JPWO2003076624A1 - 新規n−アセチルグルコサミン転移酵素、それをコードする核酸並びにこれらの癌及び/又は腫瘍診断用途 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、Galβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有する新規な酵素及びそれをコードする核酸、並びに該核酸を測定するための核酸に関する。さらに本発明は、前記酵素又はその遺伝子の発現量を指標とする癌又は腫瘍診断に関する。
背景技術
Galβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有する、ポリラクトサミン糖鎖の合成に関与する活性を有する酵素は、現在までに5種類同定されている(Togayachi,A.等,J Biol Chem,2001,276,22032−40,Shiraishi,N.等,J Biol Chem,2001,276,3498−507,Sasaki,K等,Proc Natl Acad Sci U S A,1997,94,14294−9)。しかし、これらの遺伝子を細胞に発現させるとポリラクトサミンが細胞表面に増加するが、発現酵素にするとその活性は非常に弱いものも存在する。すなわち、ポリラクトサミンを作る酵素は、それぞれ違った特徴を備えていると考えられるが、未だここの酵素の特徴付けは十分ではない。従って、この酵素活性を必要とするポリラクトサミン糖鎖構造の作製または製造は、化学合成するか、生体成分より分離するか、または、酵素学的に組織ホモジネートを使用して合成しなければならない。
ポリラクトサミン糖鎖を基幹とする糖鎖構造上にはルイス抗原などの糖鎖構造があることが知られている(Kannagi R.Glycoconj J.1997 Aug;14(5):577−84.Review;Nishihara S et al.,J Biol Chem.1994 Nov 18;269(46):29271−8)。同様にポリラクトサミン糖鎖の長さなどの構造が癌転移、NK細胞などをはじめとした細胞免疫機能に関係していると言われている(Ohyama C et a.,EMBO J.1999 Mar 15;18(6):1516−25.)。同様にヘリコバクターピロリ菌はルイス抗原などの関連糖鎖を介してヒト胃組織に感染することが知られている(Wang G et al.,Mol Microbiol.2000 Jun;36(6):1187−96.Review;Falk PG et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.1995 Feb 28;92(5):1515−9)。従って、もし、Galβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有する酵素遺伝子をクローニングでき、また、該遺伝子を利用して遺伝子工学的に該酵素を生産できるようになれば、該酵素に対する抗体も生産可能となる。従って、これらは癌、免疫病及びピロリ菌感染症の診断、治療及び予防に有用である。しかしながら、該酵素は、未だ精製分離もされておらず、該酵素の単離及び遺伝子の同定についての手がかりはない。そのために、該酵素に対する抗体も作製されていない。
発明の開示
従って、本発明の目的は、Galβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有する酵素及びそれをコードする核酸を提供することである。また、本発明の目的は、該核酸を宿主細胞内で発現する組換えベクター及び該核酸が導入され、前記核酸および酵素タンパク質を発現する細胞および酵素タンパク質を提供することである。さらに、本発明の目的は、上記本発明の核酸を測定するための測定用核酸を提供することおよび活性を有する該酵素の生産法を提供するものである。
上記の通り、目的とする酵素は、未だ単離されていないので、その部分アミノ酸配列を知ることもできない。一般に、細胞に微量しか含まれていないタンパク質を単離精製することは容易ではなく、現在に至るまで単離されていない酵素を細胞から単離することは容易でないことが予想される。本願発明者は、目的とする酵素と比較的類似した作用を有する種々の酵素遺伝子の塩基配列間に、もしも相同性の高い領域が存在していれば、目的とする酵素の遺伝子もその相同配列を有しているかもしれないと考えた。そして、公知のβ1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵素遺伝子、β1,3−ガラクトース転移酵素およびβ1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素遺伝子等の塩基配列を検索した結果、相同な領域が見つかった。そこで、この相同領域にプライマーを設定してcDNAライブラリーからPCRでクローニングすることを基本として種々検討した結果、該酵素の遺伝子のクローニングに成功し、その塩基配列及び推定アミノ酸配列を決定することができ、本発明に至った。
すなわち、本発明は、配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列又は該アミノ配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは複数のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ配列を有し、Galβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有するタンパク質を提供する。また、本発明は、該タンパク質をコードする核酸を提供する。さらに、本発明は、該核酸を含み、宿主細胞中で該核酸を発現することができる組換えベクターを提供する。さらに、本発明は、該組換えベクターにより形質転換され、前記核酸を発現する細胞を提供する。さらに、本発明は、核酸と特異的にハイブリダイズする、該核酸の測定用核酸を提供する。さらに、本発明は、該測定用核酸の癌又は腫瘍の診断用途を提供する。さらに、本発明は、生体から分離された試料細胞中における、上記酵素又はその遺伝子の発現量を調べることを含む、癌又は腫瘍の診断方法を提供する。さらに本発明は、上記本発明の核酸測定用核酸と、上記本発明の核酸とをアニーリングすることによりハイブリダイズさせ、ハイブリダイズした核酸を測定することを含む、上記本発明の核酸の測定方法を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の核酸測定用核酸の、上記本発明の核酸の測定用核酸製造のための使用を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の核酸測定用核酸の、癌及び/又は腫瘍の診断試薬製造のための使用を提供する。
本発明により、Galβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有する酵素及びそれをコードする核酸が初めて提供された。また、本発明により、該核酸を測定するための核酸がはじめて提供された。さらに、本発明により、該酵素又はその遺伝子の発現量を指標とする、癌又は腫瘍、とりわけ消化器の癌又は腫瘍の簡便で正確な診断方法及びそれに用いられる測定用核酸が初めて提供された。したがって、本発明は、消化器癌や腫瘍の診断に大いに貢献するものと期待される。
発明を実施するための最良の形態
下記実施例において詳述する方法により、ヒト幽門洞(antrum)cDNAライブラリーからクローニングされた、本発明のタンパク質をコードする核酸から開始コドン(ATG)を除いた核酸は、配列表の配列番号4に示される塩基配列を有し、それがコードする推定アミノ酸配列が、該塩基配列の下に記載されている。配列番3には、該アミノ酸配列のみを取り出して示す。配列番号4に示される塩基配列を有する核酸は、下記実施例において、発現ベクターに組み込まれ、昆虫細胞中で発現され、実際に、上記酵素活性を有するタンパク質が生産されることが確認されている。配列番号3に示されるアミノ酸配列と、他の類似の酵素(具体的な酵素名:β−1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵素遺伝子のbeta3GnT2:AB049584)のアミノ酸配列とを比較、検討した結果、比較的ホモロジーの高い領域、すなわち、配列番号3に示されるアミノ酸配列中の第45番目のアミノ酸からC末端までの領域が酵素活性ドメインであると考えられ、この283アミノ酸から成る領域が含まれていれば上記酵素活性が発揮されると考えられる。この283アミノ酸を取り出して配列番号1に示し、また、これをコードする核酸を配列番号4から取り出して配列番号2に示す。
