JPWO2005085960A1 - 定着装置 - Google Patents

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Abstract

制御回路が故障し又は暴走しても回転加熱部材の過昇温が予測される場合には制御回路を介在させずに加熱出力を確実に抑制する定着装置。この定着装置において、記録媒体上の未定着画像を加熱定着する定着ベルト230の加熱を本体側プロセッサ401が制御する定着装置200において、定着ベルト230が停止又はしきい値以下の回転速度の場合、本体側プロセッサ401から独立して、発振停止回路307がインバータ回路305の発振動作を停止させて加熱を止める。また、定着ベルト230(定着ローラ210)の回転状況を検知する回転検知回路306及び発振停止回路307の動作を確認するため、定着ベルト230を加熱しない条件が成立している時に加熱する指示を与えて、定着ベルト230が加熱されないことを確認する自己診断を、電源投入時又は待機中の一定間隔毎に行う。

Description

本発明は、未定着画像を記録材に加熱定着する定着装置に関する。
電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置は、記録材の表面に形成したトナー未定着画像を記録材面に加熱定着する定着装置を備えている。定着ローラと当該定着ローラに圧接させた加圧ローラとの間に圧接ニップ部を形成し、この圧接ニップ部にトナーの載った記録材を狭持搬送して未定着画像を定着ローラ側から加熱して記録材面に加熱定着させる定着装置がある。
定着ローラの加熱方式には種々の方式が開発されている。例えば、定着ローラを、磁束の通過を妨げない絶縁性の円筒状の部材からなるフィルムガイドと、このフィルムガイドの外周に巻いた電磁誘導発熱フィルム(定着フィルム)とから構成し、圧接ニップ領域外に設置した励磁コイル及びコアからなる磁界発生手段で発生させた磁界を印加して誘導加熱し、定着ローラの回転に伴い加熱領域が圧接ニップ部まで移動してトナーを加熱定着する方式が知られている。又は、定着ローラと加熱ローラとの間に電磁誘導発熱フィルムからなる定着ベルトを縣架し、加熱ローラに対向させて設置した磁界発生手段で加熱ローラ上を摺動する定着ベルトに磁界を印加して定着ベルトを誘導加熱し、加熱した定着ベルトが圧接ニップ部まで移動してトナーを加熱定着する方式が知られている。
いずれの方式においても定着フィルム又は定着ベルトといった回転加熱部材の温度を定着に適した温度に維持するため、制御回路(マイコン)が温度制御を行うのが一般的である。制御回路は、回転加熱部材を最適な温度に制御するだけでなく、回転加熱部材の回転が停止しているときに誤って加熱するといった不具合を防止する制御機能も持たせることができる。具体的には、定着フィルムの回転を検出する回転検出手段(光学センサ)を備え、定着フィルムの回転が停止又は所定速度以下の時に、制御回路(マイコン)が励磁コイルへの給電を停止又は抑制して加熱出力を抑制するといったものである(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−203072号公報
しかしながら、制御回路(マイコン)が故障し又は暴走すれば加熱出力が抑制されない事態となるので、回転加熱部材の過昇温が予測される場合には制御回路を介在させずに加熱出力を抑制しなければならない。
本発明の目的は、制御回路が正常状態時に回転加熱部材の過昇温を防止する機構が正常に動作するか否か診断することができ、制御回路が故障し又は暴走しても制御回路を介在させずに加熱出力を確実に抑制することができ安全性に優れた効果を発揮する定着装置を提供することである。
本発明の定着装置は、記録媒体上の未定着画像を加熱定着する回転加熱体の加熱を本体側プロセッサが制御するものにおいて、回転加熱体を加熱しない条件が成立している時に加熱する指示を与えて、前記回転加熱体が加熱されないことを確認する自己診断機能を持たせたものである。
本発明によれば、制御回路が正常状態時に回転加熱部材の過昇温を防止する機構が正常に動作するか否か診断することができ、制御回路が故障し又は暴走しても制御回路を介在させずに加熱出力を確実に抑制することができ安全性に優れた効果を発揮する定着装置を提供できる。
本発明の実施の形態1及び実施の形態2が適用される画像形成装置の全体構成図 本実施の形態1に係る図1に示す画像形成装置に備えた定着装置の側断面図 本実施の形態1に係る定着装置の機能ブロック図 本実施の形態1に係る図3に示す定着装置に備えたIH電源の回路構成図 本実施の形態1に係る図4に示すIH電源に備えた回転検知回路の回路構成図 本実施の形態1に係る定着装置の自己診断のためのフロー図 本発明の実施の形態2に係る定着装置におけるIH電源の回路構成図 本実施の形態2に係る定着装置の自己診断のためのフロー図 本発明の実施の形態3に係る定着装置におけるIH電源の回路構成図 本実施の形態3に係る定着装置の自己診断のためのフロー図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一の構成又は機能を有する構成要素及び相当部分には、同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る定着装置を搭載するのに適した画像形成装置の構成を示す概略断面図である。図1に示すように、この画像形成装置100は、カラー画像の発色に寄与する4色のトナー像を4つの像担持体上に個別に形成し、これら4色のトナー像を中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写した後、この一次転写像を記録媒体に一括転写(二次転写)する1パス方式の画像形成装置である。
なお、本実施の形態1に係る定着装置は、前記1パス方式の画像形成装置のみに限定されず、あらゆる方式の画像形成装置に搭載可能であることはいうまでもない。
また、図1において、画像形成装置100の各構成要素に付した符号の末尾の記号Y,M,C,Kは、Yはイエロー画像、Mはマゼンタ画像、Cはシアン画像、Kはブラック画像のそれぞれの画像形成に関与する構成要素を示しており、同一符号の構成要素はそれぞれ共通した構成を有している。
画像形成装置100は、前記4つの像担持体としての感光体ドラム110Y,110M,110C,110Kの周囲に、帯電器120Y,120M,120C,120K、露光装置130、現像器140Y,140M,140C,140K、転写器150Y,150M,150C,150K、クリーニング装置160Y,160M,160C,160K及び中間転写ベルト(中間転写体)170をそれぞれ配置した画像形成ステーションSY,SM,SC,SKを有している。
図1において、各感光体ドラム110Y,110M,110C,110Kは、それぞれ矢印方向に回転され、それぞれの表面が帯電器120Y,120M,120C,120Kにより一様に所定の電位に帯電される。
帯電された各感光体ドラム110Y,110M,110C,110Kは、露光装置130により特定色の画像データに対応したレーザビームの走査線130Y,130M,130C,130Kが照射される。これにより、各感光体ドラム110Y,110M,110C,110Kの表面に前記特定色毎の静電潜像が形成される。
感光体ドラム110Y,110M,110C,110K上に形成された前記特定色毎の静電潜像は、現像器140Y,140M,140C,140Kにより顕像化される。これにより、各感光体ドラム110Y,110M,110C,110K上に、カラー画像の発色に寄与する4色の未定着画像が形成される。
感光体ドラム110Y,110M,110C,110K上に顕像化された4色のトナー像は、転写器150Y,150M,150C,150Kにより、前記中間転写体としての無端状の中間転写ベルト170に一次転写される。これにより、感光体ドラム110Y,110M,110C,110K上に形成された4色のトナー像が順次重ね合わされて中間転写ベルト170上にフルカラー画像が形成される。
各感光体ドラム110Y,110M,110C,110Kは、中間転写ベルト170にトナー像を転写した後、クリーニング装置160Y,160M,160C,160Kにより、それぞれの表面に残っている残留トナーが除去される。
ここで、露光装置130は、感光体ドラム110Y,110M,110C,110Kに対して所定の傾きをもって配置されている。また、中間転写ベルト170は、駆動ローラ171と従動ローラ172とに懸架されており、駆動ローラ171の回転により、図1において矢印A方向へ回動される。
一方、画像形成装置100の下部には、記録媒体としての印字用紙などの記録紙Pが収納された給紙カセット180が設けられている。記録紙Pは、給紙ローラ181により給紙カセット180から1枚ずつ所定のシート経路に送り出される。
前記シート経路に送り出された記録紙Pは、従動ローラ172に懸架された中間転写ベルト170の外周面と中間転写ベルト170の外周面に接触する二次転写ローラ190とで形成される転写ニップ部を通過する際に、中間転写ベルト170上に形成されたフルカラー画像(未定着画像)が二次転写ローラ190により一括転写される。
記録紙Pに一括転写された未定着のフルカラー画像は、図2に詳述する定着装置200の定着ローラ210及び加熱ローラ220に懸架された定着ベルト230の外周面と定着ベルト230の外周面に接触する加圧ローラ240とで形成される定着ニップ部Nを通過することにより、記録紙Pに加熱定着される。
なお、画像形成装置100には、その筐体の一部を成す開閉自在のドア101が設けられており、このドア101の開閉により、定着装置200の交換やメンテナンス及び前記用紙搬送路に詰まった記録紙Pのジャム処理などを行なうことができる。
次に、図2を参照して画像形成装置100に搭載されている本実施の形態1に係る定着装置200について説明する。
本実施の形態1に係る定着装置200は、電磁誘導加熱(IH;Induction Heating)方式の定着装置であって、図2に示すように、定着ローラ210、発熱体としての加熱ローラ220、発熱体としての定着ベルト230、加圧ローラ240、加熱手段としての誘導加熱装置250、シート分離ガイド板としてのセパレータ260及びシート搬送経路形成部材としてのシートガイド板281,282,283,284などを備えている。
この定着装置200は、誘導加熱装置250により生成した磁界の作用によって加熱ローラ220及び定着ベルト230を加熱し、シートガイド板281,282,283,284に沿って搬送される記録紙P上の未定着画像を、加熱された定着ベルト230と加圧ローラ240との定着ニップ部Nで加熱定着するものである。
なお、本発明に係る定着装置は、定着ベルト230を使用せず、定着ローラ210が加熱ローラ220を兼ねた構成とし、この定着ローラ210により記録紙P上の未定着画像を直接加熱定着するように構成したものであってもよい。また、前記加熱手段としては、ハロゲンランプなどを熱源とするものであってもよいことはいうまでもない。
図2において、発熱体としての加熱ローラ220は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル又はこれら金属の合金等の中空円筒状の磁性金属部材からなる回転体で構成され、図示しない支持側板に固定されたベアリングにより、その両端が回転可能に支持されており、図示しない駆動手段によって回転駆動される。また、加熱ローラ220は、外径が20mm、肉厚が0.3mmの低熱容量で昇温の速い構成となっており、そのキュリー点が300℃以上となるように調整されている。
定着ローラ210は、例えばステンレススチール等の金属製の芯金を、ソリッド状又は発泡状の耐熱性を有するシリコーンゴムからなる弾性部材で被覆して構成されており、その外径が30mm程度あり加熱ローラ220の外径よりも大きく形成されている。前記弾性部材は、その肉厚を3〜8mm程度、硬度を15〜50°(Asker硬度:JIS A の硬度では6〜25°)程度としている。
また、定着ローラ210には、加圧ローラ240が圧接している。この定着ローラ210と加圧ローラ240との圧接により、その圧接部に所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
定着ベルト230は、加熱ローラ220と定着ローラ210とに懸架された耐熱性ベルトで構成されている。この定着ベルト230は、後述する誘導加熱装置250により加熱ローラ220が誘導加熱されることで、この加熱ローラ220との接触部位で加熱ローラ220の熱が伝導され、その回転によってベルト全周に亘って加熱される。
このように構成した定着装置200は、加熱ローラ220の熱容量が定着ローラ210の熱容量よりも小さくなるので、加熱ローラ220が急速に加熱されるようになり、その加熱定着開始時におけるウォームアップ時間が短縮される。
また、定着ベルト230は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の磁性を有する金属又はそれらを基材とする合金を基材とした発熱層と、この発熱層の表面を被覆するようにして設けられたシリコーンゴム又はフッ素ゴム等の弾性部材からなる弾性層と、PTFE、PFY、FEP、シリコーンゴム又はフッ素ゴム等の離型性の良好な樹脂あるいはゴムを単独もしくは混合して形成された離型層とを備えた多層構造の耐熱性ベルトで構成されている。
