JP4973521B2 - インピーダンス可変素子及び電子機器 - Google Patents
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Description
このようなインピーダンス不連続が信号伝送路上に存在していると、デジタル信号に含まれる周波数成分が、反射と伝送損失を起こすことになる。
そのため、伝送波形のアイ開口率の低下や、確定的ジッタの増大等、信号波形品質に関する様々な問題が表れている。
この手法では、素子と伝送線路とが電気的に結合しており、部品特性による制限と寄生成分が含まれてしまうことに加え、パッドやビア配線の影響や製造ばらつきを避けることができない。パッシブイコライザ技術においても、同様な課題を生じる。
しかし、この手法は、インピーダンス分布が未知であったり、個体ごとのばらつきを含んでいたりする場合には、対応していない。
この手法は、狭帯域の信号伝送には非常に有効である。
しかし、デジタル信号が広い帯域の周波数成分を含んでいるため、広帯域化のためには多段接続を要する場合が多い。そのため、小型化することは困難である。
しかし、この場合は、マイクロ波の伝送を目的としており、比誘電率の変化の大きさが中心周波数によって限定され、効果は狭い帯域に限定される。
また、電圧を信号導体に印加するために、一般的なデジタル信号伝送においては、線路の一部をDC的に分離して、C結合(容量結合)させる必要がある。
また、対応可能な周波数帯域が狭くなっており、広い帯域の周波数に対応することが難しかった。
また、導体が誘電体材料を挟んで信号伝送線路と対向し、信号伝送線路とは電気的に独立していることにより、導体からの電圧の印加によって誘電体材料の電気的特性を大きく変化させることが可能になり、インピーダンスの調整範囲を大幅に広くすることができ、誘電体材料の電気的特性を最適化させることができる。これにより、信号伝送線路内を伝送される信号に含まれる周波数成分に対する、反射係数を低減することができる。
これにより、反射波の受信端側への伝播を、低減・抑制することができる。
さらにまた、インピーダンス分布が未知であったり、個体ごとのばらつきを含んでいたりする場合にも、対応することが可能になる。
特に、消費者向けの機器において、デジタル信号伝送の際に発生する確定的ジッタの低減とアイ開口率の向上とが期待できる。
このような材料としては、例えば、通常の液晶材料やゲル化した液晶材料、誘電異方性を持つ誘電体材料(電圧印加によって異方性を示す誘電体材料)や高分子材料、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)やチタン酸バリウム等の圧電材料や強誘電体材料、等が挙げられる。
また、本発明を、差動伝送線路へ適用することも可能である。
そこで、信号伝送線路と、この信号伝送線路に接続された電子部品とを有する電子機器において、特に、インピーダンス不連続を生じている箇所の近傍に、誘電体材料と電極とから構成されるインピーダンス可変素子を配置することにより、電極への印加電圧の制御によって特定の電気的特性を最適化させることができる。
これにより、伝送する高速信号に含まれる周波数成分に対する、反射係数を低減することができる。
従って、反射波の受信端側への伝播を、低減・抑制することができるので、アイパターンの開口率保持とジッタ抑制とを実現することができる。
これに対して、本発明では、電圧を印加するための導体を、信号導体とは別途に電気的に独立して設けて、この別途に設けた導体に電圧を印加することによって、誘電体材料の誘電率を変化させる。これにより、信号伝送線路(信号導体)に電圧を印加する前記特許文献2に記載された構成と比較して、誘電率を大きく変化させることができ、広い周波数帯域に対して効果が得られる。
また、インピーダンス分布が未知であったり、個体ごとのばらつきを含んでいたりする場合にも、対応することが可能になる。
そのため、インピーダンス可変素子の中心インピーダンスを決定しておくことが望ましい。
ここで、マイクロストリップラインを例として、特性インピーダンスZ0と実効比誘電率εreffの近似式を以下に示す。この近似式では、比誘電率をεrとし、導体の幅をwとし、導体の厚さをtとし、誘電体の厚さをhとしている。
元々存在するインピーダンス不連続の4端子パラメータ(Sパラメータ等)が既知である場合には、そのF行列Fxを導出して、デジタル信号に含まれる周波数帯域の中で、インピーダンス可変素子のF行列Fとの縦続接続Fs=Fx・Fから導かれる、反射係数S11が最小となるようなインピーダンスとすれば良い。
