JPWO2005049819A1 - 抗菌ペプチド及びその利用 - Google Patents

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Abstract

本発明によって提供される抗菌ペプチドは、天然に存在しない人為的に設計された抗菌ペプチドであって、ラミニン結合部位(LBS)を構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列、または該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列を有し、且つ、少なくとも1種の細菌又は真菌に対して抗菌性を発現し得るアミノ酸配列を有る。好ましくは、全アミノ酸残基数が100以下である。

Description

本発明は、天然には存在しない形態の独立したペプチド鎖から成る抗菌性を有するオリゴペプチド又はポリペプチド(以下「抗菌ペプチド」という。)及びその利用、特に該抗菌ペプチドを主成分とする抗菌剤(組成物)に関する。
抗菌ペプチドは一般に幅広い抗菌スペクトルを有し、薬剤耐性菌が出現し難いと考えられていることから、ヒト及び動物の細菌感染性疾患の予防や治療、或いは、食材等の物品に抗菌性を付与する目的での利用が期待されている。これまでに多くの抗菌ペプチドが種々の動植物から単離されている。
例えば、国際公開第WO98/51794号パンフレット、国際公開第WO99/26971号パンフレット、国際公開第WO00/09553号パンフレット、国際公開第WO00/59527号パンフレット、国際公開第WO01/09175号パンフレット、特開2000−63400号公報、特開2001−186887号公報、エレナ・アルディーニら(Elena Ardini et al.)、「発生過程において二つの機能を得たリボソームタンパク質起源の67kDaラミニンレセプター(The 67-kDa Laminin Receptor Originated from a Ribosomal Protein that Acquired a Dual Function During Evolution)」、モレキュラー・バイオロジー・アンド・エボリューション(Molecular Biology and Evolution)、15巻8号、1998年、p.1017−1025等に記載の抗菌ペプチドが知られている。
上記の各公報に記載の抗菌ペプチドは、何れも自然界において元々抗菌ペプチドとして存在しているものを発見し単離したもの(或いは単離した天然型抗菌ペプチドのアミノ酸配列を一部改変したペプチド)である。これら本来的に抗菌ペプチドとして存在するペプチドを主成分とする限り、自然界において元来そのペプチドが奏していた抗菌活性や抗菌スペクトルを上回る抗菌性能を有する抗菌剤を開発することは困難である。
本発明は、従前の抗菌ペプチド含有抗菌剤の開発アプローチによらず、自然界において抗菌ペプチドとして存在し機能しているペプチドとは異なる人為的に設計されたアミノ酸配列から成る抗菌ペプチド及び該ペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供することを目的の一つとする。また、そのような抗菌ペプチドを主成分とする抗菌剤(薬学上の組成物)の提供を目的の一つとする。
本発明によって提供される抗菌ペプチドは、従前知られている抗菌ペプチドとは異なるアプローチにより開発されたペプチドである。すなわち、自然界において抗菌ペプチドとして存在するポリペプチドとは異なるポリペプチドに含まれるアミノ酸配列を利用して創出された抗菌ペプチドである。
本明細書に開示される一つの天然に存在しない人為的に設計された抗菌ペプチドは、ラミニン結合部位(laminin binding site:LBS)を構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列、または該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列を有し、且つ、少なくとも1種の細菌又は真菌に対して抗菌性を発現し得るアミノ酸配列を有するペプチドである。好ましくは、全アミノ酸残基数が100以下である。
また、本明細書に開示される他の一つの天然に存在しない人為的に設計された抗菌ペプチドは、ラミニン結合部位(LBS)を構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列、または該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列を有し、且つ、前記配列のN末端側及び/又はC末端側に隣接する部分配列であって、3個以上の連続するアミノ酸残基から成り該配列を構成するアミノ酸残基の過半数はリジン又はアルギニンである高塩基性部分配列を有するペプチドである。好ましくは、全アミノ酸残基数が100以下である。
ここで「天然に存在しない人為的に設計された抗菌ペプチド」とは、そのペプチド鎖がそれのみで独立して自然界に存在するものではなく、人為的な化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって製造され得るペプチド断片をいう。ここで「抗菌ペプチド」とは、少なくとも一種の微生物に対して抗菌活性を示す複数のペプチド結合を有するアミノ酸ポリマーを指す用語であり、ペプチド鎖に含まれるアミノ酸残基の数によって限定されない。アミノ酸残基数が10程度までのオリゴペプチド或いはそれ以上のアミノ酸残基から成るポリペプチドも本明細書における抗菌ペプチドに包含される。なお、ここで「アミノ酸残基」とは、特に言及する場合を除いて、ペプチド鎖のN末端アミノ酸及びC末端アミノ酸を包含する用語である。
本発明者は、非コラーゲン性糖タンパク質であるラミニンに対する受容体(レセプター)として機能するタンパク質中のラミニン結合部位(LBS)として知られている部分のアミノ酸配列の一部と、前記所定の配列すなわち前記少なくとも1種の細菌又は真菌に対して抗菌性を発現し得るアミノ酸配列及び/又は前記高塩基性部分配列(以下これらを総称して「抗菌関連配列」という。)とを合わせて設計したペプチド鎖が種々の微生物に対して高い抗菌活性を発揮し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。ここでラミニン結合部位というときは、特に言及している場合を除き、特定の生物起源、特定のアミノ酸配列に限定されず、ラミニンレセプターのラミニン結合部位を構成するアミノ酸配列として知られているアミノ酸配列によって特定されるもの全般を指す。
本発明の抗菌ペプチドは、主要構成要素として「LBSを構成するアミノ酸配列(即ちLBSを構成するものとして知られているアミノ酸配列)のうちから選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列または該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列」(以下「LBS配列」と略称する。)を包含することによって、グラム陰性細菌及び/又はグラム陽性細菌或いは真菌に対して高い抗菌活性を発揮し得る。
