JPWO2004045805A1 - 回転研磨材 - Google Patents
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Abstract
Description
また、日本国における特開平9−174444号公報に記載の「研磨ディスク」のように、円盤状の基板の表面に、サンドペーパー等の研磨シートを放射状に配列したタイプの回転研磨材が知られている。
このタイプの回転研磨材にあっては、使用に伴い研磨対象物と研磨シートとの間に摩擦熱が発生し、この摩擦熱によって、研磨シートの劣化や研磨対象物の変質が発生する恐れがあった。
また、回転研磨材を用いる際においては、荒削りを行なうための、荒目のサンドペーパーを備えた回転研磨材と、仕上げを行なうための、細目のサンドペーパーを備えた回転研磨材とを使い分けていたが、その際、回転工具に回転研磨材をいちいち付け替えたり、異なる回転研磨材を取り付けた回転工具を別々に用意していた。
よって上記の問題に鑑み、本願発明は、研磨対象物と研磨シートとの間に発生する摩擦熱を除去できる、回転研磨材を提供することを第1の課題とする。
また、回転研磨材自体を取り替えることなく、例えば、荒目の研磨シートと細目の研磨シートを切り換えて用いることができる、回転研磨材を提供することを第2の課題とする。
また、本願の請求の範囲第2項に記載の発明は、上記の研磨シート取付部12が、基板11の径外方向に突出するように複数設けられた突出部12であって、空気導入部15は、突出部12同士の間に存在する空間であり、研磨シート14が突出部12に取り付けられたことを特徴とする、請求の範囲第1項に記載の回転研磨材を提供する。
また、本願の請求の範囲第3項に記載の発明は、上記の各突出部12の外周部12c同士を連結するようにして外周連結部16が形成されたことにより、空気導入部15が、基板11と突出部12と外周連結部16とにより囲まれたものであることを特徴とする、請求の範囲第2項に記載の回転研磨材を提供する。
また、本願の請求の範囲第4項に記載の発明は、研磨シート14が表面に配列された円盤状物体であり、これを回転工具Gに取り付けることにより、対象物を研磨することができる回転研磨材10において、この回転研磨材10は、平面視が円盤状であって、その中心を回転工具Gの回転軸Sに取り付け可能な基板11を備え、基板11の表面側の少なくとも一部には研磨シート14が取り付けられたものであり、この基板11には、裏面側から表面側へと貫通する空間であって、回転研磨材10の回転に伴い、裏面側から表面側へと気流が通過する空気導入部15が設けられたことを特徴とする回転研磨材を提供する。
また、本願の請求の範囲第5項に記載の発明は、研磨シート14,23が表面に配列された円盤状物体であり、これを回転工具Gに取り付けることにより、対象物を研磨することができる回転研磨材10において、この回転研磨材10が第1部材1と第2部材2と取付位置調整手段25とからなるものであり、第1部材1は、基板11と突出部12とを備え、基板11は、平面視が円盤状であって、その中心を回転工具Gの回転軸Sに取り付け可能なものであり、突出部12は、基板11の径外方向に突出するように複数設けられたものであって、突出部12同士の間には研磨シート挿入空間15を有するものであり、研磨シート14が突出部12の、一方側の表面に取り付けられたものであり、第2部材2は、基板21を備え、基板21は、平面視が円盤状であって、その中心を回転工具Gの回転軸Sに取り付け可能なものであり、研磨材23が、基板21の一方側の表面であり、かつ、平面視において、第1部材1の研磨シート挿入空間15に相当する位置に配位されたものであり、取付位置調整手段25は、第1部材1と第2部材2とを組み合わせた際に、軸方向の位置関係を調整するための手段であり、第1部材1と第2部材2を、各基板11,21の中心を一致させるように組み合わせることにより、第1部材1の研磨材14と第2部材2の研磨材23とが交互に配位されるものであり、第1部材1に対して、第2部材2の研磨シート23が出没可能とされたものであることを特徴とする回転研磨材を提供する。
また、本願の請求の範囲第6項に記載の発明は、研磨シート14,23が、回転研磨材10の回転方向に対して傾斜して配位されたことを特徴とする、請求の範囲第2項、第3項、第5項のいずれかに記載の回転研磨材を提供する。
