JPWO2004058619A1 - エレベータ装置 - Google Patents
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Abstract
この発明は、昇降路(1)頂部に設置された枠体(30)に、回転軸がほぼ鉛直方向になるように配置された駆動綱車(14)を有する巻上機(13)、かご側そらせ車(15)等の転向滑車、制御盤(31)、調速機(32)が取り付けられている。エレベータかご(5)は、かご上面(8)に保守用の開口部(9)が設けられている。巻上機(13)等の機器は少なくとも一部が昇降路(1)の鉛直投影面上でかご(5)等と重なるように配置され、かご(5)が所定の保守位置に停止した状態における巻上機(13)等の機器とかご上面(8)との隙間を、少なくともかご(5)の定格速度の二乗を重力加速度の二倍で除した値(V2/2g)以上とし、かつ、この隙間をできるだけ小さくしたものである。また、保守員(20)が、かご(5)内の作業台(21)に乗って、かご上面(8)の開口部(9)から手を伸ばして巻上機(13)等の機器の保守を行うものである。
Description
この発明は、巻上機が昇降路内の上部に配置されているエレベータ装置に関するものである。
近年増加しつつある機械室を設けない、いわゆる機械室レスエレベータでは、昇降路内の頂部に巻上機が備えられ、巻上機の駆動綱車を昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと昇降路壁面との間に配置し、かつ、昇降路の鉛直投影面上で巻上機の一部がかごと重なるようにして配置されるものが多い。また、従来は機械室に配置されていた制御盤や、転向滑車、調速機などの機器も、昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと昇降路壁面との間に配置される。
このような構成のエレベータ装置では、昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと昇降路の壁面との間に巻上機の駆動綱車、制御盤、転向滑車、調速機などの機器の厚み分以上の隙間が必要である。この隙間は昇降路の全高にわたるデッドスペースを生じさせ、特に建物が高層になるにつれて、このデッドスペースは大きくなってしまう。
また、昇降路頂部の上下方向においても、エレベータが何らかの理由により暴走して極限まで上昇した事態を想定して、昇降路頂部に設置された機器とエレベータかごとの衝突回避と保守作業時における保守員の安全確保のために昇降路頂部に隙間を設ける必要があり、そのため、昇降路頂部にもデッドスペースが生じる。ここで、この昇降路頂部のデッドスペースは、次の二つのうちのいずれか大きい方の値となる。一つは、エレベータかごが暴走して極限まで上昇した場合でも、昇降路頂部に配置された機器とエレベータかごがぶつからないようにするために設けられる上下方向の空間をいう。もう一つは、従来の機械室レスエレベータでは、昇降路に配置された巻上機などの機器を点検するため、保守員はエレベータかご上面に乗って作業するか、あるいは日本特開平5−97357号公報にように、保守員は上半身をかごから乗り出して作業することが行われていた。それゆえ、エレベータかごが暴走した場合に、保守員が昇降路頂部、又は昇降路頂部に配置された機器に頭をぶつけないようにするために、エレベータかごと昇降路頂部に配置された機器との間に隙間を大きくとる必要があり、そのために確保する上下方向の空間をいう。
このように、従来の機械室レスエレベータでは、昇降路全高にわたるデッドスペースと昇降路頂部のデッドスペースが生じる。
そこで、この発明では、昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと昇降路壁面との間に巻上機などの機器を配置しないようにして昇降路の全高にわたって生ずるデッドスペースを最小とする。また、エレベータが暴走して極限まで上昇した場合における、昇降路頂部に設置された機器とエレベータかごとの衝突回避と保守員の安全確保のために設けられた空間によるデッドスペースを最小とする。これにより、必要な昇降路空間を最小としたエレベータ装置を提供することを目的とする。
発明の概要
この発明のエレベータ装置は、昇降路頂部に枠体が設置されており、枠体には巻上機、転向滑車が取り付けられている。巻上機は、回転軸がほぼ鉛直方向になるように配置された駆動綱車を有する。転向滑車は、巻上機の駆動綱車に巻き掛けられたエレベータの主索を方向転換させるものである。エレベータかごは、かご上面に開閉可能な開口部が設けられている。ここで、巻上機又は転向滑車は、少なくとも一部が昇降路の鉛直投影面上でエレベータかご又は釣合いおもりのいずれかと重なるように配置されている。そして、エレベータかごが所定の保守位置に停止した状態における、巻上機および転向滑車とエレベータかご上面との隙間を、少なくともエレベータかごの定格速度の二乗を重力加速度の二倍で除した値(V2/2g)以上とし、かつ、この隙間をできるだけ小さくしたものである。
また、枠体にはエレベータかごの昇降を制御するための制御盤又は調速機が取り付けられており、制御盤又は調速機の少なくとも一部が昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと重なるように配置されている。
このように構成されたエレベータ装置は、エレベータかごが所定の保守位置に停止した状態における、制御盤又は調速機とエレベータかご上面との隙間を、少なくともエレベータかごの定格速度の二乗を重力加速度の二倍で除した値(V2/2g)以上とし、かつ、この隙間をできるだけ小さくしたものである。
また、巻上機又は制御盤の少なくとも一方の保守作業対象面が鉛直下方向に配置されている。
また、巻上機は、径方向の寸法より回転軸方向の厚さが小さく形成されている。
以上のような発明によれば、昇降路頂部に巻上機などの機器を集約して配置することで、エレベータかごと昇降路の側壁面との間の昇降路の全高にわたって生ずるデッドスペースを最小とし、昇降路頂部に設置された機器とエレベータかごとの衝突回避と保守員の安全確保のために設けられた空間によるデッドスペースを最小を最小とすることで、必要な昇降路空間を最小としたエレベータ装置を得ることができる。
このような構成のエレベータ装置では、昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと昇降路の壁面との間に巻上機の駆動綱車、制御盤、転向滑車、調速機などの機器の厚み分以上の隙間が必要である。この隙間は昇降路の全高にわたるデッドスペースを生じさせ、特に建物が高層になるにつれて、このデッドスペースは大きくなってしまう。
また、昇降路頂部の上下方向においても、エレベータが何らかの理由により暴走して極限まで上昇した事態を想定して、昇降路頂部に設置された機器とエレベータかごとの衝突回避と保守作業時における保守員の安全確保のために昇降路頂部に隙間を設ける必要があり、そのため、昇降路頂部にもデッドスペースが生じる。ここで、この昇降路頂部のデッドスペースは、次の二つのうちのいずれか大きい方の値となる。一つは、エレベータかごが暴走して極限まで上昇した場合でも、昇降路頂部に配置された機器とエレベータかごがぶつからないようにするために設けられる上下方向の空間をいう。もう一つは、従来の機械室レスエレベータでは、昇降路に配置された巻上機などの機器を点検するため、保守員はエレベータかご上面に乗って作業するか、あるいは日本特開平5−97357号公報にように、保守員は上半身をかごから乗り出して作業することが行われていた。それゆえ、エレベータかごが暴走した場合に、保守員が昇降路頂部、又は昇降路頂部に配置された機器に頭をぶつけないようにするために、エレベータかごと昇降路頂部に配置された機器との間に隙間を大きくとる必要があり、そのために確保する上下方向の空間をいう。
このように、従来の機械室レスエレベータでは、昇降路全高にわたるデッドスペースと昇降路頂部のデッドスペースが生じる。
そこで、この発明では、昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと昇降路壁面との間に巻上機などの機器を配置しないようにして昇降路の全高にわたって生ずるデッドスペースを最小とする。また、エレベータが暴走して極限まで上昇した場合における、昇降路頂部に設置された機器とエレベータかごとの衝突回避と保守員の安全確保のために設けられた空間によるデッドスペースを最小とする。これにより、必要な昇降路空間を最小としたエレベータ装置を提供することを目的とする。
発明の概要
この発明のエレベータ装置は、昇降路頂部に枠体が設置されており、枠体には巻上機、転向滑車が取り付けられている。巻上機は、回転軸がほぼ鉛直方向になるように配置された駆動綱車を有する。転向滑車は、巻上機の駆動綱車に巻き掛けられたエレベータの主索を方向転換させるものである。エレベータかごは、かご上面に開閉可能な開口部が設けられている。ここで、巻上機又は転向滑車は、少なくとも一部が昇降路の鉛直投影面上でエレベータかご又は釣合いおもりのいずれかと重なるように配置されている。そして、エレベータかごが所定の保守位置に停止した状態における、巻上機および転向滑車とエレベータかご上面との隙間を、少なくともエレベータかごの定格速度の二乗を重力加速度の二倍で除した値(V2/2g)以上とし、かつ、この隙間をできるだけ小さくしたものである。
また、枠体にはエレベータかごの昇降を制御するための制御盤又は調速機が取り付けられており、制御盤又は調速機の少なくとも一部が昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと重なるように配置されている。
このように構成されたエレベータ装置は、エレベータかごが所定の保守位置に停止した状態における、制御盤又は調速機とエレベータかご上面との隙間を、少なくともエレベータかごの定格速度の二乗を重力加速度の二倍で除した値(V2/2g)以上とし、かつ、この隙間をできるだけ小さくしたものである。
また、巻上機又は制御盤の少なくとも一方の保守作業対象面が鉛直下方向に配置されている。
また、巻上機は、径方向の寸法より回転軸方向の厚さが小さく形成されている。
以上のような発明によれば、昇降路頂部に巻上機などの機器を集約して配置することで、エレベータかごと昇降路の側壁面との間の昇降路の全高にわたって生ずるデッドスペースを最小とし、昇降路頂部に設置された機器とエレベータかごとの衝突回避と保守員の安全確保のために設けられた空間によるデッドスペースを最小を最小とすることで、必要な昇降路空間を最小としたエレベータ装置を得ることができる。
図1は、この発明の実施の形態にかかるエレベータ装置の配置例を示し、エレベータ装置を上方から見下ろした平面図である。