下記実施例で得られた本発明のタンパク質(「beta3GnT−7」と命名)は、次の性質を有する酵素である。なお、各性質及びその測定方法は下記実施例において詳述されている。
作用: Galβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する。触媒する反応を反応式で記載するとUDP−N−アセチル−D−グルコサミン+β−D−ガラクトシル−1,4−D−グルコシル−R
→ UDP+N−アセチル−β−D−グルコサミニル−1,3−β−D−ガラクトシル−1,4−D−グルコシル−R、または、UDP−N−アセチル−D−グルコサミン+β−D−ガラクトシル−1,4−N−アセチル−D−グルコサミニル−R
→ UDP+N−アセチル−β−D−グルコサミニル−1,3−β−D−ガラクトシル−1,4−N−アセチル−D−グルコサミニル−R
基質特異性: Galβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基。生体物質では、例えば、糖蛋白質(O−グリカン、N−グリカン)や糖脂質(ラクト・ネオラクト系列糖鎖など)上のポリラクトサミン構造を始めとして多数存在しており、またプロテオグリカン(ケラタン硫酸)などの基幹構造等に含まれるGalβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基。
なお、一般に、酵素のような生理活性を有するタンパク質において、そのアミノ酸配列のうち、1若しくは複数のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは複数のアミノ酸が挿入され若しくは付加された場合であっても、該生理活性が維持されることがあることは周知である。従って、配列番号1又は3に示されるアミノ配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは複数のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ配列を有し、Galβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有するタンパク質(以下、便宜的に「修飾タンパク質」)も本発明の範囲に含まれる。このような修飾タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号1又は3に示されるアミノ酸配列と70%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の相同性を有することが好ましい。なお、アミノ酸配列の相同性は、FASTAのような周知のコンピューターソフトを用いて容易に算出することができ、このようなソフトはインターネットによっても利用に供されている。さらに、該修飾タンパク質としては、配列番号1又は3に示されるアミノ酸配列又は該配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ配列を有するものが特に好ましい。さらに、配列番号1若しくは3に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質又はこれらの修飾タンパク質を含むタンパク質であって、Galβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有するタンパク質も当然、本発明の範囲に含まれる。例えば、下記実施例では、配列番号3に示されるアミノ酸配列の上流に、膜貫通領域を含む領域が結合された、膜結合型の酵素をコードする核酸もクローニングされたが、このような膜結合型の酵素も当然本発明の範囲に含まれる。
本発明は、配列番号1又は配列番号3で示されるアミノ酸配列をコードする核酸及び上記修飾タンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸も提供する。核酸としてはDNAが好ましい。なお、周知の通り、コドンには縮重があり、1つのアミノ酸をコードする塩基配列が複数存在するアミノ酸もあるが、上記アミノ酸配列をコードする塩基配列であれば、いずれの塩基配列を有するものも本願発明の範囲に含まれる。なお、下記実施例において実際にクローニングされたcDNAの塩基配列が配列番号2および配列番号4に示されている。配列番号2又は配列番号4に示す塩基配列を有する核酸とストリンジェントな条件下(すなわち、5x Denhardt’s reagent,6x SSC,0.5%SDS又は0.1%SDSといった一般的なハイブリダイゼーション溶液を用いて50〜65℃で反応を行なう)において、ハイブリダイズし、かつ、上記修飾タンパク質をコードする核酸も本発明の範囲内に入る。
上記本発明の核酸は、下記実施例に詳述する方法により調製することもできるし、また、本発明によりその塩基配列が明らかにされたので、下記実施例で用いているヒト幽門洞を材料として用い、常法であるRT−PCR法を行うことにより容易に調製することができる。また、上記本発明のタンパク質は、例えば下記実施例に詳述するように、上記本発明の核酸を発現ベクターに組み込み、宿主細胞中で発現させ、精製することにより容易に調製することができる。
上記本発明の核酸を、発現ベクターのクローニング部位に挿入することにより、宿主細胞中で上記核酸を発現させることができる組換えベクターを得ることができる。発現ベクターとしては、種々の宿主細胞用の種々のプラスミドベクター及びウイルスベクターが周知であり、市販もされている。本発明では、このような市販の発現ベクターを好ましく用いることができる。また、このような組換えベクターで宿主細胞を形質転換又は形質導入する方法も周知である。本発明はまた、該核酸が形質転換、形質導入又はトランスフェクション等により宿主細胞に導入され、該核酸を発現する細胞を提供する。宿主細胞に外来遺伝子を導入する方法自体は周知であり、上記組換えベクターを用いること等により容易に行うことができる。宿主細胞としては、特に限定されず、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母、細菌等を用いることができる。なお、組換えベクターの構築及びそれを用いて本発明の核酸を宿主細胞に導入する方法の具体例が下記実施例に詳述されている。
なお、本発明のタンパク質は、そのアミノ酸配列が上記した通りのものであり、上記した酵素活性を有するものであれば、タンパク質に糖鎖が結合していてもよい。すなわち、本発明の「タンパク質」は「糖タンパク質」をも包含する。
本発明により、本発明の新規酵素のcDNAの塩基配列が明らかになったので、該酵素のmRNA又はcDNAと特異的にハイブリダイズする、前記本発明の測定用核酸(以下、単に「測定用核酸」)が本発明により提供された。ここで、「特異的」とは、検査対象となる細胞中に存在する他の核酸とハイブリダイズせず、上記本発明の核酸とのみハイブリダイズするという意味である。測定用核酸は、上記本発明の核酸、とりわけ配列番号2又は4に示される塩基配列を有する核酸中の部分領域と相同的な配列を有することが一般的に好ましいが、1〜2塩基程度の不一致があっても差し支えないことが多い。測定用核酸は、プローブ又は核酸増幅法におけるプライマーとして用いることができる。特異性を確保するために、測定用核酸の塩基数は15塩基以上、さらに好ましくは18塩基以上である。サイズは、プローブとして用いる場合には、15塩基以上、さらに好ましくは20塩基以上、コード領域の全長以下が好ましく、プライマーとして用いる場合には、15塩基以上、さらに好ましくは18塩基以上、50塩基以下が好ましい。被検核酸の部分領域と相補的な配列を有する核酸をPCRのような遺伝子増幅法のプライマー、又はプローブとして用いて被検核酸を測定する方法自体は周知であり、下記実施例には、ヒト細胞中の本発明の酵素のmRNAをノーザンブロット及びインサイチューハイブリダイゼーションにより測定した方法が具体的に詳述されている。なお、本明細書において、「測定」には、検出、定量、半定量のいずれもが包含される。
