JPWO2005015555A1 - 光学情報記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

半透明な情報層を用いた高密度記録においても信号品質の良好な光学情報記録媒体を提供する。レーザ光の照射により情報信号を記録・再生する記録層を含む情報層を1層以上有し、その情報層の照射面側の第1情報層が、表面にスパイラル状又は同心円状に形成された案内溝を有しその案内溝の内周側と外周側の傾斜面がその案内溝の底面に対しそれぞれ傾斜角αとβを有する保護基板又は分離層の上に形成されている。案内溝は、傾斜角αとβが異なる1以上の非対称領域を半径方向に有し、情報層はその非対称領域の内周側と外周側の傾斜面において概ね一致する膜厚を有している。

Description

本発明は、レーザ光を用いて大容量の情報信号を記録及び再生する光学情報記録媒体及びその製造方法に関するものである。
レーザ光を用いて信号を記録及び再生することのできる光学情報記録媒体として、相変化型光ディスク、光磁気ディスク、色素ディスク等がある。この内、記録・消去可能な相変化型光ディスクでは、通常、記録層材料としては一般的にカルコゲン化物を用いる。一般には、記録層材料が結晶状態の場合を未記録状態とし、レーザ光を照射し、記録層材料を溶融・急冷して非晶質状態とすることにより信号を記録する。一方、信号を消去する場合は、記録時よりも低パワーのレーザ光を照射して、記録層を結晶状態とする。カルコゲン化物からなる記録層は非晶質で成膜されるので、予め記録領域全面を結晶化して未記録状態を得る必要があり、この記録領域の全面結晶化を初期化と呼ぶ。
記録・消去可能な相変化型光ディスクにおいて高密度化を実現する技術として記録・再生のための光源として従来通常用いられていた赤色レーザ光に替えて、波長410nm前後の青色レーザ光を用い、かつ記録・再生のためのレーザ光を光ディスクに照射する光学系の対物レンズの開口数を従来通常用いられていた0.60から0.85前後に大きくすることにより、レーザ光スポットを縮小することが提案されている。0.85のように対物レンズの開口数を大きくして用いる場合、記録・再生特性における光学情報記録媒体のチルトトレランスを確保する目的で、レーザ光入射側の透明保護基板の厚さを例えば0.1mmのようにすでに商品化されているDVD−RAMの基板厚さ0.6mmに比べて薄くすることも提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、面当たりの記録容量を倍増させる技術として、片面多層構造媒体も提案されている(例えば特許文献2参照)。また、表面に案内溝を有する光ディスクの基板の作製に関する技術も知られている(例えば特許文献3参照)。
特開平10−154351号公報 特開2000−36130号公報 特開平9−320100号公報
しかしながら、青色レーザ光を用いて信号を記録・再生する片面多層の相変化光ディスクでは、レーザ光源に近い側の情報層において、ディスクの特に外周領域で記録後のノイズレベルが内周及び中周領域に比べて悪化することが、本発明者らの実験によって明らかになった。このディスクの断面を透過型電子顕微鏡により観察したところ、案内溝の形状自体は、ディスクの内周から外周の全域にわたって、案内溝の中心に対してほぼ対称で特に問題なかったが、ディスクの外周領域においては、案内溝の内周側の傾斜面と外周側の傾斜面とで情報層の膜厚が顕著に、例えば2割程度異なっていることが確認された。
この膜厚差とノイズレベルが高いこととの因果関係は、以下のように熱的な側面と光学的な側面が考えられる。まず、案内溝の内周側の傾斜面と外周側の傾斜面における膜厚に差があると、それぞれの熱容量の差により熱の拡散速度に差が生じ、トラック中心に対して非対称な歪んだマーク形状となり、ノイズレベルが上昇する。また、案内溝の内周側の傾斜面と外周側の傾斜面とでレーザ光に対する反射率等の光学的特性に差が生じ、レーザ光のスポット中心がトラック中心からずれてしまって正常なトラッキング動作に変調をきたし、このような状態で記録動作を行った結果ノイズレベルが上昇する。
また、これまで実用化された記録媒体は、多層記録媒体ではなく単一の情報層のみを有する記録媒体であったため、情報層はレーザ光を透過させる必要がなく、例えば反射膜等を透過率がほとんどゼロになる膜厚まで十分厚くしており、溝の内周側の傾斜面と外周側の傾斜面とで膜厚に差があってもその部分の熱的あるいは光学的な特性差が無視できるレベルであったと考えられる。これに対し、多層記録媒体のレーザ光源から近い側の情報層は一定の、例えば30%以上の透過率が必要であり、単一の情報層のみを有する記録媒体やレーザ光源から遠い側の情報層とは違って、その熱的あるいは光学的特性が膜厚の差に非常に敏感であると考えられる。
情報層を構成する薄膜は、ほぼ全ての当業者が、基板とターゲットを対向させてスパッタリング法により形成しており、本発明者らもこの方法で成膜を行っている。成膜装置の簡便性・実用性や成膜速度の観点から他の方法は採用が困難である。通常、レーザ光による記録は、案内溝及び/又は案内溝間の平坦な部分にマークを形成して行われるため、ディスク内周領域から外周領域まで平坦な部分の膜厚を均一に保つように成膜装置は設計されている。しかしながら、案内溝の傾斜面については、膜の原材料であるターゲットからスパッタリングによりその粒子が飛んでくる角度及び速度が、ディスクの内周領域から外周領域まで均等ではないため、遮影(シャドウイング)効果によって内周側の傾斜面と外周側の傾斜面とで膜厚に差のある部分ができてしまう。しかし、案内溝の傾斜面はマークを形成しないため記録再生特性には直接影響しないと考えられていたため、内周側の傾斜面と外周側の傾斜面とで膜厚をディスクの内周領域から外周領域までの全域に亘り高い精度で均一にする取組みは行われていなかった。
そこで、本発明は、上記課題を解決し、半透明な情報層を用いた高密度記録においても信号品質の良好な光学情報記録媒体を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するため、本発明の光学情報記録媒体は、レーザ光の照射により情報信号を記録・再生する記録層を含む情報層を1層以上有し、該情報層の照射面側の第1情報層が、表面にスパイラル状又は同心円状に形成された案内溝を有し該案内溝の内周側と外周側の傾斜面が該案内溝の底面に対しそれぞれ傾斜角αとβを有する保護基板又は分離層の上に形成されて成る光学情報記録媒体であって、上記傾斜角αとβが異なる非対称領域を有することを特徴とする。
また、本発明の光学情報記録媒体には、半径方向に2以上の非対称領域を有するものを用いることができる。
また、本発明の光学情報記録媒体には、傾斜角βが傾斜角αより小さいものを用いることができる。例えば、α−β≧20度の関係にあるものを用いることができる。
また、本発明の光学情報記録媒体には、保護基板が半径rを有し、非対称領域が保護基板の中心から距離r/2より大きい半径方向に形成されて成るものを用いることができる。
また、本発明の光学情報記録媒体には、上記非対称領域が第1と第2の非対称領域を有し、第1の非対称領域においては、α−β≦10度であり、第2の非対称領域においては、α−β≧20度の関係を有するものを用いることができる。
また、本発明の光学情報記録媒体には、上記第1の非対称領域が保護基板の中心から距離r/2より小さい半径方向に形成される一方、上記第2の非対称領域が保護基板の中心から距離r/2より大きい半径方向に形成されて成るものを用いることができる。
また、本発明の光学情報記録媒体には、第1の案内溝を有する保護基板上に、少なくとも、第2情報層と、第2の案内溝を有する分離層と、そして第1情報層とを順次積層して成る片面多層構造を有するものを用いることができる。
また、本発明の光学情報記録媒体は、情報層が非対称領域の内周側と外周側の傾斜面において概ね一致する膜厚を有するものである。
本発明の光学情報記録媒体は、その表面に情報層を形成する保護基板又は分離層の表面に傾斜角αとβが異なる1以上の非対称領域を半径方向に有する案内溝を有しているので、情報層を成膜する際のシャドーイング効果の影響を小さくすることができる。これにより、案内溝の内周側の傾斜面と外周側の傾斜面における第1情報層の膜厚を概ね一致させて、再生時のノイズレベルを低下させることができる。これにより、半透明な情報層への高密度記録においても信号品質の良好な光学情報記録媒体を提供することができる。特に、分離層で分離された2つ以上の情報層を有する片面多層構成において、レーザ光が入射する側の情報層に対して特に効果的である。
本発明の光学情報記録媒体は、例えば以下の方法を用いて製造することができる。すなわち、レーザ光の照射により情報信号を記録・再生する記録層を含む情報層を1層以上有し、該情報層の照射面側の第1情報層が、表面にスパイラル状又は同心円状に形成された案内溝を有し該案内溝の内周側と外周側の傾斜面が該案内溝の底面に対しそれぞれ傾斜角αとβを有する保護基板又は分離層の上に形成されて成り、上記傾斜角αとβが異なる非対称領域を有する光学情報記録媒体の製造方法であって、上記保護基板は原盤から作製したスタンパを金型として成形してなるものであって、上記原盤に上記傾斜角αとβが異なる非対象領域を有するものを用いることを特徴とする。
