明 細 書 改良植物品種の迅速な育種方法 技術分野
本発明は、 目的形質が導入された改良植物品種の迅速な育種方法、 及び該方法 により作出された改良植物品種、 詳しくは 「コシヒカリ」 を反復親とし、 半矮性 形質を有する 「IR24」 を供与親とする連続戻し交配において、 一塩基多型 (SNP) マーカーを用いてタイビングした遺伝子型に基づいて次世代の交配に供 する供与親を選抜することを特徴とする改良イネ品種の迅速な育種方法、 及び該 方法により作出された改良イネ品種に関する。 背景技術
作物の交雑育種では、 望ましい形質を持つ品種 ·系統を交配し、 その雑種後代 からより優れた性質を持つ個体を選んで新品種を作出する。 従来は、 そのような 雑種後代における個体の選抜を表現型によって行っていた。 そのため、 特性評価 や個体選抜に膨大な手間と時間がかかり、 1つの品種を育成には十数年の年月が 必要だった。 また、 このような方法では同じものを選ぶことができる再現性は低 く、 基本的には偶然性の度合いが高い。 突然変異体を用いた育種法や、 培養変異 を用いた細胞培養育種方法も品種育成に用いられるが、 いずれも新規形質の付与 が困難であつたり、 他形質に影響を及ぼす可能性もあって好ましいとはいえない。 福井県の農業試験場で作出された 「コシヒカリ」 は良食味品種として多くの 人々に支持され、 品種化されてから現在に至るまでの約半世紀にわたり栽培され ている。 栽培技術の改良と消費者の良食味志向により作付面積は年々拡大し、 栽 培の限界も北上しつつある。 一方で、 「コシヒカリ」 は長稈で台風により倒伏し やすく、 またいもち病に弱いという欠点がある。 従って良食味を生かしつつ、 耐 倒伏性や、 耐病性などの付与が求められている。
そこで良食味米としての 「コシヒカリ」 の特徴を保持したまま短稈化させるた めに、 稈を矮化させる遺伝子座のみを導入することが試みられている。 従来の育
種法では、 ある優れた品種(反復親)に他品種(供与親)の特定の遺伝子座のみを導 入する場合には F1雑種に反復親を用いて 「連続戻し交配」 し、 表現型のみを用い て選抜を行ってきた。 しかしながら、 この育種法においては選抜に経験を要し、 染色体を置換するのに年月がかかりなおかつ当該遺伝子座の遺伝子作用が劣性で ある場合には選抜に際して困難を伴うという問題点がある。 従って、 この 「連続 戻し交配」 による染色体の置換を効率的に行うことができれば育種期間の短縮に 繋がるだけでなく、 余分な領域の混入を正確に除くことができるはずである。 イネゲノム解析の初期段階から、 ゲノム解析技術を育種に役立てることが育種 現場との連携の下に検討されてきた。 最初の段階では目的とする遺伝形質と連鎖 する DNAマーカーを作ること (標識化) が行われた (Kurata, N., et al., Nat. Genet. , 8, 365-372, 1994 ; Harushima, Y. , et al., Genetics, 148, 479-494, 1998)。 多くの遺伝子が関与する量的形質遺伝子座 (Quantitative trait locus : QTL) の解析にも DNAマーカーが利用され、 矢野らはこの解析により出穂期に 関連するいくつかの遺伝子を見出し、 それらを組み合わせて様々な出穂期を示す イネを作出した (Yano, M., et al. , Plant Physiol., 127, 1425-1429, 2001参 照) 。 DNAマーカーについては従来の RFLP (Restriction Fragment Length Polymo rphism)マーカーに代わり、 RAPD (Random Amplified Polymorphic 画、 AFLP (A mpl if ied Fragment Length Polymorphism)、 CAPS (Cleaved Amplified Polymorp hie Seauences) 、 SSR (Simple Se uence Repeat) などのマーカーが登場し、 こ れらを用いた育種法が開発されている (McCouch, S. . , et al. , Plant Mol. Bi ol. , 35, 89—99, 1997;Yano, M. , et al. , ttp://rgp. dna. affrc. go. jp/public data/caps/index, html参照) 。
連続戻し交配育種法では目的遺伝子座周辺に上記 DNAマーカーを設定し、 各世 代の選抜の際に遺伝子型をそれらのマーカーを用いて分析し、 目的遺伝座を保持 しつつ、 他の染色体を反復親の染色体に置換していく。 しかしながら、 この方法 では特定の遺伝子座周辺の遺伝子型のみで選抜を行うため、 その遺伝子座以外の 全染色体を反復親の染色体に置換するには時間を要する。 従って、 この時間を短 縮するために全染色体に DNAマーカーを設定し、 各世代において置換の程度の高 い個体を選抜できることが望まれる。
本発明者らのグループでは、 イネゲノム全域の一塩基多型 (Single
Nucleotide Polymorphism: SNP)の探索を行い、 育種に利用可能なマーカー化を行 つている (Nasu, S., et al. , DNA Res. , 9, 1,63-171, 2002)。
本発明の課題は、 改良植物品種の作出を目的とした連続戻し交配において、 次 世代の交配に供する個体の選抜効率を高め、 迅速な育種方法を提供することにあ る。 また、 本発明のさらなる課題は、 「コシヒカリ」 の良食味を保持したまま耐 倒伏性を付与した改良イネ品種を短期間に作出することにある。 発明の開示
本発明者らは上記課題を解決すべき鋭意研究を重ねた結果、 植物ゲノム全域を 網羅する一塩基多型 (SNP) マーカー (以下、 SNPマーカーと記載する) を用いる ことによって、 連続戻し交配後代の染色体の遺伝子型を幼植物期において迅速に タイビングでき、 次世代の交配に供する個体の選抜が飛躍的に効率化できること を見出した。 その結果、 所望の改良植物品種を短期間に作出することに成功し、 本発明を完成させるに至った。
すなわち、 本発明は以下の発明を包含する。
(1) 目的形質が導入された改良植物品種の迅速な育種方法であって、 以下のェ 程:
(a) 対象となる植物品種に目的形質を有する他の植物品種を交配し、
(b) 交配後代の染色体の遺伝子型を、 幼植物期において SNPマ一カーを用いて タイビングし、
(c) タイビングした遺伝子型に基づいて次世代の交配に供する個体を選抜し、
( d ) 選抜した個体に前記の対象となる植物品種を戻し交配し、
(e) 上記 (b) から (d) の工程を少なくとも 3回繰り返すこと、
を含む、 前記育種方法。
(2) 対象となる植物品種がイネ品種である、 上記 (1) の方法。
(3) イネ品種が 「コシヒカリ」 である、 上記 (2) の方法。
(4) 他の植物品種が半矮性遺伝子を有するイネ品種である、 上記 (1) から (3) のいずれかに記載の方法。
( 5 ) 半矮性遺伝子を有するイネ品種が sd- 1遺伝子を有する 「IR24」 である、 上記 (4 ) の方法。
( 6 ) 上記 (1 ) から (5 ) のいずれかの方法により作出された改良植物品種。
( 7 ) 「IR24」 由来の sd-1遺伝子座がホモ接合であり、 それ以外の染色体領域 が 「コシヒカリ」 由来の染色体で構成されていることを特徴とする、 上記 (1 ) から (5 ) のいずれかの方法により作出された改良イネ品種。 図面の簡単な説明
図 1は、 IR24」 「ュシヒカリ」 間で利用できる SNPマーカーの染色体上の分布 を示す。 地図距離は 「日本晴」 「カザラス」 の地図に準ずる。
図 2は、 「コシヒカリ」 、 および 「コシヒカリ」 と 「IR24」 の交配後代 (戻し 交配 4回) の植物体の写真を示す。
