JPWO2005044174A1 - シームレスカプセル製造方法、シームレスカプセル製造装置及びシームレスカプセル - Google Patents

シームレスカプセル製造方法、シームレスカプセル製造装置及びシームレスカプセル Download PDF

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Abstract

硬化用液10中に液滴を吐出する多重ノズル7と、硬化用液10を収容する流路管11を備える。流路管11は、入口部25と入口部25よりも小断面積に形成された形成管部28bを備える変形加工部28を有する。多重ノズル7から硬化用液10中に吐出された液滴は、入口部25にて一旦ゾル状の球形液滴26となる。液滴26がゾル状態の間に入口部25から変形加工部28に導入する。硬化用液10は入口部25から形成管部28bに導入されると流速が変化し、流速変化に伴って液滴26が変形され、非球形のシームレスカプセルSCが形成される。これにより、煩雑な設定や微妙な制御を行うことなく、高品質の非球形シームレスカプセルを生産性良く製造し得る非球形カプセルの製造方法および装置を提供する。

Description

本発明は、食品や健康食品、医薬品、香料、香辛料等の充填物質を、ゼラチンや寒天等を含む皮膜によって被覆したシームレスカプセルの製造技術に関し、特に、非球形のシームレスカプセルの製造方法に関する。
医薬品等に使用されるシームレスカプセルの多くは、従来より、滴下法と呼ばれる製法によって製造されている。この滴下法は多重ノズルを用いて行われ、2層のカプセルの場合、内側にカプセル充填物質の吐出口、外側に皮膜物質の吐出口を配した二重ノズルが使用される。充填物質と皮膜物質は各ノズル先端から硬化用液中に放出され、放出された液滴はその表面張力によって球形となる。そして、この液滴が一定速度で還流する硬化用液中で冷却、凝固し、球形のシームレスカプセルが形成される。
一方、このようなシームレスカプセルにおいても、近年、飲み易さや取り扱い性の向上、あるいは商品差別化等の要請から、楕円形や長円形(オブロング形)等の非球形カプセルが求められている。ところが、前述の滴下法は表面張力を利用した製造方法であるため球形カプセルしか製造できず、楕円形のカプセルは専ら通常のシート方式で製造されていた。
そこで、滴下法においてもシームレスの非球形カプセルを製造すべく、カプセルをラグビーボール状あるいは楕円形状に形成する種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1には、ノズルから滴下された液滴がゾル状態にある間に液滴径より細い管に通して冷却し、液滴を楕円状に凝固させる変形シームレス軟カプセルの製造方法が示されている。また、特許文献2には、ノズルから滴下された液滴がゾル状態にある間に絞り状の成形型中で成形冷却する変形シームレス軟カプセルの製造方法が示されている。さらに、特許文献3には、ノズル先端において液滴にくぼみを形成し、これにより滴下凝固後のカプセルをラグビーボール状に成形する楕円形シームレス微小カプセルの製造方法が示されている。加えて、特許文献4には、予め製造したゲル状態のシームレスカプセルを加温してゾル状態とし、それをシームレスカプセルの径よりも小径の部位を有する成形治具に通して非球形形状に変形し、その後冷却してゲル状態とする非球形カプセルの製造方法が示されている。
特公昭60−46980号公報 特公昭60−46981号公報 特公昭61−17541号公報 特開2000−325431号公報
しかしながら、このような非球形カプセルの製造方法には次のような問題がある。まず、特許文献3の方式では、くぼみを形成する冷却流の調整が非常に微妙であり、切断流とくぼみ形成流を最適な状態に調整するのが難しいという問題がある。また、冷却流の調整は、カプセルの大きさや成分を変えるたびに行う必要があり、そのたびに煩わしい調整作業を余儀なくされるという問題もある。
次に、特許文献1,2および4の方法では、カプセルを非球形に変形させるための細管や成形型内に液滴が詰まり易いという問題がある。管や型が閉塞してしまうと、それ以上カプセルを製造することはできず、装置を停止して詰まったカプセルを除去したり、管等を交換したりする必要が生じる。このため、カプセルの詰まりが頻発すると、生産効率が大幅に低下しその改善が求められていた。
また、これらの方式では、カプセルの硬化用液の流量調節や温度コントロールが難しいという問題もある。一般に滴下式のシームレスカプセル製造装置によってカプセルを製造する場合、カプセルの品質(重量、精度、粒径、油滴、偏肉の度合い等)は、カプセル製造時の硬化用液の流量(流速)コントロールに依るところが大きい。ところが、前記公報の方式では、液滴を細管や成形型に通すため、液滴変形時の抵抗により硬化用液の流れに脈動や詰まりを生じることが多い。この結果、出来上がったカプセルの品質が安定せず、重量のバラツキや、カプセル剤皮の偏肉が生じるのみならず、生産量の低下が生じ、工業化が難しいという問題があった。
本発明の目的は、煩雑な設定や微妙な制御を行うことなく、高品質の非球形シームレスカプセルを生産性良く製造し得る非球形カプセルの製造方法および装置を提供することにある。
本発明のシームレスカプセル製造方法は、ノズルから硬化用液中に液滴を吐出し、前記液滴の少なくとも表面部分を硬化せしめてシームレスカプセルを製造する方法であって、前記液滴がゾル状態にある間に、前記硬化用液の流速を変化させて前記液滴を非球形に変形させることを特徴とする。また、前記シームレスカプセル製造方法において、前記液滴を、前記硬化用液の流速増加により流路方向に沿って引き伸ばすようにしても良い。