図2(A)は、第1実施例の回転研磨材において、第1部材に対して第2部材が没した状態を示す斜視図であり、図2(B)は同状態における側面視の要部説明図である。
図3(A)は、第1実施例の回転研磨材において、第1部材に対して第2部材が突出した状態を示す斜視図であり、図3(B)は同状態における側面視の要部説明図である。
図4は、第1実施例の回転研磨材において、第1部材と第2部材と連結部材との組み合わせ方を示す斜視図である。
図5(A)は、第1実施例の回転研磨材において、連結部材を示す平面図であり、図5(B)は同正面図、図5(C)は同底面図である。
図6は、第1実施例の回転研磨材において、第1部材を連結部材に取り付けた状態を示す平面視の説明図であって、図6(A)は係合時、図6(B)は第1部材がずれた場合を示す。
図7は、第1実施例の回転研磨材において、第1部材の基板と突出部とを示す平面図であり、図中点線部分は、外周連結部を示す。
図8(A)は、第1実施例の回転研磨材において、第1部材を示す、側面視の要部説明図であり、図8(B)及び図8(C)は他の例を示す側面視の要部説明図である。
図9(A)は、本願発明の他の例に係る回転研磨材を示す斜視図であり、図9(B)は同側面視の要部説明図である。
図10は、本願発明の他の例に係る回転研磨材を示す斜視図である。
図11は、本願発明の実施のうちの第2実施例に係る回転研磨材の、裏面側から見た斜視図である。
図12は、本願発明の実施のうちの第2実施例に係る回転研磨材の、表面側から見た斜視図である。
本実施例に係る回転研磨材10は、図1に示すように、グラインダー等の回転工具Gの回転軸Sに取り付けて用いるものである。この回転研磨材10の基本的な構成は、従来の回転研磨材と同様であり、回転工具Gの回転軸Sから動力を伝達されて回転する基板の表面に、サンドペーパー等の研磨シートを取り付けた円盤状物体である。
回転研磨材10の、回転工具Gに対する取り付けは、回転工具Gの回転軸Sを、回転研磨材10の中心(本実施例においては、連結部材25の中心)に設けられた挿通穴25kに通し、固定ナットNを回転軸Sにねじ込むことによってなされる。
本実施例における回転研磨材10の外観は、図2,図3に示すようなものであり、これは、2種の部材1,2を、図4に示すように軸方向(回転軸Sの方向)に組み合わせて一体としたものである。以下に、この部材の各々を第1部材1、第2部材2と称して説明する。
第1部材1には、図4や図7に示すように、合成樹脂製の基板11と突出部12とが設けられている。
基板11は、本実施例においては、外観が円環状のものである。この基板11の中央部分には、連結部材25を受容するための嵌合穴13が設けられている。なお、この嵌合穴13に取り付けられる連結部材25は、回転工具Gの回転軸Sに取り付けられ、回転工具Gの動力を第1部材1へと伝達するものである。
そして、研磨シート取付部としての突出部12が基板11の径外方向に、基板11と一体に設けられ、その一方側の面(表面、図4における下側方向)に研磨シート14が接着されている。
突出部12同士の間は空間となっているが、この空間が空気導入部15であり、また、研磨シート挿入空間15ともなる。なお、この空間は、第1部材1の使用方法によって、空気導入部15と、研磨シート挿入空間15という、異なる作用を奏するものであり、以下においては、作用によって名称を使い分けるものとする。
突出部12に接着される研磨シート14は、サンドペーパーのように、紙や布等からなるシートの一方の面にダイヤモンド粒等の砥粒を塗布したものである。
本実施例においては、この研磨シート14を長方形にカットしたものを、突出部12に対して、砥粒の塗布された面が表側となるように、各研磨シート14の一部が周方向に重なり合うように配列し、接着剤等によって固定する。上記のようにして各研磨シート14が突出部12の表面上に配列されるため、図8(A)に示すように、研磨シート14は第1部材1の回転方向Rに対して図示下後方に傾斜している。
また、突出部12は側面視において、基板11に対して角度を持って形成されている。具体的には、図8(A)に示すように、第1部材1の回転方向Rに従い、図示上方に向かい傾斜するように形成したものである。また、回転方向Rにおける前端側端面12aと後端側端面12bには面取りがなされており、加えて、研磨シート14も傾斜して配列されているため、空気導入部15は回転方向Rに対して、突起物の無い、スムーズに傾斜した空間となっている。
