JP6439509B2 - 熱電変換素子、熱電変換モジュール、及び熱電変換素子の製造方法 - Google Patents

熱電変換素子、熱電変換モジュール、及び熱電変換素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱電変換素子、熱電変換モジュール及び熱電変換素子の製造方法に関する。
これまで使用済みエネルギーのほとんどは排熱として環境に排出されていたが、近年、排熱を電気エネルギーに変換する熱/電気変換技術が注目を集めている。熱電(Thermoelectric:TE)材料は、発電所、自動車、コンピュータ、ウエアラブル生体モニタなどから排出される熱を電気エネルギーに変換して再利用可能にする材料である。従来の熱電熱電システムは、高温の流体を熱源として用い複雑な構成の可動部を有していた。これに対し、レッグ型の固体熱電システムはp型のレッグとn型のレッグを電極で接続した簡単な構造で、任意のサイズの熱電変換素子を形成することができ、多様な応用が期待される。また、熱電素子を薄膜で形成する研究も進められている。
固体熱電材料として、ビスマス・テルル(Bismuth telluride)系材料や半導体材料が一般的に用いられているが、流体を用いたエネルギー変換システムと比較して十分な変換効率を得ることが難かしい。また、テルルやビスマスは毒性を有する材料であり、埋蔵量が少ない希少な天然資源であるという問題もある。
チタン酸ストロンチウム(SrTiO3:適宜「STO」と省略する)は毒性がなく、熱電材料として注目されている(たとえば、特許文献1及び2参照)。熱電材料の性能は動作温度に依存するため、エネルギー変換効率を示す指標として、熱電材料の性能指数Zと絶対温度の積である無次元性能指数ZT=S2σ/κが用いられる。ここでSは熱電材料のゼーベック係数(または熱電力)、σは導電率、κは熱伝導率である。熱電材料としては、ゼーベック係数Sと導電率σが高く、熱伝導率κが低い材料が優れている。SrTiO3は、出力係数PF=S2σの値が35〜40μW/cmK2と高い。
しかし、多くのシステムでは熱伝導率κも高いために性能指数ZT=S2σ/κが制限され、常温でデバイスへの適用が可能なZT値を達成するのが困難である。なお、通常の粒度以下の平均直径を有するナノ粒子を用いた熱電材料によりZT値を高める方法が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
特開2010−161213号公報 特開平5−198847号公報 特開2012−248845号公報
エネルギー変換効率を向上するために、電荷キャリアの量子閉じ込めを利用することはひとつのが有用な方法である。たとえば、不純物をドープしたSTO薄膜上にSTOよりもバンドギャップの大きい絶縁膜を配置して、熱電材料としてのSTO薄膜にキャリアを閉じ込める。しかし、キャリア閉じ込めのための大きな障壁を持つ材料は、導電領域(熱電材料)とのコンタクトの妨げとなる。
そこで、簡単な電極構成で導電チャネルとのコンタクトをとることのできる熱電変換素子の提供を課題とする。
一つの態様として、熱電変換素子は、
導電性または半導電性を有するペロブスカイト型酸化物の第1の層と、
前記第1の層と積層方向に接して配置されるペロブスカイト型酸化物の第2の層と、
前記第2の層の表面に配置される電極と、
を有し、
前記第2の層は、前記第1の層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有し、前記第2の層を膜厚方向に貫通する転移線または転移線ネットワークを有する。
簡単な電極構成で熱電変換素子の導電チャネルとのコンタクトをとることができる。
