JPWO2005036618A1 - ステージ装置及び露光装置 - Google Patents
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Abstract
光学部材を備えた可動ステージの構造を複雑にすることなく、その光学部材の温度を制御できるステージ装置である。レチクル(R)を保持するレチクルステージ本体(22)をY軸リニアモータ(76A,78A,76B,78B)を用いてレチクルベース(16)上でY方向に駆動する。レチクルステージ本体(22)の端部の光学部材支持部(24B2)上の光学系(32)を介して、レチクルベース(16)上に固定された固定鏡(MX)に計測用レーザビームを照射して、レチクルステージ本体(22)のX方向の位置を計測する。光学系(32)の温度を安定化するために、光学部材支持部(24B2)の底面に空気層(35)を介してロッド部材(27)を固定し、ロッド部材(27)内に温度制御された冷媒を供給する。
Description
本発明は、物体を駆動するためのステージ装置に関し、例えば半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、又は薄膜磁気ヘッド等のデバイスを製造するためのフォトリソグラフィ工程中で、マスクパターンを基板上に転写するために使用される露光装置のマスクステージや基板ステージに使用して好適なものである。
例えば半導体集積回路を製造するためのフォトリソグラフィ工程中で、マスクとしてのレチクル(又はフォトマスク等)のパターンを投影光学系を介して基板(感光基板又は感応物体)としてのレジストが塗布されたウエハ(又はガラスプレート等)の各ショット領域に転写するために、ステッパー等の一括露光型、又はスキャニングステッパー等の走査露光型の露光装置が使用されている。これらの露光装置においては、レチクル及びウエハの位置決め及び移動をそれぞれ行うためにレチクルステージ系及びウエハステージ系が備えられている。最近は、レチクル及びウエハの移動を円滑に且つ高速に行うために、それらのステージ系の駆動装置として、主にリニアモータ又はローレンツ力を用いるアクチュエータ(ボイスコイルモータ)等のように、非接触の固定子と可動子との間で高い推力を発生できる駆動装置が多用されている。
例えば走査露光型の露光装置(走査型露光装置)のレチクルステージ系では、案内精度を確保するために、エアーベアリングのエアーパッドをレチクル付近に配置することが一般的である。この構成では、レチクルを保持する可動ステージを走査方向に駆動するためのリニアモータの可動子は、レチクルから見てエアーパッドの外側に配置されることとなる。また、ウエハステージ系では、ウエハを保持する可動ステージ(ウエハテーブル)は、2組のリニアモータによって直交する2つの方向に駆動される。
そのようなリニアモータ等の駆動装置では、固定子又は可動子にコイル(又は巻線)が装着されるが、位置決め及び移動を繰り返す過程でそのコイルでの発熱量が大きくなる。例えばウエハステージ系において、ウエハを保持すると共に位置計測用のレーザ干渉計のロッド状の移動鏡が固定されたウエハテーブルにそのコイルで発生した熱が伝わると、ウエハテーブルが次第に膨張して、ウエハと移動鏡との位置関係が僅かに変化すると共に、移動鏡自体の僅かな熱変形も生じる。その結果、位置決め精度又は走査露光時の同期精度等が悪化して、重ね合わせ精度や解像度等の露光精度が低下する。近年の集積回路の一層の微細化に伴い、従来は無視することができたステージ系の駆動機構で発生する熱の影響による露光精度の低下も問題となりつつある。
そこで、最近は例えばウエハステージ系において、リニアモータのコイルで発生する熱の影響を軽減するために、そのコイルの全周を囲むように筒型部材を設置し、更にその筒型部材の内部に冷却水を流すようにした熱シールド機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−244196号公報
上記の如くウエハステージ系の場合には、スペース的に余裕があるため、リニアモータのコイルの全周を囲むように冷媒を供給する機構を採用することが可能である。
これに対して、レチクルステージ系は、照明光学系と投影光学系との間の狭い空間内に配置されるため、複雑で大型の冷却機構を設けることは設計上好ましくない。更に、例えば走査露光型の露光装置のレチクルステージ系は、投影倍率を1/4倍とすると、ウエハステージ系の4倍の走査速度で広いストロークに亘ってレチクルを移動する必要がある。そのため、レチクルを保持して移動する可動ステージが、冷媒を供給するための配管を引き回すことは好ましくない。従って、その高速移動する可動ステージ側の機構をあまり複雑化することなく、その可動ステージに備えられた移動鏡の温度変化を抑制できる温度制御機構の開発が求められている。また、その可動ステージには、移動鏡の代わりにビームスプリッタ等の光学部材を設置する構成も考えられるが、その光学部材の温度が変化すると、屈折率の変化によっても計測誤差が生じる恐れがあるため、その温度変化も抑制することが望ましい。
これに対して、レチクルステージ系は、照明光学系と投影光学系との間の狭い空間内に配置されるため、複雑で大型の冷却機構を設けることは設計上好ましくない。更に、例えば走査露光型の露光装置のレチクルステージ系は、投影倍率を1/4倍とすると、ウエハステージ系の4倍の走査速度で広いストロークに亘ってレチクルを移動する必要がある。そのため、レチクルを保持して移動する可動ステージが、冷媒を供給するための配管を引き回すことは好ましくない。従って、その高速移動する可動ステージ側の機構をあまり複雑化することなく、その可動ステージに備えられた移動鏡の温度変化を抑制できる温度制御機構の開発が求められている。また、その可動ステージには、移動鏡の代わりにビームスプリッタ等の光学部材を設置する構成も考えられるが、その光学部材の温度が変化すると、屈折率の変化によっても計測誤差が生じる恐れがあるため、その温度変化も抑制することが望ましい。
一方、ウエハステージ系において、リニアモータのコイルを冷媒等を用いて冷却する場合にも、コイルからの放射熱によって移動鏡の温度が僅かに変化する恐れがある。そのため、移動鏡の温度を制御できると共に、ウエハテーブルの移動に際してあまり負荷をかけない温度制御機構を付加することが望ましい。
また、上述のように走査型露光装置のレチクルステージ系では、リニアモータの可動子は通常、レチクルから見てエアーパッドの外側に配置されることとなるため、その可動子が重りとなり、エアーパッド剛性に起因する振動モードが比較的低周波域に存在していた。その振動モードは、同期精度を高める上での障害となっていた。
また、上述のように走査型露光装置のレチクルステージ系では、リニアモータの可動子は通常、レチクルから見てエアーパッドの外側に配置されることとなるため、その可動子が重りとなり、エアーパッド剛性に起因する振動モードが比較的低周波域に存在していた。その振動モードは、同期精度を高める上での障害となっていた。
本発明は斯かる点に鑑み、移動鏡等の光学部材を備えた可動部自体の構造をあまり複雑にすることなく、その光学部材の温度を制御できるステージ技術を提供することを第1の目的とする。
更に本発明は、走査型露光装置のように高速駆動される可動ステージを用いる場合に、その可動ステージに設置された光学部材の温度を制御できると共に、その可動ステージをより安定に駆動できるステージ技術を提供することを第2の目的とする。
更に本発明は、走査型露光装置のように高速駆動される可動ステージを用いる場合に、その可動ステージに設置された光学部材の温度を制御できると共に、その可動ステージをより安定に駆動できるステージ技術を提供することを第2の目的とする。
更に本発明は、そのようなステージ技術を用いて高精度な露光を実現できる露光技術を提供することをも目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は実施の形態に示す図1〜図7に対応付けした以下の構成を採用している。ただし、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
上記の課題を解決するため、本発明は実施の形態に示す図1〜図7に対応付けした以下の構成を採用している。ただし、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
本発明による第1のステージ装置は、物体(R)を駆動するステージ装置において、その物体を保持してガイド面(GP)に沿って移動可能な可動ステージ(RST)と、その可動ステージの特定部分(24B1,24B2;24B)に取り付けられた光学部材(31,32;MX)と、その光学部材の移動軌跡に沿って設けられ、その特定部分とその光学部材との少なくとも一方に対して所定ギャップを隔てて配置された熱伝導部材(27)と、その熱伝導部材の少なくとも一部の温度を制御することによりその特定部分の温度を制御する温度制御装置(44A,44B,45,46B,47)とを有するものである。
斯かる本発明によれば、その所定ギャップの気体層の熱抵抗は小さいため、その熱伝導部材の少なくとも一部の温度を制御することによって、間接的にその可動ステージの特定部分に設けられた光学部材の温度を制御できる。
本発明において、その可動ステージは、そのガイド面に沿って実質的に一定の軌道上で往復運動を行ってもよい。その往復運動の軌道に沿ってその熱伝導部材を配置することによって、効率的にその可動ステージの特定部分の温度を制御できる。
本発明において、その可動ステージは、そのガイド面に沿って実質的に一定の軌道上で往復運動を行ってもよい。その往復運動の軌道に沿ってその熱伝導部材を配置することによって、効率的にその可動ステージの特定部分の温度を制御できる。
また、その光学部材は、その可動ステージの位置を計測するための干渉計の一部を構成することができる。本発明の適用によって、その光学部材の温度を安定化することによって、その可動ステージの位置を干渉計によって高精度に計測できる。
この場合、その光学部材の一例は、計測用の光ビームを反射する移動鏡(MX1)である。
この場合、その光学部材の一例は、計測用の光ビームを反射する移動鏡(MX1)である。
また、その可動ステージから離れて配置された基準鏡(MX)を更に有する場合、その可動ステージに取り付けられたその光学部材の別の例は、計測用の光ビームをその移動鏡に向けて反射する反射部材(31,32)を含むものである。この構成では、可動ステージを軽量化できる。
