JPWO2005044107A1 - X線計測装置及びx線計測方法 - Google Patents
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Abstract
Description
これらのCアーム型X線計測装置を用いて、血管に造影剤を注入する前に回転計測を行い、血管に造影剤を注入して回転計測を行い、Cアームが同じ位置にある画像間で差分処理を行うことにより血管像のみを抽出するDSA(Digital Subtraction Angiography)計測がある。天井から吊るす形状の装置におけるDSA計測が、特開2003−126074号公報(従来例3)に提案されている。
さらに、DSA計測像を再構成処理して3次元像を得る3D−DSA計測がある。脳血管における3D−DSA計測が、「映像情報Medical、2001年9月、Vol.33 No.10、pp.69−75」(従来例4)に提案されている。
3D−DSA計測では、回転計測により得られた複数の計測データにそれぞれ補正処理を施して3次元再構成のための1組の投影データを得、得られた1組の投影データに対して3次元再構成アルゴリズムを用いて再構成処理を行い、3次元像を得る。再構成アルゴリズムとしては、Feldkamp法等がある。これらの再構成アルゴリズムは周知である。
Cアーム型X線計測装置に用いられる2次元X線検出器としては、I.I.(Image Intensifier:イメージインテンシファイア)とビデオカメラを光学系を介して組み合わせたI.I.−カメラ型X線検出器や、平面型X線検出器等がある。平面型X線検出器としては、アモルファスシリコンフォトダイオードとTFTを一対としてこれを正方マトリックス上に配置し、これと蛍光板を直接組み合わせたもの等がある。これらのセンサは周知である。
この課題に対し、上述した従来例3の装置におけるDSA計測では、造影剤注入前の1回目の回転計測を行う往路に対し、回転開始位置に復帰する復路において2回目の回転計測を可能にすることにより、1回目と2回目の回転計測の間隔を短縮した。その際、1回目と2回目の回転計測にずれが生じないようにするために、1回目の回転計測においてX線曝射および画像収集を行った際のCアームの回転角度を記憶しておき、2回目の回転計測において記憶されたCアームの回転角度でX線曝射および画像収集を行う手段を提案している。しかし、かかる従来装置は、往路、復路、往路の3回しか回転できず、対象の時間的変化を観察するには適さなかった。
また、上述の従来装置では、複数の回転計測の間の間隔時間を調節することができず、異なった時相の造影像を一回の造影剤の注入で計測しようとしても、それぞれの時相を適切な造影のタイミングで計測することができないという課題を有していた。そのため、異なった時相の造影像を計測するためには、それぞれの時相に対して造影剤を注入する必要があり、大量の造影剤投与のため患者の身体的負担が大きいという課題を有していた。
また、上述の従来装置では、良好なDSA像を得るために、複数の回転計測においてCアームが同じ回転角度に達した際にX線曝射および画像収集を行う必要があった。しかし、CアームはX線管および検出器の荷重によるたわみを生じ、そのたわみの大きさが回転の方向により異なり、さらに回転によるアームの振動が加わる。そのため、往路と復路では、Cアームの回転角度が等しくとも、その両端に設置されたX線管および検出器が同じ位置になるとは限らず、ずれを生じ易いという課題を有していた。
そこで、本発明の目的は、回転計測を適切な造影のタイミングで繰り返し行い、被検体の時間的変化の観察に適した良好な3次元像を得ることを可能にするX線計測技術を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、下記のような特徴を有する。以下、本発明の代表的な構成例を挙げて説明する。
(1)本発明のX線計測装置は、検査対象に照射するX線を発生するX線管と、前記検査対象に関する計測データを検出するX線検出器と、前記X線管と前記X線検出器とを対向させて保持する保持装置と、前記検査対象に対する前記X線管および前記X線検出器の相対位置を変化させる回転装置と、前記計測データの演算処理を行う制御処理装置とを有し、前記回転装置が往路回転を行う際に前記X線管がX線を発生すると共に前記X線検出器が計測データを収集し、前記回転裝置が復路回転を行う際に前記X線管がX線を発生すると共に前記X線検出器が計測データを収集し、かつ、前記制御処理装置が、前記往路回転の終了から前記復路回転の開始までの間隔時間および前記復路回転の終了から前記往路回転の開始までの間隔時間を回転毎に設定することを特徴とする。