好ましい抗菌ペプチドは、前記少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列(即ちLBS配列)が、配列番号1〜9のいずれかに示されるアミノ酸配列であるか或いは該アミノ酸配列を含む配列であることを特徴とする。これら配列番号に示される配列は、ラミニンとの結合に深く関与することが知られているパリンドローム配列(例えば配列番号1)又は同様のラミニン結合機能を有する同類の配列である(上記非特許文献1参照)。これら配列(該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列であり得る。)を含むLBS配列と、前記抗菌関連配列とを有することによって、グラム陰性細菌及び/又はグラム陽性細菌或いは真菌に対して特に高い抗菌活性を発揮し得る。
かかる構成の抗菌ペプチドとして特に好ましいものに、配列番号10〜30のいずれかに示されるアミノ酸配列または該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列を含む又は該配列から成るペプチドがある。
また、抗菌ペプチドは、少なくとも一つのアミノ酸残基がアミド化されているものが好ましい。アミノ酸残基(典型的にはペプチド鎖のC末端アミノ酸残基)のカルボキシル基のアミド化により、抗菌ペプチドの構造安定性(例えばプロテアーゼ耐性)を向上させ得る。
また、抗菌ペプチドは、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が20以下であるものが好ましい。このような鎖長の短いペプチドは、化学合成が容易であり、容易に抗菌ペプチドを提供することができる。
また、本発明は、本明細書に開示される抗菌ペプチドの製造方法を提供する。すなわち、本発明によって提供される一つの抗菌ペプチド製造方法は、LBSを構成するアミノ酸配列(即ちLBSとして知られる配列)から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列、または該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列を決定することと、前記決定した配列と少なくとも1種の細菌又は真菌に対して抗菌性を発現し得るアミノ酸配列とを有するペプチド鎖を設計することと、該設計したペプチド鎖を合成することとを包含する。
また、他の一つの抗菌ペプチド製造方法は、LBSを構成するアミノ酸配列として知られる配列(即ちLBSとして知られる配列)から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列、または該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列を決定することと、前記決定した配列と、そのN末端側及び/又はC末端側に隣接する部分配列であって3個以上の連続するアミノ酸残基から成り該配列を構成するアミノ酸残基の過半数はリジン又はアルギニンである高塩基性部分配列とを有するペプチド鎖を設計することと、該設計したペプチド鎖を合成することとを包含する。
好ましくは、前記ペプチド鎖の設計において、全アミノ酸残基数が100以下であるペプチド鎖を設計する。鎖長が短い抗菌ペプチドは例えば一般的な化学合成法によって容易に製造及び精製することができる。
また、本発明は、本明細書に開示される少なくとも一つの抗菌ペプチドと、薬学的に許容され得る担体とを含む抗菌剤(典型的には医療分野又は衛生分野において使用し得る組成物)を提供する。全アミノ酸残基数が100以下(更に好ましくは20以下)の抗菌ペプチドを主成分とする抗菌剤が好ましい。このような鎖長の短いペプチド(即ち比較的低分子量の抗菌ペプチド)を含む抗菌剤は取扱いが容易であり、生体内及び/又は生体外での利用に好適な抗菌剤となり得る。
また、本発明は、本明細書に開示されるいずれかの抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含むか或いはそれら配列により実質的に構成される、天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチドを提供する。ここで「ポリヌクレオチド」とは、複数のヌクレオチドがリン酸ジエステル結合で結ばれたポリマー(核酸)を指す用語であり、ヌクレオチドの数によって限定されない。種々の長さのDNAフラグメント及びRNAフラグメントが本明細書におけるポリヌクレオチドに包含される。また、「天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド」とは、そのヌクレオチド鎖(全長)がそれ単独で自然界に存在するものではなく、化学合成或いは生合成(即ち遺伝子工学に基づく生産)によって人為的に合成されるポリヌクレオチドをいう。
好ましいポリヌクレオチドとして、配列番号10〜30のいずれかに示されるアミノ酸配列(または該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列)をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含むか或いはそれら配列により実質的に構成されるポリヌクレオチドがある。
本発明により提供されるLBS配列と前記抗菌関連配列とを含む一次構造の抗菌ペプチドは、種々のグラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌に対して高い抗菌活性を発揮し得る。このため、本発明の抗菌ペプチドは抗菌剤の主構成要素として利用することができる。また、そのような抗菌ペプチドを含む抗菌剤は、生体内或いは生体外において使用することができる。
<配列表フリーテキスト>
配列番号10 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号11 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号12 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号13 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号14 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号15 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号16 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号17 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号18 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号19 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号20 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号21 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号22 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号23 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号24 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号25 設計された抗菌ペプチド。
