JPWO2005005446A1 - カルバペネム中間体の製造方法 - Google Patents

カルバペネム中間体の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、化合物(1)を、塩基の存在下、化合物(2)及び化合物(3)と反応させることを特徴とする、式(4)で示されるβ−ラクタム化合物(化合物(4))の製造方法、並びに化合物(4)を、化合物(5)又はその多量体と反応させて化合物(6)を得る工程、化合物(6)をハロゲン化剤と反応させて化合物(7)を得る工程、及び化合物(7)を還元する工程を有する、式(8)で示されるカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法である。本発明によれば、安価に、かつ収率よくカルバペネム系抗生物質の製造中間体である化合物(4)及び化合物(8)を製造することができる。(下記式中、R1は水酸基の保護基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、R3〜R5は、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)

Description

本発明は、カルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法に関する。
下記式(4a)で示される化合物は、抗菌剤であるカルバペネム系抗生物質の製造中間体として有用である。
従来、下記式(4a)で示される化合物を製造する方法としては、下記式(1a)で示される化合物を、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニル燐酸アジド−トリエチルアミン、N,N−カルボニルジイミダゾール等の縮合剤を用いて、式:R’SHで示される化合物と縮合反応させるものが知られている(特開昭59−51286号公報、特開昭62−103084号公報)。
Figure 2005005446
(式中、R’は置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、又は置換基を有していてもよいピリジル基等を表す。)
しかしながら、この製造方法は反応収率は高いものの、用いる縮合剤が比較的高価であるため、工業的に有利なものとはいえなかった。
また、前記式(4a)で示される化合物を、式:Xa−CHC(=O)−OR”(式中、Xaはハロゲン原子を表し、R”は置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示されるα−ハロゲノ酢酸エステル類と反応させて、式(8a)
Figure 2005005446
(式中、R’、R”は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物を得る方法が知られている(特開昭62−103084号公報、特開平6−316559号公報)。
この方法で得られる化合物(8a)は、さらに、後工程で反応を優位に進める為の置換基変換を施した後に、Dieckmann反応に供される。
Dieckmann反応の収率向上を図るためには、式(8a)で示される化合物のエステル部位R’が、脱離容易な電子吸引性基であることが必要とされる。
しかしながら、前記式(4a)において、Raが強い電子吸引性基である場合には、前記式(4a)で示される化合物から式(8a)で示される化合物を得る反応において、好まざるDieckmann反応又は類似の分解反応を起こし、反応収率が低下する場合があった。
本発明は、かかる従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、カルバペネム系抗生物質の製造中間体である下記式(4)で示されるβ−ラクタム化合物を、安価に、かつ収率よく製造する方法を提供することを第1の課題とする。また本発明は、下記式(4)で示されるβ−ラクタム化合物から下記式(8)で示される化合物を収率よく製造する方法を提供することを第2の課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、塩基の存在下に、下記式(1)で示される化合物とハロゲノ炭酸エステル類とを反応させ、次いで、チオール化合物を反応させることにより、下記式(4)で示されるβ−ラクタム化合物を安価に、かつ収率よく製造できることを見出した。
また本発明者らは、得られた式(4)で示されるβ−ラクタム化合物から、前記式(8a)において、R’が電子吸引性基である化合物を収率よく製造する方法について鋭意検討した。その結果、副反応であるDieckmann反応を起こすことなく、収率よく下記式(8)で示されるカルバペネム系抗生物質の製造中間体を製造することができる反応条件を見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、式(1)
Figure 2005005446
(式中、Rは水酸基の保護基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)で示される化合物を、塩基の存在下、式(2)
Figure 2005005446
(式中、Xはハロゲン原子を表し、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示される化合物、及び式(3)
Figure 2005005446
(式中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(4)
Figure 2005005446
(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるβ−ラクタム化合物の製造方法が提供される。
本発明の製造方法においては、前記式(1)で示される化合物の溶液若しくは懸濁液に、塩基及び前記式(2)で示される化合物を添加し、次いで、式(3)で示される化合物を添加するのが好ましいが特に順序は限定されない。
本発明の製造方法においては、前記式(1)で示される化合物として、前記式(1)中、前記Rが、式(a):RSi(式中、R、R、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。)で示される基である化合物を用いるのが好ましく、Rが、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基又はt−ブチルジフェニルシリル基である化合物を用いるのがより好ましい。
本発明の製造方法においては、前記塩基として、アンモニア、有機塩基、アルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましい。
本発明の第2によれば、式(4)
Figure 2005005446
(式中、R1は水酸基の保護基を表し、R2は水素原子又はメチル基を表し、R4は、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示されるβ−ラクタム化合物を、式(5)
Figure 2005005446
(式中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示されるグリオキシル酸エステル類又はその多量体と反応させて、式(6)
Figure 2005005446
(式中、R、R、R、Rは前記と同じ意味を表す。)で示される化合物を得る工程(1)、前記式(6)で示される化合物をハロゲン化剤と反応させて、式(7)
Figure 2005005446
