JPWO2004106001A1 - ビトリファイド砥石及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

予め設定した研削の加工能率及び加工精度、好ましくは加工精度0.1〜1.6Rz(μm)、加工能率0.1〜2.0mm3/(mm・sec)に基づく気孔率(好ましくは30〜70容積%)、砥粒の集中度(好ましくは50〜160)、及び砥粒径(好ましくは10〜90μm)を有するビトリファイド砥石及びその製造方法。

Description

本発明は、砥粒をビトリファイド結合材で結合してなるビトリファイド砥石及びその製造方法に関する。特に、本発明は、被研削物の小径内面を研削する場合に優れた加工精度及び研削精度を提供し得るビトリファイド砥石及びその製造方法に関する。
従来、ビトリファイド砥石は、結合度及び組成の調整が容易に行え、かつ耐水、耐アルカリ、耐油性を有することから、精密研削をはじめ、幅広い研削、研磨作業で使用されている。
例えば、エンジンの噴射ノズルなどの小径ノズルの内面を研削する小径内面研削の場合には、砥石周速が制限され、かつクイル剛性も小さくなる。このため、良好な研削を維持するためには、砥石径をできるだけ大きくする必要がある。このような理由から、小径内面研削では、加工物の内径に近い径を有する砥石が使用されている。しかし、この状態の研削では、切り屑長さが長くなり、目詰まりが発生しやすく、特に、研削能率を上げた場合にこの傾向が顕著である。
内面研削時における砥石の有効切れ刃間隔とチップポケットとの関係を図2に示す。図2に示されるように、研削時の目詰まりを防止し、加工能率を向上させるためには、標準の場合(図2(A))と比較して、砥粒径を大きくし、有効切れ刃間隔WeとチップポケットPとを大きくする方法が考えられる(図2(B))。しかし、この方法では有効切れ刃間隔Weが広がるため、加工精度(面粗さ)が低下してしまう。一方、加工精度を向上させるために、標準の場合(図2(A))と比較して砥粒経を小さくして、有効切れ刃間隔WeとチップポケットPとを小さくする方法が考えられる(図2(C))。しかし、この方法では、チップポケットPの体積が小さいため、チップポケットは直ぐに被研削物の切り屑で一杯になってしまう。この状態でさらに研削を継続すると、砥石が目詰まりを起こし、さらには溶着の原因ともなる。このように、研削の加工能率の向上と加工精度の向上とはトレードオフの関係にあるため、両者を同時に満たすことは、従来困難であるといわれていた。
従来、研削の加工能率及び加工精度を両立させる試みがなされている。例えば、砥石に占める砥粒の割合を示す砥粒の集中度を下げて、研削の加工能率及び加工精度を向上させる方法が考えられる。しかし、砥粒の集中度を下げると、砥粒間の結合性が低下し、砥粒の結合上の問題が生じるとともに、砥粒の分散性が低下し、砥粒を砥石中に均一に分散できないという問題があった。このため、砥粒の集中度を下げる方法では、研削の加工能率と加工精度の両立を達成することは困難であった。
また、cBN砥粒の一部を無機質中空状物質に置換する方法も知られている(特開昭62−251077号公報参照)。この方法によれば、無機質中空状物質が研削中に破砕され、気孔を形成できるため、チップポケットと類似の効果が期待できる。しかしながら、例えば、cBN砥粒の一部を無機質中空状物質に置換して集中度を100程度にした砥石は、集中度が低い分だけ砥粒の分散性が悪く、砥粒が均一に分散した砥石を得ることは困難であった。さらに、無機質中空状物質もビトリファイド結合材に保持されるため、本来cBN砥粒を保持すべきビトリファイド結合材が無機質中空状物質に捕らえられてしまう。このため、無機中空状物質を用いた場合には、通常よりも多いビトリファイド結合材を使用する必要があり、その結果、気孔率が低下するという欠点があった。さらに、無機質中空状物質が研削時に破壊された場合、無機質中空状物質を結合するために用いられるビトリファイド結合材が砥石中に残存することになり、研削の障害になるという欠点もあった。
一方、くるみ、木粉等の有機質の気孔形成材を砥石の製造の際に用いることによって気孔を形成する方法も知られている。気孔形成材は、焼成前の成形体に含有させ成形体の焼成時に燃え抜けさせて、焼成後に得られる砥石中に気孔を形成する。このような気孔形成材を用いた場合、砥石中に無機質中空体等の充填材を含有させたことによる欠点を有さず、集中度だけを低くできるため、好ましい。
しかしながら、用いる気孔形成材の種類によっては、WA砥粒(白色アルミナ砥粒)などを使用したA系(アルミナ系)の一般砥粒を使用した一般砥石と比べると、砥粒が非酸化物であり、かつビトリファイド結合材の使用量も多いため、収縮しやすいという欠点があった。さらに、従来の気孔形成材を使用した場合、気孔を均一に分散させることが難しく、一般の砥石以上に砥粒分布の均一性が要求されるビトリファイドcBN砥石には不向きであるという欠点があった。
近年、従来の気孔形成材を改善する目的で、砥粒の集中度を200未満としたビトリファイド砥石を製造する場合であっても、焼成収縮が小さく、かつ気孔を均一に分布させる方法が知られている(例えば、特開2000−317844号公報)。この方法で得られた砥石は、集中度が200未満と小さい場合であっても、研削比が高く、研削焼けや熔着が発生し難く、使いやすいという利点がある。