また、上記の製造方法において、原盤用基板上にレジスト層を形成し、レーザ光を集光レンズで集光し該レジスト層をカッティングしてマスクパターンを形成し、エッチングによりスパイラル状又は同心円状の案内溝を形成して上記原盤を作製するに際し、上記集光レンズに入射するレーザ光の光軸を傾斜させて上記レジスト層をカッティングする方法を用いることができる。
また、上記の製造方法において、原盤用基板上にレジスト層を形成し、レーザ光を集光レンズで集光し該レジスト層をカッティングしてマスクパターンを形成し、エッチングによりスパイラル状又は同心円状の案内溝を形成して上記原盤を作製するに際し、集光された2つのレーザ光を用いてレジスト層をカッティングする方法を用いることもできる。
本発明の実施の形態1に係る光学情報記録媒体の構造の一例を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態2に係る光学情報記録媒体の構造の一例を示す一構成例の断面図である。 本発明の光学情報記録媒体に用いる情報層の構造の一例を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態2に係る光学情報記録媒体の別の構造の一例を示す模式断面図である。 本発明の光学情報記録媒体を用いた記録再生装置の構成の一例を示す概略図である。 本発明の光学情報記録媒体の記録再生に用いるパルス波形の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 透明基板、2 第1情報層、3 保護基板、4 溝、5 レーザ光、6 対物レンズ、7 分離層、8 第2情報層、9 第n情報層、10 下側誘電体膜、11 下側界面膜、12 記録膜、13 上側界面膜、14 上側誘電体膜、15 反射膜、16 透過率調整膜、17 レーザダイオード、18 ハーフミラー、19 モーター、20 光学的情報記録媒体、21 フォトディテクター、41 底面、42 傾斜面。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本実施の形態に係る単一層構造の光学情報記録媒体の構造の一例を示す模式断面図である。本実施の形態に係る光学情報記録媒体は、円盤状の透明基板1と保護基板3の間に半透明な第1情報層2を備えている。第1情報層2はレーザ光案内用のスパイラル状の案内溝4を有し、レーザ光の照射により情報の記録・再生を行う。ここで、半透明とは記録再生を行うレーザ光の波長において少なくとも30%以上の透過率を有することを示す。さらに、案内溝4の内周側と外周側の傾斜面42、43は案内溝の底面41に対し、それぞれ傾斜角αとβを有している。また、第1情報層2は、内周側の傾斜面42と外周側の傾斜面43において、それぞれ膜厚dとdを有している。この光学情報記録媒体に対し、透明基板1の側からレーザ光5を対物レンズ6で集光し、照射して記録・再生を行う。
本実施の形態においては、案内溝の傾斜角βが傾斜角αよりも小さい非対称領域を有しているので、成膜時のシャドーイング効果の影響を小さくすることができる。これにより、案内溝の内周側の傾斜面と外周側の傾斜面における第1情報層の膜厚を概ね一致させることができる。そのため、再生時のノイズレベルを低下させることができる。ここで、概ね一致するとは、d/dが1±0.05の範囲にあることをいう。
実施の形態2.
本実施の形態に係る光学情報記録媒体は、図2の模式断面図に示すように片面多層構造を有している。この記録媒体は、第1情報層と第2情報層の2層の情報層を有しており、保護基板3上に、第2情報層、分離層、そして第1情報層が順次積層されている。
また、図3は、第1情報層2の多層膜構成の一例の断面図を示す。第1情報層2は、透明基板1に近い側から順に、下側誘電体膜10、下側界面膜11、記録膜12、上側界面膜13、上側誘電体膜14、反射膜15、透過率調整膜16を順次積層してなる。この内、記録膜12以外は省略することもできる。
本実施の形態においては、実施の形態1と同様の効果が得られるのみならず、多層の情報層を有しているので、より高密度記録が可能である。なお、本実施の形態において、情報層の数は2層に限定されず、図4に示すようにさらに第n情報層9(但し、nは3以上の整数)を、分離層7を介して第1情報層2と保護基板3の間に設けることができる。
以下、実施の形態1及び2に係る光学情報記録媒体の構造と作製方法について詳細に説明する。
透明基板1の材料としては、レーザ光5の波長において略透明であることが好ましく、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、紫外線硬化性樹脂、ガラス、あるいはこれらを適宜組み合わせたもの等を用いることができる。また、透明基板1の厚さは特に限定されないが、0.01〜1.5mm程度のものを用いることができる。
下側誘電体膜10及び上側誘電体膜14は、繰り返し記録する際の記録膜の蒸発や基板の熱変形を防止し、さらには光学的干渉効果により記録膜の光吸収率や光学的変化をエンハンスする等の目的で設けられ、耐熱性に優れた誘電体材料等を用いる。例えば、Y、Ce、Ti、Zr、Nb、Ta、Co、Zn、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Te等の酸化物、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb等の窒化物、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Si等の炭化物、Zn、Cd等の硫化物、セレン化物またはテルル化物、Mg、Ca、La等の希土類等のフッ化物、C、Si、Ge等の単体、あるいはこれらの混合物を用いることができる。中でも特に略透明で熱伝導率の低い材料、例えばZnSとSiOの混合物等が好ましい。下側誘電体膜10及び上側誘電体膜14は、必要に応じて異なる材料・組成のものを用いてもよいし、同一の材料・組成のものを用いることもできる。
下側界面膜11及び上側界面膜13は、記録膜12の結晶化を促進し、消去特性を向上させる、あるいは記録膜12と下側誘電体膜10及び/または上側誘電体膜14との間の原子・分子の相互拡散を防止し、繰り返し記録における耐久性を向上させる等の目的で記録膜12に接して設けられる。さらには、記録膜12との間に剥離や腐食を生じない等の環境信頼性も兼ね備えている必要がある。下側界面膜11及び上側界面膜13の材料としては、上記の下側誘電体膜10及び上側誘電体膜14の材料として挙げたものの中に、その役割を果たすものが幾つか存在する。例えばGe、Si等をベースにした窒化物、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及びSi等の酸化物またはこれらの複合酸化物を用いることができ、中でも特にTi、Zr、Hf、V、Nb及びTa等の酸化物をベースとして、Cr、Mo及びW等の酸化物を添加したものは耐湿性の面で優れており、さらにSi等の酸化物を添加したものは消去率をより高くすることができる。下側界面膜11及び上側界面膜13の膜厚は特に限定されないが、薄すぎると界面膜としての効果が発揮できなくなり、厚すぎると記録感度低下等につながるため、例えば0.2nm以上20nm以下であることが好ましい。下側界面膜11と上側界面膜13は、いずれか片方設けるだけでも上記効果を発揮するが、両方設けることがより好ましく、両方設ける場合は必要に応じて異なる材料・組成のものを用いてもよいし、同一の材料・組成のものを用いることもできる。また、上側界面膜13を用いる場合は上側誘電体膜14を省略することも可能であり、その場合の上側界面膜13の膜厚は2nm以上50nm以下が好ましい。
記録膜12としては、大別して書換型と追記型の2種類がある。書換型の記録膜12としては相変化記録材料、すなわち、Te及び/またはSb等のカルコゲン材料を主成分としたものが適している。中でも特に、GeTe及びSbTeの両化合物組成を適当な割合で混合した材料系が、結晶化速度が速く、透過率を高めるために膜厚を薄くしても記録再生特性を保持しやすいため好ましい。この材料系は、より結晶化速度を高めるために、Geの一部をSnで、あるいはSbの一部をBiで置き換えることができ、一般式(GeSn1−x(SbBi1−yTez+3(但し、0.5<x≦1、0≦y≦1、z≧1)で表される組成を用いるのがさらに好ましい。x≧1とすることで反射率及び反射率変化を大きくすることができる。このような材料組成には、結晶化速度、熱伝導率または光学定数等の調整、あるいは繰り返し耐久性、耐熱性または環境信頼性の向上等の目的で、In、Ga、Zn、Cu、Ag、Au、Crあるいは追加のGe、Sn、Sb、Bi、Te等の金属、半金属または半導体元素、またはO、N、F、C、S、B等の非金属元素から選ばれる1つまたは複数の元素を必要に応じて記録膜12全体の10原子%以内、より好ましくは5原子%以内の組成割合の範囲で適宜添加してもよい。
書換型の記録膜12の膜厚は2nm以上20nm以下、より好ましくは4nm以上14nm以下とすれば、十分なC/N比を得ることができる。記録膜12の膜厚が薄すぎると十分な反射率及び反射率変化が得られないためC/N比が低く、また、厚すぎると記録膜12の薄膜面内の熱拡散が大きいため高密度記録においてC/N比が低くなってしまう。
