JPWO2005064711A1 - 電池用負極缶の製造方法、およびこの電池用負極缶を用いたマンガン乾電池 - Google Patents

電池用負極缶の製造方法、およびこの電池用負極缶を用いたマンガン乾電池 Download PDF

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Abstract

本発明は、優れた加工性および耐腐食性を有する電池用負極缶の製造方法およびこれを用いたマンガン乾電池であり、Biを添加した亜鉛合金板材を、120℃ないし210℃でプレス成形することにより、8〜25μmの平均結晶粒径を有する負極材料の電池用容器を形成する。亜鉛合金に添加するBiの量は、0.01質量%以上0.7質量%以下の範囲が好ましい。さらに、この亜鉛合金にMgを添加することにより、合金の硬度を最適な範囲に制御することができる。

Description

本発明は負極活物質材料である亜鉛に鉛を添加、使用せず、低公害である材料を用いた電池用負極缶の製造方法、およびこれを使用したマンガン乾電池を提供するものである。
従来の電池の負極活物質材料である亜鉛には、電池電解液に対して耐蝕性を付与させる目的で鉛が添加、使用されているのが一般的である。特に中性から酸性系電解液を利用した電池、たとえばマンガン乾電池においては負極亜鉛に対して0.15〜0.5質量%の鉛が添加されている。さらに円筒形マンガン乾電池においては負極亜鉛材料を板状から円筒形に100℃から260℃の温度範囲で押し出し加工して製造されるのが一般的であり、又6F22においては、薄く圧延加工した亜鉛板を、所定の形状に打ち抜いて負極亜鉛板を製造するが、その加工性を付与させる目的で鉛が添加、利用されている。つまり、負極亜鉛材料に添加されている鉛は耐蝕性および加工性を付与している。しかしながら、鉛は環境汚染物質の一つであり、鉛を添加しない負極亜鉛材料の提供が望まれており、開発が進められている。
また、有底円筒形マンガン乾電池用負極缶は、圧延後の材料を押出し衝撃法により深絞り加工されたものが用いられており、電池を過剰放電したときに起こる亜鉛缶の局部的な過剰消耗が原因で電池から漏液が起こる可能性がある。この液漏れ現象をいかに改善するかがマンガン乾電池の品質上重要となっている。一方、近年、電池用負極缶に含まれている鉛が電池とともに家庭廃棄物として廃棄されることが環境汚染上の観点から問題視されており、鉛を添加しない負極亜鉛活物質の開発が望まれている。
従来から、鉛を添加しない負極亜鉛活物質材料に耐蝕性と加工性の付与をポイントとして技術開発がされているが、その両方を十分に満足するには至っておらず、未だ電池は提供されていない。例えば、従来から耐蝕性試験、評価においてはマンガン電池用電解液に負極亜鉛板を浸した後の重量減による腐食試験が実施されている。材料の評価方法としては妥当であるが実際の電池を考慮した場合には、電池の放電反応に伴う負極亜鉛材料の消耗過程が考慮されておらず、また、電池の長期貯蔵時における正極合剤(二酸化マンガンと電解液と導電剤)からの溶出する不純物については考慮されていなかった問題があり実用化に至っていない。また加工性については材料硬度や加工後の変形、凹みについての評価が多くミクロ的に発生した材料欠陥を見出すに至っていなかった。
従来、鉛のような有害物質に着目し、鉛に代わる材料を開発した例として、亜鉛にインジウムとアルミニウムとガリウムの少なくともいずれか一方を添加した合金を負極缶として使用することが知られている(特開平6−196156号公報参照。)。この技術は負極亜鉛材料の結晶粒径と耐蝕性に着目して成されたものであり。耐蝕性についてはインジウムの最大添加で0.82mg/cmと鉛添加亜鉛材料と同等の材料が得られているが、使用した試験液には不可避的な不純物、Ni,Co,Cuが含まれるものの、実際に電池を長期間貯蔵した状態や長期の間欠放電における放電休止時に正極合剤から溶出する不純物の想定がされてないことから、実用電池向けの負極材料として、十分なものと判断することは困難であった。
また、正極活物質である二酸化マンガンに含有されるニッケル、コバルト及び銅の含有量を制限し、かつ、亜鉛からなる負極活物質材料に、ビスマスを添加して、腐食防止を行うことも知られている(特開平7−45272号公報参照。)。しかしながら、この技術によれば、負極材料のミクロ構造に関し何らの考慮を払うことなく検討された結果、負極亜鉛缶の加工過程で結晶間に生じるクラックを制御することができないといった問題があり、結果として十分な電池の長期品質信頼性を維持するには至らないといった問題があった。この原因としては、クラックが発生する部位において、正極合剤から溶出する不純物による腐食進行を十分に抑制することができず、品質の安定を図れなくなることが考えられる。さらには電池放電反応に伴う負極缶反応面の消耗過程が考慮されていなかった結果、負極缶材料に加え、防食剤の添加が必要であった。
本発明は、信頼性の高い電池用負極活物質材料、電池用負極缶、又は負極亜鉛板を用いたマンガン乾電池及びその製造方法を提供することにある。
(1)本発明の実施の形態は、実質的に鉛を含有しない亜鉛を主成分とする電池用負極活物質であって、ニッケル2.9ppm,コバルト0.4ppm,銅0.86ppmの濃度で含有する電池用電解液に、面積が10cmである前記電池用負極活物質を、45℃で66時間の間、恒温水槽内に静置した後の腐食減量が3.8mg以下であることを特徴とする電池用負極活物質材料である。
(2)又は、本発明の実施の形態は、前記電池用負極活物質が、濃度99.99%以上の亜鉛であることが好ましく、この電池用負極活物質は、亜鉛を主成分とし、これにビスマスを0.01質量%以上0.7質量%以下の割合で添加配合したものであってもよく、また、前記電池用負極活物質は、亜鉛を主成分とし、これにビスマスを0.01質量%以上0.7質量%以下、マグネシウムを0.0003質量%以上0.03質量%以下、及びジルコニウム、ストロンチウム、バリウム、インジウム、アルミニウムから選ばれた少なくとも1種の元素を0.001質量%以上0.05質量%以下添加配合したものであってもよい。
(3)又は、本発明の実施の形態は、亜鉛にビスマスを添加した負極活物質材料板材を、薄く圧延後所定形状に打ち抜いた負極亜鉛板、あるいは、120℃ないし210℃の温度で加工した負極容器を使用したことを特徴とするマンガン乾電池の製造方法である。
(4)又は、本発明の実施の形態は、亜鉛を主成分とし、これに0.01%質量%以上0.7質量%以下のビスマス、0.0003質量%以上0.03質量%以下のマグネシウム、及び0.001質量%から0.05質量%のジルコニウム、ストロンチウム、バリウム、インジウム、及びアルミニウムの内の少なくとも1種が添加された負極作用物質材料板材を更に薄く圧延し、所定の形状に打ち抜いた負極亜鉛板、あるいは100℃ないし250℃の温度で加工した負極容器を使用したことを特徴とするマンガン乾電池の製造方法である。
(5)又は、本発明の実施の形態は、亜鉛にBiを添加した板状の亜鉛合金負極材料を、120℃〜210℃の温度でプレス成形することにより、8〜25μmの平均結晶粒径を有する負極材料の電池用容器を作成することを特徴とする電池用負極缶の製造方法である。
(6)又は、本発明の実施の形態は、亜鉛にBiを添加した板状の亜鉛合金負極材料を、100℃〜250℃で薄く圧延加工し、8〜25μmの平均結晶粒径を有する負極材料の亜鉛板を作成することを特徴とする電池用負極亜鉛板の製造方法である。
(7)又は、本発明の実施の形態は、亜鉛を主成分とし、Biを添加した、実質的に鉛を添加しない電池用負極材料であって、Biの添加量が0.01質量%以上0.7質量%以下であることを特徴とする前記(5)又は(6)に記載の電池用負極缶又は負極亜鉛板の製造方法である。
(8)又は、本発明の実施の形態は、Bi以外にMgを0.0003質量%以上0.03質量%以下併用添加したことを特徴とする前記(5)、(6)又は(7)に記載の電池用負極缶又は負極亜鉛板である。
(9)又は、本発明の実施の形態は、前記(5)、(6)、(7)又は(8)に記載の負極缶又は負極亜鉛板を用いたマンガン乾電池である。
(10)又は、本発明の実施の形態は、亜鉛が98.7質量%から99.8質量%、ビスマスが0.01質量%以上0.7質量%以下、アンチモンが1ppm以下、鉛が70ppm以下、及びカドミウムが20ppm以下からなる組成の電池用負極活物質材料を用いて成形された有底円筒形の電池用負極缶であり、缶長手方向でかつ缶板の厚み方向に切断したときの切断面において該切断面で観測される粒子に対して厚み方向に引いた線上に測定した粒子投影長を粒径とした時の当該金属組織の平均粒径が8μm以上25μm以下の範囲であることを特徴とする電池用負極缶である。
(11)又は、本発明の実施の形態は、亜鉛が98.7質量%から99.8質量%、ビスマスが0.01質量%以上、0.7質量%以下、アンチモンが1ppm以下、鉛が70ppm以下、及びカドミウムが20ppm以下からなる組成の電池用負極活物質材料を用いて成形された薄い四角形の亜鉛板であり、厚み方向で切断したときの切断面において該切断面で観測される粒子に対して厚み方向に引いた線上に測定した粒子投影長を粒径とした時の当該金属組織の平均粒径が8μm以上25μm以下の範囲であることを特徴とする電池用負極板である。
(12)又は、本発明の実施の形態は、前記電池用負極活物質材料が、さらにマグネシウムを0.0003質量%から0.03質量%の範囲で含むことを特徴とする前記(10)又は(11)に記載の電池用負極缶又は電池用負極亜鉛板である。
