JPWO2004091035A1 - 広帯域回路 - Google Patents
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Abstract
少ない回路素子数で広い周波数帯域に亘って所望の回路特性が安定して得られ、且つ容易に回路設計が可能な広帯域回路を提供する。 信号伝送用導体と接地導体とこれらの導体の間に介在する誘電体とを含む伝送線路を介して回路素子が接続された広帯域回路であって、一対の導体が対向した四端子の線路構造で、いずれの端子に接続される導電体よりもインピーダンスが低く、線路の長さのおよそ4倍よりも波長が短い電磁波の周波数帯域を対象周波数帯域とするLILC13を伝送線路に挿入し、対象周波数帯域の電磁波に対する低インピーダンス素子として用いた。
Description
本発明は、広い周波数帯域に亘って所望の回路特性が得られる広帯域回路に関し、特に、少ない回路素子数で所望の広帯域回路特性が安定して得られ、且つ容易に回路設計が可能な広帯域回路に関する。
従来技術
コンデンサ、コイル、抵抗などの素子を組み合わせて構成されたパッシブ交流回路においては、これらの素子の特性は、素子の両端にかかる電圧をV、素子を流れる電流をIとしたときに、
V=Z・I
という関係を満たすインピーダンスZを用いて表される。
例えば、周波数f(=ω/2π(πは円周率))の交流電流が静電容量Cのコンデンサを流れる場合、コンデンサのインピーダンスは1/jωCとして表される。同様に、インダクタンスLを有するコイルのインピーダンスは、jωLとして表される。なお、抵抗のインピーダンスは周波数依存性を持たない抵抗値Rとして扱われる。
このように、コンデンサやコイルに交流電流が流れる場合、これらの素子のインピーダンスは交流電流の周波数に比例するωを含む値となり、コンデンサの特性は交流電流の周波数に反比例する値として、コイルの特性は交流電流の周波数に比例する値として表されることとなる。
コンデンサを用いたパッシブ交流回路は、周波数が高くなるほどインピーダンスが下がるという特性(キャパシタンス特性)を利用し、コンデンサを低インピーダンス素子として利用することで、所望の回路特性が得られるように設計されている。
しかし、上記のコンデンサの特性はあくまでも理想的な特性であり、実際のコンデンサは、図1(a)に示すように、コイルや抵抗が寄生素子として直列に接続された等価回路と同様の特性を示す。
コンデンサとコイルとを含んだ帰還回路は、コンデンサのインピーダンスと寄生素子のコイルのリアクタンスとが一致する場合、すなわち1/jωC=jωLとなる場合に共振を起こす。この周波数を共振周波数という。
この場合の周波数とインピーダンスとの関係は図1(b)に示すようになり、寄生素子を含んだ等価回路は共振周波数までは周波数が高くなるにつれてインピーダンスも低くなっていき、共振周波数で最小となったのちは周波数が高くなるにつれてインピーダンスも増大するという特性を示す。
このように、寄生素子を含んだ等価回路は共振周波数よりも高い周波数帯域においては、周波数が高くなるほど理想的なコンデンサの特性との相違が大きくなる。このため、コンデンサを用いたパッシブ交流回路は、共振周波数よりも高い周波数帯域においては回路の特性を損なってしまう。
高周波帯域においても所望の回路特性を得るための従来技術として、特許文献1に開示される「高周波用電子回路及び高周波用電子回路へのチップ三端子コンデンサの実装構造」がある。
特許文献1に開示される発明は、チップ三端子コンデンサを低インピーダンス素子として用いることにより高周波帯域において所望の回路特性を得る発明である。
特開2001−015885号公報
従来技術
コンデンサ、コイル、抵抗などの素子を組み合わせて構成されたパッシブ交流回路においては、これらの素子の特性は、素子の両端にかかる電圧をV、素子を流れる電流をIとしたときに、
V=Z・I
という関係を満たすインピーダンスZを用いて表される。
例えば、周波数f(=ω/2π(πは円周率))の交流電流が静電容量Cのコンデンサを流れる場合、コンデンサのインピーダンスは1/jωCとして表される。同様に、インダクタンスLを有するコイルのインピーダンスは、jωLとして表される。なお、抵抗のインピーダンスは周波数依存性を持たない抵抗値Rとして扱われる。
このように、コンデンサやコイルに交流電流が流れる場合、これらの素子のインピーダンスは交流電流の周波数に比例するωを含む値となり、コンデンサの特性は交流電流の周波数に反比例する値として、コイルの特性は交流電流の周波数に比例する値として表されることとなる。
コンデンサを用いたパッシブ交流回路は、周波数が高くなるほどインピーダンスが下がるという特性(キャパシタンス特性)を利用し、コンデンサを低インピーダンス素子として利用することで、所望の回路特性が得られるように設計されている。
しかし、上記のコンデンサの特性はあくまでも理想的な特性であり、実際のコンデンサは、図1(a)に示すように、コイルや抵抗が寄生素子として直列に接続された等価回路と同様の特性を示す。
コンデンサとコイルとを含んだ帰還回路は、コンデンサのインピーダンスと寄生素子のコイルのリアクタンスとが一致する場合、すなわち1/jωC=jωLとなる場合に共振を起こす。この周波数を共振周波数という。
この場合の周波数とインピーダンスとの関係は図1(b)に示すようになり、寄生素子を含んだ等価回路は共振周波数までは周波数が高くなるにつれてインピーダンスも低くなっていき、共振周波数で最小となったのちは周波数が高くなるにつれてインピーダンスも増大するという特性を示す。
このように、寄生素子を含んだ等価回路は共振周波数よりも高い周波数帯域においては、周波数が高くなるほど理想的なコンデンサの特性との相違が大きくなる。このため、コンデンサを用いたパッシブ交流回路は、共振周波数よりも高い周波数帯域においては回路の特性を損なってしまう。
高周波帯域においても所望の回路特性を得るための従来技術として、特許文献1に開示される「高周波用電子回路及び高周波用電子回路へのチップ三端子コンデンサの実装構造」がある。
特許文献1に開示される発明は、チップ三端子コンデンサを低インピーダンス素子として用いることにより高周波帯域において所望の回路特性を得る発明である。
図2に、特許文献1に開示される発明に適用されるチップ三端子コンデンサによるフィルタの等価回路を示す。また、図3にこの等価回路の透過特性を示す。このフィルタは、20MHz近傍という従来よりも高い周波数において80dBという低い透過率が得られるものの、カットオフ波数以下の周波数帯域においては周波数が高くなるにつれて透過率が低くなり、カットオフ周波数において透過率が最小となり、カットオフ周波数以上の周波数帯域においては周波数が高くなるにつれて透過率が高くなるという性質は、コンデンサを用いた従来のフィルタ回路と何ら変わりがない。
すなわち、カットオフ周波数近傍では所望の回路特性が得られるものの、カットオフ周波数から外れると急激に透過率が上昇するため、カットオフ周波数から外れた周波数帯域においては十分なフィルタリング特性が得られなくなってしまう。
通信用アナログ信号などを処理する回路の場合には、信号波が狭い周波数帯域にのみ存在するため、信号波の近傍の周波数帯域においてのみ所望のフィルタ特性が得られれば良い。このため、上記チップ三端子フィルタを用いたフィルタ回路を適用することが可能である。
一方で、信号波が矩形となるディジタル回路においては、信号波のスペクトルは、基本波の高調波を含む極めて広い帯域に亘って分布している。よって、ディジタル信号波の一部の周波数帯域成分のみを通過させる場合には、阻止したい周波数成分が広帯域のスペクトルとして存在することとなる。このため、高速ディジタル信号を処理する回路に適用されるフィルタ回路は、電磁波を広帯域に亘って通過させる又は阻止するという特性を備えていなければならない。
特許文献1に開示される発明を適用したフィルタ回路では、寄生素子の影響によって所定周波数の近傍でしか所望のフィルタ特性が得られない。このため、電磁波を広帯域に亘って通過させる又は阻止するという特性を実現するためには、図2に示した構成にさらにコイルやコンデンサを組み合わせて高次のフィルタ回路として設計する必要がある。
しかし、実際にはコイルも図4(a)に示すように寄生素子が付加されている。換言すると、実際のコイルは、抵抗が直列に接続され、さらにコンデンサが並列に接続された等価回路と同様の特性を示す。
この等価回路における周波数とインピーダンスとの関係は図4(b)のようになり、周波数が高くなると理想的なコイルが示す特性とは大きく異なってしまう。このため、寄生素子の影響を補償するために付け加えたコイルやコンデンサ自体がいずれも寄生素子の影響を受け、高次の回路になるほど設計パラメータは複雑になる。よって、高次の回路は、各設計パラメータがどのように作用するのかを理論的に体系づけることが困難なるため、回路設計が難しい。
さらに、設計パラメータが複雑に作用する高次の回路の場合は、使用環境の影響を回路が受けやすくなるため、回路特性の安定性や信頼性が損なわれやすくなる。例えば、回路基板上に形成したフィルタ回路が所望の特性を示していたとしても、その回路基板を筐体に配置した場合には所望の特性が得られなくなってしまうことがあり得る。
これらの問題のため、実際の回路設計はカット&トライの手法に頼らざるを得ず、設計をCAD化することは困難である。
このように、コンデンサを用いた従来技術による電子回路においては、広い周波数帯域を対象として回路本来の特性を得るために、複雑な回路設計を強いられるとともに、設計した回路の特性が不安定で信頼性に欠けるという問題があった。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、少ない回路素子数で広い周波数帯域に亘って所望の回路特性が安定して得られ、且つ容易に回路設計が可能な広帯域回路を提供することを目的とする。
なお、広帯域回路の例としては、フィルタ回路(ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ、バンドエリミネーションフィルタ等)や終端回路などを挙げることができる。これらの広帯域回路は、信号処理速度の高速化を鑑みて100MHz〜10GHzを含む周波数帯域において所望の回路特性が得られることが好ましく、ディジタル信号回路において汎用的に使用可能であることが好ましい。
すなわち、カットオフ周波数近傍では所望の回路特性が得られるものの、カットオフ周波数から外れると急激に透過率が上昇するため、カットオフ周波数から外れた周波数帯域においては十分なフィルタリング特性が得られなくなってしまう。
通信用アナログ信号などを処理する回路の場合には、信号波が狭い周波数帯域にのみ存在するため、信号波の近傍の周波数帯域においてのみ所望のフィルタ特性が得られれば良い。このため、上記チップ三端子フィルタを用いたフィルタ回路を適用することが可能である。
一方で、信号波が矩形となるディジタル回路においては、信号波のスペクトルは、基本波の高調波を含む極めて広い帯域に亘って分布している。よって、ディジタル信号波の一部の周波数帯域成分のみを通過させる場合には、阻止したい周波数成分が広帯域のスペクトルとして存在することとなる。このため、高速ディジタル信号を処理する回路に適用されるフィルタ回路は、電磁波を広帯域に亘って通過させる又は阻止するという特性を備えていなければならない。
特許文献1に開示される発明を適用したフィルタ回路では、寄生素子の影響によって所定周波数の近傍でしか所望のフィルタ特性が得られない。このため、電磁波を広帯域に亘って通過させる又は阻止するという特性を実現するためには、図2に示した構成にさらにコイルやコンデンサを組み合わせて高次のフィルタ回路として設計する必要がある。
しかし、実際にはコイルも図4(a)に示すように寄生素子が付加されている。換言すると、実際のコイルは、抵抗が直列に接続され、さらにコンデンサが並列に接続された等価回路と同様の特性を示す。
この等価回路における周波数とインピーダンスとの関係は図4(b)のようになり、周波数が高くなると理想的なコイルが示す特性とは大きく異なってしまう。このため、寄生素子の影響を補償するために付け加えたコイルやコンデンサ自体がいずれも寄生素子の影響を受け、高次の回路になるほど設計パラメータは複雑になる。よって、高次の回路は、各設計パラメータがどのように作用するのかを理論的に体系づけることが困難なるため、回路設計が難しい。
さらに、設計パラメータが複雑に作用する高次の回路の場合は、使用環境の影響を回路が受けやすくなるため、回路特性の安定性や信頼性が損なわれやすくなる。例えば、回路基板上に形成したフィルタ回路が所望の特性を示していたとしても、その回路基板を筐体に配置した場合には所望の特性が得られなくなってしまうことがあり得る。
これらの問題のため、実際の回路設計はカット&トライの手法に頼らざるを得ず、設計をCAD化することは困難である。
このように、コンデンサを用いた従来技術による電子回路においては、広い周波数帯域を対象として回路本来の特性を得るために、複雑な回路設計を強いられるとともに、設計した回路の特性が不安定で信頼性に欠けるという問題があった。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、少ない回路素子数で広い周波数帯域に亘って所望の回路特性が安定して得られ、且つ容易に回路設計が可能な広帯域回路を提供することを目的とする。
なお、広帯域回路の例としては、フィルタ回路(ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタ、バンドエリミネーションフィルタ等)や終端回路などを挙げることができる。これらの広帯域回路は、信号処理速度の高速化を鑑みて100MHz〜10GHzを含む周波数帯域において所望の回路特性が得られることが好ましく、ディジタル信号回路において汎用的に使用可能であることが好ましい。
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、信号伝送用導体と接地導体とこれらの導体の間に介在する誘電体とを有する伝送線路を介して回路素子が接続された広帯域回路であって、一対の導体が対向した四端子の線路構造で、いずれの端子に接続される導電体よりもインピーダンスが低く、線路の長さのおよそ4倍よりも波長が短い電磁波の周波数帯域を対象周波数帯域とする線路素子が伝送線路に挿入され、対象周波数帯域の電磁波に対する低インピーダンス素子として用いられたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、上記本発明の第1の態様に係る広帯域回路において、線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、伝送線路に挿入された線路素子は、信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を対象周波数帯域に含み、線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に、他端が受動素子の入力端子にそれぞれ接続され、他方は両端ともグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。以上の構成においては、信号源と線路素子とが対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子を介して接続されること、又は信号源と線路素子とが抵抗を介して接続されることが好ましい。また、信号源から線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、線路素子によって反射され、線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、線路素子を介して受動素子側に伝搬し、直流成分は、線路素子の一対の導体のうちの信号源及び受動素子に接続された一方を介して受動素子側に透過することが好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第3の態様として、上記第1の態様に係る広帯域回路において、線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、伝送線路に挿入された線路素子は、信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を対象周波数帯域に含み、線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に接続されるとともに他端が電気的に開放され、他方は受動素子側の端が該受動素子の入力端子に接続されるとともに、少なくとも一端が対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子を介してグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第4の態様として、上記第1の態様に係る広帯域回路において、線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、伝送線路に挿入された線路素子は、信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を対象周波数帯域に含み、線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に接続されるとともに他端は電気的に開放され、他方は受動素子側の端が該受動素子の入力端子に接続されるとともに、少なくとも一端が抵抗を介してグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。
上記本発明の第3の態様又は第4の態様においては、信号源から線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該線路素子の一対の導体のうち受動素子の入力端子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して受動素子側に伝搬し、線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該線路素子内に侵入して減衰することが好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第5の態様として、上記第1の態様に係る広帯域回路において、第1及び第2の線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、第1及び第2の線路素子は、信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を各々の対象周波数帯域にそれぞれ含み、第1の線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に接続されるとともに他端が電気的に開放され、他方は信号源と反対側の端が第2の線路素子の一対の導体の一方に接続されるとともに、少なくとも一端が第1の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介してグランドに接続され、第2の線路素子の一対の導体のうち一端が第1の線路素子と接続された一方は、他端が受動素子の入力端子に接続され、他方は両端ともグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。以上の構成においては、第1の線路素子と第2の線路素子とが、第2の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介して接続されることが好ましい。また、信号源から第1の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、第1の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第1の線路素子の一対の導体のうち第2の線路素子の導体と接続された一方とグランドとを含む線路を介して第2の線路素子側に伝搬し、第1の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該線路素子内に侵入して減衰し、第2の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、該第2の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第2の線路素子によって反射され、該第2の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、第2の線路素子を介して受動素子側に伝搬することが好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第6の態様として、上記第1の態様に係る広帯域回路において、第1及び第2の線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、第1及び第2の線路素子は、信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を各々の対象周波数帯域にそれぞれ含み、第1の線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に、他端が第2の線路素子の一対の導体の一方にそれぞれ接続され、他方は両端ともグランドに接続され、第2の線路素子の一対の導体のうち一端が第1の線路素子と接続された一方は、他端が電気的に開放され、他方は受動素子側の端が該受動素子の入力端子に接続されるとともに、少なくとも一端が第2の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介してグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。