本発明にあっては、ノズルから硬化用液中に吐出された液滴は、硬化用液中にて一旦ゾル状の球形液滴となる。この球形の液滴がゾル状態の間に硬化用液の流速を変化させると、この流速変化に伴って液滴が変形され、非球形のシームレスカプセルが形成される。本発明の製造方法では、球形液滴の変形に際し液滴より小径の細管や型は使用せず、硬化用液の流速変化にて成形処理が行われる。従って、管等の詰まりや硬化用液の脈動等を防止することができ、カプセル品質や生産性が向上する。
また、前記シームレスカプセル製造方法において、非球形に形成された前記シームレスカプセルに対し、さらにエタノール系処理液との接触処理を施しても良い。これにより、乾燥工程における形状変化が抑えられ、乾燥処理後においても非球形シームレスカプセルの変形度が良好に保持される。
本発明のシームレスカプセル製造装置は、カプセル形成用の液体を吐出するノズルと、前記液体によって形成された液滴の少なくとも表面部分を硬化させる硬化用液が収容された流路管とを備えてなるシームレスカプセル製造装置であって、前記流路管は、前記ノズルに臨んで設けられ前記液体が吐出供給される入口部と、前記入口部よりも小さい断面積に形成された変形加工部とを有することを特徴とする。
本発明にあっては、ノズルから硬化用液中に吐出された液滴は、流路管の入口部にて一旦ゾル状の球形液滴となる。この球形の液滴がゾル状態の間にそれを入口部から変形加工部に導入する。変形加工部は入口部よりも小断面積に形成されており、硬化用液が入口部から変形加工部に導入されると、その流速が変化する。この流速変化に伴って液滴が変形され、非球形のシームレスカプセルが形成される。本発明の製造装置では、球形液滴の変形に際し液滴より小径の細管や型は使用せず、変形加工部における硬化用液の流速変化によって成形処理が行われる。従って、管等の詰まりや硬化用液の脈動等を防止することができ、カプセル品質や生産性が向上する。
前記シームレスカプセル製造装置において、好ましくは、前記変形加工部を前記入口部の下流側に、前記液滴がゾル状態にて到達する位置に配置する。これにより、変形加工に際して、液滴がゾル状態であるため非球形カプセルへの成形が容易となる。また、変形加工部の断面形状は円形のほか、楕円形、多角形、一部に直線部分を有する形状などから選ぶことができる。この際、前記変形加工部を前記入口部と連続して設けても良い。また、前記変形加工部の前記入口部側にテーパ状の導入部を設けても良い。
前記変形加工部の内径D1を、好ましくは、前記入口部における前記液滴の直径D0を超えその3倍以下(D0<D1≦3D0)としても良い。また、この内径D1を、好ましくは前記入口部における前記流路管の内径D2の好ましくは(1/6)倍から(2/3)倍、より好ましくは(1/5)倍から(3/5)倍、特に好ましくは(1/4)倍から(1/2)倍とすることができる。ここで、変形加工部の内径D1は、変形加工部の断面に内接可能な最大円の直径と定義する。また、入口部における液滴の直径D0は、ノズルから吐出するカプセル形成用液体の単位時間当たりの体積流量を単位時間当たりの液滴の生成個数で除した液滴1個当たりの体積に対してその形状を球形としたときの球の直径と定義する。
さらに、好ましくは、前記変形加工部の断面積Sを、前記入口部における前記液滴の直径D0とすると、(π/4)D0 <S≦(9π/4)D0 の範囲に設定しても良い。また、この断面積Sを、好ましくは前記入口部における前記流路管の断面積の(1/36)倍から(4/9)倍、より好ましくは(1/25)倍から(4/25)倍、特に好ましくは(1/16)倍から(1/4)倍とすることができる。このように内径D1や断面積Sを設定することにより、硬化用液の流速に関し、液滴を非球形カプセルへ形成するために好ましい流速変化を得ることができる。すなわち、上記範囲を外れると十分な流速変化が得られずに液滴の変形が少なかったり、または変形しなかったりする傾向があり、逆に流速変化が急すぎて液滴が破裂してしまうなどの不具合が生じる傾向があり好ましくない。
一方、本発明のシームレスカプセル製造方法は、前述のシームレスカプセル製造装置を用いて、非球形のシームレスカプセルを製造することをも特徴としている。また、本発明のシームレスカプセル製造方法では、前記シームレスカプセルに対し、さらにエタノール系処理液との接触処理を施しても良く、これにより、乾燥工程におけるカプセルの形状変化が抑えられ、乾燥処理後においても非球形シームレスカプセルの変形度が良好に保持される。
さらに、本発明の非球形のシームレスカプセルは前述のシームレスカプセル製造方法によって得られることを特徴とする。
本発明のシームレスカプセル製造方法によれば、ノズルから硬化用液中に液滴を吐出し、この液滴がゾル状態にある間に、硬化用液の流速を変化させて前記液滴を非球形に変形させるようにしたので、液滴より小径の細管や型を使用することなく、硬化用液の流速変化にて液滴の成形処理を行うことができる。従って、管等の詰まりや硬化用液の脈動等を防止することができ、カプセル品質や生産性の向上を図ることが可能となる。
