JPWO2003103348A1 - 放電用電源、スパッタリング用電源及びスパッタリング装置 - Google Patents

放電用電源、スパッタリング用電源及びスパッタリング装置 Download PDF

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Abstract

本発明による放電用電源は、直流電源部と、前記直流電源部の出力を制御する制御部と、前記直流電源部からの一対の出力に並列に接続されたキャパシタンスと、前記一対の出力の少なくともいずれか一方に接続されたインダクタンスと、を有する振動電流生成部と、を備え、前記振動電流生成部を介して放電用電力を出力する放電用電源であって、前記制御部は、前記直流電源部から出力可能な電圧範囲の少なくとも一部の電圧範囲において、前記直流電源部から出力される電流が限界電流値を超えないように前記直流電源部を制御し、前記限界電流値は、前記少なくとも一部の電圧範囲において、電圧の絶対値に対して正の相関を有することを特徴とする。このような放電用電源は、放電電力を高く設定した場合でも低く設定した場合でも、限界特性線を超えた放電電流を流すことを防ぐことができ、アーク放電が発生した場合でも、振動電流の振幅を放電電流よりも常に大きくでき、振動電流が確実にゼロアンペアを下回ることにより、アークを確実に消去することができる。

Description

技術分野
本発明は、放電用電源、スパッタリング用電源及びスパッタリング装置に関し、特に、アーク放電の発生を防ぎつつDC(direct current)電圧を印加して安定なプラズマ放電あるいはグロー放電が可能な放電用電源、スパッタリング用電源及びこれを用いたスパッタリング装置に関する。
背景技術
各種のプラズマ応用機器やグロー放電応用機器などにおいては、放電中にアーク放電が発生すると機器の動作に弊害が生ずる場合が多い。このため、アーク放電を確実且つ迅速に遮断することができる放電用電源が必要とされる場合が多い。以下、この具体例として、薄膜形成に用いられるスパッタリング装置を例に挙げて説明する。
第11図は、DCスパッタリング装置の要部構成を表す模式図である。このスパッタリング装置は、真空チャンバ101とスパッタリング用DC電源110とを有する。電源110の陽極は、接続ケーブル120Aを介してチャンバ101に接続され、接地電位とされている。一方、電源110の陰極は、接続ケーブル120Bを介して、チャンバ101の内部に設けられたスパッタリング・ターゲット104に接続されている。そして、チャンバ101の内部には、薄膜を堆積する基板100が設置される。
成膜に際しては、まず、真空排気ポンプ106によりチャンバ101内を真空状態にし、ガス供給源107からアルゴン(Ar)などの放電ガスを導入してチャンバ内を所定の放電圧力に維持する。そして、電源110によりターゲット104とチャンバ101との間に電界を印加し、グロー放電108を発生させる。すると、放電空間において生成されたプラズマ中の正イオンがターゲット104の表面に衝突し、ターゲット104の原子をはじき出す。このようなスパッタ現象を利用することにより、ターゲット104の材料からなる薄膜を基板100の上に形成することができる。
このようなスパッタリング装置は、半導体装置、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、液晶表示装置をはじめとする各種の製品の薄膜形成工程において広く用いられている。
しかし、このようなスパッタ動作中に、アーク放電150が生ずる場合がある。このようなアーク放電150は、ターゲット104の近傍において生ずる場合が比較的多い。そして、このようなアーク放電150が生ずると、局所的に大電流が流れるために、ターゲット104や基板100に損傷が生ずる。
例えば、ターゲット104の側でアーク放電150が生ずると、ターゲット104の微小領域に大電流が集中するために、その部分から瞬間に大量の被着材料が放出される。この現象は「スプラッシュ」などと称され、基板100の表面に被着材料の粒子が飛び散るために、被害を受けてしまう。
従って、このようなアーク放電による被害を防ぐために、電源110にアーク抑制手段を設ける必要がある。
DCスパッタリングのアーク放電を抑制する方法としては、以下のようなものが挙げられる。
(1)周期的に電源出力を止め休止期間を設けることによってアーク放電を抑制する。
(2)アーク放電のスイッチ作用と電源の出力回路に設けたLCの振動によって電流を反転させることによりアーク放電を消去する。
(3)アーク放電を検出して、スイッチ素子でアーク電流を止める。この場合、負荷に直列にスイッチ素子を入れて止める方法と並列に入れる方法がある。
(4)アーク放電を検出してスイッチ素子を動作させ逆電圧をかけて消去する。
(5)周期的にスイッチ素子を動作させ逆電圧をかけてアーク放電を抑制する。
これらのうち、スイッチ素子を使う方法については、本発明者らは、日本国特許第2835322号公報や、日本国特許第2835323号公報において開示した。
一方、上記(1)の方法については、スパッタリングが中断されるために、スループットが低下するという問題がある。
これに対して、上記(2)の方法の場合、スイッチ素子などを用いることなくアーク放電を抑制しうる点で、装置構成を簡略にできる可能性がある。すなわち、DC電源の出力端にLC共振回路を設けると、アーク放電が生じた時に、そのスイッチ作用を利用して振動電流を発生させることができる。この振動電流が0A(ゼロ・アンペア)をクロスして逆方向となった時、アーク放電の整流作用(ホット・スポットからだけ熱電子が放出されているので、逆電圧がかかると電流は流れない)によって電流を止めてアークを消すことが可能である。
しかし、本発明者の独自の検討の結果、このような振動電流によるアーク消去機構を有する放電用電源の場合、その動作に関して改善の余地があることが判明した。
すなわち、このようなLC共振回路を用いたDC電源の場合、定電力制御動作と、定格電流リミット動作と、定格電圧リミット動作とを組み合わせて、何れか最も出力を小さくする信号を優先する動作制御を行うことが考えられる。
すなわち、このような動作制御の場合、スパッタ電圧が低いと、流れる電流は、定電力制御動作において見合う値と、定格電流リミット動作により制限される値の、いずれか小さい方に制御されてしまう。
これに対して、振動方式でアークが消えるためには、スパッタ電圧からアーク電圧に遷移した時に発生するLC回路定数に依る振動電流の振幅が、スパッタ電流より大きくなり、0Aを切る電流振動を発生させる必要がある。
このように大きな電流振動を生成するための方法としては、2つの方法を挙げることができる。
その1つめは、低いスパッタ電圧(例えば、200ボルト)でも定格電流リミット動作に対応した、大きな電流振幅が得られるLC定数を使う方法である。
2つめは、LC定数としては、通常のスパッタ電圧の範囲内での低めの値(例えば400ボルト)で定格電流リミットに対応した電流振幅が得られるように設定し、それ以下のスパッタ電圧においては、電流の上限値を電圧に対応して下げるように電力定格を可変制御する方法である。
しかし、1つめの方法を使うと、通常のスパッタ電圧(例えば、600ボルト)における運転時には、必要以上に大きな電流振動が発生してしまう。その結果、電源に使用している電気部品に大きなストレスを与えたり、ノイズが発生する場合がある。
このため、LC定数は、低めのスパッタ電圧に合わせて決定し、上記2つめの方法を用いざるを得ない。例えば、ターゲット104を取り付けた直後や、チャンバ101を大気に開放した後は、ターゲット104の表面が酸化物などにより覆われた状態となるために、放電電圧が大幅に低下することが多い。このため、スパッタ電力を十分に低く設定する必要がある。そこで、「ターゲット・クリーニング・モード」などと称して、最初は充分低い電力設定でスパッタリングを行う。そして、ターゲット104の表面から酸化物が除去されて放電電圧が上がるに従って、電力設定を上げ、通常のスパッタ電圧に移行する。
しかし、この方法による場合、スパッタ電圧に応じて電力設定を調節するために操作が煩雑になるという問題がある。
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、迅速且つ確実にアーク放電を消去でき、構造が簡素で操作も容易な放電用電源、スパッタリング用電源及びそれを用いたスパッタリング装置を提供することにある。
発明の開示
上記目的を達成するため、本発明の第1の放電用電源は、直流電源部と、前記直流電源部の出力を制御する制御部と、前記直流電源部からの一対の出力に並列に接続されたキャパシタンスと、前記一対の出力の少なくともいずれか一方に接続されたインダクタンスと、を有する振動電流生成部と、を備え、前記振動電流生成部を介して放電用電力を出力する放電用電源であって、前記制御部は、前記直流電源部から出力可能な電圧範囲の少なくとも一部の電圧範囲において、前記直流電源部から出力される電流が限界電流値を超えないように前記直流電源部を制御し、前記限界電流値は、前記少なくとも一部の電圧範囲において、前記電圧の絶対値に対して正の相関を有することを特徴とする。
上記構成によれば、放電電力を高く設定した場合でも低く設定した場合でも、限界特性線を超えた放電電流を流すことを防ぐことができ、アーク放電が発生した場合でも、振動電流の振幅を放電電流よりも常に大きくでき、振動電流が確実にゼロアンペアを下回ることにより、アークを確実に消去することができる。
また、本発明の第2の放電用電源は、直流電源部と、前記直流電源部の出力を制御する制御部と、前記直流電源部からの一対の出力に並列に接続されたキャパシタンスと、前記一対の出力の少なくともいずれか一方に接続されたインダクタンスと、を有する振動電流生成部と、を備え、前記振動電流生成部を介して放電用電力を出力する放電用電源であって、前記制御部は、前記直流電源部から出力可能な電圧範囲の少なくとも一部の電圧範囲において、前記直流電源部から出力される電流が限界電流値を超えないように前記直流電源部を制御し、前記限界電流値は、その電圧においでアーク放電が生ずることにより前記振動電流生成部において生成される振動電流の振幅が、その電圧における定常運転状態の電流の1.3倍以上となるように決定されていることを特徴とする。
上記構成においても、放電電力を高く設定した場合でも低く設定した場合でも、限界特性線を超えた放電電流を流すことを防ぐことができ、アーク放電が発生した場合でも、振動電流の振幅を放電電流よりも常に大きくでき、振動電流が確実にゼロアンペアを下回ることにより、アークを確実に消去することができる。
またここで、上記第1及び第2の放電用電源において、前記限界電流値は、前記直流電源部から出力される電流をI、前記直流電源部から出力される電圧をV、前記インダクタンスをL、前記キャパシタンスをC、アーク電圧をVa、振幅の倍率をKとした時に、次式:
I=(V−Va)×(C/L)1/2/K
を満たす上限の電流に対応するものとすれば、振動電流が確実にゼロアンペアを下回り、アークを確実に消去できる。
また、前記インダクタンスは、前記放電用電力が供給される被供給体までの接続ケーブルが有するインダクタンスも含むものとすることができる。
また、前記振動電流生成部を介して出力される電圧を検出する電圧検出手段と、前記振動電流生成部を介して出力される電流を検出する電流検出手段と、をさらに備え、前記制御部は、前記電圧検出手段による検出結果と、前記電流検出手段による検出結果と、に基づいたフィードバック制御を行うものとすれば、スパッタ電圧に応じた確実な電流制御が容易である。
また、前記振動電流生成部を介して出力される電圧を検出する電圧検出手段と、前記振動電流生成部を介して出力される電流を検出する電流検出手段と、をさらに備え、前記制御部は、前記電圧検出手段による検出結果と、前記電流検出手段による検出結果と、出力電力の設定値と、に基づいて出力電流の設定値を決定し、前記電圧検出手段による検出結果に応じて、その電圧における前記限界電流値を演算し、前記出力電流の設定値が前記限界電流値よりも小さい時は、その出力電流の設定値に基づいて前記直流電源部を制御し、前記出力電流の設定値が前記限界電流値よりも大きい時は、その限界電流値が出力されるように前記直流電源部を制御するものとすれば、限界電流を超えない範囲で出力電流を制御できる。
また、前記制御部は、
前記電圧検出手段による検出結果が、第1の所定の電圧よりも高い場合には、前記限界電流値としてオフセットを加算しない値を用い、前記電圧検出手段による検出結果が、第2の所定の電圧よりも低い場合には、前記限界電流値としてオフセットを加算した値を用いるものとすれば、出力電圧がゼロボルトの場合であっても、出力電流を流すことができ、且つ、電圧が高い状態で、限界特性線を超えることを防止できる。
また、前記制御部は、前記電圧検出手段による検出結果が、第3の所定の電圧よりも低く、且つ前記電流検出手段による検出結果が、第1の所定の電流よりも高い場合に、前記直流電源部の出力をゼロとするものとすれば、アーク放電を確実に遮断できる。
また、前記電圧検出手段による検出結果をローパスフィルタを介して判断するものとすれば、ローパスフィルターの定数を適宜決定することにより、ゲートパルスを遮断するまでのアーク放電の振動回数(持続時間)を調節することができる。
一方、本発明のスパッタリング用電源は、ターゲットをスパッタして薄膜を形成するスパッタリング用電源であって、上記のいずれかの放電用電源を備え、前記振動電流生成部を介して出力される放電用電力のうちの負出力を前記ターゲットに接続して前記スパッタを実施可能としたことを特徴とする。
また、本発明のスパッタリング装置は、上記のスパッタリング用電源と、前記ターゲットを収容可能とし大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な真空チャンバと、を備えたことを特徴とする。
これらスパッタリング用電源及びスパッタリング装置においても、、スパッタ電力を高く設定した場合でも低く設定した場合でも、限界特性線を超えたスパッタ電流を流すことを防ぐことができ、アーク放電が発生した場合でも、振動電流の振幅をスパッタ電流よりも常に大きくでき、振動電流が確実にゼロアンペアを下回ることにより、アークを確実に消去することができる。
発明を実施するための最良の態様
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
第1図は、本発明の実施の形態にかかる放電用電源及びそれを用いたスパッタリング装置を表す模式図である。
すなわち、同図に例示した電源110は、DC電源部DCPと、振動電流生成部VCGと、を有する。
DC電源部DCPは、チャンバ101に正極、ターゲット104に負極の電圧を印加してスパッタリングを行うための電源である。その構成は、例えば第1図に例示した如く、R、S、Tの3相交流入力を受ける整流ダイオード群DB1、スイッチングトランジスタIGBT及び還流ダイオードFWDからなるインバータINV、変圧トランスT1、整流ダイオード群DB2、及び平滑化インダクタLを有する。
このDC電源部DCPの出力は、制御回路CCにより制御される。すなわち、制御回路CCは、インバータINVを構成するトランジスタIGBTに対してゲートパルスを与えることにより、その動作を制御する。
このようにして得られたDC電源部DCPからのDC出力は、振動電流生成部VCGと送電ケーブル120A、120Bを介してチャンバに供給される。
振動電流生成部VCGは、振動電流生成用のコンデンサC1とインダクタンスL1とを有し、LC共振回路により振動電流を生成する。また、振動電流生成部VCGの電気成分には、チャンバ101及びターゲット104までの同軸送電ケーブル120A、120Bも含まれる。すなわち、50Ωの同軸ケーブルのインダクタンスは、0.25μH/mであり、その容量は100pF/mである。これに対して、ターゲット104の静電容量は、通常は300pF以下である。
なお、DC電源部DCPのインダクタンスLは、電源の出力フィルタ用のインダクタンスであり、振動電流生成部VCGのインダクタンスL1よりも充分大きな値(30倍以上)を用いることが望ましい。
以上説明した構成によれば、DC電源部DCPの出力端にLC共振回路を有する振動電流生成部VCGを設けることにより、アーク放電が生じた時に、そのスイッチ作用を利用して振動電流を発生させることができる。この振動電流が0A(ゼロ・アンペア)をクロスして逆方向となった時、アーク放電の整流作用(ホット・スポットのみから熱電子が放出されているので、逆電圧がかかると電流は流れない)によって電流を止めてアークを消すことが可能である。
そして、本発明においては、この振動電流の振幅がスパッタ電流よりも大きくなるように、スパッタ電流を制御する。すなわち、アーク放電が振動電流によって確実に消去されるためには、振動電流生成部VCGにより生成される振動電流の下限が0Aを下回ることが必須である。このためには、振動電流の振幅がスパッタ電流よりも大きいことが必要とされる。
そこで、本発明においては、振動電流生成部VCGが有するLC定数に応じて、スパッタ電流がその振動電流の振幅よりも小さくなる範囲でスパッタリングを行うようにDC電源部DCPの動作を制御する。この制御は、典型的には、制御回路CCにより実行させることができる。
以下、スパッタリングの電圧・電流特性を参照しつつ、本発明による電源の動作メカニズムについて詳細に説明する。
第2図は、DCスパッタリングにおける電圧・電流特性を表すグラフ図である。
ここで、同図の特性線Aは、15kW(キロワット)の定格電力線である。また、特性線B、C、E、Fは、それぞれ、振動電流生成部VCGにおける所定のLC定数に対応した振動電流振幅から決定される、スパッタ電流の限界線である。また、特性線Dは、通常のスパッタリングの放電電圧・電流特性である。また、特性線Gは、アーク放電の特性線であり、25Aにおける一点鎖線Hは、600V×25A=15kW電源の最大電流を表す。また、電圧200Vにおいて縦方向に伸びる特性線1は、アルミニウム(Al)ターゲットの表面が酸化した時の放電特性を表す。
ここで、例えば、600V×25Aの最大電力の点(特性線Aと特性線Hとの交点)よりも、特性線Bは下側を通っている。つまり、特性線Aと特性線Hとの交点は、特性線Bにより定義されるスパッタ電流の限界値を超えている。従って、特性線Bに対応したLC定数を選択した場合には、この交点、すなわち25Aのスパッタ電流でスパッタリングすると、振動電流の振幅よりもスパッタ電流のほうが大きいために、アークが振動では消えないこととなる。
つまり、最大電力で安定したスパッタリングを実施したい場合には、その条件よりも上側に限界線がくるように、振動電流生成部VCGのLC定数を選択する必要がある。
すなわち、特性線C、E、Fのように、立った(大きな勾配を有する)特性とすると、スパッタ電流よりも大きな振幅の振動電流が生成されるため、0Aを確実に下回る振動電流を得ることができる。但し、特性線Dにより表される正常時のスパッタ特性の電流に対して、特性線CやFの条件では、はるかに大きな振動電流を流してしまうことになり、ターゲットや電源を構成する電気部品に対するストレスが懸念される。
そこで、実用的な観点からは、特性線Eのように、最大電力条件よりもいくぶん上側にある特性線に対応するLC定数を選ぶことが望ましい。しかし、この特性線Eを選んだ場合でも、表面が酸化したアルミニウム(Al)ターゲットの放電特性線Iとの交点は10Aであるので、それ以上の電流が流れる電力設定とすると、連続アークになってしまう。
これに対して、従来は、電力設定を可変とし、電力設定を絞った条件でアルミニウムの酸化面をスパッタリングにより除去して、酸化膜が少なくなって特性線Dに次第に近づくに従って、電力設定を大きくし、特性線Bや特性線EのLC設定において通常のスパッタリングを行うという方法を採らざるを得なかった。
これに対して、本発明においては、電力設定を調節するのではなく、スパッタ電圧に応じて、スパッタ電流をLC定数に対応した限界線以下に制御する。この制御は、第1図に例示した電源の制御回路CCにおいて実行させることができる。
第3図は、本発明においてスパッタ電流を限界線以下に制御する回路の基本形を表すブロック図である。
すなわち、同図は、第1図に表した電源において、制御回路CCのゲートパルス幅または周波数を決めるレベル信号を生成する部分を表したものである。
この回路は、フィードバック制御部10と、限界電流制御部20と、を有する。
フィードバック制御部10には、出力電力の設定値Psetと、スパッタリング装置のターゲット電流を表す信号Iとターゲット電圧を表す信号Vがそれぞれ入力される。
これら信号I、Vは、例えば第1図に例示した如く、振動電流生成部VCGにおいて、電流検出器IMと分圧回路VMとから、それぞれ電圧信号として得ることが可能である。
フィードバック制御部10は、出力電力の設定値Psetと、信号I、Vと比較することにより、これらをフィードバックして、DC電源部DCPのインバータINVのゲートパルス幅を制御するレベル信号LSを出力する。
一方、限界電流制御部20は、電源の振動電流生成部VCGのLC定数に基づき、ターゲット電圧に応じた電流限界信号CLを生成する。すなわち、第2図に例示したように、LC定数に基づく限界特性線(例えば、特性線E)を設定し、ターゲット電圧を表す信号Vを入力して、この限界特性線の上での電流値を演算する。そして、この電流値を表す信号を電流限界信号CLとして出力する。
フィードバック制御部10は、I、Vをフィードバックして得られたレベル信号LSと、この電流限界信号CLとを比較する。そして、レベル信号LSが電流限界信号CLよりも小さい場合には、そのレベル信号LSをそのまま出力する。一方、レベル信号LSが電流限界信号CLよりも大きい場合には、電流限界信号CLをレベル信号LSとして出力する。