PCRのような核酸増幅法自体は、この分野において周知であり、そのための試薬キット及び装置も市販されているので容易に行うことができる。すなわち、例えば、鋳型となる被検核酸(例えば、本発明の酵素の遺伝子のcDNA)と本発明の測定用核酸(プライマー)の一対とを、緩衝液中で、Taqポリメラーゼ及びdNTPの存在下で、変性、アニーリング、伸長の各工程を反応液の温度を変化させることにより行う。通常、変性工程は、90〜95℃、アニーリング工程は、鋳型とプライマーのTm又はその近傍(好ましくは±4℃以内)、伸長工程はTaqポリメラーゼの至適温度である72℃で行われる。各工程は30秒〜2分程度で適宜選択される。この熱サイクルを例えば25〜40回程度繰り返すことにより、一対のプライマーで挟まれた鋳型核酸の領域が増幅される。なお、核酸増幅法はPCRに限定されるものではなく、この分野において周知の他の核酸増幅法も用いることができる。このように、上記した本発明の測定用核酸の一対をプライマーとして用い、被検核酸を鋳型として用いて核酸増幅法を行うと、被検核酸が増幅されるのに対し、検体中に被検核酸が含まれない場合には増幅が起きないので、増幅産物を検出することにより検体中に被検核酸が存在するか否かを知ることができる。増幅産物の検出は、増幅後の反応溶液を電気泳動し、バンドをエチジウムブロミド等で染色する方法や、電気泳動後の増幅産物をナイロン膜等の固相に不動化し、被検核酸と特異的にハイブリダイズする標識プローブとハイブリダイズさせ、洗浄後、該標識を検出することにより行うことができる。また、クエンチャー蛍光色素とレポーター蛍光色素を用いたいわゆるリアルタイム検出PCRを行うことにより、検体中の被検核酸の量を定量することも可能である。なお、リアルタイム検出PCR用のキットも市販されているので、容易に行うことができる。さらに、電気泳動バンドの強度に基づいて被検核酸を半定量することも可能である。なお、被検核酸は、mRNAでも、mRNAから逆転写したcDNAであってもよい。被検核酸としてmRNAを増幅する場合には、上記一対のプライマーを用いたNASBA法(3SR法、TMA法)を採用することもできる。NASBA法自体は周知であり、そのためのキットも市販されているので、上記一対のプライマーを用いて容易に実施することができる。
プローブとしては、上記測定用核酸に蛍光標識、放射標識、ビオチン標識等の標識を付した標識プローブを用いることができる。核酸の標識方法自体は周知である。被検核酸又はその増幅物を固相化し、標識プローブとハイブリダイズさせ、洗浄後、固相に結合された標識を測定することにより、検体中に被検核酸が存在するか否かを調べることができる。あるいは、測定用核酸を固相化し、被検核酸をハイブリダイズさせ、固相に結合した被検核酸を標識プローブ等で検出することも可能である。このような場合、固相に結合した測定用核酸もプローブと呼ばれる。なお、核酸プローブを用いた被検核酸の測定方法もこの分野において周知であり、緩衝液中、核酸プローブを被検核酸とTm又はその近傍(好ましくは±4℃以内)で接触させることによりハイブリダイズさせ、洗浄後、ハイブリダイズした標識プローブ又は固相プローブに結合された鋳型核酸を測定することにより行うことができる。このような方法には、下記実施例に記載されるノーザンブロットやインサイチューハイブリダイゼーション、さらにはサザンブロット法等の周知の方法が包含される。
本発明の酵素を、Galβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基を有する糖タンパク質、オリゴ糖、糖脂質又は多糖等に作用させることにより、Galβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンがβ−1,3結合で結合される。従って、本発明の酵素は、糖タンパク質の糖鎖の修飾、糖脂質の糖鎖の修飾や、糖類の合成に用いることができる。さらに、この酵素を免疫原として動物に投与することにより、該酵素に対する抗体を作製することができ、該抗体を用いて免疫測定法により該酵素を測定することが可能になる。従って、本発明の酵素及びこれをコードする核酸は、このような免疫原の作製に有用である。このような抗体及び上記した測定用核酸は、生体中の該酵素を測定することに有用であり、該測定は、癌、免疫病及びピロリ菌感染症の診断、治療及び予防に有用である。
本発明の酵素と抗原抗体反応する抗体、好ましくはモノクローナル抗体は、本発明の酵素を免疫原として動物に投与することを含む周知の方法により作製することができる。このような抗体は、癌又は腫瘍、好ましくは消化器系の癌又は腫瘍、特に大腸の癌又は腫瘍、さらに好ましくは大腸癌の診断に用いることができる。抗体を癌又は腫瘍の診断に用いる場合、試料となる細胞中の上記酵素と、該抗体との抗原抗体反応を利用した免疫測定方法により、上記酵素を測定し、正常細胞における測定結果と比較し、酵素の測定量が正常細胞よりも少なければ、特に、酵素が検出されなければ、癌又は腫瘍の可能性が高いと診断することができる。免疫測定方法自体は、周知であり、周知のいずれの免疫測定方法をも採用することができる。すなわち、測定形式で分類すれば、サンドイッチ法、競合法、凝集法、ウェスタンブロット法などがあり、用いる標識で分類すれば蛍光法、酵素法、放射法、ビオチン法等があるが、これらのいずれをも用いることができる。さらに、免疫組織染色によって診断することもできる。免疫測定方法に標識抗体を用いる場合、抗体の標識方法自体は周知であり、周知のいずれの方法をも採用することができる。また、周知のとおり、抗体をパパイン分解やペプシンで分解することにより、FabフラグメントやF(ab’)2フラグメントのような、対応抗原との結合性を有する抗体断片(本明細書において「抗原結合性断片」という)が得られることが知られているが、本発明の抗体の抗原結合性断片も本発明の抗体と同様に用いることができる。
なお、これらの免疫測定法自体は周知であり、本明細書で説明する必要はないが、簡単に記載すると、例えば、サンドイッチ法では、本発明の抗体又はその抗原結合性断片を第1抗体として固相に不動化し、検体と反応させ、洗浄後、本発明の酵素と抗原抗体反応する第2抗体を反応させ、洗浄後、固相に結合した第2抗体を測定する。第2抗体を酵素、蛍光物質、放射性物質、ビオチン等で標識しておくことにより固相に結合した第2抗体を測定することができる。濃度既知の複数の標準試料中について上記方法により測定し、測定された標識量と標準試料中の本発明の酵素の関係に基づき検量線を作成し、未知濃度の被検試料についての測定結果をこの検量線に当てはめることにより、被検試料中の本発明の酵素を定量することができる。なお、第1抗体と第2抗体を上記の説明と入れ替えてもよい。また、凝集法では、ラテックス等の粒子に本発明の抗体又はその抗原結合性断片を不動化し、検体と反応させて吸光度を測定する。濃度既知の複数の標準試料中について上記方法により測定し、測定された標識量と標準試料中の本発明の酵素の関係に基づき検量線を作成し、未知濃度の被検試料についての測定結果をこの検量線に当てはめることにより、被検試料中の本発明の酵素を定量することができる。
また、各免疫測定に必要な試薬類も周知であり、用いる抗体に特徴があること以外は、通常の免疫測定キットを用いて免疫測定を行うことができる。例えば、通常、緩衝液、固相、標識第2抗体等が含まれる。
