JPWO2005047560A1 - 結晶膜の製造方法、結晶膜付き基体の製造方法、および熱電変換素子の製造方法 - Google Patents

結晶膜の製造方法、結晶膜付き基体の製造方法、および熱電変換素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

熱電変換素子等の機能素子では、エピタキシャル成長に適した基体と使用に際して望ましい基体とが一致しないことがある。本発明では、基体上に形成した所定の層状構造を水蒸気の作用によって分離することとした。本発明の結晶膜の製造方法は、基体上に層状構造を含む結晶膜を前記層状構造が前記基体と接するようにエピタキシャル成長させる工程と、水蒸気供給源から供給される水蒸気をチャンバー内において前記層状構造に接触させる工程と、前記層状構造と前記基体とを分離することにより、前記結晶膜を得る工程と、を含む。そして、前記層状構造は、アルカリ金属を含む層と、Co,Fe,Ni,Mn,Ti,Cr,V,NbおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含む層と、を含む。

Description

本発明は、結晶膜および結晶膜付き基体の製造方法に関し、およびこの方法を用いた熱電変換素子の製造方法に関する。また、本発明は、エピタキシャル成長により得た結晶膜を熱電変換層として含む熱電変換素子に関する。
熱電発電は、ゼーベック効果、すなわち物質の両端に温度差を設けるとその温度差に比例して熱起電力が生じる現象、を利用して熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換する技術である。熱起電力は、外部に負荷を接続し、閉回路を構成することにより、電力として取り出される。この技術は、僻地用電源、宇宙用電源、軍事用電源等として実用化されている。
熱電冷却は、ペルチェ効果、すなわちキャリアの符号が異なる2つの物質、例えばp型半導体とn型半導体、を熱的に並列に、かつ電気的に直列に接続して電流を流したときに、キャリアの符号の違いが熱流の向きの違いに反映する現象、を利用して接合部を吸熱する技術である。この技術は、宇宙ステーションにおける電子機器の局所冷却装置、ワインクーラー等として実用化されている。
熱電変換材料の特性は、性能指数Zまたは絶対温度をかけて無次元化された性能指数ZTで評価される。ZTは、物質のS、ρ、κ、すなわちS:ゼーベック係数、ρ:電気抵抗率、κ:熱伝導率、を用い、ZT=S/ρκで記述される指数である。これを指標として、現在、優れた熱電変換性能を有する材料が探索されている。
熱電変換素子の新たな用途、例えば携帯電話、パソコン等の電子機器の局所冷却、ウエアラブル電子機器の発電装置、では、基体上に熱電変換材料を薄膜として形成した熱電変換素子が必要不可欠になると考えられている。基体とこの上に形成した熱電変換層とを含む熱電変換素子では、熱電変換層の熱伝導よりも基体の熱伝導が支配的になる。このため、高い性能指数を有する熱電変換材料からなる熱電変換層の両端に大きな温度差を生じさせても、基体の熱伝導がその温度差を緩和する。層の膜厚は高々数μmであるのに対し、基体の厚さは薄くても数百μmであるから、基体の熱伝導による性能の劣化は深刻である。
特開昭62−177985号公報には、一方の表面にp型熱電変換層を、他方の表面にn型熱電変換層をそれぞれ形成したガラスまたはセラミックスからなる基体を、接着剤を介して積層してなる熱電変換素子が開示されている。
特開平10−74987号公報には、フィルムの一方の表面にp型熱電変換層を、他方の表面にn型熱電変換層をそれぞれ形成した熱電変換素子が開示されている。フィルムとしては、金属フィルムとともに、ポリイミド等の合成樹脂からなるフィルムが開示されている。
ガラスや樹脂のような熱伝導率が低い基体を用いると、基体の熱伝導による熱電変換性能の劣化を抑制できる。しかし、樹脂やガラスを基体とすると、基体上に熱電変換層をエピタキシャル成長させることができない。このため、基体の熱伝導を抑制できても、熱電変換性能に優れた熱電変換層を形成できないという問題が残る。
この他、本発明に関連する文献として、特開2002−316898号公報を挙げることができる。この文献の実施例2には、窒化ガリウムが形成されたサファイア基板を水蒸気に曝して窒化ガリウムとサファイア基板とを分離することが開示されている。
上記の問題は、基体上にエピタキシャル成長させた良質の熱電変換層を基体から分離し、この熱電変換層を樹脂等からなる別の基体上に移動させれば解決する。エピタキシャル成長させた結晶膜を基体から剥がすことは容易ではないから、この結晶膜を基体から分離するには、現実には、プラズマエッチング等による基体の除去が必要となる。しかし、プラズマエッチング等による基体の除去では、薄膜が損傷しやすく、基体を再利用することもできない。可溶性の基体、または基体上に形成した可溶性の下地層の上に結晶膜を形成し、溶媒を用いて可溶性の基体や層を除去すれば、基体から分離した結晶膜を得ることはできる。しかし、可溶性の基体や層の材料には制限があるため、これらの上にエピタキシャル成長により熱電変換層を形成することは困難である。
熱電変換素子に限らず他の機能素子においても、エピタキシャル成長に適した基体と使用に際して望ましい基体とが一致しないことがある。そこで、本発明は、基体上にエピタキシャル成長により形成した薄膜をその基体から分離する新たな方法を提案し、この方法を用いる結晶膜の製造方法および結晶膜付き基体の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、この方法を用いる熱電変換素子の製造方法、および新たな熱電変換素子の提供にある。
本発明は、基体上に形成した所定の層状構造が水蒸気の作用によって分離するという新たな知見に基づいて完成された。すなわち、本発明の結晶膜の製造方法は、基体上に層状構造を含む結晶膜を前記層状構造が前記基体と接するようにエピタキシャル成長させる工程と、水蒸気供給源から供給される水蒸気をチャンバー内において前記層状構造に接触させる工程と、前記層状構造と前記基体とを分離することにより、前記結晶膜を得る工程と、を含む。
前記層状構造は、アルカリ金属を含む層と、Co,Fe,Ni,Mn,Ti,Cr,V,NbおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含む層と、を含むことを特徴とする。
本発明の結晶膜付き基体の製造方法は、第1の基体上に層状構造を含む結晶膜を前記層状構造が前記基体と接するようにエピタキシャル成長させる工程と、水蒸気供給源から供給される水蒸気をチャンバー内において前記層状構造に接触させる工程と、前記結晶膜と好ましくは樹脂またはガラスである第2の基体とを接触させながら、前記水蒸気と接触した層状構造と前記第1の基体とを分離することにより、前記結晶膜を前記第1の基体上から前記第2の基体上へと移動させる工程と、を含む。前記層状構造は、上記と同じ特徴を有する。
本発明の結晶膜付き基体の別の製造方法は、第1の基体上に層状構造を含む第1の結晶膜を前記層状構造が前記第1の基体と接するようにエピタキシャル成長させる工程と、第2の基体上に層状構造を含む第2の結晶膜を前記層状構造が前記第2の基体と接するようにエピタキシャル成長させる工程と、前記第1の結晶膜および前記第2の結晶膜と好ましくは樹脂またはガラスである第3の基体とが接触した状態で、水蒸気供給源から供給される水蒸気をチャンバー内において前記第1の結晶膜の層状構造および前記第2の結晶膜の層状構造に接触させる工程と、前記第1の結晶膜および前記第2の結晶膜と前記第3の基体との接触を保ちながら、前記第1の結晶膜と前記第1の基体および前記第2の結晶膜と前記第2の基体をそれぞれ分離することにより、前記第1の結晶膜および前記第2の結晶膜を前記第1の基体上および前記第2の基体上から前記第3の基体上へと移動させる工程と、を含む。前記層状構造は、上記と同じ特徴を有する。第1の結晶膜の層状構造および第2の結晶膜の層状構造への水蒸気の供給は、例えば、第1の結晶膜と第2の結晶膜とにより第3の基体を狭持した状態で行うとよい。
本発明は、さらに、熱電変換素子の製造方法を提供する。この製造方法の第1は、上記結晶膜の製造方法により、p型熱電変換層またはn型熱電変換層となる結晶膜を得る工程を含む方法である。この結晶膜は、樹脂またはガラスである基体上に配置して使用することが好ましい。上記製造方法の第2は、上記結晶膜付き基体の製造方法により、p型熱電変換層またはn型熱電変換層となる結晶膜が配置された結晶膜付き基体を得る工程を含む方法である。上記製造方法の第3は、上記結晶膜付き基体の別の製造方法により、p型熱電変換層となる第1の結晶膜およびn型熱電変換層となる第2の結晶膜が配置された結晶膜付き基体を得る工程を含む方法である。
また、本発明は、樹脂またはガラスからなり、第1面および前記第1面と反対側の第2面を有する基体と、前記第1面に配置されたp型熱電変換層と、前記第2面に配置されたn型熱電変換層と、前記p型熱電変換層と前記n型熱電変換層とを電気的に接続する電極と、を含み、前記p型熱電変換層および前記n型熱電変換層から選ばれる少なくとも一方が、エピタキシャル成長により得られた結晶方位がそろった薄膜である、熱電変換素子を提供する。
