JP2003091873A - 光学的情報記録媒体およびそれを用いた記録方法 - Google Patents

光学的情報記録媒体およびそれを用いた記録方法

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JP2003091873A
JP2003091873A JP2002186707A JP2002186707A JP2003091873A JP 2003091873 A JP2003091873 A JP 2003091873A JP 2002186707 A JP2002186707 A JP 2002186707A JP 2002186707 A JP2002186707 A JP 2002186707A JP 2003091873 A JP2003091873 A JP 2003091873A
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Hideki Kitaura
英樹 北浦
Noboru Yamada
昇 山田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い線速度でも信頼性よく情報の記録が可能
な光学的情報記録媒体およびそれを用いた記録方法を提
供する。 【解決手段】 第1の基板11と、第1の基板11に平
行に配置された第2の基板12と、第1の基板11と第
2の基板12との間に配置された情報層20とを備え、
情報層20は、記録層22と、記録層22との距離が2
0nm以下となるように配置された誘電体層(下側誘電
体層21/上側誘電体層23)とを含む。記録層22
は、第1の基板11側から入射するレーザビーム14の
照射によって、光学的に識別可能な2つ以上の異なる状
態間で変化する層であり、誘電体層はZnSとSiとを
主成分として含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的情報記録媒
体およびそれを用いた記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、基板上に形成したカルコゲン
材料からなる薄膜にレーザビームを照射することによっ
て、非晶質相と結晶相との間で相変化させることが可能
であることが知られている。そして、この現象を応用し
た、いわゆる相変化方式の光学的情報記録媒体の研究開
発が盛んに行われている。
【0003】相変化方式の記録媒体においては、記録レ
ベルと消去レベルの2つのパワーレベル間で出力を変調
させたレーザビームを記録媒体の情報トラックに照射す
ることによって、古い信号を消去しつつ、同時に新しい
信号を記録することが可能である。
【0004】一般的に、こういった記録媒体では、情報
を記録するための情報層として、相変化する記録層だけ
ではなく記録層以外の層を含む多層膜が用いられる。た
とえば、誘電体材料からなる保護層または金属からなる
反射層を含む多層膜が情報層として用いられる。
【0005】誘電体材料からなる保護層は、 1)外部からの機械的なダメージから記録層を保護する
働き、 2)信号の書き換えを繰り返し行なった場合に起きる熱
的なダメージを低減して書き換え可能な回数を高める働
き、 3)多重反射による干渉効果を利用して光学的特性の変
化をエンハンスする働き、 4)外気からの影響による化学的な変化を防止する働
き、といった働きを有する。
【0006】このような働きを達成する保護層の材料と
して、従来から、Al23、TiO 2、SiO2といった
酸化物、Si34やAlNといった窒化物、Si−O−
Nといった酸窒化物(特開平3−104038号公報参
照)、ZnSといった硫化物、SiCといった炭化物が
提案されている。また、保護層の材料として、ZnSと
SiO2との混合物であるZnS−SiO2(特開昭63
−103453号公報)も提案されている。これらの材
料の中で、商品化されている相変化光ディスクには、Z
nS−SiO2が用いられている。
【0007】ZnS−SiO2が用いられてきた理由の
1つは、これが誘電体の中では熱伝導率が小さく、記録
を行う際に生じる熱拡散を抑制できるので記録感度を高
くできることである。また、他の理由の1つは、この材
料は内部応力が小さいので、厚い層を形成しても割れが
生じにくく且つ記録層との接着性が高いことである。
【0008】光学的情報記録媒体では、照射するレーザ
ビームの波長を短くすることによって記録密度を増やす
ことができる。また、レーザビームを集光する対物レン
ズの開口数を大きくすることによってレーザビームのス
ポット径を小さくし、記録密度を増やすことができる。
また、レーザビーム案内用の溝(グルーブ)および溝間
(ランド)の両方に情報を記録することによっても記録
密度を増やすことができる。さらに、複数の記録層を用
いることによっても記録密度を増やすことができる。複
数の記録層を備える記録媒体およびその記録・再生方法
については、すでに開示されている(特開平9−212
917号公報、WO96/31875公報、特開200
0−36130号公報)。また、複数の記録層から1つ
の記録層を選択して記録・再生を行うための層認識手段
および層切り替え手段が開示されている(WO96/3
1875公報参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】光学的情報記録媒体で
は、記録・再生用の光源として汎用のレーザダイオード
を用いるのが一般的であるため、限られたレーザ出力の
範囲内で記録を行う必要がある。そのため、上述したよ
うに、記録層に隣接する誘電体層の材料として、従来か
らZnS−SiO2が用いられてきた。
【0010】しかしながら、大容量の情報を短時間で記
録・再生するために、より高い線速度での記録・再生が
求められている。線速度が高くなるほど単位面積あたり
のレーザ照射時間が短くなるため、記録層の記録感度を
向上させることが必要である。特に、複数の記録層を備
える記録媒体の場合において、レーザの入射面から最も
遠い位置に配置された記録層の記録感度を向上させるこ
とは特に重要である。この点で、従来から用いられてき
たZnS−SiO2に代わる材料が求められている。記
録層の記録感度を向上させるためには、従来の誘電体よ
りも熱伝導率が低い誘電体からなる保護層を用いること
が必要となる。
【0011】また、熱伝導率が低い誘電体からなる保護
層は、記録時の熱拡散によって隣接トラックのマークの
一部を消去してしまう現象(いわゆるクロス消去)を抑
制する効果もあり、高密度化のために好ましい。
