JPWO2005044758A1 - 放射性フッ素標識化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
Appl.Radiat.Isot.Vol.41,no.1,pp.49−55(1990)
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、オンカラム法において、高い収率で各種放射性フッ素標識化合物を得ることができる方法を提供することを目的とする。
炭酸ガスを通気する条件は、種々の条件を用いることができるが、該カラムを60〜130℃に保持した状態で通気させることが好ましく、さらに流速1.0〜1000mL/minで1〜15分間通気させることが好ましい。
(但し、上記式中Aは担体、Yは炭素数1〜8の一価炭化水素基、Z−は交換基を示す。)
また、本発明の装置は前記標識反応によって得られた中間生成物の脱保護工程を行うための反応容器と、該脱保護工程によって得られた生成物を精製するためのイオン遅滞樹脂カラムが構成要素として含まれたものであっても良い。
さらに本発明の放射性フッ素標識化合物の製造装置は、該標識合成用樹脂カラムの加熱手段を有することが好ましい。
本発明の製造方法は、[18F]フッ化物イオンを含む[18O]水をカラムに導入して[18F]フッ化物イオンを捕集し、該カラム内で標識合成を行う、という点から所謂オンカラム法による製造方法に分類される。ここで、[18F]フッ化物イオンを含む[18O]水は、常法に従って製造でき、例えば、[18O]水をターゲットとしてプロトン照射することにより得ることができる。
図1の装置では、脱水溶媒容器7、反応基質容器9がターゲット水容器2と標識合成用樹脂カラム5の間に接続され、回収容器6、廃液容器8が標識合成用樹脂カラム5と反応容器10の間に接続されている。また、炭酸ガスの供給源は標識合成用樹脂カラム5の直ぐ上流側に接続されており、該標識合成用樹脂カラム5に炭酸ガスを直接導入することができる。
また、圧送用ガスを供給する供給口21aが脱水溶媒容器7と反応基質容器9の上流側に、ガスの排出口21bがイオン遅滞樹脂カラム11の下流側に、排出口21cがイオン遅滞樹脂カラム11の上流側に設けられている。
この工程を図1を参照して説明すると、まず、ターゲットボックス1から[18F]フッ化物イオンを含む[18O]水がターゲット水容器2に導入される。次いで、流路切替バルブ4を調節し、シリンジポンプ3を操作することによりターゲット水容器2から[18F]フッ化物イオンを含む[18O]水を標識合成用樹脂カラム5に通液する。標識合成用樹脂カラム5では充填された標識合成用の陰イオン交換樹脂に、[18F]フッ化物イオンが捕集される。[18F]フッ化物イオンが捕集された後の[18O]水は、供給口21aから導入されるヘリウムガスや窒素ガス等の圧送用ガスでカラム外に排出され、回収容器6にリサイクルのために収容される。
Rは特に限定されないが、反応工程中に分解や官能基の脱離を起こさないものを用いる必要がある。また、溶媒等による膨潤や収縮の少ないものを用いることが好ましく、反応基質を溶解させる溶媒中における膨潤率が10倍以下のものを用いることが好ましい。具体的には、シリカゲルや、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などが好ましく用いられる。
また、交換基であるZ−としては、臭素、塩素、HCO3 −、CO3 2−等を挙げることができ、特に好ましくはCO3 2−、HCO3 −である。
脱水溶媒を通液する条件としては特に限定されないが、室温下で流速10mL/minで1分程度導入すれば良い。
炭酸ガスの供給源と排出口を設置する場所は、標識合成用樹脂カラム5に炭酸ガスを導入可能である限り特に限定はされない。炭酸ガスは目的上、標識合成用樹脂カラム5にのみ導入されれば良く、供給源と排出口が標識合成用樹脂カラム5の上流側と下流側のライン上に設置されるのが好ましい。この時、炭酸ガスの供給源及び排出口はそれぞれ標識合成用樹脂カラム5の上流側、下流側のどちらに設置されても良い。
図1においては、標識合成用樹脂カラム5の直ぐ上流側に炭酸ガスの供給源を流路切替バルブ4を介して設けている。この例において、炭酸ガスの供給源から導入される炭酸ガスは、標識合成用樹脂カラム5を通過した後排出口21cから排出される。また、別途標識合成用樹脂カラム5のすぐ下流側に排出口を設けて炭酸ガスを排出しても良い。