配列番号26 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号27 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号28 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号29 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号30 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
配列番号31 末端にアミド基を含む、設計されたペプチド。
配列番号32 末端にアミド基を含む、設計されたペプチド。
配列番号33 末端にアミド基を含む、設計されたペプチド。
配列番号34 末端にアミド基を含む、設計されたペプチド。
配列番号35 末端にアミド基を含む、設計されたペプチド。
配列番号36 末端にアミド基を含む、設計されたペプチド。
配列番号37 末端にアミド基を含む、設計されたペプチド。
配列番号38 末端にアミド基を含む、設計された抗菌ペプチド。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば抗菌ペプチドの一次構造や鎖長)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えばペプチド合成、ポリヌクレオチド合成、ペプチドを成分とする抗菌剤(薬剤組成物)の調製に関するような一般的事項)は、有機化学、生化学、遺伝子工学、タンパク質工学、分子生物学、薬学、医学、衛生学等の分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の説明では、場合に応じてアミノ酸をIUPAC-IUBガイドラインで示されたアミノ酸に関する命名法に準拠した1文字表記(但し配列表では3文字表記)で表す。
本明細書において開示される抗菌ペプチドは、天然に存在しない人為的に設計されたペプチドであり、LBS配列と抗菌関連配列とを有する短いポリペプチドまたはオリゴペプチドである。すなわち、本発明の抗菌ペプチドは、LBS配列と抗菌関連配列とが相互に近接して存在しているペプチド断片という点で、天然に存在する種々のポリペプチド(ペプチド鎖)と明確に区別される物質である。
好ましくは、全体のアミノ酸配列に対するLBS配列及び抗菌関連配列の占める割合が40個数%以上であり、この割合がペプチド鎖を構成する全アミノ酸の70個数%以上が更に好ましく、90個数%以上が特に好ましい。
本発明の抗菌ペプチドは、全てのアミノ酸残基がL型アミノ酸であるものが好ましいが、抗菌活性を失わない限りにおいて、アミノ酸残基の一部又は全部がD型アミノ酸に置換されているものであってもよい。
本発明の抗菌ペプチドの鎖長(アミノ酸残基数)は、含有するLBS配列及び/又は抗菌関連配列の長さに応じて異なり得るので特に限定されないが、全アミノ酸残基数が100以下、例えば10〜100個程度のアミノ酸残基で構成されるものが好ましく、10〜50個程度のアミノ酸残基で構成されるものがさらに好ましく、12〜20個程度のアミノ酸残基で構成されるものが特に好ましい。
また、ペプチドのコンホメーション(立体構造)については、使用する環境下で抗菌性を発揮する限りにおいて、特に限定されるものではないが、免疫原(抗原)になり難いという観点から直鎖状又はへリックス状のものが好ましい。このような形状のペプチドはエピトープを構成し難い。かかる観点から、抗菌剤に適用する抗菌ペプチドとしては、直鎖状であり比較的低分子量(典型的にはアミノ酸残基数:10〜30、例えばアミノ酸数:10〜20)のものが好適である。
抗菌ペプチドを構成するためのLBS配列としては、従来、各種の生物(真核生物又は原核生物)から発見され、ラミニン結合部位を構成する配列として知られているアミノ酸配列(天然タイプ:native type)から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列の何れかをその配列のまま利用することができる。具体例としては、上記非特許文献1においても紹介されているLBSを構成するアミノ酸配列として知られる配列から選択される6個の連続アミノ酸残基から成る以下の9種の配列:LMWWML(配列番号1);LMWWLL(配列番号2);CLFWLL(配列番号3);LIWYLL(配列番号4);VVYWLL(配列番号5);LYLGAV(配列番号6);LITSKM(配列番号7);FFYMVI(配列番号8);LLTAKM(配列番号9)が挙げられる。これらのうちの1種類或いは2種類以上をLBS配列(又はその一部)として含むペプチドが好ましい。例えば、好適な具体例として後述する配列番号10〜30(表1)に示すような、配列番号1〜9の何れかをそのままLBS配列とする抗菌ペプチドが好ましい。
LBS配列としては、天然タイプ(native type)の配列のみならず、抗菌性を損なわない限りにおいて、種々の部分的な改変が施されたLBS配列を用い得る。例えば、この種の改変配列としては、配列中の数個(例えば1〜3個)のアミノ酸残基が同類置換されたもの、天然タイプのLBSを構成するアミノ酸配列から選択された少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列のN末端及び/又はC末端に1個又は2〜3個のアミノ酸が付加されたもの、C末端アミノ酸(即ちペプチド鎖のC末端アミノ酸に相当する。)のカルボキシル基がアミド化されたもの等が挙げられる。
本発明の抗菌ペプチドを構築するための抗菌関連配列としては、少なくとも1種の細菌又は真菌に対して抗菌性を発現し得るアミノ酸配列、或いは3個以上の連続するアミノ酸残基から成り該配列を構成するアミノ酸残基の過半数が塩基性アミノ酸(即ちリジンかアルギニン)であるアミノ酸配列(高塩基性部分配列)であればよく、特定のアミノ酸配列に限定されない。
少なくとも1種の細菌又は真菌に対して抗菌性を発現し得るアミノ酸配列として、一次構造既知である従来の抗菌ペプチドのアミノ酸配列の全部又は一部を利用することができる。一般にディフェンシンと呼ばれる比較的短いペプチド鎖から成る抗菌ペプチドの利用が好ましい。例えば、ザルコトキシンのような種々の昆虫由来の抗菌ペプチド、或いはα−メラノサイト−刺激ホルモン(α−MSH)、プロテグリン−1のような哺乳類由来の抗菌性を有するポリペプチドのアミノ酸配列の全部又は一部の使用が好ましい(後述する実施例参照)。
一方、上記高塩基性部分配列としては、LBS配列のN末端側及び/又はC末端側に隣接する部分配列(但し3アミノ酸残基以上)の過半数が塩基性アミノ酸残基(即ちリジン残基又はアルギニン残基)となるように構成されればよく、特定のアミノ酸配列に限定されない。LBS配列のN末端側及び/又はC末端側に隣接する4アミノ酸残基以上(より好ましくは5アミノ酸残基以上)で構成され、その3/4(75個数%)以上のアミノ酸残基がそれぞれリジンかアルギニンのいずれかである高塩基性部分配列が好ましい。5アミノ酸残基以上で構成され且つその4/5(80個数%)以上のアミノ酸残基(より好ましくはその全てのアミノ酸残基)がそれぞれリジンかアルギニンのいずれかである高塩基性部分配列が特に好ましい。
