JPWO2004042401A1 - 癌細胞の検査方法及びそのための試薬 - Google Patents

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Abstract

高価な装置を用いることなく、簡便に効率良く癌細胞の検査を行うことができる方法及びそのための試薬が開示されている。本発明の癌細胞の検査方法では、SF−25抗原を細胞表面上に発現している、生体から分離された癌細胞を、該癌細胞と抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片との抗原抗体反応を利用して磁性ビーズに結合させる。次いで、磁性ビーズを磁力により集め、磁性ビーズ上に結合された前記癌細胞を検査する。

Description

本発明は、癌細胞の検査方法及びそのための試薬に関する。
従来より、細胞上に発現される特徴的な抗原をマーカーとして利用し、該特徴的抗原を発現している細胞を収集することが行われている。現在、最も一般的に行われている方法は、蛍光標識した抗体を細胞上の抗原と反応させ、細胞上に結合された抗体の蛍光標識を利用したフローサイトメトリーに基づいて細胞を分離する方法であり(例えば、日経バイオ最新用語辞典第5版「セルソーター」の項)、この装置はセルソーターと呼ばれている。しかしながら、セルソーターは1台が数千万円もする高価な装置であり、便利ではあるが、収集される細胞集団の純度は必ずしも満足できるほど高くはない。
また、細胞表面上に発現されるマーカー抗原に対する抗体を固定化した磁性ビーズを用いて該マーカー抗原を細胞表面上に発現している細胞を分離、収集する方法も知られている(例えば、特表平8−510390号公報及び特表2001−522806号公報)。しかしながら、磁性ビーズを用いて収集した細胞集団の核酸を検索し、癌の検査に用いることは知られていない。
本発明の目的は、高価な装置を用いることなく、簡便に効率良く癌細胞の検査を行うことができる方法及びそのための試薬を提供することである。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、抗SF−25抗体を利用して、SF−25抗原を発現している癌細胞を磁性ビーズに結合させて収集し、磁性ビーズ上に結合された細胞を検査することにより、癌の診断を行うことができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、SF−25抗原を細胞表面上に発現している、生体から分離された癌細胞を、該癌細胞と抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片との抗原抗体反応を利用して磁性ビーズに結合させ、次いで、磁性ビーズを磁力により集め、磁性ビーズ上に結合された前記癌細胞を検査することを含む癌細胞の検査方法を提供する。また、本発明は、抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片を固定化した磁性ビーズを含む、上記本発明の方法を行うための癌細胞検査用試薬を提供する。
本発明の方法によれば、セルソーターのような高価な装置を用いることなく、簡便に効率良く癌細胞の検査を行うことができる。磁性ビーズの収集は、磁石を用いた装置又は磁石を用いて手動で行うことができ、セルソーターを用いる場合に比べて遥かに安価に行うことができる。また、磁性ビーズを用いた本発明の方法では、セルソーターを用いる場合に比べ、収集される細胞の純度が高く、すなわち、SF−25抗原発現細胞のみを的確に収集することができ、このため、その後の検査も効率良く正確に行うことができる。
図1は、本発明の実施例において、急性ATL患者、慢性ATL患者、くすぶり型ATL患者、健常ATLキャリア及び健常人(HTLV−1非感染者)の末梢血中の単核球を被検試料とし、抗SF−25モノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリーにより測定した、全単核球中のSF−25抗原陽性単核球の割合を示す図である。
図2は、本発明の実施例において、種々濃度のpX遺伝子を増幅した際の、蛍光強度−サイクル数の関係を示す図である。
上記の通り、本発明の癌細胞の検査方法では、SF−25抗原を細胞表面上に発現している、生体から分離された癌細胞を、該癌細胞と抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片との抗原抗体反応を利用して磁性ビーズに結合させる。
SF−25抗原は、1987年に発見された分子量約125kDaの公知の糖タンパク抗原である(WO89/05307,欧州特許第0 397 700号、米国特許第5,212,085号、Takahashi H,Wilson B,Ozturk M,Motte P,Strauss W,Isselbacher KJ and Wands JR.in vivo localization of colon adenocarcinoma by monoclonal antibody binding to a highly expressed cell surface antigen.Cancer Research 1988;48:6573−6579.、Wilson B,Ozturk M,Takahashi H,Motte P,Kew M,Isselbacher KJ and Wands JR.Cell surface changes associated with transformation of human hepatocytes to the malignant phenotype.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1988;85:3140−3144.