JPWO2004017758A1 - 大豆単細胞が分散してなる加工大豆の製造装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
人が摂取する際にほとんど気にならないレベルに大豆臭を抑えながら、大豆単細胞が分散してなる加工大豆を効率よく製造するための製造装置を提供する。この製造装置は、原料大豆を水に浸漬するための水槽と、水に浸漬した原料大豆を水の存在下において加圧加熱し、膨潤大豆を得るための加圧加熱手段と、膨潤大豆を分割し、大豆細胞クラスターの分散する大豆スラリーを得るための大豆粒分割手段と、得られた大豆スラリーに酵素処理を施し、大豆単細胞の分散する大豆ピューレを得るための酵素処理手段とを具備する。大豆ピューレは、そのままで液状大豆食品として使用でき、大豆ピューレの乾燥手段をさらに設ければ、大豆単細胞が分散してなる粉状大豆食品を提供することができる。
Description
本発明は、人が摂取する際にほとんど気にならないレベルに大豆臭を抑えながら、大豆単細胞が分散してなる加工大豆を効率よく製造するための製造装置、およびその製造方法に関するものである。
ミラクルクロップと云われ、たんぱく質、糖質および脂質をバランスよく含み、近年注目を集めいているイソフラボン、リジン、レシチン等の成分も豊富に含有する大豆は、その独特の味/臭いのために食品調理素材としての用途が限定されていた。そこで、本発明者は、国際出願公開公報WO01/10242号に記載されている「酵素を使用した大豆の加工方法」により大豆の食品素材としての利用可能性を大幅に広げることに成功している。
この方法においては、原料大豆を水に所定時間浸漬した後、水の存在下で原料大豆を加熱する。加熱した大豆を冷却した後、水とBacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを大豆に添加し、得られた混合物を攪拌しながら所定時間保持して酵素処理を実施する。酵素処理後、ペクチナーゼを失活させることで大豆の単細胞が分散するピューレ状の加工大豆を得ることができる。また、必要に応じてピューレ状の加工大豆を乾燥すればパウダー状の加工大豆も得ることができる。得られたパウダー状もしくはピューレ状の加工大豆は、細胞壁・細胞膜の損傷がほとんどなく、細胞内部に蛋白顆粒と脂肪球が健全な状態に保たれている大豆単細胞が分散したものであり、大豆臭がほとんどしないという特徴を備えている。
上記した加工方法は、大豆単細胞が分散してなる加工大豆を高い品質で供給するための必須の工程を提供するものであるが、このようなパウダー状もしくはピューレ状の加工大豆を工業的なスケールで安定して供給するには、製造効率をも考慮に入れた一貫した製造システムの確立が不可欠である。特に、大量の原料大豆に対して酵素処理を均一且つ十分に進行させるには長時間を要し、製造コストの増加をもたらす原因の一つとなっている。また、上記Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを用いた酵素処理は60℃という比較的高温で行えるため、処理中の雑菌発生の可能性は低い。しかしながら、処理時間があまりに長時間に至れば、得られた加工大豆の品質管理の点で問題になってくる。さらに、大量の大豆を加熱した後、酵素処理に適した温度に冷却するまでの時間が長くなると、最終的に得られる加工大豆に変色が生じる恐れもある。
このように、上記した大豆の加工方法で大量の大豆を処理しようとする場合には改善すべき種々の問題が浮上してきた。本発明者は、上記した大豆単細胞が分散してなる加工大豆の製造に成功して以来、世界にある豊富な大豆資源を有効に活用し、これまでその臭いのために摂取することを拒んできた世界中の人々に、大豆臭を気にすることなく、そのままで、もしくは調理品中に含有させるなどして美味しく食することができる加工大豆食品を安価に提供することを目標として、大規模なスケールでの製造にも耐えうる一貫した加工大豆の製造システムの開発に取り組み、ここに製造効率を格段に向上させることのできる加工大豆の製造装置の開発およびその製造方法の改良に至ったものである。
この方法においては、原料大豆を水に所定時間浸漬した後、水の存在下で原料大豆を加熱する。加熱した大豆を冷却した後、水とBacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを大豆に添加し、得られた混合物を攪拌しながら所定時間保持して酵素処理を実施する。酵素処理後、ペクチナーゼを失活させることで大豆の単細胞が分散するピューレ状の加工大豆を得ることができる。また、必要に応じてピューレ状の加工大豆を乾燥すればパウダー状の加工大豆も得ることができる。得られたパウダー状もしくはピューレ状の加工大豆は、細胞壁・細胞膜の損傷がほとんどなく、細胞内部に蛋白顆粒と脂肪球が健全な状態に保たれている大豆単細胞が分散したものであり、大豆臭がほとんどしないという特徴を備えている。
