JPWO2005019499A1 - 金属変質層の除去液及び金属変質層の除去方法 - Google Patents

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Abstract

フッ化水素、有機溶媒及び水を含み、フッ化水素:有機溶媒:水の重量比が0.001〜10重量%:70〜99.998重量%:0.001〜20重量%である、導電性金属上に形成された金属変質層を除去するための除去液。

Description

本発明は、半導体又は液晶パネルの製造プロセスにおいて生じる金属変質層を選択的に除去するための除去液及び金属変質層を除去する方法に関する。
ここで、「金属変質層」とは、金属酸化物、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた金属酸化物を含む被膜や層を意味する。
IC、LSI等の半導体素子素子は、基板上に形成されたアルミニウム(Al)、銅(Cu)、Al−Cu合金等の導電性金属膜、シリコン酸化膜等の絶縁膜等の上にフォトレジストを均一に塗布し;リソグラフィー技術によりレジストパターンを形成し;導電性金属膜、絶縁膜等を選択的にドライエッチングし;残存するレジストをアッシング、ポリマー剥離液等により除去して製造される。
以前は、配線材料としてAl、Al合金等の導電性金属を用い、層間絶縁膜として酸化ケイ素、酸化ケイ素にホウ素やリンをドープしたシリコン酸化膜(以下、「SiO膜」ということがある。)を使用する、Al/SiO多層配線構造の半導体デバイスが主に製作されてきた。
また、現在では、デバイスの微細化に伴う配線遅延(wire delay)を低減するために、配線材料として抵抗値の低いCu等の導電性金属を用い、SiO膜の代わりに、層間絶縁膜として配線間容量の小さいLow−k膜(低誘電率膜)を用いるCu/Low−k多層配線構造が開発されている。
Al/SiO多層配線構造では、加工するウェハーに対して水平方向の電流を供給するための配線層と、各配線層間を接続する垂直方向の穴型の配線であるビア層とを別々に形成する。配線層は、メタルドライエッチングにより凸型のAl等の金属配線を加工し、その配線の周囲をSiO膜等の層間絶縁膜で埋め込むことにより形成される。ビア層は、その層間絶縁膜を堆積した後に、ドライエッチングにより穴(ビアホール)を加工し、Alやタングステン(W)等の金属を埋め込むことにより形成する。
Al/SiO多層配線構造では、配線層を形成するためのメタルドライエッチングやビアホール加工のためのSiOドライエッチングの後に、レジスト、ドライエッチング残渣等の不要物を除去するために、酸素を含んだプラズマにより灰化(アッシング)を行う。
その結果、大気中に存在する酸素により自然に形成される金属酸化物被膜だけでなく、ドライエッチングやアッシングにより損傷を受けて形成された金属酸化物被膜を含む金属変質層が形成される。
ビアホール内に金属を埋め込む際に、埋め込む金属層と下層部にある配線層との間(接点)に金属変質層が存在すると、抵抗が大きくなり半導体デバイスの不良の原因となる。従って、このような金属変質層を、選択的に取り除くことが強く望まれる。その際には、金属変質層を除去するための薬液によるAlの腐食及びSiO膜のエッチングを抑制する必要がある。
一方、Cu/Low−k多層配線構造を形成する方法としては、ダマシン法(シングルダマシン法)及びデュアルダマシン法という2つの方法が知られている。ダマシン法は、まず、Low−k膜にドライエッチングにより溝(トレンチ)や穴(ビアホール)を加工し、その加工部分にCu等の配線材料を埋め込むことにより配線構造を形成する方法である。
デュアルダマシン法では、Low−k膜に、配線のためのトレンチ及びビアホールを同時に形成し、その後、Cu等の配線材料を埋め込む。デュアルダマシン構造は、ビアホールを形成した後にトレンチを形成するビアファーストプロセス、これとは逆に、トレンチを形成した後にビアホールを形成するトレンチファーストプロセス、その他、ミドルファーストプロセス、デュアルハードマスクプロセス等により形成される。
埋め込み材は、主にデュアルダマシンのプロセスやリソグラフィー等、一部のプロセスのやり直し(リワーク)の際に使用することが多い。例えば、ビアファーストプロセスでは、ドライエッチングによりビアホールを形成し、そこに埋め込み材を埋め込み、次いで、トレンチを形成するためのリソグラフィーを行い、ドライエッチングする。その後、埋め込み材を選択的に除去する。
Cu/Low−k多層配線構造において、レジスト、反射防止膜、埋め込み材、ドライエッチング残渣等の不要物を除去するために、多量の酸素ラジカルを含んだプラズマによりアッシングを行うと、Low−k膜にダメージを与えてしまう。
このダメージを無くすか又は軽減するために、アッシングを行わないか又は水素プラズマ、He等の不活性ガスプラズマ、それらの混合物又は酸素ラジカルを減らしたプラズマを用いてアッシングを行う方法がある。また、途中でアッシングを中断することにより、上記の不要物を完全に取り除かないハーフアッシングと呼ばれる手法が用いられる場合もある。
しかしながら、アッシング方法によっては、上記の不要物が残る場合がある。また、アッシングによりレジストや反射防止膜等を除去できたとしても、埋め込み材を完全に除去することは難しい。
さらには、ダマシン構造又はデュアルダマシン構造を形成する際のドライエッチング又はアッシング時に酸素を含んだプラズマを用いる場合、それにより損傷を受けた金属酸化物被膜を含む金属変質層が形成される。また、半導体製造工程において大気に曝される場合には、Cu等の金属配線の表面に金属酸化物被膜が形成される。
ダマシン構造又はデュアルダマシン構造におけるトレンチやビアホールに、バリアメタルのTaNや配線材料のCu等の金属を埋め込む際に、その埋め込み材料と下層部にあるCu等の配線層との接点(間)に金属変質層があると、抵抗が大きくなり半導体デバイスの不良の原因となる。
従って、半導体回路のパターンのリソグラフィー(描画)をやり直すリワークの場合も含めて、このような金属酸化物被膜を含む金属変質層は、Cuの腐食及びLow−k膜のエッチングを抑制して除去液により選択的に取り除かれることが強く求められている。
例えば、微細パターン用ポリマー剥離液として、フッ化物塩水溶液に、DMF、DMSO等の水溶性有機溶媒、必要に応じて更にフッ化水素酸を加えたものが知られている(例えば、特開平9−197681号公報、特開2000−47401公報参照。)
このようなポリマー剥離液を用いると、Cuのような腐食しやすい金属を導電性金属として使用した場合には、その金属表面に形成された金属酸化物被膜だけでなく金属自体も容易に腐食されるという問題を生じる。
また、フッ化水素を有機溶媒に加えた、実質的には水を含まない溶液を用いて二酸化ケイ素のようなシリコン酸化物を除去する技術が知られている(例えば、米国特許第6200891号公報参照。)。
このような溶液では、シリコン酸化膜やLow−k膜の溶液によるエッチングを抑制して、金属自体を腐食させずに、その金属表面に形成された金属酸化物被膜を効率良く除去できるとは考えにくい。
米国特許第6200891号公報は、水分を実質的に加えないことにより、金属の腐食を抑え、フッ化水素の濃度を高くすることにより、シリコン酸化膜の除去効果が得られることを記載している。しかしながら、水分が実質的に存在しないため、フッ化水素が十分に解離せず、金属変質層の除去に必要なHやエッチング種HFが少なく、金属変質層を除去するのに時間がかかる。
当該公報においては、使用するフッ化水素の濃度が0.5〜15mol/Lと高いため、共存するシリコン酸化膜やLow−k膜もエッチングされやすく、ビアホールやトレンチ等のパターンに形状変化を生じる。これは、高濃度のフッ化水素により、シリコン酸化膜を取り除くことを目的としているためである。
また、当該公報で使用される有機溶媒は、炭酸プロピレン、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、塩化メチレンベンジルアルコール、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、安息香酸メチル、ジグライム、2−メチルテトラヒドロフラン、メチルエステル、エチルエステル等である。これらの中でも炭酸プロピレン、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトンに効果があり、炭酸プロピレンが実施例として挙げられている。大半は非水溶性の溶媒であり、これらを除去するためには、イソプロピルアルコール(IPA)等の中間リンスをしてから、純粋でリンスする等の工程数が増加する欠点がある。さらには、水分が溶解にくいので、フッ化水素の解離の制御がしにくい。
さらに、水で希釈した塩酸やフッ酸を用いることも考えられる。しかしながら、このような水溶液により、金属酸化物被膜は容易に除去できるが、金属変質層は除去しにくく、解離したHが多いため金属部分は腐食しやすい。その上、レジスト、反射防止膜、埋め込み材、ドライエッチング残渣等の不要物が、金属変質層の周辺に共存する場合、このような水溶液では、これらを取り除けないため、金属変質層も完全に除去することが困難であり、均一な除去ができない。
このように、シリコン酸化膜、Low−k膜等のデバイスを構成する膜が共存する状況で、これらの膜をできるだけエッチングせずに、金属自体を腐食させずに、金属変質層を選択的に除去するための薬液は未だ開発されていない。
そこで、本発明は、シリコン酸化膜やLow−k膜のエッチングを抑制し、レジスト、反射防止膜、埋め込み材及びドライエッチング残渣等の不要物の有無にかかわらず、金属変質層を、金属を腐食させず効率良く除去するための薬液を提供することを主な目的とする。
図1:種々の有機溶媒を使用した本発明の除去液を使用した場合の銅酸化物被膜の除去量及び金属の侵食量をエッチング量(Å)として縦軸に示す。横軸は、ウェハーを本発明の除去液に浸漬した時間を示す。
図2:有機溶媒として両性溶媒を使用し、種々濃度のHF(横軸)を用いた本発明の除去液を使用した場合の、銅の酸化物被膜の除去速度(図A;縦軸)及び銅の腐食速度(図B;縦軸)をエッチング速度(Å/min)として示す。
図3:本発明の除去液において水の量(横軸)を変化させた場合における銅の酸化物被膜の除去速度及び銅の腐食速度(縦軸)をエッチング速度(Å/min)として示す。
図4:本発明の除去液に種々の防食剤を添加した場合の、銅の酸化物被膜の除去量及び銅の侵食量に対する影響をエッチング量(Å)として示す。
図5:有機溶媒として両性溶媒及び非プロトン性溶媒を使用し、フッ化水素濃度0.15mol/L前後の本発明の除去液を使用した場合の、銅の酸化物被膜の除去速度(縦軸)(A)及び銅の腐食速度(横軸)をエッチング速度(Å/min)(B)として示す。
本発明者は、上記従来技術の問題に鑑みて、鋭意研究を重ねた結果、フッ化水素、水及び有機溶媒を組み合わせて用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下の金属変質層を選択的に除去するための除去液及び金属変質層を除去する方法に関する。
1.フッ化水素、有機溶媒及び水を含み、フッ化水素:有機溶媒:水の重量比が0.001〜10重量%:70〜99.998重量%:0.001〜20重量%である、導電性金属上に形成された金属変質層を除去するための除去液。
2.有機溶媒が両性溶媒であって、フッ化水素:両性溶媒:水の重量比が0.05〜8重量%:76〜99.9重量%:0.05〜16重量%である項1に記載の除去液。
3.両性溶媒が、一価アルコール、二価アルコール、グリコールエーテル、カルボン酸、スルホン酸及びアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である項2に記載の除去液。
4.両性溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール及びt−ブタノール等の一価アルコール(メタノール、エタノールは単独では使用せず、他の溶媒と併用される)、エチレングリコール及びプロピレングリコール等の二価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等のモノアルキルグリコールエーテル、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、及びN−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ホルムアミド等のアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である項3に記載の除去液。
5.フッ化水素:イソプロピルアルコール:水の重量比が0.1〜5重量%:85〜99.8重量%:0.1〜10重量%である項4に記載の除去液。
6.有機溶媒が極性非プロトン性溶媒であって、フッ化水素:極性非プロトン性溶媒:水の重量比が0.01〜5重量%:85〜99.98重量%:0.01〜10重量%である項1に記載の除去液。
7.極性非プロトン性溶媒が、エステル、エーテル、グリコールジエーテル、アセトン及び無水酢酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である項6に記載の除去液。
