JPWO2004019680A1 - 臓器、組識または細胞の保護および保存のための組成物およびその利用 - Google Patents

臓器、組識または細胞の保護および保存のための組成物およびその利用 Download PDF

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Abstract

本発明は、臓器、組織または細胞の保護および保存を効率よく行う組成物を提供すること。特に手術中でも使用することができる保護組成物を提供する。本発明は詳細には、ポリフェノールを含む、臓器、組織または細胞の保護および保存のための組成物が提供される。被検体における臓器、組織または細胞を保護するための方法であって、1)ポリフェノールを、該臓器、組織または細胞に暴露する工程を包含する、方法もまた提供される。このような組成物およびポリフェノールは、臓器(特に、心臓、脳、神経、脊髄など)の機能の保護に有効である。

Description

細胞、組織または臓器の保護および保存に関する。特に、臓器、細胞および組織の保護および保存の機能を有する組成物およびその利用に関する。
通常、細胞を保存するには、−196℃の極低温で凍結保存され、必要なとき、これら凍結細胞を急速解凍して生細胞が得られている。しかしながらこの凍結・融解後の生存率は、細胞の種類や実験者の熟練度に依存するものの、癌以外の正常有用細胞、例えばランゲルハンス島や肝細胞の生存率は極めて低く、たかだか10〜30%である。
さらに、血球成分や血小板は凍結保存ができないので、その有効期間も12〜72時間と非常に短い。加えて最近、臓器移植の症例が増えているが、移植臓器の保存方法も重要な研究課題として残っており、細胞の増殖と細胞障害に大きく関係している。
近年の外科手術の技術、免疫抑制剤などの進歩に伴って、臓器移植の症例が増加している。この臓器移植に於いて、提供者(ドナー)から摘出された臓器が直ちに受容者(レシピエント)に移植されることが理想的ではあるが、必ずしも直ちに移植手術がなされていない。しかし、移植手術は緊急性を伴うため貴重な臓器保存の問題が極めて重要である。現在、臓器保存法として、臓器の代謝抑制を目的とする低温保存法と、代謝維持を目的とする灌流保存法が適用されており、それらに使用される様々な保存液が開発され臨床的に応用されている。
さらに、心臓などの臓器の手術の際に、血流を一過的に止めることが必要となる場合があるが、細胞、組織および臓器が虚血状態になり、その後に再灌流すると、フリーラジカルが発生し細胞、組織および臓器の機能に障害が発生する。従来は、低温度処理などによりこの障害を低減させることが行われているが、そのような処理は煩雑であり、手術の自由度を妨げる結果となっている。また、従来の処理では、再灌流に障害が残ることが多く、細胞、組織および臓器の保護は完全に行われているとは言いがたい。
近年、緑茶ポリフェノールなどのポリフェノール類は、抗酸化作用等の生理活性のあることが知られようになり、広くその解明や応用が研究されるようになってきている。
上述のように、細胞、組織および臓器では、しばしば、虚血および再灌流等に生じるフリーラジカルの存在が生体膜の脂質過酸化を促進し、生体膜障害を引き起こし、その結果移植臓器の機能障害が起こる。このことから、本発明者らは、この過酸化脂質生成による細胞障害を阻止する、効果的な保存液の開発を行っている。以前にポリフェノール類のこれら細胞、組織または臓器におけるフリーラジカルの抑制作用を突き止め、有効成分としてポリフェノールを含む動物の細胞、組織または臓器の保存剤を提案した(特開2000−344602号公報)。
特開2000−344602号公報においては、ポリフェノール含む保存剤を、通常の細胞培養液として用いられる種々の培養液または臓器保存液に加えることによって、生体から取り出された細胞などを遮断状態におき、増殖作用を抑制して保存期間を大幅に延長させ、あるいは保存臓器等の機能を長期にわたって保つことができた。
ところで、臓器移植に限らず、外科的措置を行う際には、対象とする臓器などを血流から遮断した状態である程度維持しなければならない場合が少なくない。
このような場合にも、血流から遮断されて虚血状態の臓器は、上記のように速やかにフリーラジカルの生成により、生体膜の損傷を生じるため、外科的措置において時間的制約があり、また施術後の回復にも著しく影響する。
具体的には、例えば心臓手術では心停止液を心臓に灌流して人為的に心停止させて行うが、この間心筋は虚血状態となって酸素不足から心機能低下を招くことが多い。このため虚血状態の後、再灌流する際に心筋に大きな障害をもたらす場合がある。これを再灌流障害と呼ぶが、このため患者に致命的な負担をかける場合もあり、大きな問題となっている。
このような状態を回避、あるいは抑制するため、体温を低温度下において代謝を低下させ、これらの外科的措置時間の延長を図り、また術後の臓器などの損傷を軽減することも行われているが、なお外科的措置に十分な時間を確保することは困難であり、臓器への損傷を抑制することも十分とはいえない。また、このような低温処置を行うことも、大掛かりとなって精密な処置を迅速に行わなければならない手術現場においては少なからぬ障害になる。
上述のように、細胞または組織レベルでは保存という機能をポリフェノールが担うことは明らかにされているが、臓器という高次レベルで、しかも、その機能を維持する、すなわち、保護という機能まで行うということは予測され得ない。なぜなら、例えば、遺体から24時間以内に組織を取り出しても機能を保持していることは技術常識であるが、臓器(例えば、心臓など)の場合は、死ぬまでに臓器を取り出すことが必要であり、それが故、脳死後心臓停止までの臓器の摘出が重要な役割を果たしている。したがって、臓器、組織または細胞を「保護」するという組成物はいまだに明らかにされていない。
外科的措置などにおいて低温度処理などの行うことなく、虚血状態における細胞、組織または臓器などにおけるフリーラジカルの生成を抑え、代謝機能を維持してその機能を保護(すなわち、臓器、組織および細胞を「保護」)し、虚血状態での外科的措置時間の延長および施術後の回復、障害の予防を図ることを課題とした。また、同様に保存中の臓器(特に心臓)の保護を図ることを課題とした。
発明の要旨
本発明は、一部、本発明者らが、ポリフェノールに臓器、組織または細胞の保護作用が予想外に顕著であることを発見したことによって達成された。
したがって、本発明は以下を提供する。
(1) ポリフェノールを含む、臓器、組織または細胞の保護および保存のための組成物。
(2) 前記ポリフェノールは、虚血および再灌流のうち少なくとも1つの時期において、前記臓器、組織または細胞の保護に有効な量で存在する、項目1に記載の組成物。
(3) 前記虚血または再灌流は、外科的または内科的な手術のときに起こる、項目2に記載の組成物。
(4) 前記保護は、手術の際のものであり、前記ポリフェノールは、該手術前から再灌流後のいずれか時点で投与される、項目1に記載の組成物。
(5) 前記投与は、少なくとも術前約2週間から手術当日のいずれかの時点である、項目4に記載の組成物。
(6) 前記投与は、少なくとも虚血時に行われる、項目4に記載の組成物。
(7) 前記投与は少なくとも再灌流時に行われる、項目4に記載の組成物。
(8) 前記投与は少なくとも再灌流後に行われる、項目4に記載の組成物。
(9) 前記投与は、経口または非経口で行われる、項目4に記載の組成物。
(10) 前記手術は、外科的または内科的である、項目4に記載の組成物。
(11) 前記手術は、外科手術である、項目10に記載の組成物。
(12) 前記手術は、オフポンプ、PCI、カテーテルインターベンションまたは体外循環を使用する、項目11に記載の組成物。
(13) 前記外科手術は、大動脈、冠動脈または弁膜の手術である、項目11に記載の組成物。
(14) 前記臓器、組織または細胞は、臓器である、項目1に記載の組成物。
(15) 前記臓器は、皮膚、血管、角膜、腎臓、心臓、肝臓、臍帯、腸、神経、肺、胎盤または膵臓を含む、項目1に記載の組成物。
(16) 前記臓器は、心臓、脳、神経および脊髄からなる群より選択される、項目1に記載の組成物。
(17) 前記臓器、組織または細胞は、哺乳動物のものである、項目1に記載の組成物。
(18) 前記臓器、組織または細胞は、ヒトのものである、項目1に記載の組成物。
(19) 臓器、組織または細胞の保護剤である、項目1に記載の組成物。
(20) 前記保護は、虚血時の保護を含む、項目19に記載の組成物。
(21) 臓器、組織または細胞の保存剤である、項目1に記載の組成物。
(22) 前記ポリフェノールは、混合物または単品である、項目1に記載の組成物。
(23) 前記ポリフェノールは、カテキン類、タンニン、プルアントシアニジンおよびリスベラトロールからなる群より選択される、項目1に記載の組成物。
(24) 前記ポリフェノールは、少なくともカテキン類またはタンニンを含む、項目1に記載の組成物。
(25) 前記ポリフェノールは、エピガロカテキンガレートを含む、項目1に記載の組成物。
(26) 前記ポリフェノールは、ヒドロキシ価が2〜約100である、項目1に記載の組成物。
(27) 前記ポリフェノールは、茶抽出物、海草抽出物、アロエ抽出物およびワイン抽出物、サボテン抽出物および果実抽出物からなる群より選択される抽出物を含む、項目1に記載の組成物。
(28) 前記ポリフェノールは海草抽出物を含む、項目1に記載の組成物。
(29) 前記ポリフェノールは茶抽出物を含む、項目1に記載の組成物。
(30) 被検体における臓器、組織または細胞を保護するための方法であって、
1)ポリフェノールを、該臓器、組織または細胞に暴露する工程
を包含する、方法。
