JPWO2004028254A1 - 除草用混合液剤 - Google Patents
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Abstract
グリホサートの有する残効性を維持しつつ速効性を併せ持たせ、投下薬剤量を20%程度減少させ得る除草用混合液剤を提供する。グリホサートに対して、重量比率で、その1/5から1/15のグルホシネートを混合した除草用混合液剤。
Description
本発明は、生活環境に生育する不必要で有害な雑草類を効率的に防除する除草技術に関する。
農耕地、非農耕地を問わず雑草類の繁茂は、農業生産物の生産量の低下や生活環境の悪化をもたらしている。これらの対策として除草剤が広く利用されている。中でもN−ホスホノメチルグリシナートの塩類(以下グリホサートという)は、安価でかつ殆どの植物に除草活性を有し、土壌に落下した後速やかに分解し、または土壌に吸着されて、薬剤を散布した直後から作物を植栽できる特徴から非常に広く使用されている。グルホシネートも同じ様な作用性を持っていることから広く使用されている。両者の違いは、グリホサートが遅効的で残効性に優れているのに比べ、グルホシネートは速効的に除草作用を表す特徴を有しているところにある。グルホシネートを第1有効成分とし、縣濁された他の有効成分を混合した除草剤が開示されている(例えば、特許第3293867号公報参照。)。
グリホサートは遅効的であると同時に一部の植物に対して効果が低い欠点を有していた。グルホシネートは、速効的で、多種の植物に対して活性を有するものの根部まで枯死させることができないため、植物の再生があり残効性に劣る欠点を持っていた。これらの欠点を克服するため、グリホサートの場合は各種の植物ホルモン剤やプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ阻害剤等を混合して遅効性の欠点や効果の低い草種への適用拡大を図っている。しかしながらグルホシネートに匹敵するような速効性を付与するまでには至っていない。一方、グルホシネートに他薬剤を混合した場合は、グルホシネートによって植物組織が速やかに破壊され、混合した他薬剤の植物体内への吸収が阻害されてその効果が十分発現しにくい場合があった。また他薬剤が縣濁状態の場合は、液剤の保存安定性を確保することに困難性を有していた。更に、環境に直接放出される農薬の投下量の減少は常に求められることであり、投下薬量の減少は同時に生産コストの低減につながり、望まれているところである。
上記のように、グリホサートは遅効的であると同時に一部の植物に対して効果が低い欠点を有していた。グルホシネートは、速効的で、多種の植物に対して活性を有するものの根部まで枯死させることができないため、植物の再生があり残効性に劣る欠点を持っていた。本発明はグリホサートの有する残効性を維持しつつ速効性を併せ持たせ、保存中に有効成分が沈降する恐れを無くし、投下薬剤量を20%程度減少させることを目的としている。
グリホサートは遅効的であると同時に一部の植物に対して効果が低い欠点を有していた。グルホシネートは、速効的で、多種の植物に対して活性を有するものの根部まで枯死させることができないため、植物の再生があり残効性に劣る欠点を持っていた。これらの欠点を克服するため、グリホサートの場合は各種の植物ホルモン剤やプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ阻害剤等を混合して遅効性の欠点や効果の低い草種への適用拡大を図っている。しかしながらグルホシネートに匹敵するような速効性を付与するまでには至っていない。一方、グルホシネートに他薬剤を混合した場合は、グルホシネートによって植物組織が速やかに破壊され、混合した他薬剤の植物体内への吸収が阻害されてその効果が十分発現しにくい場合があった。また他薬剤が縣濁状態の場合は、液剤の保存安定性を確保することに困難性を有していた。更に、環境に直接放出される農薬の投下量の減少は常に求められることであり、投下薬量の減少は同時に生産コストの低減につながり、望まれているところである。
上記のように、グリホサートは遅効的であると同時に一部の植物に対して効果が低い欠点を有していた。グルホシネートは、速効的で、多種の植物に対して活性を有するものの根部まで枯死させることができないため、植物の再生があり残効性に劣る欠点を持っていた。本発明はグリホサートの有する残効性を維持しつつ速効性を併せ持たせ、保存中に有効成分が沈降する恐れを無くし、投下薬剤量を20%程度減少させることを目的としている。
本発明は、N−ホスホノメチルグリシナート(N−(phosphonomethyl)glycinate)の塩類に対してグルホシネート(glufosinate−ammonium)を、前者:後者が重量比で5:1〜15:1の割合で混合した有効成分を含有することを特徴とする除草用混合液剤である。また、本発明はN−ホスホノメチルグリシナートの塩類に対してグルホシネートを、前者:後者が重量比で5:1〜15:1の割合で混合した有効成分を含有する混合液剤を使用することを特徴とする除草方法である。さらに、前記した有効成分を含有する混合液剤を使用することによって、速効性を付与したことを特徴とする除草方法である。
