JPWO2004030423A1 - X線発生装置及び露光装置 - Google Patents
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Abstract
リキッドジェット型X線発生装置1の光源チャンバー10内には、ノズル11やミラー15が配置されている。光源チャンバー10の外壁部には、フランジ部材20が設けられている。このフランジ部材20には、ノズル11の配管13基端側が取り付けられており、同部材20を取り外すことにより、ノズル11を光源チャンバー10外に取り出すことができる。リキッドジェット型X線発生装置1において、最も交換頻度の高い素子はノズル11であるが、ノズル11を交換する際にはフランジ部材20を取り外すだけでよく、ノズル11よりも交換頻度の低いミラー15等を取り外す必要がない。
Description
本発明は、X線顕微鏡、X線分析装置、並びに、X線露光装置等のX線機器に装備されるX線発生装置と、それを備える露光装置に関する。特には、真空チャンバーに付設された各素子の交換を楽に行うことができるX線発生装置及び露光装置に関する。
リキッドジェット型X線発生装置を例に採って、従来の技術を説明する。
図4は、従来のリキッドジェット型X線発生装置の一例を示す断面図である。
図4のリキッドジェット型X線発生装置は、光源チャンバー100を備えている。この光源チャンバー100には、真空ポンプ102が付設されている。光源チャンバー100内は、真空ポンプ102で排気されている。光源チャンバー100内には、ノズル101が配置されている。このノズル101は、リキッドガスボンベ(図示されず)に繋がる配管103に接続されている。配管103と光源チャンバー100内面間には、ノズル101の位置を決めるとともに配管103のズレを防止するための支持部材104が設けられている。
リキッドガスボンベ内には、キセノン(Xe)等のターゲットガスと水等の液体が混合充填されている。リキッドガスボンベ内のリキッドガスは、配管103を介してノズル101に送られ、ノズル101先端から光源チャンバー100内に噴出される。この噴出されたリキッドガスが、プラズマを生成する際の標的材料となる。
光源チャンバー100内部には、ミラー(第1ミラー)105がマウント106を介して取り付けられている。ミラー105は、この例ではすり鉢状の反射面105aを有する楕円形ミラーである。ミラー105の反射面105aには、一例でMo/Si製の多層膜がコートされている。プラズマから輻射されたX線のうち、波長13.4nm付近のX線がミラー105の反射面105aで反射し、X線光束となって後段の光学系に導かれる。
光源チャンバー100の外壁部(図中右上側)には、フランジ部材110が取り付けられている。このフランジ部材110外面には、集光レンズ107を含む集光機構108が取り付けられている。この集光機構108の上流側(図中右側)には、レーザー光源109が配置されている。集光レンズ107は、レーザー光源109から放出されたレーザー光Lを、ノズル101の先に集光する。集光されたレーザー光Lがリキッドガスに照射されることで、プラズマPが生成され、このプラズマPからX線が輻射される。
なお、フランジ部材110外面に集光レンズ107・集光機構108を取り付けるのは、主に製作上容易であるという理由による。フランジ部材110は、ミラー105等の素子をチャンバー100外に取り出す際の開口を塞ぐ部材を兼ねており、光源チャンバー100の外面に取り付け・取り外し可能となっている。
光源チャンバー100の下面には、X線光束を通過させるための開口100aが形成されている。光源チャンバー100の内部において、開口100aを覆う位置には、X線透過フィルター111が配置されている。X線透過フィルター111は、ベリリウム(Be)等からなる薄膜であり、プラズマからの可視・紫外光をカットする。光源チャンバー100外において、X線透過フィルター111の直下には開口板113が配置されている。この開口板113は、中心にピンホール113aを有する円盤である。ミラー105で反射したX線光束は、開口板113のピンホール113aを通って後段の光学系に至る。この際、開口板113のピンホール113a周囲の箇所は、散乱したX線(洩れ光)を遮る。
前述のリキッドジェット型X線発生装置においては、リキッドガス(標的材料)等がプラズマ生成時に原子やイオン状の粒子となる。そして、この粒子がノズル101の先端に付着・堆積すると、リキッドガスが正常に噴出されなくなる。あるいは、この粒子が周囲に飛び散り、ミラー105の反射面105aに付着・堆積すると、ミラー105の反射率を低下させる。さらに、飛び散った粒子は、X線透過フィルター111にも付着・堆積する。このため、X線発生装置の光源チャンバー100内のノズル101やミラー105、X線透過フィルター111は、ある一定期間ごとに新たなものと交換する必要がある。
ノズル101、ミラー105、X線透過フィルター111の各素子を交換する際には、前述のフランジ部材110を光源チャンバー100から取り外し、チャンバー壁を開放した状態にする。ここで、図4に示す光源チャンバー100は、フランジ部材110が1つだけであるため、ノズル101、ミラー105、X線透過フィルター111のどの素子を交換する場合にも、このフランジ部材110を取り外す必要がある。一方、前述の通り、製作上の容易さから、フランジ部材110には集光レンズ107・集光機構108が取り付けられている。したがって、光源チャンバー100内のいずれの素子を交換する場合にも、本来は交換する必要のない集光レンズ107・集光機構108を一旦取り外さなければならない。
図4に示すリキッドジェット型X線発生装置においては、ノズル101、ミラー105、X線透過フィルター111の順で交換頻度が高い。ところが、図4のような位置関係で素子が配置されていると、ノズル101を交換する際には先にミラー105を取り外さなければならない。このように、最も交換頻度の高いノズル101の交換作業のたびに、それよりも交換頻度の低いミラー105や集光レンズ107・集光機構108を取り外さなければならい。あるいは、X線透過フィルター111のみを交換する場合には、ノズル101やミラー105、集光レンズ107・集光機構108を全て取り外さなければならい。