本発明のシームレスカプセル製造装置によれば、カプセル形成用の液体を吐出するノズルと、この液体によって形成された液滴の少なくとも表面部分を硬化させる硬化用液が収容された流路管とを設け、この流路管に、カプセル形成用の液体が吐出供給される入口部と、この入口部よりも小さい断面積に形成された変形加工部とを設けたので、断面積の変化に伴う硬化用液の流速変化によって液滴を変形させて非球形のシームレスカプセルを形成することができる。このため、液滴より小径の細管や型を使用することなく液滴の成形処理ができ、管等の詰まりや硬化用液の脈動等が防止され、カプセル品質や生産性の向上を図ることが可能となる。
一方、本発明のシームレスカプセル製造方法では、液滴を非球形に変形させて形成したシームレスカプセルに対し、さらにエタノール系処理液との接触処理を施すようにしたので、乾燥工程におけるカプセルの形状変化が抑えられ、乾燥処理後においても非球形シームレスカプセルの変形度を良好に保持することができる。従って、所望の形状の非球形シームレスカプセルを容易に得ることが可能となる。
図1は、本発明の一実施例であるシームレスカプセル製造装置の構成を示す説明図である。 図2は、変形加工部の断面形状に関する変形例を示す説明図である。 図3は、形成管部を図2(d)の形状とした場合に形成されるシームレスカプセルの形状を示す説明図である。 図4は、実施例3〜6及び参考例1のシームレスカプセルの形態を示す説明図である。
符号の説明
1 芯液
2 芯液用タンク
3 皮膜液
4 皮膜液用タンク
5 ポンプ
6 管路
7 多重ノズル
8 ポンプ
9 管路
10 硬化用液
11 流路管
11A 流入部
11B 流出部
11C 嵌合部
12 分離器
13 メッシュ
16 分離タンク
19 ポンプ
20 管路
21 冷却タンク
22 冷却器
23 ポンプ
24 管路
25 入口部
26 液滴
27 液滴
28 変形加工部
28a 導入部
28b 形成管部
28c 導出部
0 液滴直径
1 形成管部内径
2 入口部内径
1 形成管部長
2 入口部上端から形成管部入口までの長さ
S 形成管部断面積
SC シームレスカプセル
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例であるシームレスカプセル製造装置の構成を示す説明図である。図1のシームレスカプセル製造装置では、多重ノズル7から流路管11内に液滴を吐出してシームレスカプセルSCを製造する。シームレスカプセルSCを形成するための芯液(内層液)1は芯液用タンク2の中に貯留される。芯液1を被覆する皮膜液(外層液)3は皮膜液用タンク4の中に貯留される。芯液1は、ポンプ5により芯液用タンク2から管路6を経て多重ノズル7に圧送される。皮膜液3は、ポンプ8により皮膜液用タンク4から管路9を経て多重ノズル7に圧送される。
流路管11の上端入口部には、硬化用液10の流入部11Aが設けられている。流入部11Aには、ポンプ23より管路24を介して硬化用液10が供給される。当該シームレスカプセル製造装置は液中ノズル式となっており、流入部11Aの入口部25内には多重ノズル7が挿入設置されている。多重ノズル7からはカプセル形成用液体である芯液1と皮膜液3が吐出される。多重ノズル7には図示しない加振手段により振動が付与されており、吐出された液体は振動により適宜切断され、皮膜液3が芯液1の全周囲を被覆した多層液滴26(以下、液滴26と略記する)を形成する。そして、この液滴26が硬化用液10内を移動しつつ冷却硬化され、シームレスカプセルSCが形成される。硬化用液10の温度は、皮膜液3の組成、厚み、及び温度、液滴26の大きさ、生産速度等により適宜、設定することができる。被膜液3における固形成分がゼラチンを主成分とするとき、硬化用液10の温度は、好ましくは4〜16°C、より好ましくは5〜10°Cとすることが望ましい。
なお、液滴26の1個当たりの体積は、単位時間当たりに多重ノズル7から吐出する芯液1と皮膜液3の合計の体積流量を、単位時間当たりの液滴の生成個数、すなわち、多重ノズル7の振動数で除すことにより算出できる。また、入口部における液滴の直径D0は、液滴の形状が球形であるとして、前記液滴1個当たりの体積から球の直径を算出することにより求められる。
流路管11は曲折形状の筒体として形成され、略J字形の流入部11Aと、流入部11Aと入れ子式に接合された逆J字形の流出部11Bとから構成されている。流入部11Aと流出部11Bは、嵌合部11Cにて密封状態で嵌合固定されている。なお、嵌合部11Cにおいて流入部11Aと流出部11Bを互いに上下方向に相対移動可能に接合しても良い。これにより、流入部11Aの液面と流出部11Bの液面との高さの差Δhが調節可能となり、流路管11内における硬化用液10の流速を調節することが可能となる。
流入部11Aの上端部には、多重ノズル7に臨んで円筒状の入口部25が設けられており、入口部25の下流側にはさらに変形加工部28が設けられている。変形加工部28は、導入部28a、形成管部28b及び導出部28cとから構成されている。導入部28aは入口部25の下端に連続的に設けられ、内径が徐々に変化するテーパ状に形成されている。形成管部28bは入口部25よりも小径に形成されており、その内径D1は、入口部25の内径D2よりも小さくなっている(D1<D2)。導出部28cは形成管部28b下端に連続的に設けられ、内径が徐々に変化するテーパ状に形成されている。導出部28cの下流側の流路管11は入口部25と同様の径に形成されている。
変形加工部28は、多重ノズル7から吐出された液滴26が入口部25を通過しまだゾル状態にある部位に設置される。形成管部28bの内径D1は、入口部25内の液滴26の径D0よりも大きく、好ましくはD0の3倍以下に設定される(D0<D1≦3D0)。すなわち、流路管11の断面が円形の場合、形成管部28bの断面積Sは、(π/4)D0 <S≦(9π/4)D0 に設定される。