(31) 前記ポリフェノールは、虚血および再灌流のうち少なくとも1つの時期において、前記臓器、組織または細胞の保護に有効な量で前記被検体に投与される、項目30に記載の方法。
(32) 前記保護は、手術の際になされる、項目30に記載の方法。
(33) 前記手術は、外科的または内科的な手術である、項目32に記載の方法。
(34) 前記ポリフェノールは、前記手術前から再灌流後のいずれか時点で前記被検体に投与される、項目32に記載の方法。
(35) 前記投与は、少なくとも術前約2週間から手術当日のいずれかの時点である、項目34に記載の方法。
(36) 前記投与は、少なくとも虚血時に行われる、項目34に記載の方法。
(37) 前記投与は少なくとも再灌流時に行われる、項目34に記載の方法。
(38) 前記投与は少なくとも再灌流後に行われる、項目34に記載の方法。
(39) 前記投与は、経口または非経口で行われる、項目34に記載の方法。
(40) 前記手術は、外科手術である、項目32に記載の方法。
(41) 前記手術は、オフポンプ、PCI、カテーテルインターベンションまたは体外循環を使用する、項目32に記載の方法。
(42) 前記外科手術は、大動脈、冠動脈または弁膜の手術である、項目40に記載の方法。
(43) 前記臓器、組織または細胞は、臓器である、項目30に記載の方法。
(44) 前記臓器は、皮膚、血管、角膜、腎臓、心臓、肝臓、臍帯、腸、神経、肺、胎盤または膵臓を含む、項目30に記載の方法。
(45) 前記臓器は、心臓、脳、神経および脊髄からなる群より選択される、項目30に記載の方法。
(46) 前記臓器、組織または細胞は、哺乳動物のものである、項目30に記載の方法。
(47) 前記臓器、組織または細胞は、ヒトのものである、項目30に記載の方法。
(48) 前記保護は、虚血時の保護を含む、項目30に記載の方法。
(49) 前記保護は、再灌流時の保護を含む、項目30に記載の方法。
(50) 前記ポリフェノールは、混合物または単品である、項目30に記載の方法。
(51) 前記ポリフェノールは、カテキン類、タンニン、プルアントシアニジンおよびリスベラトロールからなる群より選択される、項目30に記載の方法。
(52) 前記ポリフェノールは、少なくともカテキン類またはタンニンを含む、項目30に記載の方法。
(53) 前記ポリフェノールは、エピガロカテキンガレートを含む、項目30に記載の方法。
(54) 前記ポリフェノールは、ヒドロキシ価が2〜約100である、項目30に記載の方法。
(55) 前記ポリフェノールは、茶抽出物、海草抽出物、アロエ抽出物およびワイン抽出物、サボテン抽出物および果実抽出物からなる群より選択される抽出物を含む、項目30に記載の方法。
(56) 前記ポリフェノールは海草抽出物を含む、項目30に記載の方法。
(57) 前記ポリフェノールは茶抽出物を含む、項目30に記載の方法。
(58) 臓器、組織または細胞を保存するための方法であって、
1)該臓器、組織または細胞をポリフェノールを含む流体中に保持する工程、を包含する、方法。
(59) 前記臓器は、心臓である、項目58に記載の方法。
(60) 臓器、組織または細胞を保護または保存するための医薬を製造するための、ポリフェノールの使用であって、該医薬は、ポリフェノールを含む、使用。
したがって、本発明の組成物は、生体に直接または間接的に投与することにより、細胞、組織または臓器を保護(代謝機能を正常状態と)する、ポリフェノールを有効成分とする代謝機能抑制剤であり得る。本発明の組成物はさらに、臓器類の血流を遮断する外科的措置において、予め生体に投与することにより対象とする臓器類を代謝機能抑制状態とする、ポリフェノールを有効成分とする代謝機能向上剤であり得る。
また、本発明の組成物その用法として、臓器類の血流を遮断する外科的措置において、ポリフェノールを有効成分とする代謝機能抑制剤を予め生体に投与することにより対象とする臓器類を代謝機能を正常状態とする、臓器類の虚血性障害抑制法もまた特徴である。より具体的には、1つの実施形態において、上記外科的措置が心臓手術であり、対象とする臓器が心臓であることを特徴とする虚血性障害抑制法であり、上記投与条件が経口および静脈投与であり、さらに、上記の投与条件が、手術当日〜2週間で、0.01〜0.1g/Kg/dayとして心臓の心筋を保護することを特徴とする臓器類の虚血性障害抑制法が提供される。
以下に、本発明の好ましい実施形態を示すが、当業者は本発明の説明および当該分野における周知慣用技術からその実施形態などを適宜実施することができ、本発明が奏する作用および効果を容易に理解することが認識されるべきである。
図1は、コントロール群ラットおよびポリフェノール投与群ラットの心臓断面を示す心筋病理標本拡大写真図である。
図2は、左心室収縮末期圧−容量関係を示すグラフである。
図3は、8−OHdGを用いた免疫病理学的判定結果である。
図4は、心筋細胞の核の空胞変性を示す病理学標本拡大写真図(コントロール)である。
図5は、心筋細胞の核の空胞変性を示す病理学標本拡大写真図(ポリフェノール投与)である。
図6は、FITC標識したポリフェノールを用いた細胞内ポリフェノール局在を示す図である。
図7は、再灌流後のポリフェノールの心臓重量に対する効果である。
好ましい実施形態の説明
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞または形容詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本明細書において使用される「ポリフェノール」とは、同一分子内に2以上の水酸基を有するフェノールをいい、多価フェノールともいう。水酸基の数によって二価フェノール、三価フェノールなどと呼ばれる。たとえば、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノンなどのC(OH)は二価フェノールであり、フロログルシンC(OH)などは三価フェノールである。ポリフェノールは、ある分類法によれば、フラボノイド、加水分解型タンニン、その他のポリフェノールに分類することができる。加水分解型タンニンおよびプロアントシアニジン(縮合型タンニン)は、総称してタンニン(またはタンニン酸)に含まれる。本明細書において使用されるポリフェノールとして好ましいものは、すでに食品または医薬品(医薬部外品なども含む)として当局の承認を得たものが好ましい。そのようなものとしては、例えば、日本薬局方に掲載されているタンニン酸、タンニン酸アルブミンなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される「タンニン」とは、ポリオキシフェニルを基本構造としており、アルカリ分解するとフェノール類などが得られるものの総称である。カリ融解によって、ピロガロールを生じるピロガロールタンニンとカテコールを生じるカテコールタンニンとに分けられる。また、希酸と過熱すると加水分解され没食子酸およびエラグ酸などを生じる加水分解型タンニンと、重合して水に不溶性のプロバフェンを生じる縮合型タンニンとに分けられる。加水分解型タンニンは、没食子酸、ポリオキシジフェン酸などが糖とデプシド結合した構造をしていることが多い。また縮合型タンニンは、カテキン、ロイコアントシアンが数分子重合したものと考えられている。本明細書では、どの型のタンニンも有効であり得る。1つの実施形態では、タンニンは、タンニン酸またはタンニン酸アルブミンであり得る。タンニン酸は、ガロタンニン類の粗製品であり、医薬としても使用されている。タンニン酸アルブミンはタンニンとアルブミンとの混合物であり、これも医薬として用いられている。
本明細書において使用される「フラボノイド」とは、C−C−Cの炭素骨格をもった一群の色素の総称である。フラバンの誘導体を総称する。植物内で合成されるものが多く、植物体内でしばしばマロニルCoAと桂皮酸から生合成される。フラボノイドとしては、カルコン類、フラバノン類、フラボン類、フラボノール類、フラバノノール類、フラバノール(カテキン)類、イソフラボン類、アントシアン類、ベンザルクマラノン類、アントシアニジン類、プロトシアニジン類などが挙げられる。フラボノイドは抗酸化的な性質を有するが、フェノール性水酸基の数が減ればその効果は一般的に弱くなる。フラボノイドは抗癌作用が注目されている。
このようなフラボノイドは以下のような構造式を有する。
Figure 2004019680
本明細書において使用される「カルコン」は、1,3−ジフェニル−2−プロピレン−1−オン(1,3−ジフェニルプロパ−2−エン−1−オン)であり、ベンザルアセトフェノンともよばれる。カルコン類は、このカルコンのヒドロキシ誘導体を含む。カルコン類としては、カルコンのほかに、ブテインコレオブシン、イソブトリン、カルコノカルタミジン、イソカルタミン、カルタミン、ベジシン、ベジシニンなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される「フラバノン」は、2,3−ジヒドロフラボンであり、フラバノン類は、その誘導体(例えば、ヒドロキシ誘導体およびメトキシ誘導体(特に3,5,7,3’,4’位に置換))の総称である。フラバノン類は、主として配糖体として植物界(特に柑橘類)に存在する。フラバノンとしては、フラバノンのほかに、ピノセンブリン、ナリンゲニン、サリブルビン、ブルニン、ナリンギン、サクラネチン、サクラニン、ヘスベレチン、ヘスベリジン、エリオジクチオール、マットイシノールなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される「イソフラボン」は、3−フェニルクロモンであり、イソフラボン類は、その誘導体および配糖体を包含する。