上記のような書換型の相変化記録材料は、成膜された状態では非晶質であり、情報信号の記録を行うには、レーザ光等によりアニールすることで結晶化させる初期化処理を施し、これを初期状態として非晶質マークを形成するのが一般的である。
また、追記型の記録膜12としては、例えばTeやSb、Bi、Sn、In、Ga等の比較的低融点の金属または金属酸化物等をベースとする相変化記録材料等の無機材料、あるいは色素等の有機材料がある。中でも、Teの酸化物をベースとする材料は非可逆な結晶化記録が可能なため追記型の記録膜として適しており、また、高い透過率を実現しやすいため半透明な情報層に用いる記録膜として適している。例えば、Te、O及びM(但し、MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Biから選ばれる1つまたは複数の元素)を主成分とする材料が好ましい。元素Mとして最も好ましいのはPd及びAuであり、これらの添加により結晶化速度が向上し、高い環境信頼性が確保できる。
この材料は、O原子を25原子%以上60原子%以下、M原子を1原子%以上35原子%以下含有する組成を有することが好ましい。O原子が25原子%未満では、記録層の熱伝導率が高くなりすぎて、記録マークが過大となることがある。このため、記録パワーを上げてもC/N比が上がりにくい。これに対し、O原子が60原子%を超えると、記録層の熱伝導率が低くなりすぎて、記録パワーを上げても記録マークが十分大きくならないことがある。このため、高いC/N比と高い記録感度が実現しにくくなる。M原子が1原子%未満では、レーザ光照射時にTeの結晶成長を促進する働きが相対的に小さくなって記録膜12の結晶化速度が不足することがある。このため、高速でマークを形成できなくなる。これに対し、M原子が35原子%を超えると、非晶質−結晶間の反射率変化が小さくなって、C/N比が低くなることがある。また、このような材料組成には、熱伝導率や光学定数の調整、又は耐熱性・環境信頼性の向上等を目的でN、F、C、S、B等の非金属元素から選ばれる1つまたは複数の元素を必要に応じて記録膜12全体の10原子%以内、より好ましくは5原子%以内の組成割合の範囲で適宜添加してもよい。
上記のような追記型の相変化記録材料は、成膜された状態である非晶質を初期状態として結晶化記録を行うのが一般的で、初期化処理は必要ないが、60℃〜100℃程度の高温で一定時間アニールすることで初期状態を安定にすることが好ましい。
上記追記型の記録膜12の膜厚は2nm以上70nm以下、より好ましくは4nm以上30nm以下とすれば、十分なC/N比を得ることができる。記録膜12の膜厚が薄すぎると十分な反射率及び反射率変化が得られないためC/N比が低く、また、厚すぎると記録膜12の薄膜面内の熱拡散が大きいため高密度記録においてC/N比が低くなってしまう。
反射膜15は、入射光を効率良く使い、冷却速度を向上させて非晶質化しやすくする等の目的で設けられる。反射膜15の材料としては、金属・合金等、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Crあるいはこれらをベースにした合金材料を用いることができる。中でも特にAg合金は熱伝導率及び反射率が高く、またAl合金もコストの面から好ましい。また、反射膜15は複数の層を組み合わせて用いても良い。
透過率調整膜16は、第1情報層の反射率変化を高く保った上で透過率を高める目的で設けられる。透過率調整膜16の材料としては、屈折率が高く、略透明な材料、例えばTiO、Bi、Nb、ZrO、HfO、Ta、あるいはこれらの混合物を主成分としたものを用いることができる。中でも特にTiOを主成分としたものは屈折率が2.7程度と高く最も好ましい。
保護基板3の材料としては、透明基板1の材料として挙げたのと同じものを用いることができるが、透明基板1とは異なる材料としてもよく、レーザ光5の波長において必ずしも透明でなくてもよい。また、保護基板3の厚さは特に限定されないが、0.01〜3.0mm程度のものを用いることができる。
分離層7としては、紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。分離層12の厚さは、隣接する情報層のいずれか一方を再生する際に他方からのクロストークが小さくなるように、少なくとも対物レンズ6の開口数NAとレーザ光5の波長λにより決定される焦点深度以上の厚さであることが必要であり、また、全ての情報層が集光可能な範囲に収まる厚さであることも必要である。例えば、分離層7の厚さは、λ=660nm、NA=0.6の場合は10μm以上100μm以下、λ=405nm、NA=0.85の場合は5μm以上50μm以下であることが必要である。但し、層間のクロストークを低減できる光学系が開発されれば分離層7の厚さは上記より薄くできる可能性もある。
第2情報層8及び第n情報層9としては、書換型のみならず、追記型または再生専用型のいずれの情報層とすることも可能である。
また、上記光学情報記録媒体2枚を、それぞれの保護基板3の側を対向させて貼り合わせ、両面構造とすることにより、媒体1枚あたりに蓄積できる情報量をさらに2倍にすることもできる。
上記の各薄膜は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法等の気相薄膜堆積法によって形成することができる。中でも特にスパッタリング法が成膜速度と装置コストの面から実用的であり好ましい。
スパッタリング法においては上述のように基板と膜材料からなるターゲットを対向させて成膜を行うが、案内溝4の内周側及び外周側の傾斜面における膜厚の差をディスクの全領域にわたって小さくすることは、困難である。特にディスクの半径方向に膜厚分布を確保するように設計されたスパッタリング装置では、外周領域で両傾斜面における膜厚の差が大きくなる傾向がある。そこで、この膜厚差を解消するため、従来、案内溝4の内周側及び外周側の傾斜面における膜厚の差が大きくなる外周領域において、案内溝を浅くして案内溝の傾斜角度を小さくする。案内溝を浅くするには、例えば光ディスク原盤記録装置において、原盤記録光の絞りを小さくすることによって、浅い案内溝を有する原盤を形成し、得られた原盤から、樹脂成形等の手段によって保護基板を作製することによって得られる。
しかしながら、案内溝の傾斜角を小さくすると、案内溝から得られるトラッキングエラー信号品質が劣化する。トラッキングエラー信号品質の劣化を抑制するためには、単に傾斜角を小さくするのはなく、案内溝の内周側の傾斜面と外周側の傾斜面のうち、従来情報層の膜厚が薄くなる傾斜面についてのみ、傾斜角を小さくすることが効果的である。本発明者等は、光ディスクの外周領域においては、案内溝の外周側の傾斜面の情報層の厚さ(図1のd)が、内周側の傾斜面の厚さ(図1のd)よりも薄くなる傾向を有することを見出している。外周領域において、案内溝の外周側の傾斜角を小さくすることによって、傾斜面における情報層の厚さが薄くなることを抑制することができる。外周側の傾斜角を内周側の傾斜角より小さくし、その角度差を、20度以上、より好ましくは25度以上とすることが好ましい。これにより、外周領域でのノイズ上昇を効果的に抑制することができた。
外周側と内周側の傾斜角に角度差を設けて案内溝を非対称とするには、例えば原盤に上記傾斜角αとβが異なる非対象領域を有するものを用いることができる。以下、従来の原盤の作製方法と対比しながら説明する。
従来は、原盤用基板上に回転塗布法等によりレジスト層を形成し、そのレジスト層に集光レンズにより集光したレーザ光を照射するレーザカッティングにより、案内溝のパターンを形成するように露光・現像して所望のマスクパターンを形成する。次いで、例えばドライエッチングにより原盤用基板をエッチングし、レジスト層を除去して原盤を得る。原盤の表面には、ニッケル等の金属膜をスパッタリング法により形成し、次いで電鋳法により金属メッキして金属本体部を形成した後、原盤を剥離して金属スタンパを得る。このスタンパを金型として保護基板を樹脂成形する。
本発明においては、原盤を作製するに際し、例えば集光レンズに入射するレーザ光の光軸を傾斜させてレジスト層をカッティングする。レーザ光の光軸を傾斜させることによりコマ収差を生成させ、案内溝の内周側と外周側の傾斜角が異なるようにすることができる。例えば、原盤に対して、カッティング用のレーザ光を原盤の中心角に傾斜させ入射させることにより、案内溝の外周側の傾斜角を内周側の傾斜角より小さくすることができる。
また、集光された2つのレーザ光を用いてレジスト層をカッティングすることもできる。例えば、案内溝の外周側の傾斜面に集光された2つのレーザ光を照射すると光がぼける結果、外周側の傾斜角を内周側の傾斜角より小さくすることができる。
