板や膜の厚みについては特に限定されるものではなく、その材質や用途に応じて適宜設定すればよい。さらに、支持体として各種ビーズを用いることもできる。
〔遺伝子検出器具の支持体上に固定されるポリヌクレオチド〕
本発明に係る遺伝子検出器具は、以下の(a)または(b)に記載のポリヌクレオチドの少なくともいずれか1つが支持体上に固定化されているものであればよい。
(a)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(b)オオムギ染色体DNA色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチドとは、オオムギ1H染色体DNA、2H染色体DNA、3H染色体DNA、4H染色体DNA、5H染色体DNA、6H染色体DNAおよび7H染色体DNAの全塩基配列の一部を構成する塩基配列からなるポリヌクレオチドであれば、特に限定されるものではない。また、オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチドとは、オオムギ1H染色体DNA、2H染色体DNA、3H染色体DNA、4H染色体DNA、5H染色体DNA、6H染色体DNAおよび7H染色体DNAの全塩基配列の一部を構成する塩基配列と、当該塩基配列と連続していない別の部分を構成する塩基配列とが一連に繋がったポリヌクレオチドであればよい。例えば、2つの部分が繋がったものでもよく、3つ以上の部分が繋がったものでもよい。具体的には、例えば、オオムギ染色体DNA上でタンパク質をコードする遺伝子に該当する部分のエクソンのみが複数繋がったcDNAは、オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチドに該当する。ただし、これに限定されるものではない。
オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチドまたは上記オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチドの塩基配列において、1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチドは、人為的に変異を導入したポリヌクレオチドでもよく、自然界に存在するポリヌクレオチドでもよい。例えば、オオムギのある特定品種の染色体DNAの塩基配列を基準とすれば、他品種オオムギの染色体DNAの塩基配列は全く同一ではなく、1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列となる。
本発明に係る遺伝子検出器具の支持体に固定化されるポリヌクレオチドとしては、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、または配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド(以下、「配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等」と称する。)であることが好ましい。
配列番号1ないし5780に示される塩基配列は、本発明者らが独自に開発したオオムギEST(expressed sequence tag)の塩基配列であり、配列番号1ないし770に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは1H染色体に、配列番号771ないし1754に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは2H染色体に、配列番号1755ないし2642に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは3H染色体に、配列番号2643ないし3324に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは4H染色体に、配列番号3325ないし4320に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは5H染色体に、配列番号4321ないし4962に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは6H染色体に、配列番号4963ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは7H染色体に、それぞれマップされることが本発明者らにより確認されている。
ここで、発明者らが独自に開発したESTおよびマッピングについて簡単に説明する。発明者らは、数種類のオオムギ品種の葉からmRNAを調製し、公知の方法によりcDNAライブラリーを作製した。これらのcDNAが挿入されたプラスミドを鋳型とし、挿入部位の両外側のプラスミド部分の塩基配列をプライマーとして両側とも1回のシークエンス解析で読んだ塩基配列を品質調整し、ベクター配列を取り除いたものが当該オオムギEST配列である。発明者らは現在約14万個のEST配列をデータベース化している。
また、これらのEST配列のうち3’端の配列の同一性を確認して約1万の遺伝子に群別し、最長のEST配列からプライマー設計ソフトウエアPrimer3を用いて各々のESTについてプライマーセットを設計した。これらのプライマーセットを用いてマップ集団である醸造用オオムギ「はるな二条」と野生オオムギ「H602」との雑種における多型を確認した。すなわち、最初にアガロースゲル電気泳動における断片長の多型を確認した。さらに、断片長に差がない場合には両親の増幅産物をダイレクトシークエンスして整合し、両親間の塩基配列に差があって制限酵素で認識可能な場合には増幅産物を制限酵素消化した後アガロースゲル電気泳動に供し、産物長の差を検出した。このようにして得られたマーカー多型情報を、染色体位置が既知のマーカーと合わせてMAPMAKER/EXPによって連鎖分析し、EST配列に基づく遺伝地図を作製した。
すなわち、配列番号1ないし5780に示される塩基配列はオオムギcDNAの部分配列である。したがって、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドを支持体上に固定化し、当該ポリヌクレオチドと試料中のmRNA(mRNAに基づくプローブ)とのハイブリダイゼーションにより、遺伝子の発現を検出することが可能となる。また、配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチドは、人為的に変異を導入したポリヌクレオチドでもよく、自然界に存在するポリヌクレオチドでもよい。
本発明に係る遺伝子検出器具の支持体に固定化されるポリヌクレオチドとしては、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の一部からなるポリヌクレオチドであってもよい。一部からなるポリヌクレオチドであっても、当該ポリヌクレオチドの塩基配列はオオムギcDNAの部分配列であるので、上述の通り遺伝子の発現を検出することが可能である。
また、本発明に係る遺伝子検出器具の支持体に固定化されるポリヌクレオチドとしては、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部を部分配列として含むポリヌクレオチドであってもよい。当該部分配列以外の塩基配列は限定されるものではない。例えば、配列番号1ないし5780に示される塩基配列はオオムギcDNAの部分配列であるため、本来その前後にはそれぞれのcDNAの全長配列が繋がっている。したがって、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部を部分配列として含み、その両側または片側に本来繋がっているcDNA配列を有するポリヌクレオチドは、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部を部分配列として含むポリヌクレオチドに該当する。また、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部をプラスミドやBAC(bacterial artificial chromosome)等のベクターに導入したものや、上記部分配列に任意の塩基配列を繋げたものも該当する。これらのポリヌクレオチドは、少なくとも配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部、すなわちオオムギcDNAの一部を含むため、遺伝子の発現を検出することが可能である。
さらに、本発明に係る遺伝子検出器具の支持体に固定化されるポリヌクレオチドとしては、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部と配列番号n+1に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部とを部分配列として含むポリヌクレオチドであってもよい。上述のように、配列番号1ないし5780に示される塩基配列はオオムギのEST配列であり、クローニングしたcDNAを両側から1回のシークエンスにより読める部分の配列である。すなわち、配列番号1ないし5780に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列と配列番号n+1に示される塩基配列は同一クローンのcDNAを両側から読んだ塩基配列であるので、これら2つの配列を含むことにより当該cDNAの全長塩基配列を構成することができ、当該cDNAの全長塩基配列は、本来の全長cDNAの全部または一部に該当する。したがって、上記配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部と配列番号n+1に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部とを部分配列として含むポリヌクレオチドには、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列と配列番号n+1に示される塩基配列とを含む全長cDNA、当該全長cDNAの一部からなるポリヌクレオチドが該当する。また、当該全長cDNAまたはその一部からなるポリヌクレオチドの両側または片側にベクター等の配列や任意の塩基配列を繋げたポリヌクレオチドであってもよい。さらに、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等以外の部分、例えば全長cDNAのうち配列番号n(nは奇数)および配列番号n+1に示される塩基配列で特定されていない中央部分において、塩基置換等の変異を有するポリヌクレオチドであってもよい。これらのポリヌクレオチドはオオムギcDNAの全長または一部を含むため、遺伝子の発現を検出することが可能である。
支持体上に固定化されるポリヌクレオチドはcDNAであることが好ましい。cDNAとしては全長cDNAに限定されるものではなく、cDNAの一部からなるポリヌクレオチドでもよい。また、cDNAを含むものであれば、cDNA以外の塩基配列、例えばベクター配列等を有するものでもよい。また、cDNAの塩基配列の一部を人工的に合成したポリヌクレオチド(合成オリゴヌクレオチド)であってもよい。
本発明に係る遺伝子検出器具を遺伝子の発現検出に用いる場合、検出対象は試料中のmRNA(mRNAに基づくプローブ)であるため、ハイブリダイゼーション強度を高める観点から、支持体に固定化されるポリヌクレオチドとしては、全長cDNAであることが好ましい。ただし、支持体に固定化されるポリヌクレオチドの塩基数は特に限定されるものではなく、遺伝子の発現を検出することが可能な塩基数であればよい。例えば、1つの固定化領域に単一のポリヌクレオチドが固定化される場合には、少なくとも50塩基程度以上のポリヌクレオチドであれば遺伝子の発現を検出することが可能であると考えられる。また、アフィメトリクス方式のように1つの固定化領域に複数のポリヌクレオチド(オリゴヌクレオチド)が固定化される場合には25塩基程度でも検出可能である。
〔ポリヌクレオチドが固定化される領域の配置の順序が、染色体上の順序と同一となっている遺伝子検出器具〕
配列番号1ないし5780に示される塩基配列は、上述の通りオオムギ染色体にマップされたオオムギESTの塩基配列である。また、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列と配列番号n+1に示される塩基配列は同一クローンのcDNAを両側から読んだ塩基配列であり、配列番号nが5’側、配列番号n+1が3’側の塩基配列である。
ここで、「染色体上における順序」とは、任意に定めた染色体上の特定の位置からの順序を意味するものとする。なお、順序を決定するために用いる距離としては雑種集団の組換えに基づく遺伝距離、あるいは塩基配列数や顕微鏡下の染色体の長さに基づく物理距離のいずれを用いてもよい。
表1−1〜表1−8に示したように、配列番号1ないし770に示される塩基配列の配列番号n(nは奇数)および配列番号n+1に示される塩基配列を含む385クローンおよび既知の3クローン(HVM20、Bmag211およびWMCIE8)は、オオムギ1H染色体上における順序(1H染色体短腕末端からの距離)が特定されている。
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表2−1〜表2−10に示したように、配列番号771ないし1754に示される塩基配列の配列番号n(nは奇数)および配列番号n+1に示される塩基配列を含む492クローンおよび既知の8クローン(Bmac134、cMWG682、HVM36、cMWG699、Bmag125、cMWG694、EBmac415およびMWG2076)は、オオムギ2H染色体上における順序(2H染色体短腕末端からの距離)が特定されている。