実施形態に至る過程で生じる技術課題を説明する図である。 実施形態の熱電変換素子の構成を説明する図である。 図2の熱電変換素子のSTEM画像である。 比較例として、STO膜上に厚さ4nmのSZO層27を形成したときのSTEM画像と、X線回折φスキャンのスペクトルの図である。 図2のヘテロ構造におけるSZO層の膜厚とシート抵抗の関係を示す図である。 図5の測定を行うための試料構成である。 下地のLa−STO層の厚さを変化させたときのSZO層の膜厚とシート抵抗の関係を示す図である。 La−STO層の厚さとゼーベック係数Sの関係をバルクLa−STOと比較して示す図である。 実施形態の熱電変換素子を適用した薄膜タイプの熱電変換モジュールの概略図である。 熱電変換モジュールの動作原理と適用例を示す図である。
実施形態を説明する前に、図1を参照して実施形態に至る過程で生じる問題点を説明する。図1(A)の熱電変換材料11は、n型の導電性または半導電性のペロブスカイト型の酸化物層16を下部絶縁層15と上部絶縁層17で挟み込んだ構成を有する。導電性または半導電性の酸化物層16は、たとえばLa(ランタン)がドープされたSrTiO3(適宜「La−STO」と省略する)の薄膜である。上部絶縁層17と下部絶縁層15はSrTiO3よりも大きなバンドギャップを有するペロブスカイト型の酸化物層である。下部絶縁層15、La−STO層16、及び上部絶縁層17のヘテロ構造により、La−STO層16に電子が閉じ込められる。加熱により高温領域の電子が活性化して導電チャネルが形成される。二次元電子雲(2DEG:two dimensional electron gas)と類似する効果が得られ、熱電変換能力が向上する。p型熱電材料の場合は、加熱によりホールが活性化して二次元状に拡散する。
図1(A)の構成は、導電チャネルとコンタクトをとるための貫通電極を用いる。たとえば、図1(B)に示すように上部絶縁層17を貫通してLa−STO層16と電気的に接続する電極18を形成する。閉じ込められた電子はLa−STO層16の面内方向に移動するが垂直(膜厚)方向には移動せず、上部絶縁層17の上面でコンタクトをとることができないからである。上部絶縁層17を貫通する電極18を形成するためにダイシング等の加工が行われるが、小さな表面領域に高精度の加工を施すのは困難である。また、加工の過程で素子に悪影響を与える恐れがある。そのため、簡単なコンタクト構成が望まれる。
図2は、実施形態の熱電変換素子20のn型領域の概略図である。熱電変換素子20は下部絶縁層15と第2の層27とに挟まれた導電性または半導電性の酸化物層16を有する。酸化物層16は、たとえばLaがドープされたSrTiO3(La−STO)の薄膜である。下部絶縁層15は、たとえば(La,Sr)(Al,Ta)O3(以下「LSAT」と略する)基板15である。LSAT基板15はLa−STO層16の成長基板として用いられてもよい。
第2の層27は、SrTiO3よりも大きなバンドギャップを有するペロブスカイト型酸化物の層であり、この例ではSrZrO3(ジルコン酸ストロンチウム、以下適宜「SZO層27」と略称する)である。
実施形態の特徴として、SZO層27は、SZO層27を膜厚方向に貫通する複数の転移線25を有する。転移線25により、SZO層27は面内方向に絶縁性を有し、かつ膜厚方向(面と垂直な方向)に導電性を有する。SZO層27を膜厚方向に貫通する転移線25は必ずしも1本の転移線25で貫通する必要はなく、複数の転移線25が膜厚方向につながってSZO層27の上面と底面との間を接続する転移線ネットワークであってもよい。SZO層27の膜厚を制御することで、下地のLa−STO層16の膜厚に依存せずに、膜厚方向への良好な導電性を得ることができる。SZO層27の厚さは10〜25nm、より好ましくは15〜20nmである。この範囲の厚さとすることで、SZO層27の面内方向への絶縁性を維持しつつ、シート抵抗をゼロまたはゼロ近傍にすることができる。
図2(B)に示すように、SrZrO3とSrTiO3の間には、大きなバンドオフセットがある。価電子帯上端でのエネルギー差ΔVBは0.5eV、伝導帯下端でのエネルギー差ΔCBは1.9eVであり、通常はSTO層16とSZO層27の間で積層方向の導通は生じない。実施形態ではSZO層27の厚さをフィラメント状の転移パスが貫通する厚さに制御することで、SZO層27の厚さ方向への導通を実現する。ペロブスカイト型酸化物の転移線を電極コンタクトに利用することで、SZO層27の表面で下地のLa−STO層16とコンタクトをとることができる。
