JP2565385B2 - 電解ドレッシング研削法と導電性砥石を工具に兼用した研磨法の複合加工方法および装置 - Google Patents

電解ドレッシング研削法と導電性砥石を工具に兼用した研磨法の複合加工方法および装置

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JP2565385B2 JP24696588A JP24696588A JP2565385B2 JP 2565385 B2 JP2565385 B2 JP 2565385B2 JP 24696588 A JP24696588 A JP 24696588A JP 24696588 A JP24696588 A JP 24696588A JP 2565385 B2 JP2565385 B2 JP 2565385B2
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    • B24GRINDING; POLISHING
    • B24BMACHINES, DEVICES, OR PROCESSES FOR GRINDING OR POLISHING; DRESSING OR CONDITIONING OF ABRADING SURFACES; FEEDING OF GRINDING, POLISHING, OR LAPPING AGENTS
    • B24B53/00Devices or means for dressing or conditioning abrasive surfaces
    • B24B53/001Devices or means for dressing or conditioning abrasive surfaces involving the use of electric current

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、機械加工分野における研削加工ならびに研
磨加工で用いられる加工方式および装置に関するもので
あり、特に高能率加工に適用されている導電性砥石であ
る鋳鉄ファイバボンド砥石の特徴を活かしながら、その
まま研磨用の工具として兼用する複合加工方法および装
置に関する。
(従来の技術) 被削材の仕上加工、特に鏡面仕上法として従来から一
般的なのは、ラッピングあるいはポリッシングと呼ばれ
る研磨方法で、遊離砥粒と被削材を互いに擦り合わせて
次第に凹凸をなくしていくといった極めて簡単ながら時
間のかかる方式であった。この仕上方式では、被削材1
個当たりに要する加工時間が長いために、大型の研磨装
置を製作し同時に多数の添削材を加工することで見かけ
上加工能率を上げ、単一な形状を有する製品を大量に生
産するといった場合には適当な方式であったと言うこと
ができる。
しかしながら、近代文明の象徴とも言える産業革命に
端に発した少品種大量生産時代が終わりを告げ、現在産
業において従来は想像もされなかった多品種少量数生産
化や高加工精度化が要求される時代になると、これまで
は問題となり得なかった様々な研磨加工の欠点が高生産
能率化を妨げる結果となった。中でも全自動化が困難な
点と仕上能率が低いといった欠点は、遊離砥粒を利用す
る研磨方式の原理的な弊害であって、これらの問題解決
を図るためには加工原理そのものを変える以外に方法が
ないと言われてきている。
この遊離砥粒を用いた研磨法を改め、固定された微細
砥石、すなわち微細砥粒を有する砥石を利用した研削方
式に改変することを想定すると、研磨で問題となった低
加工能率は当然ながら容易に解決できると考えられる
が、高精度な研削加工を長期に渡り維持していくために
何ら対策が施されていないことが考えられる。事実、微
細砥粒を保持した砥石は作り難い上、慣用研削方式によ
って鏡面を維持することはまず不可能であることが多く
の研究によって明らかとなっている。
従って、従来の加工技術、特に仕上加工技術において