上記した加工方法は、大豆単細胞が分散してなる加工大豆を高い品質で供給するための必須の工程を提供するものであるが、このようなパウダー状もしくはピューレ状の加工大豆を工業的なスケールで安定して供給するには、製造効率をも考慮に入れた一貫した製造システムの確立が不可欠である。特に、大量の原料大豆に対して酵素処理を均一且つ十分に進行させるには長時間を要し、製造コストの増加をもたらす原因の一つとなっている。また、上記Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを用いた酵素処理は60℃という比較的高温で行えるため、処理中の雑菌発生の可能性は低い。しかしながら、処理時間があまりに長時間に至れば、得られた加工大豆の品質管理の点で問題になってくる。さらに、大量の大豆を加熱した後、酵素処理に適した温度に冷却するまでの時間が長くなると、最終的に得られる加工大豆に変色が生じる恐れもある。
このように、上記した大豆の加工方法で大量の大豆を処理しようとする場合には改善すべき種々の問題が浮上してきた。本発明者は、上記した大豆単細胞が分散してなる加工大豆の製造に成功して以来、世界にある豊富な大豆資源を有効に活用し、これまでその臭いのために摂取することを拒んできた世界中の人々に、大豆臭を気にすることなく、そのままで、もしくは調理品中に含有させるなどして美味しく食することができる加工大豆食品を安価に提供することを目標として、大規模なスケールでの製造にも耐えうる一貫した加工大豆の製造システムの開発に取り組み、ここに製造効率を格段に向上させることのできる加工大豆の製造装置の開発およびその製造方法の改良に至ったものである。
したがって、本発明の目的は、上記した問題点に鑑み、人が摂取する際にほとんど気にならないレベルに大豆臭を抑えながら、大豆単細胞が分散してなる加工大豆を効率よく製造することができる製造装置を提供することにある。
すなわち、本発明の製造装置は、原料大豆を水に浸漬するための容器と、水に浸漬した原料大豆を水の存在下において加圧加熱し、膨潤大豆を得るための加圧加熱手段と、膨潤大豆を分割し、大豆細胞クラスターの分散する大豆スラリーを得るための大豆粒分割手段と、大豆スラリーに酵素処理を施し、大豆単細胞の分散する大豆ピューレを得るための酵素処理手段とを具備することを特徴とする。
上記した大豆粒分割手段は、大豆細胞クラスターの大きさが膨潤大豆の各一粒の1/2〜1/50の範囲内、より好ましくは1/3〜1/20の範囲内になるように膨潤大豆を分割することが好ましい。
また、加圧加熱手段と大豆粒分割手段との間に、加圧加熱手段内にある膨潤大豆の温度を酵素処理が実施される温度まで冷却する冷却手段を具備することが好ましい。この冷却手段は、膨潤大豆の温度を酵素処理が実施される温度に維持する恒温槽を含むことが特に好ましい。このような冷却手段の導入は、最終的に得られる加工大豆の変色を防止するのに特に効果的である。
上記した酵素処理手段は、酵素処理中に大豆スラリーを攪拌するための攪拌手段を具備することが好ましい。
さらに、得られた大豆ピューレを乾燥し、大豆単細胞が分散してなる大豆パウダーを得るための乾燥手段を具備することが好ましく、乾燥手段として、スプレードライヤーを用いることが特に好ましい。
本発明のさらなる目的は、以下の工程に特徴を有する酵素を使用した加工大豆の製造方法を提供することにある。すなわち、原料大豆を水に浸漬する工程と、水に浸漬した原料大豆を水の存在下において加圧加熱し、膨潤大豆を得る工程と、得られた膨潤大豆を分割し、大豆細胞クラスターの分散する大豆スラリーを得る工程と、酵素を大豆スラリーに添加し、得られた混合物を攪拌しながら所定時間保持して酵素処理を実施する工程と、前記酵素を失活させて大豆単細胞の分散する大豆ピューレを得る工程とを含むことを特徴とする。
上記方法においては、酵素としてBacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを使用することが特に好ましい。また、必要に応じて、大豆ピューレを乾燥して大豆単細胞の分散する大豆パウダーを得る工程を追加しても良い。
本発明のさらなる特徴およびそれがもたらす効果は,以下に述べる発明を実施するための最良の形態および実施例から理解されるだろう。
すなわち、本発明の製造装置は、原料大豆を水に浸漬するための容器と、水に浸漬した原料大豆を水の存在下において加圧加熱し、膨潤大豆を得るための加圧加熱手段と、膨潤大豆を分割し、大豆細胞クラスターの分散する大豆スラリーを得るための大豆粒分割手段と、大豆スラリーに酵素処理を施し、大豆単細胞の分散する大豆ピューレを得るための酵素処理手段とを具備することを特徴とする。
上記した大豆粒分割手段は、大豆細胞クラスターの大きさが膨潤大豆の各一粒の1/2〜1/50の範囲内、より好ましくは1/3〜1/20の範囲内になるように膨潤大豆を分割することが好ましい。