このように、従来のX線発生装置においては、交換すべき素子を取り外すために、本来は交換の必要のない他の素子を度々取り外さなければならず、交換作業が煩雑で面倒であった。さらに、外す必要のない集光レンズ107・集光機構108を交換作業のたびに取り外すと、集光レンズ107・集光機構108のアライメントをやり直すだけではなく、後段の光学系のアライメントもやり直さなければいけなくなる可能性が高くなるという問題もある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、真空チャンバーに付設された各素子の交換をより合理的に行うことができるX線発生装置及び露光装置を提供することを目的とする。
図4は、従来のリキッドジェット型X線発生装置の一例を示す断面図である。
図4のリキッドジェット型X線発生装置は、光源チャンバー100を備えている。この光源チャンバー100には、真空ポンプ102が付設されている。光源チャンバー100内は、真空ポンプ102で排気されている。光源チャンバー100内には、ノズル101が配置されている。このノズル101は、リキッドガスボンベ(図示されず)に繋がる配管103に接続されている。配管103と光源チャンバー100内面間には、ノズル101の位置を決めるとともに配管103のズレを防止するための支持部材104が設けられている。
リキッドガスボンベ内には、キセノン(Xe)等のターゲットガスと水等の液体が混合充填されている。リキッドガスボンベ内のリキッドガスは、配管103を介してノズル101に送られ、ノズル101先端から光源チャンバー100内に噴出される。この噴出されたリキッドガスが、プラズマを生成する際の標的材料となる。
光源チャンバー100内部には、ミラー(第1ミラー)105がマウント106を介して取り付けられている。ミラー105は、この例ではすり鉢状の反射面105aを有する楕円形ミラーである。ミラー105の反射面105aには、一例でMo/Si製の多層膜がコートされている。プラズマから輻射されたX線のうち、波長13.4nm付近のX線がミラー105の反射面105aで反射し、X線光束となって後段の光学系に導かれる。
光源チャンバー100の外壁部(図中右上側)には、フランジ部材110が取り付けられている。このフランジ部材110外面には、集光レンズ107を含む集光機構108が取り付けられている。この集光機構108の上流側(図中右側)には、レーザー光源109が配置されている。集光レンズ107は、レーザー光源109から放出されたレーザー光Lを、ノズル101の先に集光する。集光されたレーザー光Lがリキッドガスに照射されることで、プラズマPが生成され、このプラズマPからX線が輻射される。
なお、フランジ部材110外面に集光レンズ107・集光機構108を取り付けるのは、主に製作上容易であるという理由による。フランジ部材110は、ミラー105等の素子をチャンバー100外に取り出す際の開口を塞ぐ部材を兼ねており、光源チャンバー100の外面に取り付け・取り外し可能となっている。
光源チャンバー100の下面には、X線光束を通過させるための開口100aが形成されている。光源チャンバー100の内部において、開口100aを覆う位置には、X線透過フィルター111が配置されている。X線透過フィルター111は、ベリリウム(Be)等からなる薄膜であり、プラズマからの可視・紫外光をカットする。光源チャンバー100外において、X線透過フィルター111の直下には開口板113が配置されている。この開口板113は、中心にピンホール113aを有する円盤である。ミラー105で反射したX線光束は、開口板113のピンホール113aを通って後段の光学系に至る。この際、開口板113のピンホール113a周囲の箇所は、散乱したX線(洩れ光)を遮る。
前述のリキッドジェット型X線発生装置においては、リキッドガス(標的材料)等がプラズマ生成時に原子やイオン状の粒子となる。そして、この粒子がノズル101の先端に付着・堆積すると、リキッドガスが正常に噴出されなくなる。あるいは、この粒子が周囲に飛び散り、ミラー105の反射面105aに付着・堆積すると、ミラー105の反射率を低下させる。さらに、飛び散った粒子は、X線透過フィルター111にも付着・堆積する。このため、X線発生装置の光源チャンバー100内のノズル101やミラー105、X線透過フィルター111は、ある一定期間ごとに新たなものと交換する必要がある。
ノズル101、ミラー105、X線透過フィルター111の各素子を交換する際には、前述のフランジ部材110を光源チャンバー100から取り外し、チャンバー壁を開放した状態にする。ここで、図4に示す光源チャンバー100は、フランジ部材110が1つだけであるため、ノズル101、ミラー105、X線透過フィルター111のどの素子を交換する場合にも、このフランジ部材110を取り外す必要がある。一方、前述の通り、製作上の容易さから、フランジ部材110には集光レンズ107・集光機構108が取り付けられている。したがって、光源チャンバー100内のいずれの素子を交換する場合にも、本来は交換する必要のない集光レンズ107・集光機構108を一旦取り外さなければならない。
図4に示すリキッドジェット型X線発生装置においては、ノズル101、ミラー105、X線透過フィルター111の順で交換頻度が高い。ところが、図4のような位置関係で素子が配置されていると、ノズル101を交換する際には先にミラー105を取り外さなければならない。このように、最も交換頻度の高いノズル101の交換作業のたびに、それよりも交換頻度の低いミラー105や集光レンズ107・集光機構108を取り外さなければならい。あるいは、X線透過フィルター111のみを交換する場合には、ノズル101やミラー105、集光レンズ107・集光機構108を全て取り外さなければならい。