本発明の抗菌ペプチドは、抗菌性を失わない限りにおいて、LBS配列と抗菌関連配列の何れでもない部分配列を含み得る。特に限定するものではないが、かかる部分配列としてはペプチド鎖におけるLBS配列部分及び抗菌関連配列部分の3次元形状を維持し得る配列が好ましい。
ここで開示される抗菌ペプチドとして好ましいものに、全アミノ酸残基数が100以下であり、1又は2以上のLBS配列と、1又は2以上の抗菌関連配列とによりペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基の80個数%以上、更に好ましくは90個数%以上が占められるものが挙げられる。あるいはこれら配列と該配列間に介在するリンカー部分(好ましくは1〜数個のアミノ酸残基から成る)とから構成されているものも好適である。
配列番号10〜30に示す抗菌ペプチドは、ここで開示される抗菌ペプチドの好適な具体例であるが、好適なペプチドがこれらアミノ酸配列のものに限定されることを意味しない。例えば、配列番号10〜30に示す配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列もまた本発明の抗菌ペプチドとして好ましい。
本明細書に開示される抗菌ペプチドのうちペプチド鎖の比較的短いものは、一般的な化学合成法に準じて容易に製造することができる。例えば、従来公知の固相合成法又は液相合成法のいずれを採用してもよい。アミノ基の保護基としてBoc(t-butyloxycarbonyl)或いはFmoc(9-fluorenylmethoxycarbonyl)を適用した固相合成法が好適である。
本発明の抗菌ペプチドは、市販のペプチド合成機(例えば、PerSeptive Biosystems社、Applied Biosystems社等から入手可能である。)を用いた固相合成法により、所望するアミノ酸配列、修飾(C末端アミド化等)部分を有するペプチド鎖を合成することができる。
或いは、遺伝子工学的手法に基づいて本発明の抗菌ペプチドを生合成してもよい。このアプローチは、ペプチド鎖の比較的長いポリペプチドを製造する場合に好適である。すなわち、所望する抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列(ATG開始コドンを含む。)のDNAを合成する。そして、このDNAと該アミノ酸配列を宿主細胞内で発現させるための種々の調節エレメント(プロモーター、リボゾーム結合部位、ターミネーター、エンハンサー、発現レベルを制御する種々のシスエレメントを包含する。)とから成る発現用遺伝子構築物を有する組換えベクターを、宿主細胞に応じて構築する。
一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、動物(哺乳類)細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的の抗菌ペプチドを得ることができる。一般的な技法によって、この組換えベクターを所定の宿主細胞(例えばイースト、昆虫細胞、植物細胞、哺乳類細胞)に導入し、所定の条件で当該宿主細胞又は該細胞を含む組織や個体を培養する。このことにより、目的とするポリペプチドを細胞内で発現、生産させることができる。そして、宿主細胞(分泌された場合は培地中)からポリペプチドを単離し、精製することによって、目的の抗菌ペプチドを得ることができる。
なお、組換えベクターの構築方法及び構築した組換えベクターの宿主細胞への導入方法等は、当該分野で従来から行われている方法をそのまま採用すればよく、かかる方法自体は特に本発明を特徴付けるものではないため、詳細な説明は省略する。
例えば、宿主細胞内で効率よく大量に生産させるために融合タンパク質発現システムを利用することができる。すなわち、目的の抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードする遺伝子(DNA)を化学合成し、該合成遺伝子を適当な融合タンパク質発現用ベクター(例えばノバジェン社から提供されているpETシリーズおよびアマシャムバイオサイエンス社から提供されているpGEXシリーズのようなGST(Glutathione S-transferase)融合タンパク質発現用ベクター)の好適なサイトに導入する。そして該ベクターにより宿主細胞(典型的には大腸菌)を形質転換する。得られた形質転換体を培養して目的の融合タンパク質を調製する。次いで、該タンパク質を抽出及び精製する。次いで、得られた精製融合タンパク質を所定の酵素(プロテアーゼ)で切断し、遊離した目的のペプチド断片(設計した抗菌ペプチド)をアフィニティクロマトグラフィー等の方法によって回収する。このような従来公知の融合タンパク質発現システム(例えばアマシャムバイオサイエンス社により提供されるGST/Hisシステムを利用し得る。)を用いることによって、本発明の抗菌ペプチドを製造することができる。
或いは、無細胞タンパク質合成システム用の鋳型DNA(即ち抗菌ペプチドのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む合成遺伝子断片)を構築し、ペプチド合成に必要な種々の化合物(ATP、RNAポリメラーゼ、アミノ酸類等)を使用し、いわゆる無細胞タンパク質合成システムを採用して目的のポリペプチドをインビトロ合成することができる。無細胞タンパク質合成システムについては、例えばShimizuらの論文(Shimizu et al., Nature Biotechnology, 19, 751-755(2001))、Madinらの論文(Madin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 97(2), 559-564(2000))が参考になる。これら論文に記載された技術に基づいて、本願出願時点において既に多くの企業がポリペプチドの受託生産を行っており、また、無細胞タンパク質合成用キット(例えば、日本の東洋紡績(株)から入手可能なPROTEIOS(商標)Wheat germ cell-free protein synthesis kit)が市販されている。
従って、上述のようにしてひとたび抗菌ペプチドのアミノ酸配列を決定・設計しさえすれば、そのアミノ酸配列に従って無細胞タンパク質合成システムによって目的の抗菌ペプチドを容易に生産することができる。例えば、日本の(株)ポストゲノム研究所のピュアシステム(登録商標)に基づいて本発明の抗菌ペプチドを容易に生産することができる。