以上説明したように、本発明によれば、限界電流制御部20において、振動電流生成部VCGのLC定数に基づく限界特性線を設定し、この限界特性線を超えないように、ターゲット電圧Vに応じた電流リミットを設定する。
第4図は、本発明の電源の動作範囲を例示するグラフ図である。すなわち、同図に表した具体例の場合、例えば、第2図の特性線Eを限界特性線として設定し、スパッタ電流がこの特性線Eを超えない範囲Z(同図において淡色ハッチを施した)で、電流・電圧が出力される。
このようにすれば、スパッタ電力を高く設定した場合でも低く設定した場合でも、限界特性線を超えたスパッタ電流を流すことを防ぐことができる。その結果として、アーク放電が発生した場合でも、振動電流の振幅をスパッタ電流よりも常に大きくでき、振動電流が確実にゼロアンペアを下回ることにより、アークを確実に消去することができる。その結果として、第11図に例示したようなスパッタ装置にこの電源を用いることにより、高いスパッタ電力から低いスパッタ電力まで、アーク放電が発生しても迅速に消去して安定したスパッタリングを行うことができる。
次に、本発明のさらに詳細な具体例について説明する。
第5図は、本発明においてスパッタ電流を限界特性線以下に制御する回路の一例を表すブロック図である。すなわち、同図も、第1図に表した電源において、制御回路CCのゲートパルス幅または周波数を決めるレベル信号を生成する部分を表したものである。
この回路は、出力電力演算部11と、電力制御部12と、電流制御部13と、最大電流信号生成部21と、オフセット生成部22と、を有する。これらのうち、出力電力演算部11〜電流制御部13までが、第3図のブロック図におけるフィードバック制御部10に対応し、最大電流信号生成部21とオフセット生成部22が、第3図のブロック図における限界電流制御部20に対応する。
出力電力演算部11には、スパッタリング装置のターゲット電流を表す信号Iとターゲット電圧を表す信号Vがそれぞれ入力される。出力電力演算部11は、これらの信号I、Vとに基づいて、電源から出力されている電力を演算し、それに対応する出力電力信号OSを出力する。
電力制御部12は、電力フィードバック制御を実行する。すなわち、出力電力演算部11から出力された出力電力信号OSと、出力電力の設定値Psetとを比較し、その差分に応じた電流設定値を演算する。そして、後に詳述するように、電流限界信号CL2と比較して、電流設定信号CSを出力する。
電流制御部13は、電流フィードバック制御を実行する。すなわち、電流設定信号CSと、信号Iとを比較して、DC電源部DCPのインバータINVのゲートパルス幅を制御するレベル信号LSを出力する。
以上説明した各ブロックにより、電流設定信号Psetに対して、IとVとをフィードバック信号としたDC電源部DCPのフィードバック制御が実行される。
本発明においてはさらに、最大電流信号生成部21において、振動電流生成部VCGのLC定数に基づき、ターゲット電圧に応じた電流限界信号CLを生成する。すなわち、第2図に例示したように、LC定数に基づく限界特性線(例えば、特性線E)を設定し、ターゲット電圧を表す信号Vを入力して、この限界特性線の上での電流値を演算する。そして、この電流値を表す信号を電流限界信号CL1として出力する。
この電流限界信号CL1は、オフセット生成部22に出力され、例えば、出力電圧がゼロボルトの場合でも電流設定がゼロアンペアよりも大きくなるようなオフセットが付与された電流限界信号CL2として、電力制御部12に出力される。
電力制御部12は、出力電力演算部11から出力された出力電力信号OSと、出力電力の設定値Psetとを比較して、その差分に応じた電流設定値を演算するが、さらに、この電流設定値と電流限界信号CL2とを比較する。
そして、電流設定値が電流限界信号CL2よりも小さい場合、すなわち、流すべきスパッタ電流値がLC定数により決定される限界特性線(例えば、第2図の特性線E)よりも小さい場合には、その電流設定値をそのまま電流設定信号CSとして出力する。
一方、電力制御部12は、電流設定値が電流限界信号CL2よりも大きい場合、すなわち、流すべきスパッタ電流値がLC定数により決定される限界特性線(例えば、第2図の特性線E)よりも大きい場合には、その電流設定値に代えて、電流限界信号CL2を電流設定信号CSとして出力する。
以上説明したように、本発明によれば、最大電流信号生成部21において、振動電流生成部VCGのLC定数に基づく限界特性線を設定し、ターゲット電圧Vに応じた電流リミットを設定する。つまり、第4図に例示したように、スパッタ電流が、予め定めた限界特性線を超えない範囲において、電源を動作させる。
このようにすれば、スパッタ電力を高く設定した場合でも低く設定した場合でも、限界特性線を超えたスパッタ電流を流すことを防ぐことができる。その結果として、アーク放電が発生した場合でも、振動電流の振幅をスパッタ電流よりも常に大きくでき、振動電流が確実にゼロアンペアを下回ることにより、アークを確実に消去することができる。
さらにまた、電源の構成や、スパッタリング装置の構造、スパッタする材料、条件などに応じて好適なLC定数を選択することにより、過度に大きな振動電流を形成することなく、確実にアークを消去することができ、ターゲットや電気部品などにストレスを与える虞もなくなる。
ここで、オフセット生成部22により電流設定値にオフセットを与えることにより、アーク電圧以下で、電流限界値の設定を定格の例えば5パーセント程度に固定することにより、最初の出力電圧が出るようにすることができる。
なお、本発明者の検討によれば、振動電流の振幅としては、通常のスパッタ電流の1.3倍乃至2倍程度とすることが適当であることが判明した。従って、スパッタリング装置の構造や用途に応じて、このような範囲の振動電流が得られるように、振動電流生成部VCGのLC定数を決定し、これに対応した限界特性線に基づいて、最大電流信号生成部21における演算処理を実行させればよい。
より具体的には、電源から出力される電流をI、電源から出力される電圧をV、振動電流生成部VCGのインダクタンスをL、振動電流生成部VCGのキャパシタンスをC、アーク電圧をVa、振幅の倍率をKとした時に、次式が満足される範囲内とすることが望ましい。
I=(V−Va)/{K×(C/L)1/2
上記の式において、(V−Va)は、スパッタ電圧とアーク電圧との差である。振動電流生成部VCGにおいて生成される振動電流の振幅は、その電圧に振動回路のコンダクタンス(C/L)1/2を掛けた値となる。しかし、振動は減衰するので、スパッタ電流よりもK倍大きな値にしておかないと、0Aを切ることができない。
つまり、電源から出力される電流を、上記の式により既定される電流Iを超えない範囲に制限すれば、アーク放電が生じた時に、振動電流が確実にゼロアンペアを下回り、アークを消去できる。
第6図は、第5図に表したブロック図を具体化した回路の一例を表す模式図である。同図については、第1図乃至第5図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本具体例の回路の場合、スパッタ電流を表す信号Iとスパッタ電圧を表す信号Vは、それぞれ0〜5ボルト、0〜マイナス6.66ボルトの電圧信号として与えられる。また、電力設定値を表す信号Psetは、0〜10ボルトの電圧信号として与えられる。
そして、信号IとVは、掛け算器U1に入力されて掛け算され、出力電力OSが演算される。
この出力信号OSは、電力フィードバック制御の誤差アンプU2に入力され、電力設定信号Psetと比較することにより、電流設定信号が出力される。
U3は、電流フィードバック制御の誤差アンプで、誤差アンプU2で計算した電流設定値とIとを比較してインバータINVのゲートパルス幅(または周波数)を決めるレベル信号を生成する。誤差アンプU2の最大出力が電流の最大値となるように定数設定しておけば、最大電流値(例えば、第2図の特性線H)でリミットをかけることができる。
そしてさらに、演算器U4において、LC定数により予め決定した限界特性線に基づいて、スパッタ電圧Vに比例した電流限界信号CL1を生成する。
そして、演算器U5において、出力電圧が0Vであっても電流設定が0Aよりも上になるように、小さなオフセットを与えた電流限界信号CL2を生成する。
このような具体例により、第4図に表したように、限界特性線よりも下側の領域で動作する電源を実現できる。
第7図は、本発明の放電用電源の要部の変型例を表す模式図である。同図については、第1図乃至第6図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
前述した第6図の回路を用いることにより、本発明の電源は基本的な動作をするのであるが、例えば、出力電圧が80V以下の場合、オフセットの関係で電流設定が0Aにならない。
そこで、本変型例においては、第7図に表したように、コンパレータU6を追加している。コンパレータU6は、ヒステリシスを持ったコンパレータであり、出力電圧が第1の既定電圧、例えば200Vを越えるとトランジスタTrをON(オン)して演算器U5で与えたオフセットを消去する。一方、出力電圧が第2の既定電圧、例えば10V以下になると、CRタイマーにより所定のタイミングでトランジスタTrをOFF(オフ)してオフセットを与える。
アーク電圧以下では、電流限界値の設定を定格の5パーセント程度に固定することにより最初の電圧が出るようにできるが、一方、一旦例えば200ボルト以上の出力電圧が出た場合には、このオフセットを消去することにより、アーク放電が発生した場合に、電流設定をゼロとして、振動電流がより確実にゼロを下回るようにできる。
第8図は、本発明の放電用電源の要部のさらなる変型例を表す模式図である。同図についても、第1図乃至第7図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本変型例は、アーク放電を検出して、ゲートパルスをただちに止める機能を追加したものである。具体的には、演算器U7、U8、U9を追加し、演算器U7で出力電圧の判定、演算器U8で出力電流の判定を行い、演算器U9でこれらの論理積(AND)をとってアーク判定して出力を止める信号を作っている。
演算器U7においては、信号Vと、既定の電圧とを比較して論理を出力する。この場合の既定の電圧は、例えば、150ボルト程度とすることができる。すなわち、この既定値よりもスパッタ電圧が低下したら、アーク放電の可能性があると判定する。
同様に、演算器U8においては、信号Iと、既定の電流値に対応する信号と、を比較する。ここで既定の電流値は、例えば、定格出力電流の1/5〜1/10程度とすることが望ましい。
そして、これら演算器U7及びU8の論理積をとることにより、スパッタ電圧が既定値よりも低く、スパッタ電流が既定値よりも大きい時に、アーク放電と判定する。そして、この判定に基づいて、ゲートパルスを直ちに停止する。
またここで、演算器U7が判定する電圧信号にローパスフィルターC7が設けられているのは、1回の振動で消えるアークに対して動作しないようにするためである。ローパスフィルターC7の定数を適宜決定することにより、ゲートパルスを遮断するまでのアーク放電の振動回数(持続時間)を調節することができる。
また、本変型例の回路によれば、アークが消えると短時間で出力を復帰させ、無駄な待ち時間は最少で動作させることができる。
すなわち、連続アークの判定を付加して、連続アークの判定で、電力制御のスイッチングをただちに止め、電流限界値のオフセットも殺すことにより、連続アークの発生時にアーク電流と持続時間を短くして連続アークに入るエネルギーを小さくするとともに、休止時間も必要最小限に制御することができる。
(実施例)
以下、実施例を参照しつつ、本発明におけるアーク放電の消去の具体例について説明する。
第9図及び第10図は、本発明の放電用電源の動作を例示するグラフ図である。すなわち、同図は、振動電流生成部VCGとアーク放電によって振動電流が発生し、アークが消去する波形を表す。
ここで、第9図及び第10図の横軸は時間を表し、それぞれスパッタ状態S、アーク放電状態A、休止状態Rに分類されている。そして、第9図の波形は、ターゲット104の電圧を表し、第10図の波形は、ターゲット104の電流を表す。ここで、ターゲット電圧は、チャンバー101を基準にターゲット104を測定しているので、符号Bの位置を基準(ゼロボルト)としてマイナス側に表れる。また、ターゲット電流は、符号Cを基準(ゼロアンペア)してプラス側に表した。
電圧のスケールは、200V/div、電流のスケールは、20A/divで、時間軸は、10μs/divとした。
第9図及び第10図をその時間軸に沿って説明すると、最初、600V、22Aで安定にスパッタリング状態(S)にあり、その後、放電電圧が80V弱まで突然下がった時点がアーク発生(A)である。この時、コンデンサC1にはスパッタ電圧600Vが既にチャージされていて、ターゲット電圧が80Vに下がった訳であるから、(L1)+(同軸ケーブル120A、120B)のインダクタンスLにその差分の電圧(600−80)=520Vが印加され、520V=L×di/dtとなり、ターゲット電流は急上昇する。同時に、コンデンサC1の電圧は、このターゲット電流を供給するために下がっていく。
振動電流は、コンデンサC1の電荷がゼロになった時点で最大となり、その値は、CV=LIのエネルギー保存式(注:式の両辺の1/2は省略)を満たす値となる。すなわち、アーク放電電圧80Vを考慮して計算すると、次式の関係が得られる。
C1×(Vsp−Varc=(L1+Lcable)×Ip
(1)
ここで、Vspはスパッタ電圧、Varc)はアーク放電電圧、Lcable)はケーブル120A、120Bのインダクタンス、Ipは振動電流をそれぞれ表す。この式を変形すると、次式が得られる。
(Vsp−Varc)/Ip=((L1+Lcable)/C1)1/2
(2)
すなわち、振動電流Ipは(L/C)1/2と直前のスパッタ電圧で決まる。振動の周期Tは、T=2π(LC)1/2であるので、周期Tと電圧変化dVと振動電流Ipから、インダクタンスLとコンデンサCを逆算できる。
dv/Ip=(L/C)1/2 (3)
T=2π(LC)1/2 (4)
(3)式と(4)式の両辺をそれぞれかけると、次式が得られる。
T×dV/Ip=(L/C)1/2×2π(LC)1/2
=2πL (5)
一方、(4)式の両辺を(3)式の両辺で割ると次式が得られる。
T/(dV/Ip)=2π(LC)1/2/(L/C)1/2
=2πC (6)
(5)式よりLを求めると以下の如くとなる。
L=T×dV/Ip/2π
=520(V)/38(A)×10E−6(s)/2π
=2.18E−5H
=21.8μH
また、(6)式よりCを求めると以下の如くとなる。
C=T/2π/(dV/Ip)
=10E−6(s)/2π/(520(V)/38(A))
=1.16E−7F
=0.116μF
これらの値は、実際の回路定数(L=(20+2.5)μH、C=0.102μF)に近い値である。ここで、ケーブル120A、120Bとターゲット104のコンデンサ成分は、ケーブル120A、120Bの長さを10mとしても100pF/m×10m+300pF=1300pF=0.0013μF程度であるので、コンデンサC1の容量の1/100程度となり、無視できる。
第9図及び第10図において、点線Sで表した正弦波がアーク振動電流であり、この振動電流の中心がスパッタ電流である。また、破線VC1は、アーク開始時点以降のコンデンサC1の電圧の変化を表す。
振動電流Sがピークに向けて上昇する時に、コンデンサC1の電圧でVC1は0ボルトを下回り、振動電流Sがピークを超えて再び低下してスパッタ電流Ispのレベルを下回る時に、コンデンサC1の電圧VC1は最大の逆電圧まで上昇する。
振動電流が0A(厳密にはアーク放電が維持される電圧レベル)を下回った以降は、アーク放電の整流作用により、アークに電流は流れない(すなわち、インダクタンスL1による電流が0Aとなる)から、VC1電圧とターゲット電圧は同じになり、コンデンサC1はインダクタンスLが定電流に保っていたスパッタ電流Ispによってチャージされ200Vを越えた時点からスパッタの放電電流が増加していく。
ここで、アーク放電が消えるのは、振動電流が0Aを切ってからアーク維持電圧以上になる期間、アークにエネルギーが供給されないため、ホットスポットが冷却されて熱電子が出なくなるためと考えられる。第9図及び第10図に例示した波形からは、この期間は3μs弱と読める。但し、この期間をどこまで短くしてもアークを消すことができるかについては、各種のパラメータを考慮する必要がある。
アーク消去期間を決定するパラメータとしては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)ターゲット物性(仕事関数、熱伝導率、表面酸化:表面の仕事関数、表面温度など)
(2)スパッタ電力(電圧、電流)
(3)振動電流のピーク電流、振動周期(LC値)
(4)スパッタ雰囲気(アルゴン圧力、残留ガス分圧、添加ガスの種類など)
また、第9図及び第10図においてスパッタの放電が止まっているのは、アークが発生してから、再び電圧が200Vを越えるまでの、約10マイクロ秒の期間である。アークが消えてスパッタに戻った時、電流がスパッタ電流Ispにすぐ戻らないため、電圧がマイナス1300V付近まで跳ね上がる。スパッタ電流は、この電圧の上昇に遅れてスパッタ電流が約50Aまで上昇してから、減衰振動して収まっている。ここで、アーク放電が消えてもスパッタ電流がすぐに戻らない理由としては、10マイクロ秒の休止により、プラズマが希薄になったことや、インダクタンスL1による電流抑制効果などを挙げることができる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
例えば、本発明のDC電源部、振動電流生成部、制御回路、その他スパッタリング装置における各部の構成、構造、数、配置、形状、材質などに関しては、上記具体例に限定されず、当業者が適宜選択採用したものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に包含される。
より具体的には、例えば、スパッタリング用電源に設けられる各回路の具体的な構成や、ダイオード、抵抗、トランジスタをはじめとする各回路素子の数や配置関係などについても、当業者が適宜設計変更したものは本発明の範囲に包含される。
また、本発明の放電用電源は、スパッタリングのみならず、DC電圧を印加することにより、放電を生じさせる必要のある各種の用途に対して同様に適用して同様の作用効果を得ることができる。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての放電用電源、スパッタリング用電源及びスパッタリング装置は本発明の範囲に包含される。
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明によれば、振動電流生成部のLC定数に基づく限界特性線を設定し、スパッタ電流が、この限界特性線を超えない範囲において、電源を動作させることにより、スパッタ電力を高く設定した場合でも低く設定した場合でも、限界特性線を超えたスパッタ電流を流すことを防ぐことができ、アーク放電が発生した場合でも、振動電流の振幅をスパッタ電流よりも常に大きくでき、振動電流が確実にゼロアンペアを下回ることにより、アークを確実に消去することができる。
その結果として、例えば、ターゲットが汚れたり酸化していて、従来であればクリーニング・モードに切り替えてスパッタしなければならないような場合でも、切替えずに運転できるのでクリーニング時間を短くできる。
また、ターゲットの消耗により、放電電圧が下がった場合でも、連続アークの発生頻度が激減するので安定なスパッタができる。
また、負荷の変動により、スパッタ電圧が短時間下がった場合でも確実に連続アーク発生頻度を下げられるので、安定なスパッタができる。
またさらに、運悪く連続アークになった場合でも、アークに入るエネルギーを最少にでき休止時間も必要最小限で済むので、プロセスに与えるダメージやスパッタ電力の誤差を小さくできる。
すなわち、本発明によれば、シンプルな構成によりアーク放電を迅速且つ確実に遮断できる放電用電源、スパッタリング用電源及びスパッタリング装置を提供することができ、産業上のメリットは多大である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施の形態にかかる放電用電源及びそれを用いたスパッタリング装置を表す模式図であり、
第2図は、DCスパッタリングにおける電圧・電流特性を表すグラフ図であり、
第3図は、本発明においてスパッタ電流を限界線以下に制御する回路の基本形を表すブロック図であり、
第4図は、本発明の電源の動作範囲を例示するグラフ図であり、
第5図は、本発明においてスパッタ電流を限界特性線以下に制御する回路の一例を表すブロック図であり、
第6図は、第5図に表したブロック図を具体化した回路の一例を表す模式図であり、
第7図は、本発明の放電用電源の要部の変型例を表す模式図であり、
第8図は、本発明の放電用電源の要部のさらなる変型例を表す模式図であり、
第9図は、本発明の放電用電源の動作を例示するグラフ図であり、
第10図は、本発明の放電用電源の動作を例示するグラフ図であり、
第11図は、DCスパッタリング装置の要部構成を表す模式図である。
【発明の詳細な説明】
技術分野
本発明は、放電用電源、スパッタリング用電源及びスパッタリング装置に関し、特に、アーク放電の発生を防ぎつつDC(direct current)電圧を印加して安定なプラズマ放電あるいはグロー放電が可能な放電用電源、スパッタリング用電源及びこれを用いたスパッタリング装置に関する。