イソフラボン類としては、イソフラボンのほかに、ダイゼイン、ダイジン、ゲニステイン、ゲニスチンなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される「フラボン」とは、2−フェニルクロモン(C1510)であり、フラボン類は、その誘導体(例えば、ヒドロキシ誘導体およびメトキシ誘導体)の総称である。フラボン類としては、フラボンのほかに、クリシン、トリンギン、アビゲニン、コスモシイン、アビイン、ルテオリン、ガルテオリン、グルコルテオリンなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される「フラボノール」とは、3−ヒドロキシフラボン(C1510)であり、フラボノール類は、その誘導体(例えば、配糖体、ヒドロキシ誘導体およびメトキシ誘導体)の総称である。フラボノール類としては、ケンフェロール、トリホリン、アストラガリン、ロビニン、クエルセチン、クエルシトリン、イソクエルシトリン、ルチン、ミリセチン、ミリシトリンなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される「フラバノノール」とは、フラバノンのC環3位に水酸基が結合したものであり、フラバノノール類は、その誘導体の総称である。フラバノノール類としては、フラバノノールのほか、ピノバンクシン、アロマデンドリン、エンゲリチン、フスチン、タキシホリン、アスチルビン、アンペロプチンなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本明細書において使用される「フラバノール(カテキン)」は、フラバンのC環3位に水酸基が結合したものであり、カテキン類は、その誘導体の総称である。カテキン類としては、カテキンのほかに、ガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、および2分子重合したテアフラビン類(例えば、テアフラビン、テアフラビン−3−O−ガレート、テアフラビン−3’−ガレート、テアフラビン−3,3’−dl−O−ガレートなど)などが挙げられるがそれらに限定されない。カテキンは、茶類によく含まれている。
本明細書において使用される「アントシアニジン」は、2−フェニルベンゾピリリウム構造に4−6個の水酸基が結合したもの(アグリコン)をいう。その配糖体をさすときはアントシアニンといい、アントシアンはその両者をあわせての名である。
ベンザルクマラノンは「オーロン」ともいい、C1510であらわされる。ベンザルクマラノン類は、その誘導体の総称である。ベンザルクマラノン類としては、ベンザルクマラノンのほか、スルフレチン、スルフレイン、パラシトリンレプトシジン、レプトシン、オーロシシジン、オーロイシン、セルヌオシドなどが挙げられるがそれらに限定されない。
本発明が対象とする臓器はどのような臓器でもよく、また本発明が対象とする組織または細胞は、生物のどの臓器または器官に由来するものでもよい。本明細書において「臓器」または「器官」とは、互換可能に用いられ、生物個体のある機能が個体内の特定の部分に局在して営まれ,かつその部分が形態的に独立性をもっている構造体をいう。一般に多細胞生物(例えば、動物、植物)では器官は特定の空間的配置をもついくつかの組織からなり、組織は多数の細胞からなる。そのような臓器または器官としては、血管系に関連する臓器または器官が挙げられる。1つの実施形態では、本発明が対象とする臓器は、皮膚、血管、角膜、腎臓、心臓、肝臓、臍帯、腸、神経、肺、胎盤、膵臓、脳、四肢末梢、網膜などが挙げられるがそれらに限定されない。好ましくは、本発明が対象とする臓器は、心臓または脳神経系の臓器が挙げられる。より好ましくは、本発明が対象とする臓器は、心臓である。別の実施形態では、本発明が対象とする臓器は、肝臓、腎臓などであり得る。
本明細書において「組織」(tissue)とは、多細胞生物において、実質的に同一の機能および/または形態をもつ細胞集団をいう。通常「組織」は、同じ起源を有するが、異なる起源を持つ細胞集団であっても、同一の機能および/または形態を有するのであれば、組織と呼ばれ得る。従って、本発明の幹細胞を用いて組織を再生する場合、2以上の異なる起源を有する細胞集団が一つの組織を構成し得る。通常、組織は、臓器の一部を構成する。動物の組織は,形態的、機能的または発生的根拠に基づき、上皮組織、結合組織、筋肉組織、神経組織などに区別される。植物では、構成細胞の発達段階によって分裂組織と永久組織とに大別され、また構成細胞の種類によって単一組織と複合組織とに分けるなど、いろいろな分類が行われている。
本明細書において使用される「細胞」は、当該分野において用いられる最も広義の意味と同様に定義され、多細胞生物の組織の構成単位であって、外界を隔離する膜構造に包まれ、内部に自己再生能を備え、遺伝情報およびその発現機構を有する生命体をいう。本明細書において対象とされる細胞としては、インビボ状態の細胞が挙げられる。細胞としては、例えば、表皮細胞、膵実質細胞、膵管細胞、肝細胞、血液細胞、心筋細胞、骨格筋細胞、骨芽細胞、骨格筋芽細胞、神経細胞、血管内皮細胞、色素細胞、平滑筋細胞、脂肪細胞、骨細胞、軟骨細胞などが挙げられる。細胞は、由来により、外胚葉、中胚葉および内胚葉に由来する幹細胞に分類され得る。外胚葉由来の細胞は、主に脳に存在し、神経幹細胞などが含まれる。中胚葉由来の細胞は、主に骨髄に存在し、血管幹細胞、造血幹細胞および間葉系幹細胞などが含まれる。内胚葉由来の細胞は主に臓器に存在し、肝幹細胞、膵幹細胞などが含まれる。本明細書では、本発明が対象とする体細胞はどのような胚葉由来でもよい。
本明細書において臓器、組織または細胞の「保護」とは、生体内(in vivo)で、臓器、組織または細胞の機能を生命を維持するに支障があるほどの消失を食い止めること、好ましくは維持すること、より好ましくは向上させることをいう。例えば、心臓の保護とは、虚血障害などから心臓を守り、心機能が低下しないようにすることをいう。特に、虚血による細胞の壊死およびその後の再灌流におけるフリーラジカルの発生など種々の障害要因が生体内にあり、これらの攻撃から臓器、組織または細胞を守ることが保護の概念に含まれる。
本明細書において臓器、組織または細胞の「保存」とは、生体外で、臓器、組織または細胞の状態を維持または向上することをいう。したがって、保護および保存は、その概念が異なる。特に、保存効果が認められた物質であっても、生体内で同じ働きをすることは予測不可能であることから、一概に保護効果を有するとはいえない。
このように、保護と保存とは、同じ性質を持つ側面もあるが、保存では、いったん保存したまま放置することがおおく、長時間になることが多いが、保護では長時間行うと、生体自体に影響が出てくることからあまり長時間にわたらないという点でも異なる。
本明細書において「虚血」または「虚血状態」とは、臓器または組織のの局所的血流不足または無血流状態をいう。血液供給の障害による局所的な組織の死滅が生じる。心臓の手術を行う際には、血流を一部または全部一時的に停止する必要があり、そのような場合には少なくとも一時的に虚血状態になり、その後の再灌流により障害が生じることが多い。虚血時の保護は従来困難であった。
本明細書において「再灌流」とは、冠動脈閉塞が開いた後に血流が再開することをいう。再灌流には、再灌流障害が生じる。再灌流障害は、冠動脈閉塞が開いた後に続発する心筋障害で、しばしば、不整脈を伴う。これは酸素由来のフリーラジカルのためと考えられている。
本明細書において「虚血障害」には、虚血時および再灌流時に生じる障害が含まれ、それらには、虚血性壊死に起因する障害または疾患、麻痺、心不全、心筋気絶、脊髄麻痺、網膜症、視神経障害、虚血性心筋症、脳虚血性障害、腎虚血性障害、肝虚血性障害などの臓器虚血性障害などが挙げられるがそれらに限定されない。
本発明が対象とする「疾患」は、組織に傷害がある任意の疾患であり得る。そのような疾患としては、例えば、任意の臓器の疾患が挙げられるがそれらに限定されない。例えば、心疾患としては、心不全、心筋梗塞、心筋症などが挙げられる。本発明の保護法法は、心臓以外の臓器の保護するためにも適用され得る。
「心不全」とは、心機能不全、循環機能不全、収縮力減退など心臓自体に障害があって、全身の臓器へ必要な量および質の血液を循環し得なくなった状態をいう。心不全は、心筋梗塞、心筋症などの心臓疾患の末期の症状である。重症心不全とは、その程度が重症であるものをいい、末期心不全ともいう。
「心筋梗塞」とは、冠状動脈の種々の病変による高度狭窄、閉塞によってその灌流領域に虚血性壊死が生じる疾患である。心筋梗塞の重傷度判定には、種々の分類がある。そのような分類としては、例えば、時間的経過による分類、形態学的分類(心筋層内範囲、部位、壊死の大きさなど)、心筋の壊死形態、梗塞後の心室再構築、血行動態的分類(治療、予後などに関連する)、臨床的重症度による分類などが挙げられる。ここで重症度が高いものを特に重症心筋梗塞という。
「心筋症」とは、心筋の器質的および機能的な異常に起因する疾患の総称であり、高血圧、代謝異常症、虚血などの基礎疾患に続発する二次性心筋症、および見かけ上の基礎疾患なしに発症する突発性心筋症に分類される。病理的変化としては、心筋肥大、線維化、変性などが認められる。
本明細書において「予防」(prophylaxisまたはprevention)とは、ある疾患または障害について、そのような状態が引き起こされる前に、そのような状態が起こらないようにするか、そのような状態を低減した状態で生じさせるかまたはその状態が起こることを遅延させるように処置することをいう。従って、本発明の保護法は、予防のためにまたは別の予防法と組み合わせて使用され得る。
本明細書において「治療」とは、ある疾患または障害について、そのような状態になった場合に、そのような疾患または障害の悪化を防止、好ましくは、現状維持、より好ましくは、軽減、さらに好ましくは消長させることをいう。従って、本発明の保護法は、治療において併用され得る。