本発明の抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む一本鎖又は二本鎖のポリヌクレオチドは、従来公知の方法によって容易に製造(合成)することができる。すなわち、設計したアミノ酸配列を構成する各アミノ酸残基に対応するコドンを選択することによって、抗菌ペプチドのアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列が容易に決定され、提供される。そして、ひとたびヌクレオチド配列が決定されれば、DNA合成機等を利用して、所望するヌクレオチド配列に対応するポリヌクレオチド(一本鎖)を容易に得ることができる。さらに得られた一本鎖DNAを鋳型として用い、種々の酵素的合成手段(典型的にはPCR)を採用して目的の二本鎖DNAを得ることができる。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、DNAの形態であってもよく、RNA(mRNA等)の形態であってもよい。DNAは、二本鎖又は一本鎖で提供され得る。一本鎖で提供される場合は、コード鎖(センス鎖)であってもよく、それと相補的な配列の非コード鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドは、上述のように、種々の宿主細胞中で又は無細胞タンパク質合成システムにて、抗菌ペプチド生産のための組換え遺伝子(発現カセット)を構築するための材料として使用することができる。
本発明によって提供されるポリヌクレオチドのいくつかは、新規なアミノ酸配列の抗菌ペプチドをコードする。
例えば、ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が100以下(好ましくは50以下、特に好ましくは20以下)であって、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29又は配列番号30で示されるアミノ酸配列或いは該配列の1若しくは複数(例えば2〜3個)のアミノ酸残基が同類置換されて形成されたアミノ酸配列を含むアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む(又はそれら配列から実質的に構成された)天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチドが提供される。
また、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29又は配列番号30で示されるアミノ酸配列或いは該配列の1若しくは複数(例えば2〜3個)のアミノ酸残基が同類置換されて形成されたアミノ酸配列から実質的に構成される抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む(又はそれら配列から実質的に構成された)天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチドが提供される。
本発明の抗菌ペプチドは高い抗菌活性を有し、好ましいものでは更に比較的広い抗菌スペクトルを有しており、抗菌剤の主成分として好適に用いられる。例えば、細菌感染症の治療、創傷面の消毒、眼病予防、口腔内洗浄(うがい)、食品の防腐や鮮度保持、脱臭、家具や衛生機器表面の殺菌又は静菌等の目的に用いられる。
抗菌ペプチドの他、抗菌剤に含まれる担体すなわち副次的成分(典型的には用途に応じて薬学的に許容され得るもの)としては、抗菌剤の用途や形態に応じて適宜異なり得るが、種々の充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、表面活性剤、賦形剤、色素、香料等が挙げられる。
抗菌剤の形態に関して特に限定はない。例えば、内用剤若しくは外用剤の典型的な形態として、軟膏、液剤、懸濁剤、乳剤、エアロゾル、泡沫剤、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセルが挙げられる。また、注射等に用いるため、使用直前に生理食塩水又は適当な緩衝液(例えばPBS)等に溶解して薬液を調製するための凍結乾燥物、造粒物とすることもできる。
なお、抗菌ペプチド(主成分)及び種々の担体(副成分)を材料にして種々の形態の薬剤(組成物)を調製するプロセス自体は従来公知の方法に準じればよく、かかる製剤方法自体は本発明を特徴付けるものでもないため詳細な説明は省略する。処方に関する詳細な情報源として、例えばComprehensive Medicinal Chemistry, Corwin Hansch監修,Pergamon Press刊(1990)が挙げられる。
本発明によって提供される抗菌剤は、その形態及び目的に応じた方法や用量で使用することができる。
本明細書に開示される抗菌ペプチドは、比較的高い濃度の塩類(例えば塩化ナトリウム)或いは血清のような有機物が存在する系においても高い抗菌活性を維持し得る。従って、塩類や血清等が存在する系(場)での使用にも好適である。例えば、本発明によって提供される抗菌剤は、液剤として、静脈内、筋肉内、皮下、皮内若しくは腹腔内への注射或いは灌腸によって患者に投与することができる。
或いは、錠剤等の固体形態のものは経口投与することができる。また、衛生陶器表面の消毒(殺菌)や食品の防腐目的に使用する場合は、比較的多量(例えば1〜100mg/ml)の抗菌ペプチドを含有する液剤を対象物の表面に直接スプレーするか、或いは、当該液剤で濡れた布や紙で対象物の表面を拭くとよい。これらは例示にすぎず、従来のペプチド系抗生物質やペプチドを構成成分とする農薬、医薬部外品等と同じ形態、使用方法を適用することができる。
例えば、放射線治療を受けているガン患者やエイズ患者にとって、細菌感染症の予防及び治療は重大な関心事である。本明細書に開示される抗菌ペプチドは、感染症の原因たる細菌(例えば黄色ブドウ球菌)に対して高い抗菌作用を示し得る。このため、本発明の抗菌ペプチドは、抗菌剤の主成分として有用である。
また、本発明の抗菌ペプチドをコードするポリヌクレオチドは、いわゆる遺伝子治療に使用する素材として用い得る。例えば、抗菌ペプチドをコードする遺伝子(典型的にはDNAセグメント、或いはRNAセグメント)を適当なベクターに組み込み、目的とする部位に導入することにより、常時生体(細胞)内で本発明に係る抗菌ペプチドを発現させることが可能である。従って、本発明の抗菌ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAセグメント、RNAセグメント等)は、上述した患者等に対し、細菌感染を予防し又は治療する薬剤として有用である。
再生医療の分野において、皮膚、骨、各種の臓器の培養時の細菌感染を防止することは重要である。本明細書に開示される抗菌ペプチドは、哺乳動物細胞及び組織に対する毒性が極めて低く(後述する実施例参照)、細菌に選択的に抗菌作用を示す。このため、培養臓器等の細菌感染を防止する薬剤として極めて有用である。例えば、後述する実施例に示すように、適当な濃度で本発明の抗菌ペプチド単独又は当該ペプチドを主成分の一つとする抗菌剤を培養液中に添加することにより、培養中の臓器等の細菌感染を防止することができる。
また、培養細胞や培養組織に対して、本発明の抗菌ペプチドをコードするポリヌクレオチドを遺伝子治療に使用する素材として用いることができる。例えば、本発明の抗菌ペプチドをコードする遺伝子(典型的にはDNAセグメント又はRNAセグメント)を適当なベクターに組み込み、目的とする培養組織に導入することにより、常時或いは所望する時期に培養組織(細胞)内で本発明に係る抗菌ペプチドを発現させることが可能である。従って、本発明によって提供される本発明の抗菌ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNAセグメント、RNAセグメント等)は、培養組織の細菌感染を防止する薬剤として有用である。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1:抗菌ペプチドの合成>
