JPWO2005042585A1 - リグノセルロース系物質から酸・糖溶液とリグノフェノール誘導体を分離回収する方法 - Google Patents
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Abstract
リグノセルロース系物質をフェノール誘導体及び酸で処理することにより、リグノフェノール誘導体を回収すると共に、同時に得られる酸・糖溶液からの糖の回収・利用も容易且つ効率的に行うことができる方法を提供する。 本発明の一態様は、リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を、混合液に対して容量比で0.5倍量〜6倍量の水に投入し、混合液を静置状態若しくは弱撹拌状態に保つことによって、固相として生成するリグノフェノール誘導体を凝集させた後、固液分離にかけることによって、固相としてリグノフェノール誘導体と、液相として酸及び糖の混合液とを分離・回収することを特徴とする、酸・糖溶液とリグノフェノール誘導体の分離回収方法に関する。
Description
本発明は、リグノセルロース系物質から、リグノフェノール誘導体と酸・糖溶液とを効率的に分離・回収する方法及び装置に関する。本発明によって得られる酸・糖溶液は、それから糖を回収することによって、例えば乳酸発酵による植物由来プラスチック製造用の原材料などとしての利用や、更に炭化処理することによって電極用途などの炭素材料としての利用が期待される。
現代社会においては石油などの化石資源の利用は不可欠なものとなっているが、化石資源は再生産が不可能であり、近い将来資源の枯渇が懸念されており、化石資源に代わる資源の一つとしてバイオマス資源に対する関心が高まっている。中でも木質系のバイオマス資源は、地球上に膨大に存在し、短期間で生産することが可能で、適切な維持管理によって持続的に供給することが可能な点で注目されており、且つ、資源としての利用した後は、自然界で分解して新たなバイオマス資源として再生されるという点で、益々注目されるようになっている。このような木質系のバイオマス資源(リグノセルロース系物質)の有効な利用を図るためには、まずリグノセルロース系物質をその構成成分、即ちリグニンと、セルロース及びヘミセルロースとに分離することが必要である。この手法として、リグノセルロース系物質にフェノール誘導体を含浸させた後、酸を加えて、リグノセルロース系物質をリグノフェノール誘導体と酸・糖溶液とに分離するという方法が提案された(特開平2−233701号公報;「天然リグニンのフェノール誘導体−濃酸2相系処理法による機能性リグノフェノール誘導体の合成」、船岡他、熱硬化性樹脂、vol.15,No.2(1994),p.7−17;「相分離反応系を応用するフェノール系リグニン素材の誘導とその機能」、船岡他、熱硬化性樹脂、vol.16,No.3(1995),p.35−49)。提案されている方法によれば、木粉等のリグノセルロース系材料に、フェノール誘導体、例えばクレゾールを含浸させて溶媒和(木粉にクレゾールをしみ込ませ、クレゾールを木粉中のリグニンの近傍に定着させた状態)させた後、酸を添加して、セルロース成分を可溶化して水相中に溶解する。一方、リグニン成分については、酸との反応によって、リグニンが低分子化されると共に、基本構成単位のベンジル位にフェノール誘導体が導入されたリグノフェノール誘導体が生成する。次に、反応系(ここでは酸を添加した反応液全体を指す)を大過剰量、例えばリグノセルロース系物質に対して10倍量以上の水の水中に投入して撹拌して固形分を分散させることで、酸を速やかに希釈して酸反応を即時に停止させた後、遠心分離処理を行うことによって、固相のリグノフェノール誘導体を分離・回収すると共に、液相の酸・糖の混合液を得る。
しかしながら、上記の方法では、酸処理後の反応系(ここでは酸を添加した反応液全体を指す)を、大過剰量、例えばリグノセルロース系物質に対して10倍量以上の水で希釈するために、液相として得られる酸・糖溶液の糖濃度が薄すぎて、糖を分離回収して利用することが実用的に困難であった。これは、上記の方法が、リグノセルロース系物質からリグノフェノール誘導体を分離回収して利用することを主眼としており、糖の回収利用にはあまり着目していなかったためである。このため、酸処理後の反応系の水希釈工程においても、酸反応の確実な停止を主眼としているので、反応系を大過剰量の水中に投入し、強く撹拌することによって、固形分を水中に分散させ、酸を速やかに希釈して酸反応を確実に停止させるという手法が採用されていた。このため、回収された液相が大過剰の水を含み、相対的に糖濃度が低くなって、これから糖を分離するのは実用的ではなかった。
本発明は、上記の課題を解決して、リグノセルロース系物質をフェノール誘導体及び酸で処理することにより、リグノフェノール誘導体を回収すると共に、同時に得られる酸・糖溶液からの糖の回収・利用も容易且つ効率的に行うことができる方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段として、本発明の一態様は、リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を、混合液に対して容量比で0.5倍量〜6倍量の水に投入し、静置状態若しくは弱撹拌状態に保つことによって、固相として生成するリグノフェノール誘導体を凝集させた後、固液分離にかけることによって、固相のリグノフェノール誘導体と、液相の酸・糖溶液とを分離・回収することを特徴とする、酸・糖溶液とリグノフェノール誘導体の分離回収方法を提供する。
以下、本発明に従って、リグノセルロース系物質を処理して、リグノフェノール誘導体と酸・糖溶液を分離回収するプロセスについて説明する。以下の記載は、本発明の構成と共に、本発明の技術思想を利用した処理プロセスの全体の工程及び代表的な各種形態を説明するものである。従って、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって定められ、以下の記載によって限定されるものではない。
図1に、本発明を利用してリグノセルロース系物質から酸・糖溶液とリグノフェノール誘導体とを分離するプロセスの全体の概要をフロー図で示す。本発明において、「リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液」は当該技術において公知の方法などを用いて調製することができる。例えば、木材、草本材などのリグノセルロース系物質に、まず粉砕、乾燥等の前処理を行い、必要に応じて脱脂処理を行う。次に、リグノセルロース系物質にフェノール誘導体を添加・含浸させる。残留有機溶剤を乾燥させた後、酸を添加して撹拌し、リグノセルロース系物質の細胞膜を酸で膨潤・破壊する(酸処理)。これにより、リグノセルロース系物質は、その構成要素であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンに分解する。分解したリグニンは予め添加・含浸したフェノール誘導体と反応結合してリグノフェノール誘導体を含む疎水性の固形物となる。一方、セルロース、ヘミセルロースについては、酸によって低分子化、可溶化が進行する。本発明においては、以上のようなプロセスで得られた反応液を「リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液」と称する。
本発明の一態様は、このようにして得られた反応混合液を、混合液に対して容量比で6倍量以下の水に投入し、静置状態若しくは弱撹拌状態に保つことによって、固相として生成するリグノフェノール誘導体を凝集させた後、固液分離にかけることによって、固相のリグノフェノール誘導体と、液相の酸・糖溶液とを分離・回収することを特徴とする。
リグノセルロース系物質にフェノール誘導体及び酸を作用させてリグノフェノール誘導体を分離・回収する技術の従来の試みにおいては、リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を、リグノフェノール誘導体を含む固形物と、酸・糖混合液とに分離することが非常に困難であった。これは、酸による反応が時間と共に進行するために、所定の時間内に分離処理する必要があるにも拘らず、反応混合液の粘性が高いために静置分離は困難で、また濾過法は、固形物の微粒子化、反応混合液の粘性、及び不純物の問題から同様に実施が困難であり、更に濾布と組み合わせた遠心脱液も実施が困難であったためである。そこで、従来のリグノセルロース系物質の処理プロセスにおいては、リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液に、大過剰量、例えばリグノセルロース系物質に対して10倍量以上の水を加えて強く撹拌することによって、酸を速やかに希釈して酸による反応を即時に停止させると共に、生成したリグノフェノール誘導体を含む固形物を水中に分散させて、固液分離によって固形物を回収していた。しかしながら、液相として回収される酸・糖混合液の利用の観点からは、希釈し過ぎているために、酸・糖溶液を更に処理して酸及び糖を分離回収するのは困難であった。