このように変形加工部28における内径D1や断面積Sを設定すると、液滴26と形成管部28bの内面との間に間隙を形成することができ、液滴26が形成管部28b内をスムーズに流通できるようになる。従って、液滴26が変形加工部28内に詰まってしまうのを防止することができ、硬化用液の脈動や詰まりも抑制される。一方、内径D1や断面積Sを余り大きく設定すると、入口部25との差異が少なくなり、硬化用液の流速変化が小さくなって液滴26を変形させる作用が低下する。本発明者らの実験によれば、前述の範囲に内径D1や断面積Sを設定すると、硬化用液の流速変化量を適切に確保でき、変形作用も十分に得られることが確認できた。
さらに、形成管部28bの内径D1は、入口部の内径D2の好ましくは(1/6)倍から(2/3)倍、より好ましくは(1/5)倍から(3/5)倍、特に好ましくは(1/4)倍から(1/2)倍に設定される。また、形成管部28bの断面積Sは、入口部25の断面積の好ましくは(1/36)倍から(4/9)倍、より好ましくは(1/25)倍から(4/25)倍、特に好ましくは(1/16)倍から(1/4)倍に設定される。このように形成管部28bにおける内径D1や断面積Sを設定すると、液滴26を非球形に形成するために適切な流速変化を設定することができ、液滴が破裂することがなく、適度に変形した非球形のシームレスカプセルを効率良く得ることができる。
一方、形成管部28bの長さL1は、入口部25の上端から形成管部28bの入口までの長さをL2とするとL1=0.2〜1.5×L2に設定される。形成管部28bの長さL1が長過ぎると、カプセルを形成するのに必要な硬化用液10の流速が得られず、成形されたカプセルが流路管11の底部で閉塞してしまう。これに対し、形成管部28bの長さL1を前述のような範囲内に設定すると、流路管11内を流れる硬化用液10についてカプセル形成に必要な流速を確保でき、十分な変形作用と生産能力を得ることが可能となる。
流出部11Bの出口端下方には、略漏斗形状の分離器12が配設されている。分離器12内には、シームレスカプセルSCは通過させず、かつ硬化用液10のみを通過させるメッシュ13が張設されている。この分離器12により、流路管11から一緒に流出したシームレスカプセルSCと硬化用液10が互いに分離される。分離器12にてシームレスカプセルSCから分離された硬化用液10は、下方の分離タンク16の中に回収される。分離タンク16内の硬化用液10は、ポンプ19により管路20を経て冷却タンク21に圧送される。硬化用液10は、冷却タンク21内にて冷却器22により所定の温度に冷却される。冷却タンク21内の硬化用液10は、ポンプ23によって流路管11に戻される。
このようなシームレスカプセル製造装置では次のようにして非球形シームレスカプセルが製造される。まず、多重ノズル7から芯液1と皮膜液3が噴出され、流路管11内の硬化用液10中に球形の液滴26が形成される。この液滴26は、ゾル状態のうちに変形加工部28に至る。変形加工部28内では、断面積の変化により硬化用液10の流速が上昇する。ゾル状態の液滴26は、この流速変化により変形加工部28の形成管部28bに急速に引き込まれる。この急速な引き込みにより、液滴26は流れの方向に引き伸ばされ、楕円形や長円形の液滴27となり変形加工部28から流出する。
この際、形成管部28bの内径D1は、多重ノズル7から吐出された液滴26の直径D0よりも大きいため、形成管部28b内に液滴が詰まりにくい。つまり、従来の滴下法による変形シームレス軟カプセルの製造方法は、液滴の径を機械的に縮径させる形態を採っているため、細管や成形型は当然に液滴径よりも小さくなり、それ故に液滴が管等の中に詰まり易くなる。これに対し、当該シームレスカプセル製造装置を用いるシームレスカプセル製造方法では、流速変化により液滴26の変形を行うため、変形加工部28では断面積に変化があれば足り、液滴26が十分通過可能な内径を確保できる。従って、管や型の閉塞による装置の停止を防止でき、生産効率の向上を図ることが可能となる。また、液滴変形時の抵抗による硬化用液流の脈動や詰まりも防止でき、重量のバラツキやカプセル剤皮の偏肉等が抑えられ、カプセル品質の安定化も図られる。
このようにして非球形に変形された液滴27は、変形加工部28にて冷却され非球形のシームレスカプセルSCとなる。その後、シームレスカプセルSCは、流出部11Bの出口端から分離器12のメッシュ13の上に硬化用液10と共に流下する。シームレスカプセルSCはメッシュ13で硬化用液10から分離され、適当な量に達した時にバッチ式に図示しない製品回収容器の中に回収される。一方、硬化用液10はメッシュ13を通過して分離タンク16の中に回収される。
一方、このようにして製造したシームレスカプセルSC(液滴27)は、硬化用液10と分離した直後における生カプセル状態での皮膜の含水率は、皮膜組成により異なるが、約50〜85重量%となっている。皮膜含水率が高いと長期保存が難しく(含水率が高いと腐り易い)、また、手で触ると変形し易かったり、体温や夏季の高温により溶け易いこと等の問題が生じ易く、保存性や取扱い性を改善するため、硬化用液10と分離した後、シームレスカプセルSC(液滴27)を乾燥させることが必要となる。