図3は、図2の構成のSTEM(Scanning Transmission Electron Microscope:走査型透過電子顕微鏡)画像である。(001)面のLSAT基板15上に、4MLのLa−STO層16と、厚さ18nmのSZO層27を順次成長している。La−STO層16は、たとえばパルスレーザ堆積法(PLD:Pulse Laser Deposition)により形成する。La添加単結晶SrTiO3ターゲットを用い、たとえばQスイッチNd−YAGレーザ(Alma社製)で10Hzのパルスレート、1.6J/cm2のパルスフルエンスで照射する。成膜温度は600℃、酸素圧力は1ミリTorr(0.13Pa)である。この条件で堆積速度は1.8nm/分となり、53秒で4ML(1.6nm)の厚さとなる。
SZO層27は、たとえばパルスレーザ堆積法により、La−STO層16上にエピタキシャル成長する。セラミックのSrZrO3ターゲットを用い、QスイッチNd−YAGレーザ(Alma社製)で10Hzのパルスレート、0.62J/cm2のパルスフルエンスで照射する。成膜温度は570〜620℃、酸素圧力は50ミリTorr(約6.5Pa)である。この条件で堆積速度は0.35nm/分〜0.38nm/分となり、47〜50分で18nmの厚さとなる。
図3の矢印で示すように、SZO層27にはSZO層27を貫通する転移線25(または転移線25のネットワーク)が観察される。サークルで示す領域は、SZO層27と、La−STO層16と、LSAT基板15の界面領域(ヘテロ構造)である。SZO層27で白い点がSr、黒い点がZrである。SZO層27のバンドギャップの大きさと結晶母体により、膜厚方向に転移線25による電流フィラメントパスが形成されても、面内方向への絶縁性が維持される。
図4は、比較例として、STO膜上に厚さ4nmのSZO層27を形成したときのSTEM画像と、X線回折φスキャンのスペクトルの図である。図4(A)のSTEM画像では、結晶に転移は見られない。図4(B)のX線回折スペクトルでは、(101)に配向したSZO層27と、(101)に配向したSTO膜で、4回同じ位置に軸が観察される。SZO層27がSTO膜上にキューブ・オン・キューブでエピタキシャル成長していることがわかる。図3と図4から、SZO層27に膜厚方向に貫通する電流フィラメントが形成されるのに適した膜厚領域が存在すると推測される。
図5は、図2のヘテロ構造におけるSZO層27の膜厚とシート抵抗の関係を示す図である。図6は、図5の測定を行うための試料構成である。図6で、LSAT基板15上に4ML(モノレイヤ)のLa−STO層16とSZO層27のヘテロ構造を形成する。SZO層27の厚さを5nmから30nmまで変化させた複数の試料を作製する。各試料でSZO層27上に一対の電極31を形成し、プローブ32を用いて、一方の電極31に電流を印加し、他方の電極31から電圧を測定する。SZO層27を厚さ方向に貫通する転移線25による導通パスが十分に形成されている場合、一方の電極31に注入された電流は、転移線25による導通パスを通ってLa−STO層16の導電チャネルを流れ、他方の電極31から取り出される。印加電流と測定電圧の関係からシート抵抗を計算することができる。このように、量子閉じ込めを利用した薄膜熱電素子の最上面で、面内方向へのキャリア輸送測定が可能になる。
図5の測定結果によると、SZO層27の膜厚が10〜25nmで十分に低いシート抵抗となり、15〜20nmの膜厚でシート抵抗がゼロまたはゼロ近傍となる。膜厚方向の転移線による導通効果は、下地のLa−STO層16の膜厚に依存しない。