また、その可動ステージを駆動するリニアモータ(76A,76B,78A,78B)を更に有し、その熱伝導部材のその温度制御装置によって温度制御される部分(24B1,24B2;24B)を、その物体から見てそのリニアモータよりも外側に配置してもよい。この構成では、例えばそのリニアモータの内側にエアーベアリングのエアーパッドを設けたとしても、その所定ギャップ部分がスクイーズダンパとして有効に作用するため、エアーパッド剛性に起因する振動モードが減衰し、その可動ステージを安定に駆動できる。
また、その可動ステージを駆動するリニアモータ(76A,76B,78A,78B)を更に有し、その熱伝導部材のその温度制御装置によって温度制御される部分(24B1,24B2;24B)を、その物体から見てそのリニアモータよりも外側に配置してもよい。この構成では、例えばそのリニアモータの内側にエアーベアリングのエアーパッドを設けたとしても、その所定ギャップ部分がスクイーズダンパとして有効に作用するため、エアーパッド剛性に起因する振動モードが減衰し、その可動ステージを安定に駆動できる。
また、その所定ギャップの一例は0から20μmである。この場合の気体層は、ダンピング効果が特に大きくなる。
次に、本発明による露光装置は、第1物体(R)を露光ビームで照明し、その露光ビームでその第1物体及び投影系(PL)を介して第2物体(W)を露光する露光装置において、そのステージ装置を備え、その第1物体及びその第2物体の少なくとも一方をそのステージ装置で駆動するものである。本発明のステージ装置の適用によって、その第1物体又は第2物体を駆動する可動ステージの駆動性能を殆ど低下させることなく、その可動ステージの位置計測精度等を向上できる。
次に、本発明による露光装置は、第1物体(R)を露光ビームで照明し、その露光ビームでその第1物体及び投影系(PL)を介して第2物体(W)を露光する露光装置において、そのステージ装置を備え、その第1物体及びその第2物体の少なくとも一方をそのステージ装置で駆動するものである。本発明のステージ装置の適用によって、その第1物体又は第2物体を駆動する可動ステージの駆動性能を殆ど低下させることなく、その可動ステージの位置計測精度等を向上できる。
本発明によれば、移動鏡等の光学部材を備えた可動ステージ自体の構造を複雑にすることなく、その光学部材の温度を制御できる。従って、その光学部材を用いて例えば位置計測を行うことによって、その可動ステージの位置決め精度や速度制御精度等を向上できる。
また、その可動ステージを駆動するためのリニアモータを備え、その可動ステージ中の温度制御される部分を、物体から見てリニアモータよりも外側に配置する場合には、その所定ギャップ部分がスクイーズダンパとして作用するため、その可動ステージをより安定に駆動できる。従って、本発明を走査型露光装置のステージ系に適用することによって、同期走査時の安定性を向上しながら、走査速度を向上することも可能となる。
また、その可動ステージを駆動するためのリニアモータを備え、その可動ステージ中の温度制御される部分を、物体から見てリニアモータよりも外側に配置する場合には、その所定ギャップ部分がスクイーズダンパとして作用するため、その可動ステージをより安定に駆動できる。従って、本発明を走査型露光装置のステージ系に適用することによって、同期走査時の安定性を向上しながら、走査速度を向上することも可能となる。
RST…レチクルステージ、R…レチクル、MX…固定鏡、MX1…移動鏡、16…レチクルベース、18…枠状部材、22…レチクルステージ本体、24B1,24B2,24B…光学部材支持部、26A,28A,26B,28B…可動子ユニット、27…ロッド部材、31…第1光学系、32…第2光学系、45…冷媒供給装置、69XL…レーザ光源、69XA,69XB…レシーバ、76A,78A,76B,78B…Y軸リニアモータ、136A,138A,136B,138B…固定子ユニット
以下、本発明の好ましい第1の実施形態につき図1〜図6を参照して説明する。本例は、ステップ・アンド・スキャン方式よりなる走査露光型の投影露光装置(スキャニングステッパー)に備えられたステージ系に本発明を適用したものである。
図1は、本例の投影露光装置10の概略構成を示し、この図1において、投影露光装置10に備えられている投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で走査露光時のレチクル及びウエハ(詳細後述)の走査方向にY軸を取り、その走査方向に直交する非走査方向(図1の紙面に垂直な方向)にX軸を取って説明を行う。本例のX軸及びY軸を含む平面(XY平面)はほぼ水平である。
図1は、本例の投影露光装置10の概略構成を示し、この図1において、投影露光装置10に備えられている投影光学系PLの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で走査露光時のレチクル及びウエハ(詳細後述)の走査方向にY軸を取り、その走査方向に直交する非走査方向(図1の紙面に垂直な方向)にX軸を取って説明を行う。本例のX軸及びY軸を含む平面(XY平面)はほぼ水平である。
先ず、投影露光装置10は、照明光学系ユニットIOP、マスク(第1物体)としての回路パターンが形成されたレチクルRをY方向に所定ストロークで駆動すると共に、X方向、Y方向、及びθz方向(Z軸の回りの回転方向)に微少駆動するステージ装置としてのレチクルステージ系12、投影光学系PL、基板(第2物体)としてのウエハWをXY平面内でXY2次元方向に駆動するウエハステージ系、並びにこれらの制御系等を備えている。
照明光学系ユニットIOPは、露光光源及び照明光学系を含み、その内部に配置された視野絞り(レチクルブラインド)で規定されるレチクルRのパターン面の矩形又は円弧状の照明領域IARを露光ビームとしての露光光ILで均一な照度分布で照明する。その照明光学系と同様の照明系は、例えば特開平6−349701号公報などに開示されている。本例の露光光ILとしては、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)或いはF2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光が用いられる。なお、露光光ILとして、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの遠紫外光、又は超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)等を用いることも可能である。
ところで、真空紫外域の波長の光を露光光とする場合には、その光路から酸素、水蒸気、炭化水素系の気体等の、露光光の波長帯域の光に対し強い吸収特性を有する気体を排除する必要がある。このため、本例では、照明光学系IOPの内部及び投影光学系PLの内部の露光光ILの光路上の空間に、真空紫外域の光に対して高透過率の特定の気体、例えば窒素、若しくはヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトンなどの希ガス、又はそれらの混合ガス(以下、「パージガス」と呼ぶ)を満たしている。更に、後述のようにレチクルRが配置される空間及びウエハWが配置される空間にもパージガスが供給されている。
次に、レチクルステージ系12は、照明光学系IOPの下端部の外周にOリング等のシール部材99を介して連結された環状の取り付け部101を有するプレートとしての照明系側プレート(キャッププレート)14の図1における下方に配置されている。照明系側プレート14は、略水平に不図示の支持部材によって支持され、そのほぼ中央部には露光光ILの光路(通路)となる矩形の開口14aが形成されている。
図2は図1のレチクルステージ系12の斜視図であり、図1及び図2から分かるように、レチクルステージ系12は、前記照明系側プレート14の下方に所定間隔を隔ててほぼ平行に配置された定盤としてのレチクルベース16、このレチクルベース16と照明系側プレート14との間に配置されたスライダ(本発明の可動ステージ)としてのレチクルステージRST、及びこのレチクルステージRSTを取り囲む状態でレチクルベース16と照明系側プレート14との間に配置された枠状部材18、及びレチクルステージRSTを駆動するレチクルステージ駆動系等を備えている。そのレチクルベース16は、不図示の支持部材によって略水平に支持されている。
図3は図2の分解斜視図であり、この図3に示すように、レチクルベース16は、概略板状の部材から成り、そのほぼ中央には、凸のガイド部16aが形成されている。このガイド部16aの上面(ガイド面)GPは極めて高い平面度に仕上げられ、ガイド部16aのほぼ中央には、露光光ILをZ方向に通過させるためのX方向を長手方向とする矩形開口16bが形成されている。レチクルベース16の下面側には、図1に示すように、矩形開口16bの周囲を取り囲む状態で、Vリング又は伸縮自在のベローズなどのシール部材98を介して投影光学系PLの鏡筒部の上端が連結されている。
レチクルステージRSTは、図4(A)に示すように、特殊な形状のレチクルステージ本体22及びこのレチクルステージ本体22に固定された各種磁石ユニット(詳細後述)等を備えている。レチクルステージ本体22は、上方から見て概略矩形の板状部24Aと、この板状部24Aの−X方向の端部に設けられた特定部分としての2つの光学部材支持部24B1及び24B2と、板状部24AのY方向の一側及び他側の端部からそれぞれY方向に突設された各一対の延設部24C1,24C2,24D1,24D2とを備えている。
前記板状部24Aのほぼ中央部には、露光光ILを通過させるための開口がその中央に形成された段付き開口22aが形成され、この段付き開口22aの段部(1段掘り下げられた部分)には、レチクルRを下側から複数点(例えば3点)で支持する複数(例えば3つ)のレチクル支持部材34が設けられている。また、各レチクル支持部材34にそれぞれ対応して、レチクルRを挟んで固定するために、板状部24Aには複数(例えば3つ)のレチクル固定機構34Pが設けられている。
そして、図4(B)は図4(A)のレチクルステージRSTのXZ面に平行な面における断面図であり、図4(B)に示すように、レチクルRは、そのパターン面(下面)がレチクルステージ本体22(レチクルステージRST)の中立面CT(曲げモーメントを受けた場合に伸縮しない面)に略一致する状態で、複数の支持部材34によって支持されている。なお、レチクル支持部材34及びレチクル固定機構34Pに代えて、或いはこれと共に、真空チャックや静電チャックなどのレチクルの吸着固定機構を用いることは可能である。