炭酸ガスを通気させている間、市販のオイルヒーターやヒーターブロック、カラムオーブン等の適当な加熱手段によって、標識合成用樹脂カラム5を60〜130℃に加熱することが好ましく、90〜100℃に加熱することがより好ましい。該カラムの温度が低すぎると熱不足となるため好ましくなく、高すぎると樹脂や後に導入される反応基質の分解を生じさせる場合があるため好ましくない。
炭酸ガスの通気時間は、好ましくは1〜15分間、特に好ましくは2〜4分間連続して行う。通気時間が短すぎると、CO2の補充が不十分となるため好ましくない。
[18F]−FDGを例にとり説明すると、まず、上記設定温度を保持した状態で、流路切替バルブ4を調節してシリンジポンプ3を操作することにより、標識合成用樹脂カラム5に、反応基質容器9から反応基質であるTATMを溶解させたアセトニトリル溶液を導入する。標識合成用樹脂カラム5中でTATMの脱離基であるO−トリフルオロメタンスルホニル基と[18F]フッ化物イオンの置換反応が起こり、[18F]−FDG中間体である[18F]−TAFDGが生成する。その後、[18F]−TAFDGとアセトニトリル溶液を反応容器10へ導入する。
得られた[18F]−FDGは更にイオン遅滞樹脂カラム11及び精製カラム12で精製され、[18F]−FDGが得られる。
尚、実施例において使用した標識合成用樹脂は、TBP樹脂として商品名;90808:Tributylmethylphosphonium chloride polymer bound(Fluka社製)、TBA樹脂として商品名;90806:Tributylmethylammonium chloride polymer bound(Fluka社製)、4−AP樹脂として4−(4−methyl−1−piperidino)pyridinium functionalized polystyrene resin(GE社製 FDG MicroLab用キット)を使用した。
以下の1)〜6)の工程に従い、[18F]−TAFDGを製造した。
1)サイクロトロンにおいて[18O]水にプロトン照射し、核反応〔18O(p,n)18F〕によって放射性フッ素−18([18F])を生成させ、[18F]フッ化物イオンを含む[18O]水を得、この水の放射能量(a)を測定した。
2)カラム(内径6mm)に表1に示す量を充填したTBP樹脂につき樹脂量の100倍量の1.8M K2CO3を5mL/minで通液し炭酸型に置換した。工程1)で得られた[18F]フッ化物イオンを含む[18O]水0.1mL、10mLそれぞれを、流速2mL/minで導入し、[18F]フッ化物イオンを捕集した。使用した[18O]水はバイアルに回収し、放射能量(b)を測定した。
3)[18F]フッ化物イオンを捕集したカラムに、アセトニトリルを24℃、圧力0.1MPa、流量10mL/minの条件下で1分間注入し、脱水を行った。使用したアセトニトリルの放射能量(c)を測定した。
4)カラムをアルミ製ヒーターブロックで95℃に加熱しながら、カラムに炭酸ガスを圧力0.1MPa、流量500mL/minの条件下で3分間導入し、TBP樹脂を乾燥させた。
5)TATM20mgをアセトニトリル1.0mLに溶解させた液を該カラムに通液して、TATMと[18F]フッ化物イオンとを反応させ、カラム下流側より[18F]−TAFDGアセトニトリル溶液を回収した。得られた[18F]−TAFDGの放射能量(d)を測定した。
6)上記工程で測定した各放射能量から、次式を用いて[18F]−TAFDGの収率を算出した。
収率(%)=(d)/〔(a)−(b)−(c)〕×100
また、得られた[18F]−TAFDGの放射化学的純度を下記の条件の薄層クロマトグラフィー(TLC)により求めた。TLCチャートを図2に示す。得られた放射化学的純度の値は100%であり、本法によって[18F]−TAFDGが製造されうることが示された。
(TLC条件)
展開相:クロロホルム/酢酸エチル=4/1
TLCプレート:Silica Gel 60F254(商品名、膜厚:0.25mm、メルク社製)
展開長:10cm
実施例1及び比較例1における収率の値を表1に示す。
標識合成用樹脂としてTBA樹脂を用いた他は、実施例1と同様の方法により、[18F]−TAFDGを製造し、収率を求めた。