(2)前記(1)のX線計測装置において、前記制御処理装置が、しきい値を設定することが可能な記憶装置を有し、前記計測データからなるX線像において任意の領域を設定し、前記領域内の信号強度の最小値を算出し、算出した前記最小値と前記しきい値とを比較し、前記最小値が前記しきい値より大きくなったことを検出することにより、前記間隔時間を設定することを特徴とする。
(3)前記(1)又は(2)のX線計測装置において、前記回転が、2回以上の往復回転であることを特徴とする。
(4)前記(3)のX線計測装置において、前記制御処理装置が、前記2回以上の往復回転から2つの往路もしくは復路回転を選択し、各々の回転において計測データを再構成処理し、前記2つの往路もしくは復路回転の再構成像の相対的位置を変化させ、2つの前記再構成像の間で差分処理を行い、得られた差分再構成像上に任意の領域を設定し、前記任意の領域内の誤差を算出し、前記誤差が最小となる相対的位置を検出することを特徴とする。
(5)前記(4)のX線計測装置において、前記制御処理装置が、前記2つの再構成像のうち片方の再構成像を検出した前記相対的位置に移動させた後に、差分処理を行い、前記差分再構成像を求めることを特徴とする。
(6)前記(4)のX線計測装置において、前記制御処理装置が、選択した前記2つの回転の再構成像から、それぞれ前記X線管の回転面と平行で前記回転面から等距離に位置する断層像を選択し、選択した前記2つの断層像において前記X線管の回転軸の位置を一致させ、前記回転軸の位置を中心として前記2つの断層像を相対的に回転させ、前記2つの断層像の間で差分処理を行い、得られた差分断層像上に任意の領域を設定し、前記領域内の誤差を算出し、前記誤差が最小となる回転角度を検出し、検出した前記回転角度において全ての断層像の差分処理を行うことにより、差分再構成像を求めることを特徴とする。
(7)前記(6)のX線計測装置において、前記制御処理装置が、複数の前記差分再構成像を求め、各々の差分再構成像をしきい値処理し、しきい値処理した差分再構成像を異なる色で表示し、色付けした差分再構成像を加算処理することを特徴とする。
(8)前記(4)のX線計測装置において、前記制御処理装置が、複数の再構成像から基準となる再構成像を選択し、前記複数の再構成像の各々において前記基準となる再構成像に対して誤差が最小となる相対的位置を検出し、前記複数の再構成像の各々を検出した前記相対的位置に移動させ、前記複数の再構成像上の各々に任意の領域を設定し、前記複数の再構成像毎に前記領域内の信号強度の平均値を算出することを特徴とする。
(9)本発明のX線計測方法は、X線管とX線検出器とを対向させて保持した中で、検査対象に対して前記X線管および前記X線検出器の相対位置を変化させる回転を与えながら、前記X線管で発生したX線を検査対象に照射し、前記検査対象に関する計測データを前記X線検出器により検出する工程と、前記計測データの演算処理を行う工程とを有するX線計測方法において、前記回転が往路回転を行う際に前記X線管がX線を発生すると共に前記X線検出器が計測データを収集し、前記回転が復路回転を行う際に前記X線管がX線を発生すると共に前記X線検出器が計測データを収集する工程を含み、かつ、前記計測データの収集を、前記往路回転の終了から前記復路回転の開始までの間隔時間および前記復路回転の終了から前記往路回転の開始までの間隔時間を回転毎に設定して行うようにしたことを特徴とする。
図1に、本発明の一実施例になるX線計測装置の側面図を示す。X線計測装置は、X線管100内のX線源101、検出器102、支柱103、回転装置104、角度検出装置105、寝台106、制御処理装置107、造影剤注入装置108から成る。X線管100と検出器102は支柱103に設置されている。支柱103には、C字型のアームや、コ字型のアーム等が用いられる。支柱103を天井から吊るす形態や、支柱103を床から支える形態が考えられる。支柱103は、回転装置104により、回転軸109を中心として寝台106上に横になった被検体110の周囲を回転する。角度検出装置105は、回転装置104の回転角度を検出し、制御処理装置107に出力する。X線計測装置は、表示装置112を有し、計測データをリアルタイムで表示することが可能である。
図1では、表示装置112は制御処理装置107を経由した計測データを表示する構成を示した。制御処理装置107を経由することにより、表示する前に計測データに処理を加えることが容易になる。検出器102から直接に計測データを表示する構成とすることも可能であり、その場合は、リアルタイム性を向上させることができる。