【0012】このような状況に鑑み、本発明は、高い線
速度でも信頼性よく情報の記録が可能な光学的情報記録
媒体、その製造方法、およびその記録・再生方法を提供
することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の光学的情報記録媒体は、第1の基板と、前
記第1の基板に平行に配置された第2の基板と、前記第
1の基板と前記第2の基板との間に配置された情報層A
とを備える光学的情報記録媒体であって、前記情報層A
が、記録層と、前記記録層との距離が20nm以下とな
るように配置された誘電体層とを含み、前記記録層は、
前記第1の基板側から入射する光ビームの照射によっ
て、光学的に識別可能な2つ以上の異なる状態間で変化
する層であり、前記誘電体層はZnSとSiとを主成分
として含むことを特徴とする。本発明者らは、ZnS−
Si(ZnSとSiとの混合物)からなる誘電体層を用
いた記録媒体は、ZnS−SiO2からなる誘電体層を
用いた記録媒体よりも低いレーザパワーで記録を行うこ
とができることを見出した。すなわち、ZnS−Siか
らなる誘電体層を用いることによって、記録感度が高い
記録媒体が得られる。さらに、ZnS−Siは熱的、化
学的および機械的に安定な材料である。さらに、ZnS
−Siは、スパッタリング法による成膜速度がZnS−
SiO2よりも大きいため、生産性の面からも好まし
い。
【0014】上記記録媒体では、前記第1の基板と前記
第2の基板との間に配置された複数の情報層を備え、前
記複数の情報層のうち前記第2の基板に最も近い情報層
が前記情報層Aであってもよい。
【0015】上記記録媒体では、前記情報層Aは、前記
記録層よりも前記第2の基板側に配置された反射層を含
んでもよい。
【0016】上記記録媒体では、前記記録層が、光学的
に識別可能な2つ以上の異なる状態間で可逆的に変化し
てもよい。この場合、前記記録層が、TeおよびSbを
含む合金からなるものでもよい。また、前記記録層が、
Ge−Sb−Te系合金、Ge−Sn−Sb−Te系合
金、Ag−In−Sb−Te系合金、またはAg−In
−Ge−Sb−Te系合金からなるものでもよい。ま
た、前記記録層がGe−Sb−Te系合金からなり、前
記合金がGeを30原子%以上の含有率で含んでもよ
い。また、前記記録層がGe−Sn−Sb−Te系合金
からなり、前記合金がGeとSnとを合計で30原子%
以上の含有率で含んでもよい。また、前記記録層の厚さ
が3nm以上20nm以下であってもよい。
【0017】上記記録媒体では、前記記録層が、光学的
に識別可能な2つの異なる状態間で不可逆的に変化して
もよい。この場合、前記記録層が、Al、Si、Ti、
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、G
a、Ge、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、A
g、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Re、Os、
Ir、Pt、AuおよびBiからなる群より選ばれる少
なくとも1つの元素Mと、Teと、Oとからなるもので
もよい。この場合、前記記録層中の酸素の含有率が25
原子%以上60原子%以下であり、前記記録層中の前記
元素Mの含有率が1原子%以上35原子%以下であって
もよい。また、前記記録層の厚さが5nm以上70nm
以下であってもよい。
【0018】また、本発明の記録方法は、光ビームの照
射によって光学的に識別可能な2つ以上の異なる状態間
で変化する記録層と、ZnSとSiとを主成分とする誘
電体層とを含む情報層を備える光学的情報記録媒体の記
録方法であって、VL(m/秒)の線速度で記録を行う
第1の領域と、VLよりも大きいVH(m/秒)の線速
度で記録を行う第2の領域とにおいてそれぞれ長さが等
しい記録マークを形成する場合に、第1のパワーと前記
第1のパワーよりも小さい第2のパワーとの間で前記光
ビームを変調することによって記録を行い、前記第1領
域において前記第1のパワーの前記光ビームを照射する
時間TL(秒)と、前記第2の領域において前記第1の
パワーの前記光ビームを照射する時間TH(秒)と、前
記VLと、前記VHとが、TL・VL<TH・VHの関
係を満たすことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態
では、同一の部分については同一の符号を付して重複す
る説明を省略する場合がある。
【0020】(実施形態1)実施形態1では、本発明の
光学的情報記録媒体の一例として、1つの情報層を備え
る記録媒体について説明する。実施形態1の光学的情報
記録媒体10(以下、記録媒体10という場合がある)
の一部断面図を図1に示す。
【0021】記録媒体10は、透明な第1の基板11
と、第1の基板11に平行に配置された第2の基板12
と、第1の基板11と第2の基板12との間に配置され
た情報層20(情報層A)とを備える。記録媒体10で
は、対物レンズ13を通って第1の基板11側から入射
するレーザビーム14によって情報の記録および再生が
行われる。レーザビーム14の波長は、たとえば300
μm〜900μmの範囲内であり、高密度記録には、5
00μm以下であることが好ましい。
【0022】情報層20には情報が記録される。情報層
20は、複数の層が積層された多層膜であり、第1の基
板11側から順に配置された、下側誘電体層21、記録
層22、上側誘電体層23および反射層24を備える。
なお、「下側」とは、記録層22よりも第1の基板11
側の位置を意味する。
【0023】情報層20では、透明な第1の基板11を
透過したレーザビーム14によって情報の記録・再生が
行われる。したがって、第1の基板11の材料は、レー
ザビーム14の波長においてほぼ透明であることが好ま
しい。第1の基板11の材料としては、たとえば、ポリ
カーボネイト樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポ
リオレフィン樹脂、ノルボルネン系樹脂、紫外線硬化性
樹脂、ガラス、あるいはこれらを組み合わせた材料を用
いることができる。第1の基板11は、円板状であり、
その厚さは特に限定されないが、たとえば0.01mm
〜1.5mmの範囲内である。なお、第1の基板11
は、上記の樹脂をスピンコート法などによって下側誘電
体層21上に塗布したのち硬化させることによって形成
された基板であってもよい。
【0024】記録層22は、情報の書き換えが何度でも