、Takahashi H,Carlson R,Ozturk M,Sun S,Motte P,Strauss W,Isselbacher KJ,Wands JR and Shouval D.Radioimmunolocalization of hepatic and pulmonary metastasis of human colon adenocarcinoma.Gastroenterology 1989;96:1317−1329.、Hurwitz E,Stancovski I,Wilcheck M,Shouval D,Takahashi H,Wands JR,Sela M.A conjugate of 5−Fluorourodine−poly(L−lysine)and an antibody reactive with human colon carcinoma.Bioconjugate Chemistry 1990;1:285−290.、Wands JR,Takahashi H.Studies on cell surface changes associated with transformation of human hepatocytes to the malignant phenotype and their role as potential immunotargeting sites.In Frontiers of Mucosal Immunology.Volume 2.Eds by Tsuchiya M.1991 pp.295−298.Hurwitz E,Adler R,Shouval D,Takahashi H,Wands JR,Sela M.Immunotargeting of daunomycin to localized and metastatic human colon adenocarcinoma in athymic mice.Cancer Immunology Immunotherapy 1992;35:186−192.、Takahashi H,Nakada T,Puisieux I.Inhibition of human colon cancer growth by antibody−directed human LAK cells in SCID mice.Science 1993;259:1460−1463.、Takahashi H,Nakada T,Nakaki M,Wands JR.Inhibition of hepatic metastases of human colon cancer in nude mice by a chimeric SF−25 monoclonal antibody.Gastroenterology 1995;108:172−182.)。SF−25抗原は、ヒト大腸癌細胞株(例えば、LS 180(ATCC No.CL0187),COLO 320(ATCC No.CCL−220.1),WiDr(ATCC No.CCL−218),Caco−2(HTB−37)や、ヒト肝癌細胞株(例えばFOCUS(Lun H.et al.,in Vitro 20;493−504(1984))の表面上に発現していることが知られている。また、抗SF−25モノクローナル抗体も公知であり(WO89/05307,欧州特許第0 397 700号、米国特許第5,212,085号)、抗SF−25モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマがATCCに寄託されている(ATCC No.HB9599)。
抗SF−25抗体は、モノクローナル抗体であることが好ましい。上記の通り、抗SF−25モノクローナル抗体は公知であり、寄託もされている。寄託されている、ハイブリドーマATCC No.HB9599により産生されるモノクローナル抗体は、上記したヒト肝癌細胞株FOCUSを免疫原としてマウスに免疫し、常法によリモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作製し、得られたモノクローナル抗体のうち、上記した各種ヒト大腸癌細胞株と抗原抗体反応するモノクローナル抗体を選択することにより得られた。本発明の方法には、この寄託された抗SF−25モノクローナル抗体を用いることもできるし、同様な方法で作製される他のモノクローナル抗体を用いることもできる。なお、ATCC No.HB9599を記載しているWO89/05307,欧州特許第0 397 700号及び米国特許第5,212,085号の実施例に具体的に記載されているように、上記の方法により、抗SF−25モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、ATCC No.HB9599以外にも1回の作製操作で多数得られているから、抗SF−25モノクローナル抗体は、公知の方法により容易に作製可能なものであり、したがって、本発明の方法に用いられるモノクローナル抗体は、寄託されたハイブリドーマが産生するものに限定されるものでは全くない。また、抗体自体のみならず、FabフラグメントやF(ab’)フラグメントのような、抗原との結合性を有する断片も用いることができる。
磁性ビーズは、ラテックス粒子やポリスチレン粒子に、フェライトを配合する等の方法により磁性を持たせた粒子であり、これに抗原又は抗体を担持させたものは免疫測定の分野において周知であり、市販もされている。本発明の方法においては、免疫測定用の市販の磁性ビーズを好適に使用することができる。また、本発明に用いる磁性粒子としては、SF−25抗体を介して結合する標的細胞以外の細胞を非特異的な相互作用によって吸着しない粒子が望まれ、好適にはダイナビーズ(商品名、Dynal Biotech社製)等を用いることが出来る。
SF−25抗原を細胞表面上に発現している、生体から分離された癌細胞を、該癌細胞と抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片との抗原抗体反応を利用して磁性ビーズに結合させる方法には、直接法と間接法があり、いずれをも採用することができる。直接法は、磁性ビーズに抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片を固定化し、これと癌細胞との間の抗原抗体反応により、癌細胞を磁性ビーズに直接結合させる方法である。直接法は、抗原抗体反応が1回でよいので迅速、簡便に実施できる利点がある。
