JPWO2004083494A1 - 複合加工装置及び方法 - Google Patents
複合加工装置及び方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2004083494A1 JPWO2004083494A1 JP2005503664A JP2005503664A JPWO2004083494A1 JP WO2004083494 A1 JPWO2004083494 A1 JP WO2004083494A1 JP 2005503664 A JP2005503664 A JP 2005503664A JP 2005503664 A JP2005503664 A JP 2005503664A JP WO2004083494 A1 JPWO2004083494 A1 JP WO2004083494A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- processing
- electrode
- substrate
- workpiece
- machining
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C25—ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
- C25F—PROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC REMOVAL OF MATERIALS FROM OBJECTS; APPARATUS THEREFOR
- C25F7/00—Constructional parts, or assemblies thereof, of cells for electrolytic removal of material from objects; Servicing or operating
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Electrochemistry (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)
- Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)
- Electroplating Methods And Accessories (AREA)
Abstract
本発明は、例えば銅膜等の導電性材料を、低面圧かつ高レートで、例えばピットの発生を効果的に防止しつつ、確実に加工できるようにした複合加工装置に関する。本発明の複合加工装置は、基板(W)を保持する基板ホルダ(42)と、基板の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する機械的加工部(82)と、イオン交換体(92)を備えた加工電極(86)を有し、イオン交換体(92)を基板(W)に接触させつつ加工電極(86)と基板(W)の間に電圧を印加して基板(W)を加工する電解加工部(84)とを個別に備えた加工テーブル(46)と、基板(W)と加工電極(86)の間、及び基板(W)と機械的加工部(82)の間に液体を供給する液体供給部(94)と、基板(W)と加工テーブル(46)とを相対移動させる駆動部を備えている。
Description
本発明は、複合加工装置及び方法に係り、特に半導体ウエハ等の基板表面に設けた配線用の微細な凹部に埋込んだ銅等の導電体(導電性材料)の表面を平坦化して埋込み配線を形成するのに使用される複合加工装置及び方法に関する。
近年、半導体ウエハ等の基板上に回路を形成するための配線材料として、アルミニウム又はアルミニウム合金に代えて、電気抵抗率が低くエレクトロマイグレーション耐性が高い銅(Cu)を用いる動きが顕著になっている。この種の銅配線は、基板の表面に設けた微細凹みの内部に銅を埋め込むことによって一般に形成される。この銅配線を形成する方法としては、化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング及びめっきといった手法があるが、いずれにしても、基板のほぼ全表面に銅を成膜して、化学機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により不要の銅を除去するようにしている。
図1A乃至図1Cは、この種の銅配線基板Wの一製造例を工程順に示す。図1Aに示すように、半導体素子が形成された半導体基材1上の導電層1aの上にSiO2からなる酸化膜やLow−k材膜などの絶縁膜2が堆積され、リソグラフィ・エッチング技術によりコンタクトホール3と配線溝(トレンチ)4が形成される。これらの上にTaN等からなるバリア膜5、更にその上に電解めっきの給電層としてシード層7がスパッタリングやCVD等により形成される。
そして、基板Wの表面に銅めっきを施すことで、図1Bに示すように、コンタクトホール3及び配線溝4内に銅を充填するとともに、絶縁膜2上に銅膜6を堆積する。その後、化学機械的研磨(CMP)により、絶縁膜2上の銅膜6、シード層7及びバリア膜5を除去して、コンタクトホール3及び配線溝4に充填させた銅膜6の表面と絶縁膜2の表面とをほぼ同一平面にする。これにより、図1Cに示すように銅膜6からなる配線が形成される。
また、最近ではあらゆる機器の構成要素において微細化かつ高精度化が進み、サブミクロン領域での物作りが一般的となるにつれて、加工法自体が材料の特性に与える影響は益々大きくなっている。このような状況下においては、従来の機械加工のように、工具が被加工物を物理的に破壊しながら除去していく加工方法では、加工によって被加工物に多くの欠陥を生み出してしまうため、被加工物の特性が劣化してしまう。したがって、いかに材料の特性を損なうことなく加工を行うことができるかが問題となってくる。
この問題を解決する手段として開発された特殊加工法に、化学研磨や電解加工、電解研磨がある。これらの加工方法は、従来の物理的な加工とは対照的に、化学的或いは電気化学的溶解反応を起こすことによって、除去加工等を行うものである。したがって、塑性変形による加工変質層や転位等の欠陥は発生せず、上述の材料の特性を損なわずに加工を行うといった課題が達成される。
電解加工として、イオン交換体を使用したものが開発されている。これは、被加工物の表面に、加工電極に取付けたイオン交換体と、給電電極に取付けたイオン交換体とを接触乃至近接させ、加工電極と給電電極との間に電源を介して電圧を印加しつつ、加工電極及び給電電極と被加工物との間に液体供給部から超純水等の液体を供給して、被加工物の表面層の除去加工を行うようにしたものである。
しかしながら、従来のイオン交換体を用いた電解加工では、イオン交換体で被加工物の取込みを行っており、このため、イオン交換体の内部に取込まれる被加工物の単位時間当たりの取込み量に限界があるばかりでなく、イオン交換体の再生や取換え作業等が必要となって、スループットが低下してしまう。また、例えば、イオン交換体と電極(加工電極及び給電電極)を用いた銅膜の電解加工(研磨)では、イオン交換体が直接銅を取込むと考えられているが、電解加工中、銅膜表面にCu2OやCuO等の不動態膜が形成されることがあり、この不動態膜は物理的に柔らかく、かつ非導電性のため、電解加工では除去効率が悪い。更に、被加工物の種類や加工条件などによっては、加工した面にピット(微小な穴)が形成されることがあるといった問題があった。
また、例えば、CMP工程は、一般にかなり複雑な操作が必要で、制御も複雑となり、加工時間もかなり長い。更に、研磨後の基板の後洗浄を十分に行う必要があるばかりでなく、スラリーや洗浄液の排液処理のための負荷が大きい等の課題がある。このため、CMP自体を省略乃至この負荷を軽減することが強く求められていた。今後、絶縁膜も誘電率の小さいLow−k材に変わると予想され、Low−k材にあっては、強度が弱くCMPによるストレスに耐えられなくなるため、基板にストレスを与えることなく、非接触で平坦化できるようにしたプロセスが望まれている。
なお、化学機械的電解研磨のように、めっきをしながらCMPで削るというプロセスも発表されているが、めっき成長面に機械加工が付加されることで、めっきの異常成長を促すことにもなり、膜質に問題を起こしていた。
また、前述した従来の電解加工や電解研磨では、被加工物と電解液(NaCl,NaNO3,HF,HCl,HNO3,NaOH等の水溶液)との電気化学的相互作用によって加工が進行するとされているが、その目的とするのは光沢面や鏡面の形成であり、サブミクロンレベルの均一或いは平坦な表面を形成する目的を満足するものではない。砥粒を電解液に混合しスラリーとして電解研磨する複合電解研磨も同様である。
図1A乃至図1Cは、この種の銅配線基板Wの一製造例を工程順に示す。図1Aに示すように、半導体素子が形成された半導体基材1上の導電層1aの上にSiO2からなる酸化膜やLow−k材膜などの絶縁膜2が堆積され、リソグラフィ・エッチング技術によりコンタクトホール3と配線溝(トレンチ)4が形成される。これらの上にTaN等からなるバリア膜5、更にその上に電解めっきの給電層としてシード層7がスパッタリングやCVD等により形成される。
そして、基板Wの表面に銅めっきを施すことで、図1Bに示すように、コンタクトホール3及び配線溝4内に銅を充填するとともに、絶縁膜2上に銅膜6を堆積する。その後、化学機械的研磨(CMP)により、絶縁膜2上の銅膜6、シード層7及びバリア膜5を除去して、コンタクトホール3及び配線溝4に充填させた銅膜6の表面と絶縁膜2の表面とをほぼ同一平面にする。これにより、図1Cに示すように銅膜6からなる配線が形成される。
また、最近ではあらゆる機器の構成要素において微細化かつ高精度化が進み、サブミクロン領域での物作りが一般的となるにつれて、加工法自体が材料の特性に与える影響は益々大きくなっている。このような状況下においては、従来の機械加工のように、工具が被加工物を物理的に破壊しながら除去していく加工方法では、加工によって被加工物に多くの欠陥を生み出してしまうため、被加工物の特性が劣化してしまう。したがって、いかに材料の特性を損なうことなく加工を行うことができるかが問題となってくる。
この問題を解決する手段として開発された特殊加工法に、化学研磨や電解加工、電解研磨がある。これらの加工方法は、従来の物理的な加工とは対照的に、化学的或いは電気化学的溶解反応を起こすことによって、除去加工等を行うものである。したがって、塑性変形による加工変質層や転位等の欠陥は発生せず、上述の材料の特性を損なわずに加工を行うといった課題が達成される。
電解加工として、イオン交換体を使用したものが開発されている。これは、被加工物の表面に、加工電極に取付けたイオン交換体と、給電電極に取付けたイオン交換体とを接触乃至近接させ、加工電極と給電電極との間に電源を介して電圧を印加しつつ、加工電極及び給電電極と被加工物との間に液体供給部から超純水等の液体を供給して、被加工物の表面層の除去加工を行うようにしたものである。
しかしながら、従来のイオン交換体を用いた電解加工では、イオン交換体で被加工物の取込みを行っており、このため、イオン交換体の内部に取込まれる被加工物の単位時間当たりの取込み量に限界があるばかりでなく、イオン交換体の再生や取換え作業等が必要となって、スループットが低下してしまう。また、例えば、イオン交換体と電極(加工電極及び給電電極)を用いた銅膜の電解加工(研磨)では、イオン交換体が直接銅を取込むと考えられているが、電解加工中、銅膜表面にCu2OやCuO等の不動態膜が形成されることがあり、この不動態膜は物理的に柔らかく、かつ非導電性のため、電解加工では除去効率が悪い。更に、被加工物の種類や加工条件などによっては、加工した面にピット(微小な穴)が形成されることがあるといった問題があった。
また、例えば、CMP工程は、一般にかなり複雑な操作が必要で、制御も複雑となり、加工時間もかなり長い。更に、研磨後の基板の後洗浄を十分に行う必要があるばかりでなく、スラリーや洗浄液の排液処理のための負荷が大きい等の課題がある。このため、CMP自体を省略乃至この負荷を軽減することが強く求められていた。今後、絶縁膜も誘電率の小さいLow−k材に変わると予想され、Low−k材にあっては、強度が弱くCMPによるストレスに耐えられなくなるため、基板にストレスを与えることなく、非接触で平坦化できるようにしたプロセスが望まれている。
なお、化学機械的電解研磨のように、めっきをしながらCMPで削るというプロセスも発表されているが、めっき成長面に機械加工が付加されることで、めっきの異常成長を促すことにもなり、膜質に問題を起こしていた。
また、前述した従来の電解加工や電解研磨では、被加工物と電解液(NaCl,NaNO3,HF,HCl,HNO3,NaOH等の水溶液)との電気化学的相互作用によって加工が進行するとされているが、その目的とするのは光沢面や鏡面の形成であり、サブミクロンレベルの均一或いは平坦な表面を形成する目的を満足するものではない。砥粒を電解液に混合しスラリーとして電解研磨する複合電解研磨も同様である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、例えば銅膜等の導電性材料を、低面圧かつ高レートで、例えばピットの発生を効果的に防止しつつ、確実に加工できるようにした複合加工装置及び方法を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、例えばCMP処理そのものを省略したり、CMP処理の負荷を極力低減しつつ、基板表面に設けられた導電性材料を平坦に加工したり、更には基板等の被加工物の表面に付着した付着物を除去(洗浄)できるようにした複合加工装置及び方法を提供することを第2の目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の複合加工方法は、基板を保持する基板ホルダと、基板の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する機械的加工部と、イオン交換体を備えた加工電極を有し、該イオン交換体を基板に接触させつつ前記加工電極と基板の間に電圧を印加して基板を加工する電解加工部とを個別に備えた加工テーブルと、基板と前記加工電極の間、及び基板と前記機械的加工部の間に液体を供給する液体供給部と、基板と前記加工テーブルとを相対移動させる駆動部を備えたことを特徴とする。
これにより、電解加工部による加工で基板の表面に形成された、物理的に柔らかく、かつ非導電性の不動態膜を機械的加工部で削り落とし、再び電解加工での加工を連続で繰返すことで、低面圧、高レートの加工が可能となる。また、機械的加工部で基板表面を機械的に加工することで、基板の表面に付着した気泡も不動態膜と同時に除去して、気泡の付着に伴うピットの発生を防止することができる。
本発明の好ましい一態様は、基板と前記加工テーブルが相対移動する時、前記加工電極が前記基板ホルダで保持された基板の被加工部位を通過し、該被加工部位を前記機械的加工部が続けて通過することを特徴とする。
これにより、電解加工部による電解加工と機械的加工部による機械的加工とを、交互かつ連続して行うことができる。
前記加工電極に続けて前記機械的加工部が基板の被加工部位を通過する時間は、1秒以内であることが好ましい。
これにより、例えば電解加工部の加工電極で基板の表面に形成された不動態膜を、機械的加工部による機械的加工で素早く除去して、基板の表面を平坦化することができる。
前記機械的加工部は、例えば、固定砥粒からなる加工面を有する。
これにより、加工液として砥粒を含んだスラリーを必要とせず純水のみを用いて、電解加工部による電解加工と機械的加工部による機械的加工を同時に行って、電解加工と固定砥粒による機械的加工の両方のメリットを得ることができ、基板の洗浄などの後処理、排液処理が容易になる。
前記機械的加工部は、研磨パッドからなる加工面と、該加工面にスラリーを供給するスラリー供給部を有するものであってもよい。
本発明の好ましい一態様は、前記加工テーブルには、前記加工電極と基板に給電する給電電極とが交互かつ所定間隔離間して配置され、前記加工電極を挟む位置に前記機械的加工部が配置されていることを特徴とする。
前記加工テーブルは、スクロール運動を行うことが好ましい。
本発明の好ましい一態様は、前記加工テーブルは円板状に形成され、前記加工電極は、半径方向に延びて配置され、該加工電極を挟む両側に基板に給電する給電電極が配置されていることを特徴とする。
本発明の他の複合加工装置は、基板を保持する基板ホルダと、砥粒を内部に有する固定砥粒により基板の表面を機械的作用を含む加工方法で研磨する固定砥粒加工部と、加工電極を有し、前記加工電極と基板の間に電圧を印加して基板を加工する電解加工部とを個別に備えた加工テーブルと、基板と前記加工テーブルとを相対運動させる駆動部と、基板と前記加工電極の間、及び基板と前記固定砥粒の間に液体を供給する液体供給部を備えたことを特徴とする。
本発明の複合加工方法は、基板の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する機械的加工部と、イオン交換体を備えた加工電極を有し、該イオン交換体を基板に接触させつつ前記加工電極と基板の間に電圧を印加して基板を加工する電解加工部とを個別に備え、基板と前記機械的加工部及び前記加工電極とを相対移動させて基板表面の加工を行うことを特徴とする。
本発明の更に他の複合加工装置は、被加工物を保持するホルダと、砥粒を内部に有する固定砥粒により被加工物の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する固定砥粒加工部と、被加工物に近接自在な加工電極と被加工物に給電する給電電極とを有し、前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加して被加工物を加工する電解加工部と、前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加する電源と、被加工物と前記加工電極及び/又は前記給電電極との間、及び/又は被加工物と前記固定砥粒加工部の間に液体を供給する液体供給部と、被加工物と前記固定砥粒加工部、及び被加工物と前記電解加工部を相対移動させる駆動部を備えたことを特徴とする。
図2は、本発明の加工原理を示す。図2は、被加工物10の表面に固定砥粒加工部12の固定砥粒14を接触させて配置し、近接自在な加工電極16と給電電極18を有する電解加工部20の該加工電極16を被加工物10の表面に近接させ、給電電極18を被加工物10の表面に接触させて配置し、加工電極16と給電電極18との間に電源22を介して電圧を印加しつつ、加工電極16及び給電電極18と被加工物10との間に液体供給部24から電解液等の液体26を供給した状態を示している。この場合、液体26は、例えば通常の電解加工等で用いられている電解液であり、特に濃度や電解液の種類等の制約はなく、被加工物10により適時選定すれば良い。
そして、加工電極16、給電電極18及び固定砥粒14の少なくとも1つ以上と被加工物10のどちらか一方を運動させるか、或いは双方を運動させる。これにより、固定砥粒14と接触する被加工物10の表面が機械的に研磨され、加工電極16と対面する被加工物10の表面が電解加工されて、固定砥粒加工部12による機械的研磨と、電解加工部20による電気化学的加工が同時に行われる。
従来の砥粒を含むスラリー状の電解液を用いる複合電解研磨では、電解処理後に被加工物に付着した砥粒等の不純物を除去するため大掛かりな洗浄が必要であるが、本発明では、内部に砥粒を有する固定砥粒14を用いることで、洗浄の負荷を極めて少なくすることができる。
本発明の好ましい一態様は、前記加工電極及び/又は前記給電電極は、被加工物との間に配置されるイオン交換体を備えていることを特徴とする。
図3Aは、加工電極16の被加工物10側の表面にイオン交換体28aを、給電電極18の被加工物10側の表面にイオン交換体28bをそれぞれ取付け、これらのイオン交換体28a,28bを被加工物10の表面にそれぞれ接触させた状態を示している。図3Bは、加工電極16の被加工物10側の表面にのみイオン交換体28aを取付け、このイオン交換体28aと給電電極18を被加工物10の表面に接触させた状態を示している。そして、前述とほぼ同様に、加工電極16と給電電極18との間に電源22を介して電圧を印加しつつ、加工電極16及び給電電極18と被加工物10との間に、この場合にあっては、超純水等の液体26を液体供給部24から供給し、同時に、例えば被加工物10を移動することで、固定砥粒加工部12の固定砥粒14による機械的研磨と、電解加工部20の加工電極16による電気化学的加工が同時に行われる。
このように、必要に応じて、加工電極16にイオン交換体28aを取付けたり、給電電極18にイオン交換体28bを取付けたりすることで、イオン交換体28a,28bを介して、水分子の水素イオンと水酸化物イオンへの解離を促進して水分子の解離量を増大させ、これによって、液体として超純水等を使用した電解加工を行うことができる。