図1では、造影剤注入装置108は制御処理装置107により制御される構成を示した。制御処理装置107を介することにより、造影剤注入タイミングや速度を自動化することができる。X線計測装置は、造影剤注入装置108を他の装置と独立に有することも可能であり、その場合、造影剤注入のタイミングや速度を他の装置とは独立に調整することが可能となり、自由度を向上させることができる。
図1では、最も一般的な形態として、回転軸109および寝台106が床に平行である場合を示した。回転軸109と寝台106を平行に設定することにより、従来CTと同様に被検体110の体軸に垂直な断層像が得られる。支柱103および寝台106を移動させることにより、回転軸109を体軸に対して斜めに設定することも可能である。斜めに設定することにより、被検体110内のX線吸収の大きい領域を避けて計測データを得ることが可能となり、断層像の画質を向上させることができる。
検出器102には、フラットパネルセンサ、X線イメージインテンシファイアとCCDカメラの組み合わせ、イメージングプレート、CCD検出器、固体検出器等が用いられる。X線源101から発生されたX線は被検体110を透過し、検出器102によりX線強度に応じた電気信号に変換され、制御処理装置107に計測データとして入力される。
制御処理装置107は、X線源101におけるX線発生、検出器102におけるデータの取得、回転装置104における支柱103の回転を制御する。これにより、X線計測装置は、支柱103を回転しながらX線の発生と計測データの取得を行う回転計測が可能である。また、制御処理装置107は造影剤注入装置108における造影剤の注入を制御する。これにより、造影剤注入装置108は被検体110の血管111に造影剤を注入することが可能である。
図2に、図1のX線計測装置の正面図を示す。回転装置104は、X線管100および検出器102の取り付けられた支柱103を、時計回りの方向201と反時計回りの方向202の両方に回転させることができる。例えば、支柱103は約200°の角度範囲を回転する。制御処理装置107は、X線源101と検出器102と回転装置104を制御し、時計回り方向201の回転計測と反時計回り方向202の回転計測の両方を実現することが可能である。そのために、制御処理装置107は、計測シーケンスを入力し、記憶する記憶装置113を有する。計測シーケンスの入力形態は、例えば、回転計測の繰り返し回数と回転計測間の間隔時間が考えられる。あるいは、タイミングチャートが考えられる。入力手段としては、キーボードからのキー入力、ファイルからの読み込み、記憶チップの交換が考えられる。制御処理手段107は操作メニューとして計測シーケンスを入力するモードを有し、入力の際にはディスプレイ上に入力結果を表示する。あるいは、制御処理装置107は操作メニューとして計測シーケンスを表示するモードを有し、ディスプレイ上にシーケンスを数値あるいは図にて表示する。
図3に、計測シーケンスの一例を示す。ここでは、回転計測を時計回り方向(往路)から開始し、往路および復路の回転による計測を、往路→復路→往路→復路→往路の5回行う場合を示す。
回転装置104は、回転開始角度に設定される。制御処理手段107において、計測信号301がONになり、計測が開始される。計測信号301のONを受け、回転信号302がプラス方向にONになり、回転装置104が時計回りの回転を開始する。回転信号302のONを受け、X線パルス信号303がONになり、X線源101がパルス状のX線の発生を開始する。X線パルス信号303は所定の時間の後にOFFになり、X線源101はパルス状のX線の発生を停止する。角度検出装置105から出力される回転装置104の回転角度が所定の角度に到達する毎に、X線パルス信号303はONになる。X線パルス信号303のOFFを受け、データ収集信号304がONになり、検出器102がデータ収集を行う。所定のデータ収集が終了すると、データ収集信号はOFFになる。例えば、所定のデータは、2次元検出器の一画面分、画面中心を中心とし縦横1/2ずつの大きさをとった1/4画面分などである。回転装置104が回転終了角度に達すると、回転信号302がOFFになり、回転が終了する。X線パルス信号303は、回転信号302のOFFを受けて停止する。あるいは、X線パルス信号303は、所定の数だけ発生すると停止する。
