JPWO2004056895A1 - ラテックス粒子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
ラテックス粒子を用いた場合に生じる不所望な夾雑物の非特異的な吸着又は結合を抑制した、ラテックス粒子、該粒子の製造方法、及び該粒子を含有する診断剤の提供。一端にリガンド基を有し他端がラテックス粒子に結合するリガンド基保持部位であって長鎖のポリオキシエチレン鎖を有するリガンド基保持部位;一端がラテックス粒子に結合し短鎖のポリオキシエチレン鎖を有する非特異的吸着抑制部位;を有するラテックス粒子、該粒子の製造方法が提供される。
Description
本発明は、主として、生体成分の検出、診断の技術分野で用いることのできる磁性粒子または標識含有ラテックスポリマー粒子およびそれらの粒子の製造方法に関する。
従来の生体成分の検出、診断等に用いられてきた無機金属含有ラテックスポリマー粒子として、疎水性のビニル芳香族モノマー(また、場合によりコモノマーを含んでもよい)および磁性粒子を分散させた有機層と乳化剤を含む水性溶液との乳化重合により製造されるものが挙げられる。そして、該ラテックス粒子中へ磁性粒子を効率よく封入するのに、水不溶性の有機化合物を共存させて乳化重合を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
また、特許文献1に記載された方法において合成される「磁性粒子は、磁性体がポリマーによりコーティングされている形状で、核となる磁性体の粒子径の違いにより、大きさの異なる磁性粒子となる。このため、磁性粒子の大きさを均一に制御する方法は難しく、磁性体の粒子径が0.1〜1.0μmの範囲内での大きさの制御は特に困難である。また、合成操作が非常に繁雑である。」として、ポリスチレンまたはスチレン−ブタジエン共重合体であるラテックスポリマー粒子を予め有機溶媒および加熱を用いて膨潤させておき、磁性体または蛍光性物質を初めとする標識性物質を加えて混合撹拌することにより、ラテックスポリマー粒子の表層近傍に蛍光性物質等を包埋させる方法が提供されている(例えば、特許文献2)。
特許文献1に記載された乳化重合の際に、磁性体粒子をラテックスポリマー粒子中に封入する方法に随伴する短所が存在するためか、ラテックスポリマー粒子への磁性体または蛍光体の封入または包埋は、殆どが膨潤させたポリマー粒子を蛍光体等(必要により、キレート化合物とする。)の水性溶液と接触させて蛍光体等をポリマー粒子またはマイクロスフェアー内へ混入または取り込ませる方法が採用されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。なお、特許文献3には、ラテックスポリマー粒子の水溶液中での安定性を高め、生理学的に反応性の種を共有結合または吸収によって該ポリマー粒子に固定するために、スチレン等の疎水性モノマーと、その他に、アクリルアミド等の非イオン性水溶性モノマーおよびアクリル酸等の陰イオン性モノマーを用いて得られたラテックスポリマー粒子が記載されている。また、特許文献4では、水媒体中での安定性に優れるだけでなく、タンパク質等の機能性物質を化学結合により安定に固定することが可能で、かつタンパク質等の非特異的吸着が起こりにくい反応性マイクロスフェアーを提供する目的で、片末端に重合可能なエチレン性基を有し、もう一つの片末端に活性エステル基を有するポリ(オキシアルキレン)セグメントからなるマクロマーがスチレンモノマー等のコモノマーとして用いられている。
なお、上記および下記において引用する文献は、次のとおりである。
特開昭56−164503号公報(特に、第1頁右下欄2−14行参照。) 特開平10−55911号公報(特に、第2頁右欄33−44行、第5頁左欄34−45行参照。) 特開昭61−218945号公報(特に、第4頁左下欄4−16行、第3頁右上欄2−15行参照。) 特開平8−133990号公報(特に、第2頁左欄[請求項1]、同右欄18−28行参照。)
また、特許文献1に記載された方法において合成される「磁性粒子は、磁性体がポリマーによりコーティングされている形状で、核となる磁性体の粒子径の違いにより、大きさの異なる磁性粒子となる。このため、磁性粒子の大きさを均一に制御する方法は難しく、磁性体の粒子径が0.1〜1.0μmの範囲内での大きさの制御は特に困難である。また、合成操作が非常に繁雑である。」として、ポリスチレンまたはスチレン−ブタジエン共重合体であるラテックスポリマー粒子を予め有機溶媒および加熱を用いて膨潤させておき、磁性体または蛍光性物質を初めとする標識性物質を加えて混合撹拌することにより、ラテックスポリマー粒子の表層近傍に蛍光性物質等を包埋させる方法が提供されている(例えば、特許文献2)。
特許文献1に記載された乳化重合の際に、磁性体粒子をラテックスポリマー粒子中に封入する方法に随伴する短所が存在するためか、ラテックスポリマー粒子への磁性体または蛍光体の封入または包埋は、殆どが膨潤させたポリマー粒子を蛍光体等(必要により、キレート化合物とする。)の水性溶液と接触させて蛍光体等をポリマー粒子またはマイクロスフェアー内へ混入または取り込ませる方法が採用されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。なお、特許文献3には、ラテックスポリマー粒子の水溶液中での安定性を高め、生理学的に反応性の種を共有結合または吸収によって該ポリマー粒子に固定するために、スチレン等の疎水性モノマーと、その他に、アクリルアミド等の非イオン性水溶性モノマーおよびアクリル酸等の陰イオン性モノマーを用いて得られたラテックスポリマー粒子が記載されている。また、特許文献4では、水媒体中での安定性に優れるだけでなく、タンパク質等の機能性物質を化学結合により安定に固定することが可能で、かつタンパク質等の非特異的吸着が起こりにくい反応性マイクロスフェアーを提供する目的で、片末端に重合可能なエチレン性基を有し、もう一つの片末端に活性エステル基を有するポリ(オキシアルキレン)セグメントからなるマクロマーがスチレンモノマー等のコモノマーとして用いられている。
なお、上記および下記において引用する文献は、次のとおりである。
特許文献3に記載のラテックスポリマー粒子は水溶液中での分散安定性が高まっているものの、生物学的流体(例えば、血清、尿、等)を含む試料中で使用すると、タンパク質等の非特異的吸着が生じる傾向がある。他方、特許文献4に記載のマイクロスフェアーはある程度は上述のタンパク質等の非特異的吸着を抑制することに成功しているが、未だ満足できるものでなく、また、かようなマイクロスフェアーを製造する際に、磁性粒子または標識の混入を企てる(当該文献中では、かような混入について記載も示唆もしていない。)と、マイクロスフェアー間での凝集が生じて分散安定性を欠くものが得られる傾向がある。
本発明者らは、特定のマクロマーと1種もしくは2種以上のラテックス形成に関与するマノモーを水性媒体中でレドックス重合させると、上述の凝集を殆どまたは全く起こすことなく、極めて粒度分配範囲の狭いラテックス粒子が得られることを見出した。また、こうして得られるラテックス粒子はタンパク質等の非特異的吸着も低減できることを見出した。かようなタンパク質等の非特異的吸着は、鎖長が明確に異なる2種のマクロマーを使用すると、さらに低減することも見出した。
また、特定のマクロマーを用いる重合に際し、ラテックス形成に関与するモノマーの一部を、予めラテックス粒子にしておき、次いで該マクロマーおよび残りのモノマーを重合(所謂、シード重合)せしめると、ソープレスで所望のラテックス粒子を形成することができることも見出した。
したがって、本発明によれば、
(i) 片末端に重合可能なエチレン性基を有し、疎水性ポリマーセグメントを介するかもしくは介することなく、他の片末端側に親水性ポリマーセグメント(ここで、このセグメントはリガンド導入用基で末端化(terminated)されていてもよい。)を有するマクロマー、
(ii) 1種もしくは2種以上のラテックス形成に関与するモノマー、
(iii) 重合開始剤、好ましくはレドックス開始剤、および
(iv) 場合によって、存在してもよい磁性体または標識
を含んでなる水性媒体中で、該水性媒体を撹拌しながら重合反応を行うことを特徴とするラテックスポリマー粒子の製造方法が提供される。
特定の態様の本発明では、予め(ii)に記載のモノマーを用いて形成したラテックス粒子の共存下で重合反応(所謂シード重合)が行われることを特徴とする前記製造方法が提供される。
また、本発明によれば、該製造方法で都合よく製造することができる、ポリマーラテックス粒子であって、使用される総モノマー重量当たり、
a) 片末端に重合可能なエチレン性基を有し、疎水性ポリマーセグメントを介するかもしくは介することなく、他の片末端側に親水性ポリマーセグメント(ここで、このセグメントはリガンド導入用基で末端化(terminated)されていてもよい。)を有するマクロマー0.5〜99.5重量%、および
b) 1種もしくは2種以上のラテックス形成に関与するモノマー0.5〜99.5重量%の重合によって得られる高分子材料であって、動的光散乱(DLS)光度計で測定した場合に平均粒径0.01μm〜5μmを有し、粒子の表層(シエル)領域に親水性ポリマーセグメントが存在し、好ましくは磁性体または標識が粒子の核(コア)領域に混入している、ことを特徴とするポリマーラテックス粒子も提供できる。
本発明者らは、特定のマクロマーと1種もしくは2種以上のラテックス形成に関与するマノモーを水性媒体中でレドックス重合させると、上述の凝集を殆どまたは全く起こすことなく、極めて粒度分配範囲の狭いラテックス粒子が得られることを見出した。また、こうして得られるラテックス粒子はタンパク質等の非特異的吸着も低減できることを見出した。かようなタンパク質等の非特異的吸着は、鎖長が明確に異なる2種のマクロマーを使用すると、さらに低減することも見出した。
また、特定のマクロマーを用いる重合に際し、ラテックス形成に関与するモノマーの一部を、予めラテックス粒子にしておき、次いで該マクロマーおよび残りのモノマーを重合(所謂、シード重合)せしめると、ソープレスで所望のラテックス粒子を形成することができることも見出した。
したがって、本発明によれば、
(i) 片末端に重合可能なエチレン性基を有し、疎水性ポリマーセグメントを介するかもしくは介することなく、他の片末端側に親水性ポリマーセグメント(ここで、このセグメントはリガンド導入用基で末端化(terminated)されていてもよい。)を有するマクロマー、
(ii) 1種もしくは2種以上のラテックス形成に関与するモノマー、
(iii) 重合開始剤、好ましくはレドックス開始剤、および
(iv) 場合によって、存在してもよい磁性体または標識
を含んでなる水性媒体中で、該水性媒体を撹拌しながら重合反応を行うことを特徴とするラテックスポリマー粒子の製造方法が提供される。
特定の態様の本発明では、予め(ii)に記載のモノマーを用いて形成したラテックス粒子の共存下で重合反応(所謂シード重合)が行われることを特徴とする前記製造方法が提供される。
また、本発明によれば、該製造方法で都合よく製造することができる、ポリマーラテックス粒子であって、使用される総モノマー重量当たり、
a) 片末端に重合可能なエチレン性基を有し、疎水性ポリマーセグメントを介するかもしくは介することなく、他の片末端側に親水性ポリマーセグメント(ここで、このセグメントはリガンド導入用基で末端化(terminated)されていてもよい。)を有するマクロマー0.5〜99.5重量%、および
b) 1種もしくは2種以上のラテックス形成に関与するモノマー0.5〜99.5重量%の重合によって得られる高分子材料であって、動的光散乱(DLS)光度計で測定した場合に平均粒径0.01μm〜5μmを有し、粒子の表層(シエル)領域に親水性ポリマーセグメントが存在し、好ましくは磁性体または標識が粒子の核(コア)領域に混入している、ことを特徴とするポリマーラテックス粒子も提供できる。
図1は、FITC−BSA吸着量の洗浄回数による変化を各々の粒子A−1、A−3、B−1及びB−2についてグラフ化した図である。図中の記号、◇はビオチン化磁性ラテックス粒子A−3、■は磁性ラテックス粒子A−1、△はビオチン化フェライトビーズB−2、そして×はフェライトビーズB−1を表す。