乾燥後のシームレスカプセルの皮膜含水率は、約10〜15重量%であることが好ましい。皮膜組成が親水性であるため、この範囲以下まで乾燥することは難しく、適度のやわらかさや触感を保持するためにも、皮膜の含水率はこの範囲内であることが好ましい。なお、皮膜の含水率がこの範囲を超えると、長期保存性(腐り易くなる傾向が見られる)や付着性(シームレスカプセルが互いに付着し易くなる、または容器と付着し易くなる等)の点で好ましくない。
シームレスカプセルの乾燥方法は、通常、通気乾燥が行われることが多く、その方法としては、流動層乾燥機を用いる方法や回転ドラム式通気乾燥機を用いる方法等が挙げられるが、回転ドラム式通気乾燥機を用いることが好ましい。通気乾燥に使用する乾燥空気は、低湿度の乾燥空気を使用し、その温度は、好ましくは10〜30゜C、より好ましくは15〜25°Cである。乾燥空気の温度が10°C未満では、低湿度の乾燥空気を入手することがコスト高となる上に乾燥効率も低くなる傾向があり、温度30゜C以上の乾燥空気を使用すると、シームレスカプセルの皮膜(表面)が溶けたり、あるいは乾燥中に芯液中に気泡が発生する等の問題が発生し易く好ましくない。
ところで、製造したシームレスカプセルSC(液滴27)を、硬化用液10と分離した後、通気乾燥にかけた場合、非球形のシームレスカプセルSCが徐々に球形に戻ってしまう傾向がある。かかる現象に対しては、次のような理由が考えられる。まず第1に、シームレスカプセルSCが低温の硬化用液10中から分離され、これより高い温度で通気乾燥にかけられることにより皮膜(特に、ゼラチン)のゲル化力が低下し、非球形のシームレスカプセルSCが形状的に安定な球形に戻り易くなることが考えられる。また、第2に、乾燥に伴い、シームレスカプセルSCの皮膜の水分が失われ、皮膜に収縮しようとする力が働くことが考えられる。さらに、第3の理由として、流動層乾燥あるいは回転ドラム式通気乾燥におけるカプセルの回転運動(転がり効果)等により非球形に変形したシームレスカプセルSCが、次第に丸みを帯び球形に戻る働きを受けることが考えられる。
このため、従来のシームレスカプセル製造方法では、前述の方法・装置によって非球形に形成されたにもかかわらず、後の乾燥工程にて、シームレスカプセルSCが球形に戻ってしまい、所望の非球形形状のシームレスカプセルを得ることが難しいという問題があった。これに対し、本願発明者は、非球形に変形したシームレスカプセルSCにある程度脱水処理を施してから乾燥処理に臨めば、乾燥時の形状変化が抑えられると考え、通気乾燥処理を行う前にエタノール系処理液と接触処理を施すことにより、非球形のシームレスカプセルの変形度を保持できることを見出した。
この場合のエタノール系処理液は、エタノールを主成分とする処理液であり、エタノールの含有率は50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90〜99重量%である。エタノール系処理液には、シームレスカプセルの相互付着を防ぐためにレシチンを添加しても良い。レシチンの添加量は、好ましくは0.01〜0.5重量%、より好ましくは0.1〜0.2重量%である。また、レシチンを中鎖脂肪酸トリグリセライト(以下、MCTと略す)に溶解させてからエタノール系処理液に添加しても良い。
さらに、皮膜組成にグリセリンが含まれるときには、皮膜から水分とともにグリセリンが失われてしまい皮膜組成が変化するおそれがある。そのため、この場合には皮膜組成の変化を抑制するために、エタノール系処理液にグリセリンを適宜、添加しても良い。グリセリンの添加量は、皮膜組成によって決まり、皮膜中のグリセリン濃度とエタノール系処理液中のグリセリン濃度が、ほぼ平衡状態となるように添加量を調製することがより好ましい。
非球形に製造されたシームレスカプセルSCとエタノール系処理液との接触処理の方法には特に制限は無く、乾燥後にシームレスカプセルの変形度がある程度、維持される方法であれば何れの方法を採用しても良い。但し、非球形に製造されたシームレスカプセルSCを硬化用液から分離し通気乾燥処理を行う前に、エタノール系処理液と接触させることが好ましい。
また、エタノール系処理液との接触処理前にシームレスカプセルSCを遠心分離機にかけ、その表面に付着する硬化用液を減じても良い。これにより、エタノール系処理液への硬化用液の混入が抑制され、接触処理の生産性が向上する。
シームレスカプセルSCをエタノール系処理液と接触させる時間にも特に制限は無く、これも乾燥後にシームレスカプセルの変形度がある程度、維持されていれば良い。好ましくは3分以上、より好ましくは5分以上、さらに好ましくは10分から90分間、特に好ましくは20分から60分間、接触処理を施し、その際、ゆるやかな撹拌処理を行うことがより好ましい。
非球形のシームレスカプセルSCとエタノール系処理液の接触処理時間は、長くなるほど乾燥前の非球形の変形度が乾燥後にも維持される傾向がある。接触処理時間がある一定時間以上になると、乾燥後の非球形シームレスカプセルの形状はほぼ一定となる。従って、非球形のシームレスカプセルSCとエタノール系処理液の接触処理時間は、乾燥後のシームレスカプセルにおける所望の形状(変形度)を勘案し、適宜、選択することができる。すなわち、丸みのある卵形の非球形シームレスカプセルが必要なときは、エタノール系処理液との接触処理を行わない、または接触処理の時間を短くした後、通気乾燥を行えば良い。また、シャープな形状の非球形シームレスカプセルが所望なときは、エタノール系処理液の接触処理を若干長く行った後、通気乾燥を行えば良い。
なお、エタノール系処理液との接触処理後にシームレスカプセルを遠心分離機にかけ、その表面に残るエタノール系処理液を減じても良い。これにより、通気乾燥処理の乾燥効率を高めることができる。