本発明により提供される別の熱電変換素子は、樹脂またはガラスからなる2以上の基体と、2以上のp型熱電変換層と、2以上のn型熱電変換層と、前記2以上のp型熱電変換層から選ばれる少なくとも1つと前記2以上のn型熱電変換層から選ばれる少なくとも1つとを電気的に接続する少なくとも1つの電極と、を含み、前記p型熱電変換層または前記n型熱電変換層と前記基体とが交互に配置されるように前記2以上のp型熱電変換層、前記2以上のn型熱電変換層および前記2以上の基体が積層され、前記2以上のp型熱電変換層および前記2以上のn型熱電変換層から選ばれる少なくとも1つが、エピタキシャル成長により得られた結晶方位がそろった薄膜である。
本発明の方法によれば、層状構造への水蒸気の作用によってエピタキシャル成長した結晶膜が基体から分離可能となる。この方法によれば、プラズマエッチング等による基体の除去を伴う分離とは異なり、薄膜に損傷を与えることがなく、薄膜の成長に用いた基体を再利用することもできる。本発明によれば、エピタキシャル成長させた良質の結晶膜を得ることができ、この結晶膜は、組成を適切に選択すれば、p型熱電変換層またはn型熱電変換層として機能する。こうして得た熱電変換層を用いると、熱伝導率が低い樹脂またはガラスからなる基体の上に、結晶方位がそろった良質の熱電変換層を配置した、優れた熱電変換性能を有する熱電変換素子を得ることができる。
[図1]図1は、エピタキシャル成長による膜の堆積工程の一例を示す断面図である。
[図2]図2は、層状構造と水蒸気とを接触させる工程の一例を示す断面図である。
[図3]図3は、水蒸気と接触させる積層体の一例を示す断面図である。
[図4]図4は、成長膜付き基体の一例(p型ユニット)を示す断面図である。
[図5]図5は、エピタキシャル成長による膜の堆積工程の別の例を示す断面図である。
[図6]図6は、水蒸気と接触させる積層体の別の例を示す断面図である。
[図7]図7は、成長膜付き基体の別の例を示す断面図である。
[図8]図8は、成長膜付き基体のまた別の例(n型ユニット)を示す断面図である。
[図9]図9は、成長膜付き基体の積層体の一例を示す断面図である。
[図10]図10は、熱電変換素子の一例を示す断面図である。
[図11]図11は、熱電変換素子の別の例を示す断面図である。
[図12]図12は、エピタキシャル成長による膜の堆積工程のまた別の例を示す断面図である。
[図13]図13は、層状構造と水蒸気とを接触させる工程の別の例を示す断面図である。
[図14]図14は、成長膜付き基体のまた別の例(p−nユニット)を示す断面図である。
[図15]図15は、図14に示した基体を用いて得た熱電変換素子の例を示す断面図である。
[図16]図16は、図15に示した素子の斜視図である。
[図17]図17は、熱電変換素子のまた別の例を示す平面図である。
[図18]図18は、熱電変換素子のさらに別の例を示す平面図である。
基体上にエピタキシャル成長した結晶膜を、機械的な応力のみにより、使用に耐えうる状態を保ちながら当該基体から分離することは不可能である。本発明では、結晶膜が所定の層状構造を含むようにエピタキシャル成長させ、この層状構造に、水蒸気を供給する処理を行うこととした。この処理により層状構造を含む結晶膜と基体とは分離可能となる。
現段階では、水蒸気との接触により上記層状構造が基体から分離可能となる理由の詳細を説明することはできない。しかし、水(液体状態にある水)との接触では、上記層状構造が基体から分離可能とならず、また溶解もせず基体上に残存することを考慮すると(後述する比較例を参照)、水蒸気との接触により分離可能となるのは、少なくとも、水分子の侵入に伴う層状構造の膨張が関与していると考えられる。この点において、特開2002−316898号公報とは決定的に異なる。この公報の実施例1では、液体状体の水を用いても窒化ガリウムとサファイア基板とを分離できると開示されている。
水蒸気と十分に接触させると、層状構造を含む結晶膜はごく小さな応力で基体から離れ、場合によっては自然に剥離する。基体の姿勢によっては、重力によって基体と結晶膜とが分離することもある。このように、本発明の方法における分離工程は、必ずしも、機械、人手等により行うことを要しない。また、基体と層状構造を含む結晶膜とを分離する応力を加えながら層状構造に水蒸気を接触させ、層状構造と基体とが当該応力により分離可能となった段階で直ちにこれらを分離してもよい。
層状構造は、アルカリ金属を含む層aと、Co,Fe,Ni,Mn,Ti,Cr,V,NbおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含む層bと、を含んでいればよく、例えば、層aと層bとが交互に積層した構造であってもよい。
このような層状構造には、それ自体が熱電変換機能を有するものがある。式ACoOにより示される層状構造はp型熱電変換層となる。ここで、Aはアルカリ金属、好ましくはナトリウムであり、xは0<x<1の範囲にある数値である。また、式A(Ti1−yCo)Oにより示される層状構造はn型熱電変換層となる。ここで、Aはアルカリ金属、好ましくはナトリウムであり、xは0<x<1の範囲にある数値であり、yは0<y<1の範囲にある数値である。例えば、NaCoO層は、強相関電子系による伝導層であるCoO層と、乱れた絶縁層であるNa層とが交互に積層した構造を有する。CoO層による高い電力因子とNa層による低い熱伝導率とにより、この層は優れた熱電変換特性を有する。
基体上にエピタキシャル成長させる結晶膜は、その全部が上記層状構造から構成されている必要はない。例えば、この結晶膜は、上記層状構造と、上記層状構造の上に形成された上記層状構造とは異なる構造とを含む膜であってもよい。この「異なる構造」は、上記層状構造の上にエピタキシャル成長させることが可能な膜であれば特に制限はなく、例えば、ペロブスカイト構造またはウルツ鉱構造が挙げられる。「異なる構造」を用いれば熱電変換特性以外の特性を結晶膜に導入することが容易となる。
上記層状構造の上に、ペロブスカイト構造を有する圧電層、例えばBaTiO、KNbO、NaNbO、Pb(Zr,Ti)O、Pb(Zn,N,Ti)O、Pb(Mg,Nb,Ti)O、(Pb,La)(Zr,Ti)O、を形成すると、圧電特性を有する結晶膜を得ることができる。
上記層状構造の上に、ペロブスカイト構造を有する焦電層、例えばBaTiO、LiNbO、LiTaO、(Pb,La)TiO、(Pb,Ca)TiO、を形成すると、焦電特性を有する結晶膜を得ることができる。
上記層状構造の上に、ペロブスカイト構造を有する誘電層、例えばBaTiO、(Ba,Sr)TiO、SrTiO、を形成すると、誘電特性を有する結晶膜を得ることができる。
上記「異なる構造」として、熱電変換機能を有する層、例えば、ウルツ鉱構造を有するAlをドープしたZnO層、を形成してもよい。
結晶膜を成長させるための基体(以下、「成長基体」ということがある)は、上記層状構造をエピタキシャル成長させることができる限り制限はなく、サファイア等のセラミック基板を適宜用いればよい。
結晶膜の成長のために用いる成膜法についても、層状構造を含む結晶膜のエピタキシャル成長が可能である限り特に制限はなく、スパッタリング法、レーザーアブレーション法、化学蒸着法(CVD法)等を適宜用いればよい。
結晶膜の膜厚は、結晶膜に付与すべき機能等に応じて適宜選択すればよい。本発明を適用すればごく薄い結晶膜であっても、成長基体から容易に分離できる。結晶膜の膜厚としては5nm以上を例示できる。
層状構造と水蒸気との接触はチャンバー内で行うとよい。水蒸気は、チャンバー内に配置した水蒸気供給源から供給するのが簡便であるが、チャンバー外に配置した水蒸気供給源から配管を介して水蒸気を供給してもよい。水蒸気供給源は、水蒸気が発生する限り特に制限はないが、水または水溶液で足りる。特に水蒸気供給源をチャンバー内に配置する場合には、チャンバーを密閉し、水または水溶液をチャンバー内に収容しておくとよい。密閉したチャンバーは、温度および湿度の制御に有利である。水蒸気の供給は、チャンバー内を加熱しながら行ってもよい。層状構造に接触する単位時間あたりの水蒸気量を増やすと、層状構造が分離可能となるまでに要する時間を相対的に短縮できるからである。
成長基体から分離した結晶膜は、用途に応じて選択した基体(以下、「使用基体」ということがある)上に配置して用いるとよい。熱電変換層については、上述の理由から、樹脂またはガラスからなる基体が使用基体としては適している。樹脂は、相対的に低い熱伝導率を有し、加工も容易であるため、特に好ましい使用基体である。使用基体上への結晶膜の固定は、必要に応じ、接着剤等を用いて行うとよい。
層状構造を含む結晶膜と使用基体との接触は、結晶膜を成長基体から分離する前後のいずれに行ってもよい。例えば、結晶膜を成長基体から完全に分離させ、その後、使用基体上に配置してもよい。また例えば、層状構造に水蒸気を接触させてから、あるいは水蒸気を接触させている間に、層状構造を含む結晶膜の表面に使用基体を押し当て、成長基体から分離して結晶膜を使用基体上に移動させてもよい。また例えば、層状構造を含む結晶膜と使用基体とを予め接触させてから、この層状構造に水蒸気を接触させてもよい。