磁性ビーズに抗体又はその抗原結合性断片を固定化する方法自体は周知である。例えば、抗体又はその抗原結合性断片の溶液に磁性ビーズを加え、磁性ビーズ上に抗体又はその抗原結合性断片を物理吸着させることにより行うことができる。この場合、混合物中の抗体又はその抗原結合性断片の濃度は、特に限定されないが、通常、0.001〜1重量%程度であり、磁性ビーズの濃度は、特に限定されないが、通常、0.1〜50重量%程度である。また、物理吸着の条件は特に限定されないが、通常、4℃〜45℃で0.5時間〜48時間程度インキュベートすることにより行うことができる。なお、磁性ビーズ上への抗体又はその抗原結合性断片の固定化は、物理吸着に限定されるものではなく、他の公知の方法、例えば磁性ビーズ上に結合されたアミノ基やカルボキシル基等の官能基を利用して共有結合させる方法等を採用することも可能である。
一方、間接法は、癌細胞と、標識した又は標識していない抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片とを抗原抗体反応させて、該抗体又はその抗原結合性断片を細胞に結合させ、次いで若しくはこれと同時に、該抗体若しくはその抗原結合性断片又はこれに結合されている標識と、磁性ビーズとの特異的反応により、該抗体又はその抗原結合性断片を介して細胞を磁性ビーズに結合させる方法である。標識していない抗体又はその抗原結合性断片を用いる場合には、磁性ビーズには、該抗体又はその抗原結合性断片と抗原抗体反応する抗体又はその抗原結合性断片を固定化する。例えば、癌細胞と反応させる抗SF−25抗体がマウスIgGである場合には、磁性ビーズに抗マウスIgG抗体を固定化することができる。また、標識抗体又はその抗原結合性断片を癌細胞に結合させる場合には、その標識に対する抗体若しくはその抗原結合性断片又は該標識と特異的に結合する物質を磁性ビーズに固定化する。したがって、標識としては、抗原性を有し、癌細胞と抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片との抗原抗体反応を妨害しないものであれば、いずれのものをも採用することができる。例えば、下記実施例では、蛍光標識として周知のフルオレッセインイソチオシアネート(FITC)を標識として抗SF−25モノクローナル抗体に結合し、このFITCを、抗FITC抗体固定化磁性ビーズに結合させている。あるいは、標識としてビオチンを用い、アビジン又はストレプトアビジンのようなアビジン誘導体を固定化した磁性ビーズにビオチンを結合させてもよい。したがって、標識としては、また、ビオチンのような、他の物質と特異的に結合可能であり、癌細胞と抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片との抗原抗体反応を妨害しないものであれば、いずれのものをも採用することができる。なお、間接法で用いられる、抗マウスIgG抗体固定化磁性ビーズ、抗FITC抗体固定化磁性ビーズ及びストレプトアビジン固定化磁性ビーズ等は、免疫測定の分野で広く用いられており、汎用性が高いので市販もされている。本発明の方法では、これらの市販の磁性ビーズを好ましく用いることができる。
本発明の方法により、検査を行うことができる癌細胞としては、その表面上にSF−25抗原を発現している癌細胞であれば、いずれの癌細胞であってもよく白血病細胞、大腸癌細胞、小腸癌細胞、胃癌細胞、食道癌細胞、胆管癌細胞、胆のう癌細胞、甲状腺癌細胞、副甲状腺癌細胞、前立腺癌細胞、子宮癌細胞、卵巣癌細胞、絨毛上皮癌細胞、睾丸腫瘍細胞、膀胱癌細胞、腎癌細胞、副腎癌細胞、脳腫瘍細胞、悪性黒色種細胞、皮膚癌細胞、肺癌細胞、乳癌細胞、膵臓癌細胞、又は肝癌細胞を挙げることができる。白血病細胞としては、癌化したリンパ球や単核球を挙げることができる。なお、下記実施例1では、癌化したリンパ球である成人型T細胞白血病(adult T cell leukemia:ATL)を検査しているが、癌化したリンパ球上にSF−25抗原が発現していることはこれまでに知られていなかった。
本発明の好ましい態様では、被検試料として血液又は血液から分離された細胞が用いられる。上記した各種癌細胞のうち、白血病細胞は、血液中に含まれているから、血液又は血液から分離された細胞が本発明の方法の対象になるのは当然であるが、大腸癌細胞、胃癌細胞、肺癌細胞、乳癌細胞、膵臓癌細胞及び肝臓癌細胞等の固形癌細胞も、組織から剥離した細胞が血液、脳脊髄液、骨髄、胸水、腹水、膵液、十二指腸液、胆汁、糞便又は尿中に含まれているので、血液等を利用してこれらの固形癌細胞の検査も本発明の方法により可能になる。固形癌細胞を、臓器組織から採取する場合には、生検が必要となるが、本発明の方法によれば、臓器組織の生検に比べてはるかに採取が容易で安全な血液を被検試料として用いることができるので有利である。
直接法の場合、抗体又はその抗原結合性断片が固定化された磁性ビーズと癌細胞との抗原抗体反応の条件は、特に限定されないが、対象となる細胞(正常細胞と癌細胞の混合物)が既に分離されている場合には、細胞浮遊液と磁性ビーズとを、例えば、4℃〜45℃程度の温度下で0.5時間〜24時間程度接触させることにより行うことができる。この場合の、混合物中の細胞密度は、特に限定されないが、通常、1個/ml〜10個/ml程度であり、また、磁性ビーズの濃度は、特に限定されないが、通常、0.1重量%〜10重量%程度である。また、血液を磁性ビーズと接触させる場合には、例えば、4℃〜45℃程度の温度下で0.5時間〜24時間程度接触させることにより行うことができる。この場合の、混合物中の磁性ビーズの濃度は、上記と同様でよい。