図 3は、 各世代における sd-1遺伝子座の遺伝子型と全染色体レベルでの 「コシ ヒカリ」 への置換の程度を示す。
図 4は、 「半矮性コシヒカリ」 育成の流れ図を示す。 置換率とは全マーカーに 対して 「コシヒカリ」 「IR24」 ヘテロ型の遺伝子型が観測されたマーカ一の割合 である (図中、 1 : 「コシヒカリ」 ホモ接合領域、 2 : riR24j 「コシヒカリ」 ヘテロ接合領域、 3 : riR24j ホモ接合領域を表す) 。
図 5は、 「半矮性コシヒカリ」 の所内圃場試験栽培の様子である。 左側が 「コ シヒカリ」、 右側が 「半矮性コシヒカリ」 である。
図 6は、 所内圃場で試験栽培した株である。 左側が 「コシヒカリ」、 右側が 「半矮性コシヒカリ」 である。
図 7は、 所内圃場で栽培した 「半矮性コシヒカリ」 と 「コシヒカリ」 の到穂日 数を示す (出穂始め:全個体の 10%以上が出穂した日、 出穂日 :全個体の 50%以 上が出穂した日、 出穂揃え:全個体の 90%以上が出穂した日)。
図 8は、 「半矮性コシヒカリ」 と 「コシヒカリ」 の稈長を示す。 図中のエラー バーは平均値と標準偏差を示す。
図 9は、 「半矮性コシヒカリ」 と 「コシヒカリ」 の籾と玄米の写真を示す。
以下、 本発明を詳細に説明する。 本願は、 2003年 1月 31 日に出願された日本 国特許出願 2003-024143号の優先権を主張するものであり、 該特許出願の明細書 及び Z又は図面に記載される内容を包含する。 本発明は、 目的形質が導入された改良植物品種の迅速な育種方法であって、 以 下の工程:
(a) 対象となる植物品種に目的形質を有する他の植物品種を交配し、
(b) 交配した後代の染色体の遺伝子型を、 幼植物期において SNPマーカーを用 いてタイピングし、
(c) タイビングした遺伝子型に基づいて次世代の交配に供する個体を選抜し、
( d ) 選抜した個体に前記の対象となる植物品種を戻し交配し、
(e) 上記 (b) から (d) の工程を少なくとも 3回繰り返すこと、
を含むことを特徴とする。
本発明の育種方法は、 従来の交雑育種に、 ゲノム全域をカバーするマーカーを 用いた効率的な解析に基づく雑種後代の個体の選抜と世代促進を組み合わせた画 期的な方法であり、 非常に短期間に確実に新形質を付加する新しい育種方法であ る。
本発明において、 「対象となる植物品種」 とは、 優良品種ではあるが、 改良す べき形質を有する植物品種をいい、 戻し交配における 「反復親」 に該当する。 一方、 「目的形質を有する植物品種」 とは、 上記の 「対象となる植物品種」 に おける改良すべき形質を有している他の品種をいい、 戻し交配における 「供与 親」 に該当する。
本発明の育種方法の対象となる植物としては- イネ (Oryza sativa)、 コムギ (Triticum aestivum L. )、 ォォムギ (Hordeuni vulgare L. )ゝ 卜ゥモロコシ(Zea mays L. )、 ダイズ (Glycine max)ゝ ソルガム ( Sorghum Bicolor)、 トマト (Licopersicon esculentum)、 オラン夕つ チコ (Fragaria a腿 assa)、 キク (Chrysanthemum cvs)などが挙げられるが、 ゲノム配列データが公開されている イネ (Oryza sativa)をはじめとしてイネと遺伝的相同性 (シンテニー) を持つ イネ科の植物 (Gale, M. D., et al., Science, 282 (5389), 656-659 (1998) ) 、
例えばコムギ、 ォォムギ、 ライムギ (Secale cereale L. )、 トウモロコシ、 ソル ガム、 サトウキビ (Saccharum of f ic inarum L. )が好ましい。
「目的形質を有する植物品種」 は、 「対象となる植物品種」 に目的形質を導入 できる限り特には限定されないが、 同種の植物で、 和合性を持つものであること が好ましい。 例えば 「対象となる植物品種」 が 「コシヒカリ」 の場合、 「目的形 質を有する植物品種」 として矮化遺伝子を有するイネ品種を用いれば、 「コシヒ カリ」 に耐倒伏性を付与することができる。 矮化遺伝子を有するイネ品種として は、 いくつかの種類が存在するが、 半矮性遺伝子である sd_l遺伝子をもつインド 型イネ品種 「IR24」 が好ましい。 「IR24」 は Gibbere l l in 20_oxidaseをコードす る sd_l遺伝子が欠損変異しており (Li sa Moima, et al. , 肩 A Resercli, 9, 11- 17, 2002)、 riR24j 型 sd-1遺伝子のホモ接合体は半矮性を示し、 短稈化する一方 で収量形質に影響を及ぼさないので好適である (Fut sutiara, Y. , e t al. , Sc ience of the Rice P lant, vol. 3 ; Matsuo, M. , e t al. , Food and Agr icul ture Pol icy Reserch Center, Tokyo, 300-318, 1997)。 これに対し、 矮 性遺伝子である d l、 d61 (Ashikari. Μ·, et al. , Proc. Nat l. Acad. Sc i. USA., 96, 10284-10289, 1999 ; Yamamuro, , et al. , Plant Ce l l, 12, 1591-1605, 2000)は、 イネを短稈化させる遺伝子として知られているが、 これらは穂の長さ、 米粒の大きさをも矮化させ収量形質を悪化させるという、 いわゆる矮性の形質を 示し、 好ましくない。
本発明において、 「矮性遺伝子」 とは正常型より稈長を短縮させ、 穂長、 種子 の粒形を矮化させる作用を持つ遺伝子(狭義の矮性遺伝子)をいい、 「半矮性遗伝 子」 とは正常型より稈長を短縮させる一方で、 穂長、 種子の粒形等の収量形質に は影響を与えない遺伝子をいう。 また、 「矮化遺伝子」 とは、 正常型より稈長を 短縮させる作用を持つ遺伝子 (広義の矮性遺伝子)をいい、 「矮性遺伝子」 と 「半 矮性遺伝子」 とを包含する。
本発明において、 「連続戻し交配」 又は 「戻し交配」 とは、 反復親と供与親と を交配することによって得られた交配後代から次世代の交配に供する個体を選抜 し、 反復親を再びその選抜した個体に交配する操作を繰り返すことをいう。 かか る交配によって、 最終的に目的の遺伝子座が供与親型のホモ接合で、 それ以外の
染色体領域が反復親由来の染色体で構成されている植物体を得ることができる。 本発明においては、 交配後代の染色体の遺伝子型を、 幼植物期において SNPマ —カーを用いてタイビングし、 染色体の遺伝子型に基づいて次世代の交配に供す る個体を選抜する。
ここで、 「一塩基多型 (Single Nuc leot ide Polymorphism: SNP) J とは、 塩基 配列において 1個の塩基が変異した多型をいい、 本発明においては 「対象となる 植物品種」 と 「目的形質を有する植物品種」 との間の点変異を意味する。 本発明 においては、 SNPは一塩基の置換による多型を意味するほか、 塩基の挿入又は欠 失も SNPに含めることことする。
また、 「幼植物期」 とは、 胚〜発芽期の形態から成体への移行過程をいう。 以下、 イネを例に本発明方法について具体的に説明する。
( 1 ) 反復親と供与親の交配
イネの世代促進のために、 栽培は日長調節が可能な遮光カーテン付の温室で行 うことが好ましい。 発芽しにくい種子については、 40- 50°Cで 1週間程度保温す ることで休眠打破しておく。 催芽は、 2日間種子を水に浸し、 30°Cに保温するこ とによって行い、 催芽期間中は水を毎日交換する。 反復親と供与親の出穂期が大 きく異なる場合には、 出穂が揃うように両系統の種子を催芽、 播種、 育成してお 催芽開始より 2日後、 育苗箱に播種し、 播種から 2週間後にプラスチックポッ 卜に移植、 栽培を行う。 反復親 ( 「コシヒカリ」 ) と供与親 ( 「IR24」 ) が出穂 したら交配を行う。