上記の各情報層や分離層7は、透明基板1上に順次形成した後に保護基板3を形成または貼り合せてもよいし、逆に保護基板3上に順次形成した後に透明基板1を形成または貼り合せてもよい。特に後者は透明基板1が0.3mm以下のように薄いシート状のものである場合に適している。その場合、レーザ光案内用の溝であるグルーブやアドレス信号等の凹凸パターンは、保護基板3及び分離層7の表面上に形成、すなわちスタンパ等のあらかじめ所望の凹凸パターンが形成されたものから転写される必要がある。その際、特に分離層7のようにその層厚が薄く、通常用いられているインジェクション法が困難な場合は、2P法(photo−polymerization法)を用いることができる。
上記光学的記録媒体の記録膜12は、書換型の場合、一般に、成膜したままの状態では非晶質状態なので、レーザ光等でアニールすることで結晶状態とする初期化処理を施すことで完成ディスクとなり、記録再生を行うことができる。
図5に本発明の光学情報記録媒体の記録再生を行う記録再生装置の最小限必要な装置構成の一例の概略図を示す。レーザダイオード17を出たレーザ光5は、ハーフミラー18及び対物レンズ6を通じて、モーター19によって回転されている光学情報記録媒体20上にフォーカシングされ、その反射光をフォトディテクター21に入射させて信号を検出する。
情報信号の記録を行う際には、レーザ光5の強度を複数のパワーレベル間で変調する。レーザ強度を変調するには、半導体レーザの駆動電流を変調して行うのが良く、あるいは電気光学変調器、音響光学変調器等の手段を用いることも可能である。マークを形成する部分に対しては、ピークパワーP1の単一矩形パルスでもよいが、特に長いマークを形成する場合は、過剰な熱を省き、マーク幅を均一にする目的で、図6に示すようにピークパワーP1及びボトムパワーP3(但し、P1>P3)との間で変調された複数のパルスの列からなる記録パルス列を用いる。また、最後尾のパルスの後に冷却パワーP4の冷却区間を設けても良い。マークを形成しない部分に対しては、バイアスパワーP2(但し、P1>P2)で一定に保つ。
ここで、記録するマークの長さ、さらにはその前後のスペースの長さ等の各パターンによってマークエッジ位置に不揃いが生じ、ジッタ増大の原因となることがある。本発明の光学情報記録媒体の記録再生方法では、これを防止し、ジッタを改善するために、上記パルス列の各パルスの位置または長さをパターン毎にエッジ位置が揃うように必要に応じて調整し、補償することもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
保護基板を作製するための原盤は、以下の方法により作製したものを用いた。
カッティング工程において、原盤の半径45mmを境にして外周側では、原盤に対してカッティング用のレーザ光を原盤の中心から0度から30度の範囲で傾斜させて入射させることにより、案内溝の外周側の傾斜角が内周側の傾斜角よりも0度から30度小さい原盤を作製した。
保護基板としては、ポリカーボネート樹脂からなり、直径約12cm、厚さ約1.1mm、案内溝ピッチ0.32μm、案内溝深さ約20nmのものを用いた。
案内溝が形成された保護基板の表面上に、第2情報層として、Ag98PdCuからなる膜厚80nmの反射膜、Alからなる膜厚10nmの反射膜、(ZnS)80(SiO20からなる膜厚15nmの上側誘電体膜、Cからなる膜厚2nmの上側界面膜、Ge45SbTe55からなる膜厚10nmの記録膜、(ZrO25(SiO25(Cr50からなる膜厚5nmの下側界面膜、(ZnS)80(SiO20からなる膜厚55nmの下側誘電体膜の各層をスパッタリング法によりこの順に積層した。
この第2情報層の表面上に、紫外線硬化性樹脂を用いて2P法により保護基板と同じ溝パターンを転写し、厚さ25μmの分離層を形成した。
この分離層の表面上に、第1情報層として、TiOからなる膜厚23nmの透過率調整層、Ag98PdCuからなる膜厚10nmの反射膜、(ZrO35(SiO35(Cr30からなる膜厚13nmの上側誘電体膜、(ZrO50(Cr50Cからなる膜厚3nmの上側界面膜、Ge45SbTe55からなる膜厚6nmの記録膜、(ZrO50(Cr50からなる膜厚5nmの下側界面膜、(ZnS)80(SiO20からなる膜厚36nmの下側誘電体膜の各層をスパッタリング法によりこの順に積層した。
この第1情報層の表面上に、ポリカーボネートのシートを紫外線硬化樹脂を用いて貼り合わせ、厚さ75μmの透明基板とした。そして、このディスクを回転させながら透明基板側からレーザ光でアニールすることにより各情報層の記録膜全面を初期化した。
なお、各層の成膜はいずれも直径200mm、厚さ6mm程度のターゲットを用いた。透過率調整膜、誘電体膜及び界面膜はRF電源で2kW、反射膜はDC電源で2kW、記録膜はDC電源で500Wで成膜した。記録膜はAr−N混合ガス(N分圧3%)を、その他の膜はArガスのみをスパッタガスとして、いずれもガス圧0.2Paに保って成膜した。
ここで、各層を成膜する上で案内溝の両側の傾斜面における膜厚差を制御するために、ディスクの半径の半分の値である30mmより大きい半径45mmを境にして、それから外側の領域と内側の領域において、案内溝の外周側の傾斜角を内周側の傾斜角よりも小さくするように案内溝の傾斜角を変えている。表1に示すように、ディスクAからGは外側の領域における傾斜角度差を0度〜30度の範囲で変化させたものである。なお、内側の領域における傾斜角度差は外側の領域における傾斜角度差よりも小さくなるように設定した。
各ディスクの半径55mmの位置において、その断面を透過電子顕微鏡で観察し、案内溝の内周側及び外周側の傾斜角の差と、両傾斜面における第1情報層の膜厚d及びdを測定した。また、ディスクを内周領域(半径が25mm以下の領域)及び中周領域(半径が25より大きく40mm以下の領域)、そして外周領域(半径が40mmより大きい領域)に3分割して、以下に示す方法によりノイズレベルを測定した。
上記各ディスクのグルーブ、すなわち溝及び溝間のうちレーザ光入射側から見て手前に凸になっている部分に対し、波長405nm・レンズ開口数0.85の光学系を用い、線速5m/sで回転させながら、(1−7)変調方式でマーク長0.154μmの2T信号及びマーク長0.693μmの9T信号を記録した。
信号を記録する際には図6に示すパルス波形を用い、2T信号の場合はパルス幅は13.7nsの単一パルス、9T信号の場合は20.5nsの先頭パルスとこれに続く幅及び間隔ともに6.9nsの7個のサブパルスからなるパルス列とした。P3及びP4は0mW、再生パワーはすべて0.7mWとした。
この条件で、未記録のトラックに2T信号及び9T信号を交互に合計11回記録を行い、2T信号が記録された状態でC/N比をスペクトラムアナライザーで測定した。さらに、その上に9T信号を記録し、消去率、すなわち2T信号振幅の減衰比を同じくスペクトラムアナライザーで測定した。P1及びP2を任意に変化させて測定し、P1は振幅が最大値より3dB低くなるパワーの1.3倍の値、P2は消去率が25dBを超えるパワー範囲の中心値を設定パワーとした。いずれのディスクも設定パワーは第1情報層ではP1が10mW、P2が4.0mW、第2情報層ではP1が10mW、P2が3.5mWであった。各ディスクの設定パワーにおけるノイズレベルを表1に示す。なお、表1には外周領域におけるノイズレベルのみを示したが、内周領域及び中周領域においても外周領域と同様のノイズレベルであった。
Figure 2005015555
表1から明らかなように、傾斜角度差が20度以上では、外周領域において、dとdの比が1に近づき、かつ良好なノイズレベルが得られた。また、内周領域と中周領域では、両方の傾斜角度を揃えると、dとdの比が1に近づく傾向が認められた。特に、内周領域では、傾斜角度差を10度以下とすることにより、d/dの値が1±0.05の範囲内で安定して得られた。
以上説明したように、書換型の半透明な情報層を有する光情報記録媒体において、案内溝の斜面形状を制御することで、外周領域においても、ノイズレベルの低い良好な信号品質が実現可能である。
本発明に係る光学情報記録媒体は、画像情報等の大容量の情報を記録・再生する用途において特に有用である。
本発明は、レーザ光を用いて大容量の情報信号を記録及び再生する光学情報記録媒体及びその製造方法に関するものである。
レーザ光を用いて信号を記録及び再生することのできる光学情報記録媒体として、相変化型光ディスク、光磁気ディスク、色素ディスク等がある。この内、記録・消去可能な相変化型光ディスクでは、通常、記録層材料としては一般的にカルコゲン化物を用いる。一般には、記録層材料が結晶状態の場合を未記録状態とし、レーザ光を照射し、記録層材料を溶融・急冷して非晶質状態とすることにより信号を記録する。一方、信号を消去する場合は、記録時よりも低パワーのレーザ光を照射して、記録層を結晶状態とする。カルコゲン化物からなる記録層は非晶質で成膜されるので、予め記録領域全面を結晶化して未記録状態を得る必要があり、この記録領域の全面結晶化を初期化と呼ぶ。
