JP3226304U - ビトリファイド異種混合砥石 - Google Patents

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和行 宮田
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Abstract

【課題】表面をガス窒化処理した鋼の研削加工やダイヤモンドに次ぐ硬度の超硬金属の円筒研削加工、内面研削加工又は平面研削加工が長時間可能な砥石を提供する。【解決手段】靭性は低いが硬度が高い、ヌープ強度が2000以上の炭化珪素砥粒2と、硬度は低いが靭性が高い、ヌープ強度が2000以上の酸化アルミニウム粉末焼結砥粒3とを70〜97体積%含有する砥粒群が混合され、ビトリファイド系結合剤4で結合されているビトリファイド異種混合砥石1である。【選択図】図1

Description

本考案は、窒化物、球状黒鉛鋳鉄、合金工具鋼、金属溶射物、超硬金属などの硬い工作物を研削可能な、靭性は大きいが硬さが低いアルミナ系砥粒と硬さは硬いが靭性が低い炭化珪素系砥粒とを混合させるビトリファイド異種混合砥石に関する。
特許文献1には、ホウケイ酸塩ガラス組成物粉末からなるビトリファイド結合剤と砥粒との混合紛体が圧縮成形され、かつ前記ホウケイ酸塩ガラス組成物粉末粒子同士が接触した部分に加熱によりネッキングした接合部を有する焼結体からなり、前記ビトリファイド結合剤は、SiOを35〜55モル%、Alを3〜5モル%、Bを10〜35モル%、R2O+ROを25〜30モル%含有する低融性ホウケイ酸塩ガラス組成物からなる粉末を94〜100質量%含む焼結性ビトリファイド結合剤である焼結ビトリファイド超仕上げ砥石が開示されている。
特許文献2には、褐色アルミナ砥粒及びその他の砥粒を、ビトリファイド系結合材を用いて結合してなり、前記褐色アルミナ砥粒と前記その他の砥粒との合計に対する前記褐色アルミナ砥粒の割合が3〜20体積%であり、前記その他の砥粒は白色アルミナ砥粒、淡紅色アルミナ砥粒、解砕型アルミナ砥粒、黒色炭化珪素砥粒及び緑色炭化珪素砥粒のうちの少なくとも1種であるビトリファイド砥石が開示されている。
特開2016−196050号公報 特許第3034871号公報
特許文献1の発明は、ビッカース硬度が8.6〜9.8GPaで高硬度でなく破壊靭性値が低く欠け易い二酸化珪素が最も含有されているので、表面をガス窒化処理した鋼の研削加工やダイヤモンドに次ぐ硬度の超硬金属の研削加工には使用できないという問題があった。
特許文献2の発明は、褐色アルミナ砥粒と、黒色炭化珪素砥粒又は緑色炭化珪素砥粒とを混合させてビトリファイド系結合材を用いて結合する技術であると記載されているが、一般的にビトリファイド系結合材はアルミナ系又は炭化珪素系それぞれに適する結合剤しかないので、褐色アルミナ砥粒と、黒色炭化珪素砥粒又は緑色炭化珪素砥粒とをビトリファイド系結合材を用いて結合させても結合力が不足し窒化物、球状黒鉛鋳鉄、合金工具鋼、金属溶射物などの硬い工作物を研削ができないという問題があった。
本考案はこうした問題に鑑み創案されたもので、表面をガス窒化処理した鋼の研削加工やダイヤモンドに次ぐ硬度の超硬金属の研削加工に使用可能な砥石を提供することを課題とする。
本考案において、酸化アルミニウム粉末焼結砥粒とは、酸化アルミニウムをミクロンパウダー状にして、該ミクロンパウダー状のものを型に挿入して焼結し、焼結後に再度破砕し破砕したものをミクロン単位の所定の大きさの砥粒に整粒したものをいう。