図2は、ストレプトアビジン吸着量の洗浄回数による変化を各々の粒子A−1、A−3、B−1及びB−2についてグラフ化した図である。図中の記号は図1と同じ意味を有する。
図3は、本発明で得られるラテックス粒子分散液を示す図に代わる写真である。ここで、(a)がレドックス開始剤を用いて得られるラテックスの状態を示す写真であり、(b)がラジカル開始剤を用いて得られるラテックスの状態を示す写真である。
図4は、実施例5で得られた磁性ラテックスの状態を表す図に代わる顕微鏡写真である((b)参照。なお、(a)は通常のラテックス粒子の状態を表す。)。
発明の具体的な態様および発明を実施するための最良の形態
本発明に関連して、「ラテックスポリマー粒子」とは水性媒体中でラテックスを形成しうるポリマー粒子または高分子材料を意味し、そしてラテックスは、ゴム系ラテックスおよび樹脂ラテックス等を包含する広義な概念として用いており、水を主たる分散媒としたポリマー粒子の分散液である。水性媒体は、水と混和しうる有機溶媒、例えば、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル等、さらには緩衝剤等を含み得る水溶液を意味し、特定例では純水である。
粒子の表層(シエル)領域とは、本発明によれば、限定されるものでないが、重合可能なエチレン性基に由来する重合鎖とエチレン性基に結合した疎水性基(例えば、芳香族基、アルキル基、等)からなる粒子の核(コア)部を取り巻く領域をいい、通常、親水性ポリマーセグメントで覆われる。磁性体または標識が混入されている粒子では、磁性体等は前記のコア領域または部分に完全に封入されているか、あるいは部分的に包埋されているものと、理解されている。
「リガンド導入用基で末端化(terminated)される」とは、重合可能なエチレン性基側と逆の親水性ポリマーセグメントの末端にリガンド導入用基が末端基として存在することを意味する。リガンド導入用基は、後述する一般式I−aのXのごとく、リガンド分子と共有結合しうる官能基(容易に離脱しうる限り保護されていてもよい)を意味する。リガンドは、一般には、機能タンパク質に特異的に結合する物質(例えば、抗体に結合する抗原またはハプテン、酵素に結合する基質、受容体に結合するホルモン、レクチン、ビオチン等)をいうが、これらの逆、例えば抗原と結合する抗体またはその断片(Fab,F(ab′)2、等)も包含する概念として用いている。
本明細書で、例えば、「炭素原子数1〜3」と「C1−C3」等の表示は互換可能に用いている。マクロマーは、マクロモノマーとも称され、通常、分子量が数千〜数万の重合可能なポリマーを意味するが、本発明に関しては、適する場合には、分子量数百のもしくはそれ以下のオリゴマーに分類されるものも包含する。本発明で用いるマクロマーは、片末端に重合可能なエチレン性基を有し、疎水性ポリマーセグメントを介するかもしくは介することなく、他の片末端側に親水性ポリマーセグメント(ここで、このセグメントはリガンド導入用基で末端化(terminated)されていてもよい。)を有する。ここで、「重合可能なエチレン性基」とは、ラジカル重合開始剤およびレドックス開始剤で重合しうる基をいう。このような残基の例としては、(メタ)アクリロイル、芳香族環が置換されたもしくは未置換のビニルベンジル、ビニルフェニル、等が挙げられる。
「疎水性ポリマーセグメントを介するかもしくは介することなく」とは、マクロマーは、場合によって疎水性ポリマーセグメントを有し、所謂、ブロックコポリマーであることができることを意味する。このようなセグメントは、該セグメントに相当する独立したポリマーが水に難溶性ないし不溶性であるものポリマー鎖に由来するセグメントと、理解されている。限定されるものでないが、このような疎水性セグメントは、ポリ(ラクチド)鎖、ポリ(ε−カプロラクトン)鎖、ポリ(α−および/もしくはβ−ベンジルアスパラギン酸)鎖、ポリ(γ−ベンジルグルタミン酸)鎖であることができる。
他方、マクロマーの必須のセグメントである親水性ポリマーセグメントは、相当する独立したポリマーが水に可溶性となるポリマー鎖に由来するセグメントである。このような親水性セグメントは、非イオン性であることが好ましく、限定されるものでないが、ポリ(エチレングリコール)[以下、PEGと略記する場合があり、なお、ポリ(オキシエチレン)もしくはポリ(エチレンオキシド)と互換可能な用語である。]、ポリ(ビニルアルコール)ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(デキストラン)、ポリ(デキストリン)、ゼラチン、等の主鎖に由来する。
これらの親水性セグメントの中では、特に、PEGが好ましい。
マクロマーは、上述のようにリガンド導入用基を有しており、かかる基またはその部分としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、活性エステル型の保護されたヒドロキシル基、活性エステル型の保護されたカルボキシル基、アセタール型の保護されたアルデヒド基、有機スルホニルで保護されたヒドロキシル基、反応性の保護されたアミノ基およびC1〜C4アルコキシル基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、iso−プロポキシ等)からなる群より選ばれる基、を挙げることができる。
したがって、このようなマクロマーは、下記一般式(I)で表すことができる。
式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜3(またはC1〜C3とも表示でき、例えば、メチル、エチル、プロピル、等)を表し、
L1は、(CH2)aO、COO、OCO、CONH、(CH2)aNH、フェニレン(C6H4)、フェニレンオキシ(C6H4O)、オキシフェニレン(OC6H4)、ベンジルオキシ(C6H4CH2O)またはオキシベンジル(OCH2C6H4)を表し(ここで、aは1〜3の整数であり、各基は記載された方向で上記一般式中に組み込まれる。)を表し、
Bは、式
を表し、
L2は、酸素原子、C1−C4アルキレン、カルボニル、イミノ、およびこれらの2個以上が組合わさった連結基を表し、
Xは、(CH2)bもしくはCO(CH2)bを介するかまたは介することなく結合したヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、活性エステル型の保護されたヒドロキシル基、
カルボキシル基およびアセタール型の保護されたアルデヒド基(アセタール化ホルミル等)からなる群より選ばれる基を表し、
nは11〜10,000の整数を表し、そして
pは0〜500の整数(存在する場合は5〜500の整数)を表す。本発明に従えば、マクロマーは、2種類同時に使用するのがタンパク質等の非特異的吸着を防止する上で好ましい。このようなマクロマーの第一のものとしては、下記一般式(I−a)で表されるものが挙げられる。
式中、R、Xおよびnは、上記の一般式(I)について定義したのと同義であり、Lは、上記の一般式(I)のL1について定義したのと同義である。
第二のマクロマーとしては、下記一般式(I−b)で表されるものが挙げられる。
式中、R、Lは、上記の一般式(I−a)について定義したのと同義であり、Yは水素原子、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)で置換されていてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基またはハロゲンもしくは炭素原子数1〜3のアルキル基もしくはアルコキシル基でベンゼン環が置換されていてもよいベンゼン基を表し、mはn数より10以上小さい整数を表し、nに依存するが、好ましくは20〜1,000、より好ましくは30〜200の整数である。
以上に記載のマクロマーは、親水性ポリマーセグメントがポリ(エチレングリコール)鎖を有するものについては、米国特許第5,925,720号またはWO 96/33233に記載の方法に従って、またはそれらの方法を適宜改良して得ることができる。その他のマクロマーは、親水性ポリマーセグメントおよび存在する場合には、疎水性ポリマーセグメントに対応するポリマーをそれぞれ当業者に周知の方法にり連結させ、そして、両末端を適宜、所望の基により修飾すればよい。
特に、上記の一般式(I−a)で表されるマクロマーと一般式(II−b)で表されマクロマーを同時に使用して得られるポリマーラテックス粒子は、その表面へのタンパク質等の非特異的吸着が著しく抑制できるのが好ましい。一般式(I−a)のマクロマー対一般式(I−b)のマクロマーの使用割合は、1:5000〜5000:1、好ましくは1:3000〜3000:1、特に好ましくは1:100〜1000:1にある。
ラテックス形成に関与するモノマーは、少なくとも上記のモノマーと一緒に重合した場合にポリマーラテックス粒子を形成できるモノマーであれば、その種類を問うことなく、本発明で使用できる。このようなモノマーの例としては、限定されるものでないが、疎水性ビニルモノマー、特にビニル芳香族化合物、例えば置換又は無置換のスチレン、1−ビニルナフタリン、より具体的にはスチレン、t−メチルスチレン、エチルスチレン、p−ブロモスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレンなどを挙げることができる。その他にも、(メタ)アクリル酸C1−C4アルキル、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル;置換(例えば、C1−C6アルキルもしくはハロゲン原子置換)又は無置換の共役ジエン、例えばブタジエン、イソプレンなどを挙げることができる。このうち、スチレンは、コストの面、及びその特性としての硬さの点で好ましい。
これらのラテックス形成に関与するモノマーの一部は、少なくともマクロマーと共重合させる場合に予めラテックス粒子を形成しておいて共存させてもよい。通常、このような重合様式それ自体は、シード重合として当該技術分野では知られており、より大きい粒子を形成させるのに適している。本発明のラテックス粒子をこのようなシード重合により製造しても、上記のようなマクロマーの存在により、所謂、ソープレスでラテックス粒子が均一に分散し、しかも安定なラテックスを得ることができる。こうして得られるラテックス粒子はラテックス形成に関与するモノマーから本質的になる(つまり、95%以上、好ましくは98%以上を該モノマーが占める。)ラテックス粒子に磁性体が付着もしくは混入し、残りの該モノマーはラテックス粒子内または表面で重合し、かつマクロマーも、場合によって、それらの一部がラテックス粒子内で重合し、そしてマクロマーの親水性セグメントが該表面に存在するものと、理解される。
本発明に従いポリマーラテックス粒子を製造するには、さらなるモノマーとして、一般式(II)
(上式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
R1は単結合、(CH2)a、CH=CH、COO、OCO、CONH、(CH2)aNH、フェニレン(C6H4)、フェニレンオキシド(C6H4O)、オキシフェニレン(OC6H4)、ベンジルオキシ(C6H4CH2O)またはオキシベンジル(OCH2C6H4)を表し(ここで、aは1〜3の整数であり、各基は記載された方向で該式中に組み込まれる。)、
Zは水素原子、アミノ基、モノもしくはジ−C1−C3アルキルアミノ基、カルボキシル基、シアノ基、アミド基、ウレタン基およびウレア基からなる群より選ばれる基を表す。)
で表されるモノマー含めることができる。したがって、本発明により提供できるポリマーブテックス粒子は、上記のマクロマー、ラテックス形式に関与するモノマーおよび一般式(II)で表されるモノマーに由来する重合鎖を含み得る。これらのモノマーの具体的なものとしては、例えば、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、p−ビニル安息香酸、アクリルアミド、メタアクリル酸等を挙げることができる。