以上の構成においては、信号源から第1の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、第1の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第1の線路素子によって反射され、第1の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該第1の線路素子を介して第2の線路素子側に伝搬し、第2の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、第2の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第2の線路素子の一対の導体のうち受動素子の入力端子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して受動素子側に伝搬し、第2の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該第2の線路素子内に侵入して減衰することが好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第7の態様として、上記第1の態様に係る広帯域回路において、第1及び第2の線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、第1及び第2の線路素子は、信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を各々の対象周波数帯域にそれぞれ含み、第1の線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に、他端が受動素子の入力端子にそれぞれ接続され、他方は両端ともグランドに接続され、第2の線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に接続されるとともに他端が電気的に開放され、他方は受動素子側の端が該受動素子の入力端子に接続されるとともに、少なくとも一端が該第2の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介してグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を形成するものである。以上の構成のおいては、信号源から第1の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、第1の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第1の線路素子の一対の導体のうち受動素子の入力端子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して受動素子側に伝搬し、第1の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該第1の線路素子内に侵入して減衰し、信号源から第2の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、第2の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第2の線路素子によって反射され、第2の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該第2の線路素子を介して受動素子側に透過することが好ましい。
上記本発明の第6の態様又は第7の態様においては、信号源と第1の線路素子とが、第1の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介して接続されることが好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第8態様として、上記第1の態様に係る広帯域回路において、線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、伝送線路に挿入された線路素子は、信号電磁波のスペクトルを対象周波数帯域に含み、線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に他端が受動素子の入力端子にそれぞれ接続され、他方は少なくとも一端が終端抵抗を介してグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。以上の構成においては、信号源から線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該線路素子の一対の導体のうち信号源及び受動素子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して受動素子側に伝搬し、線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該線路素子を介して受動素子側に伝搬し、直流成分は、線路素子の一対の導体のうち信号源及び受動素子に接続された一方を介して受動素子側に透過することが好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明は第9の態様として、上記第1の態様に係る広帯域回路であって、第1の線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続され、信号源に電力を供給する電力源と第1の線路素子とが第2の線路素子を介して接続された広帯域回路であって、第1及び第2の線路素子は、信号電磁波のスペクトルを対象周波数帯域に含み、第1の線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に他端が受動素子の入力端子にそれぞれ接続され、他方は少なくとも一端が、終端抵抗を介して第2の線路素子に接続され、第2の線路素子の一対の導体の一方は、一端が終端抵抗を介して第1の線路素子に接続され、他端が電力源に接続され、他方は両端ともグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。以上の構成においては、信号源から第1の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、第1の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第1の線路素子の一対の導体のうち信号源及び受動素子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して受動素子側に伝搬し、第1の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該第1の線路素子を介して受動素子側に伝搬し、直流成分は、第1の線路素子の一対の導体のうち信号源及び受動素子に接続された一方を介して受動素子側に透過することが好ましい。
上記本発明の第8又は第9の態様においては、終端抵抗は、該終端抵抗が接続されていない線路素子の導体の該終端抵抗が接続された側の端に接続される信号伝送用導体と等しいインピーダンスを備えることが好ましい。また、信号源と、該信号源に電力を供給する電力源とを接続する電力供給線路に線路素子がさらに配置され、電力供給線路に配置された線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源に、他端が電力源に接続され、他方は両端ともグランドに接続されることが好ましい。
上記本発明の第2〜第9の態様のいずれの構成においても、信号伝送用導体が配線パターンとして、接地導体がグランドプレーン及び該グランドプレーンに接続された配線パターンとして形成されたプリント基板上に、信号源及び受動素子が実装され、該プリント基板に実装された線路素子は、一対の導体それぞれの少なくとも一端が信号伝送用導体及び接地導体の配線パターンに各々接続されて、伝送線路に挿入されることが好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、上記本発明の第1の態様に係る広帯域回路において、線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、伝送線路に挿入された線路素子は、信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を対象周波数帯域に含み、線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に、他端が受動素子の入力端子にそれぞれ接続され、他方は両端ともグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。以上の構成においては、信号源と線路素子とが対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子を介して接続されること、又は信号源と線路素子とが抵抗を介して接続されることが好ましい。また、信号源から線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、線路素子によって反射され、線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、線路素子を介して受動素子側に伝搬し、直流成分は、線路素子の一対の導体のうちの信号源及び受動素子に接続された一方を介して受動素子側に透過することが好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第3の態様として、上記第1の態様に係る広帯域回路において、線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、伝送線路に挿入された線路素子は、信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を対象周波数帯域に含み、線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に接続されるとともに他端が電気的に開放され、他方は受動素子側の端が該受動素子の入力端子に接続されるとともに、少なくとも一端が対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子を介してグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第4の態様として、上記第1の態様に係る広帯域回路において、線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、伝送線路に挿入された線路素子は、信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を対象周波数帯域に含み、線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に接続されるとともに他端は電気的に開放され、他方は受動素子側の端が該受動素子の入力端子に接続されるとともに、少なくとも一端が抵抗を介してグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。
上記本発明の第3の態様又は第4の態様においては、信号源から線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該線路素子の一対の導体のうち受動素子の入力端子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して受動素子側に伝搬し、線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該線路素子内に侵入して減衰することが好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第5の態様として、上記第1の態様に係る広帯域回路において、第1及び第2の線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、第1及び第2の線路素子は、信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を各々の対象周波数帯域にそれぞれ含み、第1の線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に接続されるとともに他端が電気的に開放され、他方は信号源と反対側の端が第2の線路素子の一対の導体の一方に接続されるとともに、少なくとも一端が第1の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介してグランドに接続され、第2の線路素子の一対の導体のうち一端が第1の線路素子と接続された一方は、他端が受動素子の入力端子に接続され、他方は両端ともグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。以上の構成においては、第1の線路素子と第2の線路素子とが、第2の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介して接続されることが好ましい。また、信号源から第1の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、第1の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第1の線路素子の一対の導体のうち第2の線路素子の導体と接続された一方とグランドとを含む線路を介して第2の線路素子側に伝搬し、第1の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該線路素子内に侵入して減衰し、第2の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、該第2の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第2の線路素子によって反射され、該第2の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、第2の線路素子を介して受動素子側に伝搬することが好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第6の態様として、上記第1の態様に係る広帯域回路において、第1及び第2の線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、第1及び第2の線路素子は、信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を各々の対象周波数帯域にそれぞれ含み、第1の線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に、他端が第2の線路素子の一対の導体の一方にそれぞれ接続され、他方は両端ともグランドに接続され、第2の線路素子の一対の導体のうち一端が第1の線路素子と接続された一方は、他端が電気的に開放され、他方は受動素子側の端が該受動素子の入力端子に接続されるとともに、少なくとも一端が第2の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介してグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。以上の構成においては、信号源から第1の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、第1の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第1の線路素子によって反射され、第1の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該第1の線路素子を介して第2の線路素子側に伝搬し、第2の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、第2の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第2の線路素子の一対の導体のうち受動素子の入力端子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して受動素子側に伝搬し、第2の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該第2の線路素子内に侵入して減衰することが好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第7の態様として、上記第1の態様に係る広帯域回路において、第1及び第2の線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、第1及び第2の線路素子は、信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を各々の対象周波数帯域にそれぞれ含み、第1の線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に、他端が受動素子の入力端子にそれぞれ接続され、他方は両端ともグランドに接続され、第2の線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に接続されるとともに他端が電気的に開放され、他方は受動素子側の端が該受動素子の入力端子に接続されるとともに、少なくとも一端が該第2の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介してグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を形成するものである。以上の構成のおいては、信号源から第1の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、第1の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第1の線路素子の一対の導体のうち受動素子の入力端子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して受動素子側に伝搬し、第1の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該第1の線路素子内に侵入して減衰し、信号源から第2の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、第2の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第2の線路素子によって反射され、第2の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該第2の線路素子を介して受動素子側に透過することが好ましい。