交配は、 まず母本の除雄を行い、 次に授粉を行う。 母本の除雄法としては、 温 湯除雄法又は剪定法が挙げられる。 温湯除雄法は、 除雄のために出穂後 2 . 3日 後の穂を 42での 7分間温湯に浸し、 その後開花した穎花上部を切除し、 開花しな い穎花は切除する方法である。 剪定法は、 出穂後 2、 3日後の穎花のうち開花が 予測される穎花の上部を切除しピンセットで雄蕊を除去する一方でそれ以外の穎 花は切除する方法である。 授粉は父本の雄蕊をピンセットで摘み取り母本の柱頭 にふりかけることで行う。
種子は交配を行つた日より 3週間から 4週間程度で登熟するので F 1世代の種子
回収を行う。 F 1種子は両親系統と同じように休眠打破後、 催芽し、 播種する。 反 復親の播種は、 交配後代(ここでは F1)の出穂期が予測しえない場合、 F 1種子の播 種日に前後して播種を行えばよい。 F 1雑種と反復親が出穂したら戻し交配を行う。 交配後 3週間から 4週間程度で登熟するので、 BC 1F1世代の種子回収を行う。
( 2 ) SNPマーカ一の設定
交配後代の染色体の遺伝子型をタイ'ピングするために、 あらかじめ反復親、 供 与親間で使用できる SNPマーカーを全染色体上に設定しておく。
「コシヒカリ」 、 「IR24」 からのゲノム DNA抽出は、 CTAB法(Murray, M. G, e t al. , Nuc le ic. Ac ids. Res. , 8, 4321-4325, 1980 ; Yano e t al. , 分子マーカ一 を利用した有用形質の遺伝解析方法, PP. 4- 11, 2000) を用いて行う。
SNPマ一力一の設定には Rice Genome Research Program (RGP)により公開され ているイネ EST, BAC等の塩基配列データベース (ht tp ://rgp. dna. af f rc. go. j /Pu bl icdat a. html)や、 他の品種間で既に公知の SNPマーカ一の情報、 例えば、 Nasu, S. , et al. , DNA Res. , 9, 163-71, 2002 に記載の SNPマ一カーの情報が利用で きる。
他の品種間で既に公知の SNPマーカーの情報を用いる場合、 例えば以下の方法 によって SNPマ一カーの設定を行う。 「コシヒカリ」 、 「IR24」 のそれぞれのゲ ノム DNAを錶型とし、 SNPを含む領域を Nasu, S. , e t al. , DNA Res. , 9, 163-71,
2002に開示されている、 インド型イネ 「廣陸矮 4号(G4)」 と野生イネ(0. ruf ipogon) 「W1943」 間で使用できる SNPマーカーに対するゲノム PCRプライマー セット (5 ' 側プライマ一、 3 ' 側プライマー) を用いて PCRによって増幅し、 増幅産物を酵素処理して残存プライマーの分解、 モノヌクレオチドの脱リン酸化 を行う。 次に、 それぞれの SNPに対応する SNPプライマー (SNPの一塩基手前に
3 ' 末端が位置するプライマー) と 2種類の蛍光標識ジデォキシヌクレオチド 匪 TP, ddCTP, ddGTP, ddCTPのうちいずれか 2種類) を用いて、 上記 PCR産物を 铸型として一塩基伸長反応 (AcycloPrime反応) を行い、 蛍光偏光度を測定し、
SNP部位の塩基種 (遺伝子型) を判定する (Acyc loPrime- FP法; Chen, I , et al. , Genome Res. , 9, 492-98, 1999)。 「コシヒカリ」 、 「IR24」 間に公知の情 報と同じ SNPが存在する場合、 その SNPプライマーを 「コシヒカリ」 、 「IR24」 間
の SNPマーカーとして設定することができる。 AcycloPrime反応には、 市販の試薬、 例えば AcycloP rime- FP SNPs Detection Kit (PerkinElmer Life Sciences)を用い ることができる。
一方、 公知の SNPマーカーの情報を用いない場合は、 例えば、 以下の方法によ つて SNPマーカ一の設定を行うことができる。 公表されているゲノム配列と Rice GAAS ( Sakata, K., et al. , Nucleic Acids Res., 30, 98-102, 2002; ttp://RiceGAAS. dna. affrc. go. jp/)を用いて推定される遺伝子間領域内の 500から lOOObpの断片を増幅するプライマーを設計する。 抽出したゲノム DNAを鍀 型として PCRを行い、 増幅をァガロースゲル電気泳動で確認した後、 増幅産物を 酵素処理して残存プライマーの分解、 モノヌクレオチドの脱リン酸化を行う。 増 幅断片のヌクレオチド配列を決定し、 「コシヒカリ」 、 「IR24」 2品種の配列を 市販のソフ トウェア (例えば丽 ASIS Pro Software (Hitachi Software Engineering Co., Ltd.)を用いてアラインメントし、 SNPを探索する。
SNPが検出された断片につき、 SNPの一塩基手前に 3 ' 末端が位置するプライマ 一 (SNPプライマー) を設計する。 この SNPプライマーと 2種類の蛍光標識ジデォ キシヌクレオチド(ddATP, ddCTP, ddGTP, ddCTPのうちいずれか 2種類) を用い て上記 PCR産物を铸型として一塩基伸長反応 (AcydoPrime反応) を行い、 蛍光偏 光度を測定することによって SNP部位の塩基種 (遺伝子型) を判定する (AcycloPrime- FP法) 。 判定した遺伝子型が前記の配列決定の結果から予想され るものと同じである場合、 その SNPプライマ一を SNPマーカーとして設定すること ができる。
SNP検出は、 上記の AcycloPrime_FP法 (Genome Research, 9, 492-498, 1999) のほか、 例えは、 PCR-SSCP (single-strand conformation polymorphism —本鎖 高次構造多型)法 (Cloning and polymerase chain reaction- single - strand conformation polymorphism analysis of anonymous Alu repeats on chromosome, 11, Genomics, Jan 1, 12(1), 139-146, 1992; Detection of p53 gene mutations in human brain tumors by single-strand conformation polymorphism analysis of polymerase chain reaction products, Oncogene,
Aug 1, 6(8), 1313-1318, 1991; Multiple fluorescence-based PCR-SSCP
analysis wi th post label ing, PCR Methods Appl. , Apr 1, 4 (5), 275-282, 1995)、 TaaMan PCR法 (SNP遺伝子 '多型の戦略、 松原謙一 ·榊佳之、 中山書店、 pp. 94-105; Genet Anal. , 14, 143-149, 1999)、 Invader法 (SNP遺伝子多型の戦 略、 松原謙一 ·榊佳之、 中山書店、 pp. 94-105; Genome Research, 10, 330-343, 2000) 、 Pyrose uenc ing¾ (Anal. Biochem. , 10, 103-110, 2000) 、 MALDI - T0F MS法(Trends Bio techno l., 18, 77-84, 2000)、 DNAアレイ法 (SNP遺伝子多型の 戦略、 松原謙一 ·榊佳之、 中山書店、 pp. 128-135 ;Nature Genet ics, 22, 164- 167, 1999) 等によっても行うことができる。