しかしながら、上記方法であっても、集中度をさらに低くした場合、すなわち、砥粒の平均粒径よりも大きな径の気孔形成材を使用した場合には、砥粒同士の間隔が広がるため、有効切れ刃間隔が大きくなり、その結果、良好な加工精度を維持できないという問題があった。さらに、上記方法では、砥石における気孔及び砥粒の均一性が不十分であるという問題もあった。したがって、集中度をさらに低下させた砥石であっても、良好な加工能率及び加工精度を維持するためには、上記方法の更なる改善が必要とされた。
かくして本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、小径の砥粒を使用した場合であっても、所定の気孔率を維持し、気孔及び砥粒が均一分散したビトリファイド砥石を提供することにある。
また、本発明のもう一つの目的は、小径の砥粒を使用した場合であっても、砥石内で所定の気孔率を維持でき、かつ砥石中に砥粒及び気孔を均一に分散させることのできるビトリファイド砥石の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、研削の加工能率及び加工精度の両立を目的として砥粒の有効切れ刃間隔とチップポケット体積との関係について鋭意検討した。その結果、本発明者らは、予め研削加工能率及び加工精度を設定しておき、次いでこの研削加工能率及び加工精度に基づいて、気孔率、砥粒の集中度及び砥粒径を設定することにより、研削能率と加工面粗さの両方を向上可能な方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、以下のビトリファイド砥石により達成される。
(1)砥粒及びビトリファイド結合材を少なくとも含有するビトリファイド砥石であって、予め設定した研削の加工能率及び加工精度に基づく気孔率、砥粒の集中度及び砥粒径を有することを特徴とするビトリファイド砥石。
(2)前記研削の加工精度が0.1〜1.6Rz(μm)である場合に、研削の加工能率が0.1〜2.0mm/(mm・sec)である(1)に記載のビトリファイド砥石。
(3)前記気孔率が、砥石全体の容積に対して30〜70容積%である(1)又は(2)に記載のビトリファイド砥石。
(4)前記気孔率が、気孔形成材を燃え抜けさせることにより形成される燃え抜け孔に基づく強制気孔率を含む(1)〜(3)のいずれかに記載のビトリファイド砥石。
(5)前記強制気孔率が砥石全体の容積に対して5〜35容積%である(4)に記載のビトリファイド砥石。
(6)前記気孔形成材が砥粒の平均粒径の0.1〜3倍の大きさである(4)又は(5)に記載のビトリファイド砥石。
(7)全気孔の容量に占める、砥粒の平均粒径の1〜3倍の大きさを有する気孔の割合が、20〜70容量%である(1)〜(6)のいずれかに記載のビトリファイド砥石。
(8)全気孔の容量に占める、砥粒の平均粒径の0.1〜1倍の大きさを有する気孔の割合が、30〜70容量%である(1)〜(6)のいずれかに記載のビトリファイド砥石。
(9)前記気孔形成材が高分子化合物である(4)〜(8)のいずれかに記載のビトリファイド砥石。
(10)前記砥粒の平均粒径が10〜90μmである(1)〜(9)のいずれかに記載のビトリファイド砥石。
(11)前記砥粒の集中度が50〜160である(1)〜(10)のいずれかに記載のビトリファイド砥石。
(12)前記砥粒が立方晶窒化ホウ素砥粒である(1)〜(11)のいずれかに記載のビトリファイド砥石。
(13)砥粒及びビトリファイド結合材を少なくとも含有するビトリファイド砥石であって、全気孔の容量に占める、砥粒の平均粒径の1〜3倍の大きさを有する気孔の割合が、20〜70容量%であるビトリファイド砥石。
(14)砥粒及びビトリファイド結合材を少なくとも含有するビトリファイド砥石であって、全気孔の容量に占める、砥粒の平均粒径の0.1〜1倍の大きさを有する気孔の割合が、30〜70容量%であるビトリファイド砥石。
(15)前記砥粒の平均粒径が10〜90μmである(13)又は(14)に記載のビトリファイド砥石。
(16)前記砥粒の集中度が50〜160である(13)〜(15)のいずれかに記載のビトリファイド砥石。
本発明のもう一つの目的は、以下のビトリファイド砥石の製造方法により達成される。
(17)砥粒及びビトリファイド結合材を少なくとも含有するビトリファイド砥石の製造方法であって、研削の加工能率及び加工精度を設定し、該加工能率及び加工精度に基づいて気孔率、砥粒の集中度及び砥粒径を設定する工程を有する前記製造方法。
(18)前記研削の加工精度を0.1〜1.6Rz(μm)に設定し、かつ前記研削の加工能率を0.1〜2.0mm/(mm・sec)に設定する(17)に記載の製造方法。
(19)前記気孔率を砥石全体の容積に対して30〜70容積%に設定する(17)又は(18)に記載の製造方法。
(20)前記気孔率が、気孔形成材を燃え抜けさせることにより形成される燃え抜け孔に基づく強制気孔率を含む(17)〜(19)のいずれかに記載の製造方法。
(21)前記強制気孔率を砥石全体の容積に対して5〜35容積%に設定する(20)に記載の製造方法。
(22)前記気孔形成材として砥粒の平均粒径の0.1〜3倍の大きさを有する気孔形成材を用いる(20)又は(21)に記載の製造方法。
(23)前記気孔形成材として高分子化合物を用いる(17)〜(22)のいずれかに記載の製造方法。