(式中、R、R、R、Rは前記と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で示される化合物を得る工程(2)、及び式(7)で示される化合物を還元する工程(3)を有することを特徴とする、式(8)
Figure 2005005446
(式中、R、R、R、Rは前記と同じ意味を表す。)で示されるカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法が提供される。
本発明の第2の製造方法においては、前記工程(1)が、前記式(4)で示されるβ−ラクタム化合物を、酸触媒の存在下、前記式(5)で示されるグリオキシル酸エステル類又はその多量体と反応させる工程であるのが好ましく、前記酸触媒として、無機酸、有機酸、有機酸の塩、無機酸の塩又はルイス酸を用いることができる。
本発明の第2の製造方法においては、前記式(5)で示されるグリオキシル酸エステル類又はその多量体として、式(5)中、Rが置換基を有していてもよいアルキル基であり、その置換基が、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいフェニル基、アルキルチオ基、置換基を有していてもよいフェニルチオ基、アルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基、アルケニル基、アルコキシ基及び置換基を有していてもよいフェノキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である化合物又はその多量体を用いるのが好ましい。
本発明の第2の製造方法においては、前記ハロゲン化剤として、チオニルクロライド又はオキシ塩化リンを用いるのが好ましい。
本発明の第2の製造方法においては、前記工程(2)が、前記式(6)で示される化合物を、塩基の存在下にハロゲン化剤と反応させて、前記式(7)で示される化合物を得る工程であるのが好ましい。
本発明の第2の製造方法においては、前記塩基として、アンモニア、有機塩基、アルカリ土類金属、アルカリ金属、アルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド及びアルカリ土類金属アルコキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましい。
本発明の第2の製造方法においては、前記工程(3)が、
(A)式(7)で示される化合物を、無機酸又は有機酸中で、亜鉛、鉄又は銅を用いて還元することにより式(8)で示される化合物を得る工程、(B)式(7)で示される化合物を、水素化触媒の存在下、水素により還元する工程、又は(C)式(7)で示される化合物を金属水素化物により還元する工程、のいずれかであるのが好ましい。
本発明の第3によれば、前記式(1)で示される化合物を、塩基の存在下、前記式(2)で示される化合物、及び前記式(3)で示される化合物と反応させて、前記式(4)で示されるβ−ラクタム化合物を製造し、次いで、前記式(5)で示されるグリオキシル酸エステル類又はその多量体と反応させて、前記式(6)で示される化合物を得、さらに、ハロゲン化剤と反応させて、前記式(7)で示される化合物を得た後、還元することを特徴とする前記式(8)で示されるカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法が提供される。
以下、本発明を1)式(4)で示されるβ−ラクタム化合物の製造方法、2)式(8)で示されるカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法に項分けして、詳細に説明する。
1)式(4)で示されるβ−ラクタム化合物の製造方法
本発明の第1は、式(4)で示されるβ−ラクタム化合物の製造方法であって、式(1)で示される化合物を、塩基の存在下、前記式(2)で示される化合物及び式(3)で示される化合物を反応させることを特徴とする。
(1)式(1)で示される化合物
本発明の製造方法は、前記式(1)で示される化合物(以下、「化合物(1)」と略記する。)を出発原料として用いる。
前記式(1)において、Rは水酸基の保護基を表す。
水酸基の保護基としては、本発明における反応に不活性な基であれば特に制約はないが、カルバペネム系抗生物質製造における後の工程において、中性条件で水酸基の脱保護が可能であることから、式(a):RSiで表される基が好ましい。式(a)中、R、R、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。
前記R、R、Rの炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。また、炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基等が挙げられる。
式(a):RSiで表される基の好ましい具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、フェニルジメチルシリル基等が挙げられる。これらの中でも、カルバペネム系抗生物質を製造する後工程において、温和な条件で脱保護を行うことができるt−ブチルジメチルシリル基が特に好ましい。
は、水素原子又はメチル基を表す。
(2)式(2)で示される化合物
前記式(2)で示される化合物(以下、「エステル類(2)」と略記する。)は、ハロゲノ炭酸エステル化合物(又はハロゲノギ酸エステル化合物)である。前記式(2)において、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表す。なかでも、塩素原子又は臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
は、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜6のシクロアルキル基;が挙げられる。
アルキル基の置換基としては、反応に不活性な基であれば特に制約はない。例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;ビニル基等のアルケニル基;アセトキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基;ベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基;フェニル基等のアリール基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;p−メチルフェニルスルホニル基等のアリールスルホニル基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基等のアリールチオ基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、3−ピラジル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、2−フリル基、3−フリル基等が挙げられる。
アリール基の置換基としては、本発明の各反応に対して不活性な基であれば特に制約はない。例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基等のアリール基;ビニル基等のアルケニル基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基等のアリールチオ基;アセトキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基;ベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;等が挙げられる。