本発明の好ましい一態様は、被加工物と前記固定砥粒加工部、及び被加工物と前記電解加工部が相対移動する時、前記固定砥粒加工部が前記ホルダで保持された被加工物の被加工部位を通過し、該被加工部位を前記電解加工部が続けて通過することを特徴とする。
これにより、固定砥粒による機械的研磨で被加工物表面に発生したスクラッチやピット等の欠陥を、電解加工で解消することができる。
本発明の好ましい一態様は、表面粗さの異なる固定砥粒を有する、少なくとも2種類以上の前記固定砥粒加工部を有することを特徴とする。
これにより、例えば、加工が進むに従って、表面粗さの荒い固定砥粒を有する固定砥粒加工部による加工から、表面粗さの細かい固定砥粒を有する固定砥粒加工部による加工に切換ることで、スクラッチのない加工表面を得ることができる。
前記固定砥粒の表面粗さは、10μm以下であることが好ましい。
固定砥粒による機械的研磨では、被加工物表面に深さのあるスクラッチやピット等の欠陥が発生し、これらの欠陥は、電解加工で解消できる範囲のものであることが望まれる。例えば10psi(69kPa)の面圧で、表面粗さが10μmの固定砥粒を使用した研磨を行った場合、銅表面に与えるスクラッチの深さは0.3〜0.5μm程度であり、同じ面圧で、表面粗さが5μmの固定砥粒を使用した研磨を行った場合のスクラッチの深さは0.2〜0.3μm程度であることが分かっている。電解加工を併用することで解消できるスクラッチの深さは0.3μm前後であり、好ましくは0.3μm以下である。したがって、固定砥粒による機械的研磨で可能な限り均一な研磨を行い、電解加工で更に清浄な表面を得るためには、固定砥粒に含まれる砥粒の粒径は10μm以下であることが望ましい。
前記液体としては、純水、電気伝導度が500μS/cm以下の液体又は電解液が使用される。
ここで、純水は、例えば電気伝導度(1atm,25℃換算、以下同じ)が10μS/cm以下の水である。純水、より好ましくは0.1μS/cm以下にした液体(超純水等)を使用することで、被加工物表面とイオン交換体等の界面にイオンの移動を防ぐ一様な抑制作用を有する層を形成し、これによって、イオン交換(金属の溶解)の集中を緩和して平坦性を向上させることができる。
このように、純水等を使用して電解加工を行うことで、加工面に不純物を残さない清浄な加工を行うことができ、これによって、電解加工後の洗浄工程を簡素化することができる。
前記加工電極と被加工物との間、及び前記給電電極と被加工物の間にイオン交換体が個別に配置されていることが好ましい。
これにより、加工電極と給電電極との間で、いわゆる短絡が生じることを防止して、加工効率を高めることができる。
前記加工電極、前記給電電極及び前記固定砥粒の少なくとも1つと被加工物との間に加えられる力が、10psi(69kPa)以下であることを特徴とする。
電極(加工電極及び給電電極)や固定砥粒に加えられた力は、被加工物の面圧となって示される。特に、加工電極と被加工物の間、或いは固定砥粒と被加工物の間の面圧により、加工速度や加工形状が左右され、銅配線のように比較的柔らかい金属やポーラス状のLow−k材にあっては、面圧を小さくしてスクラッチが起こり難くすることが望まれる。
本発明は、スクラッチが起こりにくい電解加工(電気化学的加工)が主であり、固定砥粒による機械的加工は、被加工物表面に塵細なキズを与えるという補助的な手段として用いている。このため、固定砥粒による機械的研磨を期待するものではない。つまり、固定砥粒による機械的加工で、被加工物の表面全体に塵細な傷を与えることにより、電解加工での電界の局所的な集中を緩和させて、均一化した平坦性の高い加工が可能となる。
被加工物に与えるスクラッチの深さは、固定砥粒の表面の粗さと面圧によって決定され、前述のように、10psi以下の面圧で、表面粗さが10μm以下の固定砥粒を使用した研磨を行うことで、銅表面に与えるスクラッチの深さを0.3〜0.5μm程度以下とすることができる。
本発明の好ましい一態様は、前記固定砥粒加工部及び/又は前記電解加工部は、被加工物に近接又は離間するように移動することを特徴とする。
この場合、例えば前記固定砥粒加工部を接触させて被加工物を加工した後、前記電解加工部のみで被加工物を加工するように前記固定砥粒加工部及び/又は前記電解加工部を動かす。
本発明の更に他の複合加工装置は、被加工物を保持するホルダと、被加工物の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する機械的加工部と、イオン交換体を備え、被加工物に近接自在な加工電極と、被加工物に給電する給電電極とを有し、前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加して被加工物を加工する電解加工部と、被加工物と前記電解加工部の間、及び/又は被加工物と前記機械的加工部の間に液体を供給する液体供給部と、被加工物と前記機械的加工部、及び被加工物と前記電解加工部を相対移動させる駆動部を備えたことを特徴とする。
本発明の他の複合加工方法は、砥粒を内部に有する固定砥粒により被加工物の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する固定砥粒加工部と、加工電極と給電電極とを有し該加工電極と給電電極との間に電圧を印加して被加工物を加工する電解加工部と備え、被加工物と前記固定砥粒加工部、及び被加工物と前記電解加工部を相対移動させて被加工物表面の加工を行うことを特徴とする。
前記固定砥粒加工部を接触させて被加工物を加工した後、前記電解加工部のみで被加工物を加工するようにしてもよい。
本発明の更に他の複合加工方法は、被加工物の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する機械的加工部と、イオン交換体を備えた加工電極を有し、該イオン交換体を被加工物に接触させつつ前記加工電極と被加工物の間に電圧を印加して被加工物を加工する電解加工部とを備え、被加工物と前記機械的加工部、及び被加工物と前記電解加工部を相対移動させて被加工物表面の加工を行うことを特徴とする。
また、本発明は、例えばCMP処理そのものを省略したり、CMP処理の負荷を極力低減しつつ、基板表面に設けられた導電性材料を平坦に加工したり、更には基板等の被加工物の表面に付着した付着物を除去(洗浄)できるようにした複合加工装置及び方法を提供することを第2の目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の複合加工方法は、基板を保持する基板ホルダと、基板の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する機械的加工部と、イオン交換体を備えた加工電極を有し、該イオン交換体を基板に接触させつつ前記加工電極と基板の間に電圧を印加して基板を加工する電解加工部とを個別に備えた加工テーブルと、基板と前記加工電極の間、及び基板と前記機械的加工部の間に液体を供給する液体供給部と、基板と前記加工テーブルとを相対移動させる駆動部を備えたことを特徴とする。
これにより、電解加工部による加工で基板の表面に形成された、物理的に柔らかく、かつ非導電性の不動態膜を機械的加工部で削り落とし、再び電解加工での加工を連続で繰返すことで、低面圧、高レートの加工が可能となる。また、機械的加工部で基板表面を機械的に加工することで、基板の表面に付着した気泡も不動態膜と同時に除去して、気泡の付着に伴うピットの発生を防止することができる。
本発明の好ましい一態様は、基板と前記加工テーブルが相対移動する時、前記加工電極が前記基板ホルダで保持された基板の被加工部位を通過し、該被加工部位を前記機械的加工部が続けて通過することを特徴とする。
これにより、電解加工部による電解加工と機械的加工部による機械的加工とを、交互かつ連続して行うことができる。
前記加工電極に続けて前記機械的加工部が基板の被加工部位を通過する時間は、1秒以内であることが好ましい。
これにより、例えば電解加工部の加工電極で基板の表面に形成された不動態膜を、機械的加工部による機械的加工で素早く除去して、基板の表面を平坦化することができる。
前記機械的加工部は、例えば、固定砥粒からなる加工面を有する。
これにより、加工液として砥粒を含んだスラリーを必要とせず純水のみを用いて、電解加工部による電解加工と機械的加工部による機械的加工を同時に行って、電解加工と固定砥粒による機械的加工の両方のメリットを得ることができ、基板の洗浄などの後処理、排液処理が容易になる。
前記機械的加工部は、研磨パッドからなる加工面と、該加工面にスラリーを供給するスラリー供給部を有するものであってもよい。
本発明の好ましい一態様は、前記加工テーブルには、前記加工電極と基板に給電する給電電極とが交互かつ所定間隔離間して配置され、前記加工電極を挟む位置に前記機械的加工部が配置されていることを特徴とする。
前記加工テーブルは、スクロール運動を行うことが好ましい。
本発明の好ましい一態様は、前記加工テーブルは円板状に形成され、前記加工電極は、半径方向に延びて配置され、該加工電極を挟む両側に基板に給電する給電電極が配置されていることを特徴とする。
本発明の他の複合加工装置は、基板を保持する基板ホルダと、砥粒を内部に有する固定砥粒により基板の表面を機械的作用を含む加工方法で研磨する固定砥粒加工部と、加工電極を有し、前記加工電極と基板の間に電圧を印加して基板を加工する電解加工部とを個別に備えた加工テーブルと、基板と前記加工テーブルとを相対運動させる駆動部と、基板と前記加工電極の間、及び基板と前記固定砥粒の間に液体を供給する液体供給部を備えたことを特徴とする。
本発明の複合加工方法は、基板の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する機械的加工部と、イオン交換体を備えた加工電極を有し、該イオン交換体を基板に接触させつつ前記加工電極と基板の間に電圧を印加して基板を加工する電解加工部とを個別に備え、基板と前記機械的加工部及び前記加工電極とを相対移動させて基板表面の加工を行うことを特徴とする。
本発明の更に他の複合加工装置は、被加工物を保持するホルダと、砥粒を内部に有する固定砥粒により被加工物の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する固定砥粒加工部と、被加工物に近接自在な加工電極と被加工物に給電する給電電極とを有し、前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加して被加工物を加工する電解加工部と、前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加する電源と、被加工物と前記加工電極及び/又は前記給電電極との間、及び/又は被加工物と前記固定砥粒加工部の間に液体を供給する液体供給部と、被加工物と前記固定砥粒加工部、及び被加工物と前記電解加工部を相対移動させる駆動部を備えたことを特徴とする。
図2は、本発明の加工原理を示す。図2は、被加工物10の表面に固定砥粒加工部12の固定砥粒14を接触させて配置し、近接自在な加工電極16と給電電極18を有する電解加工部20の該加工電極16を被加工物10の表面に近接させ、給電電極18を被加工物10の表面に接触させて配置し、加工電極16と給電電極18との間に電源22を介して電圧を印加しつつ、加工電極16及び給電電極18と被加工物10との間に液体供給部24から電解液等の液体26を供給した状態を示している。この場合、液体26は、例えば通常の電解加工等で用いられている電解液であり、特に濃度や電解液の種類等の制約はなく、被加工物10により適時選定すれば良い。
そして、加工電極16、給電電極18及び固定砥粒14の少なくとも1つ以上と被加工物10のどちらか一方を運動させるか、或いは双方を運動させる。これにより、固定砥粒14と接触する被加工物10の表面が機械的に研磨され、加工電極16と対面する被加工物10の表面が電解加工されて、固定砥粒加工部12による機械的研磨と、電解加工部20による電気化学的加工が同時に行われる。
従来の砥粒を含むスラリー状の電解液を用いる複合電解研磨では、電解処理後に被加工物に付着した砥粒等の不純物を除去するため大掛かりな洗浄が必要であるが、本発明では、内部に砥粒を有する固定砥粒14を用いることで、洗浄の負荷を極めて少なくすることができる。
本発明の好ましい一態様は、前記加工電極及び/又は前記給電電極は、被加工物との間に配置されるイオン交換体を備えていることを特徴とする。
図3Aは、加工電極16の被加工物10側の表面にイオン交換体28aを、給電電極18の被加工物10側の表面にイオン交換体28bをそれぞれ取付け、これらのイオン交換体28a,28bを被加工物10の表面にそれぞれ接触させた状態を示している。図3Bは、加工電極16の被加工物10側の表面にのみイオン交換体28aを取付け、このイオン交換体28aと給電電極18を被加工物10の表面に接触させた状態を示している。そして、前述とほぼ同様に、加工電極16と給電電極18との間に電源22を介して電圧を印加しつつ、加工電極16及び給電電極18と被加工物10との間に、この場合にあっては、超純水等の液体26を液体供給部24から供給し、同時に、例えば被加工物10を移動することで、固定砥粒加工部12の固定砥粒14による機械的研磨と、電解加工部20の加工電極16による電気化学的加工が同時に行われる。
このように、必要に応じて、加工電極16にイオン交換体28aを取付けたり、給電電極18にイオン交換体28bを取付けたりすることで、イオン交換体28a,28bを介して、水分子の水素イオンと水酸化物イオンへの解離を促進して水分子の解離量を増大させ、これによって、液体として超純水等を使用した電解加工を行うことができる。
本発明の好ましい一態様は、被加工物と前記固定砥粒加工部、及び被加工物と前記電解加工部が相対移動する時、前記固定砥粒加工部が前記ホルダで保持された被加工物の被加工部位を通過し、該被加工部位を前記電解加工部が続けて通過することを特徴とする。
これにより、固定砥粒による機械的研磨で被加工物表面に発生したスクラッチやピット等の欠陥を、電解加工で解消することができる。
本発明の好ましい一態様は、表面粗さの異なる固定砥粒を有する、少なくとも2種類以上の前記固定砥粒加工部を有することを特徴とする。
これにより、例えば、加工が進むに従って、表面粗さの荒い固定砥粒を有する固定砥粒加工部による加工から、表面粗さの細かい固定砥粒を有する固定砥粒加工部による加工に切換ることで、スクラッチのない加工表面を得ることができる。
前記固定砥粒の表面粗さは、10μm以下であることが好ましい。
固定砥粒による機械的研磨では、被加工物表面に深さのあるスクラッチやピット等の欠陥が発生し、これらの欠陥は、電解加工で解消できる範囲のものであることが望まれる。例えば10psi(69kPa)の面圧で、表面粗さが10μmの固定砥粒を使用した研磨を行った場合、銅表面に与えるスクラッチの深さは0.3〜0.5μm程度であり、同じ面圧で、表面粗さが5μmの固定砥粒を使用した研磨を行った場合のスクラッチの深さは0.2〜0.3μm程度であることが分かっている。電解加工を併用することで解消できるスクラッチの深さは0.3μm前後であり、好ましくは0.3μm以下である。したがって、固定砥粒による機械的研磨で可能な限り均一な研磨を行い、電解加工で更に清浄な表面を得るためには、固定砥粒に含まれる砥粒の粒径は10μm以下であることが望ましい。
前記液体としては、純水、電気伝導度が500μS/cm以下の液体又は電解液が使用される。
ここで、純水は、例えば電気伝導度(1atm,25℃換算、以下同じ)が10μS/cm以下の水である。純水、より好ましくは0.1μS/cm以下にした液体(超純水等)を使用することで、被加工物表面とイオン交換体等の界面にイオンの移動を防ぐ一様な抑制作用を有する層を形成し、これによって、イオン交換(金属の溶解)の集中を緩和して平坦性を向上させることができる。
このように、純水等を使用して電解加工を行うことで、加工面に不純物を残さない清浄な加工を行うことができ、これによって、電解加工後の洗浄工程を簡素化することができる。
前記加工電極と被加工物との間、及び前記給電電極と被加工物の間にイオン交換体が個別に配置されていることが好ましい。
これにより、加工電極と給電電極との間で、いわゆる短絡が生じることを防止して、加工効率を高めることができる。
前記加工電極、前記給電電極及び前記固定砥粒の少なくとも1つと被加工物との間に加えられる力が、10psi(69kPa)以下であることを特徴とする。
電極(加工電極及び給電電極)や固定砥粒に加えられた力は、被加工物の面圧となって示される。特に、加工電極と被加工物の間、或いは固定砥粒と被加工物の間の面圧により、加工速度や加工形状が左右され、銅配線のように比較的柔らかい金属やポーラス状のLow−k材にあっては、面圧を小さくしてスクラッチが起こり難くすることが望まれる。
本発明は、スクラッチが起こりにくい電解加工(電気化学的加工)が主であり、固定砥粒による機械的加工は、被加工物表面に塵細なキズを与えるという補助的な手段として用いている。このため、固定砥粒による機械的研磨を期待するものではない。つまり、固定砥粒による機械的加工で、被加工物の表面全体に塵細な傷を与えることにより、電解加工での電界の局所的な集中を緩和させて、均一化した平坦性の高い加工が可能となる。
被加工物に与えるスクラッチの深さは、固定砥粒の表面の粗さと面圧によって決定され、前述のように、10psi以下の面圧で、表面粗さが10μm以下の固定砥粒を使用した研磨を行うことで、銅表面に与えるスクラッチの深さを0.3〜0.5μm程度以下とすることができる。
本発明の好ましい一態様は、前記固定砥粒加工部及び/又は前記電解加工部は、被加工物に近接又は離間するように移動することを特徴とする。
この場合、例えば前記固定砥粒加工部を接触させて被加工物を加工した後、前記電解加工部のみで被加工物を加工するように前記固定砥粒加工部及び/又は前記電解加工部を動かす。
本発明の更に他の複合加工装置は、被加工物を保持するホルダと、被加工物の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する機械的加工部と、イオン交換体を備え、被加工物に近接自在な加工電極と、被加工物に給電する給電電極とを有し、前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加して被加工物を加工する電解加工部と、被加工物と前記電解加工部の間、及び/又は被加工物と前記機械的加工部の間に液体を供給する液体供給部と、被加工物と前記機械的加工部、及び被加工物と前記電解加工部を相対移動させる駆動部を備えたことを特徴とする。
本発明の他の複合加工方法は、砥粒を内部に有する固定砥粒により被加工物の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する固定砥粒加工部と、加工電極と給電電極とを有し該加工電極と給電電極との間に電圧を印加して被加工物を加工する電解加工部と備え、被加工物と前記固定砥粒加工部、及び被加工物と前記電解加工部を相対移動させて被加工物表面の加工を行うことを特徴とする。
前記固定砥粒加工部を接触させて被加工物を加工した後、前記電解加工部のみで被加工物を加工するようにしてもよい。
本発明の更に他の複合加工方法は、被加工物の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する機械的加工部と、イオン交換体を備えた加工電極を有し、該イオン交換体を被加工物に接触させつつ前記加工電極と被加工物の間に電圧を印加して被加工物を加工する電解加工部とを備え、被加工物と前記機械的加工部、及び被加工物と前記電解加工部を相対移動させて被加工物表面の加工を行うことを特徴とする。
図1A乃至1Cは、銅配線基板の一製造例を工程順に示す図である。
図2は、被加工物の表面に、固定砥粒を備えた固定砥粒加工部と電解加工部とを配置して加工を行う基本的構成を示す図である。
図3Aは、被加工物の表面に、加工電極と給電電極にイオン交換体をそれぞれ取付けて構成した加工電極部と、固定砥粒を備えた固定砥粒加工部とを配置して加工を行う基本的構成を示す図である。
図3Bは、被加工物の表面に、加工電極のみにイオン交換体を取付けて構成した加工電極部と、固定砥粒を備えた固定砥粒加工部とを配置して加工を行う基本的構成を示す図である。
図4は、本発明の実施の形態における複合加工装置を備えた基板処理装置の構成を示す平面図である。
図5は、図4に示す基板処理装置の複合加工装置を模式的に示す平面図である。
図6は、図5の縦断面図である。
図7Aは、図5の複合加工装置における自転防止機構を示す平面図である。
図7Bは、図7AのA−A線断面図である。
図8は、図5に示す複合加工装置における要部を拡大して示す要部拡大図である。
図9は、図5に示す複合加工装置における加工時の要部を拡大して示す要部拡大図である。
図10Aは、異なる材料を成膜した基板の表面に電解加工を施したときに流れる電流と時間の関係を示すグラフである。