このような空気導入部15の形状により、第1部材1を単独で回転工具Gに取り付けて使用する場合にあっては、第1部材1の回転に伴って、この突出部12が空気導入部15に存在する空気を、第1部材の裏側から表側への一方向(図8(A)に示す下方)に誘導する。そして、このように誘導された気流Fは空気導入部15を通り抜ける。そのため、第1部材1が回転している場合、この気流Fが常時発生し、研磨対象物と研磨シート14との間で発生した摩擦熱をこの気流Fが運び去るため、従来のように、摩擦熱の蓄積によって発生する、研磨シート14の劣化や研磨対象物の変質等の弊害をなくすことができる。また、この気流Fによって、研磨により発生する切粉を排除することもできる。
ここで、上記の作用に関して、出願人が10cm角の鋼板を3分間研磨する実験を同一条件にて行なったところ、従来の回転研磨材を用いた場合では鋼板の表面温度が80℃まで上昇したのに対し、本実施例の第1部材1を用いた場合では60℃までしか上昇しなかった。よって、上記の気流Fによる冷却作用が有効に作用していることが確認できた。
なお、突出部12については、上記のような空気を誘導する効果は弱くなるものの、構造を簡単にするために、図8(B)に示すように、基板11に対して平行に形成するものとしても良いし、図8(C)に示すように、表面が水平な、側面視三角形に形成しても良い。
上記に加えて、突出部12の平面視における形状は、図7に示すように、前端側端面12aが径方向であり、後端側端面12bが、径外方向に向かうにつれ回転方向Rの後側に向かうように傾斜して形成されている。突出部12の、上記に説明したような、側面視における傾きと、このような平面視における形状により、突出部12がファンにおける羽根のような作用をし、空気導入部15に存在する空気を効率良く誘導し、気流Fを発生させることができる。
また、図9に示すように、突出部12の裏面側の略周方向に沿って突出するような整流板17と、前端側端面12aの裏面側(図9(B)上の上側)に、回転方向Rにおける前側に突出するように空気導入用突起18とを形成した場合は、空気導入部15に対して、更に空気を効率良く誘導し、気流Fを発生させることができる。
また、図10に示すように、上記の整流板17と、突出部12の径方向における先端部分に斜面19とを形成し、前端側端面12aの寸法を絞ることにより、第1部材1の回転抵抗を減少させて、より効率良く気流Fを発生させることができる。
また、図7に点線で示したように、各突出部12の外周部12c同士を連結するようにして外周連結部16を形成し、空気導入部15が、基板11と突出部12と外周連結部16とにより囲まれたものとしても良い。更には、後述する第2実施例(図11,図12参照)のように、図7における基板11と突出部12と外周連結部16とを一体とした形態の基板11を形成し、この基板11に貫通穴状の空気導入部15を設けたものとしても良い。なお、この場合、第1実施例における基板11は、第2実施例における基板11の中央部分11xに相当し、第1実施例における突出部12は、第2実施例における基板11の周囲部分11yに相当する。
ここまでは、第1部材1を単独で回転工具Gに取り付けて使用する場合について説明したが、以下に、第1部材1と第2部材2とを組み合わせて使用する場合を説明する。
なお、本実施例においては、第1部材1を単独で回転工具Gに取り付けて使用する場合においても、第1部材1と第2部材2とを組み合わせて使用する場合においても、連結部材25を必ず使用するものであり、この連結部材25を介して、回転工具Gの動力を各部材1,2に伝達する。なお、この連結部材25の形状や機能についての詳細は、後に述べる。
第2部材2の基本的な形態は、第1部材1と同様であるが、こちらは、図4に示すように、基板21が平板状に形成される。
基板21の中央部には、第1部材1の場合と同様、連結部材25を受容するための嵌合穴22が設けられている。
また、平面視において、第1部材1の突出部12同士の間の空間である、研磨シート挿入空間15に相当する位置には、基板21に対して、第1部材1における研磨シート14と同様の傾斜を持って研磨シート23が配列されている。本実施例においては、基板21に径方向に形成された切欠に研磨シート23の端部を挟んだ上で接着剤等によって固定している。
なお、本実施例においては、第1部材1に用いる研磨シート14よりも、第2部材2に用いる研磨シート23の方が細かい砥粒を用いた、いわゆる細目の研磨シートとしている。ただし、各研磨シート14,23の組み合せは、これに限られるものではなく、上記と逆に、第2部材2に対して荒目の研磨シートを用いたものであっても良い。もちろん、同一の荒さの研磨シートを用いたものであっても良い。