本明細書において「オフポンプ」とは、外科手術時に使用されるとき、人工心肺を用いずに処置を行うことをいう。オフポンプ手術は、冠動脈の手術に用いられる。オフポンプ手術では、吻合すべき血管を10−30分ほど遮断することから局所的に一過性の虚血が生じることから、その際の機能障害が時に問題となっている。
本明細書において「体外循環」、「ポンプ」または「人工心肺」とは、互換可能に用いられ、人工心肺を使用して処置を行うことをいう。人工心肺を使用した場合でも、虚血時および再灌流時の問題は生じることから、虚血障害はどのような手術を行う際でも問題となっている。
本明細書において「手術」は、外科的であっても内科的であってもよい。外科的手術としては、例えば、ACバイパス、弁形成術、弁置換術、大動脈手術、生体肝移植、生体腎移植、脳死肝移植、心臓移植などが挙げられるがそれらに限定されない。好ましくは、大動脈、冠動脈または弁膜の手術であり得る。内科的手術としては例えば、バルーンカテーテルなどを用いるPCI(例えば、PTCA)、カテーテルインターベンション、各種血管に対するPTAなどが挙げられる。バルーンカテーテルは、内容的には、オフポンプ手術の範疇に入ることが多い。
本発明で用いられる細胞、組織または臓器は、どの生物由来の細胞(たとえば、任意の種類の多細胞生物(例えば、動物(たとえば、脊椎動物、無脊椎動物)、植物(たとえば、単子葉植物、双子葉植物など)など))でもよい。好ましくは、脊椎動物(たとえば、メクラウナギ類、ヤツメウナギ類、軟骨魚類、硬骨魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳動物など)由来の細胞が用いられ、より好ましくは、哺乳動物(例えば、単孔類、有袋類、貧歯類、皮翼類、翼手類、食肉類、食虫類、長鼻類、奇蹄類、偶蹄類、管歯類、有鱗類、海牛類、クジラ目、霊長類、齧歯類、ウサギ目など)由来の細胞、組織または臓器が対象であり得る。さらに好ましくは、霊長類(たとえば、チンパンジー、ニホンザル、ヒト)の細胞、組織または臓器が対象であり得る。最も好ましくはヒトの細胞、組織または臓器が対象として用いられる。
本発明の医薬組成物に含まれる薬学的に受容可能なキャリアとしては、当該分野において公知の任意の物質が挙げられる。そのような薬学的に受容可能なキャリアとしては、以下が挙げられるがそれらに限定されない:抗酸化剤、保存剤、着色料、風味料、および希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒクル、希釈剤、賦形剤および/または薬学的アジュバント。代表的には、本発明の医薬組成物は、1種または複数種(例えば、混合物)のポリフェノールを、1つ以上の生理的に受容可能なキャリア、賦形剤または希釈剤とともに組成物の形態で投与される。例えば、適切なビヒクルは、注射用水、生理的溶液、または人工脳脊髄液であり得、これらには、非経口送達のための組成物に一般的な他の物質を補充することが可能である。
例示の適切なキャリアとしては、中性緩衝化生理食塩水、または血清アルブミンと混合された生理食塩水が挙げられる。好ましくは、その生成物は、適切な賦形剤(例えば、スクロース)を用いて凍結乾燥剤として処方される。他の標準的なキャリア、希釈剤および賦形剤は所望に応じて含まれ得る。他の例示的な組成物は、pH7.0−8.5のTris緩衝剤またはpH4.0−5.5の酢酸緩衝剤を含み、これらは、さらに、ソルビトールまたはその適切な代替物を含み得る。
本発明の医薬組成物は、非経口的に投与され得る。あるいは、その組成物は、静脈内または皮下で投与され得る。全身投与されるとき、本発明において使用される医薬組成物は、発熱物質を含まない、薬学的に受容可能な水溶液の形態であり得る。そのような薬学的に受容可能な組成物の調製は、細胞、組織または臓器の生存、pH、等張性、安定性などに相当な注意を払うことを条件として、当業者の技術範囲内である。
本発明の医薬処方物は、必要に応じて生理学的に受容可能なキャリア、賦型剤または安定化剤(日本薬局方第14版またはその最新版(追補を含む)、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,A.R.Gennaro,ed.,Mack Publishing Company,1990などを参照)と、所望の程度の純度を有する細胞組成物とを混合することによって、凍結乾燥されたケーキまたは水溶液の形態で調製され保存され得る。
本明細書で使用される受容可能なキャリア、賦形剤または安定化剤は、レシピエントに対して非毒性であり、そして好ましくは、使用される投薬量および濃度において不活性であり、そして以下が挙げられる:リン酸塩、クエン酸塩、または他の有機酸;抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸);低分子量ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン);モノサッカリド、ジサッカリドおよび他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む);キレート剤(例えば、EDTA);糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール);塩形成対イオン(例えば、ナトリウム);ならびに/あるいは非イオン性表面活性化剤(例えば、Tween、プルロニック(pluronic)またはポリエチレングリコール(PEG))。
(好ましい実施形態の説明)
1つの局面において、本発明は、ポリフェノールを含む、臓器、組織または細胞の保護および保存のための組成物を提供する。このポリフェノールは、薬学的または医学的に(あるいは農学的または獣医学的に)有効な濃度で存在する。
本発明者らは数年前に、このポリフェノールにおいて、特に癌細胞増殖抑制作用に興味を持ち、種々の性質を調べたところ、通常の抗酸化物質(例えば、酵素系としてスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、また非酵素系としてビタミンE、ビタミンC、ダルタチオン、カロチノイド、フラボノイド、糖類、鉄キレート剤、尿酸、アルブミン等)には見られない特異的な性質、即ち水にも有機溶媒にも極めて良く溶ける両親媒性を示し、タンパク質に対する吸着性に優れ、また、細胞毒性が極めて低い上に、抗酸化活性はSODの10倍以上もあり、さらにこれまでは全く知られていなかった動物細胞の増殖を自由自在に制御出来ることを見いだした。
ポリフェノールは種々の生理活性作用、例えば抗癌作用、抗酸化作用、抗菌・抗ウイルス作用に優れていることは1980年代から多くの研究者らによって報告されている。このポリフェノールが細胞増殖に及ぼす影響に関する研究は既に報告されているものの、その殆どが癌細胞の増殖を抑制するというものである。
特に最近のNatureに掲載された論文J.Jankun,S.H.Selman,and R.Swiercz,“Why drinking green tea could prevent cancer”,Nature, 87,5 June,561,1997、Y,Cao and R.Cao,“Angiogenesis inhibited by drinking tea,Nature,398,1April,381,1999、が世界的に注目された。
緑茶ポリフェノールは、抗酸化作用、消臭作用、抗菌作用などの様々な作用があり、また抗う蝕性やその他の生理活性がある(飲食料品用機能性素材有効利用技術とリーズNo.10,緑茶ポリフェノール、上村光男、菓子総合技術センター、三勇社)ことから、近年、機能性食品として愛用されている。しかしながら、ポリフェノールの動物細胞や臓器の保存性に対する作用はこれまで全く示唆されていなかった。
このように従来その殆どの研究者らは、ポリフェノールの抗酸化物としての抗癌作用にのみ関心を向けて来たものと思われる。
そのような中、本発明者らは、最近、ポリフェノールに細胞、組織などの生体外での保存効果があることを見出し、特許出願を行った。この出願においては、単離された細胞や切除された生体組織および臓器をポリフェノールを含有する保存液に浸漬して遮断状態としてその保存を図り、あるいは術後の処置として保存剤の投与を行うことにより、その後の臓器に対する各種障害の発生防止、回復などを図った。
この場合保存液中の濃度、あるいは血中濃度が効果のある範囲に保たれれば、これに接する細胞においてフリーラジカルの生成とその作用を抑制できることが期待され、実際の効果を確認することにより発明の完成を見たものであった。
したがって、その作用効果は浸漬された保存液あるいは投与されたことにより一定の血中濃度が保たれて細胞、臓器等に対してその効果を発揮するが、当然のことながら虚血状態においては効果を発揮できず、その作用効果は投与の形態を問わず一過性の作用であって、その後の持続作用は期待されなかった。
本発明者らは、生体に対してポリフェノール類を投与するとき細胞、組織や臓器に対するこれらの作用がポリフェノールを添加した保存液などに浸漬した場合などと比較して作用効果に関する経過が必ずしも同じではなく、生体内に投与した場合に、細胞、組織または臓器の保護効果があることを突き止め、本発明に至った。
すなわち、対象動物にある期間これらの活性を有するポリフェノール類を投与し続けると、その後これらの細胞、組織や臓器を採取・摘出して血流から遮断してもこれらの細胞または臓器は遮断中の状態を保ち、その後再灌流してもその機能を復活(または維持)し、フリーラジカルによる損傷を生じない。従って、本発明は、特に、虚血時の臓器保護という面では、従来達成不可能であった効果を奏することができるといえる。