本発明においては、 SNPマーカーの中から、 対象となる植物の染色体 1本あたり 少なくとも 5個、 または 15cM当たり少なくとも 1つの SNPマ一カーが存在するよ うに、 ほぼ均等に設定することが好ましい。 「均等」 とは、 染色体の一定領域に SNPマ一カーが集中しないように、 染色体上にほぼ満遍なく、 網羅的に SNPが存在 していることをいう。
本発明の育種方法を適用する 「コシヒカリ」 と 「IR24」 との間で利用できる SNPマーカ一は、 例えばイネ染色体 1から 12に存在する以下の多型である。
染色体 1 : S0349, S0002, S0003, S0353, S0247, S0554、 S0419、 S0015, S0008、 S0358, S0010, S001 K S0013, S0259、 S0007, S0513
染色体 2 : S0514、 S003L S0262, S0428、 S0429、 S0296, S0028, S0018、 S0430、 S0298、 S0023、 S0024, S0199、 S0378、 S002K S0379, S0302, S0380
染色体 3 : S0524, S0040、 S0276, S0277, S0434、 S0035, S0043 S0330, S0333 S0292, S0036, S0038, S0532, S0045, S0534, S0046
染色体 4 : S0056, S006 K S0063, S0052, S0447、 S0048、 S0057、 S0059, S0054、 S0055、 S0444、 S0443、 S0060, S0051
染色体 5 ·· S0074、 S0562, S0068、 S0072, S0286, S0079、 S0069
染色体 6 : S0233, S0270, S0127, S0086, S0493, S0494、 S0370, S0097, S0089、
S0273, S0157、 S0088
染色体 7 : S0100、 S0099, S0264、 S0304, S0189、 S0103, S0104, S0113、 S0548、 S0118, S0116、 S0306, S0125
染色体 8 : S0499、 S0308、 S0130、 S0135、 S0136、 S0138、 S0128、 S0139, S0140、
S0266, S0337, S014K S0144、 S0145
染色体 9 : S015K S0316, S0152, S0467, S0155, S0167、 S0314
染色体 1 0 : S0339, S0168、 S016K S0340、 S0166, S0342、 S0162、 S0269、
S0169、 S0158、 S0170
染色体 1 1 : S0389、 S0346、 S0179、 S018K S0175
染色体 1 2 : S0196、 SO柳、 S021K SO 、 S046L S0207, S0210, S0586 また、 上記の SNPマーカ一に対応するゲノム PCRプライマーセット (5 ' 側ブラ イマ一、 3 ' 側プライマー) 及び SNPプライマーの配列を表 1から表 4に示す (表中、 「Ko」 は 「コシヒカリ」 を示す。 )
表 1
ゲノム P C Rプライマーセット(5' 3'
マップ
名称 位置 5'側プライマー 3'側プライマー SNP プライマ _ (5' 染色体 1
S0349 2. 3 CCACACCACACTTGCCAAAC TATGGCAGTGAAGGGGGAAA TGGGATGGTTGTGATTGATT
S0002 9. 5 GTACGAGGGAAAACGCTCAA GCAAGCCAGAACGAGAGAAC AGAAGGCACAAGATGCAAAGTTTT
S0003 20. 2 TCCTCGTGGTTCCAGATTTC ACACAGGCGCAGTGTCAATA GACAAGTCATTACCAAAGAGAAA
S0353 55. 4 GCCTGGAGCGAGACAAATCC TGTGCTAACCGACCCATGCT AGGACCAGCAAATTAATCT
S0247 60. 6 CAATTCCTGGCCTAAGGGGG 丌 GCGAGCTTCCAAATTGTCC GAGTATACTTCCACCTGCTTTATT
S0554 64. 9 AGCAACGCCCACAACATCAA AGCGAACCTTTGGGATCACG AGGTGAAGTGACTTGATGATC
S0419 91. 2 GGCGTTCTTGAGCTTGGGAC ACTAGGCCGAACCGTCTCCC GGAAGTGCTAAAACAGACACCTA
S0015 96. 1 AACCAAATTTCCCTTGTCCT TTCCAATATGCCTCGGCTAA TCATTGAATTAGTTGTAGAGCTA
S0008 116. 5 ATTGGCACCAGGATAGCAAG GGTGGTTGATCTGGTCTCGT GATCCTGCTGTCGACAAACTGT
S0358 135. 8 CATGTCTTTCGCAGGCCAAC TAGGAAGCCCCAATGGTTGC ACCAAAGTGAAAAGTCACCATG
S0010 141. 1 AACGGCTGTATTTCCGAGTG CTTTTGGCCTGTTTGGTTGT CATGGGCCGGCCCATAGAAA
S0011 147. 5 CACAACCCTAACAGCCGAAT GAGTGCCAATTTGGGCTAGA TCTTAATATTTCCGACTCAATTA
S0013 161. 5 AAATTCGGAATGGCTAGCTG ACCTCCGATGATTCAACCAA CCATTTCTCACTCAGCTTCGTCTT
S0259 170. 4 TGAGGGCGTGTCAAGCTAGTG ATGCCGTGGCCATTTTTGTT TTCAAGTTACTCCCTTACCATCA
S0007 181. 8 GCATGGATGACCCTGCTAAT TGATGCCGTTGACTTTTTGA TACTCCCTCCGTAATGTAT
S0513 181. 8 CCTCACGCGCCGATCATAA TGCGCGCATAAAAATGGAAA AAATAGTCAAACATCGATCAAAA 染色体 2
S0514 0. 0 TCATCGAGCCATTGGAAGGA GCGCAGGATATATGTGGTTATCCG GGAAGGAGTCAAACCAAT
S0031 17. 6 CGGTCTGTGTTTTCCGAAGT CAAGCGGATGGTTTTGAGTT CTAACGTAGCTACTCCCTCC
S0262 25. 5 AGCGTGGGATGACGCTATGA TGGCAAGAGCAAATTGGTGAA GGTATGGTCAATGGTATTATATT
S0428 42. 1 AGAAATTGCCCCATGCTTGC TCCTTGCTCTGCTTGCCGTA CCTCATGCCTGAACTCTCT
S0429 47. 8 AAATGGCAGCCTTCCAGCAG TGCCCGGAATCTTGACAGGT CATAGTCAATTTGTTCCCTCGC
S0296 51. 1 TGCACCGGATCCTAATCCCTA TCATACGAACGCGCGACTCT CTCAAAACGGCCATTTTAGTCCA
S0028 62. 2 CGACGGAAACTGCCTTTATC GGCACGCTTCTCAATCTTCT GTAATATGCCCAAACCAATTATT