上記本発明の第6の態様又は第7の態様においては、信号源と第1の線路素子とが、第1の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介して接続されることが好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明は、第8態様として、上記第1の態様に係る広帯域回路において、線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、伝送線路に挿入された線路素子は、信号電磁波のスペクトルを対象周波数帯域に含み、線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に他端が受動素子の入力端子にそれぞれ接続され、他方は少なくとも一端が終端抵抗を介してグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。以上の構成においては、信号源から線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該線路素子の一対の導体のうち信号源及び受動素子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して受動素子側に伝搬し、線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該線路素子を介して受動素子側に伝搬し、直流成分は、線路素子の一対の導体のうち信号源及び受動素子に接続された一方を介して受動素子側に透過することが好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明は第9の態様として、上記第1の態様に係る広帯域回路であって、第1の線路素子が挿入された伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続され、信号源に電力を供給する電力源と第1の線路素子とが第2の線路素子を介して接続された広帯域回路であって、第1及び第2の線路素子は、信号電磁波のスペクトルを対象周波数帯域に含み、第1の線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に他端が受動素子の入力端子にそれぞれ接続され、他方は少なくとも一端が、終端抵抗を介して第2の線路素子に接続され、第2の線路素子の一対の導体の一方は、一端が終端抵抗を介して第1の線路素子に接続され、他端が電力源に接続され、他方は両端ともグランドに接続されたことを特徴とする広帯域回路を提供するものである。以上の構成においては、信号源から第1の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、第1の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第1の線路素子の一対の導体のうち信号源及び受動素子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して受動素子側に伝搬し、第1の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該第1の線路素子を介して受動素子側に伝搬し、直流成分は、第1の線路素子の一対の導体のうち信号源及び受動素子に接続された一方を介して受動素子側に透過することが好ましい。
上記本発明の第8又は第9の態様においては、終端抵抗は、該終端抵抗が接続されていない線路素子の導体の該終端抵抗が接続された側の端に接続される信号伝送用導体と等しいインピーダンスを備えることが好ましい。また、信号源と、該信号源に電力を供給する電力源とを接続する電力供給線路に線路素子がさらに配置され、電力供給線路に配置された線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源に、他端が電力源に接続され、他方は両端ともグランドに接続されることが好ましい。
上記本発明の第2〜第9の態様のいずれの構成においても、信号伝送用導体が配線パターンとして、接地導体がグランドプレーン及び該グランドプレーンに接続された配線パターンとして形成されたプリント基板上に、信号源及び受動素子が実装され、該プリント基板に実装された線路素子は、一対の導体それぞれの少なくとも一端が信号伝送用導体及び接地導体の配線パターンに各々接続されて、伝送線路に挿入されることが好ましい。
図1は、寄生素子を含んだコンデンサの等価回路及びその周波数特性を示す図である。
図2は、三端子フィルタ回路の構成を示す図である。
図3は、三端子フィルタ回路の透過特性を示す図である。
図4は、寄生素子を含んだコイルの等価回路及びその周波数特性を示す図である。
図5は、線路構造の一例を示す図である。
図6は、線路構造素子のインピーダンスと周波数との関係を示す図である。
図7は、本発明を好適に実施した第1の実施形態に係るLPF回路の構成を示す図である。
図8は、LILCの構造の一例を示す図である。
図9は、第1の実施形態に係るLPF回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図10は、第1の実施形態に係るLPF回路中をパルス信号波が伝わる過程を説明するための図である。
図11は、第1の実施形態に係るLPF回路の透過特性を示す図である。
図12は、本発明を好適に実施した第2の実施形態に係るLPF回路の構成を示す図である。
図13は、第2の実施形態に係るLPF回路の透過特性を示す図である。
図14は、本発明を好適に実施した第3の実施形態に係るLPF回路の構成を示す図である。
図15は、本発明を好適に実施した第4の実施形態に係るHPF回路の構成を示す図である。
図16は、第4の実施形態に係るHPF回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図17は、第4の実施形態に係るHPF回路中をパルス信号波が伝わる過程を説明するための図である。
図18は、第4の実施形態に係るHPF回路の透過特性を示す図である。
図19は、本発明を好適に実施した第5の実施形態に係るHPF回路の構成を示す図である。
図20は、第5の実施形態に係るHPF回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図21は、本発明を好適に実施した第6の実施形態に係るHPF回路の構成を示す図である。
図22は、第6の実施形態に係るHPF回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図23は、本発明を好適に実施した第7の実施形態に係るBPF回路の構成を示す図である。
図24は、第7の実施形態に係るBPF回路の動作を説明するための図である。(a)は、パルス信号波のスペクトルを示す。(b)は、HPFの透過特性を示す。(c)は、LPFの透過特性を示す。(d)は、BPF回路の透過特性を示す。
図25は、本発明を好適に実施した第8の実施形態に係るBEF回路の構成を示す図である。
図26は、第8の実施形態に係るBEF回路の動作を説明するための図である。(a)は、パルス信号波のスペクトルを示す。(b)は、HPFの透過特性を示す。(c)は、LPFの透過特性を示す。(d)は、BEF回路の透過特性を示す。
図27は、本発明を好適に実施した第9の実施形態に係る高周波終端回路の構成を示す図である。
図28は、第9の実施形態に係る高周波終端回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図29は、第9の実施形態に係る高周波回路中をパルス信号波が伝わる過程を説明するための図である。
図30は、本発明を好適に実施した第10の実施形態に係る高周波終端回路の構成を示す図である。
図31は、第10の実施形態に係る高周波終端回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図32は、本発明を好適に実施した第11の実施形態に係る高周波終端回路の構成を示す図である。
図33は、第11の実施形態に係る高周波終端回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図34は、本発明を好適に実施した第12の実施形態に係る高周波終端回路の構成を示す図である。
図35は、第12の実施形態に係る高周波終端回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図36は、第12の実施形態に係る高周波終端回路中をパルス信号波が伝わる過程を説明するための図である。
図37は、本発明を好適に実施した第13の実施形態に係る高周波終端回路の構成を示す図である。
図38は、第13の実施形態に係る高周波終端回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図39は、本発明を好適に実施した第14の実施形態に係る高周波終端回路の構成を示す図である。
図40は、第14の実施形態に係る高周波終端回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
符号1a、2a、4a及び5aは高周波信号を表す。符号1b、2b、4b及び5bは低周波信号を表す。符号1c、4c及び5cは、直流信号を表す。符号10a、10b、10c、10d、20a、20c、20d、30a、30b、30c、30d、40a、40b、40c、40d、50a、50b、50c及び50dは配線パターンを表す。符号11、21、31、41及び51は、ドライバを表す。符号12、23、24、322及び332は、コイルを表す。符号13、22、42、46、47、52、56、57、321及び331は、LILCを表す。符号13a、13b、13c、13d、22a、22b、22c、22d、42a、42b、42c、42d、46a、46b、46c、46d、52a、52b、52c、52d、56a、56b、56c、56d、57a、57b、57c、57d、321a、321b、321c、321d、322a、322b、322c及び322dは、LILCの端子を表す。符号14、25、35、45及び55は、レシーバを表す。符号18a、18b、28a、28b、38a、38b、38c、38d、48a、48b、58a及び58bは、配線を表す。符号19、43、44、53及び54は、抵抗を表す。符号81a及び81bは、接地導体を表す。符号82は、信号伝送用導体を表す。符号83及び133は、誘電体を表す。符号111、112、211、212、311、312、411及び412は、インバータバッファを表す。符号111a、111b、112a、112b、211a、211b、212a、212b、311a、311b、312a、312b、411a、411b、412a、412b、511a、511b、512a及び512bは、トランジスタを表す。符号130は、封止材を表す。符号131は、第1の導体を表す。符号132は、第2の導体を表す。
図2は、三端子フィルタ回路の構成を示す図である。
図3は、三端子フィルタ回路の透過特性を示す図である。
図4は、寄生素子を含んだコイルの等価回路及びその周波数特性を示す図である。
図5は、線路構造の一例を示す図である。
図6は、線路構造素子のインピーダンスと周波数との関係を示す図である。
図7は、本発明を好適に実施した第1の実施形態に係るLPF回路の構成を示す図である。
図8は、LILCの構造の一例を示す図である。
図9は、第1の実施形態に係るLPF回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図10は、第1の実施形態に係るLPF回路中をパルス信号波が伝わる過程を説明するための図である。
図11は、第1の実施形態に係るLPF回路の透過特性を示す図である。
図12は、本発明を好適に実施した第2の実施形態に係るLPF回路の構成を示す図である。
図13は、第2の実施形態に係るLPF回路の透過特性を示す図である。
図14は、本発明を好適に実施した第3の実施形態に係るLPF回路の構成を示す図である。
図15は、本発明を好適に実施した第4の実施形態に係るHPF回路の構成を示す図である。
図16は、第4の実施形態に係るHPF回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図17は、第4の実施形態に係るHPF回路中をパルス信号波が伝わる過程を説明するための図である。
図18は、第4の実施形態に係るHPF回路の透過特性を示す図である。
図19は、本発明を好適に実施した第5の実施形態に係るHPF回路の構成を示す図である。
図20は、第5の実施形態に係るHPF回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図21は、本発明を好適に実施した第6の実施形態に係るHPF回路の構成を示す図である。
図22は、第6の実施形態に係るHPF回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図23は、本発明を好適に実施した第7の実施形態に係るBPF回路の構成を示す図である。
図24は、第7の実施形態に係るBPF回路の動作を説明するための図である。(a)は、パルス信号波のスペクトルを示す。(b)は、HPFの透過特性を示す。(c)は、LPFの透過特性を示す。(d)は、BPF回路の透過特性を示す。
図25は、本発明を好適に実施した第8の実施形態に係るBEF回路の構成を示す図である。
図26は、第8の実施形態に係るBEF回路の動作を説明するための図である。(a)は、パルス信号波のスペクトルを示す。(b)は、HPFの透過特性を示す。(c)は、LPFの透過特性を示す。(d)は、BEF回路の透過特性を示す。
図27は、本発明を好適に実施した第9の実施形態に係る高周波終端回路の構成を示す図である。
図28は、第9の実施形態に係る高周波終端回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図29は、第9の実施形態に係る高周波回路中をパルス信号波が伝わる過程を説明するための図である。
図30は、本発明を好適に実施した第10の実施形態に係る高周波終端回路の構成を示す図である。
図31は、第10の実施形態に係る高周波終端回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図32は、本発明を好適に実施した第11の実施形態に係る高周波終端回路の構成を示す図である。
図33は、第11の実施形態に係る高周波終端回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図34は、本発明を好適に実施した第12の実施形態に係る高周波終端回路の構成を示す図である。
図35は、第12の実施形態に係る高周波終端回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図36は、第12の実施形態に係る高周波終端回路中をパルス信号波が伝わる過程を説明するための図である。
図37は、本発明を好適に実施した第13の実施形態に係る高周波終端回路の構成を示す図である。
図38は、第13の実施形態に係る高周波終端回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
図39は、本発明を好適に実施した第14の実施形態に係る高周波終端回路の構成を示す図である。
図40は、第14の実施形態に係る高周波終端回路に適用されるLILCの実装例を示す図である。
符号1a、2a、4a及び5aは高周波信号を表す。符号1b、2b、4b及び5bは低周波信号を表す。符号1c、4c及び5cは、直流信号を表す。符号10a、10b、10c、10d、20a、20c、20d、30a、30b、30c、30d、40a、40b、40c、40d、50a、50b、50c及び50dは配線パターンを表す。符号11、21、31、41及び51は、ドライバを表す。符号12、23、24、322及び332は、コイルを表す。符号13、22、42、46、47、52、56、57、321及び331は、LILCを表す。符号13a、13b、13c、13d、22a、22b、22c、22d、42a、42b、42c、42d、46a、46b、46c、46d、52a、52b、52c、52d、56a、56b、56c、56d、57a、57b、57c、57d、321a、321b、321c、321d、322a、322b、322c及び322dは、LILCの端子を表す。符号14、25、35、45及び55は、レシーバを表す。符号18a、18b、28a、28b、38a、38b、38c、38d、48a、48b、58a及び58bは、配線を表す。符号19、43、44、53及び54は、抵抗を表す。符号81a及び81bは、接地導体を表す。符号82は、信号伝送用導体を表す。符号83及び133は、誘電体を表す。符号111、112、211、212、311、312、411及び412は、インバータバッファを表す。符号111a、111b、112a、112b、211a、211b、212a、212b、311a、311b、312a、312b、411a、411b、412a、412b、511a、511b、512a及び512bは、トランジスタを表す。符号130は、封止材を表す。符号131は、第1の導体を表す。符号132は、第2の導体を表す。
〔発明の原理〕
本発明は、四端子の線路構造で低インピーダンスの素子(Low Impedance Line structure Component;以下、LILC)をコンデンサの代わりに用いて電子回路を形成することにより、広い周波数帯域に亘って所望の回路特性が得られる広帯域回路を従来よりも少数の素子で実現するものである。
線路構造の一例として図5に示すストリップ構造の線路を考える。この線路においては、直流電流が接地導体81a,81b及び信号伝送用導体82を伝搬し、電磁波が誘電体83を伝搬する。説明の簡略化のため線路の抵抗及び損失を無視できるとすると、このようなストリップ線路の特性インピーダンスZ0は、式(1)で表される。
この場合には線路の特性インピーダンスは、(L/C)1/2で算出されることからキャパシタンス成分及びインダクタンス成分のみで定まる値となり、周波数に対しては一定値であるため、周波数による特性の変化が原理的には生じない。
よって、線路構造の素子のインピーダンスを低くして(すなわち、線路構造の素子をLILCとして)、これを低インピーダンス素子として利用すれば、周波数に関わらず所望の回路特性を示す電子回路を実現することが可能となる。
なお、線路構造の素子のインピーダンスに関係するパラメータとしてはL(インダクタンス)、C(キャパシンタンス)、R(レジスタンス)及びG(コンダクタンス)があるが、LやRは増加すると論理回路スイッチング時の電源電圧変動が増大するなどの問題が生じるため、Cを調整することによってインピーダンスを低くする必要がある。
すなわち、式(1)からも明らかなように、単位長さ当たりのCを大きくする必要がある。
また、素子を流れる電磁波の波長と比較して素子自体の線路長が十分長くなければ、素子を線路構造であると見なすことはできない。このため、LILCの線路長はこれを流れる電磁波の波長と比較して十分に長くする必要がある。具体的には、電磁波成分が通過する部分の実質的な長さ(=実効線路長)が素子を通過する電磁波の波長の1/4以上であることが好ましい。
一方、反射係数(S11)と透過係数(S21)との間には、式(2)の関係がある。
損失を含む線路の透過係数(S21)は、式(3)で求められる。なお、透過特性の逆数は挿入損と呼ばれる。式(3)中のxは、線路長である。αは、伝搬定数を構成する減衰定数であり、式(4)で表される。
さらに、式(4)中のコンダクタンスGは、コンデンサで使用されるtanδを使用すると式(5)で表される。なお、式(5)において、Sは誘電体の面積、tは誘電体の厚さである。
電子回路に使用される場合において、線路素子は低インピーダンスではあるが有限のインピーダンス値を有するため、電磁波は線路素子の内部に入り込む。しかし、式(3)、(4)及び(5)からわかるように、線路素子の内部に入り込んだ電磁波は、指数的に減衰しほとんど外に出ない。すなわち、LILCに適当な損失を加えることによりLILCに関する終端は考えなくても良いことになる。なお、挿入損は、インピーダンス不整合分と、素子の長さ、周波数、tanδの指数倍との積となることが分かる。
このように、低インピーダンス素子として電子回路に適用するLILCは、
▲1▼素子を伝搬する電磁波からみて線路と見なすことができるだけの長さを備える。(電磁波成分が通過する部分の実質的な長さ(=実効線路長)が対象周波数の電磁波の波長の1/4以上であることが好ましい。)
▲2▼電子回路の回路特性が所望の特性となるのに十分な低さのインピーダンスを示す。(単位長さ当たりのキャパシタンスCが大きいことが好ましい。)
▲3▼誘電体損失をやや大きくするとともに、線路の長さを必要に応じて長くする。
という条件を満たす線路構造の素子である。
線路素子においては、周波数とインピーダンスとの関係は図6に示すようになり、素子を線路と見なすことができる周波数帯域内ではインピーダンスは寄生素子の影響を受けてインピーダンスが増加することはない。