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表3−1〜表3−10に示したように、配列番号1755ないし2642に示される塩基配列の配列番号n(nは奇数)および配列番号n+1に示される塩基配列を含む444クローンおよび既知の13クローン(MWG848、HvLTPPB、HVM9、Bmac67、Bmag136、Bmac209、HVM27、HvBRI1、HVM33、HVM60、Bmag225、Bmag13およびHVM62)は、オオムギ3H染色体上における順序(3H染色体短腕末端からの距離)が特定されている。
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表4−1〜表4−7に示したように、配列番号2643ないし3324に示される塩基配列の配列番号n(nは奇数)および配列番号n+1に示される塩基配列を含む341クローンおよび既知の9クローン(HVM40、MWG2033、HVM3、MWG058、Bmag353、HVM68、HVM67、shおよびVRN2)は、オオムギ4H染色体上における順序(4H染色体短腕末端からの距離)が特定されている。
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表5−1〜表5−11に示したように、配列番号3325ないし4320に示される塩基配列の配列番号n(nは奇数)および配列番号n+1に示される塩基配列を含む498クローンおよび既知の8クローン(MWG502、Bmac113、HVM30、Bmag223、HvLOX、MWG2077、MWG2249およびHVM6)は、オオムギ5H染色体上における順序(5H染色体短腕末端からの距離)が特定されている。
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表6−1〜表6−7に示したように、配列番号4321ないし4962に示される塩基配列の配列番号n(nは奇数)および配列番号n+1に示される塩基配列を含む321クローンおよび既知の6クローン(MWG620、Bmac316、MWG2218、HVM31、Bmac40およびMWG897)は、オオムギ6H染色体上における順序(6H染色体短腕末端からの距離)が特定されている。
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表7−1〜表7−9に示したように、配列番号4963ないし5780に示される塩基配列の配列番号n(nは奇数)および配列番号n+1に示される塩基配列を含む409クローンおよび既知の16クローン(HVM4、HVCMA、cMWG704、MWG511、Bmag359、MWG2031、KT3、KT9、MWG975、EBmac764、Bmac0064、Bmag120、Bmac156、HVM49、MWG2062およびHVM5)は、オオムギ7H染色体上における順序(7H染色体短腕末端からの距離)が特定されている。
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各染色体上の順序としては、短腕末端からの距離、または長腕末端からの距離を基準とすればよい。また、各染色体上の順序を短腕末端からの距離を基準とした場合には、1H染色体にマップされるポリヌクレオチドを配置した後に2H染色体にマップされるポリヌクレオチドを同じ基準(短腕末端からの距離)で配置すればよい。同様に、順次3H〜7Hにマップされるポリヌクレオチドを配置すればよい。
すなわち、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドを短腕末端からの距離を基準に配置する場合には、表1−1〜表7−9に示される各染色体の短腕からの順序にしたがって配置すればよい。短腕末端からの順序が同一のクローンについては、同一順序内での配置順は特に限定されない。今後、同一順序のクローンについて正確な順序が明らかとなれば、その順序にしたがって配置すればよい。なお、染色体上の順序の基準(起点)は1H染色体の短腕末端に限定されるものではなく、いずれの位置を基準としてもよい。
また、例えば、配列番号1ないし5780のいずれかに示される塩基配列の内部の塩基配列からなる複数のポリヌクレオチドを用いる場合は、5’末端側から順に配置すればよい。また、例えば、配列番号1ないし5780のいずれかに示される塩基配列からなるポリヌクレオチドとその内部の塩基配列からなる複数のポリヌクレオチドとのいずれをも用いる場合には、5’末端の位置が最も上流にあるものから順に配置すればよい。上記例示以外のポリヌクレオチドについても、上記に準じて配列すればよい。
このように、染色体上の順序と同一の順序でポリヌクレオチドを支持体上に固定化することにより、ムギ類の交雑育種における本発明に係る遺伝子検出器具の利用価値を格段に向上させることができる。より具体的には、ムギ類の雑種における遺伝子の転写産物を、本発明に係る遺伝子検出器具で網羅的に調査すれば、育種目標遺伝子の発現量や遺伝子の多型の有無を判定できるだけでなく、染色体のどの部分にどの程度の組換えが生じているかを確認でき、目的以外の組換えが起こっているか否かの判断もできる。したがって、容易に選抜すべき個体を決定することができ、育種の効率化を向上させることができる。
〔ポリヌクレオチドを固定化する領域に染色体上の順序の情報が付与されている遺伝子検出器具〕
この場合、ポリヌクレオチドを固定化する領域(以下、適宜「スポット」と称する。)に当該ポリヌクレオチドのオオムギ染色体上における順序の情報が付加されていればよく、スポットの配置には限定はない。このように、スポットに順序の情報が付加されていれば、支持体上では任意の順序で配置されていても、取得したデータをオオムギ染色体上の順序に並べ替えることが可能となる。したがって、上述のように本発明に係る遺伝子検出器具により育種の効率化を向上させることができる。なお、スポットに付与する順序の情報は、上述の配置の基準に従えばよい。
順序の情報を付与することにより、メンブレンやスライドグラス等の支持体上に複数のポリヌクレオチドを配置する、いわゆるアレイ型の遺伝子検出器具においては、スポットを任意に配置できる。さらに、支持体にビーズを用いて個々のビーズに1つのポリヌクレオチドを固定化したものの集合体(ビーズアレイ)からなる遺伝子検出器具においても、個々のポリヌクレオチドのオオムギ染色体における順序の情報を付与することが可能となる。
〔本発明に係る遺伝子検出器具の一例〕
(i)遺伝子の発現を検出する場合
本発明に係る遺伝子検出器具は、公知の遺伝子発現用アレイ作製方法を用いて作製することができる。例えば、cDNA(全長または一部)からなるポリヌクレオチド溶液を調製し、スポッター等により支持体上にスポットして固定化すればcDNAアレイを作製することができる。固定化するポリヌクレオチドはcDNAの塩基配列を有する合成オリゴヌクレオチドでもよい。また、基板上でDNAを合成する、いわゆるアフィメトリクス型のDNAチップ技術を用いることも可能である。
遺伝子の発現を検出するために設計された公知の手法は、本遺伝子検出器具に好適に応用することができる。例えば、試料はムギ類のトータルRNAやmRNAから調製したcDNAやcRNAを用いることができる。より具体的には、cDNAやcRNAを蛍光標識しておき、支持体上に固定化されたポリヌクレオチドとハイブリダイズさせ、そのハイブリダイゼーションの強度を蛍光を指標に測定することにより遺伝子の発現量を評価することができる。また、2種類の試料から調製したcDNAやcRNAをそれぞれ異なる色を発する蛍光物質で標識し、同一の支持体上のポリヌクレオチドにハイブリダイズさせれば、その色調と蛍光強度を測定することにより、遺伝子発現の差異を評価することができる。
ムギ類の育種においては目的の形質を支配する遺伝子の発現の増減により目的個体を選抜することができる。また、目的遺伝子と連鎖している遺伝子の発現量を指標として目的個体を選抜することも可能である。
(ii)遺伝子の多型を検出する場合
遺伝子の多型を検出するために設計された公知の手法は、本遺伝子検出器具に好適に応用することができる。
例えば、本遺伝子検出器具を用いて、RFLP(restriction fragment length polymorphism)等の断片長多型を検出することが可能である。より具体的には、例えば1つのスポットに同一クローンのcDNAの複数の部分配列を固定化することにより、断片長多型を検出することができる。ここで、3つの部分配列を1つのスポットに固定化したスポットにおけるハイブリダイゼーション強度は、3つの部分配列全てとハイブリダイズする断片が最も強く、2つまたは1つの部分配列とのみハイブリダイズする断片はハイブリダイゼーション強度が弱くなる。したがってハイブリダイゼーション強度の指標となる蛍光等の強度を測定することにより、断片長多型を検出することができる。また、断片によって一つのスポットにハイブリダイズする領域が明らかに異なる場合には、二つの断片を異なる蛍光色素で標識することによって、断片長多型を検出することができる。
(2)本発明に係る遺伝子多型検出器具
本発明に係る遺伝子多型検出器具は、ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子の多型を検出するための器具である。対象生物はムギ類であればよく、オオムギ、コムギ、ライムギ等が好適である。本遺伝子検出器具の支持体上にはオオムギ染色体(1H、2H、3H、4H、5H、6Hおよび7H)DNAの一部を構成するポリヌクレオチドが固定化されているが、オオムギ染色体DNAの一部を構成するポリヌクレオチドのみが支持体上に固定化されているものでもよく、オオムギ染色体DNAの一部を構成するポリヌクレオチドおよびそれ以外のポリヌクレオチドが支持体上に固定化されているものでもよい。オオムギ染色体DNAの一部を構成するポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドとしては、ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子の発現または多型を検出できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、オオムギ以外の生物由来の塩基配列を有するポリヌクレオチドであってもよく、人工的に合成された任意の塩基配列を有するポリヌクレオチドであってもよい。
また、支持体上の複数の領域にポリヌクレオチドが固定化される場合、個々の領域に固定化されるそれぞれのポリヌクレオチドはその塩基配列が全て重複しないものであってもよく、重複する部分を有するものであってもよく、同一の塩基配列からなるポリヌクレオチドが複数の異なる領域に固定化されているものでもよい。重複の形態についても限定されるものではなく、2つのポリヌクレオチドにおいてそれぞれの一部が重複するものでもよく、2つのポリヌクレオチドのうち一方が他方の部分配列となっているものでもよい。
さらに、1つの領域に固定化されるポリヌクレオチドは1種類に限定されるものではなく、1つの領域に2種類以上の複数のポリヌクレオチドが固定化されているものであってもよい。
支持体としては、ポリヌクレオチドを固定化できるものであれば特に限定されるものではなく、どのような形状や材質であってもよい。支持体の材料としては、一般的には、例えば、ガラス、シリコンウエハ等の無機系材料、紙等の天然高分子、ニトロセルロースやナイロン等の合成高分子、合成高分子や天然高分子を用いたゲル体等を挙げることができる。また、支持体の形状も、ポリヌクレオチドを固定化できる十分な面積を有するものであれば特に限定されるものではないが、一般的には、可撓性が小さいかほとんど無い基板、可撓性を有する膜(メンブレン)、その中間となる可撓性基板等のように、二次元的な広がりを有するものを好ましく用いることができる。なお、上記基板や膜の厚みについては特に限定されるものではなく、その材質や用途に応じて適宜設定すればよい。さらに、支持体として各種ビーズを用いることもできる。
〔遺伝子多型検出器具の支持体上に固定されるポリヌクレオチド〕
本発明に係る遺伝子多型検出器具は、オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチドの少なくともいずれか1つが支持体上に固定化されているものであればよい。
オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチドとは、オオムギ1H染色体DNA、2H染色体DNA、3H染色体DNA、4H染色体DNA、5H染色体DNA、6H染色体DNAおよび7H染色体DNAの全塩基配列の一部を構成する塩基配列からなるポリヌクレオチドであれば、特に限定されるものではない。
オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチドにおいて、1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチドは、人為的に変異を導入したポリヌクレオチドでもよく、自然界に存在するポリヌクレオチドでもよい。例えば、オオムギのある特定品種の染色体DNAの塩基配列を基準とすれば、他品種オオムギの染色体DNAの塩基配列は全く同一ではなく、1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列となる。