は、始めから最後まで遊離砥粒による研磨(ラッピン
グ、ポリッシング)方式を取るか、あるいは始めに比較
的粗い砥粒を有する砥石によって研削しある程度の平滑
度を得た後、別の加工機に被加工物を移送して遊離砥粒
による研磨加工に移るといった複雑な加工工程を取らざ
るを得なかったのが従来技術と言うことが出来る。
(発明が解決しようとする課題) 本発明では、ラッピングなど遊離砥粒による従来の研
磨技術によってはとうてい実現できないとされている
(1)高仕上能率化、(2)高加工精度化、(3)仕上
加工の全自動化、(4)仕上加工装置のコンパクト化、
(5)仕上工程の高フレキシビリティー化など、将来の
産業発展を見るためには必要不可欠である問題解決を容
易且つ確実に実現することを見込んでいる。特に、高加
工能率を得る研削加工と高加工精度を得る研磨加工を連
続して、それぞれを極めて効果的に実現する本発明によ
れば、ほぼ加工工程を1つに集約することが可能となり
特に(1)、(2)、(3)の問題解決に対する効果は
大きいと考えられる。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、ラッピングなど遊離砥粒による従来の研磨
方式を改め、微細砥粒(粒径:数μm)を固定した導電
性砥石によって高能率な鏡面仕上研削を行うことで大幅
な仕上加工時間の短縮化を図った後、最終的に微細固定
砥粒でも取り切れなかった微小研削条痕のみを電解研磨
法および補助的に利用する遊離砥粒によって高速に且つ
完全に除去する手段を取る。
本発明では、従来では各工程ごとに加工工具および加
工機を何段階も変えていく方式を改め、鏡面研削から鏡
面研磨へ工程が変わっても、初期の鏡面研削に用いた導
電性砥石そのものを研磨用の工具として利用すること
で、同一加工機上でほぼ最数仕上製品として通用する品
質を得ることが可能である。本発明において導電性砥石
を用いるのは、電解ドレッシング作用を研削中に発生さ
せることによって、微細砥粒砥石による安定した鏡面研
削を実現する上で問題となる砥粒見立てと研削屑の排除
を容易且つ確実に実現するためである。しかも、電解ド
レッシングを利用した鏡面研削後に、同導電性砥石はそ
のまま電解研磨用工具として電気条件の制御のみで利用
可能になることと、同砥石に若干の改良を施すことによ
って従来の最終ポリッシング用工具としても利用可能で
あることが本発明の大きな新規性である。
(作 用) 以下に、本発明の複合加工方法における電解ドレッシ
ング作用を利用した鏡面研削過程および研削に使用した
導電性砥石による研磨加工作用について詳述する。
まず、本発明による複合加工方法の初期における電解
ドレッシングを用いた鏡面研削機構について触れる。メ
タルボンド砥石に限らず導電性を有する砥石であれば、
既に電解作用により砥粒の目立て効果および研削屑の排
除効果(通常は両者をまとめた意味で電解ドレッシング
と呼んでいる)が生じることが明らかとなっている。電
解ドレッシングを利用した研削方式は、特に鋳鉄ファイ
バボンド砥石のような砥粒保持力が極めて高いメタルボ
ンド剛性砥石に関して最もその効果が高いと言われてい
る。微細砥粒を有した鋳鉄ファイバボンド砥石(ダイヤ
モンドあるいはCBN砥粒)は慣用研削法で用いられる
と、は全くと言って良いほど研削性能が悪劣で、剛性ボ
ンドであるが故にボンドから砥粒を突出させることが困
難で、安定した鏡面研削が実現できないためである。し
かしながら、本発明初期の電解ドレッシング研削法によ
れば、砥石の使い始め段階(ツルーイング直後:第1図
A)において鋳鉄ファイバボンドに覆われている砥粒
が、電解ドレッシング時間とともに次第に突出してく
る。この様子が第1図A→第1図B→第1図Cである。
本発明による複合加工方法の初期では、この鋳鉄ファ
イバボンド砥石の砥粒突出とその維持を主眼として砥石
自体を(+)極とし、砥石面と対向する金属板電極を
(−)極として、両者の間隙に導電性研削液を供給する
事によって鏡面研削を実現する。本発明の初期工程であ