なお、ここではストリップ構造の線路の場合を例に説明を行ったがLILCの構造はストリップ構造に限定されることはなく、マイクロストリップ型の線路構造や同軸円筒型の線路構造などであっても良い。
以下、上述したLILCを低インピーダンス素子として適用した広帯域回路の好適な実施形態について説明する。
〔第1の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。図7に本発明を適用したローパスフィルタ回路(LPF回路)の構成を示す。この回路はドライバ11、LILC13及びレシーバ14を有する。
ドライバ11は、インバータバッファ111とインバータバッファ112とを有し、直列に接続されたインバータバッファ111とインバータバッファ112とがバッファ回路を構成している。インバータバッファ111はトランジスタ111a及び111bを有し、インバータバッファ112はトランジスタ112a及び112bを有する。ハイサイドのトランジスタ111a及び112aはPチャネルであり、ゲート電圧がハイレベルの時にオフとなる。また、ローサイドのトランジスタ111b及び112bは、Nチャネルであり、ゲート電圧がハイレベルの時にオンとなる。トランジスタ111a及び112aのドレイン端子には、不図示の電源からVDDが供給されている。トランジスタ111a及び111bは、不図示の制御部がインバータバッファ111の入力端子に入力するゲート電圧に応じてVDDをスイッチングして信号波を出力し、インバータバッファ112の入力端子に入力する。トランジスタ112a及び112bはゲート端子に入力された信号波に応じてVDDをスイッチングして信号波を生成し、この信号波が信号電磁波としてドライバ11から出力される。LILC13は一対の導体が誘電体を挟んで対向した四端子の線路構造の素子であり、特性インピーダンスZ0は、ドライバ11とLILC13とを接続する配線18aの特性インピーダンスZ1と比較して極めて小さく(Z0/Z1≒0)設定されている。LILC13の端子13aは、ドライバ11の出力端子に、端子13bはレシーバ14の入力端子と接続されている。また、端子13c及び端子13dは、グランドに接続されている。レシーバ14は、入力端子(ゲート端子)に入力された信号を電圧に変換するトランジスタである。
図8に、本実施形態に係るLPF回路に適用されるLILC13の構造例を示す。なお、(a)と(b)とでは視点を変えて同一の構成を示している。第1の導体131の周囲を取り囲むように誘電体133が配置されている。第1の導体131と第2の導体132とは誘電体133を介して対向するように設置され、封止材130によってその状態のまま固定されている。
第1の電極131には端子13a及び13bが、第2の電極132には端子13c及び端子13dがそれぞれ設けられており、各端子はLILC13の底面側に延びて封止材130を貫通し、外部に露出(又は突出)している。封止材130から露出(又は突出)した各端子を信号伝送用導体及び接地導体に接続することにより、LILC13を伝送線路に挿入できる。
以下、全ての実施形態において上記構造のLILCを適用する場合を例に説明するが、上記構造はあくまでも一例であり、LILCの構造を限定するものではない。
図9に、プリント基板上の配線パターンにLILC13を配置した状態を示す。ここでは、LILC13の状態を理解しやすくするために封止材130は図中には示していない(他の実施形態も同様)。なお、LILC13の両端の状態を図中に表すために(a)と(b)とでは視点を変えて同一の構成を示している。端子13aは、ドライバ11の出力端子に接続された配線パターン10aに接続されている。端子13bは、レシーバ14のゲート端子に接続された配線パターン10bにされている。端子13c及び端子13dは、各々グランドに接続された配線パターン10c及び配線パターン10dにそれぞれ接続されている。
LPF回路の動作について説明する。図10に、ドライバ11が出力したパルス信号波がLPF回路を伝わる状態を示す。(a)に示すように、ドライバ11が出力したパルス信号波は、配線18aとグランドとを含む線路を介してLILC13に到達する。LILC13に達したパルス信号波のうち周波数が高くLILC13を線路と見なすことができる電磁波成分(高周波信号1a)は、配線18aのインピーダンスとLILC13のインピーダンスとの不整合の影響を受ける。ここで、Z0/Z1≒0であるため高周波信号1aはLILC13によって反射される。
一方、周波数が低い電磁波成分(低周波信号1b)は、LILC13を線路と見なすことができないため、配線18aとLILC13とのインピーダンス不整合の影響を受けない。よって、低周波信号1bは反射されることなくLILC13内に侵入し、LILCの13の誘電体の部分を通ってレシーバ14側に伝搬する。また、直流信号1cは、LILC13の導体の部分を通ってレシーバ14側に透過する。
(c)に示すように、レシーバ14側に伝搬した低周波信号1b及び透過した直流信号1cはレシーバ14のゲート端子に入り、レシーバ14を作動させる。これにより、レシーバ14はドライバ11が生成したパルス信号波のうち低周波信号及び直流信号のみに応じて動作する。
図11に、このLPF回路の透過特性図を示す。縦軸は透過率(dB)横軸は入射波の周波数(Hz)である。本実施形態においては、周波数によらず一定のインピーダンスが得られ、また誘電体損失がやや大きいLILCを用いてLPF回路を形成しているため、カットオフ周波数以上の周波数帯域においても回路が寄生素子の影響を受けて透過特性が劣化してしまうことがない。
よって、従来のLPF回路とは異なり、本実施形態に係るLPF回路は、カットオフ周波数よりも高い周波数の電磁波に対しても透過率が低く、理想的なLPF回路に近い回路特性を示す。
なお、カットオフ周波数は、LILC13の線路の部分の実質的な長さ(有効線路長)を変更することで任意の値に設定することが可能であり、アスペクト比(LILC13の線路の部分の幅と一対の導体の間隔との比)と絶縁体の膜厚とが固定の場合には、LILC13の線路の部分の長さとカットオフ周波数とは反比例の関係となる。これはLPF回路に限定されることではなく、全て実施形態に関して同様である。
このように、本実施形態に係るLPF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。図12に本発明を適用したローパスフィルタ回路(LPF回路)の構成を示す。この回路はドライバ11とLILC13との間にコイル12をさらに有する他は、第1の実施形態と同様である。コイル12は、ローパスフィルタの特性を向上させるために配置された素子である。LPF回路の動作については、第1の実施形態と同様である。
図13に、このLPF回路の透過特性図を示す。縦軸は透過率(dB)横軸は入射波の周波数(Hz)である。ドライバ11とLILC13との間に配置されている(換言すると、配線18aに挿入されている)コイル12は、低周波数帯域においてはインダクタンス特性を示すため、コイル12のインダクタンス特性とLILC13のキャパシタンス特性とが相乗して作用し、所定周波数を超えると急激に透過率が小さくなる。
また、高周波帯域においてコイル12はキャパシタンス特性を示すが、LILC13の低インピーダンス特性は高周波帯域においても変化せず、また誘電体損失をやや大きくしているので、カットオフ周波数以上の周波数帯域においてもLPF回路の透過率は大きくならない。
よって、第1の実施形態に係るLPF回路と同様に、本実施形態に係るLPF回路は、共振周波数よりも高い周波数の電磁波に対しても透過率が低く、理想的なLPF回路に近い回路特性を示す。
このように、本実施形態に係るLPF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
〔第3の実施形態〕
本発明を好適に実施した第3の実施形態について説明する。図14に本発明を適用したローパスフィルタ回路(LPF回路)の構成を示す。この回路はドライバ11とLILC13との間に抵抗19をさらに有する他は、第1の実施形態と同様である。コイル19は、ローパスフィルタの特性を向上させるために配置された素子である。LPF回路の動作については、第1の実施形態と同様である。
ドライバ11とLILC13との間に配置されている(換言すると配線18aに挿入されている)抵抗19は、低周波数帯域においては寄生素子の影響を受けず、周波数に関わらずインピーダンスが一定であるため、抵抗値が低ければコイルと同様の特性を示す。よって、抵抗19の抵抗値が低い場合には、第2の実施形態と同様に低周波数帯域においては抵抗19の特性とLILC13のキャパシタンス特性とが相乗して作用し、所定周波数を超えると急激に透過率が小さくなる。
また、LILC13のキャパシタンス特性は高周波帯域においても変化しないし、また誘電体損失をやや大きくしているので、カットオフ周波数以上の周波数帯域においてもLPF回路の透過率は大きくならない。
よって、第1の実施形態に係るLPF回路と同様に、本実施形態に係るLPF回路は、共振周波数よりも高い周波数の電磁波に対しても透過率が低く、理想的なLPF回路に近い回路特性を示す。
このように、本実施形態に係るLPF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
〔第4の実施形態〕
本発明を好適に実施した第4の実施形態について説明する。図15に本発明を適用したハイパスフィルタ回路(HPF回路)の構成を示す。
このHPF回路はドライバ21、LILC22、コイル23及びレシーバ25を有する。ドライバ21はトランジスタ211及びトランジスタ212からなる。
ドライバ21は、第1の実施形態のドライバ11と同様の構成であり、出力端子から信号電磁波を出力する。LILC22は一対の導体が誘電体を挟んで対向した四端子の線路構造の素子であり、その特性インピーダンスZ0は、ドライバ21とLILC22とを接続する配線28aの特性インピーダンスZ2と比較して極めて小さく(Z0/Z2≒0)設定されている。LILC22の端子22aは、ドライバ21の出力端子に接続されており、端子22bは開放されている。また、端子22cはコイル23を介してグランドに接続されている。端子22dは、レシーバ25の入力端子に接続されている。コイル23は、ハイパスフィルタの特性を向上させるために配置された素子である。レシーバ25は、入力端子(ゲート端子)に入力された信号を電圧に変換するトランジスタである。
図16に、プリント基板上の配線パターンにLILC22を配置した状態を示す。なお、LILC22の両端の接続状態を図中に表すために(a)と(b)とでは視点を変えて、2方向から見た状態を図示している。端子22aは、ドライバ21の出力端子と接続された配線パターン20aに接続されている。端子22bは、いずれの配線パターンにも接続されずに開放されている。端子22cはコイル23を介してグランドに接続された配線パターン20cに接続されている。端子22dは、レシーバ25のゲート端子と接続された配線パターン20dと接続されている。
HPF回路の動作について説明する。図17に、ドライバ21が出力したパルス信号波がLPF回路を伝わる状態を示す。(a)に示すように、ドライバ21が出力したパルス信号波は、配線28aとグランドとを含む線路を介してLILC22到達する。なお、本実施形態においては、端子22bが開放されているため、パルス信号の直流成分(直流信号)は伝達しない。LILC22に到達したパルス信号波のうち周波数が高くLILC22を線路と見なすことができる電磁波成分(高周波信号2a)は、配線28aのインピーダンスとLILC22のインピーダンスとの不整合の影響を受ける。ここでは、Z0/Z2≒0であるため高周波信号はLILC22の内部に侵入せず、(b)に示すようにLILC22の導体のうちコイル23を介してグランドに接続された一方とグランドとの間を通ってレシーバ25のゲート端子に到達する。すなわち、高周波信号は、LILC22の導体のうち端子22c及び22dを備える一方とグランドプレーンとを含む線路を介して、LILC22を迂回してレシーバ25側に進行する。
一方、LILC22に到達したパルス信号波のうち周波数が低い電磁波成分(低周波信号2b)は、配線28aのインピーダンスとLILC22のインピーダンスとの不整合の影響を受けることなくLILC22内部の誘電体に侵入するが、端子22bが電気的に開放されているためレシーバ25には到達せず、誘電体損失をやや大きくしているのでLILC22内で減衰する。
(c)に示すように、レシーバ25のゲート端子に入った高周波信号がレシーバ25を作動させる。これにより、レシーバ25はドライバ21が生成したパルス信号波のうち、高周波信号のみに応じて動作する。
図18に、このHPF回路の透過特性図を示す。縦軸は透過率(dB)横軸は入射波の周波数(Hz)である。LILC22の端子22cとグランドとを接続しているコイル23は、低周波数帯域においてはインダクタンス特性を示すため、コイル23のインダクタンス特性とLILC22のキャパシタンス特性とが相乗して作用し、所定周波数を超えると急激に透過率が大きくなる。また、従来のHPF回路とは異なり、本実施形態に係るHPF回路は、カットオフ周波数よりも高い周波数帯域においても電磁波の透過率が高く保たれ、理想的なHPF回路に近い回路特性を示す。
このように、本実施形態に係るHPF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
〔第5の実施形態〕
本発明を好適に実施した第5の実施形態について説明する。図19に本発明を適用したハイパスフィルタ回路(HPF回路)の構成を示す。
このHPF回路は、端子22cが開放されており、端子22dがコイル24を介してグランドにも接続されている他は第4の実施形態と同様である。
図20に、プリント基板上の配線パターンにLILC22を配置した状態を示す。端子22aは、ドライバ21の出力端子と接続された配線パターン20aに接続されている。端子22b及び端子22cの各々は、配線パターンには接続されずに開放されている。端子22dは、レシーバ25のゲート端子とコイル24を介してグランドとに接続された配線パターン20dと接続されている。
HPF回路の動作は第4の実施形態と同様である。また、透過特性は第4の実施形態と同様であり、LILC22の端子22dをグランドに接続しているコイル24は、低周波数帯域においてはインダクタンス特性を示すため、コイル24のインダクタンス特性とLILC22のキャパシタンス特性とが相乗して作用し、所定周波数を超えると急激に透過率が大きくなる。さらに、カットオフ周波数よりも高い周波数帯域においても電磁波の透過率が高く保たれ、理想的なHPF回路に近い回路特性を示す。
このように、本実施形態に係るHPF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
〔第6の実施形態〕
本発明を好適に実施した第5の実施形態について説明する。図21に本発明を適用したハイパスフィルタ回路(HPF回路)の構成を示す。
このHPF回路は、端子22dがコイル24を介してグランドにも接続されている他は第4の実施形態と同様である。
図22に、プリント基板上の配線パターンにLILC22を配置した状態を示す。端子22aは、ドライバ21の出力端子と接続された配線パターン20aに接続されている。端子22bは、配線パターンには接続されずに開放されている。端子22cは、コイル23を介してグランドに接続された配線パターン20cに接続されている。端子22dは、レシーバ25のゲート端子とグランドとに接続された配線パターン20dに接続されている。
HPF回路の動作は第4の実施形態と同様である。また、透過特性についても第4の実施形態と同様であるが、LILC22にはコイルが二つ(コイル23及び24)接続されているため、低周波帯域におけるフィルタ特性を、理想的なHPF回路の回路特性に近づけることが可能となる。
このように、本実施形態に係るHPF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
なお、第4〜第6の実施形態においては、LILC22の端子22にコイル23やコイル24を接続した構成としているが、コイルの代わりに抵抗を用いても同様の効果が得られる。また、コイルと抵抗とを組み合わせて用いても良い。
〔第7の実施形態〕
上記第1〜第3の実施形態では本発明を適用したLPF回路について、第4〜第6の実施形態では本発明を適用したHPF回路についてそれぞれ説明したが、これらを組み合わせることにより、バンドパスフィルタ回路やバンドエリミネーションフィルタ回路に本発明を適用することが可能となる。
本発明を好適に実施した第7の実施形態について説明する。図23に、本発明を適用したバンドパスフィルタ回路(BPF回路)の構成を示す。
このBPF回路は、ドライバ31、HPF32、LPF33及びレシーバ34が直列に接続された回路である。
ドライバ31は、第1の実施形態のドライバ11と同様であり、出力端子から信号電磁波を出力する。HPF32は、第4の実施形態に係るHPF回路と同様の構成であり、LILC321とコイル322とを有する。LILC321は一対の導体が誘電体を挟んで対向した四端子の線路構造の素子であり、その特性インピーダンスZ0aは、ドライバ31とLILC321とを接続する配線38aの特性インピーダンスZ3aと比較して極めて小さく(Z0a/Z3a≒0)設定されている。LILC321の端子321aは、ドライバ31の出力端子に接続されており、端子321bは開放されている。また、端子321cはコイル322を介してグランドに接続されている。端子321dは、LPF33の入力端子に接続されている。LILC321は、第4の実施形態と同様にしてプリント基板上の配線パターンに配置できる。コイル322は、ハイパスフィルタの特性を向上させるために配置された素子である。
LPF33は、第2の実施形態に係るLPF回路と同様の構成であり、LILC331とコイル332とを有する。LILC331は一対の導体が誘電体を挟んで対向した四端子の線路構造の素子であり、特性インピーダンスZ0bは、HPF32とLILC331とを接続する配線38bの特性インピーダンスZ1bと比較して極めて小さく(Z0b/Z1b≒0)設定されている。LILC331の端子331aは、HPF32の出力端子であるLILC321dに、端子331bはレシーバ34の入力端子に接続されている。また、端子331c及び端子331dは、グランドに接続されている。LILC331は、第2の実施形態と同様にしてプリント基板上の配線パターンに配置できる。コイル332は、ハイパスフィルタの特性を向上させるために配置された素子である。
レシーバ34は、入力端子(ゲート端子)に入力された信号を電圧に変換するトランジスタである。
BPF回路の動作について説明する。図24(a)〜(c)に示すように、ドライバ31が出力するパルス信号波のスペクトルがfmin以上fmax以下の周波数帯域に亘るものとし、HPF32のカットオフ周波数をf1、LPF33のカットオフ周波数をf2とする。
ドライバ31が出力したパルス信号波は、配線38aとグランドとを含む線路を介してHPF32に到達する。HPF32に到達した信号電磁波のうちf1以上の周波数成分はHPF32を通過し、f1未満の周波数成分はHPF32によって阻止される。
HPF32を通過した周波数成分は、配線38bとグランドとを含む線路を介してLPF33に到達する。LPF33に到達した周波数成分のうちf2以上の周波数成分はLPF33によって阻止され、f2未満の周波数成分はLPF33を通過する。
LPF33を通過した周波数成分は、配線38cとグランドとを線路としてレシーバ34に到達しゲート端子に入り、レシーバ34を作動させる。(d)に示すように、ドライバ31が出力したパルス信号波のうちf1以上f2未満の周波数成分のみがレシーバ34に到達する。
このように、本発明を適用したLPFとHPFとを直列に接続することで、本発明をBPF回路に適用することが可能となる。なお、HPFのカットオフ周波数がLPFのカットオフ周波数よりも高い場合は、全ての周波数成分がHPF及びLPFによって阻止されてしまい、レシーバに到達する周波数成分は存在しなくなるため、HPFのカットオフ周波数をLPFのカットオフ周波数よりも低くする必要がある。
なお、ここでは第2の実施形態のLPF回路と同様の構成のLPF、及び第4の実施形態のHPF回路と同様の構成のHPFとを用いてBPF回路を形成したが、他の実施形態と同様の構成のLPF及びHPFを組み合わせても、本発明をBPF回路に適用することが可能である。
このように、本実施形態に係るBPF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
〔第8の実施形態〕
本発明を好適に実施した第8の実施形態について説明する。図25に、本発明を適用したバンドエリミネーションフィルタ回路(BEF回路)の構成を示す。