計27種類のポリペプチド(サンプル1〜21、比較サンプル1〜7)を後述するペプチド合成機を用いて製造した。表1には、これらポリペプチドのアミノ酸配列を列挙している。
Figure 2005049819
表1に示すように、サンプル1〜21は、いずれも配列番号1〜9のいずれかに示す6アミノ酸残基から成るLBS配列(表1においてアンダーラインが付された部分)を有する。また、それらLBS配列のC末端側及び/又はN末端側に隣接して4〜10アミノ酸残基から成る抗菌関連配列を有する。表1においてイタリック体で示す部分である。すなわち、サンプル1,2,3,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19及び21は、LBS配列のN末端側に4〜9アミノ酸残基から成る高塩基性部分配列を有する。サンプル4,5,17及び20は、LBS配列のC末端側に4〜10アミノ酸残基から成る高塩基性部分配列を有する。このうちサンプル17は、LBS配列のC末端側とN末端側の両方にそれぞれ4アミノ酸残基から成る高塩基性部分配列を有する。また、サンプル20はLBS配列のC末端側に10アミノ酸残基から成る高塩基性部分配列を有するが、そのC末端の3アミノ酸残基「VGR」は、既知の抗菌ペプチド「プロテグリン−1」のC末端配列に相当し、本実施例に係る前記少なくとも1種の細菌又は真菌に対して抗菌性を発現し得るアミノ酸配列でもある。また、サンプル21はLBS配列のC末端側に3アミノ酸残基「KPV」を有する。このKPV配列はα−MSHのC末端配列に相当し、前記少なくとも1種の細菌又は真菌に対して抗菌性を発現し得るアミノ酸配列の好適例である。
サンプル1,6,7,8,9,10,11,12,14,16及び18は、ペプチド鎖のC末端にLBS配列及び抗菌関連配列の何れでもない1又は2アミノ酸残基が付加されている。一般にペプチド鎖のC末端にRを付加することによって抗菌性を向上させ得る。
一方、比較サンプル1はLBS配列(配列番号1)を有するが抗菌関連配列を有さない11アミノ酸残基のペプチドである。比較サンプル2はLBS配列及び抗菌関連配列の何れも有さない4アミノ酸残基のペプチドである。比較サンプル3はLBS配列(配列番号1)のみから成る6アミノ酸残基のペプチドである。比較サンプル4はLBS配列(配列番号6)を有するが抗菌関連配列を有さない12アミノ酸残基のペプチドである。比較サンプル5は2つのLBS配列(配列番号1,9)をタンデムに有するが抗菌関連配列を有さない14アミノ酸残基のペプチドである。比較サンプル6及び7は抗菌関連配列(高塩基性部分配列)を有するがLBS配列を有さないそれぞれ12アミノ酸残基のペプチドである。
表1に示すように、サンプル16を除き、C末端アミノ酸のカルボキシル基(−COOH)はアミド化(−CONH)されている。また、サンプル8のN末端のアミノ基はアセチル化(−Ac)されている。
上述した各ポリペプチド(何れも20アミノ酸残基以下)は、市販のペプチド合成機(PEPTIDE SYNTHESIZER 9050、PerSeptive Biosystems社製品)を用いて固相合成法(Fmoc法)により合成した。なお、縮合剤としてHATU(Applied Biosystems社製品)を使用し、固相合成法に用いた樹脂及びアミノ酸はNOVA biochem社から購入した。アミノ酸配列のC末端をアミド化する場合には、固相担体として「Rink Amide resin (100〜200 mesh)」 を使用した。
而して、上記ペプチド合成機の合成プログラムに準じて脱保護基反応及び縮合反応を反復して樹脂に結合するFmoc−アミノ酸からペプチド鎖を伸長していき、目的の鎖長の合成ペプチドを得た。具体的には、20%ピペリジン/ジメチルホルムアミド(DMF)(ペプチド合成用グレード、関東化学(株)製品)によって、アミノ酸のアミノ保護基であるFmocを切断除去し、DMFで洗浄し、Fmoc−アミノ酸(−OH)各4eqを反応させ、DMFで洗浄する操作を反復した。そして、ペプチド鎖の伸長反応が全て終了した後、20%ピペリジン/DMFによりFmoc基を切断し、DMF、メタノールの順で上記反応物を洗浄した。
固相合成後、合成したペプチド鎖を樹脂と共に遠沈管に移し、エタンジオール1.8mL、m−クレゾール0.6mL、チオアニソール3.6mL及びトリフルオロ酢酸24mLを加え、室温で2時間撹拌した。その後、ペプチド鎖に結合していた樹脂を濾過して除去した。
次いで、濾液に冷却エタノールを加え、氷冷水で冷却してペプチド沈澱物を得た。その後、遠心分離(2500rpmで5分間)によって上澄みを廃棄した。沈殿物に冷ジエチルエーテルを新たに加えて十分に撹拌した後、上記と同じ条件で遠心分離を行った。この撹拌と遠心分離の処理を計3回反復して行った。
得られたペプチド沈殿物を真空乾燥し、高速液体クロマトグラフ(Waters 600:Waters社製品)を用いて精製を行った。
具体的には、プレカラム(日本ウォーターズ(株)製品、Guard-Pak Delta-pak C18 A300)及びC18逆相カラム(日本ウォーターズ(株)製品、XTerra(登録商標)カラム、MS C18、5μm、4.6×150mm)を使用し、0.1%トリフルオロ酢酸水溶液と0.1%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液との混合液を溶離液に用いた。すなわち、溶離液に含まれる上記トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液の分量を経時的に増大させつつ(容積比で10%から80%への濃度勾配を設ける)、1.5mL/分の流速で上記カラムを用いて30〜40分間の分離精製を行った。なお、逆相カラムから溶離したペプチドは紫外線検出器(490E Detector:Waters社製品)を用いて波長:220nmで検出され、記録チャート上にピークとして示される。
また、溶離した各ポリペプチドの分子量をPerSeptive Biosystems社製のVoyager DE RP(商標)を用いてMALDI-TOF/MS(Matrix-Assisted Laser Desorption Time of Flight Mass Spectrometry:マトリックス支援レーザーイオン化−飛行時間型−質量分析)に基づいて決定した。その結果、目的のポリペプチドが合成・精製されていることが確認された。
<実施例2:合成ポリペプチドの抗菌活性(1)>
本発明に係る抗菌ペプチド(サンプル1〜20)について、グラム陰性細菌(大腸菌:E. coli IFO 3972)及びグラム陽性細菌(黄色ブドウ球菌:S. aureus IFO 12732)に対する抗菌活性(最小阻止濃度:MIC)を96穴(ウェル)マイクロプレートを用いた液体培地希釈法により求めた。