図10Bは、異なる材料を成膜した基板の表面に電解加工を施したときに印加される電圧と時間の関係を示すグラフである。
図11は、本発明の他の実施の形態における複合加工装置を模式的に示す断面図である。
図12は、図11に示す複合加工装置の加工テーブルの平面図である。
図13は、本発明の更に他の実施の形態における複合加工装置を備えた基板処理装置の構成を示す平面図である。
図14は、図13に示す基板処理装置の複合加工装置を模式的に示す断面図である。
図15は、図14に示す複合加工装置の加工テーブルの平面図である。
図16は、図15の円周方向に沿った断面図である。
図17は、加工テーブルの他の例を示す平面図である。
図18は、加工テーブルの更に他の例を示す平面図である。
図19は、本発明の更に他の実施の形態における複合加工装置を示す斜視図である。
図20は、図19に示す複合加工装置の加工テーブルの平面図である。
図21は、実施例1及び実施例2におけるウエハ位置と除去量との関係を比較例と共に示すグラフである。
図22は、実施例1及び実施例2における加工後のウエハ表面をレーザ顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図23は、実施例3及び実施例4における機械的研磨加工後、及び電解加工後のウエハ表面をレーザ顕微鏡により観察した結果を示す写真である。
図2は、被加工物の表面に、固定砥粒を備えた固定砥粒加工部と電解加工部とを配置して加工を行う基本的構成を示す図である。
図3Aは、被加工物の表面に、加工電極と給電電極にイオン交換体をそれぞれ取付けて構成した加工電極部と、固定砥粒を備えた固定砥粒加工部とを配置して加工を行う基本的構成を示す図である。
図3Bは、被加工物の表面に、加工電極のみにイオン交換体を取付けて構成した加工電極部と、固定砥粒を備えた固定砥粒加工部とを配置して加工を行う基本的構成を示す図である。
図4は、本発明の実施の形態における複合加工装置を備えた基板処理装置の構成を示す平面図である。
図5は、図4に示す基板処理装置の複合加工装置を模式的に示す平面図である。
図6は、図5の縦断面図である。
図7Aは、図5の複合加工装置における自転防止機構を示す平面図である。
図7Bは、図7AのA−A線断面図である。
図8は、図5に示す複合加工装置における要部を拡大して示す要部拡大図である。
図9は、図5に示す複合加工装置における加工時の要部を拡大して示す要部拡大図である。
図10Aは、異なる材料を成膜した基板の表面に電解加工を施したときに流れる電流と時間の関係を示すグラフである。
図10Bは、異なる材料を成膜した基板の表面に電解加工を施したときに印加される電圧と時間の関係を示すグラフである。
図11は、本発明の他の実施の形態における複合加工装置を模式的に示す断面図である。
図12は、図11に示す複合加工装置の加工テーブルの平面図である。
図13は、本発明の更に他の実施の形態における複合加工装置を備えた基板処理装置の構成を示す平面図である。
図14は、図13に示す基板処理装置の複合加工装置を模式的に示す断面図である。
図15は、図14に示す複合加工装置の加工テーブルの平面図である。
図16は、図15の円周方向に沿った断面図である。
図17は、加工テーブルの他の例を示す平面図である。
図18は、加工テーブルの更に他の例を示す平面図である。
図19は、本発明の更に他の実施の形態における複合加工装置を示す斜視図である。
図20は、図19に示す複合加工装置の加工テーブルの平面図である。
図21は、実施例1及び実施例2におけるウエハ位置と除去量との関係を比較例と共に示すグラフである。
図22は、実施例1及び実施例2における加工後のウエハ表面をレーザ顕微鏡で観察した結果を示す写真である。
図23は、実施例3及び実施例4における機械的研磨加工後、及び電解加工後のウエハ表面をレーザ顕微鏡により観察した結果を示す写真である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、以下の例では、被加工物として基板を使用し、複合加工装置で基板を加工(研磨)するようにした例を示しているが、基板以外にも適用できることは勿論である。
図4は、本発明の第1の実施の形態における複合加工装置を備えた基板処理装置の構成を示す平面図である。図4に示すように、この基板処理装置は、例えば、図1Bに示す、表面に導電体膜(被加工部)としての銅膜6を有する基板Wを収納したカセットを搬出入する搬出入部としての一対のロード・アンロード部30と、基板Wを反転させる反転機32と、複合加工装置34とを備えている。これらの機器は直列に配置されており、これらの機器の間で基板Wを搬送して授受する搬送装置としての搬送ロボット36がこれらの機器と平行に配置されている。また、複合加工装置34による加工の際に、後述する加工電極と給電電極との間に印加する電圧又はこれらの間を流れる電流をモニタするモニタ部38がロード・アンロード部30に隣接して配置されている。
図5は、本発明の実施の形態における複合加工装置を模式的に示す平面図、図6は、図5の縦断面図である。図5及び図6に示すように、この実施の形態における複合加工装置34は、上下動可能かつ水平面に沿って往復運動可能なアーム40と、アーム40の自由端に垂設されて、表面(被処理面)を下向き(フェースダウン)にして基板Wを吸着保持する基板ホルダ42と、アーム40が取付けられる可動フレーム44と、矩形状の加工テーブル46と、加工テーブル46に備えられた下記の加工電極86及び給電電極88に接続される電源48とを備えている。この実施の形態では、加工テーブル46の大きさは、基板ホルダ42で保持する基板Wの外径よりも一回り大きな大きさに設定されている。
可動フレーム44の上部には上下動用モータ50が設置されており、この上下動用モータ50には上下方向に延びるボールねじ52が連結されている。ボールねじ52にはアーム40の基部40aが取付けられており、上下動用モータ50の駆動に伴ってアーム40がボールねじ52を介して上下動するようになっている。また、可動フレーム44自体も、水平方向に延びるボールねじ54に取付けられており、往復動用モータ56の駆動に伴って可動フレーム44及びアーム40が水平面に沿って往復運動するようになっている。
基板ホルダ42は、アーム40の自由端に設置された自転用モータ58に接続されており、この自転用モータ58の駆動に伴って回転(自転)できるようになっている。また、上述したように、アーム40は上下動及び水平方向に往復運動可能となっており、基板ホルダ42はアーム40と一体となって上下動及び水平方向に往復運動可能となっている。
また、加工テーブル46の下方には中空モータ60が設置されており、この中空モータ60の主軸62には、この主軸62の中心から偏心した位置に駆動端64が設けられている。加工テーブル46は、その中央において上記駆動端64に軸受(図示せず)を介して回転自在に連結されている。また、加工テーブル46と中空モータ60との間には、周方向に3つ以上の自転防止機構が設けられている。これによって、中空モータ60の駆動により加工テーブル46がスクロール運動(並進回転運動)を行うようになっている。
図7Aは、この実施の形態における自転防止機構を示す平面図、図7Bは、図7AのA−A線断面図である。図7A及び図7Bに示すように、加工テーブル46と中空モータ60との間には、周方向に3つ以上(図7Aにおいては4つ)の自転防止機構66が設けられている。図7Bに示すように、中空モータ60の上面と加工テーブル46の下面の対応する位置には、周方向に等間隔に複数の凹所68,70が形成されており、これらの凹所68,70にはそれぞれ軸受72,74が装着されている。軸受72,74には、距離“e”だけずれた2つの軸体76,78の一端部がそれぞれ挿入されており、軸体76,78の他端部は連結部材80により互いに連結される。ここで、中空モータ60の主軸62の中心に対する駆動端64の偏心量も上述した距離“e”と同じになっている。したがって、加工テーブル46は、中空モータ60の駆動に伴って、主軸62の中心と駆動端64との間の距離“e”を半径とした、自転を行わない公転運動、いわゆるスクロール運動(並進回転運動)を行うようになっている。
次に、この実施の形態における加工テーブル46について説明する。図5に示すように、この実施の形態における加工テーブル46は、複数の機械的加工部82と、電解加工部84を構成する複数の加工電極86及び給電電極88を備えている。図8は、加工テーブル46の縦断面図である。図8に示すように、加工テーブル46は、平板状のベース90を備えており、このベース90の上面に、X方向(図5参照)に沿って延びる複数の加工電極86と給電電極88が、所定間隔離間して交互に配置されている。そして、加工電極86を挟む給電電極88の両側に、X方向(図5参照)に沿って延びる複数の機械的加工部82が配置されている。各加工電極86の上面は、断面半円状のイオン交換体92で覆われている。
前述の加工テーブル46のスクロール運動の回転半径“e”は、この例では、加工電極86と給電電極88との距離Bに等しく、加工電極86と該加工電極86に隣接する機械的加工部82までの距離S1よりも長く(B=e>S1)設定されている。これによって、加工電極86が通過したところを機械的加工部82が連続して通過できるようになっている。
また、1つの加工電極86について考えると、電解加工においては、基板Wが加工電極86の表面のイオン交換体92と接触又は近接した範囲でのみ加工が行われ、加工電極86の端部には電界が集中するため、加工電極86の幅方向の端部付近の加工レートは、中央付近に比べて高くなる。
このように、1つの加工電極86において加工量のバラツキが生じるが、この実施の形態では、上述したように、加工テーブル46をスクロール運動させ、基板Wと加工電極86とをY方向(図5参照)に往復相対運動させることにより、この加工量のバラツキを抑えている。つまり、スクロール運動によって加工量のバラツキを少なくすることができるものの、完全にバラツキをなくすことはできない。
この実施の形態では、上述したスクロール運動(第1の相対運動)に加えて、電解加工中に基板ホルダ42をY方向(図5参照)に所定の距離だけ移動させて、基板Wと加工電極86との間で第2の相対運動を行うことにより、上述した加工量のバラツキをなくしている。すなわち、スクロール運動(第1の相対運動)のみを行った場合には、基板WのY方向に沿って加工量に差が生じ、同一形状の加工量分布が、加工電極86のピッチP(図8参照)ごとに現れるが、電解加工中に、往復動用モータ56を駆動させてアーム40及び基板ホルダ42をY方向にピッチPの整数倍だけ移動させて、基板Wと加工電極86との間で第2の相対運動を行ことで、基板Wの全面を均一に加工することが可能となる。この場合において、第2の相対運動の移動速度は一定であることが好ましい。
ここで、上述した第2の相対運動を繰り返し、基板Wを加工電極86に対してY方向に往復運動させてもよい。この場合において、往路と復路の移動距離は、共に上述したピッチPの整数倍とする必要があるが、往路の移動距離と復路の移動距離を必ずしも等しくする必要はなく、互いに異なっていてもよい。例えば、往路の移動距離をピッチPの2倍とし、復路の移動距離をピッチPの等倍としてもよい。
前記イオン交換体92は、例えば、アニオン交換基又はカチオン交換基を付与した不織布で構成されている。カチオン交換体は、好ましくは強酸性カチオン交換基(スルホン酸基)を担持したものであるが、弱酸性カチオン交換基(カルボキシル基)を担持したものでもよい。また、アニオン交換体は、好ましくは強塩基性アニオン交換基(4級アンモニウム基)を担持したものであるが、弱塩基性アニオン交換基(3級以下のアミノ基)を担持したものでもよい。また、イオン交換体92の素材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、又はその他有機高分子が挙げられる。また素材形態としては、不織布の他に、織布、シート、多孔質材、短繊維等が挙げられる。また、イオン交換体92の内部に不織布イオン交換体を配置して弾性を高めてもよい。
ここで、例えば強塩基アニオン交換基を付与した不織布は、繊維径20〜50μmで空隙率が約90%のポリオレフィン製の不織布に、γ線を照射した後グラフト重合を行ういわゆる放射線グラフト重合法により、グラフト鎖を導入し、次に導入したグラフト鎖をアミノ化して第4級アンモニウム基を導入して作製される。導入されるイオン交換基の容量は、導入するグラフト鎖の量により決定される。グラフト重合を行うためには、例えばアクリル酸、スチレン、メタクリル酸グリシジル、更にはスチレンスルホン酸ナトリウム、クロロメチルスチレン等のモノマーを用い、これらのモノマー濃度、反応温度及び反応時間を制御することで、重合するグラフト量を制御することができる。したがって、グラフト重合前の素材の重量に対し、グラフト重合後の増加重量の比をグラフト率と呼ぶが、このグラフト率は、最大で500%が可能であり、グラフト重合後に導入されるイオン交換基は、最大で5meq/gが可能である。
強酸性カチオン交換基を付与した不織布は、上記強塩基性アニオン交換能を付与する方法と同様に、繊維径20〜50μmで空隙率が約90%のポリオレフィン製の不織布に、γ線を照射した後グラフト重合を行ういわゆる放射線グラフト重合法により、グラフト鎖を導入し、次に導入したグラフト鎖を、例えば加熱した硫酸で処理してスルホン酸基を導入して作製される。また、加熱したリン酸で処理すればリン酸基が導入できる。ここでグラフト率は、最大で500%が可能であり、グラフト重合後に導入されるイオン交換基は、最大で5meq/gが可能である。
なお、イオン交換体92の素材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、又はその他有機高分子が挙げられる。また素材形態としては、不織布の他に、織布、シート、多孔質材、短繊維等が挙げられる。ここで、ポリエチレンやポリプロピレンは、放射線(γ線又は電子線)を先に素材に照射する(前照射)ことで、素材にラジカルを発生させ、次にモノマーと反応させてグラフト重合することができる。これにより、均一性が高く、不純物が少ないグラフト鎖ができる。一方、その他の有機高分子は、モノマーを含浸させ、そこに放射線(γ線、電子線、紫外線)を照射(同時照射)することで、ラジカル重合することができる。この場合、均一性に欠けるが、ほとんどの素材に適用できる。
このように、イオン交換体92をアニオン交換基又はカチオン交換基を付与した不織布で構成することで、純水、超純水または電解液等の液体が不織布の内部を自由に移動して、不織布内部の水分解触媒作用を有する活性点に容易に到達することが可能となって、多くの水分子が水素イオンと水酸化物イオンに解離される。更に、解離によって生成した水酸化物イオンが純水、超純水または電解液等の液体の移動に伴って効率良く加工電極86の表面に運ばれるため、低い印加電圧でも高電流が得られる。
この実施の形態では、加工電極86は電源48の陰極に、給電電極88は電源48の陽極にそれぞれ接続される。これは、例えば、銅を加工する場合においては、陰極側に電解加工作用が生じるためであり、加工材料によっては、給電電極に電源の陰極が、加工電極に陽極がそれぞれ接続される。すなわち、被加工材料が、例えば銅やモリブデン、鉄である場合には、陰極側に電解加工作用が生じるため、電源の陰極に接続した電極が加工電極となり、陽極に接続した電極が給電電極となる。一方、被加工材料が、例えばアルミニウムやシリコンである場合には、陽極側で電解加工作用が生じるため、電源の陽極に接続した電極が加工電極となり、陰極に接続した電極が給電電極となる。
このように、加工電極86と給電電極88とを加工テーブル46と直交するY方向(図5参照)に交互に設けることで、基板Wの導電体膜(被加工部)に給電を行う給電部を設ける必要がなくなり、基板Wの全面の加工が可能となる。また、加工電極86と給電電極88間に印加される電圧の正負をパルス状に変化させることで、電解生成物を溶解させ、加工の繰り返しの多重性によって平坦度を向上させることができる。
ここで、加工電極86及び給電電極88は、電解反応により、酸化又は溶出が一般に問題となる。このため、電極の素材として、電極に広く使用されている金属や金属化合物よりも、炭素、比較的不活性な貴金属、導電性酸化物又は導電性セラミックスを使用することが好ましい。この貴金属を素材とした電極としては、例えば、下地の電極素材にチタンを用い、その表面にめっきやコーティングで白金又はイリジウムを付着させ、高温で焼結して安定化と強度を保つ処理を行ったものが挙げられる。セラミックス製品は、一般に無機物質を原料として熱処理によって得られ、各種の非金属・金属の酸化物・炭化物・窒化物などを原料として、様々な特性を持つ製品が作られている。この中に導電性を持つセラミックスもある。電極が酸化すると電極の電気抵抗値が増加し、印加電圧の上昇を招くが、このように、白金などの酸化しにくい材料やイリジウムなどの導電性酸化物で電極表面を保護することで、電極素材の酸化による導電性の低下を防止することができる。
図8に示すように、加工テーブル46のベース90の内部には、基板Wの表面(被加工面)に加工液としての純水、より好ましくは超純水を供給するための流路94が形成されており、この流路94は、純水供給管96を介して純水供給源(図示せず)に接続されている。また、加工電極86の内部には、流路94に連通する貫通孔86aが形成されており、この貫通孔86aを介して純水、より好ましくは超純水(加工液)がイオン交換体92の内部に供給される。
ここで、純水は、例えば電気伝導度が10μS/cm以下の水であり、超純水は、例えば電気伝導度が0.1μS/cm以下の水である。このように電解質を含まない純水又は超純水を使用して電解加工を行うことで、基板Wの表面に電解質等の余分な不純物が付着したり、残留したりすることをなくすことができる。更に、電解によって溶解した銅イオン等が、イオン交換体92にイオン交換反応で即座に捕捉されるため、溶解した銅イオン等が基板Wの他の部分に再度析出したり、酸化されて微粒子となり基板Wの表面を汚染したりすることがない。
なお、純水又は超純水の代わりに、電気伝導度500μS/cm以下の液体や、任意の電解液、例えば純水又は超純水に電解質を添加した電解液を使用してもよい。更に、純水又は超純水の代わりに、純水又は超純水に界面活性剤等を添加して、電気伝導度が500μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm以下、更に好ましくは、0.1μS/cm以下(比抵抗で10MΩ・cm以上)にした液体を使用してもよい。
一方、機械的加工部82の上面には、この例では、固定砥粒からなる固定砥粒定盤100が貼着され、この固定砥粒定盤100の表面を加工面(研磨面)100aとなすようになっている。ここで、固定砥粒は、例えばセリアやシリカ等の砥粒を、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、MBSやABS等のコアシェル型樹脂等のバインダ中に固定し、金型で板状に成形したものである。この砥粒とバインダと空孔率の比率は、例えば、砥粒:バインダ:空孔率=10〜50%:30〜80%:0〜40%(境界値を含む)である。固定砥粒の別形態としては、可撓性のシートの上に砥粒をバインダで薄く固着させたものなどを用いてもよい。
このような固定砥粒定盤100は、硬質の加工面100aを構成しており、傷(スクラッチ)の発生を防止しつつ、安定した研磨速度が得られ、しかも砥粒を含まない純水、または純水に界面活性剤等の添加剤を添加した液体を供給して加工(化学機械的研磨)を行うことで、高価で取扱いが面倒な研磨液の使用量を削減することができる。
ここで、加工に際して、基板に対向する全てのイオン交換体92、給電電極88及び固定砥粒定盤100の加工面100aが基板Wに均一に接触することが理想的である。このため、給電電極88の上面と固定砥粒定盤100の加工面100aとが同一平面となり、かつイオン交換体92の上端のなす平面より少し低くなるように設定されている。これにより、図9に示すように、基板Wをイオン交換体92に押付けた後、基板Wは、給電電極88の上面及び固定砥粒定盤100の加工面100aに確実に接触し、しかも、基板Wをそれ以上押付けようとしても、その押圧力を給電電極88及び固定砥粒定盤100が受けるので、基板Wとイオン交換体92との接触面積は変化しない。このように、この実施の形態では、基板Wが傾くことが防止され、イオン交換体92の接触面積が均一になるので、均一な加工を実現することができる。
次に、この基板処理装置を用いた基板処理について説明する。まず、例えば、図1Bに示すように、表面に導電体膜(被加工部)として銅膜6を形成した基板Wを収納したカセットを、ロード・アンロード部30にセットし、このカセットから1枚の基板Wを搬送ロボット36で取出す。搬送ロボット36は、取り出した基板Wを必要に応じて反転機32に搬送し、基板Wの導電体膜(銅膜6)を形成した表面が下を向くように反転させる。