本発明者らの研究により、酸処理された反応混合液から酸・糖溶液を回収するための固液分離が困難な原因としては、主に液の粘性の問題があることが判明した。更に、適当量の水に混合液を投入して静置状態若しくは弱撹拌状態に保つことによって、生成する固形分の凝集を促進させることができることが分かった。本発明者らは、これらの知見に基づいて、酸処理された反応混合液を適度に希釈することにより、混合液の粘性を低下させることで固液分離を行い易くし、固形物と液相とを容易に分離することができることを見出し、本発明を完成するに到った。更に、混合液の希釈濃度を適正範囲に限定すると共に、希釈された混合液を静置状態若しくは弱撹拌状態に保つことによって、希釈液中の固形分の分散を抑えて凝集を促進させ、凝集した固形物として容易に取り出すことができることが可能になることが分かった。
固液分離によって固相として分離回収されるリグノフェノール誘導体は、更に脱酸・洗浄などによって含有する不純物を除去する。また、液相として分離回収される酸・糖溶液は、過度に希釈されていないので、必要に応じて静置保持、フィルトレーションなどの工程によって精製した後、拡散透析膜法、疑似移動層方式クロマトグラフィー分離法、アルカノール溶剤抽出法等によって処理することにより、容易に酸と糖とを分離・回収することができる。
以下、各工程に関し、図1にフローを示して詳細に説明する。
原料前処理:粉砕乾燥(図1−1)
リグノセルロース系物質、例えば間伐材、林地残材、製材屑、端材、草本、モミ殻、稲ワラ等を粉砕する。木質系原料としては、スギ等の林地残材・製材屑などを好適に用いることができ、また、草本系原料としては、最近注目されているケナフのコア(芯材)を粉砕したものなどを好適に用いることができる。粉砕後、粒径を2mm以下に篩い分けることで、後段のフェノール誘導体の含浸効果を高め、反応性を向上させるという効果があるので好ましい。また、含水率を15〜20%程度に乾燥させると、篩い分け時に粉体同士がくっつきあって固まりとなることが少なく、原料粉の歩留まりが向上するので好ましい。
リグノセルロース系物質、例えば間伐材、林地残材、製材屑、端材、草本、モミ殻、稲ワラ等を粉砕する。木質系原料としては、スギ等の林地残材・製材屑などを好適に用いることができ、また、草本系原料としては、最近注目されているケナフのコア(芯材)を粉砕したものなどを好適に用いることができる。粉砕後、粒径を2mm以下に篩い分けることで、後段のフェノール誘導体の含浸効果を高め、反応性を向上させるという効果があるので好ましい。また、含水率を15〜20%程度に乾燥させると、篩い分け時に粉体同士がくっつきあって固まりとなることが少なく、原料粉の歩留まりが向上するので好ましい。
脱脂処理(図1−2)
リグノセルロース系物質の種類によっては、樹脂分等を多く含む場合がある。これが後段の反応過程で阻害物質とならないように、フェノール誘導体を添加する前にリグノセルロース系物質の樹脂分を除去(脱脂)することが好ましい。脱脂方法としては、例えば、撹拌槽内にリグノセルロース系物質と有機溶剤とを投入し、十分に混合・撹拌することによって行うことができる。有機溶剤で脱脂を行うことにより、リグノセルロース系物質中の水分を除去するという効果も得られる。この目的で用いることのできる有機溶剤としてはアセトン、ヘキサンなどを挙げることができ、使用量としてはリグノセルロース系物質の1〜10倍量が好ましい。なお、ここで規定する「倍量」とは、木粉1kgに対する有機溶剤の量(リットル数)を意味し、例えば「10倍量」とは、木粉1kgに対して有機溶剤10Lを加えることを意味する。また、有機溶剤を加えた後に1〜12時間撹拌することによって脱脂を十分に行うことが好ましい。本処理は必須の工程ではなく、処理対象のリグノセルロース系物質が樹脂分等を多く含んでいない場合などには行う必要はない。なお、本脱脂工程で用いる有機溶剤と、次段のフェノール誘導体含浸工程で用いる有機溶剤とが異なるものである場合には、次段のフェノール誘導体含浸を行う前に、リグノセルロース系物質を乾燥して、脱脂で用いた有機溶剤を除去することが好ましいが、両工程で用いる有機溶剤が同じものである場合にはこの乾燥・除去工程は省略可能である。
リグノセルロース系物質の種類によっては、樹脂分等を多く含む場合がある。これが後段の反応過程で阻害物質とならないように、フェノール誘導体を添加する前にリグノセルロース系物質の樹脂分を除去(脱脂)することが好ましい。脱脂方法としては、例えば、撹拌槽内にリグノセルロース系物質と有機溶剤とを投入し、十分に混合・撹拌することによって行うことができる。有機溶剤で脱脂を行うことにより、リグノセルロース系物質中の水分を除去するという効果も得られる。この目的で用いることのできる有機溶剤としてはアセトン、ヘキサンなどを挙げることができ、使用量としてはリグノセルロース系物質の1〜10倍量が好ましい。なお、ここで規定する「倍量」とは、木粉1kgに対する有機溶剤の量(リットル数)を意味し、例えば「10倍量」とは、木粉1kgに対して有機溶剤10Lを加えることを意味する。また、有機溶剤を加えた後に1〜12時間撹拌することによって脱脂を十分に行うことが好ましい。本処理は必須の工程ではなく、処理対象のリグノセルロース系物質が樹脂分等を多く含んでいない場合などには行う必要はない。なお、本脱脂工程で用いる有機溶剤と、次段のフェノール誘導体含浸工程で用いる有機溶剤とが異なるものである場合には、次段のフェノール誘導体含浸を行う前に、リグノセルロース系物質を乾燥して、脱脂で用いた有機溶剤を除去することが好ましいが、両工程で用いる有機溶剤が同じものである場合にはこの乾燥・除去工程は省略可能である。
フェノール誘導体含浸(図1−3)
次に、フェノール誘導体を有機溶剤中に混合した溶液を、リグノセルロース系物質と混合して十分に撹拌することによって、リグノセルロース系物質にフェノール誘導体を含浸させる。この目的で用いることのできるフェノール誘導体としては、p−クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、これらの混合体並びにフェノールなどを挙げることができる。この含浸工程では、リグノセルロース系物質にフェノール誘導体を十分に分散して含浸させることが望ましく、そのためにはフェノール誘導体を有機溶剤に混合・溶解して溶剤中に十分に分散させた状態でリグノセルロース系物質と接触させることが好ましい。また、リグノセルロース系物質へのフェノール誘導体の含浸を効率的にするためには、フェノール誘導体を有機溶剤中に溶解した溶液を、脱脂処理後のリグノセルロース系物質1kgに対して8L〜12Lの割合(ここでは、これを8〜12倍量と称する)、好ましくは10倍量程度の量を加えることにより、リグノセルロース系物質をフェノール誘導体溶液中に十分に浸した状態で含浸工程を行うことが好ましい。また、リグノセルロース系物質と溶液とを、室温、例えば10℃〜50℃において1〜24時間撹拌することによって、含浸を十分に進行させることが好ましく、撹拌中に約30℃の温度に維持することがより好ましい。フェノール誘導体を混合・溶解するために用いることのできる有機溶剤としては、アセトン、ヘキサンなどを挙げることができ、上述の脱脂工程を行う場合には、脱脂工程で用いたものと同じ有機溶剤を使用することができる。有機溶剤中でフェノール誘導体とリグノセルロース系物質とを混合・撹拌するために用いることのできる装置としては、円錐型リボン混合機(大川原製作所社製のリボコーン)などを挙げることができる。本工程では、リグノセルロース系物質を入れた混合槽に、有機溶剤中に溶解したフェノール誘導体を加えることで混合を行うことができるが、その際、フェノール誘導体を加える前に、リグノセルロース系物質が入れられた混合槽内を減圧すると、リグノセルロース系物質粒子間隙へのフェノール誘導体の浸透性を高めたり、リグノセルロース系物質細胞壁へのフェノール誘導体の浸透性を高めることができるので好ましい。更には、リグノセルロース系物質にフェノール誘導体を含浸させる方法として、木材への防腐剤注入などで利用されている加圧注入法を用いることができる。これは、リグノセルロース系物質が入れられた注入槽内を減圧にした後、フェノール誘導体を加圧注入するという方法であり、この方法によれば、リグノセルロース系物質の細胞膜レベルにまでフェノール誘導体を浸透させることができる。なお、本工程において、「リグノセルロース系物質へのフェノール誘導体の含浸」とは、必ずしもリグノセルロース系物質の粒子中へフェノール誘導体を浸透させる必要はなく、リグノセルロース系物質粒子の表面にフェノール誘導体を極めて均等に分散して付着させるようにしてもほぼ同等の効果が得られる。従って、本明細書においては、このような形態も「含浸」に含める。