本発明に係る遺伝子多型検出器具の支持体に固定化されるポリヌクレオチドとしては、配列番号1ないし5780に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列に基づいて設計される複数のプライマーおよび配列番号n+1に示される塩基配列に基づいて設計される複数のプライマーから任意に選択した2つのプライマーの組み合わせによるプライマーセットを用いてムギ類のゲノムDNAを鋳型として増幅されるDNA断片の少なくともいずれか1つの塩基配列の一部からなるポリヌクレオチドであることが好ましい。
配列番号1ないし5780に示される塩基配列は、本発明者らが独自に開発したオオムギEST(expressed sequence tag)の塩基配列であり、配列番号1ないし770に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは1H染色体に、配列番号771ないし1754に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは2H染色体に、配列番号1755ないし2642に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは3H染色体に、配列番号2643ないし3324に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは4H染色体に、配列番号3325ないし4320に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは5H染色体に、配列番号4321ないし4962に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは6H染色体に、配列番号4963ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは7H染色体に、それぞれマップされることが本発明者らにより確認されている。
プライマーは配列番号1ないし5780に示される塩基配列に基づいて設計されるものであれば特に限定されるものではなく、塩基数やGC含量等についても特に限定されない。また、既に説明したように、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列と配列番号n+1に示される塩基配列は同一クローンのcDNAを両側から読んだ塩基配列であるので、両配列に基づいて設計された複数のプライマーから任意に選択した2つのプライマーの組み合わせによるプライマーセットは、オオムギ染色体DNAの特定の領域を挟むものであることは明らかである。例えばオオムギゲノムDNAを鋳型として上記プライマーセットを用いて増幅した場合、当該プライマーセットが同一エクソン内に存在する場合は増幅断片の塩基配列はcDNAの塩基配列と同一になり、当該プライマーセットの各プライマーが異なるエクソンに存在する場合は、増幅断片にはイントロン部分の配列が含まれることになる。
配列番号1ないし5780に示される塩基配列に基づいて設計されるプライマーとしては、配列番号5781ないし17340に示される塩基配列からなるプライマー、またはこれらの相補配列からなるプライマーを挙げることができる。具体的には、配列番号1に基づいて設計されるプライマーは、配列番号5781および5782に示される塩基配列またはそれらの相補配列からなるプライマーであり、配列番号2に基づいて設計されるプライマーは、配列番号5783および5784に示される塩基配列またはそれらの相補配列からなるプライマーである。すなわち、配列番号1ないし5780に示される個々の塩基配列に基づくプライマーの塩基配列を示す配列番号は、プライマー設計の基礎とする塩基配列の配列番号をmとすると、(2×m−1)+5780および(2×m)+5780で表される。
一例を挙げると、配列番号1に示される塩基配列に基づいて設計された配列番号5781および5782に示される塩基配列またはそれらの相補配列からなるプライマーと、配列番号2に示される塩基配列に基づいて設計された配列番号5783および5784に示される塩基配列またはそれらの相補配列からなるプライマーから任意に選択した2つのプライマーの組み合わせによるプライマーセットを用いてオオムギゲノムDNAを鋳型としてPCRを行えば、増幅されたDNA断片を得ることができる。ここで、増幅手段はPCR等の公知の方法を用いればよく、特に限定されるものではない。
本発明に係る遺伝子多型検出器具の支持体上に固定化されるポリヌクレオチドは、上記増幅DNA断片の一部からなるものであればよい。特に、ムギ類において異なる品種のゲノムDNAを鋳型として増幅した場合に、当該増幅断片中に多型が存在する場合は、多型を含む部分の塩基配列からなるポリヌクレオチドを支持体上に固定化することが好ましい。多型の種類としては、増幅断片長多型、一塩基多型(SNP)等を挙げることができる。
本発明者らは、配列番号1ないし5780に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列に基づいて設計される複数のプライマーおよび配列番号n+1に示される塩基配列に基づいて設計される複数のプライマーから任意に選択した2つのプライマーの組み合わせによるプライマーセットを用いてムギ類のゲノムDNAを鋳型として増幅されるDNA断片が、ムギ類の品種の区別に利用可能な遺伝マーカーであることを見出している。すなわち、本発明者らは少なくとも2890個の遺伝マーカーを特定している。
具体的には、本発明者らは、配列番号2に基づいて設計された配列番号5783および5784に示される塩基配列からなるプライマーの組み合わせによるプライマーセットを用いて醸造用オオムギ「はるな二条」(Hordeum vulgare ssp.vulgare variety Harunanijo)のゲノムDNAと野生オオムギ「H602」(Hordeum vulgare ssp.spontaneum H602)のゲノムDNAとをそれぞれ鋳型としてPCRにより増幅したDNA断片に、断片長多型を見出している。また、配列番号4に基づいて設計された配列番号5787および5788に示される塩基配列からなるプライマーの組み合わせによるプライマーセットを用いて上記2品種のゲノムDNAを鋳型として増幅したDNA断片中にSNPを特定し、当該SNPにより一方の品種の断片は制限酵素で切断されるが他方は切断されないCAPS(cleaved amplified polymorphic sequence)マーカーであることを見出している。
表8−1〜表14−9に、本発明者らが「はるな二条」と「H602」との間に見出した多型の種類を示した。表8−1〜表8−8は1H染色体、表9−1〜表9−10は2H染色体、表10−1〜表10−9は3H染色体、表11−1〜表11−7は4H染色体、表12−1〜表12−10は5H染色体、表13−1〜表13−7は6H染色体、表14−1〜表14−9は7H染色体に関して、多型の種類を示している。各クローンに対応するEST配列については、表1−1〜表7−9に示されている。使用プライマーとは、各クローンに対応するEST配列(配列番号n(nは奇数)および配列番号n+1)に基づいて設計されたプライマーのうち実際に使用したプライマーであり、表中に記載した配列番号に示される塩基配列からなる。このプライマーセットを用いて、「はるな二条」のゲノムDNAおよび「H602」のゲノムDNAをそれぞれ鋳型として増幅したDNA断片に、表8−1〜表14−9に示した種類の多型が見出された。
なお、上述の既知クローンは既知の遺伝マーカーであり、SSR(simple sequence repeat、単純反復配列)マーカー、STS(sequence tagged site)マーカー、dCAPS(derived cleaved amplified polymorphic sequence)マーカー、形質マーカー、CAPSマーカーまたはsize_poly(断片長多型)マーカーであることが既に知られている。SSRはDNAに存在する2〜3塩基の単位が反復する繰り返し配列の繰り返し数の違いに基づく断片長多型である。STSはDNA上の特定の1カ所のみに設定された配列部位を示すもので、この特定の配列部位からPCR等によって特異的DNA断片を増幅し、その増幅産物を電気泳動供し、多型をバンドの有無や分子量の違いとして検出する。dCAPSはPCRのプライマーにテンプレートDNAとミスマッチを起こしてPCR産物上に多型(制限酵素サイトの有無)を作り出したものである。形質マーカーのshは播性を制御する単離された遺伝子であり、はるな二条の配列とH602の配列との間に多型があるためマーカーとして使用できる。CAPSおよびsize_polyについては後述する。
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表8−1〜表14−9には、多型の種類としてCAPS、SNP、size_poly、SSR(simple sequence repeat、単純反復配列)、STS、dCAPS、形質の7種類を示した。SSR、STS、dCAPSおよび形質は既知の遺伝マーカーであり、発明者らが特定した多型はCAPS、SNPおよびsize_polyの3種類に分類されている。size_polyは増幅断片の長さに違いがある多型である。また、size_polyには当該プライマーセットにより増幅されるか否かにより検出される多型も含まれる。いずれも増幅DNA断片を電気泳動に供し、バンドの位置の違い、またはバンドの有無により多型を検出することができる。
CAPSは制限酵素認識配列の有無による多型である。制限酵素認識配列中の一塩基多型に基づくものが大多数であるが、一塩基以上の挿入欠失に基づくものも含まれる。表8−1〜表14−9において、マーカーの種類をSNPと記載したものは、一塩基多型または挿入欠失が制限酵素認識配列中に存在しないマーカーである。CAPSは増幅DNA断片を制限酵素処理した後に電気泳動に供し、バンド数またはバンドの位置により検出することができる。CAPS以外のSNPはSNPのタイピング、すなわち一塩基多型部位または挿入欠失部位の塩基を実際に確認することにより検出できる。ただし、CAPSについてもSNPのタイピングにより多型を検出できることはいうまでもない。
表15−1〜表21−6にCAPSマーカーにおけるはるな二条とH602の一塩基多型または挿入欠失近傍の塩基配列、制限酵素名および当該制限酵素の認識配列を示した。表15−1〜表15−5は1H染色体、表16−1〜表16−7は2H染色体、表17−1〜表17−6は3H染色体、表18−1〜表18−5は4H染色体、表19−1〜表19−6は5H染色体、表20−1〜表20−5は6H染色体、表21−1〜表21−6は7H染色体に関して示している。また、表22−1〜表28−25にはSNPマーカー(CAPS以外)の一塩基多型近傍の塩基配列を示した。表22−1〜表22−20は1H染色体、表23−1〜表23−30は2H染色体、表24−1〜表24−27は3H染色体、表25−1〜表25−18は4H染色体、表26−1〜表26−28は5H染色体、表27−1〜表27−16は6H染色体、表28−1〜表28−25は7H染色体に関して、多型の種類を示している。これらの中には1断片中に複数の多型があるものも含まれている。
表15−1〜表28−25中、一塩基多型または挿入欠失を示す塩基に下線を付した。なお、配列表においては、一塩基多型部位の塩基を「ユニバーサルコード」で示した。また、表15−1〜表21−6に記載の制限酵素認識配列についても、「ユニバーサルコード」で表示できる塩基についてはこれを用いた。
表15−1〜表28−25中SNPの塩基をNで表したものは、はるな二条またはH602のいずれか一方の塩基は明らかとなっているが、他方の塩基はこれ以外の3塩基のいずれであるかが特定できていないものである。
「ユニバーサルコード」は以下の通り定義されている。
m:AまたはC
r:GまたはA
w:AまたはT
s:GまたはC
y:TまたはC
k:GまたはT
v:AまたはGまたはC
h:AまたはCまたはT
d:AまたはGまたはT
b:GまたはCまたはT
n:(AまたはCまたはGまたはT)または(不明または他の塩基)
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上述のように、異なる品種間で多型を有する増幅DNA断片の塩基配列の一部からなるポリヌクレオチドを支持体上に固定化することにより、本発明に係る遺伝子多型検出器具が構成される。多型を有する増幅DNA断片は表8−1〜表14−9に示したものに限定されるものではなく、配列番号1ないし5780に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列に基づいて設計される複数のプライマーおよび配列番号n+1に示される塩基配列に基づいて設計される複数のプライマーから任意に選択した2つのプライマーの組み合わせによるプライマーセットを用いてムギ類のゲノムDNAを鋳型として増幅されるDNA断片であって、異なる品種間等に多型があるものであればよい。増幅DNA断片の一部としては、一塩基多型が含まれる場合は当該一塩基多型を示す塩基を含む領域の塩基配列からなるポリヌクレオチドであればよい。断片長多型の場合は、断片長が異なる原因となる領域(一方には存在するが他方には存在しない塩基配列部分)の塩基配列が特定されていれば、当該塩基配列部分を含むポリヌクレオチドまたは当該塩基部分を含まないポリヌクレオチドであればよい。また、両方のポリヌクレオチドを用いてもよい。