さらに、層状構造を含む結晶膜により使用基体の両面を狭持した状態で層状構造に水蒸気を接触させてよい。この場合は、チャンバー内に、成長基体/結晶膜/使用基体/結晶膜/成長基体、からなる積層体を配置するとよい。
以下、図面を参照しながら、層状構造を含む結晶膜が熱電変換層である場合を例に挙げつつ、本発明について、より具体的に説明する。
図1に示すように、まず、上記所定構造を有する熱電変換層5を、スパッタリング法等の気相合成法を用いたエピタキシャル成長により、基体(成長基体)10上に形成する。ここでは、層全体が上記所定構造である熱電変換層5を用いた場合について説明するが、上記のとおり、この層5は、その上部が別の構造であってもよく、その上部によって他の機能を発現しうる層であってもよい。
次いで、図2に示すように、熱電変換層5を形成した基体10をチャンバー51内に配置する。チャンバー51内には、予め、水蒸気供給源となる水52と、水52の水面よりも上方に位置する保持面を備えた台53とを収容し、熱電変換層5を形成した基体10は台53の保持面に配置すればよい。チャンバー51を密閉して、所定の期間、例えば数日間、室温で放置すると、熱電変換層5が基体10から剥離する。チャンバー51の大きさに対して適当な量の水を収容するとチャンバー51内の相対湿度をほぼ100%に保持することができる。剥離までの期間を短縮すべき場合には、チャンバー51内を加熱すればよい。チャンバー51として恒温槽を用い、チャンバー51内の温度を70〜80℃に保持すると、熱電変換層5は2〜3時間で基体10から剥離する。
図3に示すように、成長基体10上に形成した熱電変換層5の上面に使用基体1を重ねた状態でチャンバー51内に配置してもよい。基体1と熱電変換層5との界面には接着剤を介在させてもよい。これによると、図4に示すように、基体10と熱電変換層5との剥離の後直ちに、基体1と、基体1上に配置された熱電変換層5とからなる結晶膜付き基体31が得られる。
図5に示すように、基体10上に成長させた上記層状構造を有する結晶膜5の上に、例えばペロブスカイト構造を有する結晶膜6をさらにエピタキシャル成長させてもよい。上記と同様、図6に示すように、結晶膜6の上面と使用基体1とが接する積層体としてからチャンバー内において水蒸気を供給すると、図7に示すように、基体1上に、ペロブスカイト構造を有する結晶膜6と上記層状構造を有する結晶膜5とが順次形成された結晶膜付き基体32を得ることができる。
ただし、上記で説明したように、使用基体1は、水蒸気を供給した後に、あるいは水蒸気を供給している間に、熱電変換層5または結晶膜6に接触させてもよい。
熱電変換素子を構成するためには、p型熱電変換層5を形成したp型ユニット31(図4参照)とともに、図8に示すように、n型熱電変換層7を形成したn型ユニット33を作製するとよい。このユニット33は、p型熱電変換層5に代えてn型熱電変換層7を成長基体1上に堆積することを除いては上記と同様にして作製できる。p型ユニット31とn型ユニット33とを交互に積層すると、図9に示すような積層体が得られる。
図10に示すように、この積層体に、p型熱電変換層5とn型熱電変換層7とを電気的に接続する電極9を基体1の端面に形成すると、熱電変換素子34が得られる。この素子34では、基体1と、p型熱電変換層5またはn型熱電変換層7とが交互に積層され、かつp型熱電変換層5とn型熱電変換層7とは交互に配置されている。これら熱電変換層5,7は、電極9とともに、p型熱電変換層5とn型熱電変換層7とが交互に配置された回路を構成し、この回路の両端にはヒートシンク8が配置されている。
この素子34における熱電変換層5,7は、すべてエピタキシャル成長により形成されたものであってその結晶方位は揃っている。上述した製法から明らかなように、使用基体1は熱電変換層5,7の受け皿としての役割を果たすのみであるから、その材料に対する制限は少なく、樹脂、ガラス等の熱伝導率が低い材料を使用できる。こうして、絶縁性に優れた基体1と、結晶性に優れた熱電変換層5,7とを用いた特性に優れた熱電変換素子34が得られる。
p型ユニット31とn型ユニット33とは必ずしも交互に積層する必要はない。図11に示すように、2以上のp型ユニット31の積層体と2以上のn型ユニット33の積層体とを重ね合わせた構成としてもよい。この場合は、2以上のp型熱電変換層5と2以上のn型熱電変換層7とを1つの電極9が電気的に接続する。こうして得た熱電変換素子35は、耐電流値が高く、層の破損の影響を受けにくい。
以上のように、熱電変換素子を作製するための一つの方法は、p型熱電変換層5となる結晶膜が配置されたp型ユニット31と、n型熱電変換層7となる結晶膜が配置されたn型ユニット33とを得て、これらユニット31,33を積層する方法である。この場合、2以上のp型ユニット31と2以上のn型ユニット33とを、p型熱電変換層5またはn型熱電変換層7と基体1とが交互に配置されるように積層するとよく、さらに2以上のp型ユニット31とn型ユニット33とを交互に積層してもよい。
2以上の熱電変換層を使用基体に同時に移動させることもできる。この移動のためには、まず、p型熱電変換層5をエピタキシャル成長させた基体10(図1参照)とともに、図12に示すように、n型熱電変換層7をエピタキシャル成長させた基体20を準備する。次いで、図13に示すように、使用基体1の第1面41にp型熱電変換層5が接し、この面41と反対側の第2面42にn型熱電変換層7が接するように、積層体をチャンバー51内の台53に置き、水52から熱電変換層5,7へと水蒸気を供給する。
こうして、p型熱電変換層5が基体10から、n型熱電変換層7が基体20からそれぞれ剥離して、図14に示すようなp型熱電変換層5とn型熱電変換層7とをともに含むp−nユニット36が得られる。このp−nユニット36に熱電変換層5,7を電気的に接続する電極9を形成すれば、図15および図16に示すような、基体1の第1面41にp型熱電変換層5が、この面41と反対側の第2面42にn型熱電変換層がそれぞれ配置された熱電変換素子37を得ることができる。
p−nユニット36の熱電変換層5,7を所定のパターンを描くように加工してもよい。この加工は、p型熱電変換層5およびn型熱電変換層7の一部を除去して所定のパターンとする工程により実施できる。例えば、図17に示すように、パターニングした熱電変換層5,7を互いに接続するように電極9を配置すれば、基体1の第1面41に配置された2以上のp型熱電変換層5と、第2面42に配置された2以上のn型熱電変換層7と、p型熱電変換層5とn型熱電変換層7とを電気的に接続する2以上の電極9とを含み、電極9がp型熱電変換層5とn型熱電変換層7とを交互に電気的に接続する熱電変換素子38を得ることができる。この素子38においても、回路の両端にヒートシンク8を配置することが好ましい。
この素子38では、基体1の第1面41および第2面42が第1端部43および第2端部44を有し、p型熱電変換層5およびn型熱電変換層7が第1端部43から第2端部44へと第1面41および第2面42を横断するように配置されている。この配置によれば、端部43,44に配置した電極9により、熱電変換層5,7を電気的に接続できる。
図18に示す熱電変換素子39では、基体1の第1面41および第2面42が2つの端部を有し、第1端部が内周端45を形成し、第2端部が外周端46を形成するリング状の面となっている。2以上のp型熱電変換層5および2以上のn型熱電変換層7は、これら端部45,46の間に配置されている。この素子39は、例えば、内周端45を熱流が通過するパイプの周りに配置すると、熱発電装置として機能する。また例えば、回路の端部に位置する電極9と直流電源とを接続することにより、例えば内周端45側を冷却し、外周端46側を放熱する冷却装置として機能する。また例えば内周端45側に集光する装置とともに用いると、内周端45側の温度の上昇により発生する起電力により赤外線を感知する赤外線センサーとしても使用できる。説明を省略したが、上記各熱電変換素子も、上記と同様、熱発電装置、局部冷却装置、赤外線センサー等として使用できる。
図14に示したp−nユニット36は、p型ユニット31とn型ユニット33とを用いて作製することもできる。この場合、p型ユニット31とn型ユニット33とを、p型熱電変換層5またはn型熱電変換層7が形成された面と反対側の面で互いに接合するとよい。こうして得た結合ユニットでは、p型熱電変換層5とn型熱電変換層7とが接合された基体1において互いに反対側の面に配置されたp−nユニットとなる。こうして得た結合ユニットを用いて、図17,図18に示したような熱電変換素子38,39を作製してもよい。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