したがって、このような状態において、外科的処置を取るため、生体組織や臓器などを血流から長時間遮断しておくことが可能となる。このような効果は従来の技術では達成不可能であったものであり、その有用性は筆舌に尽くしがたい。
ポリフェノールは、通常純度として60%以上の製品が入手容易であり、本発明の細胞や臓器の保存剤としてのポリフェノールは、純度60%以上の製品でも使用可能であるが、純度85%以上の精製品がより適している。もちろん、さらに高純度であればより効果的である。
従って、本発明の組成物に含まれるポリフェノールは、ポリフェノールの純度に関係なくすべてが包含される。特に、ポリフェノールはカテキン類またはタンニン類が好ましく、このなかに3,3,4,5,7−フラボペントールで知られるカテキン、3、4−ジヒドロキシフェニル骨格をもつカテコールアミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミンが含まれるが、エピガロカテキンガレートを主要成分とするカテキン類であることが特に好ましい。
他の好ましいポリフェノールの例はタンニン酸が挙げられる。一般的な、例えば局方タンニン酸は、没食子酸基8個をブドウ糖残基の周囲、かつ同一平面上に配座し、さらに2個の没食子酸基を垂直方向に結合させたものである。しかし、化合物の中心部は必ずしも葡萄糖に限られたものでなく、セルローズ系の化合物であってもよく、タンニン酸を加水分解して得られる没食子酸のジデブシドなども使用することができる。
したがって、本発明ではポリフェノールは、混合物または単品であり得る。好ましい実施形態では、ポリフェノールは、カテキン類、タンニン、プルアントシアニジンおよびリスベラトロールからなる群より選択される。
1つの好ましい実施形態では、ポリフェノールは、少なくともカテキン類またはタンニン酸を含む。より好ましい実施形態では、ポリフェノールは、エピガロカテキンガレートを含む。別の好ましい実施形態では、ポリフェノールは、ポリフロログルシノール複合体を含む。茶抽出物、海草抽出物およびワイン抽出物、サボテン抽出物および果実抽出物が好ましい。
本発明で用いられるポリフェノールのヒドロキシ価は、ポリフェノールの定義にあえばどのようなものでもよいが、通常ヒドロキシ価は、2〜約100であり、より好ましくは、3以上であり得、さらに好ましくは4以上であり得る。
本明細書において用いられるポリフェノールは、種々の食品から抽出され得る。そのような食品としては、例えば、茶、ワイン、チョコレート、サボテン、海藻、野菜(たまねぎ(最外部の黄褐色の皮)、アロエ抽出物パセリの葉、白色野菜など)、柑橘類(温州みかん、だいだい、ポンカンの皮、夏みかんの皮、グレープフルーツ、レモンなど)、リンゴなどの果実類、穀物(こうりゃん、大豆、そば、小麦など)、ダリアの花などが挙げられるがそれらに限定されない。好ましくは、ポリフェノールは、茶抽出物、海草抽出物、果実抽出物、サボテン抽出物およびワイン抽出物からなる群より選択される抽出物を含む。
1つの好ましい実施形態では、ポリフェノールは海草抽出物を含む。別の実施形態では、ポリフェノールは茶抽出物を含む。
好ましい実施形態では、本発明において、ポリフェノールは、虚血および再灌流のうち少なくとも1つの時期において、臓器、組織または細胞の保護に有効な量で存在するように投与される。そのような状態を達成するには、ポリフェノールは、術前に投与されてもよく、虚血時、再灌流時のいずれかに投与されてもよい。好ましくは、投与は、少なくとも術前約2週間(あるいは、少なくとも術前1週間、少なくとも術前3日間、少なくとも術前2日間、少なくとも術前1日など)から手術当日のいずれかの時点で行われ、より好ましくは、術前約2週間から手術当日まで定期的に(例えば1日1回0.1〜100mg/kg体重、例えば、40mg/kg体重など)投与が行われてもよい。別の実施形態では、投与は少なくとも虚血時に行われる。なお別の実施形態では少なくとも再灌流時に行われる。さらに別の実施形態では、再灌流後に行われる。投与の間隔は、これら好ましい実施形態に限定されず、本発明の処置方法を被検体(または患者)に対して施す頻度もまた、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、および治療経過などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。頻度としては、例えば、1日3、4回など(例えば、1−2週間継続)〜2週間に1回の投与が挙げられる。経過を見ながら適宜投与頻度を変更してもよい。例えば、1日3回、2日〜1週間、継続投与、毎食前、毎食間などが挙げられるがそれらに限定されない。本発明の組成物の投与は、当該分野において周知の方法が用いられ、経口または非経口で行われる。そのような非経口投与方法は、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、粘膜投与、直腸内投与、膣内投与、患部への局所投与、皮膚投与などであり得る。そのような投与のための処方物は、任意の製剤形態で提供され得る。そのような製剤形態としては、例えば、液剤、注射剤、徐放剤が挙げられる。本発明の処置方法において使用されるポリフェノールの量は、使用目的、対象障害・手術・疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、細胞の形態または種類などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。
ある実施形態において、上記虚血または再灌流は、外科的または内科的な手術のときに起こるものであり得る。したがって、本発明は、外科手術または内科手術において虚血状態が発生するものにおいて、多大な効果を奏する。
本発明のひとつの実施形態において、臓器、組織または細胞の保護は、手術の際のものであり得る。そのような保護を特に目的とする場合、ポリフェノールは、手術前から再灌流後のいずれか時点で投与され得、より好ましくは、上述の投与頻度・間隔・時機で投与される。
本発明の1つの実施形態において、上記手術は特に外科手術であり得る。したがって、本発明が保護の対象とするものは臓器であり得る。外科手術は、オフポンプ、PCI、カテーテルインターベンションまたは対外循環を使用するものであり得、心臓の外科手術の場合は、例えば、大動脈、冠動脈または弁膜の手術などが挙げられるがそれらに限定されない。したがって、本発明では、そのような臓器は、例えば、血管、角膜、腎臓、心臓、肝臓、臍帯、腸、神経、肺、胎盤または膵臓であり得る。好ましくは、そのような臓器は、脳、神経、心臓、脊髄などが挙げられるがそれらに限定されない。
本発明のポリフェノール含有組成物は、生物であれば原則的にどのような生物でも保護または保存の目的で使用することができる。好ましくは、その生物は、脊椎動物または無脊椎動物であり、より好ましくは、生物は脊椎動物(たとえば、メクラウナギ類、ヤツメウナギ類、軟骨魚類、硬骨魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳動物など)由来の細胞が用いられ、さらにより好ましくは、哺乳動物(例えば(単孔類、有袋類、貧歯類、皮翼類、翼手類、食肉類、食虫類、長鼻類、奇蹄類、偶蹄類、管歯類、有鱗類、海牛類、クジラ目、霊長類、齧歯類、ウサギ目など)由来のものであり得る。さらに好ましくは、霊長類(たとえば、チンパンジー、ニホンザル、ヒト)由来のものが対象とされ得る。最も好ましくはヒト由来のものが対象であり得る。
本発明の組成物は、好ましい実施形態において、臓器、組織または細胞の保護を目的とし得る。この保護は、虚血時の保護を含むことが好ましいがそれに限定されない。別の実施形態において、本発明の組成物は、臓器、組織または細胞の保存を目的とし得る。
別の局面において、本発明は、被検体における臓器、組織または細胞を保護するための方法であって、1)ポリフェノールを、該臓器、組織または細胞に暴露する工程を包含する、方法を提供する。この方法において、好ましくは、ポリフェノールは、虚血および再灌流のうち少なくとも1つの時期において、前記臓器、組織または細胞の保護に有効な量で前記被検体に投与され得る。本発明の保護方法におけるポリフェノールの投与時機は、上述したように、虚血時または再灌流時、あるいは再灌流後の障害発生時に有効濃度が存在するような量で投与されるのであれば、どのような投与形態でもよい。好ましくは、手術前から再灌流後のいずれか時点で被検体に投与される。好ましくは、投与は、少なくとも術前約2週間から手術当日のいずれかの時点であり、より好ましくは、虚血時または再灌流時の少なくとも一方において投与され得る。あるいは、投与は再灌流後に行われてもよい。再灌流後に投与すると、障害の軽減または治癒が達成され得る。再灌流前に投与すると、予防効果が奏されるが、障害が発生した場合にその障害を低減する作用も有し得る。
本発明の保護方法において、投与は経口でも非経口でもよい。術前は経口で行うことが患者の快適さのために好ましい。術時は非経口で行うことが好ましい。術時は通常麻酔を行っているから患者が服用することが困難であるからである。本明細書において「被験体」または「被検体」とは、処置(例えば、治療、予防、予後の措置)が適用される生物をいい、「患者」ともいわれる。
「患者」、「被験体」または「被検体」は、本発明が適用される生物であればどのような生物でもよい。好ましくは、「患者」、「被験体」または「被検体」は、ヒトである。
ある実施形態では、上記方法における保護は、手術の際のものを目的とする。手術のなかでもは、虚血状態を生じるものにおいて本発明の方法は、効果を奏する。手術は、外科手術であっても内科手術であってもよい。本発明の方法は、特に、外科手術において適している。そのような外科手術は、オフポンプ、PCI、カテーテルインターベンションまたは体外循環を使用するものであり得、外科手術は、大動脈、冠動脈または弁膜の手術であり得る。