この定着ベルト230は、仮に、定着ベルト230と加熱ローラ220との間に何らかの原因で異物が混入してギャップが生じたとしても、その発熱層を誘導加熱装置250により誘導加熱して定着ベルト自体を発熱させることができる。このように、この定着ベルト230は、それ自体を誘導加熱装置250により直接加熱でき、その発熱効率が良くなり、またレスポンスが速くなるので、温度ムラが少なく加熱定着手段としての信頼性が高くなる。
加圧ローラ240は、例えば、銅又はアルミ等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金の表面に、耐熱性及びトナー離型性の高い弾性部材を設けて構成されている。前記芯金としては、上記金属以外にSUSを使用してもよい。
この加圧ローラ240は、前述したように、定着ベルト230を介して定着ローラ210に圧接することにより、記録紙Pを挟持搬送する定着ニップ部Nを形成している。ここで、本実施の形態1に係る定着装置200においては、加圧ローラ240の硬度を定着ローラ210の硬度よりも硬くし、加圧ローラ240の周面が定着ベルト230を介して定着ローラ210の周面に食い込むようにして定着ニップ部Nを形成している。
このため、この加圧ローラ240は、その外径は定着ローラ210と同じ30mm程度であるが、その肉圧が2〜5mm程度と定着ローラ210よりも薄く、その硬度も20〜60°(Asker硬度:JIS A の硬度では6〜25°)程度と定着ローラ210よりも硬く構成されている。
このような構成の定着装置200においては、記録紙Pが加圧ローラ240の周面の表面形状に沿うように定着ニップ部Nにより挟持搬送されるので、記録紙Pの加熱定着面が定着ベルト230の表面から離れやすくなるという効果がある。
なお、定着ニップ部Nの入口側近傍の定着ベルト230の内周面には、サーミスタなどの熱応答性の高い感温素子からなる温度検出器270が当接配置されている。この定着装置200においては、温度検出器270が検知した定着ベルト230の内周面の温度に基づいて、定着ベルト230の表面温度、つまり前記未定着画像の加熱定着温度が所定の温度に維持されるように、誘導加熱装置250による加熱ローラ220及び定着ベルト230の加熱温度を制御している。
次に、誘導加熱装置250の構成について説明する。誘導加熱装置250は、図2に示すように、定着ベルト230を介して加熱ローラ220に外周面に対向するように配置されている。誘導加熱装置250には、加熱ローラ220を覆うように湾曲形成された難燃性の樹脂からなるコイルガイド部材としての支持フレーム251が設けられている。
支持フレーム251の中心部には、サーモスタット252が、その温度検知部分を支持フレーム251から加熱ローラ220及び定着ベルト230に向けて一部表出させるようにして配設されている。このサーモスタット252は、加熱ローラ220及び定着ベルト230の温度を検知し、加熱ローラ220及び定着ベルト230の温度が異常高温度になったことを検知したときに、支持フレーム251の外周面に巻回された磁界発生手段としての励磁コイル253と図示しないインバータ回路との接続を強制遮断する。
励磁コイル253は、表面が絶縁された長い一本の励磁コイル線材を支持フレーム251に沿って加熱ローラ220の軸方向に交互に巻き付けて構成されている。この励磁コイル253の巻回部分の長さは、定着ベルト230と加熱ローラ220とが接する領域と略同じ長さになるように設定されている。
励磁コイル253は、図示しないインバータ回路に接続され、10kHz〜1MHz(好ましくは20kHz〜800kHz)の高周波交流電流が給電されることにより交番磁界を発生する。この交番磁界は、加熱ローラ220と定着ベルト230との接触領域及びその近傍部において加熱ローラ220及び定着ベルト230の発熱層に作用する。そして、この交番磁界の作用により、これらの発熱層の内部に前記交番磁界の変化を妨げる方向の渦電流が流れる。
この渦電流は、加熱ローラ220及び定着ベルト230の発熱層の抵抗に応じたジュール熱を発生させ、主として加熱ローラ220と定着ベルト230との接触領域及びその近傍部において加熱ローラ220及び定着ベルト230を電磁誘導加熱する。
一方、支持フレーム251には、励磁コイル253を囲むようにして、アーチコア254及びサイドコア255が設けられている。これらのアーチコア254及びサイドコア255は、励磁コイル253のインダクタンスを増大させ、励磁コイル253と加熱ローラ220との電磁結合を良好にする。従って、この定着装置200においては、アーチコア254及びサイドコア255の作用により、同じコイル電流でも多くの電力を加熱ローラ220へ投入することが可能となり、そのウォームアップ時間を短縮することができる。
また、支持フレーム251には、誘導加熱装置250の内部のアーチコア254及びサーモスタット252を覆うように屋根型に形成された樹脂製のハウジング256が取り付けられている。このハウジング256には、複数の放熱孔が形成されており、支持フレーム251、励磁コイル253及びアーチコア254等から発生した熱が外部に放出されるようになっている。なお、ハウジング256は、例えばアルミなどの樹脂以外の素材で形成されたものであってもよい。
また、支持フレーム251には、ハウジング256に形成された放熱孔を塞がないようにハウジング256の外面を覆うショートリング257が取り付けられている。このショートリング257は、アーチコア254の背面に位置しており、アーチコア254の背面から外部に漏れ出るわずかな漏れ磁束を打ち消す方向に渦電流が発生することで、前記漏れ磁束の磁界を打ち消す方向に磁界が発生して前記漏れ磁束による不要な輻射を防止する働きをしている。
さらに、定着ローラ210の回転軸に対して同軸状にロータリーエンコーダ290が取り付けられている。ロータリーエンコーダ290の回転羽を挟むように発光部と受光部とを配置したフォトインタラプタ291が設置されている。ロータリーエンコーダ290は、定着ローラ210の回転軸と同軸状に取り付けられているため、定着ローラ210と一体的に回転する。ロータリーエンコーダ290の回転時に回転羽が発光部から受光部に入射する光線を遮るたびにフォトインタラプタ291の出力信号レベルが立ち上がる矩形波状の位相信号となる。すなわち、フォトインタラプタ291はロータリーエンコーダ290の回転速度に対応した周期の位相信号を出力し、ロータリーエンコーダ290の回転が停止した場合はフラットな信号波形となる。
次に、誘導加熱装置250の動作を制御する部分の電気的な構成について説明する。図3は、誘導加熱装置250の動作を制御するIH電源300及び画像形成装置の本体装置400であって定着装置200に関連する部分について示す機能ブロック図である。
IH電源300は、商用交流電源302をフィルタ303経由で整流回路304に接続して交流を直流に変換する。整流回路304の直流側をインバータ回路305に接続し、インバータ回路305から誘導加熱装置250に高周波交流電流を給電する。
一方、ロータリーエンコーダ290及びフォトインタラプタ291で構成する回転信号発生手段301から出力する位相信号を回転検知回路306に取り込む。回転検知回路306の出力する回転検知信号を発振停止回路307に入力し、定着ローラ210(定着ベルト230)の回転停止又は回転速度が所定値以下の状態を検知したときにインバータ回路305の発振を強制的に停止させる。また、回転検知回路306の出力する回転検知信号は本体装置400のCPU401へも入力している。
また、後述する自己診断のために商用交流電源302から整流回路304に供給される電圧値及び電流値を検出する検出回路308を備える。検出回路308の出力する検出信号は、A/Dコンバータ309でデジタル信号に変換した後、本体装置400のCPU401へ入力している。
本体装置400のCPU401は、電源の投入時や待機中の一定周期毎に、定着ローラ210が停止又は所定回転数以下ならば加熱されないことを自己診断する。また、本体装置400の駆動手段402は、CPU401から駆動要求を受けて加圧ローラ240を回転駆動する働きをする。
図4はIH電源300の回路構成を示す図である。
商用交流電源302に対して物理的に接続されるインレット325とフィルタ303との間に電源スイッチ326を設けている。電源スイッチ326をONすることにより商用交流電源302から整流回路304に交流電流が流れる。インバータ回路305は、コンデンサ327を励磁コイル253に対して並列接続し、コンデンサ327の一方の電極を他のコンデンサ328を介してアース接続し、コンデンサ327の他方の電極をIGBTからなるスイッチング素子329を順方向に介してアース接続している。そして、励磁コイル253の両端に対して整流回路304の直流側端子を接続し、スイッチング素子329をON/OFFすることにより励磁コイル253に対して高周波交流電流を給電することができるように構成している。なお、整流回路304の正極側端子と励磁コイル253との間にサーモスタット330を直列に介挿している。
スイッチング素子329はIGBT駆動回路331によりゲート電極をON/OFF駆動される。IGBT駆動回路331はPWM回路332から供給される矩形波のPWM信号をスイッチング素子329へ伝達することによりON/OFF駆動の周期(ON期間の幅及びOFF期間の幅)を制御する。IGBT駆動回路331の出力がハイレベル期間は、スイッチング素子329がONして励磁コイル253に電流が流れる。また、ローレベル期間はスイッチング素子329がOFFして励磁コイル253に流れるコイル電流が急激に低下する。PWM回路332は、CPU401から供給されるON/OFF信号がON時はパルスからなるPWM信号を出力し、OFF時はパルス出力を停止する。CPU401から供給されるパワー信号のレベルが大の時はPWM信号のハイレベル期間を長くし、逆にパワー信号のレベルが小の時はPWM信号のハイレベル期間を短くする。PWM信号のハイレベル期間の長さを可変させることによって励磁コイル253に流れるコイル電流の大きさを可変させることができ、発生する磁界の強さを可変させることができるので加熱ローラ220や定着ベルト230の発熱量を可変できる。
発振停止回路307は、第1トランジスタ334及び第2トランジスタ335で構成されている。+Vcc−アース間に、第1トランジスタ334、IGBT駆動回路331、第2トランジスタ335を直列接続し、第1トランジスタ334のコレクタ側を+Vcc電位に保持し、第2トランジスタ335のエミッタ側をアース電位に接続する。そして、IGBT駆動回路331が第1トランジスタ334を介して印加される電圧Vccを利用してスイッチング素子329のドライブパルスを生成するように構成する。一方、第1トランジスタ334のベースには回転検知回路306の出力信号を印加し、第2トランジスタ335のベースには回転検知回路306の出力信号を反転回路336で反転して印加する。これにより、回転検知回路306の出力信号がアクティブの間(定着ローラ210が定常回転している間)は、第1トランジスタ334のベースが導通状態となり、第2トランジスタ335のベースが非導通状態となるので、IGBT駆動回路331に動作電圧Vccが印加する。逆に、回転検知回路306の出力信号がノンアクティブの間(定着ローラ210が停止又は所定速度以下の間)は、第1トランジスタ334のベースが非導通状態となり、第2トランジスタ335のベースが導通状態となるので、IGBT駆動回路331に動作電圧Vccは印加しなくなると共にPWM回路332の出力するPWM信号も入力しなくなるように構成している。
図5は回転検知回路306の具体的な構成を示す図である。なお、説明の便宜上、回転検知回路306の前後に接続される部分の構成も図示している。回転検知回路306は、フォトインタラプタ291からの位相信号をエッジ抽出回路340に入力する。フォトインタラプタ291からの位相信号は、前述したようにロータリーエンコーダ290が回転している間は矩形波状の信号波形となり、ロータリーエンコーダ290の回転が停止している間はローレベル又はハイレベルが維持したフラットな信号波形となる。ロータリーエンコーダ290の回転速度が低下するのに応じて位相信号の周期は大きな値となる。エッジ抽出回路340は、フォトインタラプタ291から出力される位相信号のエッジ(立ち下がり部分又は立ち上がり部分)を検出し、エッジ間隔計数回路341はエッジ抽出回路340が検出するエッジ間隔、すなわち位相信号の周期を計数する。具体的には、前回のエッジが検出されてから次のエッジが検出されるまでのクロック数をカウントする。エッジ間隔(周期)を示すカウント値は比較回路342へ入力する。一方、規定時間データ格納部343には定着ローラ210の任意の回転速度に相当する数値を格納しておく。本例では、定着ローラ210の回転速度が加熱抑制すべき値の時にフォトインタラプタ291から出力される位相信号の周期に相当する数値を格納している。比較回路342は、エッジ間隔計数回路341の出力するカウント値と規定時間データ格納部343に格納されている数値とを比較し、カウント値が格納値を超えている間はノンアクティブとし、カウント値が格納値未満の間はアクティブとなる駆動信号を出力する。駆動信号はトランジスタからなるドライバ344のベースに印加する。ドライバ344は、駆動信号がノンアクティブな期間(カウント値が格納値を超えている間)はローレベルとし、駆動信号がアクティブな期間(カウント値が格納値未満の間)はハイレベルとなる回転検知信号を生成する。なお、ここで示した回転検知回路306はデジタル回路で構成されているが、同様の機能をアナログ回路を使用して実現してもよい。
次に、以上のように構成された定着装置200の動作について説明する。