スパッタリング法により、サファイア単結晶基板10上にNa0.5CoOで示されるp型熱電変換層5をエピタキシャル成長させ、別のサファイア単結晶基板10上にNa0.5(TiCo0.2)Oで示されるn型熱電変換層7をエピタキシャル成長させた。スパッタリング法は、組成が上記各式となるように秤量し、均一となるまで混合したターゲットを用い、ArガスとOガスとを3:1に混合した圧力5Paの雰囲気下で、基板温度を700℃に保持しながら実施した。約2時間のスパッタリングにより、両熱電変換層の厚みはともに約900nmとなった。
こうして得た2つの基板10を、図2と同様、水を収容したチャンバー内に封入し、70℃の恒温槽内で3時間放置した。その後、厚み0.1mmのアクリル板1を熱電変換層5,7の表面にそれぞれ押し当てて熱電変換層5,7をアクリル板1上に転写した。こうして、P型ユニット31およびn型ユニット33を得た。
さらに、両ユニット31,33を、熱電変換層5,7を形成した面と反対側の面をエポキシ系接着剤で互いに接合し、熱電変換層5,7が接続されるようにアクリル板1の端面に銀ペーストを塗布して電極9を形成した。こうして、ペルチェ型熱電変換素子37を作製した。
また、この素子37の両面の熱電変換層5,7を、電極を形成する前に、フォトリソグラフィー技術を適用してパターニングし、パターニングした熱電変換層5,7を互いに接続する位置に銀ペーストを塗布して電極9を形成し、さらにヒートシンク8を配置して、図17に示したようなペルチェ型熱電変換素子38を作製した。
n型熱電変換層7として、Na0.5(Ti0.8Co0.2)Oに代えて、Na0.5CoOで示される膜とAlを2%ドープしたZnO膜との2層膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、ペルチェ型熱電変換素子37,38を作製した。n型熱電変換層は、Na0.5CoOで示される膜を50nmエピタキシャル成長させた後、この膜の上に、c軸配向のAlドープZnO膜を900nmエピタキシャル成長させた。
なお、Na0.5CoOで示される膜の上には、AlドープZnO膜に代えて、(Sr0.9La0.1)TiOで示される膜をエピタキシャル成長させることもできた。この膜は(111)面にエピタキシャル成長した。
層状構造を有する膜として、Na0.5CoOではなくNa0.5(Ti0.8Co0.2)Oを用いた場合にも、AlドープZnO膜をエピタキシャル成長させることはできた。
(比較例1)
サファイア単結晶基板上にSr0.4CoOで示される膜をエピタキシャル成長させた。この膜もスパッタリング法により成膜した。スパッタリング法は、組成が上記式となるように秤量し、均一となるまで混合したターゲットを用い、ArガスとOガスとを3:1に混合した圧力3Paの雰囲気下で、基体温度を700℃に保持しながら実施した。約2時間のスパッタリングにより、上記の膜の厚みは約900nmとなった。
引き続き、この基板を実施例1と同様にしてチャンバー内に保持し、上記の膜に水蒸気を供給した。しかし、この膜は上記基板から剥離せず、基板から分離することはできなかった。
(比較例2)
実施例1と同様にして、p型熱電変換層を形成した基板とn型熱電変換層を形成した基板とを得た。これらの基板をチャンバー内の土台上ではなく水に浸漬した状態で保持したところ、熱電変換層は剥離せず、基板から分離することはできなかった。
本発明によれば、エピタキシャル成長させた良質の結晶膜を用いた各種素子における基体の制限を大幅に緩和できる。本発明によれば、例えば、良質な結晶性を有する熱電変化層と、熱伝導率が低い基体とを用いた熱電変化素子を得ることもできる。
本発明は、結晶膜および結晶膜付き基体の製造方法に関し、およびこの方法を用いた熱電変換素子の製造方法に関する。また、本発明は、エピタキシャル成長により得た結晶膜を熱電変換層として含む熱電変換素子に関する。
熱電発電は、ゼーベック効果、すなわち物質の両端に温度差を設けるとその温度差に比例して熱起電力が生じる現象、を利用して熱エネルギーを直接電気エネルギーに変換する技術である。熱起電力は、外部に負荷を接続し、閉回路を構成することにより、電力として取り出される。この技術は、僻地用電源、宇宙用電源、軍事用電源等として実用化されている。
熱電冷却は、ペルチェ効果、すなわちキャリアの符号が異なる2つの物質、例えばp型半導体とn型半導体、を熱的に並列に、かつ電気的に直列に接続して電流を流したときに、キャリアの符号の違いが熱流の向きの違いに反映する現象、を利用して接合部を吸熱する技術である。この技術は、宇宙ステーションにおける電子機器の局所冷却装置、ワインクーラー等として実用化されている。
熱電変換材料の特性は、性能指数Zまたは絶対温度をかけて無次元化された性能指数ZTで評価される。ZTは、物質のS、ρ、κ、すなわちS:ゼーベック係数、ρ:電気抵抗率、κ:熱伝導率、を用い、ZT=S2/ρκで記述される指数である。これを指標として、現在、優れた熱電変換性能を有する材料が探索されている。
熱電変換素子の新たな用途、例えば携帯電話、パソコン等の電子機器の局所冷却、ウエアラブル電子機器の発電装置、では、基体上に熱電変換材料を薄膜として形成した熱電変換素子が必要不可欠になると考えられている。基体とこの上に形成した熱電変換層とを含む熱電変換素子では、熱電変換層の熱伝導よりも基体の熱伝導が支配的になる。このため、高い性能指数を有する熱電変換材料からなる熱電変換層の両端に大きな温度差を生じさせても、基体の熱伝導がその温度差を緩和する。層の膜厚は高々数μmであるのに対し、基体の厚さは薄くても数百μmであるから、基体の熱伝導による性能の劣化は深刻である。
特開昭62−177985号公報には、一方の表面にp型熱電変換層を、他方の表面にn型熱電変換層をそれぞれ形成したガラスまたはセラミックスからなる基体を、接着剤を介して積層してなる熱電変換素子が開示されている。
特開平10−74987号公報には、フィルムの一方の表面にp型熱電変換層を、他方の表面にn型熱電変換層をそれぞれ形成した熱電変換素子が開示されている。フィルムとしては、金属フィルムとともに、ポリイミド等の合成樹脂からなるフィルムが開示されている。
ガラスや樹脂のような熱伝導率が低い基体を用いると、基体の熱伝導による熱電変換性能の劣化を抑制できる。しかし、樹脂やガラスを基体とすると、基体上に熱電変換層をエピタキシャル成長させることができない。このため、基体の熱伝導を抑制できても、熱電変換性能に優れた熱電変換層を形成できないという問題が残る。
この他、本発明に関連する文献として、特開2002−316898号公報を挙げることができる。この文献の実施例2には、窒化ガリウムが形成されたサファイア基板を水蒸気に曝して窒化ガリウムとサファイア基板とを分離することが開示されている。
上記の問題は、基体上にエピタキシャル成長させた良質の熱電変換層を基体から分離し、この熱電変換層を樹脂等からなる別の基体上に移動させれば解決する。エピタキシャル成長させた結晶膜を基体から剥がすことは容易ではないから、この結晶膜を基体から分離するには、現実には、プラズマエッチング等による基体の除去が必要となる。しかし、プラズマエッチング等による基体の除去では、薄膜が損傷しやすく、基体を再利用することもできない。可溶性の基体、または基体上に形成した可溶性の下地層の上に結晶膜を形成し、溶媒を用いて可溶性の基体や層を除去すれば、基体から分離した結晶膜を得ることはできる。しかし、可溶性の基体や層の材料には制限があるため、これらの上にエピタキシャル成長により熱電変換層を形成することは困難である。
熱電変換素子に限らず他の機能素子においても、エピタキシャル成長に適した基体と使用に際して望ましい基体とが一致しないことがある。そこで、本発明は、基体上にエピタキシャル成長により形成した薄膜をその基体から分離する新たな方法を提案し、この方法を用いる結晶膜の製造方法および結晶膜付き基体の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、この方法を用いる熱電変換素子の製造方法、および新たな熱電変換素子の提供にある。
本発明は、基体上に形成した所定の層状構造が水蒸気の作用によって分離するという新たな知見に基づいて完成された。すなわち、本発明の結晶膜の製造方法は、基体上に層状構造を含む結晶膜を前記層状構造が前記基体と接するようにエピタキシャル成長させる工程と、水蒸気供給源から供給される水蒸気をチャンバー内において前記層状構造に接触させる工程と、前記層状構造と前記基体とを分離することにより、前記結晶膜を得る工程と、を含む。
前記層状構造は、アルカリ金属を含む層と、Co,Fe,Ni,Mn,Ti,Cr,V,NbおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含む層と、を含むことを特徴とする。
本発明の結晶膜付き基体の製造方法は、第1の基体上に層状構造を含む結晶膜を前記層状構造が前記基体と接するようにエピタキシャル成長させる工程と、水蒸気供給源から供給される水蒸気をチャンバー内において前記層状構造に接触させる工程と、前記結晶膜と好ましくは樹脂またはガラスである第2の基体とを接触させながら、前記水蒸気と接触した層状構造と前記第1の基体とを分離することにより、前記結晶膜を前記第1の基体上から前記第2の基体上へと移動させる工程と、を含む。前記層状構造は、上記と同じ特徴を有する。