本発明の保護方法は、好ましい実施形態では、臓器を保護する方法であり得る。この臓器としては、皮膚、血管、角膜、腎臓、心臓、肝臓、臍帯、腸、神経、肺、胎盤または膵臓が挙げられるがそれらに限定されない。好ましくは、前記臓器は、心臓、脳、神経および脊髄からなる群より選択される。より好ましくは、臓器は、心臓であり得る。心臓で保護効果が見つかったことは、特に格別の効果であり得る。
本発明の保護方法において対象とされる臓器、組織または細胞は、どのような生物のものでもよいが、特に哺乳動物のものが好ましく、より好ましくはヒトのものであり得る。
本発明の保護方法は、虚血時の保護および再灌流時の少なくとも一方を含み得る。
本発明の保護方法において使用されるポリフェノールは、上述したとおりであり、種々のものが使用され得る。
別の局面において、本発明は、臓器、組織または細胞を保存するための方法であって、1)該臓器、組織または細胞をポリフェノールを含む流体中に保持する工程、を包含する、方法を提供する。本発明では、特に、心臓の保護のみならず、保存効果をもポリフェノールが有していたことが判明した。このことは、従来技術にはまったく報告されておらず、したがって、格別な効果であるということができる。
別の局面において、本発明は、臓器、組織または細胞を保護または保存するための医薬を製造するための、ポリフェノールの使用であって、該医薬は、ポリフェノールを含む、使用を提供する。
本発明において、本発明の医薬がパッケージとして実施される場合には、指示書が添付され得る。そのような指示書は、本発明が実施される国の監督官庁(例えば、日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局(FDA)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。本発明の組成物は、通常は医師の監督のもとで実施されるが、使用目的に応じて(例えば、心臓の保存)、その国の監督官庁および法律が許容する場合は、医師の監督なしに実施することができる。
本発明の組成物または医薬は、さらに他の薬剤を含み得る。そのような薬剤は、薬学において公知の任意の薬剤であり得る。当然、本発明の組成物または医薬は、2種類以上の他の薬剤を含んでいてもよい。そのような薬剤としては、例えば、日本薬局方、米国薬局方、他の国の薬局方などの最新版において掲載されているものなどが挙げられる。そのような薬剤は、好ましくは、目的とする生物の器官に対して効果を有するものであり得る。手術の際に用いられる場合は、手術において好ましい効果を奏する薬剤が同時投与され得る。そのような薬剤としては、例えば、血栓溶解剤、血管拡張剤、組織賦活化剤、カテコールアミン、PDEIII阻害剤、カルシウム拮抗剤、βブロッカー、ステロイド剤などが挙げられるがそれらに限定されない。
本発明の組成物および医薬において投与すべきポリフェノールの量は、その種類、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。
好ましくは、本発明の組成物および医薬において投与すべきポリフェノールの量は、0.1〜1000mg/kg/日であり、好ましくは1〜10mg/kg/日または10〜100mg/kg/日などであり得る。
以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、以下の実施例は、例示の目的のみに提供される。従って、本発明の範囲は、上記発明の詳細な説明にも下記実施例にも限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
(実施例1)経口投与によるSDラット術前効果
本実施例において、SDラットをモデルにしてポリフェノールの保護効果を確認した。SDラットは、清水実験材料から入手し、京都大学において定められる動物実験の指針に従って、動物愛護精神に則って飼育した。
SDラットを2群にわけ、一群にはポリフェノールを多群にはコントロールとして蒸留水を投与した。投与するポリフェノールは、緑茶から以下のように調製した。緑茶葉を微粉砕し、低温熱水抽出を行った後、水・エタノール系のクロマトグラフを用いて分離精製した。緑茶ポリフェノールは、主成分としてカテキンおよびタンニン酸を含む。本実施例において用いた緑茶ポリフェノールはエピガロカテキンガレートを多量に含んでいた(エピガロカテキンガレート(28%)、ガロカテキンガレート(11.6%)、エピカテキンガレート(4.6%)、エピガロカテキン(15%)、ガロカテキン(14.8%)、エピカテキン(7.0%)、およびカテキン(9.5%)の混合物であった)。
Figure 2004019680
(注)投与期間:術前14日間
まず、表1の各群のラットをエーテルとペントバルビタールにより麻酔した後、正中開胸を行って心臓を摘出し、氷冷したKrebs−Henseleit Buffer(NaCl 0.6895g,KCl 0.0343g,MgSO 0.145g、CaCl−2HO 0.368g、KHPO 0.164g、NaHCO 2.10g、Glucose 0.188g/100ml)に速やかに浸漬した。
続いて摘出した心臓の重量を測定した後、直ちにランゲンドルフ装置に装着し、酸素95%、二酸化炭素5%混合ガスにて飽和させたKrebs Henseleit Bufferを灌流液として事前灌流した。その後、左心房から僧帽弁経由にて左心室にラテックスバルーンを接続した。事前灌流を20分間行った後、心筋灌流液を採取し、心筋の逸脱酵素(GOT、GPT、CPK、CPK−MB、LDH、Toloponin−T)を測定した。
また、同時に左心室内に挿入したバルーンにトランデューサーを介して圧モニターに接続し、これにより圧−時間関係(dP/dt)を測定。さらに左心室内バルーンを拡張させてその際の圧−容量関係(ESPVR/EDPVR)を測定した。
次に、4℃に冷却された心停止液20ml/Kgを灌流し、心停止を得た。心停止液は、30分毎に10ml/Kgずつ追加投与し、計90分間の心停止状態を続けた。
その後、Krebs−Henseleit Buffer 10ml/Kgの流量で心臓内の心停止液を洗い流し(hot shot)、その後、事前灌流と同様に酸素95%、二酸化炭素5%混合ガスにて飽和させたKrebs−Henseleit Bufferを灌流液として再灌流を行った。
再灌流5分と20分経過時に心筋逸脱酵素と心機能(圧−時間関係、心拍数、圧−容量関係)を測定し、それぞれを心停止前の値に対する比を計算した。また、再灌流後20分で灌流を終了し、その時点での心臓重量を測定して初期値に対する重量増加比を求めた(図7)。
今回、ポリフェノールの効果を正当に評価するために以下の項目を除外例として対象から除いた。
1 事前灌流20分値の灌流液測定において、Toloponin−Tが陽性であったもの。
2 再灌流後の灌流液液測定において、心筋逸脱酵素の異常高値、あるいは20分値において上昇しつづけるもの。
3 上記以外に、再灌流時の心拍数が,事前灌流の85%以下の徐脈例。
(結果)
1 再灌流後の浮腫の予防効果
再灌流後の心筋重量の増加は、ポリフェノール事前投与群で、1.35±0.05、コントロール群で1.49±0.03と有意に浮腫が軽減された(P=0.047)(図1および図7)。
心筋病理標本でもその左心室径と間質浮腫において有意に抑制された。
2 心収縮力の維持
左心室収縮末期圧−容量関係において、図2のグラフのとおり有意に心機能を維持した。
3 酸化ストレスの軽減
酸化ストレスマーカーに一つである8−OHdGを用いた免疫病理学的判定量においてポリフェノール事前投与群で81.5±11.6、コントロール群で226.9±35.6と有意に浮腫が軽減された(P<0.0001)(図3)。
4 心筋細胞の保護
核の空胞変性が抑制された。
以上のとおり、ラットを対象とした実験により、90分間の心停止状態において虚血状態を維持したが、再灌流後の測定で浮腫の軽減が見られ、さらに心筋病理標本によれば、左心室径および間質浮腫において著しい効果が認められる。
再灌流後の心収縮力も心停止前の機能をほぼ保っており、再灌流20分後でも比較的機能低下が小さいことがわかる。
また、図4,5の組織写真で明らかなように、心筋細胞間の浮腫は著しく軽減されており、組織レベル、細胞レベルでその機能が維持されていることがわかる。
ポリフェノールの事前投与は虚血再灌流後の心機能の維持、浮腫の軽減、および酸化ストレスの軽減の3点において有用性が確認された。再灌流障害は、系外循環を用いない手術においても必然的に起こる現象であり、この効果の臨床的有用性は高いと考えられる。経口投与という簡便な方法で行える点も有用である。
これらの結果により、ヒトにも適用できることが外挿される。ポリフェノールの保護機能が哺乳動物一般において有効であることが明らかになった。このような効果は従来の知見では予測不可能であったことであり、このような保護効果があることが判明したことは当該分野において画期的な利点をもたらすものとして注目されるべきである。
(実施例2:虚血時の投与効果)
実施例1において、術前に投与する代わりに、虚血時に緑茶ポリフェノール組成物を同時投与した。投与した処方物は、滅菌してから投与した。
その結果、再灌流後の浮腫の予防が有意に達成されていることが明らかになった(データ示さず)。また、心収縮力が維持されており、酸化ストレスが軽減されており、心筋細胞が保護されていることが観察された。ただし、実施例1の術前投与に比べると、その効果はわずかに少なかった。
(実施例3:再灌流時の投与)
実施例1において、術前に投与する代わりに、再灌流時に緑茶ポリフェノール組成物を同時投与した。投与した処方物は、滅菌してから投与した。