このBEF回路は、第7の実施形態のBPF回路と同様に、ドライバ31、HPF32、LPF33及びレシーバ34を有する。ドライバ31、HPF32、LPF33及びレシーバ34の個別の構成は第7の実施形態と同様であるが、本実施形態に係るBEF回路は各部の接続が異なっており、ドライバ31とレシーバ34との間にHPF32及びLPF33が並列に挿入されている。
BPF回路の動作について説明する。図26(a)〜(b)に示すように、ドライバ31が出力するパルス信号波のスペクトルがfmin以上fmax以下の周波数帯域に亘るものとし、HPF32のカットオフ周波数をf3、LPF33のカットオフ周波数をf4とする。
ドライバ31が出力したパルス信号波は、配線38aとグランドとを含む線路を介してHPF32に到達する。HPF32に到達したパルス信号波のうちf3以上の周波数成分はHPF32を通過し、f3未満の周波数成分はHPF32によって阻止される。
ドライバ31が出力したパルス信号波は、配線38bとグランドとを含む線路を介してLPF33にも到達する。LPF33に到達したパルス信号波のうちf4以上の周波数成分はLPF33によって阻止され、f4未満の周波数成分はLPF33を通過する。
HPF32及びLPF33を通過した周波数成分は、配線38c又は38dとグランドとを含む線路を介してレシーバ34に到達し、ゲート端子に入ってレシーバ34を作動させる。(d)に示すように、ドライバ31が出力したパルス信号波のうちf3以上の周波数成分及びf4未満の周波数成分のみがレシーバ34に到達する。
このように、本発明を適用したLPFとHPFとを並列に接続することで、本発明をBEF回路に適用することが可能となる。なお、HPFのカットオフ周波数がLPFのカットオフ周波数よりも低い場合は、全ての周波数成分がHPF及びLPFを通過してしまうため、HPFのカットオフ周波数をLPFのカットオフ周波数よりも高くする必要がある。
なお、ここでは第2の実施形態のLPF回路と同様の構成のLPF、及び第4の実施形態のHPF回路と同様の構成のHPFとを用いてBEF回路を形成したが、他の実施形態と同様の構成のLPF及びHPFを組み合わせても、本発明をBEF回路に適用することが可能である。
このように、本実施形態に係るBEF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
〔第9の実施形態〕
本発明を好適に実施した第9の実施形態について説明する。図27に本発明を適用した高周波終端回路の構成を示す。この回路は終端抵抗を介して信号回路をグランドに接続したプルダウン型の終端回路である。
本実施形態に係る高周波終端回路は、ドライバ41、LILC42、抵抗43、レシーバ45及びLILC46を有する。
ドライバ41は、第1の実施形態のドライバ11と同様であり、出力端子から信号電磁波を出力する。LILC42は四端子の線路構造の素子であり、特性インピーダンスZ0は、ドライバ41とLILC42とを接続する配線48a特性インピーダンスZ4と比較して極めて小さく(Z0/Z4≒0)設定されている。LILC42の端子42aはドライバ41の出力端子に接続されており、端子42bはレシーバ45の入力端子に接続されている。また、端子42cは、抵抗43を介してそれぞれグランドに接続されている。抵抗43は、LILC42においてパルス信号波が反射しないよう終端させるための抵抗(終端抵抗)であり、そのインピーダンスはドライバ41とLILC42とを接続する配線48aのインピーダンスと等しい。レシーバ45は、入力端子(ゲート端子)に入力された信号を電圧に変換するトランジスタである。LILC46は、不図示の電力源から供給される直流電圧Vdcの変動を抑え、パルス信号波からみた終端抵抗が一定値となるようにする素子である。
図28に、プリント基板上の配線パターンにLILC42を配置した状態を示す。端子42aは、ドライバ41の出力端子と接続された配線パターン40aに接続されている。端子42bは、レシーバ45のゲート端子に接続された配線パターン40bと接続されている。端子42cは、コイル43を介してグランドに接続された配線パターン40cに接続されており、端子42dは開放されている。
高周波終端回路の動作について説明する。図29に、ドライバ41が出力したパルス信号波が高周波終端回路を伝わる状態を示す。(a)に示すように、ドライバ41から出力されたパルス信号波は、配線48aとグランドとを含む線路を介してLILC42に到達する。LILC42に到達したパルス信号波のうち周波数が高くLILC42を線路と見なすことができる電磁波成分(高周波信号4a)は、配線48aのインピーダンスとLILC42のインピーダンスとの不整合の影響を受ける。ここで、Z0/Z4≒0であるため高周波信号はLILC42の内部に侵入することができない。しかし、本実施形態においては、端子42cに終端抵抗(抵抗43)が接続されているため、(b)に示すように高周波信号はLILC42の一対の導体のうち抵抗43が接続されている一方(端子42cと端子42dとを備えた導体)とグランドとを含む線路を介してレシーバ45側に伝搬する。レシーバ45側に伝搬した高周波信号は、配線48bとグランドとを含む線路を介してレシーバ45のゲート端子に入る。
一方、LILC42に到達したパルス信号波のうち周波数が低い電磁波成分(低周波信号)は、配線48aのインピーダンスとLILC42のインピーダンスとの不整合の影響を受けることなくLILC42の内部に侵入できるため、LILC42の誘電体の部分を通ってレシーバ45側に伝搬し、配線48bとグランドとを含む線路を介してレシーバ45のゲート端子に入る。また、直流信号は、LILC42の導体の部分を通ってレシーバ45側に透過し、配線48bを通ってレシーバ45のゲート端子に入る。
このため、(c)に示すように、ドライバ41が出力したパルス信号波の全ての周波数成分がレシーバ45のゲート端子に入力されることとなり、ドライバ41が発したパルス信号波の波形がレシーバ45のゲート端子に入力信号において忠実に再現される。よって、レシーバ45はドライバ41が出力したパルス信号と同一の波形の信号波に基づいて作動する。
ディジタル回路においては、信号電磁波がHiレベルとLowレベルとの間を往復するが、データ系の信号電磁波の場合には信号がHiレベルやLowレベルで止まった状態が長時間維持され、直流電流が流れ続けることがある。このような場合に直流電流が終端抵抗に流れてしまうと、信号が出力されている間は電力を消費してしまうこととなる。
また、伝送線路の線路長よりも1/4波長が長い電磁波が伝送線路を伝わる場合には、この電磁波を波と見なすことができないため、終端抵抗において整合終端されずに電力を消費してしまう。
このためディジタル回路においては、伝送線路の線路長よりも1/4波長が長い電磁波や直流電流が終端抵抗に流れないようにして、電力が無駄に消費されることを抑制する必要がある。
伝送線路と終端抵抗との間にコンデンサを直列に接続した場合、終端抵抗の抵抗値とコンデンサの容量とで定まる時定数と比較して、信号電磁波の立ち上がり時間が短ければ(1/5以下)、コンデンサの電圧変動を無視できる。この場合は、信号電磁波が伝搬する伝送線路からコンデンサは見えず、終端抵抗のみで終端されていると見なすことができる。
信号電磁波が終端抵抗のみで終端されていると見なせる場合、コンデンサの電圧変動を無視できる最低周波数の電磁波の1/4波長よりも伝送線路の線路長が短ければ、整合終端されない周波数成分の電磁波及び直流電流が終端抵抗に流れないようにできる。
例えば、比誘電率εr=4であるプリント基板上において、伝送線路と抵抗値が80Ωの終端抵抗との間に0.1μFのコンデンサを直列に挿入した場合、電源のインピーダンスを無視するとCRの時定数は8μsとなる。立ち上がり時間が8μs×1/5=1.6μsの正弦波の周波数fは約100KHzであり、その1/4波長は、λ/4=(c/f)・(1/√εr)・(1/4)=375mである(ただし、cは光速)。
通常、プリント基板上の伝送線路の線路長はこれより短いため、整合終端されない周波数成分の電磁波及び直流電流が終端抵抗に流れない。
しかし、上述のように、コンデンサは所定周波数を超えると寄生素子の影響を受けてインピーダンスが高くなる性質があり、高周波帯域においては終端抵抗との合成値が大きくなる。よって、コンデンサを用いて終端回路を構成した場合、高周波帯域においては信号波の波形に歪みが生じてしまう。
一方、LILCは高周波帯域においてもインピーダンスが増加しないため、本実施形態に係る高周波終端回路のようにLILCを用いて終端回路を形成すれば、高周波信号を含む広い周波数帯域の電磁波を波形歪みを生じさせることなく整合終端することが可能となる。
なお、LILCを線路と見なすことができない低周波信号に関しては、LILCがコンデンサと同様に作用するため、コンデンサを介して終端抵抗を接続した場合と同様に整合終端が可能となる。さらに、終端抵抗はドライバとは直流電流的には分離された側の導体に接続されているため、終端抵抗に直流電流が流れることはない。
このように、本実施形態に係る高周波終端回路においては、広い周波数帯域に亘って所定値以下のインピーダンスを示すLILCの端子に終端抵抗が接続されており、これによってパルス信号の全ての周波数成分が整合終端されるため、一部の周波数成分が終端されずにリンギングを発生させ、レシーバを作動させてしまうことが無くなる。また、終端抵抗は、ドライバとは直流電流的には絶縁されているため、ドライバがHiやLowの信号を出力しつづけても、終端抵抗に直流電流が流れることはなく、電力を無駄に消費しない。
〔第10の実施形態〕
本発明を好適に実施した第10の実施形態について説明する。図30に本発明を適用した高周波終端回路の構成を示す。この回路は第9の実施形態と同様に終端抵抗を介して信号回路をグランドに接続したプルダウン型の終端回路であり、端子42cが開放され、端子42dが抵抗44を介してグランドに接続されている他は第9の実施形態と同様である。抵抗44のインピーダンスは、LILC42とレシーバ45とを接続する導体48bのインピーダンスと等しい。
図31に、プリント基板上の配線パターンにLILC42を配置した状態を示す。端子42aは、ドライバ41の出力端子と接続された配線パターン40aに接続されている。端子42bは、レシーバ45のゲート端子に接続された配線パターン40bと接続されている。端子42cは開放されており、端子42dはコイル44を介してグランドに接続された配線パターン40dと接続されている。
高周波終端回路の動作について説明する。ドライバ41が出力したパルス信号波が高周波終端回路を伝わる状態は、第9の実施形態と同様であり、LILC42の端子42dには抵抗44が接続されているため、高周波信号もレシーバ45のゲート端子に入る。このため、ドライバ41が出力したパルス信号波の全ての周波数成分がレシーバ45のゲート端子に入力されることとなり、ドライバ41が発したパルス信号波がレシーバ45において忠実に再現される。
第9の実施形態と同様に、本実施形態に係る高周波終端回路においては、広い周波数帯域に亘って所定値以下のインピーダンスを示すLILCの端子に終端抵抗が接続されており、これによってパルス信号の全ての周波数成分が整合終端されるため、一部の周波数成分が終端されずにリンギングを発生させ、レシーバを作動させてしまうことが無くなる。また、終端抵抗は、ドライバとは直流電流的には絶縁されているため、ドライバがHiやLowの信号を出力しつづけても、終端抵抗に直流電流が流れることはなく、電力を無駄に消費しない。
〔第11の実施形態〕
本発明を好適に実施した第11の実施形態について説明する。図32に本発明を適用した高周波終端回路の構成を示す。この回路は第9の実施形態と同様に終端抵抗を介して信号回路をグランドに接続したプルダウン型の終端回路であり、端子42dが抵抗44を介してグランドに接続されている他は第9の実施形態と同様である。抵抗44のインピーダンスは、LILC42とレシーバ45とを接続する配線48bのインピーダンスと等しい。
図33に、プリント基板上の配線パターンにLILC42を配置した状態を示す。端子42aは、ドライバ41の出力端子と接続された配線パターン40aに接続されている。端子42bは、レシーバ45のゲート端子に接続された配線パターン40bに接続されている。端子42cは抵抗43を介してグランドに接続された配線パターン40cと、端子42dは抵抗44を介してグランドに接続された配線パターン40dとそれぞれ接続されている。
本実施形態に係る高周波終端回路の動作は、第9の実施形態及び第10の実施形態とほぼ同様であるが、LILC42の入り口側及び出口側の両方に終端抵抗が接続されているため、ドライバ41が出力するパルス電磁波をより確実に終端することが可能となる。
〔第12の実施形態〕
本発明を好適に実施した第12の実施形態について説明する。図34に本発明を適用した高周波終端回路の構成を示す。この回路は終端抵抗を介して信号回路を電力源に接続したプルアップ型の終端回路である。
本実施形態に係る高周波終端回路は、ドライバ51、LILC52、抵抗53、レシーバ55、LILC56及びLILC57を有する。
ドライバ51は、第1の実施形態のドライバ51と同様であり、出力端子から信号電磁波を出力する。LILC52は一対の導体が誘電体を挟んで対向した四端子の線路構造の素子であり、特性インピーダンスZ0は、ドライバ51とLILC52とを接続する配線58aの特性インピーダンスZ5と比較して極めて小さく(Z0/Z5≒0)設定されている。LILC52は、ドライバ51が出力するパルス電磁波の全ての周波数成分を対象周波数帯域に含む。LILC52の端子52aは、抵抗53を介してそれぞれLILC56の端子56bに接続されている。また、端子52bは開放されている。また、端子52cはドライバ51の出力端子に接続されており、端子52dはレシーバ55のゲート端子に接続されている。抵抗53は、LILC52においてパルス信号波が反射しないよう終端させるための抵抗(終端抵抗)であり、そのインピーダンスはドライバ51とILC52とを接続する配線58aのインピーダンスと等しい。レシーバ55は、ゲート端子に入力された信号を電圧に変換するための素子である。LILC56、57は、不図示の電力源から供給される直流電圧Vdcの変動を抑え、パルス信号波からみた終端抵抗が一定値となるようにする素子である。
図35に、プリント基板上の配線パターンにLILC52を配置した状態を示す。端子52aは抵抗53を介してLILC56の端子56bに接続された配線パターン50aと接続されており、端子42bは開放されている。端子52cは、ドライバ51の出力端子と接続された配線パターン50cに接続されている。端子52dは、レシーバ55のゲート端子に接続された配線パターン50dと接続されている。
この終端回路においては、LILC52に接続された終端抵抗53は、LILC56の端子56bに接続されており、端子56bと対向する端子56dはグランドに接続されている。LILC56は低インピーダンスであるため、抵抗53は高周波的にはグランドに接続されているものと見なすことができる。
高周波終端回路の動作について説明する。図36に、ドライバ51が出力したパルス信号波が高周波終端回路を伝わる状態を示す。(a)に示すように、ドライバ51から出力されたパルス信号波は、配線58aとグランドとを含む線路を介してLILC52に到達する。LILC52に到達したパルス信号波のうち周波数が高くLILC52を線路と見なすことができる電磁波成分(高周波信号5a)は、配線58aのインピーダンスとLILC52のインピーダンスとの不整合の影響を受ける。ここで、Z0/Z5≒0であるため高周波信号はLILC52の内部に侵入することができない。しかし、本実施形態においては、端子52aに終端抵抗(抵抗53)が接続されているため、(b)に示すように高周波信号はLILC52の一対の導体のうち抵抗53を介してグランドに接続されていると見なされる導体とグランドを含む線路を介してレシーバ55側に伝搬する。(c)に示すように、レシーバ55側に伝搬した高周波信号5aは、導体58bとグランドとを含む線路を介してレシーバ55のゲート端子に入る。
一方、LILC52に到達したパルス信号波のうち周波数が低い電磁波成分(低周波信号)は、配線58aのインピーダンスとLILC52のインピーダンスとの不整合の影響を受けることなくLILC52の内部に侵入できるため、(b)に示すようにLILC52の誘電体の部分を通ってレシーバ55側に伝搬し、(c)に示すように導体58bとグランドとを含む線路を介してレシーバ55のゲート端子に入る。また、直流信号は、LILC52の一対の導体のうち抵抗53が接続されていない一方(端子52a及び端子52bを備える導体)を通ってレシーバ55側に透過し、配線58bを通ってレシーバ55のゲート端子に入る。
このため、ドライバ51が出力したパルス信号波の全ての周波数成分がレシーバ55のゲート端子に入力されることとなり、ドライバ51が発したパルス信号波の波形がレシーバ55のゲート端子に入力信号において忠実に再現される。よって、レシーバ55はドライバ51が出力したパルス信号と同一の波形の信号波に基づいて作動する。
第9の実施形態と同様に、本実施形態に係る高周波終端回路においては、広い周波数帯域に亘って所定値以下のインピーダンスを示すLILCの端子に終端抵抗が接続されており、これによってパルス信号の全ての周波数成分が整合終端されるため、一部の周波数成分が終端されずにリンギングを発生させ、レシーバを作動させてしまうことが無くなる。また、終端抵抗は、ドライバとは直流電流的には絶縁されているため、ドライバがHiやLowの信号を出力しつづけても、終端抵抗に直流電流が流れることはなく、電力を無駄に消費しない。
〔第13の実施形態〕
本発明を好適に実施した第13の実施形態について説明する。図37に本発明を適用した高周波終端回路の構成を示す。この回路は終端抵抗を介して信号回路を電力源に接続したプルアップ型の終端回路であり、端子52aが開放され、端子52bが抵抗54を介してLILC56の端子56bに接続されている他は第12の実施形態と同様である。抵抗54のインピーダンスは、LILC54とレシーバ55とを接続する配線58bのインピーダンスと等しい。
図38に、プリント基板上の配線パターンにLILC42を配置した状態を示す。端子52aは開放されており、端子52bは抵抗54を介してLILC56の端子56bに接続された配線パターン50bと接続されている。端子52cは、ドライバ51の出力端子と接続された配線パターン50cに接続されている。端子52dは、レシーバ55のゲート端子に接続された配線パターン50dと接続されている。
この終端回路においては、LILC52に接続された終端抵抗54は、LILC56の端子56bに接続されており、端子56bと対向する端子56dはグランドに接続されている。LILC56は低インピーダンスであるため、抵抗54はグランドに接続されているものと見なすことができる。
高周波終端回路の動作について説明する。ドライバ51が出力したパルス信号波が高周波終端回路を伝わる状態は、第12の実施形態と同様であり、ドライバ51が出力したパルス信号波の全ての周波数成分がレシーバ55のゲート端子に入力されることとなり、ドライバ51が発したパルス信号波の波形がレシーバ55のゲート端子に入力信号において忠実に再現される。よって、レシーバ55はドライバ51が出力したパルス信号と同一の波形の信号波に基づいて作動する。
第9の実施形態と同様に、本実施形態に係る高周波終端回路においては、広い周波数帯域に亘って所定値以下のインピーダンスを示すLILCの端子に終端抵抗が接続されており、これによってパルス信号の全ての周波数成分が整合終端されるため、一部の周波数成分が終端されずにリンギングを発生させ、レシーバを作動させてしまうことが無くなる。また、終端抵抗は、ドライバとは直流電流的には絶縁されているため、ドライバがHiやLowの信号を出力しつづけても、終端抵抗に直流電流が流れることはなく、電力を無駄に消費しない。
〔第14の実施形態〕
本発明を好適に実施した第14の実施形態について説明する。図39に本発明を適用した高周波終端回路の構成を示す。この回路は終端抵抗を介して信号回路を電力源に接続したプルアップ型の終端回路であり、端子52bが抵抗54を介してグランドに接続されている他は第12の実施形態と同様である。抵抗54のインピーダンスは、LILC54とレシーバ55とを接続する配線58bのインピーダンスと等しい。
図40に、プリント基板上の配線パターンにLILC52を配置した状態を示す。端子52aはコイル53を介してLILC56の端子56bに接続された配線パターン50aと接続されている。端子52bは、コイル54を介してLILC56の端子56bに接続された配線パターン50bに接続されている。端子52cは、ドライバ51の出力端子と接続された配線パターン50cに接続されている。端子52dは、レシーバ55のゲート端子に接続された配線パターン50dと接続されている。
本実施形態に係る高周波終端回路の動作は、第12の実施形態及び第13の実施形態とほぼ同様であるが、LILC52の入り口側及び出口側の両方に終端抵抗が接続されているため、ドライバ51が出力するパルス電磁波をより確実に終端することが可能となる。