下記実施例に具体的に記載するように、本発明の酵素の発現量を指標として癌及び/又は腫瘍の診断を行うことができることが確認されたので、本発明は、生体から分離された試料細胞中における、上記本発明の酵素の遺伝子の発現量を調べることを含む、癌又は腫瘍の診断方法をも提供するものである。なお、下記実施例に具体的に示されるように、本発明の診断方法により検出可能な腫瘍は、癌又は癌が強く疑われる腫瘍である。前記試料細胞としては、消化器系器官の細胞が好ましく、特に大腸由来の細胞が好ましく、これらの細胞を対象とすることで消化器の癌又は腫瘍、特に大腸の癌及び/又は腫瘍の診断を行うことができる。遺伝子の発現量は、細胞中の、該遺伝子から転写されたmRNA若しくは該mRNAを鋳型として作製されたcDNAの量を調べることによって測定することができるし、試料細胞中で生産された酵素を、上記本発明の抗体を用いた免疫測定法により測定することによっても測定することができる。mRNA又はcDNAの量の測定は、上記した本発明の測定用核酸を用いて、上記のようにして行うことができる。
実施例
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、下記の記述において、例えば配列表の配列番号5で表される塩基配列を有する核酸を、便宜的に「配列番号5」のように記載することがある)。
1.遺伝子データベースの検索とbeta3GnT−7の塩基配列決定
既存のβ−1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵素遺伝子、β−1,3−ガラクトース転移酵素およびβ−1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素遺伝子を用いて、遺伝子データベースから類似遺伝子の検索を行った。用いた配列はβ−1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵素遺伝子AB049584、AB049585、AB049586、AB045278、β1,3−ガラクトース転移酵素遺伝子の配列AF117222、Y15060、Y15014、AB026730、AF145784、AF145784、1,3−N−アセチルガラクトサミン転移酵素遺伝子の配列Y15062(すべてGene Bank登録番号)で、プログラムはBLASTのtBlastnを使用し、ORF(Open Reading Frame)に相当するアミノ酸全てについて検索を行った。
その結果、EST配列Gene Bank Accetion No.AK000770とヒトゲノム配列Gene Bank accetion No.AC017104が見出された。そこでAC017104を用いてライブラリーのスクリーニングを行った。
用いたサンプルは常法(Yuzuru Ikehara,Hisashi Narimatsu et al,Glycobiology vol.9 no.11 pp.1213−1224,1999)により作製したヒトAntrum(幽門洞)cDNAライブラリーである。また、スクリーニング手法はラジオアイソトープを使用した一般的な核酸プローブによる方法を用いた。具体的には以下に述べるとおりである。
まず、ヒトAntrum(幽門洞)cDNAライブラリーより常法に従って調製したラムダファージを鋳型とし、プライマーCB−635(5’−cagca gctgc tggcc tacga agac−3’)(AC017104における塩基番号6814−6837)とCB−638(5’−gcaca tgccc agaaa gacgt cgtc−3’)(塩基番号7221−7245)を用いてPCRを行い、増幅したDNA断片約430bpをAmersham社製Multiple DNA labeling systemを用いて32P−dCTPで放射能ラベルした。
このプローブを用いて、大腸菌上に形成されたラムダファージのプラークのうち、プローブとハイブリダイゼーションする単一のプラークを拾い、上記プライマーCB635とCB638を用いてPCRで目的とするDNA部位の存在を確認した。挿入が確認されたプラークより得られたファージはLamda ZAP IIベクター(ストラタジーン社)で構築されているため(Yuzuru Ikehara,Hisashi Narimatsu et al,Glycobiology vol.9 no.11 pp.1213−1224,1999)、付属の説明書に従った方法によりpBluescript SKベクターに挿入されたcDNAクローンとして調製(Excision)することが出来る。同方法によりこれを調製し、得られたコロニーよりDNAを得た。その後、通常の方法に従ってcDNAクローンの塩基配列を決定した(配列番号6)。
上記方法で得られた配列番号6はAC017104の塩基番号4828から7052に該当し、ORFの3’側が欠けていたため、3’側をcDNAからPCRでクローニングしてつなげることとした。即ち、コンピューターによる検索結果のAC017104より予想される配列から終止コドンの後の配列でプライマーCB−625(5’−cgttc ctggg cctca gtttc ctag−3’)(塩基番号7638−7661)を設計し、上記CB635と組み合わせて上記ヒトAntrum(幽門洞)cDNAライブラリーよりDNA断片を得た。常法によりこのDNA断片の塩基配列を決定したところ、配列番号7(AC017104における6814−7661)(以下配列3という)が得られた。これを配列番号6と組み合わせ、理論上のORF987bp(AC017104における6466−7452)が得られ、このORFから328アミノ酸が推定されbeta3GnT−7と名づけた(配列番号8)。一般的には、糖転移酵素は2型の膜1回貫通タンパクであることが知られているが、このORF配列には、N末端には疎水性領域が見出されなかった。しかし、ヒト血清中にβ1,3−N−アセチルグルコサミニル転移酵素活性が検出されることが報告されていることから(Human Serum Contains N−Acetyllactosamine:β1,3−N−Acetylglucosaminyltransferase Activity.Hosomi,O.,Takeya,A.,and Kogure,T.J.Biochem.95,1655−1659(1984))、おそらくこのORFは膜貫通領域が無い分泌型酵素であると考えられた。
この配列番号8によるORFとそれがコードするアミノ酸が実際に存在し、機能している(=発現している)ものであることを示すため、RT−PCRと、PCR増幅産物の制限酵素による確認およびPCR増幅産物の配列のダイレクトシークエンシング(通常の方法)によるmRNAの確認を行った。その結果上記理論上のORFが確かに存在し、実際に機能していることが確認された。
また、上述のように、糖転移酵素は通常2型の膜貫通タンパク質であることが知られているが、配列番号8のアミノ酸配列のN末側に疎水性領域が無く、一般的な糖転移酵素とは異なっていると考えられた。そこで、N末側に疎水性領域(膜貫通領域)を持つスプライシングバリアントがさらに存在するか否か、5′−側の核酸配列(=アミノ酸配列のN末端側)について解析を行なった。
まず、Human stomach Marathon−Ready cDNA(クロンテック社)を鋳型として5’−RACE(Rapid amplification of cDNA ends)を行なった。具体的には、Marathon cDNA付属のAP1プライマーと(DNA断片の両側にAP1、さらにその両内側にAP2のアダプターがついている)、見出した配列部分に設定したプライマーbeta3GnT−7RACE−5(5’−GACCG ACTTG ACAAC CACCA GCA−3’)でPCR(94℃60秒、94℃30秒−72℃3分を5サイクル、94℃30秒−70℃3分を5サイクル、94℃−68℃3分を25サイクル)を行い、そのDNA産物についてさらに、Marathon cDNA付属のAP2プライマーと、配列部分に設定したプライマーbeta3GnT−7RACE−4(5’−GTAGA CATCG CCCCT GCACT TCT−3’)でnested PCR(94℃60秒、94℃30秒−72℃3分を5サイクル、94℃30秒−70℃3分を5サイクル、94℃−68℃3分を15サイクル)を行なった。これをpGEMeasy(クロンテック社)にクローニングして塩基配列を決定した。その結果、先に見出した配列番号6の開始コドンより上流部分の配列が得られ、アミノ酸配列にすると膜貫通領域が認められた。しかし、この膜貫通領域の配列近傍の5′−側の核酸配列を解析したが、ORFの開始点は認められなかった。