本発明に係る遺伝子多型検出器具を一塩基多型(SNP)の検出に用いる場合、支持体に固定化されるポリヌクレオチドとしては、合成オリゴヌクレオチドであることが好ましい。現在実用化されているSNP検出用アレイは合成オリゴヌクレオチドを用いているものが多く、これらの技術を本発明に適用することが可能である。また、支持体上に固定化されるポリヌクレオチドの塩基数は特に限定されるものではなく、遺伝子の発現を検出することが可能な塩基数であればよい。例えば、1つの固定化領域に単一の合成オリゴヌクレオチドが固定化される場合には、少なくとも50塩基程度以上であれば遺伝子の多型を検出することが可能であると考えられる。また、アフィメトリクス方式のように1つの固定化領域に複数の合成オリゴヌクレオチドが固定化される場合には25塩基程度でも検出可能である。
〔ポリヌクレオチドが固定化される領域の配置の順序が、染色体上の順序と同一となっている遺伝子多型検出器具〕
既に説明したように、配列番号1ないし5780に示される塩基配列の配列番号n(nは奇数)および配列番号n+1に示される塩基配列を含むクローンは、オオムギの各染色体(1H、2H、3H、4H、5H、6Hまたは7H)上における順序(各染色体の短腕末端からの距離)が特定されている。したがって、それぞれの塩基配列に基づいて設計されるプライマーにより増幅されるDNA断片の一部からなるポリヌクレオチドを、例えばプライマー設計の基準となる塩基配列を有するポリヌクレオチドの、表1−1〜表7−9に示される順序にしたがって配置すれば、1H染色体の短腕側〜7H染色体の長腕側の順、すなわち、染色体上における順序と同一に配置できたことになる。短腕末端からの順序が同一のクローンについては、同一順序内での配置順は特に限定されない。今後、同一順序のクローンについて正確な順序が明らかとなれば、その順序にしたがって配置すればよい。なお、染色体上の順序の基準(起点)は1H染色体の短腕末端に限定されるものではなく、いずれの位置を基準としてもよい。また、支持体上に固定化するポリヌクレオチドが重複部分を有する場合は、5’末端の位置が最も上流にあるものから順に配置すればよい。5’末端の位置が同一の複数のポリヌクレオチドを用いる場合はこれらを連続して配置すればよく、これらの内部の順序については任意でよい。
このように、染色体上の順序と同一の順序でポリヌクレオチドを支持体上に固定化することにより、ムギ類の交雑育種における本発明に係る遺伝子多型検出器具の利用価値を格段に向上させることができる。より具体的には、ムギ類の遺伝子の多型を、本発明に係る遺伝子多型検出器具で網羅的に調査すれば、育種目標遺伝子の遺伝子型を判定できるだけでなく、染色体のどの部分にどの程度の組換えが生じているかを確認でき、目的以外の組換えが起こっているか否かの判断もできる。したがって、組換えのない部分に関しては親の遺伝子型がそのまま遺伝子型群(ハプロタイプ)として遺伝しているので、容易に選抜個体の有する形質の遺伝子型を決定することができ、育種の効率化を向上させることができる。
〔ポリヌクレオチドを固定化する領域に染色体上の順序の情報が付与されている遺伝子多型検出器具〕
この場合、ポリヌクレオチドを固定化する領域(スポット)に当該ポリヌクレオチドのオオムギ染色体上における順序の情報が付加されていればよく、スポットの配置には限定はない。このように、スポットに順序の情報が付加されていれば、支持体上では任意の順序で配置されていても、取得したデータをオオムギ染色体上の順序に並べ替えることが可能となる。したがって、上述のように本発明に係る遺伝子検出器具により育種の効率化を向上させることができる。なお、スポットに付与する順序の情報は、上述の配置の基準に従えばよい。
順序の情報を付与することにより、メンブレンやスライドグラス等の支持体上に複数のポリヌクレオチドを配置する、いわゆるアレイ型の遺伝子多型検出器具においては、スポットを任意に配置できる。さらに、支持体にビーズを用いて個々のビーズに1つのポリヌクレオチドを固定化したものの集合体(ビーズアレイ)からなる遺伝子多型検出器具においても、個々のポリヌクレオチドのオオムギ染色体における順序の情報を付与することが可能となる。
〔本発明に係る遺伝子多型検出器具の一例〕
遺伝子の多型、特に一塩基多型(SNP)を検出するために設計された公知の手法は、本遺伝子多型検出器具に好適に応用することができる。
代表的な製品としては、アフィメトリクス社製のDNA解析(ジェノタイピング)用GeneChipアレイを挙げることができる。このアレイは、全ゲノムDNAを制限酵素で切断し、4塩基の突出末端を認識するアダプターをライゲーションする。サイズにかかわらず、制限酵素処理で生じる全ての断片がアダプターライゲーションできる。これらの断片から250−1000bpの断片を選択的にPCR増幅して、SNP部分が一致および不一致するように配置されたアレイにハイブリダイズすることでSNPを検出するものである。この他にも多数のSNP検出用アレイが市販されており、これらの手法を本遺伝子多型検出器具に応用すればよい。また、非特許文献1および非特許文献2に記載されている手法も応用することができる。
また、東洋鋼鈑社製のジーンシリコンを用いることによってアレイシステムを実現することが可能となる。ジーンシリコンは、半導体シリコン基板にDLC(Diamond Like Carbon)をコーティングし、その表面に活性エステル化カルボキシル基を導入した多機能チップである。ジーンシリコンは、活性エステル化カルボキシル基を介して、DNAや蛋白質を基板上に固定することが可能である。
例えば、オオムギ品種Aとオオムギ品種Bとを区別可能な遺伝マーカーであって、両品種のゲノムDNAをそれぞれ鋳型としてPCRを行ったときに、一方の品種のみで増幅が認められるプライマーセットを複数設計する。具体的には、両品種の多型部位に基づいて一方のプライマーを設計することが好ましい。
上記プライマーセットの一方のプライマーを、ジーンシリコン上に染色体上における順序と同一となるように配置して固定化し、アレイを作製する。このアレイに品種Aと品種Bとの雑種から調製したゲノムDNAをハイブリダイズさせ、Cydye−dNTPを含む反応液中で、PCR反応を行う。
各スポットの増幅の有無は、Cydye−dNTPの取り込みによる蛍光を観察することにより容易に確認することができる。増幅の有無により当該遺伝マーカー(増幅断片)がマップされる染色体上の位置におけるゲノムDNAが、どちらの親(品種Aまたは品種B)に由来するのかをスポットごとに確認することにより、組換えが生じた部位を容易に見出すことができる。
(3)本発明に係るポリペプチド相互作用物質検出器具
本発明に係るポリペプチド相互作用検出器具は、ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子がコードするタンパク質または当該タンパク質の一部を構成するポリペプチドと相互作用する物質を検出するための器具である。対象生物はムギ類であればよく、オオムギ、コムギ、ライムギ等が好適である。後述するように、本ポリペプチド相互作用検出器具の支持体上にはオオムギオオムギ染色体(1H、2H、3H、4H、5H、6Hおよび7H)DNAの一部を構成するポリヌクレオチドがコードするポリペプチドが固定化されているが、オオムギ染色体DNAの一部を構成するポリヌクレオチドがコードするポリペプチドのみが支持体上に固定化されているものでもよく、オオムギ染色体DNAの一部を構成するポリヌクレオチドがコードするポリペプチドおよびそれ以外のポリペプチドが支持体上に固定化されているものでもよい。オオムギ染色体DNAの一部を構成するポリヌクレオチドがコードするポリペプチド以外のポリペプチドは特に限定されるものではない。例えば、オオムギ以外の生物由来の塩基配列を有するポリヌクレオチドがコードするポリペプチドであってもよく、人工的に合成された任意のアミノ酸配列を有するポリペプチドであってもよい。
また、支持体上の複数の領域にポリペプチドが固定化される場合、個々の領域に固定化されるそれぞれのポリペプチドはそのアミノ酸配列が全て重複しないものであってもよく、重複する部分を有するものであってもよく、同一のアミノ酸配列からなるポリペプチドが複数の異なる領域に固定化されているものでもよい。重複の形態についても限定されるものではなく、2つのポリペプチドにおいてそれぞれの一部が重複するものでもよく、2つのポリペプチドのうち一方が他方の一部となっているものでもよい。
さらに、1つの領域に固定化されるポリペプチドは1種類に限定されるものではなく、1つの領域に2種類以上の複数のポリペプチドが固定化されているものであってもよい。
支持体としては、ポリペプチドを固定化できるものであれば特に限定されるものではなく、どのような形状や材質であってもよい。支持体の材料としては、一般的には、例えば、ガラス、シリコンウエハ等の無機系材料、紙等の天然高分子、ニトロセルロースやナイロン等の合成高分子、合成高分子や天然高分子を用いたゲル体等を挙げることができる。また、支持体の形状も、ポリペプチドを固定化できる十分な面積を有するものであれば特に限定されるものではないが、一般的には、可撓性が小さいかほとんど無い基板、可撓性を有する膜(メンブレン)、その中間となる可撓性基板等のように、二次元的な広がりを有するものを好ましく用いることができる。なお、上記基板や膜の厚みについては特に限定されるものではなく、その材質や用途に応じて適宜設定すればよい。さらに、支持体として各種ビーズを用いることもできる。
〔ポリペプチド相互作用物質検出器具の支持体上に固定されるポリペプチド〕
本発明に係るポリペプチド相互作用物質検出器具は、以下の(a)または(b)に記載のポリヌクレオチドがコードするポリペプチドの少なくともいずれか1つが支持体上に固定化されているものであればよい。
(a)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(b)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチドとは、オオムギ1H染色体DNA、2H染色体DNA、3H染色体DNA、4H染色体DNA、5H染色体DNA、6H染色体DNAおよび7H染色体DNAの全塩基配列の一部を構成する塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、タンパク質をコードする領域が含まれているポリヌクレオチドであればよい。また、オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチドとは、オオムギ1H染色体DNA、2H染色体DNA、3H染色体DNA、4H染色体DNA、5H染色体DNA、6H染色体DNAおよび7H染色体DNAの全塩基配列の一部を構成する塩基配列と、当該塩基配列と連続していない別の部分を構成する塩基配列とが一連に繋がったポリヌクレオチドであって、タンパク質をコードする領域が含まれているポリヌクレオチドであればよい。例えば、2つの部分が繋がったものでもよく、3つ以上の部分が繋がったものでもよい。具体的には、例えば、オオムギ染色体DNA上でタンパク質をコードする遺伝子に該当する部分のエクソンのみが複数繋がったcDNAは、オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチドに該当する。ただし、これに限定されるものではない。
オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチドまたは上記オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチドの塩基配列において、1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチドは、人為的に変異を導入したポリヌクレオチドでもよく、自然界に存在するポリヌクレオチドでもよい。例えば、オオムギのある特定品種の染色体DNAの塩基配列を基準とすれば、他品種オオムギの染色体DNAの塩基配列は全く同一ではなく、1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列となる。このような変異塩基配列からなるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドは、変異のない塩基配列からなるポリヌクレオチドがコードするポリペプチドとアミノ酸配列が同一でもよく、一部のアミノ酸に置換が生じていてもよく、アミノ酸配列の多数または全部が異なるものでもよい。
本発明に係るポリペプチド相互作用物質検出器具の支持体に固定化されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、または配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド(配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等)であることが好ましい。
配列番号1ないし5780に示される塩基配列は、本発明者らが独自に開発したオオムギEST(expressed sequence tag)の塩基配列であり、配列番号1ないし770に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは1H染色体に、配列番号771ないし1754に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは2H染色体に、配列番号1755ないし2642に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは3H染色体に、配列番号2643ないし3324に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは4H染色体に、配列番号3325ないし4320に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは5H染色体に、配列番号4321ないし4962に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは6H染色体に、配列番号4963ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは7H染色体に、それぞれマップされることが本発明者らにより確認されている。