搬送ロボット36は、反転させた基板Wを受け取り、これを複合加工装置34に搬送し、基板ホルダ42に吸着保持させる。そして、アーム40を揺動させて基板Wを保持した基板ホルダ42を加工テーブル46の直上方の加工位置まで移動させる。次に、上下動用モータ50を駆動して基板ホルダ42を下降させ、この基板ホルダ42で保持した基板Wを加工テーブル46のイオン交換体92の表面に接触させ、更に下降させて、イオン交換体92の上部を潰しながら、給電電極88の上面及び固定砥粒定盤100の加工面100aに接触させる。
この状態で、自転用モータ58を駆動して基板Wを回転させながら、中空モータ60を駆動して加工テーブル46をスクロール運動させ、同時に往復動用モータ56を駆動して基板Wを往復運動させる。このとき、加工電極86の貫通孔86aを通じて、純水又は超純水をイオン交換体92に供給し、これによって、イオン交換体92に純水又は超純水を含ませ、更に基板ホルダ42で保持した基板Wと加工テーブル46との間に純水又は超純水を満たす。この純水又は超純水は、ベース90の端部から外部に排出される。
そして、電源48により加工電極86と給電電極88との間に所定の電圧を印加し、イオン交換体92により生成された水素イオン又は水酸化物イオンによって、加工電極(陰極)86において、基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)の電解加工を行う。このとき、加工電極86と対面する部分において加工が進行するが、基板Wと加工電極86とを相対移動させることにより基板Wの全面の加工を行っている。同時に、機械的加工部82の固定砥粒定盤100の加工面100aを基板Wの表面の擦り付けることで、純水又は超純水の存在下で、基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)に固定砥粒による機械的加工を施す。
イオン交換体と電極(加工電極及び給電電極)を用いた銅膜の電解加工(研磨)では、イオン交換体が直接銅を取込むと考えられているが、電解加工中、銅膜表面にCu2OやCuO等の不動態膜が形成されることがあり、この不動態膜は物理的に柔らかく、かつ非導電性のため、電解加工のみでは除去できないばかりでなく、加工した面にピット(微小な穴)が形成されることがある。この実施の形態の複合加工装置によれば、不動態膜が形成されても、固定砥粒を用いた機械的加工部82で不動態膜を削り落とし、再び電解加工部84での加工を連続して繰返すことができ、これによって、低面圧、高レートの加工が可能となるばかりでなく、より平坦な被加工面を得ることができる。更に、機械的加工部82により、不動態膜だけでなく、基板Wに付着した、ピット発生の原因となると考えられる気泡も除去することができる。
この加工中には、加工電極86と給電電極88との間に印加する電圧、又はこの間を流れる電流をモニタ部38でモニタして、エンドポイント(加工終点)を検知する。すなわち、同じ電圧(電流)を印加した状態で電解加工を行うと、材料によって流れる電流(印加される電圧)に違いが生じる。例えば、図10Aに示すように、表面に材料Bと材料Aとを順次成膜した基板Wの該表面に電解加工を施したときに流れる電流をモニタすると、材料Aを電解加工している間は一定の電流が流れるが、異なる材料Bの加工に移行する時点で流れる電流が変化する。同様に、加工電極86と給電電極88との間に印加される電圧にあっても、図10Bに示すように、材料Aを電解加工している間は一定の電圧が印加されるが、異なる材料Bの加工に移行する時点で印加される電圧が変化する。なお、図10Aは、材料Bを電解加工するときの方が、材料Aを電解加工するときよりも電流が流れにくくなる場合を、図10Bは、材料Bを電解加工するときの方が、材料Aを電解加工するときよりも電圧が高くなる場合の例を示している。これにより、この電流又は電圧の変化をモニタすることでエンドポイントを確実に検知することができる。
なお、モニタ部38で加工電極86と給電電極88との間に印加する電圧、又はこの間を流れる電流をモニタして加工終点を検知するようにした例を説明したが、このモニタ部38で、加工中の基板の状態の変化をモニタして、任意に設定した加工終点を検知するようにしてもよい。この場合、加工終点は、被加工面の指定した部位について、所望の加工量に達した時点、又は加工量と相関関係を有するパラメータが所望の加工量に相当する量に達した時点を指す。このように、加工の途中においても、加工終点を任意に設定して検知できるようにすることで、多段プロセスでの電解加工が可能となる。
例えば、基板が異材料に達したときに生じる摩擦係数の違いによる摩擦力の変化や、基板の表面の凹凸を平坦化する際、凹凸を除去したことにより生じる摩擦力の変化等を検出することで加工量を判断し、加工終点を検出することとしてもよい。また、被加工面の電気抵抗による発熱や、加工面と被加工面との間に液体(純水)の中を移動するイオンと水分子の衝突による発熱が生じ、例えば基板の表面に堆積した銅膜を定電圧制御で電解研磨する際には、電解加工が進み、バリア膜や絶縁膜が露出するのに伴って、電気抵抗が大きくなり電流値が小さくなって発熱量が順に減少する。したがって、この発熱量の変化を検出することで加工量を判断し、加工終点を検出することとしてもよい。あるいは、異材料に達した時に生じる反射率の違いによる反射光の強度の変化を検出して、基板上の被加工膜の膜厚を検知し、これにより加工終点を検出してもよい。また、銅膜等の導電性膜の内部にうず電流を発生させ、基板の内部を流れるうず電流をモニタし、例えば周波数の変化を検出して、基板上の被加工膜の膜厚を検知し、これにより加工終点を検出してもよい。更に、電解加工にあっては、加工電極と給電電極との間を流れる電流値で加工レートが決まり、加工量は、この電流値と加工時面の積で求められる電気量に比例する。したがって、電流値と加工時間の積で求められる電気量を積算し、この積算値が所定の値に達したことを検出することで加工量を判断し、加工終点を検出してもよい。
電解加工完了後、電源48の加工電極86及び給電電極88との接続を切り、基板ホルダ42の回転(自転)及び往復運動と、加工テーブル46のスクロール運動を停止させる。しかる後、基板ホルダ42を上昇させ、アーム40を移動させて基板Wを搬送ロボット36に受け渡す。基板Wを受け取った搬送ロボット36は、必要に応じて反転機32に搬送して反転させた後、基板Wをロード・アンロード部30のカセットに戻す。
ここで、イオン交換体92としては、通水性に優れたものを使用することがより好ましい。純水又は超純水がイオン交換体92を通過するように流すことで、水の解離反応を促進させる官能基(強酸性陽イオン交換材料ではスルホン酸基)に十分な水を供給して水分子の解離量を増加させ、水酸化物イオン(もしくはOHラジカル)との反応により発生した加工生成物(ガスも含む)を水の流れにより除去して、加工効率を高めることができる。このような通水性を有する部材としては、例えば、通液性を有するスポンジ状の部材や、ナフィオン(デュポン社の商標)のような膜状部材に開孔を設けて通水性を持たせるようにしたものを使用することができる。
このように、機械的加工部82として、内部に砥粒を含有する固定砥粒を用いることにより、スラリーを供給することなく、純水のみを供給することで機械的加工部82による機械的研磨と電解加工部84による電解加工を行うことができる。これによって、電解加工と固定砥粒による機械的加工の両方のメリットを得ることができ、基板の洗浄などの後処理、排液処理が容易になる。しかも固定砥粒定盤100は、弾性変形しにくいため、基板の凸部のみに接触させて、微細な凹凸パターンを有する被加工物の凸部を選択的に除去することができる。
更に、電解加工部84と機械的加工部82を別個に設けることにより、イオン交換体や固定砥粒、更には下記の研磨パッドなどの基板への接触部材として、電解加工部84と機械的加工部82の各々に適した部材を用いることができる。また、加工面全体における電解加工部84と機械的加工部82の比率を任意に変えることができるため、基板に作用する電解加工と機械的加工の比率を変えることができ、より平滑な被加工面を得るために最適な装置構成にすることができる。
図11は、本発明の他の実施の形態の複合加工装置の縦断面図を、図12は、図11に示す複合加工装置の加工テーブルの平面図を示す。この実施の形態における複合加工装置34aの、前述の実施の形態における複合加工装置34と異なる点は、以下の通りである。
すなわち、この実施の形態の複合加工装置34aは、基板ホルダ42で保持される基板Wの直径の2倍以上の直径を有し、中空モータ162の駆動に伴って回転(自転)する加工テーブル146が備えられている。更に、加工テーブル146の上方に位置して、加工テーブル146の上面にスラリー(砥液)を供給するスラリー供給部としての砥液ノズル174が配置されている。
加工テーブル146は、円板状のベース190を備え、このベース190の上面には、機械的加工部182と、電解加工部184を構成する加工電極186及び給電電極188とが備えられており、スリップリング178を介して、電源180の陰極が加工電極186に、陽極が給電電極188にそれぞれ接続されるようになっている。更にこの加工電極186の上面は、イオン交換体192で覆われている。なお、この例では、給電電極188として、半径方向に沿って肉厚が一定の板状のものを使用しているが、扇状のものを使用してもよい。
このイオン交換体192で覆われた加工電極186は、図12に示すように、ベース190の半径方向に延びる扇状の形状を有し、円周方向に沿った所定のピッチで複数(図では3個)配置されており、この加工電極186の両側に給電電極188が配置されている。そして、ベース190の上面の加工電極186及び給電電極188を除く全領域に、この例では、研磨パッド200からなり、この上面を加工面200aとした機械的加工部182が設けられている。
この加工電極186の面積は、機械的加工部182の面積より小さくなるように設定され、また加工電極186を挟んで給電電極188を配置することで、加工電極186のイオン交換体192が基板Wに接触した時、給電電極188が必ず基板Wの表面に接触して給電できるようになっている。なお、この例では、加工電極188で基板表面の研磨等の除去加工を行うことなく、基板表面を不動態膜化する加工(処理)を行うようになっている。
なお、市場で入手できる研磨パッド(研磨布)200としては、例えば、ロデール社製のSUBA800、IC−1000等が挙げられる。
基板Wを保持し自転用モータ58の駆動に伴って回転する基板ホルダ42は、揺動アーム144の自由端に保持され、この揺動アーム144は、上下動用モータ160の駆動に伴ってボールねじ162を介して上下動し、揺動用モータ164の駆動に伴って回転する揺動軸166の上端に連結されている。
この実施の形態にあっては、図1Bに示す、表面に導電体膜(被加工部)として銅膜6を形成した基板Wを複合加工装置34aの基板ホルダ42で吸着保持し、揺動アーム144を揺動させて基板ホルダ42を加工テーブル146の直上方の加工位置まで移動させる。次に、上下動用モータ160を駆動して基板ホルダ42を下降させ、この基板ホルダ42で保持した基板Wを加工テーブル146のイオン交換体192、給電電極188及び研磨パッド200の加工面200aに接触させる。
この状態で、電源180を接続して加工電極186と給電電極188との間に所定の電圧を印加するとともに、基板ホルダ42と加工テーブル146とを共に回転させる。同時に、砥液ノズル174を通じて加工テーブル146の上面にスラリー(砥液)を供給し、加工テーブル146と基板ホルダ42で保持した基板Wとの間にスラリーを満たす。これによって、スラリーの存在下、給電電極188で導電体膜(銅膜6)に給電し、加工電極186を覆うイオン交換体192に当接する基板の導電体膜の表面に不動態膜を形成する加工(処理)を行い、更に、スラリーの存在下で研磨パッド200による機械的研磨を行うことで、この不動態膜を機械的に研磨除去する。そして、再び基板の導電体膜の表面に不動態膜を形成し、この不動態膜を研磨除去する加工を繰返す。これにより、基板表面の導電体膜の凸部のみに選択的に不動態膜を形成し、この不動態膜を選択的に除去することで、微細な凹凸パターンを有する被加工物(不動態膜)の凸部を選択的に除去することができる。
そして、電解加工完了後、電源180の接続を切り、基板ホルダ42と加工テーブル146の回転を停止させるとともに、スラリーの供給を停止し、しかる後、基板ホルダ42を上昇させ、揺動アーム144を揺動させて基板Wを次工程に引き渡す。
また、上記実施の形態で、さらに加工テーブルの周りに桶を配置し、桶内に電極を配置して、加工電極部から供給された加工液(純水)で電極と基板を加工液に浸漬させた状態で加工するようにしてもよい。
なお、本発明は、イオン交換体を用いた超純水電解加工に限られない。電解液を用いた電解加工の場合は、図6乃至図9において、各電極の上に、例えばスポンジやSUBA(ロデール社商標)などの通液性のスクラブ部材を配置し、また、各電極の間には通電を防止するために、絶縁性の部材を介在させる。
さらに、基板への給電方法として、上述した加工テーブル側に給電電極を備えなくても、基板ホルダから基板のベベル部へ給電するようにしてもよい。その場合、加工テーブルには加工電極が不要とするか、もしくは加工テーブル側の電極を全て加工電極(陰極)とすることができる。
上述したように、本発明によれば、電解加工部による加工で基板の表面に形成された、物理的に柔らかく、かつ非導電性の不動態膜を機械的加工部で削り落とし、再び電解加工での加工を連続で繰返すことで、低面圧、高レートの加工が可能となる。また、機械的加工部で加工することで、基板の表面に付着した気泡も不動態膜と同時に除去して、加工した面にピットが形成されることを確実に防止することができる。
図13は、本発明の更に他の実施の形態における複合加工装置を備えた基板処理装置の構成を示す平面図である。図13に示すように、この基板処理装置は、例えば、図1Bに示す、表面に導電体膜(被加工部)としての銅膜6を有する基板Wを収納したカセットを搬出入する搬出入部としての一対のロード・アンロード部230と、基板Wを反転させる反転機232と、基板受渡し用のプッシャ234と、複合加工装置236とを備えている。複合加工装置236は、基板Wを保持する基板ホルダ246と、下記の電解加工部及び固定砥粒加工部を備えた加工テーブル248とを有している。そして、ロード・アンロード部230、反転機232及びプッシャ234に囲まれた位置に、これらの間で基板Wを搬送して授受する搬送装置としての固定型搬送ロボット238が配置されている。更に、複合加工装置236による電解加工の際に、前述と同様に、加工電極と給電電極との間に印加する電圧、またはこの間を流れる電流をモニタするモニタ部242が備えられている。
図14に示すように、複合加工装置236は、水平方向に揺動自在な揺動アーム244の自由端に垂設されて基板Wを下向き(フェースダウン)に吸着保持する基板ホルダ246と、絶縁体からなるベース250を備えた円板状の加工テーブル248を備えている。ベース250の上面には、図15及び図16に示すように、内部に砥粒を有する固定砥粒252からなる複数の固定砥粒加工部254と、電解加工部256を構成する複数の加工電極258及び給電電極260とが、半径方向に沿って放射状に、かつ円周方向に沿って交互に配置されている。
この例では、加工電極258の基板ホルダ246側の表面(上面)にイオン交換体262aが、給電電極260の基板ホルダ246側の表面(上面)にイオン交換体262bがそれぞれ取付けられている。このように、加工電極258及び給電電極260の表面にイオン交換体262a,262bを取付けることで、流体として純水、より好ましくは超純水を使用するとともに、加工電極258と給電電極260との間で、いわゆる短絡が生じることを防止して、加工効率を高めることができる。
なお、加工電極258及び給電電極260の一方にのみイオン交換体を取付けるようにしてもよく、また、例えば下記の流体として電解液を使用する場合には、イオン交換体を省略するようにしてもよい。
また、固定砥粒加工部254と電解加工部256を有する加工テーブル248として、基板ホルダ246で保持する基板Wの直径の2倍以上の直径を有するものを使用して、基板Wの表面全域を機械的研磨及び電解加工するようにした例を示している。
固定砥粒加工部254を構成する固定砥粒252として、この例では、表面粗さが10μm以下のものが使用されている。また、基板ホルダ246で保持した基板Wの表面の導電体膜として銅膜6(図1B参照)の表面に、固定砥粒252の表面(上面)、及び加工電極258及び給電電極260にそれぞれ取付けたイオン交換体262a,262bの表面をそれぞれ押付けて加工を行うようになっている。この加工時に、固定砥粒252と基板Wの間、加工電極258に取付けたイオン交換体262aと基板Wの間、及び給電電極260に取付けたイオン交換体262bと基板Wの間に、10psi(69kPa)以下の力(面圧)が加えられる。
固定砥粒252による機械的研磨では、被加工物表面に深さのあるスクラッチやピット等の欠陥が発生し、これらの欠陥は、電解加工部256による電解加工で解消できる範囲のものであることが望まれる。例えば、表面粗さが10μmの固定砥粒252を使用し、10psiの面圧で銅膜の研磨を行った場合、銅表面に与えるスクラッチの深さは0.3〜0.5μm程度であり、同じ面圧で、表面粗さが5μmの固定砥粒252を使用した研磨を行った場合のスクラッチの深さは0.2〜0.3μm程度である。一方、電解加工部256による電解加工を併用することで解消できるスクラッチの深さは0.3μm前後であり、好ましくは0.3μm以下である。したがって、固定砥粒252による機械的研磨で可能な限り均一な研磨を行い、電解加工部256による電解加工で更に清浄な表面を得るためには、固定砥粒252に含まれる砥粒の粒径は、10μm以下であることが好ましい。
また、特に、加工電極258と被加工物の間、或いは固定砥粒252と被加工物の間の面圧により、加工速度や加工形状が左右され、銅配線のように比較的柔らかい金属やポーラス状のLow−k材にあっては、面圧を小さくしてスクラッチが起こり難くすることが望まれる。
この例では、スクラッチが起こりにくい電解加工(電気化学的加工)が主であり、固定砥粒252による機械的加工は、被加工物表面に塵細なキズを与えるという補助的な手段として用いている。このため、固定砥粒252による機械的研磨を期待するものではない。つまり、固定砥粒252による機械的加工で、被加工物の表面全体に塵細な傷を与えることにより、電解加工部256による電解加工での電界の局所的な集中を緩和させて、均一化した平坦性の高い加工が可能となる。
被加工物に与えるスクラッチの深さは、固定砥粒252の表面の粗さと面圧によって決定される。この例によれば、前述のように、10psi以下の面圧で、表面粗さが10μm以下の固定砥粒252を使用した機械的研磨を行うことで、銅表面に与えるスクラッチの深さを、電解加工部256による電解加工を併用することで解消可能な0.3〜0.5μm程度以下とすることができる。また、加工電極258及び給電電極260の面圧を10psi以下とすることで、スクラッチが起こり難くする要請に応えることができる。
なお、加工電極258及び給電電極260に取付けたイオン交換体262a,262bを基板Wに接触させることなく、基板Wに近接させるようにしてもよい。
揺動アーム244は、図14に示すように、上下動用モータ360の駆動に伴ってボールねじ362を介して上下動し、揺動用モータ264の駆動に伴って回転する揺動軸266の上端に連結されている。また、基板ホルダ246は、揺動アーム244の自由端に取付けた自転用モータ268に接続され、この自転用モータ268の駆動に伴って回転(自転)するようになっている。
加工テーブル248は、中空モータ270に直結され、この中空モータ270の駆動に伴って回転(自転)するようになっている。加工テーブル248のベース250の中央部には、電解液または純水、より好ましくは超純水等の液体を供給する液体供給部としての貫通孔248aが設けられている。そして、この貫通孔248aは、中空モータ270の中空部の内部を延びる液体供給管272に接続されている。純水、より好ましく超純水等の液体は、この貫通孔248aを通して供給された後、吸水性を有するイオン交換体262a,262bを通じて加工面全域に供給される。また、液体供給管272から接続される貫通孔248aを複数設けて、加工液を加工面全域に行き渡らせやすくしてもよい。
加工テーブル248の上方には、加工テーブル248の直径方向に沿って延びて、電解液または純水(超純水)等の液体を供給する液体供給部としてのノズル274が配置されている。これによって、電解液または純水(超純水)等の液体が基板Wの表面に該基板Wの上下方向から同時に供給されるようになっている。
この例では、図14に示すように、スリップリング278を介して、電源280の陰極に加工電極258を、電源280の陽極に給電電極260をそれぞれ接続する。このように、加工電極258と給電電極260とを加工テーブル48の円周方向に沿って分割して交互に設けることで、基板の導電体膜(被加工物)への固定給電部を不要となして、基板の全面の加工が可能となる。