本発明に従えば、以上のモノマー群のうち、少なくとも一般式(I)または一般式(I−a)および一般式(I−b)のマクロマーとポリマーラテックス形成に関与するモノマーを含有し、そして場合によって一般式(II)のモノマーを共存させて重合せしめ、目的とするポリマーラテックス粒子を製造することができる。また、この重合の際に、磁性体または標識を共存させてもよい。このような磁性体としては、フェライト、ネオジウム等の微粒子を挙げることができ、重合反応に悪影響を及ぼさない場合には、粒子を重合反応系で調製してもよい。標識としては、ポリマーラテックス粒子を、何らかの手段、例えば光学的、その他によって識別するのに役立つ化合物または微粒子であって、限定されるものでないが、ユーロピウム(Eu)およびテルビウム(Tb)等のランタノイド系金属の粒子、半導体、例えばCdS、CdSe、ZnS、ZnSe、InP等の発光性微粒子、さらにはシリカ、ゼオライト等を挙げることができる。ここで、微粒子とは平均粒径がナノメータ(nm)オーダの粒子をいう。これらの粒子、特に、磁性体は表面を疎水化処理したものを使用するのが、ラテックス粒子中への混入率を高め、内包された磁性体のラテックス粒子中での安定性を高めることから好ましい。このような疎水化処理は、例えば、安息香酸ビニルまたはメタクリル酸3−(トリメトキシシリルプロピル)等の疎水性基と重合可能なエチレン性基を有する化合物のフェライト表面への吸着等の表面修飾を挙げることができる。
重合は、重合反応を経て形成されるラテックス粒子が均一の粒径を有し、そして相互に凝集しないような条件下であれば、如何なる条件下で行ってもよい。しかし、通常、ラジカル開始剤を用いて重合を行うことができるが、形成されるラテックス粒子が凝集する場合がある。ラジカル開始剤に代えて、レドックス開始剤を用いると、粒径が均一で、しかも凝集物を殆どもしくは全く含まないラテックス粒子が得られるので、レドックス開始剤を用いて重合を行うのが好ましい。このようなレドックス開始剤としては、過酸物とアミンの系、例えば、過酸化ベンゾイルとN,N−ジメチルアニリンの系、過硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウムの系、過硫酸アンモニウムとFe(NO3)2の系、等を挙げることができる。
重合反応は、水性媒体中に上記のラテックス形成に関与するモノマー、マクロマー、場合により、一般式(II)のモノマー、磁性体または標識開始剤を存在せしめ、必要により、加熱(約100℃迄)して行うが、レドックス重合では加熱を行うことなく、周囲温度下で、この反応系は、通常、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気下に置かれる。水性媒体中の該ラテックス形成性モノマーは0.1〜50重量/重量%となるように選ぶのが好都合である。上記の反応系を調製する順序は、重合反応を進行することができる限り、いかなる順序であってもよく、限定されないが、好ましくは後述の実施例に従うのがよい。反応時間は、反応温度およびモノマーの種類により最適条件が変動するが、一般に24時間行うのがよい。ラジカル開始剤は、慣用されている開始剤が制限なく使用できるが、代表的なものとしては、2,2’−アゾ・ビス・イソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系化合物、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート等の有機過酸化物を挙げることができる。このような開始剤は、総モノマー(マクロマーを含む)のモル数に対し、0.001〜10モル%、好ましくは1〜5モル%となるように用いることができる。また、上記のようなレドックス開始剤は、総モノマーのモル数に対して0.00〜10モル%、好ましくは0.1〜1モル%用いる。
こうして製造できるラテックスポリマー粒子は、遠心分離、沈降分離、透析、限外濾過、ゲル濾過、等を単独または組み合わせて使用して精製することができる。こうして得られるラテックスポリマー粒子のうち、例えば、反応性PEGマクロマーに由来する単位を有する粒子は、必要により、保護基(例えば、アセタール)を脱離した後、それ自体既知の反応を用いて、上述のリガンド、例えば、抗体、抗原、ハプテン、レクチン、糖、ビオチン等を共有結合を介して粒子上に固定できる。
上記の重合において、各モノマーは、総モノマー重量当たり、マクロマー0.5〜99.5重量%、ラテックス形成に関与するモノマー0.5〜99.5重量%(このうち、3〜97重量%、好ましくは5〜90重量%を用いて、予めラテックス粒子を形成していてもよい。)、一般式(II)のモノマー0〜95重量%(存在する場合は、0.5〜95重量%)の割合で使用することができる。さらに必要により架橋剤を含めてもよい。また、2種のマクロマーを使用する場合、一般式(I−a)マクロマーの量は、粒子分散性、非吸着特性などの点から、90重量%以下、好ましくは80〜3重量%、より好ましくは60〜5重量%であるのがよい。一般式(I−b)のマクロマーの量は、80重量%以下、好ましくは70〜2重量%、より好ましくは50〜5重量%であるのがよい。一般式(II)のモノマーを含む場合、その量は、95重量%以下、好ましくは90〜10重量%、より好ましくは80〜20重量%であるのがよい。
上記の重合系に際して、磁性体または標識を共存させることにより、これらの微粒子をポリマーラテックス粒子中に混入ないしは内包することができる。これらの微粒子は上記の総モノマー重量に対して、0.001〜90重量%、好ましくは0.1〜60重量%、特に好ましくは1〜20重量%で共存せしめられる。
また、磁性体または標識の微粒子ポリマーラテックスを形成した後に、それらのラテックス粒子中に該微粒子を導入することもできる。例えば、該微粒子を含有し、ラテックス粒子を膨潤させることのできる液体(第1の液体という)に該ラテックス粒子を浸漬し、その後、ラテックス粒子を収縮させてラテックス粒子中に特性付与粒子を導入させることもできる。なお、ラテックス粒子の収縮の際、ラテックス粒子を収縮させる特性を有する液体(第2の液体という)にラテックス粒子を浸漬して、収縮を促進することもできる。例えば、ラテックス粒子が粒子保持部位としてアミノ基を有する場合(例えば、一般式(II)のZがジアルキルアミノエチルである場合)、第1の液体として酸性の液体、第2の液体としてアルカリ性の液体を挙げることができまる。すなわち、酸性の液体に該微粒子を含め、該酸性の液体にラテックス粒子を浸漬すると、ラテックス粒子は膨潤する。膨潤中に該微粒子が粒子内に侵入する。その後、ラテックス粒子をアルカリ性の液体に浸漬すると、ラテックス粒子は収縮し、ラテックス粒子内該微粒子が保持ないしは固定される。
また、ラテックス形成に関与するモノマーとしてスチレンを用い、該スチレンのモノマー比が高いモノマー群を用いて得られたラテックス粒子の場合、第1の液体として水/アセトン混合溶媒を挙げることができる。水/アセトン混合溶媒に該微粒子を予め含ませておき、該混合液にラテックス粒子を浸漬する。浸漬中にラテックス粒子は膨潤し、該膨潤ラテックス粒子内に該微粒子が混入する。浸漬後、ラテックス粒子を乾燥し、水/アセトン混合溶媒を除去することにより、第1の粒子(特性付与粒子)をラテックス粒子内に保持ないしは固定することができる。
以上により、本発明に従うポリマーラテックス粒子または磁性体もしくは標識を含有するポリマーラテックス粒子、さらに所望ならば、水性媒体中で粒子表面上または親水性ポリマーセグメント鎖により該表面から離れた位置に存在することになるリガンド導入用基を介してリガンドが共有結合したポリマーラテックス粒子も提供できる。これらの粒子は、臨床診断用の診断剤として、または生体内に存在する特定の分子を単離、精製するためのアフィニティー担体等に使用できる。これらの分野での使用に際しては、マクロマーとして一般式(I−a)のマクロマーと一般式(I−b)のマクロマーを用いたラテックス粒子が、それらの表面への夾雑タンパク質等の非特異的吸着を殆どないし全く防止できるので好ましい。
以下、具体例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
マクロマーの合成例1:
VB−PEG−NH2の合成
アルゴン下、反応容器に0.25mol/Lのアセトン−K+テトラヒドロフラン(THF)溶液(8mL、2mmol)および2mol/Lのビニルベンジルアルコール(VBA)THF溶液(1mL、2mmol)を加え30分間撹拌した後、エバポレータにより溶媒を除去した。残存物(メタル化したVBA)をTHF(10mL)に溶解させた後、再度エバポレートすることでほぼ完全にアセトンの除去を行った。その後、反応容器に溶媒としてTHF(40mL)を加えメタル化したVBAを溶解した。
次にエチレンオキシド(EO;11.2mL、228mmol、仕込み分子量5000)を加え水冷下で2日間撹拌し重合を行った。少量をサンプリングした後、GPC測定を行いPEGの分子量を確認した。反応はEO重合後の反応溶液にトリエチルアミン(1.39mL、10mmol)を加えた溶液を、メタンスルホニルクロライド(「MSC」と略記する場合がある、0.465mL、6mmol)/THF(20mL)溶液に1時間30分かけて滴下することで停止させた。
精製はエーテル沈殿、ベンゼン凍結乾燥、減圧乾燥により行い、末端をメタンスルホニル(MS)化したVB−PEG−MSを得た。
得られたVB−PEG−MSに28%アンモニア水溶液(200mL、およそ15000倍モル量)を加え室温で1日間撹拌した。その後、エバポレータによりアンモニアの除去、溶液の濃縮を行った。濃縮した溶液を蒸留水に対して透析することで精製を行い(透析膜:MWCO1000(Spectrum Laboratory社製)、2日間、蒸留水を5回交換)、その後凍結乾燥することにより、VB−PEG−NH2(または化合物1)を得た。
ゲル浸透クロマトグラム(GPC)により、PEGの分子量が6000程度(繰返し単位(CH2CH2O)nのnが130〜140に相当)であることを確認した。回収したポリマーの収量は11.3gであった(仕込み総量11.967g、VB−PEG−MSの1H−NMRチャートの積分値からVBおよびMSの導入率を計算するとほぼ100%導入されていることがわかった。
マクロマーの合成例2:VB−PEG−OHの合成
2M VBA/THF溶液1mL(2mmol)、0.25Mアセトン−カリウムTHF溶液8ml(2mmol)をアルゴン下、室温で反応容器に加え、室温で15分間攪拌してVBAのカリウムアルコキシド溶液を得た。この反応混合物から減圧乾燥でアセトンを留去した。その後、THF60mLを加え、さらに冷却したシリンジでエチレンオキシド6.8mL(0.14mol)を加えて室温で2日間攪拌して開環重合を行った。その後、メタノール3mLを加えて反応を止めた。この反応混合溶液を、−15℃に冷却したイソプロピルアルコールに注ぎ、マクロマーを沈殿させ、遠心分離操作(6000r.p.m.,40分間、−10℃)を行い、マクロマー(化合物2)を回収し、凍結乾燥して溶媒を除去した。
得た化合物が目的物(化合物2またはVB−PEG−OHという)であることは、上記に記載した測定条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー製 HLC−8020)及び核磁気共鳴測定装置(日本電子製 JEOL EX−400(400MHz))により確認した。VB−PEG−OHの1H−NMRスペクトルを図2に示す。GPCの結果から、PEG鎖の分子量は2850、分子量分布Mw/Mn=1.04である。
ビニル基の導入率は1H−NMRスペクトラムより算出し、ほぼ定量的に導入されているのを確認した。
マクロマーの合成例3:アセタール−PEG/PLA−メタクリロイルの合成
カリウム−ナフタレン/THF溶液の調製法
ナフタレンの入ったアルゴン雰囲気下の容器にTHFを加え溶解させ、氷冷しながらナフタレンに対して1.05倍モル量の柱状カリウムを加え、1日間攪拌させた。この溶液を塩酸滴定して0.3263Mカリウム−ナフタレン/THF溶液を調製した。
アセタール−PEG/PLA−メタクリロイルの合成