8.極性非プロトン性溶媒が、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、亜硫酸エチレン、γ−ブチロラクトン、リン酸トリブチル及びリン酸トリメチル等のエステル、ジオキサン、トリオキサン、1,1−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシメタン、ジメトキシプロパン、ジエトキシメタン、ジグライム、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル及びポリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル、アセトン及び無水酢酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である項14に記載の除去液。
9.極性非プロトン性溶媒が炭酸プロピレンであり、フッ化水素:炭酸プロピレン:水の重量比が0.1〜5重量%:85〜99.8重量%:0.1〜10重量%である項8に記載の除去液。
10.さらに防食剤を含む項1に記載の除去液。
11.防食剤が、チオール、芳香族ヒドロキシ化合物、トリアゾール化合物、糖類、カルボキシル基含有有機化合物及びその無水物、アセチレンアルコール及び還元剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である項10に記載の除去液。
12.防食剤が、金属酸化物被膜の除去液に対して0.01〜20重量%含まれる項10に記載の除去液。
13.さらに不活性ガスを溶存させた項1に記載の除去液。
14.配線の金属が銅、アルミニウム、タングステン、コバルト、モリブデン、ルテニウム、白金、イリジウム、タンタル、チタン及びこれらの合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物及び金属である項1に記載の除去液。
15.シリコン酸化膜及びLow−k膜から選ばれる少なくとも一種のエッチング速度が10Å/min以下である項1に記載の除去液。
16.銅のエッチング速度が3Å/min以下である項1に記載の除去液。
17.項1〜16のいずれかに記載の除去液と、表面上に金属酸化物被膜が形成された導電性金属を有する除去処理物とを接触させることにより、前記金属酸化物被膜を除去する方法。
18.金属酸化物被膜を除去した除去処理物を、不活性ガスを溶解させた水で洗浄する工程をさらに含む項17に記載の方法。
19.実質的に不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする項17に記載の方法。
20.項17〜19のいずれかに記載の方法によって得られた除去処理物
発明の詳細な記述
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、フッ化水素、特定の有機溶媒及び水を特定の比率で混合した溶液を用いることにより、効率良く又は選択的に導電性金属の表面に形成された金属変質層(金属酸化物被膜を含む)を除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の除去液において、フッ化水素:有機溶媒:水の重量比は
0.001〜10重量%:70〜99.998重量%:0.001〜20重量%;好ましくは
0.01〜5重量%:85〜99.98重量%:0.01〜10重量%;より好ましくは
0.1〜3重量%:94〜99.8重量%:0.1〜3重量%である。各成分がこのような範囲内であれば、金属を腐食することなく金属変質層を除去することができる。
本発明の金属酸化物被膜を含む金属変質層の除去液(以下、「本発明の除去液」という。)は、有機溶媒の物性と少量の水とによるフッ化水素の解離制御、有機溶媒の溶解力および防食効果の組み合わせにより、その特徴が発現される。
有機溶媒の物性と少量の水によりフッ化水素(HF)の解離を調整することにより、Low−k膜やシリコン酸化膜(SiO)のエッチング種であるHF を減らし、主にエッチング種HF、(HF)とHを増加させる。低濃度のこれらのエッチング種により、Low−k膜やシリコン酸化膜(SiO)のエッチングを抑制し、金属酸化物被膜やOHと結合したシリコン(Si−OH結合)および/またはHと結合したシリコン(Si−H結合)を含む反射防止膜および埋め込み材の除去速度を速める。
有機溶媒の溶解力により、レジスト、反射防止膜および埋め込み材やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣に含まれている有機成分を溶解除去できる。さらに有機溶媒の防食効果によって金属(特に銅)がフッ酸から解離したHより腐食されるのを防ぐことができる。
したがって、本発明の除去液を使用すると、シリコン酸化膜やLow−k膜のエッチングを抑制し、レジスト、反射防止膜、埋め込み材およびドライエッチング残渣などの不要物の有無にかかわらず、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を、金属(特に銅)を腐食させず効率良く除去することができる。
本発明の除去液は、導電性金属として、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、これらの合金等を用いて成膜したウエハーにおいて、その金属表面に形成された酸化物被膜を除去するために使用するのが好ましい。その中でも銅表面上に形成された銅の酸化物を除去するのにより適している。さらに、ドライエッチングおよび/またはアッシングによる損傷を受けて形成された、金属酸化物被膜を含む金属変質層であり電気抵抗が増大した部分も除去し、有機溶媒の防食作用により金属の腐食は抑制される。
金属の酸化物被膜の種類は限定されないが、ドライエッチングおよび/又はアッシング時に酸素を含んだプラズマを用いた場合に形成された金属酸化物被膜、或いはプロセス間の移動などにより大気に曝された場合に、金属が自然に酸化されてできた自然酸化膜等が挙げられる。例えば、銅の酸化物としてはCuO、CuO、Cu(OH)等が挙げられる。アルミニウムの酸化物としてはAl、Al(OH)、Al・HO、Al・3HO等、チタンの酸化物としてはTiO、TiO、Ti、TiO・HO、TiO・2HO、コバルトの酸化物としては、CoO、Co、Co(OH)あるいはCo2O・HO、モリブデンの酸化物としてはMoO、MoO等、ルテニウムの酸化物としてはRuO、RuO・HORuO、白金の酸化物としてはPtO、PtO4、PtO、PtOO、イリジウムの酸化物としてはIr、IrO等、タングステンの酸化物としてはWO、WO等、タンタルの酸化物としてはTaO、Ta等が挙げられる。
ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層とは、ドライエッチング及び/又はアッシングにより、損傷を受けて酸化および/またはフッ素化された金属酸化被膜とその金属と混合からなる変質層であり、電気抵抗が増大したものである。この金属変質層は、酸化および/またはフッ素化された、金属酸化被膜および配線金属からなるので、その電気抵抗は金属酸化被膜に近い絶縁層となる。
酸化物被膜の厚さも限定されないが、通常、1〜80Å程度、好ましくは1〜40Å程度が挙げられる。ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層の厚さもドライエッチングやアッシングによる条件により変化して限定されない。通常はできる限り少なくなるように調整される。通常、100Å程度以下、好ましくは1〜60Å程度が挙げられる。
本発明の除去液は、フッ化水素(HF)、有機溶媒及び水を含む。有機溶媒としては、両性有機溶媒又は極性非プロトン性有機溶媒のどちらを用いてもよい。また、両者を混合して用いることもできる。
水としては純水を使用するのが好ましい。フッ化水素としては、希フッ酸(50重量%水溶液)を用いるが、より高濃度のフッ化水素酸水溶液、さらには100%フッ化水素を用いることもできる。いずれも半導体や液晶のプロセスにおいて、金属等の汚染を引き起こさない純度であることが重要である。
本明細書において、Low−k膜とは、具体的には、比誘電率が、1より大きく、4以下程度、好ましくは3以下程度、より好ましくは2.8以下程度、さらに好ましくは2.6以下程度の絶縁膜を意味する。Low−k膜としては、例えば、Black Diamond(商品名、アプライドマテリアルズ社製)、コーラル(商品名、Novellus社製)、LKDシリーズ(商品名、JSR社製)、オーロラ(商品名、ASM社製)、HSGシリーズ(商品名、日立化成社製)、Nanoglass(商品名、Honewell社製)、IPS(商品名、触媒化成社製)、ZM(商品名、Dow Corning社製)、XLK(商品名、Dow Corning社製)、FOx(商品名、Dow Corning社製)、Orion(商品名Tricon社製)などが挙げられる。組成としては例えばOHと結合したシリコン(Si−OH結合)および/またはHと結合したシリコン(Si−H結合)を含む低誘電率膜(Low−k膜、SiOC,SiOC:Hなどの組成を示した形で表現されることもある)などのシリコン(Si)含有化合物などが挙げられる。Low−k膜は主に塗布と有機プラズマCVDにより生成される。塗布の場合は原料固有の膜の名称がつけられ、有機プラズマCVDの場合は原料と装置により固有の膜の名称がつけられる。
シリコン酸化膜(SiO2)とは、シリコンウェハーを酸化して形成したシリコン熱酸化膜、テトラエトキシシラン[TEOS:Si(OC2H5)4]を用いて形成したTEOSシリコン酸化膜、高密度プラズマ(High Density Plasma)で形成されたHDPシリコン酸化膜、主にシラノール[(OR)mRnSi(OH)4−m−n]を溶剤に溶かし、ウェハー上にスピン塗布して熱硬化させて形成したSOG(Spin on Glass)とよばれるシリコン酸化膜、リン(P),砒素(As),アンチモン(Sb)やボロン(B)などをドープしたBPSGと呼ばれるようなシリコン酸化膜などが挙げられる。
本発明でLow−k膜およびシリコン酸化膜の除去液によるエッチングの抑制効果を大きくするためには、Low−k膜中にメチル基などのアルキル基と結合したシリコン(Si−CH)を多く含む方がよく、シリコン酸化膜は、熱酸化膜やHDPシリコン酸化膜などのようにドープされていない密度の高いのほうが好ましい。
レジストとしては、KrF(クリプトンエフ)、ArF、Fレジスト等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
反射防止膜および埋め込み材は、有機物を主成分とするものとシリコンなどの無機物を含むものなどがある。シリコンなどの無機物を含む反射防止膜および埋め込み材とはシリコン、Si−OH結合および/又はSi−H結合などを含むものを示し、プラズマアッシングによりダメージを受けたものも、これに該当する。Si−H結合を含む反射防止膜および埋め込み材とは、Si−CH結合が存在しない或いは少なく、Si−H結合が多い膜であり、FT−IR測定データとして有意なSi−H吸収スペクトル(2200〜2300cm−1)を有するSiOで示される膜であり、一般にHSQ(Hydrogen Silsesquioxane)と呼ばれているものも含む。Si−OH結合を含む膜、Si−H結合を含む膜、共に、特にSi−CH結合がない或いは少なく、Si−H結合および/又はSi−OH結合が多い膜ほど本発明の除去液により有効に除去できる。本発明では、これらを効果的に除去することができる。反射防止膜および埋め込み材が有機物を主成分とするものである場合であっても、メタンスルホン酸のようなアクセプター数が高い溶媒を用いると除去可能である。
ドライエッチングプロセスに伴い発生するエッチング残渣にはシリコン窒化物を含む場合がある。ドライエッチグおよび/またはアッシングにおいて、窒素原子を含有するガスや窒素および窒素を添加した混合ガスを用いると、窒素と結合したシリコン(Si−N)を含む不揮発性のシリコン窒化物を生じる。この様なドライエッチング残渣も本発明の除去液で除去しやすい。
したがって、本発明の本来の目的である「金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層の除去」の妨げとなるこれらのレジスト、反射防止膜および埋め込み材やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣が共存する場合であっても、これらを除去し、Low−k膜やシリコン酸化膜の除去液によるエッチングを抑制して、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を、金属(特に銅)に対して選択的に除去する。
フッ化水素(HF)の解離は、水分量と有機溶媒の物性を変化させることにより調整することができる。フッ化水素(HF)の解離に関与する主な有機溶媒の物性は、比誘電率(εr)と酸性・塩基性である。
比誘電率(εr)とは、誘電率(絶対誘電率)/真空の誘電率で表される数値である。酸性・塩基性の指標として、アクセプター数(AN)、ドナー数(DN)、自己プロトリシス定数などがある。自己プロトリシスとは、水、アルコールなどの中性溶媒、酸などのプロトン供与性溶媒、ホルムアミドなどの親プロトン性溶媒などの両性溶媒において溶媒間でプロトンの授受が起こることをいう。すなわち、これらの溶媒は自己プロトリシス定数pKSHが小さい。