なお、上記実施形態は本発明の好適な実施の一例であり本発明はこれらに限定されることはない。
例えば、上記実施形態においては、LPF回路やHPF回路は一次の構成を例に説明を行ったが、高次のLPF回路やHPF回路に本発明を適用することも可能である。
接続する場合を例に説明を行ったが、電源及びグランドの両方に終端抵抗を接続してテブナン接続としても良い。
また、ドライバやレシーバなどは上記各実施形態に示した構成に限定されることはない。
このように、本発明は様々な変形が可能である。
本発明は、四端子の線路構造で低インピーダンスの素子(Low Impedance Line structure Component;以下、LILC)をコンデンサの代わりに用いて電子回路を形成することにより、広い周波数帯域に亘って所望の回路特性が得られる広帯域回路を従来よりも少数の素子で実現するものである。
線路構造の一例として図5に示すストリップ構造の線路を考える。この線路においては、直流電流が接地導体81a,81b及び信号伝送用導体82を伝搬し、電磁波が誘電体83を伝搬する。説明の簡略化のため線路の抵抗及び損失を無視できるとすると、このようなストリップ線路の特性インピーダンスZ0は、式(1)で表される。
この場合には線路の特性インピーダンスは、(L/C)1/2で算出されることからキャパシタンス成分及びインダクタンス成分のみで定まる値となり、周波数に対しては一定値であるため、周波数による特性の変化が原理的には生じない。
よって、線路構造の素子のインピーダンスを低くして(すなわち、線路構造の素子をLILCとして)、これを低インピーダンス素子として利用すれば、周波数に関わらず所望の回路特性を示す電子回路を実現することが可能となる。
なお、線路構造の素子のインピーダンスに関係するパラメータとしてはL(インダクタンス)、C(キャパシンタンス)、R(レジスタンス)及びG(コンダクタンス)があるが、LやRは増加すると論理回路スイッチング時の電源電圧変動が増大するなどの問題が生じるため、Cを調整することによってインピーダンスを低くする必要がある。
すなわち、式(1)からも明らかなように、単位長さ当たりのCを大きくする必要がある。
また、素子を流れる電磁波の波長と比較して素子自体の線路長が十分長くなければ、素子を線路構造であると見なすことはできない。このため、LILCの線路長はこれを流れる電磁波の波長と比較して十分に長くする必要がある。具体的には、電磁波成分が通過する部分の実質的な長さ(=実効線路長)が素子を通過する電磁波の波長の1/4以上であることが好ましい。
一方、反射係数(S11)と透過係数(S21)との間には、式(2)の関係がある。
損失を含む線路の透過係数(S21)は、式(3)で求められる。なお、透過特性の逆数は挿入損と呼ばれる。式(3)中のxは、線路長である。αは、伝搬定数を構成する減衰定数であり、式(4)で表される。
さらに、式(4)中のコンダクタンスGは、コンデンサで使用されるtanδを使用すると式(5)で表される。なお、式(5)において、Sは誘電体の面積、tは誘電体の厚さである。
電子回路に使用される場合において、線路素子は低インピーダンスではあるが有限のインピーダンス値を有するため、電磁波は線路素子の内部に入り込む。しかし、式(3)、(4)及び(5)からわかるように、線路素子の内部に入り込んだ電磁波は、指数的に減衰しほとんど外に出ない。すなわち、LILCに適当な損失を加えることによりLILCに関する終端は考えなくても良いことになる。なお、挿入損は、インピーダンス不整合分と、素子の長さ、周波数、tanδの指数倍との積となることが分かる。
このように、低インピーダンス素子として電子回路に適用するLILCは、
▲1▼素子を伝搬する電磁波からみて線路と見なすことができるだけの長さを備える。(電磁波成分が通過する部分の実質的な長さ(=実効線路長)が対象周波数の電磁波の波長の1/4以上であることが好ましい。)
▲2▼電子回路の回路特性が所望の特性となるのに十分な低さのインピーダンスを示す。(単位長さ当たりのキャパシタンスCが大きいことが好ましい。)
▲3▼誘電体損失をやや大きくするとともに、線路の長さを必要に応じて長くする。
という条件を満たす線路構造の素子である。
線路素子においては、周波数とインピーダンスとの関係は図6に示すようになり、素子を線路と見なすことができる周波数帯域内ではインピーダンスは寄生素子の影響を受けてインピーダンスが増加することはない。
なお、ここではストリップ構造の線路の場合を例に説明を行ったがLILCの構造はストリップ構造に限定されることはなく、マイクロストリップ型の線路構造や同軸円筒型の線路構造などであっても良い。
以下、上述したLILCを低インピーダンス素子として適用した広帯域回路の好適な実施形態について説明する。
〔第1の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。図7に本発明を適用したローパスフィルタ回路(LPF回路)の構成を示す。この回路はドライバ11、LILC13及びレシーバ14を有する。
ドライバ11は、インバータバッファ111とインバータバッファ112とを有し、直列に接続されたインバータバッファ111とインバータバッファ112とがバッファ回路を構成している。インバータバッファ111はトランジスタ111a及び111bを有し、インバータバッファ112はトランジスタ112a及び112bを有する。ハイサイドのトランジスタ111a及び112aはPチャネルであり、ゲート電圧がハイレベルの時にオフとなる。また、ローサイドのトランジスタ111b及び112bは、Nチャネルであり、ゲート電圧がハイレベルの時にオンとなる。トランジスタ111a及び112aのドレイン端子には、不図示の電源からVDDが供給されている。トランジスタ111a及び111bは、不図示の制御部がインバータバッファ111の入力端子に入力するゲート電圧に応じてVDDをスイッチングして信号波を出力し、インバータバッファ112の入力端子に入力する。トランジスタ112a及び112bはゲート端子に入力された信号波に応じてVDDをスイッチングして信号波を生成し、この信号波が信号電磁波としてドライバ11から出力される。LILC13は一対の導体が誘電体を挟んで対向した四端子の線路構造の素子であり、特性インピーダンスZ0は、ドライバ11とLILC13とを接続する配線18aの特性インピーダンスZ1と比較して極めて小さく(Z0/Z1≒0)設定されている。LILC13の端子13aは、ドライバ11の出力端子に、端子13bはレシーバ14の入力端子と接続されている。また、端子13c及び端子13dは、グランドに接続されている。レシーバ14は、入力端子(ゲート端子)に入力された信号を電圧に変換するトランジスタである。
図8に、本実施形態に係るLPF回路に適用されるLILC13の構造例を示す。なお、(a)と(b)とでは視点を変えて同一の構成を示している。第1の導体131の周囲を取り囲むように誘電体133が配置されている。第1の導体131と第2の導体132とは誘電体133を介して対向するように設置され、封止材130によってその状態のまま固定されている。
第1の電極131には端子13a及び13bが、第2の電極132には端子13c及び端子13dがそれぞれ設けられており、各端子はLILC13の底面側に延びて封止材130を貫通し、外部に露出(又は突出)している。封止材130から露出(又は突出)した各端子を信号伝送用導体及び接地導体に接続することにより、LILC13を伝送線路に挿入できる。
以下、全ての実施形態において上記構造のLILCを適用する場合を例に説明するが、上記構造はあくまでも一例であり、LILCの構造を限定するものではない。
図9に、プリント基板上の配線パターンにLILC13を配置した状態を示す。ここでは、LILC13の状態を理解しやすくするために封止材130は図中には示していない(他の実施形態も同様)。なお、LILC13の両端の状態を図中に表すために(a)と(b)とでは視点を変えて同一の構成を示している。端子13aは、ドライバ11の出力端子に接続された配線パターン10aに接続されている。端子13bは、レシーバ14のゲート端子に接続された配線パターン10bにされている。端子13c及び端子13dは、各々グランドに接続された配線パターン10c及び配線パターン10dにそれぞれ接続されている。
LPF回路の動作について説明する。図10に、ドライバ11が出力したパルス信号波がLPF回路を伝わる状態を示す。(a)に示すように、ドライバ11が出力したパルス信号波は、配線18aとグランドとを含む線路を介してLILC13に到達する。LILC13に達したパルス信号波のうち周波数が高くLILC13を線路と見なすことができる電磁波成分(高周波信号1a)は、配線18aのインピーダンスとLILC13のインピーダンスとの不整合の影響を受ける。ここで、Z0/Z1≒0であるため高周波信号1aはLILC13によって反射される。
一方、周波数が低い電磁波成分(低周波信号1b)は、LILC13を線路と見なすことができないため、配線18aとLILC13とのインピーダンス不整合の影響を受けない。よって、低周波信号1bは反射されることなくLILC13内に侵入し、LILCの13の誘電体の部分を通ってレシーバ14側に伝搬する。また、直流信号1cは、LILC13の導体の部分を通ってレシーバ14側に透過する。
(c)に示すように、レシーバ14側に伝搬した低周波信号1b及び透過した直流信号1cはレシーバ14のゲート端子に入り、レシーバ14を作動させる。これにより、レシーバ14はドライバ11が生成したパルス信号波のうち低周波信号及び直流信号のみに応じて動作する。
図11に、このLPF回路の透過特性図を示す。縦軸は透過率(dB)横軸は入射波の周波数(Hz)である。本実施形態においては、周波数によらず一定のインピーダンスが得られ、また誘電体損失がやや大きいLILCを用いてLPF回路を形成しているため、カットオフ周波数以上の周波数帯域においても回路が寄生素子の影響を受けて透過特性が劣化してしまうことがない。
よって、従来のLPF回路とは異なり、本実施形態に係るLPF回路は、カットオフ周波数よりも高い周波数の電磁波に対しても透過率が低く、理想的なLPF回路に近い回路特性を示す。
なお、カットオフ周波数は、LILC13の線路の部分の実質的な長さ(有効線路長)を変更することで任意の値に設定することが可能であり、アスペクト比(LILC13の線路の部分の幅と一対の導体の間隔との比)と絶縁体の膜厚とが固定の場合には、LILC13の線路の部分の長さとカットオフ周波数とは反比例の関係となる。これはLPF回路に限定されることではなく、全て実施形態に関して同様である。
このように、本実施形態に係るLPF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第1の実施形態について説明する。図12に本発明を適用したローパスフィルタ回路(LPF回路)の構成を示す。この回路はドライバ11とLILC13との間にコイル12をさらに有する他は、第1の実施形態と同様である。コイル12は、ローパスフィルタの特性を向上させるために配置された素子である。LPF回路の動作については、第1の実施形態と同様である。
図13に、このLPF回路の透過特性図を示す。縦軸は透過率(dB)横軸は入射波の周波数(Hz)である。ドライバ11とLILC13との間に配置されている(換言すると、配線18aに挿入されている)コイル12は、低周波数帯域においてはインダクタンス特性を示すため、コイル12のインダクタンス特性とLILC13のキャパシタンス特性とが相乗して作用し、所定周波数を超えると急激に透過率が小さくなる。
また、高周波帯域においてコイル12はキャパシタンス特性を示すが、LILC13の低インピーダンス特性は高周波帯域においても変化せず、また誘電体損失をやや大きくしているので、カットオフ周波数以上の周波数帯域においてもLPF回路の透過率は大きくならない。
よって、第1の実施形態に係るLPF回路と同様に、本実施形態に係るLPF回路は、共振周波数よりも高い周波数の電磁波に対しても透過率が低く、理想的なLPF回路に近い回路特性を示す。
このように、本実施形態に係るLPF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
〔第3の実施形態〕
本発明を好適に実施した第3の実施形態について説明する。図14に本発明を適用したローパスフィルタ回路(LPF回路)の構成を示す。この回路はドライバ11とLILC13との間に抵抗19をさらに有する他は、第1の実施形態と同様である。コイル19は、ローパスフィルタの特性を向上させるために配置された素子である。LPF回路の動作については、第1の実施形態と同様である。
ドライバ11とLILC13との間に配置されている(換言すると配線18aに挿入されている)抵抗19は、低周波数帯域においては寄生素子の影響を受けず、周波数に関わらずインピーダンスが一定であるため、抵抗値が低ければコイルと同様の特性を示す。よって、抵抗19の抵抗値が低い場合には、第2の実施形態と同様に低周波数帯域においては抵抗19の特性とLILC13のキャパシタンス特性とが相乗して作用し、所定周波数を超えると急激に透過率が小さくなる。
また、LILC13のキャパシタンス特性は高周波帯域においても変化しないし、また誘電体損失をやや大きくしているので、カットオフ周波数以上の周波数帯域においてもLPF回路の透過率は大きくならない。
よって、第1の実施形態に係るLPF回路と同様に、本実施形態に係るLPF回路は、共振周波数よりも高い周波数の電磁波に対しても透過率が低く、理想的なLPF回路に近い回路特性を示す。
このように、本実施形態に係るLPF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
〔第4の実施形態〕
本発明を好適に実施した第4の実施形態について説明する。図15に本発明を適用したハイパスフィルタ回路(HPF回路)の構成を示す。
このHPF回路はドライバ21、LILC22、コイル23及びレシーバ25を有する。ドライバ21はトランジスタ211及びトランジスタ212からなる。
ドライバ21は、第1の実施形態のドライバ11と同様の構成であり、出力端子から信号電磁波を出力する。LILC22は一対の導体が誘電体を挟んで対向した四端子の線路構造の素子であり、その特性インピーダンスZ0は、ドライバ21とLILC22とを接続する配線28aの特性インピーダンスZ2と比較して極めて小さく(Z0/Z2≒0)設定されている。LILC22の端子22aは、ドライバ21の出力端子に接続されており、端子22bは開放されている。また、端子22cはコイル23を介してグランドに接続されている。端子22dは、レシーバ25の入力端子に接続されている。コイル23は、ハイパスフィルタの特性を向上させるために配置された素子である。レシーバ25は、入力端子(ゲート端子)に入力された信号を電圧に変換するトランジスタである。
図16に、プリント基板上の配線パターンにLILC22を配置した状態を示す。なお、LILC22の両端の接続状態を図中に表すために(a)と(b)とでは視点を変えて、2方向から見た状態を図示している。端子22aは、ドライバ21の出力端子と接続された配線パターン20aに接続されている。端子22bは、いずれの配線パターンにも接続されずに開放されている。端子22cはコイル23を介してグランドに接続された配線パターン20cに接続されている。端子22dは、レシーバ25のゲート端子と接続された配線パターン20dと接続されている。
HPF回路の動作について説明する。図17に、ドライバ21が出力したパルス信号波がLPF回路を伝わる状態を示す。(a)に示すように、ドライバ21が出力したパルス信号波は、配線28aとグランドとを含む線路を介してLILC22到達する。なお、本実施形態においては、端子22bが開放されているため、パルス信号の直流成分(直流信号)は伝達しない。LILC22に到達したパルス信号波のうち周波数が高くLILC22を線路と見なすことができる電磁波成分(高周波信号2a)は、配線28aのインピーダンスとLILC22のインピーダンスとの不整合の影響を受ける。ここでは、Z0/Z2≒0であるため高周波信号はLILC22の内部に侵入せず、(b)に示すようにLILC22の導体のうちコイル23を介してグランドに接続された一方とグランドとの間を通ってレシーバ25のゲート端子に到達する。すなわち、高周波信号は、LILC22の導体のうち端子22c及び22dを備える一方とグランドプレーンとを含む線路を介して、LILC22を迂回してレシーバ25側に進行する。
一方、LILC22に到達したパルス信号波のうち周波数が低い電磁波成分(低周波信号2b)は、配線28aのインピーダンスとLILC22のインピーダンスとの不整合の影響を受けることなくLILC22内部の誘電体に侵入するが、端子22bが電気的に開放されているためレシーバ25には到達せず、誘電体損失をやや大きくしているのでLILC22内で減衰する。
(c)に示すように、レシーバ25のゲート端子に入った高周波信号がレシーバ25を作動させる。これにより、レシーバ25はドライバ21が生成したパルス信号波のうち、高周波信号のみに応じて動作する。
図18に、このHPF回路の透過特性図を示す。縦軸は透過率(dB)横軸は入射波の周波数(Hz)である。LILC22の端子22cとグランドとを接続しているコイル23は、低周波数帯域においてはインダクタンス特性を示すため、コイル23のインダクタンス特性とLILC22のキャパシタンス特性とが相乗して作用し、所定周波数を超えると急激に透過率が大きくなる。また、従来のHPF回路とは異なり、本実施形態に係るHPF回路は、カットオフ周波数よりも高い周波数帯域においても電磁波の透過率が高く保たれ、理想的なHPF回路に近い回路特性を示す。
このように、本実施形態に係るHPF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
〔第5の実施形態〕
本発明を好適に実施した第5の実施形態について説明する。図19に本発明を適用したハイパスフィルタ回路(HPF回路)の構成を示す。
このHPF回路は、端子22cが開放されており、端子22dがコイル24を介してグランドにも接続されている他は第4の実施形態と同様である。
図20に、プリント基板上の配線パターンにLILC22を配置した状態を示す。端子22aは、ドライバ21の出力端子と接続された配線パターン20aに接続されている。端子22b及び端子22cの各々は、配線パターンには接続されずに開放されている。端子22dは、レシーバ25のゲート端子とコイル24を介してグランドとに接続された配線パターン20dと接続されている。
HPF回路の動作は第4の実施形態と同様である。また、透過特性は第4の実施形態と同様であり、LILC22の端子22dをグランドに接続しているコイル24は、低周波数帯域においてはインダクタンス特性を示すため、コイル24のインダクタンス特性とLILC22のキャパシタンス特性とが相乗して作用し、所定周波数を超えると急激に透過率が大きくなる。さらに、カットオフ周波数よりも高い周波数帯域においても電磁波の透過率が高く保たれ、理想的なHPF回路に近い回路特性を示す。
このように、本実施形態に係るHPF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
〔第6の実施形態〕
本発明を好適に実施した第5の実施形態について説明する。図21に本発明を適用したハイパスフィルタ回路(HPF回路)の構成を示す。
このHPF回路は、端子22dがコイル24を介してグランドにも接続されている他は第4の実施形態と同様である。
図22に、プリント基板上の配線パターンにLILC22を配置した状態を示す。端子22aは、ドライバ21の出力端子と接続された配線パターン20aに接続されている。端子22bは、配線パターンには接続されずに開放されている。端子22cは、コイル23を介してグランドに接続された配線パターン20cに接続されている。端子22dは、レシーバ25のゲート端子とグランドとに接続された配線パターン20dに接続されている。
HPF回路の動作は第4の実施形態と同様である。また、透過特性についても第4の実施形態と同様であるが、LILC22にはコイルが二つ(コイル23及び24)接続されているため、低周波帯域におけるフィルタ特性を、理想的なHPF回路の回路特性に近づけることが可能となる。
このように、本実施形態に係るHPF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
なお、第4〜第6の実施形態においては、LILC22の端子22にコイル23やコイル24を接続した構成としているが、コイルの代わりに抵抗を用いても同様の効果が得られる。また、コイルと抵抗とを組み合わせて用いても良い。
〔第7の実施形態〕