(13)又は、本発明の実施の形態は、前記電池用亜鉛缶の缶外面から幅200μmの範囲に存在し、負極缶長手方向に対して垂直に配向している金属結晶の平均粒径(O)と、缶内面から幅200μmの範囲に存在し、缶長手方向でかつ缶板の厚み方向に切断したときの切断面において該切断面で観測される粒子に対して厚み方向に引いた線上に測定した粒子投影長を粒径とした時の当該金属組織の平均粒径(I)の比(O/I)が、1.0から1.4の範囲であることを特徴とする前記(10)、(11)又は(12)に記載の電池用負極缶である。
(14)又は、本発明の実施の形態は、亜鉛が98.7質量%以上99.8質量%以下、ビスマスが0.01質量%以上0.7質量%以下、アンチモンが1ppm以下、鉛が70ppm以下、及びカドミウムが20ppm以下からなる組成の電池用負極活物質材料を用いて成形された有底円筒形の電池用負極缶であり、缶長手方向でかつ缶板の厚み方向に切断したときの切断面において該切断面で観測される粒子に対して厚み方向に引いた線上に測定した粒子投影長を粒径とした時の当該金属組織の平均粒径が8μm以上25μm以下の範囲である電池用負極缶を用いたことを特徴とするマンガン乾電池である。
(15)又は、本発明の実施の形態は、亜鉛が98.7質量%以上99.8質量%以下、ビスマスが0.01質量%以上0.7質量%以下、アンチモンが1ppm以下、鉛が70ppm以下、及びカドミウムが20ppm以下からなる組成の電池用負極活物質材料を用いて、0.2〜0.7mmの厚さに圧延加工された電池用負極亜鉛板であり、四角形に打ち抜いた負極亜鉛板の厚み方向に切断したときの切断面において該切断面で観測される粒子に対して厚み方向に引いた線上に測定した粒子投影長を粒径とした時の当該金属組織の平均粒径が8μm以上25μm以下の範囲である電池用負極板を用いたことを特徴とする6F22積層乾電池である。
以下本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
マンガン乾電池は、亜鉛を主要成分とする負極活物質材料と、二酸化マンガンを主要成分とする正極活物質材料と、塩化亜鉛及び塩化アンモニウムを主成分とする電解液とを発電要素とする電池であり、マンガン乾電池の概略断面図である図1に示すような構造を備えている。また集電用炭素棒4周辺と封口体5の接面にアスファルト系シール剤または化学合成されたシール剤を塗布し、圧入された集電用炭素棒4と封口体5の隙間からの酸素の侵入を遮断する構造となっている。
(正極)
本実施の形態において用いるマンガン乾電池の正極は、二酸化マンガンを主成分とする正極活物質に、導電性改良材として、炭素系物質、及び電解液を添加して作製することができる。二酸化マンガンとしては、天然に産出する二酸化マンガン、化学的に処理した二酸化マンガン、及び電解により得られた電解二酸化マンガンなどを用いることができる。本実施の形態においては、市販されているマンガン乾電池用二酸化マンガンであれば、いずれも採用することができる。
また、炭素系物質としては、アセチレンブラックや黒鉛など、通常電池の導電材料として用いられているものを採用することができる。
また、電解液としては、電池用電解液として知られているものを採用することができるが、後述のマンガン乾電池の電解液と同じものを用いることが好ましい。電解液としては、電池用電解液として塩化亜鉛水溶液や塩化アンモニウム水溶液などの公知のものを採用することができる。
(負極)
マンガン乾電池の負極は、亜鉛を負極活物質の主成分とするものであり、これを缶状に成形して負極缶として用いる。又角形の積層乾電池である6F22では、薄板状に圧延し、四角形に打ち抜いて亜鉛板として用いている。
この亜鉛缶を形成する際に、亜鉛材料として延性(深絞り性)の劣る材料を用いた場合、この成形によって負極缶に大きなクラックが発生し、電池用缶としては使用できない。又6F22用亜鉛板は薄肉に圧延する際に、板の両側面にクラックが発生し、歩留りが悪化したり、使用できなくなる。従来、これを回避するために、亜鉛に鉛を添加していたが、本実施の形態においては、この鉛を使用せず、加工条件を適切に設定することによってクラックの発生を抑止しながら亜鉛缶をプレス成形及び圧延できるようにしたものである。また、これまでの亜鉛材料は、電池用電解液によって腐食しやすい性質を、鉛を添加して改良していたもので、本実施の形態は、この鉛に代わる材料として、ビスマス等の元素を用いることにより、腐食性を改善したものである。
前記の特徴を有する負極は、ビスマス添加亜鉛系合金である負極材料組成を基本とし、これに加えて腐食減量特性、製造方法、あるいは結晶組織を最適化することによって得ることができる。以下、これらの特徴を備えた負極A、負極B、もしくは負極Cの3つの形態について詳細に説明する。
(負極A)
本発明者らの検討によれば、負極材料である亜鉛系合金を用いた電池の信頼性は、亜鉛負極の腐食減量と大きく相関しており、腐食減量を実使用に近い条件で評価し、好結果を得ている負極材料は、電池の信頼性においても優れた効果を発揮することが判明した。
すなわち、この亜鉛材料として、電解液によって腐食する材料は不適切で使用に耐えないことから、その腐食に対する耐性を評価することが重要であり、特に実使用に近い条件で評価を行うことによって現実的な電池を実現することが可能となる。
そこで、本実施の形態においては、電解液に特定の物質を添加した電解液を用いることによって、亜鉛缶の腐食性を実使用に近い条件で評価することを可能とし、これによってマンガン乾電池として、最適な負極材料を決定したものである。
本実施の形態においては、この負極活物質として亜鉛を主要成分とし、これにビスマスを添加した材料を、負極活物質として用いることを特徴としている。添加するビスマスの量は、0.01質量%以上で0.7質量%以下の範囲が好ましい。添加ビスマスの量が、0.01質量%を下回った場合、耐食性の点で不都合であり、一方、ビスマスの量が上記範囲を上回った場合、添加量に比して効果が得られなくなり、材料原価の上昇を招き、放電性能の低下があり、好ましくない。
添加ビスマスの好ましい量は、正極合剤中に配合される正極活物質である二酸化マンガンの種類によって異なる。二酸化マンガンに不純物を多く含む天然二酸化マンガンを使用した場合には、ビスマスの添加量は亜鉛に対して0.10質量%以上必要であり、二酸化マンガンに不純物の極めて少ない電解二酸化マンガンを使用した場合には0.01質量%以上で何ら問題はなかった。
さらに、0.7質量%を超えて添加しても添加量に見合うだけの効果の改善が見られず不経済である。
本実施の形態においては、亜鉛に添加する元素として、上記ビスマス以外に、マグネシウム,バリウム,ストロンチウム,インジウム,ジルコニウム、アルミニウムから選ばれる中で1種類または2種類以上を併用添加することもできる。特にマグネシウムまたはジルコニウム添加は、負極亜鉛の加工性を改善することができ、好ましい。
これらの成分の添加量は、マグネシウムが0.0003質量%以上、0.03質量%以下の範囲が好ましい。負極缶又は負極亜鉛板としては、封口上の理由で、缶の硬度が必要であり、少なくとも0.0003質量%;0.03質量%以下の範囲とする。余り、多く添加すると、脆くなるので好ましくない。
また、バリウム、ストロンチウム、インジウム、ジルコニウム、及びアルミニウムの添加量は、0.001質量%以上、0.05質量%以下の範囲が好ましい。これらの成分の添加量が上記範囲を下回った場合、製缶加工時の温度を従来範囲である210℃より高くすると割れやクラックが生じる点で不都合であり、一方、これらの成分の添加量が上記範囲を上回った場合、耐腐食性を悪くする点で不都合である。
また、インジウムを0.1質量%添加した場合には従来方法の腐食試験では鉛添加負極材料に相当する耐食性を示すが、本実施の形態による不純物を外部標準添加した実用的な方法を用いた腐食試験では、鉛添加負極材料の約5倍(21mg/10cm)の腐食量であった。この結果、インジウムを0.1質量%添加した電池は実用的上において問題があり、実際の電池評価においては放電、休止を繰り返した場合、電池寿命が短く実用的でなかった。
前記負極活物質材料の平均結晶粒径は、20μm以下であることが好ましい。平均結晶粒径が上記範囲を上回った場合、不純物を含有する電解液に対する耐腐食性が低下し、腐食減量が増加することになる。
(負極Aの製造方法)
上記本実施の形態を適用することができる電池として、円筒形マンガン乾電池や角形積層乾電池の例を示したが、本実施の形態はこの構造に制限されることなく、負極活物質材料は、板状、円筒形、あるいは有底円筒形とすることもできる。
有底円筒形に利用する場合には板状の材料を押し出し成形による加工が一般的であり、押出し成形時の材料表面の温度管理が重要となることが本実施の形態の特徴の1つでもある。押出し成形時の材料表面温度が210℃超えると、材料に割れやクラックが生じる場合があり、120℃より低い温度範囲で加工した場合には、製缶後の缶寸法ばらつきが大きくなるため好ましくなく、従来の鉛添加材料を加工する場合(100℃〜260℃)よりも狭い温度範囲での管理が必要となる。しかしながら、亜鉛にマグネシウム、及びジルコニウム、ストロンチウム、バリウムからなる群から選ばれた少なくとも1種を添加した亜鉛負極を用いた場合には、押出し成形時の加工温度範囲を、従来の鉛含有亜鉛並みまで改善することが可能である。同様に、負極亜鉛板を製造するには、ローラー圧延加工が一般的であり、この場合も、同様に、120℃〜210℃の範囲で、圧延するのが好ましい。又、マグネシウム、及びジルコニウム、ストロンチウム、バリウムからなる群から選ばれた1種を添加した亜鉛負極を用いた場合は、さらなる圧延加工温度範囲は、従来の鉛含有亜鉛並みまで改善することができるのも同様である。