図7は、下地のLa−STO層16の厚さを4ML、8ML、16MLと変化させたときのSZO層27の膜厚とシート抵抗の関係を示す。図中、点線はLa−STO膜のシート抵抗である。図7からわかるように、SZO層27の膜厚が10〜25nm、より好ましくは15〜20nmの範囲で、下地のLa−STO層16の厚さに依存せずに、La−STO層16と同等の膜厚方向の導電性が得られる。SZO層27の厚さが10nmよりも薄くなると、転移線25が発生しない(図4参照)。SZO層27の厚さが25nmを超えると、SZO層27の上面から底面まで貫く転移線25のネットワークを形成することができない。
図7に示すように、SZO層27のシート抵抗は下地のLa−STO層16の厚さに依存しないが、ゼーベック係数S(μV/K)を大きくするという観点からは、La−STO層16の厚さを1〜12MLの範囲にするのが望ましい。
図8は、La−STO層16の厚さとゼーベック係数Sの関係をバルクLa−STOと比較して示す図である。ヘテロ構造でLa−STO層16の厚さを1.5MLにした場合は、バルクLa−STOを用いた場合と比較して、(無次元)性能指数ZTが9倍以上になる。La−STO層16の厚さを12MLにしたときでも、バルクLa−STOと比較して性能指数ZTは3倍以上になる。
図9は、実施形態の熱電変換素子20を適用した薄膜タイプの熱電変換モジュール30の概略図である。図9(A)は上面(X−Z面)図、図9(B)は側面(X−Y面)図である。n型の熱電変換部20nとp型の熱電変換部20pが交互に直列に接続されてミアンダパターンを形成している。ミアンダパターンの屈曲部が低温側1となり、中央の直線部が高温側2となる。低温側1で、n型の熱電変換部20nの端部と、p型の熱電変換部20pの端部にそれぞれコンタクト用の電極28n、28pが配置されている。熱電変換部20n及び20pを覆って所定の厚さ範囲のSZO層27(図2参照)が形成されている。SZO層27は膜厚方向に導電性、面内方向に絶縁性であり、コンタクト用の電極28n、28pはSZO層27の上面に位置する。
基板10は、図2のLSAT基板15をそのまま用いてもよいし、任意の単結晶基板10上にLSAT層15を成膜したものであってもよい。LSAT基板15を用いる場合、基板10の厚さはたとえば10μmである。単結晶基板10上にLSAT層15を成膜する場合は、LSAT層15を1nm〜10000nmの範囲で任意の厚さとすることができる。基板10上に、n型のLa−STO層16を所定のパターンに形成し、引き続き、p型のペロブスカイト型酸化物層を所定のパターンで形成し、n型パターンとp型パターンが交互に直列接続されたパターン形状にする。n型のLa−STO層16上とp型のペロブスカイト型酸化物層上に、厚さ10〜25nmのSZO層27をパルスレーザエピタキシャル法、マグネトロンスパッタリング法等で成膜する。その後SZO層27の表面の所定位置にコンタクト用の電極28n及び28pを形成する。
SZO層27の特性、すなわち膜厚方向に導電性を有し、面内方向に絶縁性を有するという特性は、下地のn型のLa−STO層16やp型のペロブスカイト型酸化物層の厚さに依存しないが、上述したように、性能指数ZTを向上するという観点からLa−STO層16やp型のペロブスカイト型酸化物層の厚さは1〜12MLであるのが望ましい。
図10(A)は、熱電変換モジュール30の動作原理を示し、図10(B)は熱電変換モジュール30の適用例を示す。図10(A)において、n型熱電部材40nが高温側2の熱源と接することで電子が活性化され、電子が低温領域に移動する。p型の薄膜熱電部材40pは、高温側2の熱源と接することでホールが活性化され、ホールが低温領域に伝導する。高温側2と低温側1の温度差による熱起電力と負荷抵抗とに応じた電流Iが流れて、熱が電気エネルギーに変換される。n型の熱電部材40nとp型の熱電部材40pを電極29で直列接続する替わりに、図9のように同層でのpn接合としても原理は同じである。
図10(B)の例で、熱電変換モジュール30はエネルギー自給ICT(Information and Communication Technology:情報通信)端末50に適用される。熱電変換モジュール30は発電部36として用いられ、排熱等から再生された電気エネルギーが蓄電部35に蓄積される。ICT端末50は、蓄電部35からの電力を用いて、データ入出力(I/O)部51、処理部52、無線フロントエンド53を動作させる。処理部52は、蓄電部35から供給された電力を用いて、発電部36及び蓄電部35の動作を制御してもよい。