上記第1〜第3の実施形態では本発明を適用したLPF回路について、第4〜第6の実施形態では本発明を適用したHPF回路についてそれぞれ説明したが、これらを組み合わせることにより、バンドパスフィルタ回路やバンドエリミネーションフィルタ回路に本発明を適用することが可能となる。
本発明を好適に実施した第7の実施形態について説明する。図23に、本発明を適用したバンドパスフィルタ回路(BPF回路)の構成を示す。
このBPF回路は、ドライバ31、HPF32、LPF33及びレシーバ34が直列に接続された回路である。
ドライバ31は、第1の実施形態のドライバ11と同様であり、出力端子から信号電磁波を出力する。HPF32は、第4の実施形態に係るHPF回路と同様の構成であり、LILC321とコイル322とを有する。LILC321は一対の導体が誘電体を挟んで対向した四端子の線路構造の素子であり、その特性インピーダンスZ0aは、ドライバ31とLILC321とを接続する配線38aの特性インピーダンスZ3aと比較して極めて小さく(Z0a/Z3a≒0)設定されている。LILC321の端子321aは、ドライバ31の出力端子に接続されており、端子321bは開放されている。また、端子321cはコイル322を介してグランドに接続されている。端子321dは、LPF33の入力端子に接続されている。LILC321は、第4の実施形態と同様にしてプリント基板上の配線パターンに配置できる。コイル322は、ハイパスフィルタの特性を向上させるために配置された素子である。
LPF33は、第2の実施形態に係るLPF回路と同様の構成であり、LILC331とコイル332とを有する。LILC331は一対の導体が誘電体を挟んで対向した四端子の線路構造の素子であり、特性インピーダンスZ0bは、HPF32とLILC331とを接続する配線38bの特性インピーダンスZ1bと比較して極めて小さく(Z0b/Z1b≒0)設定されている。LILC331の端子331aは、HPF32の出力端子であるLILC321dに、端子331bはレシーバ34の入力端子に接続されている。また、端子331c及び端子331dは、グランドに接続されている。LILC331は、第2の実施形態と同様にしてプリント基板上の配線パターンに配置できる。コイル332は、ハイパスフィルタの特性を向上させるために配置された素子である。
レシーバ34は、入力端子(ゲート端子)に入力された信号を電圧に変換するトランジスタである。
BPF回路の動作について説明する。図24(a)〜(c)に示すように、ドライバ31が出力するパルス信号波のスペクトルがfmin以上fmax以下の周波数帯域に亘るものとし、HPF32のカットオフ周波数をf1、LPF33のカットオフ周波数をf2とする。
ドライバ31が出力したパルス信号波は、配線38aとグランドとを含む線路を介してHPF32に到達する。HPF32に到達した信号電磁波のうちf1以上の周波数成分はHPF32を通過し、f1未満の周波数成分はHPF32によって阻止される。
HPF32を通過した周波数成分は、配線38bとグランドとを含む線路を介してLPF33に到達する。LPF33に到達した周波数成分のうちf2以上の周波数成分はLPF33によって阻止され、f2未満の周波数成分はLPF33を通過する。
LPF33を通過した周波数成分は、配線38cとグランドとを線路としてレシーバ34に到達しゲート端子に入り、レシーバ34を作動させる。(d)に示すように、ドライバ31が出力したパルス信号波のうちf1以上f2未満の周波数成分のみがレシーバ34に到達する。
このように、本発明を適用したLPFとHPFとを直列に接続することで、本発明をBPF回路に適用することが可能となる。なお、HPFのカットオフ周波数がLPFのカットオフ周波数よりも高い場合は、全ての周波数成分がHPF及びLPFによって阻止されてしまい、レシーバに到達する周波数成分は存在しなくなるため、HPFのカットオフ周波数をLPFのカットオフ周波数よりも低くする必要がある。
なお、ここでは第2の実施形態のLPF回路と同様の構成のLPF、及び第4の実施形態のHPF回路と同様の構成のHPFとを用いてBPF回路を形成したが、他の実施形態と同様の構成のLPF及びHPFを組み合わせても、本発明をBPF回路に適用することが可能である。
このように、本実施形態に係るBPF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
〔第8の実施形態〕
本発明を好適に実施した第8の実施形態について説明する。図25に、本発明を適用したバンドエリミネーションフィルタ回路(BEF回路)の構成を示す。
このBEF回路は、第7の実施形態のBPF回路と同様に、ドライバ31、HPF32、LPF33及びレシーバ34を有する。ドライバ31、HPF32、LPF33及びレシーバ34の個別の構成は第7の実施形態と同様であるが、本実施形態に係るBEF回路は各部の接続が異なっており、ドライバ31とレシーバ34との間にHPF32及びLPF33が並列に挿入されている。
BPF回路の動作について説明する。図26(a)〜(b)に示すように、ドライバ31が出力するパルス信号波のスペクトルがfmin以上fmax以下の周波数帯域に亘るものとし、HPF32のカットオフ周波数をf3、LPF33のカットオフ周波数をf4とする。
ドライバ31が出力したパルス信号波は、配線38aとグランドとを含む線路を介してHPF32に到達する。HPF32に到達したパルス信号波のうちf3以上の周波数成分はHPF32を通過し、f3未満の周波数成分はHPF32によって阻止される。
ドライバ31が出力したパルス信号波は、配線38bとグランドとを含む線路を介してLPF33にも到達する。LPF33に到達したパルス信号波のうちf4以上の周波数成分はLPF33によって阻止され、f4未満の周波数成分はLPF33を通過する。
HPF32及びLPF33を通過した周波数成分は、配線38c又は38dとグランドとを含む線路を介してレシーバ34に到達し、ゲート端子に入ってレシーバ34を作動させる。(d)に示すように、ドライバ31が出力したパルス信号波のうちf3以上の周波数成分及びf4未満の周波数成分のみがレシーバ34に到達する。
このように、本発明を適用したLPFとHPFとを並列に接続することで、本発明をBEF回路に適用することが可能となる。なお、HPFのカットオフ周波数がLPFのカットオフ周波数よりも低い場合は、全ての周波数成分がHPF及びLPFを通過してしまうため、HPFのカットオフ周波数をLPFのカットオフ周波数よりも高くする必要がある。
なお、ここでは第2の実施形態のLPF回路と同様の構成のLPF、及び第4の実施形態のHPF回路と同様の構成のHPFとを用いてBEF回路を形成したが、他の実施形態と同様の構成のLPF及びHPFを組み合わせても、本発明をBEF回路に適用することが可能である。
このように、本実施形態に係るBEF回路は、複雑な計算を行うことなく、また、カット&トライの手法に頼ることなく容易に設計することが可能な広帯域回路である。また、設計パラメータの数が少ないため、回路特性の安定性及び信頼性を高めることが可能となる。
〔第9の実施形態〕
本発明を好適に実施した第9の実施形態について説明する。図27に本発明を適用した高周波終端回路の構成を示す。この回路は終端抵抗を介して信号回路をグランドに接続したプルダウン型の終端回路である。
本実施形態に係る高周波終端回路は、ドライバ41、LILC42、抵抗43、レシーバ45及びLILC46を有する。
ドライバ41は、第1の実施形態のドライバ11と同様であり、出力端子から信号電磁波を出力する。LILC42は四端子の線路構造の素子であり、特性インピーダンスZ0は、ドライバ41とLILC42とを接続する配線48a特性インピーダンスZ4と比較して極めて小さく(Z0/Z4≒0)設定されている。LILC42の端子42aはドライバ41の出力端子に接続されており、端子42bはレシーバ45の入力端子に接続されている。また、端子42cは、抵抗43を介してそれぞれグランドに接続されている。抵抗43は、LILC42においてパルス信号波が反射しないよう終端させるための抵抗(終端抵抗)であり、そのインピーダンスはドライバ41とLILC42とを接続する配線48aのインピーダンスと等しい。レシーバ45は、入力端子(ゲート端子)に入力された信号を電圧に変換するトランジスタである。LILC46は、不図示の電力源から供給される直流電圧Vdcの変動を抑え、パルス信号波からみた終端抵抗が一定値となるようにする素子である。
図28に、プリント基板上の配線パターンにLILC42を配置した状態を示す。端子42aは、ドライバ41の出力端子と接続された配線パターン40aに接続されている。端子42bは、レシーバ45のゲート端子に接続された配線パターン40bと接続されている。端子42cは、コイル43を介してグランドに接続された配線パターン40cに接続されており、端子42dは開放されている。
高周波終端回路の動作について説明する。図29に、ドライバ41が出力したパルス信号波が高周波終端回路を伝わる状態を示す。(a)に示すように、ドライバ41から出力されたパルス信号波は、配線48aとグランドとを含む線路を介してLILC42に到達する。LILC42に到達したパルス信号波のうち周波数が高くLILC42を線路と見なすことができる電磁波成分(高周波信号4a)は、配線48aのインピーダンスとLILC42のインピーダンスとの不整合の影響を受ける。ここで、Z0/Z4≒0であるため高周波信号はLILC42の内部に侵入することができない。しかし、本実施形態においては、端子42cに終端抵抗(抵抗43)が接続されているため、(b)に示すように高周波信号はLILC42の一対の導体のうち抵抗43が接続されている一方(端子42cと端子42dとを備えた導体)とグランドとを含む線路を介してレシーバ45側に伝搬する。レシーバ45側に伝搬した高周波信号は、配線48bとグランドとを含む線路を介してレシーバ45のゲート端子に入る。
一方、LILC42に到達したパルス信号波のうち周波数が低い電磁波成分(低周波信号)は、配線48aのインピーダンスとLILC42のインピーダンスとの不整合の影響を受けることなくLILC42の内部に侵入できるため、LILC42の誘電体の部分を通ってレシーバ45側に伝搬し、配線48bとグランドとを含む線路を介してレシーバ45のゲート端子に入る。また、直流信号は、LILC42の導体の部分を通ってレシーバ45側に透過し、配線48bを通ってレシーバ45のゲート端子に入る。
このため、(c)に示すように、ドライバ41が出力したパルス信号波の全ての周波数成分がレシーバ45のゲート端子に入力されることとなり、ドライバ41が発したパルス信号波の波形がレシーバ45のゲート端子に入力信号において忠実に再現される。よって、レシーバ45はドライバ41が出力したパルス信号と同一の波形の信号波に基づいて作動する。
ディジタル回路においては、信号電磁波がHiレベルとLowレベルとの間を往復するが、データ系の信号電磁波の場合には信号がHiレベルやLowレベルで止まった状態が長時間維持され、直流電流が流れ続けることがある。このような場合に直流電流が終端抵抗に流れてしまうと、信号が出力されている間は電力を消費してしまうこととなる。
また、伝送線路の線路長よりも1/4波長が長い電磁波が伝送線路を伝わる場合には、この電磁波を波と見なすことができないため、終端抵抗において整合終端されずに電力を消費してしまう。
このためディジタル回路においては、伝送線路の線路長よりも1/4波長が長い電磁波や直流電流が終端抵抗に流れないようにして、電力が無駄に消費されることを抑制する必要がある。
伝送線路と終端抵抗との間にコンデンサを直列に接続した場合、終端抵抗の抵抗値とコンデンサの容量とで定まる時定数と比較して、信号電磁波の立ち上がり時間が短ければ(1/5以下)、コンデンサの電圧変動を無視できる。この場合は、信号電磁波が伝搬する伝送線路からコンデンサは見えず、終端抵抗のみで終端されていると見なすことができる。
信号電磁波が終端抵抗のみで終端されていると見なせる場合、コンデンサの電圧変動を無視できる最低周波数の電磁波の1/4波長よりも伝送線路の線路長が短ければ、整合終端されない周波数成分の電磁波及び直流電流が終端抵抗に流れないようにできる。
例えば、比誘電率εr=4であるプリント基板上において、伝送線路と抵抗値が80Ωの終端抵抗との間に0.1μFのコンデンサを直列に挿入した場合、電源のインピーダンスを無視するとCRの時定数は8μsとなる。立ち上がり時間が8μs×1/5=1.6μsの正弦波の周波数fは約100KHzであり、その1/4波長は、λ/4=(c/f)・(1/√εr)・(1/4)=375mである(ただし、cは光速)。
通常、プリント基板上の伝送線路の線路長はこれより短いため、整合終端されない周波数成分の電磁波及び直流電流が終端抵抗に流れない。
しかし、上述のように、コンデンサは所定周波数を超えると寄生素子の影響を受けてインピーダンスが高くなる性質があり、高周波帯域においては終端抵抗との合成値が大きくなる。よって、コンデンサを用いて終端回路を構成した場合、高周波帯域においては信号波の波形に歪みが生じてしまう。
一方、LILCは高周波帯域においてもインピーダンスが増加しないため、本実施形態に係る高周波終端回路のようにLILCを用いて終端回路を形成すれば、高周波信号を含む広い周波数帯域の電磁波を波形歪みを生じさせることなく整合終端することが可能となる。
なお、LILCを線路と見なすことができない低周波信号に関しては、LILCがコンデンサと同様に作用するため、コンデンサを介して終端抵抗を接続した場合と同様に整合終端が可能となる。さらに、終端抵抗はドライバとは直流電流的には分離された側の導体に接続されているため、終端抵抗に直流電流が流れることはない。
このように、本実施形態に係る高周波終端回路においては、広い周波数帯域に亘って所定値以下のインピーダンスを示すLILCの端子に終端抵抗が接続されており、これによってパルス信号の全ての周波数成分が整合終端されるため、一部の周波数成分が終端されずにリンギングを発生させ、レシーバを作動させてしまうことが無くなる。また、終端抵抗は、ドライバとは直流電流的には絶縁されているため、ドライバがHiやLowの信号を出力しつづけても、終端抵抗に直流電流が流れることはなく、電力を無駄に消費しない。
〔第10の実施形態〕
本発明を好適に実施した第10の実施形態について説明する。図30に本発明を適用した高周波終端回路の構成を示す。この回路は第9の実施形態と同様に終端抵抗を介して信号回路をグランドに接続したプルダウン型の終端回路であり、端子42cが開放され、端子42dが抵抗44を介してグランドに接続されている他は第9の実施形態と同様である。抵抗44のインピーダンスは、LILC42とレシーバ45とを接続する導体48bのインピーダンスと等しい。
図31に、プリント基板上の配線パターンにLILC42を配置した状態を示す。端子42aは、ドライバ41の出力端子と接続された配線パターン40aに接続されている。端子42bは、レシーバ45のゲート端子に接続された配線パターン40bと接続されている。端子42cは開放されており、端子42dはコイル44を介してグランドに接続された配線パターン40dと接続されている。
高周波終端回路の動作について説明する。ドライバ41が出力したパルス信号波が高周波終端回路を伝わる状態は、第9の実施形態と同様であり、LILC42の端子42dには抵抗44が接続されているため、高周波信号もレシーバ45のゲート端子に入る。このため、ドライバ41が出力したパルス信号波の全ての周波数成分がレシーバ45のゲート端子に入力されることとなり、ドライバ41が発したパルス信号波がレシーバ45において忠実に再現される。
第9の実施形態と同様に、本実施形態に係る高周波終端回路においては、広い周波数帯域に亘って所定値以下のインピーダンスを示すLILCの端子に終端抵抗が接続されており、これによってパルス信号の全ての周波数成分が整合終端されるため、一部の周波数成分が終端されずにリンギングを発生させ、レシーバを作動させてしまうことが無くなる。また、終端抵抗は、ドライバとは直流電流的には絶縁されているため、ドライバがHiやLowの信号を出力しつづけても、終端抵抗に直流電流が流れることはなく、電力を無駄に消費しない。
〔第11の実施形態〕
本発明を好適に実施した第11の実施形態について説明する。図32に本発明を適用した高周波終端回路の構成を示す。この回路は第9の実施形態と同様に終端抵抗を介して信号回路をグランドに接続したプルダウン型の終端回路であり、端子42dが抵抗44を介してグランドに接続されている他は第9の実施形態と同様である。抵抗44のインピーダンスは、LILC42とレシーバ45とを接続する配線48bのインピーダンスと等しい。
図33に、プリント基板上の配線パターンにLILC42を配置した状態を示す。端子42aは、ドライバ41の出力端子と接続された配線パターン40aに接続されている。端子42bは、レシーバ45のゲート端子に接続された配線パターン40bに接続されている。端子42cは抵抗43を介してグランドに接続された配線パターン40cと、端子42dは抵抗44を介してグランドに接続された配線パターン40dとそれぞれ接続されている。
本実施形態に係る高周波終端回路の動作は、第9の実施形態及び第10の実施形態とほぼ同様であるが、LILC42の入り口側及び出口側の両方に終端抵抗が接続されているため、ドライバ41が出力するパルス電磁波をより確実に終端することが可能となる。
〔第12の実施形態〕
本発明を好適に実施した第12の実施形態について説明する。図34に本発明を適用した高周波終端回路の構成を示す。この回路は終端抵抗を介して信号回路を電力源に接続したプルアップ型の終端回路である。
本実施形態に係る高周波終端回路は、ドライバ51、LILC52、抵抗53、レシーバ55、LILC56及びLILC57を有する。
ドライバ51は、第1の実施形態のドライバ51と同様であり、出力端子から信号電磁波を出力する。LILC52は一対の導体が誘電体を挟んで対向した四端子の線路構造の素子であり、特性インピーダンスZ0は、ドライバ51とLILC52とを接続する配線58aの特性インピーダンスZ5と比較して極めて小さく(Z0/Z5≒0)設定されている。LILC52は、ドライバ51が出力するパルス電磁波の全ての周波数成分を対象周波数帯域に含む。LILC52の端子52aは、抵抗53を介してそれぞれLILC56の端子56bに接続されている。また、端子52bは開放されている。また、端子52cはドライバ51の出力端子に接続されており、端子52dはレシーバ55のゲート端子に接続されている。抵抗53は、LILC52においてパルス信号波が反射しないよう終端させるための抵抗(終端抵抗)であり、そのインピーダンスはドライバ51とILC52とを接続する配線58aのインピーダンスと等しい。レシーバ55は、ゲート端子に入力された信号を電圧に変換するための素子である。LILC56、57は、不図示の電力源から供給される直流電圧Vdcの変動を抑え、パルス信号波からみた終端抵抗が一定値となるようにする素子である。
図35に、プリント基板上の配線パターンにLILC52を配置した状態を示す。端子52aは抵抗53を介してLILC56の端子56bに接続された配線パターン50aと接続されており、端子42bは開放されている。端子52cは、ドライバ51の出力端子と接続された配線パターン50cに接続されている。端子52dは、レシーバ55のゲート端子に接続された配線パターン50dと接続されている。
この終端回路においては、LILC52に接続された終端抵抗53は、LILC56の端子56bに接続されており、端子56bと対向する端子56dはグランドに接続されている。LILC56は低インピーダンスであるため、抵抗53は高周波的にはグランドに接続されているものと見なすことができる。
高周波終端回路の動作について説明する。図36に、ドライバ51が出力したパルス信号波が高周波終端回路を伝わる状態を示す。(a)に示すように、ドライバ51から出力されたパルス信号波は、配線58aとグランドとを含む線路を介してLILC52に到達する。LILC52に到達したパルス信号波のうち周波数が高くLILC52を線路と見なすことができる電磁波成分(高周波信号5a)は、配線58aのインピーダンスとLILC52のインピーダンスとの不整合の影響を受ける。ここで、Z0/Z5≒0であるため高周波信号はLILC52の内部に侵入することができない。しかし、本実施形態においては、端子52aに終端抵抗(抵抗53)が接続されているため、(b)に示すように高周波信号はLILC52の一対の導体のうち抵抗53を介してグランドに接続されていると見なされる導体とグランドを含む線路を介してレシーバ55側に伝搬する。(c)に示すように、レシーバ55側に伝搬した高周波信号5aは、導体58bとグランドとを含む線路を介してレシーバ55のゲート端子に入る。