(24)前記砥粒として平均粒径が10〜90μmである砥粒を用いる(17)〜(23)のいずれかに記載の製造方法。
(25)前記砥粒の集中度を50〜160に設定する(17)〜(24)のいずれかに記載の製造方法。
(26)前記砥粒として立方晶窒化ホウ素砥粒を用いる(17)〜(25)のいずれかに記載の製造方法。
本発明では、予め研削の加工能率及び加工精度が設定される。このため、本発明であれば、前記研削の加工能率及び加工精度に基づいた気孔率、砥粒の集中度及び砥粒径を有するビトリファイド砥石及びその製造方法を提供できる。本発明は、例えば、研削の加工能率を0.3mm/(mm・sec)以上にした場合であっても、1.0Rz(μm)以下の良好な加工精度を有する砥石を提供することができる。また、本発明は、平均粒径が10〜90μmの小径の砥粒を使用した場合であっても、燃え抜け孔に基づく強制気孔率を5〜35容積%含むため、30〜70容積%の気孔率で集中度を50〜160に維持でき、かつ砥粒及び気孔を均一に分散した砥石を提供できる。その結果、本発明は、小径の砥粒であっても大径の砥粒並の均一な切れ刃間隔を有し、かつチップポケット体積も確保できるため、研削中に目詰まりを起こしにくく、溶着も防ぐ、研削加工能率及び研削加工精度を両立したビトリファイド砥石及びその製造方法を提供できる。
図1は、本発明のビトリファイド砥石の概略拡大断面図である。
図2は、内面研削時の砥石の有効切れ刃間隔WeとチップポケットPの関係を示す図である。
図3は、従来の燃え抜け材を用いて作製した砥石の構造を示す概略拡大断面図である。
図4は、燃え抜け材を使用しないで作製した砥石の構造を示す概略拡大説明図である。
図5は、本発明の砥石と従来の砥石との研削能率比及び有効切れ刃間隔の関係を示す説明図である。
図6は、本発明の有効切れ刃間隔と砥粒の配置を説明するための説明図である。
図7は、本発明の好適な実施例及び比較例における有効切れ刃間隔0.1mmのときの研削能率比を示す図である。
図8(1)〜(3)は、実施例1〜3及び比較例2の砥石を使用して、研削の加工能率0.3mm/(mm・sec)で内面研削を行った結果(消費電力、面粗度、磨耗)を示す。
図9(1)〜(3)は、実施例1及び2の砥石を使用して、研削の加工能率0.7mm/(mm・sec)で内面研削を行った結果(消費電力、面粗度、磨耗)を示す。
以下に本発明のビトリファイド砥石及びその製造方法についてさらに詳細に説明する。
[ビトリファイド砥石]
<研削の加工能率及び加工精度>
本発明の砥石では、予め設定された研削の加工能率及び加工精度に基づく気孔率、砥粒の集中度及び砥粒径を有する。研削の加工能率は、砥石幅が1mmである場合における1秒あたりの研削量を示すものであり、通常mm/(mm・sec)の単位で表すことができる。また研削の加工精度は、表面粗さで表すことができ、通常、十点平均粗さRz(μm)で示される。
例えば、内面研削の場合、1Rz(μm)以下の研削の加工精度を得ようとすれば、従来は研削の加工能率は0.3mm/(mm・sec)程度が限界であった。これに対し、本発明の砥石は、1Rz(μm)以下の研削精度としても、研削加工能率を0.3mm/(mm・sec)以上とすることができる。より具体的には、研削の加工精度を0.1〜1.6Rz(μm)、好ましくは0.2〜1.0Rz(μm)、さらに好ましくは0.3〜0.5Rz(μm)に設定した場合であっても、研削の加工能率を0.1〜2.0mm/(mm・sec)、好ましくは0.2〜1.0mm/(mm・sec)、さらに好ましくは0.3〜0.7mm/(mm・sec)に設定することができる。
ここで、上記研削の加工能率と有効切れ刃間隔Weとの関係を説明するため、図5に研削能率比と有効切れ刃間隔Weの大きさとの関係を示す。図5に示されるように、例えば、従来の砥石は、有効切れ刃間隔が0.1mmである場合、研削能率比が2未満である。これに対し、本発明の砥石は、有効切れ刃間隔が0.1mmである場合、研削能率比を2以上(好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3以上)にすることができる(なお、図5は有効切れ刃間隔が0.1mmのときに研削能率比3以上を示す例である)。本発明の砥石は、所定の大きさの砥粒(好ましくは10〜90μm)を選択し、従来の砥石(図2参照)のように砥粒どうしを隣接させずに、図6に示すように均一に配置して一定の有効切れ刃間隔を維持する。これにより本発明の砥石は、所定の研削加工精度を維持した状態で良好な加工能率(研削能率比)を達成することができる。
<気孔率>
本明細書において「気孔率」とは、砥石の全体積に対する、砥粒、結合材その他の充填剤等を除いた気孔(空間)の体積の割合を意味する。本発明において、気孔率は、強制気孔率と自然気孔率とから構成される。ここで「強制気孔率」とは、砥粒、ビトリファイド結合材及び気孔形成材を少なくとも含有する成形体を焼成工程において焼成し、気孔形成材を燃え抜けさせることにより形成される燃え抜け孔の容積の、全気孔の容積に対する割合を意味する。また「自然気孔率」とは、全気孔率から前記強制気孔率を引いた気孔率を意味し、焼成処理前の砥粒、ビトリファイド結合材及び気候形成材の隙間部分の成形体中に占める割合である。