以下に、本発明による変形シームレスカプセルの実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例には限定されない。
充填液(芯液)として、表1に示すように、中鎖脂肪酸トリグリセライド(以下、MCT)と、皮膜物質として、表2に示す配合比にて加熱溶解した皮膜液を調製し、図1に示すシームレスカプセル製造装置を用いて円錐形の変形カプセルを製造した。このシームレスカプセルの製造条件は表3の通りとした。なお、表中における皮膜率とは、シームレスカプセル全質量に対する皮膜質量の割合を示している。
Figure 2005044174
Figure 2005044174
Figure 2005044174
実施例1と同様に、表1,表2に示す配合比で芯液、皮膜液を調製し、図1に示すシームレスカプセル製造装置を用いて饅頭形の変形カプセルを製造した。このシームレスカプセルの製造条件は表3の通りとした。
比較例1
比較例として、表1,表2に示す配合比で芯液、皮膜液を調製し、変形加工部28bを有しない図1と同様の構成を持つシームレスカプセル製造装置を用いて球形のシームレスカプセルを製造した。このシームレスカプセルの製造条件は表3の通りとした。
まず、実施例1と同様に、表1に示すような充填液(芯液)と、表2に示す配合比の皮膜物質を加熱溶解した皮膜液によって、円錐形の変形カプセルを製造した。得られた変形カプセルを硬化用液から分離し、円錐状の変形カプセル(未乾燥の変形カプセル)を得た。このシームレスカプセルの製造条件は表5に、変形カプセルの形状を図4(a)に示す。
円錐形のシームレスカプセルの長径を高さ(h)とし、高さ方向と垂直に交わる断面における最大直径及びその位置(高さ)を計測した。hに対する最大直径の比が1に近づくほど、また最大直径の位置(高さ)が中央に近づくほど、シームレスカプセルの形状は、円錐(非球形)から球形に近づくと考えられる。実施例3で得られた通気乾燥前の円錐形シームレスカプセルの高さに対する最大径の比は、0.77と小さく、非球形であることが認められた。
さらに、円錐形のシームレスカプセルの底面から最大直径の高さと、円錐形のシームレスカプセルの頂点の高さの中間点の高さにおける円断面の直径をaとした。またaの高さと頂点の高さの中間点の高さにおける円断面の直径をbとした。最大直径に対する直径a及びbの値が順次小さいほどシームレスカプセルの形状は円錐形に近いものと言うことができる。実施例3で得られた通気乾燥前の円錐形シームレスカプセルの高さに対する直径a及びbの値は、最大直径に比べ小さく円錐形の特徴を現している。
参考例1
実施例3により製造された変形シームレスカプセルを、そのまま通気乾燥(回転ドラム式通気乾燥、乾燥空気温度20゜C)し、乾燥後の変形カプセルを得た。このシームレスカプセルの製造条件は表5に、変形カプセルの形状を図4(b)に示す。
通気乾燥後の変形シームレスカプセルは、乾燥前の変形シームレスカプセルと比べて頂点の高さ(h)が低くなり、最大直径も大きくなりその最大径の位置(高さ)も高くなったことが分かる。乾燥前と比べ明らかに丸みを帯び、円錐形から卵形の変形シームレスカプセルへと形状の変化が認められた。また直径a及びbの寸法も乾燥前と比べて増え、高さ(h)に対する比も大きくなったことが明らかである。
実施例3により製造された乾燥前の変形カプセル100gに対し表4に示す配合比にて調製したエタノール系処理液150gを加え、10分間撹拌後、通気乾燥(回転ドラム式通気乾燥、乾燥空気温度20°C)を行い、変形カプセルを得た。このシームレスカプセルの製造条件及びエタノール系処理液との接触処理(以下、エタノール処理という。)の条件は表5に、変形カプセルの形状を図4(c)に示す。
エタノール処理を行った後に通気乾燥した変形シームレスカプセルは、頂点の高さ(h)が若干低くなっているが最大直径はほぼ同じ寸法であり、乾燥前と比べ若干丸みを帯びているものの円錐形の変形シームレスカプセルの形状を保持している。また直径a及びbの寸法にも大きな変化は認められない。
実施例3により製造された変形シームレスカプセルを、エタノール系処理液で20分間撹拌し接触処理する外は、実施例4と同様に行い、円錐形の変形カプセルを得た。このシームレスカプセルの製造条件及びエタノール処理条件は表5に、変形カプセルの形状を図4(d)に示す。
エタノール処理を20分間行った後に通気乾燥した変形シームレスカプセルは、頂点の高さ(h)及び最大直径に大きな変化はなく、直径a及びbの寸法及び高さに対する比にも大きな変化が認められず、乾燥前の円錐形の形状が、通風乾燥後もほぼそのまま保持している。
実施例3により製造された変形シームレスカプセルを、エタノール系処理液で60分間撹拌し接触処理する外は、実施例4と同様に行い、円錐形の変形カプセルを得た。このシームレスカプセルの製造条件及びエタノール処理条件は表5に、変形カプセルの形状を図4(e)に示す。
エタノール処理を60分間行った後に通気乾燥した変形シームレスカプセルは、頂点の高さ(h)及び最大直径に変化はなく、直径a及びbの寸法及び高さに対する比にも大きな変化が認められず、乾燥前の円錐形の形状が、通風乾燥後もほぼそのまま保持している。
エタノール処理の時間に関し、20分間(実施例5)と60分間(実施例6)との間に、通気乾燥後の変形シームレスカプセルの形状に変化はなくほぼ同じ形状である。
