JP7148121B2 - 放射性核種18fの精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放射性核種18Fで標識された放射性医薬品の製造に用いられる18Fの精製方法に関する。
核医学診断、主に陽電子放出断層撮影法(PET検査)で用いられる放射性核種標識薬剤では、18F(半減期:約109.8分)が多用される。18Fは、加速器(サイクロトロン)にて、18O-HOに対して陽子を照射し、18O(p,n)18F反応によって製造される。製造された18Fは、専用の薬剤合成装置へ液送され、標識対象の化合物と反応させて、18F標識化合物を得る(標識反応)。これにより、18Fで標識された放射性医薬品が製造される。
18O(p,n)18F反応により得られた18F含有18O-HOには、主に金属化合物等の不純物が混入している。これらの不純物は、識対象の化合物を18Fで標識する化学反応を阻害したり、得られた18F標識化合物の純度を低下させるなどの影響を及ぼす。このため、これらの不純物は、標識対象の化合物と反応させる前に18Fから除去される(18F精製)。18F精製は、陰イオン交換樹脂に18F含有溶液を導入して樹脂上に18を保持した後、18を大量の炭酸イオン等で溶出させる方法が汎用されている。
18Fの溶出に用いられる炭酸イオンを含む溶液(溶出用溶液)は、一般的には溶質として炭酸カリウムとクリプタンド(Cryptand)等を含むアセトニトリル水溶液が用いられる。炭酸カリウム等のアルカリ金属塩は、アセトニトリルのような有機溶媒には不溶であるため、溶出用溶液の組成には水が必ず含まれる。ただし、水は18Fと水和するため、18Fと放射性医薬品の原料(前駆化合物)との18F化反応の速度を著しく低下させる。このため、水を含む溶出用溶液で溶出した18Fは、18F化反応に供する前に、水を除去するために徹底した溶媒乾固が必要である。特に、水除去をより確実にするため、溶媒乾固中にアセトニトリルを追加添加し、より徹底した溶媒乾固(共沸乾固)を行なう場合もある(例えば、非特許文献1参照。)。溶媒乾固に要する時間は一般的に10~15分間であるが、時間による18Fの物理的減衰、並びに乾固不十分による18F化反応の不良などがしばしば問題となる。(例えば、特許文献1参照。)
特表2014-508731号公報
Xu,et al.,Nuclear Medicine and Biology,2018,vol.59,p.48-55.
本発明は、18F標識化合物の製造に用いられる、水を含まない18Fの精製方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、陰イオン交換カラムに保持された18Fを、アセトニトリルと水の混合溶媒に代えて、水以外のプロトン性溶媒を含む無水溶媒(水を含まない溶媒)を用いた溶出用溶液で溶出することにより、水を含まない状態で18Fを溶出回収できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の 18 Fの溶出用溶液の製造方法、 18Fの精製方法、及び 18F標識化合物の合成方法提供するものである。
] クリプタンド又はテトラブチルアンモニウムと炭酸塩とが溶解している溶液を溶媒乾固し、得られた固形分を、水以外のプロトン性溶媒を含む無水溶媒に溶解させることを特徴とする、18Fの溶出用溶液の製造方法。
] 前記プロトン性溶媒が、エタノール、イソプロパノール、メタノール、又はこれらの任意の2種以上の混合溶媒である、前記[]の18Fの溶出用溶液の製造方法。
] 前記炭酸塩が、炭酸カリウム又は炭酸水素カリウムである、前記[]又は[]の18Fの溶出用溶液の製造方法。
] 前記溶出用溶液の溶媒が、水以外のプロトン性溶媒と非プロトン性極性溶媒との混合溶媒である、前記[]~[]のいずれかの18Fの溶出用溶液の製造方法。
] 前記混合溶媒の全量に対する前記プロトン性溶媒の含有量が5容量%以上である、前記[]の18Fの溶出用溶液の製造方法。
] 前記非プロトン性極性溶媒が、アセトニトリルである、前記[]又は[]の18Fの溶出用溶液の製造方法。
] 前記クリプタンドが、クリプタンド[2.2.2]である、前記[1]~[6]のいずれかの 18 Fの溶出用溶液の製造方法
前記[1]~[7]のいずれかの 18 Fの溶出用溶液の製造方法により 18 Fの溶出用溶液を製造し、