本実施の形態において負極缶の製造は、次のようにして行うことができる。すなわち、亜鉛合金を溶融してインゴットを作成し、これを圧延して厚さ4〜8mmの板状体とする。次いで、円盤状、或いは六角板状のようなペレットを打ち抜き、これを丸孔のダイス中に配置し、円筒形のパンチを急速に圧入することにより、その衝撃力で亜鉛ペレットは、円筒形に形成される。負極亜鉛板製造に関しては、圧延して厚さ4〜8mmの板状体を、更に、圧延して、0.3〜0.7mmの板状体迄加工した後、パンチで所定の形状に打ち抜いて、使用する場合と、事前に、片面に導電性塗料を塗布し、乾燥後、所定形状に打ち抜くことが多い。
(負極Aの耐食性試験)
以下、亜鉛負極材料の耐食性試験について説明する。
この試験は、亜鉛負極材料の板状体を切り出し、有底円筒状の電池用缶に加工し、加工された電池用缶から板状体を切り出し、これをニッケル2.9ppm,コバルト0.4ppm,銅0.86ppmの濃度で含有する電池用電解液に浸漬し、面積が10cmである前記電池負極活物質を、45℃で66時間の間、恒温水槽内に静置した後の腐食減量を測定することによって評価する。すなわち、上記腐食試験によって腐食減量が3.8mg以下であるか否かによって使用する亜鉛材料の良否を判定する。
この試験において用いる電池用電解液としては、26質量%の塩化亜鉛に1.5質量%の塩化アンモニウムを純水に溶解したものを用いる。上記添加剤としてのニッケル、コバルト、及び銅は、原子吸光法による元素分析において一般に用いられる標準液を用いるのが適切である。
本実施の形態において、電池用電解液中に存在するニッケル,コバルト,銅の量は、概ね1年間の常温保存後に天然二酸化マンガンを100%用いた正極合剤から電解液への溶出量の加速試験・評価であり、60℃恒温状態で10日間電解液中に抽出される不純物量に相当する。このときの天然二酸化マンガンと電解液の比率は約1:2である。常温による電池を1年間保存した場合とは、60℃で66時間の腐食試験に相当する。本実施の形態においては、これらの諸条件を考慮した結果、上記腐食試験の条件を決定したものである。
(負極B)
マンガン乾電池の負極は、亜鉛を負極活物質の主成分とし、これにビスマスを添加した負極材料を缶状又は板状に成形して負極容器として用いるものである。この負極材料には実質的に鉛を添加しないものであって、その負極容器を構成する材料の平均結晶粒径が、8〜25μmの範囲であることを特徴とするものである。このような負極容器は、耐腐食性に優れているため、長寿命であるという特性を有する。
この本実施の形態においては、亜鉛を負極活物質の主成分とし、ビスマスを添加した負極材料を、缶体に成形して負極容器及び負極板として用いることを特徴としている。このビスマスは、鉛を使用することなく亜鉛の耐腐食性を改善する効果を発揮する。添加するビスマスの量は、0.01質量%以上0.7質量%以下が好ましく、さらに好ましくは、0.1質量%以上で0.7質量%以下の範囲である。添加ビスマスの量が、0.01質量%以上0.1質量%未満である場合、正極活物質が電解二酸化マンガン場合では問題ないものの含有不純物の多い天然二酸化マンガンを用いた場合には耐食性が悪くなり実用的ではない。従って、正極活物質として天然二酸化マンガンを用いる場合には、添加ビスマスの量を0.1質量%以上0.7質量%以下とすることが望ましい。一方、ビスマスの量が0.7質量%を上回った場合、添加量に比して耐腐食性改善の効果が得られなくなり、材料原価の上昇を招く点で好ましくない。また併用添加されるMgは0.0003質量%以上、0.03質量%以下の範囲が好ましい。Mgの量が上記範囲を下回った場合従来と同じ硬度を出すとういう面で不都合であり、上記範囲を超えた場合には材料が硬くなりすぎて加工時の衝撃に対して脆くなり不都合である。
上記本実施の形態の負極材料は次のようにして缶体に成形される。
すなわち、亜鉛にビスマスなどの添加成分を加え、鋳造によってインゴットを作成し、さらに圧延加工して、厚さ4〜8mm程度の負極板を作製する。
次いで、この板状体から、円盤状、或いは六角板状のようなペレットを打ち抜き、これを丸孔のダイス中に配置し、材料の表面温度が120〜210℃の範囲の温度において、円筒形のパンチを急速に圧入することにより、その衝撃力で亜鉛ペレットを、円筒形の電池容器に成形する。この時の印加圧力としては製缶加工できれば特に限定されるものでなく、一般的に用いられている条件でよい。例えば厚さ6mm,外形31mmのペレットを深絞りするのに100tあれば充分である。又、厚さ4〜8mmの板状体から、0.3〜0.7mmの薄板状に加工し、6F22用負極亜鉛板として使用する場合があるが、この薄板状に圧延加工温度も、120〜210℃の範囲が良い。
こうして成形した負極容器は、これを構成する負極缶の金属組織の平均粒径が、8〜25μmとなり、成形時のクラックも少なく耐腐食性に優れた負極缶となる。又、薄体状6F22用負極亜鉛板についても、その断面の金属組織の平均粒径は8〜25μmが、良好である。
(負極C)
本実施の形態のマンガン乾電池の負極は、亜鉛を負極活物質の主成分とし、これにビスマスを添加した合金材料であって、これに不可避的に含有される鉛、アンチモン、及びカドミウム量を所定の範囲以下とした材料を用いて、缶状に成形して負極缶とする。又は、薄肉板状に圧延して、負極亜鉛とする。
本実施の形態においては、この負極活物質である亜鉛に、ビスマスを添加することによって耐食性を改善している。亜鉛に添加するビスマスの量は、0.01質量%以上で0.7質量%以下の範囲が好ましい。より好ましくは、0.1質量%以上、0.7質量%以下の範囲である。添加ビスマスの量が、上記範囲を下回った場合、耐食性の点で不都合であり、一方、ビスマスの量が上記範囲を上回った場合、添加量に比して効果が得られなくなり、材料原価の上昇を招く点で好ましくない。添加ビスマスの好ましい量は、正極合剤中に配合される正極活物質である二酸化マンガンの種類によって異なり、二酸化マンガンに不純物を多く含む天然二酸化マンガンを使用した場合には、ビスマスの添加量は亜鉛に対して0.1質量%以上必要であり、二酸化マンガンに不純物の極めて少ない電解二酸化マンガンを使用した場合には0.01質量%以上でもよい。一方、ビスマスを、0.7質量%を超えて添加しても、添加量に見合うだけの効果の改善が見られず不経済となる。
また随伴不純物であるアンチモンが1ppmを越えて含有された場合に負極用活物質として高い耐食性を得ることができず、電池の耐漏液特性が悪くなる。
さらに、随伴不純物である鉛及びカドミウムの量は、鉛を70ppm以下、及びカドミウムを20ppm以下とすることが望ましい。これらの元素が上記範囲以上含まれる合金は、マンガン乾電池が大量に廃棄された場合、環境汚染を引き起こすおそれがあり、好ましくない。
本実施の形態においては、亜鉛に添加する元素として、上記ビスマス以外に、マグネシウムを併用添加することもできる。マグネシウムは、負極亜鉛の深絞り工程で加工性を良好にし、負極缶の硬度を与える材料として好ましい。配合するマグネシウムの量は、0.0003質量%以上、0.03質量%以下の範囲が好ましい。マグネシウムの添加量が上記範囲を下回った場合、従来材料と同じ硬度を出すという面で不都合である一方、マグネシウムの添加量が上記範囲を上回った場合、材料硬度が硬くなり過ぎ、加工時の衝撃に対して脆くなる点で不都合である。
前記負極活物質材料の平均結晶粒径は、負極缶の長手方向に垂直に切断したときの断面に存在する金属組織結晶の負極缶長手方向に対して垂直に配向している金属組織結晶の平均粒径が8μm以上25μm以下であることが好ましい。平均結晶粒径が上記範囲を上回った場合、不純物を含有する電解液に対する耐腐食性が低下し、腐食減量が増加することになるため好ましくない。一般に結晶の粒径は小さくなるほど、耐食性や薄肉圧延加工性、深絞り加工性に有効であることは金属材料の知識として一般に知られていることであるが、平均結晶粒径を上記範囲以下とするためには、合金材料を作成する際に急冷などの手段を採用することによって小粒径化することが考えられるが、マンガン乾電池用負極亜鉛材料の製造方法として一般的でなく、新たな設備投資が発生するなど経済的でない。また作業性が繁雑になるのみで、格別の効果の改善も見られず、材料単価の上昇を招くため経済的ではない。
なお、本実施の形態として負極材料は、結晶粒子が負極缶長手方向に対して垂直の方向に配向した粒子径を測定する。これは亜鉛缶の金属組織を観察した場合に、深絞り工程を経ることから、その金属組織結晶の多くは楕円形に近い形である。したがって、結晶の縦方向と横方向の大きさには違いがあるが、負極缶長手方向に対して垂直の方向に配向した粒子径を測定し、その値を制御することによって本実施の形態の効果を達成することが可能である。亜鉛板の場合は、厚さ方向の断面で両平坦面に垂直な方向に配向した粒子径を測定し、その値を制御することになるが、上記同様25.1μmを超える場合、十分な耐腐食性が得られず、7.8μmを下回る材料は得られなかった。