また、加圧加熱手段と大豆粒分割手段との間に、加圧加熱手段内にある膨潤大豆の温度を酵素処理が実施される温度まで冷却する冷却手段を具備することが好ましい。この冷却手段は、膨潤大豆の温度を酵素処理が実施される温度に維持する恒温槽を含むことが特に好ましい。このような冷却手段の導入は、最終的に得られる加工大豆の変色を防止するのに特に効果的である。
上記した酵素処理手段は、酵素処理中に大豆スラリーを攪拌するための攪拌手段を具備することが好ましい。
さらに、得られた大豆ピューレを乾燥し、大豆単細胞が分散してなる大豆パウダーを得るための乾燥手段を具備することが好ましく、乾燥手段として、スプレードライヤーを用いることが特に好ましい。
本発明のさらなる目的は、以下の工程に特徴を有する酵素を使用した加工大豆の製造方法を提供することにある。すなわち、原料大豆を水に浸漬する工程と、水に浸漬した原料大豆を水の存在下において加圧加熱し、膨潤大豆を得る工程と、得られた膨潤大豆を分割し、大豆細胞クラスターの分散する大豆スラリーを得る工程と、酵素を大豆スラリーに添加し、得られた混合物を攪拌しながら所定時間保持して酵素処理を実施する工程と、前記酵素を失活させて大豆単細胞の分散する大豆ピューレを得る工程とを含むことを特徴とする。
上記方法においては、酵素としてBacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを使用することが特に好ましい。また、必要に応じて、大豆ピューレを乾燥して大豆単細胞の分散する大豆パウダーを得る工程を追加しても良い。
本発明のさらなる特徴およびそれがもたらす効果は,以下に述べる発明を実施するための最良の形態および実施例から理解されるだろう。
図1は、本発明に基づく加工大豆の製造装置を示す概略図である。
以下、本発明の大豆単細胞が分散してなる加工大豆の製造装置を図1を参照しながら詳細に説明する。
まず、原料大豆を洗浄ユニット10により水洗した後、水を満たした水槽や貯水タンク等の容器21を有する浸漬ユニット20に所定時間浸漬する。浸漬時間としては、例えば、18〜20℃の水温であれば約18時間浸漬し、23〜25℃の水温であれば約12時間浸漬することが好ましい。浸漬ユニット20の大きさは特に限定されるものではないが、後述する加圧加熱処理ユニット30の1バッチで処理可能な大豆重量の約2〜3倍を浸漬できる能力があれば、連続してバッチ処理を行える。この工程は、大豆の個々の細胞内に十分量の水分を吸収させ、後に実施される酵素処理を行い易くするために実施される。
水中に十分に浸漬した大豆は、オートクレーブや圧力鍋のような圧力容器31を有する加圧加熱処理ユニット30に送られる、加圧加熱処理ユニット30では、水に浸漬した大豆を水の存在下で加圧加熱することにより膨潤大豆が得られる。この工程により、殺菌と、大豆に含まれるリポキシゲナーゼの失活とを行うことができる。また、大豆タンパクが熱変性するので、人体への消化吸収性が改善される。さらに、大豆の細胞間物質が軟化するので、後に実施される酵素処理を行い易くなる。加圧加熱条件としては、例えば、圧力鍋を使用して加圧下、120℃で15〜25分間処理することが好ましい。尚、処理後は、加圧条件から大気圧に徐々に減圧することが好ましい。急激に減圧すると膨潤大豆が破壊する恐れがある。また、加圧加熱処理により得られた煮汁は、廃棄せず次回の加圧加熱処理に使用しても良い。
図1の製造装置においては、加圧加熱処理ユニット30と後述する大豆粒分割ユニット50との間に冷却ユニット40が設けられている。加圧加熱処理ユニット30の圧力容器31の底部は開口可能な構造になっており、この圧力容器31の底部を開くことで一度に膨潤大豆が冷却ユニット40の恒温槽41に供給されるようになっている。加圧加熱ユニット30では大豆が100℃を超える高温で加熱されるが、加圧加熱処理後に長時間にわたって100℃付近の高い温度に膨潤大豆が保持されると、最終的に得られる加工大豆に変色が生じる恐れがある。このような変色は、品質維持の点で避けられるべきであり、変色の度合いによっては不良品となる場合もある。そこで、上記したような構成を採用すれば、膨潤大豆は加圧加熱ユニット30での処理温度から短時間で酵素処理に適した温度(例えば、60℃)付近の温度に冷却されるので、加工大豆の変色の発生を未然に防ぐことができる。尚、前記したように、急冷ユニットによって酵素処理に適した温度付近に膨潤大豆を冷却することが好ましいが、酵素処理温度から約85℃の間の温度に冷却できれば、冷却ユニット40を設けたことによる効果を期待できる。冷却ユニットとしては、上記以外にも、膨潤大豆を収容可能な容器とこの容器の外周に冷却水を循環させることが可能な簡易な構成を用いても良い。
次に、膨潤大豆が大豆粒分割ユニット50により所定の大きさに分割され、大豆細胞クラスターが分散する大豆スラリーが得られる。本発明の製造装置の最大の特徴は、酵素処理に先立って、この膨潤大豆を分割する大豆粒分割ユニット50を設けた点にある。すなわち、膨潤大豆を酵素と反応させる際、処理される大豆量が多くなると、酵素が個々の大豆に均一に行き渡りにくくなるため、酵素が大豆細胞同士を引き離して単細胞化するまでに要する時間が一般に長くなる。酵素処理時に膨潤大豆を攪拌することは、酵素処理の進行を早める上で有効ではあるが、それのみによる効率化には限界がある。