装置本体400のCPU401から駆動手段402に対して定着ローラ210の回転指令が与えられる。駆動手段402は、図示していない駆動系を制御して加圧ローラ240を正転させる。加圧ローラ240に圧接している定着ローラ210は連れ回りする。定着ローラ210と加熱ローラ220とが定着ベルト230を介して同期して回転する。
このとき、定着ローラ210の回転軸に対して取り付けられたロータリーエンコーダ290も同期して回転する。ロータリーエンコーダ290の回転によりフォトインタラプタ291からは定着ローラ210の回転速度に応じた周期の位相信号が出力される。回転検知回路306は定着ローラ210の回転速度が所定値に到達するまではローレベルの信号を出力し、回転速度が所定値を超えたところでハイレベルの信号に変化させる。回転検知回路306の回転検知信号がハイレベルになると、発振停止回路307の第1,第2のトランジスタ334,335がON状態となる。この結果、インバータ回路305はPWM回路332の出力信号によって発振可能な状態になる。
CPU401は、誘導加熱装置250で加熱する必要が発生すると、IH電源300のインバータ回路305に対してON/OFF信号及びパワー信号の供給を開始する。PWM回路332は、ON/OFF信号及びパワー信号に基づいてパルス状のPWM信号を生成してIGBT駆動回路331へ供給する。IGBT駆動回路331は、PWM信号をスイッチング素子329に伝達してON/OFF制御する。この結果、誘導加熱装置250の励磁コイル253に高周波交流電流が給電される。
誘導加熱装置250は、励磁コイル253によって発生する交番磁界により加熱ローラ220及び定着ベルト230の発熱層に渦電流が流れ、主として加熱ローラ220と定着ベルト230との接触領域及びその近傍部において加熱ローラ220及び定着ベルト230を電磁誘導加熱する。
ここで定着ベルト230の昇温時(加熱開始から目標温度に到達するまでの期間)の制御について説明する。CPU401は定着ベルト230の昇温時、できるだけ目標温度に到達するまでの時間を短くするために、IH電源300に供給可能な最大限の電力を維持、供給するようにON/OFF信号及びパワー信号のレベルを制御する。すなわち、検出回路308によりIH電源300に供給される電流値および電圧値が検出され、検出信号はADコンバータ309によりCPU401へ入力される。CPU401は検出した電流値と電圧値に基づき、IH電源300に所定電力を維持、供給するようにパワー信号のレベルを制御する。このようなフィードバック制御により電力が制御される。
次に定着ベルト230の温調時(目標温度を維持する期間)の制御について説明する。
定着ベルト230は温度検出器270によって温度検出される。温度検出器270の出力する温度検出信号はCPU401へ入力される。CPU401は、PWM回路332へ出力すべきON/OFF信号及びパワー信号を当該温度検出信号に基づいて決定する。すなわち、目標温度になるようにON/OFF信号のON期間及びOFF期間やパワー信号のレベルを制御する。基本的には、このようなフィードバック制御により定着温度が制御される。
ところが、CPU401が故障したり暴走したりした場合には上記フィードバック制御が効かなくなる可能性がある。CPU401がPWM回路332に対して加熱方向の指示を出した後に制御不能になると、誘導加熱装置250が加熱し続けることとなる。特に、誘導加熱装置250が加熱動作の状態で、加圧ローラ240,定着ローラ210,加熱ローラ220の駆動系が停止すると、誘導加熱装置250により直接加熱され続けている箇所を過加熱で損傷するため、緊急に誘導加熱装置250の加熱動作を停止させる必要がある。
このような場合、本実施の形態では発振停止回路307が動作することにより、CPU401を介在せずに、インバータ回路305の発振動作を停止させて、誘導加熱装置250の加熱動作を強制的に緊急停止させる。すなわち、定着ローラ210の回転停止は、回転信号発生手段301により直接検出される。回転検知回路306は、回転信号発生手段301の検出する回転速度が所定値まで低下した時点で、回転検知信号の信号レベルをローレベルに変化させる。この結果、発振停止回路307の第1、第2トランジスタ334,335はOFF状態となり、IGBT駆動回路331への動作電圧Vcc及びPWM信号の供給を停止させる。これにより、スイッチング素子329のスイッチング動作は止まるので、インバータ回路305の発振動作が止まり、励磁コイル253に対して高周波交流電流が給電されなくなる。励磁コイル253が交番磁界を発生しなくなるので、誘導加熱も停止することとなる。
このように、回転信号発生手段301の検出する回転速度が所定値以下の場合は、CPU401を介在せずにインバータ回路305の発振動作を強制停止させるようにしたので、CPU401が故障し又は暴走しても定着ベルトの過昇温が予測される場合にはCPU401を介在させずに加熱出力を確実に抑制することができる。
また、以上のような機能は、回転速度を検出する検出系統(回転検知回路306等)と発振停止回路307とが正常に動作して初めて達成されるものである。そこで、これらの機能を自己診断した上で誘導加熱装置250等の運転を行うようにすることが望ましい。本実施の形態1では、電源ON毎及び又はスリープ状態からの復帰毎及び又は待機中の一定周期毎に、CPU401が自己診断を行うように構成した。
図6はCPU401が行う自己診断のためのフロー図である。この自己診断は電源ON時及び又は待機時の一定期間毎に実行する。CPU401は、自己診断を開始する場合、駆動手段402に対して停止命令を出して加圧ローラ240の駆動を停止させる(S100)。加圧ローラ240の駆動を停止して定着ローラ210の回転を停止させてから、回転検知回路306の出力する回転検知信号を取り込んで定着ベルト230(定着ローラ210)が停止しているか否か判断する(S101)。回転検知信号がローレベルであれば定着ローラ210の回転速度は所定値以下になっていることになるが、ここでは定着ベルト230の回転が停止しているものとして扱う。CPU401は定着ベルト230の回転が停止していると判断した場合(S101:YES)、PWM回路332に対してON/OFF信号及びパワー信号を送出することでインバータ回路305に加熱出力を指示する(S102)。すなわち、定着ベルト230を加熱しない条件が成立している時に加熱指示を与える。
ここで、回転検知回路306及び発振停止回路307が正常に動作していれば、IGBT駆動回路331に対して動作電圧Vcc及びPWM信号が入力されない状態になっているはずである。したがって、インバータ回路305は発振動作を停止しているために整流回路304からインバータ回路305に流入する電流値は規定値以下となる。
CPU401は、検出回路308から検出信号を取り込み(S103)、検出信号が示している電流値が規定値以下か否か判断する(S104)。電流値が規定値以下であれば(S104:YES)、回転検知回路306及び発振停止回路307が正常に動作していることを意味する。したがって、この場合、CPU401は自己診断の結果正常であると判断して、PWM回路332に出力しているON/OFF信号及びパワー信号の送出を停止する(S105)。
一方、電流値が規定値よりも大きかった場合(S104:NO)、発振停止回路307が正常に動作せずにインバータ回路305の発振動作が停止していないことを意味する。この場合、CPU401は直ちにPWM回路332に出力しているON/OFF信号及びパワー信号の送出を停止して加熱を停止し(S106)、エラー通知の処理を実行する(S107)。例えば、故障が発生していることを示すメッセージを図示していない操作パネルに表示する。そして、CPU401は以後の印字動作(加熱動作)は行わないように制御する(S108)。又は警報音声を発する。
なお、CPU401はステップS101の処理で回転検知信号が定着ベルト230の停止を示していないと判断した場合(S101:NO)、加圧ローラ240等の回転を停止しているにも拘わらず、回転検知回路306が回転を検知していることとなるので、回転検知回路306又は回転信号発生手段301に故障が発生していることになる。この場合も、CPU401はエラー通知を行い(S107)、以後の印字動作(加熱動作)は行わないように制御する(S108)。
このように、CPU401が故障してもインバータ回路305の発振動作を確実に停止させる発振停止回路307及び回転検知回路306の診断を行うことにより、定着装置200の信頼性をさらに高くすることができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる定着装置について説明する。本実施の形態2は、IH電源に電源側CPUを搭載して回転検知回路及び発振停止回路の機能を電源側CPUにて実現するというものである。なお、本定着装置が適用される画像形成装置は、前述した図1、図2に示すものであって良いし、他の方式のものでもよい。
図7は誘導加熱装置250の動作を制御するIH電源500及び画像形成装置の本体装置400であって定着装置200に関連する部分について示す機能ブロック図である。なお、前述した実施の形態1の各部と同一機能を有する部分には同一符号を付している。
IH電源500は、回転検知回路306及び発振停止回路307を電源側CPU501に置き換えた以外は基本的に前述のIH電源300と同一の構成であるが、制御方法は若干異なり、本体装置側のCPU401は昇温時及び温調時に所望の電力をパワー信号1により電源側CPU501に指示し、電源側CPU501はCPU401から指示された電力になるようにパワー信号2をインバータ回路305へ送る。すなわち電源側CPU501は、本体装置400のCPU401から与えられるON/OFF信号1及びパワー信号1に基づきON/OFF信号2及びパワー信号2としてインバータ回路305に入力する。また、電源側CPU501は、本体装置400のCPU401とシリアル通信によりデータ交換可能に構成されていて、検出回路308の出力する検出信号を内蔵するA/Dコンバータ502でデジタル信号に変換してCPU401へシリアル通信する。さらに、電源側CPU501は、回転信号発生手段301の出力信号を取り込み、定着ローラ210(定着ベルト230)の回転速度の判定を行い、インバータ回路305の発振を停止すべき値の場合(所定値以下の場合)はCPU401からのON/OFF信号1及びパワー信号1の如何に拘わらずON/OFF信号2及びパワー信号2の出力を停止させる。これにより、定着ローラ210(定着ベルト230)の回転速度が所定値以下の場合は、CPU401の指示から独立してインバータ回路305の発振を停止させるように作用する。
このように、CPU401からのON/OFF信号1及びパワー信号1を、IH電源500側に搭載した電源側CPU501で中継しインバータ回路305に供給して発振動作を制御するので、回転信号発生手段301の出力信号から検知される定着ローラ210(定着ベルト230)の回転速度が所定値以下の場合は、CPU401がON/OFF信号1及びパワー信号1を出力していても、ON/OFF信号2及びパワー信号2の出力を中止してインバータ回路305の発振を停止させるものとしたので、CPU401が故障してもインバータ回路305の発振動作を確実に停止させることができ、加熱出力を確実に抑制することができる。
以上のような機能は、回転速度を検出する検出系統と電源側CPU501とが正常に動作して初めて達成されるものである。そこで、これらの機能を自己診断した上で誘導加熱装置250等の運転を行うようにすることが望ましい。本実施の形態では、電源ON毎及び又はスリープ状態からの復帰毎及び又は待機中の一定周期毎に、CPU401が自己診断を行うように構成した。
図8はCPU401が行う自己診断のためのフロー図である。この自己診断は電源ON時及び又は待機時の一定期間毎に実行する。CPU401は、自己診断を開始する場合、駆動手段402に対して停止命令を出して加圧ローラ240の駆動を停止させる(S200)。加圧ローラ240の駆動を停止して定着ローラ210の回転を停止させてから、電源側CPU501に定着ベルト230の回転状態情報を要求し、電源側CPU501から定着ローラ210(定着ベルト230)の回転速度を取得する(S201)。CPU401と電源側CPU501間での回転状態情報の要求及び回転速度の応答はシリアル通信にて行う。
CPU401は、回転速度データから定着ベルト230の停止を検知すると(S202:YES)、電源側CPU501に対して加熱出力のためのON/OFF信号1及びパワー信号1を出力する(S203)。電源側CPU501は、ON/OFF信号1及びパワー信号1を受けても定着ローラ210の回転速度が所定値以下であるので、インバータ回路305に対してON/OFF信号2及びパワー信号2を与えない。すなわち、インバータ回路305を発振動作しないように制御する。
一方、CPU401はIH電源500の検出回路308から検出信号(電流値)を取得する(S204)。電流値の取得は電源側CPU501を介してシリアル通信にて行う。CPU401は整流回路304に供給される電流値と規定値とを比較する(S205)。現在、定着ベルト230は停止状態であるので、電源側CPU501が正常に動作していればインバータ回路305を発振動作しないように制御しているはずなので、整流回路304に供給される電流値は規定値以下になっているはずである。よって、CPU401は電流値が規定値以下であれば(S205:YES)、電源側CPU501は正常に動作していると判断して加熱停止の処理を実行する(S206)。具体的には、CPU401は電源側CPU501に出力していたON/OFF信号1及びパワー信号1を停止させて通常状態に戻る。