次に、回転信号302のOFFの後、所定の時間を空けて、回転信号302がマイナス方向にONになり、回転装置104が反時計回り(復路)の回転を開始する。回転信号302のONを受け、X線源101がパルス状のX線の発生を開始し、検出器102がデータ収集を開始する。回転装置104が1回目の回転の回転開始角度に達すると、回転信号302がOFFになり、回転が終了する。X線パルス信号303は、回転信号302のOFFを受けて、あるいは、所定の数だけ発生し、停止する。この一連の回転計測を所定の回数繰り返す。最後の回転の回転信号302のOFFを受け、計測信号301がOFFになり、計測が終了する。
図4に、計測シーケンスの別の例を示す。図3のシーケンスでは、角度検出装置105から出力される回転装置104の回転角度が所定の角度に到達すると、X線パルス信号303をONとした。図4のシーケンスでは、制御処理手段107にて同期信号401を発生させ、この同期信号401のONを受けて、X線パルス信号303をONとする。あるいは、検出器102にて同期信号401を発生させ、この同期信号401のONを受けて、X線パルス信号303をONとする。これらのシーケンスを説明する。
計測信号301のONを受け、回転信号302がプラス方向にONになり、回転装置104が時計回りの回転を開始する。回転信号302がONになった後に、最初に同期信号401がONになったところで、X線パルス信号303がONになり、X線源101がパルス状のX線の発生を開始する。X線パルス信号303のOFFを受け、データ収集信号304がONになり、検出器102がデータ収集を開始する。回転装置104が回転終了角度に達すると、回転信号302がOFFになり、回転装置104が回転を停止する。X線パルス信号303は、回転信号302のOFFを受けて、あるいは、所定の数だけ発生し、発生を停止する。
回転信号302のOFFの後、所定の時間を空けて、回転信号302がマイナス方向にONになり、反時計回りの回転を開始する。一連の回転計測を所定の回数繰り返す。最後の回転の回転信号302のOFFを受け、計測信号301がOFFになり、計測が終了する。
図5に、計測手順の一例を示す。まず、制御処理装置107に、回転開始角度、回転終了角度、撮影開始角度、撮影終了角度の設定をする(ステップ501)。次に、制御処理装置107に回転計測の繰り返し回数と回転計測間の間隔時間を入力し、記憶装置113に記憶する(ステップ501)。寝台106を移動し、被検体110の位置を調整する(ステップ503)。支柱103を回転開始角度に設定する(ステップ504)。造影剤注入装置108が被検体110の血管111に造影剤を注入する(ステップ505)。制御処理装置107に付属した計測開始ボタンを押す(ステップ506)。計測開始の際に、微弱なX線を発生させ、表示装置112において着目する血管111へ造影剤が流入したことを確認することにより、造影剤流入において時間遅れのない画像の計測が可能となり、計測の精度を向上させることができる。
計測開始を受けて、制御処理装置107は回転装置104の回転を開始する。制御処理装置107は角度検出装置105から回転装置104の回転角度情報を得、回転装置104が撮影開始角度に到達する(ステップ507)と、X線源101のX線発生(ステップ508)と検出器102のデータ収集(ステップ509)を開始する。回転開始角度と撮影開始角度をほぼ同一に設定することにより、術者が回転開始ボタンを押すと同時に計測を開始することができ、造影剤流入において時間遅れのない画像の計測が可能になる。制御処理装置107は、計測像を取り込んだ回転角度情報を記憶する(ステップ510)。制御処理装置107は回転装置104が撮影終了角度に到達すると(ステップ511)、X線発生とデータ収集を停止する。回転装置104は回転終了角度に到達すると(ステップ512)、往路での回転計測を終了する(ステップ513)。制御処理装置107は、記憶された間隔時間後に回転装置104の回転を開始する。次の回転計測は、最初の往路回転に対して反転(復路回転)となる。制御処理装置107は、この一連の回転計測を記憶された繰り返し回数だけ実行する(ステップ514)。
制御処理装置107は、術者が計測開始ボタンを外すと、回転計測を強制的に終了する。簡便なボタン操作で計測を終了可能とすることにより、計測の安全性を高めることができる。回転計測間の間隔時間に微弱なX線を発生させ、表示装置112において画像を確認することにより、計測の安全性を高めることができる。
具体的には、繰り返し回数は5回、1回の回転計測に要する時間は5秒、繰り返し計測の間隔時間は1秒である。総時間30秒で計測を実行することにより、腹部や頭部の血管造影において造影剤の流入から流出までの状態を観察することができる。あるいは、5回目の計測を30秒後に実行することにより、完全に造影剤が流出した状態での画像を得ることができる。