そこで、本発明者は、原料大豆に比べて膨潤大豆の構造が非常にソフトであることに着目し、膨潤大豆をある程度の大きさにまで分割しても、その際に大豆細胞が受ける損傷は比較的小さく、結果的に最終製品である加工大豆に大豆臭が残存することはほとんどないこと、換言すれば、加工大豆を摂取する際にはほとんど気にならないレベルに大豆臭を抑えることができることを見出した。一方、膨潤大豆を分割しておくことで、酵素処理において酵素と大豆細胞との接触面積を増加させることができるので、後の酵素処理に要する時間を大幅に短縮できるという利点がある。
尚、本発明でいう「分割」は、原料大豆に機械的な粉砕を施して大豆細胞をすり潰したり、微粉化するという意味ではない。機械的に原料大豆を強粉砕する工程を実施すれば、酵素処理前の段階で大豆細胞のほとんどが損傷を受けるので、酵素処理によって単細胞化された大豆はもはや健全な状態にはなく、人が摂取するにあたって大豆臭を強く感じる加工大豆になってしまう。これに対して、本発明では、膨潤大豆を以下に述べるような制御された大きさに分割することによって、分割に伴って大豆細胞が受けるダメージを許容範囲内として大豆臭の発生を防ぎながら、膨潤大豆と酵素との接触面積を大きくして後の酵素処理を効率よく進めることを可能にしている。
また、本明細書では、大豆粒分割ユニットによって分割された膨潤大豆の小片を「大豆細胞クラスター」と呼んでいる。膨潤大豆は非常にソフトな状態にあるので、分割された膨潤大豆の小片の最表層においては大豆細胞のある程度のダメージの発生は避けられないが、その最表層から内部に向かっての広い範囲では大豆細胞が依然として健全な状態にあり、この分割された膨潤大豆の小片の最表層下部から内部に向かって存在する大豆細胞が後の酵素処理によって単細胞化されるのである。
本発明において、大豆粒分割ユニットによって分割された膨潤大豆の小片の大きさ、すなわち、大豆細胞クラスターの大きさは、最終的に得られる加工大豆を人が摂取する際に大豆臭に気付かないように決定されれば良いが、好ましくは膨潤大豆の各一粒の1/2〜1/50程度、さらに好ましくは1/3〜1/20程度、特に好ましくは1/3〜1/10程度に分割することが大豆臭の発生を安定に防止する点から推奨される。大豆は、生産地や種類により大きさが異なるが、例えば、大豆1kgが300〜330の大豆粒からなるとすると、大豆一粒は約3gである。本発明者によって測定された大豆の1g当たりにはおよそ2000万個の大豆細胞が存在していたことから、大豆一粒(3g)には、およそ6000万個の大豆細胞が存在することになる。したがって、このような細胞数の大豆粒の場合、大豆細胞クラスターは、120万個〜3000万個の大豆細胞の凝集体でなることが好ましく、さらに好ましくは300万個〜2000万個の大豆細胞の凝集体でなり、特に好ましくは600万個〜2000万個の大豆細胞の凝集体でなる。
このような寸法範囲に膨潤大豆が分割される場合は、分割に伴って膨潤大豆が受けるダメージは比較的軽微であり、最終製品である加工大豆を人が摂取するにあたってはほとんど大豆臭が気にならないレベルを安定に維持することができる。一方、大豆細胞クラスターが分散するスラリーに酵素処理を施すことで、酵素処理に要する時間は膨潤大豆に直接酵素処理を施す場合に比べて2/3〜1/10に短縮することができる。大豆粒分割ユニットとしては、上記寸法に膨潤大豆をソフトに分割できるものであればよく、特に限定されないが、例えば、膨潤大豆をポンプにより送り出し、所定の開口を有するフィルター51を通過させる構成としたり、上記寸法に膨潤大豆をソフトに分割できるように設計されたミキサーや食品加工用ギアポンプ等を用いることができる。
次いで、上記のようにして得られた大豆細胞クラスターが分散する大豆スラリーを酵素処理ユニット60の酵素処理タンク61に導入して酵素処理を施す。この酵素処理は、水の存在下においてBacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを酵素供給手段62によって酵素処理タンク61内の大豆スラリーに添加し、得られた混合物を攪拌翼(図示せず)によって攪拌しながら所定時間行われる。尚、ペクチナーゼの供給量に特に制限はいないが、酵素処理の効果と酵素コストのバランスからみて、浸漬工程前の大豆重量に対して0.05〜0.2wt%程度とすることが好ましい。また、酵素処理温度としては、60℃が好ましい。Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼの酵素活性は、60℃で最も高いからである。Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼは、大豆の細胞同士を結合するペクチン質であるプロトペクチンに対して強力に作用するので、大豆細胞壁を破壊することなく大豆細胞クラスターを単細胞化することができる。