このように、従来のX線発生装置においては、交換すべき素子を取り外すために、本来は交換の必要のない他の素子を度々取り外さなければならず、交換作業が煩雑で面倒であった。さらに、外す必要のない集光レンズ107・集光機構108を交換作業のたびに取り外すと、集光レンズ107・集光機構108のアライメントをやり直すだけではなく、後段の光学系のアライメントもやり直さなければいけなくなる可能性が高くなるという問題もある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、真空チャンバーに付設された各素子の交換をより合理的に行うことができるX線発生装置及び露光装置を提供することを目的とする。
前記の課題を解決するため、本発明のX線発生装置は、真空チャンバー内において標的材料をプラズマ化し、該プラズマからX線を輻射させるX線発生装置であって、前記プラズマからのX線が最初に入射するミラー、X線透過フィルター等の素子を有し、それらの素子のうち、交換頻度の高いものについて、前記真空チャンバー外に取り出すための取出手段が前記真空チャンバーに設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、所望の素子を交換する際に、それよりも交換頻度の低い素子を度々取り外す必要がない。本来交換する必要のない素子を取り外さなくて済むので、素子の交換作業が簡単になる。さらに、交換不要な素子を取り外すことに伴う、装置のアライメントのズレを引き起こすこともない。
本発明のX線発生装置においては、前記素子が、少なくとも交換頻度の低い素子を取り出すことなく、交換頻度の高い順に取り出すことができるように前記真空チャンバー内に配置されているものとすることができる。
この場合、真空チャンバー内から交換頻度の低い素子を取り出すことなく、交換頻度の高い素子を取り出すことができるので、素子の交換作業がより簡単になる。なお、X線発生装置の光源のタイプ(ガス型、リキッドジェット型等)に応じて、設計自由度や制作上の容易性をできる限り損なうことなく、交換頻度の高い順に素子を取り出すことができるように配置することもできる。
本発明のX線発生装置のより具体的な態様においては、前記取出手段が、前記標的材料の供給ノズルの基端側が取り付けられた取出部材を備えるものとすることができる。
例えば、リキッドジェット型X線発生装置においては、供給ノズル、ミラー、X線透過フィルターの順で交換頻度が高いが、この態様によれば、真空チャンバーから取出部材を取り外すだけで、他の素子を取り外すことなく供給ノズルの取り外し作業を行なうことができる。
また、前記取出手段が、前記標的材料の供給ノズルを取り外すことなく前記ミラーを取り出し可能な取出部材を備えるものとすることができる。
この場合、供給ノズルを取り外すことなくミラーの取り外しを行なうことができる。そのため、ミラーの取り外しのたびに供給ノズルの取り外しや位置合わせを行なう必要がなく、プラズマ発生位置の調整(標的材料の噴射位置合わせ)等の手間が省ける。
さらに、前記X線透過フィルターが、前記真空チャンバーの外面側に取り付けられており、前記取出手段が、前記真空チャンバーの下流側に接続された露光チャンバーに配置された取出部材を備えるものとすることができる。
この場合、真空チャンバー内の素子を取り外すことなく、露光チャンバー側からX線透過フィルターの取り外しを行なうことができる。
真空チャンバー内において標的材料をプラズマ化し、該プラズマからX線を輻射させるX線発生装置であって、前記プラズマからのX線が最初に入射するミラー、X線透過フィルター等の素子を有し、それらの素子のうち、交換頻度の高いものにつき、前記真空チャンバー外に取り出すための専用の取り出し窓が前記真空チャンバーに設けられていることを特徴とする。
この発明においては、交換頻度の高い素子につき専用の取り出し窓が設けられているので、取り出しの不要な他の素子を動かさずに交換することができる。
本発明の露光装置は、前述のX線発生装置と、該X線発生装置から発生されたX線をマスクに当てる照明光学系と、該マスクから反射した光を感応基板上に投影結像させる投影光学系と、を具備することを特徴とする。
なお、本発明でいう素子とは、露光装置の光源系、照明系、投影系の構成要素として、性能上不可欠な交換素子を全て指すものとする。さらに、本発明でいう素子には、各素子を真空チャンバー等に取り付けるための部材(金具等)や、ミラー等を冷却するための冷却機構を構成する素子も含むものとする。
本発明によれば、所望の素子を交換する際に、それよりも交換頻度の低い素子を度々取り外す必要がない。本来交換する必要のない素子を取り外さなくて済むので、素子の交換作業が簡単になる。さらに、交換不要な素子を取り外すことに伴う、装置のアライメントのズレを引き起こすこともない。
本発明のX線発生装置においては、前記素子が、少なくとも交換頻度の低い素子を取り出すことなく、交換頻度の高い順に取り出すことができるように前記真空チャンバー内に配置されているものとすることができる。
この場合、真空チャンバー内から交換頻度の低い素子を取り出すことなく、交換頻度の高い素子を取り出すことができるので、素子の交換作業がより簡単になる。なお、X線発生装置の光源のタイプ(ガス型、リキッドジェット型等)に応じて、設計自由度や制作上の容易性をできる限り損なうことなく、交換頻度の高い順に素子を取り出すことができるように配置することもできる。
本発明のX線発生装置のより具体的な態様においては、前記取出手段が、前記標的材料の供給ノズルの基端側が取り付けられた取出部材を備えるものとすることができる。
例えば、リキッドジェット型X線発生装置においては、供給ノズル、ミラー、X線透過フィルターの順で交換頻度が高いが、この態様によれば、真空チャンバーから取出部材を取り外すだけで、他の素子を取り外すことなく供給ノズルの取り外し作業を行なうことができる。