次に、フェノール誘導体を有機溶剤中に混合した溶液を、リグノセルロース系物質と混合して十分に撹拌することによって、リグノセルロース系物質にフェノール誘導体を含浸させる。この目的で用いることのできるフェノール誘導体としては、p−クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、これらの混合体並びにフェノールなどを挙げることができる。この含浸工程では、リグノセルロース系物質にフェノール誘導体を十分に分散して含浸させることが望ましく、そのためにはフェノール誘導体を有機溶剤に混合・溶解して溶剤中に十分に分散させた状態でリグノセルロース系物質と接触させることが好ましい。また、リグノセルロース系物質へのフェノール誘導体の含浸を効率的にするためには、フェノール誘導体を有機溶剤中に溶解した溶液を、脱脂処理後のリグノセルロース系物質1kgに対して8L〜12Lの割合(ここでは、これを8〜12倍量と称する)、好ましくは10倍量程度の量を加えることにより、リグノセルロース系物質をフェノール誘導体溶液中に十分に浸した状態で含浸工程を行うことが好ましい。また、リグノセルロース系物質と溶液とを、室温、例えば10℃〜50℃において1〜24時間撹拌することによって、含浸を十分に進行させることが好ましく、撹拌中に約30℃の温度に維持することがより好ましい。フェノール誘導体を混合・溶解するために用いることのできる有機溶剤としては、アセトン、ヘキサンなどを挙げることができ、上述の脱脂工程を行う場合には、脱脂工程で用いたものと同じ有機溶剤を使用することができる。有機溶剤中でフェノール誘導体とリグノセルロース系物質とを混合・撹拌するために用いることのできる装置としては、円錐型リボン混合機(大川原製作所社製のリボコーン)などを挙げることができる。本工程では、リグノセルロース系物質を入れた混合槽に、有機溶剤中に溶解したフェノール誘導体を加えることで混合を行うことができるが、その際、フェノール誘導体を加える前に、リグノセルロース系物質が入れられた混合槽内を減圧すると、リグノセルロース系物質粒子間隙へのフェノール誘導体の浸透性を高めたり、リグノセルロース系物質細胞壁へのフェノール誘導体の浸透性を高めることができるので好ましい。更には、リグノセルロース系物質にフェノール誘導体を含浸させる方法として、木材への防腐剤注入などで利用されている加圧注入法を用いることができる。これは、リグノセルロース系物質が入れられた注入槽内を減圧にした後、フェノール誘導体を加圧注入するという方法であり、この方法によれば、リグノセルロース系物質の細胞膜レベルにまでフェノール誘導体を浸透させることができる。なお、本工程において、「リグノセルロース系物質へのフェノール誘導体の含浸」とは、必ずしもリグノセルロース系物質の粒子中へフェノール誘導体を浸透させる必要はなく、リグノセルロース系物質粒子の表面にフェノール誘導体を極めて均等に分散して付着させるようにしてもほぼ同等の効果が得られる。従って、本明細書においては、このような形態も「含浸」に含める。
また、本発明者らは、リグノセルロース系物質にフェノール誘導体を含浸させる工程において、上記のように、リグノセルロース系物質にフェノール誘導体溶液を10倍量程度の量加えて、リグノセルロース系物質を溶液中に十分に浸した状態で含浸を行うという方法に代えて、リグノセルロース系物質を撹拌しながら、ここにフェノール誘導体の溶液を、リグノセルロース系物質の1倍量〜5倍量程度の少量加えるという方法によっても、リグノセルロース系物質の粒子の表面にフェノール誘導体を極めて均等に分散して付着させることができ、所期の効果が得られることを見出した。本発明は、このような方法にも関する。即ち、本発明の他の態様は、粉砕されたリグノセルロース系物質を撹拌しながら、リグノセルロース系物質1kgに対して1倍量〜5倍量、好ましくはほぼ等倍量のフェノール誘導体溶液を加えることを特徴とする、リグノセルロース系物質にフェノール誘導体を含浸させる方法に関する。なお、この場合、リグノセルロース系物質1kgに対するフェノール誘導体溶液の添加量は、1倍量〜4倍量がより好ましく、1倍量〜2倍量がより好ましい。
この場合、粉砕されたリグノセルロース系物質を、粉体の強撹拌混合が可能な撹拌装置内で撹拌しながら、そこにフェノール誘導体溶液を散布することによって、リグノセルロース系物質へのフェノール誘導体の含浸を行うことが好ましい。本発明で用いた撹拌装置は、すき状ショベル及びチョッパを具備する撹拌装置で、これらの部材が取り付けられた撹拌機が回転することで槽内のリグノセルロース粉砕物に対して遠心拡散作用及び渦流作用を起こし、これによって形成された三次元流動状態下のリグノセルロース粉砕物に対して、フェノール誘導体溶液を散布することにより、少量の液量であっても均一な分散状態を実現することが可能である。更には、含浸工程後の溶剤乾燥も同一の強撹拌装置内で行うことが可能であり、含浸と同様の強撹拌作用により乾燥に要する時間を大幅に短縮することができる。かかる目的で使用することのできる強撹拌装置としては、例えば、独レーディゲ社製のMFK型(レーディゲミキサ)などを挙げることができる。
このような方法によってリグノセルロース系物質へのフェノール誘導体の含浸を行うことにより、溶剤の使用量を格段に低減することができると共に、含浸をより均一にすることができ、更には、含浸工程にかかる時間を大幅に短縮することができる。例えば、リグノセルロース系物質を10倍量程度のフェノール誘導体溶液中に十分に浸して含浸を行う方法では、含浸工程後の乾燥工程まで含めて2〜3日程度の時間がかかっていたが、上記の方法では僅か1〜4時間程度で含浸・乾燥工程を完了することができる。
なお、上記のように、粉砕されたリグノセルロース系物質を撹拌しながら、そこにリグノフェノール誘導体溶液を加えることによって含浸工程を行う場合、含浸工程に供給するリグノセルロース系物質は、上記の脱脂工程の後に残留する溶剤を乾燥除去したもの、或いは脱脂工程で用いる溶剤と含浸工程で用いる溶剤とが同じものである場合には、上記の脱脂工程の後に溶剤を脱液したもの(即ち、少量の溶剤が残留したもの)を使用することができる。
更に上記のように、粉砕されたリグノセルロース系物質をレーディゲミキサなどで強撹拌しながら、1倍量〜5倍量程度のフェノール誘導体溶液を加えてリグノセルロース系物質へのフェノール誘導体の含浸を行うことにより、含浸に用いるフェノール誘導体溶液の濃度を低減してフェノール誘導体の使用量を削減することができるという効果も奏される。リグノフェノール誘導体を有効に調整する場合、リグノセルロース系物質に対してフェノール誘導体を含浸する量は、リグノセルロース系物質1kgに対してフェノール誘導体が概ね0.1kg〜0.5kg程度必要である。従来法では、リグノセルロース系物質へのフェノール誘導体含浸効果を高めるために、リグノセルロース系物質を10倍量程度のフェノール誘導体溶液中に十分に浸して含浸を行っていた。しかし、この方法では、後段の溶剤乾燥の負荷を低減するために、乾燥前に過剰のフェノール誘導体溶液を脱液するという手法をとる。この際に、溶剤と共にフェノール誘導体も脱離・除去されてしまうので、含浸の際にはこれよりも多い量、例えば、木粉1kgに対して0.3〜1.5kgの量のフェノール誘導体を用いるのが通常である。しかしながら、本発明のように、粉砕されたリグノセルロース系物質をレーディゲミキサなどで強撹拌しながら、1倍量〜5倍量程度のフェノール誘導体溶液を加えてリグノセルロース系物質へのフェノール誘導体の含浸を行うという方法によれば、フェノール誘導体含浸工程において用いるフェノール誘導体の量を、リグノセルロース系物質1kgに対して0.1kg〜0.5kg程度の量とすることができる。これにより、使用するフェノール誘導体の量を大幅に削減すると共に、含浸・乾燥工程に要する時間を大幅に短縮することが可能となる。
乾燥(図1−4)
リグノセルロース系物質とフェノール誘導体が溶解された有機溶剤溶液とを十分に撹拌して含浸を行わせた後、余剰の溶剤を排出し、減圧して低温で残留有機溶剤を蒸発させることによって、フェノール誘導体が含浸したリグノセルロース系物質を乾燥させる。特に、フェノール誘導体を溶解するための有機溶剤としてアセトンを用いる場合、アセトンは次段の酸処理で生成するリグノフェノール誘導体を溶解してリグノフェノール誘導体と酸・糖溶液との分離を阻害するので、酸処理工程の前にフェノール誘導体が含浸したリグノセルロース系物質に残留するアセトンを十分に除去する必要がある。