尚、酵素処理中の攪拌は、言うまでもなく大豆細胞を破壊するような強力なものではあってはならない。例えば、混合物中において攪拌翼を20〜30回転/分程度の速度で回転させるようなソフトな条件を採用することが好ましい。このような条件であれば、分離された大豆の単細胞を攪拌によってほぐしながら、大豆細胞に対して均一にペクチナーゼを作用させることができるので、酵素処理をスムーズに実施するのに好適である。酵素処理を所定時間実施した後、熱処理によりペクチナーゼの酵素作用を失活させれば、大豆の単細胞が分散する大豆ピューレが得られる。酵素作用を失活させるためには、例えば、約90〜100℃の温度域を通過させれば良い。
このようにして得られた大豆ピューレは、液状加工大豆としてそのまま摂取、もしくはその他の食材とともに調理して摂取することが可能であるが、必要に応じて、大豆ピューレを乾燥すれば大豆単細胞が分散する粉状加工大豆を得ることができる。乾燥方法としては、気流乾燥法もしくは噴霧乾燥法を採用することが好ましく、特にスプレードライヤーを用いることが好ましい。
本発明の製造装置によって得られる液状及び粉状加工大豆は、細胞壁・細胞膜の損傷がほとんどなく、細胞内部に蛋白顆粒と脂肪球が健全な状態に保たれている大豆単細胞が分散されてなり、ほとんど大豆臭が感知できないレベルに維持されているので、スパゲッティ、マカロニ、ピザ生地、ロールパン、ハンバーガーバンズ、イングリッシュマフィン等のパン類といった比較的薄い小麦粉利用食品、ハンバーグやミートボール等の加工肉食品、豆腐、豆乳ヨーグルトといった既存の大豆食品、大豆たんぱく含有食品、クリーム、味噌、植物性チーズ、シリアル、ビスケット、クラッカー、ドレッシング、健康食品、こんにゃくゼリー等のダイエットフーズ、餡、プリン、クリーム、ジャム、カレー、アイスクリーム、シャーベット、菓子類への利用が可能である。さらに、果物ジュース、トマトジュースや人参ジュース等の野菜ジュース、コーヒー飲料、豆乳、ポタージュスープや味噌汁などのスープ類といった飲料への利用も可能である。
まず、原料大豆を洗浄ユニット10により水洗した後、水を満たした水槽や貯水タンク等の容器21を有する浸漬ユニット20に所定時間浸漬する。浸漬時間としては、例えば、18〜20℃の水温であれば約18時間浸漬し、23〜25℃の水温であれば約12時間浸漬することが好ましい。浸漬ユニット20の大きさは特に限定されるものではないが、後述する加圧加熱処理ユニット30の1バッチで処理可能な大豆重量の約2〜3倍を浸漬できる能力があれば、連続してバッチ処理を行える。この工程は、大豆の個々の細胞内に十分量の水分を吸収させ、後に実施される酵素処理を行い易くするために実施される。
水中に十分に浸漬した大豆は、オートクレーブや圧力鍋のような圧力容器31を有する加圧加熱処理ユニット30に送られる、加圧加熱処理ユニット30では、水に浸漬した大豆を水の存在下で加圧加熱することにより膨潤大豆が得られる。この工程により、殺菌と、大豆に含まれるリポキシゲナーゼの失活とを行うことができる。また、大豆タンパクが熱変性するので、人体への消化吸収性が改善される。さらに、大豆の細胞間物質が軟化するので、後に実施される酵素処理を行い易くなる。加圧加熱条件としては、例えば、圧力鍋を使用して加圧下、120℃で15〜25分間処理することが好ましい。尚、処理後は、加圧条件から大気圧に徐々に減圧することが好ましい。急激に減圧すると膨潤大豆が破壊する恐れがある。また、加圧加熱処理により得られた煮汁は、廃棄せず次回の加圧加熱処理に使用しても良い。
図1の製造装置においては、加圧加熱処理ユニット30と後述する大豆粒分割ユニット50との間に冷却ユニット40が設けられている。加圧加熱処理ユニット30の圧力容器31の底部は開口可能な構造になっており、この圧力容器31の底部を開くことで一度に膨潤大豆が冷却ユニット40の恒温槽41に供給されるようになっている。加圧加熱ユニット30では大豆が100℃を超える高温で加熱されるが、加圧加熱処理後に長時間にわたって100℃付近の高い温度に膨潤大豆が保持されると、最終的に得られる加工大豆に変色が生じる恐れがある。このような変色は、品質維持の点で避けられるべきであり、変色の度合いによっては不良品となる場合もある。そこで、上記したような構成を採用すれば、膨潤大豆は加圧加熱ユニット30での処理温度から短時間で酵素処理に適した温度(例えば、60℃)付近の温度に冷却されるので、加工大豆の変色の発生を未然に防ぐことができる。尚、前記したように、急冷ユニットによって酵素処理に適した温度付近に膨潤大豆を冷却することが好ましいが、酵素処理温度から約85℃の間の温度に冷却できれば、冷却ユニット40を設けたことによる効果を期待できる。冷却ユニットとしては、上記以外にも、膨潤大豆を収容可能な容器とこの容器の外周に冷却水を循環させることが可能な簡易な構成を用いても良い。