そして、基板21の嵌合穴22には、取付位置調整手段である連結部材25が取り付けられる。
連結部材25は、図4,図5に示すように円筒状のものであって、内部には回転工具Gの回転軸Sを通すための挿通穴25kが、軸方向に設けられている。また、外側面には鍔状の突起25a,25d,25g,25mが設けられている。なお、突起25a,25d,25gについては、連結部材25の周方向の全周にわたって設けられてはおらず、基板21と第1部材1の基板11とを取り付けるために、一部が切欠部25b,25e,25hとして切り欠かれている。そして、切欠部25b,25e,25hは図5(A)(C)に示すように、点対称の位置に形成されている。
この突起25a,25d,25g,25mの間に形成される係合溝25c,25f,25iに各基板11,21を配位することによって、連結部材25と第2部材2及び第1部材1との連結がそれぞれなされる。また、連結部材25の突起25a,25d,25gの一方側終端部には、係合溝25c,25f,25iを塞ぐようにしてストッパー25p,25q,25rが設けられている。
ここで、連結部材25と第1部材1との取り付けについては、連結部材25の側面に形成した嵌合溝25fに第1部材1の基板11を配位することによりなされる。
具体的には、基板11から嵌合穴13に突出した突起11aを、連結部材25の側面の突起25dを切り欠くようにして形成した切欠部25eに通すことによって嵌合溝25fに配位させ、その後、突起11aがストッパー25rに当接するまで、基板11を連結部材25に対してねじり、固定する。
一方、連結部材25と第2部材2との取り付けについても、基本的には上記の第1部材1の場合と同様であるが、この場合においては、第2部材2を連結部材25の端面側(図5(B)にて上方側の端面)を基準として、手前側と奥側の2段階に、軸方向の取付位置を変更できるようになっている。第2部材2を手前側に配位する際には、連結部材25に形成された、突起25a,切欠部25b,手前側嵌合溝25c,ストッパー25pが、また、奥側に配位する際には、連結部材25に形成された、突起25g,切欠部25h,奥側嵌合溝25i,ストッパー25qがそれぞれ機能する。
具体的には、基板21から嵌合穴22に突出した突起21aを、連結部材25の側面の突起25aを切り欠くようにして形成した切欠部25bに通すことによって手前側嵌合溝25cに配位させ、その後、突起21aがストッパー25pに当接するまで、基板21を連結部材25に対してねじり、第2部材2を手前側に固定する。
また、同様に突起25gを切り欠くようにして形成した切欠部25hに通すことによって奥側嵌合溝25iに配位させ、その後、突起21aがストッパー25qに当接するまで、基板21を連結部材25に対してねじり、第2部材2を奥側に固定する。
ここで、それぞれの切欠部25b,25hは平面視において、所定角度ずらせて形成したものである。よって、第1部材1を手前側嵌合溝25cに配位した状態から移動させ、奥側嵌合溝25iに配位させる際には、第2部材2の突起21aを、切欠部25hに一致させるように周方向にねじるだけで良く、特殊な動作は一切不要である。
連結部材25と、各部材1,2との間には、脱落防止手段が設けられている。ここで、第1部材1の基板11を連結部材25の嵌合溝25fに配位する場合を例にあげて説明する。
第1部材1の基板11には、連結部材25の切欠部25eに対応する突起11aが、嵌合穴13に突出するように形成されており、そして、この突起11aの略中間部には係止用切欠部11bが形成されている。他方、連結部材25においても、この係止用切欠部11bに対応する位置に係止用突出部25nが形成されている。
この係止用突起部25nが脱落防止手段となり、これにより第1部材1が軸方向に脱落することを防止できる。
すなわち、図6(A)に示すように、第1部材1を連結部材25に係合させるときは、第1部材1の係止用切欠部11bを、連結部材25の係止用突起部25nの位置に合致させて、突起11aを突起25mに当接させた状態で、図6(A)中の矢印F方向に回転させつつ、係合溝25fの終端であるストッパー25rに当接するまで嵌め込んでいき、第1部材1と連結部材25とを係合させることができる。