背景技術
各種のプラズマ応用機器やグロー放電応用機器などにおいては、放電中にアーク放電が発生すると機器の動作に弊害が生ずる場合が多い。このため、アーク放電を確実且つ迅速に遮断することができる放電用電源が必要とされる場合が多い。以下、この具体例として、薄膜形成に用いられるスパッタリング装置を例に挙げて説明する。
第11図は、DCスパッタリング装置の要部構成を表す模式図である。このスパッタリング装置は、真空チャンバ101とスパッタリング用DC電源110とを有する。電源110の陽極は、接続ケーブル120Aを介してチャンバ101に接続され、接地電位とされている。一方、電源110の陰極は、接続ケーブル120Bを介して、チャンバ101の内部に設けられたスパッタリング・ターゲット104に接続されている。そして、チャンバ101の内部には、薄膜を堆積する基板100が設置される。
成膜に際しては、まず、真空排気ポンプ106によりチャンバ101内を真空状態にし、ガス供給源107からアルゴン(Ar)などの放電ガスを導入してチャンバ内を所定の放電圧力に維持する。そして、電源110によりターゲット104とチャンバ101との間に電界を印加し、グロー放電108を発生させる。すると、放電空間において生成されたプラズマ中の正イオンがターゲット104の表面に衝突し、ターゲット104の原子をはじき出す。このようなスパッタ現象を利用することにより、ターゲット104の材料からなる薄膜を基板100の上に形成することができる。
このようなスパッタリング装置は、半導体装置、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、液晶表示装置をはじめとする各種の製品の薄膜形成工程において広く用いられている。