S0018 79. 6 CAGATGGGACTTGGGAGATG CACTAGTGTGGCATCCATCG AAAGACGGTGTTTTTCTGCT
S0430 79. 6 TCCCCATCATAATGGCATATTTC GGATGGTGCAGAACTGTAGACT GGCATATTTCTAAACCTGCAACT
S0298 93. 2 CCAACGATGATCTGATTTCCTCTG GAATCCGACTCTTATTCTACTCCTC TCTATTTTATGTATGCCTTTATTT
S0023 107. 4 ATCTGATCCCCCTACCAACC CTCACTGTCCATCTGCTCCA TGCATCTGCATGCACCACTA
S0024 125. 9 TCCCTCCAACTAAACGCATC CTATCCCCATTTCCCATCCT TCTCCTCTCTTGGTTTGCTC
S0199 128. 3 GGTTTCGTCCAGTGTTCAAGTAGCA TCGTCACAATA丌 TTCTTAACAGCCA CAAATACAAATACATGGGCCTAC
S0378 131. 0 CTTGCGCGGGCAAAAGTTAC AGCCGCCTTCCAATCATCAG AAAGGTGAGAAAGCTGGCATTCAT
S0021 139. 5 CCTGCACTGACGGGAAGTAT TACTCATCCAGGCCTTCTGC ATTGTCATCGGCAAGCATAGACT
S0302 144. 7 TCGTGAGCTTTTGGAGAGCA TTTGGGGAAAGTTTGGTGTGAA CATAGAAAATCCCCCGGTATTAAT
S0379 1 4. 7 CTGACAGTCTGAAACCAGGGCA TGTCAGGTTGGATGCTGCAAA CTGTTGGAAACTTAGACTAGGGAA
S0380 157. 9 GCTGGAGGAGGGATACGCAG CGCGAATGCCGTCTCTAATTC CTACATATGTCAAGAATTACTGCA
表 2
染色体 3
S0524 1. 1 AATTTCGCTGAATCATCAAACAAGA TGCGGAGGGAAAGAGTTTTCA ACATTAGTAACTGAAGAAACAAGAAACGCTTG丁 c 1 丁 C
S0040 20. 3 TCTGCTGCCTCTGCACATAC AAAACGACACCACATCAGCA ACATACCACCTTTCCTACCTTC c 1 丁 C
S0276 25. 0 GCGAGGTGGCAAAAACTTCC GCACACCCTTTGTCACCCAAC ACTGGTTCAACTCGCAAAATAC G 1 C G
S0277 36. 1 CCCCTGTCCTACCCCACCTC GAGAAAGCCACGGCCCTTTT AATTACAAGGCTGACTTTCATGAC G 1 A A
S0434 63. 3 TGGCCCCTTGACAAGAGCA TGCTTTGATTCCGCACAACG CCTGTCCTTCTCCCTATCTCA G 1 T G
S0035 79. 8 GATCATGGTCTGGCTTGGTT TTGACAGCCAAAACTTGACG ATCTTGTGAAAATTATGTCGCC G 1 A A
S0043 91. 1 GAATGGCCACGATTCTCATT CCGATGACCAAACCTATAGCA GCGGTATGCATAGGCTCTCAG C 1 T T
S0330 93. 0 GGAGTTGGCACTCGAGATCA GGCAAGAGGATTCCCGATAC CCACATAGATGCATATCATTGTGCT G 1 C G
S0333 94. 9 ACGACGGAATCTCAACAGGT ATCCGGTGAAAACCATCAAA AGGTAGATATAGACATAAAATACATTCATA C 1 T T
S0Z92 120. 3 AATCGCACGATCACGCTGAC CCCTTTGTATCCGGCGTGTT AACGGAGAAAGTAAGTCTAGCTTG C 1 T T
S0036 126. 3 AGGCACATGGGAACAATAGC TCCAAACTACCGTGAGATCCT GCATGCGGAAGGCAAAGGTTTA G 1 A A
S0038 140. 1 GTGGTTTCCTGCATCGAGTT TACATGGGTGTCCCCATTCT ATTTTTCTTGATACTAATGAA G 1 A A
S0532 145. 6 TCCGAAAACCCCTTCCAACA TCTTCGAAAGAGGCTGGCATT CATGGATGAAATGTTATTGGTACTTCTT G 1 A A
S0045 156. 3 TGCAATGTGCCATTCCATAG TATGACAAGGTGGGCCCTAA GAAGAAGATTGGGCCGCTGACAT G 1 A A
S0534 159. 0 GCCTGTCCGCTCTTCCACTG GCCGCCATCCAGAATGTCTT ATGCAATGTTTCTCCAACTTGT G 1 A A
S0046 166. 4 CACATAGGACGTTAGGGTGGA CCAAAAAGAGCAAGGCAGAC ATGTCGGTGCCAAGCATGTC G 1 A A 染色体 4
S0063 3. 1 GCTTCAGTGCAGTTTAATCG TGGAAGAAAACACATACAAACC CGAATAAGCCTGCAACTCATC G 1 T G
S0052 3. 1 CAAGTAAACGTGTACAGAACAAGAC CTTAATGCTGCATCGGTCG TCTTATGATCATCAATAGAGATAGT G 1 A G
S0447 11. 0 TTTCACTTTTATTCCATGTTGTCCC TCAGTGTTGACTGGCTGGTTC AGTTCAAATAATTTTGCTGGCCTT C 1 A A
S0048 17. 5 ATGTGAAAGGCCAGGATGAG CCACCATGCGACAAAATAAA CTCCCGGCCACTCCTTCG G 1 A A
S0057 49. 7 TGGCAACACTTGGGACAAGC GCCGGCCAGCAAGTGATTTA AAGAATTTTCTCCTTCTTAGTGCT C 1 T T
S0059 58. 9 GGATCACCTGCAAGAAGAATTTCTG TGAGGCTGTTGCCGTTGA GGGCCTGCAGGTTTCCGC G 1 A G
S0054 62. 6 GATCGCCTCCTTTTCTTTCC TGTCAAGCAAGCAACATTGG ACTTTCTTGGGCTCAATTACTCATA G 1 A A
S0055 75. 2 CAGTGCACTTGATGCGCTTA GTCACAGTCATCGTCGGAAG CCGCACCACGGCCACATG C 1 T T
S0056 77. 9 CAGGACAATCCGATGGCATAGA TGGGATGGCCCTACGACCTA TTGTTATGATAGTGGTATTGGT G 1 A A
S0061 90. 8 AACCTGCCCAAACGAACAG AATTTGGAGCTAGTAGTTGGCTA TACCGCCGTAAAAGTGTGAAA C 1 T C
S0444 100. 7 GCGGACCGTTTCATCTTGGA AGCCTGCATGGAAGCACCAA CATGCAGAAACTTGAATTTATCATACAG A 1 T T
S0443 113. 2 TGCTTCCTCAGGCCCAACTC CAGCCAATTTAGCAAAATGGACAAA GCCATTGGCTTGGGAAAACA G 1 C G
S0060 128. 5 CGAGGTGGCGTAAAGGGATTC CCCATCCTCATGGTCCCTTGT TCTTAATGCTCTCACCAGATTC C / T C
S0051 129. 1 ACTGACCAGGCGCTGAAAGG GTGCGTGTCCGCGATAAACA AG丌 CATTTTTAGAGTTGAGTACA G 1 A G 染色体 5