間接法の場合、癌細胞と抗原抗体反応させる抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片の濃度は、特に限定されないが、通常、0.001重量%〜1重量%程度であり、また、抗原抗体反応の条件は、癌細胞と抗SF−25抗体若しくはその抗原結合性断片との反応、及び、生成された抗原抗体複合物と、磁性ビーズ上の抗体又はその抗原結合性断片との反応のいずれも、上記した直接法と同様な条件下で行うことができる。また、間接法の場合、癌細胞と抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片との抗原抗体反応を先ず行い、ついで、生成された抗原抗体複合物を磁性ビーズと反応させてもよいし、癌細胞、抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片及び磁性ビーズを共存させて上記2つの反応を並行して行わせてもよい。また、標識として、ビオチン等の特異結合性物質を用いる場合には、各標識にとって周知の条件で反応を行えばよい。
次いで、磁性ビーズを磁力により集める。上記の通り、磁性ビーズを用いた免疫測定法は周知であり、磁力により磁性ビーズを収集するための装置も市販されているので、市販の装置を用いて容易に行うことができる。あるいは、単に磁石を用いて手動で行うこともできる。
以上の工程により、表面上にSF−25抗原を発現している細胞が磁性ビーズに結合される。次に磁性ビーズに結合された癌細胞の検査を行う。なお、検査に先立ち、磁性ビーズを緩衝液で洗浄し、磁力により再度収集する、洗浄工程を行うことが好ましい。細胞の検査自体は、各癌細胞について公知の方法により行うことができる。例えば、核酸検査、病理検査、生化学的検査等、各癌細胞であることを同定することができる検査を行う。下記実施例1及び3では、成人T細胞白血病(ATL)患者由来の単核球からDNAを採取し、プロウイルス化した、ATLの原因ウイルスであるHTLV−Iの遺伝子をインバースPCR及びその後のサザンブロット法により検出することにより、ATLの診断を行っている。このような病原ウイルスや、各種癌のマーカー遺伝子を検出する核酸検査を好ましい例として挙げることができる。例えば、HTLV−1(ATL)、Rb(網膜芽細胞腫、肺癌、乳癌)、p53(大腸癌、乳癌、肺癌など)、WTI(Wilms腫瘍)、APC(大腸癌、胃癌)、p1b(悪性黒色腫、食道癌)、NFI(悪性黒色腫、神経芽腫)、NF2(髄膜腫、食道癌)、VHL(腎臓癌)、DPC−4(膵臓癌)、SMAD2(大腸癌)、PTEN(神経膠芽腫)、PTC(皮膚基底細胞癌)、int−2/hst−1/cycD1(頭頸部癌、食道癌、膀胱癌)、MDM−2(肉腫、脳腫瘍)、erbB1(多型グリオーマ、乳癌)、erbB2(neu)(乳癌、胃癌、卵巣癌)、c−myc(子宮癌、肺小細胞癌、乳癌)、N−myc(神経芽細胞腫、肺小細胞癌、肉腫)、H−ras(子宮癌)、K−ras(胃癌)、c−met(胃癌)、K−sam(胃癌)、AKT−1,AKT−2(S/T−PK)(ともに胃癌、卵巣癌)、Aurora−2(S/T−PK)(大腸癌)を挙げることができる。さらに、核酸検査以外でも、例えば、EGF受容体(乳癌等)、p53タンパク(大腸癌、肝臓癌)、血管上皮増殖因子(VEGF)(肝臓癌、大腸癌等)、TGF−β、annexin’−I等のような検査を例示することができる。また、各種の癌細胞においてユビクタスに発現の増加が認められる4F2遺伝子あるいはPCD1遺伝子の発現をRT−PCRで検索することが好ましい(実施例4参照)。これらの病原ウイルス遺伝子や癌マーカー遺伝子又はそのcDNAの塩基配列は公知であり、GenBank等のデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/Genbank/index.htmlで無料で利用可能)に収録されているので、上記病原ウイルス名又は癌マーカー名をキーワードにして検索することにより、その塩基配列を容易に知ることができる。病原ウイルス遺伝子や癌マーカー遺伝子の検出は、遺伝子又はcDNAの塩基配列がわかっていれば、例えば、該配列中の任意の領域をPCR等の周知の核酸増幅法により増幅し、増幅が起きるか否かを調べることにより、細胞がその病原ウイルス遺伝子若しくは癌マーカー遺伝子を有しているか又は細胞内で発現しているか否かを調べることができる。
PCR等の核酸増幅法やその後の増幅産物の検出方法は、この分野において周知であり、そのための試薬キット及び装置も市販されているので、当業者が容易に実施することができる。なお、PCRに用いるプライマーの長さは15塩基以上、好ましくは18塩基〜50塩基程度である。標的病原ウイルス遺伝子若しくは癌マーカー遺伝子又はそれらのcDNAの塩基配列の一部及びその相補鎖の一対をプライマーとして用い、被検核酸を鋳型として用いて核酸増幅法を行うと、被検核酸が増幅されるのに対し、検体中に被検核酸が含まれない場合には増幅が起きないので、増幅産物を検出することにより検体中に被検核酸が存在するか否かを知ることができる。増幅産物の検出は、増幅後の反応溶液を電気泳動し、バンドをエチジウムブロミド等で染色する方法や、電気泳動後の増幅産物をナイロン膜等の固相に不動化し、被検核酸と特異的にハイブリダイズする標識プローブとハイブリダイズさせ、洗浄後、該標識を検出することにより行うことができる。また、クエンチャー蛍光色素とレポーター蛍光色素を用いたいわゆるリアルタイム検出PCR(下記実施例参照)を行うことにより、検体中の被検核酸の量を定量することも可能である。なお、リアルタイム検出PCR用のキットも市販されているので、容易に行うことができる。さらに、電気泳動バンドの強度に基づいて被検核酸を半定量することも可能である。なお、被検核酸は、mRNAでも、mRNAから逆転写したcDNAであってもよい。被検核酸としてmRNAを増幅する場合には、上記一対のプライマーを用いたNASBA法(3SR法、TMA法)を採用することもできる。NASBA法自体は周知であり、そのためのキットも市販されているので、上記一対のプライマーを用いて容易に実施することができる。