本発明のビトリファイド砥石において、気孔率は、砥石全体の容積に対して30〜70容積%の範囲であることが適当であり、40〜60容積%であることが好ましく、45〜55容積%であることがさらに好ましい。気孔率が30容積%以上あれば、チップポケットの体積が不足し、研削中に目詰まりを起こして溶着の原因になることもない。また、本発明では気孔形成材を焼成工程において燃え抜けさせるため、気孔形成材を使用しない砥石と比べて良好な気孔率を確保することができ、70容積%までの気孔率を得ることができる。
上記気孔率のうち、強制気孔率は、砥石全体の容積に対して5〜35容積%の範囲であることが適当であり、20〜35容積%であることが好ましく、25〜35容積%であることがさらに好ましい。本発明のビトリファイド砥石において、研削の加工能率の向上に主に寄与するのは気孔形成材によって形成される強制気孔であり、強制気孔率が5容量%以上であれば、研削を良好に行うことができる。また、強制気孔率が35容積%以下であれば、砥石を安定して製造することができる。
本発明のビトリファイド砥石において、気孔形成材を燃え抜けさせることによって形成される強制気孔の大きさは、砥石の性能に大きく影響する。例えば、強制気孔の大きさが小さいと、砥石中の砥粒及び気孔の分散性が高まる。更に、砥粒及び気孔の分散性が高まることにより切刃間隔が安定するため、切粉の排出性能が高まり研削時の消費電力が少なくなり、生産効率の点で有利である。しかも、砥石の強度が高くなるため、研削による砥石の磨耗が少なく耐久性が良好となる。本発明のビトリファイド砥石は、砥粒の平均粒径の1〜3倍の大きさを有する気孔(強制気孔及び自然気孔を含む)が、全気孔の容量に対して20〜70容量%、好ましくは30〜60容量%、より好ましくは30〜50容量%含まれるものであることができる。また、本発明のビトリファイド砥石は、砥粒の平均粒径の0.1〜1倍の大きさを有する気孔が、全気孔の容量に対して30〜70容量%、好ましくは40〜70容量%、より好ましくは50〜70容量%含まれるものであることができる。所望の大きさを有する気孔の割合は、使用する気孔形成材の大きさ及び添加量を適宜設定することによって調整することができる。また、所定の大きさを有する気孔の割合は、砥石をスライスし、三次元測定可能な顕微鏡で断面を測定して得られる三次元データから断面形状を解析することによって求めることができる。
<気孔形成材>
本発明で用いられる気孔形成材は、焼成工程において燃え抜けるものであれば特に限定されない。好ましくは、燃え抜け開始温度が後述するビトリファイド結合材の転移点の温度以上であると共に、燃え抜け完了温度がビトリファイド結合材の焼成温度の範囲内の最高温度よりも低い気孔形成材を用いることができる。
例えば、気孔形成材として、燃え抜け開始温度が前記ビトリファイド結合材の転移点の温度よりも5℃以上(より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上)高く、燃え抜け完了温度が前記ビトリファイド結合材を含む砥石原料の焼成温度の範囲内の最高温度よりも5℃以上(より好ましくは10℃以上、さらに好ましくは20℃以上)低い気孔形成材を好適に用いることができる。
気孔形成材は、砥石の製造過程における製造原料の撹拌時に粉砕されない程度の強度を有するものが好ましい。撹拌時に粉砕されない程度の強度を有するものであれば、気孔形成材は、中実状及び中空状のいずれも用いることができる。
また、気孔形成材の比重は、1以上(例えば1〜2.5、好ましくは1〜1.5)であることが望ましい。気孔形成材の比重が1以上であれば、出発原料の撹拌中に浮くこともなく、出発原料中に均一に分散させることができる。
気孔形成材の大きさは、所望の強制気孔の大きさに応じて選択することが好ましい。前述のように、強制気孔の大きさが小さいほど、研削時の消費電力が少なく生産効率の点で有利である。また、強制気孔が小さいほど、砥石の強度は高くなるため、研削による砥石の磨耗が少なく耐久性が良好となる。但し、強制気孔径が過度に小さいと、研削の加工能率が低下する。以上の観点から、気孔形成材の大きさは、砥粒の平均粒径の0.1〜3倍であることが適当である。特に、研削時の消費電力及び砥石の耐久性の観点からは、気孔形成材の大きさは、砥粒の平均粒径の0.16〜1倍であることが好ましい。例えば、砥粒としてcBN砥粒を使用する場合、砥粒の平均粒径が22〜36μmであるときは、3.5〜36μm程度の大きさの気孔形成材を用いることができる。
気孔形成材の形状は、特に限定されるものではないが、製造工程において砥粒を良好に分散できる真球状であることが好ましい。
気孔形成材の出発原料中に占める含有率は、容積%で10〜50%であることが好ましく、15〜45%であることがより好ましく、15〜40%であることがさらに好ましい。容積%が10%以上であれば、燃え抜け孔の形成による効果が得られ、また容積%が50%以下であれば、適度な強度及び耐久性を有する砥石の製造が可能である。
気孔形成材の具体例としては、例えば、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルなどの高分子化合物、炭素を90質量%以上含むカーボン質などを挙げることができる。特に、気孔形成材としてポリメタクリル酸メチルを用いることが好ましい。
<砥粒>