なお、上記実施例では、繰り返し回数は5回(往路→復路→往路→復路→往路)の例について述べたが、本発明では、往路および復路の往復回転を2回以上行うことにより、本発明による効果が期待できる。
図6に、計測手順の別の例を示す。まず、制御処理装置107に、回転開始角度、回転終了角度、撮影開始角度、撮影終了角度の設定をする(ステップ601)。次に、制御処理装置107は回転計測の繰り返し回数を記憶装置113に記憶する。制御処理装置107は計測像上に設定する複数の着目領域の座標と、各領域における複数のしきい値を記憶装置に記憶する(ステップ602)。寝台106を移動させ、被検体110の位置を調整する(ステップ603)。支柱103を回転開始角度に設定する(ステップ604)。術者は、制御処理装置107に付属の計測開始ボタンを押す。計測開始を受けて、X線源101が微弱なX線を発生し(ステップ605)、表示装置112は検出器の出力をリアルタイムで表示する。造影剤注入装置108は被検体110の血管111に造影剤を注入する(ステップ606)。
制御処理装置107において、検出器102の出力画像に対して以下の処理を行う。X線の吸収が大きいほど信号強度が小さくなる場合、計測像上に記憶された着目領域を設定し、領域内の信号強度の最小値を算出し、最小値を予め記憶された第1のしきい値と比較する(ステップ607)。最小値が第1のしきい値より小さくなった時に回転を開始する。X線の吸収が大きいほど信号強度が大きくなる場合、計測像上に記憶された着目領域を設定し、領域内の信号強度の最大値を算出し、最大値を記憶された第1のしきい値と比較する。最大値が第1のしきい値より大きくなった時に回転を開始する。
回転装置104が回転を開始すると(ステップ608)、制御処理装置107は角度検出装置105から回転装置104の回転角度情報を得、回転装置104が撮影開始角度に到達すると(ステップ609)、X線源101のX線発生(ステップ610)と検出器102のデータ収集(ステップ611)を開始する。制御処理装置107は、計測像を取り込んだ回転角度情報を記憶する(ステップ612)。制御処理装置107は回転装置104が撮影終了角度に到達すると(ステップ613)、X線源101のX線発生と検出器102のデータ収集を終了する。回転装置104は回転終了角度に到達すると(ステップ614)、往路での回転計測を終了する(ステップ615)。
X線源101より微弱なX線を発生し、制御処理装置107において検出器102の出力画像に対して以下の処理を行う。X線の吸収が大きいほど信号強度が小さくなる場合、計測像上に記憶された着目領域を設定し、領域内の信号強度の最小値を算出し、最小値を予め記憶された第2のしきい値と比較し、最小値が第2のしきい値より大きくなった時に回転を開始する。X線の吸収が大きいほど信号強度が大きくなる場合、計測像上に記憶された着目領域を設定し、領域内の信号強度の最大値を算出し、最大値を記憶された第2のしきい値と比較し、最大値が第2のしきい値より小さくなった時に回転を開始する。次の回転計測は、最初の往路回転に対して反転(復路回転)となる。制御処理装置107は、この回転計測を記憶された繰り返し回数だけ実行する。最後の回転計測が終了した際には、X線源101は微弱なX線を発生しない。
制御処理装置107は、計測終了用のしきい値を記憶することができる。着目領域内で算出した最小値あるいは最大値を計測終了用しきい値と比較し、しきい値より最小値が大きくなった場合あるいは最大値が小さくなった場合に、計測を終了する。この場合、制御処理装置107は繰り返し回数に至っていなくとも計測を終了する(ステップ616)。計測終了用しきい値を用いることにより、不要な計測を省くことができる。
上記実施例では、制御処理装置107における比較処理に、着目領域内の信号強度の最小値あるいは最大値を用いたが、平均値を用いることも考えられる。平均値を用いることにより、ノイズなどの突発的な理由で最小値あるいは最大値が急激に変化した際にも、計測に支障を生じない。
制御処理装置107は、X線源101がX線を発生する際、あるいは検出器102が計測データを取り込む際に、角度検出装置105から出力される回転角度情報を記憶する。回転角度情報を用いて再構成処理を行うことにより、実際と演算上との角度差に起因するぼけ成分を低減し、再構成像の精度を向上することができる。また、回転角度情報を用いて再構成処理を行うことにより、回転計測の開始角度が異なる場合でも、同一の向きの再構成像を作成することができる。その結果、再構成像間で演算を行う際に、角度合わせ処理が不要になり、処理が高速化できる。