可能な書換形、または、未記録の領域に1度だけ情報の
書き込みが可能な追記形の記録層である。記録層22
は、第1の基板11側から入射する光ビーム(通常レー
ザビーム)の照射によって、光学的に識別可能な2つ以
上の異なる状態間で変化する層である。
【0025】記録層22が書換形である場合、その材料
としては、TeおよびSbを含む合金(カルコゲナイ
ド:chalcogenide)を用いることができる。たとえば、
Ge−Sb−Te系合金、Ge−Sn−Sb−Te系合
金を用いることができる。また、Sb−Teの共晶組成
をベースとしてIn、Ge、AuまたはAgといった元
素を添加した合金(たとえばAg−In−Sb−Te系
合金やAg−In−Ge−Sb−Te系合金)を用いる
ことができる。これらの材料は、記録用のレーザビーム
14の照射によって、結晶相と非晶質相との間で可逆的
に変化する。この場合、結晶状態の部分における反射率
と非晶質状態の部分における反射率とが異なるため、再
生用のレーザビーム14を照射することによって両者を
識別できる。ここで、Ge−Sb−Te系合金とは、G
eとSbとTeとをそれらの合計が90原子%以上とな
るように含む合金を意味する。同様に、Ge−Sn−S
b−Te系合金とは、GeとSnとSbとTeとをそれ
らの合計が90原子%以上となるように含む合金を意味
する。他の合金についても同様である。
【0026】これらの材料の中でも、Ge−Sb−Te
系合金であってGeを30原子%以上の含有率で含む合
金、またはGe−Sn−Sb−Te系合金であってGe
とSnとを合計で30原子%以上の含有率で含む合金を
用いた場合には、結晶と非晶質との間の光学的なコント
ラストが大きくなり、大きなC/N比が得られる。一
方、これらの材料は融点が高くなって記録感度が不足し
やすい。したがって、これらの材料を用いる場合には、
ZnSとSiとを主成分として含む誘電体層(後述)を
用いることによる効果が特に大きい。
【0027】また、記録層22が書換形である場合、熱
伝導率、光学定数、耐熱性および信頼性といった特性を
調整するために、O、N、F、C、SおよびBからなる
群より選ばれる少なくとも1つの元素を記録層22の材
料に添加してもよい。これらの元素は、記録層22全体
の10原子%以下となるように添加される。
【0028】記録層22が書換形の場合、その厚さを3
nm以上20nm以下とすることによって十分なC/N
比(Carrier to Noise比)を得ること
ができる。記録層22の厚さが3nm以上である場合に
は、十分な反射率および反射率変化が得られるため、十
分なC/N比が得られる。また、記録層の厚さが20n
m以下である場合には、記録層22の層内における熱拡
散が大きくなりすぎることを防止でき、その結果高密度
記録におけるC/N比が低くなることを防止できる。
【0029】記録層22が、追記形である場合には、A
l、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、
Cu、Zn、Ga、Ge、Zr、Nb、Mo、Ru、R
h、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、
Re、Os、Ir、Pt、AuおよびBiからなる群よ
り選ばれる少なくとも1つの元素Mと、Teと、O(酸
素)とからなる記録層を用いることができる。たとえ
ば、Te−O−PdやTe−O−Auといった材料から
なる記録層22を用いることができる。これらの材料か
らなる記録層22は、記録用のレーザビーム14を照射
することによって、非晶質相から結晶相へ不可逆的に変
化する。これらの2つの状態は、再生用のレーザビーム
14を照射することによって識別できる。なお、元素M
としては、PdまたはAuを用いることが、十分な結晶
化速度および高い環境信頼性が得られる面から特に好ま
しい。
【0030】追記形の記録層22の材料は、酸素の含有
率が25原子%以上60原子%以下であり、元素Mの含
有率が1原子%以上35原子%以下であることが好まし
い。酸素および元素Mの含有率をこの範囲とすることに
よって、十分なC/N比が得られる。記録層22中の酸
素の含有率を25原子%以上とすることによって、記録
層22の熱伝導率が高すぎるために記録マークが大きく
なりすぎることを防止できる。また、記録層22中の酸
素の含有率を60原子%以下とすることによって、記録
層22の熱伝導率が低くなりすぎるために記録パワーを
上げても記録マークが十分大きくならないことを防止で
きる。その結果、良好なC/N比が得られる。記録層2
2中の元素Mの含有率を1%以上とすることによって、
レーザビーム照射時にTeの結晶成長を促進する働きが
十分に発揮される。その結果、記録層22の結晶化速度
を良好な値とすることができ、記録マークを高速で形成
できる。また、記録層22中の元素Mの含有率を35原
子%以下とすることによって、非晶質と結晶との間の反
射率変化を大きくでき、十分なC/N比が得られる。
【0031】また、記録層22が追記形である場合、熱
伝導率、光学定数、耐熱性または環境信頼性といった特
性を向上させるために、N、F、C、SおよびBからな
る群より選ばれる少なくとも1つの元素を記録層22の
材料に添加してもよい。これらの元素は、記録層22全
体の10原子%以下となるように添加される。
【0032】また、記録層22が追記形である場合、そ
の厚さを5nm以上70nm以下とすることによって、
十分なC/N比を得ることができる。記録層22の厚さ
が5nm以上である場合には、十分な反射率および反射
率変化が得られる。また、記録層22の厚さが70nm
以下である場合には、記録層22の層内における熱拡散
が大きくなりすぎることを防止でき、高密度記録におい
ても十分なC/N比が得られる。
【0033】下側誘電体層21および上側誘電体層23
から選ばれる少なくとも1つの層は、ZnSとSiとを
主成分として含む誘電体からなる。ここで、「主成分」
とは、ZnSとSiとを合計で90モル%以上の含有率
となるように含むことを意味する。この誘電体には、熱
伝導率、光学定数、耐熱性または環境信頼性といった特
性を向上させるために、他の元素、たとえばO、N、
F、C、SおよびBからなる群より選ばれる少なくとも
1つの元素を添加してもよい。これらの元素の添加量
は、10原子%以内であり好ましくは5原子%以内であ
る。また、添加する元素の添加量はSiの2倍(より好
ましくは1倍)を越えないことが好ましい。ZnSとS
iとの混合比は特に限定されないが、ZnSの含有率が