図2は、図1におけるエレベータ装置を昇降路背面側から見た背面図である。
図3は、図1におけるエレベータ装置を昇降路側面側から見た側面図であり、保守作業の方法を説明するための図である。
図4は、この実施の形態にかかるエレベータ装置において、エレベータかごが暴走した状態を想定し、その暴走時におけるエレベータかごの動作を説明するための概念図である。
図5は、この実施の形態にかかるエレベータ装置で、定格速度が速いエレベータにおける保守作業の方法を説明するための図である。
図2は、図1におけるエレベータ装置を昇降路背面側から見た背面図である。
図3は、図1におけるエレベータ装置を昇降路側面側から見た側面図であり、保守作業の方法を説明するための図である。
図4は、この実施の形態にかかるエレベータ装置において、エレベータかごが暴走した状態を想定し、その暴走時におけるエレベータかごの動作を説明するための概念図である。
図5は、この実施の形態にかかるエレベータ装置で、定格速度が速いエレベータにおける保守作業の方法を説明するための図である。
この発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
図1は、この発明の実施の形態にかかるエレベータ装置の配置例を示し、エレベータ装置を上方から見下ろした平面図である。図2は、図1におけるエレベータ装置を昇降路背面側から見た背面図である。
図において、昇降路1内には、昇降路1の壁面2に設置されたレールブラケット(図示せず)を介して、一対のエレベータかご用ガイドレール3と他の一対の釣合いおもり用ガイドレール4がそれぞれ設置されている。エレベータかご5は、かご用ガイドレール3に案内されて昇降路1内を昇降し、釣合いおもり10は、釣合いおもり用ガイドレール4に案内されてかご5と反対方向に昇降路1内を昇降する。
エレベータかご5には、出入口扉7がかご5正面に配置されている。以下、図1において、出入口扉7側の昇降路の壁面を正面と称し、正面と対向する面を背面と称する。さらに、かご5の出入口面と直交する両面を側面と称する。また、かご5は複数の梁によって形成されたかご枠6によって下面および両側面を支持されている。ここで、かご5の上面8には、開閉ふた9aにより開閉可能とされた保守作業を行うための開口部9が設けられている。釣合いおもり10は、昇降路1におけるかご5の背面側に、かつ、一側面が昇降路1の壁面2に寄せられて配置されている。
次に、昇降路1頂部には、かご用ガイドレール3と釣合いおもり用ガイドレール4により支持された枠体30が設置されている。枠体30には、エレベータ主索12が巻き掛けられた駆動綱車14を有する巻上機13が設けられている。なお、駆動綱車14は、回転軸がほぼ鉛直方向になるように配置されている。また、巻上機13は少なくとも巻上機13の一部がかご5と昇降路1の鉛直投影面上で重なるように配置されている。図1に示す配置例では、釣合いおもり10が配置される方のかご5のコーナー部とは別の他方のコーナー部側に、巻上機13はその主要部が昇降路1の鉛直投影面上でかご5と重なるように配置されており、かご上面8の開口部9とも巻上機13の一部が鉛直投影面上で重なるように配置されている。また、巻上機13は、径方向の寸法より回転軸方向の厚さが小さく形成されている。
次に、この実施の形態で用いられる転向滑車は、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、かご用滑車17、釣合いおもり用滑車18を指すものとする。これらの転向滑車の配置について、巻上機13の駆動綱車14に巻き掛けられた主索12の配索経路と合わせて順に説明する。主索12の一方は、かご側そらせ車15に巻き掛けられ、水平方向から鉛直方向に方向転換させられ、かご枠6下部の両側面にそれぞれ設けられたかご用滑車17に順に巻き掛けられ、再び鉛直方向に方向転換して、昇降路1頂部の枠体30に取り付けられている。主索12の他方は、巻上機13から釣合いおもり側そらせ車16に巻き掛けられ、水平方向から鉛直方向に方向転換させられ、釣合いおもり用滑車18に巻き掛けられ、昇降路1頂部の枠体30に取り付けられている。ここで、かご側そらせ車15、およびかご用滑車17は、昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部がかご5と重なるように配置されている。すなわち、かご側そらせ車15からかご用滑車17に向かう主索部、およびかご用滑車17から枠体30に向かう主索部がかご5の側面に可能な限り寄せられて配置されていることで、かご側そらせ車15、およびかご用滑車17の大部分が鉛直投影面上でかご5と重なるように配置されて、かご5と昇降路壁面2との距離を大きく取る必要がないようにされている。なお、かご側そらせ車15はかご上面8の開口部9とも一部が重なるように配置されている。また、釣合いおもり側そらせ車16は、昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部が釣合いおもり10と重なるように配置されており、釣合いおもり用滑車18は、昇降路1の鉛直投影面上で釣合いおもり10と全体が重なるように配置されている。すなわち、釣合いおもり10とエレベータかご5との隙間を大きく取る必要がないようにされている。
次に、エレベータかご5の昇降を制御するための制御盤31は、昇降路1頂部の枠体30に昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部がかご5と重なるように配置される。図1の配置例では、制御盤30全体が、かご5と重なるように配置されており、かご上面8の開口部9とも制御盤31全体が鉛直投影面上で重なるように配置されている。
次に、調速機32は、制御盤31と同様に昇降路1頂部の枠体30に設置されており、調速機32には調速機ロープ33が巻き掛けられている。そして、調速機ロープ33に張力を与えるための調速機用張り車34が昇降路1下部に設けられている。調速機32も、制御盤31と同様に昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部がエレベータかご5と重なるように配置されており、かご上面8の開口部9とも調速機32の一部が鉛直投影面上で重なるように配置されている。すなわち、調速機32の綱車部以外はかご5と重なるように配置され、調速機32の厚み分で調速機32とかご5の側面との間に無駄な隙間をとる必要がないようにされている。
以上の説明のように、この実施の形態においては、巻上機13、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、制御盤31、調速機32といった昇降路頂部設置機器が、昇降路1頂部に設置された枠体30に集約して配置されている。(この明細書中で昇降路頂部設置機器という場合には、巻上機12、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、制御盤31、調速機32を示すものとする。)また、枠体30は、前述の説明においてはかご用ガイドレール3および釣合いおもり用ガイドレール4によって支持されている例を示したが、昇降路1の壁面2によって支持されるものであってもよい。
図3は、図1におけるエレベータ装置を昇降路側面側から見た側面図であり、保守作業の方法を説明するための図である。
図3を用いて、この実施の形態にかかるエレベータ装置の保守方法について説明する。まず、エレベータかご5を最上階付近の所定の保守位置に停止させ、保守員20が作業台21に乗って、かご上面8の開口部9の開閉ふた9aを開いて、かご5内から昇降路頂部機器の保守作業を行う。ここで用いられている作業台21はかご5に常設された折り畳み式のもので、エレベータの平常運転時には折り畳まれてかご5の内部側壁に収納されている。また、この作業台21は、上下方向に高さを調整する機構を備えており、保守員20の身長に応じて台の高さを調整するものである。そして、巻上機13と制御盤31は、保守作業を行う保守作業対象面22が鉛直下方向に配置されている。本発明では、昇降路1頂部におけるデッドスペースを最小とすることを目的としているため、かご上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は極力小さくする必要があり、そのため、以下に説明する方法でかご上面8と昇降路頂部設置機器との距離を求める計算を行う。
図4は、この実施の形態にかかるエレベータ装置において、エレベータかごが暴走した状態を想定し、その暴走時におけるエレベータかごの動作を説明するための概念図であり、(A)はエレベータかごが定格速度で上昇し、釣合いおもりが緩衝器に突入する瞬間を表した図である。また、(B)は釣合いおもりが緩衝器に突入後、エレベータかごが慣性力でさらに上昇したときの限界位置を示す図である。
エレベータが定格速度で昇降している際に、エレベータかご5の上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は、何らかの理由によりかご5が暴走してしまった場合を想定して、かご5が昇降路頂部設置機器に衝突しないようにしなければいけない。言い換えれば、かご上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は、かご5の暴走時にかご5が昇降路頂部設置機器に衝突しない距離以上とすればよい。
ここで、図4(A)に示すように、エレベータかご5が定格速度(V)で上昇中に、何らかの原因により減速せずに上昇を続けた場合、かご5とは反対方向に下降を続ける釣合いおもり10が緩衝器11に突入する。図4(B)に示すように、この突入により、かご5と釣合いおもり10との間にそれまで生じていた主索12の張力がなくなる。このとき、定格速度(V)で上昇していたかご5は、慣性力により、この速度(V)を初速として飛び上がる。このエレベータかご5の飛び上がり代は次式により求めることができる。
S=V2/2g
ここで、(S)はエレベータかごの飛び上がり代、(V)はエレベータかごの初速(定格速度)、(g)は重力加速度である。
したがって、上記の式により、かご上面8と昇降路頂部設置機器との間の隙間は、少なくともかご5の飛び上がり代(S)以上としておけば、万一、かご5が定格速度(V)での上昇中に暴走した場合でも、かご5が昇降路頂部設置機器に衝突してしまう事態は避けることができる。しかし、その一方で、昇降路頂部におけるデッドスペースを縮小させるためには、エレベータの暴走時におけるかご上面8と昇降路頂部設置機器との衝突を回避する隙間を確保した上で、この隙間はできるだけ小さくしたいという要求がある。そのため、上記の式で求まる隙間は釣合いおもり10が緩衝器11に突入したところからの飛び上がり代(S)であるから、この隙間をできるだけ小さくするためには、保守作業を行うために保守員20がかご5を移動させたときの保守位置は、釣合いおもり10が緩衝器11に接触する寸前であることが望ましい。実際には、保守位置における釣り合いおもり10と緩衝器11との間には余裕代を設ける必要があるが、その余裕代はかご5の飛び上がり代(S)の2割程度とすれば充分である。