THF40mL、3,3’−ジエトキシ−1−プロパノール0.32mL(2mmol)をアルゴン雰囲気下の容器に室温で加え、0.3263Mカリウム−ナフタレン/THF溶液6.2mL(2mmol)を加え15分間攪拌してカリウムアルコキシド溶液を得た。この溶液に、冷却したシリンジでエチレンオキシド11.3mL(0.23mol)を加えて室温で2日間攪拌して開環重合を行い、アセタール−PEG−OHを合成した。この重合溶液に1mol/L DL−ラクチド/THF溶液8.4ml(8.4mmol)を加えて室温で3時間攪拌し、さらに重合反応を行った。その後、無水メタクリル酸4.5mL(28mmol)を加え、室温で2日間攪拌して反応を止めた。このマクロマー混合溶液を−15℃に冷却したイソプロピルアルコールに注ぎ、マクロマーを沈殿させた。遠心分離操作(6000r.p.m.,40分間、−10℃)を行い、マクロマーを回収した。さらにマクロマーをイソプロピルアルコールに注ぎ、マクロマーを沈殿させた。遠心分離操作(6000r.p.m.,40分間、−10℃)によってマクロマーを精製する操作をした後、ベンゼンにマクロマーを溶解し凍結乾燥を行ってマクロマー(化合物3またはアセタール−PEG/PLA−メタクリロイルともいう)を回収した。
得た化合物が目的物であることは、上記に記載した測定条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー製 HLC−8020)及び核磁気共鳴測定装置(日本電子製 JEOL EX−400(400MHz))により確認した。GPCの結果から、PEG鎖の分子量は5530、分子量分布Mw/Mn=1.03である。アセタール−PEG/PLA−メタクリロイルのラクチド鎖(PLA)の分子量はGPCの結果であるPEG鎖分子量及び1H−NMRスペクトラムより算出し、150である。ビニル基の導入率は1H−NMRスペクトラムより算出し、ほぼ定量的に導入されているのを確認した。
実施例1:磁性ラテックス粒子A−1の調製
5重量%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(40mL)を有する反応容器に上述で得たVB−PEG−NH2(0.5g、繰返し単位(CH2CH2O):130〜140個に相当)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート50重量%水溶液(アルドリッチ、分子量:2,000、4.8mL、0.25g、繰返し単位(CH2CH2O):45〜50個に相当)、フェリコロイド(FC、1mL)、スチレン(St、3.3mL、3g)、過硫酸カリウム(KPS)(0.2g)を加え、撹拌しながらアスピレータを用いて減圧脱気した。その後、減圧の系内をアルゴンを詰めることで常圧にした。i)減圧脱気後、ii)アルゴンで常圧にする、というi)及びii)の一連の作業を3回繰り返した。スリーワンモーターを用いて500rpm、60℃で36時間撹拌した後、磁性ラテックス粒子A−1を有する溶液を回収した。回収した溶液を適量(10〜20mL程度)の蒸留水に1滴加え、軽く溶液を振って分散させた後、強力な磁石を用いて磁性ラテックス粒子A−1を沈降させた。上澄みを取り除き、沈降した磁性ラテックス粒子A−1を再度蒸留水に分散させた。その後、上澄み及び沈殿を分散させた溶液の動的光散乱(DLS)測定を行い、その結果、磁性ラテックス粒子A−1の粒径は、0.67μmであった。
実施例2:磁性ラテックス粒子A−2の調製
5重量%PVA水溶液(40mL)を有する反応容器に上述で得たVB−PEG−NH2(0.5g)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート50重量%水溶液(アルドリッチ、分子量:2,000、4.8mL、0.25g)を加え、HClを用いてpH4にした。その後、FC(1mL)、St(3.3mL、3g)、KPS(0.2g)を加え、撹拌しながらアスピレーターを用いて減圧脱気し、減圧の系内をアルゴンを詰めることで常圧にした。i)減圧脱気後、ii)アルゴンで常圧にする、というi)及びii)の一連の作業を3回繰り返した。スリーワンモーターを用いて500rpm、60℃で48時間撹拌した後、磁性ラテックス粒子A−2を有する溶液を回収した。回収した溶液を適量(10〜20mL程度)の蒸留水に1滴加え、軽く溶液を振って分散させた後、強力な磁石を用いて磁性ラテックス粒子A−2を沈降させた。上澄みを取り除き、沈降した磁性ラテックス粒子A−2を再度蒸留水に分散させた。その後、上澄み及び沈殿を分散させた溶液のDLS測定を行い、その結果、磁性ラテックス粒子A−2の粒径は、0.51μmであった。
<PEG化磁性ナノ粒子の非特異吸着特性の確認>
遠心分離と磁石とを用いた分離により精製した磁性ラテックス粒子A−2(濃度:2.5mg/mL)及びカルボン酸表面基を有する市販フェライトビーズB−1(濃度:2.5mg/mL)を調製し、この両サンプル溶液を3mLずつ取り、永久磁石上に配置したネジロ試験管中で静置した。ここで磁石に引かれて沈殿したものと上澄みを分離して、上澄みを捨て新たにPBSを3mL加えてVoltex(10s、speed8)洗浄、上澄み除去という操作を3回繰り返した。これに45mg/mLのBSA(ウシ血清アルブミン:人体中とほぼ同濃度)3mLを加え、室温1時間静置した。1時間後に磁石で粒子を固定し上澄みのBSA−PBSを除去しこれにPBS3mLを加えてVoltex(10s、speed8)で粒子をリンスし、上澄みを除去する操作を3回繰り返した後、SDS−PBS2.5mLに1時間浸漬させて粒子表面に付着したBSAを剥がしとった。1時間後Voltex(10s、speed8)で粒子をリンスし、この上澄み液2mLにBSA溶液2mLを加え60℃で1時間インキュベートした。1時間後UV−vis分光計で波長562nmにおける吸光度を測定した。予め作成した検量線より吸着BSA濃度を算出した。
算出された結果、磁性ラテックス粒子のBSA吸着量は約0.0015mg/mlであり、フェライトビーズのそれ(0.02mg/ml)の約13分の1であった。また初期BSA濃度(45mg/ml)の約27800分の1の量であることがわかった。この非特異吸着の減少の主因は粒子の周りを覆うPEGの高い運動性によって、タンパク質を排除しているものと考えられる。そのため裸のFe粒子(フェライト粒子)との差が大きく現れたものと考えられる。
実施例3:ビオチン化磁性ラテックス粒子及びビオチン化フェライトビーズの調製
<フェライトビーズB−1のビオチン化>
2.5mg/mlフェライトビーズ超純水溶液12mlを遠心分離(3600rpm/30分/5℃)して、上澄みを除去して新たに超純水12mlを加えて再分散させた。このうち6mlを分取した。これにEDC(N−エチル−N’−(ジメチルアミノプロピルカルボジイミド))3ml及びNHS(N−ヒドロキシスクシミド)3mlの混合溶液を加え10分間静置した。10分後、該混合溶液を遠心分離(3600rpm/20分/5℃)して上澄みを除去し、新たに超純水6mlを加えて再分散させた。これに1mg/mlのビオシチンヒドラジド水溶液1mlを加えて30分間静置した。30分後、得られた溶液を遠心分離(3600rpm/10分/5℃)して上澄みを除去し、新たに同量の超純水を加え再分散をさせた。これに2−アミノエタノール3mlを加えて20分間静置した。これを遠心分離(3600rpm/5分/5℃)して上澄みを除去し、新たに超純水を加えるという操作を3回繰り返し、ビオチン化フェライトビーズB−2を得た。
<磁性ラテックス粒子A−1のビオチン化>
2.5mg/ml磁性ラテックスA−2水溶液4mlを遠心分離(10,00rpm/30分/5℃)して上澄みを除去後、同量の超純水を加え0.1mg/mlの活性エステルビオチンを2ml加えて20分間静置した。その後0.15mol/dm3NaCl水溶液で洗浄し、ビオチン化磁性ラテックス粒子A−3を得た。
ビオチン化磁性ラテックス粒子A−3、磁性ラテックス粒子A−1、ビオチン化フェライトビーズB−2、及びフェライトビーズB−1の4種類の粒子水溶液を各100μL(粒子濃度2.5mg/mL)とり、テキサスレッドストレプトアビジン(texasredstreptavidin)0.01mg/mL(6.7×10−7モル/L)、FITC−BSA0.045mg/mL6.7×10−7モル/L)を各500μLずつ加えた。このまま1時間静置して、1時間後に磁石で粒子を固定して慎重に試験管内の溶液を1mLとり、PBS水溶液を1mL加えて希釈し、Voltexで再分散させることで洗浄した。1回洗浄する毎にテキサスレッドとFITCの蛍光画像をCCDカメラで取り込み画像解析した。
得られた画像から、FITC−BSA吸着量(図1)及びストレプトアビジン吸着量(図2)の洗浄回数による変化を各々の粒子についてグラフ化した。なお、ビオチンは、アビジンと特異的な吸着又は結合を示す物質である一方、BSAとは不所望な吸着又は結合(非特異的な吸着又は結合)を示す物質である。
図1から、ビオチン化磁性ラテックス粒子A−3及び磁性ラテックス粒子A−1は、洗浄を2回又は3回行うことにより、BSAの吸着がほぼゼロとなっていることがわかる。一方、ビオチン化フェライトビーズB−2及びフェライトビーズB−1は、洗浄を10回行ってもBSAの吸着が観察される。このことから、ビオチン化磁性ラテックス粒子A−3及び磁性ラテックス粒子A−1は、非特異的な吸着が抑制されている一方、ビオチン化フェライトビーズB−2及びフェライトビーズB−1、特にビオチン化フェライトビーズB−2は、非特異的な吸着が観察されることがわかる。
図2のビオチン化磁性ラテックス粒子A−3と磁性ラテックス粒子A−1との結果を比較することにより、ビオチン化磁性ラテックス粒子A−3は、複数回洗浄しても特異的な吸着又は結合により、ストレプトアビジンが吸着している一方、磁性ラテックス粒子A−1は、ビオチンを有していないため、2回洗浄を行うことにより、ストレプトアビジンの吸着量がほぼゼロとなっていることがわかる。したがって、図2から、ビオチンによる特異的吸着又は結合が観察された。
以上、図1及び図2から、ビオチン化磁性ラテックス粒子A−3は、ビオチンを有することにより特異的吸着が発現し、且つ短鎖のPEGによって非特異的吸着を抑制できることが観察された。
実施例4:安息香酸表面処理フェライト粒子およびアセタール−PEG/PLA−メタクリロイルの共存下でのスチレンの分散重合
(1) 安息香酸ビニル修飾フェライト粒子の調製
水150mLに塩酸を加えてpHを1.7に調節した。この溶液にFeCl30.405g(1.5×10−3M)およびFeSO40.250g(9.0×10−4M)を加えて撹拌し、溶解した。この溶液にアンモニア溶液を加えpHが9になるまで激しく撹拌した。その後、溶液に安息香酸ビニル1.776g(0.024M)を加えて静置した後、凍結乾燥して、標題の表面処理フェライトを得た。
(2) (1)で得られた安息香酸ビニル修飾フェリコロイド0.045gをスチレン4mlに分散させ、次いで水45ml、マクロマーの合成例3に従って製造したアセタール−PEG/PLA−メタクリロイル0.1gおよび過酸化ベンゾイル0.085gを加えた。撹拌、脱気後、N,N−ジメチルアニリン0.1gを加え、400rpmで撹拌し、重合反応を20時間続けた。こうして得られるラテックス粒子は半径粒径200nmであった。
同一条件下でN,N−ジメチルアニリンの代わりに加熱(60℃)重合させると全く分散しない巨大会合体が生成し、均一磁性粒子を作製することができなかった。
それぞれ得られたラテックス粒子の様子を示す図に代わる写真を図3として提出する。ここで、(a)がレドックス開始剤を用いた場合のラテックスであり、(b)が加熱下にラジカル開始剤を用いた場合のラテックスである。
ソープフリー重合によるポリスチレンラテックスの調製例
スチレン4mL、蒸留水45mL、過硫酸カリウム0.024gを100mLフラスコに加え、アルゴンバブリングを10分間行った後、350rpmで撹拌しながら70℃、5時間反応させた。その後SEMによって粒径を撹拌したところ、平均粒径1μmの単分散スチレンラテックスが調製された。
実施例5:シード重合