自己プロトリシス;SH+SH⇔SH +S2−(SH;両性溶媒)
自己プロトリシス定数pKSH;KSH=[SH ]*[S2−]/[SH]
アクセプター数Aとは、Mayer−Gutmannが提案したアクセプター性の尺度、すなわち溶媒のルイス酸としての尺度である。n−ヘキサン中に溶かした(C2F5)3POの31P−NMR化学シフト値を0とし、1,2−ジクロロエタン中の(C2F5)3PO・SbCl錯体の31P−NMR化学シフト値を100としたとき、ある純溶媒中に溶かした(C2F5)3POの31P−NMR化学シフト値をAとする。A=100δ(溶媒)/[δ(1,2−ジクロロエタン中の(C2F5)3PO・SbCl)−δ(n−ヘキサン中に溶かした(C2F5)3PO)]である。
ドナー数DとはGutmannが提案したドナー性の尺度、すなわち溶媒のルイス塩基としての尺度である。1,2−ジクロロエタン中のSbCl(10−3moldm−3)と溶媒(10−3moldm−3)とが反応する際のエンタルピーをkcal mol−1の単位で表した数値の絶対値をDとする。D=−ΔH(SbCl)/kcal mol−1である。
測定値として報告されていなくてもこれに準ずるアクセプター数、ドナー数をもつ有機溶媒は多数存在する。有機溶媒のアクセプター性、ドナー性は推測することができる。例えばアルキル基が大きくなるにつれてアクセプター数は小さくなる傾向を持つ。A(HOH)=54.8、A(CHOH)=41.3、A(COH):37.1、A(COH)=33.5となり、アルキル基の増加とともに順に小さくなる。アルキル基が大きいほうが電子供与性I効果(Inductive Effect)は大きく、水酸基−OHのHの電子密度が高くなり電子受容性が弱くなっているためであると考えることができる。COHのAの報告はないが、33.5以下の33.5に近い値であることが推測できる。このように、ドナー数、アクセプター数が未知な物質と既知の物質とを比較することと、ドナー性、アクセプター性を示す原子の電子密度の増減を考えることにより、その物質のドナー性、アクセプター性の度合いを知ることができ、必ずしも文献値などの測定値は必要ない。有機溶媒のアクセプター性が強いということは、溶媒のルイス酸性が強いということであり、ドナー性が強いということは溶媒のルイス塩基性が強いということである。
一般にアクセプター数20以上の溶媒は両性溶媒であり、両性溶媒は中性、プロトン供与性および親プロトン性溶媒として分類されている。アクセプター数20以下の溶媒は非プロトン性溶媒であり、比較的、双極子モーメント比誘電率が大きい溶媒は、極性非プロトン性溶媒、双極子モーメント比誘電率が小さく、酸性、塩基性も弱い溶媒は、不活性溶媒と呼ばれる。極性非プロトン性溶媒は、水よりも塩基性が強いものを極性親プロトン性非プロトン溶媒、水よりも塩基性が弱いものを極性疎プロトン性非プロトン溶媒に分類される。
本発明で重要な有機溶媒は、中性溶媒、プロトン供与性溶媒などの両性溶媒と極性疎プロトン性非プロトン溶媒である。これらの中でも、イソプロピルアルコールなどの中性溶媒と炭酸プロピレンなどの高誘電率(εr≧20)疎プロトン性非プロトン溶媒が特に重要である。
フッ化水素(HF)は、水素結合性が強いため比誘電率が高い水(εr:78)の中でも重合して(HF)nのような水素結合性ポリマーが存在することが知られている。
(HF)n⇔nHF(1)
しかし、多くはHFの形で存在し、これが解離して以下のような平衡が成り立っている。
HF⇔H+F(2)
HF+F⇔HF (3)
水中では平衡(1)と平衡(3)は右に偏り、平衡(2)は左に偏っている。
したがって、水中では、フッ化水素濃度が0.25mol/kg以上であると、HF2−ができやすく、これが主なエッチング種となる。
有機溶媒中では、水よりも比誘電率が小さいため、平衡(1)は水中よりも右への偏りは小さい。平衡(2)は水中よりもさらに左方向に偏り、エッチング種HFが多く発生する。これと同時にF−が減少し、平衡(3)からHF の発生する量が少なくなる。比誘電率が小さく同程度であれば、ドナー数、アクセプター数が大きい方が平衡(2)は若干右に偏る。平衡(3)では、HFとF−が同じように有機溶媒により溶媒和されている場合は平衡への影響は小さいが、HFの強く溶媒和する場合は、平衡(3)は右に偏りにくい。
有機溶媒の中でも、比較的、比誘電率が高い(εr≧20)両性溶媒では自己プロトリシスが起こり易い。すなわち、以下の平衡(A)は右に偏り、自己プロトリシス定数pKSHが小さい。
自己プロトリシス;SH+SH⇔SH +S2−(SH;両性溶媒)(A)
平衡(A)で生じたSH2+から供給されるHとフッ化水素から生じるHと、(HF)、HFが生成する。平衡(A)の中では、溶媒SH中で存在できる最も強い酸はSH である。SH よりも強い酸はいずれも完全解離してSH の強さに水平化される。したがってフッ化水素から生じるHも大半はSH となる。Hの与え易さは、溶媒SHの塩基性が弱いほどHを与えやすい。すなわち、溶媒の自己プロトリシス定数が小さいほうがSH を多く発生し、ドナー数が小さいほどHが溶媒に保持される能力が小さいため、溶媒SHはSH の形から被処理物表面に対してHを与えやすい。したがって、両性溶媒の中でも、自己プロトリシス定数が小さく、ドナー数が小さい方が、被処理物表面に供給できるHが多い。Hの供給能力は溶媒SHのドナー性によって決まる。さらにこれらの溶媒のアクセプター数は水より小さい。ドナー数が小さいと平衡(2)は左により、HFは増加する。
この発明の除去液では若干の水分を含んでいるので、さらに平衡(1)は右に偏り、HFが増加する。Fには溶媒よりもアクセプター数が大きい水が主に溶媒和し、Hは主には水よりもドナー数が大きい溶媒が主に溶媒和してSH となる。SH の形から被処理物表面に対してHを与えやすくなる。平衡(3)では、F、HF とともに溶媒よりもアクセプター数の大きい水が溶媒和するため、若干量の水だけでは、その平衡の変化は小さく、HF の発生量も少ない。
このように、増加したHFとHおよび(HF)などのエッチング種と有機溶媒の溶解および防食効果とによって、レジスト、反射防止膜および埋め込み材やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣が共存する場合であっても、これらを除去し、Low−k膜やシリコン酸化膜の除去液によるエッチングを抑制して金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を、金属(特に銅)に対して選択的に除去する。特に、反射防止膜および埋め込み材にOHと結合したシリコン(Si−OH結合)および/またはHと結合したシリコン(Si−H結合)を含む場合やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣にシリコン窒化物を含む場合には、本発明の除去液は、Hと(HF)、HFおよび有機溶媒の相乗効果によって、これらを除去する効果が大きい。このような効果を発する両性溶媒として、メタノール、エタノール、プロパノール,t−ブタノールなどのアルコールやギ酸などが挙げられる。
しかし、実際の半導体プロセスでアッシングにより、レジスト、反射防止膜および埋め込み材などの有機物の除去が不十分である場合、ドライエッチングにより生じた有機物を含有する残渣が、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層の周辺に多く存在する。このような場合、有機物を含有する残渣を溶解させないと金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を効果的に除去できない場合がある。イソプロピルアルコール(IPA)は、有機物を含有する残渣中の有機物を溶解させる機能も含んだ効果的な溶媒のひとつであり、残存する有機物の量が多い場合には、有機溶媒の溶解性が重要になる。
有機溶媒の中でも、比較的、比誘電率が低い(εr<20)両性溶媒では、比較的誘電率が高い場合(εr≧20)に比べて、平衡(2)はいっそう左に偏り、HFの量は多くなる。この種の溶媒はプロトン供与性溶媒であることが多く、酸性が強く、アクセプター数も大きいものが多い。これらの溶媒中でも、酢酸などカルボン酸のようにH+を発生する溶媒では、本発明の除去液中にHが多く存在する。したがって平衡(2)はさらに左によりHFが増加する。また、アクセプター数が大きいため、若干解離して生じたFに強く溶媒和し、さらにはHF にも強く溶媒和しやすいため、平衡(3)は右に偏ることなく、HF もそれほど多く発生しない。すなわち、有機溶媒の酸性度が高く、アクセプター数が大きいほどHとHFを多く発生する。本発明の除去液は若干の水分を含ので、平衡(1)は右に寄り、HFが増加し、酢酸などの溶媒自体からもHを発生することにより、さらにHが増加する。
このように、増加したHFとHおよび(HF)などのエッチング種と有機溶媒の溶解および防食効果とによって、レジスト、反射防止膜および埋め込み材やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣が共存する場合であっても、これらを除去し、Low−k膜やシリコン酸化膜の除去液によるエッチングを抑制して金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を金属(特に銅)に対して選択的に除去する。さらに反射防止膜および埋め込み材にOHと結合したシリコン(Si−OH結合)および/またはHと結合したシリコン(Si−H結合)を含む場合やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣にシリコン窒化物を含む場合には、これらを選択的に除去する効果はより大きくなる。
有機溶媒の中でも、比較的、比誘電率が高い(εr≧20)非プロトン性溶媒は、極性非プロトン性溶媒と呼ばれる。水よりも塩基性が強いものは極性親プロトン性非プロトン溶媒、水よりも塩基性が弱いものは極性疎プロトン性非プロトン溶媒に分類される。
極性疎プロトン性非プロトン溶媒では、アクセプター数もドナー数も水と同等以下であるため、平衡(2)のHFとわずかに発生したFとの両方が溶媒和しにくく、これらは反応性に富む状態である。このため、平衡(3)は若干右に偏り、多少HF が発生する。しかし、他の有機溶媒に比べて比誘電率が高いので、平衡(1)は右に偏り、HF よりもnHFやHFが多く発生する。本発明の除去液は若干の水分を含むので、さらに平衡(1)は右に寄り、nHFやHFが増加し、平衡(2)も水が関与する分だけ右に偏りHを発生する。
これらの増加したHFとHおよび(HF)などのエッチング種と有機溶媒の溶解および防食効果とによって、レジスト、反射防止膜および埋め込み材やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣が共存する場合であっても、これらを除去し、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を選択的に除去する。さらには反射防止膜および埋め込み材にOHと結合したシリコン(Si−OH結合)および/またはHと結合したシリコン(Si−H結合)を含む場合やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣にシリコン窒化物を含む場合にはこれらの除去効果が大きい。このような溶媒として、炭酸プロピレン、アセトニトリル、ニトロメタン、スルホランなどが挙げられる。
極性親プロトン性非プロトン溶媒では、塩基性、ドナー性が強いものが多く、Fは反応性に富んでいるが、HFが強く溶媒和されるため、平衡(3)は左右どちらにも偏りにくい。わずかに解離して生じたHも強く溶媒和されるため、エッチング種HF、(HF)とHの反応性はそれほど大きくない。ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)などの極性親プロトン非プロトン溶媒は、ドナー性は非常に強く、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層および金属膜に対しては、金属イオンに強く溶媒和するため、(a)金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層と(b)金属との両方とも、上述の他の溶媒に比べて同じフッ化水素濃度における除去速度が大きく、これらを非常に溶解しやすい。除去の選択比(a/b)は1前後である。したがって、単独溶媒としては使用しにくい。一方でLow−k膜やシリコン酸化膜、OHと結合したシリコン(Si−OH結合)および/またはHと結合したシリコン(Si−H結合)を含む反射防止膜および埋め込み材やドライエッチングに伴い発生するエッチング残渣に対するエッチング能力は上述の他の溶媒に比べて小さい。極性親プロトン非プロトン溶媒を、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層の除去能力が小さい他の溶媒、例えばフッ化水素添加量の少ない低誘電率(εr<20)非プロトン性溶媒などに添加すると、OHと結合したシリコン(Si−OH結合)および/またはHと結合したシリコン(Si−H結合)を含む反射防止膜および埋め込み材やドライエッチングに伴い発生するエッチング残渣の除去能力は低下する。しかしながら、Low−k膜やシリコン酸化膜の除去液によるエッチング速度を低下させ、配線材料である金属に形成された金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を除去する速度を大きくする効果を付与することができる。