る研削工程において、微細砥粒鋳鉄ファイバボンド砥石
を利用した場合、仕上面粗さは既に鏡面と言えるオーダ
ー(Rmax20〜40nm)まで向上可能であり、通常の添削加
工では実現不可能な仕上面精度と言える。従って、本発
明の初期の研削加工段階において既に従来の研磨面に匹
敵する面性状を得られているために、本複合加工方法の
後期の研磨工程においては極めて短時間ながら更に面精
度を向上できることになる。
次に、本発明の複合加工方法の後期における研磨効果
について述べる。本発明の最大の新規性と言える場合
は、この後期で行われる研磨工程と初期の鏡面研削工程
の連続性にあると言える。即ち後期の研磨工程で使用す
る研磨工具を初期の導電性砥石として実現できることに
よる。さて、初期の鏡面研削によって得られた被加工物
の研削面は鏡面研削と言えども微視的には第2図Aのよ
うな断面形状を残していることになる。この研削面に対
して、今度は導電性砥石、例えば上記と同様の鋳鉄ファ
バボンド砥石を電解研磨工具として(−)極に、また被
加工物側を(+)極として電圧を印加しながら砥石を移
動させると当初第2図Aのような断面を有していた研削
面は、導電性を有する鋳鉄ファイバボンドと被加工物間
のギャップ間(つまり微細砥粒の突出量)で電解研磨効
果が生じ研削条痕の低減が生じる(第2図B)。当然な
がら、この工程では初期の研削時の加工経路をもう一度
通過させることになる。この段階における電解研磨効果
を確実に得るためには、本発明の複合加工方法初期にお
ける電解ドレッシング研削後の砥粒突出量が適切に制御
されていなければならず、電解ドレッシング効果が極め
てミクロな空間における電解研磨効果を確実に発生させ
る効果を生み出していると言っても過言ではない。更
に、本発明では補助的に遊離砥粒も利用することになる
が、これは電解研磨が進むにつれて仕上面に生じてくる
微細な不導体被膜を極めて微細に除去することで電解研
磨効果を維持していく役割を果たす。この様子を第2図
Cに示す。通常は、電解研磨仕上1回により鏡面研削面
粗さをほぼ半分に低減することが見込まれているため
に、極めて短時間で鏡面研削によっても得られない鏡面
加工物を得ることができるが、更にRmax、数nm以下の超
鏡面を得る場合には、例えば鋳鉄ファイバボンド砥石の
一部に非砥石部(第3図A)を設けることで、更に被加
工物に工具を定圧的に押し付けて行き(第3図B)、鏡
面研磨効果を高めることが可能である。
(発明の効果) 本発明によって、従来から実用化が困難とされていた
安定した鏡面研削を容易に実現できるだけでなく、シリ
コン、フェライト、セラミックス、超硬合金、鉄鋼材料
やその他の導電性被加工物で鏡面研削による微細な研削
条痕をも問題とされる材料の最終製品まで、一貫して高
能率にしかも容易に上げることが可能となった。本発明
による複合加工方法では、同一工作機械上でかなり精密
な鏡面仕上まで実現可能であるため、従来から問題とさ
れていた仕上作業の自動化にも大きな役割を果たすこと
になろう。中でも、古来職人芸とされてきた金型研磨作
業などは、いかに人間の介在する作業をなくし自動化を
行なえるかが、今後の金型生産コストを下げ、加工精度
を向上させる上で最重要ポイントとなるが、本発明によ
り用途を問わない金型産業は言うまでもなく、電子産業
など様々な基幹産業に与える効果は多大であると言え
る。
また、本発明を実用化することを想定すると、複雑な
装置あるいは極めて特殊な装置が必要ない点がその普及
において大きな優位性を与えると言える。つまり、本発
明における複合加工装置の構成の通り、導電性砥石、電
解ドレッシング装置、電解研磨装置、加工液供給装置、
被加工物などを構成するにはさほど困難さがない上、こ
れらが全てアタッチメント方式で従来の加工機械に装着
可能であるために、現状の生産工程に組み込まれている
機械がほぼそのまま利用できることになる。当然のこと
ながら、導電性砥石形状、被加工物形状、加工機タイプ