また、図4(A),(B)から分かるように、光学部材支持部24B1,24B2は、それぞれY方向を長手方向とする概略平板状の形状を有し、光学部材支持部24B1,24B2上にそれぞれレチクルステージRSTの位置計測用のレーザ干渉計の一部を構成する光学部材としての第1光学系31及び第2光学系32が固定されている。光学部材支持部24B1,24B2と板状部24Aとの間は、一種のフレキシャとして作用するヒンジ部(不図示)によりそれぞれ2箇所で局所的に連結されており、板状部24Aの変形の影響が光学部材支持部24B1,24B2に及ばないように構成されている。なお、実際には、板状部24A、光学部材支持部24B1,24B2、及びヒンジ部(不図示)を含むレチクルステージ本体22は、一体成形(例えば、一つの部材を削り出すことにより成形)されているが、本例では、説明を分かり易くするため、必要に応じて各部が別部材であるかのような表現をも用いている。勿論、上記各部の何れか1つを他と別部材で構成しても良いし、全てを別部材で構成しても良い。
レチクルステージRSTを、図2のレチクルベース16のガイド部16aの上面GPに載置した状態で、図4(A)に2点鎖線で示すように、光学系31及び32の−X方向の側面にY軸に平行にロッド状のX軸の固定鏡MX(基準鏡)が配置される。図3に示すように、固定鏡MXはレチクルベース16上のガイド部16aの近傍の領域に、Y軸に沿って細長い支持部材29を介して固定される。固定鏡MXは例えばガラスロッドより形成され、その+X方向の実質的にZY平面に平行な側面が、極めて高い平面度に仕上げられると共に、例えばクロム等の高反射率の膜が被着された反射面とされている。
また、レチクルステージRSTを、図2のレチクルベース16のガイド部16aの上面GPに載置した状態で、図4(A)に示すように、レチクルステージRST上の第1光学系31に対して+Y方向に対向するようにレーザ光源69XL、及び光電センサよりなるX軸の第1レシーバ69XAが配置され、レチクルステージRST上の第2光学系32に−Y方向に対向するように光電センサよりなるX軸の第2レシーバ69XBが配置される。レーザ光源69XL,及びレシーバ69XA,69XBは不図示のコラムに支持される。そして、レーザ光源69XLからY軸にほぼ平行に、例えば波長633nm(He−Neレーザ)で所定の周波数差を持ち偏光方向が互いに直交する2つのレーザビームを含む計測用のレーザビームLXが第1光学系31に照射される。第1光学系31は入射したレーザビームLXを第1及び第2のレーザビームに分割して、更に前者の第1のレーザビームを偏光状態に応じて2つのX軸の第1計測ビーム及び第1参照ビームに分割する。そして、第1光学系31は、その第1計測ビームをX軸に平行にダブルパス方式で固定鏡MXの反射面に照射し、反射された第1計測ビームとその第1参照ビームとの干渉光をほぼY軸に平行に第1レシーバ69XAに照射する。
更に、第1光学系31は、上記の分割後の第2のレーザビームを第2光学系32に照射する。第2光学系32は入射した第2のレーザビームを偏光状態に応じて2つのX軸の第2計測ビーム及び第2参照ビームに分割する。そして、第2光学系32は、その第2計測ビームをX軸に平行にダブルパス方式で固定鏡MXの反射面に照射し、反射された第2計測ビームとその第2参照ビームとの干渉光をほぼY軸に平行に第2レシーバ69XBに照射する。上記の第1及び第2計測ビームのZ方向の位置は、中立面CT(レチクル面)にほぼ一致している。なお、光学系31及び32によってそれぞれ干渉光を生成するための具体的な構成例は後述する。レシーバ69XA及び69XBは、それぞれ入射する干渉光を光電変換することによって、固定鏡MX(即ちレチクルベース16)を基準として光学系31及び32の(即ちレチクルステージRSTのY方向に離れた2箇所の位置で)X方向の座標(変位)を例えば0.1〜1nm程度の分解能で常時計測する。なお、この際にX方向の速度を計測し、この計測値を積分してそのX方向の座標を求めても良い(以下同様)。その2箇所のX方向の座標の平均値及びその2箇所のX方向の座標の差分より、レチクルステージRSTのX方向の位置XR及びZ軸の回りの回転角(ヨーイング)θzRが求められ、これらの位置情報XR,θzRは図1のステージ制御系90に供給される。このように、レーザ光源69XL,光学系31,32、X軸の固定鏡MX、及びX軸のレシーバ69XA,69XBより、レチクルステージRST(レチクルステージ本体22)のX方向の位置及びZ軸の回りの回転角を計測するためのレーザ干渉計が構成されている。本例のようにレチクルステージRST上には光学系31,32を設置し、外部にロッド状の固定鏡MXを配置することによって、レチクルステージRSTを軽量化でき、レチクルステージRSTをより高速に安定に駆動することができる。
また、図5は、図1のレチクルステージ系12をY方向に見た断面図であり、この図5に示すように、投影光学系PLの鏡筒の上端部近傍の−X方向の側面には、固定鏡Mrxが取付部材92を介して設けられ、固定鏡Mrxに対向するように投影光学系PL用のX軸のレーザ干渉計69XRが不図示のコラムに支持されている。そして、レーザ干渉計69XRからの計測ビームはレチクルベース16に形成された貫通孔(光路)71を介して、固定鏡Mrxに対して投射され、その反射光がレーザ干渉計69XR内に戻る。レーザ干渉計69XRでは、内部で生成した参照ビームとその反射光との干渉光を内部の光電センサで受光する。そして、その光電センサの検出信号に基づいて、レーザ干渉計69XRは、投影光学系PLのX方向の位置を、内部の参照面を基準として、例えば0.1〜1nm程度の分解能で常時計測し、計測結果を図1のステージ制御系90に供給する。ステージ制御系90では、例えばレチクルステージRSTのX方向の位置と投影光学系PLのX方向の位置との差分を求めることによって、投影光学系PLを基準としたレチクルステージRSTのX方向の位置を求めることができる。
なお、図4(A)の光学系31,32の固定鏡MXに対するX方向の位置を計測する際に、図5の投影光学系PLの側面の固定鏡Mrxで反射されたレーザビームを参照ビームとして使用し、その参照ビームと固定鏡MXで反射された計測ビームとの干渉光をそれぞれレシーバ69XA,69XBで検出してもよい。これによって、レチクルステージRSTのX方向の位置を投影光学系PLを基準として直接計測できる。
また、図4(A)において、レチクルステージ本体22の板状部24Aの−Y方向の端部には凹部24gが形成され、この凹部24gには、Y軸の移動鏡としてのコーナミラーよりなるレトロリフレクタMYが設けられている。レチクルステージRSTを、図2のレチクルベース16のガイド部16aの上面GPに載置した状態で、図4(A)に示すように、レトロリフレクタMYに対して−Y方向に対向するようにY軸のレーザ干渉計69Yが配置される。レーザ干渉計69Yからの計測ビームLYは、Y軸に平行にレトロリフレクタMYの反射面に投射され、その反射光がレーザ干渉計69Y内に戻る。この場合も、計測ビームLYの照射点のZ方向の位置は、中立面CTの位置(レチクル面)にほぼ一致している。レーザ干渉計69Yは、その計測ビームLYと内部で生成される参照ビームとの干渉光を光電検出することによって、レチクルステージRST(レチクルステージ本体22)のY方向の位置YRを、内部の参照面を基準として例えば0.1〜1nm程度の分解能で常時計測し、計測結果を図1のステージ制御系90に供給する。
また、図1に示すように、投影光学系PLの鏡筒の上端部近傍の+Y方向の側面には、固定鏡Mryが取付部材を介して設けられ、固定鏡Mryに対向するように投影光学系PL用のY軸のレーザ干渉計69YRが配置されている。レーザ干渉計69YRからの計測ビームはレチクルベース16に形成された貫通孔(光路)を介して、固定鏡Mrxに対して投射され、その反射光がレーザ干渉計69YR内に戻る。レーザ干渉計69YRでは、内部で生成した参照ビームとその反射光との干渉光を内部の光電センサで受光する。そして、その光電センサの検出信号に基づいて、レーザ干渉計69YRは、投影光学系PLのY方向の位置を、内部の参照面を基準として、例えば0.1〜1nm程度の分解能で常時計測し、計測結果をステージ制御系90に供給する。ステージ制御系90では、例えばレチクルステージRSTのY方向の位置と投影光学系PLのY方向の位置との差分を求めることによって、投影光学系PLを基準としたレチクルステージRSTのY方向の位置を求めることができる。
なお、図4(A)のレチクルステージRSTのY方向の位置を計測する際に、図1の投影光学系PLの側面の固定鏡Mryで反射されたレーザビームを参照ビームとして使用し、その参照ビームとレトロリフレクタMYで反射された計測ビームとの干渉光をレーザ干渉計69Yで検出してもよい。これによって、レチクルステージRSTのY方向の位置を投影光学系PLを基準として直接計測できる。
本例では、前述の如く、X軸の固定鏡MXに入射する計測ビーム、及びY軸の移動鏡としてのレトロリフレクタMYに入射する計測ビームの光路のZ方向の位置は、それぞれ中立面CTの位置(レチクル面)にほぼ一致している。従って、いわゆるアッベ誤差が殆どなく、レチクルステージRST(レチクルR)のXY平面内の位置を精度良く計測することができる。
そして、図4(A)の前記4つの延設部24C1,24C2,24D1,24D2は、概略板状の形状を有し、各延設部には強度向上のための断面三角形状の補強部が設けられている。レチクルステージ本体22の底面には、延設部24C1から延設部24D1に至るY方向の全域に亘る第1の差動排気型の気体静圧軸受けが形成され、延設部24C2から延設部24D2に至るY方向の全域に亘る第2の差動排気型の気体静圧軸受けが形成されている。
即ち、レチクルステージ本体22の底面の延設部24C1から延設部24D1に至る領域、及び延設部24C2から延設部24D2に至る領域に、それぞれ図5に示すように、差動排気型のエアーパッド33A及び33Bが配置されている。エアーパッド33A及び33Bからレチクルベース16のガイド部16aの上面(ガイド面)GPに噴き付けられる加圧気体の静圧と、レチクルステージRST全体の自重とのバランスにより、その上面GPの上方に数μm程度のクリアランスを介して、レチクルステージRSTが非接触で浮上支持されている。