前記アルキル基及びアリール基は、任意の位置に同一又は相異なって複数の置換基を有していても良い。
これらの中でも、入手が容易であること、及び目的物を収率よく得ることができること等の理由から化合物(2)としては、クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソプロピル、クロロ炭酸t−ブチル等のクロロ炭酸アルキルエステルが好ましい。
化合物(2)の使用量は、化合物(1)に対して1倍モル以上であればよく、生産性及び経済性の観点からは、1.1〜1.6倍モルであるのが好ましい。
(3)式(3)で示される化合物
前記式(3)で示される化合物(以下、「化合物(3)」と略記する。)において、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基等の炭素数1〜20のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の炭素数3〜20のシクロアルキル基;が挙げられる。
このアルキル基の置換基としては、本発明の各反応に対して不活性な基であれば特に制約はない。例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基;ベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;メチルスルホニル基等のアルキルスルホニル基;p−メチルフェニルスルホニル基等のアリールスルホニル基;ビニル基等のアルケニル基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基等のアリールチオ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;等が挙げられる。
のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、3−ピラジル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、2−フリル基、3−フリル基等が挙げられる。
このアリール基の置換基としては、反応に不活性な基であれば特に制約はない。例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;ビニル基等のアルケニル基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基等のアリールチオ基;アセトキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基;ベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;等が挙げられる。
これらの置換基は、アルキル基若しくはアリール基の任意の位置で置換していてもよく、また、同一又は相異なって複数個が結合していてもよい。
化合物(3)の具体例としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、イソブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、シクロペンチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン等のRがアルキル基である化合物;アリルメルカプタン、ベンジルメルカプタン、4−クロロベンジルメルカプタン、2,4−ジメチルベンジルメルカプタン、メトキシメチルメルカプタン、2−クロロエチルメルカプタン、2−シアノエチルメルカプタン、4−クロロシクロヘキシルメルカプタン等のRが置換基を有するアルキル基である化合物;チオフェノール、1−メルカプトナフタレン、2−メルカプトナフタレン、2−メルカプトピリジン、3−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン、2−フリルメルカプタン、3−フリルメルカプタン等のRがアリール基である化合物;4−クロロチオフェノール、2−クロロチオフェノール、2,4,6−トリクロロチオフェノール、2−ブロモチオフェノール、4−シアノチオフェノール、4−ニトロチオフェノール、4−クロロ−2−メルカプトピリジル等のRが置換基を有するアリール基である化合物;等が挙げられる。
これらの中でも、入手が容易で、安価であり、収率よく目的物が得られることから、Rが、置換基を有していてもよいアリール基である化合物(3)が好ましく、Rが、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基等の電子吸引性基で置換されたアリール基である化合物(3)がより好ましく、Rが、ハロゲン原子で置換されたアリール基である化合物(3)が特に好ましい。
化合物(3)の使用量は、化合物(1)に対して、通常、1倍モル以上であればよく、生産性及び経済性の観点からは、1.1〜1.6倍モルであるのが好ましい。
(4)塩基
本発明に用いる塩基としては特に制約はないが、アンモニア、有機塩基、アルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
有機塩基としては、アミン類、アニリン類、含窒素ヘテロ環化合物等が挙げられる。
アミン類としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、アリルアミン、ベンジルアミン等の1級アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジt−ブチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジアリルアミン、ジベンジルアミン等の2級アミン類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn−ブチルアミン、フェニルジメチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン類;等が挙げられる。
アニリン類としては、アニリン、2−メチルアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン等が挙げられる。
含窒素ヘテロ環化合物としては、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、コリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、イミダゾール、ピラゾール、ピリミジン、モルホリン、キノリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)ジアザビシクロウンデセン等が挙げられる。
アルカリ金属水素化物としては、水素化ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属水素化物としては、水素化カルシウム等が挙げられる。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属炭酸塩としては、炭酸マグネシウム,炭酸カルシウム等が挙げられる。
アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられ、アルカリ土類金属アルコキシドとしては、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド等が挙げられる。