病原ウイルス若しくは癌マーカー遺伝子若しくはそのcDNAは、核酸プローブを用いることによっても検出することができる。核酸プローブを用いる方法も周知であり、検出対象となる核酸の塩基配列がわかっていれば、その一部の領域に相補的な標識核酸プローブを対象核酸とハイブリダイズさせ、該標識を検出することにより行うことができる。プローブとしては、標的病原ウイルス遺伝子若しくは癌マーカー遺伝子又はそれらのcDNAの塩基配列の一部に相補的な核酸に蛍光標識、放射標識、ビオチン標識等の標識を付した標識プローブを用いることができる。被検核酸又はその増幅物を固相化し、標識プローブとハイブリダイズさせ、洗浄後、固相に結合された標識を測定することにより、検体中に被検核酸が存在するか否かを調べることができる。あるいは、測定用核酸を固相化し、被検核酸をハイブリダイズさせ、固相に結合した被検核酸を標識プローブ等で検出することも可能である。このような場合、固相に結合した測定用核酸もプローブと呼ばれる。
また、上記方法により磁気ビーズ上に捕捉した癌細胞の病理検査及び生化学的検査としては、次のようなものを例示することができる。病理検査としては、慢性骨髄性白血病におけるフィラデルフィア染色体の検出、胃癌細胞などで認められる印環細胞癌(signet−ring cell carcinoma)の検出、癌細胞の核に認められるコーヒービーン様所見の検出、あるいは癌細胞が発現する腫瘍マーカー、例えば、CEA(carcinoembryonic antigen)、AFP(alfa−feto protein)、CA19−9、DUPAN−2、TPA(tissue polypeptide antigen)等の検出が挙げられる。また、生化学的検査としては癌細胞が発現する前記腫瘍マーカーのELISAによる測定や癌が発現する酵素のアイソザイム(例えば、LDHアイソザイムや5’−NPD−Vアイソザイム)の測定が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
参考例1 ATLの検出
1. 試料の調製
急性ATL患者7名、慢性ATL患者5名、くすぶり型ATL患者9名、健常ATLキャリア42名及び健常人(HTLV−1非感染者)8名の末梢血から単核球を分離した。単核球の分離は、具体的に次のようにして行った。Lymphaprep(商品名)(Axis−Sheld PoC AS,Oslo,Norway)5mlを遠心管にとり、前記対象から得られたヘパリン加静脈血5mlを静かに重層する。その後400g、30分遠心し血漿と分離液の中間に帯上に浮遊する単核球を毛細管ピペットで回収した。回収した単核球をリン酸バッファー生理食塩水(PBS)を用いて3回遠心洗浄し、以下の実験に用いた。
2. フローサイトメトリー
マウス抗SF−25モノクローナル抗体(ATCC No.HB9599により産生)を常法により、FITCで標識し、得られた蛍光標識抗SF−25モノクローナル抗体を用い、上記1で分離した単核球についてフローサイトメトリーを行った。フローサイトメトリーは、具体的に次のようにして行った。PBS中に5×10/mlとなるよう調整した単核球浮遊液から、0.1mlずつ2本の小試験管に分注し、1本には希釈した蛍光標識抗SF−25モノクローナル抗体を10μl加え、他の1本には同様にFITC標識マウスIgG1を10μl加えた。10分ごとに静かに混和させながら、4℃30分間反応させた。反応終了後PBSを加え、2回遠心洗浄後フローサイトメーター(EPICS XL(商品名)、Coulter,Miami,Florida,U.S.A.)にアプライし、FITC標識マウスIgG1をコントロールとして約1万個の細胞をカウントし陽性細胞の比率を求めた。
上記フローサイトメトリーにより、全単核球中の、SF−25抗原を発現している単核球の割合を計測した。結果を下記表1及び図1に示す。
Figure 2004042401
表1及び図1から明らかなように、単核球上のSF−25抗原をマーカーとして利用することにより、ATLについて、健常人+健常キャリアの群と、急性+慢性+くすぶり型の群とは明瞭に区別することが可能である。
磁性ビーズを用いたSF−25抗原発現単核球の収集及びその核酸検査
SF−25抗原を発現している単核球の染色体DNAに、HTLV−I遺伝子がプロウイルス化して挿入されているか否かをインバースPCR及びサザンブロットにより調べた。これらは、具体的に次のようにして行った。
(1)SF−25抗原発現単核球の収集
くすぶり型ATL患者の末梢血から上記のようにして分離した単核球10をリン酸緩衝生食水(pH7.2、0.5%牛血清アルブミンおよび2mM EDTAを含む一以下バッファー)60μlに浮遊させた。次に、FITC標識したマウス抗SF−25モノクローナル抗体(ATCC No.HB9599により産生)溶液(濃度0.1%)10μlを加え4℃5分間反応させ、2回洗浄し未吸着の抗体を除去した。この細胞に90μlのバッファーを加え再浮遊させ、10μlのAnti−FITCマイクロ磁性ビーズ(Miltenyi Biotec GmbH,Bergish Gladbach,Germany粒子直径50nm)を加え、6℃15分間標識し、SF−25抗原を表面に有する単核球を磁性ビーズと結合させた。未吸着の磁性ビーズを除去するため細胞を2回洗浄後、500μlのバッファーに再浮遊させた。マックスミディセット(Miltenyi Biotec GmbH,Bergish Gladbach,Germany)を用いて、この細胞をMACS分離ポジティブセレクションMSカラム(Miltenyi Biotec GmbH,Bergish Gladbach,Germany)(一度バッファー500μlで洗浄したもの)にアプライし、磁力により磁性ビーズで標識された細胞(SF−25抗原陽性細胞)と磁性ビーズで標識されなかった細胞(SF−25抗原陰性細胞)を分画し、以下の実験で検体として用いた。
(2)インバースPCR