次に、膨潤大豆が大豆粒分割ユニット50により所定の大きさに分割され、大豆細胞クラスターが分散する大豆スラリーが得られる。本発明の製造装置の最大の特徴は、酵素処理に先立って、この膨潤大豆を分割する大豆粒分割ユニット50を設けた点にある。すなわち、膨潤大豆を酵素と反応させる際、処理される大豆量が多くなると、酵素が個々の大豆に均一に行き渡りにくくなるため、酵素が大豆細胞同士を引き離して単細胞化するまでに要する時間が一般に長くなる。酵素処理時に膨潤大豆を攪拌することは、酵素処理の進行を早める上で有効ではあるが、それのみによる効率化には限界がある。
そこで、本発明者は、原料大豆に比べて膨潤大豆の構造が非常にソフトであることに着目し、膨潤大豆をある程度の大きさにまで分割しても、その際に大豆細胞が受ける損傷は比較的小さく、結果的に最終製品である加工大豆に大豆臭が残存することはほとんどないこと、換言すれば、加工大豆を摂取する際にはほとんど気にならないレベルに大豆臭を抑えることができることを見出した。一方、膨潤大豆を分割しておくことで、酵素処理において酵素と大豆細胞との接触面積を増加させることができるので、後の酵素処理に要する時間を大幅に短縮できるという利点がある。
尚、本発明でいう「分割」は、原料大豆に機械的な粉砕を施して大豆細胞をすり潰したり、微粉化するという意味ではない。機械的に原料大豆を強粉砕する工程を実施すれば、酵素処理前の段階で大豆細胞のほとんどが損傷を受けるので、酵素処理によって単細胞化された大豆はもはや健全な状態にはなく、人が摂取するにあたって大豆臭を強く感じる加工大豆になってしまう。これに対して、本発明では、膨潤大豆を以下に述べるような制御された大きさに分割することによって、分割に伴って大豆細胞が受けるダメージを許容範囲内として大豆臭の発生を防ぎながら、膨潤大豆と酵素との接触面積を大きくして後の酵素処理を効率よく進めることを可能にしている。
また、本明細書では、大豆粒分割ユニットによって分割された膨潤大豆の小片を「大豆細胞クラスター」と呼んでいる。膨潤大豆は非常にソフトな状態にあるので、分割された膨潤大豆の小片の最表層においては大豆細胞のある程度のダメージの発生は避けられないが、その最表層から内部に向かっての広い範囲では大豆細胞が依然として健全な状態にあり、この分割された膨潤大豆の小片の最表層下部から内部に向かって存在する大豆細胞が後の酵素処理によって単細胞化されるのである。
本発明において、大豆粒分割ユニットによって分割された膨潤大豆の小片の大きさ、すなわち、大豆細胞クラスターの大きさは、最終的に得られる加工大豆を人が摂取する際に大豆臭に気付かないように決定されれば良いが、好ましくは膨潤大豆の各一粒の1/2〜1/50程度、さらに好ましくは1/3〜1/20程度、特に好ましくは1/3〜1/10程度に分割することが大豆臭の発生を安定に防止する点から推奨される。大豆は、生産地や種類により大きさが異なるが、例えば、大豆1kgが300〜330の大豆粒からなるとすると、大豆一粒は約3gである。本発明者によって測定された大豆の1g当たりにはおよそ2000万個の大豆細胞が存在していたことから、大豆一粒(3g)には、およそ6000万個の大豆細胞が存在することになる。したがって、このような細胞数の大豆粒の場合、大豆細胞クラスターは、120万個〜3000万個の大豆細胞の凝集体でなることが好ましく、さらに好ましくは300万個〜2000万個の大豆細胞の凝集体でなり、特に好ましくは600万個〜2000万個の大豆細胞の凝集体でなる。
このような寸法範囲に膨潤大豆が分割される場合は、分割に伴って膨潤大豆が受けるダメージは比較的軽微であり、最終製品である加工大豆を人が摂取するにあたってはほとんど大豆臭が気にならないレベルを安定に維持することができる。一方、大豆細胞クラスターが分散するスラリーに酵素処理を施すことで、酵素処理に要する時間は膨潤大豆に直接酵素処理を施す場合に比べて2/3〜1/10に短縮することができる。大豆粒分割ユニットとしては、上記寸法に膨潤大豆をソフトに分割できるものであればよく、特に限定されないが、例えば、膨潤大豆をポンプにより送り出し、所定の開口を有するフィルター51を通過させる構成としたり、上記寸法に膨潤大豆をソフトに分割できるように設計されたミキサーや食品加工用ギアポンプ等を用いることができる。
次いで、上記のようにして得られた大豆細胞クラスターが分散する大豆スラリーを酵素処理ユニット60の酵素処理タンク61に導入して酵素処理を施す。この酵素処理は、水の存在下においてBacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを酵素供給手段62によって酵素処理タンク61内の大豆スラリーに添加し、得られた混合物を攪拌翼(図示せず)によって攪拌しながら所定時間行われる。尚、ペクチナーゼの供給量に特に制限はいないが、酵素処理の効果と酵素コストのバランスからみて、浸漬工程前の大豆重量に対して0.05〜0.2wt%程度とすることが好ましい。また、酵素処理温度としては、60℃が好ましい。Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼの酵素活性は、60℃で最も高いからである。Bacillus属の微生物が産生するペクチナーゼは、大豆の細胞同士を結合するペクチン質であるプロトペクチンに対して強力に作用するので、大豆細胞壁を破壊することなく大豆細胞クラスターを単細胞化することができる。