上記のポリスレンラテックスの調製例で調製したスチレンラテックス分散液(0.078g/mL;粒径=1μm)の31mL、蒸留水45mL、スチレン2.6mL、ビニル安息香酸修飾フェリコロイド0.13g(実施例4で調製したもの)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.048g、アセタール−PEG/PLA−メタクリロイル(マクロマーの合成例3で調製したもの)を200mL丸底フラスコに加え、10分間撹拌した後、市販のHO−PEG−OH(MW=6,000)4gの水溶液10mLを加え、脱気した後12時間撹拌した。この分散液を70℃で24時間、270rpmで撹拌しながら反応させた。得られた分散ラテックスは高い分散安定性を示すとともに、磁石によくくっつく磁性ラテックス粒子が得られた。得られた磁性ラテックス粒子の分散状態を表す図に代わる顕微鏡写真を図4に示す。
図2は、ストレプトアビジン吸着量の洗浄回数による変化を各々の粒子A−1、A−3、B−1及びB−2についてグラフ化した図である。図中の記号は図1と同じ意味を有する。
図3は、本発明で得られるラテックス粒子分散液を示す図に代わる写真である。ここで、(a)がレドックス開始剤を用いて得られるラテックスの状態を示す写真であり、(b)がラジカル開始剤を用いて得られるラテックスの状態を示す写真である。
図4は、実施例5で得られた磁性ラテックスの状態を表す図に代わる顕微鏡写真である((b)参照。なお、(a)は通常のラテックス粒子の状態を表す。)。
発明の具体的な態様および発明を実施するための最良の形態
本発明に関連して、「ラテックスポリマー粒子」とは水性媒体中でラテックスを形成しうるポリマー粒子または高分子材料を意味し、そしてラテックスは、ゴム系ラテックスおよび樹脂ラテックス等を包含する広義な概念として用いており、水を主たる分散媒としたポリマー粒子の分散液である。水性媒体は、水と混和しうる有機溶媒、例えば、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル等、さらには緩衝剤等を含み得る水溶液を意味し、特定例では純水である。
粒子の表層(シエル)領域とは、本発明によれば、限定されるものでないが、重合可能なエチレン性基に由来する重合鎖とエチレン性基に結合した疎水性基(例えば、芳香族基、アルキル基、等)からなる粒子の核(コア)部を取り巻く領域をいい、通常、親水性ポリマーセグメントで覆われる。磁性体または標識が混入されている粒子では、磁性体等は前記のコア領域または部分に完全に封入されているか、あるいは部分的に包埋されているものと、理解されている。
「リガンド導入用基で末端化(terminated)される」とは、重合可能なエチレン性基側と逆の親水性ポリマーセグメントの末端にリガンド導入用基が末端基として存在することを意味する。リガンド導入用基は、後述する一般式I−aのXのごとく、リガンド分子と共有結合しうる官能基(容易に離脱しうる限り保護されていてもよい)を意味する。リガンドは、一般には、機能タンパク質に特異的に結合する物質(例えば、抗体に結合する抗原またはハプテン、酵素に結合する基質、受容体に結合するホルモン、レクチン、ビオチン等)をいうが、これらの逆、例えば抗原と結合する抗体またはその断片(Fab,F(ab′)2、等)も包含する概念として用いている。
本明細書で、例えば、「炭素原子数1〜3」と「C1−C3」等の表示は互換可能に用いている。マクロマーは、マクロモノマーとも称され、通常、分子量が数千〜数万の重合可能なポリマーを意味するが、本発明に関しては、適する場合には、分子量数百のもしくはそれ以下のオリゴマーに分類されるものも包含する。本発明で用いるマクロマーは、片末端に重合可能なエチレン性基を有し、疎水性ポリマーセグメントを介するかもしくは介することなく、他の片末端側に親水性ポリマーセグメント(ここで、このセグメントはリガンド導入用基で末端化(terminated)されていてもよい。)を有する。ここで、「重合可能なエチレン性基」とは、ラジカル重合開始剤およびレドックス開始剤で重合しうる基をいう。このような残基の例としては、(メタ)アクリロイル、芳香族環が置換されたもしくは未置換のビニルベンジル、ビニルフェニル、等が挙げられる。
「疎水性ポリマーセグメントを介するかもしくは介することなく」とは、マクロマーは、場合によって疎水性ポリマーセグメントを有し、所謂、ブロックコポリマーであることができることを意味する。このようなセグメントは、該セグメントに相当する独立したポリマーが水に難溶性ないし不溶性であるものポリマー鎖に由来するセグメントと、理解されている。限定されるものでないが、このような疎水性セグメントは、ポリ(ラクチド)鎖、ポリ(ε−カプロラクトン)鎖、ポリ(α−および/もしくはβ−ベンジルアスパラギン酸)鎖、ポリ(γ−ベンジルグルタミン酸)鎖であることができる。
他方、マクロマーの必須のセグメントである親水性ポリマーセグメントは、相当する独立したポリマーが水に可溶性となるポリマー鎖に由来するセグメントである。このような親水性セグメントは、非イオン性であることが好ましく、限定されるものでないが、ポリ(エチレングリコール)[以下、PEGと略記する場合があり、なお、ポリ(オキシエチレン)もしくはポリ(エチレンオキシド)と互換可能な用語である。]、ポリ(ビニルアルコール)ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(デキストラン)、ポリ(デキストリン)、ゼラチン、等の主鎖に由来する。
これらの親水性セグメントの中では、特に、PEGが好ましい。
マクロマーは、上述のようにリガンド導入用基を有しており、かかる基またはその部分としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、活性エステル型の保護されたヒドロキシル基、活性エステル型の保護されたカルボキシル基、アセタール型の保護されたアルデヒド基、有機スルホニルで保護されたヒドロキシル基、反応性の保護されたアミノ基およびC1〜C4アルコキシル基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、iso−プロポキシ等)からなる群より選ばれる基、を挙げることができる。
したがって、このようなマクロマーは、下記一般式(I)で表すことができる。
式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜3(またはC1〜C3とも表示でき、例えば、メチル、エチル、プロピル、等)を表し、
L1は、(CH2)aO、COO、OCO、CONH、(CH2)aNH、フェニレン(C6H4)、フェニレンオキシ(C6H4O)、オキシフェニレン(OC6H4)、ベンジルオキシ(C6H4CH2O)またはオキシベンジル(OCH2C6H4)を表し(ここで、aは1〜3の整数であり、各基は記載された方向で上記一般式中に組み込まれる。)を表し、
Bは、式
を表し、
L2は、酸素原子、C1−C4アルキレン、カルボニル、イミノ、およびこれらの2個以上が組合わさった連結基を表し、
Xは、(CH2)bもしくはCO(CH2)bを介するかまたは介することなく結合したヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、活性エステル型の保護されたヒドロキシル基、
カルボキシル基およびアセタール型の保護されたアルデヒド基(アセタール化ホルミル等)からなる群より選ばれる基を表し、
nは11〜10,000の整数を表し、そして
pは0〜500の整数(存在する場合は5〜500の整数)を表す。本発明に従えば、マクロマーは、2種類同時に使用するのがタンパク質等の非特異的吸着を防止する上で好ましい。このようなマクロマーの第一のものとしては、下記一般式(I−a)で表されるものが挙げられる。
式中、R、Xおよびnは、上記の一般式(I)について定義したのと同義であり、Lは、上記の一般式(I)のL1について定義したのと同義である。
第二のマクロマーとしては、下記一般式(I−b)で表されるものが挙げられる。
式中、R、Lは、上記の一般式(I−a)について定義したのと同義であり、Yは水素原子、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)で置換されていてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基またはハロゲンもしくは炭素原子数1〜3のアルキル基もしくはアルコキシル基でベンゼン環が置換されていてもよいベンゼン基を表し、mはn数より10以上小さい整数を表し、nに依存するが、好ましくは20〜1,000、より好ましくは30〜200の整数である。
以上に記載のマクロマーは、親水性ポリマーセグメントがポリ(エチレングリコール)鎖を有するものについては、米国特許第5,925,720号またはWO 96/33233に記載の方法に従って、またはそれらの方法を適宜改良して得ることができる。その他のマクロマーは、親水性ポリマーセグメントおよび存在する場合には、疎水性ポリマーセグメントに対応するポリマーをそれぞれ当業者に周知の方法にり連結させ、そして、両末端を適宜、所望の基により修飾すればよい。
特に、上記の一般式(I−a)で表されるマクロマーと一般式(II−b)で表されマクロマーを同時に使用して得られるポリマーラテックス粒子は、その表面へのタンパク質等の非特異的吸着が著しく抑制できるのが好ましい。一般式(I−a)のマクロマー対一般式(I−b)のマクロマーの使用割合は、1:5000〜5000:1、好ましくは1:3000〜3000:1、特に好ましくは1:100〜1000:1にある。
ラテックス形成に関与するモノマーは、少なくとも上記のモノマーと一緒に重合した場合にポリマーラテックス粒子を形成できるモノマーであれば、その種類を問うことなく、本発明で使用できる。このようなモノマーの例としては、限定されるものでないが、疎水性ビニルモノマー、特にビニル芳香族化合物、例えば置換又は無置換のスチレン、1−ビニルナフタリン、より具体的にはスチレン、t−メチルスチレン、エチルスチレン、p−ブロモスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレンなどを挙げることができる。その他にも、(メタ)アクリル酸C1−C4アルキル、例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル;置換(例えば、C1−C6アルキルもしくはハロゲン原子置換)又は無置換の共役ジエン、例えばブタジエン、イソプレンなどを挙げることができる。このうち、スチレンは、コストの面、及びその特性としての硬さの点で好ましい。
これらのラテックス形成に関与するモノマーの一部は、少なくともマクロマーと共重合させる場合に予めラテックス粒子を形成しておいて共存させてもよい。通常、このような重合様式それ自体は、シード重合として当該技術分野では知られており、より大きい粒子を形成させるのに適している。本発明のラテックス粒子をこのようなシード重合により製造しても、上記のようなマクロマーの存在により、所謂、ソープレスでラテックス粒子が均一に分散し、しかも安定なラテックスを得ることができる。こうして得られるラテックス粒子はラテックス形成に関与するモノマーから本質的になる(つまり、95%以上、好ましくは98%以上を該モノマーが占める。)ラテックス粒子に磁性体が付着もしくは混入し、残りの該モノマーはラテックス粒子内または表面で重合し、かつマクロマーも、場合によって、それらの一部がラテックス粒子内で重合し、そしてマクロマーの親水性セグメントが該表面に存在するものと、理解される。
本発明に従いポリマーラテックス粒子を製造するには、さらなるモノマーとして、一般式(II)
(上式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
R1は単結合、(CH2)a、CH=CH、COO、OCO、CONH、(CH2)aNH、フェニレン(C6H4)、フェニレンオキシド(C6H4O)、オキシフェニレン(OC6H4)、ベンジルオキシ(C6H4CH2O)またはオキシベンジル(OCH2C6H4)を表し(ここで、aは1〜3の整数であり、各基は記載された方向で該式中に組み込まれる。)、