すなわち、配列番号1ないし5780に示される塩基配列はオオムギcDNAの部分配列である。したがって、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドがタンパク質をコードする領域を含んでいる場合には、これらのポリヌクレオチドがコードするポリペプチドを支持体上に固定化することができる。また、配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチドもオオムギcDNAの変異塩基配列であるので、これらのポリヌクレオチドがタンパク質をコードする領域を含んでいる場合には、コードするポリペプチドを支持体上に固定化することができる。なお、上記変異塩基配列からなるポリヌクレオチドは人為的に変異を導入したポリヌクレオチドでもよく、自然界に存在するポリヌクレオチドでもよい。
本発明に係るポリペプチド相互作用物質検出器具の支持体に固定化されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の一部からなるポリヌクレオチドであってもよい。一部からなるポリヌクレオチドであっても、当該ポリヌクレオチドの塩基配列はオオムギcDNAの部分配列であるので、当該一部にタンパク質をコードする領域が含まれていれば、当該一部からなるポリヌクレオチドがコードするポリペプチドを支持体上に固定化することができる。
また、本発明に係るポリペプチド相互作用物質検出器具の支持体に固定化されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部を部分配列として含むポリヌクレオチドであってもよい。当該部分配列以外の塩基配列は限定されるものではない。例えば、配列番号1ないし5780に示される塩基配列はオオムギcDNAの部分配列であるため、本来その前後にはそれぞれのcDNAの全長配列が繋がっている。したがって、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部を部分配列として含み、その両側または片側に本来繋がっているcDNA配列を有するポリヌクレオチドは、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部を部分配列として含むポリヌクレオチドに該当する。また、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部をプラスミドやBAC(bacterial artificial chromosome)等のベクターに導入したものや、上記部分配列に任意の塩基配列を繋げたものも該当する。これらのポリヌクレオチドは、少なくとも配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部、すなわちオオムギcDNAの一部を含むため、これらのポリヌクレオチドにタンパク質をコードする領域が含まれていれば、コードするポリペプチドを支持体上に固定化することができる。
さらに、本発明に係るポリペプチド相互作用物質検出器具の支持体に固定化されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部と配列番号n+1に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部とを部分配列として含むポリヌクレオチドであってもよい。上述のように、配列番号1ないし5780に示される塩基配列はオオムギのEST配列であり、クローニングしたcDNAを両側から1回のシークエンスにより読める部分の配列である。すなわち、配列番号1ないし5780に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列と配列番号n+1に示される塩基配列は同一クローンのcDNAを両側から読んだ塩基配列であるので、これら2つの配列を含むことにより当該cDNAの全長塩基配列を構成することができ、当該cDNAの全長塩基配列は、本来の全長cDNAの全部または一部に該当する。したがって、上記配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部と配列番号n+1に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部とを部分配列として含むポリヌクレオチドには、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列と配列番号n+1に示される塩基配列とを含む全長cDNA、当該全長cDNAの一部からなるポリヌクレオチドが該当する。また、当該全長cDNAまたはその一部からなるポリヌクレオチドの両側または片側にベクター等の配列や任意の塩基配列を繋げたポリヌクレオチドであってもよい。さらに、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等以外の部分、例えば全長cDNAのうち配列番号n(nは奇数)および配列番号n+1に示される塩基配列で特定されていない中央部分において、塩基置換等の変異を有するポリヌクレオチドであってもよい。これらのポリヌクレオチドはオオムギcDNAの全長または一部を含むため、これらのポリヌクレオチドがコードするポリペプチドを支持体上に固定化することができる。特にポリヌクレオチドが全長cDNAまたは全長cDNAを含むものであれば、オオムギ染色体に座乗する遺伝子がコードするタンパク質の全体を支持体上に固定化することができる。
〔ポリペプチドが固定化される領域の配置の順序が、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの染色体上の順序と同一となっているポリペプチド相互作用物質検出器具〕
既に説明したように、配列番号1ないし5780に示される塩基配列の配列番号n(nは奇数)および配列番号n+1に示される塩基配列を含むクローンは、オオムギの各染色体(1H、2H、3H、4H、5H、6Hまたは7H)上における順序(各染色体の短腕末端からの距離)が特定されている。したがって、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドがコードするポリペプチドを支持体上に固定化する場合には、例えば当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの、表1−1〜表7−9に示される順序にしたがって配置すれば、1H染色体の短腕側〜7H染色体の長腕側の順、すなわち、染色体上における順序と同一に配置できたことになる。短腕末端からの順序が同一のクローンについては、同一順序内での配置順は特に限定されない。今後、同一順序のクローンについて正確な順序が明らかとなれば、その順序にしたがって配置すればよい。なお、染色体上の順序の基準(起点)は1H染色体の短腕末端に限定されるものではなく、いずれの位置を基準としてもよい。
ポリペプチドが、それをコードするポリヌクレオチドの染色体上の順序と同一に配置されていれば、発現タンパク質が由来する遺伝子について染色体のどの部分にどの程度の組換えが生じているかを確認できる。したがって、組換えのない部分に関しては親の遺伝子型がそのまま遺伝子型群(ハプロタイプ)として遺伝しているので、容易に選抜個体の有する形質の遺伝子型を決定することができ、育種の効率化を向上させることができる。
〔ポリペプチドを固定化する領域にポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの染色体上の順序の情報が付与されているポリペプチド相互作用物質検出器具〕
この場合、ポリペプチドを固定化する領域(スポット)に当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのオオムギ染色体上における順序の情報が付加されていればよく、スポットの配置には限定はない。このように、スポットに順序の情報が付加されていれば、支持体上では任意の順序で配置されていても、取得したデータをオオムギ染色体上の順序に並べ替えることが可能となる。スポットに付与する順序の情報は、上述の配置の基準に従えばよい。
順序の情報を付与することにより、メンブレンやスライドグラス等の支持体上に複数のポリペプチドを配置する、いわゆるアレイ型のポリペプチド相互作用物質検出器具においては、スポットを任意に配置できるという利益が得られる。さらに、支持体にビーズを用いて個々のビーズに1つのポリペプチドを固定化したものの集合体(ビーズアレイ)からなるポリペプチド相互作用物質検出器具においても、個々のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのオオムギ染色体における順序の情報を付与することが可能となる。
〔本発明に係るポリペプチド相互作用検出器具の一例〕
タンパク質(ポリペプチド)の相互作用を検出するために設計された公知の手法は、本ポリペプチド相互作用検出器具に好適に応用することができる。
例えば、サイファージェン・バイオシステムズ社より、プロテインチップの1種類としてバイオロジカルチップが販売されている。これは基板(支持体)の表面にカルボニルジイミダゾールまたはエポキシの活性基を持つもので、ユーザーが自由に目的のタンパク質や抗体を固定化して使用するものである。本発明に係るポリペプチド相互作用検出器具の作製にこれを応用することが可能である。なお、上記カルボニルジイミダゾールやエポキシ等の活性基は抗体やポリヌクレオチドを固定化することもできるので、本発明に係る他の検出器具の作製にも応用することができる。
(4)本発明に係るポリペプチド検出器具
本発明に係るポリペプチド検出器具は、ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子がコードするタンパク質または当該タンパク質の一部を構成するポリペプチドを検出するための器具である。対象生物はムギ類であればよく、オオムギ、コムギ、ライムギ等が好適である。後述するように、本ポリペプチド検出器具の支持体上にはオオムギ染色体(1H、2H、3H、4H、5H、6Hおよび7H)DNAの一部を構成するポリヌクレオチドがコードするポリペプチドが固定化されているが、オオムギ染色体DNAの一部を構成するポリヌクレオチドがコードするポリペプチドに対する抗体のみが支持体上に固定化されているものでもよく、オオムギ染色体DNAの一部を構成するポリヌクレオチドがコードするポリペプチドに対する抗体およびそれ以外の抗体が支持体上に固定化されているものでもよい。オオムギ染色体DNAの一部を構成するポリヌクレオチドがコードするポリペプチドに対する抗体以外の抗体は特に限定されるものではない。例えば、オオムギ以外の生物由来の塩基配列を有するポリヌクレオチドがコードするポリペプチドに対する抗体であってもよい。
抗体は特定の抗原を認識・結合できる免疫グロブリンを意味するが、本発明における抗体は、必ずしも抗体分子の全体を意味するものではなく、抗原結合部位を含む抗体分子の一部分であっても抗体と称するものとする。
また、支持体上には複数の固定化領域を有することが好ましく、それぞれの固定化領域に原則として異なる種類の抗体が固定化されていることが好ましい。ただし、1つの領域に固定化される抗体は1種類に限定されるものではなく、1つの領域に2種類以上の複数の抗体が固定化されているものであってもよい。
支持体としては、抗体、すなわちタンパク質を固定化できるものであれば特に限定されるものではなく、どのような形状や材質であってもよい。支持体の材料としては、一般的には、例えば、ガラス、シリコンウエハ等の無機系材料、紙等の天然高分子、ニトロセルロースやナイロン等の合成高分子、合成高分子や天然高分子を用いたゲル体等を挙げることができる。また、支持体の形状も、ポリペプチドを固定化できる十分な面積を有するものであれば特に限定されるものではないが、一般的には、可撓性が小さいかほとんど無い基板、可撓性を有する膜(メンブレン)、その中間となる可撓性基板等のように、二次元的な広がりを有するものを好ましく用いることができる。なお、上記基板や膜の厚みについては特に限定されるものではなく、その材質や用途に応じて適宜設定すればよい。さらに、支持体として各種ビーズを用いることもできる。
〔ポリペプチド検出器具の支持体上に固定される抗体〕
本発明に係るポリペプチド検出器具は、以下の(a)または(b)に記載のポリヌクレオチドがコードするポリペプチドに対する抗体の少なくともいずれか1つが支持体上に固定化されているものであればよい。
(a)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(b)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチドとは、オオムギ1H染色体DNA、2H染色体DNA、3H染色体DNA、4H染色体DNA、5H染色体DNA、6H染色体DNAおよび7H染色体DNAの全塩基配列の一部を構成する塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、タンパク質をコードする領域が含まれているポリヌクレオチドであればよい。また、オオムギ染色体DNA一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチドとは、オオムギ1H染色体DNA、2H染色体DNA、3H染色体DNA、4H染色体DNA、5H染色体DNA、6H染色体DNAおよび7H染色体DNAの全塩基配列の一部を構成する塩基配列と、当該塩基配列と連続していない別の部分を構成する塩基配列とが一連に繋がったポリヌクレオチドであって、タンパク質をコードする領域が含まれているポリヌクレオチドであればよい。例えば、2つの部分が繋がったものでもよく、3つ以上の部分が繋がったものでもよい。具体的には、例えば、オオムギ染色体DNA上でタンパク質をコードする遺伝子に該当する部分のエクソンのみが複数繋がったcDNAは、オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチドに該当する。ただし、これに限定されるものではない。
オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチドまたは上記オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチドの塩基配列において、1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチドは、人為的に変異を導入したポリヌクレオチドでもよく、自然界に存在するポリヌクレオチドでもよい。例えば、オオムギのある特定品種の染色体DNAの塩基配列を基準とすれば、他品種オオムギの染色体DNAの塩基配列は全く同一ではなく、1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列となる。このような変異塩基配列からなるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドは、変異のない塩基配列からなるポリヌクレオチドがコードするポリペプチドとアミノ酸配列が同一でもよく、一部のアミノ酸に置換が生じていてもよく、アミノ酸配列の多数または全部が異なるものでもよい。
本発明に係るポリペプチド検出器具の支持体に固定化される抗体の作製に用いられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、または配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド(配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等)であることが好ましい。
配列番号1ないし5780に示される塩基配列は、本発明者らが独自に開発したオオムギEST(expressed sequence tag)の塩基配列であり、配列番号1ないし770に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは1H染色体に、配列番号771ないし1754に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは2H染色体に、配列番号1755ないし2642に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは3H染色体に、配列番号2643ないし3324に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは4H染色体に、配列番号3325ないし4320に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは5H染色体に、配列番号4321ないし4962に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは6H染色体に、配列番号4963ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは7H染色体に、それぞれマップされることが本発明者らにより確認されている。
すなわち、配列番号1ないし5780に示される塩基配列はオオムギcDNAの部分配列である。したがって、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドがタンパク質をコードする領域を含んでいる場合には、これらのポリヌクレオチドがコードするポリペプチドに対する抗体を作製することができる。また、配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチドもオオムギcDNAの変異塩基配列であるので、これらのポリヌクレオチドがタンパク質をコードする領域を含んでいる場合には、コードするポリペプチドに対する抗体を作製することができる。なお、上記変異塩基配列からなるポリヌクレオチドは人為的に変異を導入したポリヌクレオチドでもよく、自然界に存在するポリヌクレオチドでもよい。
本発明に係るポリペプチド検出器具の支持体に固定化される抗体の作製に用いられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の一部からなるポリヌクレオチドであってもよい。一部からなるポリヌクレオチドであっても、当該ポリヌクレオチドの塩基配列はオオムギcDNAの部分配列であるので、当該一部にタンパク質をコードする領域が含まれていれば、当該一部からなるポリヌクレオチドがコードするポリペプチドに対する抗体を作製することができる。
また、本発明に係るポリペプチド検出器具の支持体に固定化される抗体の作製に用いられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部を部分配列として含むポリヌクレオチドであってもよい。当該部分配列以外の塩基配列は限定されるものではない。例えば、配列番号1ないし5780に示される塩基配列はオオムギcDNAの部分配列であるため、本来その前後にはそれぞれのcDNAの全長配列が繋がっている。したがって、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部を部分配列として含み、その両側または片側に本来繋がっているcDNA配列を有するポリヌクレオチドは、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部を部分配列として含むポリヌクレオチドに該当する。また、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部をプラスミドやBAC(bacterial artificial chromosome)等のベクターに導入したものや、上記部分配列に任意の塩基配列を繋げたものも該当する。これらのポリヌクレオチドは、少なくとも配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等の全部または一部、すなわちオオムギcDNAの一部を含むため、これらのポリヌクレオチドにタンパク質をコードする領域が含まれていれば、コードするポリペプチドに対する抗体を作製することができる。
さらに、本発明に係るポリペプチド検出器具の支持体に固定化される抗体の作製に用いられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部と配列番号n+1に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部とを部分配列として含むポリヌクレオチドであってもよい。上述のように、配列番号1ないし5780に示される塩基配列はオオムギのEST配列であり、クローニングしたcDNAを両側から1回のシークエンスにより読める部分の配列である。すなわち、配列番号1ないし5780に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列と配列番号n+1に示される塩基配列は同一クローンのcDNAを両側から読んだ塩基配列であるので、これら2つの配列を含むことにより当該cDNAの全長塩基配列を構成することができ、当該cDNAの全長塩基配列は、本来の全長cDNAの全部または一部に該当する。したがって、上記配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部と配列番号n+1に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部とを部分配列として含むポリヌクレオチドには、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列と配列番号n+1に示される塩基配列とを含む全長cDNA、当該全長cDNAの一部からなるポリヌクレオチドが該当する。また、当該全長cDNAまたはその一部からなるポリヌクレオチドの両側または片側にベクター等の配列や任意の塩基配列を繋げたポリヌクレオチドであってもよい。さらに、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド等以外の部分、例えば全長cDNAのうち配列番号n(nは奇数)および配列番号n+1に示される塩基配列で特定されていない中央部分において、塩基置換等の変異を有するポリヌクレオチドであってもよい。これらのポリヌクレオチドはオオムギcDNAの全長または一部を含むため、これらのポリヌクレオチドがコードするポリペプチドに対する抗体を作製することができる。特にポリヌクレオチドが全長cDNAまたは全長cDNAを含むものであれば、オオムギ染色体に座乗する遺伝子がコードするタンパク質の全体に対する抗体を作製することができる。
〔抗体が固定化される領域の配置の順序が、抗体の作製に用いられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの染色体上の順序と同一となっているポリペプチド検出器具〕
既に説明したように、配列番号1ないし5780に示される塩基配列の配列番号n(nは奇数)および配列番号n+1に示される塩基配列を含むクローンは、オオムギの各染色体(1H、2H、3H、4H、5H、6Hまたは7H)上における順序(各染色体の短腕末端からの距離)が特定されている。したがって、配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドがコードするポリペプチドに対する抗体を支持体上に固定化する場合には、例えば当該抗体が結合するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの、表1−1〜表7−9に示される順序にしたがって配置すれば、1H染色体の短腕側〜7H染色体の長腕側の順、すなわち、染色体上における順序と同一に配置できたことになる。短腕末端からの順序が同一のクローンについては、同一順序内での配置順は特に限定されない。今後、同一順序のクローンについて正確な順序が明らかとなれば、その順序にしたがって配置すればよい。なお、染色体上の順序の基準(起点)は1H染色体の短腕末端に限定されるものではなく、いずれの位置を基準としてもよい。
抗体が、その作製に用いられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの染色体上の順序と同一に配置されていれば、発現タンパク質が由来する遺伝子について染色体のどの部分にどの程度の組換えが生じているかを確認できる。したがって、組換えのない部分に関しては親の遺伝子型がそのまま遺伝子型群(ハプロタイプ)として遺伝しているので、容易に選抜個体の有する形質の遺伝子型を決定することができ、育種の効率化を向上させることができる。
〔抗体を固定化する領域に抗体の作製に用いられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの染色体上の順序の情報が付与されているポリペプチド検出器具〕
この場合、抗体を固定化する領域(スポット)に当該抗体の作製に用いられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのオオムギ染色体上における順序の情報が付加されていればよく、スポットの配置には限定はない。このように、スポットに順序の情報が付加されていれば、支持体上では任意の順序で配置されていても、取得したデータをオオムギ染色体上の順序に並べ替えることが可能となる。スポットに付与する順序の情報は、上述の配置の基準に従えばよい。
順序の情報を付与することにより、メンブレンやスライドグラス等の支持体上に複数の抗体を配置する、いわゆるアレイ型のポリペプチド検出器具においては、スポットを任意に配置できるという利益が得られる。さらに、支持体にビーズを用いて個々のビーズに1つの抗体を固定化したものの集合体(ビーズアレイ)からなるポリペプチド検出器具においても、個々の抗体の作製に用いられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのオオムギ染色体における順序の情報を付与することが可能となる。
〔本発明に係るポリペプチド検出器具の一例〕
抗体を用いてタンパク質(ポリペプチド)を検出するために設計された公知の手法は、本ポリペプチド検出器具に好適に応用することができる。
ここでは本発明に係るポリペプチド検出器具の一例として、ビーズ型抗体アレイについて説明する。ただし、支持体としてのビーズに固定化可能なものは抗体に限定されるものではなく、他のポリペプチドやポリヌクレオチドであってもよい。したがって、本発明に係る遺伝子検出器具、遺伝子多型検出器具、ポリペプチド相互作用検出器具をビーズアレイとして実施することも可能である。