有機溶媒の中でも、比較的、比誘電率が低い(εr<20)非プロトン性溶媒では、ドナー数、アクセプター数、共に水のそれらよりも小さい。したがって平衡(1)は右に偏りにくく、(HF)nが多く存在する。平衡(2)は左に偏り、HFは多く存在する。平衡(2)でF−が少ないことから、平衡(3)では、左に偏りHF よりもHFができやすくなる。本発明の除去液は水を含むので、平衡(1)は右に寄り、(HF)nとHFが増加し、平衡(2)も若干右に寄ることにより、Hも増加する。Hは主にはドナー数が大きい水が溶媒和してHとなる。Fも増加するが、Fには溶媒よりもアクセプター数が大きい水が溶媒和する。平衡(3)では、F、HF とともに溶媒よりもアクセプター数の大きい水が溶媒和するため、若干量の水では、その平衡の変化は小さく、HF の発生量も少ない。若干の水分を含むことにより、比較的誘電率が高い場合(εr≧20)と同様に、フッ化水素の解離効果が増幅される。このように、
このように、増加したHFとHおよび(HF)などのエッチング種と有機溶媒の溶解および防食効果とによって、レジスト、反射防止膜および埋め込み材やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣が共存する場合であっても、これらを除去し、Low−k膜やシリコン酸化膜の除去液によるエッチングを抑制して金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を金属(特に銅)に対して選択的に除去する。さらに反射防止膜および埋め込み材にOHと結合したシリコン(Si−OH結合)および/またはHと結合したシリコン(Si−H結合)を含む場合やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣にシリコン窒化物を含む場合には、これらを選択的に除去する効果はいっそうが大きくなる。この種の溶媒として、酢酸エチル、酢酸メチルなどの一部のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテルなどの一部のエーテル類が挙げられる。
以上のような効果が大きい有機溶媒として、アルコールなどの高誘電率(εr≧20)両性溶媒、酢酸などの低誘電率(εr<20)両性溶媒などの両性溶媒、ジメトキシエタンなどの低誘電率(εr<20)非プロトン性溶媒、炭酸プロピレンなどの高誘電率(εr≧20)疎プロトン性非プロトン溶媒があげられる。これらの中でも、アルコールなどの高誘電率(εr≧20)両性溶媒、炭酸プロピレンなどの高誘電率(εr≧20)疎プロトン性非プロトン溶媒が特に効果がある。
さらに、これらの中でも、金属に対して防食効果が大きい溶媒が存在する。イソプロピルアルコール、tert−ブタノールなどの炭素数3以上の水溶性アルコールおよび酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、酢酸メチル、酢酸エチル、炭酸プロピレンなどの分子中にカルボキシル基(COOH)を含むものやカルボキシエステル(−C(=O)O−)を形成している物質、ジメトキシエタンなど分子中に酸素原子を二つ有する物質などが金属に対して防食作用が大きい。これらは、金属が銅の場合に特に防食効果が大きい。これらの防食効果は、酸素原子の非共有電子対のドナー性によるものである。酸素原子の非共有電子対が金属の表面に結合することにより防食効果を発生させている。特に、カルボキシル基(COOH)を含むものやカルボキシエステル(−C(=O)O−)を形成している物質はその効果がさらに大きい。
イソプロピルアルコール、tert−ブタノールなどの炭素数3以上の水溶性アルコールは、フッ化水素濃度を増加させると金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層金属の除去速度は増大するが、金属(特に銅)の腐食速度の変化は小さく、金属(特に銅)に対して選択的に除去できる。これは、これらの溶媒の防食効果と自己プロトリシスにより酸生度がSH の強さに水平化されるためにおこる。
同じ種類に分類された溶媒においては、比誘電率(εr)及びアクセプター数(AN)が大きく、ドナー数(DN)自己プロトリシス定数(pKSH)小さいほど、同じフッ化水素濃度における(a)金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層の(b)金属に対するエッチング選択比(a/b)(除去選択比)は大きくなる傾向がある。このことは金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層の除去という観点からは好ましい。
例えば、フッ化水素濃度0.15mol/Lとほぼ同量の水とを含む両性溶媒であるアルコールなどの中性溶媒では、
イソプロピルアルコール(IPA)、1−プロパノール(1−PrOH)、エタノール(EtOH)、メタノール(MeOH)に対して(a’)酸化銅の(b’)銅に対するエッチング選択比(a’/b’)(除去選択比)と有機溶媒の物性との間には
選択比(a’/b’);IPA(0.7)<1−PrOH(1.0)<EtOH(1.5)<MeOH(1.8)
εr;IPA(19.9)<1−PrOH(20.5)<EtOH(24.6)<MeOH(32.7)
AN;IPA(33.6)<1−PrOH(37.3)<EtOH(37.9)<MeOH(41.3)
DN;IPA(36),1−PrOH(36)>EtOH(32)>MeOH(19)
pKSH;IPA(21.1)>1−PrOH(19.4)>EtOH(19.1)>MeOH(17.2)
の関係が成り立つ。
メタノール(MeOH)が最も酸化銅の膜を除去する効率が高い事がわかる。しかし、このときの銅の腐食速度(Å/min)は
IPA(0.8)<1−PrOH(2.3)<EtOH(3.3)<MeOH(17.7)
となり、アルコールの場合、エッチング選択比(a’/b’)(除去選択比)が大きい方が、銅のエッチング速度も大きくなり、銅をエッチングしすぎることによる不都合を生じる。実用的には、IPAのほうが除去液の有機溶媒としては適用しやすい。IPAではフッ化水素濃度を増加させると、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層金属のエッチング速度は増大するが、溶媒の防食効果と自己プロトリシスにより酸性度がSH の強さに水平化されるため、金属(特に銅)の腐食速度の変化は小さく、金属(特に銅)に対して選択的に除去できる。
実際のプロセスにおいては、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層の取れやすさや、レジスト、反射防止膜および埋め込み材やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣の有無によっても用いる最適の有機溶媒は異なる。
これらの有機溶媒の中でも、水溶性の有機溶媒が好ましい。水溶性であると、本発明の除去液で処理したあと、純水でリンスすることにより、ウェハーなどの被処理物に残った本発明の除去液を容易に取り除くことができるためである。
好ましい有機溶媒のうち両性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール(メタノール、エタノールは単独では使用せず、他の溶媒と併用される)、プロパノール、イソプロピルアルコール(IPA)、t−ブタノール、アリルアルコール、エチレングリコール、プロピレンレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル等の1価又は多価アルコール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、モノフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、α−クロロ酪酸、β−クロロ酪酸、γ−クロロ酪酸、乳酸、グリコール酸、ピルビン酸、グリオキサル酸、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸類、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のスルホン酸類、テトラメチル尿素、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ホルムアミド等のアミド類が挙げられる。
その中でも、プロパノール、イソプロピルアルコール及びt−ブタノールなどの一価アルコール、エチレングリコール及びプロピレングリコールなどの二価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテルなどのモノアルキルグリコールエーテル、ギ酸、酢酸などのカルボン酸、メタンスルホン酸、及びN−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ホルムアミドなどのアミド等がさらに好ましい。
さらには、イソプロピルアルコール、t−ブタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、酢酸、メタンスルホン酸がさらにいっそう好ましい。これらの中でイソプロピルアルコールは最も好ましい。
また、同様に有機溶媒のうち極性非プロトン性溶媒として好ましいものは、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,1,3,3−テトラメチル尿素、N−メチルプロピオンアミド及びジメチルイミダゾリジノンなどのアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルチオホルムアミド及びN−メチルチオピロリドンなどの硫黄化合物(以上のアミドおよび硫黄化合物は単独では使用せず、他の溶媒と併用される)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、亜硫酸エチレン、γ−ブチロラクトン、リン酸トリブチル、リン酸トリメチル等のエステル類、ジオキサン、トリオキサン、ジグライム、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシプロパン、ジエトキシメタン、1,1−ジメトキシエタン、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテル類、アセトン等のケトン類、無水酢酸等の酸無水物類が挙げられる。
その中でも、極性非プロトン性溶媒が酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、亜硫酸エチレン、γ−ブチロラクトン、リン酸トリブチル及びリン酸トリメチルなどのエステル、ジオキサン、トリオキサン、1,1−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシメタン、ジメトキシプロパン、ジエトキシメタン、ジグライム、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル及びポリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル、アセトン及び無水酢酸がさらに好ましい。
さらに、酢酸メチル、酢酸エチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、アセトン、無水酢酸がさらにいっそう好ましい。これらの中で炭酸プロピレンが最も好ましい。
両性溶媒、非プロトン性溶媒のいずれにおいても、シリコン酸化膜やLow−k膜のエッチングを抑制し、レジスト、反射防止膜、埋め込み材およびエッチング残渣などの有無にかかわらず、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を、金属(特に銅)に対して選択的に除去できる溶媒ほど好ましい。すなわち、有機物に対する溶解力と金属に対する防食効果を持ち合わせ、フッ化水素の解離制御をしやすい溶媒ほど好ましい溶媒である。
さらに、本発明の除去液を使用する環境において引火する恐れのある場合は、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル及びポリエチレングリコールジメチルエーテルなどの高引火点の有機溶媒を使用することが望ましい。
水溶性の小さい有機溶媒は、本発明の除去液で処理したあと、イソプロピルアルコール(IPA)などの水溶性有機溶媒でリンスすることにより、ウェハーなどの被処理物に残った本発明の除去液を取り除くことができる。処理工程が増加するので通常は好ましくない。しかし、これらを添加することにより次のような効果を得ることができる。水溶性の小さい有機溶媒は、水溶性の有機溶媒に添加することにより、より効果を発生させることができる。水溶性の小さい有機溶媒は、比誘電率が小さい場合が多く、比誘電率の比較的高い水溶性の有機溶媒に添加することにより、混合溶液の比誘電率を低下させ、(HF)、HFおよびHを発生させて、Low−k膜やシリコン酸化膜のエッチングを抑制して金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を、金属(特に銅)に対して選択的に除去する。また、ドナー数なども低下させることも可能である。このように、水溶性の小さい有機溶媒と水溶性の有機溶媒との混合によるエッチング種の制御の効果を得ることができる。