Zは水素原子、アミノ基、モノもしくはジ−C1−C3アルキルアミノ基、カルボキシル基、シアノ基、アミド基、ウレタン基およびウレア基からなる群より選ばれる基を表す。)
で表されるモノマー含めることができる。したがって、本発明により提供できるポリマーブテックス粒子は、上記のマクロマー、ラテックス形式に関与するモノマーおよび一般式(II)で表されるモノマーに由来する重合鎖を含み得る。これらのモノマーの具体的なものとしては、例えば、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、p−ビニル安息香酸、アクリルアミド、メタアクリル酸等を挙げることができる。
本発明に従えば、以上のモノマー群のうち、少なくとも一般式(I)または一般式(I−a)および一般式(I−b)のマクロマーとポリマーラテックス形成に関与するモノマーを含有し、そして場合によって一般式(II)のモノマーを共存させて重合せしめ、目的とするポリマーラテックス粒子を製造することができる。また、この重合の際に、磁性体または標識を共存させてもよい。このような磁性体としては、フェライト、ネオジウム等の微粒子を挙げることができ、重合反応に悪影響を及ぼさない場合には、粒子を重合反応系で調製してもよい。標識としては、ポリマーラテックス粒子を、何らかの手段、例えば光学的、その他によって識別するのに役立つ化合物または微粒子であって、限定されるものでないが、ユーロピウム(Eu)およびテルビウム(Tb)等のランタノイド系金属の粒子、半導体、例えばCdS、CdSe、ZnS、ZnSe、InP等の発光性微粒子、さらにはシリカ、ゼオライト等を挙げることができる。ここで、微粒子とは平均粒径がナノメータ(nm)オーダの粒子をいう。これらの粒子、特に、磁性体は表面を疎水化処理したものを使用するのが、ラテックス粒子中への混入率を高め、内包された磁性体のラテックス粒子中での安定性を高めることから好ましい。このような疎水化処理は、例えば、安息香酸ビニルまたはメタクリル酸3−(トリメトキシシリルプロピル)等の疎水性基と重合可能なエチレン性基を有する化合物のフェライト表面への吸着等の表面修飾を挙げることができる。
重合は、重合反応を経て形成されるラテックス粒子が均一の粒径を有し、そして相互に凝集しないような条件下であれば、如何なる条件下で行ってもよい。しかし、通常、ラジカル開始剤を用いて重合を行うことができるが、形成されるラテックス粒子が凝集する場合がある。ラジカル開始剤に代えて、レドックス開始剤を用いると、粒径が均一で、しかも凝集物を殆どもしくは全く含まないラテックス粒子が得られるので、レドックス開始剤を用いて重合を行うのが好ましい。このようなレドックス開始剤としては、過酸物とアミンの系、例えば、過酸化ベンゾイルとN,N−ジメチルアニリンの系、過硫酸アンモニウムと亜硫酸ナトリウムの系、過硫酸アンモニウムとFe(NO3)2の系、等を挙げることができる。
重合反応は、水性媒体中に上記のラテックス形成に関与するモノマー、マクロマー、場合により、一般式(II)のモノマー、磁性体または標識開始剤を存在せしめ、必要により、加熱(約100℃迄)して行うが、レドックス重合では加熱を行うことなく、周囲温度下で、この反応系は、通常、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気下に置かれる。水性媒体中の該ラテックス形成性モノマーは0.1〜50重量/重量%となるように選ぶのが好都合である。上記の反応系を調製する順序は、重合反応を進行することができる限り、いかなる順序であってもよく、限定されないが、好ましくは後述の実施例に従うのがよい。反応時間は、反応温度およびモノマーの種類により最適条件が変動するが、一般に24時間行うのがよい。ラジカル開始剤は、慣用されている開始剤が制限なく使用できるが、代表的なものとしては、2,2’−アゾ・ビス・イソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系化合物、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート等の有機過酸化物を挙げることができる。このような開始剤は、総モノマー(マクロマーを含む)のモル数に対し、0.001〜10モル%、好ましくは1〜5モル%となるように用いることができる。また、上記のようなレドックス開始剤は、総モノマーのモル数に対して0.00〜10モル%、好ましくは0.1〜1モル%用いる。
こうして製造できるラテックスポリマー粒子は、遠心分離、沈降分離、透析、限外濾過、ゲル濾過、等を単独または組み合わせて使用して精製することができる。こうして得られるラテックスポリマー粒子のうち、例えば、反応性PEGマクロマーに由来する単位を有する粒子は、必要により、保護基(例えば、アセタール)を脱離した後、それ自体既知の反応を用いて、上述のリガンド、例えば、抗体、抗原、ハプテン、レクチン、糖、ビオチン等を共有結合を介して粒子上に固定できる。
上記の重合において、各モノマーは、総モノマー重量当たり、マクロマー0.5〜99.5重量%、ラテックス形成に関与するモノマー0.5〜99.5重量%(このうち、3〜97重量%、好ましくは5〜90重量%を用いて、予めラテックス粒子を形成していてもよい。)、一般式(II)のモノマー0〜95重量%(存在する場合は、0.5〜95重量%)の割合で使用することができる。さらに必要により架橋剤を含めてもよい。また、2種のマクロマーを使用する場合、一般式(I−a)マクロマーの量は、粒子分散性、非吸着特性などの点から、90重量%以下、好ましくは80〜3重量%、より好ましくは60〜5重量%であるのがよい。一般式(I−b)のマクロマーの量は、80重量%以下、好ましくは70〜2重量%、より好ましくは50〜5重量%であるのがよい。一般式(II)のモノマーを含む場合、その量は、95重量%以下、好ましくは90〜10重量%、より好ましくは80〜20重量%であるのがよい。
上記の重合系に際して、磁性体または標識を共存させることにより、これらの微粒子をポリマーラテックス粒子中に混入ないしは内包することができる。これらの微粒子は上記の総モノマー重量に対して、0.001〜90重量%、好ましくは0.1〜60重量%、特に好ましくは1〜20重量%で共存せしめられる。
また、磁性体または標識の微粒子ポリマーラテックスを形成した後に、それらのラテックス粒子中に該微粒子を導入することもできる。例えば、該微粒子を含有し、ラテックス粒子を膨潤させることのできる液体(第1の液体という)に該ラテックス粒子を浸漬し、その後、ラテックス粒子を収縮させてラテックス粒子中に特性付与粒子を導入させることもできる。なお、ラテックス粒子の収縮の際、ラテックス粒子を収縮させる特性を有する液体(第2の液体という)にラテックス粒子を浸漬して、収縮を促進することもできる。例えば、ラテックス粒子が粒子保持部位としてアミノ基を有する場合(例えば、一般式(II)のZがジアルキルアミノエチルである場合)、第1の液体として酸性の液体、第2の液体としてアルカリ性の液体を挙げることができまる。すなわち、酸性の液体に該微粒子を含め、該酸性の液体にラテックス粒子を浸漬すると、ラテックス粒子は膨潤する。膨潤中に該微粒子が粒子内に侵入する。その後、ラテックス粒子をアルカリ性の液体に浸漬すると、ラテックス粒子は収縮し、ラテックス粒子内該微粒子が保持ないしは固定される。
また、ラテックス形成に関与するモノマーとしてスチレンを用い、該スチレンのモノマー比が高いモノマー群を用いて得られたラテックス粒子の場合、第1の液体として水/アセトン混合溶媒を挙げることができる。水/アセトン混合溶媒に該微粒子を予め含ませておき、該混合液にラテックス粒子を浸漬する。浸漬中にラテックス粒子は膨潤し、該膨潤ラテックス粒子内に該微粒子が混入する。浸漬後、ラテックス粒子を乾燥し、水/アセトン混合溶媒を除去することにより、第1の粒子(特性付与粒子)をラテックス粒子内に保持ないしは固定することができる。
以上により、本発明に従うポリマーラテックス粒子または磁性体もしくは標識を含有するポリマーラテックス粒子、さらに所望ならば、水性媒体中で粒子表面上または親水性ポリマーセグメント鎖により該表面から離れた位置に存在することになるリガンド導入用基を介してリガンドが共有結合したポリマーラテックス粒子も提供できる。これらの粒子は、臨床診断用の診断剤として、または生体内に存在する特定の分子を単離、精製するためのアフィニティー担体等に使用できる。これらの分野での使用に際しては、マクロマーとして一般式(I−a)のマクロマーと一般式(I−b)のマクロマーを用いたラテックス粒子が、それらの表面への夾雑タンパク質等の非特異的吸着を殆どないし全く防止できるので好ましい。
以下、具体例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
マクロマーの合成例1:
VB−PEG−NH2の合成
アルゴン下、反応容器に0.25mol/Lのアセトン−K+テトラヒドロフラン(THF)溶液(8mL、2mmol)および2mol/Lのビニルベンジルアルコール(VBA)THF溶液(1mL、2mmol)を加え30分間撹拌した後、エバポレータにより溶媒を除去した。残存物(メタル化したVBA)をTHF(10mL)に溶解させた後、再度エバポレートすることでほぼ完全にアセトンの除去を行った。その後、反応容器に溶媒としてTHF(40mL)を加えメタル化したVBAを溶解した。
次にエチレンオキシド(EO;11.2mL、228mmol、仕込み分子量5000)を加え水冷下で2日間撹拌し重合を行った。少量をサンプリングした後、GPC測定を行いPEGの分子量を確認した。反応はEO重合後の反応溶液にトリエチルアミン(1.39mL、10mmol)を加えた溶液を、メタンスルホニルクロライド(「MSC」と略記する場合がある、0.465mL、6mmol)/THF(20mL)溶液に1時間30分かけて滴下することで停止させた。
精製はエーテル沈殿、ベンゼン凍結乾燥、減圧乾燥により行い、末端をメタンスルホニル(MS)化したVB−PEG−MSを得た。
得られたVB−PEG−MSに28%アンモニア水溶液(200mL、およそ15000倍モル量)を加え室温で1日間撹拌した。その後、エバポレータによりアンモニアの除去、溶液の濃縮を行った。濃縮した溶液を蒸留水に対して透析することで精製を行い(透析膜:MWCO1000(Spectrum Laboratory社製)、2日間、蒸留水を5回交換)、その後凍結乾燥することにより、VB−PEG−NH2(または化合物1)を得た。
ゲル浸透クロマトグラム(GPC)により、PEGの分子量が6000程度(繰返し単位(CH2CH2O)nのnが130〜140に相当)であることを確認した。回収したポリマーの収量は11.3gであった(仕込み総量11.967g、VB−PEG−MSの1H−NMRチャートの積分値からVBおよびMSの導入率を計算するとほぼ100%導入されていることがわかった。
マクロマーの合成例2:VB−PEG−OHの合成
2M VBA/THF溶液1mL(2mmol)、0.25Mアセトン−カリウムTHF溶液8ml(2mmol)をアルゴン下、室温で反応容器に加え、室温で15分間攪拌してVBAのカリウムアルコキシド溶液を得た。この反応混合物から減圧乾燥でアセトンを留去した。その後、THF60mLを加え、さらに冷却したシリンジでエチレンオキシド6.8mL(0.14mol)を加えて室温で2日間攪拌して開環重合を行った。その後、メタノール3mLを加えて反応を止めた。この反応混合溶液を、−15℃に冷却したイソプロピルアルコールに注ぎ、マクロマーを沈殿させ、遠心分離操作(6000r.p.m.,40分間、−10℃)を行い、マクロマー(化合物2)を回収し、凍結乾燥して溶媒を除去した。
得た化合物が目的物(化合物2またはVB−PEG−OHという)であることは、上記に記載した測定条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー製 HLC−8020)及び核磁気共鳴測定装置(日本電子製 JEOL EX−400(400MHz))により確認した。VB−PEG−OHの1H−NMRスペクトルを図2に示す。GPCの結果から、PEG鎖の分子量は2850、分子量分布Mw/Mn=1.04である。