リグノセルロース系物質とフェノール誘導体が溶解された有機溶剤溶液とを十分に撹拌して含浸を行わせた後、余剰の溶剤を排出し、減圧して低温で残留有機溶剤を蒸発させることによって、フェノール誘導体が含浸したリグノセルロース系物質を乾燥させる。特に、フェノール誘導体を溶解するための有機溶剤としてアセトンを用いる場合、アセトンは次段の酸処理で生成するリグノフェノール誘導体を溶解してリグノフェノール誘導体と酸・糖溶液との分離を阻害するので、酸処理工程の前にフェノール誘導体が含浸したリグノセルロース系物質に残留するアセトンを十分に除去する必要がある。
酸処理(図1−5)
次に、フェノール誘導体を含浸したリグノセルロース系物質を酸で処理する。ここで用いる酸としては、濃度65%以上の濃硫酸を用いることが好ましい。添加する酸の量は、リグノセルロース系物質に対して1倍〜10倍量が好ましく、3倍〜5倍量がより好ましい。なお、ここでの酸の「倍量」とは、フェノール誘導体を含浸する前の(即ち、含浸されたフェノール誘導体の重量を含まない)リグノセルロース系物質原料1kgに対する酸の量(リットル数)を意味し、例えば「10倍量」とは、含浸フェノール誘導体の重量を含まないリグノセルロース系物質原料1kgに対して酸10Lを加えることを意味する。酸処理工程においては、反応槽内に予めリグノセルロース系物質を投入した後に、酸を添加すれば、反応の時間差をなくし、均一な酸処理が可能となるので好ましいが、これに限定することなく反応槽内に予め酸を投入した後にフェノール誘導体を含浸したリグノセルロース系物質を混合する方法も可能である。酸処理反応は、20℃〜40℃、好ましくは30℃以上の温度で行うことが好ましい。本発明者らの研究によれば、反応槽内の温度を40℃に保持することでセルロース及びヘミセルロースの可溶化が進行し、後段の水希釈・固液分離工程で濾過時間を短縮できる効果を見い出した。また、酸処理の反応時間は、酸によるリグノフェノール誘導体の変質を防止するために、10分〜2時間が好ましく、30分〜1時間がより好ましい。
次に、フェノール誘導体を含浸したリグノセルロース系物質を酸で処理する。ここで用いる酸としては、濃度65%以上の濃硫酸を用いることが好ましい。添加する酸の量は、リグノセルロース系物質に対して1倍〜10倍量が好ましく、3倍〜5倍量がより好ましい。なお、ここでの酸の「倍量」とは、フェノール誘導体を含浸する前の(即ち、含浸されたフェノール誘導体の重量を含まない)リグノセルロース系物質原料1kgに対する酸の量(リットル数)を意味し、例えば「10倍量」とは、含浸フェノール誘導体の重量を含まないリグノセルロース系物質原料1kgに対して酸10Lを加えることを意味する。酸処理工程においては、反応槽内に予めリグノセルロース系物質を投入した後に、酸を添加すれば、反応の時間差をなくし、均一な酸処理が可能となるので好ましいが、これに限定することなく反応槽内に予め酸を投入した後にフェノール誘導体を含浸したリグノセルロース系物質を混合する方法も可能である。酸処理反応は、20℃〜40℃、好ましくは30℃以上の温度で行うことが好ましい。本発明者らの研究によれば、反応槽内の温度を40℃に保持することでセルロース及びヘミセルロースの可溶化が進行し、後段の水希釈・固液分離工程で濾過時間を短縮できる効果を見い出した。また、酸処理の反応時間は、酸によるリグノフェノール誘導体の変質を防止するために、10分〜2時間が好ましく、30分〜1時間がより好ましい。
この酸処理工程によって、酸と接触して生じたリグニンの高反応性サイトのカチオンがフェノール誘導体によって攻撃され、フェノール誘導体が導入される。また、ベンジルアリールエーテル結合が解裂することによってリグニンが低分子化される。これにより、基本構成単位のベンジル位にフェノール誘導体が導入されたリグノフェノール誘導体が生成して液相から分離する。また同時に、リグノセルロース系物質中のセルロース、ヘミセルロースは、酸によって可溶化されて、酸溶液中に溶解する。本発明においては、このようにして得られる混合液を、「リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液」と称する。
水希釈(図1−6)
本発明の一態様は、上記のようにして得られたリグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を、混合液に対して容量比で0.5倍量〜6倍量の水で希釈した後、静置状態若しくは弱撹拌状態に保つことによって、固相として生成するリグノフェノール誘導体を凝集させた後、固液分離にかけることによって、固相としてリグノフェノール誘導体と、液相として酸・糖溶液とを分離・回収することを特徴とする。
本発明の一態様は、上記のようにして得られたリグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を、混合液に対して容量比で0.5倍量〜6倍量の水で希釈した後、静置状態若しくは弱撹拌状態に保つことによって、固相として生成するリグノフェノール誘導体を凝集させた後、固液分離にかけることによって、固相としてリグノフェノール誘導体と、液相として酸・糖溶液とを分離・回収することを特徴とする。
まず、リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を混合液に対して容量比で0.5倍量〜6倍量の水に投入するか、もしくは反応混合液に容量比(混合液に対する容量比)で0.5倍量〜6倍量の水を投入し、静置状態若しくは弱撹拌状態に保つ。これによって、酸の希釈を行うと共に、混合液の粘性を低下させることで固液分離を行い易くする。更に、混合液の希釈濃度を適正範囲に限定すると共に、希釈された混合液を静置状態若しくは弱撹拌状態に保つことによって、液中における固形分の凝集が促進されると共に、液中での固形分の分散を抑えて、凝集した固形物として容易に取り出すことができる。しかしながら、水による希釈倍率が大きすぎると、回収される酸・糖溶液が希釈されすぎて、その後、糖を回収する工程が極めて煩雑且つ実用困難になる。本発明者らは、実験を重ねた結果、固形分の液中分散量を抑え、且つ回収される酸・糖溶液の精製を容易に行うためには、反応混合液の希釈を、混合液に対して容量比で6倍量以下の水で行うことが重要であることを見出した。本発明においては、反応混合液の希釈は、混合液に対して容量比で0.5倍量〜6倍量の水で行うことが好ましく、0.5倍量〜5倍量がより好ましく、0.5倍量〜3倍量が更に好ましい。なお、酸・糖の分離回収効率の点から、混合液に対して容量比でおよそ1倍量、即ちほぼ等容量の水を加えて希釈することが最も好ましい。この水希釈は、CaイオンやMgイオンの結合によるリグノフェノール誘導体の変性を防ぐため、純水、脱イオン水もしくは蒸留水を用いるのが好ましい。
また、本発明においては、反応混合液を混合液に対して容量比で0.5倍量〜6倍量の水で希釈した後、静置状態若しくは弱撹拌状態に保つことにより、酸の希釈を行うと共に、固形分の凝集を促進させることが重要である。このように、反応混合液を混合液に対して容量比で0.5倍量〜6倍量の水で希釈した後、静置状態若しくは弱撹拌状態に保つことで、固相として生成するリグノフェノール誘導体の酸・糖溶液の水和性を高めると共に、リグノフェノール誘導体の疎水効果による凝集を促進させることができる。従来法においては、反応混合液を大過剰の水に投入して強く撹拌を行っていたので、固相であるリグノフェノール誘導体は水中に広く細かく分散され、凝集は行われていなかった。これは、従来法においては、酸反応の確実な停止を第1の主眼として捉えていたためである。即ち、本発明において「弱撹拌状態」とは、固相として生成するリグノフェノール誘導体が水中で細分散することなく、凝集してフロック状の凝集物を形成するような弱い撹拌状態を言う。なお、水で希釈した後の混合液を弱撹拌状態に保つと、リグノフェノール誘導体の凝集物中に閉じこめられた酸が水中に拡散されて希釈されるので、より好ましい。また、上記の水希釈の操作は、常温下で行うことができる。
固液分離(図1−7)
次に、水希釈によって固形分が凝集した反応混合液を、固液分離にかけて、液相として酸・糖溶液を、固相としてリグノフェノール誘導体を含む固形物を分離する。本発明によれば、反応混合液を適当量の水中に投入、もしくは反応混合液に適当量の水を投入して静置状態若しくは弱撹拌状態に保持して固形分の凝集を促進させているので、液の粘性が低下すると共に、リグノフェノール誘導体を含む固形分が凝集して分離しやすい状態となっており、濾過などの簡便な方法で容易に反応混合液の固液分離処理を行うことができる。例えば、ろ布を取り付けた濾過槽に、水希釈処理後の反応混合液を加えることによって、リグノフェノール誘導体を含む固形物と、酸・糖溶液との固液分離を容易に行うことができる。固液分離を効果的に行うため、加圧もしくは真空濾過を適用することが好ましい。