記録・消去可能な相変化型光ディスクにおいて高密度化を実現する技術として記録・再生のための光源として従来通常用いられていた赤色レーザ光に替えて、波長410nm前後の青色レーザ光を用い、かつ記録・再生のためのレーザ光を光ディスクに照射する光学系の対物レンズの開口数を従来通常用いられていた0.60から0.85前後に大きくすることにより、レーザ光スポットを縮小することが提案されている。0.85のように対物レンズの開口数を大きくして用いる場合、記録・再生特性における光学情報記録媒体のチルトトレランスを確保する目的で、レーザ光入射側の透明保護基板の厚さを例えば0.1mmのようにすでに商品化されているDVD−RAMの基板厚さ0.6mmに比べて薄くすることも提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、面当たりの記録容量を倍増させる技術として、片面多層構造媒体も提案されている(例えば特許文献2参照)。また、表面に案内溝を有する光ディスクの基板の作製に関する技術も知られている(例えば特許文献3参照)。
特開平10−154351号公報 特開2000−36130号公報 特開平9−320100号公報
しかしながら、青色レーザ光を用いて信号を記録・再生する片面多層の相変化光ディスクでは、レーザ光源に近い側の情報層において、ディスクの特に外周領域で記録後のノイズレベルが内周及び中周領域に比べて悪化することが、本発明者らの実験によって明らかになった。このディスクの断面を透過型電子顕微鏡により観察したところ、案内溝の形状自体は、ディスクの内周から外周の全域にわたって、案内溝の中心に対してほぼ対称で特に問題なかったが、ディスクの外周領域においては、案内溝の内周側の傾斜面と外周側の傾斜面とで情報層の膜厚が顕著に、例えば2割程度異なっていることが確認された。
この膜厚差とノイズレベルが高いこととの因果関係は、以下のように熱的な側面と光学的な側面が考えられる。まず、案内溝の内周側の傾斜面と外周側の傾斜面における膜厚に差があると、それぞれの熱容量の差により熱の拡散速度に差が生じ、トラック中心に対して非対称な歪んだマーク形状となり、ノイズレベルが上昇する。また、案内溝の内周側の傾斜面と外周側の傾斜面とでレーザ光に対する反射率等の光学的特性に差が生じ、レーザ光のスポット中心がトラック中心からずれてしまって正常なトラッキング動作に変調をきたし、このような状態で記録動作を行った結果ノイズレベルが上昇する。
また、これまで実用化された記録媒体は、多層記録媒体ではなく単一の情報層のみを有する記録媒体であったため、情報層はレーザ光を透過させる必要がなく、例えば反射膜等を透過率がほとんどゼロになる膜厚まで十分厚くしており、溝の内周側の傾斜面と外周側の傾斜面とで膜厚に差があってもその部分の熱的あるいは光学的な特性差が無視できるレベルであったと考えられる。これに対し、多層記録媒体のレーザ光源から近い側の情報層は一定の、例えば30%以上の透過率が必要であり、単一の情報層のみを有する記録媒体やレーザ光源から遠い側の情報層とは違って、その熱的あるいは光学的特性が膜厚の差に非常に敏感であると考えられる。
情報層を構成する薄膜は、ほぼ全ての当業者が、基板とターゲットを対向させてスパッタリング法により形成しており、本発明者らもこの方法で成膜を行っている。成膜装置の簡便性・実用性や成膜速度の観点から他の方法は採用が困難である。通常、レーザ光による記録は、案内溝及び/又は案内溝間の平坦な部分にマークを形成して行われるため、ディスク内周領域から外周領域まで平坦な部分の膜厚を均一に保つように成膜装置は設計されている。しかしながら、案内溝の傾斜面については、膜の原材料であるターゲットからスパッタリングによりその粒子が飛んでくる角度及び速度が、ディスクの内周領域から外周領域まで均等ではないため、遮影(シャドウイング)効果によって内周側の傾斜面と外周側の傾斜面とで膜厚に差のある部分ができてしまう。しかし、案内溝の傾斜面はマークを形成しないため記録再生特性には直接影響しないと考えられていたため、内周側の傾斜面と外周側の傾斜面とで膜厚をディスクの内周領域から外周領域までの全域に亘り高い精度で均一にする取組みは行われていなかった。
そこで、本発明は、上記課題を解決し、半透明な情報層を用いた高密度記録においても信号品質の良好な光学情報記録媒体を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するため、本発明の光学情報記録媒体は、レーザ光の照射により情報信号を記録・再生する記録層を含む情報層を1層以上有し、該情報層の照射面側の第1情報層が、表面にスパイラル状又は同心円状に形成された案内溝を有し該案内溝の内周側と外周側の傾斜面が該案内溝の底面に対しそれぞれ傾斜角αとβを有する保護基板又は分離層の上に形成されて成る光学情報記録媒体であって、上記傾斜角αとβが異なる非対称領域を有することを特徴とする。
また、本発明の光学情報記録媒体には、半径方向に2以上の非対称領域を有するものを用いることができる。
また、本発明の光学情報記録媒体には、傾斜角βが傾斜角αより小さいものを用いることができる。例えば、α−β≧20度の関係にあるものを用いることができる。
また、本発明の光学情報記録媒体には、保護基板が半径rを有し、非対称領域が保護基板の中心から距離r/2より大きい半径方向に形成されて成るものを用いることができる。
また、本発明の光学情報記録媒体には、上記非対称領域が第1と第2の非対称領域を有し、第1の非対称領域においては、α−β≦10度であり、第2の非対称領域においては、α−β≧20度の関係を有するものを用いることができる。
また、本発明の光学情報記録媒体には、上記第1の非対称領域が保護基板の中心から距離r/2より小さい半径方向に形成される一方、上記第2の非対称領域が保護基板の中心から距離r/2より大きい半径方向に形成されて成るものを用いることができる。
また、本発明の光学情報記録媒体には、第1の案内溝を有する保護基板上に、少なくとも、第2情報層と、第2の案内溝を有する分離層と、そして第1情報層とを順次積層して成る片面多層構造を有するものを用いることができる。
また、本発明の光学情報記録媒体は、情報層が非対称領域の内周側と外周側の傾斜面において概ね一致する膜厚を有するものである。
本発明の光学情報記録媒体は、その表面に情報層を形成する保護基板又は分離層の表面に傾斜角αとβが異なる1以上の非対称領域を半径方向に有する案内溝を有しているので、情報層を成膜する際のシャドーイング効果の影響を小さくすることができる。これにより、案内溝の内周側の傾斜面と外周側の傾斜面における第1情報層の膜厚を概ね一致させて、再生時のノイズレベルを低下させることができる。これにより、半透明な情報層への高密度記録においても信号品質の良好な光学情報記録媒体を提供することができる。特に、分離層で分離された2つ以上の情報層を有する片面多層構成において、レーザ光が入射する側の情報層に対して特に効果的である。
本発明の光学情報記録媒体は、例えば以下の方法を用いて製造することができる。すなわち、レーザ光の照射により情報信号を記録・再生する記録層を含む情報層を1層以上有し、該情報層の照射面側の第1情報層が、表面にスパイラル状又は同心円状に形成された案内溝を有し該案内溝の内周側と外周側の傾斜面が該案内溝の底面に対しそれぞれ傾斜角αとβを有する保護基板又は分離層の上に形成されて成り、上記傾斜角αとβが異なる非対称領域を有する光学情報記録媒体の製造方法であって、上記保護基板は原盤から作製したスタンパを金型として成形してなるものであって、上記原盤に上記傾斜角αとβが異なる非対象領域を有するものを用いることを特徴とする。
また、上記の製造方法において、原盤用基板上にレジスト層を形成し、レーザ光を集光レンズで集光し該レジスト層をカッティングしてマスクパターンを形成し、エッチングによりスパイラル状又は同心円状の案内溝を形成して上記原盤を作製するに際し、上記集光レンズに入射するレーザ光の光軸を傾斜させて上記レジスト層をカッティングする方法を用いることができる。
また、上記の製造方法において、原盤用基板上にレジスト層を形成し、レーザ光を集光レンズで集光し該レジスト層をカッティングしてマスクパターンを形成し、エッチングによりスパイラル状又は同心円状の案内溝を形成して上記原盤を作製するに際し、集光された2つのレーザ光を用いてレジスト層をカッティングする方法を用いることもできる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本実施の形態に係る単一層構造の光学情報記録媒体の構造の一例を示す模式断面図である。本実施の形態に係る光学情報記録媒体は、円盤状の透明基板1と保護基板3の間に半透明な第1情報層2を備えている。第1情報層2はレーザ光案内用のスパイラル状の案内溝4を有し、レーザ光の照射により情報の記録・再生を行う。ここで、半透明とは記録再生を行うレーザ光の波長において少なくとも30%以上の透過率を有することを示す。さらに、案内溝4の内周側と外周側の傾斜面42、43は案内溝の底面41に対し、それぞれ傾斜角αとβを有している。また、第1情報層2は、内周側の傾斜面42と外周側の傾斜面43において、それぞれ膜厚dとdを有している。この光学情報記録媒体に対し、透明基板1の側からレーザ光5を対物レンズ6で集光し、照射して記録・再生を行う。
本実施の形態においては、案内溝の傾斜角βが傾斜角αよりも小さい非対称領域を有しているので、成膜時のシャドーイング効果の影響を小さくすることができる。これにより、案内溝の内周側の傾斜面と外周側の傾斜面における第1情報層の膜厚を概ね一致させることができる。そのため、再生時のノイズレベルを低下させることができる。ここで、概ね一致するとは、d/dが1±0.05の範囲にあることをいう。
実施の形態2.