尚、酵素処理中の攪拌は、言うまでもなく大豆細胞を破壊するような強力なものではあってはならない。例えば、混合物中において攪拌翼を20〜30回転/分程度の速度で回転させるようなソフトな条件を採用することが好ましい。このような条件であれば、分離された大豆の単細胞を攪拌によってほぐしながら、大豆細胞に対して均一にペクチナーゼを作用させることができるので、酵素処理をスムーズに実施するのに好適である。酵素処理を所定時間実施した後、熱処理によりペクチナーゼの酵素作用を失活させれば、大豆の単細胞が分散する大豆ピューレが得られる。酵素作用を失活させるためには、例えば、約90〜100℃の温度域を通過させれば良い。
このようにして得られた大豆ピューレは、液状加工大豆としてそのまま摂取、もしくはその他の食材とともに調理して摂取することが可能であるが、必要に応じて、大豆ピューレを乾燥すれば大豆単細胞が分散する粉状加工大豆を得ることができる。乾燥方法としては、気流乾燥法もしくは噴霧乾燥法を採用することが好ましく、特にスプレードライヤーを用いることが好ましい。
本発明の製造装置によって得られる液状及び粉状加工大豆は、細胞壁・細胞膜の損傷がほとんどなく、細胞内部に蛋白顆粒と脂肪球が健全な状態に保たれている大豆単細胞が分散されてなり、ほとんど大豆臭が感知できないレベルに維持されているので、スパゲッティ、マカロニ、ピザ生地、ロールパン、ハンバーガーバンズ、イングリッシュマフィン等のパン類といった比較的薄い小麦粉利用食品、ハンバーグやミートボール等の加工肉食品、豆腐、豆乳ヨーグルトといった既存の大豆食品、大豆たんぱく含有食品、クリーム、味噌、植物性チーズ、シリアル、ビスケット、クラッカー、ドレッシング、健康食品、こんにゃくゼリー等のダイエットフーズ、餡、プリン、クリーム、ジャム、カレー、アイスクリーム、シャーベット、菓子類への利用が可能である。さらに、果物ジュース、トマトジュースや人参ジュース等の野菜ジュース、コーヒー飲料、豆乳、ポタージュスープや味噌汁などのスープ類といった飲料への利用も可能である。
水を満たした水槽21に約500kgの水洗した原料大豆を約25℃で12時間浸漬した。次いで、水に浸漬した大豆のうち250kgを所定量の水と共に加圧加熱ユニット30に導入し、加圧下、約120℃で20分間保持して膨潤大豆を得た。加圧加熱ユニット30内の圧力を徐々に大気圧に放圧した後、加圧加熱ユニットの下部を開口して一度に膨潤大豆を冷却ユニット40に供給し、後に実施される酵素処理温度より少し高い温度にまで急冷保持した。次いで、膨潤大豆を、得られる大豆細胞クラスターの大きさが膨潤大豆の各一粒の約1/3〜1/10の範囲内になるように大豆粒分割ユニット50によって分割した。本実施例では、大豆粒分割ユニットとして、冷却ユニットから膨潤大豆をポンプにより送り出し、所定の開口(約2mm□)を有するフィルター51を通過させて分割した。大豆粒分割ユニット50から供給される大豆細胞クラスターが分散する大豆スラリーは、熱交換器(図示せず)で酵素処理が行われる温度(約60℃)に温度調節され、その後酵素処理ユニット60に供給された。酵素処理は、浸漬工程前の大豆重量に対して約0.1wt%の酵素を添加して、処理温度60℃で行った。本発明では、酵素処理を効率よく進めるため、上記した大豆粒分割ユニットを導入して大豆細胞クラスターが分散する大豆スラリーを作製してから酵素処理を実施したので、大豆粒分割ユニットを介さずに酵素処理した場合に比べ、約1/10の短時間(約20分)で酵素処理を完了することができた。酵素処理後、約90℃の温度領域を通過させて酵素を失活させることにより、大豆単細胞が分散する大豆ピューレを得た。本実施例では、この大豆ピューレをスプレードライヤー(図示せず)にて乾燥して大豆単細胞が分散する粉状加工大豆を得るために、大豆ピューレ内の固形分濃度を約18〜20%になるように調整した。
以上の工程により得られた粉状加工大豆の光学顕微鏡観察によれば、大豆単細胞は、細胞壁・細胞膜の損傷がなく、細胞内部に蛋白顆粒(プロテインボディ)と脂肪球(リピットボディ)が健全な状態に保たれており、高品質な大豆細胞の集まりであり、損傷を受けた大豆細胞が発見される確率は十分小さく、最終製品における大豆臭の発生は大豆粒分割ユニットを用いずに長時間かけて製造したものと大差ないことが確認された。
以上の工程により得られた粉状加工大豆の光学顕微鏡観察によれば、大豆単細胞は、細胞壁・細胞膜の損傷がなく、細胞内部に蛋白顆粒(プロテインボディ)と脂肪球(リピットボディ)が健全な状態に保たれており、高品質な大豆細胞の集まりであり、損傷を受けた大豆細胞が発見される確率は十分小さく、最終製品における大豆臭の発生は大豆粒分割ユニットを用いずに長時間かけて製造したものと大差ないことが確認された。