しかし、このようなスパッタ動作中に、アーク放電150が生ずる場合がある。このようなアーク放電150は、ターゲット104の近傍において生ずる場合が比較的多い。そして、このようなアーク放電150が生ずると、局所的に大電流が流れるために、ターゲット104や基板100に損傷が生ずる。
例えば、ターゲット104の側でアーク放電150が生ずると、ターゲット104の微小領域に大電流が集中するために、その部分から瞬間に大量の被着材料が放出される。この現象は「スプラッシュ」などと称され、基板100の表面に被着材料の粒子が飛び散るために、被害を受けてしまう。
従って、このようなアーク放電による被害を防ぐために、電源110にアーク抑制手段を設ける必要がある。
DCスパッタリングのアーク放電を抑制する方法としては、以下のようなものが挙げられる。
(1)周期的に電源出力を止め休止期間を設けることによってアーク放電を抑制する。
(2)アーク放電のスイッチ作用と電源の出力回路に設けたLCの振動によって電流を反転させることによりアーク放電を消去する。
(3)アーク放電を検出して、スイッチ素子でアーク電流を止める。この場合、負荷に直列にスイッチ素子を入れて止める方法と並列に入れる方法がある。
(4)アーク放電を検出してスイッチ素子を動作させ逆電圧をかけて消去する。
(5)周期的にスイッチ素子を動作させ逆電圧をかけてアーク放電を抑制する。
これらのうち、スイッチ素子を使う方法については、本発明者らは、日本国特許第2835322号公報や、日本国特許第2835323号公報において開示した。
一方、上記(1)の方法については、スパッタリングが中断されるために、スループットが低下するという問題がある。
これに対して、上記(2)の方法の場合、スイッチ素子などを用いることなくアーク放電を抑制しうる点で、装置構成を簡略にできる可能性がある。すなわち、DC電源の出力端にLC共振回路を設けると、アーク放電が生じた時に、そのスイッチ作用を利用して振動電流を発生させることができる。この振動電流が0A(ゼロ・アンペア)をクロスして逆方向となった時、アーク放電の整流作用(ホット・スポットからだけ熱電子が放出されているので、逆電圧がかかると電流は流れない)によって電流を止めてアークを消すことが可能である。
しかし、本発明者の独自の検討の結果、このような振動電流によるアーク消去機構を有する放電用電源の場合、その動作に関して改善の余地があることが判明した。
すなわち、このようなLC共振回路を用いたDC電源の場合、定電力制御動作と、定格電流リミット動作と、定格電圧リミット動作とを組み合わせて、何れか最も出力を小さくする信号を優先する動作制御を行うことが考えられる。
すなわち、このような動作制御の場合、スパッタ電圧が低いと、流れる電流は、定電力制御動作において見合う値と、定格電流リミット動作により制限される値の、いずれか小さい方に制御されてしまう。
これに対して、振動方式でアークが消えるためには、スパッタ電圧からアーク電圧に遷移した時に発生するLC回路定数に依る振動電流の振幅が、スパッタ電流より大きくなり、0Aを切る電流振動を発生させる必要がある。
このように大きな電流振動を生成するための方法としては、2つの方法を挙げることができる。
その1つめは、低いスパッタ電圧(例えば、200ボルト)でも定格電流リミット動作に対応した、大きな電流振幅が得られるLC定数を使う方法である。
2つめは、LC定数としては、通常のスパッタ電圧の範囲内での低めの値(例えば400ボルト)で定格電流リミットに対応した電流振幅が得られるように設定し、それ以下のスパッタ電圧においては、電流の上限値を電圧に対応して下げるように電力定格を可変制御する方法である。
しかし、1つめの方法を使うと、通常のスパッタ電圧(例えば、600ボルト)における運転時には、必要以上に大きな電流振動が発生してしまう。その結果、電源に使用している電気部品に大きなストレスを与えたり、ノイズが発生する場合がある。
このため、LC定数は、低めのスパッタ電圧に合わせて決定し、上記2つめの方法を用いざるを得ない。例えば、ターゲット104を取り付けた直後や、チャンバ101を大気に開放した後は、ターゲット104の表面が酸化物などにより覆われた状態となるために、放電電圧が大幅に低下することが多い。このため、スパッタ電力を十分に低く設定する必要がある。そこで、「ターゲット・クリーニング・モード」などと称して、最初は充分低い電力設定でスパッタリングを行う。そして、ターゲット104の表面から酸化物が除去されて放電電圧が上がるに従って、電力設定を上げ、通常のスパッタ電圧に移行する。
しかし、この方法による場合、スパッタ電圧に応じて電力設定を調節するために操作が煩雑になるという問題がある。
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、その目的は、迅速且つ確実にアーク放電を消去でき、構造が簡素で操作も容易な放電用電源、スパッタリング用電源及びそれを用いたスパッタリング装置を提供することにある。