すなわち、先ず、滅菌蒸留水で最高試験濃度の40倍の濃度の薬剤(合成ポリペプチド)溶液を調製し、薬剤濃度が100、50、25、12.5、6.3、3.1、1.6及び0.8μMとなる液体肉汁培地(即ち、DIFCO社製品「ミューラーヒントンブロス(Mueller Hinton Broth)」のカチオンを以下のように調整した培地:CaCl2・2H2O3.68gを精製水100mLに溶解(10mg・Ca2+/mL)した後、その500μLをミューラーヒントンブロス100mLに添加し、且つ、MgCl2・6H2O8.36gを精製水100mLに溶解(10mg・Mg2+/mL)した後、その250μLを該ミューラーヒントンブロス100mLに添加したもの)をそれぞれ作製した。次いで、上記各濃度の薬剤含有液体肉汁培地を96穴マイクロプレートに100mLずつ充填した。
一方、37℃で18時間培養した寒天平板(DIFCO社製品「ミューラーヒントン寒天(Mueller Hinton Agar)」)上の被験菌体をループで掻き取り、滅菌生理食塩水に懸濁した。2×107cells/mL相当に調整した菌液5μLを上記マイクロプレートの各ウェルに充填されている薬剤溶液にそれぞれ接種した(試験菌数:1×106cells/mL)。接種後、37℃の恒温器内で培養を開始し、24時間後の濁度により菌発生の有無を調べた。その計測時における菌による濁度の増加が認められない最小薬剤濃度(ポリペプチド濃度)を本実施例におけるMIC(単位:μM)と定めた。結果を表2に示す。なお、比較対照としてポリミキシンBを使用して同様にMICを求めた。
Figure 2005049819
表2に示す結果から明らかなように、本発明に係るポリペプチド(サンプル1〜20)は、比較対照のポリペプチド(比較サンプル1〜7)と比べ、いずれも高い抗菌活性を示した。
特に、LBS配列として配列番号1に示すパリンドローム配列「LMWWML」を有するポリペプチドは高い抗菌活性が認められた。また、C末端がアミド化されたポリペプチド(サンプル1)は、C末端がアミド化されていない同配列のポリペプチド(サンプル16)よりも高い抗菌活性を示すことが確かめられた。表2に示す結果より、本発明の抗菌ペプチドが優れた抗菌活性と広い抗菌スペクトルとを有することが確かめられた。
<実施例3:合成ポリペプチドの抗菌活性(2)>
血清存在下におけるグラム陽性細菌(S. aureus)に対する抗菌活性(MIC)を実施例2と同様の手法により調べた。すなわち、先ず、滅菌蒸留水で最高試験濃度の40倍の濃度の薬剤(合成ポリペプチド)溶液を調製し、薬剤濃度が50、25、12.5、6.3、3.1、1.6及び0.8μMであり且つ質量比で培地全体の10%、20%又は50%となるようにウマ血清(日本バイオテスト社製品の濾過滅菌したもの)を添加した液体肉汁培地(即ち実施例2と同様にして予めカチオンを調整したミューラーヒントンブロス)をそれぞれ作製した。次いで、各濃度の薬剤及び血清含有液体肉汁培地を96穴マイクロプレートに100mLずつ充填し、実施例2と同様の手法でMICを求めた。結果を表3に示す。表中のサンプルXは、サンプル1とサンプル16を質量比1:1で混合したサンプルである。表中の−は未測定を示す。
表3に示す結果から明らかなように、本発明に係るポリペプチドは、比較対照のポリペプチドと比べ、血清存在下であっても高い抗菌活性を維持し得ることが確かめられた。従って、本発明の抗菌ペプチドは、血清のような有機物が比較的大量に存在する系(例えば血液中)での用途にも好適である。LBS配列とともに抗菌関連配列として前記少なくとも1種の細菌又は真菌に対して抗菌性を発現し得るアミノ酸配列(ここではKPV配列)と高塩基性部分配列の両方を含むサンプル21は、特に高い抗菌活性を示した。
Figure 2005049819
<実施例4:合成ポリペプチドの抗菌活性(3)>
本発明に係る抗菌ペプチドの真菌(Aspergillus niger IFO 6341)に対する抗菌活性を一般的な抗真菌剤感受性試験に準じて以下のようにして調べた。
すなわち、予め培養し、胞子(分生子)が着生しているスラント又は平板培地(DIFCO社製品「ポテト・デキストロース寒天」培地を標準的に使用した。)からA. niger(IFO 6341;JIS用試験菌株)を1μLディスポーザブルループで培地面を下から上に4〜5掻きして採取し、0.05%の界面活性剤(Tween(登録商標)80)含有PBS(Mg,Caフリー)溶液25mL中に入れた。そして、黒い胞子の固まりが完全になくなるようにメスピペット等を用いてピペッティングした。こうして調製した胞子浮遊液の胞子濃度を血球計算盤を用いて測定しつつ、上記界面活性剤含有PBS溶液で適宜希釈して、胞子濃度が約2.5×105個/mLの胞子浮遊液を得た。
一方、上記合成した2つのポリペプチド(サンプル1,3)及び抗真菌活性の比較対照とする塩化ベンザルコニウムをそれぞれ10mMのHEPESバッファー(pH7.0)に溶かし、薬剤濃度2.0mg/mLの原溶液を調製した。これらを順次希釈していき、薬剤(各ポリペプチド又は塩化ベンザルコニウム)濃度が400、200、100、50、25、5及び0.5μg/mLとなる各種の供試薬剤を調製した。
上記調製した薬剤及び胞子浮遊液を用いて、以下のように胞子発芽阻害試験及び菌糸成長阻害試験を行った。
先ず、胞子発芽阻害試験のため、上記各濃度の薬剤を96穴(ウェル)マイクロプレートに1ウェルあたり40μLずつ添加した。余った薬剤は後日行う菌糸成長阻害試験に使用するため、冷蔵庫(4℃)で保存した。
次に、上記胞子浮遊液10質量部に対し、アラマーブルー蛍光試薬(和光純薬(株)製品)を2質量部、及び0.165MのMOPSを含むRPMI1640培地(RPMI1640(Irvine Scientific社製品)5.2g及びNaHCO31.0gを滅菌蒸留水450mLに溶解後、MOPS17.12gを加えて撹拌し、NaOHを添加してpH7.0に調整した後、滅菌蒸留水を加えて500mLにフィルアップしたもの)を8質量部加えて調製した供試菌液を、上記薬剤を添加してあるウェルに160μLずつ添加した。更に、菌糸成長阻害試験用として薬剤を添加していない空のウェルにも160μLずつ添加した。添加後、湿潤環境下、30℃のインキュベータ内で16時間培養した。
培養開始から16時間後、プレートをインキュベータから取り出し、菌糸成長阻害試験用の各ウェル(即ち上記供試菌液のみ充填されたウェル)について顕微鏡で菌糸の発生(成長)の有無を確認した。菌糸発生(成長)の確認されたウェルについて上記冷蔵庫(4℃)で保存しておいた薬剤のいずれかを40μLずつ添加した。添加後、湿潤環境下、30℃のインキュベータ内にプレートを戻し、培養を継続した。
そして、培養開始から24時間後及び48時間後に、胞子発芽阻害試験用ウェル及び菌糸成長阻害試験用ウェルの培地の色を観察した。ここで、培地中に含まれるアラマーブルーが青色(酸化型)のままのものは抗菌活性有りとし、桃色(還元型)のものは抗菌活性無しと判断した。而して、酸化型(青色)と認められた最小薬剤濃度を本実施例に係る胞子発芽阻害試験及び菌糸成長阻害試験におけるMIC(最小発育阻害濃度)とした。結果を表4に示す。
Figure 2005049819
表4に示す結果から明らかなように、本発明に係るポリペプチドは、A. nigerのような真菌(カビ、酵母類)に対しても高い抗菌活性を発揮し得ることが確かめられた。従って、本発明によって、本明細書に開示される抗菌ペプチドのいずれかを主成分とする生体内或いは生体外で使用される抗真菌剤が提供される。
<実施例5:顆粒剤の調製>
サンプル1のポリペプチド50mgと結晶化セルロース50mg及び乳糖400mgとを混合した後、エタノールと水の混合液1mLを加え混練した。この混練物を常法に従って造粒し、抗菌ペプチドを主成分とする顆粒剤(顆粒状抗菌剤)を得た。