以上より、保守位置におけるかご上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は、エレベータかご5の飛び上がり代(S)〜飛び上がり代(S)の2割増し程度の間で設定すればよいことになる。例えば、定格速度が毎分120メートルのエレベータにおいて実際に隙間を計算すると、かご5の飛び上がり代(S)は約20cmとなり、余裕代を考慮すると、隙間は20〜24cm程度確保すればよい。それゆえ、図3に示すように、保守作業を行う際に、保守員20は、かご上面8の開口部9より頭を突出させず、手を伸ばせば巻上機13などの昇降路頂部設置機器に手が届くように作業台21の高さを設定することで、万一、かご5が暴走した場合でも保守員20は昇降路頂部設置機器に頭をぶつけるのを防止することができる。
次に、図5は、この実施の形態にかかるエレベータ装置で、定格速度が速いエレベータにおける保守作業の方法を説明するための図である。
定格速度が毎分120メートルより速い、いわゆる高速の部類に入るようなエレベータにおいては、前述のエレベータかご5の飛び上がり代(S)は速度の二乗に比例して大きくなるので、定格速度の大きいエレベータほど、かご上面8と昇降路頂部設置機器との間で最小限必要な隙間は大きくなる。こういった場合においても、図5に示すように、保守作業を行う際に、保守員20はかご上面8の開口部9より頭だけを突出させ、かつ、手を伸ばせば巻上機13などの昇降路頂部設置機器に手が届くように作業台21の高さを設定すれば保守作業が可能であり、万一、かご5が暴走した場合でも保守員20は首をすくめる程度で機器と頭がぶつかるの防止することができる。
また、この実施の形態では、作業台21はエレベータかご5に常設された例を示しているが、作業台21はかご5に常設のものに限らず、保守作業用に外から持ち込むものであってもよい。なお、図において、保守員20は立って作業するようにしているが、作業台21の高さをもっと高くして、保守員20が座って作業するようにしても同様の効果が得られるのは自明である。
以上の実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
巻上機13、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、制御盤31、調速機32といった昇降路頂部設置機器を枠体30に集約し、昇降路1の鉛直投影面上で昇降路壁面2とエレベータかご5との間に機器を配置しないようにしていることと、昇降路頂部設置機器を鉛直投影面上でかご5又は釣合いおもり10と少なくとも一部が重なるように配置していることで、昇降路1の平面寸法が最小となり、昇降路1の全高にわたるデッドスペースを最小とすることができる。なお、鉛直投影面上で昇降路頂部設置機器をかご5又は釣合いおもり10と少なくとも一部が重なるように配置していることに加えて、昇降路頂部設置機器をかご上面8の開口部9とも一部が重なるように配置されていることにより、保守員20がかご5内から作業する際に、保守対象となる機器に手を伸ばし易くなるので保守作業性を向上させることもできる。
また、エレベータの暴走時のエレベータかご5と昇降路頂部設置機器との衝突を回避できるようにした上で、昇降路1頂部とエレベータかご5の上面8との隙間を最小になるように設定していることで、昇降路1頂部におけるデッドスペースを最小とすることができる。そのうえ、巻上機13と制御盤31の保守作業対象面22が鉛直下方向に配置されていることと合わせて、保守員20はかご5内から作業台21に乗って、かご上面8の開口部9から頭を突出させずに手を伸ばせば、あるいは必要であれば開口部9から頭だけ出し、かつ、手を伸ばすことで、昇降路頂部設置機器の保守が可能になり、万一、かご5が暴走した場合にも、頭をすくめる程度で保守員20とかご5とがぶつかるのを回避でき、保守員20の安全を確保することができる。その結果、これまで保守作業時の安全確保のために大きく必要であったデッドスペースを縮小させることができる。
また、巻上機13は径方向の寸法より回転軸方向の厚さが小さく形成されていることで、昇降路1の全高の縮小に寄与している。
また、この実施の形態で説明したエレベータかご5は、かご枠6の下部に設置されたかご用滑車17によって支持されて昇降する配置としているので、かご上面8に上枠を設ける必要がないため、昇降路1の全高の縮小に寄与している。なお、かご5を両側面で吊るタイプなど、かご上面8に上枠が不要なものであれば、ローピング形式は、この実施の形態の2:1ローピング形式のものに限らず、同様の効果を奏する。
以上より、機械室レスエレベータにおいて存在するデッドスペースを最小にでき、昇降路1が占有する空間容積を最も小さくすることが可能となる。
図1は、この発明の実施の形態にかかるエレベータ装置の配置例を示し、エレベータ装置を上方から見下ろした平面図である。図2は、図1におけるエレベータ装置を昇降路背面側から見た背面図である。
図において、昇降路1内には、昇降路1の壁面2に設置されたレールブラケット(図示せず)を介して、一対のエレベータかご用ガイドレール3と他の一対の釣合いおもり用ガイドレール4がそれぞれ設置されている。エレベータかご5は、かご用ガイドレール3に案内されて昇降路1内を昇降し、釣合いおもり10は、釣合いおもり用ガイドレール4に案内されてかご5と反対方向に昇降路1内を昇降する。
エレベータかご5には、出入口扉7がかご5正面に配置されている。以下、図1において、出入口扉7側の昇降路の壁面を正面と称し、正面と対向する面を背面と称する。さらに、かご5の出入口面と直交する両面を側面と称する。また、かご5は複数の梁によって形成されたかご枠6によって下面および両側面を支持されている。ここで、かご5の上面8には、開閉ふた9aにより開閉可能とされた保守作業を行うための開口部9が設けられている。釣合いおもり10は、昇降路1におけるかご5の背面側に、かつ、一側面が昇降路1の壁面2に寄せられて配置されている。
次に、昇降路1頂部には、かご用ガイドレール3と釣合いおもり用ガイドレール4により支持された枠体30が設置されている。枠体30には、エレベータ主索12が巻き掛けられた駆動綱車14を有する巻上機13が設けられている。なお、駆動綱車14は、回転軸がほぼ鉛直方向になるように配置されている。また、巻上機13は少なくとも巻上機13の一部がかご5と昇降路1の鉛直投影面上で重なるように配置されている。図1に示す配置例では、釣合いおもり10が配置される方のかご5のコーナー部とは別の他方のコーナー部側に、巻上機13はその主要部が昇降路1の鉛直投影面上でかご5と重なるように配置されており、かご上面8の開口部9とも巻上機13の一部が鉛直投影面上で重なるように配置されている。また、巻上機13は、径方向の寸法より回転軸方向の厚さが小さく形成されている。
次に、この実施の形態で用いられる転向滑車は、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、かご用滑車17、釣合いおもり用滑車18を指すものとする。これらの転向滑車の配置について、巻上機13の駆動綱車14に巻き掛けられた主索12の配索経路と合わせて順に説明する。主索12の一方は、かご側そらせ車15に巻き掛けられ、水平方向から鉛直方向に方向転換させられ、かご枠6下部の両側面にそれぞれ設けられたかご用滑車17に順に巻き掛けられ、再び鉛直方向に方向転換して、昇降路1頂部の枠体30に取り付けられている。主索12の他方は、巻上機13から釣合いおもり側そらせ車16に巻き掛けられ、水平方向から鉛直方向に方向転換させられ、釣合いおもり用滑車18に巻き掛けられ、昇降路1頂部の枠体30に取り付けられている。ここで、かご側そらせ車15、およびかご用滑車17は、昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部がかご5と重なるように配置されている。すなわち、かご側そらせ車15からかご用滑車17に向かう主索部、およびかご用滑車17から枠体30に向かう主索部がかご5の側面に可能な限り寄せられて配置されていることで、かご側そらせ車15、およびかご用滑車17の大部分が鉛直投影面上でかご5と重なるように配置されて、かご5と昇降路壁面2との距離を大きく取る必要がないようにされている。なお、かご側そらせ車15はかご上面8の開口部9とも一部が重なるように配置されている。また、釣合いおもり側そらせ車16は、昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部が釣合いおもり10と重なるように配置されており、釣合いおもり用滑車18は、昇降路1の鉛直投影面上で釣合いおもり10と全体が重なるように配置されている。すなわち、釣合いおもり10とエレベータかご5との隙間を大きく取る必要がないようにされている。
次に、エレベータかご5の昇降を制御するための制御盤31は、昇降路1頂部の枠体30に昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部がかご5と重なるように配置される。図1の配置例では、制御盤30全体が、かご5と重なるように配置されており、かご上面8の開口部9とも制御盤31全体が鉛直投影面上で重なるように配置されている。
次に、調速機32は、制御盤31と同様に昇降路1頂部の枠体30に設置されており、調速機32には調速機ロープ33が巻き掛けられている。そして、調速機ロープ33に張力を与えるための調速機用張り車34が昇降路1下部に設けられている。調速機32も、制御盤31と同様に昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部がエレベータかご5と重なるように配置されており、かご上面8の開口部9とも調速機32の一部が鉛直投影面上で重なるように配置されている。すなわち、調速機32の綱車部以外はかご5と重なるように配置され、調速機32の厚み分で調速機32とかご5の側面との間に無駄な隙間をとる必要がないようにされている。
以上の説明のように、この実施の形態においては、巻上機13、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、制御盤31、調速機32といった昇降路頂部設置機器が、昇降路1頂部に設置された枠体30に集約して配置されている。(この明細書中で昇降路頂部設置機器という場合には、巻上機12、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、制御盤31、調速機32を示すものとする。)また、枠体30は、前述の説明においてはかご用ガイドレール3および釣合いおもり用ガイドレール4によって支持されている例を示したが、昇降路1の壁面2によって支持されるものであってもよい。