一方、LILC52に到達したパルス信号波のうち周波数が低い電磁波成分(低周波信号)は、配線58aのインピーダンスとLILC52のインピーダンスとの不整合の影響を受けることなくLILC52の内部に侵入できるため、(b)に示すようにLILC52の誘電体の部分を通ってレシーバ55側に伝搬し、(c)に示すように導体58bとグランドとを含む線路を介してレシーバ55のゲート端子に入る。また、直流信号は、LILC52の一対の導体のうち抵抗53が接続されていない一方(端子52a及び端子52bを備える導体)を通ってレシーバ55側に透過し、配線58bを通ってレシーバ55のゲート端子に入る。
このため、ドライバ51が出力したパルス信号波の全ての周波数成分がレシーバ55のゲート端子に入力されることとなり、ドライバ51が発したパルス信号波の波形がレシーバ55のゲート端子に入力信号において忠実に再現される。よって、レシーバ55はドライバ51が出力したパルス信号と同一の波形の信号波に基づいて作動する。
第9の実施形態と同様に、本実施形態に係る高周波終端回路においては、広い周波数帯域に亘って所定値以下のインピーダンスを示すLILCの端子に終端抵抗が接続されており、これによってパルス信号の全ての周波数成分が整合終端されるため、一部の周波数成分が終端されずにリンギングを発生させ、レシーバを作動させてしまうことが無くなる。また、終端抵抗は、ドライバとは直流電流的には絶縁されているため、ドライバがHiやLowの信号を出力しつづけても、終端抵抗に直流電流が流れることはなく、電力を無駄に消費しない。
〔第13の実施形態〕
本発明を好適に実施した第13の実施形態について説明する。図37に本発明を適用した高周波終端回路の構成を示す。この回路は終端抵抗を介して信号回路を電力源に接続したプルアップ型の終端回路であり、端子52aが開放され、端子52bが抵抗54を介してLILC56の端子56bに接続されている他は第12の実施形態と同様である。抵抗54のインピーダンスは、LILC54とレシーバ55とを接続する配線58bのインピーダンスと等しい。
図38に、プリント基板上の配線パターンにLILC42を配置した状態を示す。端子52aは開放されており、端子52bは抵抗54を介してLILC56の端子56bに接続された配線パターン50bと接続されている。端子52cは、ドライバ51の出力端子と接続された配線パターン50cに接続されている。端子52dは、レシーバ55のゲート端子に接続された配線パターン50dと接続されている。
この終端回路においては、LILC52に接続された終端抵抗54は、LILC56の端子56bに接続されており、端子56bと対向する端子56dはグランドに接続されている。LILC56は低インピーダンスであるため、抵抗54はグランドに接続されているものと見なすことができる。
高周波終端回路の動作について説明する。ドライバ51が出力したパルス信号波が高周波終端回路を伝わる状態は、第12の実施形態と同様であり、ドライバ51が出力したパルス信号波の全ての周波数成分がレシーバ55のゲート端子に入力されることとなり、ドライバ51が発したパルス信号波の波形がレシーバ55のゲート端子に入力信号において忠実に再現される。よって、レシーバ55はドライバ51が出力したパルス信号と同一の波形の信号波に基づいて作動する。
第9の実施形態と同様に、本実施形態に係る高周波終端回路においては、広い周波数帯域に亘って所定値以下のインピーダンスを示すLILCの端子に終端抵抗が接続されており、これによってパルス信号の全ての周波数成分が整合終端されるため、一部の周波数成分が終端されずにリンギングを発生させ、レシーバを作動させてしまうことが無くなる。また、終端抵抗は、ドライバとは直流電流的には絶縁されているため、ドライバがHiやLowの信号を出力しつづけても、終端抵抗に直流電流が流れることはなく、電力を無駄に消費しない。
〔第14の実施形態〕
本発明を好適に実施した第14の実施形態について説明する。図39に本発明を適用した高周波終端回路の構成を示す。この回路は終端抵抗を介して信号回路を電力源に接続したプルアップ型の終端回路であり、端子52bが抵抗54を介してグランドに接続されている他は第12の実施形態と同様である。抵抗54のインピーダンスは、LILC54とレシーバ55とを接続する配線58bのインピーダンスと等しい。
図40に、プリント基板上の配線パターンにLILC52を配置した状態を示す。端子52aはコイル53を介してLILC56の端子56bに接続された配線パターン50aと接続されている。端子52bは、コイル54を介してLILC56の端子56bに接続された配線パターン50bに接続されている。端子52cは、ドライバ51の出力端子と接続された配線パターン50cに接続されている。端子52dは、レシーバ55のゲート端子に接続された配線パターン50dと接続されている。
本実施形態に係る高周波終端回路の動作は、第12の実施形態及び第13の実施形態とほぼ同様であるが、LILC52の入り口側及び出口側の両方に終端抵抗が接続されているため、ドライバ51が出力するパルス電磁波をより確実に終端することが可能となる。
なお、上記実施形態は本発明の好適な実施の一例であり本発明はこれらに限定されることはない。
例えば、上記実施形態においては、LPF回路やHPF回路は一次の構成を例に説明を行ったが、高次のLPF回路やHPF回路に本発明を適用することも可能である。
接続する場合を例に説明を行ったが、電源及びグランドの両方に終端抵抗を接続してテブナン接続としても良い。
また、ドライバやレシーバなどは上記各実施形態に示した構成に限定されることはない。
このように、本発明は様々な変形が可能である。
以上の説明によって明らかなように、本発明によれば、広い周波数帯域に亘って所望の回路特性が得られる広帯域回路を少ない回路素子数で構成できる。
Claims (23)
- 信号伝送用導体と接地導体とこれらの導体の間に介在する誘電体とを含む伝送線路を介して回路素子が接続された広帯域回路であって、
一対の導体が対向した四端子の線路構造で、いずれの端子に接続される導電体よりもインピーダンスが低く誘電体の透過損失としてのtanδを0.05以上とした、線路の長さのおよそ4倍よりも波長が短い電磁波の周波数帯域を対象周波数帯域とする線路素子が前記伝送線路に挿入され、前記対象周波数帯域の電磁波に対する低インピーダンス素子として用いられたことを特徴とする広帯域回路。 - 前記線路素子が挿入された前記伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、
前記伝送線路に挿入された線路素子は、前記信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を前記対象周波数帯域に含み、
前記線路素子の一対の導体の一方は、一端が前記信号源の出力端子に、他端が前記受動素子の入力端子にそれぞれ接続され、他方は両端ともグランドに接続されたことを特徴とする請求項1記載の広帯域回路。 - 前記信号源と前記線路素子とが前記対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子を介して接続されたことを特徴とする請求項2記載の広帯域回路。
- 前記信号源と前記線路素子とが抵抗を介して接続されたことを特徴とする請求項2記載の広帯域回路。
- 前記信号源から前記線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、
前記線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、前記線路素子によって反射され、
前記線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、前記線路素子を介して前記受動素子側に伝搬し、
直流成分は、前記線路素子の一対の導体のうち前記信号源及び前記受動素子に接続された一方を介して前記受動素子側に透過することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項記載の広帯域回路。 - 前記線路素子が挿入された前記伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、
前記伝送線路に挿入された線路素子は、前記信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を前記対象周波数帯域に含み、
前記線路素子の一対の導体の一方は、一端が前記信号源の出力端子に接続されるとともに他端が電気的に開放され、他方は前記受動素子側の端が該受動素子の入力端子に接続されるとともに、少なくとも一端が前記対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子を介してグランドに接続されたことを特徴とする請求項1記載の広帯域回路。 - 前記線路素子が挿入された前記伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、
前記伝送線路に挿入された線路素子は、前記信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を前記対象周波数帯域に含み、
前記線路素子の一対の導体の一方は、一端が前記信号源の出力端子に接続されるとともに他端は電気的に開放され、他方は前記受動素子側の端が該受動素子の入力端子に接続されるとともに、少なくとも一端が抵抗を介してグランドに接続されたことを特徴とする請求項1記載の広帯域回路。 - 前記信号源から前記線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、
前記線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該線路素子の一対の導体のうち前記受動素子の入力端子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して前記受動素子側に伝搬し、
前記線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該線路素子内に侵入して減衰することを特徴とする請求項6又は7記載の広帯域回路。 - 第1及び第2の前記線路素子が挿入された前記伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、
前記第1及び第2の線路素子は、前記信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を各々の前記対象周波数帯域にそれぞれ含み、
前記第1の線路素子の一対の導体の一方は、一端が前記信号源の出力端子に接続されるとともに他端が電気的に開放され、他方は前記信号源と反対側の端が前記第2の線路素子の一対の導体の一方に接続されるとともに、少なくとも一端が該第1の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介してグランドに接続され、
前記第2の線路素子の一対の導体のうち一端が前記第1の線路素子と接続された一方は、他端が前記受動素子の入力端子に接続され、他方は両端ともグランドに接続されたことを特徴とする請求項1記載の広帯域回路。 - 前記第1の線路素子と前記第2の線路素子とが、該第2の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介して接続されたことを特徴とする請求項7記載の広帯域回路。
- 前記信号源から前記第1の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち
前記第1の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第1の線路素子の一対の導体のうち前記第2の線路素子の導体と接続された一方とグランドとを含む線路を介して前記第2の線路素子側に伝搬し、
前記第1の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該線路素子内に侵入して減衰し、
前記第2の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、
該第2の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第2の線路素子によって反射され、
該第2の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、前記第2の線路素子を介して前記受動素子側に伝搬することを特徴とする請求項9又は10記載の広帯域回路。 - 第1及び第2の前記線路素子が挿入された前記伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、
前記第1及び第2の線路素子は、前記信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を各々の前記対象周波数帯域にそれぞれ含み、
前記第1の線路素子の一対の導体の一方は、一端が前記信号源の出力端子に、他端が前記第2の線路素子の一対の導体の一方にそれぞれ接続され、他方は両端ともグランドに接続され、
前記第2の線路素子の一対の導体のうち一端が前記第1の線路素子と接続された一方は、他端が電気的に開放され、他方は前記受動素子側の端が該受動素子の入力端子に接続されるとともに、少なくとも一端が該第2の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介してグランドに接続されたことを特徴とする請求項1記載の広帯域回路。 - 前記信号源から前記第1の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、
前記第1の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第1の線路素子によって反射され、
前記第1の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該第1の線路素子を介して前記第2の線路素子側に伝搬し、
前記第2の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、
前記第2の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第2の線路素子の一対の導体のうち前記受動素子の入力端子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して前記受動素子側に伝搬し、
前記第2の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該第2の線路素子内に侵入して減衰することを特徴とする請求項12記載の広帯域回路。 - 第1及び第2の前記線路素子が挿入された前記伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、
前記第1及び第2の線路素子は、前記信号電磁波のスペクトルの少なくとも一部を各々の前記対象周波数帯域にそれぞれ含み、
前記第1の線路素子の一対の導体の一方は、一端が前記信号源の出力端子に、他端が前記受動素子の入力端子にそれぞれ接続され、他方は両端ともグランドに接続され、
前記第2の線路素子の一対の導体の一方は、一端が前記信号源の出力端子に接続されるとともに他端が電気的に開放され、他方は前記受動素子側の端が該受動素子の入力端子に接続されるとともに、少なくとも一端が該第2の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介してグランドに接続されたことを特徴とする請求項1記載の広帯域回路。 - 前記信号源から前記第1の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、
前記第1の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第1の線路素子の一対の導体のうち前記受動素子の入力端子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して前記受動素子側に伝搬し、
前記第1の線路素子の対象周波数帯域外の周試数成分は、該第1の線路素子内に侵入して減衰し、
前記信号源から前記第2の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、
前記第2の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第2の線路素子によって反射され、
前記第2の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該第2の線路素子を介して前記受動素子側に透過することを特徴とする請求項14記載の広帯域回路。 - 前記信号源と前記第1の線路素子とが、該第1の線路素子の対象周波数帯域においてリアクタンス成分を主として有する素子又は抵抗を介して接続されたことを特徴とする請求項12から15のいずれか1項記載の広帯域回路。
- 前記線路素子が挿入された前記伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続された広帯域回路であって、
前記伝送線路に挿入された線路素子は、前記信号電磁波のスペクトルを前記対象周波数帯域に含み、
前記線路素子の一対の導体の一方は、一端が前記信号源の出力端子に他端が前記受動素子の入力端子にそれぞれ接続され、他方は少なくとも一端が終端抵抗を介してグランドに接続されたことを特徴とする請求項1記載の広帯域回路。 - 前記信号源から前記線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、
前記線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該線路素子の一対の導体のうち前記信号源及び前記受動素子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して前記受動素子側に伝搬し、
前記線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該線路素子を介して前記受動素子側に伝搬し、
直流成分は、前記線路素子の一対の導体のうち前記信号源及び前記受動素子に接続された一方を介して前記受動素子側に透過することを特徴とする請求項17記載の広帯域回路。 - 第1の前記線路素子が挿入された前記伝送線路によって、信号電磁波を出力する信号源と入力された信号に応じて作動する受動素子とが接続され、前記信号源に電力を供給する電力源と前記第1の線路素子とが第2の線路素子を介して接続された広帯域回路であって、
前記第1及び第2の線路素子は、前記信号電磁波のスペクトルを前記対象周波数帯域に含み、
前記第1の線路素子の一対の導体の一方は、一端が信号源の出力端子に他端が受動素子の入力端子にそれぞれ接続され、他方は少なくとも一端が、終端抵抗を介して前記第2の線路素子に接続され、
前記第2の線路素子の一対の導体の一方は、一端が前記終端抵抗を介して前記第1の線路素子に接続され、他端が前記電力源に接続され、他方は両端ともグランドに接続されたことを特徴とする請求項1記載の広帯域回路。 - 前記信号源から前記第1の線路素子まで伝搬した信号電磁波のうち、
前記第1の線路素子の対象周波数帯域内の周波数成分は、該第1の線路素子の一対の導体のうち前記信号源及び前記受動素子に接続された一方とグランドとを含む線路を介して前記受動素子側に伝搬し、
前記第1の線路素子の対象周波数帯域外の周波数成分は、該第1の線路素子を介して前記受動素子側に伝搬し、
直流成分は、前記第1の線路素子の一対の導体のうち前記信号源及び前記受動素子に接続された一方を介して前記受動素子側に透過することを特徴とする請求項19記載の広帯域回路。 - 前記終端抵抗は、該終端抵抗が接続されていない前記線路素子の導体の該終端抵抗が接続された側の端に接続される信号伝送用導体と等しい抵抗値を備えることを特徴とする請求項17から20のいずれか1項記載の広帯域回路。
- 前記信号源と、該信号源に電力を供給する電力源とを接続する電力供給線路に前記線路素子がさらに配置され、
前記電力供給線路に配置された前記線路素子の前記一対の導体の一方は、一端が前記信号源の電力端子に、他端が電力源に接続され、他方は両端ともグランドに接続されたことを特徴とする請求項17から21のいずれか1項記載の広帯域回路。 - 前記信号伝送用導体が配線パターンとして、前記接地導体がグランドプレーン及び該グランドプレーンに接続された配線パターンとして形成されたプリント基板上に、前記信号源及び前記受動素子が実装され、
該プリント基板に実装された前記線路素子は、前記一対の導体それぞれの少なくとも一端が前記信号伝送用導体及び前記接地導体の配線パターンに各々接続されて、前記伝送線路に挿入されたことを特徴とする請求項2から22のいずれか1項記載の広帯域回路。
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