発明の開示
上記目的を達成するため、本発明の第1の放電用電源は、直流電源部と、前記直流電源部の出力を制御する制御部と、前記直流電源部からの一対の出力に並列に接続されたキャパシタンスと、前記一対の出力の少なくともいずれか一方に接続されたインダクタンスと、を有する振動電流生成部と、を備え、前記振動電流生成部を介して放電用電力を出力する放電用電源であって、前記制御部は、前記直流電源部から出力可能な電圧範囲の少なくとも一部の電圧範囲において、前記直流電源部から出力される電流が限界電流値を超えないように前記直流電源部を制御し、前記限界電流値は、前記少なくとも一部の電圧範囲において、前記電圧の絶対値に対して正の相関を有することを特徴とする。
上記構成によれば、放電電力を高く設定した場合でも低く設定した場合でも、限界特性線を超えた放電電流を流すことを防ぐことができ、アーク放電が発生した場合でも、振動電流の振幅を放電電流よりも常に大きくでき、振動電流が確実にゼロアンペアを下回ることにより、アークを確実に消去することができる。
また、本発明の第2の放電用電源は、直流電源部と、前記直流電源部の出力を制御する制御部と、前記直流電源部からの一対の出力に並列に接続されたキャパシタンスと、前記一対の出力の少なくともいずれか一方に接続されたインダクタンスと、を有する振動電流生成部と、を備え、前記振動電流生成部を介して放電用電力を出力する放電用電源であって、前記制御部は、前記直流電源部から出力可能な電圧範囲の少なくとも一部の電圧範囲において、前記直流電源部から出力される電流が限界電流値を超えないように前記直流電源部を制御し、前記限界電流値は、その電圧においてアーク放電が生ずることにより前記振動電流生成部において生成される振動電流の振幅が、その電圧における定常運転状態の電流の1.3倍以上となるように決定されていることを特徴とする。
上記構成においても、放電電力を高く設定した場合でも低く設定した場合でも、限界特性線を超えた放電電流を流すことを防ぐことができ、アーク放電が発生した場合でも、振動電流の振幅を放電電流よりも常に大きくでき、振動電流が確実にゼロアンペアを下回ることにより、アークを確実に消去することができる。
またここで、上記第1及び第2の放電用電源において、前記限界電流値は、前記直流電源部から出力される電流をI、前記直流電源部から出力される電圧をV、前記インダクタンスをL、前記キャパシタンスをC、アーク電圧をVa、振幅の倍率をKとした時に、次式:
I=(V−Va)×(C/L)1/2/K
を満たす上限の電流に対応するものとすれば、振動電流が確実にゼロアンペアを下回り、アークを確実に消去できる。
また、前記インダクタンスは、前記放電用電力が供給される被供給体までの接続ケーブルが有するインダクタンスも含むものとすることができる。
また、前記振動電流生成部を介して出力される電圧を検出する電圧検出手段と、前記振動電流生成部を介して出力される電流を検出する電流検出手段と、をさらに備え、前記制御部は、前記電圧検出手段による検出結果と、前記電流検出手段による検出結果と、に基づいたフィードバック制御を行うものとすれば、スパッタ電圧に応じた確実な電流制御が容易である。
また、前記振動電流生成部を介して出力される電圧を検出する電圧検出手段と、前記振動電流生成部を介して出力される電流を検出する電流検出手段と、をさらに備え、前記制御部は、前記電圧検出手段による検出結果と、前記電流検出手段による検出結果と、出力電力の設定値と、に基づいて出力電流の設定値を決定し、前記電圧検出手段による検出結果に応じて、その電圧における前記限界電流値を演算し、前記出力電流の設定値が前記限界電流値よりも小さい時は、その出力電流の設定値に基づいて前記直流電源部を制御し、前記出力電流の設定値が前記限界電流値よりも大きい時は、その限界電流値が出力されるように前記直流電源部を制御するものとすれば、限界電流を超えない範囲で出力電流を制御できる。
また、前記制御部は、
前記電圧検出手段による検出結果が、第1の所定の電圧よりも高い場合には、前記限界電流値としてオフセットを加算しない値を用い、前記電圧検出手段による検出結果が、第2の所定の電圧よりも低い場合には、前記限界電流値としてオフセットを加算した値を用いるものとすれば、出力電圧がゼロボルトの場合であっても、出力電流を流すことができ、且つ、電圧が高い状態で、限界特性線を超えることを防止できる。
また、前記制御部は、前記電圧検出手段による検出結果が、第3の所定の電圧よりも低く、且つ前記電流検出手段による検出結果が、第1の所定の電流よりも高い場合に、前記直流電源部の出力をゼロとするものとすれば、アーク放電を確実に遮断できる。
また、前記電圧検出手段による検出結果をローパスフィルタを介して判断するものとすれば、ローパスフィルターの定数を適宜決定することにより、ゲートパルスを遮断するまでのアーク放電の振動回数(持続時間)を調節することができる。
一方、本発明のスパッタリング用電源は、ターゲットをスパッタして薄膜を形成するスパッタリング用電源であって、上記のいずれかの放電用電源を備え、前記振動電流生成部を介して出力される放電用電力のうちの負出力を前記ターゲットに接続して前記スパッタを実施可能としたことを特徴とする。
また、本発明のスパッタリング装置は、上記のスパッタリング用電源と、前記ターゲットを収容可能とし大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な真空チャンバと、を備えたことを特徴とする。
これらスパッタリング用電源及びスパッタリング装置においても、、スパッタ電力を高く設定した場合でも低く設定した場合でも、限界特性線を超えたスパッタ電流を流すことを防ぐことができ、アーク放電が発生した場合でも、振動電流の振幅をスパッタ電流よりも常に大きくでき、振動電流が確実にゼロアンペアを下回ることにより、アークを確実に消去することができる。