本実施の形態において、平均粒径が25.1μmを越えた場合、十分な耐腐食性が得られず、7.8μmを下回る材料は得ることができなかった。
さらに、負極缶の内側(I:セパレータに接する側)と外側(O:絶縁チューブに接する側)からそれぞれ200μmの距離範囲に構成された金属組織結晶粒の平均結晶粒形の比を小さくすることで、従来に比較し、ばらつきを小さくした電池用負極材料として安定した材料が得られる。そのO/I比は従来1.4以上であったが、本実施の形態の材料は1.1から1.4の範囲であった。このように亜鉛缶内側と外側方向における金属組織の平均結晶粒径のばらつきを小さくすることで、電池反応が進行し、亜鉛缶の消耗が進んだ場合でも、従来に比べ初期の負極亜鉛缶の状態が維持されることから改善され、放電反応に伴う亜鉛缶内面からの消耗に対して耐食性の保持が可能となる。
(負極Cの製造方法)
本実施の形態において負極缶の製造は、次のようにして行うことができる。
すなわち、随伴不純物である鉛が70ppm以下、アンチモンが1ppm以下、カドミウムが20ppm以下で純度99.5%以上の亜鉛地金を470± 50℃で溶融してビスマスを配合・攪拌し、鋳塊を作製する。この鋳塊を表面温度150±50℃で圧延し、所定の厚さまで圧延する。
次いで、円筒形マンガン乾電池においては、六角板状または丸状の亜鉛ペレットに打ち抜き、これをペレット表面温度120℃から210℃(好ましくは150±30℃)で丸孔のダイス中に配置し、円筒形のパンチを急速に圧入することにより、その衝撃力で亜鉛ペレットを有底円筒形に形成する。形成後の缶を電池缶として利用するために一定寸法になるよう裁断し、電池用負極活物質材料に加工する。ここでビスマスの他マグネシウムを併用添加した場合には、ペレット表面温度を100℃から250℃(好ましくは150℃±50℃)でも製缶することが可能となり、従来の鉛添加品とほぼ同じ作業性にまで改善できる。又、角形の6F22マンガン乾電池では、120℃〜210℃の範囲で、更に圧延加工し、0.3〜0.7mmの薄肉亜鉛板を製造し、片面に導電性塗料を塗布乾燥し、所定形状に打ち抜いて、6F22負極亜鉛板として使用する。
(電解液)
マンガン乾電池の電解液としては、塩化アンモニウムあるいは塩化亜鉛の水溶液が用いられる。また、これらは混合して用いてもよい。電解液としては、これらの化合物を純水に溶解して用いる。その濃度は、通常マンガン電池用に利用されている範囲であれば問題なく、一般に20質量%〜30質量%の塩化亜鉛溶液に1質量%〜3質量%の塩化アンモニウム溶液の混合液であればよい。この濃度範囲を逸脱した場合には、電池の耐漏液特性の悪化や放電特性の悪化を招くため好ましくない。
(セパレータ)
本実施の形態において用いられるセパレータとしては、クラフト紙のようなセパレータ用紙に、電解液を保持させるために、電解液を吸収して膨潤する糊剤を塗布して用いる。糊剤としては、天然澱粉あるいは化工澱粉、グアーガム、または合成糊剤などを用いることができる。マンガン乾電池においてセパレータは、正極と負極間に収められ、正極と負極の直接の接触を隔離するために配置する。
(電池の製造方法)
本実施の形態のマンガン乾電池は、例えば次のような方法によって製造することができるが、マンガン乾電池の製造方法はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない限り、各種の変形が可能である。
二酸化マンガンを主要成分とする正極活物質、アセチレンブラックや黒鉛のような導電剤を計量し、乾式混合する。これに電解液を噴霧し、湿潤状態として湿式混合し正極合剤粉を形成する。
前記本実施の形態の亜鉛合金を100℃ないし250℃の温度でプレス加工して有底円筒状の亜鉛缶を作成する。この亜鉛缶内壁に円筒状のセパレータ及び皿状底部絶縁紙を挿入し、その内部に成形した正極合剤を挿入する。この正極合剤上面に、合剤加圧つば紙を載置し、亜鉛缶、セパレータ、及び正極合剤が密着するように加圧する。その後、正極合剤の中心に正極集電棒となる炭素棒を加圧挿入し、正極から浸出した電解液でセパレータを湿潤させる。次いで合成樹脂性の封口板と炭素棒の接着面に封口シール剤を塗着し亜鉛缶開口部に配設後、亜鉛缶の底部に負極端子となる底板と底リングを配設する。続いて熱収縮チューブで全体を被覆する。次いで炭素棒及び樹脂製封口に当接するように正極端子板を配設後、絶縁リングを介し外装缶全体をクリンプ封口して電池を製作する。又、前記本実施の形態の亜鉛合金を100℃ないし250℃の温度で圧延加工して、0.5mm厚さの亜鉛板を作成する。これに導電性塗料を塗布乾燥し、所定の形状に打ち抜く。樹脂チューブをカップ状に成形し、上記亜鉛板を投入し、糊付きセパレーターを配置し、その上に合剤をペレット状に成形し、配置する。それを押さえながら、チューブを収縮させ、1個のセルが完成する。そのセルを6段に積み重ねて、全体をさらに収縮チューブで押さえたのち、上下端子を6段の上、下に圧着し、収縮し、集電端子から集電するように入れ、メダルジャケットに挿入し、上下クリップ封口して電池を製作する。
(実施例A)
以下、本発明に係る実施例を詳細に説明する。純度99.99質量%以上の亜鉛地金に鉛を添加せず、ビスマスまたはビスマスとストロンチウム,ビスマスとバリウム,ビスマスとマグネシウム,ビスマスとジルコニウムを所定量添加した電池用負極亜鉛材料を得た。なお、亜鉛地金には不可避的にppm単位の銅,鉄,カドミウムなどの不純物が含有される。この亜鉛材料を圧延後、板状に得られた材料から所定寸法の亜鉛ペレットを得た。亜鉛ペレットを加温しながら押出し成形し、厚さ0.35mmの有底円筒形の亜鉛缶を作製した。このとき押出し成形される材料の表面温度を測定横河電機(株)製デジタル放射温度計530 04でレーザポインタを利用して測定した。作製後の亜鉛缶の出来具合を観察し、さらに顕微鏡にて表面状態,凹みやひび割れを観察した。さらに亜鉛缶の金属組識を観察しクラックの発生有無を調査した。次に得られた亜鉛缶を用いてR20形マンガン乾電池を作製した。以下これらの電池について、負極亜鉛材料の腐食試験、及び電池による評価の各試験を行った。
(1) 負極亜鉛材料の腐食試験(耐蝕性調査)
押出し成形法で作製した亜鉛缶を10cm切り出し腐食試験用試料(厚さ0.3mm,幅10mm,長さ50mm)とし、試料表面を#400,#600,#800,#1000,#1200の紙やすりで鏡面になるまで研磨し、脱脂、秤量後に予め準備した電池用電解液に浸漬した。45℃66時間後の試料重量減を腐食減量とした。試験に使用した電解液は25質量%の塩化亜鉛と2.0質量%の塩化アンモニウムからなる通常の電池用電解液に原子吸光光度計用標準液として市販されているニッケル,コバルト,銅を一定量電解液に外部標準添加し電解液中のニッケル,コバルト,銅の濃度が2.9ppm,0.4ppm,0.86ppmになるように調整した。また電解液中に存在する溶存酸素の影響を小さくする目的でアルゴンガスを用い10分間バブリング後、試験液とした。試料数6でその平均値腐食減量値を求めた。
(2) 電池による評価
純度92%以上の電解二酸化マンガン(不純物としての銅0.0005質量%以下,鉄0.02質量%以下,鉛0.0005質量%以下)50質量部,灰分0.1質量%以下のアセチレンブラック9質量部,および酸化亜鉛をよく混合し、これにニッケル,コバルト,銅の濃度が2.9ppm,0.4ppm,0.86ppmになるように調整した電解液(これを用いた正極合剤を「正極合剤A」という)および前記不純物の10倍量にあたるニッケル,コバルト,銅の濃度が29ppm,4ppm,8.6ppmになるように調整した電解液(これを用いた正極合剤を「正極合剤B」という)、さらには不純物を外部標準添加しない電解液(これを用いた正極合剤を「正極合剤C」という)をそれぞれ49質量部加え、良く混合し3種類の均一な正極合剤を調整した。なお、この試験に使用した電解液は、26質量%の塩化亜鉛と、1.5質量%の塩化アンモニウムの混合物とした。
また、セパレータとして、電解液保持用の化工澱粉として架橋エーテル化コーンスターチ澱粉をクラフト紙に塗布したものを用意し、前述の負極亜鉛材料を用いてR20形マンガン乾電池を作製した。添付の図は作製したマンガン乾電池図であり、1は負極亜鉛缶,2はセパレータ,3は正極合剤,4は集電用炭素棒,5は封口体,6は正極端子板,7は負極端子板,8は絶縁チューブ,9は外装缶である。また4の炭素棒周辺と5の封口体の接面にアスファルト系シール剤を塗布し、圧入された4の炭素と5の封口体の隙間からの酸素の侵入を遮断した。このように作製した電池を20℃±2℃の恒温室に10日間貯蔵後さらに45℃で30日間恒温槽に貯蔵後、20℃±2℃の恒温室内で40Ω一日4時間の放電を実施し、1.1V時点での寿命性能を評価し、従来性能を100とした相対値を求めた。評価電池数は9個である。比較参照のため従来からの鉛が0.4質量%添加された負極亜鉛缶と鉛を添加せずインジウムを0.1%添加した負極亜鉛缶について同様に作製し同じ評価をした。
また鉛を添加せずインジウムを0.3%添加した負極亜鉛缶の作製を試みたが、その製作過程において、ひび・割れがひどく、評価用試料として使用できるものが得られなかった。
(実施例A1〜A15、比較例A1〜A4及び参照例A1)
ビスマス、インジウム、マグネシウム、ジルコニウム、ストロンチウム、及びバリウムを、下記表A1に示す量で配合した亜鉛を用いた負極活物質材料について、上記方法によって耐食性試験を行った。その結果を表A1に示す。
Figure 2005064711