しかし、電流値が規定値を超えていれば(S205:NO)、電源側CPU501は正常に動作していないと判断できる。この場合、CPU401は加熱停止の処理を実行した後(S207)、エラー通知の処理を実行する(S208)。例えば、故障が発生していることを示すメッセージを図示していない操作パネルに表示する。そして、以後の印字動作(加熱動作)は行わないように制御する(S209)。
なお、CPU401はステップS202の処理で定着ベルト230の停止を示していないと判断した場合(S202:NO)、加圧ローラ240等の回転を停止しているにも拘わらず、電源側CPU501が定着ベルト230の回転を検知していることとなるので電源側CPU501又は回転信号発生手段301に故障が発生していることになる。この場合も、CPU401はエラー通知を行い(S208)、以後の印字動作(加熱動作)は行わないように制御する(S209)。
このように、CPU401が電源側CPU501の診断を行うことにより、電源側CPU501の故障を事前に発見できると共に、電源側CPU501が正常であることを確認しながらIH電源500を運転でき、定着装置200の信頼性をさらに高くすることができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる定着装置について説明する。本実施の形態3は、IH電源に電力抑制回路を搭載して、定着ベルトのベルト停止又はしきい値以下での回転状態を設定する保温モードを有する定着装置に対して投入電力が規定電力以下に抑制されていることを自己診断する機能を本体装置のCPUにて実現するというものである。なお、本定着装置が適用される画像形成装置は、前述した図1、図2に示すものであって良いし、他の方式のものでもよい。
図9は誘導加熱装置250の動作を制御するIH電源600及び画像形成装置の本体装置400であって定着装置200に関連する部分について示す機能ブロック図である。なお、前述した実施の形態1の各部と同一機能を有する部分には同一符号を付している。
IH電源600は、発振停止回路307を電力抑制回路601に置き換えた以外は基本的に前述のIH電源300と同一の構成であるが、制御方法は若干異なり、本体装置側のCPU401は定着装置200が保温モードにある場合、電源ON毎や待機中の一定周期毎の定着ベルト230が停止又はしきい値以下の回転の時に、所定の電力を投入するパワー信号を電力抑制回路601に与えて、投入電力が規定電力以下に抑制されていることを自己診断する。また、電力抑制回路601は、定着着装置200が前記保温モード以外の定着ベルト230の回転時はCPU401からのパワー信号に基づいたレベルの動作電圧をインバータ回路305内のPWM回路332に出力する。さらに、電力抑制回路601は、定着着装置200が前記保温モードで定着ベルト230の回転が停止又はしきい値以下の回転の時は、CPU401からのパワー信号が規定レベル以下であれば、そのパワー信号に基づいてレベルの動作電圧をインバータ回路305内のPWM回路332に出力し、パワー信号が規定レベル以上の時は規定レベルの動作電圧をインバータ回路305内のPWM回路332に出力する。これにより、定着装置200が保温モードで定着ローラ210(定着ベルト230)の回転速度が停止又はしきい値以下の場合は、CPU401の指示から独立してインバータ回路305の発振を抑制させるように作用する。
このように、定着着装置200が保温モードにある場合に、CPU401からのパワー信号を、IH電源600側に搭載した電力抑制回路601で抑制しインバータ回路305に供給して発振動作を制御するので、回転信号発生手段301の出力信号から検知される定着ローラ210(定着ベルト230)の回転速度が停止又はしきい値以下の場合は、CPU401が規定レベル以上のパワー信号を出力していても、動作電圧の出力を規定レベルに抑制してインバータ回路305の発振を抑制させるものとしたので、CPU401が故障してもインバータ回路305の発振動作を確実に抑制させることができ、加熱出力を確実に抑制することができる。
以上のような機能は、回転速度を検出する検出系統と電力抑制回路601とが正常に動作して初めて達成されるものである。そこで、これらの機能を自己診断した上で誘導加熱装置250等の運転を行うようにすることが望ましい。本実施の形態では、定着着装置200が保温モードにある場合に、電源ON毎及び又は待機中の一定周期毎に、CPU401が自己診断を行うように構成した。
図10はCPU401が行う自己診断のためのフロー図である。この自己診断は定着着装置200が保温モードにある場合、電源ON時及び又は待機時の一定期間毎に実行する。CPU401は、自己診断を開始する場合、駆動手段402に対して停止命令を出して加圧ローラ240の駆動を停止させる(S300)。加圧ローラ240の駆動を停止して定着ローラ210の回転を停止させてから、回転検知回路306の出力する回転検知信号を取り込んで定着ベルト230(定着ローラ210)が停止しているか否か判断する(S301)。回転検知信号がローレベルであれば定着ローラ210の回転速度は所定値以下になっていることになるが、ここでは定着ベルト230の回転が停止しているものとして扱う。CPU401は定着ベルト230の回転が停止していると判断した場合(S301:YES)、PWM回路332に対してON/OFF信号を送出し、電力抑制回路601に対して所定の電力を投入するパワー信号を送出することでインバータ回路305に加熱出力を指示する(S302)。すなわち、定着ベルト230を加熱しない条件が成立している時に加熱指示を与える。
CPU401は、検出回路308から検出信号を取り込み(S303)、検出信号が示している電流値及び電圧値を乗算(電流値×電圧値)した電力値が規定値以下か否か判断する(S304)。電力値が規定値以下であれば(S304:YES)、回転検知回路306及び電力抑制回路601が正常に動作していることを意味する。したがって、この場合、CPU401は自己診断の結果正常であると判断して、PWM回路332及び電力抑制回路601に出力しているON/OFF信号及びパワー信号の送出を停止する(S305)。
一方、電力値が規定値よりも大きかった場合(S304:NO)、電力抑制回路601が正常に動作せずにインバータ回路305の発振動作が抑制されていないことを意味する。この場合、CPU401は直ちにPWM回路332に出力しているON/OFF信号及び電力抑制回路601に出力しているパワー信号の送出を停止して加熱を停止し(S306)、エラー通知の処理を実行する(S307)。例えば、故障が発生していることを示すメッセージを図示していない操作パネルに表示する。そして、CPU401は以後の印字動作(加熱動作)は行わないように制御する(S308)。又は警報音声を発する。
なお、CPU401はステップS301の処理で回転検知信号が定着ベルト230の停止を示していないと判断した場合(S301:NO)、加圧ローラ240等の回転を停止しているにも枸わらず、回転検知回路306が回転を検知していることとなるので、回転検知回路306又は回転信号発生手段301に故障が発生していることになる。この場合も、CPU401はエラー通知を行い(S307)、以後の印字動作(加熱動作)は行わないように制御する(S308)。
このように、定着着装置200が保温モードにある場合に、CPU401が電力抑制回路601の診断を行うことにより、電力抑制回路601の故障を事前に発見できると共に、電力抑制回路601が正常であることを確認しながらIH電源600を運転でき、定着装置200の信頼性をさらに高くすることができる。
なお、本実施の形態では、電力抑制回路をIH電源側に搭載した場合を示したが、本体装置側に搭載するようにしてもよい。また、IH電源側に本体装置とは別の電源側プロセッサを搭載して電力抑制回路と同じ動作をさせるようにしてもよい。
本発明の定着装置の第1の態様は、記録媒体上の未定着画像を加熱定着する回転加熱体と、前記回転加熱体を加熱する加熱手段と、前記加熱手段に対して給電する電源と、前記回転加熱体を加熱しない条件が成立している時に加熱する指示を与えて、前記回転加熱体が加熱されないことを確認する自己診断手段と、を具備する構成を採る。
このように構成によれば、回転加熱体を加熱しない条件が成立している時に加熱する指示を与えて、前記回転加熱体が加熱されないことを確認するので、装置の安全性を確認した上で、運転することができる。
本発明の定着装置の第2の態様は、上記第1の態様に記載の定着装置において、前記電源は、前記加熱手段に対して高周波交流電流を給電するインバータ回路と、前記回転加熱体が停止又はしきい値以下の回転速度の場合、前記インバータ回路の発振を停止させる発振停止回路と、を具備する構成を採る。
この構成によれば、本体装置ではなくて、電源に発振停止回路を設置することができ、装置本体側に発振停止機能を持たせる場合に比べて、装置本体のCPUからの独立性を高める設計が可能となる。
本発明の定着装置の第3の態様は、上記第2の態様に記載の定着装置において、前記回転加熱体の回転速度に応じた位相信号を出力する信号発生手段と、プロセッサから独立して設けられ前記位相信号から前記回転加熱体の回転状態が停止又はしきい値以下の回転速度であることを検知する回転検知手段とを具備する構成を採る。
この構成によれば、回転検知手段をプロセッサから独立して設けたので、プロセッサの信頼性に影響されることなく、加熱停止の条件が成立しているか否か判断することができ、信頼性を向上することができる。
本発明の定着装置の第4の態様は、上記第1の態様に記載の定着装置において、前記電源は、前記加熱手段に対して高周波交流電流を給電するインバータ回路と、プロセッサから供給される制御信号に従って前記インバータ回路の発振動作を制御し、前記回転加熱体が停止又はしきい値以下の回転速度の場合には前記制御信号に従わずに前記インバータ回路の発振を停止させる電源側プロセッサと、を具備する構成を採る。
この構成によれば、発振停止回路に相当する電源側プロセッサを、本体装置ではなくて、電源に設置したので、装置本体側に発振停止機能を持たせる場合に比べて、装置本体のCPUからの独立性を高める設計が可能となる。
本発明の定着装置の第5の態様は、上記第4の態様に記載の定着装置において、前記回転加熱体の回転速度に応じた位相信号を出力する信号発生手段を備え、前記電源側プロセッサが前記位相信号から前記回転加熱体の回転状態が停止又はしきい値以下の回転速度であることを検知する構成を採る。
この構成によれば、回転検知機能をプロセッサから独立して設けたので、プロセッサの信頼性に影響されることなく、加熱停止の条件が成立しているか否か判断することができ、信頼性を向上することができる。
本発明の定着装置の第6の態様は、上記第1態様に記載の定着装置において、前記自己診断手段は、電源ON毎及び又はスリープ状態からの復帰毎及び又は待機中の一定周期毎に、自己診断を実行する構成を採る。
この構成によれば、装置本体側のCPUの負荷が小さいときに自己診断することができ、CPUに大きな負荷をかけずに自己診断することができる。
本発明の定着装置の第7の態様は、上記第1の態様に記載の定着装置において、前記電源は、前記加熱手段に対して高周波交流電流を給電するインバータ回路と、プロセッサから供給される電力制御信号に従って前記インバータ回路の発振動作を制御し、前記回転加熱体が停止又はしきい値以下の回転速度の場合には前記電力制御信号に従わずに前記インバータ回路の発振を抑制させる電力抑制回路と、具備する構成を採る。
この構成によれば、電力抑制回路をプロセッサから独立して設けたので、プロセッサの信頼性に影響されることなく、加熱抑制の条件が成立しているか否か判断することができ、信頼性を向上することができる。
本発明の第8の態様は、記録媒体上に未定着画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により前記記録媒体上に形成された未定着画像を回転加熱体により加熱定着する定着装置とを備え、前記定着装置として、上記第1の態様に記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置である。
本明細書は、2004年3月3日出願の特願2004−059754に基づく。この内容はすべてここに含めておく。
本発明は、電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に適用可能な定着装置の加熱停止の条件が成立しているときに加熱を抑制する機構が正常に動作することを自己診断し、制御回路を介在させずに回転加熱部材の過昇温を確実に防止することを可能にすることである。
本発明は、未定着画像を記録材に加熱定着する定着装置に関する。
電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置は、記録材の表面に形成したトナー未定着画像を記録材面に加熱定着する定着装置を備えている。定着ローラと当該定着ローラに圧接させた加圧ローラとの間に圧接ニップ部を形成し、この圧接ニップ部にトナーの載った記録材を狭持搬送して未定着画像を定着ローラ側から加熱して記録材面に加熱定着させる定着装置がある。