上記のように、第1部材1を連結部材25に係合させ、連結部材25を回転工具Gに取り付けて研磨作業を行なうのであるが、例えば、研磨作業中に第1部材1が研磨対象物に接触した状態で電源が切られる等して、回転工具Gが急に停止した場合、図6(B)に示すように、第1部材1のみが相対的に、元々動作していた矢印Sの方向に慣性の法則に従って回転する。これにより、第1部材1のみが、連結部材25との係合が解除する方向(矢印Sの方向)に回動する。このようにして、突起11aが元々当接していた一方のストッパー25rから離れ、他方のストッパー25rに衝突して、その回転が停止する。
この図6(B)に示した状態において、第1部材1の係止用切欠部11bと、連結部材25の係止用突起部25nとの位置が少しずれた状態となるように、あらかじめぞれぞれの位置を設定しておく。この位置関係により係止用突起部25nが脱落防止手段としての機能を果たす。
また、図6(A)に示すように、第1部材1と連結部材25とを係合する場合には、これらの係止用切欠部11bと係止用突起部25nとを合致させて係合することができるように、両者の位置をあらかじめ設定しておく。
なお、上記においては、第1部材1の場合を例にあげて説明したが、第2部材2についても同様であって、これにより、第1部材1と第2部材2とを同時に連結部材25に取り付けた場合であっても、上記と同様の作用をなすものである。
上記に説明したように、連結部材25の側面に形成された、2箇所の嵌合溝25c,25iのうちいずれかの嵌合溝を選択して、第1部材2の基板21を配位することにより、第1部材1に対する第2部材2の軸方向の位置を2段階に調整することができる。これにより、第1部材1の研磨シート14の間から第2部材2の研磨シート23を出没可能とするように配位することができる。
よって、第1部材1の突起11aを、連結部材25の手前側嵌合溝25cに配位した際においては、図2に示すように、第1部材1の研磨シート14に対して、第2部材2の研磨シート23が没した状態となる。つまり、研磨シート14のみが表側に現れるものであるため、本実施例の場合は、荒目である研磨シート14にて研磨加工(荒削り)を行なうことができる。
次に、第1部材1の突起11aを、第2部材2の連結部材25の奥側嵌合溝25iに配位した際においては、図3に示すように、第1部材1の研磨シート14に対して、第2部材2の研磨シート23が突出して覆った状態となる。このため、本実施例の場合は、細目である研磨シート23にて研磨加工(仕上げ)を行なうことができる。
上記のように、第1部材1に対する第2部材2の位置は、連結部材25の嵌合溝25c,25iを選択することにより切り換えができ、その切り換えについても、第2部材2を連結部材25に対してねじることで、容易に行なうことができる。
よって従来のように、加工に応じて、いちいち回転研磨材自体を回転工具Gに対して取り換えたり、異なる回転研磨材を取り付けた回転工具Gを使い分けたりすることなく、簡単に切り換えることができる。
本願発明については、上記に説明した実施例の形態に限られず、種々の形態に変更して実施することができる。
例えば、上記の第1実施例の場合、第1部材1の突出部12同士の間における空間の機能として、第1部材1を単独で用いる際には空気導入部15となり、また、第2部材2と組み合わせて用いる際には、第2部材2の研磨シート23を受容するための研磨シート挿入空間15となるものとしているが、第2部材2の基板21にも、第1部材1の研磨シート挿入空間15に相当する位置に切欠を形成したり、基板21をメッシュ構造のものとすることによって、研磨シート挿入空間15に気流が通るようにしても良い。これにより、第1部材1と第2部材2とを組み合わせて使用する場合であっても、過熱防止や切粉除去の機能を持たせることができる。
また、連結部材25の外側面に形成する嵌合溝の数を増やすことによって、上記の第1実施例においては、第1部材1と第2部材2との間での位置の切り換えが2段階であったものを、3段階以上の調節を可能なものとし、2種の研磨シートを同時に使用して加工できるようにしても良い。
次に、第2実施例に係る回転研磨材を取り上げて説明する。図11及び図12は、本実施例の回転研磨材を示す斜視図である。なお、本実施例に係る回転研磨材についても、特に区別を要する部分以外は、上記の第1実施例と同一の記号を付して説明する。
本実施例に係る回転研磨材は、上記の第1実施例において、第1部材1を単独で用いた場合の変形例を示している。