その結果、本発明の実施例においては、腐食減量が、いずれも、3.9mg以下であり、これに対して、ビスマス等の元素を添加していない比較例A1において腐食減量が12.0mgであり、本実施例においては耐腐食性が大幅に改善されていることが明らかとなった。
(実施例A18〜A32、比較例A6〜A15、参照例A3)
亜鉛にビスマス、マグネシウム、あるいはジルコニウムを添加した材料を用いて、表A2記載の温度条件で負極缶とした。得られた負極缶の缶底厚さ、及びクラック(割れ)の発生を調べた。その結果を表A2に示す。
Figure 2005064711

表A2の結果に見られるように、本発明の実施例においては、缶底の厚さのばらつきもなく、また、クラック発生も見られず、優れた加工性を示すことが明らかとなった。
(実施例A33〜A43、比較例A16〜A17、参照例A4)
亜鉛にビスマス、インジウム、マグネシウム及びジルコニウムを下記表A3に示す量で添加した負極活物質材料の負極缶を用いて電池を作成し、前記方法により評価を行った。その結果を表A3に示す。
Figure 2005064711

表A3に示す結果から明らかなように、本実施例の電池に対して、ビスマスの添加を省略した比較例A16及びインジウムのみを亜鉛に添加した比較例A17と比べて超寿命であることが明らかとなった。また、本実施例の電池の寿命は、鉛を含有する亜鉛を用いた従来の電池と寿命において遜色がなかった。
(実施例A44〜A54、比較例A18〜A19、参照例A5)
亜鉛にビスマス、インジウム、マグネシウム、ジルコニウム、ストロンチウム及びバリウムを下記表A4に示す量で添加した負極活物質材料の負極缶を用い、正極合剤にニッケル2.9ppm、コバルト0.4ppm、及び銅0.86ppmとなるように不純物を添加して電池を作成し、上記方法により寿命を評価した。その結果を表A4に示す。
Figure 2005064711

表A4の結果から明らかなように、本実施例の電池においては、鉛添加亜鉛を用いた参考例A5と遜色のない寿命を示し、比較例よりも長寿命であった。
(実施例A55〜A61、比較例A20〜A23、参照例A6)
亜鉛にビスマス、インジウム、マグネシウム、ジルコニウム、ストロンチウム及びバリウムを下記表A4に示す量で添加した負極活物質材料の負極缶を用い、正極合剤にニッケル29ppm、コバルト4ppm、及び銅8.6ppmとなるように不純物を添加して電池を作成し、上記方法により寿命を評価した。その結果を表A5に示す。
Figure 2005064711

表A5の結果から明らかなように、本実施例の電池においては、鉛添加亜鉛を用いた参照例A6と遜色のない寿命を示し、比較例よりも長寿命であった。
(実施例A’)
また、本発明に係る実施例を詳細に説明する。純度99.99質量%以上の亜鉛地金に鉛を添加せず、ビスマスまたはビスマスとストロンチウム,ビスマスとバリウム,ビスマスとマグネシウム,ビスマスとジルコニウムを所定量添加した電池用負極亜鉛材料を得た。なお、亜鉛地金には不可避的にppm単位の銅,鉄,カドミウムなどの不純物が含有される。この亜鉛材料を圧延後、板状に得られた材料から所定寸法の亜鉛ペレットを得た。この板状に得られた材料を更に圧延して、薄肉板材を得る。以後、亜鉛板の出来ばえを観し、クラック、凹みがないか確認する。次に、得られた亜鉛板を加工し、6F22形マンガン乾電池を50個作成した。以下、これらの電池について、負極亜鉛材料の腐食試験、及び電池による評価の各試験を行った。
(1) 実施例A’の負極亜鉛材料の腐食試験(耐蝕性調査)
圧延加工で作製した0.5mm亜鉛板を10cm切り出し腐食試験用試料(厚さ0.5mm,幅10mm,長さ50mm)とし、試料表面を#400,#600,#800,#1000,#1200の紙やすりで鏡面になるまで研磨し、脱脂、秤量後に予め準備した電池用電解液に浸漬した。45℃66時間後の試料重量減を腐食減量とした。試験に使用した電解液は25質量%の塩化亜鉛と2.0質量%の塩化アンモニウムからなる通常の電池用電解液に原子吸光光度計用標準液として市販されているニッケル,コバルト,銅を一定量電解液に外部標準添加し電解液中のニッケル,コバルト,銅の濃度が2.9ppm,0.4ppm,0.86ppmになるように調整した。また電解液中に存在する溶存酸素の影響を小さくする目的でアルゴンガスを用い10分間バブリング後、試験液とした。試料数6でその平均値腐食減量値を求めた。
(2) 電池による評価
純度92%以上の電解二酸化マンガン(不純物としての銅0.0005質量%以下,鉄0.02質量%以下,鉛0.0005質量%以下)50質量部,灰分0.1質量%以下のアセチレンブラック9質量部,および酸化亜鉛をよく混合し、これにニッケル,コバルト,銅の濃度が2.9ppm,0.4ppm,0.86ppmになるように調整した電解液(これを用いた正極合剤を「正極合剤A」という)および前記不純物の10倍量にあたるニッケル,コバルト,銅の濃度が29ppm,4ppm,8.6ppmになるように調整した電解液(これを用いた正極合剤を「正極合剤B」という)、さらには不純物を外部標準添加しない電解液(これを用いた正極合剤を「正極合剤C」という)をそれぞれ49質量部加え、良く混合し3種類の均一な正極合剤を調整した。なお、この試験に使用した電解液は、26質量%の塩化亜鉛と、1.5質量%の塩化アンモニウムの混合物とした。
また、セパレータとして、電解液保持用の化工澱粉として架橋エーテル化コーンスターチ澱粉をクラフト紙に塗布したものを用意し、前述の負極亜鉛材料を用いて角形、積層6F22マンガン乾電池を作製した。添付の図2は作製した6F22の図である。このように作製した電池を20℃±2℃の恒温室に10日間貯蔵後さらに45℃で30日間恒温槽に貯蔵後、20℃±2℃の恒温室内で620Ω一日2時間の放電を実施し、6.6V時点での寿命性能を評価し、従来性能を100とした相対値を求めた。評価電池数は9個である。比較参照のため従来からの鉛が0.4質量%添加された負極亜鉛缶と鉛を添加せずインジウムを0.1%添加した負極亜鉛板について同様に作製し同じ評価をした。
また鉛を添加せずインジウムを0.3%添加した負極亜鉛板の作製を試みたが、その製作過程において、ひび・割れがひどく、評価用試料として使用できるものが得られなかった。
(実施例A62〜A76、比較例A24〜A27及び参照例A7)
ビスマス、インジウム、マグネシウム、ジルコニウム、ストロンチウム、及びバリウムを、下記表AA1に示す量で配合した亜鉛を用いた負極活物質材料について、上記方法によって耐食性試験を行った。その結果を表AA1に示す。
Figure 2005064711

その結果、本発明の実施例においては、腐食減量が、いずれも、3.9mg以下であり、これに対して、ビスマス等の元素を添加していない比較例A24において腐食減量が12.5mgであり、本実施例においては耐腐食性が大幅に改善されていることが明らかとなった。
(実施例A77〜A91、比較例A28〜A37、参照例A8)
亜鉛にビスマス、マグネシウム、あるいはジルコニウムを添加した材料を用いて、表AA2記載の温度条件で負極板とした。得られた負極板の板厚さ、及びクラック(割れ)の発生を調べた。その結果を表AA2に示す。
Figure 2005064711

表AA2の結果に見られるように、本発明の実施例においては、クラック発生も見られず、優れた加工性を示すことが明らかとなった。
(実施例A92〜A101、比較例A38〜A39、参照例A9)
亜鉛にビスマス、インジウム、マグネシウム及びジルコニウムを下記表AA3に示す量で添加した負極活物質材料の負極亜鉛板を用いて6F22電池を作成し、前記方法により評価を行った。その結果を表AA3に示す。
Figure 2005064711

表AA3に示す結果から明らかなように、本実施例の電池に対して、ビスマスの添加を省略した比較例A38及びインジウムのみを亜鉛に添加した比較例A39と比べて超寿命であることが明らかとなった。また、本実施例の電池の寿命は、鉛を含有する亜鉛を用いた従来の電池と寿命において遜色がなかった。
(実施例A102〜A112、比較例A40〜A41、参照例A10)
亜鉛にビスマス、インジウム、マグネシウム、及びジルコニウムを下記表AA4に示す量で添加した負極活物質材料の負極亜鉛板を用い、正極合剤にニッケル29ppm、コバルト4ppm、及び銅8.6ppmとなるように不純物を添加して電池を作成し、上記方法により寿命を評価した。その結果を表AA4に示す。
Figure 2005064711

表AA4の結果から明らかなように、本実施例の電池においては、鉛添加亜鉛を用いた参照例A10と遜色のない寿命を示し、比較例よりも長寿命であった。
(実施例A113〜A119、比較例A42〜A45、参照例A11)
亜鉛にビスマス、マグネシウム、ジルコニウム、ストロンチウム、及びバリウムを下記表AA5に示す量で添加した負極活物質材料の負極亜鉛板を用い、正極に、ニッケル29ppm、コバルト4ppm、及び銅8.6ppmとなるように不純物を添加して電池を作成し、上記方法により寿命を評価した。その結果を表AA5に示す。
Figure 2005064711