有機アルカリ金属化合物としては、NaN(CH(CH、NaN(Si(CH、KN(CH(CH、KN(Si(CH、n−BuLi、LiN(CH(CH、LiN(Si(CH等が挙げられる。
有機アルカリ土類金属化合物としては、(n−Bu)Mg等が挙げられる。
アルカリ金属としては、Li、Na、K等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、Mg、Ca等が挙げられる。
これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
塩基の使用量は、化合物(1)に対して、通常、1倍モル以上であればよく、生産性及び経済性の観点からは、1.1〜1.6倍モルであるのが好ましい。
(5)反応方法
化合物(1)と、化合物(2)及び化合物(3)との反応は、添加順序には限定されないが、例えば、化合物(1)の溶液若しくは懸濁液に、化合物(2)及び塩基を添加して、所定温度で所定時間撹拌した後、化合物(3)の溶液を添加して、所定温度で所定時間、内容物を撹拌することにより行うことができる。
化合物(1)の溶液の調製に用いる溶媒としては、この反応に不活性なものであれば特に限定されない。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の飽和炭化水素系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
また、化合物(3)の溶液の調製に用いる溶媒としては、化合物(1)の溶媒として列記したものと同様のものを例示することができるが、化合物(1)の溶媒と同一であっても異なっていてもよい。
化合物(1)の溶媒の使用量は、経済性及び収率等の観点から、化合物(1)10gに対して、通常10〜1000ml、好ましくは50〜200mlである。また化合物(3)の溶媒の使用量は、化合物(3)10gに対して、通常10〜1000ml、好ましくは20〜100mlである。
反応は、化合物(1)の溶液に、塩基及び化合物(2)を添加して、−100℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で数秒から数時間撹拌した後、化合物(3)の溶液を添加し、−100℃から用いる溶媒の沸点までの温度で、数分から数時間撹拌することにより行われる。
反応の終了は、反応液から原料が消失し、目的物が生成することから確認することができる。反応の終了の確認は、例えば、反応液を液体クロマトグラフィー等の公知の分析手段で分析することにより行うことができる。
反応終了後は、通常の後処理操作を行った後、蒸留法、カラムクロマトグラフィー、結晶化法等の分離精製手段により、目的とする前記式(4)で示されるβ−ラクタム化合物(以下、「化合物(4)」と略記する。)を単離することができる。
化合物(4)は、優れた抗菌活性を有するカルバペネム系抗生物質の製造中間体である。得られる化合物(4)は、最終目的生成物であるカルバペネム系抗生物質を製造する場合には、本発明の反応により得られた反応液から単離することなく、溶液のままで次工程の反応に供することもできる。
2)式(8)で示されるカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法
本発明の第2は、化合物(4)を、前記式(5)で示されるグリオキシル酸エステル類又はその多量体と反応させて、前記式(6)で示される化合物を得る工程(1)、前記式(6)で示される化合物をハロゲン化剤と反応させて、前記式(7)で示される化合物を得る工程(2)、及び式(7)で示される化合物を還元する工程(3)を有することを特徴とする、前記式(8)で示されるカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法である。
出発原料である化合物(4)は、安価に、かつ収率よく、化合物(4)を得ることができる、本発明の化合物(4)の製造方法によって製造されたものを用いるのが好ましい。
本発明の反応式を下記に示す。
Figure 2005005446
(1)工程(1)
工程(1)は、化合物(4)と式(5)で示されるグリオキシル酸エステル類(以下、「化合物(5)」と略記する。)又はその多量体とを反応させて、式(6)で示される化合物(以下、「化合物(6)」と略記する。)を得るものである。
前記化合物(5)又はその多量体において、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。また、Rのアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−チエニル基、2−フリル基等が挙げられる。
前記Rのアルキル基及びアリール基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいフェニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルケニル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、アルキル基、アシル基等が挙げられる。これらの置換基はアルキル基及びアリール基の任意の位置で置換されていてもよく、また、同一又は相異なって2個以上が結合していてもよい。
前記Rとしては、後工程での置換基変換を考慮すれば、Rのチオエステル部位と反応性が異なる基であるのが好ましく、Rを残したまま、Rのみを脱離させることができる基であるのがより好ましい。また、上述したように、Rは電子吸引性基であることが好ましいが、電子吸引性の基は、一般的に酸性条件下では比較的安定であることから、Rは酸性条件下で容易に脱離させることができる基が好ましい。
として、具体的には、式(5)中、Rが置換基を有していてもよいアルキル基であり、その置換基が、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいフェニル基、アルキルチオ基、置換基を有していてもよいフェニルチオ基、アルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基、アルケニル基、アルコキシ基及び置換基を有していてもよいフェノキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
前記化合物(5)の具体例としては、メチルグリオキサレート、エチルグリオキサレート、n−プロピルグリオキサレート、イソプロピルグリオキサレート、n−ブチルグリオキサレート、イソブチルグリオキサレート、sec−ブチルグリオキサレート、t−ブチルグリオキサレート、n−ペンチルグリオキサレート、n−ヘキシルグリオキサレート等のRが炭素数1〜6のアルキル基であるグリオキシル酸エステル類;クロロメチルグリオキサレート、シアノメチルグリオキサレート、ニトロメチルグリオキサレート、ベンジルグリオキサレート、p−メチルベンジルグリオキサレート、メチルチオメチルグリオキサレート、フェニルチオメチルグリオキサレート、メチルスルホニルメチルグリオキサレート、p−メチルフェニルスルホニルメチルグリオキサレート、アリルグリオキサレート、メトキシメチルグリオキサレート、フェノキシメチルグリオキサレート等のRが置換基を有する炭素数1〜6のアルキル基であるグリオキシル酸エステル類;等が挙げられる。
また、その多量体の具体例としては、式(5’)で示される化合物、及び3量体である式(5”)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2005005446
(式中、nは2以上の自然数を表し、Rは前記と同じ意味を表す。)