本発明で用いられる砥粒の粒径は、前記研削の加工能率及び加工精度に基づいて気孔率及び集中度との関係において適宜決定することができる。例えば、上記の研削能率及び研削の加工精度の範囲であれば、平均粒径10〜90μm、好ましくは18〜60μm、さらに好ましくは20〜55μm、最も好ましくは25〜45μmの砥粒を用いることが適当である。平均粒径が10μm以上の砥粒であれば、砥粒間の結合性の問題もなく、かつ研削の加工能率を著しく低下させることはない。また砥粒の平均粒径が90μm以下であれば、所定の切れ刃間隔を維持でき、加工精度を向上させることができる。
砥粒の種類は、上記平均粒径の範囲内であれば特に限定はない。例えば、cBN砥粒、A系(アルミナ系)、C系(炭化珪素系)等の砥粒を用いることができる。高度な精密部品を内面研削する場合、cBN砥粒を用いることが好ましい。また、砥粒の種類は、単独であっても、2種類以上を混合したものであってもよい。
砥粒としてcBN砥粒を適用する場合、必要に応じて充填剤として一般の砥粒及び無機質中空材のうちの1種以上を併用できる。但し、この場合には、cBN砥粒の集中度が50〜160になるように、充填剤の使用量を調整することが適当である。
また、砥粒としてダイヤモンド砥粒を適用する場合、ダイヤモンド砥粒の劣化を抑えるため、ビトリファイド結合材と気孔形成材の種類及び焼成温度等の製造条件を適宜設定することが望ましい。
砥粒の集中度は、50〜160であることが適当であり、75〜150であることが好ましく、100〜125であることがさらに好ましい。ここで「集中度」とは、砥石中に占める砥粒の割合を意味し、例えば、ダイヤモンド砥粒の場合、4.4ct/cmが集中度100であり、25容積%に相当する。したがって、集中度200は50容積%に相当する。ダイヤモンド砥粒とは密度が相違する砥粒を用いる場合には、ダイヤモンド砥粒との密度の違いを考慮し、上記に準じて集中度を定めることができる。なお、砥粒がcBN砥粒である場合、ダイヤモンド砥粒と同様、集中度100は約25容積%に相当し、集中度200は約50容積%に相当する。
本発明では、集中度を50〜160と比較的低い範囲に調整し、かつ上述したように気孔率を30〜70容積%の範囲に調整することにより、所定のチップポケット体積を維持ないしは増加させることができ、高能率研削時の砥石の目詰まりや溶着を防止することができる。
<ビトリファイド結合材>
本発明において、ビトリファイド結合材は、砥粒の種類に応じて適宜選択して用いることができる。例えば、砥粒としてcBN砥粒を用いたビトリファイドcBN砥石を製造する場合、ビトリファイド結合材は、例えば、ホウ珪酸ガラス、結晶化ガラスなどであることができる。結晶化ガラスとしては、例えばウィレマイトを析出するものなどが挙げられる。十分な保持力を有するためには、ビトリファイド結合材の熱膨張係数は、砥粒の熱膨張係数に対して±2×10−6(1/K)(室温〜500℃)の範囲以内であることが望ましい。
ビトリファイド結合材として超砥粒用ビトリファイド結合材を用いる場合の結合材を含む砥石原料を焼成する温度は、使用される超砥粒用ビトリファイド結合材の種類に応じて選択される。超砥粒用ビトリファイド結合材の転移温度は、一般砥粒用ビトリファイド結合材の転移温度よりも低いため、超砥粒用ビトリファイド結合材を含む砥石原料を焼成する温度は、650〜1000℃の範囲とすることが好ましく、より好ましくは700〜950℃の範囲である。650℃以上であれば、焼成後においても一定の強度を有する砥石が得られ、また1000℃以下であれば、超砥粒の劣化が起こることもない。
超砥粒用ビトリファイド結合材の好ましい組成としては、例えば、SiO:40〜70質量%、Al:10〜20質量%、B:10〜20質量%、MO:2〜10質量%、M O:2〜10重量%を挙げることができる。但し、Mはアルカリ土類金属から選ばれる一種類以上の金属であり、Mはアルカリ金属より選ばれる一種類以上の金属である。
ビトリファイド結合材の含有率は、適宜選択でき、例えば出発原料の容積に対して13〜35容積%、好ましくは18〜22容積%の範囲とすることができる。
本発明のビトリファイド砥石は、少なくとも研削に関与する部分が上述の構成になっていればよい。したがって、本発明のビトリファイド砥石には、例えば砥粒を含有しないセラミック製の保持体表面に、砥粒とビトリファイド結合材とを含有するビトリファイド砥石部を設けたものも含まれる。
また、本発明の砥石がビトリファイド超砥粒砥石である場合には、所望によりビトリファイド超砥粒砥石に使用される通常の添加剤、例えば脆化剤、固体潤滑剤を適量含有させることもできる。
[ビトリファイド砥石の製造方法]
次に本発明のビトリファイド砥石の製造方法についてさらに詳細に説明する。
本発明の製造方法は、研削の加工能率及び加工精度を設定し、該加工能率及び加工精度に基づいて気孔率、砥粒の集中度及び砥粒径を設定する工程を有する。研削の加工能率、加工精度、気孔率、砥粒の集中度及び砥粒径については、前述したビトリファイド砥石のものをそのまま用いることができる。さらに、本発明の製造方法で用いられる砥粒、ビトリファイド結合材及び気孔形成材は、前述した本発明のビトリファイド砥石で用いられる砥粒、ビトリファイド結合材及び気孔形成材を用いることが適当である。