30モル%以上98モル%以下であることが好ましく、
50モル%以上95モル%以下であることが特に好まし
い。具体的には、モル比で(ZnS):(Si):(添
加元素の合計)=(1−x−y):x:yとすると、
0.02≦x≦0.7且つ0≦y≦0.7xであること
が好ましく、0.05≦x≦0.5且つ0≦y≦0.5
xであることが好ましい。
【0034】下側誘電体層21または上側誘電体層23
のいずれか一方が上記誘電体で形成されない場合には、
誘電体層の材料として、Y、Ce、Ti、Zr、Nb、
Ta、Co、Zn、Al、Si、Ge、Sn、Pb、S
b、BiまたはTeといった元素の酸化物を用いること
ができる。また、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、M
o、W、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Snまた
はPbといった元素の窒化物を用いることもできる。ま
た、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、Mo、WまたはS
iといった元素の炭化物を用いることもできる。また、
ZnまたはCdの硫化物、セレン化物またはテルル化物
を用いることもできる。また、MgまたはCaのフッ化
物を用いることもでき、C、SiまたはGeの単体を用
いることもできる。また、これらの混合物からなる材料
を用いてもよい。より具体的には、たとえば、ZnSと
SiO2との混合物を用いることができる。
【0035】反射層24は、たとえば、Au、Ag、C
u、Al、Ni、Pd、Pt、Bi、Sb、Sn、Zn
またはCrといった金属、あるいはこれらの合金で形成
できる。また、反射層24として、屈折率が異なる複数
の誘電体層からなる多層膜を用いてもよい。
【0036】第2の基板12は、記録媒体10の情報層
を保護する機能を有する。第2の基板12は、第1の基
板11の材料として説明した材料で形成できる。ただ
し、第1の基板11の材料と第2の基板12の材料とは
異なってもよい。また、第2の基板12は、レーザビー
ム14の波長において透明でなくてもよい。第2の基板
12の厚さは特に限定されないが、たとえば0.01m
m〜3.0mm程度である。
【0037】図1では、記録層22と誘電体層とが接し
ている記録媒体10について説明した。しかし、記録層
22と下側誘電体層21との界面、および記録層22と
上側誘電体層23との界面から選ばれる少なくとも1つ
の界面に界面層が配置されてもよい。このような記録媒
体の一例として、記録媒体10aの一部断面図を図2に
示す。記録媒体10aの情報層20aでは、記録層22
と下側誘電体層21との間に界面層25が配置されてお
り、記録層22と上側誘電体層23との間に界面層26
が配置されている。これらの界面層は、たとえば、記録
層の結晶化を促進して消去特性を向上させる働きや、記
録層と誘電体層との間で原子が拡散することを防止する
ことによって繰り返し記録特性を向上させる働きを有す
る。これらの界面層は、記録層との剥離や腐食が生じな
いといった信頼性を備えている必要がある。このような
要件を満たす界面層の材料としては、結晶化を促進させ
る効果および原子の拡散を防止する効果が高い、Siや
Geの窒化物を用いることができる(特開平5−217
211号公報、WO97/34298公報参照)。
【0038】なお、ZnSとSiとを主成分として含む
誘電体層(下側誘電体層21および/または上側誘電体
層24)の効果を高めるため、誘電体層と記録層22と
の距離は、20nm以下(好ましくは10nm以下)と
する必要がある。したがって、界面層の厚さは、0.5
nm以上20nm以下であることが好ましい。
【0039】(実施形態2)実施形態2では、本発明の
光学的情報記録媒体の一例として、複数の情報層を備え
る記録媒体について説明する。実施形態2の光学的情報
記録媒体10b(以下、記録媒体10bという場合があ
る)の一部断面図を図3に示す。
【0040】記録媒体10bは、透明な第1の基板11
と、第1の基板11に平行に配置された第2の基板12
と、情報層20および30と、分離層35とを備える。
情報層30、分離層35および情報層20は、第1の基
板11側からこの順序で配置されている。記録媒体10
bでは、対物レンズ13を通って第1の基板11側から
入射するレーザビーム14によって情報の記録・再生が
行われる。
【0041】情報層20および30には、それぞれ独立
に情報が記録される。情報層20は、実施形態1で説明
した情報層20と同じである。情報層30は、第1の基
板11側から順に配置された下側誘電体層31、記録層
32および上側誘電体層33を備える。なお、情報層3
0は、さらに上側誘電体層33と情報層20との間に配
置された反射層を備えてもよい。この場合の反射層は、
情報層20の記録・再生に必要な光を透過させるため
に、反射層24よりも反射率を低くする。また、情報層
30は、記録層32と下側誘電体層31との界面、およ
び、記録層32と上側誘電体層33との界面から選ばれ
る少なくとも1つの界面に配置された界面層を備えても
よい。
【0042】情報層30は、書換形、追記形または再生
専用形のいずれであってもよい。情報層30の各層は、
それぞれ情報層20中の対応する層と同様の材料で形成
できる。ただし、情報層20の記録・再生に必要な光を
透過させるために、情報層30の透過率は30%以上で
あることがある好ましい。この点を考慮し、情報層30
の各層の材料および厚さが設定される。
【0043】分離層35は、たとえば紫外線硬化性樹脂
で形成できる。分離層35の厚さは、情報層20または
30のいずれか一方を再生する際に、他方からのクロス
トークが小さくなるように調整する必要がある。このた
め、分離層35の厚さは、対物レンズ13の開口数NA
とレーザビーム14の波長λによって決定される焦点深
度ΔZ以上であることが必要である。焦点深度ΔZは、
集光点の強度が無収差の80%を基準としたならば、一
般的にΔZ=λ/{2(NA)2}と近似できる。たと
えば、λ=405nm、NA=0.65の場合はΔZ=
0.479μmとなる。したがって、±0.5μm以内
は焦点深度内となってしまうので、この光学系を用いた
場合、分離層35の厚さは1.0μmよりも大きく設定
される。また、分離層35の厚さは、情報層20および
30の2つの情報層における高密度な情報の記録・再生
を可能にできるような厚さに設定されることが好まし
い。そのため、分離層35の厚さは、2つの記録層の距