表AA5の結果からも明らかなように、本実施例の電池においては、鉛添加亜鉛を用いた参照例A11と遜色のない寿命を示し、比較例よりも長寿命であった。
(実施例B)
以下、本発明に係る実施例を詳細に説明する。不可避不純物を含み、純度99.99質量%の亜鉛地金に鉛を添加せず、ビスマスを所定量添加した電池用負極亜鉛材料を得た。なお、亜鉛地金には不可避的にppm単位の銅,鉄,カドミウム,鉛などの不純物が含有される。この亜鉛材料を圧延後、板状に得られた材料から所定寸法の亜鉛ペレットを得た。厚さ6mm,対角線上の長さが31mmの正六角形亜鉛ペレットを150±30℃に加温しながら100tプレス成形し、厚さ0.35mmの有底円筒形の亜鉛缶を作製した。このとき押出し成形される材料の表面温度を測定横河電機(株)製デジタル放射温度計530 04でレーザポインタを利用して測定した。作製後の亜鉛缶の出来具合を観察し、さらに顕微鏡にて表面状態,凹みやひび割れを観察した。さらに亜鉛缶の金属組識を観察し、クラックの発生有無および金属組識を調査した。次に得られた亜鉛缶を用いてR20形マンガン乾電池を作製した。以下これらの電池について、負極亜鉛材料の腐食試験、金属組識の結晶粒径の測定、及び電池による評価の各試験を行った。
(平均結晶粒径の測定方法)
以下、亜鉛負極缶の平均結晶粒径の測定方法について説明する。
亜鉛缶開口部より下向き15mmの部分の結晶組識が観察できるように亜鉛缶を切り出したものを試料とし、この部分の断面に構成されている亜鉛結晶粒の粒径を測定した。切り出された材料は、10%NaOH液による脱脂処理とアセトンによる脱脂処理をし、裁断部分が見えるようにエポキシ系接着剤(商品名:アラルダイト)で固定後、研摩し、その部分の金属組識を偏光顕微鏡で100倍に拡大し、デジタルスチルカメラで撮影した。結晶粒径の測定は画像データを基に一定線上に組識されている結晶粒径を計数しその部位における平均結晶粒径をNikon製Stage Micrometerで算出した。調査した試料数は5で、各々の試料につき10ヶ所の一定線に組識された結晶の平均粒径を求めた。また、ばらつきを計る目的で、それぞれの試料から得られた5ヶの測定結果(平均粒径)から標準誤差(Standard Error of Mean)を求めばらつきの指標とした。
(負極亜鉛缶の耐食性試験)
以下、亜鉛負極亜鉛缶材料の耐食性試験について説明する。
押出し成形法で作製した亜鉛缶を切り出し腐食試験用試料(厚さ0.3mm,幅10mm,長さ50mm)とし、試料表面及び断面を#400,#600,#800,#1000,#1200の紙やすりで鏡面になるまで研磨し、超音波洗浄器内で脱脂した。脱脂液として10質量%のNaOHを用いた脱脂処理と、アセトンを脱脂液として用いた脱脂処理とを行った。脱脂後の試料を精度0.1mgで秤量し、予め準備した電池用電解液に浸漬した。恒温水槽を用意し、45℃66時間後の試料重量減を腐食減量とした。試験に使用した電解液は25質量%の塩化亜鉛と2質量%の塩化アンモニウムからなる通常の電池用電解液に原子吸光光度計用Ni,Co,Cu標準溶液を一定量電解液に外部標準添加し電解液中のNi,Co,Cuの濃度が2.9ppm,0.4ppm,0.86ppmになるように調整した。また電解液中に存在する溶存酸素の影響を小さくする目的でアルゴンを用い10分間バブリング後、試験液とした。試料数6でその平均腐食減量値を求めた。
(3) 電池による評価
純度92%以上の電解二酸化マンガン(不純物としての銅0.0005質量%以下,鉄0.02質量%以下,鉛0.0005質量%以下)50質量部,灰分0.01質量%以下のアセチレンブラック9質量部,および酸化亜鉛をよく混合し、これにニッケル,コバルト,銅の濃度が2.9ppm,0.4ppm,0.86ppmになるように調整した電解液電解液をそれぞれ49質量部加え、良く混合し3種類の均一な正極合剤を調整した。なお、この試験に使用した電解液は、26質量%の塩化亜鉛と、1.5質量%の塩化アンモニウムの混合物としたであり、調整された正極合剤は低級な天然二酸化マンガンに含有される不純物が製造後常温で1年を経て電解液に抽出される量に相当する。
また、セパレータとして、電解液保持用の化工澱粉として架橋エーテル化コーンスターチ澱粉をクラフト紙に塗布したものを用意し、前述の負極亜鉛材料を用いてR20形マンガン乾電池を作製した。添付の図は作製したマンガン乾電池図であり、1は負極亜鉛缶,2はセパレータ,3は正極合剤,4は集電用炭素棒,5は封口体,6は正極端子板,7は負極端子板,8は絶縁チューブ,9は外装缶である。また4の炭素棒周辺と5の封口体の接面にアスファルト系シール剤を塗布し、圧入された4の炭素と5の封口体の隙間からの酸素の侵入を遮断した。このように作製した電池を20℃±2℃の恒温室に10日間貯蔵後さらに45℃で30日間恒温槽に貯蔵後、20℃±2℃の恒温室内で40Ω一日4時間の放電を実施し、1.1V時点での寿命性能を評価し、従来性能を100とした相対値を求めた。評価電池数は9個である。
(実施例B1〜B8、比較例B1〜B2及び参照例B1,B2)
ビスマスを、所定質量%添加した亜鉛負極材料を下記表B1に示す条件で缶体に成形し、クラック(割れ)の発生(試料数20)、結晶粒径、腐食減量及び一定条件における放電試験により電池寿命を測定した。その結果を表B1に示す。
また、比較のために、缶体成形時の温度を本発明の範囲外の温度に設定して缶体を成形した電池、及び、ビスマスを添加しない負極材料を用いた電池についても同様に結晶粒径、腐食減量及び電池寿命を測定した。その結果を表B1に併せて示す。
また、比較参照のため、担体成形時の温度を本発明の範囲外の温度に設定して缶体を成形した電池、及び従来からの鉛が0.2質量%添加された負極亜鉛缶を用いた電池(参照例B1)と鉛を添加せずインジウムを0.01質量%添加した負極亜鉛缶を用いた電池(参照例B2)についても同様に評価をした。
Figure 2005064711