本発明の除去液において使用する有機溶媒が両性溶媒であるか又は極性非プロトン性溶媒であるかによって、除去液の性質が異なることがある。従って、有機溶媒として両性溶媒を使用する場合と非プロトン性溶媒を使用する場合とに分けて、以下に述べる。
(1) 有機溶媒として両性溶媒を使用する場合
両性溶媒としては、上述したものが使用できる。これらの中でも、特に、比誘電率(εr)及びアクセプター数(AN)が大きく、ドナー数(DN)自己プロトリシス定数(pKSH)小さいほど、Low−k膜やシリコン酸化膜の除去液によるエッチングを抑制して金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を金属(特に銅)に対して選択的に除去できる。レジスト、反射防止膜および埋め込み材やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣が残っている場合には有機溶媒の溶解性が重要になる。フッ化水素濃度を増加させた場合には、有機溶媒の防食効果も必要である。このような条件を満たす両性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール(メタノール、エタノールは単独では使用せず、他の溶媒と併用される)、プロパノール、イソプロピルアルコール、tert−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ギ酸、酢酸、N−メチルホルムアミド、等が挙げられる。
これらの両性溶媒は、単独で使用することもできるし、複数の両性溶媒を混合して使用することもできる。複数の両性溶媒を混合することにより、金属酸化物被膜の除去速度等を調整することも可能である。メタノールのように金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層の除去液によるエッチング(除去)速度と金属(特に銅)のエッチング(腐食)速度のともに大きい場合は、ごく短時間の処理には適しているが長時間の処理には不向きである。溶解性や防食性の効果の高いイソプロピルアルコール、酢酸などに添加して、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層の除去速度を増大させる効果を付与することができる。
また、両性溶媒を用いる場合には、除去液中のフッ化水素の濃度を増加させることにより、金属酸化物被膜の除去速度が増加するが金属自体の腐食は抑制されているので好ましい。このときのフッ化水素の濃度は、0.001〜10重量%程度、より好ましくは0.05〜8重量%程度がよい。
更に、両性溶媒を用いる場合には、除去液中の水の重量%を増加させると酸化物被膜の除去速度が高くなるので好ましい。除去液中の好ましい水の量としては、例えば、0.001〜20重量%、好ましくは0.05〜16重量%が挙げられる。
また、両性溶媒の濃度は70〜99.98重量%程度、より好ましくは76〜99.9重量%程度がよい。
さらに、有機溶媒が両性溶媒である本発明の除去液において、フッ化水素:両性溶媒:水の重量比は
0.05〜8重量%:84〜99.9重量%:0.05〜8重量%;好ましくは
0.1〜5重量%:90〜99.8重量%:0.1〜5重量%;より好ましくは
0.5〜3重量%:94〜99重量%:0.5〜3重量%である。
本発明における好ましい除去液としては、以下のものが例示できる。
・フッ化水素:tert−ブタノール:水=0.1〜5重量%:90〜99.8重量%:0.1〜5重量%
・フッ化水素:IPA:水=0.1〜5重量%:90〜99.8重量%:0.1〜5重量%
・フッ化水素:エチレングリコールモノメチルエーテル:水
=0.05〜5重量%:90〜99.9重量%:0.05〜5重量%
・フッ化水素:トリエチレングリコールジメチルエーテル:水
=0.05〜5重量%:90〜99.9重量%:0.05〜5重量%
・フッ化水素:ギ酸:水=0.05〜5重量%:90〜99.9重量%:0.05〜5重量%
・フッ化水素:酢酸:水=0.05〜5重量%:90〜99.9重量%:0.05〜5重量%
・フッ化水素:N−メチルホルムアミド:水
=0.001〜1重量%:98〜99.998重量%:0.001〜1重量%。
(2)有機溶媒として極性非プロトン性溶媒を使用する場合
非プロトン性溶媒としては上述したものが使用できる。これらの中でも、特に、比誘電率(εr)及びアクセプター数(AN)が大きく、ドナー数(DN)自己プロトリシス定数(pKSH)小さいほど、Low−k膜やシリコン酸化膜の除去液によるエッチングを抑制して、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を金属(特に銅)に対して選択的に除去できるが、その傾向は両性溶媒ほど顕著でない。
比誘電率が高く(εr≧20)水よりも塩基性が強い(ドナー数が25以上)極性親プロトン性非プロトン溶媒では、ドナー数が大きいと金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層の除去液によるエッチング(除去)速度と金属(特に銅)のエッチング(腐食)速度のともに大きく、選択比も1前後で扱いにくい。したがって、フッ化水素濃度が極端に薄い領域か、単独溶媒としてではなく混合溶媒として使用することが好ましい。このような溶媒として、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,1,3,3−テトラメチル尿素、N−メチルプロピオンアミド及びジメチルイミダゾリジノンなどのアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルチオホルムアミド及びN−メチルチオピロリドンなどの硫黄化合物などが挙げられる。金属酸化物被膜を含む金属変質層の除去能力が小さい他の溶媒、例えばフッ化水素の添加量の少ない低誘電率(εr≦20)非プロトン性溶媒などに添加すると、Low−k膜やシリコン酸化膜の除去液によるエッチング速度を低下させ、配線材料である金属に形成された金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を除去する速度を大きくする効果を付与することができる。
水よりも塩基性が弱い(ドナー数が25以下)極性疎プロトン性非プロトン溶媒では、Low−k膜やシリコン酸化膜の除去液によるエッチングを抑制して、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を金属(特に銅)に対して選択的に除去できる。
好ましい極性疎プロトン性非プロトン溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、亜硫酸エチレン、γ−ブチロラクトン、リン酸トリブチル及びリン酸トリメチルなどのエステル、ジオキサン、トリオキサン、1,1−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシメタン、ジメトキシプロパン、ジエトキシメタン、ジグライム、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル及びポリエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル、アセトン及び無水酢酸等が挙げられる。
特に炭酸プロピレンはその効果が著しくおおきい。
また、これらの水よりも塩基性が弱い(ドナー数が25以下)極性疎プロトン性非プロトン溶媒は、単独で使用することもできるし、複数の非プロトン性溶媒を混合して使用することもできる。複数の非プロトン性溶媒を混合することにより、金属酸化物被膜の除去速度等を調整することも可能である。
極性非プロトン性溶媒を用いる場合には、除去液中のHFの濃度により金属酸化物被膜の除去速度等に対する影響を受けやすい。換言すればHFの濃度が高すぎれば金属自体の腐食を促進する可能性もある。従って、金属自体の腐食を抑制しながら金属酸化物被膜の優れた除去速度を達成するためには、HFの濃度範囲は0.0001〜5重量%程度、より好ましくは0.0001〜3程度がよい。
また、極性非プロトン性溶媒の濃度は、70〜99.98重量%程度、より好ましくは76〜99.9重量%程度がよい。
さらに、有機溶媒が極性非プロトン性溶媒である本発明の除去液において、フッ化水素:極性非プロトン性溶媒:水の重量比は
0.0001〜5重量%:90〜99.9499重量%:0.05〜5重量%;好ましくは
0.01〜5重量%:90〜99.98重量%:0.01〜5重量%;より好ましくは
0.1〜4重量%:92〜99.8重量%:0.1〜4重量%である。
本発明における好ましい除去液としては、以下のものが例示できる。
・フッ化水素:1,2−ジメトキシエタン:水=0.1〜4重量%:92〜99.8重量%:0.1〜4重量%
・フッ化水素:炭酸プロピレン:水=0.1〜4重量%:92〜99.8重量%:0.1〜4重量%
・フッ化水素:アセトン:水=0.1〜4重量%:92〜99.8重量%:0.1〜4重量%
・フッ化水素:酢酸エチル:水=0.1〜4重量%:92〜99.8重量%:0.1〜4重量%。
(3)有機溶媒として、両性溶媒と極性非プロトン性溶媒とを使用する場合
本発明において、例えば、金属酸化物の除去速度等について本発明の除去液の性質を調整するために、両性溶媒と極性非プロトン性溶媒とを混合して使用することができる。すなわち、HF、水及び両性溶媒と極性非プロトン性溶媒との混合物を含む除去液を本発明の除去液として使用することができる。
混合する両性溶媒と非プロトン性溶媒との比率は限定されず、目的とする除去液の性質に応じて適宜選択することができる。
防食剤
本発明において、除去液の構成要素である有機溶媒の中には金属に対して、防食効果を有するものもの存在する。例えば、イソプロピルアルコール、tert−ブタノールなどの炭素数3以上の水溶性アルコール、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、酢酸メチル、酢酸エチル、炭酸プロピレンなどの分子中にカルボキシル基(COOH)を含むものやカルボキシエステル(−C(=O)O−)を形成している物質、ジメトキシエタンなど分子中に酸素原子を二つ有する物質などが金属に対して防食作用が大きい。これらは、金属が銅の場合に特に防食効果が大きい。これらを含めて、さらに金属の腐食を防止するために、除去液中に防食剤を添加することも可能である。防食剤の種類は限定されないが、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、サリチルアルコール、p−ヒドロキシベンジルアルコール、o−ヒドロキシベンジルアルコール、p−ヒドロキシフェネチルアルコール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、ジアミノフェノール、アミノレゾルシノール、p−ヒドロキシ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、これらの誘導体等などの芳香族ヒドロキシ化合物、ベンゾトリアゾール、o−トリルトリアゾール、m−トリルトリアゾール、p−トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ニトロベンゾトリアゾール、ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、これらの誘導体等のトリアゾール化合物、シクロデキストリン、D−ソルビトール、アラビトール、マンニトール、蔗糖、アミロース(澱粉)、アミロペクチン、これらの誘導体等の糖類、1−プロパンチオール、1−デカンチオール、n−ヘキサデシルメルカプタン、α−トルエンチオール、フリフリルメルカプタン、アリルメルカプタン、これらの誘導体等のチオール類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、フタル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、無水酢酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、サリチル酸、これらの誘導体等のカルボキシル基含有有機化合物及びそれらの無水物を挙げることができる。カルボキシル基含有有機化合物及びその無水物のうち好ましいものとしては、蟻酸、フタル酸、安息香酸、無水フタル酸、及びサリチル酸などが挙げられる。
また、2−ブチン−1,4−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、これらの誘導体等のアセチレンアルコール、アスコルビン酸、キノリノール、これらの誘導体等の還元剤等も防食剤として使用できる。
上記防食剤の中でも、防食効果の点から、ピロカテコール、ピロガロール、ベンゾトリアゾール、D−ソルビトール、フタル酸、2−ブチン−1,4−ジオール、スコルビン酸、キノリノール、1−プロパンチオール、それらの誘導体等が好ましい。