変形(非球形)シームレスカプセルとエタノール系処理液の接触処理時間は、長くなるほど乾燥前後の変形度(シャープさ)が維持される傾向にあり、ある一定時間以上の接触処理時間(本実施例の場合は20分間)においては、乾燥後の変形(非球形)シームレスカプセルの形状はほぼ一定となることが分かる。
このように、非球形に変形したシームレスカプセルSCに対し、乾燥処理に先立って、エタノール系処理液との接触処理を施すことにより、乾燥工程におけるカプセルの形状変化が抑えられ、乾燥処理後においても非球形シームレスカプセルの変形度を良好に保持することが可能となる。このため、従来の方式では、所望の形状の非球形シームレスカプセルを最終的に得ることが難しかったが、本発明の方式によれば、容易に所望の形状の非球形シームレスカプセルを得ることが可能となる。
Figure 2005044174
Figure 2005044174
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
形成管部28bの断面形状は円形には限られず、図2に示すように、楕円形(図2(a))や一部に直線部分を有する形状(図2(b)〜(d))、全ての部分が直線にて形成された多角形形状(図2(e)〜(g))などに形成しても良い。その場合、各断面形状は、液滴26がスムーズに通過できるように、狭小部位の寸法を液滴径よりも大きく設定する(図2(e)〜(g)参照)。
形成管部28bを図2(d)のような形状とした場合、シームレスカプセルSCは、図3に示すように、その一部が平面状となった楕円半球形(饅頭形)となる。このような饅頭形のカプセルは楕円球形のカプセルに比して「座り」が良く、転がりにくいカプセルを容易に製造することが可能となる。
さらに、多重ノズル7は前述のような二重ノズルには限定されず、三重ノズルなどでも良い。多層液滴の生成のために必要な振動方式もノズル加振方式の他に、リング加振方式やチューブ加振方式などの様々なものを利用できる。なお、液滴噴出用ノズルは、1層のみの液滴を噴出する単ノズルであっても良い。
加えて、シームレスカプセルにおける多層液滴の内層,外層の材料や成分などは任意である。また、流路管の構造も図1のようなS字型には限られず、螺旋状に下方に延びる形態などにしても良い。さらに、液滴の硬化も冷却硬化の他に、反応硬化方式でも良い。
また、前述のエタノール処理は、図1に示した製造装置やそれを使用する製造方法に限定されず、これ以外の製造装置や製造方法で製造された非球形シームレスカプセルにも適用できる。例えば、特公昭60−46980号公報等の従来の製造法によって製造した非球形シームレスカプセルに前述のエタノール処理を施すことにより、乾燥後における非球形形状の保持が可能となる。
【0003】
[0008] 本発明の目的は、煩雑な設定や微妙な制御を行うことなく、高品質の非球形シームレスカプセルを生産性良く製造し得る非球形カプセルの製造方法および装置を提供することにある。
[0009] 本発明のシームレスカプセル製造方法は、ノズルから硬化用液中に液滴を吐出し、前記液滴の少なくとも表面部分を硬化せしめてシームレスカプセルを製造する方法であって、前記液滴がゾル状態にある間に、前記硬化用液の流速を変化させて前記液滴を非球形に変形させることを特徴とする。また、前記シームレスカプセル製造方法において、前記液滴を、前記硬化用液の流速増加により流路方向に沿って引き伸ばすようにしても良い。
[0010] 本発明にあっては、ノズルから硬化用液中に吐出された液滴は、硬化用液中にて一旦ゾル状の球形液滴となる。この球形の液滴がゾル状態の間に硬化用液の流速を変化させると、この流速変化に伴って液滴が変形され、非球形のシームレスカプセルが形成される。本発明の製造方法では、球形液滴の変形に際し液滴より小径の細管や型は使用せず、硬化用液の流速変化にて成形処理が行われる。従って、管等の詰まりや硬化用液の脈動等を防止することができ、カプセル品質や生産性が向上する。
[0011] また、前記シームレスカプセル製造方法において、非球形に形成された前記シームレスカプセルに対し、さらにエタノール系処理液との接触処理を施しても良い。これにより、乾燥工程における形状変化が抑えられ、乾燥処理後においても非球形シームレスカプセルの変形度が良好に保持される。
[0012] 本発明のシームレスカプセル製造装置は、カプセル形成用の液体を吐出するノズルと、前記液体によって形成された液滴の少なくとも表面部分を硬化させる硬化用液が収容された流路管とを備えてなるシームレスカプセル製造装置であって、前記流路管は、前記ノズルに臨んで設けられ前記液体が吐出供給される入口部と、前記入口部よりも小さい断面積に形成され前記硬化用液の流速を変化させて前記液滴を非球形に変形させる変形加工部とを有しており、前記変形加工部の内周に内接可能な最大円の直径Dが、前記入口部における前記液滴の直径Dを超えることを特徴とする。
[0013] 本発明にあっては、ノズルから硬化用液中に吐出された液滴は、流路管の入口部にて一旦ゾル状の球形液滴となる。この球形の液滴がゾル状態の間にそれを入口部ら変形加工部に導入する。変形加工部は入口部よりも小断面積に形成されており


【0004】
、硬化用液が入口部から変形加工部に導入されると、その流速が変化する。この流速変化に伴って液滴が変形され、非球形のシームレスカプセルが形成される。本発明の製造装置では、球形液滴の変形に際し液滴より小径の細管や型は使用せず、変形加工部における硬化用液の流速変化によって成形処理が行われる。従って、管の詰まりや硬化用液の脈動等を防止することができ、カプセル品質や生産性が向上する。