請求項1に記載のビトリファイド異種混合砥石は、ヌープ強度が2000以上の炭化珪素砥粒と、ヌープ強度が2000以上の酸化アルミニウム粉末焼結砥粒とを70〜97体積%含有する砥粒群が混合され、ビトリファイド系結合剤で結合されていることを特徴とする。
請求項1に記載の考案は、ビッカース硬度が22.5〜28GPa、ヌープ硬度が2500〜3200kgf/mmの炭化珪素と、ヌープ硬度が2070kgf/mmの酸化アルミニウム粉末焼結砥粒とを混合させ70〜97体積%含有する砥石を実現させたことにより、砥粒の脱落と微少破砕が交互にスムースに起こり、耐摩擦熱は600°まで高められる。
これにより、表面をガス窒化処理した鋼の研削加工やダイヤモンドに次ぐ硬度の超硬金属の円筒研削加工、内面研削加工又は平面研削加工が長時間可能になり、研削能率が向上し、仕上面精度が向上し、研削ヤケが発生せず、損耗量が一般的なアルミナ系砥粒を主体とした砥石より約50%以下であるので砥石の寿命が長くなるという効果を奏する。
また、ビトリファイド系結合剤は、アルミナ系砥粒に適する結合剤は炭化珪素系砥粒の結合には適さず、炭化珪素系の砥粒に適する結合剤はアルミナ系砥粒の結合には適さず、どちらか一方の種類の砥粒の結合にしか適用されなかったが、酸化アルミニウムの性状を変え酸化アルミニウム粉末焼結砥粒にしたことによってビトリファイド系結合剤でアルミナ系砥粒と炭化珪素系砥粒を結合させることが可能になったという効果を奏する。
靭性は低いが硬度が高い炭化珪素系の砥粒と、硬度は低いが靭性が高い酸化アルミニウム粉末焼結のアルミナ系の砥粒との混合であり、その混合の割合を変えることにより、異なる性質の砥石を造ることができる。
例えば、硬度は低いが靭性が高いアルミナ系の酸化アルミニウム粉末焼結砥粒の体積%を多くした砥石は、研削抵抗の軽減が図られ切削抵抗だけが大となり研削熱の発生も比較的少ないため、非常に研削熱の発生を嫌う工作物、表面硬度が高く通常の砥石では砥石が負けるような工作物、又は、粘い性質を有する工作物等の研削において、幅広く研削加工ができる。
一方、靭性は低いが硬度が高い炭化珪素系の砥粒の体積%を多くした砥石は、砥粒そのものの靭性が高いため、研削時の砥粒切り込み深さが大となり、砥石切込速度の大きい精密研削加工に適する。
本考案のビトリファイド異種混合砥石の工作物研削時の説明図である。
本考案のビトリファイド異種混合砥石1は、ヌープ強度が2000以上の炭化珪素砥粒2と、ヌープ強度が2000以上の酸化アルミニウム粉末焼結砥粒3とを70〜97体積%含有する砥粒群が混合され、ビトリファイド系結合剤4で結合されている。
そして、前記ビトリファイド異種混合砥石1は、図1に示すように、前記炭化珪素砥粒2(結晶砥粒)と前記酸化アルミニウム粉末焼結砥粒3(焼結砥粒)の砥粒群と、気孔5と、ビトリファイド系結合剤4の3要素から成り立っており、前記炭化珪素砥粒2と前記酸化アルミニウム粉末焼結砥粒3は切削刃に相当し、ビトリファイド系結合剤4は無数の砥粒群を保持する働きをし、気孔5は切削屑11の排除作用をする。そして、前記ビトリファイド異種混合砥石1を高速度に回転しつつ、前記ビトリファイド異種混合砥石1の微細な前記切削刃と切削空間とを間断なく自生しながら、前記ビトリファイド異種混合砥石1が工作物10を研削し、脱落砥粒7と切屑11が落下する。
前記炭化珪素砥粒2は、ビッカース硬度が22.5〜28GPa、ヌープ硬度が2500〜3200kgf/mmであり高硬度で脆い性状を有するので、該炭化珪素砥粒2の体積%を高めることにより超高度な砥石を実現できる。砥粒の粒度は、研削力を有するため極細目では小さすぎて研削力が弱く中目では研削表面は粗くなるので、細目の粒度80〜220がよく、好ましくは80〜120がよい。