次に、この基板処理装置による基板処理(電解加工)について説明する。先ず、例えば図1Bに示す、表面に導電体膜(被加工部)として銅膜6を形成した基板Wを収納してロード・アンロード部230にセットしたカセットから、1枚の基板Wを搬送ロボット238で取出し、この基板Wを、必要に応じて反転機232に搬送して反転させて、基板Wの導電体膜(銅膜6)を形成した表面が下を向くようにする。次に、この表面が下を向いた基板Wを搬送ロボット238でプッシャ234まで搬送してプッシャ234上に載置する。
このプッシャ234上に載置した基板Wを、複合加工装置236の基板ホルダ246で吸着保持し、揺動アーム244を揺動させて基板ホルダ246を加工テーブル248の直上方の加工位置まで移動させる。次に、上下動用モータ360を駆動して基板ホルダ246を下降させ、この基板ホルダ246で保持した基板Wを、加工テーブル248の固定砥粒252、加工電極258に取付けたイオン交換体262a及び給電電極260に取付けたイオン交換体262bの表面に接触させて押付ける。この時、固定砥粒252及びイオン交換体262a,262bの押付け圧力(面圧)が10psi(69kPa)以下となるようにする。
なお、イオン交換体262a,262bの一方、または双方を基板Wの表面に近接させるようにしてもよい。
この状態で、電源280を接続して加工電極258と給電電極260との間に所定の電圧を印加するとともに、基板ホルダ246と加工テーブル248とを共に回転させる。同時に、貫通孔248aを通じて、加工テーブル248の下側から該加工テーブル248の上面に純水、好ましくは超純水を、ノズル274により加工テーブル248の上側から該加工テーブル248の上面に純水、好ましくは超純水を同時に供給し、加工電極258及び給電電極260と基板Wとの間に純水、好ましくは超純水を満たす。
これによって、固定砥粒加工部254の固定砥粒252と接触する基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)が機械的に研磨され、同時に、基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)が陽極となって、陰極に接続された加工電極258に取付けたイオン交換体262aと接触する基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)が電解加工される。基板ホルダ246と加工テーブル248とを共に回転させることで、この機械的研磨と電解加工が基板Wの全面に亘って行われる。
この時、加工電極258と給電電極260との間に印加する電圧、またはこの間を流れる電流をモニタ部242でモニタして、エンドポイント(加工終点)を検知してもよいことは、前述と同様である。
加工完了後、電源280の加工電極258及び給電電極260との接続を切り、基板ホルダ246と加工テーブル248の回転を停止させる。しかる後、基板ホルダ246を上昇させ、揺動アーム244を揺動させて基板Wをプッシャ234に受け渡す。そして、搬送ロボット238は、このプッシャ234から基板Wを受取り、必要に応じて反転機232に搬送して反転させた後、基板Wをロード・アンロード部230のカセットに戻す。
このように、加工テーブル248と基板Wとの間に純水、好ましくは超純水を供給することで、前述の例と同様に、基板Wの表面に電解質等の余分な不純物が付着したり、残留したりすることをなくし、しかも、基板Wの表面が溶解した銅イオン等により汚染されることを防止することができる。
超純水は、比抵抗が大きく電流が流れ難いため、電極と被加工物との距離を極力短くしたり、電極と被加工物との間にイオン交換体を挟んだりすることで電気抵抗を低減しているが、さらに電解液を組み合わせることで、更に電気抵抗を低減して消費電力を削減することができる。なお、電解液による加工では、被加工物の加工される部分が加工電極よりやや広い範囲に及ぶが、超純水とイオン交換体の組合せでは、超純水にほとんど電流が流れないため、被加工物の加工電極とイオン交換体が投影された範囲内のみが加工されることになる。
この例では、加工電極258及び給電電極260にイオン交換体262a,262bを取付けた例を示しているが、加工電極258及び給電電極にイオン交換体を取付けることなく、また純水、好ましくは超純水の代わりに、純水や超純水に電解質を添加した電解液を使用してもよい。電解液を使用することで、さらに電気抵抗を低減して消費電力を削減することができる。この電解液としては、例えば、NaClやNa2SO4等の中性塩、HClやH2SO4等の酸、更には、アンモニア等のアルカリが使用でき、被加工物の特性によって適宜選択して使用すればよい。
更に、純水(超純水)の代わりに、純水(超純水)に界面活性剤等を添加して、電気伝導度が500μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm以下、更に好ましくは、0.1μS/cm以下(比抵抗で10MΩ・cm以上)にした液体を使用してもよいことは前述と同様である。
図17は、加工テーブル248の他の例を示す。この加工テーブル248は、ベース250上に該ベース250の中心を挟んで直線状に延びる各2個の加工電極258aと給電電極260aとを互いに直交するように配置し、この加工電極258aと給電電極260aとの間に、合計4個の扇状の固定砥粒252aを配置している。この加工電極258a及び給電電極260aの表面にイオン交換体を取付けてもよいことは勿論である。
図18は、加工テーブル248の他の例を示す。この加工テーブル248は、ベース250上に該ベース250の中心を挟んで四方に延びる、合計4個の直線状の固定砥粒254bを配置し、この固定砥粒254bに挟まれた領域に、扇状の各2個の加工電極258bと給電電極260bを加工テーブル248の回転方向に沿って交互に配置している。この加工電極258b及び給電電極260bの表面にイオン交換体を取付けてもよいことは勿論である。
このように、固定砥粒加工部を構成する固定砥粒や、電極加工部を構成する加工電極及び給電電極の形状や個数等は、被加工物に合わせて任意に選択される。
図19及び図20は、本発明の更に他の実施の形態における複合加工装置を示す。この複合加工装置300は、内部に純水、好ましくは超純水等の液体を保持して該液体の飛散を防止する加工チャンバ302を有している。加工チャンバ302の内部に位置して、表面(被処理面)を上向き(フェースアップ)にして、被処理物としての基板Wを着脱自在に保持する基板ホルダ304が、この基板ホルダ304で保持した基板Wが加工チャンバ302内の純水等の液体に浸漬されるように配置されている。
基板ホルダ304の上方に位置して、加工テーブル306が上下動自在、かつモータ308を介して回転自在に配置されている。この加工テーブル306には、絶縁体からなるベース310が備えられ、このベース310の下面には、図20に示すように、固定砥粒312からなる固定砥粒加工部314と、電解加工部316を構成する加工電極318及び給電電極320が着脱自在に配置される。固定砥粒312として、例えば、表面粗さが4.4μmの#3000アルミナ砥粒シート、または表面粗さが0.5μmの#8000ダイヤモンド砥粒シート(いずれも住友3M社製)が使用される。加工電極318と給電電極320は、ベース310の中心を挟んだ位置に、所定間隔、例えば3mm程度離間して直線状に配置され、固定砥粒312は、固定砥粒312で研磨された面が加工電極318で直ぐに電解加工されるよう、加工テーブル306の回転方向に沿った加工電極318の直上流側に該加工電極318と平行に配置される。
加工電極318及び給電電極320の基板ホルダ304側の表面には、例えば、ポリエチレン製の不織布にグラフト重合法によりスルホン酸基を付与したイオン交換体と、このイオン交換体の上に積層したナフィオン(Nafion)117(デュポン社製)からなるシート状のイオン交換体の2層からなるイオン交換体322a,322bが取付けられている。この加工電極318は電源324の陰極に、給電電極320は電源324の陽極にそれぞれ接続される。
更に、加工チャンバ302の内部に位置して、基板ホルダ304で保持した基板Wに向けて超純水等の液体を供給する液体ノズル326が配置されている。
この例によれば、基板ホルダ304で基板Wを保持した後、加工テーブル306を下降させて、固定砥粒312、及び加工電極318及び給電電極320にそれぞれ取付けたそれぞれイオン交換体322a,322bを、例えば10psi(69kPa)の面圧で押付けながら加工テーブル306を回転させ、同時に、液体ノズル326から基板Wに向けて超純水等の液体を供給する。この時、加工チャンバ302内に超純水等の液体を満たして、液体の飛散を防止する。そして、加工電極318を電源324の陰極に、給電電極320を電源324の陽極にそれぞれ接続し、これによって、固定砥粒加工部314の固定砥粒312による機械的加工と、電解加工部316の加工電極318による電解加工を、固定砥粒312で研磨された面が加工電極318で直ぐに電解加工されるようにして、同時に行う。
なお、加工チャンバを備えることなく、基板ホルダで保持した基板の表面に供給された液体が基板の表面に沿って外方に流れ、そのまま外部に流出するようにしてもよい。
上述したように本発明によれば、固定砥粒による機械的研磨加工と超純水や電解液による電解加工とを複合することにより、スラリーや洗浄液の廃液処理の負荷が少なく、加工面の平滑性、加工レートなど加工性能が著しく向上する。
実施例1及び2
図19及び図20に示す複合加工装置300を用いて、銅めっき膜の複合電解加工を行った。ここで、図19及び図20に示す複合加工装置300の加工テーブル306として、ベース310に表面に、ポリエチレン製の不織布にグラフト重合法によりスルホン酸基を付与したイオン交換体と該イオン交換体の上に積層したナフィオン(Nafion)117(デュポン社製)からなるシート状のイオン交換体の2層からなるイオン交換体322a,322bを表面に取付けた加工電極318及び給電電極320とを備え、更に表面粗さが4.4μmの#3000アルミナ砥粒シートからなる固定砥粒312を備えたもの(実施例1)、または表面粗さが0.5μmの#8000ダイヤモンド砥粒シートからなる固定砥粒312を備えたもの(実施例2)を使用した。
先ず、試料として、表面に導電性の薄膜(銅)が成膜されたテスト用ウエハ基板(50φ)を用意した。そして、液体として、比抵抗が18MΩ・cm以上の超純水を使用し、この超純水を液体ノズル326から加工チャンバ302内に供給し保持しながら、基板ホルダ304に吸着保持し超純水に浸漬させて試料(基板W)に加工を行った。
この時、加工テーブル306をモータ308により200rpmで回転させ、加工電極318と給電電極320を定電流定電圧電源324に接続し、銅めっき膜を定電流0.3Aで90秒の電解加工を行った。加工後の残存膜厚を測定し、加工レートを求めた。膜厚は、4探針法比抵抗計により測定した比抵抗を膜厚に換算して求めた。
図21に、固定砥粒312として#3000アルミナ砥粒シート用いた場合(実施例1)、#8000ダイヤモンド砥粒シートを用いた場合(実施例2)の加工プロファイルを、固定砥粒を用いることなく電解加工のみを行った場合(比較例)と共に示す。実施例1及び2のいずれの場合も、電解加工のみの場合(比較例)に比べ加工レートが速いことが判る。
また、この実施例1及び実施例2における加工後の試料(ウエハ)表面をレーザ顕微鏡により観察した結果を図22に示す。図22により、実施例1にあっては、0.1μm前後のスクラッチが残るものの、その数が激減していることが判る。また、実施例2にあっては、平滑な加工面が得られることが判る。
実施例3及び4
実施例1及び2と同様な試料を用意し、図19及び図20に示す複合加工装置を用いて銅めっき膜の加工を行った。ここで、図19及び図20に示す複合加工装置300の加工テーブル306として、先ずベース310の表面に、表面粗さが4.4μmの#3000アルミナ砥粒シートからなる固定砥粒312のみを備えたものを使用して、固定砥粒312による機械的研磨を行い(実施例3)、または表面粗さが0.5μmの#8000アルミナ砥粒シートからなる固定砥粒312のみを備えたものを使用して、固定砥粒312による機械的研磨を行い(実施例4)、しかる後、ポリエチレン製の不織布にグラフト重合法によりスルホン酸基を付与したイオン交換体と該イオン交換体の上に積層したナフィオン(Nafion)117(デュポン社製)からなるシート状のイオン交換体の2層からなるイオン交換体322a,322bを表面に取付けた加工電極318及び給電電極320のみを備えたものを使用して、加工電極318による電解加工を行った。
この固定砥粒312(#3000アルミナ砥粒シート(実施例3)または#8000ダイヤモンド砥粒シート(実施例4))による加工に際し、加工テーブル306をモータ308により200rpmで回転させ、比抵抗18MΩ・cmの超純水中で30秒間の機械的研磨加工を行った。加工後の試料(ウエハ)表面をレーザ顕微鏡により観察した。次いで、電解加工部316の加工電極318による加工に際し、比抵抗18MΩ・cmの超純水中で、加工テーブル306を200rpmで回転させ、加工電極318と給電電極320との間に定電流0.3Aを流して、90秒間、電解加工を行った。加工後の試料(ウエハ)の表面をレーザ顕微鏡により観察した。
図23にこれらを観察した結果を示す。図23より、実施例3の場合、#3000アルミナ砥粒研磨シートからなる固定砥粒で加工したことによる試料(ウエハ)表面のスクラッチ等の粗さは、0.2〜0.27μmであったが、これを電解加工することにより減少させることができ、スクラッチ等の粗さは、0.1μm以下となった。また、実施例4の場合、#8000ダイヤモンド砥粒研磨シートからなる固定砥粒で加工したことによるスクラッチ等の粗さは、0.1μm前後であり、電解加工により、スクラッチ等は殆どなくなり、平滑な加工面が得られることが判る。
粒度が大きい固定砥粒(研磨シート)を用いることにより、複合電解加工での加工レートが速くなったとしても、スクラッチ等が電解加工により除去しきれない。0.5μm以上の深いスクラッチ等は、電解加工で平坦化するのは極めて困難である。従って、例えば、銅めっきウエハのように加工精度と表面平滑性の求められる材料に対して、1種類の固定砥粒で複合電解加工を行う場合には、#8000以上(砥粒粒径1μm以下、表面粗さ0.5μm)を使用することが望ましい。好ましくは、加工レートを大きくするために、固定砥粒を段階的に細なものに変えて、例えば最初は#3000で、次に#8000とし最後は固定砥粒をなくして電解加工のみで仕上げを行うプロセスが理想的である。
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
図4は、本発明の第1の実施の形態における複合加工装置を備えた基板処理装置の構成を示す平面図である。図4に示すように、この基板処理装置は、例えば、図1Bに示す、表面に導電体膜(被加工部)としての銅膜6を有する基板Wを収納したカセットを搬出入する搬出入部としての一対のロード・アンロード部30と、基板Wを反転させる反転機32と、複合加工装置34とを備えている。これらの機器は直列に配置されており、これらの機器の間で基板Wを搬送して授受する搬送装置としての搬送ロボット36がこれらの機器と平行に配置されている。また、複合加工装置34による加工の際に、後述する加工電極と給電電極との間に印加する電圧又はこれらの間を流れる電流をモニタするモニタ部38がロード・アンロード部30に隣接して配置されている。
図5は、本発明の実施の形態における複合加工装置を模式的に示す平面図、図6は、図5の縦断面図である。図5及び図6に示すように、この実施の形態における複合加工装置34は、上下動可能かつ水平面に沿って往復運動可能なアーム40と、アーム40の自由端に垂設されて、表面(被処理面)を下向き(フェースダウン)にして基板Wを吸着保持する基板ホルダ42と、アーム40が取付けられる可動フレーム44と、矩形状の加工テーブル46と、加工テーブル46に備えられた下記の加工電極86及び給電電極88に接続される電源48とを備えている。この実施の形態では、加工テーブル46の大きさは、基板ホルダ42で保持する基板Wの外径よりも一回り大きな大きさに設定されている。
可動フレーム44の上部には上下動用モータ50が設置されており、この上下動用モータ50には上下方向に延びるボールねじ52が連結されている。ボールねじ52にはアーム40の基部40aが取付けられており、上下動用モータ50の駆動に伴ってアーム40がボールねじ52を介して上下動するようになっている。また、可動フレーム44自体も、水平方向に延びるボールねじ54に取付けられており、往復動用モータ56の駆動に伴って可動フレーム44及びアーム40が水平面に沿って往復運動するようになっている。
基板ホルダ42は、アーム40の自由端に設置された自転用モータ58に接続されており、この自転用モータ58の駆動に伴って回転(自転)できるようになっている。また、上述したように、アーム40は上下動及び水平方向に往復運動可能となっており、基板ホルダ42はアーム40と一体となって上下動及び水平方向に往復運動可能となっている。
また、加工テーブル46の下方には中空モータ60が設置されており、この中空モータ60の主軸62には、この主軸62の中心から偏心した位置に駆動端64が設けられている。加工テーブル46は、その中央において上記駆動端64に軸受(図示せず)を介して回転自在に連結されている。また、加工テーブル46と中空モータ60との間には、周方向に3つ以上の自転防止機構が設けられている。これによって、中空モータ60の駆動により加工テーブル46がスクロール運動(並進回転運動)を行うようになっている。
図7Aは、この実施の形態における自転防止機構を示す平面図、図7Bは、図7AのA−A線断面図である。図7A及び図7Bに示すように、加工テーブル46と中空モータ60との間には、周方向に3つ以上(図7Aにおいては4つ)の自転防止機構66が設けられている。図7Bに示すように、中空モータ60の上面と加工テーブル46の下面の対応する位置には、周方向に等間隔に複数の凹所68,70が形成されており、これらの凹所68,70にはそれぞれ軸受72,74が装着されている。軸受72,74には、距離“e”だけずれた2つの軸体76,78の一端部がそれぞれ挿入されており、軸体76,78の他端部は連結部材80により互いに連結される。ここで、中空モータ60の主軸62の中心に対する駆動端64の偏心量も上述した距離“e”と同じになっている。したがって、加工テーブル46は、中空モータ60の駆動に伴って、主軸62の中心と駆動端64との間の距離“e”を半径とした、自転を行わない公転運動、いわゆるスクロール運動(並進回転運動)を行うようになっている。
次に、この実施の形態における加工テーブル46について説明する。図5に示すように、この実施の形態における加工テーブル46は、複数の機械的加工部82と、電解加工部84を構成する複数の加工電極86及び給電電極88を備えている。図8は、加工テーブル46の縦断面図である。図8に示すように、加工テーブル46は、平板状のベース90を備えており、このベース90の上面に、X方向(図5参照)に沿って延びる複数の加工電極86と給電電極88が、所定間隔離間して交互に配置されている。そして、加工電極86を挟む給電電極88の両側に、X方向(図5参照)に沿って延びる複数の機械的加工部82が配置されている。各加工電極86の上面は、断面半円状のイオン交換体92で覆われている。
前述の加工テーブル46のスクロール運動の回転半径“e”は、この例では、加工電極86と給電電極88との距離Bに等しく、加工電極86と該加工電極86に隣接する機械的加工部82までの距離S1よりも長く(B=e>S1)設定されている。これによって、加工電極86が通過したところを機械的加工部82が連続して通過できるようになっている。
また、1つの加工電極86について考えると、電解加工においては、基板Wが加工電極86の表面のイオン交換体92と接触又は近接した範囲でのみ加工が行われ、加工電極86の端部には電界が集中するため、加工電極86の幅方向の端部付近の加工レートは、中央付近に比べて高くなる。
このように、1つの加工電極86において加工量のバラツキが生じるが、この実施の形態では、上述したように、加工テーブル46をスクロール運動させ、基板Wと加工電極86とをY方向(図5参照)に往復相対運動させることにより、この加工量のバラツキを抑えている。つまり、スクロール運動によって加工量のバラツキを少なくすることができるものの、完全にバラツキをなくすことはできない。