上記したように、本発明の加工大豆の製造装置によれば、人が摂取する際にほとんど気にならないレベルにまで大豆臭を抑えた大豆単細胞が分散してなる加工大豆を工業的なスケールで効率よく製造することができる。特に、酵素処理に先立って膨潤大豆を所定の大きさ、すなわち、分割により得られる大豆細胞クラスターの大きさが膨潤大豆の各一粒の1/2〜1/50の範囲内、より好ましくは1/3〜1/20の範囲内になるように分割する大豆粒分割ユニットを設けた場合は、後の酵素処理にかかる時間を短縮して加工大豆の製造コストを低減することができる。また、大量の大豆を酵素処理する場合における品質管理も従来よりもはるかに容易になる。さらに、膨潤大豆を酵素処理温度にまで冷却する冷却ユニットを設けた場合は、最終的に得られる加工大豆の変色を防げるとともに、さらなる製造効率の改善を達成できる。
このように、本発明は、大量の大豆を酵素処理しようとする場合に想定される種々の問題点を解消することのできる一貫した加工大豆の製造システムに関するものであり、世界にある豊富な大豆資源を有効に活用し、これまでその臭いのために摂取することを拒んできた世界中の人々に、大豆臭を気にすることなくそのままで、もしくはその他の食材との調理品として食することができる加工大豆を安価に供給するという目標を達成するための有効な手段を提供するものである。
このように、本発明は、大量の大豆を酵素処理しようとする場合に想定される種々の問題点を解消することのできる一貫した加工大豆の製造システムに関するものであり、世界にある豊富な大豆資源を有効に活用し、これまでその臭いのために摂取することを拒んできた世界中の人々に、大豆臭を気にすることなくそのままで、もしくはその他の食材との調理品として食することができる加工大豆を安価に供給するという目標を達成するための有効な手段を提供するものである。
Claims (12)
- 原料大豆を水に浸漬するための容器と、
水に浸漬した前記原料大豆を水の存在下において加圧加熱し、膨潤大豆を得るための加圧加熱手段と、
前記膨潤大豆を分割し、大豆細胞クラスターの分散する大豆スラリーを得るための大豆粒分割手段と、
前記大豆スラリーに酵素処理を施し、大豆単細胞の分散する大豆ピューレを得るための酵素処理手段とを具備することを特徴とする加工大豆の製造装置。 - 前記大豆粒分割手段は、前記大豆細胞クラスターの大きさが膨潤大豆の各一粒の1/2〜1/50の範囲内になるように前記膨潤大豆を分割することを特徴とする請求項1に記載の製造装置。
- 前記大豆粒分割手段は、前記大豆細胞クラスターの大きさが膨潤大豆の各一粒の1/3〜1/20の範囲内になるように前記膨潤大豆を分割することを特徴とする請求項2に記載の製造装置。
- 前記加圧加熱手段と大豆粒分割手段との間に、加圧加熱手段内にある膨潤大豆の温度を前記酵素処理が実施される温度まで冷却する冷却手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の製造装置。
- 前記冷却手段は、膨潤大豆の温度を酵素処理が実施される温度に維持する恒温槽を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造装置。
- 前記酵素処理手段は、酵素処理中に大豆スラリーを攪拌するための攪拌手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の製造装置。
- 前記酵素処理手段は、酵素としてBacillus属の微生物が産生するペクチナーゼを使用することを特徴とする請求項1に記載の製造装置。
- 前記大豆ピューレを乾燥し、大豆単細胞が分散してなる大豆パウダーを得るための乾燥手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の製造装置。
- 前記乾燥手段は、スプレードライヤーであることを特徴とする請求項8に記載の製造装置。
- 原料大豆を水に浸漬する工程と、
水に浸漬した前記原料大豆を水の存在下において加圧加熱し、膨潤大豆を得る工程と、
前記膨潤大豆を分割し、大豆細胞クラスターの分散する大豆スラリーを得る工程と、
酵素を前記大豆スラリーに添加し、得られた混合物を攪拌しながら所定時間保持して酵素処理を実施する工程と、
前記酵素を失活させて大豆単細胞の分散する大豆ピューレを得る工程とを含むことを特徴とする加工大豆の製造方法。 - 前記酵素がBacillus属の微生物が産生するペクチナーゼであることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
- 前記大豆ピューレを乾燥して大豆単細胞の分散する大豆パウダーを得る工程をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
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