には特に制限が存在しない。これは、本発明の新規性と
共に大きな汎用性を物語る事実であり、近い将来本発明
の採用によって古来類希な生産方式の革新が奇態できよ
う。
(実施例) 以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
表1は、本発明を実施するために用いた鏡面研削−電
解仕上複合加工システムの仕様である。本実施例は、本
発明による複合加工方法の基本効果を確認するために行
われたものであり、被加工物としては代表的な電子材料
であるシリコンウェハを対象とした。表1の複合加工実
験システムでは本発明の複合加工作用を明らかにするた
めに2種の加工機を利用している。すなわち、鏡面研削
とその次に行う電解研磨を含んだスパークアウト(切り
込み無しの砥石移動)の複合効果を確認するために第一
の実験においては静圧(油)仕様スピンドルを備えた精
密ロータリー平面研削盤を利用する。また、第二の実験
では本発明において工具の一部に非砥石部を設け定圧に
近い電解研磨を実現するために模擬的に構成したシステ
ムを用い、電解と補助的に使用する遊離砥粒の複合効果
を確認する。このシステムでは、一般に使用されている
安価な横型インフィード研削盤を加工機として使用す
る。
つまり本実施例で行った加工実験は、表2のような
+(第一工程)、(第二工程)といった各工程を、
便宜的に別の加工機システムにおいて行っているわけで
ある。このように、本実施例では試験の都合上便宜的に
加工機を分けているものの、本発明による複合加工方法
のコンセプトでは、導電性砥石の一部を改変することに
より本実施例の加工機を1台に集約した形で実現できる
ことを示している。
まず上述の第一工程では、微細砥粒鋳鉄ファイバボン
ドダイヤモンド砥石(#4000:平均砥粒径約4μm)を
研削および電解研磨工具として使用する。前記研削盤に
よる加工システムは、砥石側に(+)極の電圧印加を行
い、シリコンウェハの鏡面研削を実現する。もちろん砥
石側(+)の電圧印加は電解インプロセスドレッシング
の目的である。この際に用いた電源装置は、本鏡面研削
用に仕様設計を行った電解ドレッシング電源装置であ
る。本電源では、鏡面研削初期の砥粒突出過程において
は比較的強めの電解電流を供給し砥粒突出後は研削屑排
除などに寄与するに充分な微弱電流を供給するといった
プロセスを自動的に実行する機構をも内蔵している。本
システムでは、微細砥粒砥石による鏡面研削後、電解電
源装置の電圧極性を反転し、被削材側に(+)を砥石側
に(−)極の電圧を印加する。この際の砥石は実質的に
は、電解用の工具(電極)として寄与することになる。
これら、鏡面研削から電解研磨工程へ移行する際に、印
加極性を変えるだけではなく電解条件設定および被加工
物自体に(+)極の給電を行う保持具が必要となるが、
本実施例ではシリコンウェハのような薄い被加工物に直
接給電を行う導電性真空チャックを利用した。本研削盤
で使用した加工液は、市販されている水溶性研削液を水
道水で50倍に希釈したものを利用し後工程の電解研磨に
おいても同加工液をそのまま利用したが、必要な導電性
は電解ドレッシングおよび電解研磨とも微弱電流を流す
のに充分なオーダーであるため、両者の充分な複合効果
が得られている。また、本研削盤の特徴としては良好な
回転精度と主軸剛性が挙げられ、また砥石中心軸から供
給される加工液により研削屑の排除効果も大いに期待出
来る。
第4図Aは、本発明の上記第一工程の鏡面研削を実施
するための装置の構成図である。同図は、主として精密
ロータリー平面研削盤の主要部分41と電解ドレッシング
用電源装置42から構成されている。同図において、被削
材のシリコンウェハ43はロータリーテーブル44上の保持
具45上に固定され加工のための研削液46を砥石中心部か
ら遠心力によって供給しながら鏡面研削される。また、
平面研削盤内の電解ドレッシング装置は、砥石47外周に
密着させた給電ブラシを(+)電極48、砥石面とある間