本実施の形態に係る光学情報記録媒体は、図2の模式断面図に示すように片面多層構造を有している。この記録媒体は、第1情報層と第2情報層の2層の情報層を有しており、保護基板3上に、第2情報層、分離層、そして第1情報層が順次積層されている。
また、図3は、第1情報層2の多層膜構成の一例の断面図を示す。第1情報層2は、透明基板1に近い側から順に、下側誘電体膜10、下側界面膜11、記録膜12、上側界面膜13、上側誘電体膜14、反射膜15、透過率調整膜16を順次積層してなる。この内、記録膜12以外は省略することもできる。
本実施の形態においては、実施の形態1と同様の効果が得られるのみならず、多層の情報層を有しているので、より高密度記録が可能である。なお、本実施の形態において、情報層の数は2層に限定されず、図4に示すようにさらに第n情報層9(但し、nは3以上の整数)を、分離層7を介して第1情報層2と保護基板3の間に設けることができる。
以下、実施の形態1及び2に係る光学情報記録媒体の構造と作製方法について詳細に説明する。
透明基板1の材料としては、レーザ光5の波長において略透明であることが好ましく、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、紫外線硬化性樹脂、ガラス、あるいはこれらを適宜組み合わせたもの等を用いることができる。また、透明基板1の厚さは特に限定されないが、0.01〜1.5mm程度のものを用いることができる。
下側誘電体膜10及び上側誘電体膜14は、繰り返し記録する際の記録膜の蒸発や基板の熱変形を防止し、さらには光学的干渉効果により記録膜の光吸収率や光学的変化をエンハンスする等の目的で設けられ、耐熱性に優れた誘電体材料等を用いる。例えば、Y、Ce、Ti、Zr、Nb、Ta、Co、Zn、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Te等の酸化物、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb等の窒化物、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Si等の炭化物、Zn、Cd等の硫化物、セレン化物またはテルル化物、Mg、Ca、La等の希土類等のフッ化物、C、Si、Ge等の単体、あるいはこれらの混合物を用いることができる。中でも特に略透明で熱伝導率の低い材料、例えばZnSとSiOの混合物等が好ましい。下側誘電体膜10及び上側誘電体膜14は、必要に応じて異なる材料・組成のものを用いてもよいし、同一の材料・組成のものを用いることもできる。
下側界面膜11及び上側界面膜13は、記録膜12の結晶化を促進し、消去特性を向上させる、あるいは記録膜12と下側誘電体膜10及び/または上側誘電体膜14との間の原子・分子の相互拡散を防止し、繰り返し記録における耐久性を向上させる等の目的で記録膜12に接して設けられる。さらには、記録膜12との間に剥離や腐食を生じない等の環境信頼性も兼ね備えている必要がある。下側界面膜11及び上側界面膜13の材料としては、上記の下側誘電体膜10及び上側誘電体膜14の材料として挙げたものの中に、その役割を果たすものが幾つか存在する。例えばGe、Si等をベースにした窒化物、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及びSi等の酸化物またはこれらの複合酸化物を用いることができ、中でも特にTi、Zr、Hf、V、Nb及びTa等の酸化物をベースとして、Cr、Mo及びW等の酸化物を添加したものは耐湿性の面で優れており、さらにSi等の酸化物を添加したものは消去率をより高くすることができる。下側界面膜11及び上側界面膜13の膜厚は特に限定されないが、薄すぎると界面膜としての効果が発揮できなくなり、厚すぎると記録感度低下等につながるため、例えば0.2nm以上20nm以下であることが好ましい。下側界面膜11と上側界面膜13は、いずれか片方設けるだけでも上記効果を発揮するが、両方設けることがより好ましく、両方設ける場合は必要に応じて異なる材料・組成のものを用いてもよいし、同一の材料・組成のものを用いることもできる。また、上側界面膜13を用いる場合は上側誘電体膜14を省略することも可能であり、その場合の上側界面膜13の膜厚は2nm以上50nm以下が好ましい。
記録膜12としては、大別して書換型と追記型の2種類がある。書換型の記録膜12としては相変化記録材料、すなわち、Te及び/またはSb等のカルコゲン材料を主成分としたものが適している。中でも特に、GeTe及びSbTeの両化合物組成を適当な割合で混合した材料系が、結晶化速度が速く、透過率を高めるために膜厚を薄くしても記録再生特性を保持しやすいため好ましい。この材料系は、より結晶化速度を高めるために、Geの一部をSnで、あるいはSbの一部をBiで置き換えることができ、一般式(GeSn1−x(SbBi1−yTez+3(但し、0.5<x≦1、0≦y≦1、z≧1)で表される組成を用いるのがさらに好ましい。x≧1とすることで反射率及び反射率変化を大きくすることができる。このような材料組成には、結晶化速度、熱伝導率または光学定数等の調整、あるいは繰り返し耐久性、耐熱性または環境信頼性の向上等の目的で、In、Ga、Zn、Cu、Ag、Au、Crあるいは追加のGe、Sn、Sb、Bi、Te等の金属、半金属または半導体元素、またはO、N、F、C、S、B等の非金属元素から選ばれる1つまたは複数の元素を必要に応じて記録膜12全体の10原子%以内、より好ましくは5原子%以内の組成割合の範囲で適宜添加してもよい。
書換型の記録膜12の膜厚は2nm以上20nm以下、より好ましくは4nm以上14nm以下とすれば、十分なC/N比を得ることができる。記録膜12の膜厚が薄すぎると十分な反射率及び反射率変化が得られないためC/N比が低く、また、厚すぎると記録膜12の薄膜面内の熱拡散が大きいため高密度記録においてC/N比が低くなってしまう。
上記のような書換型の相変化記録材料は、成膜された状態では非晶質であり、情報信号の記録を行うには、レーザ光等によりアニールすることで結晶化させる初期化処理を施し、これを初期状態として非晶質マークを形成するのが一般的である。
また、追記型の記録膜12としては、例えばTeやSb、Bi、Sn、In、Ga等の比較的低融点の金属または金属酸化物等をベースとする相変化記録材料等の無機材料、あるいは色素等の有機材料がある。中でも、Teの酸化物をベースとする材料は非可逆な結晶化記録が可能なため追記型の記録膜として適しており、また、高い透過率を実現しやすいため半透明な情報層に用いる記録膜として適している。例えば、Te、O及びM(但し、MはAl、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Biから選ばれる1つまたは複数の元素)を主成分とする材料が好ましい。元素Mとして最も好ましいのはPd及びAuであり、これらの添加により結晶化速度が向上し、高い環境信頼性が確保できる。
この材料は、O原子を25原子%以上60原子%以下、M原子を1原子%以上35原子%以下含有する組成を有することが好ましい。O原子が25原子%未満では、記録層の熱伝導率が高くなりすぎて、記録マークが過大となることがある。このため、記録パワーを上げてもC/N比が上がりにくい。これに対し、O原子が60原子%を超えると、記録層の熱伝導率が低くなりすぎて、記録パワーを上げても記録マークが十分大きくならないことがある。このため、高いC/N比と高い記録感度が実現しにくくなる。M原子が1原子%未満では、レーザ光照射時にTeの結晶成長を促進する働きが相対的に小さくなって記録膜12の結晶化速度が不足することがある。このため、高速でマークを形成できなくなる。これに対し、M原子が35原子%を超えると、非晶質−結晶間の反射率変化が小さくなって、C/N比が低くなることがある。また、このような材料組成には、熱伝導率や光学定数の調整、又は耐熱性・環境信頼性の向上等を目的でN、F、C、S、B等の非金属元素から選ばれる1つまたは複数の元素を必要に応じて記録膜12全体の10原子%以内、より好ましくは5原子%以内の組成割合の範囲で適宜添加してもよい。
上記のような追記型の相変化記録材料は、成膜された状態である非晶質を初期状態として結晶化記録を行うのが一般的で、初期化処理は必要ないが、60℃〜100℃程度の高温で一定時間アニールすることで初期状態を安定にすることが好ましい。
上記追記型の記録膜12の膜厚は2nm以上70nm以下、より好ましくは4nm以上30nm以下とすれば、十分なC/N比を得ることができる。記録膜12の膜厚が薄すぎると十分な反射率及び反射率変化が得られないためC/N比が低く、また、厚すぎると記録膜12の薄膜面内の熱拡散が大きいため高密度記録においてC/N比が低くなってしまう。
反射膜15は、入射光を効率良く使い、冷却速度を向上させて非晶質化しやすくする等の目的で設けられる。反射膜15の材料としては、金属・合金等、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Ni、Crあるいはこれらをベースにした合金材料を用いることができる。中でも特にAg合金は熱伝導率及び反射率が高く、またAl合金もコストの面から好ましい。また、反射膜15は複数の層を組み合わせて用いても良い。