工程(1)の反応においては、反応を促進させる為、酸触媒を反応系に添加することができる。
用いる酸触媒としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸及びその塩;炭素数1〜20のアルキル置換基を有していてもよいベンゼンスルホン酸等の有機酸及びその塩;ボロントリフロライド、四塩化チタンや塩化アルミニウム等のルイス酸;等が挙げられる。無機酸及び有機酸の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属の塩、銅、鉄、マンガンなどの遷移金属の塩、アンモニウム塩等を例示することができる。
酸触媒の添加量は特に制限されないが、化合物(5)又はその多量体1モルに対して、通常、0.0001〜10モルである。
工程(1)の反応は無溶媒で行うこともできるが、溶媒中で行うのが好ましい。用いる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限されない。例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸n−プロピル、蟻酸n−ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホン系溶媒;及びこれら2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
これら溶媒の使用量は特に制限されないが、化合物(4)1gに対して、通常0.01〜100gである。
工程(1)の反応は、化合物(4)若しくはその溶媒溶液に、化合物(5)若しくはその多量体又はこれらの溶媒溶液を、所望により酸触媒とともに添加し、全容を所定温度で所定時間撹拌することにより行われる。この反応の反応温度及び反応時間は、反応速度又は反応完結時間により適宜設定することができるが、一般的な範囲として、反応温度は−20〜+150℃、反応時間は、通常1分から1週間である。
反応終了後は、通常の後処理操作を行うことにより、目的とする化合物(6)を得ることができる。このものは、蒸留法、カラムクロマトグラフィー等の公知の分離精製手段により目的物を単離することができるが、精製することなく、粗生成物のままで次の工程(2)の反応に供することもできる。また、得られる化合物(6)はジアステレオマー混合物として得られる。これらは、通常の光学分割手段により、それぞれのジアステレオマーに分離することができるが、ジアステレオマー混合物のままで次の工程(2)の反応に供することもできる。
(2)工程(2)
工程(2)は、工程(1)で得た化合物(6)とハロゲン化剤とを反応させて、式(7)で示される化合物(以下、「化合物(7)」と略記する。)を得るものである。
用いるハロゲン化剤としては、ヘミアセタール又はα−アシルアミノアルコールの水酸基をハロゲン置換することができるものであれば特に制限されない。用いるハロゲン化剤の具体例としては、チオニルクロライド、オキシ塩化リン、ホスゲン、オキザリルクロライド、五塩化リン、塩化水素等の塩素化剤;チオニルブロマイド、オキシ臭化リン、オキザリルブロマイド、臭化水素等の臭素化剤;等が挙げられる。これらの中でも、入手容易性、製造コスト、収率よく目的物が得られる等の観点から、塩素化剤の使用が好ましく、チオニルクロライド、オキシ塩化リンの使用が特に好ましい。
ハロゲン化剤の使用量は、化合物(6)1モルに対し、通常1〜10倍モル、好ましくは1.05〜5倍モルである。
化合物(6)とハロゲン化剤との反応は、塩基の存在下に行うのが好ましい。用いる塩基としては、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ベンジルアミン等の1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジベンジルアミン等の2級アミン;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の3級アミン;アニリン、N,N−ジメチルアニリン等のアニリン類;イミダゾール、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の含窒素ヘテロ環化合物;水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;マグネシウムエトキシド等のアルカリ土類金属アルコキシド;NaN(CH(CH、NaN(Si(CH、KN(CH(CH、KN(Si(CH、LiN(Si(CH、LiN(CH(CH等のアルカリ金属アミド類;n−BuLi、sec−BuLi等の有機リチウム;等が挙げられる。これらの中でも、一般に安価に入手できること、及び収率よく目的物を得ることができること等から、1級アミン、2級アミン又は3級アミンの使用が好ましい。
塩基の使用量は、ハロゲン化剤1モルに対し、通常0.1〜10モル、好ましくは0.5〜5倍モルである。
化合物(6)とハロゲン化剤との反応は、通常溶媒中で行われる。用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限されない。具体的には、工程(1)の反応に用いることができる溶媒として列記したものと同様のものが挙げられる。
溶媒の使用量は特に制限されないが、化合物(6)1gに対し、通常0.01〜100gである。
化合物(6)とハロゲン化剤との反応の反応温度及び反応時間は、反応速度又は反応完結時間により適宜設定することができるが、一般的な範囲としては、反応温度は−50〜+150℃、反応時間は1分から1週間である。
反応終了後は、通常の後処理操作を行うことにより、目的とする化合物(7)を得ることができる。このものは、蒸留法、カラムクロマトグラフィー等の分離精製手段により目的物を単離することができるが、精製することなく、粗生成物のままで次の工程(3)の反応に供することもできる。また、得られる化合物(7)はジアステレオマー混合物として得られることがある。これらは、公知の光学分割手段により、それぞれのジアステレオマーに分離することができるが、ジアステレオマー混合物のままで次の工程(3)の反応に供することもできる。
(3)工程(3)
工程(3)は、工程(2)で得た化合物(7)を還元して、式(8)で示される化合物(以下、「化合物(8)」と略記する。)を得るものである。
化合物(7)を還元する方法としては、化合物(7)のハロゲン原子Xを還元的に除去することにより、化合物(8)を得ることができる方法であれば特に制限されない。
本発明においては、化合物(7)を還元する方法として、(A)化合物(7)へ無機酸又は有機酸を添加し、金属を用いて還元する方法、(B)化合物(7)を、水素化触媒の存在下、水素により還元する方法、又は(C)化合物(7)を、金属水素化物により還元する方法、のいずれかを採用するのが好ましい。これらの方法によれば、収率よく簡便に、目的とする化合物(8)を得ることができる。
(A)の方法
(A)の方法は、金属を酸と組み合わせて用い、金属の還元力を利用するものである。用いる金属としては還元力を有するものであれば特に制限されない。例えば、亜鉛、鉄、銅等を使用できる。
また用いる酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;メタンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸;を挙げることができる。
金属の使用量は、化合物(7)1当量に対して、通常1〜10当量、好ましくは1.2〜5当量である。
金属と組み合わせて用いる酸の使用量は特に制限されず、用いる金属等に応じて適宜設定することができる。