本発明の製造方法は、砥粒、ビトリファイド結合材及び気孔形成材を少なくとも含有する成形体を焼成して気孔形成材を燃え抜けさせる焼成工程を有することができる。本発明の製造方法において、砥粒、ビトリファイド結合材及び気孔形成材を少なくとも含有する成形体の焼成方法は、該成形体を一定温度で一定時間保持して焼成して気孔形成材を燃え抜けさせる方法が好ましい。このような方法であれば、焼成工程においてビトリファイド結合材が溶ける前に気孔形成材が燃え抜けて、結合材や砥粒が自由に動くことによる焼成収縮や砥粒分布の乱れを防ぐことができるため好ましい。
前記保持時間は、前記成形体に含まれる気孔形成材が燃え抜けるに十分な時間であることが好ましい。気孔形成材が燃え抜けるに十分な時間は、製造しようとする砥石の形状又は寸法に応じて適宜設定することができる。
前記成形体をビトリファイド結合材の焼成温度で保持する場合、焼成温度の範囲内の一定の温度で保持するが、この焼成温度の範囲内であれば、温度の変化(例えば、経過時間に対する温度の上昇)があってもよい。
焼成時に一定時間保持する際の保持温度は、好ましくは、前記気孔形成材の燃え抜け完了温度以上(好ましくは前記燃え抜け完了温度よりも5℃以上高い温度、より好ましくは前記燃え抜け完了温度よりも10℃以上高い温度)である。前記成形体を焼成する温度(焼成時の最高温度)としては、前記ビトリファイド結合材の焼成温度の範囲内の温度であって、前記気孔形成材の燃え抜け完了温度以上にすることができる。
本発明の製造方法において、前記成形体を焼成する際の前記成形体の寸法は、用いられる気孔形成材が十分に燃え抜ける程度の寸法であることが好ましい。例えば、形状が直方体状の成形体の場合、厚み(直方体の最も肉厚が薄い方向の長さ)を10mm以下(好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下)にすることができる。また、例えば、形状が円筒状の成形体の場合、縁厚(円筒の壁の厚み)を10mm以下(好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下)にすることができる。
本発明の製造方法において、焼成時の雰囲気は、気孔形成材が十分に燃える雰囲気にすることが適当である。気孔形成材がカーボン質の場合は、例えば、酸素を含有する雰囲気にすることができ、通常は大気でよい。
本発明の製造方法では、前記成形体を得る工程を前記焼成工程よりも前に有することができる。
前記成形体は、好ましくは、砥粒、ビトリファイド結合材粉末及び気孔形成材を少なくとも含む出発原料と糊料等の一次結合材を混合・攪拌し、前記各成分が均一に分散した混合物を得て、前記混合物を加圧して成形し乾燥することにより得ることができる。
ビトリファイド超砥粒砥石を製造する場合、所望によりビトリファイド超砥粒砥石に使用される通常の添加剤、例えば脆化剤、固体潤滑剤、成形助剤を適量前記出発原料に含有させてもよい。
以上の製造方法で得られたビトリファイド砥石は、様々な研削装置の砥石として用いることができる。特に小径の被研削物であっても高い研削加工能率及び加工精度を発揮できるため、内面研削に好適に用いることができる。本発明の砥石の用途としては、例えば、燃料噴射装置のインジェクションノズルや圧力調整部品の内面とシート面の研削、ベアリングの内輪や外輪の内面研削などを挙げることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
なお、本実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は、以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
1.砥石の作製及びその構造
実施例1〜3、比較例1及び2に示される下記の配合の出発原料をプレス成形し、900℃で24時間大気雰囲気中で焼成して(うち900℃で1時間保持)、ビトリファイド砥石を作製した。実施例1において、昇温条件10℃/分で質量の減少を測定したところ、ポリメタクリル酸メチルの燃え抜け開始温度(10質量%減少)は300℃、燃え抜け完了温度(90質量%減少)は500℃であった。また、使用したビトリファイド結合材の転移点は550℃であり、固有焼成温度は850〜950℃であった。
<実施例1の出発原料とその配合>
cBN砥粒(平均粒径30μm(#600)、集中度160) 55.1容量部
ポリメタクリル酸メチル(平均粒径30μm、真比重1.2) 17.4容量部
ビトリファイド結合材 27.5容量部
糊料 14.5容量部
<実施例1の焼成後の砥石の構造>
cBN砥粒 40.0容量部
気孔 40.0容量部
燃え抜け孔(強制気孔):10.0容量部
自然気孔:30.0容量部
砥粒の平均粒径の1〜3倍の大きさを有する気孔の割合:37容量%
ビトリファイド結合材 20.0容量部
<実施例2の出発原料とその配合>
cBN砥粒(平均粒径30μm(#600)、集中度160) 55.1容量部
ポリメタクリル酸メチル(平均粒径5μm、真比重1.2) 17.4容量部
ビトリファイド結合材 27.5容量部
糊料 14.5容量部
<実施例2の焼成後の砥石の構造>
cBN砥粒 40.0容量部
気孔 40.0容量部
燃え抜け孔(強制気孔):10.0容量部
自然気孔:30.0容量部
砥粒の平均粒径の0.1〜1倍の大きさを有する気孔の割合:67容量%
ビトリファイド結合材 20.0容量部
<実施例3の出発原料とその配合>
cBN砥粒(平均粒径30μm(#600)、集中度160) 56.5容量部
ポリメタクリル酸メチル(平均粒径5μm、真比重1.2) 21.0容量部