S0074 2. 0 TGAATTTTGTGGTTAATTTGCAC TGGTGCTATTTAGTTGCCTAAT T TTCTTCTAGATTCATGTAAAAAACT G 1 A G
S0562 6. 5 AAGATGTCTTGCTGCGGCG CGAAGGTCTTGGTGGTGGCT ACAGATCGATAACTGATCAATATTAACATTAATA C 1 T C
S0068 12. 0 AGCTCACGAGCCGCTTGTTT GTGTTGGGCCAGGAGGTCAG TCCACCCCAAGTGCTTCC C 1 T C
S0072 20. 1 TGCGATCACCTGTGAATCCAAT TTTTCGACGGATGCATAAACGA CGAGTACGTATTTTATACTCCCTCC G 1 A G
S0286 53. 0 TGGCATGTGAAAGAGAACCA TCACTTGCACTCCACCACACC ATTTGCCTTCGACTTTATCTCTCTCT G 1 A G
S0079 73. 9 AGCAAGTCACGGAGATGTC ATAGGAGCACACAGATTCCA AAATCCGCAGAGGCCTCA G 1 T G
S0069 11 1. 6 AGCCATGGCATTCCATTAAA TGAGGCATGAGAAAGGTTGA AGGAGAAGACAATGCTAGGTTT C / A A
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GGCGGCCGGGGATATCGTCTTCG CTACGCAGTTAACAGATCTCC CGGCAACTATAAACA ATTTTTTT GGGGG CGGCCGGCCGGCAGGCCGCGT CCGATCTATAATGTTAATTCCTAATAAAA ACTTTTTTAT GGGGGGGGGT CGACCGATGC CTCCCCCGCTCCCAAAAT ATTTAGCCCCCTTCTAATTT G GGGGGGGCGGGGCGGCGGCGGGCGT CACGTTTCCTGATCTC ATAATTTAAATATTAAATT GCGGGGGTGGG CATCCGCACACC CCCCCGTTCAATTAACA CCCAATTAAATTCATACTATTTTTAT GCGGCCGGGCCGGAGG GCCCAAAACCAACC ATGAAAATCAA ATTCTATTTTTTAA
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CGGGATCCGCCGGGGATTTCAAACCCCGA AAACTACTAACAGGGGG TTTAAAAAACGCACCTTATT
( 3 ) 交配後代の S N Pマーカーによる遺伝子型のタイビング
BC1F1種子の休眠打破後、 交配後代を播種し、 反復親は交配後代より前後に時 期をずらして播種する。 播種日より 7日から 14日後に幼苗の葉を 5 mm程度採取す る。 ゲノム DNAは簡易ゲノム抽出法 (Lisa Monna, et al. , DNA Research, 9, 11-17, 2002)により抽出する。
まず、 両系統それぞれのゲノム DNAを錶型として SNPを含む領域を PCRにより増 幅し、 ァガロースゲル電気泳動で増幅を確認した後、 増幅産物を酵素処理して残 存プライマーの分解、 モノヌクレオチドの脱リン酸化を行う。 次に、 SNPの一塩 基手前に作成した SNPプライマーとそれぞれの SNPに対応する 2種類の蛍光標識ジ デォキシヌクレオチド(ddATP, ddCTP, ddGTP, ddCTPのうちいずれか 2種類) を 用いて、 PCR産物を铸型とし一塩基伸長反応させる(AcycloPrime反応)。 反応産物 はそれぞれの SNPに対応した蛍光偏光度を示すため(Chen, X. et al. , Genome Res. , 9, 492-498, 1999)、 この蛍光偏光度を測定し、 遺伝子型をタイピングす る。
ここで、 遺伝子型の 「タイピング」 とは、 SNP部位の塩基種が 「コシヒカリ」 型か、 「IR24」 型かを決定することをいう。 この遺伝子型のタイピングは交配後 代の幼植物期、 イネの場合は播種から出穂までの間に行うことが好ましい。
( 4 ) 次世代交配に供する個体の選抜、 戻し交配
遺伝子型のタイピング後、 グラフィカルマップによる選抜には、 (i)目的の遺 伝子座(sd-1遺伝子座)が供与親型、 反復親型のへテロ接合になっていること、 (i i)他の染色体領域において反復親型のホモ接合の割合が高いこと、 を基準にす ればよい。 選抜した個体を次世代の戻し交配に用いることとする。 BC2F 1世代以 降の選抜においては 1世代前の系統において供与親と反復親のへテロ接合領域の み遺伝子型のタイピングを行い、 上記と同様の基準で次世代の戻し交配に供する 個体を選抜する。
上記の遺伝子のタイピング、 選抜、 戻し交配からなる操作は、 少なくとも 3回、 好ましくは 5回、 繰り返せばよい。
( 5 ) 自殖
戻し交配、 選抜を繰り返し目的の遺伝子座以外に供与親型、 反復親型のへテロ
接合が検出されなくなつた世代で自殖を行う。
自殖種子を育苗箱に播種し 7日後に幼苗の葉よりゲノム DNA を抽出する。 目的 の遺伝子座(本発明においては sd-1遺伝子座)のみで遺伝子型のタイビングを行い 供与親型のホモ接合となった個体を選抜することで、 目的の遺伝子座のみ導入さ れた植物体(半矮性コシヒカリ)を得ることができる。 発明を実施するための最良の形態
以下、 実施例により本発明をさらに具体的に説明する。 但し、 本発明はこれら 実施例に限定されるものではない。
(実施例 1 ) SNPマーカーの設定
育種に先立ち、 反復親として用いる日本型イネ(Oryza sat iva L. spp. j aponica)品種 「コシヒカリ」 と、 供与親として用いるインド型(Oryza sat iva L. spp. ind ica)イネ品種 「IR24」 間で使用できる SNPマーカーを以下のようにして 全染色体上に設定した。
【0 0 0 0】
まず、 「コシヒカリ」 、 「IR24J の成葉から CTAB法(Murray, M. G. , e t al. ,
Nuc le ic. Ac ids. Res. , 8, 4321-25, 1980 ; Yano e t al. , 分子マーカーを利用 した有用形質の遺伝解析方法, P. 4-11, 2000)によってゲノム DNAを抽出した。 次 に、 Nasu, S., et al. , 顺 A Res., 9, 163-171, 2002、 表 3に記載のインド型ィ ネ 「廣陸矮 4号(G4)」 と野生イネ(0. ruf ipogon) 「W1943」 間及びその後追加作 成された合計 263個の SNPマーカ一に対するゲノム PCRプライマ一セット (5 ' 側 プライマー、 3, 側プライマー) を用いて、 上記で抽出した 「コシヒカリ」 、
「IR24」 のそれぞれのゲノム DNAを铸型として SNPを含む領域を増幅した。 増幅産 物をアル力リフォスファタ一ゼとェクソヌクレア一ゼ Iで処理して残存プライマ 一の分解、 モノヌクレオチドの脱リン酸化を行った。 それぞれの SNPに対応する
SNPプライマーと 2種類の蛍光標識ジデォキシヌクレオチド (ddATP, ddCTP, ddGTP, ddCTPのうちいずれか 2種類) を用いて、 PCR産物を铸型とし一塩基伸長 反応(Acyc loPrime反応) を Acyc loPr ime-FP SNPs De t ec t ion Ki t (PerkinElmer
Li fe Sc iences)を用いて行った。 反応産物の蛍光偏光度をマルチラベルカウン夕