次に、水希釈によって固形分が凝集した反応混合液を、固液分離にかけて、液相として酸・糖溶液を、固相としてリグノフェノール誘導体を含む固形物を分離する。本発明によれば、反応混合液を適当量の水中に投入、もしくは反応混合液に適当量の水を投入して静置状態若しくは弱撹拌状態に保持して固形分の凝集を促進させているので、液の粘性が低下すると共に、リグノフェノール誘導体を含む固形分が凝集して分離しやすい状態となっており、濾過などの簡便な方法で容易に反応混合液の固液分離処理を行うことができる。例えば、ろ布を取り付けた濾過槽に、水希釈処理後の反応混合液を加えることによって、リグノフェノール誘導体を含む固形物と、酸・糖溶液との固液分離を容易に行うことができる。固液分離を効果的に行うため、加圧もしくは真空濾過を適用することが好ましい。
本発明によれば、上記のような処理によって、リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液から、リグノフェノール誘導体と、酸・糖溶液とが分離・回収される。固相として回収されるリグノフェノール誘導体は、更に水分散させることで酸反応を完全に停止させた後、洗浄などの処理によって精製し、植物由来プラスチックの原材料などとしての利用に供することができる。
固液分離(図1−8)
液相として回収される酸・糖溶液は、拡散透析膜法、疑似移動層方式クロマトグラフィー分離法、アルカノール溶剤抽出法などの当該技術において公知の方法によって処理して、酸と糖とを分離することができる。しかしながら、これらの分離法では、分離前の液中の不純物を充分に除去することが重要で、特に拡散透析膜法においては、純粋な酸と糖との混合液の分離では理論値に近い分離性能が得られているが、不純物が混入していると、所定の性能が得られないばかりか、透析膜上へのファウリングにより短時間で膜分離性能が低下するなどの問題がある。そこで、本発明の好ましい態様においては、上記に説明した水希釈−固液分離によって回収された酸・糖溶液を、更に第2の固液分離処理、例えばフィルタ等を通して、液中の浮遊固形分(SS)を除去することが好ましい。
液相として回収される酸・糖溶液は、拡散透析膜法、疑似移動層方式クロマトグラフィー分離法、アルカノール溶剤抽出法などの当該技術において公知の方法によって処理して、酸と糖とを分離することができる。しかしながら、これらの分離法では、分離前の液中の不純物を充分に除去することが重要で、特に拡散透析膜法においては、純粋な酸と糖との混合液の分離では理論値に近い分離性能が得られているが、不純物が混入していると、所定の性能が得られないばかりか、透析膜上へのファウリングにより短時間で膜分離性能が低下するなどの問題がある。そこで、本発明の好ましい態様においては、上記に説明した水希釈−固液分離によって回収された酸・糖溶液を、更に第2の固液分離処理、例えばフィルタ等を通して、液中の浮遊固形分(SS)を除去することが好ましい。
かかる目的で行う第2の固液分離(図1−8)では、液の粘度が高くなく、また液中に含まれるSSが僅かな量であるので、遠心分離機や真空濾過装置、カートリッジフィルタ等の固液分離装置を用いて容易に分離除去することができる。
脱酸・洗浄(図1−9)
第1の固液分離(図1−7)で得られたリグノフェノール誘導体を含む固形物は、残留する酸分・糖分等の不純物を除去するために脱酸・洗浄を行う。本発明により、酸処理の反応混合液を水希釈・固液分離して得られる固形分は、洗浄時の分散性が高く、汎用の撹拌機で分散が可能で、分散時に固形分を解砕する等の手段を用いることなく水分散が可能である。もちろん脱酸・洗浄の効果を向上させる目的で、この水分散時に解砕機やラインミキサ等の装置を用いることも可能である。
第1の固液分離(図1−7)で得られたリグノフェノール誘導体を含む固形物は、残留する酸分・糖分等の不純物を除去するために脱酸・洗浄を行う。本発明により、酸処理の反応混合液を水希釈・固液分離して得られる固形分は、洗浄時の分散性が高く、汎用の撹拌機で分散が可能で、分散時に固形分を解砕する等の手段を用いることなく水分散が可能である。もちろん脱酸・洗浄の効果を向上させる目的で、この水分散時に解砕機やラインミキサ等の装置を用いることも可能である。
この脱酸・洗浄工程では、固形分の水分散、固液分離を繰り返して、分散液中もしくは排出液(例えば濾液)の硫酸濃度を所定の値、例えばpHで5〜6程度になるまで繰り返す。所定の値に到達したリグノフェノール誘導体を含む固形物の分散液は、遠心分離機もしくは濾過装置で固液分離を行い、リグノフェノール誘導体を含む固形物を回収する。この水分散で添加する水の量は、固液分離で得られたリグノフェノール誘導体を含む固形物の5倍〜10倍量(重量比)とすることが好ましい。また、使用する水は、CaイオンやMgイオンの結合によるリグノフェノール誘導体の変性を防ぐため、純水、脱イオン水もしくは蒸留水を用いるのが好ましい。
乾燥(図1−10)
脱酸・洗浄が完了したリグノフェノール誘導体を含む固形物は、リグノフェノール誘導体がアセトンに溶解する性質を利用して、回収されるリグノフェノール誘導体を含む固形物にアセトンを混合して、リグノフェノール誘導体のみを抽出し、抽出液を木材等の材料に含浸させて使用することが可能であるが、この場合、アセトンとの混合の際に水分が残留していると、リグノフェノール誘導体を含む固形物に残留する糖分が水分を介してアセトンに溶解し、純粋なリグノフェノール誘導体・アセトン溶液の生成が困難になる。したがって、リグノフェノール誘導体を含む固形物は、含水率5%以下程度にまで乾燥させることが好ましい。乾燥に要する時間を削減し、生産効率を上げるため、まず、固形物を自然風乾燥又は温風送風乾燥することによって含水率50%以下に粗乾燥した後、含水率10%以下に高乾燥することが好ましい。粗乾燥時のリグノフェノール誘導体の品温は60℃以下とすることが好ましく、リグノフェノール誘導体の品質向上の為には40℃以下とすることが好ましい。粗乾燥に際しては、固形物を吸水性物質の上に広げて、自然風又は温風乾燥を行うことが好ましい。高乾燥は、例えば、真空マイクロ波乾燥機を用いて、含水率50%以下に粗乾燥したリグノフェノール誘導体を含む固形分を、乾燥機の乾燥室内に投入し、室内を減圧して水の蒸発温度を40℃以下にした後、乾燥室内の固形物にマイクロ波を照射して含有水分に熱を与えて蒸発させることによって行うことができる。また、乾燥室内において、遠赤外線の照射を併用すると、更に乾燥効率を向上させることができる。もちろん、脱酸・洗浄後の固液分離で得られた含水率70%程度のリグノフェノール誘導体を含む固形分を、真空マイクロ波乾燥機を用いて含水率5%以下程度にまで乾燥させることも可能である。
脱酸・洗浄が完了したリグノフェノール誘導体を含む固形物は、リグノフェノール誘導体がアセトンに溶解する性質を利用して、回収されるリグノフェノール誘導体を含む固形物にアセトンを混合して、リグノフェノール誘導体のみを抽出し、抽出液を木材等の材料に含浸させて使用することが可能であるが、この場合、アセトンとの混合の際に水分が残留していると、リグノフェノール誘導体を含む固形物に残留する糖分が水分を介してアセトンに溶解し、純粋なリグノフェノール誘導体・アセトン溶液の生成が困難になる。したがって、リグノフェノール誘導体を含む固形物は、含水率5%以下程度にまで乾燥させることが好ましい。乾燥に要する時間を削減し、生産効率を上げるため、まず、固形物を自然風乾燥又は温風送風乾燥することによって含水率50%以下に粗乾燥した後、含水率10%以下に高乾燥することが好ましい。粗乾燥時のリグノフェノール誘導体の品温は60℃以下とすることが好ましく、リグノフェノール誘導体の品質向上の為には40℃以下とすることが好ましい。粗乾燥に際しては、固形物を吸水性物質の上に広げて、自然風又は温風乾燥を行うことが好ましい。高乾燥は、例えば、真空マイクロ波乾燥機を用いて、含水率50%以下に粗乾燥したリグノフェノール誘導体を含む固形分を、乾燥機の乾燥室内に投入し、室内を減圧して水の蒸発温度を40℃以下にした後、乾燥室内の固形物にマイクロ波を照射して含有水分に熱を与えて蒸発させることによって行うことができる。また、乾燥室内において、遠赤外線の照射を併用すると、更に乾燥効率を向上させることができる。もちろん、脱酸・洗浄後の固液分離で得られた含水率70%程度のリグノフェノール誘導体を含む固形分を、真空マイクロ波乾燥機を用いて含水率5%以下程度にまで乾燥させることも可能である。