その結果、再灌流後の浮腫の予防が有意に達成されていることが明らかになった(データ示さず)。また、心収縮力が維持されており、酸化ストレスが軽減されており、心筋細胞が保護されていることが観察された。ただし、実施例1の術前投与および実施例2の虚血時の投与に比べると、その効果はわずかに少なかった。したがって、術前に投与するほうが、実際の虚血時または再灌流時に投与するよりも効果が高いことがわかる。
(実施例4:ポリフェノールの細胞内蓄積)
術前に投与してもポリフェノールの臓器保護効果があった現象を別の観点で調べるために、ポリフェノールが細胞内に蓄積されているかどうかを調べた。
実施例1で用いた緑茶ポリフェノールをFITC標識をし、同様のプロトコルを用いて経口投与して細胞内でのポリフェノールの分布を調べた。
結果、心筋の細胞膜にポリフェノールの分布が局在していることが明らかになった(図6)。
(実施例5:脳神経系および肝臓)
次に、脳および肝臓においても、実施例1と同様に緑茶ポリフェノールの効果を調べたところ、同様の結果が得られた。
(実施例6:心臓の保存効果)
次に、麻酔下でラット(ウィスター系、380g)の心臓を摘出し、保存効果を比較検討した。コントロールとして、心臓摘出時にUW液にて洗浄後48時間冷却保存した。これに対して、この実施例ではそのUW液にさらにポリフェノール(10mg/ml)を添加した保存液で腎摘出時の洗浄を行い、同じく48時間冷却保存した。その後、心灌流装置で90分間の持続灌流を行い、灌流量、dp/dt、ESPVR)を比較した。その結果、比較対照として用いたUW液のみの保存腎に比べて、本発明のポリフェノール添加系では、心臓障害が顕著に軽減していた。
(実施例7:ヒトにおける実施)
次に、ヒトにおける効果を確認するための試験を行う。ヒトに関しては、上述の実施例における結果を参考にして、以下のようなプロトコルを採用する。
投与量
ポリフェノール(その中でも抗酸化作用の強いといわれているエピガロカテキンガレートとして)1日800mgの複数回投与、および1600mgの単回投与の臨床試験(Phasel)が行なわれ、その安全性は確認されている。従って、この用量を、使用する。従って、本発明のポリフェノールによる心筋保護に対する臨床試験でも、患者の同意を得た上で、同程度つまり800mg〜1600mgを1日量として、服用させる。
投与期間
上記動物の実施例ならびに他の心筋保護実験ならびに各種臓器保存実験より、ヒトにおいては細胞内にとりこまれて保護的に働くには最低でも約2日は必要と考えられる。そこで、術前7日から10日間1日量を毎日服用するようなレジメンを患者に受けさせる。この場合、期間は、緊急症例などの理由で延期されることもあることから、幅を持った期間となる。
対象
心臓血管にかかわる治療すべて(外科的な手術から内科的なカテーテル手技まで)が治療対象として企図される。
本実施例では、まず、開心術症例(人工心肺を使って行なう心臓血管手術)とオフポンプバイパス手術(人工心肺を使わずに自己心拍を残したまま冠動脈バイパス術を行なう手術)に応用する。この場合、7から10日間服用することが好ましいと考えられることから、緊急でない症例を選択する。
治療経過
上記症例において、合併症はほとんど見られなかったが、先ほど述べた臨床試験のなかで、一部の被験者に軽度の頭痛が認められる可能性はあるが、許容範囲である。ただし、ポリフェノールの特性上、鉄の吸収を阻害するため貧血、代謝排泄などに関連する副作用が起こる可能性はある。従って、肝臓および腎臓において副作用が見られる可能性があるが、適用を妨げる程度のものはないようである。
このように、本発明は、ヒトにおいても適用可能であることが実証される。
(実施例8:海草抽出物)
次に、茶抽出物に代えて、海草抽出物を用いて実施例1〜6の実験を行う。
海草として市販のアオサから以下のように調製した。アオサを微粉砕し、低温熱水抽出を行った後、水・エタノール系のクロマトグラフを用いてポリフェノール類を分離精製した。
まず、実施例1に記載されるように術前に投与する場合に心臓に対する保護効果を観察する。その結果、1 再灌流後の浮腫の予防効果;2 心収縮力の維持;3 酸化ストレスの軽減;4 心筋細胞の保護が観察される。
次に、実施例2に記載されるように、虚血時にアオサポリフェノール組成物を投与する。その結果、再灌流後の浮腫の予防が有意に達成されていることが明らかになる。また、心収縮力が維持されており、酸化ストレスが軽減されており、心筋細胞が保護されていることが観察される。
次に、実施例3に記載されるように、再潅流時にアオサポリフェノール組成物を同時投与する。その結果、再灌流後の浮腫の予防が有意に達成されていることが明らかになる。また、心収縮力が維持されており、酸化ストレスが軽減されており、心筋細胞が保護されていることが観察される。
アオサのポリフェノールの体内蓄積を実施例4に記載のように観察すると、心筋の細胞膜にポリフェノールの分布が局在することが観察される。
このようにアオサのポリフェノールであっても、茶抽出物と同様の結果が得られることが確認される。
さらに、実施例5のように脳および肝臓における実験を行ったところ、同様の結果が得られる。実施例6に記載されるように心臓の体外保存効果を観察すると、保存効果があることも観察される。
(実施例9:アロエ抽出物)
次に、茶抽出物に代えて、アロエ抽出物を用いて実施例1〜6の実験を行う。
市販のアロエベラから以下のように調製した。アロエを微粉砕し、低温熱水抽出を行った後、水・エタノール系のクロマトグラフを用いてポリフェノール類を分離精製した。
まず、実施例1に記載されるように術前に投与する場合に心臓に対する保護効果を観察する。その結果、1 再灌流後の浮腫の予防効果;2 心収縮力の維持;3 酸化ストレスの軽減;4 心筋細胞の保護が観察される。
次に、実施例2に記載されるように、虚血時にアロエポリフェノール組成物を投与する。その結果、再灌流後の浮腫の予防が有意に達成されていることが明らかになる。また、心収縮力が維持されており、酸化ストレスが軽減されており、心筋細胞が保護されていることが観察される。
次に、実施例3に記載されるように、再潅流時にアロエポリフェノール組成物を同時投与する。その結果、再灌流後の浮腫の予防が有意に達成されていることが明らかになる。また、心収縮力が維持されており、酸化ストレスが軽減されており、心筋細胞が保護されていることが観察される。
アロエのポリフェノールの体内蓄積を実施例4に記載のように観察すると、心筋の細胞膜にポリフェノールの分布が局在することが観察される。
このようにアロエのポリフェノールであっても、茶抽出物と同様の結果が得られることが確認される。
さらに、実施例5のように脳および肝臓における実験を行ったところ、同様の結果が得られる。実施例6に記載されるように心臓の体外保存効果を観察すると、保存効果があることも観察される。
(実施例10:ワイン抽出物)
次に、茶抽出物に代えて、赤ワイン抽出物を用いて実施例1〜6の実験を行う。
市販の赤ワイン(フランス・ボルドー産2000年物)から以下のように調製した。赤ワインを微粉砕し、低温熱水抽出を行った後、水・エタノール系のクロマトグラフを用いてポリフェノール類を分離精製した。赤ワインポリフェノールは、主成分としてフラボノール、カテキンを含む。
まず、実施例1に記載されるように術前に投与する場合に心臓に対する保護効果を観察する。その結果、1 再灌流後の浮腫の予防効果;2 心収縮力の維持;3 酸化ストレスの軽減;4 心筋細胞の保護が観察される。
次に、実施例2に記載されるように、虚血時に赤ワインポリフェノール組成物を投与する。その結果、再灌流後の浮腫の予防が有意に達成されていることが明らかになる。また、心収縮力が維持されており、酸化ストレスが軽減されており、心筋細胞が保護されていることが観察される。
次に、実施例3に記載されるように、再潅流時に赤ワインポリフェノール組成物を同時投与する。その結果、再灌流後の浮腫の予防が有意に達成されていることが明らかになる。また、心収縮力が維持されており、酸化ストレスが軽減されており、心筋細胞が保護されていることが観察される。
赤ワインのポリフェノールの体内蓄積を実施例4に記載のように観察すると、心筋の細胞膜にポリフェノールの分布が局在することが観察される。
このように赤ワインのポリフェノールであっても、茶抽出物と同様の結果が得られることが確認される。
さらに、実施例5のように脳および肝臓における実験を行ったところ、同様の結果が得られる。実施例6に記載されるように心臓の体外保存効果を観察すると、保存効果があることも観察される。
(実施例11:サボテン抽出物)
次に、茶抽出物に代えて、サボテン抽出物を用いて実施例1〜6の実験を行う。
市販のサボテンから以下のように調製した。サボテンを微粉砕し、低温熱水抽出を行った後、水・エタノール系のクロマトグラフを用いてポリフェノール類を分離精製した。サボテンポリフェノールは、主成分としてアントシアニンを含む。
まず、実施例1に記載されるように術前に投与する場合に心臓に対する保護効果を観察する。その結果、1 再灌流後の浮腫の予防効果;2 心収縮力の維持;3 酸化ストレスの軽減;4 心筋細胞の保護が観察される。
次に、実施例2に記載されるように、虚血時にサボテンポリフェノール組成物を投与する。その結果、再灌流後の浮腫の予防が有意に達成されていることが明らかになる。また、心収縮力が維持されており、酸化ストレスが軽減されており、心筋細胞が保護されていることが観察される。
次に、実施例3に記載されるように、再潅流時にサボテンポリフェノール組成物を同時投与する。その結果、再灌流後の浮腫の予防が有意に達成されていることが明らかになる。また、心収縮力が維持されており、酸化ストレスが軽減されており、心筋細胞が保護されていることが観察される。
サボテンのポリフェノールの体内蓄積を実施例4に記載のように観察すると、心筋の細胞膜にポリフェノールの分布が局在することが観察される。