定着ローラの加熱方式には種々の方式が開発されている。例えば、定着ローラを、磁束の通過を妨げない絶縁性の円筒状の部材からなるフィルムガイドと、このフィルムガイドの外周に巻いた電磁誘導発熱フィルム(定着フィルム)とから構成し、圧接ニップ領域外に設置した励磁コイル及びコアからなる磁界発生手段で発生させた磁界を印加して誘導加熱し、定着ローラの回転に伴い加熱領域が圧接ニップ部まで移動してトナーを加熱定着する方式が知られている。又は、定着ローラと加熱ローラとの間に電磁誘導発熱フィルムからなる定着ベルトを縣架し、加熱ローラに対向させて設置した磁界発生手段で加熱ローラ上を摺動する定着ベルトに磁界を印加して定着ベルトを誘導加熱し、加熱した定着ベルトが圧接ニップ部まで移動してトナーを加熱定着する方式が知られている。
いずれの方式においても定着フィルム又は定着ベルトといった回転加熱部材の温度を定着に適した温度に維持するため、制御回路(マイコン)が温度制御を行うのが一般的である。制御回路は、回転加熱部材を最適な温度に制御するだけでなく、回転加熱部材の回転が停止しているときに誤って加熱するといった不具合を防止する制御機能も持たせることができる。具体的には、定着フィルムの回転を検出する回転検出手段(光学センサ)を備え、定着フィルムの回転が停止又は所定速度以下の時に、制御回路(マイコン)が励磁コイルへの給電を停止又は抑制して加熱出力を抑制するといったものである(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−203072号公報
しかしながら、制御回路(マイコン)が故障し又は暴走すれば加熱出力が抑制されない事態となるので、回転加熱部材の過昇温が予測される場合には制御回路を介在させずに加熱出力を抑制しなければならない。
本発明の目的は、制御回路が正常状態時に回転加熱部材の過昇温を防止する機構が正常に動作するか否か診断することができ、制御回路が故障し又は暴走しても制御回路を介在させずに加熱出力を確実に抑制することができ安全性に優れた効果を発揮する定着装置を提供することである。
本発明の定着装置は、記録媒体上の未定着画像を加熱定着する回転加熱体の加熱を本体側プロセッサが制御するものにおいて、回転加熱体を加熱しない条件が成立している時に加熱する指示を与えて、前記回転加熱体が加熱されないことを確認する自己診断機能を持たせたものである。
本発明によれば、制御回路が正常状態時に回転加熱部材の過昇温を防止する機構が正常に動作するか否か診断することができ、制御回路が故障し又は暴走しても制御回路を介在させずに加熱出力を確実に抑制することができ安全性に優れた効果を発揮する定着装置を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一の構成又は機能を有する構成要素及び相当部分には、同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る定着装置を搭載するのに適した画像形成装置の構成を示す概略断面図である。図1に示すように、この画像形成装置100は、カラー画像の発色に寄与する4色のトナー像を4つの像担持体上に個別に形成し、これら4色のトナー像を中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写した後、この一次転写像を記録媒体に一括転写(二次転写)する1パス方式の画像形成装置である。
なお、本実施の形態1に係る定着装置は、前記1パス方式の画像形成装置のみに限定されず、あらゆる方式の画像形成装置に搭載可能であることはいうまでもない。
また、図1において、画像形成装置100の各構成要素に付した符号の末尾の記号Y,M,C,Kは、Yはイエロー画像、Mはマゼンタ画像、Cはシアン画像、Kはブラック画像のそれぞれの画像形成に関与する構成要素を示しており、同一符号の構成要素はそれぞれ共通した構成を有している。
画像形成装置100は、前記4つの像担持体としての感光体ドラム110Y,110M,110C,110Kの周囲に、帯電器120Y,120M,120C,120K、露光装置130、現像器140Y,140M,140C,140K、転写器150Y,150M,150C,150K、クリーニング装置160Y,160M,160C,160K及び中間転写ベルト(中間転写体)170をそれぞれ配置した画像形成ステーションSY,SM,SC,SKを有している。
図1において、各感光体ドラム110Y,110M,110C,110Kは、それぞれ矢印方向に回転され、それぞれの表面が帯電器120Y,120M,120C,120K
により一様に所定の電位に帯電される。
帯電された各感光体ドラム110Y,110M,110C,110Kは、露光装置130により特定色の画像データに対応したレーザビームの走査線130Y,130M,130C,130Kが照射される。これにより、各感光体ドラム110Y,110M,110C,110Kの表面に前記特定色毎の静電潜像が形成される。
感光体ドラム110Y,110M,110C,110K上に形成された前記特定色毎の静電潜像は、現像器140Y,140M,140C,140Kにより顕像化される。これにより、各感光体ドラム110Y,110M,110C,110K上に、カラー画像の発色に寄与する4色の未定着画像が形成される。
感光体ドラム110Y,110M,110C,110K上に顕像化された4色のトナー像は、転写器150Y,150M,150C,150Kにより、前記中間転写体としての無端状の中間転写ベルト170に一次転写される。これにより、感光体ドラム110Y,110M,110C,110K上に形成された4色のトナー像が順次重ね合わされて中間転写ベルト170上にフルカラー画像が形成される。
各感光体ドラム110Y,110M,110C,110Kは、中間転写ベルト170にトナー像を転写した後、クリーニング装置160Y,160M,160C,160Kにより、それぞれの表面に残っている残留トナーが除去される。
ここで、露光装置130は、感光体ドラム110Y,110M,110C,110Kに対して所定の傾きをもって配置されている。また、中間転写ベルト170は、駆動ローラ171と従動ローラ172とに懸架されており、駆動ローラ171の回転により、図1において矢印A方向へ回動される。
一方、画像形成装置100の下部には、記録媒体としての印字用紙などの記録紙Pが収納された給紙カセット180が設けられている。記録紙Pは、給紙ローラ181により給紙カセット180から1枚ずつ所定のシート経路に送り出される。
前記シート経路に送り出された記録紙Pは、従動ローラ172に懸架された中間転写ベルト170の外周面と中間転写ベルト170の外周面に接触する二次転写ローラ190とで形成される転写ニップ部を通過する際に、中間転写ベルト170上に形成されたフルカラー画像(未定着画像)が二次転写ローラ190により一括転写される。
記録紙Pに一括転写された未定着のフルカラー画像は、図2に詳述する定着装置200の定着ローラ210及び加熱ローラ220に懸架された定着ベルト230の外周面と定着ベルト230の外周面に接触する加圧ローラ240とで形成される定着ニップ部Nを通過することにより、記録紙Pに加熱定着される。
なお、画像形成装置100には、その筐体の一部を成す開閉自在のドア101が設けられており、このドア101の開閉により、定着装置200の交換やメンテナンス及び前記用紙搬送路に詰まった記録紙Pのジャム処理などを行なうことができる。
次に、図2を参照して画像形成装置100に搭載されている本実施の形態1に係る定着装置200について説明する。
本実施の形態1に係る定着装置200は、電磁誘導加熱(IH;Induction Heating)方式の定着装置であって、図2に示すように、定着ローラ210、発熱体としての加熱ロ
ーラ220、発熱体としての定着ベルト230、加圧ローラ240、加熱手段としての誘導加熱装置250、シート分離ガイド板としてのセパレータ260及びシート搬送経路形成部材としてのシートガイド板281,282,283,284などを備えている。
この定着装置200は、誘導加熱装置250により生成した磁界の作用によって加熱ローラ220及び定着ベルト230を加熱し、シートガイド板281,282,283,284に沿って搬送される記録紙P上の未定着画像を、加熱された定着ベルト230と加圧ローラ240との定着ニップ部Nで加熱定着するものである。
なお、本発明に係る定着装置は、定着ベルト230を使用せず、定着ローラ210が加熱ローラ220を兼ねた構成とし、この定着ローラ210により記録紙P上の未定着画像を直接加熱定着するように構成したものであってもよい。また、前記加熱手段としては、ハロゲンランプなどを熱源とするものであってもよいことはいうまでもない。
図2において、発熱体としての加熱ローラ220は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル又はこれら金属の合金等の中空円筒状の磁性金属部材からなる回転体で構成され、図示しない支持側板に固定されたベアリングにより、その両端が回転可能に支持されており、図示しない駆動手段によって回転駆動される。また、加熱ローラ220は、外径が20mm、肉厚が0.3mmの低熱容量で昇温の速い構成となっており、そのキュリー点が300℃以上となるように調整されている。
定着ローラ210は、例えばステンレススチール等の金属製の芯金を、ソリッド状又は発泡状の耐熱性を有するシリコーンゴムからなる弾性部材で被覆して構成されており、その外径が30mm程度あり加熱ローラ220の外径よりも大きく形成されている。前記弾性部材は、その肉厚を3〜8mm程度、硬度を15〜50°(Asker硬度:JIS A の硬度では6〜25°)程度としている。
また、定着ローラ210には、加圧ローラ240が圧接している。この定着ローラ210と加圧ローラ240との圧接により、その圧接部に所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
定着ベルト230は、加熱ローラ220と定着ローラ210とに懸架された耐熱性ベルトで構成されている。この定着ベルト230は、後述する誘導加熱装置250により加熱ローラ220が誘導加熱されることで、この加熱ローラ220との接触部位で加熱ローラ220の熱が伝導され、その回転によってベルト全周に亘って加熱される。
このように構成した定着装置200は、加熱ローラ220の熱容量が定着ローラ210の熱容量よりも小さくなるので、加熱ローラ220が急速に加熱されるようになり、その加熱定着開始時におけるウォームアップ時間が短縮される。
また、定着ベルト230は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の磁性を有する金属又はそれらを基材とする合金を基材とした発熱層と、この発熱層の表面を被覆するようにして設けられたシリコーンゴム又はフッ素ゴム等の弾性部材からなる弾性層と、PTFE、PFY、FEP、シリコーンゴム又はフッ素ゴム等の離型性の良好な樹脂あるいはゴムを単独もしくは混合して形成された離型層とを備えた多層構造の耐熱性ベルトで構成されている。
この定着ベルト230は、仮に、定着ベルト230と加熱ローラ220との間に何らかの原因で異物が混入してギャップが生じたとしても、その発熱層を誘導加熱装置250により誘導加熱して定着ベルト自体を発熱させることができる。このように、この定着ベル
ト230は、それ自体を誘導加熱装置250により直接加熱でき、その発熱効率が良くなり、またレスポンスが速くなるので、温度ムラが少なく加熱定着手段としての信頼性が高くなる。
加圧ローラ240は、例えば、銅又はアルミ等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金の表面に、耐熱性及びトナー離型性の高い弾性部材を設けて構成されている。前記芯金としては、上記金属以外にSUSを使用してもよい。
この加圧ローラ240は、前述したように、定着ベルト230を介して定着ローラ210に圧接することにより、記録紙Pを挟持搬送する定着ニップ部Nを形成している。ここで、本実施の形態1に係る定着装置200においては、加圧ローラ240の硬度を定着ローラ210の硬度よりも硬くし、加圧ローラ240の周面が定着ベルト230を介して定着ローラ210の周面に食い込むようにして定着ニップ部Nを形成している。
このため、この加圧ローラ240は、その外径は定着ローラ210と同じ30mm程度であるが、その肉圧が2〜5mm程度と定着ローラ210よりも薄く、その硬度も20〜60°(Asker硬度:JIS A の硬度では6〜25°)程度と定着ローラ210よりも硬く構成されている。
このような構成の定着装置200においては、記録紙Pが加圧ローラ240の周面の表面形状に沿うように定着ニップ部Nにより挟持搬送されるので、記録紙Pの加熱定着面が定着ベルト230の表面から離れやすくなるという効果がある。
なお、定着ニップ部Nの入口側近傍の定着ベルト230の内周面には、サーミスタなどの熱応答性の高い感温素子からなる温度検出器270が当接配置されている。この定着装置200においては、温度検出器270が検知した定着ベルト230の内周面の温度に基づいて、定着ベルト230の表面温度、つまり前記未定着画像の加熱定着温度が所定の温度に維持されるように、誘導加熱装置250による加熱ローラ220及び定着ベルト230の加熱温度を制御している。
次に、誘導加熱装置250の構成について説明する。誘導加熱装置250は、図2に示すように、定着ベルト230を介して加熱ローラ220に外周面に対向するように配置されている。誘導加熱装置250には、加熱ローラ220を覆うように湾曲形成された難燃性の樹脂からなるコイルガイド部材としての支持フレーム251が設けられている。
支持フレーム251の中心部には、サーモスタット252が、その温度検知部分を支持フレーム251から加熱ローラ220及び定着ベルト230に向けて一部表出させるようにして配設されている。このサーモスタット252は、加熱ローラ220及び定着ベルト230の温度を検知し、加熱ローラ220及び定着ベルト230の温度が異常高温度になったことを検知したときに、支持フレーム251の外周面に巻回された磁界発生手段としての励磁コイル253と図示しないインバータ回路との接続を強制遮断する。