本発明における除去液中の防食剤の濃度は、防食効果が得られれば限定されないが、例えば、0.1〜20重量%程度、好ましくは0.5〜10重量%が挙げられる。
例えば、メタノール、エタノール、N−メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の、金属酸化物被膜の除去速度だけでなく金属自体の腐食速度も速い有機溶媒を使用する場合には、本発明の除去液に防食剤を添加することによって、金属酸化物被膜を選択的に除去することができる。
その他
本発明の除去液は、さらに不活性ガスを溶解させてもよい。不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン等が挙げられる。除去液に不活性ガスを溶解させる方法としては限定されず、一般的に用いられている方法で行うことができる。例えば、除去液に不活性ガスを吹き込めばよい。不活性ガスの溶解量は限定されず、除去液中の酸素分圧を(例えば、飽和溶解した空気の酸素分圧よりも)低下させることができればよい。除去液中の酸素分圧が低下する結果、金属酸化物被膜が除去された金属の酸化および銅などの金属の腐食を有効に防止することができる。不活性ガスは必ずしもこれらに限られるものではなく、実質上、除去液に対して不活性であれば良い。例えば、フルオロカーボンガス、炭化水素、一酸化炭素など、除去液と反応しないガスであれば、溶存酸素を除去する同様の効果が得られる。
金属酸化物被膜の除去方法
本発明の方法は、半導体製造プロセスにおけるAl/SiO2多層配線構造において、Al配線層やビアホールを形成する場合やCu/Low−k多層配線構造において、ダマシン、デュアルダマシンなどの構造を形成する場合およびキャパシタ構造において金属膜をエッチングする場合などにおいて使用される。この様な場合において本発明の除去液は、シリコン酸化膜やLow−k膜の除去液によるエッチングを抑制し、金属(特に銅)を腐食させず、金属配線等の金属薄膜、電極、金属層等が形成されたウェハーにおいて、その金属表面に形成された金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を金属に対して効率良く又は選択的に除去するのに好適に使用できる。
Cu/Low−k多層配線構造において、例えば、半導体基板(例えば、SiN、銅、TaN、SiCなど)上にLow−k膜を形成、反射防止膜を成膜して、次いでレジストを形成、その後フォトリソグラフィーによりパターンを形成、当該パターンに従ってLow−k膜をドライエッチングした後、本発明の除去液に接触せることにより金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を除去することができる。従って、本発明の除去液は、Low−k膜、反射防止膜及びレジストに穴もしくは溝が開き、レジスト(レジストの変質物を含む)、反射防止膜、埋め込み材などが付着した状態の被処理物又はこれらがアッシングにより除去された被処理物として、当該金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を除去する液である。なお、ドライエッチングにより得られたLow−k膜の穴の壁面及び/又は底面にポリマー(ドライエッチングガスの重合物)及び/又はエッチング残渣が付着したものであってもよい。
基板上にLow−k膜を形成した後には、必要に応じてLow−k膜上にSiN、SiC、TaN膜などの絶縁膜バリアを形成し、該SiN、SiC、TaN膜などをLow−k膜と共にエッチングすることもできる。
また、レジストの表面上あるいはレジストと絶縁膜バリア間には、反射防止膜を形成することができ、これら反射防止膜は、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層と共に除去することができる。
Low−k膜及びレジストは、通常、それぞれ0.01〜2μm程度、0.001〜0.2μm程度、0.01〜10μm程度の厚みを有している。また、必要に応じて形成されるSiN膜、SiC膜、TaN膜、反射防止膜なども、通常、それぞれ0.01〜2μm程度、0.001〜0.2μm程度、0.01〜10μm、0.01〜0.1μm程度の厚みを有している。
本発明の方法では、ドライエッチング後、本発明の除去液に接触させる前に、レジスト、反射防止膜、埋め込み材およびドライエッチング残渣などの不要物を除去するために、多量の酸素ラジカルを含んだプラズマによりアッシングを行うと、Low−k膜にダメージを与えてしまう。このダメージを無くすため、アッシングを行わないか、あるいは減らすため、多量の酸素ラジカルを含んだプラズマアッシングを行わずに、必要に応じて、実質的にLow−k膜にダメージを与えない程度に、水素プラズマアッシング、Heなどの不活性ガスを用いたアッシングおよびHe/水素などの混同ガスプラズマ、もしくは酸素を含んでもLow−k膜にダメージを与えないように酸素ラジカルを減らしたプラズマでアッシングを行ってもよい。アッシングを行った場合でも、ダメージを軽減するため、途中でアッシングを中断してレジスト、反射防止膜、埋め込み材およびドライエッチング残渣などの不要物を完全に取り除かないハーフアッシングと呼ばれる手法が用いられる場合もある。この様なプラズマアッシングを行う場合には、同じ除去液を用いた場合であっても、エッチング後アッシングせずに直接レジストを除去する場合とは温度、時間などの最適条件が異なる場合がある。
本発明の除去液を用いた金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層の除去方法は、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層を除去でき、且つ、シリコン酸化膜やLow−k膜に実質的にダメージを与えない程度の温度及び時間で行うものである。シリコン酸化膜やLow−k膜に実質的にダメージを与えないとは、除去液を用いた処理前後のシリコン酸化膜やLow−k膜の物性が、例えば半導体基板に用いられたときにその性能に影響を与えない程度しか変化していないこと、例えば、レジストとシリコン酸化膜やLow−k膜の界面において実質的にシリコン酸化膜やLow−k膜を侵す(エッチングする)ことなく、被処理物を構成する膜の積層方向の断面形状を実質的に変化させないようなもの、或いは、除去液を用いた処理前後にシリコン酸化膜やLow−k膜の比誘電率が実質的に変化しないことをいう。実質的にシリコン酸化膜やLow−k膜をエッチングしないとは、シリコン酸化膜やLow−k膜のエッチング量が、好ましくは200nm以下程度、より好ましくは100nm以下程度、さらに好ましくは50nm以下程度であることをいう。除去液を用いた処理前後のシリコン酸化膜やLow−k膜の比誘電率が実質的に変化しないとは、比誘電率の変化が、好ましくは20%以下程度、より好ましくは10%以下程度、さらに好ましくは5%以下程度であることをいう。
除去液での処理は、例えば、エッチング後の基板を被処理物として本発明の除去液に浸漬することにより行うことができる。除去液への浸漬条件は、金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層が除去でき、金属の腐食を抑えて、シリコン酸化膜やLow−k膜に実質的にダメージを与えなければ特に限定されることはなく、除去液の種類や温度に応じて適宜設定することができる。例えば、除去液の温度は、例えば10〜60℃程度、好ましくは15〜40℃程度にするのがよい。浸漬時間としても限定されず適宜選択することができるが、例えば、0.5分〜60分程度、好ましくは1分〜40分程度が例示できる。また、必要に応じて、撹拌下の除去液にウェハーを浸漬してもよい。撹拌の速度も限定されず、適宜選択することができる。
より具体的には、フッ化水素:IPA:水=0.1〜5重量%:90〜99.8重量%:0.1〜5重量%である除去液の場合には、液温が23℃程度であれば、0.1〜20分間程度浸漬させればよい。フッ化水素:炭酸プロピレン:水=0.1〜4重量%:92〜99.8重量%:0.1〜4重量%である除去液の場合には、0.1〜20分間程度浸漬させればよい。
また、除去液を被処理物に接触させれば金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層の除去を行うことができるので、例えば、被処理物を回転させながらその上から液を供給して洗浄してもよいし、被処理物に組成物をスプレーで吹付け続けて洗浄してもよい。
本発明の除去液での処理は、レジスト、反射防止膜および埋め込み材の種類やドライエッチング及び/又はアッシングなどの条件によりドライエッチング及び/又はアッシング残渣などの金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層の除去するための障害となる不要物が剥離しにくい場合、例えば被処理物を除去液に浸漬して超音波洗浄を行ってもよい。
超音波洗浄を行う際の条件は、レジスト、反射防止膜、埋め込み材およびドライエッチング残渣などの不要物を除去すればよく、特に限定されるものではないが、通常23℃程度であれば、20〜1200kHz,50〜3000Wにて、0.1〜20分間程度である。
より具体的には、フッ化水素:IPA:水=0.1〜5重量%:90〜99.8重量%:0.1〜5重量%である除去液の場合には、液温が23℃程度であれば、20〜1200kHz,50〜3000にて、0.1〜20分間程度、フッ化水素:炭酸プロピレン:水=0.1〜4重量%:92〜99.8重量%:0.1〜4重量%である除去液の場合には、液温が23℃程度であれば、20〜1200kHz,50〜3000Wにて、0.1〜20分間程度である。
本発明の金属酸化物被膜の除去方法は、さらに、金属酸化物被膜を除去したウェハーを、純水で洗浄することにより行う。この洗浄工程により本発明の除去液を洗い流すことができる。単に純水で洗浄する工程の変わりに不活性ガスを溶解させた純水で洗浄する工程を用いるとなお好ましい。また、この水は不活性ガスを溶解させることにより酸素分圧を低下させているので、金属酸化物被膜が除去された金属の酸化および銅などの金属の腐食を有効に防ぐことができる。不活性ガスの水への溶解は、不活性ガスの除去液への溶解の場合と同様に行うことができる。
本発明において、金属酸化物被膜の除去においても、実質的に不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。実質的に不活性ガス雰囲気下というのは、完全に不活性ガス雰囲気下でもよいし、空気の酸素分圧よりも酸素分圧が低い雰囲気下でもよい。このような条件下で金属酸化物被膜の除去を行うことにより、金属酸化物被膜を除去した金属の酸化および銅などの金属の腐食をより有効に防止できるので好ましい。
本発明除去液を用いて金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層の除去を行った半導体基板は、例えば、銅やアルミ配線をするなど、慣用されている方法(例えば、詳説半導体CMP技術、土肥俊郎 編著 2001年 に記載された方法)に従って、様々な種類の半導体装置へと加工することができる。
以下、実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実験は、膜厚1000Å、30mm×30mmの銅のスパッタ成膜ウェハーを、本発明の除去液に25℃で1〜360分間、撹拌下(600rpm)に浸漬することにより行った。その後、3リットルの純水を満たした容器に2L/分で純水をオーバーフローさせて、その容器の中で短時間リンスし(2L/分で10秒)、Nパージで乾燥した。
除去液に浸漬する前後の膜厚を四探針法で測定し、その膜厚差(Å)を銅の酸化物被膜の除去量及び銅の侵食量とした。CuOの膜厚はX線干渉法により測定し約33Åであることを確認した。約33ÅまでをCuの酸化物(CuO、CuO、Cu(OH)等。以下、「CuO」と記載する場合もある。)、33Å以上をCuとして、それぞれ除去速度及び腐食速度を求めた。
本発明の除去液において、種々の有機溶媒を用いて銅の酸化物被膜の除去速度と銅の腐食速度を調べた。有機溶媒としてはそれぞれ、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、N−メチルホルムアミド(NMF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ギ酸(HCOOH)、アセトン(acetone)、イソプロピルアルコール(IPA)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、酢酸(CH3COOH)、炭酸プロピレン(PC)及び酢酸エチル(AcOEt)を用いた。
フッ化水素が0.15mol/Lになるように有機溶媒に50重量%フッ酸を添加した。以下のような割合になるようにフッ化水素、有機溶媒及び水を混合して本発明の除去液を得た。
・HF:メタノール:水=0.38重量%:99.24重量%:0.38重量%
・HF:エタノール:水=0.38重量%:99.24重量%:0.38重量%
・HF:N−メチルホルムアミド:水=0.30重量%:99.40重量%:0.30重量%
・HF:ジメチルホルムアミド:水=0.31重量%:99.38重量%:0.31重量%
・HF:ギ酸:水=0.25重量%:99.50重量%:0.25重量%
・HF:アセトン:水=0.38重量%:99.24重量%:0.38重量%