図3は、図1におけるエレベータ装置を昇降路側面側から見た側面図であり、保守作業の方法を説明するための図である。
図3を用いて、この実施の形態にかかるエレベータ装置の保守方法について説明する。まず、エレベータかご5を最上階付近の所定の保守位置に停止させ、保守員20が作業台21に乗って、かご上面8の開口部9の開閉ふた9aを開いて、かご5内から昇降路頂部機器の保守作業を行う。ここで用いられている作業台21はかご5に常設された折り畳み式のもので、エレベータの平常運転時には折り畳まれてかご5の内部側壁に収納されている。また、この作業台21は、上下方向に高さを調整する機構を備えており、保守員20の身長に応じて台の高さを調整するものである。そして、巻上機13と制御盤31は、保守作業を行う保守作業対象面22が鉛直下方向に配置されている。本発明では、昇降路1頂部におけるデッドスペースを最小とすることを目的としているため、かご上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は極力小さくする必要があり、そのため、以下に説明する方法でかご上面8と昇降路頂部設置機器との距離を求める計算を行う。
図4は、この実施の形態にかかるエレベータ装置において、エレベータかごが暴走した状態を想定し、その暴走時におけるエレベータかごの動作を説明するための概念図であり、(A)はエレベータかごが定格速度で上昇し、釣合いおもりが緩衝器に突入する瞬間を表した図である。また、(B)は釣合いおもりが緩衝器に突入後、エレベータかごが慣性力でさらに上昇したときの限界位置を示す図である。
エレベータが定格速度で昇降している際に、エレベータかご5の上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は、何らかの理由によりかご5が暴走してしまった場合を想定して、かご5が昇降路頂部設置機器に衝突しないようにしなければいけない。言い換えれば、かご上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は、かご5の暴走時にかご5が昇降路頂部設置機器に衝突しない距離以上とすればよい。
ここで、図4(A)に示すように、エレベータかご5が定格速度(V)で上昇中に、何らかの原因により減速せずに上昇を続けた場合、かご5とは反対方向に下降を続ける釣合いおもり10が緩衝器11に突入する。図4(B)に示すように、この突入により、かご5と釣合いおもり10との間にそれまで生じていた主索12の張力がなくなる。このとき、定格速度(V)で上昇していたかご5は、慣性力により、この速度(V)を初速として飛び上がる。このエレベータかご5の飛び上がり代は次式により求めることができる。
S=V2/2g
ここで、(S)はエレベータかごの飛び上がり代、(V)はエレベータかごの初速(定格速度)、(g)は重力加速度である。
したがって、上記の式により、かご上面8と昇降路頂部設置機器との間の隙間は、少なくともかご5の飛び上がり代(S)以上としておけば、万一、かご5が定格速度(V)での上昇中に暴走した場合でも、かご5が昇降路頂部設置機器に衝突してしまう事態は避けることができる。しかし、その一方で、昇降路頂部におけるデッドスペースを縮小させるためには、エレベータの暴走時におけるかご上面8と昇降路頂部設置機器との衝突を回避する隙間を確保した上で、この隙間はできるだけ小さくしたいという要求がある。そのため、上記の式で求まる隙間は釣合いおもり10が緩衝器11に突入したところからの飛び上がり代(S)であるから、この隙間をできるだけ小さくするためには、保守作業を行うために保守員20がかご5を移動させたときの保守位置は、釣合いおもり10が緩衝器11に接触する寸前であることが望ましい。実際には、保守位置における釣り合いおもり10と緩衝器11との間には余裕代を設ける必要があるが、その余裕代はかご5の飛び上がり代(S)の2割程度とすれば充分である。
以上より、保守位置におけるかご上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は、エレベータかご5の飛び上がり代(S)〜飛び上がり代(S)の2割増し程度の間で設定すればよいことになる。例えば、定格速度が毎分120メートルのエレベータにおいて実際に隙間を計算すると、かご5の飛び上がり代(S)は約20cmとなり、余裕代を考慮すると、隙間は20〜24cm程度確保すればよい。それゆえ、図3に示すように、保守作業を行う際に、保守員20は、かご上面8の開口部9より頭を突出させず、手を伸ばせば巻上機13などの昇降路頂部設置機器に手が届くように作業台21の高さを設定することで、万一、かご5が暴走した場合でも保守員20は昇降路頂部設置機器に頭をぶつけるのを防止することができる。
次に、図5は、この実施の形態にかかるエレベータ装置で、定格速度が速いエレベータにおける保守作業の方法を説明するための図である。
定格速度が毎分120メートルより速い、いわゆる高速の部類に入るようなエレベータにおいては、前述のエレベータかご5の飛び上がり代(S)は速度の二乗に比例して大きくなるので、定格速度の大きいエレベータほど、かご上面8と昇降路頂部設置機器との間で最小限必要な隙間は大きくなる。こういった場合においても、図5に示すように、保守作業を行う際に、保守員20はかご上面8の開口部9より頭だけを突出させ、かつ、手を伸ばせば巻上機13などの昇降路頂部設置機器に手が届くように作業台21の高さを設定すれば保守作業が可能であり、万一、かご5が暴走した場合でも保守員20は首をすくめる程度で機器と頭がぶつかるの防止することができる。
また、この実施の形態では、作業台21はエレベータかご5に常設された例を示しているが、作業台21はかご5に常設のものに限らず、保守作業用に外から持ち込むものであってもよい。なお、図において、保守員20は立って作業するようにしているが、作業台21の高さをもっと高くして、保守員20が座って作業するようにしても同様の効果が得られるのは自明である。
以上の実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
巻上機13、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、制御盤31、調速機32といった昇降路頂部設置機器を枠体30に集約し、昇降路1の鉛直投影面上で昇降路壁面2とエレベータかご5との間に機器を配置しないようにしていることと、昇降路頂部設置機器を鉛直投影面上でかご5又は釣合いおもり10と少なくとも一部が重なるように配置していることで、昇降路1の平面寸法が最小となり、昇降路1の全高にわたるデッドスペースを最小とすることができる。なお、鉛直投影面上で昇降路頂部設置機器をかご5又は釣合いおもり10と少なくとも一部が重なるように配置していることに加えて、昇降路頂部設置機器をかご上面8の開口部9とも一部が重なるように配置されていることにより、保守員20がかご5内から作業する際に、保守対象となる機器に手を伸ばし易くなるので保守作業性を向上させることもできる。
また、エレベータの暴走時のエレベータかご5と昇降路頂部設置機器との衝突を回避できるようにした上で、昇降路1頂部とエレベータかご5の上面8との隙間を最小になるように設定していることで、昇降路1頂部におけるデッドスペースを最小とすることができる。そのうえ、巻上機13と制御盤31の保守作業対象面22が鉛直下方向に配置されていることと合わせて、保守員20はかご5内から作業台21に乗って、かご上面8の開口部9から頭を突出させずに手を伸ばせば、あるいは必要であれば開口部9から頭だけ出し、かつ、手を伸ばすことで、昇降路頂部設置機器の保守が可能になり、万一、かご5が暴走した場合にも、頭をすくめる程度で保守員20とかご5とがぶつかるのを回避でき、保守員20の安全を確保することができる。その結果、これまで保守作業時の安全確保のために大きく必要であったデッドスペースを縮小させることができる。
また、巻上機13は径方向の寸法より回転軸方向の厚さが小さく形成されていることで、昇降路1の全高の縮小に寄与している。
また、この実施の形態で説明したエレベータかご5は、かご枠6の下部に設置されたかご用滑車17によって支持されて昇降する配置としているので、かご上面8に上枠を設ける必要がないため、昇降路1の全高の縮小に寄与している。なお、かご5を両側面で吊るタイプなど、かご上面8に上枠が不要なものであれば、ローピング形式は、この実施の形態の2:1ローピング形式のものに限らず、同様の効果を奏する。
以上より、機械室レスエレベータにおいて存在するデッドスペースを最小にでき、昇降路1が占有する空間容積を最も小さくすることが可能となる。
以上のように、この発明にかかるエレベータ装置は、従来の機械室エレベータの昇降路内において存在していたデッドスペースを最小とできるため、機械室レスエレベータのメリットである省スペース性が更に向上したエレベータ装置を提供することができる。また、建物の建築コストが安価とすることも可能となり、建物の外観や高さによる制限などを有する厳しい立地条件でのエレベータを提供するのに適している。
【書類名】 明細書
【技術分野】
この発明は、巻上機が昇降路内の上部に配置されているエレベータ装置に関するものである。
【背景技術】
近年増加しつつある機械室を設けない、いわゆる機械室レスエレベータでは、昇降路内の頂部に巻上機が備えられ、巻上機の駆動綱車を昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと昇降路壁面との間に配置し、かつ、昇降路の鉛直投影面上で巻上機の一部がかごと重なるようにして配置されるものが多い。また、従来は機械室に配置されていた制御盤や、転向滑車、調速機などの機器も、昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと昇降路壁面との間に配置される。
このような構成のエレベータ装置では、昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと昇降路の壁面との間に巻上機の駆動綱車、制御盤、転向滑車、調速機などの機器の厚み分以上の隙間が必要である。この隙間は昇降路の全高にわたるデッドスペースを生じさせ、特に建物が高層になるにつれて、このデッドスペースは大きくなってしまう。