18F含有水溶液を、陰イオン交換カラムに導入し、18Fを前記カラムに保持させた後、前記カラムに、前記 18 Fの溶出用溶液を導入して18Fを含有する溶出液を回収ることを特徴とする、18Fの精製方法。
] 回収された前記18Fを含有する溶出液を、溶媒乾固させる、前記[1]~[]のいずれかの18Fの精製方法。
10] 前記[8]又は[9]18Fの精製方法により18Fを精製し、得られた18Fを用いて前駆物質を標識する、18F標識化合物の合成方法。
本発明に係る18Fの精製方法により、18Fを、陰イオン交換カラムから水を含まない状態で精製できる。このため、当該方法により精製された18Fは、18F標識化合物の合成反応に供される18Fとして非常に有用である。
本発明に係る18Fの精製方法は、18F含有水溶液を陰イオン交換カラムに導入して、18Fを前記カラムに保持させた後、前記カラムに溶出用溶液を導入して18Fを含有する溶出液を回収する方法であって、溶出用溶液として、水を含まない溶液を用いることを特徴とする。本発明に係る18Fの精製方法は、陰イオン交換カラムに保持された18イオンを溶出するための溶出用溶液が水を含まないため、水を含まない状態で18Fを回収できる。このため、18F化反応に供される前に実施される水除去のための徹底した溶媒乾固が不要である。また、溶媒乾固を行う場合、水が完全に除去できない場合があり、残留する水分の量のばらつきによって、その後の18F化反応の反応効率にもばらつきがでる。本発明に係る18Fの精製方法では、水を全く含まない溶出用溶液を用いることから、迅速かつ確実に水を除去でき、このような残留水分によるばらつきがなく、安定して18F化反応を行うことができる。つまり、本発明に係る18Fの精製方法により精製された18Fにより、再現性の高い18F化反応を行うことができる。
18F含有水溶液は、18O(p,n)18F反応によって得られた、18Fを含有する水溶液である。18F含有水溶液を導入する陰イオン交換カラムとしては、18イオンを保持可能な陰イオン交換カラムであれば特に限定されるものではない。例えば、18O(p,n)18F反応で得られた18F含有水溶液の精製に一般的に使用される陰イオン交換カラムの中から適宜選択して使用することができる。当該陰イオン交換カラムとしては、例えば、四級メチルアンモニウム(QMA)カラムが挙げられる。
陰イオン交換カラムに保持された18イオンは、当該カラムに炭酸イオンを導入することにより溶出する。炭酸イオンは、炭酸塩として当該カラムに導入される。炭酸塩としては、溶解性の点から、アルカリ金属の炭酸塩が好ましく、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸水素ナトリウムがより好ましく、炭酸カリウム又は炭酸水素カリウムがさらに好ましく、炭酸カリウムが特に好ましい。
炭酸塩としてアルカリ金属の炭酸塩を含む溶出用溶液を用いる場合、アルカリ金属イオンが18イオンと共に溶出される。このアルカリ金属イオンは18イオンと親和性が高く、18Fの求核性を低下させて18F化反応に影響を及ぼす。このため、溶出用溶液には、クリプタンドやテトラブチルアンモニウムと結合した状態のアルカリ金属イオンと炭酸イオンとの塩として含有させる。
クリプタンドは、複数の環からなるかご状の多座配位子であり、アルカリ金属を中心に囲む(包摂)する能力を有する。クリプタンドの種類によって、各アルカリ金属に対する包摂能力は異なる。炭酸塩として炭酸カリウム又は炭酸水素カリウムを用いる場合には、カリウムに対する包摂能力が高いクリプタンドを用いることが好ましい。カリウムに対する包摂能力が高いクリプタンドとしては、例えば、クリプタンド[2.2.2](cryptand2.2.2(K.222);Kryptofix(登録商標) 222;4,7,13,16,21,24‐Hexaoxa‐1,10‐diazabicyclo[8.8.8]hexacosane)が挙げられる。
Figure 0007148121000001
本発明において用いられる溶出用溶液は、水以外のプロトン性溶媒を含む無水溶媒に、クリプタンド又はテトラブチルアンモニウムと炭酸塩とが溶解している。陰イオン交換カラムから18イオンを溶出するための炭酸イオンの供給源である炭酸塩は、アセトニトリルのような非プロトン性溶媒には溶解しないため、水以外のプロトン性溶媒を含む無水溶媒を用いる。プロトン性溶媒としては、水以外であれば特に限定されるものではないが、溶出された18Fを溶媒乾固する場合に、より短時間で容易に溶媒乾固できるように、沸点が水よりも低いプロトン性溶媒が好ましく、沸点が水よりも低いアルコールがより好ましく、エタノール、イソプロパノール、メタノール、又はこれらの任意の2種以上の混合溶媒がさらに好ましく、生体への安全性の点からエタノールが特に好ましい。