発明を実施するための最良の態様
本発明をより詳細に説述するために、添付の図面に従ってこれを説明する。
第1図は、本発明の実施の形態にかかる放電用電源及びそれを用いたスパッタリング装置を表す模式図である。
すなわち、同図に例示した電源は、DC電源部DCPと、振動電流生成部VCGと、を有する。
DC電源部DCPは、チャンバ101に正極、ターゲット104に負極の電圧を印加してスパッタリングを行うための電源である。その構成は、例えば第1図に例示した如く、R、S、Tの3相交流入力を受ける整流ダイオード群DB1、スイッチングトランジスタIGBT及び還流ダイオードFWDからなるインバータINV、変圧トランスT1、整流ダイオード群DB2、及び平滑化インダクタLを有する。
このDC電源部DCPの出力は、制御回路CCにより制御される。すなわち、制御回路CCは、インバータINVを構成するトランジスタIGBTに対してゲートパルスを与えることにより、その動作を制御する。
このようにして得られたDC電源部DCPからのDC出力は、振動電流生成部VCGと送電ケーブル120A、120Bを介してチャンバに供給される。
振動電流生成部VCGは、振動電流生成用のコンデンサC1とインダクタンスL1とを有し、LC共振回路により振動電流を生成する。また、振動電流生成部VCGの電気成分には、チャンバ101及びターゲット104までの同軸送電ケーブル120A、120Bも含まれる。すなわち、50Ωの同軸ケーブルのインダクタンスは、0.25μH/mであり、その容量は100pF/mである。これに対して、ターゲット104の静電容量は、通常は300pF以下である。
なお、DC電源部DCPのインダクタンスLは、電源の出力フィルタ用のインダクタンスであり、振動電流生成部VCGのインダクタンスL1よりも充分大きな値(30倍以上)を用いることが望ましい。
以上説明した構成によれば、DC電源部DCPの出力端にLC共振回路を有する振動電流生成部VCGを設けることにより、アーク放電が生じた時に、そのスイッチ作用を利用して振動電流を発生させることができる。この振動電流が0A(ゼロ・アンペア)をクロスして逆方向となった時、アーク放電の整流作用(ホット・スポットのみから熱電子が放出されているので、逆電圧がかかると電流は流れない)によって電流を止めてアークを消すことが可能である。
そして、本発明においては、この振動電流の振幅がスパッタ電流よりも大きくなるように、スパッタ電流を制御する。すなわち、アーク放電が振動電流によって確実に消去されるためには、振動電流生成部VCGにより生成される振動電流の下限が0Aを下回ることが必須である。このためには、振動電流の振幅がスパッタ電流よりも大きいことが必要とされる。
そこで、本発明においては、振動電流生成部VCGが有するLC定数に応じて、スパッタ電流がその振動電流の振幅よりも小さくなる範囲でスパッタリングを行うようにDC電源部DCPの動作を制御する。この制御は、典型的には、制御回路CCにより実行させることができる。
以下、スパッタリングの電圧・電流特性を参照しつつ、本発明による電源の動作メカニズムについて詳細に説明する。
第2図は、DCスパッタリングにおける電圧・電流特性を表すグラフ図である。
ここで、同図の特性線Aは、15kW(キロワット)の定格電力線である。また、特性線B、C、E、Fは、それぞれ、振動電流生成部VCGにおける所定のLC定数に対応した振動電流振幅から決定される、スパッタ電流の限界線である。また、特性線Dは、通常のスパッタリングの放電電圧・電流特性である。また、特性線Gは、アーク放電の特性線であり、25Aにおける一点鎖線Hは、600V×25A=15kW電源の最大電流を表す。また、電圧200Vにおいて縦方向に伸びる特性線Iは、アルミニウム(Al)ターゲットの表面が酸化した時の放電特性を表す。
ここで、例えば、600V×25Aの最大電力の点(特性線Aと特性線Hとの交点)よりも、特性線Bは下側を通っている。つまり、特性線Aと特性線Hとの交点は、特性線Bにより定義されるスパッタ電流の限界値を超えている。従って、特性線Bに対応したLC定数を選択した場合には、この交点、すなわち25Aのスパッタ電流でスパッタリングすると、振動電流の振幅よりもスパッタ電流のほうが大きいために、アークが振動では消えないこととなる。
つまり、最大電力で安定したスパッタリングを実施したい場合には、その条件よりも上側に限界線がくるように、振動電流生成部VCGのLC定数を選択する必要がある。
すなわち、特性線C、E、Fのように、立った(大きな勾配を有する)特性とすると、スパッタ電流よりも大きな振幅の振動電流が生成されるため、0Aを確実に下回る振動電流を得ることができる。但し、特性線Dにより表される正常時のスパッタ特性の電流に対して、特性線CやFの条件では、はるかに大きな振動電流を流してしまうことになり、ターゲットや電源を構成する電気部品に対するストレスが懸念される。
そこで、実用的な観点からは、特性線Eのように、最大電力条件よりもいくぶん上側にある特性線に対応するLC定数を選ぶことが望ましい。しかし、この特性線Eを選んだ場合でも、表面が酸化したアルミニウム(Al)ターゲットの放電特性線Iとの交点は10Aであるので、それ以上の電流が流れる電力設定とすると、連続アークになってしまう。
これに対して、従来は、電力設定を可変とし、電力設定を絞った条件でアルミニウムの酸化面をスパッタリングにより除去して、酸化膜が少なくなって特性線Dに次第に近づくに従って、電力設定を大きくし、特性線Bや特性線EのLC設定において通常のスパッタリングを行うという方法を採らざるを得なかった。
これに対して、本発明においては、電力設定を調節するのではなく、スパッタ電圧に応じて、スパッタ電流をLC定数に対応した限界線以下に制御する。この制御は、第1図に例示した電源の制御回路CCにおいて実行させることができる。
第3図は、本発明においてスパッタ電流を限界線以下に制御する回路の基本形を表すブロック図である。
すなわち、同図は、第1図に表した電源において、制御回路CCのゲートパルス幅または周波数を決めるレベル信号を生成する部分を表したものである。
この回路は、フィードバック制御部10と、限界電流制御部20と、を有する。
フィードバック制御部10には、出力電力の設定値Psetと、スパッタリング装置のターゲット電流を表す信号Iとターゲット電圧を表す信号Vがそれぞれ入力される。
これら信号I、Vは、例えば第1図に例示した如く、振動電流生成部VCGにおいて、電流検出器IMと分圧回路VMとから、それぞれ電圧信号として得ることが可能である。
フィードバック制御部10は、出力電力の設定値Psetと、信号I、Vと比較することにより、これらをフィードバックして、DC電源部DCPのインバータINVのゲートパルス幅を制御するレベル信号LSを出力する。
一方、限界電流制御部20は、電源の振動電流生成部VCGのLC定数に基づき、ターゲット電圧に応じた電流限界信号CLを生成する。すなわち、第2図に例示したように、LC定数に基づく限界特性線(例えば、特性線E)を設定し、ターゲット電圧を表す信号Vを入力して、この限界特性線の上での電流値を演算する。そして、この電流値を表す信号を電流限界信号CLとして出力する。
フィードバック制御部10は、I、Vをフィードバックして得られたレベル信号LSと、この電流限界信号CLとを比較する。そして、レベル信号LSが電流限界信号CLよりも小さい場合には、そのレベル信号LSをそのまま出力する。一方、レベル信号LSが電流限界信号CLよりも大きい場合には、電流限界信号CLをレベル信号LSとして出力する。
以上説明したように、本発明によれば、限界電流制御部20において、振動電流生成部VCGのLC定数に基づく限界特性線を設定し、この限界特性線を超えないように、ターゲット電圧Vに応じた電流リミットを設定する。
第4図は、本発明の電源の動作範囲を例示するグラフ図である。すなわち、同図に表した具体例の場合、例えば、第2図の特性線Eを限界特性線として設定し、スパッタ電流がこの特性線Eを超えない範囲Z(同図において淡色ハッチを施した)で、電流・電圧が出力される。
このようにすれば、スパッタ電力を高く設定した場合でも低く設定した場合でも、限界特性線を超えたスパッタ電流を流すことを防ぐことができる。その結果として、アーク放電が発生した場合でも、振動電流の振幅をスパッタ電流よりも常に大きくでき、振動電流が確実にゼロアンペアを下回ることにより、アークを確実に消去することができる。その結果として、第11図に例示したようなスパッタ装置にこの電源を用いることにより、高いスパッタ電力から低いスパッタ電力まで、アーク放電が発生しても迅速に消去して安定したスパッタリングを行うことができる。
次に、本発明のさらに詳細な具体例について説明する。
第5図は、本発明においてスパッタ電流を限界特性線以下に制御する回路の一例を表すブロック図である。すなわち、同図も、第1図に表した電源において、制御回路CCのゲートパルス幅または周波数を決めるレベル信号を生成する部分を表したものである。
この回路は、出力電力演算部11と、電力制御部12と、電流制御部13と、
最大電流信号生成部21と、オフセット生成部22と、を有する。これらのうち、出力電力演算部11〜電流制御部13までが、第3図のブロック図におけるフィードバック制御部10に対応し、最大電流信号生成部21とオフセット生成部22が、第3図のブロック図における限界電流制御部20に対応する。
出力電力演算部11には、スパッタリング装置のターゲット電流を表す信号Iとターゲット電圧を表す信号Vがそれぞれ入力される。出力電力演算部11は、これらの信号I、Vとに基づいて、電源から出力されている電力を演算し、それに対応する出力電力信号OSを出力する。
電力制御部12は、電力フィードバック制御を実行する。すなわち、出力電力演算部11から出力された出力電力信号OSと、出力電力の設定値Psetとを比較し、その差分に応じた電流設定値を演算する。そして、後に詳述するように、電流限界信号CL2と比較して、電流設定信号CSを出力する。
電流制御部13は、電流フィードバック制御を実行する。すなわち、電流設定信号CSと、信号Iとを比較して、DC電源部DCPのインバータINVのゲートパルス幅を制御するレベル信号LSを出力する。
以上説明した各ブロックにより、電流設定信号Psetに対して、IとVとをフィードバック信号としたDC電源部DCPのフィードバック制御が実行される。
本発明においてはさらに、最大電流信号生成部21において、振動電流生成部VCGのLC定数に基づき、ターゲット電圧に応じた電流限界信号CLを生成する。すなわち、第2図に例示したように、LC定数に基づく限界特性線(例えば、特性線E)を設定し、ターゲット電圧を表す信号Vを入力して、この限界特性線の上での電流値を演算する。そして、この電流値を表す信号を電流限界信号CL1として出力する。
この電流限界信号CL1は、オフセット生成部22に出力され、例えば、出力電圧がゼロボルトの場合でも電流設定がゼロアンペアよりも大きくなるようなオフセットが付与された電流限界信号CL2として、電力制御部12に出力される。
電力制御部12は、出力電力演算部11から出力された出力電力信号OSと、出力電力の設定値Psetとを比較して、その差分に応じた電流設定値を演算するが、さらに、この電流設定値と電流限界信号CL2とを比較する。
そして、電流設定値が電流限界信号CL2よりも小さい場合、すなわち、流すべきスパッタ電流値がLC定数により決定される限界特性線(例えば、第2図の特性線E)よりも小さい場合には、その電流設定値をそのまま電流設定信号CSとして出力する。
一方、電力制御部12は、電流設定値が電流限界信号CL2よりも大きい場合、すなわち、流すべきスパッタ電流値がLC定数により決定される限界特性線(例えば、第2図の特性線E)よりも大きい場合には、その電流設定値に代えて、電流限界信号CL2を電流設定信号CSとして出力する。
以上説明したように、本発明によれば、最大電流信号生成部21において、振動電流生成部VCGのLC定数に基づく限界特性線を設定し、ターゲット電圧Vに応じた電流リミットを設定する。つまり、第4図に例示したように、スパッタ電流が、予め定めた限界特性線を超えない範囲において、電源を動作させる。
このようにすれば、スパッタ電力を高く設定した場合でも低く設定した場合でも、限界特性線を超えたスパッタ電流を流すことを防ぐことができる。その結果として、アーク放電が発生した場合でも、振動電流の振幅をスパッタ電流よりも常に大きくでき、振動電流が確実にゼロアンペアを下回ることにより、アークを確実に消去することができる。
さらにまた、電源の構成や、スパッタリング装置の構造、スパッタする材料、条件などに応じて好適なLC定数を選択することにより、過度に大きな振動電流を形成することなく、確実にアークを消去することができ、ターゲットや電気部品などにストレスを与える虞もなくなる。
ここで、オフセット生成部22により電流設定値にオフセットを与えることにより、アーク電圧以下で、電流限界値の設定を定格の例えば5パーセント程度に固定することにより、最初の出力電圧が出るようにすることができる。
なお、本発明者の検討によれば、振動電流の振幅としては、通常のスパッタ電流の1.3倍乃至2倍程度とすることが適当であることが判明した。従って、スパッタリング装置の構造や用途に応じて、このような範囲の振動電流が得られるように、振動電流生成部VCGのLC定数を決定し、これに対応した限界特性線に基づいて、最大電流信号生成部21における演算処理を実行させればよい。
より具体的には、電源から出力される電流をI、電源から出力される電圧をV、振動電流生成部VCGのインダクタンスをL、振動電流生成部VCGのキャパシタンスをC、アーク電圧をVa、振幅の倍率をKとした時に、次式が満足される範囲内とすることが望ましい。