ビニル基の導入率は1H−NMRスペクトラムより算出し、ほぼ定量的に導入されているのを確認した。
マクロマーの合成例3:アセタール−PEG/PLA−メタクリロイルの合成
カリウム−ナフタレン/THF溶液の調製法
ナフタレンの入ったアルゴン雰囲気下の容器にTHFを加え溶解させ、氷冷しながらナフタレンに対して1.05倍モル量の柱状カリウムを加え、1日間攪拌させた。この溶液を塩酸滴定して0.3263Mカリウム−ナフタレン/THF溶液を調製した。
アセタール−PEG/PLA−メタクリロイルの合成
THF40mL、3,3’−ジエトキシ−1−プロパノール0.32mL(2mmol)をアルゴン雰囲気下の容器に室温で加え、0.3263Mカリウム−ナフタレン/THF溶液6.2mL(2mmol)を加え15分間攪拌してカリウムアルコキシド溶液を得た。この溶液に、冷却したシリンジでエチレンオキシド11.3mL(0.23mol)を加えて室温で2日間攪拌して開環重合を行い、アセタール−PEG−OHを合成した。この重合溶液に1mol/L DL−ラクチド/THF溶液8.4ml(8.4mmol)を加えて室温で3時間攪拌し、さらに重合反応を行った。その後、無水メタクリル酸4.5mL(28mmol)を加え、室温で2日間攪拌して反応を止めた。このマクロマー混合溶液を−15℃に冷却したイソプロピルアルコールに注ぎ、マクロマーを沈殿させた。遠心分離操作(6000r.p.m.,40分間、−10℃)を行い、マクロマーを回収した。さらにマクロマーをイソプロピルアルコールに注ぎ、マクロマーを沈殿させた。遠心分離操作(6000r.p.m.,40分間、−10℃)によってマクロマーを精製する操作をした後、ベンゼンにマクロマーを溶解し凍結乾燥を行ってマクロマー(化合物3またはアセタール−PEG/PLA−メタクリロイルともいう)を回収した。
得た化合物が目的物であることは、上記に記載した測定条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー製 HLC−8020)及び核磁気共鳴測定装置(日本電子製 JEOL EX−400(400MHz))により確認した。GPCの結果から、PEG鎖の分子量は5530、分子量分布Mw/Mn=1.03である。アセタール−PEG/PLA−メタクリロイルのラクチド鎖(PLA)の分子量はGPCの結果であるPEG鎖分子量及び1H−NMRスペクトラムより算出し、150である。ビニル基の導入率は1H−NMRスペクトラムより算出し、ほぼ定量的に導入されているのを確認した。
実施例1:磁性ラテックス粒子A−1の調製
5重量%ポリビニルアルコール(PVA)水溶液(40mL)を有する反応容器に上述で得たVB−PEG−NH2(0.5g、繰返し単位(CH2CH2O):130〜140個に相当)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート50重量%水溶液(アルドリッチ、分子量:2,000、4.8mL、0.25g、繰返し単位(CH2CH2O):45〜50個に相当)、フェリコロイド(FC、1mL)、スチレン(St、3.3mL、3g)、過硫酸カリウム(KPS)(0.2g)を加え、撹拌しながらアスピレータを用いて減圧脱気した。その後、減圧の系内をアルゴンを詰めることで常圧にした。i)減圧脱気後、ii)アルゴンで常圧にする、というi)及びii)の一連の作業を3回繰り返した。スリーワンモーターを用いて500rpm、60℃で36時間撹拌した後、磁性ラテックス粒子A−1を有する溶液を回収した。回収した溶液を適量(10〜20mL程度)の蒸留水に1滴加え、軽く溶液を振って分散させた後、強力な磁石を用いて磁性ラテックス粒子A−1を沈降させた。上澄みを取り除き、沈降した磁性ラテックス粒子A−1を再度蒸留水に分散させた。その後、上澄み及び沈殿を分散させた溶液の動的光散乱(DLS)測定を行い、その結果、磁性ラテックス粒子A−1の粒径は、0.67μmであった。
実施例2:磁性ラテックス粒子A−2の調製
5重量%PVA水溶液(40mL)を有する反応容器に上述で得たVB−PEG−NH2(0.5g)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート50重量%水溶液(アルドリッチ、分子量:2,000、4.8mL、0.25g)を加え、HClを用いてpH4にした。その後、FC(1mL)、St(3.3mL、3g)、KPS(0.2g)を加え、撹拌しながらアスピレーターを用いて減圧脱気し、減圧の系内をアルゴンを詰めることで常圧にした。i)減圧脱気後、ii)アルゴンで常圧にする、というi)及びii)の一連の作業を3回繰り返した。スリーワンモーターを用いて500rpm、60℃で48時間撹拌した後、磁性ラテックス粒子A−2を有する溶液を回収した。回収した溶液を適量(10〜20mL程度)の蒸留水に1滴加え、軽く溶液を振って分散させた後、強力な磁石を用いて磁性ラテックス粒子A−2を沈降させた。上澄みを取り除き、沈降した磁性ラテックス粒子A−2を再度蒸留水に分散させた。その後、上澄み及び沈殿を分散させた溶液のDLS測定を行い、その結果、磁性ラテックス粒子A−2の粒径は、0.51μmであった。
<PEG化磁性ナノ粒子の非特異吸着特性の確認>
遠心分離と磁石とを用いた分離により精製した磁性ラテックス粒子A−2(濃度:2.5mg/mL)及びカルボン酸表面基を有する市販フェライトビーズB−1(濃度:2.5mg/mL)を調製し、この両サンプル溶液を3mLずつ取り、永久磁石上に配置したネジロ試験管中で静置した。ここで磁石に引かれて沈殿したものと上澄みを分離して、上澄みを捨て新たにPBSを3mL加えてVoltex(10s、speed8)洗浄、上澄み除去という操作を3回繰り返した。これに45mg/mLのBSA(ウシ血清アルブミン:人体中とほぼ同濃度)3mLを加え、室温1時間静置した。1時間後に磁石で粒子を固定し上澄みのBSA−PBSを除去しこれにPBS3mLを加えてVoltex(10s、speed8)で粒子をリンスし、上澄みを除去する操作を3回繰り返した後、SDS−PBS2.5mLに1時間浸漬させて粒子表面に付着したBSAを剥がしとった。1時間後Voltex(10s、speed8)で粒子をリンスし、この上澄み液2mLにBSA溶液2mLを加え60℃で1時間インキュベートした。1時間後UV−vis分光計で波長562nmにおける吸光度を測定した。予め作成した検量線より吸着BSA濃度を算出した。
算出された結果、磁性ラテックス粒子のBSA吸着量は約0.0015mg/mlであり、フェライトビーズのそれ(0.02mg/ml)の約13分の1であった。また初期BSA濃度(45mg/ml)の約27800分の1の量であることがわかった。この非特異吸着の減少の主因は粒子の周りを覆うPEGの高い運動性によって、タンパク質を排除しているものと考えられる。そのため裸のFe粒子(フェライト粒子)との差が大きく現れたものと考えられる。
実施例3:ビオチン化磁性ラテックス粒子及びビオチン化フェライトビーズの調製
<フェライトビーズB−1のビオチン化>
2.5mg/mlフェライトビーズ超純水溶液12mlを遠心分離(3600rpm/30分/5℃)して、上澄みを除去して新たに超純水12mlを加えて再分散させた。このうち6mlを分取した。これにEDC(N−エチル−N’−(ジメチルアミノプロピルカルボジイミド))3ml及びNHS(N−ヒドロキシスクシミド)3mlの混合溶液を加え10分間静置した。10分後、該混合溶液を遠心分離(3600rpm/20分/5℃)して上澄みを除去し、新たに超純水6mlを加えて再分散させた。これに1mg/mlのビオシチンヒドラジド水溶液1mlを加えて30分間静置した。30分後、得られた溶液を遠心分離(3600rpm/10分/5℃)して上澄みを除去し、新たに同量の超純水を加え再分散をさせた。これに2−アミノエタノール3mlを加えて20分間静置した。これを遠心分離(3600rpm/5分/5℃)して上澄みを除去し、新たに超純水を加えるという操作を3回繰り返し、ビオチン化フェライトビーズB−2を得た。
<磁性ラテックス粒子A−1のビオチン化>
2.5mg/ml磁性ラテックスA−2水溶液4mlを遠心分離(10,00rpm/30分/5℃)して上澄みを除去後、同量の超純水を加え0.1mg/mlの活性エステルビオチンを2ml加えて20分間静置した。その後0.15mol/dm3NaCl水溶液で洗浄し、ビオチン化磁性ラテックス粒子A−3を得た。
ビオチン化磁性ラテックス粒子A−3、磁性ラテックス粒子A−1、ビオチン化フェライトビーズB−2、及びフェライトビーズB−1の4種類の粒子水溶液を各100μL(粒子濃度2.5mg/mL)とり、テキサスレッドストレプトアビジン(texasredstreptavidin)0.01mg/mL(6.7×10−7モル/L)、FITC−BSA0.045mg/mL6.7×10−7モル/L)を各500μLずつ加えた。このまま1時間静置して、1時間後に磁石で粒子を固定して慎重に試験管内の溶液を1mLとり、PBS水溶液を1mL加えて希釈し、Voltexで再分散させることで洗浄した。1回洗浄する毎にテキサスレッドとFITCの蛍光画像をCCDカメラで取り込み画像解析した。
得られた画像から、FITC−BSA吸着量(図1)及びストレプトアビジン吸着量(図2)の洗浄回数による変化を各々の粒子についてグラフ化した。なお、ビオチンは、アビジンと特異的な吸着又は結合を示す物質である一方、BSAとは不所望な吸着又は結合(非特異的な吸着又は結合)を示す物質である。
図1から、ビオチン化磁性ラテックス粒子A−3及び磁性ラテックス粒子A−1は、洗浄を2回又は3回行うことにより、BSAの吸着がほぼゼロとなっていることがわかる。一方、ビオチン化フェライトビーズB−2及びフェライトビーズB−1は、洗浄を10回行ってもBSAの吸着が観察される。このことから、ビオチン化磁性ラテックス粒子A−3及び磁性ラテックス粒子A−1は、非特異的な吸着が抑制されている一方、ビオチン化フェライトビーズB−2及びフェライトビーズB−1、特にビオチン化フェライトビーズB−2は、非特異的な吸着が観察されることがわかる。
図2のビオチン化磁性ラテックス粒子A−3と磁性ラテックス粒子A−1との結果を比較することにより、ビオチン化磁性ラテックス粒子A−3は、複数回洗浄しても特異的な吸着又は結合により、ストレプトアビジンが吸着している一方、磁性ラテックス粒子A−1は、ビオチンを有していないため、2回洗浄を行うことにより、ストレプトアビジンの吸着量がほぼゼロとなっていることがわかる。したがって、図2から、ビオチンによる特異的吸着又は結合が観察された。
以上、図1及び図2から、ビオチン化磁性ラテックス粒子A−3は、ビオチンを有することにより特異的吸着が発現し、且つ短鎖のPEGによって非特異的吸着を抑制できることが観察された。
実施例4:安息香酸表面処理フェライト粒子およびアセタール−PEG/PLA−メタクリロイルの共存下でのスチレンの分散重合
(1) 安息香酸ビニル修飾フェライト粒子の調製
水150mLに塩酸を加えてpHを1.7に調節した。この溶液にFeCl30.405g(1.5×10−3M)およびFeSO40.250g(9.0×10−4M)を加えて撹拌し、溶解した。この溶液にアンモニア溶液を加えpHが9になるまで激しく撹拌した。その後、溶液に安息香酸ビニル1.776g(0.024M)を加えて静置した後、凍結乾燥して、標題の表面処理フェライトを得た。
(2) (1)で得られた安息香酸ビニル修飾フェリコロイド0.045gをスチレン4mlに分散させ、次いで水45ml、マクロマーの合成例3に従って製造したアセタール−PEG/PLA−メタクリロイル0.1gおよび過酸化ベンゾイル0.085gを加えた。撹拌、脱気後、N,N−ジメチルアニリン0.1gを加え、400rpmで撹拌し、重合反応を20時間続けた。こうして得られるラテックス粒子は半径粒径200nmであった。
同一条件下でN,N−ジメチルアニリンの代わりに加熱(60℃)重合させると全く分散しない巨大会合体が生成し、均一磁性粒子を作製することができなかった。