この反応は、通常溶媒中で行われる。用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制約されない。例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸n−プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;及びこれらの2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
この反応の反応温度は、通常−20〜+150℃であり、反応時間は、通常数分から数十時間である。
(B)の方法
(B)の方法は、化合物(7)を水素化触媒の存在下に水素により接触還元するものである。
用いる水素化触媒としては特に制限されず,公知の水素化触媒を使用できる。例えば、パラジウムカーボン、ラネーニッケル、ラネーコバルト、酸化白金等が挙げられる。水素化触媒の使用量は特に制限されないが、化合物(7)1モルに対し、通常0.0001〜10モルである。
この反応は、不活性溶媒中で行われる。用いる溶媒としては、上記(A)の方法で用いることができる溶媒として列記したものと同様のものを使用することができる。
この反応は、密閉可能な反応容器内に、化合物(7)の溶媒溶液を入れ、そこへ所定量の水素化触媒を添加して容器を密閉し、容器内部を水素雰囲気として、所定温度で所定時間撹拌することにより行われる。水素ガス圧は特に制限されないが、通常、1×10Pa〜1×10Paである。また、反応温度は通常−20〜+150℃であり、反応時間は通常数分から数十時間である。
(C)の方法
(C)の方法は、化合物(7)を金属水素化物により水素化する方法である。
用いる金属水素化物としては、アルミニウムトリハイドライド、リチウムアルミニウムテトラハイドライド、ナトリウムアルミニウムテトラハイドライド、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のアルミニウム水素化物;ナトリウムボロンテトラハイドライド等のホウ素水素化物を挙げることができる。
金属水素化物の使用量は、化合物(7)1モルに対して、通常0.5〜5モル程度である。
また、これら金属水素化物をルイス酸又は塩基と組み合わせて用いることもできる。用いるルイス酸としては、ボロントリフロライド、四塩化チタン、塩化アルミニウム等が挙げられる。用いる塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の3級アミン;1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の含窒素ヘテロ環化合物;等が挙げられる。
これらのルイス酸及び塩基の使用量は、前記金属水素化物1当量に対し、通常0.01〜5当量である。
金属水素化物を用いる反応は、有機溶媒中で行なうことができる。用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制約されない。例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;等が挙げられる。
金属水素化物を用いる反応の反応温度は、通常−100〜+150℃である。反応時間は反応規模にも依存するが、通常1分から1週間である。
いずれの反応においても、反応終了後は、通常の後処理操作を行い、蒸留法、カラムクロマトグラフィー、再結晶法等の公知の精製手段により、目的とする化合物(8)を単離することができる。
化合物(8)はジアステレオマー混合物として得られることがあるが、これらは、公知の光学分割手段により、それぞれのジアステレオマーに分離することができる。
本発明により得られる化合物(8)は、優れた抗菌活性を有するカルバペネム系抗生物質の製造中間体である。得られる化合物(8)を用いて、最終目的生成物であるカルバペネム系抗生物質を製造する場合には、本発明の反応により得られた反応液から単離することなく、溶液のままで次工程の反応に供することもできる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4 −[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−2−アゼチジ ノンの合成(1)
(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン(5.7g)をジクロロメタン(40ml)に懸濁し、−7℃で攪拌した。この溶液にクロロ炭酸エチル(3.3g)を添加し、さらにトリエチルアミン(3.1g)を6分かけて滴下した。−5℃で30分間攪拌した。次いで、この溶液に、ジクロロメタン(20ml)に溶解した4−クロロベンゼンチオール(4.3g)を添加し、−5℃で30分間攪拌した。反応液に水(30ml)を加えて有機層を分取し、得られた有機層(99.5g)を、下記参考例1により得られる分析標品を用いて液体カラムクロマトグラフィー(型式:SPD−10A(島津製作所製)、以下にて同じ。)にて定量分析したところ、有機層に、(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−2−アゼチジノン7.7gが含まれていた。収率:95.4%
(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4 −[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−2−アゼチジ ノンの合成(2)
(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン(5.7g)をジクロロメタン(40ml)に懸濁し、−7℃で攪拌した。この溶液にクロロ炭酸エチル(2.8g)を添加し、さらにトリエチルアミン(2.7g)を14分かけて滴下し、−5℃で30分間攪拌した。次いで、この溶液に4−クロロベンゼンチオール(3.8g)を添加し、−5℃で30分間攪拌した。反応液に水(30ml)を添加して有機層を分取し、得られた有機層を、液体カラムクロマトグラフィーにて定量分析したところ、(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−2−アゼチジノンが7.4g含まれていた。収率:91.6%
(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4 −[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−2−アゼチジ ノンの合成(3)
(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−カルボキシエチル]−2−アゼチジノン(15.1g)をジクロロメタン(100ml)に懸濁させ、全容を−8℃とした。この溶液にクロロ炭酸イソプロピル(8.5g)を撹拌下に添加した後、トリエチルアミン(7.3g)を5分間で滴下した。直ちに、ジクロロメタン(50ml)に溶解した4−クロロベンゼンチオール(10.1g)を添加し、−8℃で30分間攪拌した後、水(75ml)を加えて有機層を分取した。得られた有機層を、液体カラムクロマトグラフィーにて定量分析したところ、有機層には(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−2−アゼチジノンが20.6g含まれていた。収率:96.1%
(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4 −[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−2−アゼチジ ノンの合成(4)