このようにサボテンのポリフェノールであっても、茶抽出物と同様の結果が得られることが確認される。
さらに、実施例5のように脳および肝臓における実験を行ったところ、同様の結果が得られる。実施例6に記載されるように心臓の体外保存効果を観察すると、保存効果があることも観察される。
(実施例11:果実抽出物)
次に、茶抽出物に代えて、果実抽出物を用いて実施例1〜6の実験を行う。
市販の果実として、ブドウから以下のように調製した。果実を微粉砕し、低温熱水抽出を行った後、水・エタノール系のクロマトグラフを用いてポリフェノール類を分離精製した。
まず、実施例1に記載されるように術前に投与する場合に心臓に対する保護効果を観察する。その結果、1 再灌流後の浮腫の予防効果;2 心収縮力の維持;3 酸化ストレスの軽減;4 心筋細胞の保護が観察される。
次に、実施例2に記載されるように、虚血時に果実ポリフェノール組成物を投与する。その結果、再灌流後の浮腫の予防が有意に達成されていることが明らかになる。また、心収縮力が維持されており、酸化ストレスが軽減されており、心筋細胞が保護されていることが観察される。
次に、実施例3に記載されるように、再潅流時に果実ポリフェノール組成物を同時投与する。その結果、再灌流後の浮腫の予防が有意に達成されていることが明らかになる。また、心収縮力が維持されており、酸化ストレスが軽減されており、心筋細胞が保護されていることが観察される。
果実のポリフェノールの体内蓄積を実施例4に記載のように観察すると、心筋の細胞膜にポリフェノールの分布が局在することが観察される。
このように果実のポリフェノールであっても、茶抽出物と同様の結果が得られることが確認される。
さらに、実施例5のように脳および肝臓における実験を行ったところ、同様の結果が得られる。実施例6に記載されるように心臓の体外保存効果を観察すると、保存効果があることも観察される。
以上のように、本発明の好ましい実施形態および実施例を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明により、ポリフェノールによる臓器、組織または細胞の保護および保存効果が確認された。このような効果は、手術などにおいて応用され得るものであり、医薬として用いられるほか、特に、手術のフレキシビリティーを高めるものとして有用性は高い。

Claims (60)

  1. ポリフェノールを含む、臓器、組織または細胞の保護および保存のための組成物。
  2. 前記ポリフェノールは、虚血および再灌流のうち少なくとも1つの時期において、前記臓器、組織または細胞の保護に有効な量で存在する、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記虚血または再灌流は、外科的または内科的な手術のときに起こる、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記保護は、手術の際のものであり、前記ポリフェノールは、該手術前から再灌流後のいずれか時点で投与される、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記投与は、少なくとも術前約2週間から手術当日のいずれかの時点である、請求項4に記載の組成物。
  6. 前記投与は、少なくとも虚血時に行われる、請求項4に記載の組成物。
  7. 前記投与は少なくとも再灌流時に行われる、請求項4に記載の組成物。
  8. 前記投与は少なくとも再灌流後に行われる、請求項4に記載の組成物。
  9. 前記投与は、経口または非経口で行われる、請求項4に記載の組成物。
  10. 前記手術は、外科的または内科的である、請求項4に記載の組成物。
  11. 前記手術は、外科手術である、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記外科手術は、オフポンプ、PCI、カテーテルインターベンションまたは体外循環を使用する、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記外科手術は、大動脈、冠動脈または弁膜の手術である、請求項11に記載の組成物。
  14. 前記臓器、組織または細胞は、臓器である、請求項1に記載の組成物。
  15. 前記臓器は、皮膚、血管、角膜、腎臓、心臓、肝臓、臍帯、腸、神経、肺、胎盤または膵臓を含む、請求項1に記載の組成物。
  16. 前記臓器は、心臓、脳、神経および脊髄からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
  17. 前記臓器、組織または細胞は、哺乳動物のものである、請求項1に記載の組成物。
  18. 前記臓器、組織または細胞は、ヒトのものである、請求項1に記載の組成物。
  19. 臓器、組織または細胞の保護剤である、請求項1に記載の組成物。
  20. 前記保護は、虚血時の保護を含む、請求項19に記載の組成物。
  21. 臓器、組織または細胞の保存剤である、請求項1に記載の組成物。
  22. 前記ポリフェノールは、混合物または単品である、請求項1に記載の組成物。
  23. 前記ポリフェノールは、カテキン類、タンニン、プルアントシアニジンおよびリスベラトロールからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
  24. 前記ポリフェノールは、少なくともカテキン類またはタンニンを含む、請求項1に記載の組成物。
  25. 前記ポリフェノールは、エピガロカテキンガレートを含む、請求項1に記載の組成物。
  26. 前記ポリフェノールは、ヒドロキシ価が2〜約100である、請求項1に記載の組成物。
  27. 前記ポリフェノールは、茶抽出物、海草抽出物、アロエ抽出物、ワイン抽出物、サボテン抽出物および果実抽出物からなる群より選択される抽出物を含む、請求項1に記載の組成物。
  28. 前記ポリフェノールは海草抽出物を含む、請求項1に記載の組成物。
  29. 前記ポリフェノールは茶抽出物を含む、請求項1に記載の組成物。
  30. 被検体における臓器、組織または細胞を保護するための方法であって、
    1)ポリフェノールを、該臓器、組織または細胞に暴露する工程
    を包含する、方法。
  31. 前記ポリフェノールは、虚血および再灌流のうち少なくとも1つの時期において、前記臓器、組織または細胞の保護に有効な量で前記被検体に投与される、請求項30に記載の方法。
  32. 前記保護は、手術の際になされる、請求項30に記載の方法。
  33. 前記手術は、外科的または内科的な手術である、請求項32に記載の方法。
  34. 前記ポリフェノールは、前記手術前から再灌流後のいずれか時点で前記被検体に投与される、請求項32に記載の方法。
  35. 前記投与は、少なくとも術前約2週間から手術当日のいずれかの時点である、請求項34に記載の方法。
  36. 前記投与は、少なくとも虚血時に行われる、請求項34に記載の方法。
  37. 前記投与は少なくとも再灌流時に行われる、請求項34に記載の方法。
  38. 前記投与は少なくとも再灌流後に行われる、請求項34に記載の方法。
  39. 前記投与は、経口または非経口で行われる、請求項34に記載の方法。
  40. 前記手術は、外科手術である、請求項32に記載の方法。
  41. 前記手術は、オフポンプ、PCI、カテーテルインターベンションまたは体外循環を使用する、請求項32に記載の方法。
  42. 前記外科手術は、大動脈、冠動脈または弁膜の手術である、請求項40に記載の方法。
  43. 前記臓器、組織または細胞は、臓器である、請求項30に記載の方法。
  44. 前記臓器は、皮膚、血管、角膜、腎臓、心臓、肝臓、臍帯、腸、神経、肺、胎盤または膵臓を含む、請求項30に記載の方法。
  45. 前記臓器は、心臓、脳、神経および脊髄からなる群より選択される、請求項30に記載の方法。
  46. 前記臓器、組織または細胞は、哺乳動物のものである、請求項30に記載の方法。
  47. 前記臓器、組織または細胞は、ヒトのものである、請求項30に記載の方法。
  48. 前記保護は、虚血時の保護を含む、請求項30に記載の方法。
  49. 前記保護は、再灌流時の保護を含む、請求項30に記載の方法。
  50. 前記ポリフェノールは、混合物または単品である、請求項30に記載の方法。
  51. 前記ポリフェノールは、カテキン類、タンニン、プルアントシアニジンおよびリスベラトロールからなる群より選択される、請求項30に記載の方法。
  52. 前記ポリフェノールは、少なくともカテキン類またはタンニンを含む、請求項30に記載の方法。
  53. 前記ポリフェノールは、エピガロカテキンガレートを含む、請求項30に記載の方法。
  54. 前記ポリフェノールは、ヒドロキシ価が2〜約100である、請求項30に記載の方法。
  55. 前記ポリフェノールは、茶抽出物、海草抽出物、アロエ抽出物およびワイン抽出物、サボテン抽出物および果実抽出物からなる群より選択される抽出物を含む、請求項30に記載の方法。
  56. 前記ポリフェノールは海草抽出物を含む、請求項30に記載の方法。
  57. 前記ポリフェノールは茶抽出物を含む、請求項30に記載の方法。
  58. 臓器、組織または細胞を保存するための方法であって、
    1)該臓器、組織または細胞をポリフェノールを含む流体中に保持する工程、を包含する、方法。
  59. 前記臓器は、心臓である、請求項58に記載の方法。
  60. 臓器、組織または細胞を保護または保存するための医薬を製造するための、ポリフェノールの使用であって、該医薬は、ポリフェノールを含む、使用。
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