本実施例に係る回転研磨材においても基板11が設けられている。この基板11は、図11に示すように外観が円環状のものであって、上記第1実施例における突出部12を含んだものである。この基板11の中央部分には、第1実施例と同様に、連結部材25を受容するための嵌合穴13が設けられている。
そして、基板11の一方側の面(表面)に、第1実施例と同様の研磨シート14が接着されている。具体的には、図12に示すように、研磨シート14は基板11の中央部分11xには取り付けられず、周囲部分11yに取り付けられる。
本実施例における空気導入部15は、図12に示すように、基板11の中央部分11xにおいて、表面側から裏面側へと貫通する貫通穴15aと、図11に示すように、貫通穴15aに連通するものであって、基板11の裏面側において、中央部分11xから周囲部分11yにかけて形成された空気取入溝15bとからなっている。
貫通穴15aは、図12に点線で示すように、裏面側から表面側へと向かうにつれ、回転研磨材の回転方向Rの側へ傾斜して設けられている。そして、空気取入溝15bは、基板11の中央部分11xに位置する貫通穴15aから、基板11の径外方向であり、かつ、回転研磨材の回転方向Rへ向かう曲線を描き、加えて、幅が径外方向へ向かうにつれ徐々に広がるような形状とされている。また、空気取入溝15bよりも回転方向Rの前方側においては、図11に示すように、基板11の側面がカットされた斜面11zが形成されており、回転研磨材の回転に伴い、空気をスムーズに空気導入部15に導くことができるようになっている。
上記のような形態の空気流通部15及び斜面11zを基板11に形成することにより、回転研磨材の回転に伴って、空気が斜面11z、空気取入溝15bを経て、貫通孔15aに誘導される。そして、このように誘導された気流が貫通孔15aを通過して、基板11の表面側に噴出する。そのため、回転研磨材が回転している場合、この気流が常時発生し、研磨対象物と研磨シート14との間で発生した摩擦熱をこの気流が運び去るため、上記の第1実施例と同様にして、摩擦熱の蓄積によって発生する、研磨シート14の劣化や研磨対象物の変質等の弊害をなくすことができる。また、この気流によって、研磨により発生する切粉を排除することもできる。
なお、本実施例においては、貫通孔15aが基板11の中央部分11xに設けられた形態を示したが、これに限定されるものではない。例えば、周囲部分11yに貫通孔15aを設け、研磨シート14同士の間から空気を噴出させるものとしても良い。また、上記の第1実施例における突出部12に、第2実施例のような空気導入部15や貫通孔15aを設けても良く、その他種々の形態にて実施が可能である。
ここで、上記の第2実施例に係る回転研磨材を試作し、従来の回転研磨材との比較テストを行ったので説明する。
この比較テストは、研磨対象物としてステンレス板(SUS304)を用い、各回転研磨材をディスクグラインダーに取り付け、回転数11000min−1にて研磨し、研磨対象物の研磨量と、回転研磨材の重量の減少量(ホイールロス量)を3分毎に測定し、延べ30分間にわたって行った。なお、各回転研磨材は、番手が60の研磨シート14を、回転研磨材の1つあたりに80枚を配位したものを用いた。
結果は表1の通りであり、従来のものよりも本願発明に係る回転研磨材の方が研磨対象物を多く削り取ることができた。よって、気流を回転研磨材の表面側から噴出させ、摩擦熱を取り去りながら研磨作業を行う方が、より効率良く研磨できることが明らかとなった。
本願発明は、下記の有利な効果を有するものである。
本願の請求の範囲第1項または第4項に記載の発明にあっては、回転研磨材の回転に伴って、空気導入部を常時通過する気流が発生する。そのため、研磨対象物と研磨シートとの間で発生した摩擦熱をこの気流が運び去り、摩擦熱の蓄積によって発生する、研磨シートの劣化や研磨対象物の変質等の弊害をなくすことができる。
また、本願の請求の範囲第2項または第3項に記載の発明にあっては、回転研磨材の回転に伴って、突出部が空気導入部に存在する空気を一方に誘導し、気流が発生する。そしてこの気流は、回転研磨材の回転中、常時、空気導入部を通り抜ける。そのため、研磨対象物と研磨シートとの間で発生した摩擦熱をこの気流が運び去り、摩擦熱の蓄積によって発生する、研磨シートの劣化や研磨対象物の変質等の弊害をなくすことができる。
また、本願の請求の範囲第5項に記載の発明にあっては、第2部材に対する第1部材の位置を容易に切り換えできるため、必要な加工に応じて、回転研磨材自体を回転工具に対してその都度取り換えたり、異なる回転研磨材を取り付けた、別々の回転工具を使い分けたりすることなく、楽に研磨作業を行うことができる。