I=(V−Va)/{K×(C/L)1/2

上記の式において、(V−Va)は、スパッタ電圧とアーク電圧との差である。振動電流生成部VCGにおいて生成される振動電流の振幅は、その電圧に振動回路のコンダクタンス(C/L)1/2を掛けた値となる。しかし、振動は減衰するので、スパッタ電流よりもK倍大きな値にしておかないと、0Aを切ることができない。
つまり、電源から出力される電流を、上記の式により既定される電流Iを超えない範囲に制限すれば、アーク放電が生じた時に、振動電流が確実にゼロアンペアを下回り、アークを消去できる。
第6図は、第5図に表したブロック図を具体化した回路の一例を表す模式図である。同図については、第1図乃至第5図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本具体例の回路の場合、スパッタ電流を表す信号Iとスパッタ電圧を表す信号Vは、それぞれ0〜5ボルト、0〜マイナス6.66ボルトの電圧信号として与えられる。また、電力設定値を表す信号Psetは、0〜10ボルトの電圧信号として与えられる。
そして、信号IoとVoは、掛け算器U1に入力されて掛け算され、出力電力OSが演算される。
この出力信号OSは、電力フィードバック制御の誤差アンプU2に入力され、電力設定信号Psetと比較することにより、電流設定信号が出力される。
U3は、電流フィードバック制御の誤差アンプで、誤差アンプU2で計算した電流設定値とIoとを比較してインバータINVのゲートパルス幅(または周波数)を決めるレベル信号を生成する。誤差アンプU2の最大出力が電流の最大値となるように定数設定しておけば、最大電流値(例えば、第2図の特性線H)でリミットをかけることができる。
そしてさらに、演算器U4において、LC定数により予め決定した限界特性線に基づいて、スパッタ電圧Vに比例した電流限界信号CL1を生成する。
そして、演算器U5において、出力電圧が0Vであっても電流設定が0Aよりも上になるように、小さなオフセットを与えた電流限界信号CL2を生成する。
このような具体例により、第4図に表したように、限界特性線よりも下側の領域で動作する電源を実現できる。
第7図は、本発明の放電用電源の要部の変型例を表す模式図である。同図については、第1図乃至第6図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
前述した第6図の回路を用いることにより、本発明の電源は基本的な動作をするのであるが、例えば、出力電圧が80V以下の場合、オフセットの関係で電流設定が0Aにならない。
そこで、本変型例においては、第7図に表したように、コンパレータU6を追加している。コンパレータU6は、ヒステリシスを持ったコンパレータであり、出力電圧が第1の既定電圧、例えば200Vを越えるとトランジスタTrをON(オン)して演算器U5で与えたオフセットを消去する。一方、出力電圧が第2の既定電圧、例えば10V以下になると、CRタイマーにより所定のタイミングでトランジスタTrをOFF(オフ)してオフセットを与える。
アーク電圧以下では、電流限界値の設定を定格の5パーセント程度に固定することにより最初の電圧が出るようにできるが、一方、一旦例えば200ボルト以上の出力電圧が出た場合には、このオフセットを消去することにより、アーク放電が発生した場合に、電流設定をゼロとして、振動電流がより確実にゼロを下回るようにできる。
第8図は、本発明の放電用電源の要部のさらなる変型例を表す模式図である。同図についても、第1図乃至第7図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本変型例は、アーク放電を検出して、ゲートパルスをただちに止める機能を追加したものである。具体的には、演算器U7、U8、U9を追加し、演算器U7で出力電圧の判定、演算器U8で出力電流の判定を行い、演算器U9でこれらの論理積(AND)をとってアーク判定して出力を止める信号を作っている。
演算器U7においては、信号Vと、既定の電圧とを比較して論理を出力する。この場合の既定の電圧は、例えば、150ボルト程度とすることができる。すなわち、この既定値よりもスパッタ電圧が低下したら、アーク放電の可能性があると判定する。
同様に、演算器U8においては、信号Iと、既定の電流値に対応する信号と、を比較する。ここで既定の電流値は、例えば、定格出力電流の1/5〜1/10程度とすることが望ましい。
そして、これら演算器U7及びU8の論理積をとることにより、スパッタ電圧が既定値よりも低く、スパッタ電流が既定値よりも大きい時に、アーク放電と判定する。そして、この判定に基づいて、ゲートパルスを直ちに停止する。
またここで、演算器U7が判定する電圧信号にローパスフィルターC7が設けられているのは、1回の振動で消えるアークに対して動作しないようにするためである。ローパスフィルターC7の定数を適宜決定することにより、ゲートパルスを遮断するまでのアーク放電の振動回数(持続時間)を調節することができる。
また、本変型例の回路によれば、アークが消えると短時間で出力を復帰させ、無駄な待ち時間は最少で動作させることができる。
すなわち、連続アークの判定を付加して、連続アークの判定で、電力制御のスイッチングをただちに止め、電流限界値のオフセットも殺すことにより、連続アークの発生時にアーク電流と持続時間を短くして連続アークに入るエネルギーを小さくするとともに、休止時間も必要最小限に制御することができる。
(実施例)
以下、実施例を参照しつつ、本発明におけるアーク放電の消去の具体例について説明する。
第9図及び第10図は、本発明の放電用電源の動作を例示するグラフ図である。すなわち、同図は、振動電流生成部VCGとアーク放電によって振動電流が発生し、アークが消去する波形を表す。
ここで、第9図及び第10図の横軸は時間を表し、それぞれスパッタ状態S、アーク放電状態A、休止状態Rに分類されている。そして、第9図の波形は、ターゲット104の電圧を表し、第10図の波形は、ターゲット104の電流を表す。ここで、ターゲット電圧は、チャンバー101を基準にターゲット104を測定しているので、符号Bの位置を基準(ゼロボルト)としてマイナス側に表れる。また、ターゲット電流は、符号Cを基準(ゼロアンペア)してプラス側に表した。
電圧のスケールは、200V/div、電流のスケールは、20A/divで、時間軸は、10μs/divとした。
第9図及び第10図をその時間軸に沿って説明すると、最初、600V、22Aで安定にスパッタリング状態(S)にあり、その後、放電電圧が80V弱まで突然下がった時点がアーク発生(A)である。この時、コンデンサC1にはスパッタ電圧600Vが既にチャージされていて、ターゲット電圧が80Vに下がった訳であるから、(L1)+(同軸ケーブル120A、120B)のインダクタンスLにその差分の電圧(600−80)=520Vが印加され、520V=L×di/dtとなり、ターゲット電流は急上昇する。同時に、コンデンサC1の電圧は、このターゲット電流を供給するために下がっていく。
振動電流は、コンデンサC1の電荷がゼロになった時点で最大となり、その値は、CV=LIのエネルギー保存式(注:式の両辺の1/2は省略)を満たす値となる。すなわち、アーク放電電圧80Vを考慮して計算すると、次式の関係が得られる。

C1×(Vsp−Varc=(L1+Lcable)×Ip (1)

ここで、Vspはスパッタ電圧、Varc)はアーク放電電圧、Lcable)はケーブル120A、120Bのインダクタンス、Ipは振動電流をそれぞれ表す。この式を変形すると、次式が得られる。

(Vsp−Varc)/Ip = ((L1+Lcable)/C1)1/2 (2)

すなわち、振動電流Ipは (L/C)1/2と直前のスパッタ電圧で決まる。振動の周期Tは、T=2π(LC)1/2であるので、周期Tと電圧変化dVと振動電流Ipから、インダクタンスLとコンデンサCを逆算できる。

dV/Ip = (L/C)1/2 (3)

T = 2π(LC)1/2 (4)


(3)式と(4)式の両辺をそれぞれかけると、次式が得られる。

T×dV/Ip=(L/C)1/2×2π(LC)1/2
=2πL (5)

一方、(4)式の両辺を(3)式の両辺で割ると次式が得られる。

T/(dV/Ip)=2π(LC)1/2/(L/C)1/2
=2πC (6)