本発明の結晶膜付き基体の別の製造方法は、第1の基体上に層状構造を含む第1の結晶膜を前記層状構造が前記第1の基体と接するようにエピタキシャル成長させる工程と、第2の基体上に層状構造を含む第2の結晶膜を前記層状構造が前記第2の基体と接するようにエピタキシャル成長させる工程と、前記第1の結晶膜および前記第2の結晶膜と好ましくは樹脂またはガラスである第3の基体とが接触した状態で、水蒸気供給源から供給される水蒸気をチャンバー内において前記第1の結晶膜の層状構造および前記第2の結晶膜の層状構造に接触させる工程と、前記第1の結晶膜および前記第2の結晶膜と前記第3の基体との接触を保ちながら、前記第1の結晶膜と前記第1の基体および前記第2の結晶膜と前記第2の基体をそれぞれ分離することにより、前記第1の結晶膜および前記第2の結晶膜を前記第1の基体上および前記第2の基体上から前記第3の基体上へと移動させる工程と、を含む。前記層状構造は、上記と同じ特徴を有する。第1の結晶膜の層状構造および第2の結晶膜の層状構造への水蒸気の供給は、例えば、第1の結晶膜と第2の結晶膜とにより第3の基体を狭持した状態で行うとよい。
本発明は、さらに、熱電変換素子の製造方法を提供する。この製造方法の第1は、上記結晶膜の製造方法により、p型熱電変換層またはn型熱電変換層となる結晶膜を得る工程を含む方法である。この結晶膜は、樹脂またはガラスである基体上に配置して使用することが好ましい。上記製造方法の第2は、上記結晶膜付き基体の製造方法により、p型熱電変換層またはn型熱電変換層となる結晶膜が配置された結晶膜付き基体を得る工程を含む方法である。上記製造方法の第3は、上記結晶膜付き基体の別の製造方法により、p型熱電変換層となる第1の結晶膜およびn型熱電変換層となる第2の結晶膜が配置された結晶膜付き基体を得る工程を含む方法である。
また、本発明は、樹脂またはガラスからなり、第1面および前記第1面と反対側の第2面を有する基体と、前記第1面に配置されたp型熱電変換層と、前記第2面に配置されたn型熱電変換層と、前記p型熱電変換層と前記n型熱電変換層とを電気的に接続する電極と、を含み、前記p型熱電変換層および前記n型熱電変換層から選ばれる少なくとも一方が、エピタキシャル成長により得られた結晶方位がそろった薄膜である、熱電変換素子を提供する。
本発明により提供される別の熱電変換素子は、樹脂またはガラスからなる2以上の基体と、2以上のp型熱電変換層と、2以上のn型熱電変換層と、前記2以上のp型熱電変換層から選ばれる少なくとも1つと前記2以上のn型熱電変換層から選ばれる少なくとも1つとを電気的に接続する少なくとも1つの電極と、を含み、前記p型熱電変換層または前記n型熱電変換層と前記基体とが交互に配置されるように前記2以上のp型熱電変換層、前記2以上のn型熱電変換層および前記2以上の基体が積層され、前記2以上のp型熱電変換層および前記2以上のn型熱電変換層から選ばれる少なくとも1つが、エピタキシャル成長により得られた結晶方位がそろった薄膜である。
本発明の方法によれば、層状構造への水蒸気の作用によってエピタキシャル成長した結晶膜が基体から分離可能となる。この方法によれば、プラズマエッチング等による基体の除去を伴う分離とは異なり、薄膜に損傷を与えることがなく、薄膜の成長に用いた基体を再利用することもできる。本発明によれば、エピタキシャル成長させた良質の結晶膜を得ることができ、この結晶膜は、組成を適切に選択すれば、p型熱電変換層またはn型熱電変換層として機能する。こうして得た熱電変換層を用いると、熱伝導率が低い樹脂またはガラスからなる基体の上に、結晶方位がそろった良質の熱電変換層を配置した、優れた熱電変換性能を有する熱電変換素子を得ることができる。
基体上にエピタキシャル成長した結晶膜を、機械的な応力のみにより、使用に耐えうる状態を保ちながら当該基体から分離することは不可能である。本発明では、結晶膜が所定の層状構造を含むようにエピタキシャル成長させ、この層状構造に、水蒸気を供給する処理を行うこととした。この処理により層状構造を含む結晶膜と基体とは分離可能となる。
現段階では、水蒸気との接触により上記層状構造が基体から分離可能となる理由の詳細を説明することはできない。しかし、水(液体状態にある水)との接触では、上記層状構造が基体から分離可能とならず、また溶解もせず基体上に残存することを考慮すると(後述する比較例を参照)、水蒸気との接触により分離可能となるのは、少なくとも、水分子の侵入に伴う層状構造の膨張が関与していると考えられる。この点において、特開2002−316898号公報とは決定的に異なる。この公報の実施例1では、液体状体の水を用いても窒化ガリウムとサファイア基板とを分離できると開示されている。
水蒸気と十分に接触させると、層状構造を含む結晶膜はごく小さな応力で基体から離れ、場合によっては自然に剥離する。基体の姿勢によっては、重力によって基体と結晶膜とが分離することもある。このように、本発明の方法における分離工程は、必ずしも、機械、人手等により行うことを要しない。また、基体と層状構造を含む結晶膜とを分離する応力を加えながら層状構造に水蒸気を接触させ、層状構造と基体とが当該応力により分離可能となった段階で直ちにこれらを分離してもよい。
層状構造は、アルカリ金属を含む層aと、Co,Fe,Ni,Mn,Ti,Cr,V,NbおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含む層bと、を含んでいればよく、例えば、層aと層bとが交互に積層した構造であってもよい。
このような層状構造には、それ自体が熱電変換機能を有するものがある。式AxCoO2により示される層状構造はp型熱電変換層となる。ここで、Aはアルカリ金属、好ましくはナトリウムであり、xは0<x<1の範囲にある数値である。また、式Ax(Ti1-yCoy)O2により示される層状構造はn型熱電変換層となる。ここで、Aはアルカリ金属、好ましくはナトリウムであり、xは0<x<1の範囲にある数値であり、yは0<y<1の範囲にある数値である。例えば、NaxCoO2層は、強相関電子系による伝導層であるCoO2層と、乱れた絶縁層であるNa層とが交互に積層した構造を有する。CoO2層による高い電力因子とNa層による低い熱伝導率とにより、この層は優れた熱電変換特性を有する。
基体上にエピタキシャル成長させる結晶膜は、その全部が上記層状構造から構成されている必要はない。例えば、この結晶膜は、上記層状構造と、上記層状構造の上に形成された上記層状構造とは異なる構造とを含む膜であってもよい。この「異なる構造」は、上記層状構造の上にエピタキシャル成長させることが可能な膜であれば特に制限はなく、例えば、ペロブスカイト構造またはウルツ鉱構造が挙げられる。「異なる構造」を用いれば熱電変換特性以外の特性を結晶膜に導入することが容易となる。
上記層状構造の上に、ペロブスカイト構造を有する圧電層、例えばBaTiO3、KNbO3、NaNbO3、Pb(Zr,Ti)O3、Pb(Zn,N,Ti)O3、Pb(Mg,Nb,Ti)O3、(Pb,La)(Zr,Ti)O3、を形成すると、圧電特性を有する結晶膜を得ることができる。
上記層状構造の上に、ペロブスカイト構造を有する焦電層、例えばBaTiO3、LiNbO3、LiTaO3、(Pb,La)TiO3、(Pb,Ca)TiO3、を形成すると、焦電特性を有する結晶膜を得ることができる。
上記層状構造の上に、ペロブスカイト構造を有する誘電層、例えばBaTiO3、(Ba,Sr)TiO3、SrTiO3、を形成すると、誘電特性を有する結晶膜を得ることができる。
上記「異なる構造」として、熱電変換機能を有する層、例えば、ウルツ鉱構造を有するAlをドープしたZnO層、を形成してもよい。
結晶膜を成長させるための基体(以下、「成長基体」ということがある)は、上記層状構造をエピタキシャル成長させることができる限り制限はなく、サファイア等のセラミック基板を適宜用いればよい。
結晶膜の成長のために用いる成膜法についても、層状構造を含む結晶膜のエピタキシャル成長が可能である限り特に制限はなく、スパッタリング法、レーザーアブレーション法、化学蒸着法(CVD法)等を適宜用いればよい。
結晶膜の膜厚は、結晶膜に付与すべき機能等に応じて適宜選択すればよい。本発明を適用すればごく薄い結晶膜であっても、成長基体から容易に分離できる。結晶膜の膜厚としては5nm以上を例示できる。
層状構造と水蒸気との接触はチャンバー内で行うとよい。水蒸気は、チャンバー内に配置した水蒸気供給源から供給するのが簡便であるが、チャンバー外に配置した水蒸気供給源から配管を介して水蒸気を供給してもよい。水蒸気供給源は、水蒸気が発生する限り特に制限はないが、水または水溶液で足りる。特に水蒸気供給源をチャンバー内に配置する場合には、チャンバーを密閉し、水または水溶液をチャンバー内に収容しておくとよい。密閉したチャンバーは、温度および湿度の制御に有利である。水蒸気の供給は、チャンバー内を加熱しながら行ってもよい。層状構造に接触する単位時間あたりの水蒸気量を増やすと、層状構造が分離可能となるまでに要する時間を相対的に短縮できるからである。