図2に戻り、前記枠状部材18の上面には、概略環状の凹溝18d,18eが二重に形成されている。このうちの内側の凹溝(以下、「給気溝」と呼ぶ)18dには、その内部に複数の給気口(不図示)が形成され、外側の凹溝(以下、「排気溝」と呼ぶ)18eには、複数の排気口(不図示)が形成されている。給気溝18dの内部に形成された給気口は、不図示の給気管路及び給気管を介してパージガスを供給する不図示のガス供給装置に接続されている。また、排気溝18eの内部に形成された排気口は、不図示の排気管路及び排気管を介して不図示の真空ポンプに接続されている。枠状部材18の上面の給気溝18d及び排気溝18eを含んで、実質的に、枠状部材18の上面に数μm程度のクリアランスを介して図1の照明系側プレート14を浮上支持する差動排気型の気体静圧軸受けが構成されている。
また、枠状部材18の底面にも、上面の給気溝18d及び排気溝18eに対応するように概略環状の凹溝からなる給気溝及び排気溝(不図示)が形成され、これらの給気溝及び排気溝もそれぞれ不図示のパージガス用のガス供給装置及び真空ポンプに接続されている。その給気溝及び排気溝を含んで、実質的に、レチクルベース16の上面に枠状部材18を数μm程度のクリアランスを介して浮上支持する差動排気型の気体静圧軸受けが構成されている。これらの場合、給気溝18d等から排気溝18e等に向かう気体の流れが生じているため、それらのクリアランスを介して枠状部材18の内部に外気が混入するのが効果的に阻止されている。
このように、図1の枠状部材18と照明系側プレート14との間のクリアランス、及びレチクルベース16と枠状部材18との間のクリアランスが前述のパージガスの流れによって気密化され、更に、投影光学系PLの上端部とレチクルベース16との間が前述のシール部材98により覆われている。従って、枠状部材18により囲まれた空間内は非常に気密度が高い空間となっている。以下、枠状部材18により囲まれた空間を、便宜上「気密空間」と呼ぶものとする。
本例の枠状部材18によって囲まれたレチクルRを含む気密空間内にも、露光光に対する透過率を高く維持するために、不図示のガス供給装置及び真空ポンプを介して露光光を透過する上述のパージガスが供給されている。そして、枠状部材18の+Y方向側の側壁の端部には、図3に示すように、矩形開口18aが形成され、この矩形開口18a内には窓ガラスg1が嵌め込まれている。更に、枠状部材18の−Y方向側の側壁の端部及び中央部には、矩形開口18b及び18cが形成され、矩形開口18b及び18c内にはそれぞれ窓ガラスg2及びg3が嵌め込まれている。図4(A)のレーザ干渉計の配置において、実際にはレーザ光源69XL及びレシーバ69XAは、図3の矩形開口18aの外側に配置され、レシーバ69XB及びレーザ干渉計69Yはそれぞれ図3の矩形開口18b及び18cの外側に配置されている。この場合、窓ガラスg1,g2,g3が設けられているため、枠状部材18内の気密空間の気密性を損なうことなく、レーザ干渉計によってレチクルステージRSTの位置を計測することができる。
次に、図2に示すように、レチクルステージ駆動系は、レチクルステージRSTをY方向に駆動するとともにθz方向(Z軸の回りの回転方向)に微小駆動する一対の第1駆動機構36,38と、レチクルステージRSTをX方向に微小駆動する第2駆動機構40とを備えている。図1のステージ制御系90が、上記のレーザ干渉計によって計測されるレチクルステージRSTのX方向、Y方向の位置XR,YR、及びZ軸の回りの回転角θzRの情報と、主制御装置70からの制御情報とに基づいて、それらの第1及び第2駆動機構の動作を制御する。前者の第1駆動機構36,38は、枠状部材18の内部に、Y方向に沿って互いに平行に架設され、後者の第2駆動機構40は、枠状部材18の内部に架設された第1駆動機構38の+X方向側に、Y方向に沿って架設されている。
前記一方の第1駆動機構36は、図3の分解斜視図に示すように、Y方向を長手方向とする一対のそれぞれコイルユニットが配置された固定子ユニット136A,136Bと、これらの固定子ユニット136A,136BをY方向(長手方向)の一端部と他端部とで保持する一対の固定部材152とを備えている。この場合、一対の固定部材152により、固定子ユニット136A,136Bは、Z方向(上下方向)に所定間隔をあけて相互に対向してかつXY平面にそれぞれ平行に保持されている。一対の固定部材152のそれぞれは、前述の枠状部材18の内壁面に固定されている。
前記固定子ユニット136A,136Bは、図3及び図1のレチクルステージ本体22付近の断面図である図5からも分かるように、断面矩形(長方形)の非磁性材料から成るフレームを有し、その内部には、Y方向に所定間隔で複数のコイルが配設されている。
前記+X方向側の第1駆動機構38も上記一方の第1駆動機構36と同様に構成されている。即ち、第1駆動機構38は、Y方向を長手方向とする上下一対のそれぞれコイルユニットが配置された固定子ユニット138A,138Bと、これらの固定子ユニット138A,138BをZ方向に所定間隔を維持した状態で両端部にて固定する一対の固定部材154とを備えている。一対の固定部材154のそれぞれは、前述の枠状部材18の内壁面に固定されている。固定子ユニット138A,138Bは、前述の固定子ユニット136A,136Bと同様に構成されている(図5参照)。
前記+X方向側の第1駆動機構38も上記一方の第1駆動機構36と同様に構成されている。即ち、第1駆動機構38は、Y方向を長手方向とする上下一対のそれぞれコイルユニットが配置された固定子ユニット138A,138Bと、これらの固定子ユニット138A,138BをZ方向に所定間隔を維持した状態で両端部にて固定する一対の固定部材154とを備えている。一対の固定部材154のそれぞれは、前述の枠状部材18の内壁面に固定されている。固定子ユニット138A,138Bは、前述の固定子ユニット136A,136Bと同様に構成されている(図5参照)。
また、上側の固定子ユニット136A,138Aと、下側の固定子ユニット136B,138Bとの間には、図5に示すように、それぞれ所定のクリアランスを介して、レチクルステージRSTが配設されている。この場合、固定子ユニット136A,136Bにそれぞれ対向して、レチクルステージRSTの上面、下面には、一対のそれぞれ磁石ユニット(磁極ユニット)が配置された可動子ユニット26A,26Bが埋め込まれ、固定子ユニット138A,138Bに対向して、レチクルステージRSTの上面、下面には、一対のそれぞれ磁石ユニットが配置された可動子ユニット28A,28Bが埋め込まれている。本例では、可動子ユニット26A,26B及び28A,28Bの磁石ユニットとして、それぞれZ方向に磁界を発生する複数の永久磁石を所定ピッチで極性を反転しながらY方向に配置したユニットが使用されているが、その永久磁石の代わりに電磁石等も使用することができる。
可動子ユニット26A,26Bのそれぞれは、図4(B)に示すように、前述のレチクルステージ本体22の板状部24Aの段付き開口22aの−X方向側に、レチクルステージ本体22の中立面CTに対して対称に上下面側にそれぞれ形成された凹部24e1,24e2内に配置されている。この場合、図5の固定子ユニット136A,136Bは、上記中立面CTを基準としてほぼ対称な位置に位置している。そして、一対の可動子ユニット26A,26Bは、磁性体部材と、この磁性体部材の表面にY方向に沿って所定間隔で配置された複数の磁石とを、それぞれ備えている。複数の磁石は、隣り合う磁石同士で逆極性とされている。従って、可動子ユニット26Aの上方の空間及び可動子ユニット26Bの下方の空間にはそれぞれY方向に沿って交番磁界が形成されている。
同様に、前記一対の可動子ユニット28A,28Bのそれぞれは、図4(B)に示すように、前述のレチクルステージ本体22の板状部24Aの段付き開口22aの+X方向側に、レチクルステージ本体22の中立面CTに関して対称に上下面側にそれぞれ形成された凹部24f1,24f2内に配置されている。また、一対の可動子ユニット28A,28Bは、段付き開口22aのX方向の中心位置(レチクルステージRSTの重心のX方向の位置とほぼ一致)を通るZ軸に平行な直線に関して、可動子ユニット26A,26Bとほぼ左右対称の配置となっている。また、図5の第1固定子ユニット138A,138Bは、中立面CTを基準としてほぼ対称な位置に位置している。一対の可動子ユニット28A,28Bの構成は、可動子ユニット26A,26Bと同様であり、可動子ユニット28Aの上方の空間及び可動子ユニット28Bの下方の空間にもそれぞれY方向に沿って交番磁界が形成されている。
本例では、上述した上側の固定子ユニット136A及び138Aと、レチクルステージ本体22側に対向して配置された可動子ユニット26A及び28Aとから、それぞれ図5に示すように第1のY軸リニアモータ76A及び第2のY軸リニアモータ78Aが構成されている。そして、下側の固定子ユニット136B及び138Bと、レチクルステージ本体22側の対応する可動子ユニット26B及び28Bとから、それぞれ図5に示すように第3のY軸リニアモータ76B及び第4のY軸リニアモータ78Bが構成されている。つまり、それぞれ1軸の駆動装置としての第1、第2、第3、及び第4のY軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bから上記の第1駆動機構36及び38が構成されている。本例の4軸のY軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bはそれぞれムービングマグネット型であり、広いストロークで移動する部材側には配線を接続する必要がないため、移動速度を高めることができる。
この場合、Y軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bでは、それぞれ固定子ユニット136A,138A,136B,138B(固定子)に対して相対的に可動子ユニット26A,28A,26B,28B(可動子)をY方向に駆動する推力を発生する。実際にはその推力の反作用によって固定子も可動子とは反対方向に僅かに移動する。そのため、本明細書では、相対的な移動量が多い方の部材を可動子又は可動子ユニットと呼び、相対的な移動量が少ない方の部材を固定子又は固定子ユニットと呼んでいる。