その結果、本発明の実施例においては、腐食減量が、いずれも、3.9mg以下であり、これに対して、平均粒径が本発明の範囲外の例において、腐食減量が12.0mgであり、本実施例においては耐腐食性が大幅に改善されていることが明らかとなった。また、本発明の実施例においては、クラック発生も見られず、優れた加工性を示すことが明らかとなった。
また、本実施例の電池の寿命は、鉛を含有する亜鉛を用いた従来の電池と寿命において遜色がなかった。
(実施例B’)
以下、本発明に係る実施例を詳細に説明する。不可避不純物を含み、純度99.99質量%の亜鉛地金に鉛を添加せず、ビスマスを所定量添加した電池用負極亜鉛材料を得た。なお、亜鉛地金には不可避的にppm単位の銅,鉄,カドミウム,鉛などの不純物が含有される。この亜鉛材料を圧延後、板状に得られた材料を更に0.5mmに圧延し、導電性塗料を塗布乾燥後、所定形状に打ち抜く。このとき圧延される材料の表面温度を測定横河電機(株)製デジタル放射温度計530 04でレーザポインタを利用して測定した。作製後の亜鉛板の出来具合を観察し、さらに顕微鏡にて表面状態,凹みやひび割れを観察した。さらに亜鉛板の金属組識を観察し、クラックの発生有無および金属組識を調査した。次に得られた亜鉛板を用いて6F22マンガン乾電池を作製した。以下これらの電池について、負極亜鉛材料の腐食試験、金属組識の結晶粒径の測定、及び電池による評価の各試験を行った。
(平均結晶粒径の測定方法)
以下、亜鉛負極板の平均結晶粒径の測定方法について説明する。
亜鉛板を平面に垂直に切り出し、この部分の断面に構成されている亜鉛結晶粒の粒径を測定した。切り出された材料は、10%NaOH液による脱脂処理とアセトンによる脱脂処理をし、裁断部分が見えるようにエポキシ系接着剤(商品名:アラルダイト)で固定後、研摩し、その部分の金属組識を偏光顕微鏡で100倍に拡大し、デジタルスチルカメラで撮影した。結晶粒径の測定は画像データを基に一定線上に組識されている結晶粒径を計数しその部位における平均結晶粒径をNikon製Stage Micrometerで算出した。調査した試料数は5で、各々の試料につき10ヶ所の一定線に組識された結晶の平均粒径を求めた。また、ばらつきを計る目的で、それぞれの試料から得られた5ヶの測定結果(平均粒径)から標準誤差(Standard Error of Mean)を求めばらつきの指標とした。
(負極亜鉛板の耐食性試験)
以下、負極亜鉛板材料の耐食性試験について説明する。
亜鉛を平面に垂直に切り出し、腐食試験用試料(厚さ0.5mm,幅10mm,長さ50mm)とし、試料表面及び断面を#400,#600,#800,#1000,#1200の紙やすりで鏡面になるまで研磨し、超音波洗浄器内で脱脂した。脱脂液として10質量%のNaOHを用いた脱脂処理と、アセトンを脱脂液として用いた脱脂処理とを行った。脱脂後の試料を精度0.1mgで秤量し、予め準備した電池用電解液に浸漬した。恒温水槽を用意し、45℃66時間後の試料重量減を腐食減量とした。試験に使用した電解液は25質量%の塩化亜鉛と2質量%の塩化アンモニウムからなる通常の電池用電解液に原子吸光光度計用Ni,Co,Cu標準溶液を一定量電解液に外部標準添加し電解液中のNi,Co,Cuの濃度が2.9ppm,0.4ppm,0.86ppmになるように調整した。また電解液中に存在する溶存酸素の影響を小さくする目的でアルゴンを用い10分間バブリング後、試験液とした。試料数6でその平均腐食減量値を求めた。
(3) 電池による評価
純度92%以上の電解二酸化マンガン(不純物としての銅0.0005質量%以下,鉄0.02質量%以下,鉛0.0005質量%以下)50質量部,灰分0.01質量%以下のアセチレンブラック9質量部,および酸化亜鉛をよく混合し、これにニッケル,コバルト,銅の濃度が2.9ppm,0.4ppm,0.86ppmになるように調整した電解液電解液をそれぞれ49質量部加え、良く混合し3種類の均一な正極合剤を調整した。なお、この試験に使用した電解液は、26質量%の塩化亜鉛と、1.5質量%の塩化アンモニウムの混合物としたであり、調整された正極合剤は低級な天然二酸化マンガンに含有される不純物が製造後常温で1年を経て電解液に抽出される量に相当する。
また、セパレータとして、電解液保持用の化工澱粉として架橋エーテル化コーンスターチ澱粉をクラフト紙に塗布したものを用意し、前述の負極亜鉛材料を用いて6F22形マンガン乾電池を作製した。添付の図2は作製した6F22電池図である。このように作製した電池を20℃±2℃の恒温室に10日間貯蔵後さらに45℃で30日間恒温槽に貯蔵後、20℃±2℃の恒温室内で620Ω一日2時間の放電を実施し、6.6V時点での寿命性能を評価し、従来性能を100とした相対値を求めた。評価電池数は9個である。
(実施例B9〜B16、比較例B3〜B4及び参照例B3,B4)
ビスマスを、所定質量%添加した亜鉛負極材料を下記表BB1に示す条件で薄板にし、クラック(割れ)の発生(試料数20)、結晶粒径、腐食減量及び一定条件における放電試験により電池寿命を測定した。その結果を表BB1に示す。
また、比較のために、薄板に圧延する時の温度を本発明の範囲外の温度に設定して板を成形した電池、及び、ビスマスを添加しない負極材料を用いた電池についても同様に結晶粒径、腐食減量及び電池寿命を測定した。その結果を表BB1に併せて示す。
また、比較参照のため、薄板に圧延する時の温度を本発明の範囲外の温度に設定して板を成形した電池、及び従来からの鉛が0.2質量%添加された負極亜鉛板を用いた電池(参照例B3)と鉛を添加せずインジウムを0.01質量%添加した負極亜鉛板を用いた電池(参照例B4)についても同様に評価をした。
Figure 2005064711

その結果、本発明の実施例においては、腐食減量が、いずれも、3.9mg以下であり、これに対して、平均粒径が本発明の範囲外の例において、腐食減量が13.5mgであり、本実施例においては耐腐食性が大幅に改善されていることが明らかとなった。また、本発明の実施例においては、クラック発生も見られず、優れた加工性を示すことが明らかとなった。
また、本実施例の電池の寿命は、鉛を含有する亜鉛を用いた従来の電池と寿命において遜色がなかった。
(実施例C)
(実施例C1〜C4、比較例C1)
冷却後の鋳塊の状態で鉛が70ppm以下、カドミウムが20ppm以下、鉄が30ppm以下、銅が10ppm以下、アンチモンが1ppm以下の不純物を含む純度99.5%質量%以上の亜鉛地金に、ビスマスまたはビスマスとマグネシウムが下記表C1に示す量となるように470±50℃で溶融し、板幅200mm,厚さ10mm、長さ750mmの鋳塊を作製した。これを室雰囲気温度まで冷却した。冷却後の鋳造板を板表面温度150±30℃で圧延して厚さ4.5±0.2mmのR20(単1)用の板状体を得た。次いで、六角板状の亜鉛ペレットに打ち抜き、このペレットを表面温度160±20℃で丸孔のダイス中に配置し、円筒形のパンチを急速に圧入させ、その衝撃力で亜鉛ペレットをR20用有底円筒形に形成した。形成後の缶をR20用電池缶として利用するために外径31.4±0.1mm、底厚0.5±0.2mm、側厚0.42±0.4mm、総高54.1±0.2mmになるよう裁断し、電池用負極亜鉛缶に加工した。
得られた亜鉛缶を用いてR20形マンガン乾電池を作製した。マンガン乾電池の作製は、純度78質量%以上の二酸化マンガン(不純物としてFe5%以下、Cu0.06%以下、ニッケル0.08%以下、コバルト0.05%以下、ヒ素0.01%以下)53質量部,灰分0.1質量%以下のアセチレンブラック8質量部,および酸化亜鉛をよく乾式混合し、次いで26質量%の塩化亜鉛と、1.5質量%の塩化アンモニウムの混和液を電解液として39質量部加え湿式攪拌しむらのない正極合剤を得た。
また、セパレータとして、電解液保持用の化工澱粉、架橋エーテル化コーンスターチ澱粉をクラフト紙に塗布したものを用意し、前述の負極亜鉛材料を用いてR20形マンガン乾電池を作製した。
Figure 2005064711

(比較例C2,C3)
前記実施例においてビスマスに代えて鉛を下記表C2に示す量を添加したこと以外には上記実施例と同様にしてマンガン乾電池を作成した。
Figure 2005064711

(実施例C5,6、及び比較例C4)
負極活物質となる亜鉛合金として、ビスマスを0.3質量%、およびマグネシウムを下記表C3に示す量を添加した材料を用いたこと以外には上記実施例と同様にしてマンガン乾電池を製作した。また、比較例C4として、ビスマスを0.3質量%、およびマグネシウムを0.005質量%添加した材料を用いマンガン乾電池を製作した。
Figure 2005064711

(平均結晶粒径の測定)
前記のようにして作成した実施例及び比較例のマンガン乾電池用の負極缶について、以下の方法により、亜鉛負極缶の平均結晶粒径を測定した。
亜鉛缶開口部より下向き15mmの部分の結晶組織が観察できるように亜鉛缶を切り出したものを試料とし、この部分の断面に構成されている亜鉛結晶粒の粒径を測定した。切り出された材料は脱脂10%NaOHで脱脂処理し裁断部分が見えるように、エポキシ系接着剤(商品名:アラルダイト)で固定後、研摩し、その部分の金属組織を偏光顕微鏡で100倍に拡大し、デジタルスチルカメラで撮影した。結晶粒径の測定は画像データを基に一定線上に組織されている結晶粒径を計数しその部位における平均結晶粒径をNikon製Stage Micrometerで算出した。調査した試料数は5で、各々の試料につき10ヶ所の一定線に組織された結晶の平均粒径を求めた。
亜鉛缶内面から200μm間の距離の金属組織と亜鉛缶外面から200μm間の距離の金属組織についても同様に測定し、その平均結晶粒径の比を算出した。試料数は5で、各々につき10ヶ所の一定線上に組織された結晶の平均粒径をもとめた。
また、ばらつきを計る目的で、それぞれの試料から得られた5ヶの測定結果(平均粒径)から標準誤差(Standard Error of Mean)を求め、ばらつきの指標とした。これらの結果を表C1、表C2及び表C3に併記する。
(負極亜鉛缶の耐食性試験)
上記方法によって作成した実施例及び比較例のマンガン乾電池について以下の方法により、亜鉛負極亜鉛缶材料の耐食性試験を行った。
押出し成形法で作製した亜鉛缶を切り出し腐食試験用試料(厚さ0.3mm,幅10mm,長さ50mm)とし、試料表面及び断面を#400,600,800,1000,1200の紙やすりで鏡面になるまで研磨し、超音波洗浄器内で脱脂した。脱脂液として10質量%のNaOHを用いた脱脂処理と、脱脂液としてアセトンを用いた脱脂処理を行った。脱脂後の試料を精度0.1mgで秤量し、予め準備した電池用電解液に浸漬した。恒温水槽を用意し、45℃66時間後の試料重量減を腐食減量とした。試験に使用した電解液は25質量%の塩化亜鉛と2.0質量%の塩化アンモニウムからなる通常の電池用電解液に原子吸光光度計用Ni,Co,Cu標準溶液を一定量電解液に外部標準添加し電解液中のNi,Co,Cuの濃度が2.9ppm,0.4ppm,0.86ppmになるように調整した。また電解液中に存在する溶存酸素の影響を小さくする目的でアルゴンを用い10分間バブリング後、試験液とした。試料数6でその平均腐食減量値を求めた。この結果を表C1、表C2、及び表C3に併記する。
(負極缶硬度の測定)
負極亜鉛缶の外側中央部から20mm角の試料を切り出し、試料片のビッカース硬度を各5点測定し、5個の試料についての平均値を求めた。その結果を表C1、表C2、及び表C3に併記する。
(電池の耐漏液試験)
作製したR20形電池を20±2℃、湿度65±20%の恒温室内に静置後、市販の20Ω±5%誤差の金属被膜抵抗を用い60日間の過放電に対する漏液試験を行い漏液発生率を調査した。試験数は100で実施した。その結果を表C4に示す。
Figure 2005064711