溶出用溶液の溶媒としては、水以外のプロトン性溶媒のみからなる溶媒であってもよく、水以外のプロトン性溶媒と非プロトン性溶媒との混合溶媒であってもよい。当該混合溶媒としては、炭酸塩の溶解性の点から、水以外のプロトン性溶媒と非プロトン性極性溶媒との混合溶媒であることが好ましい。非プロトン性極性溶媒としては、例えば、アセトニトリル、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、又はこれらの任意の2種以上の混合溶媒等が挙げられる。
溶出用溶液の溶媒が水以外のプロトン性溶媒と非プロトン性溶媒との混合溶媒である場合、溶媒全量に対するプロトン性溶媒の含有割合は、炭酸塩が充分に溶解して18イオンの溶出効率が充分となるように、5容量%以上が好ましく、10容量%以上がより好ましい。当該混合溶媒の全量に対するプロトン性溶媒の含有割合の上限値は特に限定されるものではなく、例えば、35容量%以下とすることができ、30容量%以下とすることができる。
本発明において用いられる溶出用溶液は、溶出用溶液の溶媒にクリプタンド又はテトラブチルアンモニウムと炭酸塩とが直接溶解可能な場合には、当該溶媒に炭酸塩等を直接混合して溶解させることにより調製することができる。一方で、溶出用溶液の溶媒に炭酸塩等が直接溶解しない場合には、例えば、クリプタンド又はテトラブチルアンモニウムと炭酸塩とが溶解している溶液を溶媒乾固し、得られた固形分を、非プロトン性溶媒と水以外のプロトン性溶媒を含む無水溶媒に溶解させることにより製造できる。クリプタンド又はテトラブチルアンモニウムと炭酸塩とが溶解している溶液の溶媒乾固は、加熱乾固等の常法により行うことができる。
溶出用溶液の製造に用いられる炭酸塩等が溶解している溶液の溶媒としては、クリプタンド又はテトラブチルアンモニウムと炭酸塩との両方が溶解可能な溶媒であれば特に限定されるものではない。当該溶媒としては、例えば、水であってもよく、炭酸塩が溶解するプロトン性溶媒であってもよく、炭酸塩が溶解する非プロトン性極性溶媒であってもよく、これらのうちの2種以上の混合溶媒であってもよい。
具体的には、例えば、まず、アセトニトリル水溶液(アセトニトリルと水との混合溶媒)にクリプタンド又はテトラブチルアンモニウムと炭酸塩とを溶解させる。次いで、この溶液を溶媒乾固させた後、得られた固形分を、溶出用溶液を調製するための混合溶媒に溶解させる。これにより、クリプタンドやテトラブチルアンモニウムと結合した状態のアルカリ金属イオンと炭酸イオンとの塩を、アセトニトリルと水以外のプロトン性溶媒との混合溶媒に溶解させた溶出用溶液を調製することができる。アセトニトリル水溶液の溶媒乾固は、加熱乾固等の常法により行うことができる。
なお、18F含有水溶液を導入した陰イオン交換カラムは、溶出用溶液を導入する前に、アセトアニリル等の18イオンを溶出しない無水溶媒で洗浄してもよい。この洗浄処理により、水や金属化合物等の不純物をより効果的に除去できる。
前記溶出用溶液によって陰イオン交換カラムから溶出された18Fを含有する溶出液は、水を含まないため、溶媒乾固をせずともそのまま18F標識化合物の合成反応の供することが可能である。すなわち、溶媒乾固に要する時間(一般的には10~15分間)の削減に寄与するため、化合物合成時間の短縮、18Fの時間減衰の軽減、並びに合成装置の簡素化に寄与する。また、溶媒乾固した後、後の18F化反応に好適な溶媒に溶解させることもできる。溶媒乾固は、加熱乾固等の常法により行うことができる。溶出用溶液を調製するための混合溶媒として、アセトニトリルと、沸点が水より低いプロトン性溶媒との混合溶媒を用いた場合には、得られた18Fを含有する溶出液は、従来の水を含む溶出用溶液で得られた18Fを含有する溶出液よりも、溶媒乾固をより短時間で行うことができ、また、共沸乾固も必要としない。つまり、溶媒乾固を行う場合であっても、従来よりも、化合物合成時間を短縮することができ、18Fの時間減衰も軽減できる。また、溶媒乾固のための装置の劣化の速度も低減することができる。