離が対物レンズ13を用いて集光可能な範囲内となるよ
うに設定される必要がある。
【0044】図3には、2つの情報層を備える記録媒体
を示した。しかし、本発明の情報記録媒体は、第1の基
板11と第2の基板12との間に3つ以上の情報層を備
えてもよい。この場合、複数の情報層のうち、第2の基
板12に最も近い情報層に、上述した情報層20を用い
る。他の情報層は、情報層20と同じ構成であっても異
なる構成であってもよい。
【0045】また、上記の記録媒体を2枚用意し、それ
ぞれの第2の基板12を対向させて貼りあわせることに
よって、媒体1枚あたりに蓄積できる情報量をさらに2
倍にすることができる。
【0046】以下に、実施形態1および2で説明した光
学的情報記録媒体の製造方法について説明する。
【0047】記録媒体の情報層を構成する各層(分離層
35を除く)は、たとえば真空蒸着法、スパッタリング
法、イオンプレーティング法、CVD(Chemical Vapor
Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)
法といった一般的な気相堆積法(Vapor Phase Depositi
on Method)によって形成できる。また、分離層35
は、たとえば、紫外線硬化性樹脂をスピンコート法によ
って塗布して、紫外線を照射することによって樹脂を硬
化させることによって形成できる。また、粘着性のシー
トを貼り付けるといった方法によっても分離層35を形
成できる。
【0048】本発明の製造方法では、ZnSとSiとを
主成分とする誘電体層(下側誘電体層21および/また
は上側誘電体層23)をスパッタリング法によって形成
する。具体的には、ZnSの粉末とSiの粉末とを含む
ターゲットを、不活性ガスを流したスパッタリング装置
中(不活性ガス雰囲気中)でスパッタリングすることに
よって誘電体層を形成する。不活性ガスには、たとえば
ArガスやKrガスを用いることができる。
【0049】記録媒体は、第1の基板11上に上記の各
層を積層したのち、情報層の上に第2の基板12を形成
または貼り合わせることによって形成できる。また、記
録媒体は、第2の基板12上に上記の各層を積層したの
ち、情報層の上に第1の基板11を形成または貼り合わ
せることによって形成できる。後者の方法は、第1の基
板11が薄い(0.4mm以下)場合に適している。後
者の方法において、第2の基板12および分離層35に
凹凸パターン(たとえばレーザビーム案内用の溝(groo
ve)やアドレスピット)を形成する場合には、あらかじ
め凹凸パターンが形成された第2の基板12および分離
層35を用いる必要がある。このような凹凸パターン
は、インジェクション法を用いて、凹凸パターンが形成
されたスタンパの形状を転写することによって形成でき
る。また、形成する基板や分離層が薄いためにインジェ
クション法によって形成することが困難な場合には、2
P法(photo-polymerization法)を用いることができ
る。
【0050】(実施形態3)実施形態3では、本発明の
記録方法について説明する。この記録方法は、書換形お
よび追記形のいずれの光記録媒体にも適用できる。
【0051】本発明の記録方法に用いられる記録・再生
装置の一例の構成を図4に模式的に示す。図4の記録・
再生装置40は、レーザダイオード41と、ハーフミラ
ー42と、モータ43と、フォトディテクター44と、
対物レンズ13とを備える。記録・再生装置40によっ
て、記録媒体45の記録・再生が行われる。記録媒体4
5は、モータ43によって回転される。記録媒体45
は、実施形態1または2で説明した本発明の光学的情報
記録媒体である。
【0052】レーザダイオード41から出射されたレー
ザビーム14は、ハーフミラー42および対物レンズ1
3を透過し、記録媒体45にフォーカシングされる。特
定のパワーのレーザビーム14を記録媒体45に照射す
ることによって、情報の記録が行われる。また、特定の
パワーのレーザビーム14を記録媒体45に照射し、そ
の反射光をフォトディテクター44で検出することによ
って、情報の再生が行われる。
【0053】情報信号の記録、すなわち記録マークの形
成を行う場合には、通常、レーザビーム14の強度を複
数のパワーレベル間で変調する。レーザ強度の変調は、
レーザダイオード41の駆動電流を変調することによっ
て簡単に行うことができる。また、電気光学変調器や音
響光学変調器などの手段を用いてレーザ強度を変調する
ことも可能である。
【0054】記録マークは、ピークパワーP1の単一矩
形パルスのレーザビームを記録層に照射することによっ
て形成できる。しかし、長い記録マークを形成する場合
は、過熱を防いで記録マーク幅を均一にするために、変
調された複数のレーザパルスの列からなる記録パルス列
を用いることが好ましい。そのような記録パルス列の一
例を図5に示す。図5の横軸は、時間を示し、縦軸はレ
ーザビームのパワーを示す。このパルス列では、まず、
ピークパワーP1のレーザパルスと、ボトムパワーP3
(P3<P1)のレーザパルスとを交互に照射すること
によって、記録層の一部を変化させて記録マークを形成
する。また、パルス列の最後尾には、図5に示すよう
に、冷却パワーP4(P4<P3)を照射する冷却区間
を設けてもよい。記録マークを形成しない部分には、パ
ワーがバイアスパワーP2(P2<P1)で一定に保た
れたレーザビームを照射する。
【0055】光学的情報記録媒体の記録・再生方法で
は、異なる線速で記録・再生を行う場合がある。ここ
で、VL(m/秒)の線速で記録を行う第1の領域と、
VLよりも大きいVH(m/秒)の線速で記録を行う第
2の領域とにおける記録について説明する。情報の記録
は、ピークパワーP1(第1のパワー)と、P1よりも
小さいボトムパワーP3(第2のパワー)との間で照射
するレーザビーム14を変調することによって行う。第
1の領域および第2の領域で、それぞれ長さが等しい記
録マークを形成すると仮定した場合、第1の領域におい
てはピークパワーP1のレーザビーム14をTL(秒)
だけ照射し、第2の領域においては、ピークパワーP1
のレーザビーム14をTH(秒)だけ照射する。このと
き、TL・VL<TH・VHの関係を満たすようにV
L、VH、TLおよびTHの値を決定する。線速が高く
なるほど、記録マーク間の熱干渉が小さくなるため、T
L・VLの値とTH・VHの値とを等しくしてしまうと
線速が高い第1の領域における記録マークが小さくなっ
てしまう。したがって、異なる線速で記録してもマーク
エッジの位置が揃うように、TH・VHをTL・VLよ