そこで、beta3GnT−7を含むヒトゲノム配列AC017104を遺伝子領域解析ソフトのGeneScan、HMMgene等を用いて翻訳領域を解析した。その結果、開始コドンを含み、11塩基(約3アミノ酸)の第一エクソン(AC017104の塩基番号4331−4341)が予測された。そこで、開始コドンより前の部分にプライマーを設計してPCRを行い、予測された領域がトランスクリプトとして存在するかどうか確認することにした。
具体的には、プライマーとしてbeta3GnT−7RACE−8(5’−GCCCA GAGCT GCGAG CCGCT−3’)(AC017104における4278−4300)とCB−638(5’−GCACA TGCCC AGAAA GACGT CG−3’)((AC017104における7224−7245)、鋳型としてHuman leukocyte Marathon−Ready cDNAおよびLA−Taq(TaKaRa)を用いてPCR(95℃30秒、60℃30秒、72℃60秒で30サイクル)を行なった。その結果、1046塩基の増幅産物が得られた。PCR増幅産物を精製してシークエンスを行ってこの配列を検証したところ、上記翻訳領域の解析で予測されたとおり、第1エクソンの3’側(塩基番号4341)が下流の塩基番号6258につながっていることが判明した。
そこでさらに配列番号6、7と、この結果を組み合わせて配列番号5に示す1206の核酸および配列番号9に示す401のアミノ酸が得られた。この配列番号5は、配列番号8(配列番号6と配列番号7の合成)の塩基配列に上流部分の219塩基(73アミノ酸)((AC017104における4331−4341と6258−6465)付加したもので、塩基番号4342−6257はスプライスされたと考えられた。配列番号5は膜貫通領域(AC017104の塩基番号6265−6322)を含むため、配列番号5と配列番号8は同じ活性を持つ酵素の膜貫通型と分泌型であると考えられた。
2.beta3GnT−7の発現ベクターへの挿入
beta3GnT−7の活性を調べるためにbeta3GnT−7を昆虫細胞内で発現させた。活性を確認するには配列番号9の少なくとも他のファミリー遺伝子と比較的ホモロジーが保たれている119番アミノ酸からC末端までの活性領域を発現させれば十分であると考えられるが、ここではbeta3GnT−7(配列番号9)の75番アミノ酸からC末端までの活性領域を発現させることとした。
そこでインビトロジェン社のGatewayシステムのpFastBacに組込み、さらにインビトロジェン社のBac−to−Bacシステムによるバクミドを作成した。
▲1▼エントリークローンの作成
beta3GnT−7Sプライマー(5’−GGGGA CAAGT TTGTA CAAAA AAGCA GGCTT Cgcct ctcag gggcc ccagg cct−3’)とbeta3GnT−7Aプライマー5’−GGGGA CCACT TTGTA CAAGA AAGCT GGGTC catgg gggct cagga gcaag tgcc−3’)(大文字は後述するGATEWAY用の付加配列attLである)、鋳型にはスクリーニングによって得られたcDNAクローンとPCRによって得られたDNA断片より生成したbeta3GnT−7クローン(理論上のORF配列を有するクローン)のDNAを用いてPCRを行い、増幅産物を得た。
この産物をBPクロナーゼ反応によってpDONR201へ組込み、「エントリークローン」を作成した。反応は目的とするDNA断片5μl、pDONR201 1μl(150ng)、反応緩衝液2μl、BPクロナーゼmix 2μlを25℃で1時間インキュベートして行った。プロテイナーゼKを1μl加えて37℃10分おき反応を終了させた。
その後上記mix全量(11μl)をコンピテントセル(大腸菌DH5α)100μlと混合し、ヒートショック法の後、カナマイシンを含むLBプレートにまいた。翌日コロニーをとり、直接PCRで目的DNAを確認した。さらに確実を期すためシーケンシングによりDNA配列の確認をした後、ベクター(pDONR−beta3GnT−7)を抽出・精製した。
▲2▼発現クローンの作成
上記エントリークローンは挿入部位の両側にラムダファージが大腸菌から切り出される際の組換部位であるattLを持つもので、LRクロナーゼ(ラムダファージの組換酵素Int、IHF、Xisを混合したもの)とデステイネーションベクターと混合することで、挿入部位がデステイネーションベクターに移り、発現クローンが作成される。具体的工程は以下のとおりである。
まずエントリークローン1μl、pFBIFを0.5μl(75ng)、LR反応緩衝液2μl、TE4.5μl、LRクロナーゼmix 2μlを25℃で1時間反応させ、プロテイナーゼKを1μl加えて37℃10分インキュベートして反応を終了させた(この組換え反応でpFBIF−beta3GnT−7が生成される)。pFBIFは、pFastBac1にlgκシグナル配列(MHFQVQIFSFLLISASVIMSRG)と精製用のFLAGペプチド(DYKDDDDK)を入れたもので、lgκシグナル配列は発現タンパク質を分泌型にするため、FLAGペプチドは精製のため挿入したものである。FLAGペプチドはOT3(5’−gatca tgcat tttca agtgc agatt ttcag cttcc tgcta atcag tgcct cagtc ataat gtcac gtgga gatta caagg acgac gatga caag−3’)を鋳型とし、プライマーOT20(5’−cgggatccat gcattttcaa gtgcag−3’)と、OT21(5’−ggaat tcttgt catcg tcgtc cttg−3’)によって得られたDNA断片をBam H1とEco R1で挿入した。さらに、Gateway配列を挿入するため、Gateway Vector Conversion System(インビトロジェン社)を用いてConversion cassetteを入れた。
その後上記混合液全量(11μl)をコンピテントセル(大腸菌DH5α)100μlと混合し、ヒートショック法の後、アンピシリンを含むLBプレートにまいた。翌日コロニーをとり、直接PCRで目的DNAを確認し、ベクター(pFBIF−beta3GnT−7)を抽出・精製した。
▲3▼ Bac−to−Bacシステムによるバクミドの作成
続いてBac−to−Bacシステム(インビトロジェン社)を用いて上記pFBIF−とpFastBacとの間で組換えをさせ、昆虫細胞中で増殖可能なバクミド(Bacmid)にG10その他の配列を挿入した。このシステムはTn7の組換部位を利用して、バクミドを含む大腸菌(DH10BAC)に目的遺伝子を挿入させたpFastBacを導入するだけで、ヘルパープラスミドから産生される組換タンパク質によって目的とする遺伝子がバクミドへとりこまれるというものである。またバクミドにはlacZ遺伝子が含まれており、古典的な青(挿入なし)−白コロニー(挿入あり)による選択が可能である。
即ち、上記精製ベクター(pFBIH−beta3GnT−7)をコンピテントセル(大腸菌DH10BAC)50μlと混合し、ヒートショック法の後、カナマイシン、ゲンタマイシン、テトラサイクリン、Bluo−gal、及びIPTGを含むLBプレートにまき、翌日白い単独コロニーをさらに培養し、バクミドを回収した。
3. バクミドの昆虫細胞への導入