また、昇降路頂部の上下方向においても、エレベータが何らかの理由により暴走して極限まで上昇した事態を想定して、昇降路頂部に設置された機器とエレベータかごとの衝突回避と保守作業時における保守員の安全確保のために昇降路頂部に隙間を設ける必要があり、そのため、昇降路頂部にもデッドスペースが生じる。ここで、この昇降路頂部のデッドスペースは、次の二つのうちのいずれか大きい方の値となる。一つは、エレベータかごが暴走して極限まで上昇した場合でも、昇降路頂部に配置された機器とエレベータかごがぶつからないようにするために設けられる上下方向の空間をいう。もう一つは、従来の機械室レスエレベータでは、昇降路に配置された巻上機などの機器を点検するため、保守員はエレベータかご上面に乗って作業するか、あるいは日本特開平5−97357号公報にように、保守員は上半身をかごから乗り出して作業することが行われていた。それゆえ、エレベータかごが暴走した場合に、保守員が昇降路頂部、又は昇降路頂部に配置された機器に頭をぶつけないようにするために、エレベータかごと昇降路頂部に配置された機器との間に隙間を大きくとる必要があり、そのために確保する上下方向の空間をいう。
このように、従来の機械室レスエレベータでは、昇降路全高にわたるデッドスペースと昇降路頂部のデッドスペースが生じる。
そこで、この発明では、昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと昇降路壁面との間に巻上機などの機器を配置しないようにして昇降路の全高にわたって生ずるデッドスペースを最小とする。また、エレベータが暴走して極限まで上昇した場合における、昇降路頂部に設置された機器とエレベータかごとの衝突回避と保守員の安全確保のために設けられた空間によるデッドスペースを最小とする。これにより、必要な昇降路空間を最小としたエレベータ装置を提供することを目的とする。
【発明の概要】
この発明のエレベータ装置は、昇降路頂部に枠体が設置されており、枠体には巻上機、転向滑車が取り付けられている。エレベータかごは、かご上面に開閉可能な開口部が設けられている。ここで、巻上機又は転向滑車は、少なくとも一部が昇降路の鉛直投影面上でエレベータかご又は釣合いおもりのいずれかと重なるように配置されている。そして、エレベータかごが所定の保守位置に停止した状態における、巻上機および転向滑車とエレベータかご上面との隙間を、少なくともエレベータかごの定格速度の二乗を重力加速度の二倍で除した値(V2/2g)以上とし、かつ、この隙間をできるだけ小さくしたものである。
また、枠体にはエレベータかごの昇降を制御するための制御盤又は調速機が取り付けられており、制御盤又は調速機の少なくとも一部が昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと重なるように配置されている。
このように構成されたエレベータ装置は、エレベータかごが所定の保守位置に停止した状態における、制御盤又は調速機とエレベータかご上面との隙間を、少なくともエレベータかごの定格速度の二乗を重力加速度の二倍で除した値(V2/2g)以上とし、かつ、この隙間をできるだけ小さくしたものである。
また、巻上機又は制御盤の少なくとも一方の保守作業対象面が鉛直下方向に配置されている。
また、巻上機は、径方向の寸法より回転軸方向の厚さが小さく形成されている。
以上のような発明によれば、昇降路頂部に巻上機などの機器を集約して配置することで、エレベータかごと昇降路の側壁面との間の昇降路の全高にわたって生ずるデッドスペースを最小とし、昇降路頂部に設置された機器とエレベータかごとの衝突回避と保守員の安全確保のために設けられた空間によるデッドスペースを最小とすることで、必要な昇降路空間を最小としたエレベータ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、この発明の実施の形態にかかるエレベータ装置の配置例を示し、エレベータ装置を上方から見下ろした平面図である。
図2は、図1におけるエレベータ装置を昇降路背面側から見た背面図である。
図3は、図1におけるエレベータ装置を昇降路側面側から見た側面図であり、保守作業の方法を説明するための図である。
図4は、この実施の形態にかかるエレベータ装置において、エレベータかごが暴走した状態を想定し、その暴走時におけるエレベータかごの動作を説明するための概念図である。
図5は、この実施の形態にかかるエレベータ装置で、定格速度が速いエレベータにおける保守作業の方法を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
この発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
図1は、この発明の実施の形態にかかるエレベータ装置の配置例を示し、エレベータ装置を上方から見下ろした平面図である。図2は、図1におけるエレベータ装置を昇降路背面側から見た背面図である。
図において、昇降路1内には、昇降路1の壁面2に設置されたレールブラケット(図示せず)を介して、一対のエレベータかご用ガイドレール3と他の一対の釣合いおもり用ガイドレール4がそれぞれ設置されている。エレベータかご5は、かご用ガイドレール3に案内されて昇降路1内を昇降し、釣合いおもり10は、釣合いおもり用ガイドレール4に案内されてかご5と反対方向に昇降路1内を昇降する。
エレベータかご5には、出入口扉7がかご5正面に配置されている。以下、図1において、出入口扉7側の昇降路の壁面を正面と称し、正面と対向する面を背面と称する。さらに、かご5の出入口面と直交する両面を側面と称する。また、かご5は複数の梁によって形成されたかご枠6によって下面および両側面を支持されている。ここで、かご5の上面8には、開閉ふた9aにより開閉可能とされた保守作業を行うための開口部9が設けられている。釣合いおもり10は、昇降路1におけるかご5の背面側に、かつ、一側面が昇降路1の壁面2に寄せられて配置されている。
次に、昇降路1頂部には、かご用ガイドレール3と釣合いおもり用ガイドレール4により支持された枠体30が設置されている。枠体30には、エレベータ主索12が巻き掛けられた駆動綱車14を有する巻上機13が設けられている。なお、駆動綱車14は、回転軸がほぼ鉛直方向になるように配置されている。また、巻上機13は少なくとも巻上機13の一部がかご5と昇降路1の鉛直投影面上で重なるように配置されている。図1に示す配置例では、釣合いおもり10が配置される方のかご5のコーナー部とは別の他方のコーナー部側に、巻上機13はその主要部が昇降路1の鉛直投影面上でかご5と重なるように配置されており、かご上面8の開口部9とも巻上機13の一部が鉛直投影面上で重なるように配置されている。また、巻上機13は、径方向の寸法より回転軸方向の厚さが小さく形成されている。
次に、この実施の形態で用いられる転向滑車は、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、かご用滑車17、釣合いおもり用滑車18を指すものとする。これらの転向滑車の配置について、巻上機13の駆動綱車14に巻き掛けられた主索12の配索経路と合わせて順に説明する。主索12の一方は、かご側そらせ車15に巻き掛けられ、水平方向から鉛直方向に方向転換させられ、かご枠6下部の両側面にそれぞれ設けられたかご用滑車17に順に巻き掛けられ、再び鉛直方向に方向転換して、昇降路1頂部の枠体30に取り付けられている。主索12の他方は、巻上機13から釣合いおもり側そらせ車16に巻き掛けられ、水平方向から鉛直方向に方向転換させられ、釣合いおもり用滑車18に巻き掛けられ、昇降路1頂部の枠体30に取り付けられている。ここで、かご側そらせ車15、およびかご用滑車17は、昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部がかご5と重なるように配置されている。すなわち、かご側そらせ車15からかご用滑車17に向かう主索部、およびかご用滑車17から枠体30に向かう主索部がかご5の側面に可能な限り寄せられて配置されていることで、かご側そらせ車15、およびかご用滑車17の大部分が鉛直投影面上でかご5と重なるように配置されて、かご5と昇降路壁面2との距離を大きく取る必要がないようにされている。なお、かご側そらせ車15はかご上面8の開口部9とも一部が重なるように配置されている。また、釣合いおもり側そらせ車16は、昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部が釣合いおもり10と重なるように配置されており、釣合いおもり用滑車18は、昇降路1の鉛直投影面上で釣合いおもり10と全体が重なるように配置されている。すなわち、釣合いおもり10とエレベータかご5との隙間を大きく取る必要がないようにされている。
次に、エレベータかご5の昇降を制御するための制御盤31は、昇降路1頂部の枠体30に昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部がかご5と重なるように配置される。図1の配置例では、制御盤30全体が、かご5と重なるように配置されており、かご上面8の開口部9とも制御盤31全体が鉛直投影面上で重なるように配置されている。
次に、調速機32は、制御盤31と同様に昇降路1頂部の枠体30に設置されており、調速機32には調速機ロープ33が巻き掛けられている。そして、調速機ロープ33に張力を与えるための調速機用張り車34が昇降路1下部に設けられている。調速機32も、制御盤31と同様に昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部がエレベータかご5と重なるように配置されており、かご上面8の開口部9とも調速機32の一部が鉛直投影面上で重なるように配置されている。すなわち、調速機32の綱車部以外はかご5と重なるように配置され、調速機32の厚み分で調速機32とかご5の側面との間に無駄な隙間をとる必要がないようにされている。
以上の説明のように、この実施の形態においては、巻上機13、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、制御盤31、調速機32といった昇降路頂部設置機器が、昇降路1頂部に設置された枠体30に集約して配置されている。(この明細書中で昇降路頂部設置機器という場合には、巻上機12、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、制御盤31、調速機32を示すものとする。)また、枠体30は、前述の説明においてはかご用ガイドレール3および釣合いおもり用ガイドレール4によって支持されている例を示したが、昇降路1の壁面2によって支持されるものであってもよい。
図3は、図1におけるエレベータ装置を昇降路側面側から見た側面図であり、保守作業の方法を説明するための図である。