本発明では、グリホサートの有する根部まで枯死せしめる能力を維持しつつ、速効性を併せ持たせるために、グリホサートを主剤にして、その1/5から1/15のグルホシネートを添加することにより残効性を維持しつつ速効性を付与するとともに投下薬剤量を20%程度減少することを可能にしたものである。また、グリホサートとグルホシネートは共に水溶性であるので、混合剤として他に懸濁剤を採用した場合のように、保存中に有効成分が沈降する恐れが無い。
本発明では、グリホサートの有する根部まで枯死せしめる能力を維持しつつ、速効性を併せ持たせるために、グリホサートを主剤にして、その1/5から1/15のグルホシネートを添加することにより残効性を維持しつつ速効性を付与するとともに投下薬剤量を20%程度減少することを可能にしたものである。また、グリホサートとグルホシネートは共に水溶性であるので、混合剤として他に懸濁剤を採用した場合のように、保存中に有効成分が沈降する恐れが無い。
本発明において、N−ホスホノメチルグリシナートの塩類は、炭素数が好ましくは1〜4のアルキルアミン塩やアンモニウム塩が好適である。また、本発明の除草用混合液剤中において、N−ホスホノメチルグリシナートの塩類の濃度は1〜60重量%が好ましく、特には3〜30重量%が好適である。また、グルホシネートの濃度は0.1〜12重量%が好ましく、特には0.2〜6重量%が好適である。また、カチオン界面活性剤又は両面界面活性剤が含有する場合は、本発明の除草用混合液剤中、界面活性剤の濃度が、0.1〜10重量%が好ましく、特には0.5〜5重量%が好適である。
本発明の除草用混合液剤の製剤方法としては、有効成分である、N−ホスホノメチルグリシナートの塩類及びグルホシネートに対して、好ましくは上記のカチオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を添加し、水で希釈して除草用混合液剤とする方法が挙げられる。
本発明の除草用混合液剤の有効成分量は、上記のように従来の除草剤に比較して少なくできる特長を有する。
以下に、本発明の実施の形態を製剤例及び生物効果試験例に基づき、具体的に説明する。
本発明の除草用混合液剤の製剤方法としては、有効成分である、N−ホスホノメチルグリシナートの塩類及びグルホシネートに対して、好ましくは上記のカチオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を添加し、水で希釈して除草用混合液剤とする方法が挙げられる。
本発明の除草用混合液剤の有効成分量は、上記のように従来の除草剤に比較して少なくできる特長を有する。
以下に、本発明の実施の形態を製剤例及び生物効果試験例に基づき、具体的に説明する。
[製剤例1]
グリホサートイソプロピルアミン塩の41%溶液74gに対して、グルホシネートの50%溶液をそれぞれ、▲1▼2.0g▲2▼4.0g▲3▼6.0g▲4▼8.0g▲5▼12.0gの各量にて添加する。次いで界面活性剤として、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム5.0g(カチナールCB50:東邦化学社商品名)、更に水を加えて重量合計を100gに調整し、攪拌混合して液剤を作製した。
[製剤例2]
グリホサートアンモニウム塩の41%溶液74gに対して、グルホシネートの50%溶液をそれぞれ、▲1▼2.0g▲2▼4.0g▲3▼6.0g▲4▼8.0g▲5▼12.0gの各量にて添加する。次いで界面活性剤、カルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン5.0g(アンヒトール20Y:花王社商品名)、更に水を加えて重量合計を100gに調整し、攪拌混合して液剤を作製した。
[試験例1](ポット試験)
150cm2のプラスチック容器で栽培した、メヒシバ5.5葉期、エノコログサ5葉期、アオビユ4.2葉期、オナモミ5.3葉期の植物に、上記製剤例1及び製剤例2によって調製した10種類の液剤、及び対照として、市販されているグリホサートイソプロピルアミン塩41%液剤、グリホサートアンモニウム塩41%液剤、グルホシネートの18.5%液剤の計13種類の薬剤を1平方メートル当たり、0.5ml、1.0mlに相当する量を水で希釈して、1平方メートル当たり200ml散布した。その結果を[表1]に示す。
表中、供試剤の製剤例は前数字がグリホサート塩の濃度(重量%)で、後数字がグルホシネート濃度(重量%)である。調査実施日は左側数値が薬剤散布3日後のもので、右側の数値が薬剤散布28日後のものである。評価基準は、10段階評価であり、「0:薬剤反応なし」、「10:完全枯殺」とし、除草効果が大となるに従って、数値も大となっている。
[試験例2](圃場試験)
試験場所:関東鉄道の下妻保線区内(日本国所在)
試験植物:セイタカアワダチソウ 30〜40cm
オオアレチノギク 25〜40cm
スギナ 15〜20cm
メヒシバ 20〜30cm
エノコログサ 20〜30cm
薬剤散布日:2001年9月13日
試験規模:10m2/区、2反復
試験方法:刈り払い4週間後、各液剤の所定量を1平方メートル当たり200ml茎葉部に散布した。
調査月日:2001年9月20日、10月11日
試験結果を[表2]に示す。表中、供試剤の製剤例は前数字がグリホサート塩の濃度(重量%)で、後数字がグルホシネート濃度(重量%)である。調査実施日は左側数値が薬剤散布7日後のもので、右側の数値が薬剤散布28日後のものである。評価基準は、10段階評価であり、「0:薬剤反応なし」、「10:完全枯殺」とし、除草効果が大となるに従って、数値も大となっている。