反応溶媒をジクロロメタンに代えて酢酸エチルを用いる以外は実施例1と同様に操作した。得られた有機層を液体カラムクロマトグラフィーにて定量分析したところ、有機層に、(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−2−アゼチジノンが7.32g含まれていた。収率:91.0%
参考例1
(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4− [(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−2−アゼチジノ ンの精製(分析標品の調製)
実施例1と同様の条件で得られた有機層の一部をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、更に、ヘキサン溶媒にて再結晶することにより、高純度の(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−2−アゼチジノンを得た。これを分析標品とした。
H−NMR(CDCl)δppm:0.07(6H,s),0.87(9H,s),1.18(3H,d),1.32(3H,d),2.98〜3.04(2H,m),3.92(1H,dd),4.18〜4.24(1H,m),6.11(1H,bs),7.32(2H,d),7.40(2H,d)
(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−1−(エトキシカルボニルヒドロキシメチル)−2−アゼチジノンの合成
実施例1で得られた、(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−2−アゼチジノン(42.16g)と45%エチルグリオキサレート(トルエン溶液)(40.18g)とトルエン(200ml)を混合し、約100℃にて2.5時間攪拌した。室温まで冷却した後、有機層を水(150ml)にて2回洗浄し、更に、飽和食塩水(100ml)にて洗浄した。有機層を減圧下で濃縮し、(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−1−エトキシカルボニルヒドロキシメチル−2−アゼチジノンをジアステレオマー混合物の油状物質として得た。
H−NMR(CDCl)δppm:0.08〜0.09(6H),0.89〜0.91(9H),1.22〜1.39(9H,m),1.83(1H,bs),3.05〜3.18(2H,m),3.90〜4.30(4H,m),5.29〜5.43(1H,m),7.32〜7.41(4H,m)
(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−1−エトキシカルボニルクロロメチル−2−アゼチジノンの合成
(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−1−エトキシカルボニルヒドロキシメチル−2−アゼチジノン(50.8g)をトルエン(435ml)に溶解し、チオニルクロライド(14.6g)を添加し、全容を、−8℃まで攪拌しながら、冷却した。そこへ、トリエチルアミン(11.8g)を10分かけて滴下し、−3〜−7℃にて18分間さらに攪拌した。有機層を水(145ml)にて洗浄し、更に、飽和食塩水(100ml)にて洗浄した。(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−1−エトキシカルボニルクロロメチル−2−アゼチジノンをジアステレオマー混合物をトルエン溶液として得た。
(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−1−エトキシカルボニルメチル)−2−アゼチジノンの合成
実施例6で得た(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−1−エトキシカルボニルクロロメチル−2−アゼチジノンのトルエン溶液に、亜鉛(34.8g)を添加し、懸濁攪拌した。そこへ、15℃にて、塩酸(8.5g)を8分間かけて滴下し、更に10〜13℃にて20分間攪拌した。セライト(濾過助剤)を添加して、濾過し、濾過物をトルエン(100ml)及び水(100ml)で洗浄し、洗浄液と濾液とを合わせ分液した。有機層を水(145ml)で洗浄し、更に、飽和食塩水(100ml)で洗浄した。有機層を減圧下で濃縮し、(3S,4S)−3−[(1R)−t−ブチルジメチルシリルオキシエチル]−4−[(1R)−1−(4−クロロフェニルチオカルボニル)エチル]−1−エトキシカルボニルメチル−2−アゼチジノンを油状物質として得た。
H−NMR(CDCl)δppm:0.07〜0.11(6H),0.88(9H,s),1.22〜1.32(9H,m),3.02〜3.18(2H,m),3.82〜3.87(1H),4.09〜4.23(5H,m),7.27〜7.40(4H,m)
本発明によれば、前記式(4)で示されるβ−ラクタム化合物を、安価に、かつ収率よく製造することができる。
本発明によれば、前記式(8)で示されるカルバペネム系抗生物質の製造中間体を、前記式(4)で示されるβ−ラクタム化合物から収率よく製造することができる。
本発明によれば、前記式(8)で示されるカルバペネム系抗生物質の製造中間体を、安価に、かつ収率よく製造することができる。

Claims (16)

  1. 式(1)
    Figure 2005005446
    (式中、Rは水酸基の保護基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)で示される化合物を、塩基の存在下、式(2)
    Figure 2005005446
    (式中、Xはハロゲン原子を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示される化合物、及び式(3)
    Figure 2005005446
    (式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(4)
    Figure 2005005446
    (式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるβ−ラクタム化合物の製造方法。
  2. 前記式(1)で示される化合物の溶液若しくは懸濁液に、塩基及び前記式(2)で示される化合物を添加し、次いで、式(3)で示される化合物を添加することを特徴とする請求項1に記載のβ−ラクタム化合物の製造方法。
  3. 前記式(1)で示される化合物として、前記式(1)中、Rが、式(a):RSi(式中、R、R、Rは、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。)で示される基である化合物を用いることを特徴とする、請求項1又は2に記載のβ−ラクタム化合物の製造方法。
  4. 前記式(1)で示される化合物として、前記式(1)中、Rが、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基又はt−ブチルジフェニルシリル基である化合物を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のβ−ラクタム化合物の製造方法。
  5. 前記塩基として、アンモニア、有機塩基、アルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のβ−ラクタム化合物の製造方法。