上述の通り、第1、第2、第3、及び第4のY軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bの固定子ユニット136A,138A,136B,138B(固定子)はそれぞれ図2の枠状部材18に連結され、可動子ユニット26A,28A,26B,28Bはそれぞれ図2の可動ステージとしてのレチクルステージRST(レチクルステージ本体22)に固定されている。また、第1及び第2のY軸リニアモータ76A及び78Aは、レチクルRを挟むようにほぼ対称にX方向に離れて配置されて、それぞれ枠状部材18に対して相対的にレチクルステージRSTをY方向に駆動する。また、第3及び第4のY軸リニアモータ76B及び78Bは、第1及び第2のY軸リニアモータ76A及び78Aに対向するように配置されて、それぞれ枠状部材18に対して相対的にレチクルステージRSTをY方向に駆動する。
また、本例では図2の第1駆動機構36,38が内側に固定された枠状部材18は、底面側のレチクルベース16及び上面側の照明系側プレート14との間で気体軸受けを介して非接触に支持されている。そのため、Y軸リニアモータ76A,78A,76B,78BによってレチクルステージRSTをY方向に駆動する際に、反力を相殺するように枠状部材18が逆方向に僅かに移動する。これによってレチクルステージRSTを駆動する際の振動の発生が抑制される。但し、レチクルステージRSTの質量に対して枠状部材18の質量はかなり大きいため、枠状部材18の移動量は僅かである。
本例では、通常は、図5において、−X方向側の第1及び第3のY軸リニアモータ76A及び76Bは、同期してY方向に同じ推力を発生するように駆動される。同様に、+X方向側の第2及び第4のY軸リニアモータ78A及び78Bも、同期してY方向に同じ推力を発生するように駆動される。そして、レチクルステージRST(レチクルR)をY方向に等速駆動するような場合には、第1及び第3のY軸リニアモータ76A,76Bと、第2及び第4のY軸リニアモータ78A,78Bとが更に同期してほぼ等しい推力で枠状部材18に対してレチクルステージRSTをY方向に駆動する。また、レチクルステージRSTの回転角θz(ヨーイング)を補正する必要のある場合には、第1及び第3のY軸リニアモータ76A,76Bが発生する推力と、第2及び第4のY軸リニアモータ78A,78Bが発生する推力との大きさの比が制御される。
本例の場合、図4(B)に示すように、レチクルステージRSTの中立面CTを基準として、可動子ユニット26A及び26B、並びに可動子ユニット28A及び28Bがそれぞれ対称に配置され、これらの可動子ユニットに対応する図5の固定子ユニット136A及び136B、並びに固定子ユニット138A及び138Bもそれぞれ中立面CTを基準として上下対称に配置されている。このため、固定子ユニット136A,136B,138A,138Bのコイルにそれぞれ対応する電流を供給して、互いに同一の駆動力を可動子ユニット26A,26B,28A,28Bに与えることによって、レチクルステージRSTの中立面CT(図4(B)参照)上の2箇所にY方向の駆動力(可動子ユニット26A,26Bの駆動力の合力、及び可動子ユニット28A,28Bの駆動力の合力)を作用させることができる。これにより、レチクルステージRSTにはピッチングモーメントが極力作用しないようになっている。
更に、可動子ユニット26A,26Bと、可動子ユニット28A,28Bとは、X方向に関しても、レチクルステージRSTの重心近傍位置に関してほぼ対称に配置されている。そのため、レチクルステージRSTの重心からX方向に等距離の2箇所で上記のY方向の駆動力が作用するので、この2箇所に同一の力を発生させることでレチクルステージRSTの重心位置近傍にY方向の駆動力の合力を作用させることが可能となっている。従って、例えばレチクルステージ本体22をY方向に直線的に駆動するような場合に、レチクルステージRSTにはヨーイングモーメントも極力作用しないようになっている。
次に、第2駆動機構40は、図3に示すように、Y方向を長手方向とする一対の固定子としての固定子ユニット140A,140Bと、これらの固定子ユニット140A,140BをY方向(長手方向)の一端部と他端部とで保持する一対の固定部材156とを備えている。この場合、一対の固定部材156により、固定子ユニット140A,140Bは、Z方向(上下方向)に所定間隔をあけて相互に対向してかつXY平面にそれぞれ平行に保持されている。一対の固定部材156のそれぞれは、前述の枠状部材18の内壁面に固定されている。
固定子ユニット140A,140Bは、図5からも分かるように、断面矩形(長方形)の非磁性材料から成るフレームを有し、その内部には、コイルが配置されている。固定子ユニット140A,140Bの間には、図5に示すように、それぞれ所定のクリアランスを介して、レチクルステージRSTの+X方向の端部に固定された可動子としての断面矩形(長方形)の板状のZ方向に磁界を発生する永久磁石30が配置されている。永久磁石30に代えて、磁性体部材とその上下面にそれぞれ固定された一対の平板状の永久磁石とから成る磁石ユニットを用いても良い。
この場合、永久磁石30及び固定子ユニット140A,140Bは、中立面CTを基準としてほぼ対称な形状及び配置となっている(図4(B)及び図5参照)。従って、永久磁石30によって形成されるZ方向の磁界と固定子ユニット140A,140Bをそれぞれ構成するコイルをY方向に流れる電流との間の電磁相互作用により、フレミングの左手の法則に従ってそのコイルにX方向の電磁力(ローレンツ力)が発生し、この電磁力の反力が永久磁石30(レチクルステージRST)をX方向に駆動する推力となる。また、この場合にも、レチクルステージRSTをX方向に駆動する際の反力を相殺するように、逆方向に枠状部材18が僅かに移動する。従って、レチクルステージRSTをX方向に駆動する際の振動の発生も抑制されている。
この場合、固定子ユニット140A,140Bをそれぞれ構成するコイルに同一の電流を供給することにより、レチクルステージRSTの中立面CT(図4(B)参照)上の位置にX方向の駆動力を作用させることができ、これにより、レチクルステージRSTにはローリングモーメントが極力作用しないようになっている。
上述のように、固定子ユニット140A,140Bと永久磁石30とにより、レチクルステージRSTをX方向に微小駆動可能なムービングマグネット型のX軸ボイスコイルモータ79が構成されている。この駆動装置としてのX軸ボイスコイルモータ79によって、第2駆動機構40が構成されている。
上述のように、固定子ユニット140A,140Bと永久磁石30とにより、レチクルステージRSTをX方向に微小駆動可能なムービングマグネット型のX軸ボイスコイルモータ79が構成されている。この駆動装置としてのX軸ボイスコイルモータ79によって、第2駆動機構40が構成されている。
この結果、図2の本例のレチクルステージRSTは、枠状部材18に対してガイドレス方式でX方向、Y方向、θz方向の3自由度で相対的に変位できるように支持されており、枠状部材18に対してレチクルステージRSTを相対的に駆動するために、Y方向に推力を発生する4軸のY軸リニアモータ76A,78A,76B,78BとX方向に推力を発生する1軸のX軸ボイスコイルモータ79とからなる5軸の駆動装置が設けられている。
本例では、更に、前述の枠状部材18の+X方向の側面及び+Y方向の側面には、図3に示すように、Z方向の磁界を形成する磁石ユニットを含む可動子60A,60B,60Cが設けられている。これらの可動子60A,60B,60Cに対応してレチクルベース16には、支持台64A,64B,64Cを介して、Y方向に電流を流すコイルを含む固定子62A,62B及びX方向に電流を流すコイルを含む固定子62Cが設けられている。従って、固定子62A,62B内のコイルにY方向の電流が供給されることにより、可動子60A,60BにはX方向への駆動力(ローレンツ力の反力)が作用することとなる。即ち、可動子60Aと固定子62Aとにより、及び可動子60Bと固定子62Bとにより、それぞれムービングマグネット型のボイスコイルモータから成るX方向駆動用のトリムモータが構成されている。また、固定子62C内のコイルにY方向の電流が供給されることにより、可動子60CにはX方向への駆動力(ローレンツ力の反力)が作用することとなる。即ち、可動子60Cと固定子62Cとによりムービングマグネット型のボイスコイルモータから成るY方向駆動用のトリムモータが構成されている。これら3つのトリムモータを用いることにより、レチクルベース16に対して枠状部材18をX方向、Y方向、及びθz方向の3自由度方向に駆動することが可能である。
上述のようにレチクルステージRSTをX方向、Y方向、θz方向に駆動する際には、その作用を相殺するように枠状部材18が僅かに移動するため、枠状部材18のXY平面内の位置が次第にずれる恐れがある。そこで、可動子60A〜60C及び固定子62A〜62Cよりなるトリムモータを用いて、例えば定期的に枠状部材18の位置を中央に戻すことで、枠状部材18の位置がレチクルベース16から外れることが防止できる。
次に、本例の図4(A)の第1及び第2光学系31,32を含むレーザ干渉計の構成例、及びその光学系31及び32の温度を安定化するための機構につき詳細に説明する。
図6は、図4(A)のレチクルステージRSTを図1のレチクルベース16上に載置した状態を示す要部の平面図であり、この図6において、レチクルステージRST(レチクルステージ本体22)の−X方向の端部のY方向に離れた光学部材支持部24B1及び24B2上にそれぞれ光学系31及び32が固定されている。前者の第1光学系31は、ハーフミラー面31aと、偏光ビームスプリッター面31bと、1/4波長板が設けられた入射出面31cと、全反射面31dとを備える5角形のプリズム体であり、後者の第2光学系32は、全反射面32aと、偏光ビームスプリッター面32bと、1/4波長板が設けられた入射出面32cと、全反射面32dとを備える5角形のプリズム体である。また、第1光学系31に対して+Y方向に窓ガラスg1を隔ててレーザ光源69XLと第1レシーバ69XAとが配置され、第2光学系32に対して−Y方向に窓ガラスg2を隔てて第2レシーバ69XBが配置されている。更に、光学系31及び32に−X方向に対向するように、レチクルベース16上にY軸に平行に固定鏡MXが配置されている。