隙を持たせて平行に設置した(−)電極板49から成り、
砥石と(−)電極間に加工時に使用するものと同一の研
削液を供給することでインプロセスドレッシングを実現
する。実施例では、鏡面研削前に使用鋳鉄ファイバボン
ド砥石47の平滑化(ツルーイング)を、WAステック砥石
(#80)の研削により行ない、その後10分間の電解ドレ
ッシングによる目立てを行った。本構成でシリコンウェ
ハの鏡面研削を行なった後、今度はシリコンウェハに電
流を供給しながら電解作用による研磨工程に入る。この
段階では、砥石47に(−)極の印加を、シリコンウェハ
には導電性保持具45を通して(+)極の電圧印加を行な
い、砥石をシリコンウェハ上を通過させながら電解研磨
を行なう。この電解研磨時のシステム構成図を第4B図に
示す。もちろん、第4A図と第4B図の研削装置は同一のも
のであり、電流供給方式の切り替えはオペレータの手動
で行なったが、これは自動的な切り替え装置の適用が容
易である。本加工工程によって、鏡面研削および鏡面電
解仕上加工を実施したところ、初期の電解インプロセス
ドレッシング研削加工(電解ドレッシングをインプロセ
スで行ない微細砥粒鋳鉄ファイバボンドダイヤモンド砥
石を利用した研削加工)によってRmax44nm,Ra5nmの良好
な鏡面ウェハが得られ、更に電解研磨効果によってRmax
26nm,Ra4nmの極めて良好な鏡面ウェハを得ることができ
た。これら面性状の変化の様子を第5図A(鏡面研削
後)およびB(電解仕上後)に示す。顕微鏡観察による
面性状および面粗さを測定結果から判断しても、研削条
痕の充分な低減効果が得られていることが分かる。この
鏡面研削条件は、砥石周速1000m/min(回転数1590rp
m)、ロータリーテーブルの送り速度100mm/min、切り込
み深さ2μm/Passであり、続いて切り込み深さ0で同様
の送り速度で電解研磨仕上を実施した。従ってスライシ
ング直後のシリコンウェハを保持具に装着し一度粗粒砥
石で面を平滑化しRmax0.40μm程度にしておけば、たっ
た2Passの工程でRmax26nm、Ra4nmもの鏡面が実現できた
ことになる。この実加工は、シリコンウェハを連続して
流しておけば2分強で実現できることになる。なお、こ
の工程における電解条件は、Eo60V(無負荷電圧)、1p1
0A(ピーク電流)、γ2μsec(オンタイム/オフタイ
ム)程度の低い条件である上、実加工電流値は最終的に
は1A未満にまで低減するので、加工機械本体やオペレー
タに与える影響は皆無であると考えて良い。加工液自体
も何ら特殊な電解液を含まず、加工機の腐食の問題およ
び作業者への影響も考えられない。従来は、30〜40分間
ものラップによって本実施例で得た鏡面性状は実現され
ていない。実に10倍以上の高能率化となる。
一方、本発明の実施例の第二工程においては、既述の
ように電解研磨作用と補助的に遊離砥粒を利用した研磨
加工の複合効果を確認するために第6図に示すような構
成のシステムを利用する。本実施例で利用した装置の構
成は、大まかに横型インフィード研削機の主要部分61と
電解用電源装置62から構成されている。本研削盤では、
シリコンウェハ63と工具64は共に横軸の周りに回転しな
がら接近して行き、接触した状態で定圧的な切り込み方
式を取る。ここで、既述のロータリー平面研削盤におい
て実施した複合加工方法と同様の方式を取り得るのであ
るが、既に鏡面研削および電解研磨の連続加工の複合効
果に関しては実施済みであるために、本実施例の第二段
階では主として工具64に電解研磨に寄与する導電性部分
と補助的な遊離砥粒による研磨に寄与する非導電性部分
を持たせ、定圧で工具64とシリコンウェハ63を密着させ
ながら、電解研磨および遊離砥粒研磨の複合加工実験を
実施した。この際、工具側には給電ブラシ65を介して
(−)極の電圧印加を行い、シリコンウェハ63側にはや
はり同様の給電ブラシ66を介して(+)極の電圧印加を
行った。インフィード研削盤の性格上、工具軸およびワ