透過率調整膜16は、第1情報層の反射率変化を高く保った上で透過率を高める目的で設けられる。透過率調整膜16の材料としては、屈折率が高く、略透明な材料、例えばTiO、Bi、Nb、ZrO、HfO、Ta、あるいはこれらの混合物を主成分としたものを用いることができる。中でも特にTiOを主成分としたものは屈折率が2.7程度と高く最も好ましい。
保護基板3の材料としては、透明基板1の材料として挙げたのと同じものを用いることができるが、透明基板1とは異なる材料としてもよく、レーザ光5の波長において必ずしも透明でなくてもよい。また、保護基板3の厚さは特に限定されないが、0.01〜3.0mm程度のものを用いることができる。
分離層7としては、紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。分離層12の厚さは、隣接する情報層のいずれか一方を再生する際に他方からのクロストークが小さくなるように、少なくとも対物レンズ6の開口数NAとレーザ光5の波長λにより決定される焦点深度以上の厚さであることが必要であり、また、全ての情報層が集光可能な範囲に収まる厚さであることも必要である。例えば、分離層7の厚さは、λ=660nm、NA=0.6の場合は10μm以上100μm以下、λ=405nm、NA=0.85の場合は5μm以上50μm以下であることが必要である。但し、層間のクロストークを低減できる光学系が開発されれば分離層7の厚さは上記より薄くできる可能性もある。
第2情報層8及び第n情報層9としては、書換型のみならず、追記型または再生専用型のいずれの情報層とすることも可能である。
また、上記光学情報記録媒体2枚を、それぞれの保護基板3の側を対向させて貼り合わせ、両面構造とすることにより、媒体1枚あたりに蓄積できる情報量をさらに2倍にすることもできる。
上記の各薄膜は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法等の気相薄膜堆積法によって形成することができる。中でも特にスパッタリング法が成膜速度と装置コストの面から実用的であり好ましい。
スパッタリング法においては上述のように基板と膜材料からなるターゲットを対向させて成膜を行うが、案内溝4の内周側及び外周側の傾斜面における膜厚の差をディスクの全領域にわたって小さくすることは、困難である。特にディスクの半径方向に膜厚分布を確保するように設計されたスパッタリング装置では、外周領域で両傾斜面における膜厚の差が大きくなる傾向がある。そこで、この膜厚差を解消するため、従来、案内溝4の内周側及び外周側の傾斜面における膜厚の差が大きくなる外周領域において、案内溝を浅くして案内溝の傾斜角度を小さくする。案内溝を浅くするには、例えば光ディスク原盤記録装置において、原盤記録光の絞りを小さくすることによって、浅い案内溝を有する原盤を形成し、得られた原盤から、樹脂成形等の手段によって保護基板を作製することによって得られる。
しかしながら、案内溝の傾斜角を小さくすると、案内溝から得られるトラッキングエラー信号品質が劣化する。トラッキングエラー信号品質の劣化を抑制するためには、単に傾斜角を小さくするのはなく、案内溝の内周側の傾斜面と外周側の傾斜面のうち、従来情報層の膜厚が薄くなる傾斜面についてのみ、傾斜角を小さくすることが効果的である。本発明者等は、光ディスクの外周領域においては、案内溝の外周側の傾斜面の情報層の厚さ(図1のd)が、内周側の傾斜面の厚さ(図1のd)よりも薄くなる傾向を有することを見出している。外周領域において、案内溝の外周側の傾斜角を小さくすることによって、傾斜面における情報層の厚さが薄くなることを抑制することができる。外周側の傾斜角を内周側の傾斜角より小さくし、その角度差を、20度以上、より好ましくは25度以上とすることが好ましい。これにより、外周領域でのノイズ上昇を効果的に抑制することができた。
外周側と内周側の傾斜角に角度差を設けて案内溝を非対称とするには、例えば原盤に上記傾斜角αとβが異なる非対象領域を有するものを用いることができる。以下、従来の原盤の作製方法と対比しながら説明する。
従来は、原盤用基板上に回転塗布法等によりレジスト層を形成し、そのレジスト層に集光レンズにより集光したレーザ光を照射するレーザカッティングにより、案内溝のパターンを形成するように露光・現像して所望のマスクパターンを形成する。次いで、例えばドライエッチングにより原盤用基板をエッチングし、レジスト層を除去して原盤を得る。原盤の表面には、ニッケル等の金属膜をスパッタリング法により形成し、次いで電鋳法により金属メッキして金属本体部を形成した後、原盤を剥離して金属スタンパを得る。このスタンパを金型として保護基板を樹脂成形する。
本発明においては、原盤を作製するに際し、例えば集光レンズに入射するレーザ光の光軸を傾斜させてレジスト層をカッティングする。レーザ光の光軸を傾斜させることによりコマ収差を生成させ、案内溝の内周側と外周側の傾斜角が異なるようにすることができる。例えば、原盤に対して、カッティング用のレーザ光を原盤の中心角に傾斜させ入射させることにより、案内溝の外周側の傾斜角を内周側の傾斜角より小さくすることができる。
また、集光された2つのレーザ光を用いてレジスト層をカッティングすることもできる。例えば、案内溝の外周側の傾斜面に集光された2つのレーザ光を照射すると光がぼける結果、外周側の傾斜角を内周側の傾斜角より小さくすることができる。
上記の各情報層や分離層7は、透明基板1上に順次形成した後に保護基板3を形成または貼り合せてもよいし、逆に保護基板3上に順次形成した後に透明基板1を形成または貼り合せてもよい。特に後者は透明基板1が0.3mm以下のように薄いシート状のものである場合に適している。その場合、レーザ光案内用の溝であるグルーブやアドレス信号等の凹凸パターンは、保護基板3及び分離層7の表面上に形成、すなわちスタンパ等のあらかじめ所望の凹凸パターンが形成されたものから転写される必要がある。その際、特に分離層7のようにその層厚が薄く、通常用いられているインジェクション法が困難な場合は、2P法(photo-polymerization法)を用いることができる。
上記光学的記録媒体の記録膜12は、書換型の場合、一般に、成膜したままの状態では非晶質状態なので、レーザ光等でアニールすることで結晶状態とする初期化処理を施すことで完成ディスクとなり、記録再生を行うことができる。
図5に本発明の光学情報記録媒体の記録再生を行う記録再生装置の最小限必要な装置構成の一例の概略図を示す。レーザダイオード17を出たレーザ光5は、ハーフミラー18及び対物レンズ6を通じて、モーター19によって回転されている光学情報記録媒体20上にフォーカシングされ、その反射光をフォトディテクター21に入射させて信号を検出する。
情報信号の記録を行う際には、レーザ光5の強度を複数のパワーレベル間で変調する。レーザ強度を変調するには、半導体レーザの駆動電流を変調して行うのが良く、あるいは電気光学変調器、音響光学変調器等の手段を用いることも可能である。マークを形成する部分に対しては、ピークパワーP1の単一矩形パルスでもよいが、特に長いマークを形成する場合は、過剰な熱を省き、マーク幅を均一にする目的で、図6に示すようにピークパワーP1及びボトムパワーP3(但し、P1>P3)との間で変調された複数のパルスの列からなる記録パルス列を用いる。また、最後尾のパルスの後に冷却パワーP4の冷却区間を設けても良い。マークを形成しない部分に対しては、バイアスパワーP2(但し、P1>P2)で一定に保つ。
ここで、記録するマークの長さ、さらにはその前後のスペースの長さ等の各パターンによってマークエッジ位置に不揃いが生じ、ジッタ増大の原因となることがある。本発明の光学情報記録媒体の記録再生方法では、これを防止し、ジッタを改善するために、上記パルス列の各パルスの位置または長さをパターン毎にエッジ位置が揃うように必要に応じて調整し、補償することもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
保護基板を作製するための原盤は、以下の方法により作製したものを用いた。
カッティング工程において、原盤の半径45mmを境にして外周側では、原盤に対してカッティング用のレーザ光を原盤の中心から0度から30度の範囲で傾斜させて入射させることにより、案内溝の外周側の傾斜角が内周側の傾斜角よりも0度から30度小さい原盤を作製した。
保護基板としては、ポリカーボネート樹脂からなり、直径約12cm、厚さ約1.1mm、案内溝ピッチ0.32μm、案内溝深さ約20nmのものを用いた。
案内溝が形成された保護基板の表面上に、第2情報層として、Ag98PdCuからなる膜厚80nmの反射膜、Alからなる膜厚10nmの反射膜、(ZnS)80(SiO20からなる膜厚15nmの上側誘電体膜、Cからなる膜厚2nmの上側界面膜、Ge45SbTe55からなる膜厚10nmの記録膜、(ZrO25(SiO25(Cr50からなる膜厚5nmの下側界面膜、(ZnS)80(SiO20からなる膜厚55nmの下側誘電体膜の各層をスパッタリング法によりこの順に積層した。
この第2情報層の表面上に、紫外線硬化性樹脂を用いて2P法により保護基板と同じ溝パターンを転写し、厚さ25μmの分離層を形成した。
この分離層の表面上に、第1情報層として、TiOからなる膜厚23nmの透過率調整層、Ag98PdCuからなる膜厚10nmの反射膜、(ZrO35(SiO35(Cr30からなる膜厚13nmの上側誘電体膜、(ZrO50(Cr50Cからなる膜厚3nmの上側界面膜、Ge45SbTe55からなる膜厚6nmの記録膜、(ZrO50(Cr50からなる膜厚5nmの下側界面膜、(ZnS)80(SiO20からなる膜厚36nmの下側誘電体膜の各層をスパッタリング法によりこの順に積層した。