本発明の更なる形態として、リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を混合液に対して容量比で0.5倍量〜6倍量の水で希釈した後、固液分離を行う工程(図1−7)で、回収したリグノフェノール誘導体を含む固形物を、所定量の水で分散した後、再度固液分離を1〜2回繰り返すことで、酸・糖溶液を更に回収し、先に回収した酸・糖溶液と混合して、リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液中の酸分とセルロース・ヘミセルロースの溶解物の回収効率を高めることも可能である。この方式によりフェノール誘導体及び酸の反応混合液中の酸分とセルロース・ヘミセルロースの溶解物の回収率を向上させるフローを図2に示す。これによれば、リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を混合液に対して容量比で0.5倍量〜6倍量の水で希釈した後の固液分離(酸・糖溶液回収1回目:図2−2)で得られたリグノフェノール誘導体を含む固形物を、1倍量〜2倍量の水で分散した後(図2−3)、再度濾過等で酸・糖溶液回収2回目の固液分離を行う(図2−4)。ここで得られたリグノフェノール誘導体を含む固形物を、1倍量〜2倍量の水で分散した後(図2−5)、再度濾過等で酸・糖溶液回収3回目の固液分離を行う(図2−6)。酸・糖溶液回収1回目(図2−2)で得られた酸・糖溶液は、後段の分離回収工程の回収酸・糖溶液(図2−9)として利用するが、ここに酸・糖溶液回収3回目(図2−6)で得られた酸・糖溶液を混合することで擬似移動層クロマト分離等の酸・糖分離回収装置に最適な酸濃度及び糖濃度に調整することが可能である。酸・糖溶液回収2回目(図2−4)で得られた酸・糖溶液は、酸処理の反応混合液を水希釈する際(図2−1)の希釈水として利用することで、リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液中の酸分とセルロース・ヘミセルロースの溶解物の回収効率を高めることが可能である。これは同時に、後段のリグノフェノール誘導体を含む固形物を脱酸・洗浄する工程において、洗浄によって系外に排出される酸分やセルロース・ヘミセルロースの溶解物分を削減することにもなる。
酸・糖溶液の回収率向上の別の形態として、図3のフローに示すように酸・糖溶液回収1回目(図3−2)で得られた酸・糖溶液と酸・糖溶液回収2回目(図3−4)で得られた酸・糖溶液とを混合して、後段の分離回収工程の原液(図3−9)として利用すると共に、酸・糖溶液回収3回目(図3−6)で得られた酸・糖溶液を、酸処理の反応混合液を水希釈する際(図3−1)の希釈水として利用することも可能である。
図2、図3のフロー共に、酸・糖溶液回収2回目及び3回目で得られた酸・糖溶液を、酸処理の反応混合液を水希釈する際(図2、図3−1)の希釈水として利用する場合は、酸・糖溶液によって酸処理の反応混合液を水希釈する際の希釈率が、例えば混合液に対して容量比で0.5倍量〜6倍量になるように、それぞれ酸・糖溶液回収1回目及び2回目の希釈率を調整する。
また、使用する水は、CaイオンやMgイオンの結合によるリグノフェノール誘導体の変性を防ぐため、純水、脱イオン水もしくは蒸留水を用いるのが好ましい。
酸・糖溶液回収3回目で得られたリグノフェノール誘導体を含む固形物は、図1−9以降に示す脱酸・洗浄及び乾燥工程を経てリグノフェノール誘導体を回収する。
本発明は、更に、上記の方法を実施するための装置にも関する。即ち、本発明の他の態様は、水を受容し、水中にリグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を投入する手段を具備する水希釈槽;希釈された反応混合液を受容して固液分離を行って、固相としてリグノフェノール誘導体を分離するための第1の固液分離装置;第1の固液分離装置から回収される液相を更に固液分離処理して、固相として残留SS分を分離するための第2の固液分離装置;を具備することを特徴とする、酸・糖溶液の回収装置に関する。
更に本発明の他の態様は、水を受容し、水中にリグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を投入する手段を具備する水希釈槽;希釈された反応混合液を受容して固液分離を行って、固相としてリグノフェノール誘導体を分離するための第1の固液分離装置;第1の固液分離装置から回収される液相を静置するための静置槽;静置槽の液を受容して更に固液分離処理して、固相として残留SS分を分離するための第2の固液分離装置;を具備することを特徴とする、酸・糖溶液の回収装置にも関する。
更に、本発明の他の態様は、フェノール誘導体が含浸されたリグノセルロース系物質を受容し、リグノセルロース系物質に酸を加える手段と、酸を加えられて酸処理が行われたリグノセルロース系物質を含む反応混合液に希釈水を投入する手段とを具備する酸処理・水希釈槽;希釈された反応混合液を受容して固液分離を行って、固相としてリグノフェノール誘導体を分離するための第1の固液分離装置;第1の固液分離装置から回収される液相を更に固液分離処理して、固相として残留SS分を分離するための第2の固液分離装置;第1の固液分離によって回収される固形物を受容して、固形物に水を加えて撹拌する撹拌槽;撹拌槽から回収される水スラリーを受容して固液分離を行う第3の固液分離装置;を具備することを特徴とする、リグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置に関する。
更に、本発明の他の態様は、フェノール誘導体が含浸されたリグノセルロース系物質を受容し、リグノセルロース系物質に酸を加える手段と、酸を加えられて酸処理が行われたリグノセルロース系物質を含む反応混合液に希釈水を投入する手段とを具備する酸処理・水希釈槽;希釈された反応混合液を受容して固液分離を行って、固相としてリグノフェノール誘導体を分離するための第1の固液分離装置;第1の固液分離装置から回収される液相を更に固液分離処理して、固相として残留SS分を分離するための第2の固液分離装置;第1の固液分離によって回収される固形物を受容して、固形物の解砕を行う解砕装置;解砕された固形物に水を加えて撹拌する撹拌槽;撹拌槽から回収される水スラリーを受容して固液分離を行う第3の固液分離装置;を具備することを特徴とする、リグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置に関する。
更に、本発明の他の態様は、フェノール誘導体が含浸されたリグノセルロース系物質を受容し、酸を加えて反応させる酸処理槽;酸処理槽より回収されるリグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を受容して希釈水を投入する手段を具備する水希釈槽;希釈された反応混合液を受容して固液分離を行って、固相としてリグノフェノール誘導体を分離するための第1の固液分離装置;第1の固液分離装置から回収される液相を更に固液分離処理して、固相として残留SS分を分離するための第2の固液分離装置;第1の固液分離によって回収される固形物を受容して、固形物に水を加えて撹拌する撹拌槽;撹拌槽から回収される水スラリーを受容して固液分離を行う第3の固液分離装置;を具備することを特徴とする、リグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置に関する。
更に、本発明の他の態様は、フェノール誘導体が含浸されたリグノセルロース系物質を受容し、酸を加えて反応させる酸処理槽;酸処理槽より回収されるリグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を受容して希釈水を投入する手段を具備する水希釈槽;希釈された反応混合液を受容して固液分離を行って、固相としてリグノフェノール誘導体を分離するための第1の固液分離装置;第1の固液分離装置から回収される液相を更に固液分離処理して、固相として残留SS分を分離するための第2の固液分離装置;第1の固液分離によって回収される固形物を受容して、固形物の解砕を行う解砕装置;解砕された固形物に水を加えて撹拌する撹拌槽;撹拌槽から回収される水スラリーを受容して固液分離を行う第3の固液分離装置;を具備することを特徴とする、リグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置に関する。
更に、本発明の他の態様は、第3の固液分離装置によって回収される固形物を受容して、固形物に水を加えて撹拌する撹拌槽;撹拌槽から回収される水スラリーを受容して固液分離を行う第4の固液分離装置を更に具備する上記記載のリグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置に関する。
更に、本発明の他の態様は、第3の固液分離装置によって回収される固形物を受容して、固形物の解砕を行う解砕装置;解砕された固形物に水を加えて撹拌する撹拌槽;撹拌槽から回収される水スラリーを受容して固液分離を行う第4の固液分離装置;を具備する上記記載のリグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置に関する。