ーク軸は絶縁治具67を用いて互いに絶縁を行った。ま
た、ワーク軸には導電性の保持具68を介してシリコンフ
ェハを装着し、工具とシリコンウェハ間には遊離砥粒を
含む導電性加工液69を供給しながら加工を行う。本実施
例で用いた電解研磨工具の構造を第7図に示す。本工具
はその構造上、工具本体を形成する導電性部分71と樹脂
などから成る非導電性部分72を有しており、前者は電解
研磨効果に寄与し後者は遊離砥粒を用いた研磨効果に寄
与する部分である。定圧で本工具とシリコンウェハを密
着させると、その加圧力に応じて非導電性部分72が変形
し、導電性部分とシリコンウェハ間の距離が適切に設定
されるために、有効な研磨効果が期待出来る。もちろ
ん、本工具の導電性部分71が固定砥粒を有する鋳鉄ファ
イボンド砥石部であれば、加工初期においては強制切り
込みにより非導電性部分72が砥石部より後退し、固定砥
粒による鏡面研削(電解ドレッシングのために砥石側を
(+)極とする)が実現でき、その後送り方式を定圧制
御に変えれば非導電性部分よりも砥石部分が後退し本実
施例の研磨効果を実現できるので、1台の加工機にて本
発明の複合加工方法が実施可能である。さて、本実施例
においては、基本的な複合研磨効果の確認のためにCW
(エッチング処理後のシリコンウェハ)を被加工物とし
て適用した。このCWの初期面粗さはRz0.68μm,Ra0.10μ
mであったが、本加工の実施の結果Rz0.37μm,Ra0.06μ
mという面粗さの向上が確認できた(第8図A(初期
面)およびB(電解バフ仕上げ後))。本加工面性状お
よび仕上面粗さパターンの変化から推察すればシリコン
ウェハのようなかなりの電気的抵抗体であっても、確実
に複合研磨の効果が生じていることが分かる。この場
合、加工時間10分程度でこれだけの向上が得られている
ことから、CWを鏡面研削後のウェハに代えて実施すれば
相当な能率で鏡面粗さの向上が見込めることが予想され
る。実際にこの加工を実施したところ、鏡面シリコンウ
ェハを容易に得ることができた。従って、将来的には鋳
鉄ファイバボンド砥石の一部に本実施例で用いた非導電
性部分を設けた工具(第9図)の利用により、全く新し
い鏡面加工工具を実現できることが確認されたと言え
る。なお、本工程において補助的に遊離砥粒(平均粒径
0.6μm:γ−アルミナ砥粒)を用いたのは、慣用的な電
解研磨においては電解の進行に伴って被加工物表面に酸
化膜が形成され電解研磨が停止してしまう現象を抑える
ためである。よって、導電性加工液に混入すべき遊離砥
粒濃度は低くても効果的であると分かっている。これは
機械の保守の観点からも有利である。
以上、本発明は、特に鋳鉄ファイバボンド砥石などの
導電性砥石を利用した電解インプロセスドレッシング研
削法と同砥石をそのまま研磨工具として利用した研磨法
との複合加工方法を、同一加工機上で順次実行すること
によって、従来は実現不可能であった高加工能率で高面
精度である鏡面シリコンウェハを容易に実現することが
できた。
本発明が全面的に実用化されることになれば、本実施
例でも確認された通り従来法とはオーダーを異にする加
工能率が実現され、製品の生産コストダウンならびに高
付加価値化、高品質化を容易に実現できることになる。
本実施例では、現代電子産業に大きな影響を与えると考
えられる電子材料:シリコンウェハを取り上げて本発明
を実施したわけであるが、導電性を有する被削材であれ
ば本発明が広範に適用可能であることは言うまでもな
い。今後ますます低コスト化競争が白熱しつつある生産
業界の中に、一光を投じる基本技術として本発明の適用
が大いに期待できよう。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の複合加工の初期における電解ドレッ
シングによる砥石の砥粒状態を示す概略説明図、 第2図は、本発明の複合加工の鏡面研削および砥石を工
具とした研磨効果の原理を示す概略説明図、 第3図は、鋳鉄ファイバボンド砥石と非導電性部分を共