制御処理装置107は、各回転計測において再構成処理を行い、再構成画像間で差分処理を行う。その際、2つの再構成像の間で位置合わせを行う。2つの再構成像の相対的位置関係を変化させながら差分処理を行い、差分した再構成像上に任意の領域を設定する。領域内の誤差を算出し、誤差が最小となる相対的位置を検出する。検出した相対的位置において差分処理を行うことにより、差分処理によるアーチファクトが発生を避けることができる。
図7に、相対的位置を任意の断層像を用いて検出する方法を示す。例えばミッドプレーン像のように、X線管の回転面に平行な断層像a702を再構成像A701から選択する。再構成像B703から、X線源101の回転面と平行で回転面から断層像a702と等距離に位置する断層像b704を選択する。断層像a702と断層像b704の回転中心軸の位置705を一致させ、断層像b704を回転中心軸の位置705を中心として任意の角度ずつ回転させ、断層像a702と断層像b704の差分像を求める。差分像上に任意の領域を設定し、各差分像において領域内で、標準偏差等の誤差を算出する。誤差が最小となる角度で、全ての断層像の差分を求める。
複数の再構成像において、相対的位置を検出する。例えば、再構成像Aを基準として、再構成像B、再構成C、・・・の各々において基準再構成像Aに対する相対的位置を求める。各再構成像の位置を基準再構成像Aに合わせる。再構成像上に任意の領域を設定し、各再構成像において領域内の平均値を算出する。横軸に造影剤注入開始を基準とした時間をとり、縦軸に領域内平均値をプロットしたグラフを作成する。これにより、例えば、ある血管における造影剤の時間的な変化が観察できる。
制御処理装置107は、複数の回転計測の間で計測データを差分処理し、再構成処理を行うことにより、差分再構成像を得ることができる。検出器102内部において、計測データに対して差分処理が加えられた後に、制御処理装置107に入力される場合もある。あるいは、制御処理装置107は、検出器102に計測データを取り込ませる角度情報を記憶し、角度検出装置105から出力される回転角度と記憶された回転角度とを比較し、一致した回転角度においてX線源101はX線を発生し、検出器102は計測データを取り込む場合もある。
制御処理装置107は、差分された再構成像を付属の表示装置の同一画面上に複数、表示する。再構成像の信号強度は、造影剤濃度の変位を示しており、複数の再構成像はそれぞれの時相における造影剤濃度の変位を示す。複数の再構成像を比較することにより、造影剤濃度の速度変化を3次元的に観察できる。さらに、差分された再構成像をしきい値処理し、信号強度に応じて色付けする。これにより、変化の理解を容易にすることができる。あるいは、複数の差分された再構成像を同じしきい値で処理し、任意の強度を持つ領域を検出する。検出した領域を再構成像毎に異なる色で表示した上で、加算処理して重ね合わせる。
制御処理装置107は、計測データから作成された再構成像を付属の表示装置の同一画面上に複数、表示することも可能である。再構成像の信号強度は造影剤濃度を示しており、複数の再構成像はそれぞれの時相における造影剤濃度を示す。複数の再構成像を比較することにより、造影剤濃度の時間変化を3次元的に観察できる。
具体的には、再構成像を断層像、rendering像、あるいはMIP像として表示する。複数の再構成像において、同時に視線方向、回転角、切断面位置、しきい値などを変化させる。同時に変化させることにより、観察を容易にすることができる。
上述した第1の実施例では、本発明をCアーム型のX線計測装置を例にとって説明してきたが、本発明は、ガントリ型のX線計測装置においても同様に実施できる。
図8は、第2の実施例を示し、X線計測装置の支柱103がガントリ形状をしている。X線源101と検出器102はガントリ801に設置されている。ガントリ801は回転装置104により、回転軸109を中心として被検体110の周囲を360゜回転する。回転軸109は一般的には寝台106上の被検体110の体軸に平行であるが、斜めに設定することも可能である。一般的にはガントリは床から支えられる形態をとるが、天井から吊るす形態をとることも可能である。支柱103がガントリ形状をしていることにより、回転角度を広げることが可能であり、同一方向に連続的に回転することが可能であり、高速に回転することが可能であり、どの回転角度からでも180°以上の計測が可能である。