このような配置により、伝送線路の両端での波形改善が可能であり、双方向伝送を行う場合等においては、この構成とする。
例えば、チューナーブロックや各種マザーボード等の、複数の製品に共通する回路ブロックや高速信号I/F回路に適用する場合に有効である。
また、例えば、本発明のインピーダンス可変素子を搭載した回路に対して、接続する回路の特性が異なっている場合にも有効である。
例えば、出荷時に、抜き取り検査を行って、インピーダンスの中心値を確定することにより、製造ばらつきを抑えることができる。
また、伝送特性、波形、インピーダンスをモニタリングする回路を適用し、インピーダンス調整回路にフィードバックさせることにより、誘電体の温度湿度変化、温度による半導体の特性変化等、動作状態や環境変化に伴う波形劣化を回避することが可能になる。
本実施の形態は、基板内にマイクロストリップ形状のインピーダンス可変素子を配置したものである。
電極21は、絶縁体(誘電体)23によって、リファレンスGND導体22(GND)とは絶縁されている。
そして、電極21には、外部から電圧VBが印加される構成となっている。
図1Bに示すように、強誘電体層12の表層に接して信号線11が配置され、下層にリファレンスGND導体22(GND)と電極21とが配置されている。
図1A及び図1Bに示す構造により、信号線11と電極21との電位差を利用して、強誘電体層12に電場を印加することができる。
従って、本実施の形態のインピーダンス可変素子によれば、インピーダンス不連続が存在している信号線11において、伝送特性を改善することが可能になる。
また、例えば、電極とリファレンスGNDとを、コンデンサ等で容量結合させておいても良い。
2つのインピーダンス可変素子1,2の詳細な構成は、図1A〜図1Bに示したインピーダンス可変素子と同様である。
図2A及び図2Bに示すように、左の第1のインピーダンス可変素子1は、インピーダンスがZ1であり、右の第2のインピーダンス可変素子2は、インピーダンスがZ2である。また、バリスタ100が接続された部分の信号線11のインピーダンスはZaであり、外側の部分の信号線11のインピーダンスはZ0である。
第2のインピーダンス可変素子2の電極21には、外部から第2の電圧V2が供給される。
これにより、信号線11の電気的特性を最適化して、反射係数を低減し、バリスタ100によるインピーダンス不連続に起因する、反射波の受信端側への伝播を低減・抑制することが可能になる。
本実施の形態は、信号導体の周辺に強誘電体を配置したストリップライン構造として、さらに素子をパッケージ化したものである。
そして、各電極25,26の外側に、絶縁層(誘電体層)27を介して、リファレンスGND導体24(GND)で挟み込んで、容量結合させている。
下層の電極25には、端子T3が設けられている。上層の電極26には、端子T4が設けられている。これらの端子T1,T2,T3,T4が、それぞれ、インピーダンス可変素子30の外部と電気的に接続できるように構成されている。
また、リファレンスGND導体24(GND)に対しては、GNDの端子T5(図3D参照)が設けられる。
このように、信号線11・強誘電体層12・電極25,26をパッケージ化して、インピーダンス可変素子30を部品化したことにより、電子機器の様々な箇所に、容易に設置することができる。
従って、本実施の形態のインピーダンス可変素子30によれば、インピーダンス不連続が存在している信号線11において、伝送特性を改善することが可能になる。
2つのインピーダンス可変素子31,32の詳細な構成は、図3A〜図3Dに示したインピーダンス可変素子30と同じである。
図4A及び図4Bに示すように、左の第1のインピーダンス可変素子31は、インピーダンスがZ1であり、右の第2のインピーダンス可変素子32は、インピーダンスがZ2である。また、バリスタ100が接続された部分の信号線11のインピーダンスはZaであり、外側の部分の信号線11のインピーダンスはZ0である。
第2のインピーダンス可変素子32には、外部から、電圧V2Hと電圧V2Lとが、それぞれの電極(図3の電極25,26に相当)に供給される。
これにより、信号線11の電気的特性を最適化して、反射係数を低減し、バリスタ100によるインピーダンス不連続に起因する、反射波の受信端側への伝播を低減・抑制することが可能になる。
ただし、信号用導体と電圧印加用の導体とは、電気的に独立した別々の導体とする。