図6は、図4(A)のレチクルステージRSTを図1のレチクルベース16上に載置した状態を示す要部の平面図であり、この図6において、レチクルステージRST(レチクルステージ本体22)の−X方向の端部のY方向に離れた光学部材支持部24B1及び24B2上にそれぞれ光学系31及び32が固定されている。前者の第1光学系31は、ハーフミラー面31aと、偏光ビームスプリッター面31bと、1/4波長板が設けられた入射出面31cと、全反射面31dとを備える5角形のプリズム体であり、後者の第2光学系32は、全反射面32aと、偏光ビームスプリッター面32bと、1/4波長板が設けられた入射出面32cと、全反射面32dとを備える5角形のプリズム体である。また、第1光学系31に対して+Y方向に窓ガラスg1を隔ててレーザ光源69XLと第1レシーバ69XAとが配置され、第2光学系32に対して−Y方向に窓ガラスg2を隔てて第2レシーバ69XBが配置されている。更に、光学系31及び32に−X方向に対向するように、レチクルベース16上にY軸に平行に固定鏡MXが配置されている。
この構成において、レーザ光源69XLからY軸に平行に射出されたレーザビームLX(上記のように所定周波数差を持ち偏光方向が直交する2つの成分よりなる)は、第1光学系31のハーフミラー面31aにて反射光である第1レーザビームと透過光である第2レーザビームとに分割され、前者の第1レーザビームは偏光ビームスプリッター面31bに向かい、後者の第2レーザビームは第2光学系32に向かう。その第1レーザビームのS偏光成分は、偏光ビームスプリッター面31bにて第1参照ビームLX2として第1レシーバ69XA側に反射される。また、その第1レーザビームのP偏光成分は、偏光ビームスプリッター面31bを第1計測ビームLX1として透過した後、入射出面31c(1/4波長板)を経てX軸に平行に固定鏡MXの反射面に入射する。そこで反射された第1計測ビームLX1は、入射出面31c、偏光ビームスプリッター面31b、全反射面31d、及び入射出面31cを経て再びX軸に平行に固定鏡MXの反射面に入射する。そこで再び反射された第1計測ビームLX1は、入射出面31c及び全反射面31dを経てP偏光となって偏光ビームスプリッター面31bを透過した後、上記の第1参照ビームLX2と同軸に合成されてレシーバ69XAに入射する。この際に、第1光学系31の射出面又はレシーバ69XAの入射面等に1/4波長板を設置しておくことによって、レシーバ69XAでは第1計測ビームLX1と第1参照ビームLX2との干渉光(ビート光)を検出できる。従って、その光電変換信号から上述のようにダブルパス干渉方式で、固定鏡MXに対する第1光学系31(偏光ビームスプリッター面31b)のX方向の位置(変位)を例えば分解能0.1〜1nm程度で計測できる。
一方、上記の第2レーザビームは、第2光学系32の全反射面32aで−X方向に反射される。その第2レーザビームのS偏光成分は、偏光ビームスプリッター面32bにて第2参照ビームLX4として第2レシーバ69XB側に反射される。また、その第2レーザビームのP偏光成分は、偏光ビームスプリッター面32bを第2計測ビームLX3として透過した後、入射出面32c(1/4波長板)を経てX軸に平行に固定鏡MXの反射面に入射する。そこで反射された第2計測ビームLX3は、入射出面32c、偏光ビームスプリッター面32b、全反射面32d、及び入射出面32cを経て再びX軸に平行に固定鏡MXの反射面に入射する。そこで再び反射された第2計測ビームLX3は、入射出面32c及び全反射面32dを経てP偏光となって偏光ビームスプリッター面32bを透過した後、上記の第2参照ビームLX4と同軸に合成されてレシーバ69XBに入射する。この際に、第2光学系32の射出面又はレシーバ69XBの入射面等に1/4波長板を設置しておくことによって、レシーバ69XBでは第2計測ビームLX3と第2参照ビームLX4との干渉光(ビート光)を検出できる。従って、その光電変換信号から上述のようにダブルパス干渉方式で、固定鏡MXに対する第2光学系32(偏光ビームスプリッター面32b)のX方向の位置(変位)を例えば分解能0.1〜1nm程度で計測できる。これによってレーザ干渉計方式で、レチクルステージRST(レチクルステージ本体22)のY方向に離れた2箇所の位置で、レチクルベース16に対するX方向の位置(変位)を高精度に計測することができる。
また、図6において、Y軸のレーザ干渉計69Yは、内部で生成される参照ビームとレトロリフレクタMYに照射される計測ビームLYとの干渉光を検出している。しかしながら、別の構成として図6に2点鎖線で示すように、レチクルベース16上に2つの偏光ビームスプリッター面37a,37bを持つ光学部材37を固定して、光学部材37によって参照ビーム(S偏光成分)とレトロリフレクタMYに向かう計測ビームLY(P偏光成分)とを分離してもよい。このようにレチクルベース16上の光学部材37を用いることによって、レチクルベース16を基準としてレチクルステージRSTのY方向の位置を計測することができる。更に、レーザ干渉計69Yもダブルパス方式とすることができる。
走査露光時に、本例のレチクルステージRST(可動ステージ)は、レチクルRを保持した状態でレチクルベース16上を固定鏡MXに沿ってほぼ往復運動を行うように、交互に+Y方向及び−Y方向に走査される。そのため、レーザ干渉計の光学系31,32(光学部材)が設けられた光学部材支持部24B1,24B2(特定部分)の移動軌跡も、ほぼその固定鏡MXに沿ったY方向に細長い領域となる。また、図5に示すように、レチクルステージRST内で光学系31,32が設けられた光学部材支持部24B1,24B2に一体的に連結された板状部24Aを上下に非接触に挟むように、発熱源としてのY軸リニアモータ76A,76Bのコイルを含む固定子ユニット136A,136B(固定子)が配置されている。そのため、温度安定化対策を施すことなく走査露光を継続すると、固定子ユニット136A,136Bのコイルからの放射熱が、板状部24Aを経て光学部材支持部24B1,24B2に伝わって、光学部材支持部24B1,24B2及びこの上の光学系31,32の温度が次第に上昇する。その結果として、図6の光学系31,32のガラスの屈折率変動や、偏光ビームスプリッター面31b,32bの位置変動等が生じると、レチクルステージRSTのX方向の位置、及びZ軸の回りの回転角の計測値に誤差が生じる恐れがある。
このような計測値の誤差を抑制するために、本例では図5に示すように、光学部材支持部24B1,24B2の底面側のレチクルベース16の上面に、熱伝導部材としてのY方向に細長く断面形状がほぼ矩形のロッド部材27が、例えばねじ止め(図6参照)によって固定されている。ロッド部材27の上面の両端部には、ねじ止め用の段差部が形成されており、ロッド部材27の内部にはY方向に沿って冷媒CHを供給するための流路27aが形成されている。ロッド部材27の材料としては、比較的熱伝導率の高い材料、例えばアルミニウム、黄銅、若しくは銅等の金属、熱伝導率の高いセラミックス、又は炭素繊維等を含む複合材料などが使用できる。また、冷媒CHとしては、水又はフッ素系不活性液体などが使用できる。フッ素系不活性液体としては、例えばハイドロフロロエーテル(HFE)又はフロリナート(米国スリーエム社の商品名)などが使用できる。なお、環境を考慮すると、冷媒CHとしては水又はハイドロフロロエーテル(HFE)などが好ましい。
図5において、ロッド部材27の上面と光学部材支持部24B1,24B2(特定部分)の底面とは、薄い気体層35を隔てて非接触で対向している。気体層35の厚さ(所定ギャップ)は、ロッド部材27の温度に追従して光学部材支持部24B1,24B2の温度が変化する程度に熱抵抗が小さいと見なせる厚さ、例えば100μm程度以下に設定されることが望ましい。
また、図6に示すように、ロッド部材27は、光学部材支持部24B1,24B2(特定部分)の移動軌跡にほぼ合致するようにY方向(レチクルステージRSTの走査方向)に沿って配置されている。そして、外部の冷媒供給装置45から供給配管44Aを介してロッド部材27内の流路27a(図5参照)に冷媒が供給され、その流路27a内を流れた冷媒は、排出配管44Bを介して冷媒供給装置45に回収される。冷媒供給装置45は、一例として排出配管44B側から冷媒貯蔵部、温度制御部、及び排出ポンプ部等を備えている。更に、供給配管44A内及び光学部材支持部24B2上にそれぞれ温度センサ46A及び46Bが設置され、光学部材支持部24B1上にも温度センサ(不図示)が設置されている。これらの温度センサ46A,46B等の計測値に基づいてコンピュータよりなる制御部47が、走査露光中に光学部材支持部24B1,24B2の温度がほぼ露光開始前の温度付近に安定に維持されるように、冷媒供給装置45からロッド部材27内に供給される冷媒の温度及び流量を制御する。即ち、配管44A,44B、温度センサ46A,46B等、冷媒供給装置45、及び制御部47から、ロッド部材27(熱伝導部材)の温度を制御するための温度制御装置が構成されている。
このように本例によれば、走査露光中にY軸リニアモータ76A,78A,76B,78B、及びX軸ボイスコイルモータ79からの発熱が生じても、光学部材支持部24B1,24B2の温度、ひいてはその上の光学系31及び32の温度がほぼ露光開始前の温度に安定に維持される。従って、レチクルステージRSTのX方向の位置及びZ軸の回りの回転角をレーザ干渉計方式で常時高精度に計測することができる。なお、本例においては、光学部材支持部24B1,24B2が温度制御されたロッド部材27と対向するように配置され、光学系31,32は光学部材支持部24B1,24B2を介して温調される構成としたが、光学系31,32をレチクルステージ本体22の−X方向側面に固設し、光学系31,32が直接ロッド部材27と対向するように配置してもよい。この場合、より効率的に光学系31,32の温度を安定的に維持することができる。
更に、本例では図5に示すように、レチクルステージRST(レチクルステージ本体22)の気体静圧軸受け用のエアーパッド33A,33BはレチクルRの近傍に配置され、その外側にY軸リニアモータ76A,78A,76B,78Bが配置されている。そのため、レチクルステージRSTをY方向に駆動する際に、レチクルステージ本体22に設けられた可動子ユニット26A,28A,26B,28Bが重りとなって、エアーパッド33A,33B起因の比較的低周波域の振動モードが残存する恐れがある。これに対して、本例ではロッド部材27(熱伝導部材)及びスクイーズダンパとして作用できる気体層35は、レチクルR(物体)から見てレチクルステージRSTをY方向に駆動するためのY軸リニアモータ76A,76Bの可動子ユニット26A,26B及び固定子ユニット136A,136Bよりも外側に配置されている。従って、レチクルステージRSTをY方向に駆動する際に、気体層35のダンピング効果によってエアーパッド33A,33B起因の振動モードが減衰するため、レチクルステージRSTをY方向により安定に駆動することができる。