更には、本発明の他の態様は、第3の固液分離装置によって回収される液相を酸処理・水希釈槽又は水希釈槽に希釈液として供給する手段を具備する上記記載のリグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置に関する。
更に、本発明の他の態様は、第4の固液分離装置によって回収される液相を酸処理・水希釈槽又は水希釈槽に希釈液として供給する手段を具備する上記記載のリグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置に関する。
なお、上記の各態様のリグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置において、第1の固液分離装置と第3の固液分離装置とを、同じ固液分離装置によって構成して、固液分離(第1の固液分離装置による固液分離)によって固液分離処理した後の固形分に水を加えて撹拌して得られる水スラリーを、再び同じ固液分離装置に戻して固液分離(第3の固液分離装置による固液分離)を行うこともできる。同様に、第1の固液分離装置と第4の固液分離装置、或いは第3の固液分離装置と第4の固液分離装置、更には第1、第3及び第4の固液分離装置の全てを、同一の固液分離装置によって構成することもできる。
固液分離(4)によって液相として回収される酸・糖溶液は、その後、拡散透析法、疑似移動層方式クロマトグラフィー分離法、アルカノール溶剤抽出法などの当該技術において公知の方法で処理することにより、酸と糖とを分離回収することができる。回収された糖は、例えば、例えば乳酸発酵による生分解性プラスチック製造用の原材料などとして利用することができる。
以下の実施例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
実施例1
スギのチップを粉砕した後、乾燥して0.2〜2mmに篩い分けたスギ木粉を原料として用いた。スギ木粉1kgを撹拌槽(リボコーン)に入れ、10Lのアセトンを加えて1昼夜撹拌することにより、1回目の脱脂処理を行った。アセトン(7L)を排出し、排出量と等量のアセトンを再び加えて1昼夜撹拌して、2回目の脱脂処理を行った。2回目の脱脂処理が終了した後、p−クレゾール500g及びアセトン6Lの混合液を加えて十分に撹拌することにより、スギ木粉にp−クレゾールを含浸させた。24時間放置した後、槽内を減圧して残留するアセトンを十分に乾燥させた。なお、上記の脱脂及びp−クレゾール含浸は、室温(15℃)で行った。
スギのチップを粉砕した後、乾燥して0.2〜2mmに篩い分けたスギ木粉を原料として用いた。スギ木粉1kgを撹拌槽(リボコーン)に入れ、10Lのアセトンを加えて1昼夜撹拌することにより、1回目の脱脂処理を行った。アセトン(7L)を排出し、排出量と等量のアセトンを再び加えて1昼夜撹拌して、2回目の脱脂処理を行った。2回目の脱脂処理が終了した後、p−クレゾール500g及びアセトン6Lの混合液を加えて十分に撹拌することにより、スギ木粉にp−クレゾールを含浸させた。24時間放置した後、槽内を減圧して残留するアセトンを十分に乾燥させた。なお、上記の脱脂及びp−クレゾール含浸は、室温(15℃)で行った。
このp−クレゾール含浸スギ木粉1.5kgを反応撹拌槽に入れ、72%硫酸をスギ木粉に対して5倍量である5L加えて酸処理を行った。酸処理に使用する反応撹拌槽及び添加する硫酸は、予め30℃に保温したものを使用した。混合液を反応槽内で1時間十分に撹拌して反応を進行させた後、混合液と等量(6.5L)の水を入れた容器に混合液を投入して僅かに撹拌することによって、酸の希釈を行うと同時に、生成したリグノフェノール誘導体を凝集させた。混合液をスクリーン濾過することによって、凝集したリグノフェノール誘導体と、硫酸糖溶液とを容易に固液分離することができた。
分離したリグノフェノール誘導体は、水を添加し再分散させた後、水洗浄を繰り返すことで残留する硫酸を洗浄して、リグノフェノール誘導体として回収した。
また、分離した硫酸糖溶液は、フィルタによる膜分離にかけることで、溶液中に分散しているSS分を除去した。
実施例2
スギのチップを粉砕した後、乾燥して0.2〜2mmに篩い分けたスギ木粉を原料として用いた。スギ木粉100kgを撹拌槽(リボコーン)に入れ、80Lのアセトンを加えて1昼夜撹拌することにより、脱脂処理を行った。脱脂後のアセトン溶液(55L)を排出し、攪拌槽内を減圧して残留するアセトンを十分に乾燥させて、83kgの脱脂スギ木粉を調整した。脱脂スギ木粉10kgを含浸用攪拌槽(レーディゲミキサ)に入れ、3kgのp−クレゾールを溶解させたアセトン溶液20Lのアセトンを加えて30分程度強撹拌した後、攪拌槽内を減圧して残留するアセトンを十分に乾燥させて、13kgのp−クレゾール含浸スギ木粉を調整した。なお、上記の脱脂及びp−クレゾール含浸は、室温(15℃)で行った。
スギのチップを粉砕した後、乾燥して0.2〜2mmに篩い分けたスギ木粉を原料として用いた。スギ木粉100kgを撹拌槽(リボコーン)に入れ、80Lのアセトンを加えて1昼夜撹拌することにより、脱脂処理を行った。脱脂後のアセトン溶液(55L)を排出し、攪拌槽内を減圧して残留するアセトンを十分に乾燥させて、83kgの脱脂スギ木粉を調整した。脱脂スギ木粉10kgを含浸用攪拌槽(レーディゲミキサ)に入れ、3kgのp−クレゾールを溶解させたアセトン溶液20Lのアセトンを加えて30分程度強撹拌した後、攪拌槽内を減圧して残留するアセトンを十分に乾燥させて、13kgのp−クレゾール含浸スギ木粉を調整した。なお、上記の脱脂及びp−クレゾール含浸は、室温(15℃)で行った。
このp−クレゾール含浸スギ木粉13kgを反応撹拌槽に入れ、72%硫酸をスギ木粉に対して3倍量である28L加えて酸処理を行った。酸処理に使用する反応撹拌槽及び添加する硫酸は、室温(25℃)のものを使用した。温水ジャケットで40℃に保持された反応槽内で1時間十分に撹拌して反応を進行させた後、反応撹拌槽に37Lの脱イオン水(酸処理混合液の0.9倍容量)を投入して僅かに撹拌することによって、酸の希釈を行うと同時に、生成したリグノフェノール誘導体を凝集させた。混合液を真空濾過することによって、凝集したリグノフェノール誘導体を含む固形分20kgと、硫酸糖溶液75kgとを容易に固液分離することができた(硫酸糖液回収1回目)。
硫酸糖液回収1回目の固液分離で得られた固形物に23Lの脱イオン水(固形物の1.2倍容量)を投入して水分散し真空濾過することによって、リグノフェノール誘導体を含む固形分18kgと、硫酸糖溶液24kgとを容易に固液分離することができた(硫酸糖液回収2回目)。この硫酸糖液回収2回目で得た硫酸糖溶液は、次のバッチ以降のp−クレゾール含浸スギ木粉を酸処理した後の反応混合液の希釈水として利用した。
硫酸糖液回収2回目の固液分離で得られた固形物に24Lの脱イオン水(固形物の1.2倍容量)を投入して水分散し真空濾過することによって、リグノフェノール誘導体を含む固形分17kgと、硫酸糖溶液24kgとを容易に固液分離することができた(硫酸糖液回収3回目)。
次のバッチ以降でのp−クレゾール含浸スギ木粉を酸処理した後の硫酸糖液回収1回目と硫酸糖液回収3回目で得た硫酸糖溶液を混合して回収硫酸糖液は、前回のバッチでの硫酸糖液回収2回目で得た硫酸糖溶液を酸処理反応混合液の希釈液として利用する事で、酸処理原料に対する回収率が清水を利用した希釈の場合の87%から98%に向上する。また、回収硫酸糖溶液の硫酸濃度は25%、糖濃度は5%となり、後段の疑似移動層方式クロマトグラフィー分離法で硫酸と糖を分離回収する場合に最適な濃度を得ることができた。
真空濾過装置により回収した硫酸糖溶液は、固形分の混入もなく清澄な液が得られている。
硫酸糖液回収3回目で得たリグノフェノール誘導体を含む固形分は、固形分量の約5倍に相当する40Lの脱イオン水を添加し再分散させた後、真空濾過を繰り返すことで残留する硫酸を洗浄して、リグノフェノール誘導体として回収した。回収したリグノフェノール誘導体の乾物量は4.2kgであり、乾物スギ木粉に対する収率は42%が得られている。
本発明によれば、リグノセルロース系物質を、フェノール誘導体及び酸で処理して、リグノフェノール誘導体と酸・糖溶液とを分離回収する方法において、酸処理後の混合液を、容量比で1倍量程度の少量の水に投入、もしくは混合液に1倍量程度の水を投入し、静置状態若しくは弱撹拌状態に保つことによって、酸を希釈すると共に、生成するリグノフェノール誘導体を水中で凝集させてスクリーン濾過等によって容易に分離回収することが可能となる。また、酸処理後の混合液が過度に希釈されないので、分離される酸・糖溶液を必要に応じて静置保持、フィルトレーションなどの工程によって精製した後、拡散透析膜法、疑似移動層方式クロマトグラフィー分離法、アルカノール溶剤抽出法などの当該技術において通常用いられている種々の方法によって処理することにより、簡便且つ容易に酸と糖とを分離・回収することができる。