また、前記取出手段が、前記標的材料の供給ノズルを取り外すことなく前記ミラーを取り出し可能な取出部材を備えるものとすることができる。
この場合、供給ノズルを取り外すことなくミラーの取り外しを行なうことができる。そのため、ミラーの取り外しのたびに供給ノズルの取り外しや位置合わせを行なう必要がなく、プラズマ発生位置の調整(標的材料の噴射位置合わせ)等の手間が省ける。
さらに、前記X線透過フィルターが、前記真空チャンバーの外面側に取り付けられており、前記取出手段が、前記真空チャンバーの下流側に接続された露光チャンバーに配置された取出部材を備えるものとすることができる。
この場合、真空チャンバー内の素子を取り外すことなく、露光チャンバー側からX線透過フィルターの取り外しを行なうことができる。
真空チャンバー内において標的材料をプラズマ化し、該プラズマからX線を輻射させるX線発生装置であって、前記プラズマからのX線が最初に入射するミラー、X線透過フィルター等の素子を有し、それらの素子のうち、交換頻度の高いものにつき、前記真空チャンバー外に取り出すための専用の取り出し窓が前記真空チャンバーに設けられていることを特徴とする。
この発明においては、交換頻度の高い素子につき専用の取り出し窓が設けられているので、取り出しの不要な他の素子を動かさずに交換することができる。
本発明の露光装置は、前述のX線発生装置と、該X線発生装置から発生されたX線をマスクに当てる照明光学系と、該マスクから反射した光を感応基板上に投影結像させる投影光学系と、を具備することを特徴とする。
なお、本発明でいう素子とは、露光装置の光源系、照明系、投影系の構成要素として、性能上不可欠な交換素子を全て指すものとする。さらに、本発明でいう素子には、各素子を真空チャンバー等に取り付けるための部材(金具等)や、ミラー等を冷却するための冷却機構を構成する素子も含むものとする。
第1図は、本発明の一実施例に係る露光装置の全体構成を示す図である。
第2図は、本発明の第2の実施例に係る露光装置のX線発生装置を示す図である。
第3図は、本発明の第3の実施例に係る露光装置のX線発生装置を示す図である。
第4図は、従来のリキッドジェット型X線発生装置の一例を示す断面図である。
発明を実施するための形態
以下、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る露光装置の全体構成を示す図である。
なお、以下の説明ではレーザプラズマ光源を用いた露光装置を例に採って説明するが、本発明は放電プラズマ光源等を用いた露光装置にも適用可能である。
図1に示す露光装置の光学系の最上流側(図の上部)には、リキッドジェット型のX線発生装置1が設けられている。このX線発生装置1は、光源チャンバー10を備えている。この光源チャンバー10には、真空ポンプ12が付設されている。光源チャンバー10内は、真空ポンプ12で排気されている。光源チャンバー10内が真空ポンプ12で減圧されることで、プラズマPから輻射されたX線が減衰しないようになっている。
光源チャンバー10内には、ノズル11が配置されている。このノズル11は、リキッドガスボンベ(図示されず)に繋がる配管13に接続されている。配管13と光源チャンバー10内面間には、ノズル11の位置を決めるとともに配管13のズレを防止するための支持部材14が設けられている。リキッドガスボンベ内には、キセノン(Xe)等のターゲットガスと水等の液体が混合充填されている。リキッドガスボンベ内のリキッドガスは、配管13を介してノズル11に送られ、ノズル11先端から光源チャンバー10内に噴出される。この噴出されたリキッドガスが、プラズマを生成する際の標的材料となる。
なお、本発明は、液体に限らず気体や固体も同様に用いることができる。錫等の固体ターゲットを用いる場合は、テープに固体材料を形成したり、固体材料そのものでテープを作り、徐々にレーザーの当たる位置を変えるテープ巻き取り型等も用いることができる。
光源チャンバー10内部には、ミラー(第1ミラー)15がマウント16、スライド機構25を介して取り付けられている。ミラー15は、この例ではすり鉢状の反射面15aを有する楕円形ミラーである。ミラー15の反射面15aには、一例でMo/Si製の多層膜がコートされている。プラズマから輻射されたX線のうち、波長13.4nm付近のX線がミラー15の反射面15aで反射し、X線光束となって後段の光学系(図1中下側)に導かれる。
光源チャンバー10の外壁部(図1中右下側)には、フランジ部材(取出部材)20が設けられている。このフランジ部材20は、ミラー15等の素子をチャンバー10外に取り出す際の開口を塞ぐ部材であって、光源チャンバー10の外面に取り付け・取り外し可能となっている。このフランジ部材20には、前述のノズル11の配管13基端側が取り付けられており、同部材20を取り外すことにより、ノズル11を光源チャンバー10外に取り出すことができる。
ノズル11を取り出す際にミラー15が邪魔な場合は、スライド機構25を用いてミラー15を図1中上側にスライドさせる。そして、ノズル11の取り外し・交換が済んだ後に、ミラー15を図1中下側にスライドさせて元の位置に戻す。あるいは、フランジ部20からミラー15も取り出す際には、ノズル11を取り外した後にミラー15を下げると、チャンバー10外への搬出が容易となる。このようなスライド機構25を設けることで、1つのフランジ部材20からノズル11、ミラー15の順に取り出すことが可能となる。なお、図示はしないが、ミラー15が正確に元の位置に戻るように、アライメント機構も追設するのが好ましい。
フランジ部材20の上側の光源チャンバー10外壁(図1中右上側)には、集光レンズ17を含む集光機構18が取り付けられている。この集光機構18の図1中右側には、レーザー光源19が配置されている。集光レンズ17は、レーザー光源19から放出されたレーザー光Lを、ノズル11の先に集光する。集光されたレーザー光Lがリキッドガスに照射されることで、プラズマPが生成され、このプラズマPからX線が輻射される。