一 Wallacl420 ARVO sx(Wallac/ PerkinElmer Life Sciences)で読みとり、 SNP部 位の塩基種 (遺伝子型) を判定した(Chen, I, et al. , Genome Res., 9, 492- 498, 1999) 。 こ の探索 と 、 公知 の イ ネ塩基配列デー タ ベー ス (http://rgp. dna. affrc. go. jp/Publ icdata. html)を利用して新規に作成した 1個 を合わせ、 「コシヒカリ」 「IR24」 間で多型を示す 141個の SNPマ一カーを設定し た (表 5 ;表中、 カバー率は、 日本晴 Zカザラスおける地図距離、 すなわち遺伝 的な染色体の大きさに対して作成した SNPマーカーがどれだけ染色体を網羅した かを示す) 。 また、 設定した SNPマーカーの染色体上の位置を図 1に示す。
表 5
氺 0内は「コシヒカリ J R24J間の SNPマーカ一として新規に作成したもの
(実施例 2 ) 半矮性コシヒカリの育成
反復親として日本型イネ(Oryza sativa L. spp. japonica)品種 「コシヒカ リ J 、 半矮性遺伝子 sd-1の供与親としてイ ン ド型(Oryza sativa L. spp. indica)イネ品種 「IR24」 を用いて 「半矮性コシヒカリ」 の育成を行った。 育成 スケジュールを下記表 6に示す。
表 6
短日処理のために、 日長調節が可能な遮光カーテン付の温室で行い、 午前 7時 に開き午後 5時に閉じるように設定した。 栽培は水深 15cmの水槽にてポット栽培 を行った。 交配において授粉はピンセッ卜で摘みあらかじめ穎花の上部を切除し た母本の柱頭にふりかける方法を用い、 母本の除雄のために温湯除雄法または剪 定法を用いた (山本隆一, 農研センター資料, 30, pp.176-180, 1995)。
①交配〜 F1
2000年 11月に 「コシヒカリ」 を同年 11月に 「IR24」 を育苗箱に播種し、 播種 14 日後にそれぞれをポットへ移植し温室にて栽培した。 2001年 2月に 「コシヒカ リ」 が、 また 「IR24」 が同年 2月に出穂したので、 「コシヒカリ」 を母本、 i 24j を父本として交配を行った。 交配は温湯除雄法により行った。 同年 3月 に F1種子を得た。
2001年 3月にこの F1種子を育苗箱に 5粒播種し、 同年 3月に 5株をポットへ移植し 温室において栽培した。 この F1雑種を 「PKS1」 と名付けた。 sd-1遺伝子座は不完 全優性を示すために 「PKS1」 の稈長は 「コシヒカリ」 に近い。
②第 1回戻し交配〜 BC1F1
この rpKSlj は順調に生育し、 2001年 7月には出穂が観察されたので rpKSlj を母本、 「コシヒカリ」 を父本として交配を行った。 交配は温湯除雄法により行 つた。 同年 8月に BC1F1種子を 34粒得た。
2001年 8月にこれを育苗箱に播種し 34個体の幼苗を得た。 播種から 12日後に幼 苗の葉を 5腿程度採取し、 96穴のラックチューブ [QIAGEN Collection
Microtube (racked, 10*96) ] に入れた。 TPS buf fer (lOOmM Tr i s-HC l buf fer, lOmM EDTA, 1M KC1)を 400ul加え、 直径 3腿のジルコ二アビ一ズ (YTZボール, ニッ カトー)を 1個加えチューブキャップ(QIAGEN Col lect ion Microtube Caps)で封 をした後、 ミキサーミル匪 300 (Re t scli)を用いて破砕した(30s— lmin)。 冷却遠 心機(HITACHI CR 21G,スイングロー夕一 R3S, 3000rpm, 30min, 4°C)により残渣 を沈殿させ、 上清 lOOulをとり、 あらかじめ lOOulのイソプロパノールを分注して おいた 96穴 PCRプレートに加えピベッティングにより混和した。 これを室温にて 遠心分離し(IOJB0TA 8100, ローター RS- 3010, 2000rpm, 20min, RT)、 上清を除 いた後、 200ulの 70%エタノールを加え、 同様に遠心分離して上清を除き風乾した。 滅菌水を 50ul加え、 ゲノム DNAを溶解させた。
次に、 遺伝子型のタイビングを実施例 1で設定した 141個の SNPマーカーを用い て以下のようにして行った。 まず、 r iR24j 「コシヒカリ」 それぞれのゲノム DNAを铸型として SNPを含む領域を PCRにより増幅した。 増幅産物をアル力リフォ スファ夕ーゼとェクソヌクレアーゼ Iによりプライマーを分解し、 モノヌクレオ チドを脱リン酸化した。 それぞれの SNPに対応する SNPプライマー (前記表 1〜4 参照) と 2種類の蛍光標識ジデォキシヌクレオチド (ddATP, ddCTP, ddGTP, ddCTPのうちいずれか 2種類) を用いて、 PCR産物を铸型として一塩基伸長反応 (Acyc loPrime反応) を Acyc loPrime - FP SNPs De tect ion Ki t (PerkinElmer Li fe Sc iences) を用いて行った。 反応産物はそれぞれの SNPに対応した蛍光偏光度を 示すため、 この蛍光偏光度をマルチラベルカウンター Wal lac l420 A V0 sx (Wal lac/ PerkinElner Li fe Sc iences)で読みとり、 遺伝子型のタイピングを 行つた。
選抜には次の 2点、 (i) sd-1遺伝子座において iR24j 「コシヒカリ」 のへテ 口接合になっていること、 (i i)他の染色体領域において 「コシヒカリ」 のホモ接 合の割合が高いもの、 を基準とした。 遺伝子型のタイピングと、 グラフィカルマ ップによる選抜は出穂前に完了した。
sd-1遺伝子座が 「コシヒカリ」 「IR24」 のへテロ接合である個体を 18個体選抜 し、 このうち 2個体を戻し交配に用いた。 さらにこのうち 1個体を 「PKS3」 と名付 けた。
③第 2回戻し交配〜 BC2F1
2001年 10月に 「PKS3」 が出穂したので 「PKS3」 を母本、 「コシヒカリ」 を父本 として交配を行った。 交配は剪定法により行った。
2001年 11月に BC2F1種子を 26粒得た。 50 C, 7日間の休眠打破後、 同年 12月にこ の BC2F1種子を育苗箱に 26粒播種し、 14個体の幼苗を得た。 同年 12月、 前述した 簡易ゲノム丽 A抽出法により、 ゲノム DNA を調製した。 BC2F1以降の世代の遺伝子 型タイピングは 1世代前の母本(BC2F1においては 「PKS3」 を示す )の染色体領域 のうち 「コシヒカリ」 「IR24」 のへテロ接合領域のみを対象とした。 この選抜に より、 sd- 1遺伝子座が 「IR24」 「コシヒカリ」 のへテロ接合である個体を 6個体 を得、 このうち 3個体を戻し交配に用いた。 さらにこのうち 1個体を 「PKS13」 と 名付けた。
④第 3回戻し交配〜 BC3F1
2002年 2月に 「PKS13」 が出穂したので、 「PI(S13」 を母本、 「コシヒカリ」 を 父本として交配を行った。 交配は剪定法により行った。
2002年 3月に BC3F1種子を 30粒得た。 50°C, 7日間の休眠打破後、 同年 4月にこの BC3F1種子を育苗箱に 30粒播種し、 21個体の幼苗を得た。 同年 4月、 前述した簡易 ゲノム DNA抽出法によりゲノム DNA を調製した。 「コシヒカリ」 「IR24」 のへテ 口接合領域のみ遺伝子型のタイビングを行い、 sd-1遺伝子座がヘテロ接合である 個体を 7個体選抜し、 このうち 3個体を戻し交配に用いた。 さらにこのうち 1個体 を rpKS2 U と名付けた。
⑤第 4回戻し交配〜 BC4F1
2002年 5月に 「PKS21」 が出穂したので、 「PKS21」 を母本、 「コシヒカリ」 を 父本として交配を行った。 交配は剪定法により行った。 同年 6月に BC4F1種子を 35粒得た。