ビーズ型抗体アレイは1つのビーズに1種類の抗体が固定化されており、当該抗体の作製に用いられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのオオムギ染色体における順序の情報が付与されていることが好ましい。例えば、マイクロタイタープレートの1ウェルを小容器とし、この小容器内に識別コード(固定化されている抗体の情報、染色体上の位置情報等)を付与したビーズを複数仕込む。この識別コードを読み取ることにより、固定化されている抗体が何であるか等の情報を特定することができる。特に、2波長のレーザー光を用いれば100種類以上のビーズに対する定量が可能となる。この手法は液相での検出が可能なので、特にタンパク質などの定量に有用である。代表的なものとして日立ソフトウエアエンジニアリング社製蛍光マイクロビーズアレイシステムLuminexを挙げることができる。
(5)本発明に係る検出器具の利用方法
本発明に係る検出器具の利用方法は特に限定されるものではないが、例えば、オオムギなどのムギ類を交雑して得られる雑種から目的の形質を含む染色体断片を同定する(遺伝子型を同定する)用途や、品種改良しようとするムギ類を交雑して得られる雑種から目的の形質を保持する品種を選抜する用途に好適に用いることができる。そして、上記用途に用いるためには、アレイ等の支持体上に固定化されているポリヌクレオチド等が、染色体上における順序と同一となっていることが特に好ましい。
従来のアレイでは、固定化されるポリヌクレオチド等の配列の順序には特に規則性がなくランダムであるため、固定化されたポリヌクレオチド等それぞれについての発現量等を解析することは可能である。ここで、上記交雑に由来する雑種においては、個々の遺伝子は染色体上の交叉が起きた部分から次の交叉が起きた部分までブロック単位で遺伝する。そのため、遺伝子型の同定や品種改良等における品種選抜という用途では、個々の形質を保持しているか否かの判断だけでなく、染色体のどの部分がどの程度組み換わったか否かの判断や、目的以外の組換えが起こっているか否かの判断が必要となる。したがって、DNA断片がランダムに配列されている従来のアレイを品種改良等の選抜に用いることは効率的でない。
これに対して、本発明に係る検出器具において、固定化されているポリヌクレオチド等が染色体上における順序と同一となるように配置することにより、染色体上のどの部分が組み換わっているか否かを1回の試行で把握することが可能となる。その結果、交雑により得られた分離集団の中から、目的とする形質を有する個体のみを正確に選抜することができる。しかも、本発明に係る検出器具を用いれば、雑種世代における染色体の組み換えが容易に推定できるので、遺伝子群のブロック単位の導入あるいはブロック内の遺伝子の改変が可能となる。
また、本発明に係る検出器具を用いれば、染色体上のどの部分がどう組み換わったのかといった、組み換えの様式が的確に把握できる。そのため、雑種あるいは自然集団の中で組み換え頻度の少ない染色体上の保守的な部分を同定して、効率的に部分内の組み換えを促すことも可能となる。
以下、図1および図2により、本発明に係る検出器具を用いて標的形質を選抜する方法の一例について模式的に説明する。例えば、オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチドが染色体上における順序と同一に支持体上に配置、固定化されたDNAマイクロアレイを製造したとする。このとき、図1(a)に示すように、当該DNAマイクロアレイにおいて、図中黒く塗りつぶされたスポットXが存在していれば、醸造特性を示す遺伝子が発現していることを示し、図1(b)に示すように、図中斜線を引いたスポットYが存在していれば、病害抵抗性を示す遺伝子が発現していることを示すものとする。
当該DNAマイクロアレイでは、各スポットが染色体上における順序と同一に配置されているため、上記スポットX・Yの位置は固定される。例えば、図1(a)では、スポットXは最上段左から1・2個目および5・6個目のスポットと最下段右から1・2個目のスポットであり、図1(b)では、スポットYは最上段左から3・4個目のスポットである。
図2に示すように、上記スポットXで表される醸造特性を示す遺伝子が発現している品種(対応するDNAマイクロアレイは図上左)と、上記スポットYで露わされる病害抵抗性を示す遺伝子が発現している品種(対応するDNAマイクロアレイは図上右)とを交雑すると、例えば、同図の下に示す4つのDNAマイクロアレイで表されるような分離集団が得られるとする。この分離集団から、醸造特性および病害抵抗性を示す双方の遺伝子が発現している品種は、DNAマイクロアレイを用いた解析結果から、容易に選抜することができる(図2では、点線で囲んだ下左上のDNAマイクロアレイに対応する品種)。
また、ゲノムの他の領域についても、どちらの交雑親由来の染色体断片を有するかが容易に判別できる。そのため、例えば、雑種に、図1(a)に示す品種を戻し交雑することで、図1(a)に示す品種の最上段左から1・2個目および5・6個目のスポットと最下段右から1・2個目のスポットとを全て有しつつ、図1(b)に示す品種の最上段左から3・4個目のスポットを含む品種を選抜して育成することが容易に可能となる。
本発明に係る検出器具を用いてジェノタイピング(どちらの親の染色体部位が由来しているか)や遺伝マーカーと連鎖する形質(量的形質および質的形質)の検出を行う場合、本発明に係る検出器具の支持体上に固定化されるポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは抗体の数が多いほど遺伝マーカーの密度が高くなるためより精度の高いデータが得られることはいうまでもない。
支持体上に固定化されるポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは抗体の密度(隣接するポリヌクレオチド等間の距離)としては、隣接する2つのマーカー間で連鎖を確認するために少なくとも30cM以下であることが好ましく、15cM以下であることがより好ましく、10cM以下であることが特に好ましい。
また、支持体上に固定化されるポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは抗体の数としては、オオムギゲノム全体を対象とする場合、少なくとも50個以上であることが好ましく、少なくとも100個以上であることより好ましく、少なくとも150個以上であることが特に好ましい。また、オオムギのメンデル分離集団を対象として1cM程度の高解像度のジェノタイピングを行う際には、支持体上に固定化されるポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは抗体の数としては、1500個以上であることが好ましい。
醸造用オオムギ「はるな二条」と野生オオムギ「H602」との雑種5系統(DHHS1、DHHS2、DHHS3、DHHS4およびDHHS5)の1H染色体において、どの部分がどちらの親の遺伝子型を示すか、すなわち、どの部分で組換えが生じているかを、本発明に係る検出器具の支持体上に固定化されるポリヌクレオチドを用いて検討した。
〔遺伝マーカー〕
オオムギ1H染色体にマップされる9個の遺伝マーカーを用いた。クローン名は、bah47d23、baal19i12、bah45i13、bags30g20、BaGS13F08、baet45e0410、bah16m01、BaH56B06およびBaH39L18である。
〔プライマー〕
使用したプライマーを表29に示した。
Figure 2005095603
リバースプライマーは、上記表8−1〜表8−8に示した1H染色体の多型を見出す際に使用したプライマーを使用した。具体的には、bah47d23は配列番号5880、baal19i12は配列番号6012、bah45i13は配列番号6340、bags30g20は配列番号6632、BaGS13F08は配列番号6760、baet45e0410は配列番号6800、bah16m01は配列番号6904、BaH56B06は配列番号7064、BaH39L18は配列番号7316にそれぞれ示される塩基配列からなるプライマーである。
フォワードプライマーはSNP部位の塩基配列に基づいて設計した。すなわち、プライマー配列の3’側から3番目の塩基を「はるな二条」型塩基または「H602」型塩基となるようにし、3’側の1番目および2番目の塩基は、本来の塩基配列と異なる同種の塩基とした。すなわち、例えば本来の塩基がAであれば同じプリン塩基のG(またはその逆)とし、本来の塩基がCであれば同じピリミジン塩基のT(またはその逆)とした。
フォワードプライマーの設計には、上記表22−1〜表22−20に示した1H染色体にマップされるSNPマーカーの一塩基多型近傍の塩基配列を使用した。具体的には、bah47d23のフォワードプライマー(配列番号22343(はるな二条)および配列番号22344(H602))は配列番号17380に示される塩基配列を使用した。baal19i12のフォワードプライマー(配列番号22345(はるな二条)および配列番号22346(H602))は配列番号17419に示される塩基配列を使用した。bah45i13のフォワードプライマー(配列番号22347(はるな二条)および配列番号22348(H602))は配列番号17556に示される塩基配列を使用した。bags30g20のフォワードプライマー(配列番号22349(はるな二条)および配列番号22350(H602))は配列番号17669に示される塩基配列を使用した。BaGS13F08のフォワードプライマー(配列番号22351(はるな二条)および配列番号22352(H602))は配列番号17723に示される塩基配列を使用した。baet45e0410のフォワードプライマー(配列番号22353(はるな二条)および配列番号22354(H602))は配列番号17742に示される塩基配列を使用した。bah16m01のフォワードプライマー(配列番号22355(はるな二条)および配列番号22356(H602))は配列番号17785に示される塩基配列を使用した。BaH56B06のフォワードプライマー(配列番号22357(はるな二条)および配列番号22358(H602))は配列番号17860を使用した。BaH39L18のフォワードプライマー(配列番号22359(はるな二条)および配列番号22360(H602))は配列番号17958に示される塩基配列を使用した。
〔PCR反応〕
上記5系統の雑種オオムギからそれぞれゲノムDNAを調製し、これらを鋳型とした。PCR反応液の組成は表30に示した。反応条件は下記のとおりとした。
94℃ 2分
サイクル開始
94℃ 30秒
65℃ 30秒 (−1℃/サイクル)
72℃ 1分
以上5サイクル
サイクル開始
94℃ 30秒
60℃ 30秒
72℃ 1分
以上30サイクル
72℃ 7分
反応終了
Figure 2005095603
〔結果〕
結果を、図3に示した。図3において、「H」と表示される領域(黒色部分)は、「はるな二条」由来の領域であり、「S」と表示される領域(白色領域)は、「H602」由来の領域である。
図3から明らかなように、DHHS1では、bah47d23〜BaGS13F08ははるな二条の塩基配列に基づくフォワードプライマーで増幅が認められ、baet45e0410〜BaH39L18はH602の塩基配列に基づくフォワードプライマーで増幅が認められた。すなわち、DHHS1では、クローンBaGS13F08に基づく遺伝マーカーとクローンbaet45e0410に基づく遺伝マーカーとの間で組換えが生じていることが明らかとなった。
同様に、DHHS2ではbah47d23とbaal19i12との間、およびBaGS13F08とbaet45e0410との間の2個所で組換えが生じていることが判った。DHHS3ではbah47d23とbaal19i12との間、およびbags30g20とBaGS13F08との間の2個所で組換えが生じていることが判った。DHHS4ではbah47d23とbaal19i12との間、およびBaH56B06とBaH39L18との間の2個所で組換えが生じていることが判った。DHHS5ではすべてがH602の遺伝子型を示し、当該個体の1H染色体はすべてH602に由来している可能性が高いことが判った。
なお、本実施例では支持体に固定化されていないポリヌクレオチドを用いたが、例えば上述のジーンシリコンに本実施例で用いた各フォワードプライマーおよび各リバースプライマーを染色体上における順序と同一となるように配置して固定化することにより、本発明に係る検出器具を作製することができ、当該器具を用いると本実施例における結果と同様の結果が得られることを、当業者は容易に理解する。
なお、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する請求の範囲内で、いろいろと変更して実施することができるものである。
本発明に係る検出器具は、オオムギ染色体上にマップされる遺伝マーカーとして利用可能なポリヌクレオチドを利用したものであり、当該検出器具により、ムギ類における遺伝子の発現、遺伝子の多型、タンパク質(ポリペプチド)およびタンパク質(ポリペプチド)相互作用物質を迅速かつ網羅的に検出することができる。したがって、ムギ類の選抜育種を大幅に効率化できるという効果を奏する。さらに、これらの検出器具を用いることにより、様々な特性を有する有用なムギ類を短期間で育成できれば、食糧問題の解決に貢献できるという効果を奏する。
したがって、本発明に係る検出器具は、ムギ類の育種に好適に用いることができるとともに、広く農業分野に利用可能である。また、農学を含む生物学の基礎研究分野にも利用可能である。
【0010】
基配列からなるポリヌクレオチド。(b)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