成長基体から分離した結晶膜は、用途に応じて選択した基体(以下、「使用基体」ということがある)上に配置して用いるとよい。熱電変換層については、上述の理由から、樹脂またはガラスからなる基体が使用基体としては適している。樹脂は、相対的に低い熱伝導率を有し、加工も容易であるため、特に好ましい使用基体である。使用基体上への結晶膜の固定は、必要に応じ、接着剤等を用いて行うとよい。
層状構造を含む結晶膜と使用基体との接触は、結晶膜を成長基体から分離する前後のいずれに行ってもよい。例えば、結晶膜を成長基体から完全に分離させ、その後、使用基体上に配置してもよい。また例えば、層状構造に水蒸気を接触させてから、あるいは水蒸気を接触させている間に、層状構造を含む結晶膜の表面に使用基体を押し当て、成長基体から分離して結晶膜を使用基体上に移動させてもよい。また例えば、層状構造を含む結晶膜と使用基体とを予め接触させてから、この層状構造に水蒸気を接触させてもよい。
さらに、層状構造を含む結晶膜により使用基体の両面を狭持した状態で層状構造に水蒸気を接触させてよい。この場合は、チャンバー内に、成長基体/結晶膜/使用基体/結晶膜/成長基体、からなる積層体を配置するとよい。
以下、図面を参照しながら、層状構造を含む結晶膜が熱電変換層である場合を例に挙げつつ、本発明について、より具体的に説明する。
図1に示すように、まず、上記所定構造を有する熱電変換層5を、スパッタリング法等の気相合成法を用いたエピタキシャル成長により、基体(成長基体)10上に形成する。ここでは、層全体が上記所定構造である熱電変換層5を用いた場合について説明するが、上記のとおり、この層5は、その上部が別の構造であってもよく、その上部によって他の機能を発現しうる層であってもよい。
次いで、図2に示すように、熱電変換層5を形成した基体10をチャンバー51内に配置する。チャンバー51内には、予め、水蒸気供給源となる水52と、水52の水面よりも上方に位置する保持面を備えた台53とを収容し、熱電変換層5を形成した基体10は台53の保持面に配置すればよい。チャンバー51を密閉して、所定の期間、例えば数日間、室温で放置すると、熱電変換層5が基体10から剥離する。チャンバー51の大きさに対して適当な量の水を収容するとチャンバー51内の相対湿度をほぼ100%に保持することができる。剥離までの期間を短縮すべき場合には、チャンバー51内を加熱すればよい。チャンバー51として恒温槽を用い、チャンバー51内の温度を70〜80℃に保持すると、熱電変換層5は2〜3時間で基体10から剥離する。
図3に示すように、成長基体10上に形成した熱電変換層5の上面に使用基体1を重ねた状態でチャンバー51内に配置してもよい。基体1と熱電変換層5との界面には接着剤を介在させてもよい。これによると、図4に示すように、基体10と熱電変換層5との剥離の後直ちに、基体1と、基体1上に配置された熱電変換層5とからなる結晶膜付き基体31が得られる。
図5に示すように、基体10上に成長させた上記層状構造を有する結晶膜5の上に、例えばペロブスカイト構造を有する結晶膜6をさらにエピタキシャル成長させてもよい。上記と同様、図6に示すように、結晶膜6の上面と使用基体1とが接する積層体としてからチャンバー内において水蒸気を供給すると、図7に示すように、基体1上に、ペロブスカイト構造を有する結晶膜6と上記層状構造を有する結晶膜5とが順次形成された結晶膜付き基体32を得ることができる。
ただし、上記で説明したように、使用基体1は、水蒸気を供給した後に、あるいは水蒸気を供給している間に、熱電変換層5または結晶膜6に接触させてもよい。
熱電変換素子を構成するためには、p型熱電変換層5を形成したp型ユニット31(図4参照)とともに、図8に示すように、n型熱電変換層7を形成したn型ユニット33を作製するとよい。このユニット33は、p型熱電変換層5に代えてn型熱電変換層7を成長基体1上に堆積することを除いては上記と同様にして作製できる。p型ユニット31とn型ユニット33とを交互に積層すると、図9に示すような積層体が得られる。
図10に示すように、この積層体に、p型熱電変換層5とn型熱電変換層7とを電気的に接続する電極9を基体1の端面に形成すると、熱電変換素子34が得られる。この素子34では、基体1と、p型熱電変換層5またはn型熱電変換層7とが交互に積層され、かつp型熱電変換層5とn型熱電変換層7とは交互に配置されている。これら熱電変換層5,7は、電極9とともに、p型熱電変換層5とn型熱電変換層7とが交互に配置された回路を構成し、この回路の両端にはヒートシンク8が配置されている。
この素子34における熱電変換層5,7は、すべてエピタキシャル成長により形成されたものであってその結晶方位は揃っている。上述した製法から明らかなように、使用基体1は熱電変換層5,7の受け皿としての役割を果たすのみであるから、その材料に対する制限は少なく、樹脂、ガラス等の熱伝導率が低い材料を使用できる。こうして、絶縁性に優れた基体1と、結晶性に優れた熱電変換層5,7とを用いた特性に優れた熱電変換素子34が得られる。
p型ユニット31とn型ユニット33とは必ずしも交互に積層する必要はない。図11に示すように、2以上のp型ユニット31の積層体と2以上のn型ユニット33の積層体とを重ね合わせた構成としてもよい。この場合は、2以上のp型熱電変換層5と2以上のn型熱電変換層7とを1つの電極9が電気的に接続する。こうして得た熱電変換素子35は、耐電流値が高く、層の破損の影響を受けにくい。
以上のように、熱電変換素子を作製するための一つの方法は、p型熱電変換層5となる結晶膜が配置されたp型ユニット31と、n型熱電変換層7となる結晶膜が配置されたn型ユニット33とを得て、これらユニット31,33を積層する方法である。この場合、2以上のp型ユニット31と2以上のn型ユニット33とを、p型熱電変換層5またはn型熱電変換層7と基体1とが交互に配置されるように積層するとよく、さらに2以上のp型ユニット31とn型ユニット33とを交互に積層してもよい。
2以上の熱電変換層を使用基体に同時に移動させることもできる。この移動のためには、まず、p型熱電変換層5をエピタキシャル成長させた基体10(図1参照)とともに、図12に示すように、n型熱電変換層7をエピタキシャル成長させた基体20を準備する。次いで、図13に示すように、使用基体1の第1面41にp型熱電変換層5が接し、この面41と反対側の第2面42にn型熱電変換層7が接するように、積層体をチャンバー51内の台53に置き、水52から熱電変換層5,7へと水蒸気を供給する。
こうして、p型熱電変換層5が基体10から、n型熱電変換層7が基体20からそれぞれ剥離して、図14に示すようなp型熱電変換層5とn型熱電変換層7とをともに含むp−nユニット36が得られる。このp−nユニット36に熱電変換層5,7を電気的に接続する電極9を形成すれば、図15および図16に示すような、基体1の第1面41にp型熱電変換層5が、この面41と反対側の第2面42にn型熱電変換層がそれぞれ配置された熱電変換素子37を得ることができる。
p−nユニット36の熱電変換層5,7を所定のパターンを描くように加工してもよい。この加工は、p型熱電変換層5およびn型熱電変換層7の一部を除去して所定のパターンとする工程により実施できる。例えば、図17に示すように、パターニングした熱電変換層5,7を互いに接続するように電極9を配置すれば、基体1の第1面41に配置された2以上のp型熱電変換層5と、第2面42に配置された2以上のn型熱電変換層7と、p型熱電変換層5とn型熱電変換層7とを電気的に接続する2以上の電極9とを含み、電極9がp型熱電変換層5とn型熱電変換層7とを交互に電気的に接続する熱電変換素子38を得ることができる。この素子38においても、回路の両端にヒートシンク8を配置することが好ましい。
この素子38では、基体1の第1面41および第2面42が第1端部43および第2端部44を有し、p型熱電変換層5およびn型熱電変換層7が第1端部43から第2端部44へと第1面41および第2面42を横断するように配置されている。この配置によれば、端部43,44に配置した電極9により、熱電変換層5,7を電気的に接続できる。
図18に示す熱電変換素子39では、基体1の第1面41および第2面42が2つの端部を有し、第1端部が内周端45を形成し、第2端部が外周端46を形成するリング状の面となっている。2以上のp型熱電変換層5および2以上のn型熱電変換層7は、これら端部45,46の間に配置されている。この素子39は、例えば、内周端45を熱流が通過するパイプの周りに配置すると、熱発電装置として機能する。また例えば、回路の端部に位置する電極9と直流電源とを接続することにより、例えば内周端45側を冷却し、外周端46側を放熱する冷却装置として機能する。また例えば内周端45側に集光する装置とともに用いると、内周端45側の温度の上昇により発生する起電力により赤外線を感知する赤外線センサーとしても使用できる。説明を省略したが、上記各熱電変換素子も、上記と同様、熱発電装置、局部冷却装置、赤外線センサー等として使用できる。