りも適度に大きくする必要がある。
【0056】ここで、記録マークの長さやその前後のス
ペースの長さ、隣接する記録マークの長さなどで決まる
記録パターンが異なることによって、マークエッジ位置
に不揃いが生じ、ジッタ増大の原因となることがある。
本発明の記録・再生方法では、マークエッジ位置の不揃
いを防止してジッタを改善するために、上記パルス列の
各パルスの位置または長さをパターン毎にエッジ位置が
揃うように調整し、補償することができる。
【0057】こうして記録された情報信号を再生する場
合には、パワーレベルPr(Pr<P1)の連続光を記
録媒体に照射し、その反射光をフォトディテクター44
で検出し、反射光量の変化を再生信号として出力する。
【0058】また、図3に示したような複数の情報層を
備える記録媒体に情報を記録・再生する場合、複数の情
報層のうちの1つを選択して情報を記録・再生すること
が必要になる。そのためには、各情報層を認識する手段
と、記録・再生する情報層を切り替える手段などが必要
である。このような手段は、たとえばWO96/318
75公報に記載されている。また、このような手段は、
既に商品化されている再生専用DVDの再生装置などに
も搭載されており、これらの公知の手段を用いることが
できる。
【0059】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0060】(実施例1)実施例1では、ZnS−Si
誘電体層を用いた本発明の光ディスクと、ZnS−Si
2誘電体層を用いた光ディスクとを、記録感度の観点
から比較した一例について説明する。作製した光ディス
クは、グルーブの部分の記録層において非晶質の部分を
結晶化することによって記録を行う光ディスクであり、
追記形の光ディスクである。
【0061】以下に、光ディスクの作製方法について説
明する。透明基板(第1の基板11)には、片面にグル
ーブ(ピッチ:0.74μm、深さ:約40nm)が形
成された、ポリカーボネイト樹脂からなる基板(直径:
約12cm、厚さ:約0.6mm)を用いた。
【0062】この透明基板のグルーブが形成された側
に、ZnS−Siからなる下側誘電体層(厚さ:約80
nm)、Te−O−Pdからなる記録層(厚さ:約50
nm)、ZnS−Siからなる上側誘電体層(厚さ:約
140nm)、およびAl−Crからなる反射層(厚
さ:約80nm)をこの順序で積層した。
【0063】これらの各層は、直径100mmで厚さ6
mm程度のターゲットを用いたスパッタリング法で形成
した。下側誘電体層および上側誘電体層は、ZnS−S
i(モル比80:20)のターゲットを用いて形成し
た。記録層は、Te−Pd(原子数比90:10)のタ
ーゲットを用いて形成した。反射層は、Al−Cr(原
子数比98:2)のターゲットを用いて形成した。下誘
電体層および上誘電体層はRF電源(印加パワー:50
0W)で形成し、記録層はDC電源(印加パワー:10
0W)で形成し、反射層はDC電源(印加パワー:50
0W)で形成した。記録層は、ArとO2との混合ガス
(流量比45:55)の雰囲気中(ガス圧:約0.2P
a)で形成した。下側誘電体層、上側誘電体層および反
射層は、Arガス雰囲気中(ガス圧:約0.2Pa)で
形成した。
【0064】こうして形成された情報層上に、紫外線硬
化性樹脂を挟んでダミー基板(第2の基板12)を貼り
合わせたのち、紫外線を照射して樹脂を硬化させた。さ
らに、このディスクを90℃で約2時間アニールした。
このようにして、本発明の光ディスク(以下、ディスク
Aという)を作製した。
【0065】一方、下側誘電体層および/または上側誘
電体層を、ZnS−Siに代えてZnS−SiO2で形
成したことを除いて、ディスクAと同様に光ディスクを
作製した。ZnS−SiO2からなる誘電体層は、Zn
S−SiO2(モル比80:20)のターゲットを用い
たスパッタリング法によって形成した。下側誘電体層の
みをZnS−SiO2で形成した光ディスクをディスク
Bとする。上側誘電体層のみをZnS−SiO2で形成
した光ディスクをディスクCとする。下側誘電体層およ
び上側誘電体層の両方をZnS−SiO2で形成した光
ディスクをディスクDとする。なお、ZnS−SiO2
からなる誘電体層の厚さは、材料を変えてもその光学的
特性がほとんど変わらないようにするため、ZnS−S
iからなる誘電体層と光路長が同じになるように設定し
た。
【0066】上記ディスクのうち記録層が非晶質状態で
ある部分(未記録部分)の反射率を分光器を用いて測定
したところ、ディスクA、B、CおよびDともに約27
%であった。
【0067】上記ディスクのグルーブに対し、開口数N
A=0.6のレンズで集光した波長660nmのレーザ
ビームを照射することによって、4.3MHzの単一信
号を記録した。記録は、ディスクを線速3.5m/秒で
回転させながら行った。記録に用いたレーザビームとし
ては、ピークパワーP1とバイアスパワーP2との間で
変調された単一の矩形パルス(パルス幅:38.6n
s)を用いた。バイアスパワーP2は1.0mWとし、
再生パワーPrも1.0mWとした。この条件で、ピー
クパワーP1を変化させて未記録のトラックに1回だけ
記録を行い、その信号のC/N比をスペクトラムアナラ
イザーで測定した。各ディスクについて、C/N比が最
大となるピークパワーP1Mを(表1)に示す。
【0068】
【表1】
【0069】C/N比が最大となるピークパワーP1M
が小さいほど、記録感度が高いことを意味する。表1に
示すように、ディスクA、B、CおよびDのC/N比が
最大となるピークパワーP1Mは、それぞれ4.0m
W、4.5mW、5.0mWおよび6.0mWであっ
た。なお、いずれのディスクにおいても、C/N比の最
大値は約54dBであった。
【0070】このように、追記形記録媒体のグルーブに
おける結晶化記録を行った実施例1では、ZnS−Si
2誘電体層に代えてZnS−Si誘電体層を用いるこ
とによって、感度の高い光学的情報記録媒体が得られ
た。
【0071】(実施例2)実施例2では、ZnS−Si
誘電体層を用いた本発明の光ディスクと、ZnS−Si
2誘電体層を用いた光ディスクとを、記録感度の観点
から比較した他の一例について説明する。作製した光デ
ィスクは、グルーブおよびランド(隣接する2つのグル
ーブの間の平坦部)の部分において、結晶相である記録
層の一部を非晶質化することによって記録を行う光ディ
スクであり、書換形の光ディスクである。
【0072】透明基板(第1の基板11)には、片面に
グルーブ(グルーブ幅:0.74μm、ランド幅:0.