  6. 式(4)
    Figure 2005005446
    (式中、Rは水酸基の保護基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示されるβ−ラクタム化合物を、式(5)
    Figure 2005005446
    (式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示されるグリオキシル酸エステル類又はその多量体と反応させて、式(6)
    Figure 2005005446
    (式中、R、R、R、Rは前記と同じ意味を表す。)で示される化合物を得る工程(1)、前記式(6)で示される化合物をハロゲン化剤と反応させて、式(7)
    Figure 2005005446
    (式中、R、R、R、Rは前記と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で示される化合物を得る工程(2)、及び式(7)で示される化合物を還元する工程(3)を有することを特徴とする、式(8)
    Figure 2005005446
    (式中、R、R、R、Rは前記と同じ意味を表す。)で示されるカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法。
  7. 前記工程(1)が、前記式(4)で示されるβ−ラクタム化合物を、酸触媒の存在下、前記式(5)で示されるグリオキシル酸エステル類又はその多量体と反応させる工程であることを特徴とする、請求項6に記載のカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法。
  8. 前記酸触媒として、無機酸、有機酸、有機酸の塩、無機酸の塩又はルイス酸を用いることを特徴とする請求項7に記載のカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法。
  9. 前記式(5)で示されるグリオキシル酸エステル類又はその多量体として、式(5)中、Rが置換基を有していてもよいアルキル基であり、その置換基が、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいフェニル基、アルキルチオ基、置換基を有していてもよいフェニルチオ基、アルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいフェニルスルホニル基、アルケニル基、アルコキシ基及び置換基を有していてもよいフェノキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である化合物又はその多量体を用いることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載のカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法。
  10. 前記ハロゲン化剤として、チオニルクロライド又はオキシ塩化リンを用いることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載のカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法。
  11. 前記工程(2)が、前記式(6)で示される化合物を、塩基の存在下にハロゲン化剤と反応させて、式(7)
    Figure 2005005446
    (式中、R、R、R、R及びXは前記と同じ意味を表す。)で示される化合物を得る工程であることを特徴とする、請求項6〜11のいずれかに記載のカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法。
  12. 前記塩基として、アンモニア、有機塩基、アルカリ土類金属、アルカリ金属、アルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド及びアルカリ土類金属アルコキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする、請求項11に記載のカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法。
  13. 前記工程(3)が、式(7)で示される化合物を、無機酸又は有機酸中で、亜鉛、鉄又は銅を用いて還元することにより、式(8)で示される化合物を得る工程であることを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載のカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法。
  14. 前記工程(3)が、式(7)で示される化合物を、水素化触媒の存在下、水素により還元する工程であることを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載のカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法。
  15. 前記工程(3)が、式(7)で示される化合物を、金属水素化物により還元する工程であることを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載のカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法。
  16. 式(1)
    Figure 2005005446
    (式中、Rは水酸基の保護基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。)で示される化合物を、塩基の存在下、式(2)
    Figure 2005005446
    (式中、Xはハロゲン原子を表し、Rは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示されるハロゲノ炭酸エステル類、及び、式(3)
    Figure 2005005446
    (式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示される化合物と反応させて、式(4)
    Figure 2005005446
    (式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)で示されるβ−ラクタム化合物を製造し、次いで、式(5)
    Figure 2005005446
    (式中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。)で示されるグリオキシル酸エステル類又はその多量体と反応させて、式(6)
    Figure 2005005446
    (式中、R、R、R、Rは前記と同じ意味を表す。)で示される化合物を得、さらに、ハロゲン化剤と反応させて、式(7)
    Figure 2005005446
    (式中、R、R、R、Rは前記と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で示される化合物を得た後、還元することを特徴とする、式(8)
    Figure 2005005446
    (式中、R、R、R、Rは前記と同じ意味を表す。)で示されるカルバペネム系抗生物質の製造中間体の製造方法。
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