本発明に係る18Fの精製方法により精製された18Fを用いて前駆物質を標識することにより、18F標識化合物を合成できる。18Fによる前駆物質の標識は、従来の含水溶出用溶液により精製された18Fと同様に、求核置換反応やSN2反応のような一般的な18F化反応により行うことができる。
前駆物質としては、特に限定されるものではないが、得られた18F標識化合物が放射性医薬品の有効成分となる化合物が好ましく、PET検査で用いられる放射性医薬品(PET薬剤)となる化合物がより好ましい。PET薬剤としては、例えば、18F-フルオロデオキシグルコース(18F-FDG)、18F-フルオロデオキシガラクトース、18F-フルオロパルミチン酸、18F-フルオロドーパ、18F-フルオロチロシン、18F-フルオロフェニルアラニン、18F-フルオロデオキシウリジン、18F-フルオロエチルケタンセリン、18F-フルオロエステラジオール、18F-フルオロオクテロタイド、18F-フルオロミソニダゾール等が挙げられる。
次に実施例等を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
イオン交換樹脂上に保持された18の溶出には炭酸イオンが必要であり、従来の溶出用溶液に含まれる水は、炭酸カリウムのイオン化に寄与している。つまり、溶出用溶液では、炭酸塩が液中でイオン化しているか否かが18F精製に大きな影響を及ぼす。このため、陰イオン交換樹脂からの18F溶出能力(18F溶出率)について検討を行なった。
具体的には、まず、表1に記載の炭酸塩とクリプタンド[2.2.2]とを、アセトニトリル水溶液(アセトニトリル/水=94/6(容量比))に溶解させた後、溶媒乾固し、得られた固形分を、表1に記載の溶媒で溶解させた溶出用溶液を調製した。
これとは別に、18O(p,n)18F反応によって得られた18Fを含有する水溶液を、QMAカラムに導出して、18イオンを保持させた後、当該カラムをアセトニトリルで洗浄した。次いで、当該カラムに、調製した各溶出用溶液を導入して、18Fを含有する溶出液を回収した。QMAカラムに導入した18Fの全量に対する溶出された18F量の割合(18F溶出率(%))を算出した。結果を表1に示す。表中、「N」はサンプル数を示す。また、溶媒欄の「%」は「容量%」である。
Figure 0007148121000002
この結果、アセトニトリルで溶出したサンプル1は、陰イオン交換樹脂カラム中の18Fを十分に脱離できなかった。これは、アセトニトリル中では、[K/K.222]HCOがイオン化していなかったためと推察された。これに対して、アセトニトリルとプロトン性溶媒との混合溶媒を用いたサンプル2~9と、プロトン性溶媒であるエタノールのみで溶出したサンプル10は、いずれもサンプル1よりも18F溶出率が高かった。中でも、炭酸カリウムを用いたサンプル6~8及び10は、非常に18F溶出率が優れており、従来のアセトニトリル水溶液で溶出した場合とほぼ同程度の18F溶出率であった。
[実施例2]
実施例1のサンプル3で回収された18Fを含有する溶出液とサンプル7で回収された18Fを含有する溶出液について、そのまま18F化反応に供した場合と、蒸発乾固後に18F化反応に供した場合とで、18F化反応の目的物の収率を調べた。
18F化反応は、PET薬剤である18F-FDG(2-deoxy-2-[18F]fluoro-D-glucose)を用いて行った。18F-FDGの前駆化合物は、アセトニトリルに溶解させた。18F化反応を下記反応式に示す。本実施例では、下記反応式のうち、i)の反応のみを行い、得られた18F中間体の状態で回収し、HPLC分析に供した。なお、上記反応式は、条件2及び4の場合の反応を示す。条件1及び条件3の場合には、i)の反応は、[K/K.222]18/(CHCN/10%EtOH)を使用した。
Figure 0007148121000003
具体的には、下記の4つの条件でそれぞれ反応溶液を調製した(N=3)。
条件1:サンプル3で回収された18Fを含有する溶出液([K/K.222]HCO)に、FDG前駆化合物のアセトニトリル溶液を1:1(容量比)で混合して反応溶液を調製した。当該反応溶液の溶媒の最終組成は、アセトニトリル/10容量%エタノールであった。
条件2:サンプル3で回収された18Fを含有する溶出液([K/K.222]HCO)を溶媒乾固した後、得られた固形分をアセトニトリルに溶解させた。このアセトニトリル溶液を、FDG前駆化合物のアセトニトリル溶液と1:1(容量比)で混合して反応溶液を調製した。当該反応溶液の溶媒の最終組成は、アセトニトリル(100容量%)であった。