2002年 7月に BC4F1種子を 50°C, 7日間の休眠打破を行い育苗箱に 35 粒播種し、
23個体の幼苗を得た。 同年 7月、 前述した簡易ゲノム DNA抽出法によりゲノム DNA を調製した。 「コシヒカリ」 「IR24」 のへテロ接合である領域のみを対象として 遺伝子型のタイピングを行い、 sd_l遺伝子座がヘテロ接合である個体を 10個体選 抜した。 このうち最も 「コシヒカリ」 の染色体に置き換わった 1個体を
「PKS31」 と名付けた。
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⑥自殖及び固定系統選抜〜 BC4F2
2002年 9 月に 「PKS31」 が出穂したので、 そのまま自殖させ種子を 64粒得た。 2002年 10月に BC4F 1種子を 50°C, 7日間の休眠打破を行い、 育苗箱に 64粒播種 し、 31個体の幼苗を得た。 sd- 1遺伝子座が 「IR24」 のホモ接合である個体を 1 1 個体選抜した。 このうち 1 系統を 「PI(S31- 27」 と名付け、 ここで、 sd- 1 遺伝子 座のみ導入された 「コシヒカリ」 である 「半矮性コシヒカリ」 を完成した。
表 7に以上の育成経過をまとめた。
表 7
個体 選抜個 交配個 播種曰 交配曰 世代 育種操作 数 体数 体数 OS '* 2000/11 /29
2001/ 2/16 F0 交配 (KOS X IR24)
IR24 2000/1 1 / 1
2001 / 3/26 2001 / 7/23 F1 戻し交配 (F1 X KOS) 5
2001 / 8/29 2001/10/25 BC1 F1 戻し交配 (BC1 F1 X KOS) , MAS*** 34 18 2
2001 /12/ 3 2002/ 2/26 BC2F1 戻し交配 (BG2F1 X KOS) , MAS 14 6 3
2002/ 4/ 1 2002/ 5/28 BC3F1 戻し交配 (BG3F1 X KOS) , MAS 21 7 3
2002/ 7/10 2002/ 9/ 5 BC4F1 自殖 , MAS 23 1
2002/10/31 2003/ 1/ 4 * BC4F2 自殖
2003/4/24 2003/8/9 * BC4F3 自殖,特性調査
*出穂日を示す
** KOS コシヒカリ
*** MASマーカ一支援選抜。 Sd 遺伝子座と全染色体の遺伝子型により選抜
「コシヒカリ」 、 および 「コシヒカリ」 と 「IR24」 の交配後代 (戻し交配 4 回) の植物体の写真を図 2に示す。 また、 各世代における sd-1遺伝子座の遺伝子 型と全染色体レベルでの 「コシヒカリ」 への置換の程度を図 3に、 また、 「半矮 性コシヒカリ」 育成の流れ図を図 4に示す。
(実施例 3 ) 半矮性コシヒカリの栽培
実施例 2で育成した 「半矮性コシヒカリ」 を 2003年度に圃場に展開し試験栽培 を行った。 試験栽培地は株式会社植物ゲノムセンター(茨城県つくば巿観音台)の 所内圃場で行った。 播種時期は 2003年 4月 24日、 移植日は 2003年 5月 23日であった。
2003年 7月 7日に鳥害を防ぐために防鳥ネットを圃場にかけた。 図 5に試験栽培を 行った圃場の様子 (左側: 「コシヒカリ」 、 右側: 「半矮性コシヒカリ」 ) を示 す。
(実施例 4 ) 半矮性コシヒカリの特性
実施例 3で示したように 「半矮性コシヒカリ」 の試験栽培を行い、 2003 年 9 月にその特性調査を行った。 特性項目及び特性基準は農水省で公開されている水 稲の特性表 ·特性審査基準に従った。 その結果を表 8にまとめた。 また、 圃場で 栽培した 「半矮性コシヒカリ」 と 「コシヒカリ」 を図 6 (左側 「コシヒカリ」、 右側: 「半矮性コシヒカリ」) に示す。
表 8
* 穂発芽性のコントロールとしてキヌヒカリを使用した
(i)出穂期
両品種の出穂日を調査し、 播種日 (2003年 4月 24 日) より出穂に至るまでの 日数を求めた。 図 7に出穂調査の結果を示す。 出穂始めとは全個体の 10%以上が 出穂した日、 出穂日は全個体の 50%以上が出穂した日また出穂揃えは全個体の 90%以上が出穂した日とする。 出穂期は 「コシヒカリ」 と同日であり、 出穂始め、 出穂揃えも同日であった。 したがって、 「半矮性コシヒカリ」 の出穂特性は全く 「コシヒカリ」 と同じであるといえる。
(i i)稈長
移植時には 「半矮性コシヒカリ」 の苗丈、 葉身の形状は 「コシヒカリ」 に類似 していたが、 分けつ期、 出穂期を経るにつれ次第に草丈に差が現れ、 稈長では明 らかな差が見られた。 成熟期における稈長は 「コシヒカリ」 より約 10cm低くな つていた。 その結果を図 8に示す。
(i i i)止葉の直立の程度、 穂数、 着粒密度、 草型
「半矮性コシヒカリ」 にっき、 止葉は 「コシヒカリ」 より直立しており、 受光 体勢は良く、 穂数は 「コシヒカリ」 より多い。 着粒密度は 「コシヒカリ」 と差異 なく、 穂長は 1cm ほど短くなつている。 この結果より、 「半矮性コシヒカリ」 の 草型は偏穂数型と判断された(表 8参照)。
(iv)耐倒伏性、 穂首の抽出度
耐倒伏性は cLr法による cLr値により判定した。 「半矮性コシヒカリ」 の耐倒 伏性は 「コシヒカリ」 より強く、 「日本晴」 並かあるいは若干劣る程度であった。 また、 穂首の抽出度は 「コシヒカリ」 に比べて 4cm程度短くなつており、 なびき 型倒伏により強くなつている (表 8参照)。
(V)地上部全重、 玄米の形状、 品質
育成地においては、 「半矮性コシヒカリ」 の地上部全重は 「コシヒカリ」 と同 程度であるにもかかわらず、 収量はより多くなつている。 これは一穂当たりの籾 数が若干少なくなつているにもかかわらず、 穂数が多くなつているためである。 玄米の形と大きさは 「コシヒカリ」、 「日本晴」 と同程度であった。 光沢、 腹白、 胴割は 「コシヒカリ」 と同程度で、 玄米の外観品質も 「コシヒカリ」 と同程度と 判定された(表 8参照)。 また、 「半矮性コシヒカリ」 と 「コシヒカリ」 の籾、 玄
米の外観を図 9に示す。
(vi)食味、 穂発芽性
「半矮性コシヒカリ」 の食味について炊飯米の外観、 香り、 味、 粘り、 硬さの 5項目より総合的に判断する官能試験で判定した。 2003 年に収穫した 「コシヒ カリ」 「半矮性コシヒカリ」 とを供試した結果、 「コシヒカリ」 と同等の上中と判 定された。 穂発芽性は 「コシヒカリ」 と同程度で、 穂発芽性易の 「キヌヒカリ」 と比較して難と判定された(表 8参照)。
これらの特性検定により sd - 1 遺伝子座による半矮性の形質が発現する一方で、 良食味である 「コシヒカリ」 の形質が保持されていることが裏付けられた。 また これは、 sd- 1 遺伝子座のみ導入されているという遺伝子タイピングの結果に符 合した。 ここで、 改良植物品種の迅速な育種法により半矮性コシヒカリを 2年で 育成できた。 本明細書で引用した全ての刊行物、 特許及び特許出願をそのまま参考として本 明細書に組み入れるものとする。 産業上の利用可能性
本発明によれば、 連続戻し交配育種法による植物への新形質付与を従来より迅 速かつより省力的に行う方法が提供され、 イネ品種の育種の効率化が図れる。 ま た、 本発明により育成された半矮性コシヒカリは良食味と高い倒伏性を兼ね備え ており、 安定した収量、 品質を提供しうる。 さらにこれを中間母本として本発明 の方法で新形質を付与していくことで、 良食味を保持したままより付加価値の高 い品種を迅速に育成することが可能となる。
本発明により育成された半矮性コシヒカリは、 遺伝子組換えによらず作出され たものであるので、 安全性が高く、 一般消費者が安心して受け入れることができ、 その需要にかなうものである。 配列表フリーテキス卜
配列番号 1〜 4 2 3 :合成 DNA