この実施の形態では、上述したスクロール運動(第1の相対運動)に加えて、電解加工中に基板ホルダ42をY方向(図5参照)に所定の距離だけ移動させて、基板Wと加工電極86との間で第2の相対運動を行うことにより、上述した加工量のバラツキをなくしている。すなわち、スクロール運動(第1の相対運動)のみを行った場合には、基板WのY方向に沿って加工量に差が生じ、同一形状の加工量分布が、加工電極86のピッチP(図8参照)ごとに現れるが、電解加工中に、往復動用モータ56を駆動させてアーム40及び基板ホルダ42をY方向にピッチPの整数倍だけ移動させて、基板Wと加工電極86との間で第2の相対運動を行ことで、基板Wの全面を均一に加工することが可能となる。この場合において、第2の相対運動の移動速度は一定であることが好ましい。
ここで、上述した第2の相対運動を繰り返し、基板Wを加工電極86に対してY方向に往復運動させてもよい。この場合において、往路と復路の移動距離は、共に上述したピッチPの整数倍とする必要があるが、往路の移動距離と復路の移動距離を必ずしも等しくする必要はなく、互いに異なっていてもよい。例えば、往路の移動距離をピッチPの2倍とし、復路の移動距離をピッチPの等倍としてもよい。
前記イオン交換体92は、例えば、アニオン交換基又はカチオン交換基を付与した不織布で構成されている。カチオン交換体は、好ましくは強酸性カチオン交換基(スルホン酸基)を担持したものであるが、弱酸性カチオン交換基(カルボキシル基)を担持したものでもよい。また、アニオン交換体は、好ましくは強塩基性アニオン交換基(4級アンモニウム基)を担持したものであるが、弱塩基性アニオン交換基(3級以下のアミノ基)を担持したものでもよい。また、イオン交換体92の素材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、又はその他有機高分子が挙げられる。また素材形態としては、不織布の他に、織布、シート、多孔質材、短繊維等が挙げられる。また、イオン交換体92の内部に不織布イオン交換体を配置して弾性を高めてもよい。
ここで、例えば強塩基アニオン交換基を付与した不織布は、繊維径20〜50μmで空隙率が約90%のポリオレフィン製の不織布に、γ線を照射した後グラフト重合を行ういわゆる放射線グラフト重合法により、グラフト鎖を導入し、次に導入したグラフト鎖をアミノ化して第4級アンモニウム基を導入して作製される。導入されるイオン交換基の容量は、導入するグラフト鎖の量により決定される。グラフト重合を行うためには、例えばアクリル酸、スチレン、メタクリル酸グリシジル、更にはスチレンスルホン酸ナトリウム、クロロメチルスチレン等のモノマーを用い、これらのモノマー濃度、反応温度及び反応時間を制御することで、重合するグラフト量を制御することができる。したがって、グラフト重合前の素材の重量に対し、グラフト重合後の増加重量の比をグラフト率と呼ぶが、このグラフト率は、最大で500%が可能であり、グラフト重合後に導入されるイオン交換基は、最大で5meq/gが可能である。
強酸性カチオン交換基を付与した不織布は、上記強塩基性アニオン交換能を付与する方法と同様に、繊維径20〜50μmで空隙率が約90%のポリオレフィン製の不織布に、γ線を照射した後グラフト重合を行ういわゆる放射線グラフト重合法により、グラフト鎖を導入し、次に導入したグラフト鎖を、例えば加熱した硫酸で処理してスルホン酸基を導入して作製される。また、加熱したリン酸で処理すればリン酸基が導入できる。ここでグラフト率は、最大で500%が可能であり、グラフト重合後に導入されるイオン交換基は、最大で5meq/gが可能である。
なお、イオン交換体92の素材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、又はその他有機高分子が挙げられる。また素材形態としては、不織布の他に、織布、シート、多孔質材、短繊維等が挙げられる。ここで、ポリエチレンやポリプロピレンは、放射線(γ線又は電子線)を先に素材に照射する(前照射)ことで、素材にラジカルを発生させ、次にモノマーと反応させてグラフト重合することができる。これにより、均一性が高く、不純物が少ないグラフト鎖ができる。一方、その他の有機高分子は、モノマーを含浸させ、そこに放射線(γ線、電子線、紫外線)を照射(同時照射)することで、ラジカル重合することができる。この場合、均一性に欠けるが、ほとんどの素材に適用できる。
このように、イオン交換体92をアニオン交換基又はカチオン交換基を付与した不織布で構成することで、純水、超純水または電解液等の液体が不織布の内部を自由に移動して、不織布内部の水分解触媒作用を有する活性点に容易に到達することが可能となって、多くの水分子が水素イオンと水酸化物イオンに解離される。更に、解離によって生成した水酸化物イオンが純水、超純水または電解液等の液体の移動に伴って効率良く加工電極86の表面に運ばれるため、低い印加電圧でも高電流が得られる。
この実施の形態では、加工電極86は電源48の陰極に、給電電極88は電源48の陽極にそれぞれ接続される。これは、例えば、銅を加工する場合においては、陰極側に電解加工作用が生じるためであり、加工材料によっては、給電電極に電源の陰極が、加工電極に陽極がそれぞれ接続される。すなわち、被加工材料が、例えば銅やモリブデン、鉄である場合には、陰極側に電解加工作用が生じるため、電源の陰極に接続した電極が加工電極となり、陽極に接続した電極が給電電極となる。一方、被加工材料が、例えばアルミニウムやシリコンである場合には、陽極側で電解加工作用が生じるため、電源の陽極に接続した電極が加工電極となり、陰極に接続した電極が給電電極となる。
このように、加工電極86と給電電極88とを加工テーブル46と直交するY方向(図5参照)に交互に設けることで、基板Wの導電体膜(被加工部)に給電を行う給電部を設ける必要がなくなり、基板Wの全面の加工が可能となる。また、加工電極86と給電電極88間に印加される電圧の正負をパルス状に変化させることで、電解生成物を溶解させ、加工の繰り返しの多重性によって平坦度を向上させることができる。
ここで、加工電極86及び給電電極88は、電解反応により、酸化又は溶出が一般に問題となる。このため、電極の素材として、電極に広く使用されている金属や金属化合物よりも、炭素、比較的不活性な貴金属、導電性酸化物又は導電性セラミックスを使用することが好ましい。この貴金属を素材とした電極としては、例えば、下地の電極素材にチタンを用い、その表面にめっきやコーティングで白金又はイリジウムを付着させ、高温で焼結して安定化と強度を保つ処理を行ったものが挙げられる。セラミックス製品は、一般に無機物質を原料として熱処理によって得られ、各種の非金属・金属の酸化物・炭化物・窒化物などを原料として、様々な特性を持つ製品が作られている。この中に導電性を持つセラミックスもある。電極が酸化すると電極の電気抵抗値が増加し、印加電圧の上昇を招くが、このように、白金などの酸化しにくい材料やイリジウムなどの導電性酸化物で電極表面を保護することで、電極素材の酸化による導電性の低下を防止することができる。
図8に示すように、加工テーブル46のベース90の内部には、基板Wの表面(被加工面)に加工液としての純水、より好ましくは超純水を供給するための流路94が形成されており、この流路94は、純水供給管96を介して純水供給源(図示せず)に接続されている。また、加工電極86の内部には、流路94に連通する貫通孔86aが形成されており、この貫通孔86aを介して純水、より好ましくは超純水(加工液)がイオン交換体92の内部に供給される。
ここで、純水は、例えば電気伝導度が10μS/cm以下の水であり、超純水は、例えば電気伝導度が0.1μS/cm以下の水である。このように電解質を含まない純水又は超純水を使用して電解加工を行うことで、基板Wの表面に電解質等の余分な不純物が付着したり、残留したりすることをなくすことができる。更に、電解によって溶解した銅イオン等が、イオン交換体92にイオン交換反応で即座に捕捉されるため、溶解した銅イオン等が基板Wの他の部分に再度析出したり、酸化されて微粒子となり基板Wの表面を汚染したりすることがない。
なお、純水又は超純水の代わりに、電気伝導度500μS/cm以下の液体や、任意の電解液、例えば純水又は超純水に電解質を添加した電解液を使用してもよい。更に、純水又は超純水の代わりに、純水又は超純水に界面活性剤等を添加して、電気伝導度が500μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm以下、更に好ましくは、0.1μS/cm以下(比抵抗で10MΩ・cm以上)にした液体を使用してもよい。
一方、機械的加工部82の上面には、この例では、固定砥粒からなる固定砥粒定盤100が貼着され、この固定砥粒定盤100の表面を加工面(研磨面)100aとなすようになっている。ここで、固定砥粒は、例えばセリアやシリカ等の砥粒を、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、MBSやABS等のコアシェル型樹脂等のバインダ中に固定し、金型で板状に成形したものである。この砥粒とバインダと空孔率の比率は、例えば、砥粒:バインダ:空孔率=10〜50%:30〜80%:0〜40%(境界値を含む)である。固定砥粒の別形態としては、可撓性のシートの上に砥粒をバインダで薄く固着させたものなどを用いてもよい。
このような固定砥粒定盤100は、硬質の加工面100aを構成しており、傷(スクラッチ)の発生を防止しつつ、安定した研磨速度が得られ、しかも砥粒を含まない純水、または純水に界面活性剤等の添加剤を添加した液体を供給して加工(化学機械的研磨)を行うことで、高価で取扱いが面倒な研磨液の使用量を削減することができる。
ここで、加工に際して、基板に対向する全てのイオン交換体92、給電電極88及び固定砥粒定盤100の加工面100aが基板Wに均一に接触することが理想的である。このため、給電電極88の上面と固定砥粒定盤100の加工面100aとが同一平面となり、かつイオン交換体92の上端のなす平面より少し低くなるように設定されている。これにより、図9に示すように、基板Wをイオン交換体92に押付けた後、基板Wは、給電電極88の上面及び固定砥粒定盤100の加工面100aに確実に接触し、しかも、基板Wをそれ以上押付けようとしても、その押圧力を給電電極88及び固定砥粒定盤100が受けるので、基板Wとイオン交換体92との接触面積は変化しない。このように、この実施の形態では、基板Wが傾くことが防止され、イオン交換体92の接触面積が均一になるので、均一な加工を実現することができる。
次に、この基板処理装置を用いた基板処理について説明する。まず、例えば、図1Bに示すように、表面に導電体膜(被加工部)として銅膜6を形成した基板Wを収納したカセットを、ロード・アンロード部30にセットし、このカセットから1枚の基板Wを搬送ロボット36で取出す。搬送ロボット36は、取り出した基板Wを必要に応じて反転機32に搬送し、基板Wの導電体膜(銅膜6)を形成した表面が下を向くように反転させる。
搬送ロボット36は、反転させた基板Wを受け取り、これを複合加工装置34に搬送し、基板ホルダ42に吸着保持させる。そして、アーム40を揺動させて基板Wを保持した基板ホルダ42を加工テーブル46の直上方の加工位置まで移動させる。次に、上下動用モータ50を駆動して基板ホルダ42を下降させ、この基板ホルダ42で保持した基板Wを加工テーブル46のイオン交換体92の表面に接触させ、更に下降させて、イオン交換体92の上部を潰しながら、給電電極88の上面及び固定砥粒定盤100の加工面100aに接触させる。
この状態で、自転用モータ58を駆動して基板Wを回転させながら、中空モータ60を駆動して加工テーブル46をスクロール運動させ、同時に往復動用モータ56を駆動して基板Wを往復運動させる。このとき、加工電極86の貫通孔86aを通じて、純水又は超純水をイオン交換体92に供給し、これによって、イオン交換体92に純水又は超純水を含ませ、更に基板ホルダ42で保持した基板Wと加工テーブル46との間に純水又は超純水を満たす。この純水又は超純水は、ベース90の端部から外部に排出される。
そして、電源48により加工電極86と給電電極88との間に所定の電圧を印加し、イオン交換体92により生成された水素イオン又は水酸化物イオンによって、加工電極(陰極)86において、基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)の電解加工を行う。このとき、加工電極86と対面する部分において加工が進行するが、基板Wと加工電極86とを相対移動させることにより基板Wの全面の加工を行っている。同時に、機械的加工部82の固定砥粒定盤100の加工面100aを基板Wの表面の擦り付けることで、純水又は超純水の存在下で、基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)に固定砥粒による機械的加工を施す。
イオン交換体と電極(加工電極及び給電電極)を用いた銅膜の電解加工(研磨)では、イオン交換体が直接銅を取込むと考えられているが、電解加工中、銅膜表面にCu2OやCuO等の不動態膜が形成されることがあり、この不動態膜は物理的に柔らかく、かつ非導電性のため、電解加工のみでは除去できないばかりでなく、加工した面にピット(微小な穴)が形成されることがある。この実施の形態の複合加工装置によれば、不動態膜が形成されても、固定砥粒を用いた機械的加工部82で不動態膜を削り落とし、再び電解加工部84での加工を連続して繰返すことができ、これによって、低面圧、高レートの加工が可能となるばかりでなく、より平坦な被加工面を得ることができる。更に、機械的加工部82により、不動態膜だけでなく、基板Wに付着した、ピット発生の原因となると考えられる気泡も除去することができる。
この加工中には、加工電極86と給電電極88との間に印加する電圧、又はこの間を流れる電流をモニタ部38でモニタして、エンドポイント(加工終点)を検知する。すなわち、同じ電圧(電流)を印加した状態で電解加工を行うと、材料によって流れる電流(印加される電圧)に違いが生じる。例えば、図10Aに示すように、表面に材料Bと材料Aとを順次成膜した基板Wの該表面に電解加工を施したときに流れる電流をモニタすると、材料Aを電解加工している間は一定の電流が流れるが、異なる材料Bの加工に移行する時点で流れる電流が変化する。同様に、加工電極86と給電電極88との間に印加される電圧にあっても、図10Bに示すように、材料Aを電解加工している間は一定の電圧が印加されるが、異なる材料Bの加工に移行する時点で印加される電圧が変化する。なお、図10Aは、材料Bを電解加工するときの方が、材料Aを電解加工するときよりも電流が流れにくくなる場合を、図10Bは、材料Bを電解加工するときの方が、材料Aを電解加工するときよりも電圧が高くなる場合の例を示している。これにより、この電流又は電圧の変化をモニタすることでエンドポイントを確実に検知することができる。
なお、モニタ部38で加工電極86と給電電極88との間に印加する電圧、又はこの間を流れる電流をモニタして加工終点を検知するようにした例を説明したが、このモニタ部38で、加工中の基板の状態の変化をモニタして、任意に設定した加工終点を検知するようにしてもよい。この場合、加工終点は、被加工面の指定した部位について、所望の加工量に達した時点、又は加工量と相関関係を有するパラメータが所望の加工量に相当する量に達した時点を指す。このように、加工の途中においても、加工終点を任意に設定して検知できるようにすることで、多段プロセスでの電解加工が可能となる。
例えば、基板が異材料に達したときに生じる摩擦係数の違いによる摩擦力の変化や、基板の表面の凹凸を平坦化する際、凹凸を除去したことにより生じる摩擦力の変化等を検出することで加工量を判断し、加工終点を検出することとしてもよい。また、被加工面の電気抵抗による発熱や、加工面と被加工面との間に液体(純水)の中を移動するイオンと水分子の衝突による発熱が生じ、例えば基板の表面に堆積した銅膜を定電圧制御で電解研磨する際には、電解加工が進み、バリア膜や絶縁膜が露出するのに伴って、電気抵抗が大きくなり電流値が小さくなって発熱量が順に減少する。したがって、この発熱量の変化を検出することで加工量を判断し、加工終点を検出することとしてもよい。あるいは、異材料に達した時に生じる反射率の違いによる反射光の強度の変化を検出して、基板上の被加工膜の膜厚を検知し、これにより加工終点を検出してもよい。また、銅膜等の導電性膜の内部にうず電流を発生させ、基板の内部を流れるうず電流をモニタし、例えば周波数の変化を検出して、基板上の被加工膜の膜厚を検知し、これにより加工終点を検出してもよい。更に、電解加工にあっては、加工電極と給電電極との間を流れる電流値で加工レートが決まり、加工量は、この電流値と加工時面の積で求められる電気量に比例する。したがって、電流値と加工時間の積で求められる電気量を積算し、この積算値が所定の値に達したことを検出することで加工量を判断し、加工終点を検出してもよい。
電解加工完了後、電源48の加工電極86及び給電電極88との接続を切り、基板ホルダ42の回転(自転)及び往復運動と、加工テーブル46のスクロール運動を停止させる。しかる後、基板ホルダ42を上昇させ、アーム40を移動させて基板Wを搬送ロボット36に受け渡す。基板Wを受け取った搬送ロボット36は、必要に応じて反転機32に搬送して反転させた後、基板Wをロード・アンロード部30のカセットに戻す。
ここで、イオン交換体92としては、通水性に優れたものを使用することがより好ましい。純水又は超純水がイオン交換体92を通過するように流すことで、水の解離反応を促進させる官能基(強酸性陽イオン交換材料ではスルホン酸基)に十分な水を供給して水分子の解離量を増加させ、水酸化物イオン(もしくはOHラジカル)との反応により発生した加工生成物(ガスも含む)を水の流れにより除去して、加工効率を高めることができる。このような通水性を有する部材としては、例えば、通液性を有するスポンジ状の部材や、ナフィオン(デュポン社の商標)のような膜状部材に開孔を設けて通水性を持たせるようにしたものを使用することができる。
このように、機械的加工部82として、内部に砥粒を含有する固定砥粒を用いることにより、スラリーを供給することなく、純水のみを供給することで機械的加工部82による機械的研磨と電解加工部84による電解加工を行うことができる。これによって、電解加工と固定砥粒による機械的加工の両方のメリットを得ることができ、基板の洗浄などの後処理、排液処理が容易になる。しかも固定砥粒定盤100は、弾性変形しにくいため、基板の凸部のみに接触させて、微細な凹凸パターンを有する被加工物の凸部を選択的に除去することができる。
更に、電解加工部84と機械的加工部82を別個に設けることにより、イオン交換体や固定砥粒、更には下記の研磨パッドなどの基板への接触部材として、電解加工部84と機械的加工部82の各々に適した部材を用いることができる。また、加工面全体における電解加工部84と機械的加工部82の比率を任意に変えることができるため、基板に作用する電解加工と機械的加工の比率を変えることができ、より平滑な被加工面を得るために最適な装置構成にすることができる。
図11は、本発明の他の実施の形態の複合加工装置の縦断面図を、図12は、図11に示す複合加工装置の加工テーブルの平面図を示す。この実施の形態における複合加工装置34aの、前述の実施の形態における複合加工装置34と異なる点は、以下の通りである。
すなわち、この実施の形態の複合加工装置34aは、基板ホルダ42で保持される基板Wの直径の2倍以上の直径を有し、中空モータ162の駆動に伴って回転(自転)する加工テーブル146が備えられている。更に、加工テーブル146の上方に位置して、加工テーブル146の上面にスラリー(砥液)を供給するスラリー供給部としての砥液ノズル174が配置されている。
加工テーブル146は、円板状のベース190を備え、このベース190の上面には、機械的加工部182と、電解加工部184を構成する加工電極186及び給電電極188とが備えられており、スリップリング178を介して、電源180の陰極が加工電極186に、陽極が給電電極188にそれぞれ接続されるようになっている。更にこの加工電極186の上面は、イオン交換体192で覆われている。なお、この例では、給電電極188として、半径方向に沿って肉厚が一定の板状のものを使用しているが、扇状のものを使用してもよい。
このイオン交換体192で覆われた加工電極186は、図12に示すように、ベース190の半径方向に延びる扇状の形状を有し、円周方向に沿った所定のピッチで複数(図では3個)配置されており、この加工電極186の両側に給電電極188が配置されている。そして、ベース190の上面の加工電極186及び給電電極188を除く全領域に、この例では、研磨パッド200からなり、この上面を加工面200aとした機械的加工部182が設けられている。
この加工電極186の面積は、機械的加工部182の面積より小さくなるように設定され、また加工電極186を挟んで給電電極188を配置することで、加工電極186のイオン交換体192が基板Wに接触した時、給電電極188が必ず基板Wの表面に接触して給電できるようになっている。なお、この例では、加工電極188で基板表面の研磨等の除去加工を行うことなく、基板表面を不動態膜化する加工(処理)を行うようになっている。
なお、市場で入手できる研磨パッド(研磨布)200としては、例えば、ロデール社製のSUBA800、IC−1000等が挙げられる。