条件3:サンプル7で回収された18Fを含有する溶出液([K/K.222]CO)に、FDG前駆化合物のアセトニトリル溶液を1:1(容量比)で混合して反応溶液を調製した。当該反応溶液の溶媒の最終組成は、アセトニトリル/10容量%エタノールであった。
条件4:サンプル7で回収された18Fを含有する溶出液([K/K.222]CO)を溶媒乾固した後、得られた固形分をアセトニトリルに溶解させた。このアセトニトリル溶液を、FDG前駆化合物のアセトニトリル溶液と1:1(容量比)で混合して反応溶液を調製した。当該反応溶液の溶媒の最終組成は、アセトニトリル(100容量%)であった。
調製された各反応溶液1mLを100℃で10分間反応させた。反応は全てポリプロピレン製のスピッツチューブを使用して行った。その後、反応溶液を氷冷して、アセトニトリル/50容量%水で溶解させて回収した。回収物をHPLCで分析して、HPLCの回収率と、18F標識された目的物(18F-FDG)の収率を測定した。測定結果を表2に示す。結果は全て、減衰補正済であり、Ave±SD(N=3)である。
Figure 0007148121000004
この結果、いずれの条件でも、合成収率は50%以上であり、目的の18F-FDGを得ることができた。これらの結果から、本発明に係る18Fの精製方法により回収された18Fを含有する溶出液は、溶媒乾固を行わずに18F化反応に供しても、充分な収率で反応を行うことが可能であることが確認された。

Claims (10)

  1. クリプタンド又はテトラブチルアンモニウムと炭酸塩とが溶解している溶液を溶媒乾固し、得られた固形分を、水以外のプロトン性溶媒を含む無水溶媒に溶解させることを特徴とする、18Fの溶出用溶液の製造方法。
  2. 前記プロトン性溶媒が、エタノール、イソプロパノール、メタノール、又はこれらの任意の2種以上の混合溶媒である、請求項に記載の18Fの溶出用溶液の製造方法。
  3. 前記炭酸塩が、炭酸カリウム又は炭酸水素カリウムである、請求項又はに記載の18Fの溶出用溶液の製造方法。
  4. 前記溶出用溶液の溶媒が、水以外のプロトン性溶媒と非プロトン性極性溶媒との混合溶媒である、請求項のいずれか一項に記載の18Fの溶出用溶液の製造方法。
  5. 前記混合溶媒の全量に対する前記プロトン性溶媒の含有量が5容量%以上である、請求項に記載の18Fの溶出用溶液の製造方法。
  6. 前記非プロトン性極性溶媒が、アセトニトリルである、請求項又はに記載の18Fの溶出用溶液の製造方法。
  7. 前記クリプタンドが、クリプタンド[2.2.2]である、請求項のいずれか一項に記載の18Fの溶出用溶液の製造方法。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の 18 Fの溶出用溶液の製造方法により 18 Fの溶出用溶液を製造し、
    18F含有水溶液を、陰イオン交換カラムに導入し、18Fを前記カラムに保持させた後、前記カラムに、前記 18 Fの溶出用溶液を導入して18Fを含有する溶出液を回収ることを特徴とする、18Fの精製方法。
  9. 回収された前記18Fを含有する溶出液を、溶媒乾固させる、請求項に記載の18Fの精製方法。
  10. 請求項8又は9に記載の18Fの精製方法により18Fを精製し、得られた18Fを用いて前駆物質を標識する、18F標識化合物の合成方法。
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DOUGLAS M. JEWETT et al.,Extraction of [18F]Fluoride from [18O]Water by a Fast Fibrous Anion Exchange Resin,International Journal of Radiation Applications and Instrumentation. Part A. Applied Radiation and Isotopes,英国,Pergamon Press pic,1990年,Vol.41, No.6,p.583-586,https://deepblue.lib.umich.edu/bitstream/handle/2027.42/28900/0000737.pdf;sequence=1

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