この場合、気体層35が薄い方がダンピング効果が高くなるが、気体層35の厚さが10〜20μm程度であれば、特に有効にダンピング効果を得ることができる。但し、光学部材支持部24B1,24B2とロッド部材27とが接触しない範囲であれば、気体層35の厚さは0〜20μm程度に設定しても特に有効にダンピング効果を得ることができる。
図1に戻り、前記投影光学系PLとしては、両側テレセントリックで屈折系又は反射屈折系よりなる投影倍率が1/4又は1/5等の縮小系が用いられている。走査露光中には、露光光ILのもとで、レチクルR(物体又は第1物体)の照明領域IAR内のパターンの投影光学系PLを介した縮小像は、投影光学系PLの物体面上に配置されたウエハW(第2物体)上の一つのショット領域のレジスト層上の細長い露光領域IA上に転写される。被露光基板としてのウエハWは、半導体(シリコン等)又はSOI(silicon on insulator)等の直径が例えば150〜300mmの円板状の基板である。
投影光学系PLは、鏡筒部に設けられたフランジ部FLGを介して、不図示の保持部材によって保持されている。また、投影光学系PLの鏡筒には、給気管50の一端と、排気管51の一端とがそれぞれ接続されている。給気管50の他端は、不図示のパージガスの供給装置に接続され、排気管51の他端は、外部のガス回収装置に接続されている。そして、給気管51から投影光学系PLの光学素子間の光路上に露光光ILを透過するパージガスがフロー方式で供給されている。
次に、ウエハステージWSTは、ウエハ室80内に配置されている。このウエハ室80は、天井部の略中央部に投影光学系PLの下端部を通すための円形開口71aが形成された隔壁71で覆われている。この隔壁71は、ステンレス(SUS)等の脱ガスの少ない材料で形成されている。また、隔壁71の天井壁の開口71aの周囲と投影光学系PLのフランジ部FLGとの間は、フレキシブルベローズ97により隙間なく密閉されている。このようにして、ウエハ室80の内部が外部と隔離されている。
ウエハ室80内には、定盤よりなるウエハベースBSが、複数の防振ユニット86を介してほぼ水平に支持されている。ウエハステージWSTは、ウエハホルダ25を介してウエハWを真空吸着等により保持し、例えばリニアモータ等を含む不図示のウエハ駆動系によってウエハベースBSの上面に沿ってXY2次元方向に駆動される。ウエハ室80の隔壁71には、図1に示すように、給気管41の一端と、排気管43の一端とがそれぞれ接続されている。給気管41の他端は、不図示のパージガスの供給装置に接続され、排気管43の他端は、外部のガス回収装置に接続されている。そして、前述と同様にして、ウエハ室80内にパージガスが常時フロー方式で供給されている。
ウエハ室80の隔壁71の−Y方向側の側壁には光透過窓85が設けられている。これと同様に、図示は省略されているが、隔壁71の+X方向側の側壁にも光透過窓が設けられている。また、ウエハホルダ25の−Y方向側の端部には、平面鏡から成るY軸移動鏡56YがX方向に延設されている。同様に、図示は省略されているが、ウエハホルダ25の+X方向側の端部には、平面鏡から成るX軸移動鏡がY方向に延設されている。そして、ウエハ室80の外部のY軸レーザ干渉計57Y及びX軸レーザ干渉計(不図示)からの測長ビームが、それぞれ光透過窓85及び不図示の透過窓を介してY軸移動鏡56Y及び不図示のX軸移動鏡に照射されている。Y軸レーザ干渉計57Y及びX軸レーザ干渉計は、それぞれ例えば内部の参照鏡を基準として対応する移動鏡の位置及び回転角、即ちウエハWのX方向、Y方向の位置、及びX軸、Y軸、Z軸の回りの回転角を計測する。Y軸レーザ干渉計57Y及びX軸レーザ干渉計の計測値は、ステージ制御系90及び主制御装置70に供給され、ステージ制御系90は、その計測値及び主制御装置70からの制御情報に基づいて、不図示の駆動系を介してウエハステージWSTの位置及び速度を制御する。
次に、上述のようにして構成された投影露光装置10による基本的な露光動作の流れについて簡単に説明する。
先ず、主制御装置70の管理の下、不図示のレチクルローダ、ウエハローダによって、レチクルロード、ウエハロードが行なわれる。その後、レチクルアライメント系、ウエハステージWST上の基準マーク板、オフアクシス・アライメント検出系(いずれも図示省略)等を用いて、レチクルアライメント及びウエハアライメントが実行される。次に、先ず、ウエハWの位置が、ウエハW上の最初のショット領域(ファースト・ショット)の露光のための走査開始位置となるように、ウエハステージWSTが移動される。同時に、レチクルRの位置が走査開始位置となるように、レチクルステージRSTが移動される。そして、主制御装置70からの指示により、ステージ制御系90がレチクル側のレーザ干渉計69Y,69YR等によって計測されたレチクルRの位置情報、及びウエハ側のY軸レーザ干渉計57Y及びX軸レーザ干渉計によって計測されたウエハWの位置情報に基づき、レチクルR(レチクルステージRST)とウエハW(ウエハステージWST)とをY方向(走査方向)に同期移動させて、露光光ILを照射することにより、ファースト・ショットへの走査露光が行なわれる。続いて、ウエハステージWSTが非走査方向(X方向)又はY方向に1ショット領域分だけステップ移動した後、次のショット領域に対する走査露光が行なわれる。このようにして、ショット間のステップ移動と走査露光とが順次繰り返されて、ウエハW上の各ショット領域にレチクルRのパターンが転写される。
先ず、主制御装置70の管理の下、不図示のレチクルローダ、ウエハローダによって、レチクルロード、ウエハロードが行なわれる。その後、レチクルアライメント系、ウエハステージWST上の基準マーク板、オフアクシス・アライメント検出系(いずれも図示省略)等を用いて、レチクルアライメント及びウエハアライメントが実行される。次に、先ず、ウエハWの位置が、ウエハW上の最初のショット領域(ファースト・ショット)の露光のための走査開始位置となるように、ウエハステージWSTが移動される。同時に、レチクルRの位置が走査開始位置となるように、レチクルステージRSTが移動される。そして、主制御装置70からの指示により、ステージ制御系90がレチクル側のレーザ干渉計69Y,69YR等によって計測されたレチクルRの位置情報、及びウエハ側のY軸レーザ干渉計57Y及びX軸レーザ干渉計によって計測されたウエハWの位置情報に基づき、レチクルR(レチクルステージRST)とウエハW(ウエハステージWST)とをY方向(走査方向)に同期移動させて、露光光ILを照射することにより、ファースト・ショットへの走査露光が行なわれる。続いて、ウエハステージWSTが非走査方向(X方向)又はY方向に1ショット領域分だけステップ移動した後、次のショット領域に対する走査露光が行なわれる。このようにして、ショット間のステップ移動と走査露光とが順次繰り返されて、ウエハW上の各ショット領域にレチクルRのパターンが転写される。
本例によれば、レチクルステージRSTのレーザ干渉計用の光学系31,32を保持する光学部材支持部24B1,24B2の温度を温度制御されたロッド部材27を介して安定化しているため(図5参照)、レチクルステージRST(レチクルR)の位置計測精度が向上している。しかも、レチクルステージRST自体の構造は複雑化しないと共に、レチクルステージRST自体では冷媒用の配管を引き回す必要がないため、レチクルステージRSTを高速に、且つ安定に駆動することができる。また、ロッド部材27上の気体層35のダンピング効果によって、レチクルステージRSTをY方向に更に安定に駆動することができる。従って、露光後の重ね合わせ精度や解像度等の露光精度も向上する。
なお、上記の実施形態では、ロッド部材27(熱伝導部材)用の温度制御装置は、冷媒を用いているが、その代わりに、ペルティエ素子等の吸発熱素子等を用いてロッド部材27の温度を制御する温度制御装置を用いてもよい。また、冷媒を用いる場合、ロッド部材27の代わりに、冷媒を供給するための断面が矩形又は円形等の配管自体を用いてもよい。また、ロッド部材27等の熱伝導部材の形状は、ロッド状以外に例えば図2のレチクルベース16のガイド部材16a(ガイド面)を囲むようなU字型又は枠型などの種々の形状が考えられる。更に、そのように熱伝導部材の温度を制御するのと併用して、図5のY軸リニアモータ76A,76Bの固定子ユニット136A,136B中のコイルを冷却するための冷媒を流す流路(配管等)を設けてもよい。本例の固定子ユニット136A,136Bは移動量が少ないため、配管の引き回しの影響は小さいからである。これによって、レチクルステージRSTの温度制御精度を更に向上できる。
次に、本発明の第2の実施形態につき図7(A)を参照して説明する。図7(A)において、図5に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図7(A)は、本例の投影露光装置のレチクルステージ系の要部を示す断面図であり、この図7(A)において、レチクルステージRSTの板状部24Aの上面にレチクルRをX方向に挟むように1対の枠状のヨーク部材52A及び53Aが固定され、ヨーク部材52A及び53A内に対向するように配置された磁石を含み交番磁界を発生する可動子ユニット54A及び55Aが配置されている。そして、可動子ユニット54A及び55Aの間に非接触でY方向に沿ってコイルを含む固定子ユニット136A及び138Aが配置されている。
図7(A)は、本例の投影露光装置のレチクルステージ系の要部を示す断面図であり、この図7(A)において、レチクルステージRSTの板状部24Aの上面にレチクルRをX方向に挟むように1対の枠状のヨーク部材52A及び53Aが固定され、ヨーク部材52A及び53A内に対向するように配置された磁石を含み交番磁界を発生する可動子ユニット54A及び55Aが配置されている。そして、可動子ユニット54A及び55Aの間に非接触でY方向に沿ってコイルを含む固定子ユニット136A及び138Aが配置されている。