また、比較例2として、工程4)の炭酸ガスをヘリウムガス又は窒素ガスに代えた他は実施例2と同様の条件とし[18F]−TAFDGを製造した。ただし、窒素ガスを使用した[18F]−TAFDGの製造は10mLの[18F]フッ化物イオンを含む[18O]水を使用した場合のみで行った。
実施例2及び比較例2における収率の値を表2に示す。
標識合成用樹脂として4−AP樹脂を用いた他は、実施例1と同様の方法により、[18F]−TAFDGを製造し、収率を求めた。
また、比較例3として、工程4)の炭酸ガスをヘリウムガス又は窒素ガスに代えた他は実施例3と同様の条件とし[18F]−TAFDGを製造した。
尚、実施例3においては、0.1mLの[18F]フッ化物イオンを含む[18O]水を使用した場合のみで製造を行った。
実施例3及び比較例3における収率の値を表3に示す。
とりわけ、その効果が高く現れているのは4−AP樹脂における効果であり、表3からもわかるように窒素ガスを用いた比較例と比べて25%も高い収率で[18F]−TAFDGを製造することができた。また、表1に示した通り、TBP樹脂に対しても炭酸ガスの効果が確認され、10mLのターゲット水を用いた例においては20%もの収率向上が認められた。さらに、表2に示した通り、TBA樹脂においても炭酸ガスを通気させることによる収率向上が確認された。
これらの結果から、炭酸ガスを用いる事によって、[18F]フッ化物イオンを含む多量の[18O]水を使用した場合においてもフッ素標識の収率が向上することがわかった。また、TBP樹脂を用いて製造した場合(表1)に最も収率が高いことがわかった。
2 ターゲット水容器
3 シリンジポンプ
4 流路切替バルブ
5 標識合成用樹脂カラム
6 回収容器
7 脱水溶媒容器
8 廃液容器
9 反応基質容器
10 反応容器
11 イオン遅滞樹脂カラム
12 精製カラム
Claims (10)
- 標識合成用の陰イオン交換樹脂を充填したカラムに[18F]フッ化物イオンを含む[18O]水を導入して[18F]フッ化物イオンを捕集する工程と、該カラムの脱水を行う工程と、該カラムに反応基質を導入し、該カラムに捕集された[18F]フッ化物イオンと該反応基質中の脱離基との間で置換反応させ、放射性フッ素標識化合物を得る工程とを含む放射性フッ素標識化合物の製造方法において、カラムの脱水工程と反応基質導入工程の間に該カラムに炭酸ガスを通気させる工程を含むことを特徴とする放射性フッ素標識化合物の製造方法。
- 炭酸ガスを通気させる工程において、前記カラムを60〜130℃に保持することを特徴とする請求項1に記載の放射性フッ素標識化合物の製造方法。
- 炭酸ガスを通気させる工程において、炭酸ガスを流速1.0〜1000mL/minで1〜15分間通気させることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性フッ素標識化合物の製造方法。
- 前記一般式中Z−がHCO3 −又はCO3 2−から選択される少なくとも1種を有するものであることを特徴とする請求項4に記載の放射性フッ素標識化合物の製造方法。
- ターゲットボックスから[18F]フッ化物イオンを含む[18O]水を標識合成用樹脂カラムに導入する手段と、
該ターゲット水容器から導入された[18F]フッ化物イオンを含む[18O]水から[18F]フッ化物イオンを捕集し、次いで反応基質と標識反応を行うための標識合成用樹脂カラムと、
を構成要素に含む放射性フッ素標識化合物の製造装置において、該標識合成用樹脂カラムに炭酸ガスを導入するための炭酸ガス供給源と排出口を有したことを特徴とする放射性フッ素標識化合物の製造装置。 - 前記炭酸ガスの供給源が前記標識合成用樹脂カラムに直接連結されていることを特徴とする請求項6に記載の放射性フッ素標識化合物の製造装置。
- 前記標識合成用樹脂カラムの加熱手段を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の放射性フッ素標識化合物の製造装置。
- 前記一般式中Z−がHCO3 −又はCO3 2−から選択される少なくとも1種を有するものであることを特徴とする請求項9に記載の放射性フッ素標識化合物の製造装置。
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