Claims (19)
- リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を、混合液に対して容量比で0.5倍量〜6倍量の水に投入し、静置状態若しくは弱撹拌状態に保つことによって、固相として生成するリグノフェノール誘導体を凝集させた後、固液分離にかけることによって、固相のリグノフェノール誘導体と、液相の酸・糖溶液とを分離・回収することを特徴とする、酸・糖溶液とリグノフェノール誘導体の分離回収方法。
- リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を、容量比でほぼ等量の水で希釈する請求項1に記載の方法。
- 固液分離を、濾過装置によって行う請求項1又は2に記載の方法。
- 固液分離によって液相として回収される酸・糖溶液を、更に第2の固液分離にかけて固相として残留SS分を除去する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 固液分離によって固相として回収されるリグノフェノールを含む固形物を、更に第3、第4の水分散・固液分離にかけて、リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液中の酸及び糖の回収率を向上させる請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 第3の固液分離及び/又は第4の固液分離によって得られる液相を、リグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液に投入する希釈水として利用する請求項5に記載の方法。
- 水を受容し、水中にリグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を投入する手段を具備する水希釈槽;希釈された反応混合液を受容して固液分離を行って、固相としてリグノフェノール誘導体を分離するための第1の固液分離装置;第1の固液分離装置から回収される液相を更に固液分離処理して、固相として残留SS分を分離するための第2の固液分離装置;を具備することを特徴とする、酸・糖溶液の回収装置。
- 水を受容し、水中にリグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を投入する手段を具備する水希釈槽;希釈された反応混合液を受容して固液分離を行って、固相としてリグノフェノール誘導体を分離するための第1の固液分離装置;第1の固液分離装置から回収される液相を静置するための静置槽;静置槽の液を受容して更に固液分離処理して、固相として残留SS分を分離するための第2の固液分離装置;を具備することを特徴とする、酸・糖溶液の回収装置。
- フェノール誘導体が含浸されたリグノセルロース系物質を受容し、リグノセルロース系物質に酸を加える手段と、酸を加えられて酸処理が行われたリグノセルロース系物質を含む反応混合液に希釈水を投入する手段とを具備する酸処理・水希釈槽;希釈された反応混合液を受容して固液分離を行って、固相としてリグノフェノール誘導体を分離するための第1の固液分離装置;第1の固液分離装置から回収される液相を更に固液分離処理して、固相として残留SS分を分離するための第2の固液分離装置;第1の固液分離によって回収される固形物を受容して、固形物に水を加えて撹拌する撹拌槽;撹拌槽から回収される水スラリーを受容して固液分離を行う第3の固液分離装置;を具備することを特徴とする、リグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置。
- フェノール誘導体が含浸されたリグノセルロース系物質を受容し、リグノセルロース系物質に酸を加える手段と、酸を加えられて酸処理が行われたリグノセルロース系物質を含む反応混合液に希釈水を投入する手段とを具備する酸処理・水希釈槽;希釈された反応混合液を受容して固液分離を行って、固相としてリグノフェノール誘導体を分離するための第1の固液分離装置;第1の固液分離装置から回収される液相を更に固液分離処理して、固相として残留SS分を分離するための第2の固液分離装置;第1の固液分離によって回収される固形物を受容して、固形物の解砕を行う解砕装置;解砕された固形物に水を加えて撹拌する撹拌槽;撹拌槽から回収される水スラリーを受容して固液分離を行う第3の固液分離装置;を具備することを特徴とする、リグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置。
- フェノール誘導体が含浸されたリグノセルロース系物質を受容し、酸を加えて反応させる酸処理槽;酸処理槽より回収されるリグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を受容して希釈水を投入する手段を具備する水希釈槽;希釈された反応混合液を受容して固液分離を行って、固相としてリグノフェノール誘導体を分離するための第1の固液分離装置;第1の固液分離装置から回収される液相を更に固液分離処理して、固相として残留SS分を分離するための第2の固液分離装置;第1の固液分離によって回収される固形物を受容して、固形物に水を加えて撹拌する撹拌槽;撹拌槽から回収される水スラリーを受容して固液分離を行う第3の固液分離装置;を具備することを特徴とする、リグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置。
- フェノール誘導体が含浸されたリグノセルロース系物質を受容し、酸を加えて反応させる酸処理槽;酸処理槽より回収されるリグノセルロース系物質、フェノール誘導体及び酸の反応混合液を受容して希釈水を投入する手段を具備する水希釈槽;希釈された反応混合液を受容して固液分離を行って、固相としてリグノフェノール誘導体を分離するための第1の固液分離装置;第1の固液分離装置から回収される液相を更に固液分離処理して、固相として残留SS分を分離するための第2の固液分離装置;第1の固液分離によって回収される固形物を受容して、固形物の解砕を行う解砕装置;解砕された固形物に水を加えて撹拌する撹拌槽;撹拌槽から回収される水スラリーを受容して固液分離を行う第3の固液分離装置;を具備することを特徴とする、リグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置。
- 第1の固液分離装置と、第3の固液分離装置とが、同一の装置により構成される請求項11又は12に記載のリグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置。
- 更に、第3の固液分離装置によって回収される固形物を受容して、固形物に水を加えて撹拌する撹拌槽;撹拌槽から回収される水スラリーを受容して固液分離を行う第4の固液分離装置を具備する請求項9〜13のいずれかに記載のリグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置。
- 更に、第3の固液分離装置によって回収される固形物を受容して、固形物の解砕を行う解砕装置;解砕された固形物に水を加えて撹拌する撹拌槽;撹拌槽から回収される水スラリーを受容して固液分離を行う第4の固液分離装置;を具備する請求項9〜13のいずれかに記載のリグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置。
- 第1の固液分離装置と、第4の固液分離装置とが、同一の装置により構成される請求項114又は15に記載のリグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置。
- 第3の固液分離装置と、第4の固液分離装置とが、同一の装置により構成される請求項14又は15に記載のリグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置。
- 第3の固液分離装置によって回収される液相を酸処理・水希釈槽又は水希釈槽に希釈液として供給する手段を具備する請求項14〜17のいずれかに記載のリグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置。
- 第4の固液分離装置によって回収される液相を酸処理・水希釈槽又は水希釈槽に希釈液として供給する手段を具備する請求項14〜17のいずれかに記載のリグノフェノール誘導体及び酸・糖溶液の回収装置。
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