74μm、深さ:約70nm)が形成された、ポリカー
ボネイト樹脂からなる基板(直径:約12cm、厚さ:
約0.6mm)を用いた。
【0073】この透明基板のグルーブが形成された側
に、ZnS−Siからなる下側誘電体層(厚さ:約12
0nm)、Ge−Sb−Teからなる記録層(厚さ:約
15nm)、ZnS−Siからなる上側誘電体層(厚
さ:約30nm)、Al−Crからなる反射層(膜厚:
約100nm)をこの順に積層した。これらの層は、直
径100mmで厚さ6mm程度のターゲットを用いたス
パッタリング法で形成した。下側誘電体層および上側誘
電体層は、ZnS−Si(モル比80:20)のターゲ
ットを用いて形成した。記録層は、Ge−Sb−Te
(原子数比22:23:55)のターゲットを用いて形
成した。反射層は、Al−Cr(原子数比98:2)の
ターゲットを用いて形成した。下誘電体層および上誘電
体層はRF電源(印加パワー:500W)で形成し、記
録層はDC電源(印加パワー:100W)で形成し、反
射層はDC電源(印加パワー:500W)で形成した。
各層は、ガス圧を約0.2Paに保った雰囲気中で形成
した。
【0074】こうして形成された情報層上に、紫外線硬
化性樹脂を挟んでダミー基板を貼り合わせ、紫外線を照
射して樹脂を硬化させた。さらに、このディスクにレー
ザビームを照射することによって記録層の全面を結晶化
させた。このようにして、本発明の光ディスク(以下、
ディスクEという)を作製した。
【0075】一方、下側誘電体層および/または上側誘
電体層を、ZnS−Siに代えてZnS−SiO2で形
成したことを除いて、ディスクEと同様に光ディスクを
作製した。ZnS−SiO2からなる誘電体層は、Zn
S−SiO2(モル比80:20)のターゲットを用い
たスパッタリング法によって形成した。下側誘電体層の
みをZnS−SiO2で形成した光ディスクをディスク
Fとする。上側誘電体層のみをZnS−SiO2で形成
した光ディスクをディスクGとする。下側誘電体層およ
び上側誘電体層の両方をZnS−SiO2で形成した光
ディスクをディスクHとする。なお、ZnS−SiO2
からなる誘電体層の厚さは、材料を変えてもその光学的
特性がほとんど変わらないようにするため、ZnS−S
iからなる誘電体層と光路長が同じになるようにした。
【0076】上記ディスクのうち記録層が結晶状態であ
る部分(未記録部分)の反射率を分光器を用いて測定し
たところ、ディスクE、F、GおよびHともに約18%
であった。
【0077】上記ディスクのグルーブおよびランドに対
し、開口数NA=0.6のレンズで集光した波長660
nmのレーザビームを照射することによって、9.7M
Hzおよび2.7MHzの単一信号を交互に記録した。
記録は、ディスクを線速6m/秒で回転させながら行っ
た。記録に用いたレーザビームとしては、ピークパワー
P1とバイアスパワーP2との間で変調された矩形パル
スを用いた。9.7MHzの信号は、パルス幅25.7
nsの単一パルスを用いて記録した。また、2.7MH
zの信号は、先頭パルス(パルス幅:25.7ns)と
これに続く8個のサブパルス(パルス幅およびパルス間
隔:8.6ns)とからなるパルス列を用いて記録し
た。いずれの信号の記録においても、P2は4.0mW
とし、再生パワーPrは1.0mWとした。この条件
で、9.7MHzの信号5個と2.7MHzの信号5個
とを交互に未記録のトラックに記録した。その後、さら
にピークパワーP1を変化させて9.7MHzの信号を
記録し、その信号のC/N比をスペクトラムアナライザ
ーで測定した。各ディスクについて、C/N比が最大と
なるピークパワーP1Mを(表2)に示す。
【0078】
【表2】
【0079】表2に示すように、ディスクE、F、Gお
よびHのC/N比が最大となるピークパワーP1Mは、
それぞれ9.0mW、9.5mW、10.5mWおよび
12.0mWであった。また、いずれのディスクにおい
ても、C/N比の最大値は約55dBであった。
【0080】また、これらのディスクの環境信頼性を調
べるために、温度90℃・湿度80%RHの環境下にこ
れらのディスクを500時間放置した。その結果、いず
れのディスクも、光学特性、記録・再生特性ともに変化
はなく良好な耐湿性を示した。
【0081】このように、書換形記録媒体のランドおよ
びグルーブにおける非晶質化記録を行った実施例2で
は、ZnS−SiO2誘電体層に代えてZnS−Si誘
電体層を用いることによって、感度の高い光学的情報記
録媒体が得られた。
【0082】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の光学的情
報記録媒体は記録感度が高い。そのため、本発明によれ
ば、高い線速度における記録、または複数の情報層に対
する記録において、信頼性よく記録が行える。また、本
発明は、本発明の光学的情報記録媒体の製造方法および
記録方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光学的情報記録媒体の一例を示す一
部断面図である。
【図2】 本発明の光学的情報記録媒体の他の一例を示
す一部断面図である。
【図3】 本発明の光学的情報記録媒体のその他の一例
を示す一部断面図である。
【図4】 本発明の光学的情報記録媒体の記録・再生装
置について一例の構成を模式的に示す図である。
【図5】 本発明の光学的情報記録媒体に信号を記録す
るために用いられるレーザビームの波形の一例を示す図
である。
【符号の説明】
10、10a、10b、45 光学的情報記録媒体 11 第1の基板 12 第2の基板 13 対物レンズ 14 レーザビーム 20、20a、30 情報層 21、31 下側誘電体層 22、32 記録層 23、33 上側誘電体層 24 反射層 25、26 界面層 35 分離層 40 記録・再生装置 41 レーザダイオード 42 ハーフミラー 43 モータ 44 フォトディテクター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 541 G11B 7/24 541 B41M 5/26 7/0045 A G11B 7/0045 B41M 5/26 X Fターム(参考) 2H111 EA04 EA23 EA33 FA12 FA21 FA23 FA27 FB04 FB05 FB06 FB09 FB10 FB12 FB16 FB17 FB21 FB22 FB23 FB25 FB30 5D029 JA01 JB13 JB18 JB35 LA15 LB07 RA00 5D090 AA01 BB05 BB12 CC02 CC14 DD01 EE01 FF09 FF11 FF21 GG11 KK04 KK05 KK20