図3を用いて、この実施の形態にかかるエレベータ装置の保守方法について説明する。まず、エレベータかご5を最上階付近の所定の保守位置に停止させ、保守員20が作業台21に乗って、かご上面8の開口部9の開閉ふた9aを開いて、かご5内から昇降路頂部機器の保守作業を行う。ここで用いられている作業台21はかご5に常設された折り畳み式のもので、エレベータの平常運転時には折り畳まれてかご5の内部側壁に収納されている。また、この作業台21は、上下方向に高さを調整する機構を備えており、保守員20の身長に応じて台の高さを調整するものである。そして、巻上機13と制御盤31は、保守作業を行う保守作業対象面22が鉛直下方向に配置されている。本発明では、昇降路1頂部におけるデッドスペースを最小とすることを目的としているため、かご上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は極力小さくする必要があり、そのため、以下に説明する方法でかご上面8と昇降路頂部設置機器との距離を求める計算を行う。
図4は、この実施の形態にかかるエレベータ装置において、エレベータかごが暴走した状態を想定し、その暴走時におけるエレベータかごの動作を説明するための概念図であり、(A)はエレベータかごが定格速度で上昇し、釣合いおもりが緩衝器に突入する瞬間を表した図である。また、(B)は釣合いおもりが緩衝器に突入後、エレベータかごが慣性力でさらに上昇したときの限界位置を示す図である。
エレベータが定格速度で昇降している際に、エレベータかご5の上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は、何らかの理由によりかご5が暴走してしまった場合を想定して、かご5が昇降路頂部設置機器に衝突しないようにしなければいけない。言い換えれば、かご上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は、かご5の暴走時にかご5が昇降路頂部設置機器に衝突しない距離以上とすればよい。
ここで、図4(A)に示すように、エレベータかご5が定格速度(V)で上昇中に、何らかの原因により減速せずに上昇を続けた場合、かご5とは反対方向に下降を続ける釣合いおもり10が緩衝器11に突入する。図4(B)に示すように、この突入により、かご5と釣合いおもり10との間にそれまで生じていた主索12の張力がなくなる。このとき、定格速度(V)で上昇していたかご5は、慣性力により、この速度(V)を初速として飛び上がる。このエレベータかご5の飛び上がり代は次式により求めることができる。
S=V2/2g
ここで、(S)はエレベータかごの飛び上がり代、(V)はエレベータかごの初速(定格速度)、(g)は重力加速度である。
したがって、上記の式により、かご上面8と昇降路頂部設置機器との間の隙間は、少なくともかご5の飛び上がり代(S)以上としておけば、万一、かご5が定格速度(V)での上昇中に暴走した場合でも、かご5が昇降路頂部設置機器に衝突してしまう事態は避けることができる。しかし、その一方で、昇降路頂部におけるデッドスペースを縮小させるためには、エレベータの暴走時におけるかご上面8と昇降路頂部設置機器との衝突を回避する隙間を確保した上で、この隙間はできるだけ小さくしたいという要求がある。そのため、上記の式で求まる隙間は釣合いおもり10が緩衝器11に突入したところからの飛び上がり代(S)であるから、この隙間をできるだけ小さくするためには、保守作業を行うために保守員20がかご5を移動させたときの保守位置は、釣合いおもり10が緩衝器11に接触する寸前であることが望ましい。実際には、保守位置における釣り合いおもり10と緩衝器11との間には余裕代を設ける必要があるが、その余裕代はかご5の飛び上がり代(S)の2割程度とすれば充分である。
以上より、保守位置におけるかご上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は、エレベータかご5の飛び上がり代(S)〜飛び上がり代(S)の2割増し程度の間で設定すればよいことになる。例えば、定格速度が毎分120メートルのエレベータにおいて実際に隙間を計算すると、かご5の飛び上がり代(S)は約20cmとなり、余裕代を考慮すると、隙間は20〜24cm程度確保すればよい。それゆえ、図3に示すように、保守作業を行う際に、保守員20は、かご上面8の開口部9より頭を突出させず、手を伸ばせば巻上機13などの昇降路頂部設置機器に手が届くように作業台21の高さを設定することで、万一、かご5が暴走した場合でも保守員20は昇降路頂部設置機器に頭をぶつけるのを防止することができる。
次に、図5は、この実施の形態にかかるエレベータ装置で、定格速度が速いエレベータにおける保守作業の方法を説明するための図である。
定格速度が毎分120メートルより速い、いわゆる高速の部類に入るようなエレベータにおいては、前述のエレベータかご5の飛び上がり代(S)は速度の二乗に比例して大きくなるので、定格速度の大きいエレベータほど、かご上面8と昇降路頂部設置機器との間で最小限必要な隙間は大きくなる。こういった場合においても、図5に示すように、保守作業を行う際に、保守員20はかご上面8の開口部9より頭だけを突出させ、かつ、手を伸ばせば巻上機13などの昇降路頂部設置機器に手が届くように作業台21の高さを設定すれば保守作業が可能であり、万一、かご5が暴走した場合でも保守員20は首をすくめる程度で機器と頭がぶつかるの防止することができる。
また、この実施の形態では、作業台21はエレベータかご5に常設された例を示しているが、作業台21はかご5に常設のものに限らず、保守作業用に外から持ち込むものであってもよい。なお、図において、保守員20は立って作業するようにしているが、作業台21の高さをもっと高くして、保守員20が座って作業するようにしても同様の効果が得られるのは自明である。
以上の実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
巻上機13、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、制御盤31、調速機32といった昇降路頂部設置機器を枠体30に集約し、昇降路1の鉛直投影面上で昇降路壁面2とエレベータかご5との間に機器を配置しないようにしていることと、昇降路頂部設置機器を鉛直投影面上でかご5又は釣合いおもり10と少なくとも一部が重なるように配置していることで、昇降路1の平面寸法が最小となり、昇降路1の全高にわたるデッドスペースを最小とすることができる。なお、鉛直投影面上で昇降路頂部設置機器をかご5又は釣合いおもり10と少なくとも一部が重なるように配置していることに加えて、昇降路頂部設置機器をかご上面8の開口部9とも一部が重なるように配置されていることにより、保守員20がかご5内から作業する際に、保守対象となる機器に手を伸ばし易くなるので保守作業性を向上させることもできる。
また、エレベータの暴走時のエレベータかご5と昇降路頂部設置機器との衝突を回避できるようにした上で、昇降路1頂部とエレベータかご5の上面8との隙間を最小になるように設定していることで、昇降路1頂部におけるデッドスペースを最小とすることができる。そのうえ、巻上機13と制御盤31の保守作業対象面22が鉛直下方向に配置されていることと合わせて、保守員20はかご5内から作業台21に乗って、かご上面8の開口部9から頭を突出させずに手を伸ばせば、あるいは必要であれば開口部9から頭だけ出し、かつ、手を伸ばすことで、昇降路頂部設置機器の保守が可能になり、万一、かご5が暴走した場合にも、頭をすくめる程度で保守員20とかご5とがぶつかるのを回避でき、保守員20の安全を確保することができる。その結果、これまで保守作業時の安全確保のために大きく必要であったデッドスペースを縮小させることができる。
また、巻上機13は径方向の寸法より回転軸方向の厚さが小さく形成されていることで、昇降路1の全高の縮小に寄与している。
また、この実施の形態で説明したエレベータかご5は、かご枠6の下部に設置されたかご用滑車17によって支持されて昇降する配置としているので、かご上面8に上枠を設ける必要がないため、昇降路1の全高の縮小に寄与している。なお、かご5を両側面で吊るタイプなど、かご上面8に上枠が不要なものであれば、ローピング形式は、この実施の形態の2:1ローピング形式のものに限らず、同様の効果を奏する。
以上より、機械室レスエレベータにおいて存在するデッドスペースを最小にでき、昇降路1が占有する空間容積を最も小さくすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
以上のように、この発明にかかるエレベータ装置は、従来の機械室エレベータの昇降路内において存在していたデッドスペースを最小とできるため、機械室レスエレベータのメリットである省スペース性が更に向上したエレベータ装置を提供することができる。また、建物の建築コストが安価とすることも可能となり、建物の外観や高さによる制限などを有する厳しい立地条件でのエレベータを提供するのに適している。
【技術分野】
この発明は、巻上機が昇降路内の上部に配置されているエレベータ装置に関するものである。
【背景技術】
近年増加しつつある機械室を設けない、いわゆる機械室レスエレベータでは、昇降路内の頂部に巻上機が備えられ、巻上機の駆動綱車を昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと昇降路壁面との間に配置し、かつ、昇降路の鉛直投影面上で巻上機の一部がかごと重なるようにして配置されるものが多い。また、従来は機械室に配置されていた制御盤や、転向滑車、調速機などの機器も、昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと昇降路壁面との間に配置される。
このような構成のエレベータ装置では、昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと昇降路の壁面との間に巻上機の駆動綱車、制御盤、転向滑車、調速機などの機器の厚み分以上の隙間が必要である。この隙間は昇降路の全高にわたるデッドスペースを生じさせ、特に建物が高層になるにつれて、このデッドスペースは大きくなってしまう。
また、昇降路頂部の上下方向においても、エレベータが何らかの理由により暴走して極限まで上昇した事態を想定して、昇降路頂部に設置された機器とエレベータかごとの衝突回避と保守作業時における保守員の安全確保のために昇降路頂部に隙間を設ける必要があり、そのため、昇降路頂部にもデッドスペースが生じる。ここで、この昇降路頂部のデッドスペースは、次の二つのうちのいずれか大きい方の値となる。一つは、エレベータかごが暴走して極限まで上昇した場合でも、昇降路頂部に配置された機器とエレベータかごがぶつからないようにするために設けられる上下方向の空間をいう。もう一つは、従来の機械室レスエレベータでは、昇降路に配置された巻上機などの機器を点検するため、保守員はエレベータかご上面に乗って作業するか、あるいは日本特開平5−97357号公報にように、保守員は上半身をかごから乗り出して作業することが行われていた。それゆえ、エレベータかごが暴走した場合に、保守員が昇降路頂部、又は昇降路頂部に配置された機器に頭をぶつけないようにするために、エレベータかごと昇降路頂部に配置された機器との間に隙間を大きくとる必要があり、そのために確保する上下方向の空間をいう。