上記支持体上に固定化されている抗体の作製に用いられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、以下の(1)ないし(4)に記載のポリヌクレオチドのいずれかであることが好ましい。(1)配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、または配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。(2)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つの一部からなるポリヌクレオチド。(3)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つの全部または一部を部分配列として含むポリヌクレオチド。(4)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部と配列番号n+1に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部とを部分配列として含むポリヌクレオチド。上記抗体が支持体上に固定化されたポリペプチド検出器具により、ムギ類のタンパク質を検出することが可能となる。
上記支持体上に固定化されている抗体は少なくとも2種類以上であり、それぞれの抗体が固定化される領域の配置の順序は、支持体に固定化されているすべての抗体の作製に用いられるポリペプチドをそれぞれコ

Claims (20)

  1. ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子の発現または多型を検出するための器具であって、
    以下の(a)または(b)に記載のポリヌクレオチドの少なくともいずれか1つが支持体上に固定化されていることを特徴とする遺伝子検出器具。
    (a)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
    (b)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
  2. 上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドは、以下の(1)ないし(4)に記載のポリヌクレオチドの少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の遺伝子検出器具。
    (1)配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、または配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
    (2)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つの一部からなるポリヌクレオチド。
    (3)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つの全部または一部を部分配列として含むポリヌクレオチド。
    (4)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部と配列番号n+1に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部とを部分配列として含むポリヌクレオチド。
  3. 上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドは少なくとも2種類以上であり、それぞれのポリヌクレオチドが固定化される領域の配置の順序は、支持体に固定化されているすべてのポリヌクレオチドについての染色体上における順序と同一となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の遺伝子検出器具。
  4. 上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドは少なくとも2種類以上であり、それぞれのポリヌクレオチドが固定化されている領域には、支持体に固定化されているすべてのポリヌクレオチドについての染色体上における順序の情報が付与されていることを特徴とする請求項1または2に記載の遺伝子検出器具。
  5. 上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドはcDNAであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の遺伝子検出器具。
  6. ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子の多型を検出するための器具であって、
    オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチドの少なくともいずれか1つが支持体上に固定化されていることを特徴とする遺伝子多型検出器具。
  7. 上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドは、配列番号1ないし5780に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列に基づいて設計される複数のプライマーおよび配列番号n+1に示される塩基配列に基づいて設計される複数のプライマーから任意に選択した2つのプライマーの組み合わせによるプライマーセットを用いてムギ類のゲノムDNAを鋳型として増幅されるDNA断片の少なくともいずれか1つの塩基配列の一部からなるポリヌクレオチドであることを特徴とする請求項6に記載の遺伝子多型検出器具。
  8. 上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドは少なくとも2種類以上であり、それぞれのポリヌクレオチドが固定化される領域の配置の順序は、支持体に固定化されているすべてのポリヌクレオチドについての染色体上における順序と同一になっていることを特徴とする請求項6または7に記載の遺伝子多型検出器具。
  9. 上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドは少なくとも2種類以上であり、それぞれのポリヌクレオチドが固定化されている領域には、支持体に固定化されているすべてのポリヌクレオチドについての染色体上における順序の情報が付与されていることを特徴とする請求項6または7に記載の遺伝子多型検出器具。
  10. 上記支持体上に固定化されているポリヌクレオチドは合成オリゴヌクレオチドであることを特徴とする請求項6ないし9のいずれか1項に記載の遺伝子多型検出器具。
  11. ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子がコードするタンパク質または当該タンパク質の一部を構成するポリペプチドと相互作用する物質を検出するための器具であって、
    以下の(a)または(b)に記載のポリヌクレオチドがコードするポリペプチドの少なくともいずれか1つが支持体上に固定化されていることを特徴とするポリペプチド相互作用物質検出器具。
    (a)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
    (b)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
  12. 上記支持体上に固定化されているポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、以下の(1)ないし(4)に記載のポリヌクレオチドのいずれかであることを特徴とする請求項11に記載のポリペプチド相互作用物質検出器具。
    (1)配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、または配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
    (2)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つの一部からなるポリヌクレオチド。
    (3)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つの全部または一部を部分配列として含むポリヌクレオチド。
    (4)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部と配列番号n+1に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部とを部分配列として含むポリヌクレオチド。
  13. 上記支持体上に固定化されているポリペプチドは少なくとも2種類以上であり、それぞれのポリペプチドが固定化される領域の配置の順序は、支持体に固定化されているすべてのポリペプチドをそれぞれコードするポリヌクレオチドについての染色体上における順序と同一となっていることを特徴とする請求項11または12に記載のポリペプチド相互作用物質検出器具。
  14. 上記支持体上に固定化されているポリペプチドは少なくとも2種類以上であり、それぞれのポリペプチドが固定化されている領域には、支持体に固定化されているすべてのポリペプチドをそれぞれコードするポリヌクレオチドについての染色体上における順序の情報が付与されていることを特徴とする請求項11または12に記載のポリペプチド相互作用物質検出器具。
  15. ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子がコードするタンパク質または当該タンパク質の一部を構成するポリペプチドを検出するための器具であって、
    以下の(a)または(b)に記載のポリヌクレオチドがコードするポリペプチドに対する抗体の少なくともいずれか1つが支持体上に固定化されていることを特徴とするポリペプチド検出器具。
    (a)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
    (b)オオムギ染色体DNAの一部の塩基配列を複数組み合わせた塩基配列からなるポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドの塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
  16. 上記支持体上に固定化されている抗体の作製に用いられるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、以下の(1)ないし(4)に記載のポリヌクレオチドのいずれかであることを特徴とする請求項11に記載のポリペプチド相互作用物質検出器具。
    (1)配列番号1ないし5780に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド、または配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された変異塩基配列からなるポリヌクレオチド。
    (2)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つの一部からなるポリヌクレオチド。
    (3)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのいずれか1つの全部または一部を部分配列として含むポリヌクレオチド。
    (4)上記(1)に記載のポリヌクレオチドのうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部と配列番号n+1に示される塩基配列またはその変異塩基配列の全部または一部とを部分配列として含むポリヌクレオチド。
  17. 上記支持体上に固定化されている抗体は少なくとも2種類以上であり、それぞれの抗体が固定化される領域の配置の順序は、支持体に固定化されているすべての抗体の作製に用いられるポリペプチドをそれぞれコードするポリヌクレオチドについての染色体上における順序と同一となっていることを特徴とする請求項15または16に記載のポリペプチド検出器具。
  18. 上記支持体上に固定化されている抗体は少なくとも2種類以上であり、それぞれの抗体が固定化されている領域には、支持体に固定化されているすべての抗体の作製に用いられるポリペプチドをそれぞれコードするポリヌクレオチドについての染色体上における順序の情報が付与されていることを特徴とする請求項15または16に記載のポリペプチド検出器具。
  19. ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子の発現または多型を検出するための器具に利用可能なポリヌクレオチドであって、
    配列番号1ないし5780に示される塩基配列、
    または配列番号1ないし5780に示される塩基配列において1またはそれ以上の塩基が置換、欠失、挿入、および/または付加された塩基配列、
    からなることを特徴とするポリヌクレオチド。
  20. ムギ類のゲノム中に存在する遺伝子の多型を検出するための器具に利用可能なポリヌクレオチドを部分配列として含むポリヌクレオチドであって、
    配列番号1ないし5780に示される塩基配列のうち、配列番号n(nは奇数)に示される塩基配列に基づいて設計される複数のプライマーおよび配列番号n+1に示される塩基配列に基づいて設計される複数のプライマーから任意に選択した2つのプライマーの組み合わせによるプライマーセットを用いてムギ類のゲノムDNAを鋳型として増幅されるDNA断片からなることを特徴とするポリヌクレオチド。
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