Takemoto Sらによる報告(Blood Vol 84 No9 3080−3085,1994)に基づき以下のように行った。DNAzol(Molecular Research Center,Inc.,Montgomery Rd.,Cincinnati,Ohio.)を用いて各検体より染色体DNAを抽出し、このDNAをSau3AIを用いて切断し、T4 DNA ligaseをもちいてセルフライゲーションを行った。この方法により、HTLV−1 5’LTR及びgag sequnceからなるものと、HTLV−1 3’−LTRと染色体DNAからなるものとができる。HTLV−1の5’proviral DNAからなるものを除く目的で、Sac IIで加熱処理した。このDNAをテンプレートとしてprimer 1:5’−aagccggcagtcagtcgtga−3’(HTLV−I 塩基配列の8946−8927)、primer 2:5’−aagtaccggcaactctgctg−3’(HTLV−I 塩基配列の8958−8977)で第一段階のPCRを行い、次いでnested primerとしてprimer 3:5’−gaaagggaaaggggtggaac−3’(HTLV−I 塩基配列の8924−8905)primer 4:5’−ccagcgacagcccattctat−3’.(HTLV−I 塩基配列の8986−9005)で第二段階のnested PCRを行った。各PCRはThermal Cyclerを用いて94℃20秒、55℃20秒、72℃30秒のサイクルを第一段階は50回、第二段階は35回行った。このPCR産物5μlをとり2%アガロースゲル電気泳動を行い、エチジウムブロマイドで染色後、バンドを確認しHTLV−Iのクローナルな組み込みの有無をみた。
(3)サザンブロット
上記の泳動産物を、ナイロンメンブランフィルターにトランスファーし、オリゴヌクレチド(5’−ctccaggagagaaatttagtacac−3’HTLV−I塩基配列の9012−9035)をプローブとしてHTLV−Iの組み込みを確認した。Takemotoらによる報告によると、この方法により染色体遺伝子を含むHTLV−1の3’LTRのU5領域が増幅されると考えられる。ATL患者におけるHTLV−1遺伝子の組み込みは各症例間でランダムであるが、1人の患者ATL細胞におけるHTLV−1遺伝子の組み込みはモノクローナルであり、染色体DNAを含むHTLV−1の3’LTRのU5領域を増幅することで、モノクローナルな増殖であるか否かを決定できる。事実彼らは染色体DNAを含むHTLV−1の3’LTRのU5領域のDNA sequence行うことによりそのことを確認している。
その結果、SF−25抗原を発現する単核球では、HTLV−Iプロウイルス化DNAが、モノクローナルに組み込まれており、SF−25陰性細胞では、HTLV−Iのプロウイルス化は検出されなかった。このことから、本発明の方法により、本発明の方法で、急性、慢性及びくすぶり型ATLが検出できることが確認された。
SF−25抗体感作磁性粒子の合成
細胞分離用磁性粒子(DYNAL社製、M−450 Goat anti−Mouse IgG)10mL(固形分300mg)をPBSで4回リンスした後、6mLのPBSに分散した。ここに、SF−25抗体(1.0mg/mL)を0.60mL添加し、20℃で4時間反応させた後、生理食塩水で洗浄してSF−25抗体で感作した磁性粒子を得た。得られた粒子は0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を添加したリン酸緩衝溶液(PBS)に固形分が2%となるように分散させた。
SF−25抗体感作磁性粒子の合成(化学的抗体感作法)
細胞分離用磁性粒子(DYNAL社製、M−270 Carboxylic Acid)100mgを、固形分濃度が5%になるようにMES緩衝溶液(5mM,pH6.0)に懸濁した。この磁性粒子のカルボキシル基に抗体を化学的に結合するために、水溶性カルボジイミド試薬であるEDC塩酸塩(1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライド)を20mg添加し、20℃で1時間反応させて活性化した後、HEPES緩衝溶液(0.1M,pH7.4)で一回洗浄し、同緩衝溶液2mLに分散させた。そこへ、SF−25抗体(1.0mL/mL)を0.4mL添加し、20℃で4時間反応させた後、生理食塩水で洗浄してSF−25抗体が化学的に結合された磁性粒子を得た。得られた粒子は0.1%BSAを添加したPBSに固形分が2%となるように分散させた。
KUT−2細胞の分離
健康人からクエン酸採血した血液5mLを遠心分離し、バフィーコートを採取した。これに0.17M塩化アンモニウム水溶液10mLを加え室温で10分放置したのち遠心分離し、得られた沈殿を2mM EDTA含有PBSで2回洗浄し、4.5mLの0.5%BSA及び0.6%クエン酸を含有するPBSに浮遊させ、1.2×10細胞/mLのヒト正常有核細胞浮遊液を得た。
10%FCS添加RPMI1640培地を用いて、37℃、5%COインキュベータで培養したKUT−2細胞(Hanada S,Tsubai F and Namba Y.The Characteristics of T−cell lines derived from peripheral blodd of patients with adult T−cell leukemia−lymphoma.Recent Advances in RES Research 1985;25:124−133)を遠心分離し、得られた沈殿を2mM EDTA含有PBSで2回洗浄し、4.0mLの0.5%BSA及び0.6%クエン酸含有PBSに浮遊させ、6.0×10細胞/mLのKUT−2細胞浮遊液を得た。上記で得た正常ヒト細胞浮遊液およびKUT−2細胞浮遊液から、表5に示した細胞仕込み数となるように両者を混合し、合計液量が1.0mLとなるように0.5%BSA及び0.6%クエン酸含有PBSで希釈した。この細胞混合液から、実施例2および実施例3で合成したSF−25抗体感作磁性粒子を用いてKUT−2細胞を標的として選択分離を試みた。細胞混合液1.0mLに実施例2および実施例3で合成したSF−25抗体感作磁性粒子を50μL(粒子分1mg)添加し、30分間4℃で転倒混和を行った。磁気分離により磁性粒子を分離し、0.5%BSA及び0.6%クエン酸含有PBSで3回洗浄して粒子に弱い相互作用で吸着した細胞を除去した後、2mM EDTA含有PBSで1回洗浄し、磁気分離して洗浄液を除去して核酸増幅反応に悪影響を及ぼすクエン酸を除いた。磁性粒子に捕捉された細胞から核酸を溶出するために、10mM Tris−HCl(pH8.3)で希釈したProteinase K溶液(0.8mg/mL)を50μL添加し、55℃で15分反応して細胞を溶解した。続いて、95℃で20分反応し、細胞溶解に用いたProteinase Kを失活させると共に、細胞由来の核酸増幅反応を阻害する物質を失活させた。