[0014] 前記シームレスカプセル製造装置において、好ましくは、前記変形加工部を前記入口部の下流側に前記液滴がゾル状態にて到達する位置に配置するようにしても良い。これにより、変形加工に際して、液滴がゾル状態であるため非球形カプセルへの成形が容易となる。また、変形加工部の断面形状は円形のほか、楕円形、多角形、一部に直線部分を有する形状などから選ぶことができる。この際、前記変形加工部を前記入口部と連続して設けても良い。さらに、前記変形加工部の前記入口部側にテーパ状の導入部を設けても良い。
[0015] 前記変形加工部の内径Dを、好ましくは、前記入口部における前記液滴の直径Dを超えその3倍以下(D<D≦3D)としても良い。また、この内径Dを、好ましくは前記入口部における前記流路管の内径Dの好ましくは(1/6)倍から(2/3)倍、より好ましくは(1/5)倍から(3/5)倍、特に好ましくは(1/4)倍から(1/2)倍とすることができる。ここで、変形加工部の内径Dは、変形加工部の断面に内接可能な最大円の直径と定義する。また、入口部における液滴の直径Dは、ノズルから吐出するカプセル形成用液体の単位時間当たりの体積流量を単位時間当たりの液滴の生成個数で除した液滴1個当たりの体積に対してその形状を球形としたときの球の直径と定義する。
[0016] さらに、好ましくは、前記変形加工部の断面積Sを、前記入口部における前記液滴の直径Dとすると、(π/4)D <S≦(9π/4)D の範囲に設定しても良い。また、この断面積Sを、好ましくは前記入口部における前記流路管の断面積の(1/36)倍から(4/9)倍、より好ましくは(1/25)倍から(4/25)倍、特に好ましくは(1/16)倍から(1/4)倍とすることができる。このように内径D面積Sを設定することにより、硬化用液の流速に関し、液滴を非球形カプセルへ形成するために好ましい流速


Claims (15)

  1. ノズルから硬化用液中に液滴を吐出し、前記液滴の少なくとも表面部分を硬化せしめてシームレスカプセルを製造する方法であって、
    前記液滴がゾル状態にある間に、前記硬化用液の流速を変化させて前記液滴を非球形に変形させることを特徴とするシームレスカプセル製造方法。
  2. 請求項1記載のシームレスカプセル製造方法において、前記液滴は、前記硬化用液の流速増加により流路方向に沿って引き伸ばされることを特徴とするシームレスカプセル製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のシームレスカプセル製造方法において、非球形に形成された前記シームレスカプセルに対し、さらにエタノール系処理液との接触処理を施すことを特徴とするシームレスカプセル製造方法。
  4. カプセル形成用の液体を吐出するノズルと、前記液体によって形成された液滴の少なくとも表面部分を硬化させる硬化用液が収容された流路管とを備えてなるシームレスカプセル製造装置であって、
    前記流路管は、前記ノズルに臨んで設けられ前記液体が吐出供給される入口部と、前記入口部よりも小さい断面積に形成された変形加工部とを有することを特徴とするシームレスカプセル製造装置。
  5. 請求項4記載のシームレスカプセル製造装置において、前記変形加工部は、前記入口部の下流側に、前記液滴がゾル状態にて到達する位置に配置されることを特徴とするシームレスカプセル製造装置。
  6. 請求項4又は5記載のシームレスカプセル製造装置において、前記変形加工部の断面形状が楕円形であることを特徴とするシームレスカプセル製造装置。
  7. 請求項4又は5記載のシームレスカプセル製造装置において、前記変形加工部は、一部に直線部分を有する断面形状であることを特徴とするシームレスカプセル製造装置。
  8. 請求項4又は5記載のシームレスカプセル製造装置において、前記変形加工部の断面形状が多角形であることを特徴とするシームレスカプセル製造装置。
  9. 請求項4記載のシームレスカプセル製造装置において、前記変形加工部の内周に内接可能な最大円の直径をD1とし、前記D1は、前記入口部における前記液滴の直径D0を超えその3倍以下である(D0<D1≦3D0)ことを特徴とするシームレスカプセル製造装置。
  10. 請求項4記載のシームレスカプセル製造装置において、前記変形加工部の内周に内接可能な最大円の直径をD1とし、前記D1は、前記入口部における前記流路管の内径D2の6分の1倍から3分の2倍であることを特徴とするシームレスカプセル製造装置。
  11. 請求項4記載のシームレスカプセル製造装置において、前記変形加工部の断面積Sは、前記入口部における前記液滴の直径D0とすると、(π/4)D0 <S≦(9π/4)D0 の範囲に設定されることを特徴とするシームレスカプセル製造装置。
  12. 請求項4記載のシームレスカプセル製造装置において、前記変形加工部の断面積Sは、前記入口部における前記流路管の断面積の36分の1倍から9分の4倍であることを特徴とするシームレスカプセル製造装置。
  13. 請求項4記載のシームレスカプセル製造装置を用いて非球形のシームレスカプセルを製造することを特徴とするシームレスカプセル製造方法。
  14. 請求項13記載のシームレスカプセル製造方法において、前記シームレスカプセルに対し、さらにエタノール系処理液との接触処理を施すことを特徴とするシームレスカプセル製造方法。
  15. 請求項13又は14記載のシームレスカプセル製造方法によって得られる非球形のシームレスカプセル。
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