(5)式よりLを求めると以下の如くとなる。

L=T×dV/Ip/2π
= 520(V)/38(A)×10E−6(s)/2π
=2.18E−5H
=21.8μH

また、(6)式よりCを求めると以下の如くとなる。

C=T/2π/(dV/Ip)
=10E−6(s)/2π/(520(V)/38(A))
=1.16E−7 F
=0.116 μF

これらの値は、実際の回路定数(L=(20+2.5)μH、C=0.102μF)に近い値である。ここで、ケーブル120A、120Bとターゲット104のコンデンサ成分は、ケーブル120A、120Bの長さを10mとしても 100pF/m×10m+300pF=1300pF=0.0013μF程度であるので、コンデンサC1の容量の1/100程度となり、無視できる。
第9図において、破線VC1は、アーク開始時点以降のコンデンサーC1の電圧の変化を表す。第10図において、破線Jで表した正弦波はアーク振動電流である。この振動電流の中心がスパッタ電流である。
振動電流Jがピークに向けて上昇する時に、コンデンサC1の電圧でVC1は0ボルトを下回り、振動電流Jがピークを超えて再び低下してスパッタ電流Ispのレベルを下回る時に、コンデンサC1の電圧VC1は最大の逆電圧まで上昇する。
振動電流が0A(厳密にはアーク放電が維持される電圧レベル)を下回った以降は、アーク放電の整流作用により、アークに電流は流れない(すなわち、インダクタンスL1による電流が0Aとなる)から、VC1電圧とターゲット電圧は同じになり、コンデンサC1はインダクタンスLが定電流に保っていたスパッタ電流Ispによってチャージされ200Vを越えた時点からスパッタの放電電流が増加していく。
ここで、アーク放電が消えるのは、振動電流が0Aを切ってからアーク維持電圧以上になる期間、アークにエネルギーが供給されないため、ホットスポットが冷却されて熱電子が出なくなるためと考えられる。第9図及び第10図に例示した波形からは、この期間は3μs弱と読める。但し、この期間をどこまで短くしてもアークを消すことができるかについては、各種のパラメータを考慮する必要がある。
アーク消去期間を決定するパラメータとしては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)ターゲット物性(仕事関数、熱伝導率、表面酸化:表面の仕事関数、表面温度など)
(2)スパッタ電力(電圧、電流)
(3)振動電流のピーク電流、振動周期(LC値)
(4)スパッタ雰囲気(アルゴン圧力、残留ガス分圧、添加ガスの種類など)
また、第9図及び第10図においてスパッタの放電が止まっているのは、アークが発生してから、再び電圧が200Vを越えるまでの、約10マイクロ秒の期間である。アークが消えてスパッタに戻った時、電流がスパッタ電流Ispにすぐ戻らないため、電圧がマイナス1300V付近まで跳ね上がる。スパッタ電流は、この電圧の上昇に遅れてスパッタ電流が約50Aまで上昇してから、減衰振動して収まっている。
ここで、アーク放電が消えてもスパッタ電流がすぐに戻らない理由としては、10マイクロ秒の休止により、プラズマが希薄になったことや、インダクタンスL1による電流抑制効果などを挙げることができる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
例えば、本発明のDC電源部、振動電流生成部、制御回路、その他スパッタリング装置における各部の構成、構造、数、配置、形状、材質などに関しては、上記具体例に限定されず、当業者が適宜選択採用したものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に包含される。
より具体的には、例えば、スパッタリング用電源に設けられる各回路の具体的な構成や、ダイオード、抵抗、トランジスタをはじめとする各回路素子の数や配置関係などについても、当業者が適宜設計変更したものは本発明の範囲に包含される。
また、本発明の放電用電源は、スパッタリングのみならず、DC電圧を印加することにより、放電を生じさせる必要のある各種の用途に対して同様に適用して同様の作用効果を得ることができる。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての放電用電源、スパッタリング用電源及びスパッタリング装置は本発明の範囲に包含される。

産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明によれば、振動電流生成部のLC定数に基づく限界特性線を設定し、スパッタ電流が、この限界特性線を超えない範囲において、電源を動作させることにより、スパッタ電力を高く設定した場合でも低く設定した場合でも、限界特性線を超えたスパッタ電流を流すことを防ぐことができ、アーク放電が発生した場合でも、振動電流の振幅をスパッタ電流よりも常に大きくでき、振動電流が確実にゼロアンペアを下回ることにより、アークを確実に消去することができる。
その結果として、例えば、ターゲットが汚れたり酸化していて、従来であればクリーニング・モードに切り替えてスパッタしなければならないような場合でも、切替えずに運転できるのでクリーニング時間を短くできる。
また、ターゲットの消耗により、放電電圧が下がった場合でも、連続アークの発生頻度が激減するので安定なスパッタができる。
また、負荷の変動により、スパッタ電圧が短時間下がった場合でも確実に連続アーク発生頻度を下げられるので、安定なスパッタができる。
またさらに、運悪く連続アークになった場合でも、アークに入るエネルギーを最少にでき休止時間も必要最小限で済むので、プロセスに与えるダメージやスパッタ電力の誤差を小さくできる。
すなわち、本発明によれば、シンプルな構成によりアーク放電を迅速且つ確実に遮断できる放電用電源、スパッタリング用電源及びスパッタリング装置を提供することができ、産業上のメリットは多大である。

Claims (13)

  1. 直流電源部と、
    前記直流電源部の出力を制御する制御部と、
    前記直流電源部からの一対の出力に並列に接続されたキャパシタンスと、前記一対の出力の少なくともいずれか一方に接続されたインダクタンスと、を有する振動電流生成部と、
    を備え、前記振動電流生成部を介して放電用電力を出力する放電用電源であって、
    前記制御部は、前記直流電源部から出力可能な電圧範囲の少なくとも一部の電圧範囲において、前記直流電源部から出力される電流が限界電流値を超えないように前記直流電源部を制御し、
    前記限界電流値は、前記少なくとも一部の電圧範囲において、電圧の絶対値に対して正の相関を有することを特徴とする放電用電源。
  2. 直流電源部と、
    前記直流電源部の出力を制御する制御部と、
    前記直流電源部からの一対の出力に並列に接続されたキャパシタンスと、前記一対の出力の少なくともいずれか一方に接続されたインダクタンスと、を有する振動電流生成部と、
    を備え、前記振動電流生成部を介して放電用電力を出力する放電用電源であって、
    前記制御部は、前記直流電源部から出力可能な電圧範囲の少なくとも一部の電圧範囲において、前記直流電源部から出力される電流が限界電流値を超えないように前記直流電源部を制御し、
    前記限界電流値は、その電圧においてアーク放電が生ずることにより前記振動電流生成部において生成される振動電流の振幅が、その電圧における定常運転状態の電流の1.3倍以上となるように決定されていることを特徴とする放電用電源。
  3. 前記限界電流値は、前記直流電源部から出力される電流をI、前記直流電源部から出力される電圧をV、前記インダクタンスをL、前記キャパシタンスをC、アーク電圧をVa、振幅の倍率をKとした時に、次式:
    I=(V−Va)×(C/L)1/2/K
    を満たす上限の電流に対応することを特徴とする請求項1または2に記載の放電用電源。
  4. 前記インダクタンスは、前記放電用電力が供給される被供給体までの接続ケーブルが有するインダクタンスも含むことを特徴とする請求項1または2に記載の放電用電源。
  5. 前記振動電流生成部を介して出力される電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記振動電流生成部を介して出力される電流を検出する電流検出手段と、
    をさらに備え、
    前記制御部は、前記電圧検出手段による検出結果と、前記電流検出手段による検出結果と、に基づいたフィードバック制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の放電用電源。
  6. 前記振動電流生成部を介して出力される電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記振動電流生成部を介して出力される電流を検出する電流検出手段と、
    をさらに備え、
    前記制御部は、
    前記電圧検出手段による検出結果と、前記電流検出手段による検出結果と、出力電力の設定値と、に基づいて出力電流の設定値を決定し、
    前記電圧検出手段による検出結果に応じて、その電圧における前記限界電流値を演算し、
    前記出力電流の設定値が前記限界電流値よりも小さい時は、その出力電流の設定値に基づいて前記直流電源部を制御し、
    前記出力電流の設定値が前記限界電流値よりも大きい時は、その限界電流値が出力されるように前記直流電源部を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の放電用電源。
  7. 前記制御部は、
    前記電圧検出手段による検出結果が、第1の所定の電圧よりも高い場合には、前記限界電流値としてオフセットを加算しない値を用い、
    前記電圧検出手段による検出結果が、第2の所定の電圧よりも低い場合には、前記限界電流値としてオフセットを加算した値を用いることを特徴とする請求項6記載の放電用電源。
  8. 前記制御部は、前記電圧検出手段による検出結果が、第3の所定の電圧よりも低く、且つ前記電流検出手段による検出結果が、第1の所定の電流よりも高い場合に、前記直流電源部の出力をゼロとすることを特徴とする請求項1または2に記載の放電用電源。
  9. 前記電圧検出手段による検出結果をローパスフィルタを介して判断することを特徴とする請求項8記載の放電用電源。
  10. ターゲットをスパッタして薄膜を形成するためのスパッタリング用電源であって、
    直流電源部と、
    前記直流電源部の出力を制御する制御部と、
    前記直流電源部からの一対の出力に並列に接続されたキャパシタンスと、前記一対の出力の少なくともいずれか一方に接続されたインダクタンスと、を有する振動電流生成部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記直流電源部から出力可能な電圧範囲の少なくとも一部の電圧範囲において、前記直流電源部から出力される電流が限界電流値を超えないように前記直流電源部を制御し、
    前記限界電流値は、前記少なくとも一部の電圧範囲において、電圧の絶対値に対して正の相関を有し、
    前記振動電流生成部を介して出力される放電用電力のうちの負出力を前記ターゲットに接続して前記スパッタを実施可能としたことを特徴とするスパッタリング用電源。
  11. ターゲットをスパッタして薄膜を形成するためのスパッタリング用電源であって、
    直流電源部と、
    前記直流電源部の出力を制御する制御部と、
    前記直流電源部からの一対の出力に並列に接続されたキャパシタンスと、前記一対の出力の少なくともいずれか一方に接続されたインダクタンスと、を有する振動電流生成部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記直流電源部から出力可能な電圧範囲の少なくとも一部の電圧範囲において、前記直流電源部から出力される電流が限界電流値を超えないように前記直流電源部を制御し、
    前記限界電流値は、その電圧においてアーク放電が生ずることにより前記振動電流生成部において生成される振動電流の振幅が、その電圧における定常運転状態の電流の1.3倍以上となるように決定され、
    前記振動電流生成部を介して出力される放電用電力のうちの負出力を前記ターゲットに接続して前記スパッタを実施可能としたことを特徴とするスパッタリング用電源。
  12. スパッタリング用電源と、
    前記ターゲットを収容可能とし大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な真空チャンバと、
    を備え、
    前記スパッタリング用電源は、ターゲットをスパッタして薄膜を形成するスパッタリング用電源であって、
    直流電源部と、
    前記直流電源部の出力を制御する制御部と、
    前記直流電源部からの一対の出力に並列に接続されたキャパシタンスと、前記一対の出力の少なくともいずれか一方に接続されたインダクタンスと、を有する振動電流生成部と、
    を有し、
    前記制御部は、前記直流電源部から出力可能な電圧範囲の少なくとも一部の電圧範囲において、前記直流電源部から出力される電流が限界電流値を超えないように前記直流電源部を制御し、
    前記限界電流値は、前記少なくとも一部の電圧範囲において、電圧の絶対値に対して正の相関を有し、
    前記振動電流生成部を介して出力される放電用電力のうちの負出力を前記ターゲットに接続して前記スパッタを実施可能としたことを特徴とするスパッタリング装置。
  13. スパッタリング用電源と、
    前記ターゲットを収容可能とし大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な真空チャンバと、
    を備え、
    前記スパッタリング用電源は、ターゲットをスパッタして薄膜を形成するスパッタリング用電源であって、
    直流電源部と、
    前記直流電源部の出力を制御する制御部と、
    前記直流電源部からの一対の出力に並列に接続されたキャパシタンスと、前記一対の出力の少なくともいずれか一方に接続されたインダクタンスと、を有する振動電流生成部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記直流電源部から出力可能な電圧範囲の少なくとも一部の電圧範囲において、前記直流電源部から出力される電流が限界電流値を超えないように前記直流電源部を制御し、
    前記限界電流値は、その電圧においてアーク放電が生ずることにより前記振動電流生成部において生成される振動電流の振幅が、その電圧における定常運転状態の電流の1.3倍以上となるように決定され、
    前記振動電流生成部を介して出力される放電用電力のうちの負出力を前記ターゲットに接続して前記スパッタを実施可能としたことを特徴とするスパッタリング装置。
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