本実施例のX線計測装置では、上述の図5および図6で示した計測手順による計測が可能である。さらに、上述した図5および図6の計測手順では、偶数番目の計測は奇数番目の計測と反転していたが、ガントリ型のX線計測装置の実施例では、これらの計測を反転させず、同一方向の回転によって行う計測手順が可能である。また、複数の回転に対して、回転毎に異なる回転開始角度、回転終了角度、撮影開始角度、撮影終了角度を設定することが可能である。計測データに対して、上述の処理を行い、3次元像を得、観察することが可能である。
上述した第1および第2の実施例のX線計測装置において、心電計を組み合わせる。制御処理装置107は同期信号発生装置を有し、心電計の信号を受け、心電信号と同期した信号を発生する。制御処理装置107は同期信号に合わせて、X線源101にX線を発生させ、検出器102に読み出しを行わせる。これにより、心臓および心臓周辺部において、3次元再構成像の精度を向上することができる。
また、上述した実施例では、造影剤を血管に注入する場合について説明したが、口腔、気管、胃、大腸などへの注入の場合も同様に考えられる。
また、上述した実施例では、検査対象に造影剤を注入する場合について説明したが、本発明は、造影剤を注入しない場合であっても、適用可能である。
以上詳述したように、本発明によれば、検査対象に照射するX線を発生するX線管と、検査対象に関する計測データを検出するX線検出器と、X線管とX線検出器を対向させて保持する保持装置と、検査対象に対するX線管およびX線検出器の相対位置を変化させる回転装置と、計測データの演算処理を行う制御処理装置とを有し、回転装置が往路回転を行う際にX線管がX線を発生すると共に検出器が計測データを収集し、回転装置が復路回転を行う際にX線管がX線を発生すると共に検出器が計測データを収集し、かつ、制御処理装置が往路回転終了から復路回転開始までの間隔時間および復路回転終了から往路回転開始までの間隔時間を回転毎に設定することにより、適切な造影のタイミングで回転計測を繰り返し行うことができる。
また、本発明によれば、前記制御処理装置が、しきい値を設定することが可能な記憶装置を有し、計測データから成るX線像において任意の領域を設定し、領域内の信号強度の最小値を算出し、算出した最小値としきい値を比較し、最小値がしきい値より大きくなったことを検出し、間隔時間を設定することにより、自動的に適切な造影のタイミングで回転計測を繰り返し行うことができる。
また、本発明によれば、前記回転が2回以上の往復回転とすることにより、対象の時間的変化を観察するに適した計測が可能となる。
また、本発明によれば、前記制御処理装置が、前記2回以上の往復回転から2つの往路もしくは復路回転を選択し、各々の回転において計測データを再構成処理し、前記2つの往路もしくは復路回転の再構成像の相対的位置を変化させ、2つの再構成像の間で差分処理を行い、差分再構成像上に任意の領域を設定し、領域内の誤差を算出し、誤差が最小となる相対的位置を検出することにより、Cアームのたわみ等による予測不可能な計測データ間のずれに係らず、再構成像を高精度で比較することができる。
また、本発明によれば、前記制御処理装置が、前記2つの再構成像のうち片方の再構成像を検出した相対的位置に移動させた後に差分処理を行い、差分再構成像を求めるX線計測装置により、計測データ間で差分処理を行い差分再構成像を求める際に必要であった計測データ間のずれを補正する必要がなくなり、簡単な演算で高速に再構成像の差分処理を実施できる。
また、本発明によれば、前記制御処理装置が、選択した前記2つの回転の再構成像から、X線管の回転面と平行で回転面から等距離に位置する断層像を選択し、選択した2つの断層像においてX線管の回転軸の位置を一致させ、回転軸の位置を中心として2つの断層像を相対的に回転させ、2つの断層像の間で差分処理を行い、差分断層像上に任意の領域を設定し、領域内の誤差を算出し、誤差が最小となる回転角度を検出し、検出した回転角度において全ての断層像の差分処理を行い、差分再構成像を求めることにより、再構成像全体を用いて相対的位置を検出する場合に比較して、演算処理を減少させ、処理を高速化できる。
また、本発明によれば、前記制御処理装置が、複数の差分再構成像を求め、各々の差分再構成像をしきい値処理し、しきい値処理した差分再構成像を異なる色で表示し、色付けした差分再構成像を加算処理することにより、時間に伴う造影剤の移動を3次元的に観察することができる。
また、本発明によれば、前記制御処理装置が、複数の再構成像から基準となる再構成像を選択し、各再構成像において基準再構成像に対して誤差が最小となる相対的位置を検出し、各再構成像を検出した相対的位置に移動させ、再構成像上に任意の領域を設定し、再構成像毎に領域内の信号強度の平均値を算出することにより、被検体の着目領域における造影剤の時間的な変化が観察できる。