このように、従来の機械室レスエレベータでは、昇降路全高にわたるデッドスペースと昇降路頂部のデッドスペースが生じる。
そこで、この発明では、昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと昇降路壁面との間に巻上機などの機器を配置しないようにして昇降路の全高にわたって生ずるデッドスペースを最小とする。また、エレベータが暴走して極限まで上昇した場合における、昇降路頂部に設置された機器とエレベータかごとの衝突回避と保守員の安全確保のために設けられた空間によるデッドスペースを最小とする。これにより、必要な昇降路空間を最小としたエレベータ装置を提供することを目的とする。
【発明の概要】
この発明のエレベータ装置は、昇降路頂部に枠体が設置されており、枠体には巻上機、転向滑車が取り付けられている。エレベータかごは、かご上面に開閉可能な開口部が設けられている。ここで、巻上機又は転向滑車は、少なくとも一部が昇降路の鉛直投影面上でエレベータかご又は釣合いおもりのいずれかと重なるように配置されている。そして、エレベータかごが所定の保守位置に停止した状態における、巻上機および転向滑車とエレベータかご上面との隙間を、少なくともエレベータかごの定格速度の二乗を重力加速度の二倍で除した値(V2/2g)以上とし、かつ、この隙間をできるだけ小さくしたものである。
また、枠体にはエレベータかごの昇降を制御するための制御盤又は調速機が取り付けられており、制御盤又は調速機の少なくとも一部が昇降路の鉛直投影面上でエレベータかごと重なるように配置されている。
このように構成されたエレベータ装置は、エレベータかごが所定の保守位置に停止した状態における、制御盤又は調速機とエレベータかご上面との隙間を、少なくともエレベータかごの定格速度の二乗を重力加速度の二倍で除した値(V2/2g)以上とし、かつ、この隙間をできるだけ小さくしたものである。
また、巻上機又は制御盤の少なくとも一方の保守作業対象面が鉛直下方向に配置されている。
また、巻上機は、径方向の寸法より回転軸方向の厚さが小さく形成されている。
以上のような発明によれば、昇降路頂部に巻上機などの機器を集約して配置することで、エレベータかごと昇降路の側壁面との間の昇降路の全高にわたって生ずるデッドスペースを最小とし、昇降路頂部に設置された機器とエレベータかごとの衝突回避と保守員の安全確保のために設けられた空間によるデッドスペースを最小とすることで、必要な昇降路空間を最小としたエレベータ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、この発明の実施の形態にかかるエレベータ装置の配置例を示し、エレベータ装置を上方から見下ろした平面図である。
図2は、図1におけるエレベータ装置を昇降路背面側から見た背面図である。
図3は、図1におけるエレベータ装置を昇降路側面側から見た側面図であり、保守作業の方法を説明するための図である。
図4は、この実施の形態にかかるエレベータ装置において、エレベータかごが暴走した状態を想定し、その暴走時におけるエレベータかごの動作を説明するための概念図である。
図5は、この実施の形態にかかるエレベータ装置で、定格速度が速いエレベータにおける保守作業の方法を説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
この発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
図1は、この発明の実施の形態にかかるエレベータ装置の配置例を示し、エレベータ装置を上方から見下ろした平面図である。図2は、図1におけるエレベータ装置を昇降路背面側から見た背面図である。
図において、昇降路1内には、昇降路1の壁面2に設置されたレールブラケット(図示せず)を介して、一対のエレベータかご用ガイドレール3と他の一対の釣合いおもり用ガイドレール4がそれぞれ設置されている。エレベータかご5は、かご用ガイドレール3に案内されて昇降路1内を昇降し、釣合いおもり10は、釣合いおもり用ガイドレール4に案内されてかご5と反対方向に昇降路1内を昇降する。
エレベータかご5には、出入口扉7がかご5正面に配置されている。以下、図1において、出入口扉7側の昇降路の壁面を正面と称し、正面と対向する面を背面と称する。さらに、かご5の出入口面と直交する両面を側面と称する。また、かご5は複数の梁によって形成されたかご枠6によって下面および両側面を支持されている。ここで、かご5の上面8には、開閉ふた9aにより開閉可能とされた保守作業を行うための開口部9が設けられている。釣合いおもり10は、昇降路1におけるかご5の背面側に、かつ、一側面が昇降路1の壁面2に寄せられて配置されている。
次に、昇降路1頂部には、かご用ガイドレール3と釣合いおもり用ガイドレール4により支持された枠体30が設置されている。枠体30には、エレベータ主索12が巻き掛けられた駆動綱車14を有する巻上機13が設けられている。なお、駆動綱車14は、回転軸がほぼ鉛直方向になるように配置されている。また、巻上機13は少なくとも巻上機13の一部がかご5と昇降路1の鉛直投影面上で重なるように配置されている。図1に示す配置例では、釣合いおもり10が配置される方のかご5のコーナー部とは別の他方のコーナー部側に、巻上機13はその主要部が昇降路1の鉛直投影面上でかご5と重なるように配置されており、かご上面8の開口部9とも巻上機13の一部が鉛直投影面上で重なるように配置されている。また、巻上機13は、径方向の寸法より回転軸方向の厚さが小さく形成されている。
次に、この実施の形態で用いられる転向滑車は、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、かご用滑車17、釣合いおもり用滑車18を指すものとする。これらの転向滑車の配置について、巻上機13の駆動綱車14に巻き掛けられた主索12の配索経路と合わせて順に説明する。主索12の一方は、かご側そらせ車15に巻き掛けられ、水平方向から鉛直方向に方向転換させられ、かご枠6下部の両側面にそれぞれ設けられたかご用滑車17に順に巻き掛けられ、再び鉛直方向に方向転換して、昇降路1頂部の枠体30に取り付けられている。主索12の他方は、巻上機13から釣合いおもり側そらせ車16に巻き掛けられ、水平方向から鉛直方向に方向転換させられ、釣合いおもり用滑車18に巻き掛けられ、昇降路1頂部の枠体30に取り付けられている。ここで、かご側そらせ車15、およびかご用滑車17は、昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部がかご5と重なるように配置されている。すなわち、かご側そらせ車15からかご用滑車17に向かう主索部、およびかご用滑車17から枠体30に向かう主索部がかご5の側面に可能な限り寄せられて配置されていることで、かご側そらせ車15、およびかご用滑車17の大部分が鉛直投影面上でかご5と重なるように配置されて、かご5と昇降路壁面2との距離を大きく取る必要がないようにされている。なお、かご側そらせ車15はかご上面8の開口部9とも一部が重なるように配置されている。また、釣合いおもり側そらせ車16は、昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部が釣合いおもり10と重なるように配置されており、釣合いおもり用滑車18は、昇降路1の鉛直投影面上で釣合いおもり10と全体が重なるように配置されている。すなわち、釣合いおもり10とエレベータかご5との隙間を大きく取る必要がないようにされている。
次に、エレベータかご5の昇降を制御するための制御盤31は、昇降路1頂部の枠体30に昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部がかご5と重なるように配置される。図1の配置例では、制御盤30全体が、かご5と重なるように配置されており、かご上面8の開口部9とも制御盤31全体が鉛直投影面上で重なるように配置されている。
次に、調速機32は、制御盤31と同様に昇降路1頂部の枠体30に設置されており、調速機32には調速機ロープ33が巻き掛けられている。そして、調速機ロープ33に張力を与えるための調速機用張り車34が昇降路1下部に設けられている。調速機32も、制御盤31と同様に昇降路1の鉛直投影面上で少なくとも一部がエレベータかご5と重なるように配置されており、かご上面8の開口部9とも調速機32の一部が鉛直投影面上で重なるように配置されている。すなわち、調速機32の綱車部以外はかご5と重なるように配置され、調速機32の厚み分で調速機32とかご5の側面との間に無駄な隙間をとる必要がないようにされている。
以上の説明のように、この実施の形態においては、巻上機13、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、制御盤31、調速機32といった昇降路頂部設置機器が、昇降路1頂部に設置された枠体30に集約して配置されている。(この明細書中で昇降路頂部設置機器という場合には、巻上機12、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、制御盤31、調速機32を示すものとする。)また、枠体30は、前述の説明においてはかご用ガイドレール3および釣合いおもり用ガイドレール4によって支持されている例を示したが、昇降路1の壁面2によって支持されるものであってもよい。
図3は、図1におけるエレベータ装置を昇降路側面側から見た側面図であり、保守作業の方法を説明するための図である。
図3を用いて、この実施の形態にかかるエレベータ装置の保守方法について説明する。まず、エレベータかご5を最上階付近の所定の保守位置に停止させ、保守員20が作業台21に乗って、かご上面8の開口部9の開閉ふた9aを開いて、かご5内から昇降路頂部機器の保守作業を行う。ここで用いられている作業台21はかご5に常設された折り畳み式のもので、エレベータの平常運転時には折り畳まれてかご5の内部側壁に収納されている。また、この作業台21は、上下方向に高さを調整する機構を備えており、保守員20の身長に応じて台の高さを調整するものである。そして、巻上機13と制御盤31は、保守作業を行う保守作業対象面22が鉛直下方向に配置されている。本発明では、昇降路1頂部におけるデッドスペースを最小とすることを目的としているため、かご上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は極力小さくする必要があり、そのため、以下に説明する方法でかご上面8と昇降路頂部設置機器との距離を求める計算を行う。