・HF:イソプロピルアルコール:水=0.38重量%:99.24重量%:0.38重量%
・HF:1,2−ジメトキシエタン:水=0.34重量%:99.32重量%:0.34重量%
・HF:酢酸:水=0.29重量%:99.42重量%:0.29重量%
・HF:炭酸プロピレン:水=0.25重量%:99.50重量%:0.25重量%
・HF:酢酸エチル:水=0.34重量%:99.32重量%:0.34重量%
このようにして得られた本発明の除去液を用いて、金属酸化物被膜の除去実験を行った。結果を図1に示す。図1に示した各有機溶媒における銅の酸化物被膜の除去速度と銅の腐食速度は、これらの測定点を結んだ線の傾きに相当する。この傾きが小さいほど銅の酸化物被膜の除去速度と銅の腐食速度が小さい。これらの速度の比が選択比となる。有機溶媒として、炭酸プロピレン、イソプロピルアルコール、酢酸、1,2,−ジメトキシエタン、ギ酸、アセトン等を用いた場合、銅に対して銅の酸化物被膜を選択的に除去できる。炭酸プロピレンは特にその効果が大きい。さらに通常の半導体プロセスでは、薬液を十分に除去するために、この場合に用いた約10秒間の短時間リンスよりも比較的長い数分間のリンスをすることが多い。このような場合には、約33Åの銅酸化物被膜を数十秒間の内に除去でき、銅の腐食も少なく、選択比がさらに大きくなることを確認した。
本発明の除去液において、有機溶媒として両性溶媒(メタノール(MeOH)、イソプロピルアルコール(IPA)及び酢酸(AcOH))を使用し、種々の濃度のHFを使用したほかは、実施例1と同様に実験を行った。結果を図2に示す。
この結果から、有機溶媒として両性溶媒を用いた場合にはHFの濃度依存的にCuOの除去速度が上昇し(図2(A))、銅の腐食速度はほとんど変化しない(図2(B))ことがわかった。
すなわち、本発明の除去液において有機溶媒としてアルコール等の両性溶媒を用いた場合には、HFの濃度を上げることにより、金属酸化物被膜に対してより選択的に作用する。
カルボン酸等の両性溶媒は、銅の酸化物被膜の除去速度及び銅の腐食速度のいずれも小さい。薄い銅の酸化物被膜を除去する際に銅の腐食を抑えられるので、このような場合に使用する場合に適する。この場合も比較的長い数分間のリンスをすることにより、銅酸化物被膜を数十秒間の内に除去でき、銅の腐食も少なく、選択比がさらに大きくなることを確認した。
本発明の除去液において、有機溶媒としてのIPAと水との比を変化させて実験を行った。採用したIPA/HOの重量比は、97重量%/3重量%、90重量%/10重量%、80重量%/20重量%、70重量%/30重量%及び0重量%/100重量%である。HFは0.6mol/L(約1.2重量%)を添加した。得られた結果を図3に示す。
この結果から、有機溶媒として両性溶媒を使用した場合には、水の濃度を増加させることにより、金属酸化物被膜に対してより選択的に作用することがわかった。
0.6mol/L(約1.2重量%)のHF、1.2重量%の水、1.5重量%の防食剤及び96.1重量%のIPAを混合して本発明の除去液を作製し、金属酸化物被膜の除去実験を行った。防食剤としては、それぞれ、ピロガロール(pyrogallol)、フタル酸(phthal acid)、ベンゾトリアゾール(benzotriazole)及びD−ソルビトール(D−sorbitol)を使用した。結果を図4に示す。
防食剤を添加することにより、銅の酸化被膜(約33Å)を除去した後の銅の腐食が抑えられている。
本発明の除去液において、種々の有機溶媒を用いて銅の酸化物被膜の除去速度と銅の腐食速度を調べた。有機溶媒としては、両性溶媒と極性非プロトン溶媒から、それぞれ、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロピルアルコール(IPA)、酢酸(CH3COOH)、N−メチルホルムアミド(NMF)、ホルムアミド(FA)、ギ酸(HCOOH)、1−プロパノール(1−PrOH)、エチレングリコールモノメチルエーテル(EGMME)、エチレングリコール(EG)、ジメチルアセトアミド(DMA)、アセトン(acetone)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、炭酸プロピレン(PC)、酢酸エチル(AcOEt)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン(γ−butyrolactone)を用いた。
フッ化水素濃度は0.15mol/Lを含み、0.1mol/L〜1.2mol/Lの範囲になるように有機溶媒に50重量%フッ酸を添加した。以下のような割合になるようにフッ化水素、有機溶媒及び水を混合して本発明の除去液を得た。
・HF:メタノール:水=0.09〜0.75重量%:99.82〜98.5重量%:0.09〜0.75重量%
・HF:エタノール:水=0.38重量%:99.24重量%:0.38重量%
・HF:イソプロピルアルコール:水=0.28〜2.98重量%:99.44〜94.04重量%:0.28〜2.98重量%
・HF:酢酸:水=0.1〜1.5重量%:99.8〜97.0重量%:0.1〜1.5重量%
・HF:N−メチルホルムアミド:水=0.30重量%:99.40重量%:0.30重量%
・HF:ホルムアミド:水=0.26重量%:99.48重量%:0.26重量%
・HF:ギ酸:水=0.24重量%:99.52重量%:0.24重量%
・HF:1−プロパノール:水=0.37重量%:99.26重量%:0.37重量%
・HF:エチレングリコールモノメチルエーテル:水=0.31重量%:99.38重量%:0.31重量%
・HF:エチレングリコール:水=0.27重量%:99.46重量%:0.27重量%
・HF:ジメチルアセトアミド:水=0.32重量%:99.36重量%:0.32重量%
・HF:アセトン:水=0.38重量%:99.24重量%:0.38重量%
・HF:1,2−ジメトキシエタン:水=0.17〜0.68重量%:99.66〜98.64重量%:0.17〜0.68重量%
・HF:炭酸プロピレン:水=0.12〜1.5重量%:99.76〜97.0重量%:0.12〜1.5重量%
・HF:酢酸エチル:水=0.33〜0.66重量%:99.34〜98.68重量%:0.33〜0.66重量%
・HF:ジメチルホルムアミド:水=0.16〜0.62重量%:99.68〜98.76重量%:0.16〜0.62重量%
・HF:ジメチルスルホキシド:水=0.07〜0.27重量%:99.86〜99.46重量%:0.07〜0.27重量%
・HF:γ−ブチロラクトン:水=0.26重量%:99.48重量%:0.26重量%
比較のために以下の混合液を作製した。
・HF:水=0.30重量%:99.7重量%
本発明の除去液の有機溶媒として両性溶媒と非プロトン性溶媒を用いた場合の銅の腐食速度に対する銅の酸化物被膜の除去速度を図5−1、図5−2にそれぞれ示した。ここで使用した本発明の除去液のフッ化水素濃度範囲においては、シリコン酸化膜やLow−k膜のエッチングは少なく、ダメージを与えない。銅の腐食を抑えて銅の酸化物被膜を除去できるかどうかがが問題となる。
点線は銅の腐食速度に対する銅酸化物被膜の除去速度の選択比が1の線であることを示す。影のついた領域(銅の酸化膜の除去速度0.1Å/min以上、銅の腐食速度3Å/min以下の領域)が除去液として使用するのに適する範囲である。すなわち、銅の腐食を抑えて銅の酸化被膜を除去できる範囲である。
この影のついた領域において、選択比1以上である領域(点線より上の影のついた領域)が、さらに好ましい範囲である。
両性溶媒においては、IPAを用いた場合、フッ化水素の濃度を高くすることにより、選択比も向上している。両性溶媒においては、IPAが最も好ましい溶媒である。HOOH、EGMME、NMF等も選択比1以上を示し良好な溶媒である。EtOH、EG等はフッ化水素濃度を0.15mol/L以下にすることにより、銅の腐食を抑えるとさらに好ましい溶媒となる。AcOHは防食効果が大きく、フッ化水素の濃度を高くしても銅の酸化物被膜の除去速度及び銅の腐食速度のいずれも小さい。AcOHは、薄い銅の酸化物被膜を除去する際に銅の腐食を抑えられるので、このような場合や時間をかけて銅の酸化物被膜を除去する処理に適している。水、MeOH、FAは銅の腐食が大きく、選択比も1程度である。これらは単独で使用しにくい。特に水は、ドライエッチングプロセス等で生じる有機成分を含む物質が金属酸化被膜の周辺に存在する場合、これらを取り除けないため、他の溶媒に比べて除去効果が劣る。MeOH、FAは酢酸等の銅酸化被膜の除去速度が小さい他の溶媒と混合して酸化膜除去効果を付与するために使用することが可能である。
極性非プロトン性溶媒では、炭酸プロピレンが最も好ましい溶媒である。アセトン、γ−ブチロラクトン、DMA等も好ましい溶媒として使用できる。AcOEt、DMEは選択比が1程度であるが、薄い銅の酸化物被膜を除去する際に銅の腐食を抑えられるので、このような場合や時間をかけて銅の酸化物被膜を除去する処理に適している。DMSO、DMFは銅の腐食速度が大きく、選択比も1程度である。これらも単独で使用しにくい。酢酸エチル等の銅の酸化被膜の除去速度が小さい他の溶媒と混合して酸化物被膜を除去する効果を付与するために使用することが可能である。この場合も比較的長い数分間のリンスをすることにより、銅酸化物被膜を数十秒間の内に除去でき、銅の腐食も少なく、選択比がさらに大きくなることを確認した。
本発明の除去液を用いて処理した場合のシリコン酸化膜及びLow−k膜等のエッチングによる膜の減少、銅の酸化物膜(CuxO)及びドライエッチングやアッシングによる損傷を受けて形成された、銅の酸化物被膜を含む銅変質層の除去及び銅の腐食を、成膜した8インチウェハーを一定の大きさに切り出した成膜ウェハーを用いて調べた。さらに、テストパターン付きウェハーにより、レジスト、反射防止膜及び埋め込み材やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣が共存する場合、これらの除去と銅酸化被膜(CuxO)及びドライエッチングやアッシングによる損傷を受けて形成された、銅酸化物被膜を含む銅変質層と見なせる銅表面上の残渣の除去及びパターンの形状の変化を調べた。
使用した成膜ウェハーを以下に示す。
膜厚1000Å、30mm×30mm銅のスパッタ成膜ウエハー、
膜厚1000Å、15mm×10mmのシリコン熱酸化膜ウエハー、
膜厚5000Å、15mm×10mmのポーラスLow−k膜ウエハー、
膜厚5000Å、15mm×10mmのプラズマCVD SiN膜ウエハー、
銅のスパッタ成膜ウェハーは、使用前に、0.1NのH2SO4水溶液で、銅の酸化膜約33Åと銅の一部を除去し、自然酸化膜が数Å生成した状態にした。プラズマCVD SiN膜ウエハーは、OHと結合したシリコン(Si−OH結合)及び/又はHと結合したシリコン(Si−H結合)を含む反射防止膜及び埋め込み材、ドライエッチング残渣及び銅表面残渣の除去の目安として用いた。プラズマCVD SiN膜の除去液によるエッチング量が多いほど、これらの除去性が高い。
金属酸化物被膜、及び/又は、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けた、金属酸化物被膜を含む金属変質層のサンプルウェハーは、銅のスパッタ成膜ウエハーをフルオロカーボンプラズマでエッチング処理した後、H2/Heプラズマでアッシング処理した。その後、大気中に約1日放置して約十数Åの自然酸化膜を形成した。
ドライエッチング条件;
プラズマ源と電力:ICP(誘導結合プラズマ)800W、
ガス(圧力):c−C/O/N(1mTorr/3mTorr/6mTorr)、バイアス電力:100W、時間:5分アッシング条件;
プラズマ源と電力:ICP(誘導結合プラズマ)200W、
ガス(圧力):H/He(5mTorr/20mTorr)、バイアス電力:0W、時間:5分
このウェハーを本発明除去液で処理して、その表面をXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)で調べて銅と結合したF(フッ素)のピークが検出されるかどうかで、ドライエッチング及び/又はアッシングによる損傷を受けて形成された、金属酸化物被膜を含む金属変質層の有無を調べた。銅と結合したFが検出された場合には変質層が存在していると見なした。
さらに、テストパターン付きウェハーは、次のようにして作製した。ポーラスLow−k膜(ポーラスMSQ)、絶縁膜バリアであるSiN膜、シリコンを含有する反射防止膜(BARC)、レジスト(KrF)膜が形成されたSi基板について、ビアエッチングとHe/H2プラズマでアッシング処理を行い、その後、埋め込み材を充填して、再度、リソグラフィー、トレンチエッチング、He/H2プラズマでアッシングを行った。SiN膜の表面上に若干のレジスト(表面のレジストがドライエッチング処理により変質したものを含む)反射防止膜(BARC)及びドライエッチング残渣を有し、ビアやトレンチ内にも埋め込み材が若干残った銅配線形成前のデュアルダマシン構造の被処理物を得た。
埋め込み材、ポーラスLow−k膜は、以下のものを用いた:
埋め込み材:Si,C,O,Hを含み、Si−OH、Si−CH3、Si−O結合を有する材;
ポーラスLow−k膜:Si,C,O,Hを含み、Si−CH3、Si−O結合を有する塗布膜;