上記白コロニーから得られたバクミドに目的配列が挿入していることを確認した後、このバクミドを昆虫細胞Sf21(インビトロジェン社より市販)に導入した。即ち35mmのシャーレにSf21細胞9x105細胞/2ml(抗生物質を含むSf−900SFM(インビトロジェン社)を加え、27℃で1時間培養して細胞を接着した。(Solution A)精製したバクミドDNA 5μlに抗生物質を含まないSf−900SFM(インビトロジェン社)100μl加えた。(Solution B)CellFECTIN Reagent(インビトロジェン社)6μlに抗生物質を含まないSf−900SFM(インビトロジェン社)100μl加えた。その後、Solution AおよびSolution Bを丁寧に混合して15〜45分間、室温でインキュベートした。細胞が接着したことを確認して、培養液を吸引して抗生物質を含まないSf−900SFM(インビトロジェン社)2mlを加えた。Solution AとSolution Bを混合して作製した溶液(lipid−DNA complexes)に抗生物質を含まないSf900II 800μlを加えて丁寧に混和した。細胞から培養液を吸引し、希釈したlipid−DNA complexes溶液を細胞に加え、27℃で5時間インキュベーションした。その後、トランスフェクション混合物を除き、抗生物質を含むSf−900SFM(インビトロジェン社)培養液2mlを加えて27℃で72時間インキュベーションした。トランスフェクションから72時間後にピペッティングにより細胞を剥がし、細胞と培養液を回収した。これを3000rpm,10分間遠心し、上清を別のチューブに保存した(この上清が一次ウイルス液となる)。
T75培養フラスコにSf21細胞1x107細胞/20ml Sf−900SFM(インビトロジェン社)(抗生物質入り)を入れて、27℃で1時間インキュベートした。細胞が接着したら一次ウイルスを800μlを添加して、27℃で48時間培養した。48時間後にピペッティングにより細胞を剥がし、細胞と培養液を回収した。これを3000rpm,10分間遠心し、上清を別のチューブに保存する(この上清を二次ウイルス液とした)。
さらに、T75培養フラスコにSf21細胞1x107細胞/20ml Sf−900SFM(インビトロジェン社)(抗生物質入り)を入れて、27℃で1時間インキュベートした。細胞が接着したら二次ウイルス液1000μlを添加して、27℃で72〜96時間培養した。培養後にピペッティングにより細胞を剥がし、細胞と培養液を回収した。これを3000rpm,10分間遠心し、上清を別のチューブに保存した(この上清を三次ウイルス液とした)。加えて、100ml用スピナーフラスコにSf21細胞6x105細胞/ml濃度で100mlを入れ、三次ウイルス液を1ml添加して27℃で約96時間培養した。培養後に、細胞及び培養液を回収した。これを3000rpm,10分間遠心し、上清を別のチューブに保存した(この上清を四次ウイルス液とした)。
一次から三次までのセルペレットをソニケーションし(ソニケーション緩衝液:20mM HEPES pH7.5、2% Triton X−100(商品名))細胞粗抽出液をH2Oで20倍にし、常法によりSDS−PAGEによる電気泳動について抗FLAG M2−ペルオキシダーゼ(A−8592、SIGMA社)を用いてウエスタンブロッテイングを行い、目的とするbeta3GnT−7タンパク質の発現を確認した。その結果約38−40kDaの位置を中心としてブロードに複数のバンド(糖鎖などの翻訳後修飾の違いによるものと考えられる)が検出、発現が確認された。
4.beta3GnT−7のレジン精製
上記四次感染のFLAG−beta3GnT−7上清10mlにNaN3(0.05%)、NaCl(150mM)、CaCl2(2mM)、抗M1レジン(Sigma社)(50μl)を混合し、4℃で一夜攪拌した。翌日遠心して(3000rpm 5分4℃)ペレットを回収し、2mMのCaCl2・TBSを900μl加えて再度遠心分離(2000rpm 5分4℃)し、ペレットを200μlの1mM CaCl2・TBSに浮遊させ活性測定のサンプル(beta3GnT−7酵素液)とした。
5. beta3GnT−7の受容体基質の探索
beta3GnT−7は、β1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵素類およびβ1,3−ガラクトース転移酵素類と比較して分子進化学的に解析した結果、β1,3−N−アセチルグルコサミニル転移酵素類に分類された。そこで、第一に供与体基質(donor substrate)としてUDP−GlcNAcを用いて検討した。
以下の反応系を用いて、beta3GnT−7の受容体基質を調べた。下記反応液の「受容体基質」には、pNp−α−Glc、pNp−β−Glc、pNp−α−GlcNAc、pNp−β−GlcNAc、pNp−α−Gal、pNp−β−Gal、pNp−α−GalNAc、Bz−α−GalNAc、pNp−α−Xyl、pNp−β−Xyl、pNp−α−Fuc、Bz−α−Man、Bz−α−ManNAc、LacCer、GalCer typel、Bz−β−lactoside(すべてSigma社)およびGalβ1−4GlcNAc−α−pNp(トロントリサーチケミカル社)を用いてそれぞれが受容体として機能するかどうかを調べた。
反応液(カッコ内は最終濃度)は受容体基質(10nmol)、カコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.2)(50mM)、Triton CF−54(商品名)(0.4%)、MnCl2(10mM)、UDP−GlcNAc(480μM)、UDP−[14C]GlcNAC(175nCi)、CDP−coline(5mM)から成り、これにbeta3GnT−7酵素液を10μl加えて、さらにH2Oを加えて全量25μlとした。
上記反応混合液を37℃で5時間反応させ、反応終了後、0.1M KClを200μl加え、軽く遠心後上清を取得した。10mlのメタノールで1回洗浄後、10mlのH2Oで2回洗浄して平衡化したSep−Pak plus C18 Cartridge(Waters)に該上清を通し、上清中の基質および生成物をカートリッジに吸着させた。10mlのH2Oにて2回カートリッジを洗浄後、5mlのメタノールで吸着した基質および生成物を溶出した。溶出液を40℃のヒートブロックにて加熱しながら、窒素ガスを吹き付け蒸発乾固させた。これに、メタノール20μlを添加し、TLCプレート(HPTLC plate Silica gel 60:MERCK社製)にプロットし、クロロホルム:メタノール:水(0.2%CaCl2含む)=65:35:8の組成からなる展開溶媒を用いて展開した。TLCプレートの上端から5mmの所まで展開し、プレートを乾燥後、バイオ・イメージアナライザーFLA3000(富士写真フィルム社製)を用いて生成物に取り込まれている放射線の量を測定した。
その結果、beta3GnT−7はBz−β−ラクトシドおよびGalβ1−4GlcNAc−α−pNpにGlcNAcを転移させる活性を有するβ1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵素であること、すなわち、Galβ1−4Glc(NAc)−Rの非還元末端のガラクトースにGlcNAcを転移する酵素であることが判明した。
6. N−グリカンに対するβ3GlcNAcT活性の測定
酵素源は前記と同様にリコンビナント酵素(FLAG配列融合蛋白)として発現し、精製したものを使用した。アクセプター基質には表1に示す市販のPA化糖鎖基質(タカラバイオ社製)を使用し、反応条件は、14mMカコジル酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)、0.4%Triton CF−54、10mM MnCl2、50mM UDP−GlcNAc(ドナー基質)、20pmolアクセプター基質、100ng酵素タンパク質液で37℃、16時間反応した。反応後95℃、3分で反応を止め、80μlの水を加えてUltra−free MC column(ウオーターズ社製)を通し、この通過液から45μlをHPLCに供した。HPLCの条件は以下の通りである。尚、UDP−GlcNAc(ドナー基質)を含まない溶液を対象として転換酵素活性(%)を求めた。その結果を下記表1に示す。
(HPLC条件)
Buffer I.a:100mM酢酸/トリエチルアミン,pH4.0
Buffer I.b:100mM酢酸/トリエチルアミン,pH4.0(0.5% 1−ブタノール含有)
gradient:5−55%:Buf.I.b(0−60 min.)、
flow rate:1.0ml/min.