光源チャンバー10の下面には、X線光束を通過させるための開口10aが形成されている。光源チャンバー10の内部において、開口10aを覆う位置にはX線透過フィルター21が配置されている。X線透過フィルター21は、ベリリウム(Be)等からなる薄膜であり、プラズマからの可視・紫外光をカットする。
ここで、前述の構成を有するX線発生装置1の総合的な作用について述べる。
レーザー光源19から放出されたレーザー光Lは、集光レンズ17を透過してノズル11の直上に集光される。ノズル11から噴出されたリキッドガスは、集光されたレーザー光Lのエネルギを受けて高温になり、プラズマPを生成する。このプラズマ中のイオンが低ポテンシャル状態へ遷移する際に、X線を放出する。ミラー15に入射したX線のうち、波長13.4nm付近のX線がミラー反射面15aで反射してX線光束Eとなり、光源チャンバー10の下流側から後段の光学系へと導かれる。
X線発生装置1をある程度の時間稼勧すると、プラズマPから飛び散った粒子がノズル11の噴出口やミラー15の反射面15aに堆積する。こうなると、ノズルやミラーを新たなものと交換する必要がある。前述したように、リキッドジェット型X線発生装置において、最も交換頻度の高い素子はノズル11である。本実施例のX線発生装置1によれば、ノズル11を交換する際にはフランジ部材20を取り外すだけでよく、ノズル11よりも交換頻度の低いミラー15やX線透過フィルター21、あるいは、集光レンズ17・集光機構18を取り外す必要がない。このように、本来交換する必要のない素子は取り外さなくて済むので、ノズル11の交換作業が簡単である。さらに、集光レンズ17・集光機構18等を取り外すことに伴う、装置のアライメントのズレを引き起こすこともない。
次いで、X線発生装置1を有する露光装置の全体構成について説明する。
図1に示すように、X線発生装置1の下方には、露光チャンバー40が設置されている。露光チャンバー40内には、照明光学系46が配置されている。照明光学系46は、コンデンサー系の反射鏡、フライアイ光学系の反射鏡等で構成されており、ミラー15で反射したX線を円弧状に調整し、図1の左方に向かって照射する。
照明光学系46の図1の左方には、X線反射鏡42が配置されている。X線反射鏡42は、図1の右側の反射面42aが凹型をした円形をしており、図示せぬ保持部材により垂直に保持されている。X線反射鏡42の図1の右方には、光路折り曲げ反射鏡41が斜めに配置されている。光路折り曲げ反射鏡41の上方には、反射型マスク43が、反射面が下になるように水平に配置されている。照明光学系46から放出されたX線は、X線反射鏡42により反射集光された後に、光路折り曲げ反射鏡41を介して、反射型マスク43の反射面に達する。
反射鏡41、42の基体は、反射面42aが高精度に加工された石英の基板からなる。この反射面42aには、X線発生装置のミラー15の反射面と同様に、Mo/Siの多層膜が形成されている。なお、波長が10〜15nmのX線を用いる場合には、RU(ルテニウム)、Rh(ロジウム)等の物質と、Si、Be(ベリリウム)、B4C(4ホウ化炭素)等の物質とを組み合わせた多層膜でもよい。
反射型マスク43の反射面にも多層膜からなる反射膜が形成されている。この反射膜には、ウェハ49に転写するパターンに応じたマスクパターンが形成されている。反射型マスク43は、その上部に図示されたマスクステージ45に固定されている。マスクステージ45は、少なくともY方向に移動可能であり、光路折り曲げ反射鏡41で反射されたX線を順次マスク43上に照射する。
反射型マスク43の下部には、順に投影光学系47、ウェハ49が配置されている。投影光学系47は、複数の反射鏡等からなり、反射型マスク43で反射されたX線を所定の縮小倍率(例えば1/4)に縮小し、ウェハ49上に結像する。ウェハ49は、XYZ方向に移動可能なウェハステージ44に吸着等により固定されている。
露光動作を行う際には、照明光学系46により反射型マスク43の反射面にX線を照射する。その際、投影光学系47に対して反射型マスク43及びウェハ49を投影光学系の縮小倍率により定まる所定の速度比で相対的に同期走査する。これにより、反射型マスク43の回路パターンの全体をウェハ49上の複数のショット領域の各々にステップアンドスキャン方式で転写する。なお、ウェハ49のチップは例えば25×25mm角である。
以下、本発明に係るX線発生装置の他の実施例について述べる。
図2は、本発明の第2の実施例に係る露光装置のX線発生装置を示す図である。
図2に示すX線発生装置50は、図1に示すX線発生装置1と比較して、主に次の2つの点で大きく異なる。
(1)図2のX線発生装置50は、ガス型である。すなわち、ノズル11に接続された配管13が、ガスボンベ(図示されず)に繋がっている。ガスボンベ内には、クリプトン(Kr)等のターゲットガスが充填されている。ガスボンベ内のターゲットガスは、配管13を介してノズル11に送られ、ノズル11先端から光源チャンバー10内に噴出される。この噴出されたターゲットガスが、プラズマを生成する際の標的材料となる。
(2)光源チャンバー10の上端面に、第2のフランジ部材51が設けられている。このフランジ部材51は、光源チャンバー10の上端側の開口を塞ぐ部材(取出部材)であって、光源チャンバー10に取り付け・取り外し可能となっている。
なお、図2において図1のX線発生装置1とほぼ同一の構成要素には、同一符号が付されている。
図2のガス型のX線発生装置50においては、ミラー15、ノズル11、X線透過フィルター21の順で交換頻度が高い。本実施例のX線発生装置50によれば、フランジ部材51を取り外して光源チャンバー10の上端面を開放することで、最も交換頻度の高いミラー16を取り外すことができる。その際には、ミラー15よりも交換頻度の低いノズル11やX線透過フィルター21、あるいは、集光レンズ17・集光機構18を取り外す必要がない。そのため、ミラー15の取り外し作業のたびにノズル11の取り外しや再位置合わせを行なう必要がなく、プラズマ発生位置の調整(標的材料の噴射位置合わせ)等の手間を省くことができる。