また、板状部24Aの上面側と対称にその下面に1対のヨーク部材52B及び53Bが固定され、ヨーク部材52B及び53B内に可動子ユニット54B及び55Bが配置されている。そして、可動子ユニット54B及び55Bの間に非接触でY方向に沿って固定子ユニット136B及び138Bが配置されている。固定子ユニット136A,136B,138A,138Bはそれぞれ図2の枠状部材18に対応する部材に固定されている。本例では、可動子ユニット54A,55A,54B,55Bと固定子ユニット136A,138A,136B,138Bとから、レチクルベース16に対してレチクルステージRSTをY方向に駆動するための4軸のムービングマグネット型のY軸のリニアモータが構成されている。これ以外の構成は、第1の実施の形態と同様であり、本例でも、光学系32を保持する光学部材支持部24B2等の温度は、冷媒が供給されている熱伝導部材としてのロッド部材27によって安定化されている。従って、それら4軸のY軸のリニアモータからの発熱が生じても、レチクルステージRSTの位置を高精度に計測できる。
次に、本発明の第3の実施形態につき図7(B)を参照して説明する。図7(B)において、図7(A)に対応する部分には同一符号を付してその詳細説明を省略する。
図7(B)は、本例の投影露光装置のレチクルステージ系の要部を示す断面図であり、この図7(B)において、レチクルステージRSTの板状部24Aの−X方向の端部にY方向に細長い平板状の光学部材支持部24Bが例えば一体形成によって突設され、光学部材支持部24B上にY方向に細長いロッド状のX軸の移動鏡MX1が固定されている。そして、移動鏡MX1のYZ平面にほぼ平行な−X方向の反射面に対向するように、X軸のレーザ干渉計69Xが配置されている。本例では、レーザ干渉計69XからX軸の移動鏡MX1の反射面に計測ビームを照射することによって、例えばレーザ干渉計69X内の参照面又は図1の投影光学系PLの側面の固定鏡等を基準としてレチクルステージRSTのX方向の位置を計測する。この場合、レチクルステージRSTのZ軸の回りの回転角を計測するために、図4(A)において、Y軸の移動鏡としての第1のレトロリフレクタMYに対してX方向に所定間隔で、板状部24Aの端部に第2のレトロリフレクタ(不図示)を配置し、第2のY軸のレーザ干渉計(不図示)を用いてその第2のレトロリフレクタのY方向の位置を計測してもよい。
図7(B)は、本例の投影露光装置のレチクルステージ系の要部を示す断面図であり、この図7(B)において、レチクルステージRSTの板状部24Aの−X方向の端部にY方向に細長い平板状の光学部材支持部24Bが例えば一体形成によって突設され、光学部材支持部24B上にY方向に細長いロッド状のX軸の移動鏡MX1が固定されている。そして、移動鏡MX1のYZ平面にほぼ平行な−X方向の反射面に対向するように、X軸のレーザ干渉計69Xが配置されている。本例では、レーザ干渉計69XからX軸の移動鏡MX1の反射面に計測ビームを照射することによって、例えばレーザ干渉計69X内の参照面又は図1の投影光学系PLの側面の固定鏡等を基準としてレチクルステージRSTのX方向の位置を計測する。この場合、レチクルステージRSTのZ軸の回りの回転角を計測するために、図4(A)において、Y軸の移動鏡としての第1のレトロリフレクタMYに対してX方向に所定間隔で、板状部24Aの端部に第2のレトロリフレクタ(不図示)を配置し、第2のY軸のレーザ干渉計(不図示)を用いてその第2のレトロリフレクタのY方向の位置を計測してもよい。
図7(B)において、本例でも光学部材支持部24Bの底面側のレチクルベース16上にロッド部材27が設置され、ロッド部材27内に温度制御された冷媒CHが供給されている。これによって、気体層35を介して光学部材支持部24Bの温度、ひいてはX軸の移動鏡MX1の温度が安定化されるため、レチクルステージRSTのX方向の位置を高精度に計測することができる。本例では、移動鏡MX1によってレチクルステージRSTの重量は重くなる傾向があるが、例えば第1の実施形態に比べてレチクルステージRSTの構成は単純化できる。
なお、移動鏡MX1を軽量化するために、移動鏡MX1の内部に開口を設けてもよく、例えば光学部材支持部24Bの側面を鏡面加工して、その側面を移動鏡MX1の代わりに用いても良い。
また、本発明は、投影露光装置のレチクルステージ系のみならず、ウエハステージ系にも適用することができる。
また、本発明は、投影露光装置のレチクルステージ系のみならず、ウエハステージ系にも適用することができる。
なお、上記の実施形態の露光装置を用いて半導体デバイスを製造する場合、半導体デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、このステップに基づいてレチクルを製造するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の投影露光装置によりレチクルのパターンをウエハに露光するステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、及び検査ステップ等を経て製造される。
また、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み光学調整をすると共に、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより上記の実施形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
なお、本発明は、走査露光型の露光装置のステージ系のみならず、一括露光型の露光装置のステージ系や半導体検査装置等のステージ系にも同様に適用することができる。これらの場合の投影光学系の倍率は等倍でもよく、拡大倍率でもよい。更に本発明は、投影光学系を使用しないプロキシミティ方式等の露光装置のステージ系にも適用することができる。また、例えば国際公開第99/49504号パンフレットなどに開示される液浸型露光装置のステージ系にも本発明を適用することができる。更に、例えば国際公開第98/24115号、及び第98/40791号パンフレットなどに開示されるように、露光動作とアライメント動作(マーク検出動作)とをほぼ並行して行うために、前述のウエハステージ系が2つのウエハステージを備える露光装置にも本発明を適用することができる。
これらの場合、ウエハステージ系やレチクルステージ系にリニアモータを用いる場合は、エアーベアリングを用いたエアー浮上型、又は磁気浮上型等の何れの方式で可動ステージを保持してもよい。そして、可動ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもよいし、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。更に、ウエハステージ、又はレチクルステージのステップ移動時や走査露光時等の加減速時に発生する反力は、それぞれ例えば米国特許(USP)第5,528,118号、又は米国特許(USP)第6,020,710号(特開平8−33022号公報)に開示されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
なお、上記の実施形態の露光装置の用途としては、半導体素子製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン、薄膜磁気ヘッド、又はDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのレチクルパターンが形成されたレチクル(フォトマスク等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。また、明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約を含む2003年10月8日付け提出の日本国特願2003−349085の全ての開示内容は、そっくりそのまま引用して本願に組み込まれている。
本発明を露光装置に適用した場合には、第1物体又は第2物体を駆動する可動ステージを殆ど複雑化することなく、その可動ステージの位置計測精度等を向上できるため、スループットを殆ど低下させることなく、重ね合わせ精度等の露光精度を向上できる。その結果、各種デバイスを高精度に量産することができる。
Claims (9)
- 物体を駆動するステージ装置において、
前記物体を保持してガイド面に沿って移動可能な可動ステージと、
前記可動ステージの特定部分に取り付けられた光学部材と、
前記光学部材の移動軌跡に沿って設けられ、前記特定部分と前記光学部材との少なくとも一方に対して所定ギャップを隔てて配置された熱伝導部材と、
前記熱伝導部材の少なくとも一部の温度を制御することにより前記特定部分の温度を制御する温度制御装置とを有することを特徴とするステージ装置。 - 前記温度制御装置は、前記熱伝導部材の内部又は表面に沿って配置された流路部と、前記流路部に温度制御された冷媒を供給する冷媒供給装置とを有することを特徴とする請求項1に記載のステージ装置。
- 前記可動ステージは、前記ガイド面に沿って実質的に一定の軌道上で往復運動を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のステージ装置。
- 前記光学部材は、前記可動ステージの位置を計測するための干渉計の一部を構成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のステージ装置。
- 前記光学部材は、計測用の光ビームを反射する移動鏡であることを特徴とする請求項4に記載のステージ装置。
- 前記可動ステージから離れて配置された基準鏡を更に有し、
前記可動ステージに取り付けられた前記光学部材は、計測用の光ビームを前記基準鏡に向けて反射する反射部材を含むことを特徴とする請求項4に記載のステージ装置。 - 前記可動ステージを駆動するリニアモータを更に有し、
前記熱伝導部材の前記温度制御装置によって温度制御される部分は、前記物体から見て前記リニアモータよりも外側に配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のステージ装置。 - 前記所定ギャップは、0から20μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のステージ装置。
- 第1物体を露光ビームで照明し、前記露光ビームで前記第1物体及び投影系を介して第2物体を露光する露光装置において、
請求項1〜8のいずれか一項に記載のステージ装置を備え、
前記第1物体及び前記第2物体の少なくとも一方を前記ステージ装置で駆動することを特徴とする露光装置。
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