実施形態では、n型の熱電変換部20の熱電材料としてLa−STOを例にとって説明したが、Laに替えてNb(ニオブ)を添加してNb−STO層を用いてもよい。また、La−STO層16の単層を用いる代わりに、La−STO層16と、不純物が添加されていないSTO膜の複合酸化物層を用いてもよい。複合酸化物層とする場合も、La−STO層16の膜厚は1〜12MLとするのが望ましい。
膜厚方向に導電性、かつ面内方向に絶縁性を有する第2の層27としては、AZr1-xx3で表され、バンドギャップが3.5eVよりも大きいペロブスカイト型酸化物を用いることができる。実施形態で用いたSrZrO3の他に、SrZr1-xTix3、LaTiO3等を用いることができる。前者の場合は、AはSr、BはTiである。後者の場合、AはLa、BはTi、x=1である。これらの材料を用いた場合も、SrZrO3との結晶構造及びバンドギャップの近似性から、10nm〜25nmの膜厚で膜厚方向に貫通する転移線または転移線ネットワークを生成することができる。p型の熱電変換部20pの熱電変換材料は特に限定しないが、CaMnO3、CaCoO3、NaCo23等を用いることができる。
実施形態の熱電変換モジュール30は、ICT端末50以外にも、生体センサやスマートフォンの自己給電に用いることができる。また、自動車や飛行機など、熱を排出する乗り物で排熱を利用した自己給電を行うことができる。
以上の記載に対し以下の付記を提示する。
(付記1)
導電性または半導電性を有するペロブスカイト型酸化物の第1の層と、
前記第1の層と積層方向に接して配置されるペロブスカイト型酸化物の第2の層と、
前記第2の層の表面に配置される電極と、
を有し、
前記第2の層は、前記第1の層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有し、前記第2の層を膜厚方向に貫通する転移線または転移線ネットワークを有することを特徴とする熱電変換素子。
(付記2)
前記第2の層の膜厚は10nm〜25nmであることを特徴とする付記1に記載の熱電変換素子。
(付記3)
前記第2の層のバンドギャップは3.5eVより大きいことを特徴とする付記1または2に記載の熱電変換素子。
(付記4)
前記第2の層は、AZr1-xx3で表されることを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の熱電変換素子。
(付記5)
Aはランタンまたはストロンチウム、Bはチタンであることを特徴とする付記4に記載の熱電変換素子。
(付記6)
前記電極は、前記転移線または前記転移線ネットワークで形成される電流パスにより前記第1の層と電気的に接続されることを特徴とする付記1に記載の熱電変換素子。
(付記7)
前記第1の層は、不純物が添加されたチタン酸ストロンチウムの層であることを特徴とする付記1〜6のいずれかに記載の熱電変換素子。
(付記8)
前記第1の層の膜厚は1ML〜12MLであることを特徴とする付記7に記載の熱電変換素子。
(付記9)
前記第1の層は、不純物が添加されたチタン酸ストロンチウムの層と、不純物が添加されないチタン酸ストロンチウムの層の複合層であり、前記不純物が添加されたチタン酸ストロンチウムの層の膜厚は1ML〜12MLであることを特徴とする付記1〜6の何れかに記載の熱電変換素子。
(付記10)
前記第2の層と反対側で前記第1の層と積層方向に接するペロブスカイト型酸化物の第3の層、
をさらに有し、前記第1の層、前記第2の層、及び前記第3の層でヘテロ構造を形成することを特徴とする付記1〜9のいずれかに記載の熱電変換素子。
(付記11)
第1の導電型のペロブスカイト型酸化物と第2の導電型のペロブスカイト型酸化物が直列に接続されて所定のパターンを形成する第1の層と、