図4は、この実施の形態にかかるエレベータ装置において、エレベータかごが暴走した状態を想定し、その暴走時におけるエレベータかごの動作を説明するための概念図であり、(A)はエレベータかごが定格速度で上昇し、釣合いおもりが緩衝器に突入する瞬間を表した図である。また、(B)は釣合いおもりが緩衝器に突入後、エレベータかごが慣性力でさらに上昇したときの限界位置を示す図である。
エレベータが定格速度で昇降している際に、エレベータかご5の上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は、何らかの理由によりかご5が暴走してしまった場合を想定して、かご5が昇降路頂部設置機器に衝突しないようにしなければいけない。言い換えれば、かご上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は、かご5の暴走時にかご5が昇降路頂部設置機器に衝突しない距離以上とすればよい。
ここで、図4(A)に示すように、エレベータかご5が定格速度(V)で上昇中に、何らかの原因により減速せずに上昇を続けた場合、かご5とは反対方向に下降を続ける釣合いおもり10が緩衝器11に突入する。図4(B)に示すように、この突入により、かご5と釣合いおもり10との間にそれまで生じていた主索12の張力がなくなる。このとき、定格速度(V)で上昇していたかご5は、慣性力により、この速度(V)を初速として飛び上がる。このエレベータかご5の飛び上がり代は次式により求めることができる。
S=V2/2g
ここで、(S)はエレベータかごの飛び上がり代、(V)はエレベータかごの初速(定格速度)、(g)は重力加速度である。
したがって、上記の式により、かご上面8と昇降路頂部設置機器との間の隙間は、少なくともかご5の飛び上がり代(S)以上としておけば、万一、かご5が定格速度(V)での上昇中に暴走した場合でも、かご5が昇降路頂部設置機器に衝突してしまう事態は避けることができる。しかし、その一方で、昇降路頂部におけるデッドスペースを縮小させるためには、エレベータの暴走時におけるかご上面8と昇降路頂部設置機器との衝突を回避する隙間を確保した上で、この隙間はできるだけ小さくしたいという要求がある。そのため、上記の式で求まる隙間は釣合いおもり10が緩衝器11に突入したところからの飛び上がり代(S)であるから、この隙間をできるだけ小さくするためには、保守作業を行うために保守員20がかご5を移動させたときの保守位置は、釣合いおもり10が緩衝器11に接触する寸前であることが望ましい。実際には、保守位置における釣り合いおもり10と緩衝器11との間には余裕代を設ける必要があるが、その余裕代はかご5の飛び上がり代(S)の2割程度とすれば充分である。
以上より、保守位置におけるかご上面8と昇降路頂部設置機器との隙間は、エレベータかご5の飛び上がり代(S)〜飛び上がり代(S)の2割増し程度の間で設定すればよいことになる。例えば、定格速度が毎分120メートルのエレベータにおいて実際に隙間を計算すると、かご5の飛び上がり代(S)は約20cmとなり、余裕代を考慮すると、隙間は20〜24cm程度確保すればよい。それゆえ、図3に示すように、保守作業を行う際に、保守員20は、かご上面8の開口部9より頭を突出させず、手を伸ばせば巻上機13などの昇降路頂部設置機器に手が届くように作業台21の高さを設定することで、万一、かご5が暴走した場合でも保守員20は昇降路頂部設置機器に頭をぶつけるのを防止することができる。
次に、図5は、この実施の形態にかかるエレベータ装置で、定格速度が速いエレベータにおける保守作業の方法を説明するための図である。
定格速度が毎分120メートルより速い、いわゆる高速の部類に入るようなエレベータにおいては、前述のエレベータかご5の飛び上がり代(S)は速度の二乗に比例して大きくなるので、定格速度の大きいエレベータほど、かご上面8と昇降路頂部設置機器との間で最小限必要な隙間は大きくなる。こういった場合においても、図5に示すように、保守作業を行う際に、保守員20はかご上面8の開口部9より頭だけを突出させ、かつ、手を伸ばせば巻上機13などの昇降路頂部設置機器に手が届くように作業台21の高さを設定すれば保守作業が可能であり、万一、かご5が暴走した場合でも保守員20は首をすくめる程度で機器と頭がぶつかるの防止することができる。
また、この実施の形態では、作業台21はエレベータかご5に常設された例を示しているが、作業台21はかご5に常設のものに限らず、保守作業用に外から持ち込むものであってもよい。なお、図において、保守員20は立って作業するようにしているが、作業台21の高さをもっと高くして、保守員20が座って作業するようにしても同様の効果が得られるのは自明である。
以上の実施の形態によれば、以下のような効果が得られる。
巻上機13、かご側そらせ車15、釣合いおもり側そらせ車16、制御盤31、調速機32といった昇降路頂部設置機器を枠体30に集約し、昇降路1の鉛直投影面上で昇降路壁面2とエレベータかご5との間に機器を配置しないようにしていることと、昇降路頂部設置機器を鉛直投影面上でかご5又は釣合いおもり10と少なくとも一部が重なるように配置していることで、昇降路1の平面寸法が最小となり、昇降路1の全高にわたるデッドスペースを最小とすることができる。なお、鉛直投影面上で昇降路頂部設置機器をかご5又は釣合いおもり10と少なくとも一部が重なるように配置していることに加えて、昇降路頂部設置機器をかご上面8の開口部9とも一部が重なるように配置されていることにより、保守員20がかご5内から作業する際に、保守対象となる機器に手を伸ばし易くなるので保守作業性を向上させることもできる。
また、エレベータの暴走時のエレベータかご5と昇降路頂部設置機器との衝突を回避できるようにした上で、昇降路1頂部とエレベータかご5の上面8との隙間を最小になるように設定していることで、昇降路1頂部におけるデッドスペースを最小とすることができる。そのうえ、巻上機13と制御盤31の保守作業対象面22が鉛直下方向に配置されていることと合わせて、保守員20はかご5内から作業台21に乗って、かご上面8の開口部9から頭を突出させずに手を伸ばせば、あるいは必要であれば開口部9から頭だけ出し、かつ、手を伸ばすことで、昇降路頂部設置機器の保守が可能になり、万一、かご5が暴走した場合にも、頭をすくめる程度で保守員20とかご5とがぶつかるのを回避でき、保守員20の安全を確保することができる。その結果、これまで保守作業時の安全確保のために大きく必要であったデッドスペースを縮小させることができる。
また、巻上機13は径方向の寸法より回転軸方向の厚さが小さく形成されていることで、昇降路1の全高の縮小に寄与している。
また、この実施の形態で説明したエレベータかご5は、かご枠6の下部に設置されたかご用滑車17によって支持されて昇降する配置としているので、かご上面8に上枠を設ける必要がないため、昇降路1の全高の縮小に寄与している。なお、かご5を両側面で吊るタイプなど、かご上面8に上枠が不要なものであれば、ローピング形式は、この実施の形態の2:1ローピング形式のものに限らず、同様の効果を奏する。
以上より、機械室レスエレベータにおいて存在するデッドスペースを最小にでき、昇降路1が占有する空間容積を最も小さくすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
以上のように、この発明にかかるエレベータ装置は、従来の機械室エレベータの昇降路内において存在していたデッドスペースを最小とできるため、機械室レスエレベータのメリットである省スペース性が更に向上したエレベータ装置を提供することができる。また、建物の建築コストが安価とすることも可能となり、建物の外観や高さによる制限などを有する厳しい立地条件でのエレベータを提供するのに適している。
Claims (6)
- 昇降路頂部に設置された枠体と、
前記枠体に取り付けられ回転軸がほぼ鉛直方向になるように配置された駆動綱車を有する巻上機と、
前記枠体に取り付けられ前記巻上機の前記駆動綱車に巻き掛けられたエレベータの主索を方向転換させる転向滑車と、
上面に開閉可能な開口部が設けられたエレベータかごとを備え、
前記巻上機又は前記転向滑車は少なくとも一部が昇降路の鉛直投影面上で前記エレベータかご又は前記釣合いおもりのいずれかと重なるように配置され、
前記エレベータかごが所定の保守位置に停止した状態における、前記巻上機および前記転向滑車と前記エレベータかご上面との隙間を、少なくとも前記エレベータかごの定格速度の二乗を重力加速度の二倍で除した値(V2/2g)以上とし、かつ、この隙間をできるだけ小さくしたことを特徴とするエレベータ装置。 - 前記枠体に、前記エレベータかごの昇降を制御するための制御盤が取り付けられ、
前記制御盤の少なくとも一部が昇降路の鉛直投影面上で前記エレベータかごと重なるように配置され、
前記エレベータかごが所定の保守位置に停止した状態における、前記制御盤と前記エレベータかご上面との隙間を、少なくとも前記エレベータかごの定格速度の二乗を重力加速度の二倍で除した値(V2/2g)以上とし、かつ、この隙間をできるだけ小さくしたことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置。 - 前記枠体に、調速機が取り付けられ、
前記調速機の少なくとも一部が昇降路の鉛直投影面上で前記エレベータかごと重なるように配置され、
前記エレベータかごが所定の保守位置に停止した状態における、前記調速機と前記エレベータかご上面との隙間を、少なくとも前記エレベータかごの定格速度の二乗を重力加速度の二倍で除した値(V2/2g)以上とし、かつ、この隙間をできるだけ小さくしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータ装置。 - 前記巻上機又は前記制御盤の少なくとも一方の保守作業対象面が鉛直下方向に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエレベータ装置。
- 前記巻上機は、径方向の寸法より回転軸方向の厚さが小さく形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエレベータ装置。
- 前記枠体は、エレベータかご用ガイドレールおよび釣合いおもり用ガイドレール、又は昇降路壁面のいずれかにより支持されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエレベータ装置。
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