励磁コイル253は、表面が絶縁された長い一本の励磁コイル線材を支持フレーム251に沿って加熱ローラ220の軸方向に交互に巻き付けて構成されている。この励磁コイル253の巻回部分の長さは、定着ベルト230と加熱ローラ220とが接する領域と略同じ長さになるように設定されている。
励磁コイル253は、図示しないインバータ回路に接続され、10kHz〜1MHz(好ましくは20kHz〜800kHz)の高周波交流電流が給電されることにより交番磁界を発生する。この交番磁界は、加熱ローラ220と定着ベルト230との接触領域及び
その近傍部において加熱ローラ220及び定着ベルト230の発熱層に作用する。そして、この交番磁界の作用により、これらの発熱層の内部に前記交番磁界の変化を妨げる方向の渦電流が流れる。
この渦電流は、加熱ローラ220及び定着ベルト230の発熱層の抵抗に応じたジュール熱を発生させ、主として加熱ローラ220と定着ベルト230との接触領域及びその近傍部において加熱ローラ220及び定着ベルト230を電磁誘導加熱する。
一方、支持フレーム251には、励磁コイル253を囲むようにして、アーチコア254及びサイドコア255が設けられている。これらのアーチコア254及びサイドコア255は、励磁コイル253のインダクタンスを増大させ、励磁コイル253と加熱ローラ220との電磁結合を良好にする。従って、この定着装置200においては、アーチコア254及びサイドコア255の作用により、同じコイル電流でも多くの電力を加熱ローラ220へ投入することが可能となり、そのウォームアップ時間を短縮することができる。
また、支持フレーム251には、誘導加熱装置250の内部のアーチコア254及びサーモスタット252を覆うように屋根型に形成された樹脂製のハウジング256が取り付けられている。このハウジング256には、複数の放熱孔が形成されており、支持フレーム251、励磁コイル253及びアーチコア254等から発生した熱が外部に放出されるようになっている。なお、ハウジング256は、例えばアルミなどの樹脂以外の素材で形成されたものであってもよい。
また、支持フレーム251には、ハウジング256に形成された放熱孔を塞がないようにハウジング256の外面を覆うショートリング257が取り付けられている。このショートリング257は、アーチコア254の背面に位置しており、アーチコア254の背面から外部に漏れ出るわずかな漏れ磁束を打ち消す方向に渦電流が発生することで、前記漏れ磁束の磁界を打ち消す方向に磁界が発生して前記漏れ磁束による不要な輻射を防止する働きをしている。
さらに、定着ローラ210の回転軸に対して同軸状にロータリーエンコーダ290が取り付けられている。ロータリーエンコーダ290の回転羽を挟むように発光部と受光部とを配置したフォトインタラプタ291が設置されている。ロータリーエンコーダ290は、定着ローラ210の回転軸と同軸状に取り付けられているため、定着ローラ210と一体的に回転する。ロータリーエンコーダ290の回転時に回転羽が発光部から受光部に入射する光線を遮るたびにフォトインタラプタ291の出力信号レベルが立ち上がる矩形波状の位相信号となる。すなわち、フォトインタラプタ291はロータリーエンコーダ290の回転速度に対応した周期の位相信号を出力し、ロータリーエンコーダ290の回転が停止した場合はフラットな信号波形となる。
次に、誘導加熱装置250の動作を制御する部分の電気的な構成について説明する。図3は、誘導加熱装置250の動作を制御するIH電源300及び画像形成装置の本体装置400であって定着装置200に関連する部分について示す機能ブロック図である。
IH電源300は、商用交流電源302をフィルタ303経由で整流回路304に接続して交流を直流に変換する。整流回路304の直流側をインバータ回路305に接続し、インバータ回路305から誘導加熱装置250に高周波交流電流を給電する。
一方、ロータリーエンコーダ290及びフォトインタラプタ291で構成する回転信号発生手段301から出力する位相信号を回転検知回路306に取り込む。回転検知回路306の出力する回転検知信号を発振停止回路307に入力し、定着ローラ210(定着ベ
ルト230)の回転停止又は回転速度が所定値以下の状態を検知したときにインバータ回路305の発振を強制的に停止させる。また、回転検知回路306の出力する回転検知信号は本体装置400のCPU401へも入力している。
また、後述する自己診断のために商用交流電源302から整流回路304に供給される電圧値及び電流値を検出する検出回路308を備える。検出回路308の出力する検出信号は、A/Dコンバータ309でデジタル信号に変換した後、本体装置400のCPU401へ入力している。
本体装置400のCPU401は、電源の投入時や待機中の一定周期毎に、定着ローラ210が停止又は所定回転数以下ならば加熱されないことを自己診断する。また、本体装置400の駆動手段402は、CPU401から駆動要求を受けて加圧ローラ240を回転駆動する働きをする。
図4はIH電源300の回路構成を示す図である。
商用交流電源302に対して物理的に接続されるインレット325とフィルタ303との間に電源スイッチ326を設けている。電源スイッチ326をONすることにより商用交流電源302から整流回路304に交流電流が流れる。インバータ回路305は、コンデンサ327を励磁コイル253に対して並列接続し、コンデンサ327の一方の電極を他のコンデンサ328を介してアース接続し、コンデンサ327の他方の電極をIGBTからなるスイッチング素子329を順方向に介してアース接続している。そして、励磁コイル253の両端に対して整流回路304の直流側端子を接続し、スイッチング素子329をON/OFFすることにより励磁コイル253に対して高周波交流電流を給電することができるように構成している。なお、整流回路304の正極側端子と励磁コイル253との間にサーモスタット330を直列に介挿している。
スイッチング素子329はIGBT駆動回路331によりゲート電極をON/OFF駆動される。IGBT駆動回路331はPWM回路332から供給される矩形波のPWM信号をスイッチング素子329へ伝達することによりON/OFF駆動の周期(ON期間の幅及びOFF期間の幅)を制御する。IGBT駆動回路331の出力がハイレベル期間は、スイッチング素子329がONして励磁コイル253に電流が流れる。また、ローレベル期間はスイッチング素子329がOFFして励磁コイル253に流れるコイル電流が急激に低下する。PWM回路332は、CPU401から供給されるON/OFF信号がON時はパルスからなるPWM信号を出力し、OFF時はパルス出力を停止する。CPU401から供給されるパワー信号のレベルが大の時はPWM信号のハイレベル期間を長くし、逆にパワー信号のレベルが小の時はPWM信号のハイレベル期間を短くする。PWM信号のハイレベル期間の長さを可変させることによって励磁コイル253に流れるコイル電流の大きさを可変させることができ、発生する磁界の強さを可変させることができるので加熱ローラ220や定着ベルト230の発熱量を可変できる。
発振停止回路307は、第1トランジスタ334及び第2トランジスタ335で構成されている。+Vcc−アース間に、第1トランジスタ334、IGBT駆動回路331、第2トランジスタ335を直列接続し、第1トランジスタ334のコレクタ側を+Vcc電位に保持し、第2トランジスタ335のエミッタ側をアース電位に接続する。そして、IGBT駆動回路331が第1トランジスタ334を介して印加される電圧Vccを利用してスイッチング素子329のドライブパルスを生成するように構成する。一方、第1トランジスタ334のベースには回転検知回路306の出力信号を印加し、第2トランジスタ335のベースには回転検知回路306の出力信号を反転回路336で反転して印加する。これにより、回転検知回路306の出力信号がアクティブの間(定着ローラ210が
定常回転している間)は、第1トランジスタ334のベースが導通状態となり、第2トランジスタ335のベースが非導通状態となるので、IGBT駆動回路331に動作電圧Vccが印加する。逆に、回転検知回路306の出力信号がノンアクティブの間(定着ローラ210が停止又は所定速度以下の間)は、第1トランジスタ334のベースが非導通状態となり、第2トランジスタ335のベースが導通状態となるので、IGBT駆動回路331に動作電圧Vccは印加しなくなると共にPWM回路332の出力するPWM信号も入力しなくなるように構成している。
図5は回転検知回路306の具体的な構成を示す図である。なお、説明の便宜上、回転検知回路306の前後に接続される部分の構成も図示している。回転検知回路306は、フォトインタラプタ291からの位相信号をエッジ抽出回路340に入力する。フォトインタラプタ291からの位相信号は、前述したようにロータリーエンコーダ290が回転している間は矩形波状の信号波形となり、ロータリーエンコーダ290の回転が停止している間はローレベル又はハイレベルが維持したフラットな信号波形となる。ロータリーエンコーダ290の回転速度が低下するのに応じて位相信号の周期は大きな値となる。エッジ抽出回路340は、フォトインタラプタ291から出力される位相信号のエッジ(立ち下がり部分又は立ち上がり部分)を検出し、エッジ間隔計数回路341はエッジ抽出回路340が検出するエッジ間隔、すなわち位相信号の周期を計数する。具体的には、前回のエッジが検出されてから次のエッジが検出されるまでのクロック数をカウントする。エッジ間隔(周期)を示すカウント値は比較回路342へ入力する。一方、規定時間データ格納部343には定着ローラ210の任意の回転速度に相当する数値を格納しておく。本例では、定着ローラ210の回転速度が加熱抑制すべき値の時にフォトインタラプタ291から出力される位相信号の周期に相当する数値を格納している。比較回路342は、エッジ間隔計数回路341の出力するカウント値と規定時間データ格納部343に格納されている数値とを比較し、カウント値が格納値を超えている間はノンアクティブとし、カウント値が格納値未満の間はアクティブとなる駆動信号を出力する。駆動信号はトランジスタからなるドライバ344のベースに印加する。ドライバ344は、駆動信号がノンアクティブな期間(カウント値が格納値を超えている間)はローレベルとし、駆動信号がアクティブな期間(カウント値が格納値未満の間)はハイレベルとなる回転検知信号を生成する。なお、ここで示した回転検知回路306はデジタル回路で構成されているが、同様の機能をアナログ回路を使用して実現してもよい。
次に、以上のように構成された定着装置200の動作について説明する。
装置本体400のCPU401から駆動手段402に対して定着ローラ210の回転指令が与えられる。駆動手段402は、図示していない駆動系を制御して加圧ローラ240を正転させる。加圧ローラ240に圧接している定着ローラ210は連れ回りする。定着ローラ210と加熱ローラ220とが定着ベルト230を介して同期して回転する。
このとき、定着ローラ210の回転軸に対して取り付けられたロータリーエンコーダ290も同期して回転する。ロータリーエンコーダ290の回転によりフォトインタラプタ291からは定着ローラ210の回転速度に応じた周期の位相信号が出力される。回転検知回路306は定着ローラ210の回転速度が所定値に到達するまではローレベルの信号を出力し、回転速度が所定値を超えたところでハイレベルの信号に変化させる。回転検知回路306の回転検知信号がハイレベルになると、発振停止回路307の第1,第2のトランジスタ334,335がON状態となる。この結果、インバータ回路305はPWM回路332の出力信号によって発振可能な状態になる。
CPU401は、誘導加熱装置250で加熱する必要が発生すると、IH電源300のインバータ回路305に対してON/OFF信号及びパワー信号の供給を開始する。PW
M回路332は、ON/OFF信号及びパワー信号に基づいてパルス状のPWM信号を生成してIGBT駆動回路331へ供給する。IGBT駆動回路331は、PWM信号をスイッチング素子329に伝達してON/OFF制御する。この結果、誘導加熱装置250の励磁コイル253に高周波交流電流が給電される。
誘導加熱装置250は、励磁コイル253によって発生する交番磁界により加熱ローラ220及び定着ベルト230の発熱層に渦電流が流れ、主として加熱ローラ220と定着ベルト230との接触領域及びその近傍部において加熱ローラ220及び定着ベルト230を電磁誘導加熱する。
ここで定着ベルト230の昇温時(加熱開始から目標温度に到達するまでの期間)の制御について説明する。CPU401は定着ベルト230の昇温時、できるだけ目標温度に到達するまでの時間を短くするために、IH電源300に供給可能な最大限の電力を維持、供給するようにON/OFF信号及びパワー信号のレベルを制御する。すなわち、検出回路308によりIH電源300に供給される電流値および電圧値が検出され、検出信号はADコンバータ309によりCPU401へ入力される。CPU401は検出した電流値と電圧値に基づき、IH電源300に所定電力を維持、供給するようにパワー信号のレベルを制御する。このようなフィードバック制御により電力が制御される。
次に定着ベルト230の温調時(目標温度を維持する期間)の制御について説明する。