テストパターンのレジスト、反射防止膜及び埋め込み材やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣、銅表面上の残渣除去の具合や断面形状は電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。
有機溶媒としては両性溶媒と極性非プロトン溶媒から、それぞれ、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロピルアルコール(IPA)、酢酸(CH3COOH)、N−メチルホルムアミド(NMF)、ホルムアミド(FA)、ギ酸(HCOOH)、1−プロパノール(1−PrOH)、エチレングリコールモノメチルエーテル(EGMME)、エチレングリコール(EG)、ジメチルアセトアミド(DMA)、アセトン(acetone)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、炭酸プロピレン(PC)、酢酸エチル(AcOEt)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ−ブチロラクトン(γ−butyrolactone)を用いた。
フッ化水素が0.15mol/Lになるように有機溶媒に50重量%フッ酸を添加した。以下のような割合になるようにフッ化水素、有機溶媒及び水を混合して本発明の除去液を得た。
・HF:メタノール:水=0.38重量%:99.24重量%:0.38重量%
・HF:エタノール:水=0.38重量%:99.24重量%:0.38重量%
・HF:イソプロピルアルコール:水=0.38重量%:99.24重量%:0.38重量%
・HF:N−メチルホルムアミド:水=0.30重量%:99.40重量%:0.30重量%
・HF:ホルムアミド:水=0.26重量%:99.48重量%:0.26重量%
・HF:酢酸:水=0.29重量%:99.42重量%:0.29重量%
・HF:ギ酸:水=0.24重量%:99.52重量%:0.24重量%
・HF:1−プロパノール:水=0.37重量%:99.26重量%:0.37重量%
・HF:エチレングリコールモノメチルエーテル:水=0.31重量%:99.38重量%:0.31重量%
・HF:エチレングリコール:水=0.27重量%:99.46重量%:0.27重量%
・HF:アセトン:水=0.38重量%:99.24重量%:0.38重量%
・HF:1,2−ジメトキシエタン:水=0.34重量%:99.32重量%:0.34重量%
・HF:炭酸プロピレン:水=0.25重量%:99.50重量%:0.25重量%
・HF:酢酸エチル:水=0.34重量%:99.32重量%:0.34重量%
・HF:γ−ブチロラクトン:水=0.26重量%:99.48重量%:0.26重量%
比較として、
・HF:水=0.30重量%:99.7重量%
・HF:ジメチルホルムアミド:水=0.31重量%:99.38重量%:0.31重量%
・HF:ジメチルスルホキシド:水=0.27重量%:99.46重量%:0.27重量%
・HF:ジメチルアセトアミド:水=0.32重量%:99.36重量%:0.32重量%
・HF:炭酸プロピレン:水=10.30重量%(6mol/L):89.70重量%:0重量%
・HF:炭酸プロピレン:水=3.38重量%(2mol/L):96.62重量%:0重量%
を用いた。
表1に本発明の除去液を用いて処理した場合実施例と表2に比較例を示す。
シリコン酸化膜(Thox)、ポーラスLow−k膜の除去液によるエッチング量が20Å以下の場合は問題ないとして“A”、20Å以上では“C”、プラズマCVDSiN(PE−SiN)の除去液によるエッチング量が5Å以上の場合はOHと結合したシリコン(Si−OH結合)及び/又はHと結合したシリコン(Si−H結合)を含む反射防止膜及び埋め込み材、ドライエッチング残渣及び銅の表面残渣を除去する効果が大きく“A”、5Å以下は“C”とした。銅の腐食は、5Å以下は“A”、5Å〜10Åは“B”、10Å以上は“C”とした。銅の酸化被膜は、四探針法で針を軽く接触させたときに銅の比抵抗値が測定できた場合を“A”、できなかった場合を“C”とした。変質層は銅と結合したF(フッ素)のピークが検出された場合を“C”、検出されなかった場合を“A”とした。レジスト、反射防止膜及び埋め込み材やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣、銅表面上の残渣は、除去できている場合は“A”、できていない場合は“C”、断面形状がほぼ設計寸法どおりである場合は“A”、絶縁膜バリアやポーラスLow−k膜に段差等が生じている場合は“C”とした。
Figure 2005019499
表1では、MeOH,EtOH,1−PrOH,NMF,FA等の銅の腐食量が多い。MeOHは単独では使用しにくい。MeOH以外はフッ化水素濃度を約半分にさせることにより、テストパターンでは断面形状の変化は抑えられた。FAはポーラスLow−k膜の場合エッチング量が多くテストパターンの形状を変化させてしまう。FAはシリコン酸化膜(Thox)の場合では問題ない。EGMMEはPE−SiNのエッチング量が少ないことに対応して、テストパターンでも反射防止膜(BARC)と埋め込み材の除去性がよくない。このためテストパターンの断面形状も悪い。フッ化水素HF濃度を0.3mol/Lにするとこの問題は解決できた。
これら以外の溶媒を使用した場合では、Low−k膜やシリコン酸化膜のエッチングを抑制して、レジスト、反射防止膜(BARC)及び埋め込み材やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するエッチング残渣が共存する場合であっても、これらを除去し、銅酸化物被膜及びドライエッチングやアッシングによる損傷を受けて形成された、銅酸化物被膜を含む銅変質層を銅に対して選択的に除去できている。
表2には比較例を示す。
溶媒が水の場合、すなわちフッ化水素濃度0.15mol/Lの希フッ酸では、シリコン酸化膜(Thox)、ポーラスLow−k膜のエッチング量、銅の腐食が多く、変質層も除去できていない。テストパターン付きウエハーでは、ポーラスLow−k膜の横方向のエッチング量が多く、計形状変化が著しい。有機成分を除去できないために、レジスト、ドライエッチング残渣、銅表面残渣も除去できていない。反射防止膜(BARC)もレジストと密着しているため除去しきれていない。DMF,DMSO,DMAは銅の腐食量が多い。変質層の除去もできていない。PE−SiNのエッチング量が少ないことと対応して、反射防止膜(BARC)、埋め込み材、ドライエッチング残渣、銅表面残渣のいずれも完全に除去できていない。このため、これらが残ったままの状態でパターンの形状も悪い。したがって、これらの溶媒は単独で本発明の目的に使用することは難しい。
フッ化水素HF濃度6mol/LとPCの混合液は、米国特許第6200891号公報の実施例に示された組成である。フッ化水素HF濃度2mol/LとPCの混合液は特許請求の範囲に示された組成の一部である。これらには水は含まれていない。これらは、ともにシリコン酸化膜のエッチング量が多く、フッ化水素HF濃度6mol/LではポーラスLow−kのエッチング量が多い。水が含まれていないためPE−SiNのエッチング量が少ない。これに対応して反射防止膜(BARC)、埋め込み材が除去できていない。これらのことに起因してテストパターンの形状も悪い。フッ化水素濃度が6mol/Lと高いと銅の腐食量も多くなる。このため、国特許第6200891号公報の特許請求の範囲に示された大半の組成では、レジスト、反射防止膜及び埋め込み材やドライエッチング及び/又はアッシングに伴い発生するドライエッチング残渣が共存する場合、これらの除去と銅酸化被膜(CuO)及びドライエッチングやアッシングによる損傷を受けて形成された、銅酸化物被膜を含む銅変質層を、銅に対して選択的に除去することは困難である。
Figure 2005019499
本発明の除去液によれば、シリコン酸化膜やLow−k膜のエッチングを抑制し、ウェハーに形成された金属配線等の金属薄膜、電極、金属層等の表面にできた金属変質層を効率良く、金属(特に銅)を腐食させずに除去することができる。

Claims (20)

  1. フッ化水素、有機溶媒及び水を含み、フッ化水素:有機溶媒:水の重量比が0.001〜10重量%:70〜99.998重量%:0.001〜20重量%である、導電性金属上に形成された金属変質層を除去するための除去液。
  2. 有機溶媒が両性溶媒であって、フッ化水素:両性溶媒:水の重量比が0.05〜8重量%:76〜99.9重量%:0.05〜16重量%である請求項1に記載の除去液。
  3. 両性溶媒が、一価アルコール、二価アルコール、グリコールエーテル、カルボン酸、スルホン酸及びアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の除去液。
  4. 両性溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール及びt−ブタノール等の一価アルコール(メタノール、エタノールは単独では使用せず、他の溶媒と併用される)、エチレングリコール及びプロピレングリコール等の二価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等のモノアルキルグリコールエーテル、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等のカルボン酸、メタンスルホン酸、及びN−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ホルムアミド等のアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の除去液。
  5. フッ化水素:イソプロピルアルコール:水の重量比が0.1〜5重量%:85〜99.8重量%:0.1〜10重量%である請求項4に記載の除去液。
  6. 有機溶媒が極性非プロトン性溶媒であって、フッ化水素:極性非プロトン性溶媒:水の重量比が0.01〜5重量%:85〜99.98重量%:0.01〜10重量%である請求項1に記載の除去液。
  7. 極性非プロトン性溶媒が、エステル、エーテル、グリコールジエーテル、アセトン及び無水酢酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載の除去液。
  8. 極性非プロトン性溶媒が、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、亜硫酸エチレン、γ−ブチロラクトン、リン酸トリブチル及びリン酸トリメチル等のエステル、ジオキサン、トリオキサン、1,1−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシメタン、ジメトキシプロパン、ジエトキシメタン、ジグライム、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル及びポリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル、アセトン及び無水酢酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項14に記載の除去液。
  9. 極性非プロトン性溶媒が炭酸プロピレンであり、フッ化水素:炭酸プロピレン:水の重量比が0.1〜5重量%:85〜99.8重量%:0.1〜10重量%である請求項8に記載の除去液。
  10. さらに防食剤を含む請求項1に記載の除去液。
  11. 防食剤が、チオール、芳香族ヒドロキシ化合物、トリアゾール化合物、糖類、カルボキシル基含有有機化合物及びその無水物、アセチレンアルコール及び還元剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項10に記載の除去液。
  12. 防食剤が、金属酸化物被膜の除去液に対して0.01〜20重量%含まれる請求項10に記載の除去液。
  13. さらに不活性ガスを溶存させた請求項1に記載の除去液。
  14. 配線の金属が銅、アルミニウム、タングステン、コバルト、モリブデン、ルテニウム、白金、イリジウム、タンタル、チタン及びこれらの合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物及び金属である請求項1に記載の除去液。
  15. シリコン酸化膜及びLow−k膜から選ばれる少なくとも一種のエッチング速度が10Å/min以下である請求項1に記載の除去液。
  16. 銅のエッチング速度が3Å/min以下である請求項1に記載の除去液。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の除去液と、表面上に金属酸化物被膜が形成された導電性金属を有する除去処理物とを接触させることにより、前記金属酸化物被膜を除去する方法。
  18. 金属酸化物被膜を除去した除去処理物を、不活性ガスを溶解させた水で洗浄する工程をさらに含む請求項17に記載の方法。
  19. 実質的に不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする請求項17に記載の方法。
  20. 請求項17〜19のいずれかに記載の方法によって得られた除去処理物
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