図14に示したp−nユニット36は、p型ユニット31とn型ユニット33とを用いて作製することもできる。この場合、p型ユニット31とn型ユニット33とを、p型熱電変換層5またはn型熱電変換層7が形成された面と反対側の面で互いに接合するとよい。こうして得た結合ユニットでは、p型熱電変換層5とn型熱電変換層7とが接合された基体1において互いに反対側の面に配置されたp−nユニットとなる。こうして得た結合ユニットを用いて、図17,図18に示したような熱電変換素子38,39を作製してもよい。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
スパッタリング法により、サファイア単結晶基板10上にNa0.5CoO2で示されるp型熱電変換層5をエピタキシャル成長させ、別のサファイア単結晶基板10上にNa0.5(Ti0.8Co0.2)O2で示されるn型熱電変換層7をエピタキシャル成長させた。スパッタリング法は、組成が上記各式となるように秤量し、均一となるまで混合したターゲットを用い、ArガスとO2ガスとを3:1に混合した圧力5Paの雰囲気下で、基板温度を700℃に保持しながら実施した。約2時間のスパッタリングにより、両熱電変換層の厚みはともに約900nmとなった。
こうして得た2つの基板10を、図2と同様、水を収容したチャンバー内に封入し、70℃の恒温槽内で3時間放置した。その後、厚み0.1mmのアクリル板1を熱電変換層5,7の表面にそれぞれ押し当てて熱電変換層5,7をアクリル板1上に転写した。こうして、P型ユニット31およびn型ユニット33を得た。
さらに、両ユニット31,33を、熱電変換層5,7を形成した面と反対側の面をエポキシ系接着剤で互いに接合し、熱電変換層5,7が接続されるようにアクリル板1の端面に銀ペーストを塗布して電極9を形成した。こうして、ペルチェ型熱電変換素子37を作製した。
また、この素子37の両面の熱電変換層5,7を、電極を形成する前に、フォトリソグラフィー技術を適用してパターニングし、パターニングした熱電変換層5,7を互いに接続する位置に銀ペーストを塗布して電極9を形成し、さらにヒートシンク8を配置して、図17に示したようなペルチェ型熱電変換素子38を作製した。
(実施例2)
n型熱電変換層7として、Na0.5(Ti0.8Co0.2)O2に代えて、Na0.5CoO2で示される膜とAlを2%ドープしたZnO膜との2層膜を形成した以外は、実施例1と同様にして、ペルチェ型熱電変換素子37,38を作製した。n型熱電変換層は、Na0.5CoO2で示される膜を50nmエピタキシャル成長させた後、この膜の上に、c軸配向のAlドープZnO膜を900nmエピタキシャル成長させた。
なお、Na0.5CoO2で示される膜の上には、AlドープZnO膜に代えて、(Sr0.9La0.1)TiO3で示される膜をエピタキシャル成長させることもできた。この膜は(111)面にエピタキシャル成長した。
層状構造を有する膜として、Na0.5CoO2ではなくNa0.5(Ti0.8Co0.2)O2を用いた場合にも、AlドープZnO膜をエピタキシャル成長させることはできた。
(比較例1)
サファイア単結晶基板上にSr0.4CoO2で示される膜をエピタキシャル成長させた。この膜もスパッタリング法により成膜した。スパッタリング法は、組成が上記式となるように秤量し、均一となるまで混合したターゲットを用い、ArガスとO2ガスとを3:1に混合した圧力3Paの雰囲気下で、基体温度を700℃に保持しながら実施した。約2時間のスパッタリングにより、上記の膜の厚みは約900nmとなった。
引き続き、この基板を実施例1と同様にしてチャンバー内に保持し、上記の膜に水蒸気を供給した。しかし、この膜は上記基板から剥離せず、基板から分離することはできなかった。
(比較例2)
実施例1と同様にして、p型熱電変換層を形成した基板とn型熱電変換層を形成した基板とを得た。これらの基板をチャンバー内の土台上ではなく水に浸漬した状態で保持したところ、熱電変換層は剥離せず、基板から分離することはできなかった。
本発明によれば、エピタキシャル成長させた良質の結晶膜を用いた各種素子における基体の制限を大幅に緩和できる。本発明によれば、例えば、良質な結晶性を有する熱電変化層と、熱伝導率が低い基体とを用いた熱電変化素子を得ることもできる。
図1は、エピタキシャル成長による膜の堆積工程の一例を示す断面図である。 図2は、層状構造と水蒸気とを接触させる工程の一例を示す断面図である。 図3は、水蒸気と接触させる積層体の一例を示す断面図である。 図4は、成長膜付き基体の一例(p型ユニット)を示す断面図である。 図5は、エピタキシャル成長による膜の堆積工程の別の例を示す断面図である。 図6は、水蒸気と接触させる積層体の別の例を示す断面図である。 図7は、成長膜付き基体の別の例を示す断面図である。 図8は、成長膜付き基体のまた別の例(n型ユニット)を示す断面図である。 図9は、成長膜付き基体の積層体の一例を示す断面図である。 図10は、熱電変換素子の一例を示す断面図である。 図11は、熱電変換素子の別の例を示す断面図である。 図12は、エピタキシャル成長による膜の堆積工程のまた別の例を示す断面図である。 図13は、層状構造と水蒸気とを接触させる工程の別の例を示す断面図である。 図14は、成長膜付き基体のまた別の例(p−nユニット)を示す断面図である。 図15は、図14に示した基体を用いて得た熱電変換素子の例を示す断面図である。 図16は、図15に示した素子の斜視図である。 図17は、熱電変換素子のまた別の例を示す平面図である。 図18は、熱電変換素子のさらに別の例を示す平面図である。
本発明は、結晶膜および結晶膜付き基体の製造方法に関し、およびこの方法を用いた熱電変換素子の製造方法に関する
熱電変換素子に限らず他の機能素子においても、エピタキシャル成長に適した基体と使用に際して望ましい基体とが一致しないことがある。そこで、本発明は、基体上にエピタキシャル成長により形成した薄膜をその基体から分離する新たな方法を提案し、この方法を用いる結晶膜の製造方法および結晶膜付き基体の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、この方法を用いる熱電変換素子の製造方法の提供にある。
本発明によれば、エピタキシャル成長させた良質の結晶膜を用いた各種素子における基体の制限を大幅に緩和できる。本発明によれば、例えば、良質な結晶性を有する熱電変換層と、熱伝導率が低い基体とを用いた熱電変換素子を得ることもできる。

Claims (50)

  1. 基体上に層状構造を含む結晶膜を前記層状構造が前記基体と接するようにエピタキシャル成長させる工程と、
    水蒸気供給源から供給される水蒸気をチャンバー内において前記層状構造に接触させる工程と、
    前記水蒸気と接触した層状構造と前記基体とを分離することにより、前記結晶膜を得る工程と、を含み、
    前記層状構造が、アルカリ金属を含む層と、Co,Fe,Ni,Mn,Ti,Cr,V,NbおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含む層と、を含む、結晶膜の製造方法。
  2. 前記層状構造が式ACoOにより示される請求項1に記載の製造方法。
    ただし、Aはアルカリ金属であり、xは0<x<1の範囲にある数値である。
  3. 前記層状構造が式A(Ti1−yCo)Oにより示される請求項1に記載の製造方法。
    ただし、Aはアルカリ金属であり、xは0<x<1の範囲にある数値であり、yは0<y<1の範囲にある数値である。
  4. 前記結晶膜が、前記層状構造と、前記層状構造の上に形成された前記層状構造とは異なる構造とを含む請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記異なる構造がペロブスカイト構造またはウルツ鉱構造である請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記チャンバー内に配置した前記水蒸気供給源から前記水蒸気を供給する請求項1に記載の製造方法。
  7. 前記水蒸気供給源が水または水溶液である請求項6に記載の製造方法。
  8. 第1の基体上に層状構造を含む結晶膜を前記層状構造が前記基体と接するようにエピタキシャル成長させる工程と、
    水蒸気供給源から供給される水蒸気をチャンバー内において前記層状構造に接触させる工程と、
    前記結晶膜と第2の基体とを接触させながら、前記水蒸気と接触した層状構造と前記第1の基体とを分離することにより、前記結晶膜を前記第1の基体上から前記第2の基体上へと移動させる工程と、を含み、
    前記層状構造が、アルカリ金属を含む層と、Co,Fe,Ni,Mn,Ti,Cr,V,NbおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含む層と、を含む、結晶膜付き基体の製造方法。
  9. 前記第2の基体が、樹脂またはガラスである請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記層状構造が式ACoOにより示される請求項8に記載の製造方法。
    ただし、Aはアルカリ金属であり、xは0<x<1の範囲にある数値である。