ビトリファイド結合材 22.5容量部
糊料 14.5容量部
<実施例3の焼成後の砥石の構造>
cBN砥粒 40.0容量部
気孔 44.0容量部
燃え抜け孔(強制気孔):14.0容量部
自然気孔:30.0容量部
ビトリファイド結合材 16.0容量部
<比較例1の出発原料とその配合>
cBN砥粒(平均粒径30μm(#600)、集中度160) 55.1容量部
カーボン質ビーズ(150μm) 17.4容量部
ビトリファイド結合材 27.5容量部
糊料 14.5容量部
<比較例1の焼成後の砥石の構造>
cBN砥粒 43.7容量部
気孔 40.0容量部
燃え抜け孔(強制気孔):10.0容量部
自然気孔:30.0容量部
ビトリファイド結合材 16.3容量部
<比較例2の出発原料とその配合>
cBN砥粒(平均粒径30μm、集中度180) 69.2容量部
ビトリファイド結合材 30.8容量部
糊料 14.3容量部
<比較例2の焼成後の砥石の構造>
cBN砥粒 45.0容量部
気孔(自然気孔) 35.0容量部
ビトリファイド結合材 20.0容量部
焼成後に得られた実施例1、比較例1及び2の砥石の構造の概略拡大断面図を図1、図3及び図4にそれぞれ示す。図1に示されるように、本発明の砥石はcBN砥粒1がビトリファイド結合材3により結合してなる砥石であり、その他、燃え抜け孔(強制気孔)2及び自然気孔4を有する。また、図3に示されるように、比較例1の砥石はcBN砥粒21と燃え抜け孔22がビトリファイド結合材23により結合された砥石であり、その他、気孔24を有する。また、図4に示されるように、比較例2の砥石はcBN砥粒31がビトリファイド結合材32により結合され、その他、気孔33を有する砥石である。
本発明の砥石と比較例の砥石の構造を比較すると、図1に示される実施例1の砥石は、比較例1及び2の砥石よりも砥粒及び気孔が均一に分散されており、かつ高い気孔率を有する。これに対し、図3に示される比較例1の砥石は、気孔率は良好であるが、砥粒が不均一である。また図4に示される比較例2の砥石は、砥粒が不均一であり、かつ気孔率が小さい。このことから、本発明の砥石は、一定の有効切れ刃間隔を維持した状態で、良好なチップポケットの大きさを持つ砥石であることが分かる。
2.ビトリファイド砥石の評価(1)
実施例1、比較例1及び2で得られた砥石を使用して内面研削を行い、研削能率比及び有効切れ刃間隔の大きさとの関係について調べた。その結果を図7に示す。なお、被削材、加工条件及びドレス条件は下記の通りである。
<被削材>
材質 SCM415
寸法 内径φ3.95mm
研削代 φ0.05mm
<加工条件>
使用機械 内面研削盤
研削方式 湿式オシレート研削
砥石周速度 22.6m/s
被削材周速度 0.5m/s
研削能率比 1〜3.2
オシレーション あり
研削油 油性
<ドレス条件>
ドレッサ φ50角柱ロータリー
ドレス切込 φ1μm/pass
リード 0.004mm/rev
図7より、同一の有効切れ刃間隔We(0.1mm)を有する場合、実施例1では研削能率比が3.2まで正常に研削することができた。これに対し、比較例1及び2はいずれも研削能率比が1.9までしか正常に研削することができなかった。このことから、本発明のビトリファイド砥石を用いれば、同一の研削加工精度において、従来の砥石よりも約1.7倍の研削加工能率で研削することができることがわかる。
3.ビトリファイド砥石の評価(2)
実施例1〜3、比較例2で得られた砥石を使用して、研削の加工能率0.3mm/(mm・sec)で内面研削を行い、消費電力、面粗度、磨耗を調べた。消費電力の変化を図8(1)に、面粗度の測定結果を図8(2)に、磨耗の測定結果を図8(3)に示す。また、実施例1及び2で得られた砥石について、研削能率0.7mm/(mm・sec)で内面研削を行い、消費電力、面粗度、磨耗を調べた。消費電力の変化を図9(1)に、面粗度の測定結果を図9(2)に、磨耗の測定結果を図9(3)に示す。
但し、比較例2の砥石はドレス直後の加工において溶着が発生したため、その後の評価を行うことができなかった。
なお、被削材、加工条件及びドレス条件は下記の通りである。
<被削材>
材質 SUJ−2
寸法 内径φ28.3mm
研削代 φ0.36mm
<加工条件>
使用機械 内面研削盤
研削方式 湿式オシレート研削
砥石周速度 45m/s
被削材周速度 1.25m/s
オシレーション あり
研削油 水溶性
<ドレス条件>
ドレッサ φ25角柱ロータリー
ドレス切込 φ4μm/pass
リード 0.030 mm/rev
(i)消費電力
図8(1)に示すように、比較例2の砥石では、研削初期の消費電力がきわめて高く、溶着が発生してその後の研削が不可能であった。それに対し、図8(1)及び図9(1)に示すように、実施例1〜3の砥石は、研削中、消費電力が低レベルで安定に維持され、溶着の発生なく連続加工が可能であった。
(ii)面粗度
図8(2)に示すように、実施例1〜3の砥石は、研削の加工能率0.3mm/(mm・sec)において、0.7Rz(μm)以下の研削の加工精度を得ることができた。
また、図9(2)に示すように、実施例1及び2の砥石は、研削の加工能率0.7mm/(mm・sec)において、0.8Rz(μm)以下の研削の加工精度を得ることができた。
(iii)磨耗