定着ベルト230は温度検出器270によって温度検出される。温度検出器270の出力する温度検出信号はCPU401へ入力される。CPU401は、PWM回路332へ出力すべきON/OFF信号及びパワー信号を当該温度検出信号に基づいて決定する。すなわち、目標温度になるようにON/OFF信号のON期間及びOFF期間やパワー信号のレベルを制御する。基本的には、このようなフィードバック制御により定着温度が制御される。
ところが、CPU401が故障したり暴走したりした場合には上記フィードバック制御が効かなくなる可能性がある。CPU401がPWM回路332に対して加熱方向の指示を出した後に制御不能になると、誘導加熱装置250が加熱し続けることとなる。特に、誘導加熱装置250が加熱動作の状態で、加圧ローラ240,定着ローラ210,加熱ローラ220の駆動系が停止すると、誘導加熱装置250により直接加熱され続けている箇所を過加熱で損傷するため、緊急に誘導加熱装置250の加熱動作を停止させる必要がある。
このような場合、本実施の形態では発振停止回路307が動作することにより、CPU401を介在せずに、インバータ回路305の発振動作を停止させて、誘導加熱装置250の加熱動作を強制的に緊急停止させる。すなわち、定着ローラ210の回転停止は、回転信号発生手段301により直接検出される。回転検知回路306は、回転信号発生手段301の検出する回転速度が所定値まで低下した時点で、回転検知信号の信号レベルをローレベルに変化させる。この結果、発振停止回路307の第1、第2トランジスタ334,335はOFF状態となり、IGBT駆動回路331への動作電圧Vcc及びPWM信号の供給を停止させる。これにより、スイッチング素子329のスイッチング動作は止まるので、インバータ回路305の発振動作が止まり、励磁コイル253に対して高周波交流電流が給電されなくなる。励磁コイル253が交番磁界を発生しなくなるので、誘導加熱も停止することとなる。
このように、回転信号発生手段301の検出する回転速度が所定値以下の場合は、CPU401を介在せずにインバータ回路305の発振動作を強制停止させるようにしたので
、CPU401が故障し又は暴走しても定着ベルトの過昇温が予測される場合にはCPU401を介在させずに加熱出力を確実に抑制することができる。
また、以上のような機能は、回転速度を検出する検出系統(回転検知回路306等)と発振停止回路307とが正常に動作して初めて達成されるものである。そこで、これらの機能を自己診断した上で誘導加熱装置250等の運転を行うようにすることが望ましい。本実施の形態1では、電源ON毎及び又はスリープ状態からの復帰毎及び又は待機中の一定周期毎に、CPU401が自己診断を行うように構成した。
図6はCPU401が行う自己診断のためのフロー図である。この自己診断は電源ON時及び又は待機時の一定期間毎に実行する。CPU401は、自己診断を開始する場合、駆動手段402に対して停止命令を出して加圧ローラ240の駆動を停止させる(S100)。加圧ローラ240の駆動を停止して定着ローラ210の回転を停止させてから、回転検知回路306の出力する回転検知信号を取り込んで定着ベルト230(定着ローラ210)が停止しているか否か判断する(S101)。回転検知信号がローレベルであれば定着ローラ210の回転速度は所定値以下になっていることになるが、ここでは定着ベルト230の回転が停止しているものとして扱う。CPU401は定着ベルト230の回転が停止していると判断した場合(S101:YES)、PWM回路332に対してON/OFF信号及びパワー信号を送出することでインバータ回路305に加熱出力を指示する(S102)。すなわち、定着ベルト230を加熱しない条件が成立している時に加熱指示を与える。
ここで、回転検知回路306及び発振停止回路307が正常に動作していれば、IGBT駆動回路331に対して動作電圧Vcc及びPWM信号が入力されない状態になっているはずである。したがって、インバータ回路305は発振動作を停止しているために整流回路304からインバータ回路305に流入する電流値は規定値以下となる。
CPU401は、検出回路308から検出信号を取り込み(S103)、検出信号が示している電流値が規定値以下か否か判断する(S104)。電流値が規定値以下であれば(S104:YES)、回転検知回路306及び発振停止回路307が正常に動作していることを意味する。したがって、この場合、CPU401は自己診断の結果正常であると判断して、PWM回路332に出力しているON/OFF信号及びパワー信号の送出を停止する(S105)。
一方、電流値が規定値よりも大きかった場合(S104:NO)、発振停止回路307が正常に動作せずにインバータ回路305の発振動作が停止していないことを意味する。この場合、CPU401は直ちにPWM回路332に出力しているON/OFF信号及びパワー信号の送出を停止して加熱を停止し(S106)、エラー通知の処理を実行する(S107)。例えば、故障が発生していることを示すメッセージを図示していない操作パネルに表示する。そして、CPU401は以後の印字動作(加熱動作)は行わないように制御する(S108)。又は警報音声を発する。
なお、CPU401はステップS101の処理で回転検知信号が定着ベルト230の停止を示していないと判断した場合(S101:NO)、加圧ローラ240等の回転を停止しているにも拘わらず、回転検知回路306が回転を検知していることとなるので、回転検知回路306又は回転信号発生手段301に故障が発生していることになる。この場合も、CPU401はエラー通知を行い(S107)、以後の印字動作(加熱動作)は行わないように制御する(S108)。
このように、CPU401が故障してもインバータ回路305の発振動作を確実に停止
させる発振停止回路307及び回転検知回路306の診断を行うことにより、定着装置200の信頼性をさらに高くすることができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる定着装置について説明する。本実施の形態2は、IH電源に電源側CPUを搭載して回転検知回路及び発振停止回路の機能を電源側CPUにて実現するというものである。なお、本定着装置が適用される画像形成装置は、前述した図1、図2に示すものであって良いし、他の方式のものでもよい。
図7は誘導加熱装置250の動作を制御するIH電源500及び画像形成装置の本体装置400であって定着装置200に関連する部分について示す機能ブロック図である。なお、前述した実施の形態1の各部と同一機能を有する部分には同一符号を付している。
IH電源500は、回転検知回路306及び発振停止回路307を電源側CPU501に置き換えた以外は基本的に前述のIH電源300と同一の構成であるが、制御方法は若干異なり、本体装置側のCPU401は昇温時及び温調時に所望の電力をパワー信号1により電源側CPU501に指示し、電源側CPU501はCPU401から指示された電力になるようにパワー信号2をインバータ回路305へ送る。すなわち電源側CPU501は、本体装置400のCPU401から与えられるON/OFF信号1及びパワー信号1に基づきON/OFF信号2及びパワー信号2としてインバータ回路305に入力する。また、電源側CPU501は、本体装置400のCPU401とシリアル通信によりデータ交換可能に構成されていて、検出回路308の出力する検出信号を内蔵するA/Dコンバータ502でデジタル信号に変換してCPU401へシリアル通信する。さらに、電源側CPU501は、回転信号発生手段301の出力信号を取り込み、定着ローラ210(定着ベルト230)の回転速度の判定を行い、インバータ回路305の発振を停止すべき値の場合(所定値以下の場合)はCPU401からのON/OFF信号1及びパワー信号1の如何に拘わらずON/OFF信号2及びパワー信号2の出力を停止させる。これにより、定着ローラ210(定着ベルト230)の回転速度が所定値以下の場合は、CPU401の指示から独立してインバータ回路305の発振を停止させるように作用する。
このように、CPU401からのON/OFF信号1及びパワー信号1を、IH電源500側に搭載した電源側CPU501で中継しインバータ回路305に供給して発振動作を制御するので、回転信号発生手段301の出力信号から検知される定着ローラ210(定着ベルト230)の回転速度が所定値以下の場合は、CPU401がON/OFF信号1及びパワー信号1を出力していても、ON/OFF信号2及びパワー信号2の出力を中止してインバータ回路305の発振を停止させるものとしたので、CPU401が故障してもインバータ回路305の発振動作を確実に停止させることができ、加熱出力を確実に抑制することができる。
以上のような機能は、回転速度を検出する検出系統と電源側CPU501とが正常に動作して初めて達成されるものである。そこで、これらの機能を自己診断した上で誘導加熱装置250等の運転を行うようにすることが望ましい。本実施の形態では、電源ON毎及び又はスリープ状態からの復帰毎及び又は待機中の一定周期毎に、CPU401が自己診断を行うように構成した。
図8はCPU401が行う自己診断のためのフロー図である。この自己診断は電源ON時及び又は待機時の一定期間毎に実行する。CPU401は、自己診断を開始する場合、駆動手段402に対して停止命令を出して加圧ローラ240の駆動を停止させる(S200)。加圧ローラ240の駆動を停止して定着ローラ210の回転を停止させてから、電源側CPU501に定着ベルト230の回転状態情報を要求し、電源側CPU501から
定着ローラ210(定着ベルト230)の回転速度を取得する(S201)。CPU401と電源側CPU501間での回転状態情報の要求及び回転速度の応答はシリアル通信にて行う。
CPU401は、回転速度データから定着ベルト230の停止を検知すると(S202:YES)、電源側CPU501に対して加熱出力のためのON/OFF信号1及びパワー信号1を出力する(S203)。電源側CPU501は、ON/OFF信号1及びパワー信号1を受けても定着ローラ210の回転速度が所定値以下であるので、インバータ回路305に対してON/OFF信号2及びパワー信号2を与えない。すなわち、インバータ回路305を発振動作しないように制御する。
一方、CPU401はIH電源500の検出回路308から検出信号(電流値)を取得する(S204)。電流値の取得は電源側CPU501を介してシリアル通信にて行う。CPU401は整流回路304に供給される電流値と規定値とを比較する(S205)。現在、定着ベルト230は停止状態であるので、電源側CPU501が正常に動作していればインバータ回路305を発振動作しないように制御しているはずなので、整流回路304に供給される電流値は規定値以下になっているはずである。よって、CPU401は電流値が規定値以下であれば(S205:YES)、電源側CPU501は正常に動作していると判断して加熱停止の処理を実行する(S206)。具体的には、CPU401は電源側CPU501に出力していたON/OFF信号1及びパワー信号1を停止させて通常状態に戻る。
しかし、電流値が規定値を超えていれば(S205:NO)、電源側CPU501は正常に動作していないと判断できる。この場合、CPU401は加熱停止の処理を実行した後(S207)、エラー通知の処理を実行する(S208)。例えば、故障が発生していることを示すメッセージを図示していない操作パネルに表示する。そして、以後の印字動作(加熱動作)は行わないように制御する(S209)。
なお、CPU401はステップS202の処理で定着ベルト230の停止を示していないと判断した場合(S202:NO)、加圧ローラ240等の回転を停止しているにも拘わらず、電源側CPU501が定着ベルト230の回転を検知していることとなるので電源側CPU501又は回転信号発生手段301に故障が発生していることになる。この場合も、CPU401はエラー通知を行い(S208)、以後の印字動作(加熱動作)は行わないように制御する(S209)。
このように、CPU401が電源側CPU501の診断を行うことにより、電源側CPU501の故障を事前に発見できると共に、電源側CPU501が正常であることを確認しながらIH電源500を運転でき、定着装置200の信頼性をさらに高くすることができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる定着装置について説明する。本実施の形態3は、IH電源に電力抑制回路を搭載して、定着ベルトのベルト停止又はしきい値以下での回転状態を設定する保温モードを有する定着装置に対して投入電力が規定電力以下に抑制されていることを自己診断する機能を本体装置のCPUにて実現するというものである。なお、本定着装置が適用される画像形成装置は、前述した図1、図2に示すものであって良いし、他の方式のものでもよい。
図9は誘導加熱装置250の動作を制御するIH電源600及び画像形成装置の本体装置400であって定着装置200に関連する部分について示す機能ブロック図である。な
お、前述した実施の形態1の各部と同一機能を有する部分には同一符号を付している。