基板Wを保持し自転用モータ58の駆動に伴って回転する基板ホルダ42は、揺動アーム144の自由端に保持され、この揺動アーム144は、上下動用モータ160の駆動に伴ってボールねじ162を介して上下動し、揺動用モータ164の駆動に伴って回転する揺動軸166の上端に連結されている。
この実施の形態にあっては、図1Bに示す、表面に導電体膜(被加工部)として銅膜6を形成した基板Wを複合加工装置34aの基板ホルダ42で吸着保持し、揺動アーム144を揺動させて基板ホルダ42を加工テーブル146の直上方の加工位置まで移動させる。次に、上下動用モータ160を駆動して基板ホルダ42を下降させ、この基板ホルダ42で保持した基板Wを加工テーブル146のイオン交換体192、給電電極188及び研磨パッド200の加工面200aに接触させる。
この状態で、電源180を接続して加工電極186と給電電極188との間に所定の電圧を印加するとともに、基板ホルダ42と加工テーブル146とを共に回転させる。同時に、砥液ノズル174を通じて加工テーブル146の上面にスラリー(砥液)を供給し、加工テーブル146と基板ホルダ42で保持した基板Wとの間にスラリーを満たす。これによって、スラリーの存在下、給電電極188で導電体膜(銅膜6)に給電し、加工電極186を覆うイオン交換体192に当接する基板の導電体膜の表面に不動態膜を形成する加工(処理)を行い、更に、スラリーの存在下で研磨パッド200による機械的研磨を行うことで、この不動態膜を機械的に研磨除去する。そして、再び基板の導電体膜の表面に不動態膜を形成し、この不動態膜を研磨除去する加工を繰返す。これにより、基板表面の導電体膜の凸部のみに選択的に不動態膜を形成し、この不動態膜を選択的に除去することで、微細な凹凸パターンを有する被加工物(不動態膜)の凸部を選択的に除去することができる。
そして、電解加工完了後、電源180の接続を切り、基板ホルダ42と加工テーブル146の回転を停止させるとともに、スラリーの供給を停止し、しかる後、基板ホルダ42を上昇させ、揺動アーム144を揺動させて基板Wを次工程に引き渡す。
また、上記実施の形態で、さらに加工テーブルの周りに桶を配置し、桶内に電極を配置して、加工電極部から供給された加工液(純水)で電極と基板を加工液に浸漬させた状態で加工するようにしてもよい。
なお、本発明は、イオン交換体を用いた超純水電解加工に限られない。電解液を用いた電解加工の場合は、図6乃至図9において、各電極の上に、例えばスポンジやSUBA(ロデール社商標)などの通液性のスクラブ部材を配置し、また、各電極の間には通電を防止するために、絶縁性の部材を介在させる。
さらに、基板への給電方法として、上述した加工テーブル側に給電電極を備えなくても、基板ホルダから基板のベベル部へ給電するようにしてもよい。その場合、加工テーブルには加工電極が不要とするか、もしくは加工テーブル側の電極を全て加工電極(陰極)とすることができる。
上述したように、本発明によれば、電解加工部による加工で基板の表面に形成された、物理的に柔らかく、かつ非導電性の不動態膜を機械的加工部で削り落とし、再び電解加工での加工を連続で繰返すことで、低面圧、高レートの加工が可能となる。また、機械的加工部で加工することで、基板の表面に付着した気泡も不動態膜と同時に除去して、加工した面にピットが形成されることを確実に防止することができる。
図13は、本発明の更に他の実施の形態における複合加工装置を備えた基板処理装置の構成を示す平面図である。図13に示すように、この基板処理装置は、例えば、図1Bに示す、表面に導電体膜(被加工部)としての銅膜6を有する基板Wを収納したカセットを搬出入する搬出入部としての一対のロード・アンロード部230と、基板Wを反転させる反転機232と、基板受渡し用のプッシャ234と、複合加工装置236とを備えている。複合加工装置236は、基板Wを保持する基板ホルダ246と、下記の電解加工部及び固定砥粒加工部を備えた加工テーブル248とを有している。そして、ロード・アンロード部230、反転機232及びプッシャ234に囲まれた位置に、これらの間で基板Wを搬送して授受する搬送装置としての固定型搬送ロボット238が配置されている。更に、複合加工装置236による電解加工の際に、前述と同様に、加工電極と給電電極との間に印加する電圧、またはこの間を流れる電流をモニタするモニタ部242が備えられている。
図14に示すように、複合加工装置236は、水平方向に揺動自在な揺動アーム244の自由端に垂設されて基板Wを下向き(フェースダウン)に吸着保持する基板ホルダ246と、絶縁体からなるベース250を備えた円板状の加工テーブル248を備えている。ベース250の上面には、図15及び図16に示すように、内部に砥粒を有する固定砥粒252からなる複数の固定砥粒加工部254と、電解加工部256を構成する複数の加工電極258及び給電電極260とが、半径方向に沿って放射状に、かつ円周方向に沿って交互に配置されている。
この例では、加工電極258の基板ホルダ246側の表面(上面)にイオン交換体262aが、給電電極260の基板ホルダ246側の表面(上面)にイオン交換体262bがそれぞれ取付けられている。このように、加工電極258及び給電電極260の表面にイオン交換体262a,262bを取付けることで、流体として純水、より好ましくは超純水を使用するとともに、加工電極258と給電電極260との間で、いわゆる短絡が生じることを防止して、加工効率を高めることができる。
なお、加工電極258及び給電電極260の一方にのみイオン交換体を取付けるようにしてもよく、また、例えば下記の流体として電解液を使用する場合には、イオン交換体を省略するようにしてもよい。
また、固定砥粒加工部254と電解加工部256を有する加工テーブル248として、基板ホルダ246で保持する基板Wの直径の2倍以上の直径を有するものを使用して、基板Wの表面全域を機械的研磨及び電解加工するようにした例を示している。
固定砥粒加工部254を構成する固定砥粒252として、この例では、表面粗さが10μm以下のものが使用されている。また、基板ホルダ246で保持した基板Wの表面の導電体膜として銅膜6(図1B参照)の表面に、固定砥粒252の表面(上面)、及び加工電極258及び給電電極260にそれぞれ取付けたイオン交換体262a,262bの表面をそれぞれ押付けて加工を行うようになっている。この加工時に、固定砥粒252と基板Wの間、加工電極258に取付けたイオン交換体262aと基板Wの間、及び給電電極260に取付けたイオン交換体262bと基板Wの間に、10psi(69kPa)以下の力(面圧)が加えられる。
固定砥粒252による機械的研磨では、被加工物表面に深さのあるスクラッチやピット等の欠陥が発生し、これらの欠陥は、電解加工部256による電解加工で解消できる範囲のものであることが望まれる。例えば、表面粗さが10μmの固定砥粒252を使用し、10psiの面圧で銅膜の研磨を行った場合、銅表面に与えるスクラッチの深さは0.3〜0.5μm程度であり、同じ面圧で、表面粗さが5μmの固定砥粒252を使用した研磨を行った場合のスクラッチの深さは0.2〜0.3μm程度である。一方、電解加工部256による電解加工を併用することで解消できるスクラッチの深さは0.3μm前後であり、好ましくは0.3μm以下である。したがって、固定砥粒252による機械的研磨で可能な限り均一な研磨を行い、電解加工部256による電解加工で更に清浄な表面を得るためには、固定砥粒252に含まれる砥粒の粒径は、10μm以下であることが好ましい。
また、特に、加工電極258と被加工物の間、或いは固定砥粒252と被加工物の間の面圧により、加工速度や加工形状が左右され、銅配線のように比較的柔らかい金属やポーラス状のLow−k材にあっては、面圧を小さくしてスクラッチが起こり難くすることが望まれる。
この例では、スクラッチが起こりにくい電解加工(電気化学的加工)が主であり、固定砥粒252による機械的加工は、被加工物表面に塵細なキズを与えるという補助的な手段として用いている。このため、固定砥粒252による機械的研磨を期待するものではない。つまり、固定砥粒252による機械的加工で、被加工物の表面全体に塵細な傷を与えることにより、電解加工部256による電解加工での電界の局所的な集中を緩和させて、均一化した平坦性の高い加工が可能となる。
被加工物に与えるスクラッチの深さは、固定砥粒252の表面の粗さと面圧によって決定される。この例によれば、前述のように、10psi以下の面圧で、表面粗さが10μm以下の固定砥粒252を使用した機械的研磨を行うことで、銅表面に与えるスクラッチの深さを、電解加工部256による電解加工を併用することで解消可能な0.3〜0.5μm程度以下とすることができる。また、加工電極258及び給電電極260の面圧を10psi以下とすることで、スクラッチが起こり難くする要請に応えることができる。
なお、加工電極258及び給電電極260に取付けたイオン交換体262a,262bを基板Wに接触させることなく、基板Wに近接させるようにしてもよい。
揺動アーム244は、図14に示すように、上下動用モータ360の駆動に伴ってボールねじ362を介して上下動し、揺動用モータ264の駆動に伴って回転する揺動軸266の上端に連結されている。また、基板ホルダ246は、揺動アーム244の自由端に取付けた自転用モータ268に接続され、この自転用モータ268の駆動に伴って回転(自転)するようになっている。
加工テーブル248は、中空モータ270に直結され、この中空モータ270の駆動に伴って回転(自転)するようになっている。加工テーブル248のベース250の中央部には、電解液または純水、より好ましくは超純水等の液体を供給する液体供給部としての貫通孔248aが設けられている。そして、この貫通孔248aは、中空モータ270の中空部の内部を延びる液体供給管272に接続されている。純水、より好ましく超純水等の液体は、この貫通孔248aを通して供給された後、吸水性を有するイオン交換体262a,262bを通じて加工面全域に供給される。また、液体供給管272から接続される貫通孔248aを複数設けて、加工液を加工面全域に行き渡らせやすくしてもよい。
加工テーブル248の上方には、加工テーブル248の直径方向に沿って延びて、電解液または純水(超純水)等の液体を供給する液体供給部としてのノズル274が配置されている。これによって、電解液または純水(超純水)等の液体が基板Wの表面に該基板Wの上下方向から同時に供給されるようになっている。
この例では、図14に示すように、スリップリング278を介して、電源280の陰極に加工電極258を、電源280の陽極に給電電極260をそれぞれ接続する。このように、加工電極258と給電電極260とを加工テーブル48の円周方向に沿って分割して交互に設けることで、基板の導電体膜(被加工物)への固定給電部を不要となして、基板の全面の加工が可能となる。
次に、この基板処理装置による基板処理(電解加工)について説明する。先ず、例えば図1Bに示す、表面に導電体膜(被加工部)として銅膜6を形成した基板Wを収納してロード・アンロード部230にセットしたカセットから、1枚の基板Wを搬送ロボット238で取出し、この基板Wを、必要に応じて反転機232に搬送して反転させて、基板Wの導電体膜(銅膜6)を形成した表面が下を向くようにする。次に、この表面が下を向いた基板Wを搬送ロボット238でプッシャ234まで搬送してプッシャ234上に載置する。
このプッシャ234上に載置した基板Wを、複合加工装置236の基板ホルダ246で吸着保持し、揺動アーム244を揺動させて基板ホルダ246を加工テーブル248の直上方の加工位置まで移動させる。次に、上下動用モータ360を駆動して基板ホルダ246を下降させ、この基板ホルダ246で保持した基板Wを、加工テーブル248の固定砥粒252、加工電極258に取付けたイオン交換体262a及び給電電極260に取付けたイオン交換体262bの表面に接触させて押付ける。この時、固定砥粒252及びイオン交換体262a,262bの押付け圧力(面圧)が10psi(69kPa)以下となるようにする。
なお、イオン交換体262a,262bの一方、または双方を基板Wの表面に近接させるようにしてもよい。
この状態で、電源280を接続して加工電極258と給電電極260との間に所定の電圧を印加するとともに、基板ホルダ246と加工テーブル248とを共に回転させる。同時に、貫通孔248aを通じて、加工テーブル248の下側から該加工テーブル248の上面に純水、好ましくは超純水を、ノズル274により加工テーブル248の上側から該加工テーブル248の上面に純水、好ましくは超純水を同時に供給し、加工電極258及び給電電極260と基板Wとの間に純水、好ましくは超純水を満たす。
これによって、固定砥粒加工部254の固定砥粒252と接触する基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)が機械的に研磨され、同時に、基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)が陽極となって、陰極に接続された加工電極258に取付けたイオン交換体262aと接触する基板Wの表面の導電体膜(銅膜6)が電解加工される。基板ホルダ246と加工テーブル248とを共に回転させることで、この機械的研磨と電解加工が基板Wの全面に亘って行われる。
この時、加工電極258と給電電極260との間に印加する電圧、またはこの間を流れる電流をモニタ部242でモニタして、エンドポイント(加工終点)を検知してもよいことは、前述と同様である。
加工完了後、電源280の加工電極258及び給電電極260との接続を切り、基板ホルダ246と加工テーブル248の回転を停止させる。しかる後、基板ホルダ246を上昇させ、揺動アーム244を揺動させて基板Wをプッシャ234に受け渡す。そして、搬送ロボット238は、このプッシャ234から基板Wを受取り、必要に応じて反転機232に搬送して反転させた後、基板Wをロード・アンロード部230のカセットに戻す。
このように、加工テーブル248と基板Wとの間に純水、好ましくは超純水を供給することで、前述の例と同様に、基板Wの表面に電解質等の余分な不純物が付着したり、残留したりすることをなくし、しかも、基板Wの表面が溶解した銅イオン等により汚染されることを防止することができる。
超純水は、比抵抗が大きく電流が流れ難いため、電極と被加工物との距離を極力短くしたり、電極と被加工物との間にイオン交換体を挟んだりすることで電気抵抗を低減しているが、さらに電解液を組み合わせることで、更に電気抵抗を低減して消費電力を削減することができる。なお、電解液による加工では、被加工物の加工される部分が加工電極よりやや広い範囲に及ぶが、超純水とイオン交換体の組合せでは、超純水にほとんど電流が流れないため、被加工物の加工電極とイオン交換体が投影された範囲内のみが加工されることになる。
この例では、加工電極258及び給電電極260にイオン交換体262a,262bを取付けた例を示しているが、加工電極258及び給電電極にイオン交換体を取付けることなく、また純水、好ましくは超純水の代わりに、純水や超純水に電解質を添加した電解液を使用してもよい。電解液を使用することで、さらに電気抵抗を低減して消費電力を削減することができる。この電解液としては、例えば、NaClやNa2SO4等の中性塩、HClやH2SO4等の酸、更には、アンモニア等のアルカリが使用でき、被加工物の特性によって適宜選択して使用すればよい。
更に、純水(超純水)の代わりに、純水(超純水)に界面活性剤等を添加して、電気伝導度が500μS/cm以下、好ましくは、50μS/cm以下、更に好ましくは、0.1μS/cm以下(比抵抗で10MΩ・cm以上)にした液体を使用してもよいことは前述と同様である。
図17は、加工テーブル248の他の例を示す。この加工テーブル248は、ベース250上に該ベース250の中心を挟んで直線状に延びる各2個の加工電極258aと給電電極260aとを互いに直交するように配置し、この加工電極258aと給電電極260aとの間に、合計4個の扇状の固定砥粒252aを配置している。この加工電極258a及び給電電極260aの表面にイオン交換体を取付けてもよいことは勿論である。
図18は、加工テーブル248の他の例を示す。この加工テーブル248は、ベース250上に該ベース250の中心を挟んで四方に延びる、合計4個の直線状の固定砥粒254bを配置し、この固定砥粒254bに挟まれた領域に、扇状の各2個の加工電極258bと給電電極260bを加工テーブル248の回転方向に沿って交互に配置している。この加工電極258b及び給電電極260bの表面にイオン交換体を取付けてもよいことは勿論である。
このように、固定砥粒加工部を構成する固定砥粒や、電極加工部を構成する加工電極及び給電電極の形状や個数等は、被加工物に合わせて任意に選択される。
図19及び図20は、本発明の更に他の実施の形態における複合加工装置を示す。この複合加工装置300は、内部に純水、好ましくは超純水等の液体を保持して該液体の飛散を防止する加工チャンバ302を有している。加工チャンバ302の内部に位置して、表面(被処理面)を上向き(フェースアップ)にして、被処理物としての基板Wを着脱自在に保持する基板ホルダ304が、この基板ホルダ304で保持した基板Wが加工チャンバ302内の純水等の液体に浸漬されるように配置されている。
基板ホルダ304の上方に位置して、加工テーブル306が上下動自在、かつモータ308を介して回転自在に配置されている。この加工テーブル306には、絶縁体からなるベース310が備えられ、このベース310の下面には、図20に示すように、固定砥粒312からなる固定砥粒加工部314と、電解加工部316を構成する加工電極318及び給電電極320が着脱自在に配置される。固定砥粒312として、例えば、表面粗さが4.4μmの#3000アルミナ砥粒シート、または表面粗さが0.5μmの#8000ダイヤモンド砥粒シート(いずれも住友3M社製)が使用される。加工電極318と給電電極320は、ベース310の中心を挟んだ位置に、所定間隔、例えば3mm程度離間して直線状に配置され、固定砥粒312は、固定砥粒312で研磨された面が加工電極318で直ぐに電解加工されるよう、加工テーブル306の回転方向に沿った加工電極318の直上流側に該加工電極318と平行に配置される。
加工電極318及び給電電極320の基板ホルダ304側の表面には、例えば、ポリエチレン製の不織布にグラフト重合法によりスルホン酸基を付与したイオン交換体と、このイオン交換体の上に積層したナフィオン(Nafion)117(デュポン社製)からなるシート状のイオン交換体の2層からなるイオン交換体322a,322bが取付けられている。この加工電極318は電源324の陰極に、給電電極320は電源324の陽極にそれぞれ接続される。
更に、加工チャンバ302の内部に位置して、基板ホルダ304で保持した基板Wに向けて超純水等の液体を供給する液体ノズル326が配置されている。
この例によれば、基板ホルダ304で基板Wを保持した後、加工テーブル306を下降させて、固定砥粒312、及び加工電極318及び給電電極320にそれぞれ取付けたそれぞれイオン交換体322a,322bを、例えば10psi(69kPa)の面圧で押付けながら加工テーブル306を回転させ、同時に、液体ノズル326から基板Wに向けて超純水等の液体を供給する。この時、加工チャンバ302内に超純水等の液体を満たして、液体の飛散を防止する。そして、加工電極318を電源324の陰極に、給電電極320を電源324の陽極にそれぞれ接続し、これによって、固定砥粒加工部314の固定砥粒312による機械的加工と、電解加工部316の加工電極318による電解加工を、固定砥粒312で研磨された面が加工電極318で直ぐに電解加工されるようにして、同時に行う。
なお、加工チャンバを備えることなく、基板ホルダで保持した基板の表面に供給された液体が基板の表面に沿って外方に流れ、そのまま外部に流出するようにしてもよい。
上述したように本発明によれば、固定砥粒による機械的研磨加工と超純水や電解液による電解加工とを複合することにより、スラリーや洗浄液の廃液処理の負荷が少なく、加工面の平滑性、加工レートなど加工性能が著しく向上する。
実施例1及び2
図19及び図20に示す複合加工装置300を用いて、銅めっき膜の複合電解加工を行った。ここで、図19及び図20に示す複合加工装置300の加工テーブル306として、ベース310に表面に、ポリエチレン製の不織布にグラフト重合法によりスルホン酸基を付与したイオン交換体と該イオン交換体の上に積層したナフィオン(Nafion)117(デュポン社製)からなるシート状のイオン交換体の2層からなるイオン交換体322a,322bを表面に取付けた加工電極318及び給電電極320とを備え、更に表面粗さが4.4μmの#3000アルミナ砥粒シートからなる固定砥粒312を備えたもの(実施例1)、または表面粗さが0.5μmの#8000ダイヤモンド砥粒シートからなる固定砥粒312を備えたもの(実施例2)を使用した。