この核酸溶液から20μLずつを用いて、定量PCR法により磁性粒子に捕捉されたKUT−2細胞数と正常ヒト細胞数を定量した。KUT−2細胞の定量は、HTLV−1ウイルス由来のpX遺伝子領域内の102merを増幅・定量することによって行った。プライマーとプローブの配列は表2に示した。
正常ヒト細胞の定量方法は、β−グロビン遺伝子内の110merを増幅・定量することによって、捕捉したKUT−2細胞と正常ヒト細胞の合計数を求め、そこからKUT−2細胞の定量値を差し引くことで求めた。プライマーとプローブの配列は表3に示した。
定量PCRは、ABI PRISM 7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems社製)を用いた。DNAからの細胞数の定量には、50回の増幅過程において、蛍光強度が一定の基準値(Threshold:Th)を越えたサイクル数(Thサイクル)から、同時に作成した検量線に外挿して求めた。
このpX遺伝子およびβ−グロビン遺伝子の検量線作成には、一定量のKUT−2細胞、あるいは正常ヒト細胞に、Proteinase K溶液(0.8mg/mL)を添加し、55℃で15分反応して細胞を溶解したあと、95℃で20分反応して得られた核酸溶液の希釈系列を用いた。図2に、pX遺伝子を増幅した際の、蛍光強度−サイクル数の図を示した。0.5細胞から5×10細胞の範囲で定量的な増幅を確認した。このとき、(細胞数)=10^(30.77/3.46−Thサイクル/3.46)、相関係数r=1.00であった。
Figure 2004042401
Figure 2004042401
PCR反応液はホットスタート用試薬(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)を用い、表4に示す組成で使用した。その30μlに上記で得た核酸抽出液20μlを加えて増幅を行った。
Figure 2004042401
PCR条件は以下の通りに行った。
ポリメラーゼの活性化 95℃、10分間
PCRサイクル 60℃、60秒間
95℃、10秒間
このPCRサイクルは50回繰り返した。
得られたKUT−2細胞の定量値および正常ヒト細胞の定量値から、KUT−2細胞の捕捉率、純度を以下の計算式から求め、10回の測定値を平均して表5にまとめた。捕捉率(%)=捕捉したKUT−2細胞数÷仕込みKUT−2細胞数×100、純度(%)=捕捉したKUT−2細胞数÷(捕捉したKUT−2細胞数+捕捉した正常ヒト細胞数)×100。
Figure 2004042401
表5に示したように、SF−25抗体感作磁性粒子を用いることによって、簡便な操作で標的のKUT−2細胞を高効率・高純度で回収することができた。回収した細胞から溶出させたDNAは定量PCRに供するに十分な純度を有していた。本発明の方法により、細胞の遺伝子診断の精度アップが可能となり、癌などの疾患をより早期に発見する事が可能となる。
ヒト癌細胞からの核酸抽出および増幅
健常人からヘパリン採血した血液を遠心分離しバフィーコートを採取した。これをFicoll−Paque Plus(Amersham Pharmacia社製)に重層し、遠心分離した後にPBSに浮遊させ、ヒト正常有核細胞分画を採取した。
ヒト胃癌細胞OCUM−2M LN(Fujihara T,Sawada T,Chung K H−YS,Yashiro M,Inoue T and Sowa M.Establishment of lymph node metastatic model for human gastric cancer in nude mice and analysis of factors associated with metastasis)、肺癌細胞Calu−6(ATCC Number:HTB−56、J Fogh(editor).Human tumor cells in vitro.New York:Plenum Press;1975.pp.115−159.)、膵癌細胞Capan−2(ATCC Number:HTB−80、Dahiya R,Kwak KS,Byrd JC,Ho S,Yoon W,and Kim YS.Mucin synthesis and secretion in various human epithelial cancer cell lines that express the MUC−1 mucin gene.Cancer Research 1993;53:1437−1443.)、大腸癌細胞HT−29(ATCC Number:HTB−38、J Fogh(editor).Human tumor cells in vitro.pp.115−159.New York:Plenum Press;1975.)、子宮癌細胞HeLa(ATCC Number:CCL−2 Gey GO,Coffman WD and Kubicek MT.Tissue culture studies of the proliferative capacity of cervical carcinoma and normal epithelium.Cancer Research 1952;12:264−265.)をPBSに浮遊させ、一定濃度の細胞浮遊液に調製した。