図8(3)及び図9(3)に示すように、実施例1と実施例2を比較すると、気孔形成材の径が小さい(即ち、強制気孔が小さい)実施例2の砥石の方が高強度であるため磨耗が少なかった。また、図8(3)に示すように、同一径の気孔形成材を使用した実施例2と実施例3を比較すると、結合材量が多い実施例2の砥石の方が高硬度であるため磨耗が少なかった。
以上説明したように、本発明のビトリファイド砥石は、予め設定された研削加工能率及び加工精度に基づいた気孔率、砥粒の集中度及び砥粒径を有する。これにより本発明の砥石であれば、従来では相反する砥石の指標とされていた研削の加工能率を向上させつつ、加工面の粗さを精度よく加工することができる。
また、本発明のビトリファイド砥石の製造方法は、予め研削加工能率及び加工精度を定め、この研削加工能率及び加工精度に基づいて気孔率、砥粒の集中度及び砥粒径が設定される。これにより本発明の製造方法であれば、砥石内で砥石及び気孔を均一に分布させることが可能であり、その結果、研削の加工能率及び加工精度を両立させた砥石を製造することができる。

Claims (26)

  1. 砥粒及びビトリファイド結合材を少なくとも含有するビトリファイド砥石であって、予め設定した研削の加工能率及び加工精度に基づく気孔率、砥粒の集中度及び砥粒径を有することを特徴とするビトリファイド砥石。
  2. 前記研削の加工精度が0.1〜1.6Rz(μm)である場合に、研削の加工能率が0.1〜2.0mm/(mm・sec)である請求項1に記載のビトリファイド砥石。
  3. 前記気孔率が、砥石全体の容積に対して30〜70容積%である請求項1又は2に記載のビトリファイド砥石。
  4. 前記気孔率が、気孔形成材を燃え抜けさせることにより形成される燃え抜け孔に基づく強制気孔率を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のビトリファイド砥石。
  5. 前記強制気孔率が砥石全体の容積に対して5〜35容積%である請求項4に記載のビトリファイド砥石。
  6. 前記気孔形成材が砥粒の平均粒径の0.1〜3倍の大きさである請求項4又は5に記載のビトリファイド砥石。
  7. 全気孔の容量に占める、砥粒の平均粒径の1〜3倍の大きさを有する気孔の割合が、20〜70容量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載のビトリファイド砥石。
  8. 全気孔の容量に占める、砥粒の平均粒径の0.1〜1倍の大きさを有する気孔の割合が、30〜70容量%である請求項1〜6のいずれか1項に記載のビトリファイド砥石。
  9. 前記気孔形成材が高分子化合物である請求項4〜8のいずれか一項に記載のビトリファイド砥石。
  10. 前記砥粒の平均粒径が10〜90μmである請求項1〜9のいずれか一項に記載のビトリファイド砥石。
  11. 前記砥粒の集中度が50〜160である請求項1〜10のいずれか一項に記載のビトリファイド砥石。
  12. 前記砥粒が立方晶窒化ホウ素砥粒である請求項1〜11のいずれか一項に記載のビトリファイド砥石。
  13. 砥粒及びビトリファイド結合材を少なくとも含有するビトリファイド砥石であって、全気孔の容量に占める、砥粒の平均粒径の1〜3倍の大きさを有する気孔の割合が、20〜70容量%であるビトリファイド砥石。
  14. 砥粒及びビトリファイド結合材を少なくとも含有するビトリファイド砥石であって、全気孔の容量に占める、砥粒の平均粒径の0.1〜1倍の大きさを有する気孔の割合が、30〜70容量%であるビトリファイド砥石。
  15. 前記砥粒の平均粒径が10〜90μmである請求項13又は14に記載のビトリファイド砥石。
  16. 前記砥粒の集中度が50〜160である請求項13〜15のいずれか一項に記載のビトリファイド砥石。
  17. 砥粒及びビトリファイド結合材を少なくとも含有するビトリファイド砥石の製造方法であって、研削の加工能率及び加工精度を設定し、該加工能率及び加工精度に基づいて気孔率、砥粒の集中度及び砥粒径を設定する工程を有する前記製造方法。
  18. 前記研削の加工精度を0.1〜1.6Rz(μm)に設定し、かつ前記研削の加工能率を0.1〜2.0mm/(mm・sec)に設定する請求項17に記載の製造方法。
  19. 前記気孔率を砥石全体の容積に対して30〜70容積%に設定する請求項17又は18に記載の製造方法。
  20. 前記気孔率が、気孔形成材を燃え抜けさせることにより形成される燃え抜け孔に基づく強制気孔率を含む請求項17〜19のいずれか一項に記載の製造方法。
  21. 前記強制気孔率を砥石全体の容積に対して5〜35容積%に設定する請求項20に記載の製造方法。
  22. 前記気孔形成材として砥粒の平均粒径の0.1〜3倍の大きさを有する気孔形成材を用いる請求項20又は21に記載の製造方法。
  23. 前記気孔形成材として高分子化合物を用いる請求項17〜22のいずれか一項に記載の製造方法。
  24. 前記砥粒として平均粒径が10〜90μmである砥粒を用いる請求項17〜23のいずれか一項に記載の製造方法。
  25. 前記砥粒の集中度を50〜160に設定する請求項17〜24のいずれか一項に記載の製造方法。
  26. 前記砥粒として立方晶窒化ホウ素砥粒を用いる請求項17〜25のいずれか一項に記載の製造方法。
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