column:PalPak Type R(TaKaRa Cat.No.CA8000)
column oven temp:40℃
HPLCシステム:Shimadzu LC−10AD vp、CTO−10AC vp、DGU−14A、cell temp controller
検出器:Fluorescence:RF−10AXL、UV:SPD−10Avp
7. フローサイトメトリーによる酵素発現の測定
pDEST12.2ベクター(インビトロジェン社製)にbeta3GnT−7(G10)遺伝子を組み込んだpDEST12.2−G10ベクターDNAを作製した。これは具体的に次のようにして行った。下記のInvitrogen社のgatewayシステムの配列を組み込んだプライマーを用いてColo205細胞(大腸ガン細胞)のcDNAよりPCR法で増幅後、その増幅産物をまずpDONRベクターにBP反応により組み込んだ。そのベクターのシーケンシングを行い、DNA配列の確認後、pDONRベクターからpDEST12.2ベクターにLR反応により入れ替えた。なお、上記操作は、Invitrogen社製のキットに含まれるベクター、試薬を用いて商品の指示書に従い行った。
以上の操作により、pDEST12.2ベクター(インビトロジェン社製)に、配列番号5に示すcDNAの5’側及び3’側に、上記プライマー中の、cDNA配列以外の領域が付加されたDNA断片が挿入された組換えベクターが得られた。この組換えベクターを、常法により、HCT15細胞株、LSC細胞株(ともに大腸癌細胞株)に導入した。また、コントロールとして遺伝子導入のないpDEST12.2ベクターDNAを用いて、同様に細胞株に導入した(Mock細胞)。0.8mg/mlのG418薬剤(インビトロジェン社製)によるセレクションを1ヶ月行った後に細胞を回収した。回収した細胞を1%BSA/0.1%NaN3/PBS(−)で2回洗った。細胞数を1x107cells/mlにして1サンプルあたり100μl(1x106cells)使用した。遠心後上清を除いて、10μg/mlになるよう希釈した。下記FITCラベルレクチンをそれぞれ100μl加え、細胞を懸濁した。4℃で暗所(冷蔵庫)30分反応させた後、1%BSA/0.1%NaN3/PBS 100μlをウェルに入れて洗浄を行い、1000rpmで5分遠心し、上清を取り除いた。さらにもう一度洗浄を繰り返した。0.5%パラホルムアルデヒド/PBS 1mlに懸濁して細胞固定を行い、ナイロンメッシュを通した後、フローサイトメトリーFACSCalibur(ベクトン ディッキンソン社製)を用いて解析した。その結果を図1〜3に示す。
使用したレクチンはLycopersicon esculentum(LEA)ならびにTriticum vulgare(WGA)であり、それぞれN−アセチルラクトサミンの繰り返し構造、ならびにN−アセチルグルコサミン構造を認識するレクチンであり、FITCにより標識されているものを使用した(ホーネン、生化学工業、EY Laboratories社などより購入)。
図1は、HCT15大腸癌細胞株のLEAレクチンとの結合性を示すフローサイトメトリーの結果、図2は、本発明の遺伝子を導入した組換えベクター又は導入しない組換えベクター形質転換したLSC大腸癌細胞株のLEAレクチンとの結合性を示すフローサイトメトリーの結果、図3は、HCT15大腸癌細胞株のWGAレクチンとの結合性を示すフローサイトメトリーの結果を示す。各図において、太線がbeta3GnT−7遺伝子を含む組換えベクターで形質転換した細胞についての結果を示し、細線がbeta3GnT−7遺伝子を含まないベクターで形質転換した細胞(Mock細胞)についての結果を示す。
図1〜3に示す通り、いずれも蛍光強度がシフトしていることから、beta3GnT−7(G10)遺伝子を組み込んだpDEST12.2−G10ベクターDNAの導入細胞株ではN−アセチルラクトサミン含有構造が増えていた。
8.beta3GnT−7の組織特異的発現の解析
Real Time PCR法(Gibson,U.E.,Heid,C.A.,and Williams,P.M.(1996)Genome Res 6,995−1001)で組織での発現および株化細胞での発現状態を調べた。材料として、ヒト組織cDNAは、Marathon cDNA(クロンテック社)を使用した。各種株化細胞は、常法に従い総RNAを抽出してcDNAを合成した。beta3GnT−7の検量線は、pDONRTM201 vector DNAにbeta3GnT−7遺伝子を組み込んだプラスミドを使用した。内因性の対照として恒常的に発現しているグリセルアルデヒト3リン酸脱水素酵素(human glyceraldehyde−3−phosphate dehydrogenase(GAPDH))を用いた。GAPDHの検量線は、pCR2.1(インビトロゲン社)にGAPDH遺伝子を組み込んだプラスミドを使用した。beta3GnT−7用のプライマーセットおよびプローブは、RT−beta3GnT−7−F2;5’−TTCCTCAAGTGGCTGGACATC−3’,RT−beta3GnT−7−R2;5’−GCCGGTCAGCCAGAAATTC−3’,プローブ;5’−Fam ACTGCCCCCACGTCCCCTTCA−MGB−3’を用いた。GAPDHのプライマーセットとプローブは、キット(Pre−Developed TaqMan登録商標Assay Reagents Endogenous Human GAPDH(Applied Biosystems社))を使用した。PCR条件は、TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems社)を使用し、1サイクル,50℃,2分間,続いて1サイクル,95℃,10分間、そして50サイクル;95℃,15秒−60℃,1分間を行なった。PCR産物の定量はABI PRIAM7700 Sequence Detection System(Applied Biosystems社)を用いて測定した。G11の発現量は、恒常的に発現しているGAPDHの転写産物量で割ることによって標準化した。表2にヒト組織、表3に株化細胞の結果をまとめる。
beta3GnT−7の高発現組織は、膵臓、胃、胎盤、副腎であり、中発現組織は、大腸、白血球、肺、卵巣、小腸、脾臓、精巣、子宮、大脳皮質であった。それ以外の組織では発現量が比較的低いものであった。
株化細胞でのbeta3GnT−7の発現は、正常組織に比べると低下していた。前骨髄芽球性白血病由来の細胞であるHL60細胞および大腸由来のSW1116細胞においては、発現レベルが高かった。
これらのことから、癌化などにより細胞の分化の程度が変化した場合、beta3GnT−7の発現量が変化することが容易に考えられ、beta3GnT−7の発現量の変化を調べることにより、病気の診断に利用できる可能性が考えられた。また、beta3GnT−7には、記載したように開始点が2つ存在する可能性があり、スプライシングバリアントの変化を調べることによって細胞の分化状態、病的な変化を調べられる可能性もある。