(比較例C6,C7)
前記実施例においてビスマスに代えて鉛を下記表C5に示す量を添加したこと以外には上記実施例と同様にしてマンガン乾電池を作成した。
Figure 2005064711

(実施例C11,C12)
負極活物質となる亜鉛合金として、ビスマスを0.3質量%、およびマグネシウムを下記表C6に示す量を添加した材料を用いたこと以外には上記実施例と同様にしてマンガン乾電池を製作した。
Figure 2005064711

(実施例C’)
(実施例C13〜C16、比較例C8)
冷却後の鋳塊の状態で鉛が70ppm以下、カドミウムが20ppm以下、鉄が30ppm以下、銅が10ppm以下、アンチモンが1ppm以下の不純物を含む純度99.5%質量%以上の亜鉛地金に、ビスマスまたはビスマスとマグネシウムが下記表C1に示す量となるように470±50℃で溶融し、板幅200mm,厚さ10mm、長さ750mmの鋳塊を作製した。これを室雰囲気温度まで冷却した。冷却後の鋳造板を板表面温度150±30℃で圧延して厚さ4.5±0.2mmの板状体を得た。次いで、更に120℃〜210℃の板表面温度で圧延し、0.5mmの亜鉛板に圧延する。その後、亜鉛板に導電性塗料を塗布後、乾燥し、所定の形状に打ち抜いて6F22用負極亜鉛板を作製した。
得られた亜鉛板を用いて6F22形マンガン乾電池を作製した。マンガン乾電池の作製は、純度78質量%以上の二酸化マンガン(不純物としてFe5%以下、Cu0.06%以下、ニッケル0.08%以下、コバルト0.05%以下、ヒ素0.01%以下)53質量部,灰分0.1質量%以下のアセチレンブラック8質量部,および酸化亜鉛をよく乾式混合し、次いで26質量%の塩化亜鉛と、1.5質量%の塩化アンモニウムの混和液を電解液として39質量部加え湿式攪拌しむらのない正極合剤を得た。
また、セパレータとして、電解液保持用の化工澱粉、架橋エーテル化コーンスターチ澱粉をクラフト紙に塗布したものを用意し、前述の負極亜鉛材料を用いて6F22形マンガン乾電池を作製した。
Figure 2005064711

(比較例C9,C10)
前記実施例においてビスマスに代えて鉛を下記表CC2に示す量を添加したこと以外には上記実施例と同様にして6F22形マンガン乾電池を作成した。
Figure 2005064711

(実施例C17,18、及び比較例C11)
負極活物質となる亜鉛合金として、ビスマスを0.3質量%、およびマグネシウムを下記表C3に示す量を添加した材料を用いたこと以外には上記実施例と同様にしてマンガン乾電池を製作した。また、比較例C4として、ビスマスを0.3質量%、およびマグネシウムを0.005質量%添加した材料を用い6F22形マンガン乾電池を製作した。
Figure 2005064711

(平均結晶粒径の測定)
前記のようにして作成した実施例及び比較例の6F22形マンガン乾電池用の負極板について、以下の方法により、負極亜鉛板の平均結晶粒径を測定した。
平面に垂直に切り、その断面観察ができるように切り出したものを試料とし、この部分の断面に構成されている亜鉛結晶粒の粒径を測定した。切り出された材料は脱脂10%NaOHで脱脂処理し裁断部分が見えるように、エポキシ系接着剤(商品名:アラルダイト)で固定後、研摩し、その部分の金属組織を偏光顕微鏡で100倍に拡大し、デジタルスチルカメラで撮影した。結晶粒径の測定は画像データを基に一定線上に組織されている結晶粒径を計数しその部位における平均結晶粒径をNikon製Stage Micrometerで算出した。調査した試料数は5で、各々の試料につき10ヶ所の一定線に組織された結晶の平均粒径を求めた。
(負極亜鉛板の耐食性試験)
上記方法によって作成した実施例及び比較例の6F22形マンガン乾電池について以下の方法により、亜鉛負極亜板材料の耐食性試験を行った。
圧延亜鉛板を切り出し腐食試験用試料(厚さ0.5mm,幅10mm,長さ50mm)とし、試料表面及び断面を#400,600,800,1000,1200の紙やすりで鏡面になるまで研磨し、超音波洗浄器内で脱脂した。脱脂液として10質量%のNaOHを用いた脱脂処理と、脱脂液としてアセトンを用いた脱脂処理を行った。脱脂後の試料を精度0.1mgで秤量し、予め準備した電池用電解液に浸漬した。恒温水槽を用意し、45℃66時間後の試料重量減を腐食減量とした。試験に使用した電解液は25質量%の塩化亜鉛と2.0質量%の塩化アンモニウムからなる通常の電池用電解液に原子吸光光度計用Ni,Co,Cu標準溶液を一定量電解液に外部標準添加し電解液中のNi,Co,Cuの濃度が2.9ppm,0.4ppm,0.86ppmになるように調整した。また電解液中に存在する溶存酸素の影響を小さくする目的でアルゴンを用い10分間バブリング後、試験液とした。試料数6でその平均腐食減量値を求めた。この結果を表CC1、表CC2及び表CC3に併記する。
(亜鉛板硬度の測定)
5個の負極亜鉛板の試料片のビッカース硬度を各5点測定し、5個の試料についての平均値を求めた。その結果を表CC1、表CC2、及び表CC3に併記する。
(電池の耐漏液試験)
作製した6F22形電池を20±2℃、湿度65±20%の恒温室内に静置後、市販の620Ω±5%誤差の金属被膜抵抗を用い60日間の過放電に対する漏液試験を行い漏液発生率を調査した。試験数は100で実施した。この結果を表CC4に示す。
Figure 2005064711

(比較例C13,C14)
前記実施例においてビスマスに代えて鉛を下記表CC5に示す量を添加したこと以外には上記実施例と同様にしてマンガン乾電池を作成した。
Figure 2005064711

(実施例C23,C24)
負極活物質となる亜鉛合金として、ビスマスを0.3質量%、およびマグネシウムを下記表CC6に示す量を添加した材料を用いたこと以外には上記実施例と同様にしてマンガン乾電池を製作した。
Figure 2005064711

(評価)
上記実施例及び比較例の結果から明らかなように、本願発明の実施例によれば、有害な鉛を用いることなく、鉛を配合した亜鉛合金と同等の材料硬度を保ちながら、腐食減量を改善した亜鉛缶及び負極亜鉛板を得ることができることが明らかとなった。また、ビスマスを含有した亜鉛合金にマグネシウムを更に添加することによって、腐食減量及び材料硬度を改善することができることが判明した。
(実施例の効果)
以上のように、本発明の実施例は、鉛を添加せずに加工性及び耐腐食性を改善した電池用負極亜鉛材料を実現することができ、従来よりも低公害の実用負極亜鉛材料と電池を提供することができる。又は、信頼性の高い実用的な負極活物質材料およびマンガン乾電池を提供できる。又は、鉛を使用することなく、従来に比べ耐食性の優れた電池用負極亜鉛活物質と耐漏液特性に優れた電池を提供できる。
マンガン乾電池の概略断面図である。 6F22の概略断面図である。
図1中、符号1は負極亜鉛缶,2はセパレータ,3は正極合剤,4は集電用炭素棒,5は封口体,6は正極端子板,7は負極端子板,8は絶縁チューブ,9は外装缶である。図2中、符号11は端子、12は端子(+),13は端子(−),14は上部絶縁板,15はリード片,16は電極接続(電流引出部)端子,17は正極合剤,18はセパレータ,19は亜鉛板、20は炭素膜、21は外装、22は熱収縮性チューブ、23は下部絶縁板である。

Claims (7)

  1. 亜鉛にBiを添加した板状の亜鉛合金負極材料を、120℃〜210℃の温度でプレス成形することにより、8〜25μmの平均結晶粒径を有する負極材料の電池用容器を作成することを特徴とする電池用負極缶の製造方法。
  2. 亜鉛を主成分とし、Biを添加した、実質的に鉛を添加しない電池用負極材料であって、Biの添加量が0.01質量%以上0.7質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電池用負極缶の製造方法。
  3. Bi以外に、Mgを0.0003質量%以上0.03質量%以下併用添加したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池用負極缶の製造方法。
  4. 亜鉛にBiを添加した板状の亜鉛合金負極材料を、120℃〜210℃の温度でプレス成形することにより、8〜25μmの平均結晶粒径を有する負極材料を用いて作成した電池用負極缶を用いたことを特徴とするマンガン乾電池。
  5. 天然二酸化マンガンを正極活物質とし、亜鉛合金を負極活物質とするマンガン電池において、
    亜鉛に、ビスマスが0.1質量%以上0.7質量%以下のビスマスを添加した亜鉛合金からなる板状の亜鉛合金負極材料を、120℃〜210℃の温度でプレス成形することにより、8〜25μmの平均結晶粒径を有する負極材料を用いて作成した電池用負極缶を用いたことを特徴とするマンガン乾電池。
  6. 電解二酸化マンガンを正極活物質とし、亜鉛合金を負極活物質とするマンガン電池において、
    亜鉛に、ビスマスが0.01質量%以上0.7質量%以下のビスマスを添加した亜鉛合金からなる板状の亜鉛合金負極材料を、120℃〜210℃の温度でプレス成形することにより、8〜25μmの平均結晶粒径を有する負極材料を用いて作成した電池用負極缶を用いたことを特徴とするマンガン乾電池。
  7. 前記亜鉛合金負極材料が、さらにマグネシウムを0.0003質量%から0.03質量%の範囲で含むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載のマンガン乾電池。
JP2005516675A 2003-12-25 2004-12-24 電池用負極缶の製造方法、およびこの電池用負極缶を用いたマンガン乾電池 Pending JPWO2005064711A1 (ja)

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