それぞれ得られたラテックス粒子の様子を示す図に代わる写真を図3として提出する。ここで、(a)がレドックス開始剤を用いた場合のラテックスであり、(b)が加熱下にラジカル開始剤を用いた場合のラテックスである。
ソープフリー重合によるポリスチレンラテックスの調製例
スチレン4mL、蒸留水45mL、過硫酸カリウム0.024gを100mLフラスコに加え、アルゴンバブリングを10分間行った後、350rpmで撹拌しながら70℃、5時間反応させた。その後SEMによって粒径を撹拌したところ、平均粒径1μmの単分散スチレンラテックスが調製された。
実施例5:シード重合
上記のポリスレンラテックスの調製例で調製したスチレンラテックス分散液(0.078g/mL;粒径=1μm)の31mL、蒸留水45mL、スチレン2.6mL、ビニル安息香酸修飾フェリコロイド0.13g(実施例4で調製したもの)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.048g、アセタール−PEG/PLA−メタクリロイル(マクロマーの合成例3で調製したもの)を200mL丸底フラスコに加え、10分間撹拌した後、市販のHO−PEG−OH(MW=6,000)4gの水溶液10mLを加え、脱気した後12時間撹拌した。この分散液を70℃で24時間、270rpmで撹拌しながら反応させた。得られた分散ラテックスは高い分散安定性を示すとともに、磁石によくくっつく磁性ラテックス粒子が得られた。得られた磁性ラテックス粒子の分散状態を表す図に代わる顕微鏡写真を図4に示す。
本発明によれば、水性媒体中に均一かつ安定に分散するポリマーラテックス粒子が提供できるこのラテックス粒子は磁性体等を安定に内包でき、また、粒子表面への夾雑タンパク質等の非特異的吸着を著しく抑制できたものである。したがって、限定されるものでないが、本発明は臨床診断剤を提供し、さらにはそれらを利用する産業で利用できる。
Claims (29)
- (i) 片末端に重合可能なエチレン性基を有し、疎水性ポリマーセグメントを介するかもしくは介することなく、他の片末端側に親水性ポリマーセグメント(ここで、このセグメントはリガンド導入用基で末端化(terminated)されていてもよい。)を有するマクロマー、
(ii) 1種もしくは2種以上のラテックス形成に関与するモノマー、
(iii) 重合開始剤、および
(iv) 場合によって、存在してもよい磁性体または標識
を含んでなる水性媒体中で、該水性媒体を撹拌しながら重合反応を行うことを特徴とするラテックスポリマー粒子の製造方法。 - 重合開始剤がレドックス開始剤である請求項1の方法。
- 磁性体または標識が存在する請求項2の方法。
- 親水性ポリマーセグメントがポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(デキストラン)、ポリ(デキストリン)およびゼラチンからなる群より選ばれる水溶性ポリマー由来のセグメントであり、そして疎水性セグメントがポリ(ラクチド)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(α−および/もしくはβ−ベンジルアスパラギン酸)および(γ−ベンジルグルタミン酸)からなる群より選ばれる水難溶性ポリマー由来である請求項2の方法。
- マクロマーが、疎水性ポリマーセグメントを有さず、そして親水性ポリマーセグメントがポリ(エチレングリコール)由来である請求項2の方法。
- マクロマーが、疎水性セグメントを有さず、そして他の片末端側のポリ(エチレングリコール)セグメントがヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、活性エステル型の保護されたヒドロキシル基、活性エステル型の保護されたカルボキシル基、アセタール型の保護されたアルデヒド基、有機スルホニルで保護されたヒドロキシル基、反応性の保護されたアミノ基およびC1−C4アルコキシル基からなる群より選ばれる基で末端化されている、請求項2の方法。
- 重合反応が、予め(ii)に記載のラテックス形成に関与するモノマーを用いて形成したラテックス粒子の共存下で行われる請求項1の方法。
- ラテックス形成に関与するモノマーが、スチレン、α−メチルスチレン、p−ブロモスチレン、ビニルトルエン、1−ビニルナフタレン、(メタ)アクリル酸C1〜C4アルキルおよびジビニルベンゼンからなる群より選ばれる請求項7の方法。
- 磁性体が存在する請求項7の方法。
- 磁性体が疎水化処理されたものである請求項7の方法。
- マクロマーが、2種類存在し、第一のマクロマーが一般式(I−a):
で表され、そして
第二のマクロマーが一般式(I−b):
で表され、
上記各式中、Rは独立して、水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
Lは独立して、(CH2)aO、COO、OCO、CONH、(CH2)aNH、フェニレン(C6H4)、フェニレンオキシ(C6H4O)、オキシフェニレン(OC6H4)、ベンジルオキシ(C6H4CH2O)またはオキシベンジル(OCH2C6H4)を表し(ここでaは1〜3の整数であり、各基は記載された方向で上記の各式中に組み込まれる。)、
nは11〜10,000の整数を表し、
mは各nに関連してn数より10以上小さい整数を表し、
X(またはポリ(エチレングリコール)セグメントが末端化された基)は、(CH2)bもしくはCO(CH2)bを介するかまたは介することなく結合したヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、活性エステル型の保護されたヒドロキシル基、活性エステル型の保護されたカルボキシル基およびアセタール型の保護されたアルデヒド基からなる群より選ばれる基を表し、そして
Yは水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基またはハロゲンもしくは炭素原子数1〜3のアルキル基もしくはアルコキシ基でベンゼン環が置換されていてもよいベンジル基を表す、)
の請求項1または2の方法。 - 1種もしくは2種以上のラテックス形成に関与するモノマーがスチレン、α−メチルスチレン、p−ブロモスチレン、ビニルトルエン、1−ビニルナフタリン、(メタ)アクリル酸C1−C4アルキルおよびジビニルベンゼンからなる群より選ばれる請求項11の方法。
- 磁性体が存在する請求項2の方法。
- 磁性体が疎水化処理されたものである請求項14の方法。
- 磁性体または標識が存在しない請求項1の方法。
- 請求項16に記載の方法によりラテックスポリマー粒子を製造し、次いで該ラテックス粒子を膨潤させうる液体であって、磁性粒子または標識を懸濁させた液体中に前記ラテックスポリマー粒子を浸漬し、その後、前記ラテックスポリマー粒子を収縮させて、該ラテックスポリマー粒子中に磁性粒子または標識を混入させることを特徴とするラテックスポリマー粒子の製造方法。
- 使用される総モノマー重量当たり、
a) 片末端に重合可能なエチレン性基を有し、疎水性ポリマーセグメントを介するかもしくは介することなく、他の片末端側に親水性ポリマーセグメント(ここで、このセグメントはリガンド導入用基で末端化(terminated)されていてもよい。)を有するマクロマー0.5〜99.5重量%、および
b) 1種もしくは2種以上のラテックス形成に関与するモノマー0.5〜99.5重量%の重合によって得られる高分子材料であって、動的光散乱(DLS)光度計で測定した場合に平均粒径0.01μm〜5μmを有し、粒子の表層(シエル)領域に親水性ポリマーセグメントが存在する、ことを特徴とするポリマーラテックス粒子。 - 磁性体または標識が粒子の核(コア)領域に混入している請求項18のラテックス粒子。
- b)のラテックス形成に関与するモノマーが、その重量当たり、3〜97重量%のモノマーは予めラテックス粒子の形成に用いられている請求項18または19のラテックス粒子。
- ラテックス形成に関与するモノマーから本質的になるラテックス粒子に磁性体が付着もしくは混入されており、かつ該ラテックス粒子表面に、少なくともa)のマクロマーおよびb)のラテックス形成に関与するモノマーに由来するポリマーセグメントが存在する請求項18のラテックス粒子。
- マクロマーの親水性ポリマーセグメントがポリ(エチレングリコール)セグメントである請求項21のラテックス粒子。
- マクロマーが疎水性ポリマーセグメントを有さず、そして親水性ポリマーセグメントがポリ(エチレングリコール)に由来するセグメントである請求項18のラテックス粒子。
- マクロマーが、疎水性セグメントを有さず、そして他の片末端側のポリ(エチレングリコール)セグメントがヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、活性エステル型の保護されたヒドロキシル基、活性エステル型の保護されたカルボキシル基、アセタール型の保護されたアルデヒド基、有機スルホニルで保護されたヒドロキシル基、反応性の保護されたアミノ基およびC1〜C4アルコキシル基からなる群より選ばれる基で末端化されている請求項23のラテックス粒子。
- マクロマーが、2種類存在し、第一のマクロマーが、一般式(I−a):
で表され、そして
第二のマクロマーが一般式(I−b):
で表され、
上記各式中、Rは独立して、水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
Lは独立して、(CH2)aO、COO、OCO、CONH、(CH2)aNH、フェニレン(C6H4)、フェニレンオキシ(C6H4O)、オキシフェニレン(OC6H4)、ベンジルオキシ(C6H4CH2O)またはオキシベンジル(OCH2C6H4)を表し(ここでaは1〜3の整数であり、各基は記載された方向で上記の各式中に組み込まれる。)、
nは11〜10,000の整数を表し、
mは各nに関連してn数より10以上小さい整数を表し、
X(またはポリ(エチレングリコール)セグメントが末端化された基)は、(CH2)bもしくはCO(CH2)bを介するまたは介することなく結合したヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、活性エステル型の保護されたヒドロキシル基、活性エステル型の保護されたカルボキシル基およびアセタール型の保護されたアルデヒド基からなる群より選ばれる基を表し、そして
Yは水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜6のアルキル基またはハロゲンもしくは炭素原子数1〜3のアルキル基もしくはアルコキシ基でベンゼン環が置換されていてもよいベンジル基を表す、)
の請求項24のラテックス粒子。 - 1種もしくは2種以上のラテックス形成に関与するモノマーがスチレン、α−メチルスチレン、p−ブロモスチレン、ビニルトルエン、1−ビニルナフタリン、(メタ)アクリル酸C1−C4アルキルおよびジビニルベンゼンからなる群より選ばれる請求項25のラテックス粒子。
- 高分子材料が誘導されるモノマーとして、一般式(II):
(上式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、
R1は単結合、(CH2)a、CH=CH、COO、OCO、CONH、(CH2)aNH、フェニレン(C6H4)、フェニレンオキシド(C6H4O)、オキシフェニレン(OC6H4)、ベンジルオキシ(C6H4CH2O)またはオキシベンジル(OCH2C6H4)を表し(ここで、aは1〜3の整数であり、各基は記載された方向で該式中に組み込まれる。)、
Zは水素原子、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、アミド基、ウレタン基およびウレア基からなる群より選ばれる基を表す、)
が共存する請求項23のラテックス粒子。 - ポリ(エチレングリコール)セグメントが末端化された基を介してリガンドが共有結合されている請求項24または25のラテックス粒子。
- 磁性粒子が混入しており、該磁性粒子が疎水化処理されたものである請求項25または28のラテックス粒子。
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