<実施例6:マウスに対する治療効果試験>
実施例1と同様のプロセスによって、アミノ酸配列がLKRKLQRVVYWLLである計13アミノ酸残基から成るポリペプチド(サンプル22)を合成した。このポリペプチドのC末端アミノ酸のカルボキシル基(−COOH)はアミド化(−CONH)されている。
また、このアミノ酸配列から明らかなように、この合成ポリペプチド(サンプル22)のC末端側の配列「VVYWLL」はサンプル9と同様のLBS配列を構成しており、該LBS配列よりもN末端側の配列「LKRKLQR」はサンプル15及び18と同様の抗菌関連配列(高塩基性部分配列)を構成している。
合成して得られたサンプル22の細菌(MRSA)感染マウスに対する治療効果を評価するために以下の試験を行った。
すなわち、試験開始1週間前からアムホテリシンB(AMPH:ブリストル・マイヤーズ社製品)及びテトラサイクリンを、濃度がそれぞれ10μg/mL(AMPH)及び2000μg/mL(テトラサイクリン)となるように飲み水に混ぜて飼育するとともに試験開始4日前から3日間は200mg/kgとなる量のシクロフォスアミドを腹腔内に投与して免疫が減弱したマウス(ICR、SLC、雄、5週齢)を作製した。
このマウスに対し、10%(w/v)ムチン液にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA、No.164株)を懸濁させて調製した菌懸濁液を、菌投与量がマウス1個体あたり約10セル(10cells/mouse)となるように経口摂取させ、MRSA感染を惹起した。
かかる菌接種の1時間後、10%アラビアゴム溶液に供試物質(即ちサンプル22のポリペプチド)を懸濁させて調製した抗菌剤を経口投与した。懸濁液の投与量は100mg/kgとした。被験マウスは試験1群(各試験群)あたり5匹とし、計5群で試験した。比較のため、10%アラビアゴム溶液にバンコマイシンを懸濁させて調製した抗菌剤を、同様の条件で被験マウスに経口投与した。
薬剤投与後、約24時間後に被験マウスを屠殺し、腸管の内容物を採取し、MRSAの菌数を調べた。すなわち、約0.2gの腸管内容物に1.8mLの生理食塩水を加えて撹拌した。そのうちの一定量を20μm/mL濃度のゲンタマイシン(GM)を含むマンニット寒天培地(日水製薬社製品)に塗抹し、37℃で3日間培養した。そして培地上に出現した菌数をカウントした。結果を表5に示す。
この表に示す結果から明らかなように、本実施例に係るサンプル22のポリペプチドを含む薬剤は、比較としてのバンコマイシンを含む薬剤と同等の効果を示した。
Figure 2005049819
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。

Claims (12)

  1. 天然に存在しない人為的に設計された抗菌ペプチドであって、
    ラミニン結合部位(LBS)を構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列、または該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列を有し、且つ、
    少なくとも1種の細菌又は真菌に対して抗菌性を発現し得るアミノ酸配列を有し、
    全アミノ酸残基数が100以下であることを特徴とする、抗菌ペプチド。
  2. 天然に存在しない人為的に設計された抗菌ペプチドであって、
    ラミニン結合部位(LBS)を構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列、または該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列を有し、且つ、
    前記配列のN末端側及び/又はC末端側に隣接する部分配列であって、3個以上の連続するアミノ酸残基から成り該配列を構成するアミノ酸残基の過半数はリジン又はアルギニンである高塩基性部分配列を有し、
    全アミノ酸残基数が100以下であることを特徴とする、抗菌ペプチド。
  3. 前記少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列が、配列番号1〜9のいずれかに示されるアミノ酸配列を含む配列である、請求項1又は2に記載の抗菌ペプチド。
  4. 前記少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列が、配列番号1〜9のいずれかに示されるアミノ酸配列である、請求項1又は2に記載の抗菌ペプチド。
  5. ペプチド鎖を構成する全アミノ酸残基数が20以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌ペプチド。
  6. 配列番号10〜30のいずれかに示されるアミノ酸配列または該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列を含む、請求項2に記載の抗菌ペプチド。
  7. 配列番号10〜30のいずれかに示されるアミノ酸配列または該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列から成る、請求項2に記載の抗菌ペプチド。
  8. 少なくとも一つのアミノ酸残基がアミド化されている、請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌ペプチド。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の抗菌ペプチドと、薬学的に許容され得る担体とを含む抗菌剤。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列及び/又は該配列と相補的なヌクレオチド配列を含む、天然に存在しない人為的に設計されたポリヌクレオチド。
  11. 抗菌ペプチドの製造方法であって:
    ラミニン結合部位(LBS)を構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列、または該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列を決定すること;
    前記決定した配列と少なくとも1種の細菌又は真菌に対して抗菌性を発現し得るアミノ酸配列とを有するペプチド鎖を設計すること;及び
    該設計したペプチド鎖を合成すること;
    を包含する方法。
  12. 抗菌ペプチドの製造方法であって:
    ラミニン結合部位(LBS)を構成するアミノ酸配列から選択される少なくとも6個の連続するアミノ酸残基から成る配列、または該配列のうち1若しくは複数のアミノ酸残基を同類置換した配列を決定すること;
    前記決定した配列と、そのN末端側及び/又はC末端側に隣接する部分配列であって3個以上の連続するアミノ酸残基から成り該配列を構成するアミノ酸残基の過半数はリジン又はアルギニンである高塩基性部分配列とを有するペプチド鎖を設計すること;及び
    該設計したペプチド鎖を合成すること;
    を包含する方法。
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