Claims (10)
- 検査対象に照射するX線を発生するX線管と、前記検査対象に関する計測データを検出するX線検出器と、前記X線管と前記X線検出器とを対向させて保持する保持装置と、前記検査対象に対する前記X線管および前記X線検出器の相対位置を変化させる回転装置と、前記計測データの演算処理を行う制御処理装置とを有し、前記回転装置が往路回転を行う際に前記X線管がX線を発生すると共に前記X線検出器が計測データを収集し、前記回転装置が復路回転を行う際に前記X線管がX線を発生すると共に前記X線検出器が計測データを収集し、かつ、前記制御処理装置が、前記往路回転の終了から前記復路回転の開始までの間隔時間および前記復路回転の終了から前記往路回転の開始までの間隔時間を回転毎に設定することを特徴とするX線計測装置。
- 前記制御処理装置が、しきい値を設定することが可能な記憶装置を有し、前記計測データからなるX線像において任意の領域を設定し、前記領域内の信号強度の最小値を算出し、算出した前記最小値と前記しきい値とを比較し、前記最小値が前記しきい値より大きくなったことを検出することにより、前記間隔時間を設定することを特徴とする請求項1に記載のX線計測装置。
- 前記回転が、2回以上の往復回転であることを特徴とする請求項1に記載のX線計測装置。
- 前記制御処理装置が、前記2回以上の往復回転から2つの往路もしくは復路回転を選択し、各々の回転において計測データを再構成処理し、前記2つの往路もしくは復路回転の再構成像の相対的位置を変化させ、2つの前記再構成像の間で差分処理を行い、得られた差分再構成像上に任意の領域を設定し、前記任意の領域内の誤差を算出し、前記誤差が最小となる相対的位置を検出することを特徴とする請求項3に記載のX線計測装置。
- 前記制御処理装置が、前記2つの再構成像のうち片方の再構成像を検出した前記相対的位置に移動させた後に、差分処理を行い、前記差分再構成像を求めることを特徴とする請求項4に記載のX線計測装置。
- 前記制御処理装置が、選択した前記2つの回転の再構成像から、それぞれ前記X線管の回転面と平行で前記回転面から等距離に位置する断層像を選択し、選択した前記2つの断層像において前記X線管の回転軸の位置を一致させ、前記回転軸の位置を中心として前記2つの断層像を相対的に回転させ、前記2つの断層像の間で差分処理を行い、得られた差分断層像上に任意の領域を設定し、前記領域内の誤差を算出し、前記誤差が最小となる回転角度を検出し、検出した前記回転角度において全ての断層像の差分処理を行うことにより、差分再構成像を求めることを特徴とする請求項4に記載のX線計測装置。
- 前記制御処理装置が、複数の前記差分再構成像を求め、各々の差分再構成像をしきい値処理し、しきい値処理した差分再構成像を異なる色で表示し、色付けした差分再構成像を加算処理することを特徴とする請求項6に記載のX線計測装置。
- 前記制御処理装置が、複数の再構成像から基準となる再構成像を選択し、前記複数の再構成像の各々において前記基準となる再構成像に対して誤差が最小となる相対的位置を検出し、前記複数の再構成像の各々を検出した前記相対的位置に移動させ、前記複数の再構成像上の各々に任意の領域を設定し、前記複数の再構成像毎に前記領域内の信号強度の平均値を算出することを特徴とする請求項4に記載のX線計測装置。
- X線管とX線検出器とを対向させて保持した中で、検査対象に対して前記X線管および前記X線検出器の相対位置を変化させる回転を与えながら、前記X線管で発生したX線を検査対象に照射し、前記検査対象に関する計測データを前記X線検出器により検出する工程と、前記計測データの演算処理を行う工程とを有するX線計測方法において、前記回転が往路回転を行う際に前記X線管がX線を発生すると共に前記X線検出器が計測データを収集し、前記回転が復路回転を行う際に前記X線管がX線を発生すると共に前記X線検出器が計測データを収集する工程を含み、かつ、前記計測データの収集を、前記往路回転の終了から前記復路回転の開始までの間隔時間および前記復路回転の終了から前記往路回転の開始までの間隔時間を回転毎に設定して行うようにしたことを特徴とするX線計測方法。
- 前記計測データからなるX線像において任意の領域を設定し、前記領域内の信号強度の最小値を算出し、算出した前記最小値と予め設定したしきい値とを比較し、前記最小値が前記しきい値より大きくなったことを検出することにより、前記間隔時間を設定するようにしたことを特徴とする請求項9に記載のX線計測方法。
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