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の基板と、前記第1の基板に平行に
    配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の
    基板との間に配置された情報層Aとを備える光学的情報
    記録媒体であって、 前記情報層Aが、記録層と、前記記録層との距離が20
    nm以下となるように配置された誘電体層とを含み、 前記記録層は、前記第1の基板側から入射する光ビーム
    の照射によって、光学的に識別可能な2つ以上の異なる
    状態間で変化する層であり、 前記誘電体層はZnSとSiとを主成分として含むこと
    を特徴とする光学的情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記第1の基板と前記第2の基板との間
    に配置された複数の情報層を備え、 前記複数の情報層のうち前記第2の基板に最も近い情報
    層が前記情報層Aである請求項1に記載の情報記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記情報層Aは、前記記録層よりも前記
    第2の基板側に配置された反射層を含む請求項1に記載
    の情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記記録層が、光学的に識別可能な2つ
    以上の異なる状態間で可逆的に変化する請求項1ないし
    3のいずれかに記載の光学的情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記記録層が、TeおよびSbを含む合
    金からなる請求項4に記載の光学的情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記記録層が、Ge−Sb−Te系合
    金、Ge−Sn−Sb−Te系合金、Ag−In−Sb
    −Te系合金、またはAg−In−Ge−Sb−Te系
    合金からなる請求項4に記載の光学的情報記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記記録層がGe−Sb−Te系合金か
    らなり、 前記合金がGeを30原子%以上の含有率で含む請求項
    4に記載の光学的情報記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記記録層がGe−Sn−Sb−Te系
    合金からなり、 前記合金がGeとSnとを合計で30原子%以上の含有
    率で含む請求項4に記載の光学的情報記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記記録層の厚さが3nm以上20nm
    以下である請求項4ないし8のいずれかに記載の光学的
    情報記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記記録層が、光学的に識別可能な2
    つの異なる状態間で不可逆的に変化する請求項1ないし
    3のいずれかに記載の光学的情報記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記記録層が、Al、Si、Ti、
    V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、G
    a、Ge、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、A
    g、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Re、Os、
    Ir、Pt、AuおよびBiからなる群より選ばれる少
    なくとも1つの元素Mと、Teと、Oとからなる請求項
    10に記載の光学的情報記録媒体。
  12. 【請求項12】 前記記録層中の酸素の含有率が25原
    子%以上60原子%以下であり、前記記録層中の前記元
    素Mの含有率が1原子%以上35原子%以下である請求
    項11に記載の光学的情報記録媒体。
  13. 【請求項13】 前記記録層の厚さが5nm以上70n
    m以下である請求項12に記載の光学的情報記録媒体。
  14. 【請求項14】 光ビームの照射によって光学的に識別
    可能な2つ以上の異なる状態間で変化する記録層と、Z
    nSとSiとを主成分とする誘電体層とを含む情報層を
    備える光学的情報記録媒体の記録方法であって、 VL(m/秒)の線速度で記録を行う第1の領域と、V
    Lよりも大きいVH(m/秒)の線速度で記録を行う第
    2の領域とにおいてそれぞれ長さが等しい記録マークを
    形成する場合に、第1のパワーと前記第1のパワーより
    も小さい第2のパワーとの間で前記光ビームを変調する
    ことによって記録を行い、 前記第1領域において前記第1のパワーの前記光ビーム
    を照射する時間TL(秒)と、前記第2の領域において
    前記第1のパワーの前記光ビームを照射する時間TH
    (秒)と、前記VLと、前記VHとが、TL・VL<T
    H・VHの関係を満たすことを特徴とする光学的情報記
    録媒体の記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008032548A1 (en) * 2006-09-14 2008-03-20 Ricoh Company, Ltd. Optical recording medium
JP2021001905A (ja) * 2012-08-31 2021-01-07 インフィニテシマ リミテッド 複数プローブの検出及び作動

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