IH電源600は、発振停止回路307を電力抑制回路601に置き換えた以外は基本的に前述のIH電源300と同一の構成であるが、制御方法は若干異なり、本体装置側のCPU401は定着装置200が保温モードにある場合、電源ON毎や待機中の一定周期毎の定着ベルト230が停止又はしきい値以下の回転の時に、所定の電力を投入するパワー信号を電力抑制回路601に与えて、投入電力が規定電力以下に抑制されていることを自己診断する。また、電力抑制回路601は、定着着装置200が前記保温モード以外の定着ベルト230の回転時はCPU401からのパワー信号に基づいたレベルの動作電圧をインバータ回路305内のPWM回路332に出力する。さらに、電力抑制回路601は、定着着装置200が前記保温モードで定着ベルト230の回転が停止又はしきい値以下の回転の時は、CPU401からのパワー信号が規定レベル以下であれば、そのパワー信号に基づいてレベルの動作電圧をインバータ回路305内のPWM回路332に出力し、パワー信号が規定レベル以上の時は規定レベルの動作電圧をインバータ回路305内のPWM回路332に出力する。これにより、定着装置200が保温モードで定着ローラ210(定着ベルト230)の回転速度が停止又はしきい値以下の場合は、CPU401の指示から独立してインバータ回路305の発振を抑制させるように作用する。
このように、定着着装置200が保温モードにある場合に、CPU401からのパワー信号を、IH電源600側に搭載した電力抑制回路601で抑制しインバータ回路305に供給して発振動作を制御するので、回転信号発生手段301の出力信号から検知される定着ローラ210(定着ベルト230)の回転速度が停止又はしきい値以下の場合は、CPU401が規定レベル以上のパワー信号を出力していても、動作電圧の出力を規定レベルに抑制してインバータ回路305の発振を抑制させるものとしたので、CPU401が故障してもインバータ回路305の発振動作を確実に抑制させることができ、加熱出力を確実に抑制することができる。
以上のような機能は、回転速度を検出する検出系統と電力抑制回路601とが正常に動作して初めて達成されるものである。そこで、これらの機能を自己診断した上で誘導加熱装置250等の運転を行うようにすることが望ましい。本実施の形態では、定着着装置200が保温モードにある場合に、電源ON毎及び又は待機中の一定周期毎に、CPU401が自己診断を行うように構成した。
図10はCPU401が行う自己診断のためのフロー図である。この自己診断は定着着装置200が保温モードにある場合、電源ON時及び又は待機時の一定期間毎に実行する。CPU401は、自己診断を開始する場合、駆動手段402に対して停止命令を出して加圧ローラ240の駆動を停止させる(S300)。加圧ローラ240の駆動を停止して定着ローラ210の回転を停止させてから、回転検知回路306の出力する回転検知信号を取り込んで定着ベルト230(定着ローラ210)が停止しているか否か判断する(S301)。回転検知信号がローレベルであれば定着ローラ210の回転速度は所定値以下になっていることになるが、ここでは定着ベルト230の回転が停止しているものとして扱う。CPU401は定着ベルト230の回転が停止していると判断した場合(S301:YES)、PWM回路332に対してON/OFF信号を送出し、電力抑制回路601に対して所定の電力を投入するパワー信号を送出することでインバータ回路305に加熱出力を指示する(S302)。すなわち、定着ベルト230を加熱しない条件が成立している時に加熱指示を与える。
CPU401は、検出回路308から検出信号を取り込み(S303)、検出信号が示している電流値及び電圧値を乗算(電流値×電圧値)した電力値が規定値以下か否か判断する(S304)。電力値が規定値以下であれば(S304:YES)、回転検知回路3
06及び電力抑制回路601が正常に動作していることを意味する。したがって、この場合、CPU401は自己診断の結果正常であると判断して、PWM回路332及び電力抑制回路601に出力しているON/OFF信号及びパワー信号の送出を停止する(S305)。
一方、電力値が規定値よりも大きかった場合(S304:NO)、電力抑制回路601が正常に動作せずにインバータ回路305の発振動作が抑制されていないことを意味する。この場合、CPU401は直ちにPWM回路332に出力しているON/OFF信号及び電力抑制回路601に出力しているパワー信号の送出を停止して加熱を停止し(S306)、エラー通知の処理を実行する(S307)。例えば、故障が発生していることを示すメッセージを図示していない操作パネルに表示する。そして、CPU401は以後の印字動作(加熱動作)は行わないように制御する(S308)。又は警報音声を発する。
なお、CPU401はステップS301の処理で回転検知信号が定着ベルト230の停止を示していないと判断した場合(S301:NO)、加圧ローラ240等の回転を停止しているにも拘わらず、回転検知回路306が回転を検知していることとなるので、回転検知回路306又は回転信号発生手段301に故障が発生していることになる。この場合も、CPU401はエラー通知を行い(S307)、以後の印字動作(加熱動作)は行わないように制御する(S308)。
このように、定着着装置200が保温モードにある場合に、CPU401が電力抑制回路601の診断を行うことにより、電力抑制回路601の故障を事前に発見できると共に、電力抑制回路601が正常であることを確認しながらIH電源600を運転でき、定着装置200の信頼性をさらに高くすることができる。
なお、本実施の形態では、電力抑制回路をIH電源側に搭載した場合を示したが、本体装置側に搭載するようにしてもよい。また、IH電源側に本体装置とは別の電源側プロセッサを搭載して電力抑制回路と同じ動作をさせるようにしてもよい。
本発明の定着装置の第1の態様は、記録媒体上の未定着画像を加熱定着する回転加熱体と、前記回転加熱体を加熱する加熱手段と、前記加熱手段に対して給電する電源と、前記回転加熱体を加熱しない条件が成立している時に加熱する指示を与えて、前記回転加熱体が加熱されないことを確認する自己診断手段と、を具備する構成を採る。
このように構成によれば、回転加熱体を加熱しない条件が成立している時に加熱する指示を与えて、前記回転加熱体が加熱されないことを確認するので、装置の安全性を確認した上で、運転することができる。
本発明の定着装置の第2の態様は、上記第1の態様に記載の定着装置において、前記電源は、前記加熱手段に対して高周波交流電流を給電するインバータ回路と、前記回転加熱体が停止又はしきい値以下の回転速度の場合、前記インバータ回路の発振を停止させる発振停止回路と、を具備する構成を採る。
この構成によれば、本体装置ではなくて、電源に発振停止回路を設置することができ、装置本体側に発振停止機能を持たせる場合に比べて、装置本体のCPUからの独立性を高める設計が可能となる。
本発明の定着装置の第3の態様は、上記第2の態様に記載の定着装置において、前記回転加熱体の回転速度に応じた位相信号を出力する信号発生手段と、プロセッサから独立して設けられ前記位相信号から前記回転加熱体の回転状態が停止又はしきい値以下の回転速
度であることを検知する回転検知手段とを具備する構成を採る。
この構成によれば、回転検知手段をプロセッサから独立して設けたので、プロセッサの信頼性に影響されることなく、加熱停止の条件が成立しているか否か判断することができ、信頼性を向上することができる。
本発明の定着装置の第4の態様は、上記第1の態様に記載の定着装置において、前記電源は、前記加熱手段に対して高周波交流電流を給電するインバータ回路と、プロセッサから供給される制御信号に従って前記インバータ回路の発振動作を制御し、前記回転加熱体が停止又はしきい値以下の回転速度の場合には前記制御信号に従わずに前記インバータ回路の発振を停止させる電源側プロセッサと、を具備する構成を採る。
この構成によれば、発振停止回路に相当する電源側プロセッサを、本体装置ではなくて、電源に設置したので、装置本体側に発振停止機能を持たせる場合に比べて、装置本体のCPUからの独立性を高める設計が可能となる。
本発明の定着装置の第5の態様は、上記第4の態様に記載の定着装置において、前記回転加熱体の回転速度に応じた位相信号を出力する信号発生手段を備え、前記電源側プロセッサが前記位相信号から前記回転加熱体の回転状態が停止又はしきい値以下の回転速度であることを検知する構成を採る。
この構成によれば、回転検知機能をプロセッサから独立して設けたので、プロセッサの信頼性に影響されることなく、加熱停止の条件が成立しているか否か判断することができ、信頼性を向上することができる。
本発明の定着装置の第6の態様は、上記第1態様に記載の定着装置において、前記自己診断手段は、電源ON毎及び又はスリープ状態からの復帰毎及び又は待機中の一定周期毎に、自己診断を実行する構成を採る。
この構成によれば、装置本体側のCPUの負荷が小さいときに自己診断することができ、CPUに大きな負荷をかけずに自己診断することができる。
本発明の定着装置の第7の態様は、上記第1の態様に記載の定着装置において、前記電源は、前記加熱手段に対して高周波交流電流を給電するインバータ回路と、プロセッサから供給される電力制御信号に従って前記インバータ回路の発振動作を制御し、前記回転加熱体が停止又はしきい値以下の回転速度の場合には前記電力制御信号に従わずに前記インバータ回路の発振を抑制させる電力抑制回路と、具備する構成を採る。
この構成によれば、電力抑制回路をプロセッサから独立して設けたので、プロセッサの信頼性に影響されることなく、加熱抑制の条件が成立しているか否か判断することができ、信頼性を向上することができる。
本発明の第8の態様は、記録媒体上に未定着画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により前記記録媒体上に形成された未定着画像を回転加熱体により加熱定着する定着装置とを備え、前記定着装置として、上記第1の態様に記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置である。
本明細書は、2004年3月3日出願の特願2004−059754に基づく。この内容はすべてここに含めておく。
本発明は、電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に適用可能な定着装置の加熱停止の条件が成立しているときに加熱を抑制する機構が正常に動作することを自己診断し、制御回路を介在させずに回転加熱部材の過昇温を確実に防止することを可能にすることである。
本発明の実施の形態1及び実施の形態2が適用される画像形成装置の全体構成図 本実施の形態1に係る図1に示す画像形成装置に備えた定着装置の側断面図 本実施の形態1に係る定着装置の機能ブロック図 本実施の形態1に係る図3に示す定着装置に備えたIH電源の回路構成図 本実施の形態1に係る図4に示すIH電源に備えた回転検知回路の回路構成図 本実施の形態1に係る定着装置の自己診断のためのフロー図 本発明の実施の形態2に係る定着装置におけるIH電源の回路構成図 本実施の形態2に係る定着装置の自己診断のためのフロー図 本発明の実施の形態3に係る定着装置におけるIH電源の回路構成図 本実施の形態3に係る定着装置の自己診断のためのフロー図

Claims (8)

  1. 記録媒体上の未定着画像を加熱定着する回転加熱体と、前記回転加熱体を加熱する加熱手段と、前記加熱手段に対して給電する電源と、前記回転加熱体を加熱しない条件が成立している時に加熱する指示を与えて、前記回転加熱体が加熱されないことを確認する自己診断手段と、を具備する定着装置。
  2. 前記電源は、前記加熱手段に対して高周波交流電流を給電するインバータ回路と、前記回転加熱体が停止又はしきい値以下の回転速度の場合、前記インバータ回路の発振を停止させる発振停止回路と、を具備する請求項1記載の定着装置。
  3. 前記回転加熱体の回転速度に応じた位相信号を出力する信号発生手段と、プロセッサから独立して設けられ前記位相信号から前記回転加熱体の回転状態が停止又はしきい値以下の回転速度であることを検知する回転検知手段とを具備する請求項2記載の定着装置。
  4. 前記電源は、前記加熱手段に対して高周波交流電流を給電するインバータ回路と、プロセッサから供給される制御信号に従って前記インバータ回路の発振動作を制御し、前記回転加熱体が停止又はしきい値以下の回転速度の場合には前記制御信号に従わずに前記インバータ回路の発振を停止させる電源側プロセッサと、を具備する請求項1記載の定着装置。
  5. 前記回転加熱体の回転速度に応じた位相信号を出力する信号発生手段を備え、前記電源側プロセッサが前記位相信号から前記回転加熱体の回転状態が停止又はしきい値以下の回転速度であることを検知することを特徴とする請求項4記載の定着装置。
  6. 前記自己診断手段は、電源ON毎及び又はスリープ状態からの復帰毎及び又は待機中の一定周期毎に、自己診断を実行することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
  7. 前記電源は、前記加熱手段に対して高周波交流電流を給電するインバータ回路と、プロセッサから供給される電力制御信号に従って前記インバータ回路の発振動作を制御し、前記回転加熱体が停止又はしきい値以下の回転速度の場合には前記電力制御信号に従わずに前記インバータ回路の発振を抑制させる電力抑制回路と、具備する請求項1記載の定着装置。
  8. 記録媒体上に未定着画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により前記記録媒体上に形成された未定着画像を回転加熱体により加熱定着する定着装置とを備え、
    前記定着装置として、請求項1記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
JP2006510654A 2004-03-03 2005-02-25 定着装置 Pending JPWO2005085960A1 (ja)

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