前記酸化アルミニウム粉末焼結砥粒3は、性状は酸化アルミニウムとヌープ硬度などは略同じである。靭性が高くシャープな切れ味を有する砥粒である。前記酸化アルミニウム粉末焼結砥粒3によって、炭化珪素系の砥粒とアルミナ系の砥粒とをガラス質のビトリファイド結合剤で結合させることが可能になった。砥粒の粒度は、研削力を有するため極細目では小さすぎて研削力が弱く中目では研削表面は粗くなるので、細目の粒度80〜220がよく、好ましくは80〜120がよい。
前記炭化珪素砥粒2と前記酸化アルミニウム粉末焼結砥粒3との体積%は、砥石の全体積に対して合計で70〜97体積%含有するようにするが、前記炭化珪素砥粒2と前記酸化アルミニウム粉末焼結砥粒3との混合割合は、研削対象加工物の材質や加工目的等に応じて、靭性と硬度との組み合わせを変えて砥石の性状を変えることができるので、あらかじめ研削トライを繰り返して得た割合で設定する。
前記ビトリファイド系結合剤4は、一般的なビトリファイド系結合剤4でよく、長石、粘土、陶石等の陶磁器の原料から焼成して造られたガラス質であり、砥粒の保持力が高く、高弾性率のため形状保持性がよい結合剤である。
前記ビトリファイド異種混合砥石1は、硬度が高く靭性が低い、純度の高い炭化珪素砥粒2(結晶砥粒)と、靭性が高く硬度が低い、純度が高い酸化アルミニウム粉末焼結砥粒3(焼結砥粒)とを合計が70〜97体積%になるように混合させて均一に混在させ、砥粒の脱落と微少の破砕が交互にスムースに起こるようにしているため、お互いの粒子間隔を広くし目詰まり目つぶれが起こりにくく切れ味が持続できる砥石である。前記ビトリファイド異種混合砥石1は、結晶砥粒(結晶体)と焼結砥粒(焼結体)との異種混合砥石である。
実施例1として、前記炭化珪素砥粒2の体積%を多くした本考案のビトリファイド異種混合砥石1として、砥石サイズが外径800×厚さ185×内径304.8で、粒度100の細目、H9V(結合度H軟、組織9、結合剤Vビトリファイド)を造り、材質SAcMガス窒化鋼(ロックウエル硬度HRc60)の外径44φ〜60φ(段付き)で工作物10の回転数90rpmの外径を、砥石速度2000m/分で研削し、砥粒の脱落と微少破砕が交互にスムースに起こり目詰まりなく切れ味が持続できた。
実施例2として、前記炭化珪素砥粒2の体積%を多くした本考案のビトリファイド異種混合砥石1として、砥石サイズが外径13.8×厚さ17×内径8で、粒度100の細目、K9V(結合度K軟、組織9、結合剤Vビトリファイド)を造り、材質が焼結合金で内径18φ〜22φ(段付き)の工作物10の回転数800rpmの内径を、砥石速度2000m/分で研削し、砥粒の脱落と微少破砕が交互にスムースに起こり目詰まりなく切れ味が持続できた。
1 ビトリファイド異種混合砥石
2 炭化珪素砥粒(結晶砥粒)
3 酸化アルミニウム粉末焼結砥粒
4 ビトリファイド系結合剤
5 気孔
7 脱落砥粒
10 工作物
11 切屑

Claims (1)

  1. ヌープ強度が2000以上の炭化珪素砥粒と、ヌープ強度が2000以上の酸化アルミニウム粉末焼結砥粒とを70〜97体積%含有する砥粒群が混合され、ビトリファイド系結合剤で結合されていることを特徴とするビトリファイド異種混合砥石。
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