以上の試験例で明らかなように、グリホサート塩に対して、重量比にて、その1/5から1/15量のグルホシネートを混合することによって、グリホサートの欠点であった速効性が付与され、効果の発現が極めて悪かったスギナを防除できる。同時に、残効性を維持しつつ単位面積当たりの農薬投下量、価格を軽減することを可能にした。
グリホサートイソプロピルアミン塩の41%溶液74gに対して、グルホシネートの50%溶液をそれぞれ、▲1▼2.0g▲2▼4.0g▲3▼6.0g▲4▼8.0g▲5▼12.0gの各量にて添加する。次いで界面活性剤として、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム5.0g(カチナールCB50:東邦化学社商品名)、更に水を加えて重量合計を100gに調整し、攪拌混合して液剤を作製した。
[製剤例2]
グリホサートアンモニウム塩の41%溶液74gに対して、グルホシネートの50%溶液をそれぞれ、▲1▼2.0g▲2▼4.0g▲3▼6.0g▲4▼8.0g▲5▼12.0gの各量にて添加する。次いで界面活性剤、カルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン5.0g(アンヒトール20Y:花王社商品名)、更に水を加えて重量合計を100gに調整し、攪拌混合して液剤を作製した。
[試験例1](ポット試験)
150cm2のプラスチック容器で栽培した、メヒシバ5.5葉期、エノコログサ5葉期、アオビユ4.2葉期、オナモミ5.3葉期の植物に、上記製剤例1及び製剤例2によって調製した10種類の液剤、及び対照として、市販されているグリホサートイソプロピルアミン塩41%液剤、グリホサートアンモニウム塩41%液剤、グルホシネートの18.5%液剤の計13種類の薬剤を1平方メートル当たり、0.5ml、1.0mlに相当する量を水で希釈して、1平方メートル当たり200ml散布した。その結果を[表1]に示す。
表中、供試剤の製剤例は前数字がグリホサート塩の濃度(重量%)で、後数字がグルホシネート濃度(重量%)である。調査実施日は左側数値が薬剤散布3日後のもので、右側の数値が薬剤散布28日後のものである。評価基準は、10段階評価であり、「0:薬剤反応なし」、「10:完全枯殺」とし、除草効果が大となるに従って、数値も大となっている。
[試験例2](圃場試験)
試験場所:関東鉄道の下妻保線区内(日本国所在)
試験植物:セイタカアワダチソウ 30〜40cm
オオアレチノギク 25〜40cm
スギナ 15〜20cm
メヒシバ 20〜30cm
エノコログサ 20〜30cm
薬剤散布日:2001年9月13日
試験規模:10m2/区、2反復
試験方法:刈り払い4週間後、各液剤の所定量を1平方メートル当たり200ml茎葉部に散布した。
調査月日:2001年9月20日、10月11日
試験結果を[表2]に示す。表中、供試剤の製剤例は前数字がグリホサート塩の濃度(重量%)で、後数字がグルホシネート濃度(重量%)である。調査実施日は左側数値が薬剤散布7日後のもので、右側の数値が薬剤散布28日後のものである。評価基準は、10段階評価であり、「0:薬剤反応なし」、「10:完全枯殺」とし、除草効果が大となるに従って、数値も大となっている。
以上の試験例で明らかなように、グリホサート塩に対して、重量比にて、その1/5から1/15量のグルホシネートを混合することによって、グリホサートの欠点であった速効性が付与され、効果の発現が極めて悪かったスギナを防除できる。同時に、残効性を維持しつつ単位面積当たりの農薬投下量、価格を軽減することを可能にした。
本発明の除草用混合薬剤を使用することによって、グリホサートの有する残効性を維持しつつ速効性を併せ持たせ、保存中に有効成分が沈降する恐れを無くし、投下薬剤量を20%程度減少させることができる。また、防除が困難であったスギナの防除を可能にすることができる。
Claims (6)
- N−ホスホノメチルグリシナート(N−(phosphonomethyl)glycinate)の塩類に対して、グルホシネート(glufosinate−ammonium)を重量比で5:1〜15:1の割合で混合した有効成分を含有することを特徴とする除草用混合液剤。
- 前記した有効成分と、カチオン界面活性剤を含有し、水で希釈して液剤としたことを特徴とする請求項1記載の除草用混合液剤。
- 前記した有効成分と、両性界面活性剤を含有し、水で希釈して液剤としたことを特徴とする請求項1記載の除草用混合液剤。
- N−ホスホノメチルグリシナート(N−(phosphonomethyl)glycinate)の塩類に対して、グルホシネート(glufosinate−ammonium)を重量比で5:1〜15:1の割合で混合した有効成分を含有する混合液剤を使用することを特徴とする除草方法。
- 前記した有効成分を含有する混合液剤を使用することによって、速効性を付与したことを特徴とする請求項4記載の除草方法。
- 前記した有効成分を含有する混合液剤を使用することによって、スギナを防除する請求項4または請求項5記載の除草方法。
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