ヒト正常細胞および各種ヒト癌細胞から核酸を抽出するためにスマイテストEX−R&D(ゲノムサイエンス研究所社製)を用いた。具体的には、細胞浮遊液を遠心後に上清を除去し、酵素溶液15μl、検体希釈液480μl、共沈剤溶液5μlを添加し、混和後55℃で30分間反応させた。蛋白溶解液400μlを添加し、混和後55℃で15分間反応させた。更にイソプロパノール800μlを添加し混和の後、遠心し上清を除去した。70%エタノール500μlを加え洗浄後、遠心し上清を同様に除去した。DNase/RNase Freeの水にて溶解し核酸抽出液とした。
この核酸抽出液より定量RT−PCR反応により遺伝子を増幅・定量した。
逆転写反応にはOmniscript逆転写酵素(QIAGEN社製)を用い、表6に示す組成で使用した。その15μlに上記で得た核酸抽出液5μlを加えて反応させた。
Figure 2004042401
逆転写反応は以下の条件にて行った。
逆転写酵素の活性化 37℃、60分間
逆転写酵素の不活化 93℃、5分間
次に、得られた一本鎖DNAをPCR反応にて増幅・定量した。増幅・定量するターゲット遺伝子として、各種癌細胞で発現が増加する遺伝子であるPCD1遺伝子領域内の101merおよび4F2遺伝子領域内の101merを用いた。これらのプライマーとプローブの配列を表7および表8に示した。一方、ヒト内在性ハウスキーピング遺伝子であるヒトベータアクチン、ヒトGAPDH、18SリボソームRNAを同じく増幅・定量した。
Figure 2004042401
Figure 2004042401
定量PCR反応はABI PRISM 7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems社製)を用いた。PCR反応液はQuantiTect Probe PCR(QIAGEN社製)を用い、表9に示す組成で使用した。その47μlに逆転写反応で得た反応液6μlを加えて増幅を行った。
Figure 2004042401
PCR反応は以下の条件にて行った。
ポリメラーゼの活性化 95℃、15分間
PCRサイクル 94℃、15秒間
60℃、60秒間
このPCRサイクルは50回繰り返した。RT−PCRからの遺伝子発現の定量には50回の増幅過程において、蛍光強度が一定の基準値(Threshold:Th)から、同時に作成した検量線に外挿して求めた。検量線の作成には一定細胞量の希釈系列を用いた。
ヒト正常細胞およびヒト癌細胞においてヒト内在性ハウスキーピング遺伝子とPCD1遺伝子、4F2遺伝子の発現の比を求めた。ヒト癌細胞はヒト正常細胞よりもヒト内在性ハウスキーピング遺伝子に対する4F2遺伝子、PCD1遺伝子の発現が数細胞レベルから上昇していることが明らかとなった。
少量の細胞からも癌細胞で強く発現する遺伝子の増幅がみられた。癌特異的SF−25抗体感作磁性粒子を用いることによって、血中の癌細胞を高効率・高純度で回収でき、また、特定した遺伝子の定量RT−PCR反応にて検出することが可能となる。本発明の方法によって、血液など生体から分離された試料を用いた癌の早期発見及び診断が可能となる。
本発明の方法によれば、セルソーターのような高価な装置を用いることなく、簡便に効率良く癌細胞の検査を行うことができる。
【配列表】
Figure 2004042401
Figure 2004042401
Figure 2004042401
Figure 2004042401
Figure 2004042401
Figure 2004042401

Claims (9)

  1. SF−25抗原を細胞表面上に発現している、生体から分離された癌細胞を、該癌細胞と抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片との抗原抗体反応を利用して磁性ビーズに結合させ、次いで、磁性ビーズを磁力により集め、磁性ビーズ上に結合された前記癌細胞を検査することを含む癌細胞の検査方法。
  2. 前記癌細胞を、前記磁性ビーズに結合させる工程は、抗SF−25抗体若しくはその抗原結合性断片を固定化した磁性ビーズと、前記癌細胞とを抗原抗体反応させることにより行われるか、又は、標識した若しくは標識していない抗SF−25抗体若しくはその抗原結合性断片と前記癌細胞とを抗原抗体反応させ、次いで若しくはこれと同時に、生成された抗原抗体複合物と特異的に結合する物質を固定化した磁性ビーズと該生成された抗原抗体複合物とを反応させることにより行われる請求項1記載の方法。
  3. 前記癌細胞が、血液、脳脊髄液、骨髄、胸水、腹水、膵液、十二指腸液、胆汁、糞便又は尿中に含まれる癌細胞である請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記癌細胞が、白血病細胞、大腸癌細胞、小腸癌細胞、胃癌細胞、食道癌細胞、胆管癌細胞、胆のう癌細胞、甲状腺癌細胞、副甲状腺癌細胞、前立腺癌細胞、子宮癌細胞、卵巣癌細胞、絨毛上皮癌細胞、睾丸腫瘍細胞、膀胱癌細胞、腎癌細胞、副腎癌細胞、脳腫瘍細胞、悪性黒色種細胞、皮膚癌細胞、肺癌細胞、乳癌細胞、膵臓癌細胞、又は肝癌細胞である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記癌細胞が白血病細胞、ヒト胃癌細胞、肺癌細胞、膵癌細胞、大腸癌細胞又は子宮癌細胞である請求項4記載の方法。
  6. 前記癌細胞が白血病単核球細胞である請求項5記載の方法。
  7. 前記検査が核酸検査である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片を固定化した磁性ビーズを含む、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法を行うための癌細胞検査用試薬。
  9. 抗SF−25抗体又はその抗原結合性断片を固定化した磁性ビーズの、癌細胞検査用試薬の製造のための使用。
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