  11. 前記層状構造が式A(Ti1−yCo)Oにより示される請求項8に記載の製造方法。
    ただし、Aはアルカリ金属であり、xは0<x<1の範囲にある数値であり、yは0<y<1の範囲にある数値である。
  12. 前記結晶膜が、前記層状構造と、前記層状構造の上に形成された前記層状構造とは異なる構造とを含む請求項8に記載の製造方法。
  13. 前記異なる構造がペロブスカイト構造またはウルツ鉱構造である請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記チャンバー内に配置した前記水蒸気供給源から前記水蒸気を供給する請求項8に記載の製造方法。
  15. 前記水蒸気供給源が水または水溶液である請求項14に記載の製造方法。
  16. 第1の基体上に層状構造を含む第1の結晶膜を前記層状構造が前記第1の基体と接するようにエピタキシャル成長させる工程と、
    第2の基体上に層状構造を含む第2の結晶膜を前記層状構造が前記第2の基体と接するようにエピタキシャル成長させる工程と、
    前記第1の結晶膜および前記第2の結晶膜と第3の基体とが接触した状態で、水蒸気供給源から供給される水蒸気をチャンバー内において前記第1の結晶膜の層状構造および前記第2の結晶膜の層状構造に接触させる工程と、
    前記第1の結晶膜および前記第2の結晶膜と前記第3の基体との接触を保ちながら、前記第1の結晶膜と前記第1の基体および前記第2の結晶膜と前記第2の基体をそれぞれ分離することにより、前記第1の結晶膜および前記第2の結晶膜を前記第1の基体上および前記第2の基体上から前記第3の基体上へと移動させる工程と、を含み、
    前記層状構造が、アルカリ金属を含む層と、Co,Fe,Ni,Mn,Ti,Cr,V,NbおよびMoからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含む層と、を含む、結晶膜付き基体の製造方法。
  17. 前記第1の結晶膜と前記第2の結晶膜とにより前記第3の基体を狭持した状態で、前記水蒸気を前記第1の結晶膜の層状構造および前記第2の結晶膜の層状構造に接触させる請求項16に記載の製造方法。
  18. 前記第3の基体が、樹脂またはガラスである請求項16に記載の製造方法。
  19. 前記層状構造が式ACoOまたは式A(Ti1−yCo)Oにより示される請求項16に記載の製造方法。
    ただし、Aはアルカリ金属であり、xは0<x<1の範囲にある数値であり、yは0<y<1の範囲にある数値である。
  20. 前記結晶膜が、前記層状構造と、前記層状構造の上に形成された前記層状構造とは異なる構造とを含む請求項16に記載の製造方法。
  21. 前記異なる構造がペロブスカイト構造またはウルツ鉱構造である請求項20に記載の製造方法。
  22. 前記チャンバー内に配置した前記水蒸気供給源から前記水蒸気を供給する請求項16に記載の製造方法。
  23. 前記水蒸気供給源が水または水溶液である請求項22に記載の製造方法。
  24. 請求項1に記載の方法により、p型熱電変換層またはn型熱電変換層となる結晶膜を得る工程を含む、熱電変換素子の製造方法。
  25. 前記結晶膜を樹脂またはガラスである基体上に配置する工程をさらに含む請求項24に記載の製造方法。
  26. 請求項8に記載の方法により、p型熱電変換層またはn型熱電変換層となる結晶膜が配置された結晶膜付き基体を得る工程を含む、熱電変換素子の製造方法。
  27. 前記結晶膜付き基体を得る工程において、p型熱電変換層となる結晶膜が配置されたp型ユニットと、n型熱電変換層となる結晶膜が配置されたn型ユニットとを得て、
    前記p型ユニットと前記n型ユニットとを積層する工程をさらに含む請求項26に記載の製造方法。
  28. 2以上のp型ユニットと2以上のn型ユニットとをp型熱電変換層またはn型熱電変換と基体とが交互に配置されるように積層する請求項27に記載の製造方法。
  29. 前記2以上のp型ユニットと前記2以上のn型ユニットとを交互に積層する請求項28に記載の製造方法。
  30. 前記p型ユニットと前記n型ユニットとをp型熱電変換層またはn型熱電変換層が形成された面と反対側の基体の面で互いに接合することにより、前記p型熱電変換層と前記n型熱電変換層とが接合された基体において互いに反対側の面に配置された結合ユニットを得る、請求項27に記載の製造方法。
  31. 前記p型熱電変換層および前記n型熱電変換層の一部を除去して所定のパターンとする工程をさらに含む請求項30に記載の製造方法。
  32. 前記p型熱電変換層と前記n型熱電変換層とを電気的に接続する電極を形成する工程をさらに含む請求項27に記載の製造方法。
  33. 樹脂またはガラスである基体の上に結晶膜が配置された結晶膜付き基体を得る請求項26に記載の製造方法。
  34. 請求項16に記載の方法により、p型熱電変換層となる第1の結晶膜およびn型熱電変換層となる第2の結晶膜が配置された結晶膜付き基体を得る工程を含む、熱電変換素子の製造方法。
  35. 第1面にp型熱電変換層が配置され、前記第1面と反対側の第2面にn型熱電変換層が配置された結晶膜付き基体を得る請求項34に記載の製造方法。
  36. 前記p型熱電変換層および前記n型熱電変換層の一部を除去して所定のパターンとする工程をさらに含む請求項34に記載の製造方法。
  37. 前記p型熱電変換層と前記n型熱電変換層とを電気的に接続する電極を形成する工程をさらに含む請求項34に記載の製造方法。
  38. 樹脂またはガラスである基体の上に結晶膜が配置された結晶膜付き基体を得る請求項34に記載の製造方法。
  39. 樹脂またはガラスからなり、第1面および前記第1面と反対側の第2面を有する基体と、
    前記第1面に配置されたp型熱電変換層と、
    前記第2面に配置されたn型熱電変換層と、
    前記p型熱電変換層と前記n型熱電変換層とを電気的に接続する電極と、を含み、
    前記p型熱電変換層および前記n型熱電変換層から選ばれる少なくとも一方が、エピタキシャル成長により得られた結晶方位がそろった薄膜である、熱電変換素子。
  40. 前記第1面に配置された2以上のp型熱電変換層と、
    前記第2面に配置された2以上のn型熱電変換層と、
    前記2以上のp型熱電変換層と前記2以上のn型熱電変換層とを電気的に接続する2以上の電極とを含み、
    前記2以上の電極が、p型熱電変換層とn型熱電変換層とを交互に電気的に接続する請求項39に記載の熱電変換素子。
  41. 前記第1面および前記第2面が第1端部および第2端部を有し、
    前記2以上のp型熱電変換層および前記2以上のn型熱電変換層が前記第1端部から前記第2端部へと横断するように配置された請求項40に記載の熱電変換素子。
  42. 前記第1面および前記第2面が、前記第1端部を内周端とし、前記第2端部を外周端とするリング状の面である請求項41に記載の熱電変換素子。
  43. 前記p型熱電変換層が式ACoOにより示される請求項39に記載の熱電変換素子。
    ただし、Aはアルカリ金属であり、xは0<x<1の範囲にある数値である。
  44. 前記n型熱電変換層が式A(Ti1−yCo)Oにより示される請求項39に記載の熱電変換素子。
    ただし、Aはアルカリ金属であり、xは0<x<1の範囲にある数値であり、yは0<y<1の範囲にある数値である。
  45. 前記n型熱電変換層がA1をドープしたZnO層である請求項39に記載の熱電変換素子。
  46. 樹脂またはガラスからなる2以上の基体と、
    2以上のp型熱電変換層と、
    2以上のn型熱電変換層と、
    前記2以上のp型熱電変換層から選ばれる少なくとも1つと前記2以上のn型熱電変換層から選ばれる少なくとも1つとを電気的に接続する少なくとも1つの電極と、を含み、
    前記p型熱電変換層または前記n型熱電変換層と前記基体とが交互に配置されるように前記2以上のp型熱電変換層、前記2以上のn型熱電変換層および前記2以上の基体が積層され、
    前記2以上のp型熱電変換層および前記2以上のn型熱電変換層から選ばれる少なくとも1つが、エピタキシャル成長により得られた結晶方位がそろった薄膜である、熱電変換素子。
  47. 前記基体の間に前記p型熱電変換層と前記n型熱電変換層とが交互に配置された請求項46に記載の熱電変換素子。
  48. 前記p型熱電変換層が式ACoOにより示される請求項46に記載の熱電変換素子。
    ただし、Aはアルカリ金属であり、xは0<x<1の範囲にある数値である。
  49. 前記n型熱電変換層が式A(Ti1−yCo)Oにより示される請求項46に記載の熱電変換素子。
    ただし、Aはアルカリ金属であり、xは0<x<1の範囲にある数値であり、yは0<y<1の範囲にある数値である。
  50. 前記n型熱電変換層がAlをドープしたZnO層である請求項46に記載の熱電変換素子。
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