また、本願の請求の範囲第6項に記載の発明にあっては、上記請求の範囲第2項、第3項、第5項のいずれかの発明の効果に加え、特に突出部同士の間を空気導入部として用いる場合、空気導入部が研磨シートによって傾斜して形成されるため、回転研磨材の回転中、空気導入部にスムーズに気流を流すことができる。
Claims (6)
- 研磨シート(14)が表面に配列された円盤状物体であり、これを回転工具(G)に取り付けることにより、対象物を研磨することができる回転研磨材(10)において、
この回転研磨材(10)には、基板(11)と研磨シート取付部(12)とを備え、
基板(11)は、平面視が円盤状であって、その中心を回転工具(G)の回転軸(S)に取り付け可能なものであり、
研磨シート取付部(12)は、基板(11)の径外方向に延長して設けられたものであって、表面側には研磨シート(14)が取り付けられたものであり、
基板(11)あるいは研磨シート取付部(12)には、裏面側から表面側へと貫通する空間であって、回転研磨材(10)の回転に伴い、裏面側から表面側へと気流が通過する空気導入部(15)が設けられたことを特徴とする回転研磨材。 - 上記の研磨シート取付部(12)が、基板(11)の径外方向に突出するように複数設けられた突出部(12)であって、
空気導入部(15)は、突出部(12)同士の間に存在する空間であり、
研磨シート(14)が突出部(12)に取り付けられたことを特徴とする、請求の範囲第1項に記載の回転研磨材。 - 上記の各突出部(12)の外周部(12c)同士を連結するようにして外周連結部(16)が形成されたことにより、空気導入部(15)が、基板(11)と突出部(12)と外周連結部(16)とにより囲まれたものであることを特徴とする、請求の範囲第2項に記載の回転研磨材。
- 研磨シート(14)が表面に配列された円盤状物体であり、これを回転工具(G)に取り付けることにより、対象物を研磨することができる回転研磨材(10)において、
この回転研磨材(10)は、平面視が円盤状であって、その中心を回転工具(G)の回転軸(S)に取り付け可能な基板(11)を備え、
基板(11)の表面側の少なくとも一部には研磨シート(14)が取り付けられたものであり、
この基板(11)には、裏面側から表面側へと貫通する空間であって、回転研磨材(10)の回転に伴い、裏面側から表面側へと気流が通過する空気導入部(15)が設けられたことを特徴とする回転研磨材。 - 研磨シート(14,23)が表面に配列された円盤状物体であり、これを回転工具(G)に取り付けることにより、対象物を研磨することができる回転研磨材(10)において、
この回転研磨材(10)が第1部材(1)と第2部材(2)と取付位置調整手段(25)とからなるものであり、
第1部材(1)は、基板(11)と突出部(12)とを備え、
基板(11)は、平面視が円盤状であって、その中心を回転工具(G)の回転軸(S)に取り付け可能なものであり、
突出部(12)は、基板(11)の径外方向に突出するように複数設けられたものであって、突出部(12)同士の間には研磨シート挿入空間(15)を有するものであり、
研磨シート(14)が突出部(12)の、一方側の表面に取り付けられたものであり、
第2部材(2)は、基板(21)を備え、
基板(21)は、平面視が円盤状であって、その中心を回転工具(G)の回転軸(S)に取り付け可能なものであり、
研磨材(23)が、基板(21)の一方側の表面であり、かつ、平面視において、第1部材(1)の研磨シート挿入空間(15)に相当する位置に配位されたものであり、
取付位置調整手段(25)は、第1部材(1)と第2部材(2)を組み合わせた際に、軸方向の位置関係を調整するための手段であり、
第1部材(1)と第2部材(2)を、各基板(11,21)の中心を一致させるように組み合わせることにより、第1部材(1)の研磨材(14)と第2部材(2)の研磨材(23)とが交互に配位されるものであり、
第1部材(1)に対して、第2部材(2)の研磨シート(23)が出没可能とされたものであることを特徴とする回転研磨材。 - 研磨シート(14,23)が、回転研磨材(10)の回転方向に対して傾斜して配位されたことを特徴とする、請求の範囲第2項、第3項、第5項のいずれかに記載の回転研磨材。
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