9. 大腸癌患者の正常組織及び癌組織におけるbeta3GnT−7遺伝子の発現
実際の大腸癌(DK)患者の正常(N)または癌(T)組織におけるbeta3GnT−7の発現量を「8.beta3GnT−7の組織特異的発現の解析」に記載された方法に従い測定した。その結果を図4に示す。この結果からDK3検体を除いて、DK10、DK15、DK19、DK22、DK23およびDK24検体について、癌組織ではbeta3GnT−7の発現が減少する傾向が見られた。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の遺伝子を導入した組換えベクター又は導入しない組換えベクター形質転換したHCT15大腸癌細胞株のLEAレクチンとの結合性を示すフローサイトメトリーの結果を示す。
図2は、本発明の遺伝子を導入した組換えベクター又は導入しない組換えベクター形質転換したLSC大腸癌細胞株のLEAレクチンとの結合性を示すフローサイトメトリーの結果を示す。
図3は、本発明の遺伝子を導入した組換えベクター又は導入しない組換えベクター形質転換したHCT15大腸癌細胞株のWGAレクチンとの結合性を示すフローサイトメトリーの結果を示す。
図4は、大腸癌患者の正常組織及び癌組織中における、本発明の遺伝子の発現量を比較して示す図である。
Claims (30)
- 配列表の配列番号1に示されるアミノ酸配列又は該アミノ配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは複数のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ配列を有し、Galβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有するタンパク質。
- 配列表の配列番号3に示されるアミノ酸配列又は該アミノ配列において1若しくは複数のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは複数のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ配列を有する請求項1記載のタンパク質。
- 前記タンパク質は、配列番号1又は3に示されるアミノ酸配列と70%以上の相同性を有する請求項1又は2記載のタンパク質。
- 前記タンパク質は、配列番号1又は3に示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有する請求項3記載のタンパク質。
- 前記タンパク質は、配列番号1又は3に示されるアミノ酸配列又は該配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換し若しくは欠失し、若しくは該アミノ配列に1若しくは数個のアミノ酸が挿入され若しくは付加されたアミノ配列を有する請求項4記載のタンパク質。
- 前記タンパク質は、配列番号3に示されるアミノ酸配列を有する請求項5記載のタンパク質。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のアミノ酸配列を有する領域を含み、Galβ1−4GlcまたはGalβ1−4GlcNAc−基の非還元末端にN−アセチルグルコサミンをβ−1,3結合で転移する活性を有するタンパク質。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする核酸。
- 配列表の配列番号2又は4に示される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、請求項8記載の核酸。
- 配列表の配列番号2又は4に示される塩基配列を有する請求項9記載の核酸。
- 請求項8ないし10のいずれか1項に記載の核酸を含み、宿主細胞中で該核酸を発現することができる組換えベクター。
- 請求項8ないし10のいずれか1項に記載の核酸が導入され、該核酸を発現する細胞。
- 請求項8ないし10のいずれか1項に記載の核酸と特異的にハイブリダイズする、該核酸の測定用核酸。
- 請求項10記載の領域中の部分領域と相補的な配列を有する請求項13記載の測定用核酸。
- プローブ又はプライマーである請求項13又は14記載の測定用核酸。
- 塩基数が15塩基以上である請求項15記載の測定用核酸。
- 癌及び/又は腫瘍の診断に用いられる請求項13ないし16のいずれか1項に記載の核酸測定用核酸。
- 消化器の癌及び/又は腫瘍の診断に用いられる請求項17記載の核酸測定用核酸。
- 大腸癌の診断に用いられる請求項18記載の核酸測定用核酸。
- 生体から分離された試料細胞中における、請求項6記載のタンパク質又はその遺伝子の発現量を調べることを含む、癌及び/又は腫瘍の診断方法。
- 前記試料細胞が消化器由来の細胞であり、消化器の癌及び/又は腫瘍を診断する請求項20記載の方法。
- 前記試料細胞が、大腸由来の細胞であり、大腸癌を診断する請求項21記載の方法。
- 請求項13ないし16のいずれか1項に記載の核酸測定用核酸と、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の核酸とを接触させることによりハイブリダイズさせ、ハイブリダイズした核酸を測定することを含む、請求項8ないし10のいずれか1項に記載の核酸の測定方法。
- 請求項13ないし16のいずれか1項に記載の核酸測定用核酸の一対をプライマーとし、請求項8ないし10のいずれか1項に記載の核酸を鋳型として核酸増幅法を行い、増幅産物を測定することを含む、請求項8ないし10のいずれか1項に記載の核酸の測定方法。
- 請求項6記載のタンパク質の遺伝子の発現量を、請求項13ないし16のいずれか1項に記載の核酸測定用核酸と、該遺伝子から転写されたmRNA又は該mRNAを鋳型として生成されるcDNAとを接触させることによりハイブリダイズさせ、ハイブリダイズした核酸を測定することを含む、請求項20ないし22のいずれか1項に記載の癌及び/又は腫瘍を診断する方法。
- 請求項6記載のタンパク質の遺伝子の発現量を、請求項13ないし16のいずれか1項に記載の核酸測定用核酸の一対をプライマーとし、該遺伝子から転写されたmRNA又は該mRNAを鋳型として生成されるcDNAを鋳型として核酸増幅法を行い、増幅産物を測定することを含む、請求項20ないし22のいずれか1項に記載の癌及び/又は腫瘍を診断する方法。
- 請求項13ないし16のいずれか1項に記載の核酸測定用核酸の、請求項8ないし10のいずれか1項に記載の核酸の測定用核酸製造のための使用。
- 請求項17ないし19のいずれか1項に記載の核酸測定用核酸の、癌及び/又は腫瘍の診断試薬製造のための使用。
- 前記癌及び/又は腫瘍は、消化器の癌及び/又は腫瘍である請求項28記載の使用。
- 前記消化器の癌及び/又は腫瘍は、大腸癌である請求項29記載の使用。
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