この第1情報層の表面上に、ポリカーボネートのシートを紫外線硬化樹脂を用いて貼り合わせ、厚さ75μmの透明基板とした。そして、このディスクを回転させながら透明基板側からレーザ光でアニールすることにより各情報層の記録膜全面を初期化した。
なお、各層の成膜はいずれも直径200mm、厚さ6mm程度のターゲットを用いた。透過率調整膜、誘電体膜及び界面膜はRF電源で2kW、反射膜はDC電源で2kW、記録膜はDC電源で500Wで成膜した。記録膜はAr−N混合ガス(N分圧3%)を、その他の膜はArガスのみをスパッタガスとして、いずれもガス圧0.2Paに保って成膜した。
ここで、各層を成膜する上で案内溝の両側の傾斜面における膜厚差を制御するために、ディスクの半径の半分の値である30mmより大きい半径45mmを境にして、それから外側の領域と内側の領域において、案内溝の外周側の傾斜角を内周側の傾斜角よりも小さくするように案内溝の傾斜角を変えている。表1に示すように、ディスクAからGは外側の領域における傾斜角度差を0度〜30度の範囲で変化させたものである。なお、内側の領域における傾斜角度差は外側の領域における傾斜角度差よりも小さくなるように設定した。
各ディスクの半径55mmの位置において、その断面を透過電子顕微鏡で観察し、案内溝の内周側及び外周側の傾斜角の差と、両傾斜面における第1情報層の膜厚d及びdを測定した。また、ディスクを内周領域(半径が25mm以下の領域)及び中周領域(半径が25より大きく40mm以下の領域)、そして外周領域(半径が40mmより大きい領域)に3分割して、以下に示す方法によりノイズレベルを測定した。
上記各ディスクのグルーブ、すなわち溝及び溝間のうちレーザ光入射側から見て手前に凸になっている部分に対し、波長405nm・レンズ開口数0.85の光学系を用い、線速5m/sで回転させながら、(1−7)変調方式でマーク長0.154μmの2T信号及びマーク長0.693μmの9T信号を記録した。
信号を記録する際には図6に示すパルス波形を用い、2T信号の場合はパルス幅は13.7nsの単一パルス、9T信号の場合は20.5nsの先頭パルスとこれに続く幅及び間隔ともに6.9nsの7個のサブパルスからなるパルス列とした。P3及びP4は0mW、再生パワーはすべて0.7mWとした。
この条件で、未記録のトラックに2T信号及び9T信号を交互に合計11回記録を行い、2T信号が記録された状態でC/N比をスペクトラムアナライザーで測定した。さらに、その上に9T信号を記録し、消去率、すなわち2T信号振幅の減衰比を同じくスペクトラムアナライザーで測定した。P1及びP2を任意に変化させて測定し、P1は振幅が最大値より3dB低くなるパワーの1.3倍の値、P2は消去率が25dBを超えるパワー範囲の中心値を設定パワーとした。いずれのディスクも設定パワーは第1情報層ではP1が10mW、P2が4.0mW、第2情報層ではP1が10mW、P2が3.5mWであった。各ディスクの設定パワーにおけるノイズレベルを表1に示す。なお、表1には外周領域におけるノイズレベルのみを示したが、内周領域及び中周領域においても外周領域と同様のノイズレベルであった。
Figure 2005015555
表1から明らかなように、傾斜角度差が20度以上では、外周領域において、dとdの比が1に近づき、かつ良好なノイズレベルが得られた。また、内周領域と中周領域では、両方の傾斜角度を揃えると、dとdの比が1に近づく傾向が認められた。特に、内周領域では、傾斜角度差を10度以下とすることにより、d/dの値が1±0.05の範囲内で安定して得られた。
以上説明したように、書換型の半透明な情報層を有する光情報記録媒体において、案内溝の斜面形状を制御することで、外周領域においても、ノイズレベルの低い良好な信号品質が実現可能である。
本発明に係る光学情報記録媒体は、画像情報等の大容量の情報を記録・再生する用途において特に有用である。
本発明の実施の形態1に係る光学情報記録媒体の構造の一例を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態2に係る光学情報記録媒体の構造の一例を示す一構成例の断面図である。 本発明の光学情報記録媒体に用いる情報層の構造の一例を示す模式断面図である。 本発明の実施の形態2に係る光学情報記録媒体の別の構造の一例を示す模式断面図である。 本発明の光学情報記録媒体を用いた記録再生装置の構成の一例を示す概略図である。 本発明の光学情報記録媒体の記録再生に用いるパルス波形の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 透明基板、2 第1情報層、3 保護基板、4 溝、5 レーザ光、6 対物レンズ、7 分離層、8 第2情報層、9 第n情報層、10 下側誘電体膜、11 下側界面膜、12 記録膜、13 上側界面膜、14 上側誘電体膜、15 反射膜、16 透過率調整膜、17 レーザダイオード、18 ハーフミラー、19 モーター、20 光学的情報記録媒体、21 フォトディテクター、41 底面、42 傾斜面。
上記課題を解決するため、本発明の光学情報記録媒体は、レーザ光の照射により情報信号を記録・再生する記録層を含む情報層を備え、前記情報層が気相薄膜堆積法により形成されるとともに、前記情報層における案内溝の内周側と外周側の傾斜面が前記案内溝の底面に対しそれぞれ傾斜角αとβを有する光学情報記録媒体であって、前記傾斜角αとβが異なる非対称領域を有することを特徴とする。
本発明の光学情報記録媒体は、例えば以下の方法を用いて製造することができる。すなわち、レーザ光の照射により情報信号を記録・再生する記録層を含む情報層を備え、前記情報層が気相薄膜堆積法により形成されるとともに、前記情報層における案内溝の内周側と外周側の傾斜面が前記案内溝の底面に対しそれぞれ傾斜角αとβを有し、前記傾斜角αとβが異なる非対称領域を有する光学情報記録媒体の製造方法であって、前記光学情報記録媒体は保護基板を更に含み、前記保護基板は原盤から作製したスタンパを金型として成形してなるものであって、前記原盤に前記傾斜角αとβが異なる非対称領域を有するものを用いることを特徴とする。

Claims (12)

  1. レーザ光の照射により情報信号を記録・再生する記録層を含む情報層を1層以上有し、該情報層の照射面側の第1情報層が、表面にスパイラル状又は同心円状に形成された案内溝を有し該案内溝の内周側と外周側の傾斜面が該案内溝の底面に対しそれぞれ傾斜角αとβを有する保護基板又は分離層の上に形成されて成る光学情報記録媒体であって、
    上記傾斜角αとβが異なる非対称領域を有する光学情報記録媒体。
  2. 半径方向に2以上の上記非対称領域を有する請求項1記載の光学情報記録媒体。
  3. 上記傾斜角βが傾斜角αより小さい請求項1又は2に記載の光学情報記録媒体。
  4. α−β≧20度の関係を有する請求項3記載の光学情報記録媒体。
  5. 上記保護基板が半径rを有し、上記非対称領域が保護基板の中心から距離r/2より大きい半径方向に形成されて成る請求項1から4のいずれか一つに記載の光学情報記録媒体。
  6. 上記非対称領域が第1と第2の非対称領域を有し、第1の非対称領域においては、α−β≦10度であり、第2の非対称領域においては、α−β≧20度の関係を有する請求項2又は3に記載の光学情報記録媒体。
  7. 上記第1の非対称領域が保護基板の中心から距離r/2より小さい半径方向に形成される一方、上記第2の非対称領域が保護基板の中心から距離r/2より大きい半径方向に形成されて成る請求項6記載の光学情報記録媒体。
  8. 上記光学情報記録媒体が片面多層構造を有し、第1の案内溝を有する上記保護基板上に、少なくとも、第2情報層と、第2の案内溝を有する分離層と、そして第1情報層とを順次積層して成る請求項1から7のいずれか一つに記載の光学情報記録媒体。
  9. 上記情報層が、上記非対称領域の内周側と外周側の傾斜面において概ね一致する膜厚を有する請求項1から8のいずれか一つに記載の光学情報記録媒体。
  10. レーザ光の照射により情報信号を記録・再生する記録層を含む情報層を1層以上有し、該情報層の照射面側の第1情報層が、表面にスパイラル状又は同心円状に形成された案内溝を有し該案内溝の内周側と外周側の傾斜面が該案内溝の底面に対しそれぞれ傾斜角αとβを有する保護基板又は分離層の上に形成されて成り、上記傾斜角αとβが異なる非対称領域を有する光学情報記録媒体の製造方法であって、
    上記保護基板は原盤から作製したスタンパを金型として成形してなるものであって、上記原盤に上記傾斜角αとβが異なる非対象領域を有するものを用いる光学情報記録媒体の製造方法。
  11. 原盤用基板上にレジスト層を形成し、レーザ光を集光レンズで集光し該レジスト層をカッティングしてマスクパターンを形成し、エッチングによりスパイラル状又は同心円状の案内溝を形成して上記原盤を作製するに際し、
    上記集光レンズに入射するレーザ光の光軸を傾斜させて上記レジスト層をカッティングする請求項10記載の製造方法。
  12. 原盤用基板上にレジスト層を形成し、レーザ光を集光レンズで集光し該レジスト層をカッティングしてマスクパターンを形成し、エッチングによりスパイラル状又は同心円状の案内溝を形成して上記原盤を作製するに際し、
    集光された2つのレーザ光を用いてレジスト層をカッティングする請求項10記載の製造方法。
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