なお、図2のようにフランジ部材51を設ける場合は、前述したフランジ部材20がなくとも、ミラー15、ノズル11、X線透過フィルター21の順で光源チャンバー10の上端側から取り外すことが可能である。そのため、装置の制作上の容易性等が損なわれる場合等は、フランジ部材20を設けなくともよい。しかしながら、ノズル11やX線透過フィルター21の取り外しの利便性を考慮して、両フランジ部材51、20を併用する方が都合がよい。さらに、図2の実施例は、ガス型のX線発生装置であるとして説明したが、フランジ部材51は前述したリキッドジェット型のX線発生装置に設置することもでき、この場合も取り外し作業を簡単にできる。
図3は、本発明の第3の実施例に係る露光装置のX線発生装置を示す図である。
図3に示すX線発生装置60は、図2に示すX線発生装置50と比較して、主に次の2つの点で大きく異なる。
(1)図3のX線発生装置60においては、X線透過フィルター21が光源チャンバー10の外面側に取り付けられている。そして、このX線透過フィルター21の直下に、開口板23が配置されている。この開口板23は、中心にピンホール23aを有する円盤である。ピンホール23aの直径は、一例で1μm程度である。ミラー15で反射したX線光束は、開口板23のピンホール23aを通って後段の光学系(図1参照)に至る。この際、開口板23のピンホール23a周囲の箇所は、散乱したX線(洩れ光)を遮る。なお、この開口板23に相当するものは、図1の装置においても存在するが、図示は省略してある。
(2)光源チャンバー10の下流側の露光チャンバー40(図1参照)の側面に、第3のフランジ部材61が設けられている。このフランジ部材61は、露光チャンバー40内部の照明光学系46(図1参照)よりも上流側において、露光チャンバー40に取り付け・取り外し可能に設けられている。
なお、図3において図1、図2のX線発生装置1、50とほぼ同一の構成要素には、同一符号が付されている。
図3のX線発生装置60においては、ノズル11を取り外す際にはフランジ部材20を、ミラー15を取り外す際にはフランジ部材51を、X線透過フィルター21を取り外す際にはフランジ部材61を、それぞれ取り外すことで交換作業を行なうことができる。本実施例のX線発生装置60によれば、各素子の交換頻度にかかわらず、素子ごとに対応するフランジ部材を取り外し、専用の取り出し窓から搬出して交換することができる。その際には、交換対象ではない他の素子は取り外す必要がない。
なお、開口板23は、基本的にはほとんどのX線光束がピンホール23aを通過するものであるから、性能はあまり劣化しない。しかしながら、散乱したX線(洩れ光)によりピンホール23a周囲が照らされて劣化するため、交換は必要である。その場合にも、フランジ部材61を取り外して、開口板23の交換作業を行なうことができる。
第2図は、本発明の第2の実施例に係る露光装置のX線発生装置を示す図である。
第3図は、本発明の第3の実施例に係る露光装置のX線発生装置を示す図である。
第4図は、従来のリキッドジェット型X線発生装置の一例を示す断面図である。
発明を実施するための形態
以下、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る露光装置の全体構成を示す図である。
なお、以下の説明ではレーザプラズマ光源を用いた露光装置を例に採って説明するが、本発明は放電プラズマ光源等を用いた露光装置にも適用可能である。
図1に示す露光装置の光学系の最上流側(図の上部)には、リキッドジェット型のX線発生装置1が設けられている。このX線発生装置1は、光源チャンバー10を備えている。この光源チャンバー10には、真空ポンプ12が付設されている。光源チャンバー10内は、真空ポンプ12で排気されている。光源チャンバー10内が真空ポンプ12で減圧されることで、プラズマPから輻射されたX線が減衰しないようになっている。
光源チャンバー10内には、ノズル11が配置されている。このノズル11は、リキッドガスボンベ(図示されず)に繋がる配管13に接続されている。配管13と光源チャンバー10内面間には、ノズル11の位置を決めるとともに配管13のズレを防止するための支持部材14が設けられている。リキッドガスボンベ内には、キセノン(Xe)等のターゲットガスと水等の液体が混合充填されている。リキッドガスボンベ内のリキッドガスは、配管13を介してノズル11に送られ、ノズル11先端から光源チャンバー10内に噴出される。この噴出されたリキッドガスが、プラズマを生成する際の標的材料となる。
なお、本発明は、液体に限らず気体や固体も同様に用いることができる。錫等の固体ターゲットを用いる場合は、テープに固体材料を形成したり、固体材料そのものでテープを作り、徐々にレーザーの当たる位置を変えるテープ巻き取り型等も用いることができる。
光源チャンバー10内部には、ミラー(第1ミラー)15がマウント16、スライド機構25を介して取り付けられている。ミラー15は、この例ではすり鉢状の反射面15aを有する楕円形ミラーである。ミラー15の反射面15aには、一例でMo/Si製の多層膜がコートされている。プラズマから輻射されたX線のうち、波長13.4nm付近のX線がミラー15の反射面15aで反射し、X線光束となって後段の光学系(図1中下側)に導かれる。
光源チャンバー10の外壁部(図1中右下側)には、フランジ部材(取出部材)20が設けられている。このフランジ部材20は、ミラー15等の素子をチャンバー10外に取り出す際の開口を塞ぐ部材であって、光源チャンバー10の外面に取り付け・取り外し可能となっている。このフランジ部材20には、前述のノズル11の配管13基端側が取り付けられており、同部材20を取り外すことにより、ノズル11を光源チャンバー10外に取り出すことができる。