このように誘電体層の同一主面側に、信号用導体と電圧印加用の導体とをそれぞれ設けた構成としても、信号伝送に伴う電磁界が誘電体層内に存在するので、電圧印加による実効比誘電率変化の影響を受けることから、電圧印加によりインピーダンスを変化させることが可能になる。
なお、信号用導体を電圧印加用の導体と兼用し、信号用導体に電圧を印加する構成とすると、信号用導体をコンデンサとの結合等で分離する必要があり、かえって部品点数が増えたり、コンデンサ自体にインピーダンス不連続を生じる虞があったりするので、好ましくない。
ここで、インダクタンスが3[nH]であるインダクタの両端に、本発明のインピーダンス可変素子を適用した構成を作製して、特性を調べた。
そして、本発明を適用した適用後の場合と、適用前のインダクタの場合とにおいて、それぞれの反射特性S11を図5Aに示し、それぞれの透過特性S21を図5Bに示す。
図5Aに示すように、本発明を適用した場合には、反射特性S11を低減することができることがわかる。そして、特に、周波数が3GHz以下では、大幅に低減することができることがわかる。
図5Bに示すように、本発明を適用した場合には、周波数による透過特性S11のばらつきを低減して、広い周波数範囲で安定した透過特性S11を得ることが可能になる。
そして、この伝送線路に、3.0Gbpsの擬似ランダム信号を供給した場合の伝送波形を、図7Aに示す。
また、この伝送線路に対して本発明を適用した構成に、同じ擬似ランダム信号を供給した場合の伝送波形を、図7Bに示す。
図7Aと図7Bとを比較してわかるように、本発明を適用することによって、良好なアイパターン開口率を実現することができる。
Claims (9)
- 信号伝送線路と、
前記信号伝送線路に接して設けられた、電圧の印加によって電気的特性が変化する誘電体材料と、
前記誘電体材料に電圧を印加するための導体とを有し、
前記導体によって前記誘電体材料に電圧を印加して、インピーダンスを変化させることが可能であり、
前記導体が、前記誘電体材料を挟んで前記信号伝送線路と対向し、前記信号伝送線路の延びる方向と直交する方向に延びて形成され、前記信号伝送線路とは電気的に独立している
インピーダンス可変素子。 - 前記導体と同一面に形成されたリファレンス導体をさらに有し、前記導体と前記リファレンス導体との間が絶縁体によって絶縁されている請求項1に記載のインピーダンス可変素子。
- 前記信号伝送線路と前記誘電体材料と前記導体とがパッケージ化されている請求項1に記載のインピーダンス可変素子。
- 前記信号伝送線路の上下にそれぞれ前記誘電体材料を介して前記導体が設けられ、各前記導体の前記信号伝送線路とは反対側に絶縁層を介してリファレンス導体が設けられている請求項3に記載のインピーダンス可変素子。
- 前記誘電体材料が、強誘電体である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインピーダンス可変素子。
- 信号伝送線路と、
前記信号伝送線路に接続された電子部品とを有する電子機器であって、
前記信号伝送線路と、前記信号伝送線路に接して設けられた、電圧の印加によって電気的特性が変化する誘電体材料と、前記誘電体材料に電圧を印加するための導体とから成り、前記導体によって前記誘電体材料に電圧を印加して、インピーダンスを変化させることが可能であり、前記導体が前記誘電体材料を挟んで前記信号伝送線路と対向し、前記信号伝送線路の延びる方向と直交する方向に延びて形成され、前記信号伝送線路とは電気的に独立している構成のインピーダンス可変素子を備えた
電子機器。 - 前記インピーダンス可変素子が前記導体と同一面に形成されたリファレンス導体をさらに有し、前記導体と前記リファレンス導体との間が絶縁体によって絶縁されている請求項6に記載の電子機器。
- 前記インピーダンス可変素子は、前記信号伝送線路と前記誘電体材料と前記導体とがパッケージ化され、前記信号伝送線路の上下にそれぞれ前記誘電体材料を介して前記導体が設けられ、各前記導体の前記信号伝送線路とは反対側に絶縁層を介してリファレンス導体が設けられている請求項6に記載の電子機器。
- 前記信号伝送線路がインピーダンス不連続を生じている箇所の近傍に、前記インピーダンス可変素子が設けられている請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の電子機器。
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