前記第1の層と積層方向に接して配置されるペロブスカイト型酸化物の第2の層と、
前記第2の層の表面の所定の位置に配置される一対の電極(28n,28p)と、
を有し、
前記第2の層は、前記第1の層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有し、前記第2の層を膜厚方向に貫通する転移線または転移線ネットワークを有することを特徴とする熱電変換モジュール。
(付記12)
前記一対の電極の一方は、前記転移線または転移線ネットワークにより前記第1の導電型の前記第1の層に電気的に接続され、前記一対の電極の他方は、前記転移線または転移線ネットワークにより前記第2の導電型の前記第1の層に電気的に接続されることを特徴とする付記11に記載の熱電変換モジュール。
(付記13)
基板上に導電性または半導電性のペロブスカイト型酸化物の第1の層を成長し、
前記第1の層上に、前記第1の層よりも大きなバンドギャップを有するペロブスカイト型酸化物で第2の層を膜厚10nm〜25nmに成長し、
前記第2の層の表面に、前記第1の層を流れる電流を取り出す電極を形成する、
ことを特徴とする熱電変換素子の製造方法。
(付記14)
前記第2の層を、AZr1-xx3で表される材料で形成することを特徴とする付記13に記載の熱電変換素子の製造方法。
15 LSAT基板
16 La−STO層(第1の層)
20 熱電変換素子
20n n型の熱電変換部
20p p型の熱電変換部
27 SZO層(第2の層)
28 電極
30 熱電変換モジュール

Claims (7)

  1. 導電性または半導電性を有するペロブスカイト型酸化物の第1の層と、
    前記第1の層と積層方向に接して配置されるペロブスカイト型酸化物の第2の層と、
    前記第2の層の表面に配置される電極と、
    を有し、
    前記第2の層は、前記第1の層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有し、前記第2の層を膜厚方向に貫通する転移線または転移線ネットワークを有することを特徴とする熱電変換素子。
  2. 前記第2の層の膜厚は10nm〜25nmであることを特徴とする請求項1に記載の熱電変換素子。
  3. 前記第2の層のバンドギャップは3.5eVより大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の熱電変換素子。
  4. 前記第2の層は、AZr1-xx3で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
  5. 第1の導電型のペロブスカイト型酸化物と第2の導電型のペロブスカイと型酸化物が直列に接続されて所定のパターンを形成する第1の層と、
    前記第1の層と積層方向に接して配置されるペロブスカイト型酸化物の第2の層と、
    前記第2の層の表面で前記パターンの両端に対応する位置に配置される一対の電極と、
    を有し、
    前記第2の層は、前記第1の層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有し、前記第2の層を膜厚方向に貫通する転移線または転移線ネットワークを有することを特徴とする熱電変換モジュール。
  6. 基板上に導電性または半導電性のペロブスカイト型酸化物の第1の層を成長し、
    前記第1の層上に、前記第1の層よりも大きなバンドギャップを有するペロブスカイト型酸化物の層を膜厚10nm〜25nmに成長して膜厚方向に貫通する転移線または転移線ネットワークを有する第2の層を形成し
    前記第2の層の表面に、前記第1の層を流れる電流を取り出す電極を形成する、
    ことを特徴とする熱電変換素子の製造方法。
  7. 前記第2の層を、AZr1-xx3で表される材料で形成することを特徴とする請求項6に記載の熱電変換素子の製造方法。
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