ノズル11を取り出す際にミラー15が邪魔な場合は、スライド機構25を用いてミラー15を図1中上側にスライドさせる。そして、ノズル11の取り外し・交換が済んだ後に、ミラー15を図1中下側にスライドさせて元の位置に戻す。あるいは、フランジ部20からミラー15も取り出す際には、ノズル11を取り外した後にミラー15を下げると、チャンバー10外への搬出が容易となる。このようなスライド機構25を設けることで、1つのフランジ部材20からノズル11、ミラー15の順に取り出すことが可能となる。なお、図示はしないが、ミラー15が正確に元の位置に戻るように、アライメント機構も追設するのが好ましい。
フランジ部材20の上側の光源チャンバー10外壁(図1中右上側)には、集光レンズ17を含む集光機構18が取り付けられている。この集光機構18の図1中右側には、レーザー光源19が配置されている。集光レンズ17は、レーザー光源19から放出されたレーザー光Lを、ノズル11の先に集光する。集光されたレーザー光Lがリキッドガスに照射されることで、プラズマPが生成され、このプラズマPからX線が輻射される。
光源チャンバー10の下面には、X線光束を通過させるための開口10aが形成されている。光源チャンバー10の内部において、開口10aを覆う位置にはX線透過フィルター21が配置されている。X線透過フィルター21は、ベリリウム(Be)等からなる薄膜であり、プラズマからの可視・紫外光をカットする。
ここで、前述の構成を有するX線発生装置1の総合的な作用について述べる。
レーザー光源19から放出されたレーザー光Lは、集光レンズ17を透過してノズル11の直上に集光される。ノズル11から噴出されたリキッドガスは、集光されたレーザー光Lのエネルギを受けて高温になり、プラズマPを生成する。このプラズマ中のイオンが低ポテンシャル状態へ遷移する際に、X線を放出する。ミラー15に入射したX線のうち、波長13.4nm付近のX線がミラー反射面15aで反射してX線光束Eとなり、光源チャンバー10の下流側から後段の光学系へと導かれる。
X線発生装置1をある程度の時間稼勧すると、プラズマPから飛び散った粒子がノズル11の噴出口やミラー15の反射面15aに堆積する。こうなると、ノズルやミラーを新たなものと交換する必要がある。前述したように、リキッドジェット型X線発生装置において、最も交換頻度の高い素子はノズル11である。本実施例のX線発生装置1によれば、ノズル11を交換する際にはフランジ部材20を取り外すだけでよく、ノズル11よりも交換頻度の低いミラー15やX線透過フィルター21、あるいは、集光レンズ17・集光機構18を取り外す必要がない。このように、本来交換する必要のない素子は取り外さなくて済むので、ノズル11の交換作業が簡単である。さらに、集光レンズ17・集光機構18等を取り外すことに伴う、装置のアライメントのズレを引き起こすこともない。
次いで、X線発生装置1を有する露光装置の全体構成について説明する。
図1に示すように、X線発生装置1の下方には、露光チャンバー40が設置されている。露光チャンバー40内には、照明光学系46が配置されている。照明光学系46は、コンデンサー系の反射鏡、フライアイ光学系の反射鏡等で構成されており、ミラー15で反射したX線を円弧状に調整し、図1の左方に向かって照射する。
照明光学系46の図1の左方には、X線反射鏡42が配置されている。X線反射鏡42は、図1の右側の反射面42aが凹型をした円形をしており、図示せぬ保持部材により垂直に保持されている。X線反射鏡42の図1の右方には、光路折り曲げ反射鏡41が斜めに配置されている。光路折り曲げ反射鏡41の上方には、反射型マスク43が、反射面が下になるように水平に配置されている。照明光学系46から放出されたX線は、X線反射鏡42により反射集光された後に、光路折り曲げ反射鏡41を介して、反射型マスク43の反射面に達する。
反射鏡41、42の基体は、反射面42aが高精度に加工された石英の基板からなる。この反射面42aには、X線発生装置のミラー15の反射面と同様に、Mo/Siの多層膜が形成されている。なお、波長が10〜15nmのX線を用いる場合には、RU(ルテニウム)、Rh(ロジウム)等の物質と、Si、Be(ベリリウム)、B4C(4ホウ化炭素)等の物質とを組み合わせた多層膜でもよい。
反射型マスク43の反射面にも多層膜からなる反射膜が形成されている。この反射膜には、ウェハ49に転写するパターンに応じたマスクパターンが形成されている。反射型マスク43は、その上部に図示されたマスクステージ45に固定されている。マスクステージ45は、少なくともY方向に移動可能であり、光路折り曲げ反射鏡41で反射されたX線を順次マスク43上に照射する。
反射型マスク43の下部には、順に投影光学系47、ウェハ49が配置されている。投影光学系47は、複数の反射鏡等からなり、反射型マスク43で反射されたX線を所定の縮小倍率(例えば1/4)に縮小し、ウェハ49上に結像する。ウェハ49は、XYZ方向に移動可能なウェハステージ44に吸着等により固定されている。
露光動作を行う際には、照明光学系46により反射型マスク43の反射面にX線を照射する。その際、投影光学系47に対して反射型マスク43及びウェハ49を投影光学系の縮小倍率により定まる所定の速度比で相対的に同期走査する。これにより、反射型マスク43の回路パターンの全体をウェハ49上の複数のショット領域の各々にステップアンドスキャン方式で転写する。なお、ウェハ49のチップは例えば25×25mm角である。
以下、本発明に係るX線発生装置の他の実施例について述べる。
図2は、本発明の第2の実施例に係る露光装置のX線発生装置を示す図である。
図2に示すX線発生装置50は、図1に示すX線発生装置1と比較して、主に次の2つの点で大きく異なる。
(1)図2のX線発生装置50は、ガス型である。すなわち、ノズル11に接続された配管13が、ガスボンベ(図示されず)に繋がっている。ガスボンベ内には、クリプトン(Kr)等のターゲットガスが充填されている。ガスボンベ内のターゲットガスは、配管13を介してノズル11に送られ、ノズル11先端から光源チャンバー10内に噴出される。この噴出されたターゲットガスが、プラズマを生成する際の標的材料となる。