先ず、試料として、表面に導電性の薄膜(銅)が成膜されたテスト用ウエハ基板(50φ)を用意した。そして、液体として、比抵抗が18MΩ・cm以上の超純水を使用し、この超純水を液体ノズル326から加工チャンバ302内に供給し保持しながら、基板ホルダ304に吸着保持し超純水に浸漬させて試料(基板W)に加工を行った。
この時、加工テーブル306をモータ308により200rpmで回転させ、加工電極318と給電電極320を定電流定電圧電源324に接続し、銅めっき膜を定電流0.3Aで90秒の電解加工を行った。加工後の残存膜厚を測定し、加工レートを求めた。膜厚は、4探針法比抵抗計により測定した比抵抗を膜厚に換算して求めた。
図21に、固定砥粒312として#3000アルミナ砥粒シート用いた場合(実施例1)、#8000ダイヤモンド砥粒シートを用いた場合(実施例2)の加工プロファイルを、固定砥粒を用いることなく電解加工のみを行った場合(比較例)と共に示す。実施例1及び2のいずれの場合も、電解加工のみの場合(比較例)に比べ加工レートが速いことが判る。
また、この実施例1及び実施例2における加工後の試料(ウエハ)表面をレーザ顕微鏡により観察した結果を図22に示す。図22により、実施例1にあっては、0.1μm前後のスクラッチが残るものの、その数が激減していることが判る。また、実施例2にあっては、平滑な加工面が得られることが判る。
実施例3及び4
実施例1及び2と同様な試料を用意し、図19及び図20に示す複合加工装置を用いて銅めっき膜の加工を行った。ここで、図19及び図20に示す複合加工装置300の加工テーブル306として、先ずベース310の表面に、表面粗さが4.4μmの#3000アルミナ砥粒シートからなる固定砥粒312のみを備えたものを使用して、固定砥粒312による機械的研磨を行い(実施例3)、または表面粗さが0.5μmの#8000アルミナ砥粒シートからなる固定砥粒312のみを備えたものを使用して、固定砥粒312による機械的研磨を行い(実施例4)、しかる後、ポリエチレン製の不織布にグラフト重合法によりスルホン酸基を付与したイオン交換体と該イオン交換体の上に積層したナフィオン(Nafion)117(デュポン社製)からなるシート状のイオン交換体の2層からなるイオン交換体322a,322bを表面に取付けた加工電極318及び給電電極320のみを備えたものを使用して、加工電極318による電解加工を行った。
この固定砥粒312(#3000アルミナ砥粒シート(実施例3)または#8000ダイヤモンド砥粒シート(実施例4))による加工に際し、加工テーブル306をモータ308により200rpmで回転させ、比抵抗18MΩ・cmの超純水中で30秒間の機械的研磨加工を行った。加工後の試料(ウエハ)表面をレーザ顕微鏡により観察した。次いで、電解加工部316の加工電極318による加工に際し、比抵抗18MΩ・cmの超純水中で、加工テーブル306を200rpmで回転させ、加工電極318と給電電極320との間に定電流0.3Aを流して、90秒間、電解加工を行った。加工後の試料(ウエハ)の表面をレーザ顕微鏡により観察した。
図23にこれらを観察した結果を示す。図23より、実施例3の場合、#3000アルミナ砥粒研磨シートからなる固定砥粒で加工したことによる試料(ウエハ)表面のスクラッチ等の粗さは、0.2〜0.27μmであったが、これを電解加工することにより減少させることができ、スクラッチ等の粗さは、0.1μm以下となった。また、実施例4の場合、#8000ダイヤモンド砥粒研磨シートからなる固定砥粒で加工したことによるスクラッチ等の粗さは、0.1μm前後であり、電解加工により、スクラッチ等は殆どなくなり、平滑な加工面が得られることが判る。
粒度が大きい固定砥粒(研磨シート)を用いることにより、複合電解加工での加工レートが速くなったとしても、スクラッチ等が電解加工により除去しきれない。0.5μm以上の深いスクラッチ等は、電解加工で平坦化するのは極めて困難である。従って、例えば、銅めっきウエハのように加工精度と表面平滑性の求められる材料に対して、1種類の固定砥粒で複合電解加工を行う場合には、#8000以上(砥粒粒径1μm以下、表面粗さ0.5μm)を使用することが望ましい。好ましくは、加工レートを大きくするために、固定砥粒を段階的に細なものに変えて、例えば最初は#3000で、次に#8000とし最後は固定砥粒をなくして電解加工のみで仕上げを行うプロセスが理想的である。
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
本発明は、例えば半導体ウエハ等の基板表面に設けた配線用の微細な凹部に埋込んだ銅等の導電体(導電性材料)の表面を平坦化して埋込み配線を形成するのに使用される複合加工装置及び方法に関する。
Claims (32)
- 基板を保持する基板ホルダと、
基板の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する機械的加工部と、イオン交換体を備えた加工電極を有し、該イオン交換体を基板に接触させつつ前記加工電極と基板の間に電圧を印加して基板を加工する電解加工部とを個別に備えた加工テーブルと、
基板と前記加工電極の間、及び基板と前記機械的加工部の間に液体を供給する液体供給部と、
基板と前記加工テーブルとを相対移動させる駆動部を備えたことを特徴とする複合加工装置。 - 基板と前記加工テーブルが相対移動する時、前記加工電極が前記基板ホルダで保持された基板の被加工部位を通過し、該被加工部位を前記機械的加工部が続けて通過することを特徴とする請求項1記載の複合加工装置。
- 前記加工電極に続けて前記機械的加工部が基板の被加工部位を通過する時間は、1秒以内に設定されていることを特徴とする請求項2記載の複合加工装置。
- 前記機械的加工部は、固定砥粒からなる加工面を有することを特徴とする請求項1記載の複合加工装置。
- 前記機械的加工部は、研磨パッドからなる加工面と、該加工面にスラリーを供給するスラリー供給部を有することを特徴とする請求項1記載の複合加工装置。
- 前記加工テーブルには、前記加工電極と基板に給電する給電電極とが交互かつ所定間隔離間して配置され、前記加工電極を挟む位置に前記機械的加工部が配置されていることを特徴とする請求項1記載の複合加工装置。
- 前記加工テーブルは、スクロール運動を行うことを特徴とする請求項6記載の複合加工装置。
- 前記加工テーブルは円板状に形成され、前記加工電極は、半径方向に延びて配置され、該加工電極を挟む両側に基板に給電する給電電極が配置されていることを特徴とする請求項1記載の複合加工装置。
- 基板を保持する基板ホルダと、
砥粒を内部に有する固定砥粒により基板の表面を機械的作用を含む加工方法で研磨する固定砥粒加工部と、加工電極を有し、前記加工電極と基板の間に電圧を印加して基板を加工する電解加工部とを個別に備えた加工テーブルと、
基板と前記加工テーブルとを相対運動させる駆動部と、
基板と前記加工電極の間、及び基板と前記固定砥粒の間に液体を供給する液体供給部を備えたことを特徴とする複合加工装置。 - 基板と前記加工テーブルが相対移動する時、前記加工電極が前記基板ホルダで保持された基板の被加工部位を通過し、該被加工部位を前記固定砥粒加工部が続けて通過することを特徴とする請求項9記載の複合加工装置。
- 前記加工電極に続けて前記固定砥粒加工部が基板の被加工部位を通過する時間は、1秒以内に設定されていることを特徴とする請求項10記載の複合加工装置。
- 前記加工テーブルには、前記加工電極と基板に給電する給電電極とが交互かつ所定間隔離間して配置され、前記加工電極を挟む位置に前記固定砥粒加工部が配置されていることを特徴とする請求項9記載の複合加工装置。
- 前記加工テーブルは、スクロール運動を行うことを特徴とする請求項12記載の複合加工装置。
- 前記加工テーブルは円板状に形成され、前記加工電極は、半径方向に延びて、該加工電極を挟む両側に基板に給電する給電電極が配置されていることを特徴とする請求項9記載の複合加工装置。
- 基板の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する機械的加工部と、イオン交換体を備えた加工電極を有し、該イオン交換体を基板に接触させつつ前記加工電極と基板の間に電圧を印加して基板を加工する電解加工部とを個別に備え、基板と前記機械的加工部及び前記加工電極とを相対移動させて基板表面の加工を行うことを特徴とする複合加工方法。
- 被加工物を保持するホルダと、
砥粒を内部に有する固定砥粒により被加工物の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する固定砥粒加工部と、
被加工物に近接自在な加工電極と被加工物に給電する給電電極とを有し、前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加して被加工物を加工する電解加工部と、
前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加する電源と、
被加工物と前記加工電極及び/又は前記給電電極との間、及び/又は被加工物と前記固定砥粒加工部の間に液体を供給する液体供給部と、
被加工物と前記固定砥粒加工部、及び被加工物と前記電解加工部を相対移動させる駆動部を備えたことを特徴とする複合加工装置。 - 前記加工電極及び/又は前記給電電極は、被加工物との間に配置されるイオン交換体を備えていることを特徴とする請求項16記載の複合加工装置。
- 被加工物と前記固定砥粒加工部、及び被加工物と前記電解加工部が相対移動する時、前記固定砥粒加工部が前記ホルダで保持された被加工物の被加工部位を通過し、該被加工部位を前記電解加工部が続けて通過することを特徴とする請求項16記載の複合加工装置。
- 表面粗さの異なる固定砥粒を有する、少なくとも2種類以上の前記固定砥粒加工部を有することを特徴とする請求項16記載の複合加工装置。
- 前記固定砥粒の表面粗さが、10μm以下であることを特徴とする請求項16記載の複合加工装置。
- 前記液体は、純水、電気伝導度が500μS/cm以下の液体又は電解液であることを特徴とする請求項16記載の複合加工装置。
- 前記加工電極と被加工物との間、及び前記給電電極と被加工物の間にイオン交換体が個別に配置されていることを特徴とする請求項16記載の複合加工装置。
- 前記加工電極、前記給電電極及び前記固定砥粒の少なくとも1つと被加工物との間に加えられる力が、10psi(69kPa)以下であることを特徴とする請求項16記載の複合加工装置。
- 前記固定砥粒加工部及び/又は前記電解加工部は、被加工物に近接又は離間するように移動することを特徴とする請求項16記載の複合加工装置。
- 前記固定砥粒加工部を接触させて被加工物を加工した後、前記電解加工部のみで被加工物を加工するように前記固定砥粒加工部及び/又は前記電解加工部を動かすことを特徴とする請求項24記載の複合加工装置。
- 被加工物を保持するホルダと、
被加工物の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する機械的加工部と、
イオン交換体を備え、被加工物に近接自在な加工電極と、被加工物に給電する給電電極とを有し、前記加工電極と前記給電電極との間に電圧を印加して被加工物を加工する電解加工部と、
被加工物と前記電解加工部の間、及び/又は被加工物と前記機械的加工部の間に液体を供給する液体供給部と、
被加工物と前記機械的加工部、及び被加工物と前記電解加工部を相対移動させる駆動部を備えたことを特徴とする複合加工装置。 - 前記機械的加工部及び/又は前記電解加工部は、被加工物に近接又は離間するように移動することを特徴とする請求項26記載の複合加工装置。
- 前記機械的加工部を接触させて被加工物を加工した後、前記電解加工部のみで被加工物を加工するように前記機械的加工部及び/又は前記電解加工部を動かすことを特徴とする請求項27記載の複合加工装置。
- 砥粒を内部に有する固定砥粒により被加工物の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する固定砥粒加工部と、加工電極と給電電極とを有し該加工電極と給電電極との間に電圧を印加して被加工物を加工する電解加工部と備え、被加工物と前記固定砥粒加工部、及び被加工物と前記電解加工部を相対移動させて被加工物表面の加工を行うことを特徴とする複合加工方法。
- 前記固定砥粒加工部を接触させて被加工物を加工した後、前記電解加工部のみで被加工物を加工することを特徴とする請求項29記載の複合加工方法。
- 被加工物の表面を機械的作用を含む加工方法で加工する機械的加工部と、イオン交換体を備えた加工電極を有し、該イオン交換体を被加工物に接触させつつ前記加工電極と被加工物の間に電圧を印加して被加工物を加工する電解加工部とを備え、被加工物と前記機械的加工部、及び被加工物と前記電解加工部を相対移動させて被加工物表面の加工を行うことを特徴とする複合加工方法。
- 前記機械的加工部を接触させて被加工物を加工した後、前記電解加工部のみで被加工物を加工することを特徴とする請求項31記載の複合加工方法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003076500 | 2003-03-19 | ||
JP2003076500 | 2003-03-19 | ||
PCT/JP2004/003279 WO2004083494A1 (ja) | 2003-03-19 | 2004-03-12 | 複合加工装置及び方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2004083494A1 true JPWO2004083494A1 (ja) | 2006-06-22 |
Family
ID=33027893
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005503664A Withdrawn JPWO2004083494A1 (ja) | 2003-03-19 | 2004-03-12 | 複合加工装置及び方法 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US7563356B2 (ja) |
JP (1) | JPWO2004083494A1 (ja) |
TW (1) | TW200510579A (ja) |
WO (1) | WO2004083494A1 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5341447B2 (ja) * | 2008-09-19 | 2013-11-13 | 旭化成せんい株式会社 | テクスチャー加工研磨布 |
JP2011176342A (ja) * | 2011-04-11 | 2011-09-08 | Ebara Corp | 研磨方法及び配線形成方法 |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US2002A (en) * | 1841-03-12 | Tor and planter for plowing | ||
JP2565385B2 (ja) | 1988-09-30 | 1996-12-18 | 理化学研究所 | 電解ドレッシング研削法と導電性砥石を工具に兼用した研磨法の複合加工方法および装置 |
US6328872B1 (en) | 1999-04-03 | 2001-12-11 | Nutool, Inc. | Method and apparatus for plating and polishing a semiconductor substrate |
US6354916B1 (en) * | 2000-02-11 | 2002-03-12 | Nu Tool Inc. | Modified plating solution for plating and planarization and process utilizing same |
JP4141114B2 (ja) | 2000-07-05 | 2008-08-27 | 株式会社荏原製作所 | 電解加工方法及び装置 |
US7074113B1 (en) * | 2000-08-30 | 2006-07-11 | Micron Technology, Inc. | Methods and apparatus for removing conductive material from a microelectronic substrate |
JP2002093761A (ja) | 2000-09-19 | 2002-03-29 | Sony Corp | 研磨方法、研磨装置、メッキ方法およびメッキ装置 |
JP4043234B2 (ja) * | 2001-06-18 | 2008-02-06 | 株式会社荏原製作所 | 電解加工装置及び基板処理装置 |
-
2004
- 2004-03-12 WO PCT/JP2004/003279 patent/WO2004083494A1/ja active Application Filing
- 2004-03-12 JP JP2005503664A patent/JPWO2004083494A1/ja not_active Withdrawn
- 2004-03-12 US US10/549,324 patent/US7563356B2/en not_active Expired - Fee Related
- 2004-03-17 TW TW093107027A patent/TW200510579A/zh unknown
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2004083494A1 (ja) | 2004-09-30 |
TW200510579A (en) | 2005-03-16 |
US7563356B2 (en) | 2009-07-21 |
US20060175191A1 (en) | 2006-08-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4043234B2 (ja) | 電解加工装置及び基板処理装置 | |
WO2004095571A1 (en) | Substrate processing method and substrate processing apparatus | |
US7569135B2 (en) | Electrolytic processing apparatus and substrate processing apparatus and method | |
US20030136668A1 (en) | Electrolytic processing device and substrate processing apparatus | |
JP2007050506A (ja) | 電解加工装置 | |
WO2004041467A1 (ja) | 電解加工装置及び電解加工方法 | |
JP2006502310A (ja) | 電解加工装置 | |
US20070034525A1 (en) | Electrolytic processing method | |
JP2008524434A (ja) | 平坦化方法及び平坦化装置 | |
US20040256237A1 (en) | Electrolytic processing apparatus and method | |
JP2008160134A (ja) | 基板処理方法 | |
JPWO2004083494A1 (ja) | 複合加工装置及び方法 | |
JP2003175422A (ja) | 電解加工装置及び方法 | |
JP2003297804A (ja) | 基板処理装置および方法 | |
JP2003225831A (ja) | 電解加工装置 | |
JP2004216542A (ja) | 電解加工装置及び電解加工方法 | |
JP2004255479A (ja) | 電解加工方法及び電解加工装置 | |
JP2006009103A (ja) | 電解加工装置及び接触部材のコンディショニング方法 | |
JP2005288580A (ja) | 電解加工方法及び装置 | |
JP2004084054A (ja) | 電解加工方法及び装置 | |
JP4127361B2 (ja) | 電解加工装置 | |
JP2007284795A (ja) | 電極構造及び電解加工装置 | |
JP4274714B2 (ja) | 加工装置及び加工方法 | |
JP2005264268A (ja) | 電解加工装置及び電解加工方法 | |
JP2005153142A (ja) | 電解加工装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070302 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070302 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20090807 |