有した工具による複合研磨効果を示す概略図、 第4A図は、本発明の実施例において鏡面研削を行うため
の装置の構成図、 第4B図は、本発明の実施例において砥石を工具とした複
合研磨を行うための装置の構成図、 第5図は、第4A図および第4B図の複合加工装置によって
加工を実施した際のシリコンウェハ加工面性状の変化の
様子を示すグラフ、 第6図は、本発明の実施例において電解研磨および補助
的に遊離砥粒を利用した複合研磨効果を確認するために
使用した装置の構成図、 第7図AおよびBは、本発明の実施例において電解複合
研磨効果の確認のために使用した工具を示す側面図およ
び平面図、 第8図は、第6図および第7図の装置および工具を用い
てCW(シリコンウェハ)の研磨を行った結果確認された
仕上げ面性状変化の様子を示すグラフ。 第9図AおよびBは、実用化の可能性が大きい鋳鉄ファ
イバボンド砥石と非導電性部を共有した研磨工具を模式
的に示す側面図および平面図。 (符号の説明) 第4図に関するもの 41……精密ロータリー平面研削盤の主要部 42……電解用電源装置(ドレッシング/研磨) 43……シリコンウェハ(被削材) 44……ロータリーテーブル 45……導電性保持具(シリコンウェハ吸着板) 46……加工用クーラント 47……鋳鉄ファイバボンド砥石 48……砥石部給電ブラシ 49……電解ドレッシング用電極 第6図に関するもの 61……横型インフィード研削盤主要部 62……電解有電源装置(ドレッシング/研磨) 63……シリコンウェハ(被削材) 64……複合研磨用工具 65……工具部給電ブラシ 66……ワーク部給電ブラシ 67……工具部絶縁板 68……導電性吸着板 69……導電性加工液 第7図に関するもの 71……研磨工具の導電性部分 72……研磨工具の非導電性部分

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電解ドレッシング研削後に、前記電解ドレ
    ッシング研削に使用した導電性砥石を研磨用の工具とし
    て兼用し能率的に仕上加工を行うことを特徴とする電解
    ドレッシング研削法と導電性砥石を工具に兼用した研磨
    法の複合加工方法。
  2. 【請求項2】前記複合加工方法の初期には、前記導電性
    砥石の電解ドレッシングのために前記砥石側に(+)極
    の電圧を印加しながら研削を行い、前記複合加工方法の
    後期には前記砥石を電解研磨用工具として兼用するため
    (−)極とし被削材側に(+)極の電圧の印加を行うこ
    とを特徴とする請求項(1)記載の複合加工方法。
  3. 【請求項3】前記複合加工方法の後期に行う前記導電性
    砥石を兼用した研磨法において、補助的に遊離砥粒を用
    いた研磨加工を行うことを特徴とする請求項(1)記載
    の複合加工方法。
  4. 【請求項4】前記導電性砥石が、前記複合加工方法初期
    において研削に寄与する砥粒部分と、前記複合加工方法
    後期において電解研磨に寄与する導電性部分からなるこ
    とを特徴とする請求項(1)記載の複合加工方法。
  5. 【請求項5】前記導電性砥石が、前記複合加工方法後期
    において補助的に行う遊離砥粒を用いた研磨に寄与する
    非砥石部分を含むことを特徴とする請求項(1)記載の
    複合加工方法。
  6. 【請求項6】前記複合加工方法における加工液が、通電
    のために効果的な導電性研削液と研磨に効果的な微細な
    遊離砥粒を含むことを特徴とする請求項(1)記載の複
    合加工方法。
  7. 【請求項7】導電性砥石、 この導電性砥石の電解ドレッシング装置、 および、 加工液が供給された状態で前記導電性砥石と被加工物間
    に電圧を印加する電源装置、 を備えて構成される電解ドレッシング研削法と導電性砥
    石を工具に兼用した研磨法の複合加工装置。
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