(2)光源チャンバー10の上端面に、第2のフランジ部材51が設けられている。このフランジ部材51は、光源チャンバー10の上端側の開口を塞ぐ部材(取出部材)であって、光源チャンバー10に取り付け・取り外し可能となっている。
なお、図2において図1のX線発生装置1とほぼ同一の構成要素には、同一符号が付されている。
図2のガス型のX線発生装置50においては、ミラー15、ノズル11、X線透過フィルター21の順で交換頻度が高い。本実施例のX線発生装置50によれば、フランジ部材51を取り外して光源チャンバー10の上端面を開放することで、最も交換頻度の高いミラー16を取り外すことができる。その際には、ミラー15よりも交換頻度の低いノズル11やX線透過フィルター21、あるいは、集光レンズ17・集光機構18を取り外す必要がない。そのため、ミラー15の取り外し作業のたびにノズル11の取り外しや再位置合わせを行なう必要がなく、プラズマ発生位置の調整(標的材料の噴射位置合わせ)等の手間を省くことができる。
なお、図2のようにフランジ部材51を設ける場合は、前述したフランジ部材20がなくとも、ミラー15、ノズル11、X線透過フィルター21の順で光源チャンバー10の上端側から取り外すことが可能である。そのため、装置の制作上の容易性等が損なわれる場合等は、フランジ部材20を設けなくともよい。しかしながら、ノズル11やX線透過フィルター21の取り外しの利便性を考慮して、両フランジ部材51、20を併用する方が都合がよい。さらに、図2の実施例は、ガス型のX線発生装置であるとして説明したが、フランジ部材51は前述したリキッドジェット型のX線発生装置に設置することもでき、この場合も取り外し作業を簡単にできる。
図3は、本発明の第3の実施例に係る露光装置のX線発生装置を示す図である。
図3に示すX線発生装置60は、図2に示すX線発生装置50と比較して、主に次の2つの点で大きく異なる。
(1)図3のX線発生装置60においては、X線透過フィルター21が光源チャンバー10の外面側に取り付けられている。そして、このX線透過フィルター21の直下に、開口板23が配置されている。この開口板23は、中心にピンホール23aを有する円盤である。ピンホール23aの直径は、一例で1μm程度である。ミラー15で反射したX線光束は、開口板23のピンホール23aを通って後段の光学系(図1参照)に至る。この際、開口板23のピンホール23a周囲の箇所は、散乱したX線(洩れ光)を遮る。なお、この開口板23に相当するものは、図1の装置においても存在するが、図示は省略してある。
(2)光源チャンバー10の下流側の露光チャンバー40(図1参照)の側面に、第3のフランジ部材61が設けられている。このフランジ部材61は、露光チャンバー40内部の照明光学系46(図1参照)よりも上流側において、露光チャンバー40に取り付け・取り外し可能に設けられている。
なお、図3において図1、図2のX線発生装置1、50とほぼ同一の構成要素には、同一符号が付されている。
図3のX線発生装置60においては、ノズル11を取り外す際にはフランジ部材20を、ミラー15を取り外す際にはフランジ部材51を、X線透過フィルター21を取り外す際にはフランジ部材61を、それぞれ取り外すことで交換作業を行なうことができる。本実施例のX線発生装置60によれば、各素子の交換頻度にかかわらず、素子ごとに対応するフランジ部材を取り外し、専用の取り出し窓から搬出して交換することができる。その際には、交換対象ではない他の素子は取り外す必要がない。
なお、開口板23は、基本的にはほとんどのX線光束がピンホール23aを通過するものであるから、性能はあまり劣化しない。しかしながら、散乱したX線(洩れ光)によりピンホール23a周囲が照らされて劣化するため、交換は必要である。その場合にも、フランジ部材61を取り外して、開口板23の交換作業を行なうことができる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、真空チャンバーに付設された各素子の交換をより楽に行うことができるX線発生装置及び露光装置を提供できる。
Claims (6)
- 真空チャンバー内において標的材料をプラズマ化し、該プラズマからX線を輻射させるX線発生装置であって、
前記プラズマからのX線が最初に入射するミラー、X線透過フィルター等の素子を有し、
それらの素子のうち、交換頻度の高いものについて、前記真空チャンバー外に取り出すための取出手段が前記真空チャンバーに設けられていることを特徴とするX線発生装置。 - 前記素子が、少なくとも交換頻度の低い素子を取り出すことなく、交換頻度の高い順に取り出すことができるように前記真空チャンバー内に配置されていることを特徴とする請求項1記載のX線発生装置。
- 前記取出手段が、前記標的材料の供給ノズルの基端側が取り付けられた取出部材を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のX線発生装置。
- 前記取出手段が、前記標的材料の供給ノズルを取り外すことなく前記ミラーを取り出し可能な取出部材を備えることを特徴とする請求項1、2又は3記載のX線発生装置。
- 真空チャンバー内において標的材料をプラズマ化し、該プラズマからX線を輻射させるX線発生装置であって、
前記プラズマからのX線が最初に入射するミラー、X線透過フィルター等の素子を有し、
それらの素子のうち、交換頻度の高いものにつき、前記真空チャンバー外に取り出すための専用の取り出し窓が前記真空チャンバーに設けられていることを特徴とするX線発生装置。 - 請求項1〜5いずれか1項記載のX線発生装置と、
該X線発生装置から発生されたX線をマスクに当てる照明光学系と、
該マスクから反射した光を感応基板上に投影結像させる投影光学系と、
を具備することを特徴とする露光装置。
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